圧電デバイス
【課題】封止材の厚さを一定に保ち、接合強度のバラツキを抑えるとともに、接合強度を高める水晶振動子を提供する。
【解決手段】圧電デバイス100は、第1面M1とその第1面の反対側の第2面M2とを有する第1板40と、第3面M5とその第3面の反対側の第4面とを有する第2板10とを備える。さらに、第1板の第2面と第2板の第3面との間に環状に配置され、第1板と第2板とを接合する環状の接合材LGと、第2面又は第3面の少なくとも一方に形成された所定高さの突起部45と、第2面又は第3面の少なくとも一方に、接合材の環状の内側に環状に形成される溝部403と、を備える。
【解決手段】圧電デバイス100は、第1面M1とその第1面の反対側の第2面M2とを有する第1板40と、第3面M5とその第3面の反対側の第4面とを有する第2板10とを備える。さらに、第1板の第2面と第2板の第3面との間に環状に配置され、第1板と第2板とを接合する環状の接合材LGと、第2面又は第3面の少なくとも一方に形成された所定高さの突起部45と、第2面又は第3面の少なくとも一方に、接合材の環状の内側に環状に形成される溝部403と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面実装型の水晶振動子に関する。特に、封止材の厚さを一定に保ち、リッド板とベース板との密着強度を高めた水晶振動子に関する。
【背景技術】
【0002】
表面実装用の水晶振動子は、水晶振動片がガラス、セラミック等の絶縁性ベース板に収納される。その絶縁性ベース板はリッド板が封止材を介して封止される。例えば特許文献1に開示された水晶振動子は、メタライズ層のシールリングを備えたセラミックパッケージのシールリング上に金属性の蓋部材をロウ付け接合して、気密密封している。メタライズ層は、十分な量のロウ材を保持して接合強度を高めるため、凹み溝が形成されている。
【0003】
特許文献2に開示された水晶振動子は、圧電振動片の周囲に枠体が形成されている。そして、ベース板と枠体との間に低融点ガラス又はコロイダルシリカなどの封止材を厚く形成し、また、リッド板と枠体との間にも低融点ガラス等の封止材を厚く形成することを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−148436号公報
【特許文献2】特開2004−222053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、水晶振動子の小型化に伴いベース板の接合面の幅が狭くなると封止材の幅も狭くなっている。このため、水晶振動子の外側からキャビティ内へ気体又は水蒸気がリークもしくはキャビティ内から水晶振動子の外へ気体がリークしやすくなるとともに、接合強度が弱くなる。また、強い外部衝撃が加わったときに、接合面の一部で封止材が剥離する問題もあった。その一方で、封止材の量を増やしベース板とリッド板とが重ね合わされて加熱され押圧される場合に、余分な封止材がキャビティ内に流入する問題もあった。
【0006】
また、水晶振動子をウエハ単位で製造する方法では、ベースウエハ及びリッドウエハの平面外形が大きくなるため板面に歪みを生じ、板面の反り(湾曲)等によって両者間にギャップを生じる。このことから、リッドウエハ上から押圧し、ベースウエハ及びリッドウエハの反り等を矯正して接合不良(封止不良)を防止するが、封止材の厚さが不揃いとなり、ウエハ面内で接合強度にバラツキがでる問題もあった。
【0007】
そこで、本発明は、封止材の厚さを一定に保ち、接合強度のバラツキを抑えるとともに、接合強度を高める水晶振動子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の観点の圧電デバイスは、第1面とその第1面の反対側の第2面とを有する第1板と、第3面とその第3面の反対側の第4面とを有する第2板とを備える。さらに、第1板の第2面と第2板の第3面との間に環状に配置され、第1板と第2板とを接合する環状の接合材と、第2面又は第3面の少なくとも一方に形成された所定高さの突起部と、第2面又は第3面の少なくとも一方に、突起部の内側に環状に形成される溝部と、を備える。接合材は、突起部の周辺に配置されるとともに、溝部の内側を超えない範囲で配置される。
【0009】
第2の観点の圧電デバイスにおいて、突起部は側面と天井面とを有し、側面の少なくとも一部は接合材と接しており天井面は接合材を介さないで第3面又は第2面と直接接している。
第3の観点の圧電デバイス突起部の側面の一部は、第1板又は第2板の側面と同一平面になる。
第4の観点の圧電デバイスにおいて、第1板は第1面に外部電極を有するベース板であり、第2板は励振電極が形成された励振部とこの励振部を取り囲む枠部とを有する圧電振動片であり、ベース板と枠部とが接合材で接合される。
【0010】
第5の観点の圧電デバイスにおいて、励振部は励振電極が形成されたメサ領域と該メサ領域の周辺でメサ領域よりも厚さが薄い周辺領域とを有し、突起部の所定の高さはメサ領域と周辺領域との差に等しい。
第6の観点の圧電デバイスにおいて、第1板は第1面に外部電極を有するベース板であり、第2板は励振電極が形成された励振部を覆うリッド板であり、ベース板とリッド板とが接合材で接合される。
第7の観点の圧電デバイスは、第1面と第2面とを結ぶ側面に形成されたキャスタレーションと、キャスタレーションに形成された側面電極と、を備える。そして、その圧電デバイスは、外部電極と側面電極とが電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の水晶振動子によれば、封止材の厚さが一定に保たれ、封止材のキャビティ内への流入を抑制して、さらにリッド板とベース板との接合強度を高める。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)は、第1実施形態の第1水晶振動子100の分解斜視図である。 (b)は、第1水晶振動子100のA−A’断面図である。
【図2】第1実施形態の第1水晶振動子100の製造を示したフローチャートである。
【図3】第1ウエハ40Wの平面図である。
【図4】第2ウエハ10Wの平面図である。
【図5】第2ウエハ10Wと、水晶振動片20と、第1ウエハ40Wとを接合するステップS106を示した詳細説明図である。
【図6】第1ウエハ40Wとは突起部45の配置が異なる第1ウエハ40AWの平面図である。
【図7】(a)は、第2実施形態の第2水晶振動子110の分解斜視図である。 (b)は、第2水晶振動子110のB−B’断面図である。
【図8】(a)は、第2水晶振動子110のC−C’断面図である。 (b)は、第1ウエハ41Wの平面図である。
【図9】第2実施形態の第2水晶振動子110の製造を示したフローチャートである。
【図10】(a)は、第3実施形態の第3水晶振動子120の分解斜視図である。 (b)は、第3水晶振動子120のD−D’断面図である。
【図11】図10(b)の丸で囲ったEL部の拡大図である。
【図12】(a)は、第4実施形態の第4水晶振動子130の分解斜視図である。 (b)は、第4水晶振動子130のE−E’断面図である。
【図13】水晶ウエハ32Wの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
<第1水晶振動子100の全体構成>
第1水晶振動子の全体構成について図1〜図5を使って説明する。
第1水晶振動子100は、図1に示されたように、リッド板凹部17を有する第1リッド板10と、ベース板凹部47を有する第1ベース板40と、第1ベース板40に載置される水晶振動片20とを備える。なお、封止材LGの形状を説明するために、封止材LGはシートとして描かれている。第1水晶振動子100は、第1リッド板10と、第1ベース板40とは互いに接合されてパッケージ80(図1(b)参照)が形成される。パッケージ80内にはキャビティCT(図1(b)参照)が形成され、キャビティCTには水晶振動片20が載置される。
【0014】
本明細書では、水晶振動片としてATカットの水晶振動片20が使われている。ATカットの水晶振動片は、主面(YZ面)が結晶軸(XYZ)のY軸に対して、X軸を中心としてZ軸からY軸方向に35度15分傾斜されている。このため、第1実施形態ではATカットの水晶振動片の軸方向を基準とし、傾斜された新たな軸をy’軸及びz’軸として用いる。すなわち、第1実施形態において第1水晶振動子100の長手方向をx軸方向、第1水晶振動子100の高さ方向をy’軸方向、x及びy’軸方向に垂直な方向をz’として説明する。以下、第2実施形態〜第4実施形態において同様である。
【0015】
水晶振動片20は、ATカットされた水晶片201により構成され、一対の励振電極202a、202bが、その水晶片201の中央付近の両主面に対向して配置される。また、励振電極202aには水晶片201の底面(−y’側)の−x側まで伸びた引出電極203aが接続され、励振電極202bには水晶片201の底面(−y’側)の−x側まで伸びた引出電極203bが接続される。また、励振電極及び引出電極は例えば下地としてのクロム層が用いられ、クロム層の上面に金層が用いられる。
【0016】
第1ベース板40は、水晶又はホウ酸塩ガラス等からなる。第1ベース板40は、+y’側の面にベース板凹部47を有し、その周囲に形成された接合面M2を有している。ベース板凹部47は、底面の−x側に接続電極408a、408bを備える。
【0017】
40の四隅には、円形貫通孔BH1(図3を参照)をダイシングした際のキャスタレーション406a、406bが形成されている。側面電極407a、407bが、ベース板キャスタレーション406a、406bにそれぞれ形成される。また、側面電極407aと電気的に接続された接続電極408aが、第1ベース板40の接合面M2の−x側に形成されている。同様に、側面電極407bと電気的に接続された接続電極408bが、第1ベース板40の接合面M2の−x側に形成されている。
【0018】
第1ベース板40の接合面M2には、ベース溝部403がベース板凹部47を枠状に囲むように形成されている。また、接合面M2には、ベース溝部403の外側に所定の高さの突起部45が複数個形成されている。突起部45の形状は、円柱又は多角形の柱である。さらに、第1ベース板40は、実装面M1に側面電極407a、407bにそれぞれ電気的に接続された一対の実装端子405a、405b(図1(b)を参照)を有している。
【0019】
第1リッド板10は、水晶又はホウ酸塩ガラス等からなる。第1リッド板10は、−y’側の面にリッド板凹部17を有し、その周囲に形成された接合面M5を有している。第1リッド板10の四隅には、円形貫通孔BH1(図4を参照)をダイシングした際のキャスタレーション106a、106bが形成されている。
【0020】
リッド板凹部17とベース板凹部47とは、水晶振動片20を収納するキャビティCTを形成する。水晶振動片20は、第1ベース板40の接続電極408a、408bに載置され導電性接着剤60を介して実装端子405a、405bに電気的に接続される。キャビティCTは、不活性ガスで満たされたり又は真空状態に密封されたりする。
【0021】
低融点ガラスの封止材LGが、第1ベース板40の接合面M2と第1リッド板10の接合面M5との間に配置される。この封止材LGは、第1ベース板40と第1リッド板10とを接合する。
【0022】
低融点ガラスの封止材LGは、350℃〜400℃で溶融する鉛フリーのバナジウム系ガラスを含む。バナジウム系ガラスはバインダーと溶剤とが加えられペースト状であり、溶融された後固化されることで他の部材と接着する。バナジウム系ガラスの融点は水晶材又はガラスなどで形成された第1リッド板10及び第1ベース板40の融点より低く、また、このバナジウム系ガラスは接着時の気密性と耐水性・耐湿性などの信頼性が高い。
【0023】
低融点ガラスの封止材LGは、第1ベース板40のベース溝部403の外壁から第1ベース板40の外形までの幅wdL,wds(図1を参照)に対応して、幅wd1,wd2でリッド板10の接合面M5にスクリーン印刷される。封止材LGは、突起部45の所定の高さ、例えば30μm、より厚く印刷される。封止材LGは、開口部5(図1、図4を参照)を有する。開口部5は、第1ベース板40の突起部45に対応する位置に設けられている。開口部5の大きさは、突起部45の直径より多少大きく形成される。
【0024】
図1(b)は、図1(a)のA−A’断面図である。第1リッド板10の接合面M5と第1ベース板40の接合面M2とが、封止材LGを介して互いに接合されている。加熱して軟化した封止材LGは、押圧によって第1リッド板10と第1ベース板40との接合面から押し出される。第1リッド板10と第1ベース板40とが大きな力で押圧されても、所定の高さの突起部45によって、所定高さ以上に封止材LGが押し潰されることはない。
【0025】
開口部5が形成されて封止材LGが接合面M5にスクリーン印刷されている。そのため第1リッド板10と第1ベース板40とを重ねあわせても、突起部45の天井面は封止材LGが配置されない。つまり第1リッド板10の接合面M5と突起部45の天井面とは直接接している。また突起部45の側面は、第1リッド板10と第1ベース板40とが押圧されることにより、封止材LG覆われている。突起部45は、封止材LGの均一な高さを確保すると共に、封止材LGの接触面積が多くなり第1リッド板10と第1ベース板40との接合強度を高めている。
【0026】
第1リッド板10と第1ベース板40とが接合される前は、封止材LGは幅wd1、wd2であり、封止材LGは、Y’軸方向に、ベース溝部403と重なり合っていない。第1リッド板10と第1ベース板40とが押圧された際、封止材LGは、キャビティ側(内側)にも広がる。しかし、図1(b)に示されるように、キャビティ側に広がった封止材LGは、ベース溝部403にも入り込む。
【0027】
パッケージ80は、第1リッド板10と第1ベース板40とが接合されることにより形成されキャビティCTを形成する。第1水晶振動片20がキャビティCTに載置されている。第1水晶振動片20の引出電極203a,203bは、導電性接着剤60を介して接続電極408a,408bと電気的に接続されている。また、接続電極408a,408bは第1ベース板40のベース溝部403を通り、実装端子405a、405bと電気的に接続されている。つまり、水晶振動片20の励振電極202a,202bと実装端子405a、405bとは電気的に接続されており、2つの実装端子405a、405bの間に電圧が印加されると、水晶振動片20は振動する。
【0028】
<第1水晶振動子100の製造方法>
図2は、第1水晶振動子100の製造方法が示されたフローチャートである。
ステップS101では、水晶ウエハにフォトリソグラフィ技術を用い複数の水晶振動片20の外形が形成される。
ステップS102では、水晶ウエハに形成されている各水晶振動片20に、励振電極202a,202bと引出電極203a,203bとが形成される。
ステップS103では、水晶ウエハから個々の水晶振動片20が切り離される。
【0029】
ステップS104では、第1ウエハ(ベースウエハ)40Wが用意される。第1ウエハ40Wには、複数の第1ベース板40が形成されている。第1ウエハ40Wは、例えば水晶又はホウ酸塩ガラス等である。図3を参照して第1ウエハ40Wについて説明する。
【0030】
図3は、第1ウエハ40Wの平面図である。第1ウエハ40Wには複数の第1ベース板40が形成されている。第1ベース板40の四隅には、円形貫通孔BH1が形成されている。各第1ベース板40の+y’軸側の面には凹部47が形成されている。また、凹部47には接続電極408a,408bが形成されている。凹部47の周囲の接合面M2には、凹部47を囲むようにベース溝部403が形成され、ベース溝部403の外側に所定の高さの突起部45が形成されている。
【0031】
また、図3には示されていないが、第1ウエハ40Wの−y’軸側の面には実装端子405が形成されている(図1(b)を参照)。図3では、隣接する第1ベース板40の境界線が二点鎖線で示されている。この二点鎖線は、後述される図2のステップ109でウエハが切断される線であるスクライブラインSLである。
【0032】
ステップS105では、第2ウエハ(リッドウエハ)10Wが用意される。第2ウエハ10Wには、複数の第1リッド板10が形成されている。第2ウエハ10Wは、例えば水晶又はホウ酸塩ガラス等である。図4を参照して第2ウエハ10Wについて説明する。
【0033】
図4は、第2ウエハ10Wを−y’軸側から+y’軸方向に見た、平面図である。第2ウエハ10Wには複数の第1リッド板10が形成されている。第1リッド板10の四隅には、円形貫通孔BH1が形成されている。図4では、隣接する第1リッド板10の境界線が二点鎖線で示されている。この二点鎖線は、後述される図2のステップ109でウエハが切断される線であるスクライブラインSLである。各第1リッド板10の−y’軸側の面には凹部17が形成されており、凹部17の周りには接合面M5が形成されている。
【0034】
ステップS106では、封止材LGが接合面M5に塗布される。しかし、凹部17を除く接合面M5の全面に封止材LGが塗布されるわけではない。図4に示されるように、z’軸方向には、凹部17から所定距離離れた位置からスクライブラインSLまで、幅wd1で封止材LGが塗布されている。x軸方向には、凹部17から所定距離離れた位置からスクライブラインSLまで、幅wd2で封止材LGが塗布されている。
【0035】
幅wd1及び幅wd2で封止材LGがスクリーン印刷されるため、第1ウエハ40Wと第2ウエハW10とを重ね合わせた際に、封止材LGが、ベース溝部403に重ならない。なお、幅wd1と幅wd2とは同じ幅であってもよい。また、封止材LGの開口部5は、第1ベース板40の突起部45に対応する位置に設けられている。開口部5の大きさは、突起部45の直径より多少大きく形成され、突起部45の天井と重ならないように形成されている。
【0036】
ステップS107では、第1水晶振動片20が第1ウエハ40Wに載置される。
ステップS108では、第2ウエハW10と第1ウエハ40Wとが接合される。ステップS106〜ステップS108の詳細は、図5を参照して後述する。
【0037】
ステップS109では、第1ウエハ40W及び第2ウエハ10WがスクライブラインSLに沿って切断される。この切断により、第1水晶振動子100が個々に分割される。
【0038】
図5は、第2ウエハ10Wと第1ウエハ40Wとが接合される工程(図2のステップS106からS108まで)を説明するためのフローチャートである。また、図5の各ステップの右横に、各ステップを説明するための図5(a)〜図5(d)が示されている。これら図5(a)から図5(d)は、図3のF−F断面の概略断面図が示されている。図5(a)から図5(d)には、隣り合う第1ベース板40の境界線が二点鎖線で示されており、この二点鎖線はスクライブラインSLを示している。
【0039】
ステップS106では、図5(a)に示されるように、第2ウエハ10Wの接合面M5に封止材LGが形成される。第2ウエハ10Wに形成された封止材LGは、スクライブラインSLから幅wd1である。この幅wd1は、第1ベース板40の接合面M2に形成されたベース溝部403とは重なり合わない。つまり、幅wd1は、一番幅が広くても、スクライブラインSLから接合面M2のベース溝部403の直前までの幅になる。封止材LGは、開口部5を有する。開口部5は、第1ベース板40の突起部45に対応する位置に設けられている。開口部5の大きさは、突起部45の直径より大きく突起部45に重ならないように形成されている。
【0040】
ステップS107において、第1ウエハ40Wに水晶振動片20が載置される。図5(b)に示されるように、個々の水晶振動片20が、第1ウエハ40Wに形成された複数の第1ベース板40の凹部47にそれぞれ載置される。その際に、水晶振動片20の引出電極203が、導電性接着剤60を介して接続電極408に接続される。
【0041】
ステップS181(S108)では、封止材LGが形成された第2ウエハ10Wが、第1ウエハ40Wに位置決めされる。図5(c)には、第2ウエハ10Wと第1ウエハ40Wとが接合される前の状態が示されている。第2ウエハ10Wと第1ウエハ40Wとは互いのスクライブラインSLがy’軸方向に重なる。つまり、接合面M2と接合面M5とが重なるように位置決めされる。
【0042】
ステップS182(S108)では、第2ウエハ10Wと第1ウエハ40Wとが加熱下で、y’軸方向に押圧される。図5(d)は、第2ウエハ10Wと第1ウエハ40Wとが接合した状態を示している。封止材LGは、第2ウエハ10Wと第1ウエハ40Wとに挟まれて+z’軸方向及び−z’軸方向に広がる。その一方で封止材LGは、突起部45の所定の高さ以上に押圧されない。キャビティCT側に広がった封止材LGは、ベース溝部403に入り、キャビティCT内まで封止材LGが流れ出ることがない。突起部45の側面は、封止材LGに包み込まれる。突起部45の側面は、封止材LGが第1ベース板40の接合面M2で接する面積を広げ、第1リッド板10と第1ベース板40との接合強度を高める。
【0043】
図6は、第1ウエハ40AWの平面図である。第1ウエハ40AWは、図3の第1ウエハ40Wと突起部45の配置が異なっている。図3の第1ウエハ40Wでは、第1ベース板40に配置される突起部45の数は一定である。図6に示された第1ウエハ40AWは、ウエハ周辺の第1ベース板40に突起部45が多く配置され、中央の第1ベース板40に少なく突起部45が配置されている。つまり、周辺の第1ベース板40は突起部45を8個有しているが、中央の第1ベース板40は突起部45を4個有している。図6は一変形例であり他の変形例もある。例えば、中央の第1ベース板40と周辺の第1ベース板40のみ突起部45を有し、周辺と中央との中間の第1ベース板40は、突起部45が無くてもよい。いずれの場合であっても、第1ウエハ及び第2ウエハの反り等を矯正して接合不良(封止不良)の防止し、封止材の厚さの不揃いとなることを避けるように、突起部45が配置されることが好ましい。
【0044】
(第2実施形態)
<第2水晶振動子110の全体構成>
第2実施形態の第2水晶振動子110は、第1水晶フレーム30と、第2ベース板41と第2リッド板11とから構成される。図7(a)は、第2水晶振動子110の分解斜視図であり、(b)は、第2水晶振動子110のB−B’断面図である。図8(a)は、第2水晶振動子110のC−C’断面図であり、(b)は、第1ウエハ41Wの平面図である。
【0045】
第2水晶振動子110と第1水晶振動子100とは、第1水晶振動子100の水晶振動片20に代わり第1水晶フレーム30が搭載されている点で異なっている。また,第2ベース板41に突起部46及び溝部413が形成され、第2リッド板11に突起部16及び溝部113が形成されている点で異なっている。第2実施形態では、第1水晶振動子100とその構成が同じ部分は第1水晶振動子100と同じ番号を付している。同じ構成についてはその説明を割愛する。
【0046】
第2ベース板41と第2リッド板11とは、水晶材料又はガラスからなる。また第1水晶フレーム30と第2ベース板41とは封止材LGで接合され、第1水晶フレーム30と第2リッド板11とは封止材LGで接合される。
【0047】
第1水晶フレーム30は水晶接合面M3と水晶接合面M4とを有している。第1水晶フレーム30は、水晶片301を囲む外枠300を有している。水晶片301と外枠300との間には、上下を貫通するL字型の間隙部308aと間隙部308bとが形成され、間隙部308aと間隙部308bとが形成されていない部分が水晶片301と外枠300との連結部309となっている。
【0048】
第1水晶フレーム30は、ATカットの水晶片301により構成され、その水晶片301の中央付近の両主面に、一対の励振電極304a,304bが対向して配置されている。また、励振電極304aにはATカットの水晶片301底面(−y’)の−x端側まで伸びた引出電極303a及び接続電極パッド305aが接続され、励振電極304bにはATカットの水晶片301底面(−y’)の+x端側にまで伸びた引出電極303b及び接続電極パッド305bが接続されている。そして、接続電極パッド305aは、接合面M3の−x軸方向の一端に形成され,接続電極パッド305bは接合面M3の+x軸方向の他端に形成されている。第1水晶フレーム30の接続電極パッド305a、305bは、第2ベース板41の接続電極408a、408bに接合される。
【0049】
また、励振電極304a、304bと導電された引出電極305a、305bが、外枠300の両面にそれぞれ形成されている。さらに、水晶キャスタレーション306a、306bが、第1水晶フレーム30の四隅に形成されている。また、引出電極305a、305bにそれぞれ接続された水晶側面電極307a、307bが、一対の水晶キャスタレーション306a、306bに形成されている。水晶キャスタレーション306a、306bは円形貫通孔をダイシングされた際に形成される。
【0050】
第2ベース板41は、+y’側の面にベース凹部47を有し、その周囲に形成された接合面M2を有している。ベース凹部47は、接合面M2の+y’側に接続電極418a、418bを備える。
【0051】
キャスタレーション416a、416bが、第2ベース板41の四隅に形成されている。キャスタレーション416a、416bは、円形貫通孔BH1(図8(b)を参照)をダイシングして形成される。側面電極417a、417bが、キャスタレーション416a、416bにそれぞれ形成される。また、側面電極417aと電気的に接続された接続電極418aが第2ベース板41の接合面M2の−x側に形成されている。同様に、側面電極417bと電気的に接続された接続電極418bが、第2ベース板41の接合面M2の+x側に形成されている。
【0052】
第2ベース板41の接合面M2には、ベース凹部47を枠状に囲むようにベース溝部413が形成され、ベース溝部413の外側に所定の高さの突起部46が形成されている。さらに、第2ベース板41は、実装面M1に側面電極417a、417bにそれぞれ電気的に接続された一対の実装端子415a、415bを有している。
【0053】
突起部46は、円柱状の突起部46a(図8を参照。)が半分にダイシングにされて形成され、半円形の柱に形状である。円柱状の突起部46aは、隣り合う第2ベース板41のスクライブラインSL(図8(b)を参照)上に配置されている。図7及び図8では、突起部46aの形状は円柱形であるが、多角形柱であってもよい。
【0054】
第2リッド板11は、−y’側の面にリッド板凹部17を有し、その周囲に形成された接合面M5を有している。接合面M5には、リッド凹部17に沿って枠状のリッド溝部113が形成され、その外側に所定の高さの突起部16が形成されている。突起部16は、隣り合う第2リッド板11の切断ラインに配置されているため、ダイシングによって半円形の柱に形状である。また、第2リッド板11の四隅には、キャスタレーション116a、116bが形成されている。
【0055】
図7(b)は、図7(a)のB−B’断面図であり、図8(a)は、第2水晶振動子110のC−C’断面図である。突起部16及び突起部46は、図8(a)に描かれている。第2リッド板11の接合面M5と第1水晶フレーム30の接合面M4とが封止材LGを介して互いに接合され、第1水晶フレーム30の接合面M3と第2ベース板41の接合面M2とが封止材LGを介して互いに接合される。
【0056】
封止材LGは、第2リッド板11、第1水晶フレーム30及び第2ベース板41が接合される前は、接合面に幅wd1、wd2(図8(b)を参照)で印刷されている。すなわち、封止材LGは、リッド溝部113及びベース溝部413に印刷されていない。第2リッド板11、第1水晶フレーム30及び第2ベース板41が接合される際に、押圧されて封止材LGが薄くなり且つ広がると、広がった封止材LGの一部がリッド溝部113又はベース溝部413に入り込む。
【0057】
<第2水晶振動子110の製造方法>
図9は、第2水晶振動子110の製造方法を示したフローチャートである。
【0058】
ステップS151及びS152は、図2のステップS101及びS102と実質的に同じである。第2水晶振動子110では、水晶ウエハから個々の水晶振動片を切り取らないため、図2のステップS103に相当するステップはない。その代わりに、ステップS151で形成される第1水晶フレーム30は、水晶接合面M3と水晶接合面M4とを有している。また第1水晶フレーム30の四隅に水晶ウエハ30Wを貫通するように円形貫通孔BH1が形成される。ここで、円形貫通孔BH1の4分の1がキャスタレーション306a又は306b(図7(a)を参照)になる。
【0059】
ステップS153及びS155は、図2のステップS104及びS105と実質的に同じである。但し、図7で示されたように、ステップS153で形成される第2ベース板41は、ベース溝部413及び突起部46を有している。ステップS155で形成される第2リッド板11は、リッド溝部113及び突起部16を有している。
【0060】
ステップS154では、封止材LGが、接合面M2に環状に塗布される。封止材LGは、スクライブラインSLからベース溝部413の手前までの幅wd1,wd2(図8(b)を参照)で塗布される。
ステップS156では、封止材LGが、接合面M5に枠状に塗布される。封止材LGは、スクライブラインSLからリッド溝部113の手前までの幅で塗布される。
【0061】
ステップS157では、水晶ウエハの水晶接合面M3と第1ウエハ41Wの接合面M2とが接合される。
ステップS158では、水晶ウエハの水晶接合面M4と第2ウエハ11Wの接合面M5とが接合される。ステップS157及びステップS158において、封止材LGが押圧されて、薄く広がる現象は、図5で示されたフローチャートと同じである。
【0062】
(第3実施形態)
<第3水晶振動子120の全体構成>
第3水晶振動子120の全体構成について、図10及び図11を参照しながら説明する。
図10は、第3水晶振動子120の第3リッド12側から見た分割した状態の斜視図であり、(b)は、第3水晶振動子120のD−D’断面図である。図11は、図10(b)の丸で囲ったEL部の拡大図である。
【0063】
第3水晶振動子120と第2水晶振動子110との違いは、第2水晶振動子110の第1水晶フレーム30に代わり、第3水晶振動子120は第2水晶フレーム31を装着している。また、第3リッド板12に突起部16及び溝部113がない代わりに、第2水晶フレーム31が溝部313及び突起部35を備えている。第2実施形態と同じ構成要件には同じ符号を付し説明を省略し相違点について説明する。
【0064】
図10に示されたように、第3水晶振動子120は、リッド凹部17を有する第3リッド板12と、ベース凹部47を有する第3ベース板42と、第3ベース板42に載置されるATカットの第2水晶フレーム31とを備える。第3ベース板42と第3リッド板12とは、水晶材料又はガラスからなる。
【0065】
第2水晶フレーム31は、ATカットされた矩形の水晶片311により構成され、その水晶片311と水晶片311を囲む外枠310とで構成されている。また、水晶片311と外枠310との間には、上下を貫通する間隙部318a、間隙部318b及び連結部319が形成される。
【0066】
第2水晶フレーム31は、水晶片311の周辺部よりもy’軸方向に厚い振動部(メサ領域)350と、振動部350の両主面に配置された矩形の一対の励振電極314a、314bとを備えたメサ型の水晶振動片である。また、励振電極314aには引出電極315aが接続され、励振電極314bには引出電極315bが接続されている。
【0067】
第2水晶フレーム31は、外枠310の接合面M4に外枠形状に沿ってフレーム溝部313を有し、フレーム溝部313の外側に突起部35を有している。第2水晶フレーム31の四隅には、円形貫通孔をダイシングした際のキャスタレーション316a、316bが形成されている。側面電極317a、317bが、キャスタレーション316a、316bにそれぞれ形成される。
【0068】
第3リッド板12は、−y’側の接合面M5にリッド凹部17を有し、第3リッド板12の四隅には、キャスタレーション126a、126bが形成されている。キャスタレーション126a、126bは円形貫通孔をダイシングされた際に形成される。
【0069】
第3ベース板42は、+y’側の面にベース凹部47を有し、その周囲に形成された接合面M2を有している。第3ベース板42の四隅には、キャスタレーション426a、426bが形成されている。側面電極427a、427bが、キャスタレーション426a、426bにそれぞれ形成される。
【0070】
第3ベース板42の接合面M2には、ベース凹部47を枠状に囲むようにベース溝部423及び突起部45が形成されている。また、第3ベース板42は、実装面M1に側面電極427a、427bにそれぞれ電気的に接続された一対の実装端子425a、425bを有している。
【0071】
第3水晶振動子120は、図9で示された第2水晶振動子110の製造方法と同様に3枚のウエハを重ねあわせて製造される。図9のステップS157において、第1ウエハと水晶ウエハが加熱下で、y’軸方向に押圧される。封止材LGは、押圧によって第2水晶フレーム31と第3ベース板42との接合面から押し出されるが、所定の高さの突起部45によって一定の高さで押し止まる。
【0072】
また第3実施形態では、ウエハ間の導通を確実にするために、図9のステップS158とステップS159との間に、以下の工程が加えられる。
【0073】
図10(b)に示されたように、第3リッド板12と第2水晶フレーム31と第3ベース板42とは、封止材LGで接合される。その後、実装端子425を除いた実装面M1及びリッドの天井面をマスクして、ウエハに対してスッパタリング又は真空蒸着する。すると、円形貫通孔BH1にスパッタリングによる側面接続電極421が形成され、ベース側面電極427と第2水晶フレーム31の側面電極317とが導通し、引出電極315と実装端子425とが電気的に接合される。
【0074】
<突起部の製造>
図11は、図10(b)の丸で囲ったEL部、つまり第2水晶フレーム31の一部の拡大図である。水晶片311はメサ型であるため、上面(+y’側)の、水晶片311の周辺部と振動部350とは、厚さh2の段差がある。厚さh2の段差は、ウェットエッチングによって形成される。外枠310にはフレーム溝部313と突起部35とがウェットエッチングによって形成される。突起部35の高さh1が厚さh2と同じであると、振動部350より低い水晶片311の周辺部を形成する際に、突起部35を同時に形成することができる。
【0075】
<第3水晶振動子120の製造方法>
第3水晶振動子120の製造方法は第2実施形態で説明された図7のフローチャートと実質的に同じである。第3水晶振動子120の製造方法の相違点を図7のフローチャートを用い追加説明する。
【0076】
ステップS151では、水晶ウエハに第2水晶フレーム31が形成される。第2水晶フレーム31は、励振電極314a、314bを備えたメサ型水晶振動片を備える。第2水晶フレーム31は、外枠310接合面M4にフレーム溝部313及び突起部35が形成される。
【0077】
ステップS155では、第2ウエハに溝部、突起部を有しない第3リッド板12が形成される。第3実施形態では、図9のステップS158とステップS159との間に、円形貫通孔BH1にスパッタリングによる側面接続電極421が形成される工程が加えられる。
【0078】
(第4実施形態)
<第4水晶振動子130の全体構成>
第4水晶振動子140の全体構成について、図12、図13を参照しながら説明する。
図12(a)は、第4水晶振動子130の分解斜視図であり、図12(b)は、第4水晶振動子130のE−E’断面図である。図13は、第4水晶振動子130の水晶ウエハ32Wの平面図である。
【0079】
第4水晶振動子130と第3水晶振動子120との違いは、第2水晶フレーム31に代えて、第4水晶振動子130は第3水晶フレーム32を第4ベース板43に搭載している点である。また、キャスタレーション及び突起部の位置、形状が異なる。第3実施形態と同じ構成要件には同じ符号を付し説明を省略し相違点について説明する。
【0080】
図12に示されたように、第4水晶振動子130はリッド凹部17を有する第4リッド板13と、ベース凹部47を有する第4ベース板43と、第4ベース板43に載置される第3水晶フレーム32とを備える。
【0081】
第3水晶フレーム32は、水晶接合面M3と水晶接合面M4とを有している。第3水晶フレーム32は水晶振動部321を囲む外枠320を有している。水晶振動部321と外枠320との間には、上下を貫通するL字型の間隙部328が形成され、間隙部308が形成されていない部分が水晶振動部321と外枠320との連結部324となっている。
【0082】
励振電極322a、322bは、水晶振動部321の中央付近の両主面に対向して配置されている。励振電極322aは水晶振動部321の表面(+y’側)の−x側まで伸びた引出電極323aが接続され、励振電極322bは水晶振動部321の底面(−y’側)の+x側まで伸びた引出電極323bが接続されている。
【0083】
第3水晶フレーム32は、外枠320の水晶接合面M4に外枠形状に沿ってフレーム溝部333が形成され、フレーム溝部333の外側に突起部35,36が形成されている。
突起部36は、突起部36aから形成され、隣り合う第3水晶フレーム32のスクライブラインSL(図13を参照)上にあり、ダイシングによって半円形に形成されている。
【0084】
第3水晶フレーム32は、x軸方向の両側にz’軸方向に伸びたキャスタレーション326a、326bが形成されている。キャスタレーション326a、326bは、角丸長方形の貫通孔BH2(図13を参照) をダイシングした際に形成される。側面電極327a、327bが、キャスタレーション326a、326bにそれぞれ形成される。
【0085】
第4ベース板43は、表面(+y’側の面)にベース凹部47の周囲に形成された接合面M2を有している。第4ベース板43は、x軸方向の両側にz’軸方向に伸びたキャスタレーション436a、436bが形成されている。側面電極437a、437bがキャスタレーション436a、436bにそれぞれ形成されている。
【0086】
第4ベース板43は、ベース凹部47を枠状に囲むように接合面M2にベース溝部433及び突起部45,46が形成されている。さらに、第4ベース板43は、実装面M1に側面電極437a、437bとそれぞれ電気的に接続された一対の実装端子435、435a、435bを有している。
【0087】
第4リッド板13は、−y’側の接合面M5にリッド凹部17を有し、第4リッド板13には、x軸方向の両側にz’軸方向に伸びたキャスタレーション136a、136bが形成されている。キャスタレーション136a、136bは角丸長方形の貫通孔を2分の1にダイシングされた際に形成される。
【0088】
第4リッド板13と第3水晶フレーム32と第4ベース板43とは、封止材LGで接合される。その後、実装端子435を除いた実装面M1及びリッドの天井面をマスクしてウエハに対してスッパタリング又は真空蒸着する。すると、角丸長方形の貫通孔にスパッタリングによる側面接続電極431が形成され、ベース側面電極437と第3水晶フレーム32の側面電極327とが導通し、引出電極323と実装端子435とが電気的に接合される。
【0089】
<第4水晶振動子130の製造方法>
第4水晶振動子130の製造方法は第2実施形態で説明された図7のフローチャートと実質的に同じである。第4水晶振動子130の製造方法の相違点を図7のフローチャートを用い追加説明する。
【0090】
ステップS151では、水晶ウエハに第3水晶フレーム32が形成される。第3水晶フレーム32は、励振電極322a、322bを備える。第3水晶フレーム32は、外枠320にフレーム溝部333及び突起部35,36が形成される。第3水晶フレーム32は、キャスタレーション326a、326b及び側面電極327a、327bが形成される。
【0091】
ステップS153では、第1ウエハに第4ベース板43が形成される。第4ベース板43は、ベース凹部47を備え接合面M2にベース溝部433及び突起部45,46が形成される。第4ベース板43は、キャスタレーション436a、436b及び側面電極437a、437bが形成される。
【0092】
ステップS155では、第2ウエハに第4リッド板13が形成される。第4リッド板13は、キャスタレーション136a、136bを備える。第4実施形態では、図9のステップS158とステップS159との間に、角丸長方形の貫通孔にスパッタリングによる側面接続電極431が形成される工程が加えられる。その他の工程は第2実施形態で説明された図7のフローチャートと実質的に同じである。
【産業上の利用可能性】
【0093】
以上、本発明の最適な実施形態について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において実施形態に様々な変更・変形を加えて実施することができる。
【0094】
第1実施形態から第4実施形態において、リッド板部と水晶フレームとベース板部とは非導電性接着剤である低融点ガラスLGにより接合されているが、低融点ガラスLGの代わりにポリイミド樹脂を用いられてもよい。また、第1実施形態から第4実施形態においてさらに水晶振動片は水晶材料のみならず、タンタル酸リチウムやニオブ酸リチウムあるいは圧電セラミックを含む圧電材料に基本的に適用できる。また圧電振動片を発振させるIC等の発振回路を有する圧電発振器であってもよい。さらに、本発明は、発振回路を有するICを備えた発振器にも適用できる。
【符号の説明】
【0095】
10,11,12,13 … リッド
15、16 … 突起部、 35,36 … 突起部
17,47 … 凹部
20 … 水晶振動片
30,31,32 … 水晶フレーム
40,41,42,43 … ベース板
45,46 … 突起部
60 … 導電性接着剤
100、110、120,130 … 水晶振動子
113 … リッド溝部
106a,106、b116a,116b … キャスタレーション
126a,126b,136a,136b … キャスタレーション
306a,306b,316a,316b … キャスタレーション
326a,326b,406a,406b … キャスタレーション
416a,416b,426a,426b … キャスタレーション
436a,436b … キャスタレーション
201,301,311 … 水晶片
202a、202b,304a,304b … 励振電極
203a、203b,303a,303b … 引出電極
300,310,320 … 枠部
305a,305b,325a,325b … 接続電極パッド
307a,307b,317a,317b … 側面電極
327a,327b,407a,407b … 側面電極
417a,417b,427a,427b … 側面電極
437a,437b … 側面電極
308a,308b,318a,318b、328 … 間隙部
309,319,324 … 連結部
313、333 … フレーム溝部
314a,314b,322a,322b … 励振電極
315a,315b,323a,323b … 引出電極
321、350 … 水晶振動部
403、413,423 … ベース溝部
405,405a,405b,415,415a,415b … 実装端子
425、425a、425b,435a,435b … 実装端子
408a,408b … 接続電極、
418a,418b,428a,428b … 接続電極
421,431 … 側面接続電極
BH1 … 円形貫通孔,BH2 … 角丸長方形の貫通孔
CT … キャビティ
LG … 封止材
SL … スクライブライン
M1 … 実装面、 M2,M3,M4,M5 … 接合面
10W、11W … 第2ウエハ、 40W,41W,42W … 第1ウエハ、
30W,31W,32W、 … 水晶ウエハ
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面実装型の水晶振動子に関する。特に、封止材の厚さを一定に保ち、リッド板とベース板との密着強度を高めた水晶振動子に関する。
【背景技術】
【0002】
表面実装用の水晶振動子は、水晶振動片がガラス、セラミック等の絶縁性ベース板に収納される。その絶縁性ベース板はリッド板が封止材を介して封止される。例えば特許文献1に開示された水晶振動子は、メタライズ層のシールリングを備えたセラミックパッケージのシールリング上に金属性の蓋部材をロウ付け接合して、気密密封している。メタライズ層は、十分な量のロウ材を保持して接合強度を高めるため、凹み溝が形成されている。
【0003】
特許文献2に開示された水晶振動子は、圧電振動片の周囲に枠体が形成されている。そして、ベース板と枠体との間に低融点ガラス又はコロイダルシリカなどの封止材を厚く形成し、また、リッド板と枠体との間にも低融点ガラス等の封止材を厚く形成することを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−148436号公報
【特許文献2】特開2004−222053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、水晶振動子の小型化に伴いベース板の接合面の幅が狭くなると封止材の幅も狭くなっている。このため、水晶振動子の外側からキャビティ内へ気体又は水蒸気がリークもしくはキャビティ内から水晶振動子の外へ気体がリークしやすくなるとともに、接合強度が弱くなる。また、強い外部衝撃が加わったときに、接合面の一部で封止材が剥離する問題もあった。その一方で、封止材の量を増やしベース板とリッド板とが重ね合わされて加熱され押圧される場合に、余分な封止材がキャビティ内に流入する問題もあった。
【0006】
また、水晶振動子をウエハ単位で製造する方法では、ベースウエハ及びリッドウエハの平面外形が大きくなるため板面に歪みを生じ、板面の反り(湾曲)等によって両者間にギャップを生じる。このことから、リッドウエハ上から押圧し、ベースウエハ及びリッドウエハの反り等を矯正して接合不良(封止不良)を防止するが、封止材の厚さが不揃いとなり、ウエハ面内で接合強度にバラツキがでる問題もあった。
【0007】
そこで、本発明は、封止材の厚さを一定に保ち、接合強度のバラツキを抑えるとともに、接合強度を高める水晶振動子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の観点の圧電デバイスは、第1面とその第1面の反対側の第2面とを有する第1板と、第3面とその第3面の反対側の第4面とを有する第2板とを備える。さらに、第1板の第2面と第2板の第3面との間に環状に配置され、第1板と第2板とを接合する環状の接合材と、第2面又は第3面の少なくとも一方に形成された所定高さの突起部と、第2面又は第3面の少なくとも一方に、突起部の内側に環状に形成される溝部と、を備える。接合材は、突起部の周辺に配置されるとともに、溝部の内側を超えない範囲で配置される。
【0009】
第2の観点の圧電デバイスにおいて、突起部は側面と天井面とを有し、側面の少なくとも一部は接合材と接しており天井面は接合材を介さないで第3面又は第2面と直接接している。
第3の観点の圧電デバイス突起部の側面の一部は、第1板又は第2板の側面と同一平面になる。
第4の観点の圧電デバイスにおいて、第1板は第1面に外部電極を有するベース板であり、第2板は励振電極が形成された励振部とこの励振部を取り囲む枠部とを有する圧電振動片であり、ベース板と枠部とが接合材で接合される。
【0010】
第5の観点の圧電デバイスにおいて、励振部は励振電極が形成されたメサ領域と該メサ領域の周辺でメサ領域よりも厚さが薄い周辺領域とを有し、突起部の所定の高さはメサ領域と周辺領域との差に等しい。
第6の観点の圧電デバイスにおいて、第1板は第1面に外部電極を有するベース板であり、第2板は励振電極が形成された励振部を覆うリッド板であり、ベース板とリッド板とが接合材で接合される。
第7の観点の圧電デバイスは、第1面と第2面とを結ぶ側面に形成されたキャスタレーションと、キャスタレーションに形成された側面電極と、を備える。そして、その圧電デバイスは、外部電極と側面電極とが電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の水晶振動子によれば、封止材の厚さが一定に保たれ、封止材のキャビティ内への流入を抑制して、さらにリッド板とベース板との接合強度を高める。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)は、第1実施形態の第1水晶振動子100の分解斜視図である。 (b)は、第1水晶振動子100のA−A’断面図である。
【図2】第1実施形態の第1水晶振動子100の製造を示したフローチャートである。
【図3】第1ウエハ40Wの平面図である。
【図4】第2ウエハ10Wの平面図である。
【図5】第2ウエハ10Wと、水晶振動片20と、第1ウエハ40Wとを接合するステップS106を示した詳細説明図である。
【図6】第1ウエハ40Wとは突起部45の配置が異なる第1ウエハ40AWの平面図である。
【図7】(a)は、第2実施形態の第2水晶振動子110の分解斜視図である。 (b)は、第2水晶振動子110のB−B’断面図である。
【図8】(a)は、第2水晶振動子110のC−C’断面図である。 (b)は、第1ウエハ41Wの平面図である。
【図9】第2実施形態の第2水晶振動子110の製造を示したフローチャートである。
【図10】(a)は、第3実施形態の第3水晶振動子120の分解斜視図である。 (b)は、第3水晶振動子120のD−D’断面図である。
【図11】図10(b)の丸で囲ったEL部の拡大図である。
【図12】(a)は、第4実施形態の第4水晶振動子130の分解斜視図である。 (b)は、第4水晶振動子130のE−E’断面図である。
【図13】水晶ウエハ32Wの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
<第1水晶振動子100の全体構成>
第1水晶振動子の全体構成について図1〜図5を使って説明する。
第1水晶振動子100は、図1に示されたように、リッド板凹部17を有する第1リッド板10と、ベース板凹部47を有する第1ベース板40と、第1ベース板40に載置される水晶振動片20とを備える。なお、封止材LGの形状を説明するために、封止材LGはシートとして描かれている。第1水晶振動子100は、第1リッド板10と、第1ベース板40とは互いに接合されてパッケージ80(図1(b)参照)が形成される。パッケージ80内にはキャビティCT(図1(b)参照)が形成され、キャビティCTには水晶振動片20が載置される。
【0014】
本明細書では、水晶振動片としてATカットの水晶振動片20が使われている。ATカットの水晶振動片は、主面(YZ面)が結晶軸(XYZ)のY軸に対して、X軸を中心としてZ軸からY軸方向に35度15分傾斜されている。このため、第1実施形態ではATカットの水晶振動片の軸方向を基準とし、傾斜された新たな軸をy’軸及びz’軸として用いる。すなわち、第1実施形態において第1水晶振動子100の長手方向をx軸方向、第1水晶振動子100の高さ方向をy’軸方向、x及びy’軸方向に垂直な方向をz’として説明する。以下、第2実施形態〜第4実施形態において同様である。
【0015】
水晶振動片20は、ATカットされた水晶片201により構成され、一対の励振電極202a、202bが、その水晶片201の中央付近の両主面に対向して配置される。また、励振電極202aには水晶片201の底面(−y’側)の−x側まで伸びた引出電極203aが接続され、励振電極202bには水晶片201の底面(−y’側)の−x側まで伸びた引出電極203bが接続される。また、励振電極及び引出電極は例えば下地としてのクロム層が用いられ、クロム層の上面に金層が用いられる。
【0016】
第1ベース板40は、水晶又はホウ酸塩ガラス等からなる。第1ベース板40は、+y’側の面にベース板凹部47を有し、その周囲に形成された接合面M2を有している。ベース板凹部47は、底面の−x側に接続電極408a、408bを備える。
【0017】
40の四隅には、円形貫通孔BH1(図3を参照)をダイシングした際のキャスタレーション406a、406bが形成されている。側面電極407a、407bが、ベース板キャスタレーション406a、406bにそれぞれ形成される。また、側面電極407aと電気的に接続された接続電極408aが、第1ベース板40の接合面M2の−x側に形成されている。同様に、側面電極407bと電気的に接続された接続電極408bが、第1ベース板40の接合面M2の−x側に形成されている。
【0018】
第1ベース板40の接合面M2には、ベース溝部403がベース板凹部47を枠状に囲むように形成されている。また、接合面M2には、ベース溝部403の外側に所定の高さの突起部45が複数個形成されている。突起部45の形状は、円柱又は多角形の柱である。さらに、第1ベース板40は、実装面M1に側面電極407a、407bにそれぞれ電気的に接続された一対の実装端子405a、405b(図1(b)を参照)を有している。
【0019】
第1リッド板10は、水晶又はホウ酸塩ガラス等からなる。第1リッド板10は、−y’側の面にリッド板凹部17を有し、その周囲に形成された接合面M5を有している。第1リッド板10の四隅には、円形貫通孔BH1(図4を参照)をダイシングした際のキャスタレーション106a、106bが形成されている。
【0020】
リッド板凹部17とベース板凹部47とは、水晶振動片20を収納するキャビティCTを形成する。水晶振動片20は、第1ベース板40の接続電極408a、408bに載置され導電性接着剤60を介して実装端子405a、405bに電気的に接続される。キャビティCTは、不活性ガスで満たされたり又は真空状態に密封されたりする。
【0021】
低融点ガラスの封止材LGが、第1ベース板40の接合面M2と第1リッド板10の接合面M5との間に配置される。この封止材LGは、第1ベース板40と第1リッド板10とを接合する。
【0022】
低融点ガラスの封止材LGは、350℃〜400℃で溶融する鉛フリーのバナジウム系ガラスを含む。バナジウム系ガラスはバインダーと溶剤とが加えられペースト状であり、溶融された後固化されることで他の部材と接着する。バナジウム系ガラスの融点は水晶材又はガラスなどで形成された第1リッド板10及び第1ベース板40の融点より低く、また、このバナジウム系ガラスは接着時の気密性と耐水性・耐湿性などの信頼性が高い。
【0023】
低融点ガラスの封止材LGは、第1ベース板40のベース溝部403の外壁から第1ベース板40の外形までの幅wdL,wds(図1を参照)に対応して、幅wd1,wd2でリッド板10の接合面M5にスクリーン印刷される。封止材LGは、突起部45の所定の高さ、例えば30μm、より厚く印刷される。封止材LGは、開口部5(図1、図4を参照)を有する。開口部5は、第1ベース板40の突起部45に対応する位置に設けられている。開口部5の大きさは、突起部45の直径より多少大きく形成される。
【0024】
図1(b)は、図1(a)のA−A’断面図である。第1リッド板10の接合面M5と第1ベース板40の接合面M2とが、封止材LGを介して互いに接合されている。加熱して軟化した封止材LGは、押圧によって第1リッド板10と第1ベース板40との接合面から押し出される。第1リッド板10と第1ベース板40とが大きな力で押圧されても、所定の高さの突起部45によって、所定高さ以上に封止材LGが押し潰されることはない。
【0025】
開口部5が形成されて封止材LGが接合面M5にスクリーン印刷されている。そのため第1リッド板10と第1ベース板40とを重ねあわせても、突起部45の天井面は封止材LGが配置されない。つまり第1リッド板10の接合面M5と突起部45の天井面とは直接接している。また突起部45の側面は、第1リッド板10と第1ベース板40とが押圧されることにより、封止材LG覆われている。突起部45は、封止材LGの均一な高さを確保すると共に、封止材LGの接触面積が多くなり第1リッド板10と第1ベース板40との接合強度を高めている。
【0026】
第1リッド板10と第1ベース板40とが接合される前は、封止材LGは幅wd1、wd2であり、封止材LGは、Y’軸方向に、ベース溝部403と重なり合っていない。第1リッド板10と第1ベース板40とが押圧された際、封止材LGは、キャビティ側(内側)にも広がる。しかし、図1(b)に示されるように、キャビティ側に広がった封止材LGは、ベース溝部403にも入り込む。
【0027】
パッケージ80は、第1リッド板10と第1ベース板40とが接合されることにより形成されキャビティCTを形成する。第1水晶振動片20がキャビティCTに載置されている。第1水晶振動片20の引出電極203a,203bは、導電性接着剤60を介して接続電極408a,408bと電気的に接続されている。また、接続電極408a,408bは第1ベース板40のベース溝部403を通り、実装端子405a、405bと電気的に接続されている。つまり、水晶振動片20の励振電極202a,202bと実装端子405a、405bとは電気的に接続されており、2つの実装端子405a、405bの間に電圧が印加されると、水晶振動片20は振動する。
【0028】
<第1水晶振動子100の製造方法>
図2は、第1水晶振動子100の製造方法が示されたフローチャートである。
ステップS101では、水晶ウエハにフォトリソグラフィ技術を用い複数の水晶振動片20の外形が形成される。
ステップS102では、水晶ウエハに形成されている各水晶振動片20に、励振電極202a,202bと引出電極203a,203bとが形成される。
ステップS103では、水晶ウエハから個々の水晶振動片20が切り離される。
【0029】
ステップS104では、第1ウエハ(ベースウエハ)40Wが用意される。第1ウエハ40Wには、複数の第1ベース板40が形成されている。第1ウエハ40Wは、例えば水晶又はホウ酸塩ガラス等である。図3を参照して第1ウエハ40Wについて説明する。
【0030】
図3は、第1ウエハ40Wの平面図である。第1ウエハ40Wには複数の第1ベース板40が形成されている。第1ベース板40の四隅には、円形貫通孔BH1が形成されている。各第1ベース板40の+y’軸側の面には凹部47が形成されている。また、凹部47には接続電極408a,408bが形成されている。凹部47の周囲の接合面M2には、凹部47を囲むようにベース溝部403が形成され、ベース溝部403の外側に所定の高さの突起部45が形成されている。
【0031】
また、図3には示されていないが、第1ウエハ40Wの−y’軸側の面には実装端子405が形成されている(図1(b)を参照)。図3では、隣接する第1ベース板40の境界線が二点鎖線で示されている。この二点鎖線は、後述される図2のステップ109でウエハが切断される線であるスクライブラインSLである。
【0032】
ステップS105では、第2ウエハ(リッドウエハ)10Wが用意される。第2ウエハ10Wには、複数の第1リッド板10が形成されている。第2ウエハ10Wは、例えば水晶又はホウ酸塩ガラス等である。図4を参照して第2ウエハ10Wについて説明する。
【0033】
図4は、第2ウエハ10Wを−y’軸側から+y’軸方向に見た、平面図である。第2ウエハ10Wには複数の第1リッド板10が形成されている。第1リッド板10の四隅には、円形貫通孔BH1が形成されている。図4では、隣接する第1リッド板10の境界線が二点鎖線で示されている。この二点鎖線は、後述される図2のステップ109でウエハが切断される線であるスクライブラインSLである。各第1リッド板10の−y’軸側の面には凹部17が形成されており、凹部17の周りには接合面M5が形成されている。
【0034】
ステップS106では、封止材LGが接合面M5に塗布される。しかし、凹部17を除く接合面M5の全面に封止材LGが塗布されるわけではない。図4に示されるように、z’軸方向には、凹部17から所定距離離れた位置からスクライブラインSLまで、幅wd1で封止材LGが塗布されている。x軸方向には、凹部17から所定距離離れた位置からスクライブラインSLまで、幅wd2で封止材LGが塗布されている。
【0035】
幅wd1及び幅wd2で封止材LGがスクリーン印刷されるため、第1ウエハ40Wと第2ウエハW10とを重ね合わせた際に、封止材LGが、ベース溝部403に重ならない。なお、幅wd1と幅wd2とは同じ幅であってもよい。また、封止材LGの開口部5は、第1ベース板40の突起部45に対応する位置に設けられている。開口部5の大きさは、突起部45の直径より多少大きく形成され、突起部45の天井と重ならないように形成されている。
【0036】
ステップS107では、第1水晶振動片20が第1ウエハ40Wに載置される。
ステップS108では、第2ウエハW10と第1ウエハ40Wとが接合される。ステップS106〜ステップS108の詳細は、図5を参照して後述する。
【0037】
ステップS109では、第1ウエハ40W及び第2ウエハ10WがスクライブラインSLに沿って切断される。この切断により、第1水晶振動子100が個々に分割される。
【0038】
図5は、第2ウエハ10Wと第1ウエハ40Wとが接合される工程(図2のステップS106からS108まで)を説明するためのフローチャートである。また、図5の各ステップの右横に、各ステップを説明するための図5(a)〜図5(d)が示されている。これら図5(a)から図5(d)は、図3のF−F断面の概略断面図が示されている。図5(a)から図5(d)には、隣り合う第1ベース板40の境界線が二点鎖線で示されており、この二点鎖線はスクライブラインSLを示している。
【0039】
ステップS106では、図5(a)に示されるように、第2ウエハ10Wの接合面M5に封止材LGが形成される。第2ウエハ10Wに形成された封止材LGは、スクライブラインSLから幅wd1である。この幅wd1は、第1ベース板40の接合面M2に形成されたベース溝部403とは重なり合わない。つまり、幅wd1は、一番幅が広くても、スクライブラインSLから接合面M2のベース溝部403の直前までの幅になる。封止材LGは、開口部5を有する。開口部5は、第1ベース板40の突起部45に対応する位置に設けられている。開口部5の大きさは、突起部45の直径より大きく突起部45に重ならないように形成されている。
【0040】
ステップS107において、第1ウエハ40Wに水晶振動片20が載置される。図5(b)に示されるように、個々の水晶振動片20が、第1ウエハ40Wに形成された複数の第1ベース板40の凹部47にそれぞれ載置される。その際に、水晶振動片20の引出電極203が、導電性接着剤60を介して接続電極408に接続される。
【0041】
ステップS181(S108)では、封止材LGが形成された第2ウエハ10Wが、第1ウエハ40Wに位置決めされる。図5(c)には、第2ウエハ10Wと第1ウエハ40Wとが接合される前の状態が示されている。第2ウエハ10Wと第1ウエハ40Wとは互いのスクライブラインSLがy’軸方向に重なる。つまり、接合面M2と接合面M5とが重なるように位置決めされる。
【0042】
ステップS182(S108)では、第2ウエハ10Wと第1ウエハ40Wとが加熱下で、y’軸方向に押圧される。図5(d)は、第2ウエハ10Wと第1ウエハ40Wとが接合した状態を示している。封止材LGは、第2ウエハ10Wと第1ウエハ40Wとに挟まれて+z’軸方向及び−z’軸方向に広がる。その一方で封止材LGは、突起部45の所定の高さ以上に押圧されない。キャビティCT側に広がった封止材LGは、ベース溝部403に入り、キャビティCT内まで封止材LGが流れ出ることがない。突起部45の側面は、封止材LGに包み込まれる。突起部45の側面は、封止材LGが第1ベース板40の接合面M2で接する面積を広げ、第1リッド板10と第1ベース板40との接合強度を高める。
【0043】
図6は、第1ウエハ40AWの平面図である。第1ウエハ40AWは、図3の第1ウエハ40Wと突起部45の配置が異なっている。図3の第1ウエハ40Wでは、第1ベース板40に配置される突起部45の数は一定である。図6に示された第1ウエハ40AWは、ウエハ周辺の第1ベース板40に突起部45が多く配置され、中央の第1ベース板40に少なく突起部45が配置されている。つまり、周辺の第1ベース板40は突起部45を8個有しているが、中央の第1ベース板40は突起部45を4個有している。図6は一変形例であり他の変形例もある。例えば、中央の第1ベース板40と周辺の第1ベース板40のみ突起部45を有し、周辺と中央との中間の第1ベース板40は、突起部45が無くてもよい。いずれの場合であっても、第1ウエハ及び第2ウエハの反り等を矯正して接合不良(封止不良)の防止し、封止材の厚さの不揃いとなることを避けるように、突起部45が配置されることが好ましい。
【0044】
(第2実施形態)
<第2水晶振動子110の全体構成>
第2実施形態の第2水晶振動子110は、第1水晶フレーム30と、第2ベース板41と第2リッド板11とから構成される。図7(a)は、第2水晶振動子110の分解斜視図であり、(b)は、第2水晶振動子110のB−B’断面図である。図8(a)は、第2水晶振動子110のC−C’断面図であり、(b)は、第1ウエハ41Wの平面図である。
【0045】
第2水晶振動子110と第1水晶振動子100とは、第1水晶振動子100の水晶振動片20に代わり第1水晶フレーム30が搭載されている点で異なっている。また,第2ベース板41に突起部46及び溝部413が形成され、第2リッド板11に突起部16及び溝部113が形成されている点で異なっている。第2実施形態では、第1水晶振動子100とその構成が同じ部分は第1水晶振動子100と同じ番号を付している。同じ構成についてはその説明を割愛する。
【0046】
第2ベース板41と第2リッド板11とは、水晶材料又はガラスからなる。また第1水晶フレーム30と第2ベース板41とは封止材LGで接合され、第1水晶フレーム30と第2リッド板11とは封止材LGで接合される。
【0047】
第1水晶フレーム30は水晶接合面M3と水晶接合面M4とを有している。第1水晶フレーム30は、水晶片301を囲む外枠300を有している。水晶片301と外枠300との間には、上下を貫通するL字型の間隙部308aと間隙部308bとが形成され、間隙部308aと間隙部308bとが形成されていない部分が水晶片301と外枠300との連結部309となっている。
【0048】
第1水晶フレーム30は、ATカットの水晶片301により構成され、その水晶片301の中央付近の両主面に、一対の励振電極304a,304bが対向して配置されている。また、励振電極304aにはATカットの水晶片301底面(−y’)の−x端側まで伸びた引出電極303a及び接続電極パッド305aが接続され、励振電極304bにはATカットの水晶片301底面(−y’)の+x端側にまで伸びた引出電極303b及び接続電極パッド305bが接続されている。そして、接続電極パッド305aは、接合面M3の−x軸方向の一端に形成され,接続電極パッド305bは接合面M3の+x軸方向の他端に形成されている。第1水晶フレーム30の接続電極パッド305a、305bは、第2ベース板41の接続電極408a、408bに接合される。
【0049】
また、励振電極304a、304bと導電された引出電極305a、305bが、外枠300の両面にそれぞれ形成されている。さらに、水晶キャスタレーション306a、306bが、第1水晶フレーム30の四隅に形成されている。また、引出電極305a、305bにそれぞれ接続された水晶側面電極307a、307bが、一対の水晶キャスタレーション306a、306bに形成されている。水晶キャスタレーション306a、306bは円形貫通孔をダイシングされた際に形成される。
【0050】
第2ベース板41は、+y’側の面にベース凹部47を有し、その周囲に形成された接合面M2を有している。ベース凹部47は、接合面M2の+y’側に接続電極418a、418bを備える。
【0051】
キャスタレーション416a、416bが、第2ベース板41の四隅に形成されている。キャスタレーション416a、416bは、円形貫通孔BH1(図8(b)を参照)をダイシングして形成される。側面電極417a、417bが、キャスタレーション416a、416bにそれぞれ形成される。また、側面電極417aと電気的に接続された接続電極418aが第2ベース板41の接合面M2の−x側に形成されている。同様に、側面電極417bと電気的に接続された接続電極418bが、第2ベース板41の接合面M2の+x側に形成されている。
【0052】
第2ベース板41の接合面M2には、ベース凹部47を枠状に囲むようにベース溝部413が形成され、ベース溝部413の外側に所定の高さの突起部46が形成されている。さらに、第2ベース板41は、実装面M1に側面電極417a、417bにそれぞれ電気的に接続された一対の実装端子415a、415bを有している。
【0053】
突起部46は、円柱状の突起部46a(図8を参照。)が半分にダイシングにされて形成され、半円形の柱に形状である。円柱状の突起部46aは、隣り合う第2ベース板41のスクライブラインSL(図8(b)を参照)上に配置されている。図7及び図8では、突起部46aの形状は円柱形であるが、多角形柱であってもよい。
【0054】
第2リッド板11は、−y’側の面にリッド板凹部17を有し、その周囲に形成された接合面M5を有している。接合面M5には、リッド凹部17に沿って枠状のリッド溝部113が形成され、その外側に所定の高さの突起部16が形成されている。突起部16は、隣り合う第2リッド板11の切断ラインに配置されているため、ダイシングによって半円形の柱に形状である。また、第2リッド板11の四隅には、キャスタレーション116a、116bが形成されている。
【0055】
図7(b)は、図7(a)のB−B’断面図であり、図8(a)は、第2水晶振動子110のC−C’断面図である。突起部16及び突起部46は、図8(a)に描かれている。第2リッド板11の接合面M5と第1水晶フレーム30の接合面M4とが封止材LGを介して互いに接合され、第1水晶フレーム30の接合面M3と第2ベース板41の接合面M2とが封止材LGを介して互いに接合される。
【0056】
封止材LGは、第2リッド板11、第1水晶フレーム30及び第2ベース板41が接合される前は、接合面に幅wd1、wd2(図8(b)を参照)で印刷されている。すなわち、封止材LGは、リッド溝部113及びベース溝部413に印刷されていない。第2リッド板11、第1水晶フレーム30及び第2ベース板41が接合される際に、押圧されて封止材LGが薄くなり且つ広がると、広がった封止材LGの一部がリッド溝部113又はベース溝部413に入り込む。
【0057】
<第2水晶振動子110の製造方法>
図9は、第2水晶振動子110の製造方法を示したフローチャートである。
【0058】
ステップS151及びS152は、図2のステップS101及びS102と実質的に同じである。第2水晶振動子110では、水晶ウエハから個々の水晶振動片を切り取らないため、図2のステップS103に相当するステップはない。その代わりに、ステップS151で形成される第1水晶フレーム30は、水晶接合面M3と水晶接合面M4とを有している。また第1水晶フレーム30の四隅に水晶ウエハ30Wを貫通するように円形貫通孔BH1が形成される。ここで、円形貫通孔BH1の4分の1がキャスタレーション306a又は306b(図7(a)を参照)になる。
【0059】
ステップS153及びS155は、図2のステップS104及びS105と実質的に同じである。但し、図7で示されたように、ステップS153で形成される第2ベース板41は、ベース溝部413及び突起部46を有している。ステップS155で形成される第2リッド板11は、リッド溝部113及び突起部16を有している。
【0060】
ステップS154では、封止材LGが、接合面M2に環状に塗布される。封止材LGは、スクライブラインSLからベース溝部413の手前までの幅wd1,wd2(図8(b)を参照)で塗布される。
ステップS156では、封止材LGが、接合面M5に枠状に塗布される。封止材LGは、スクライブラインSLからリッド溝部113の手前までの幅で塗布される。
【0061】
ステップS157では、水晶ウエハの水晶接合面M3と第1ウエハ41Wの接合面M2とが接合される。
ステップS158では、水晶ウエハの水晶接合面M4と第2ウエハ11Wの接合面M5とが接合される。ステップS157及びステップS158において、封止材LGが押圧されて、薄く広がる現象は、図5で示されたフローチャートと同じである。
【0062】
(第3実施形態)
<第3水晶振動子120の全体構成>
第3水晶振動子120の全体構成について、図10及び図11を参照しながら説明する。
図10は、第3水晶振動子120の第3リッド12側から見た分割した状態の斜視図であり、(b)は、第3水晶振動子120のD−D’断面図である。図11は、図10(b)の丸で囲ったEL部の拡大図である。
【0063】
第3水晶振動子120と第2水晶振動子110との違いは、第2水晶振動子110の第1水晶フレーム30に代わり、第3水晶振動子120は第2水晶フレーム31を装着している。また、第3リッド板12に突起部16及び溝部113がない代わりに、第2水晶フレーム31が溝部313及び突起部35を備えている。第2実施形態と同じ構成要件には同じ符号を付し説明を省略し相違点について説明する。
【0064】
図10に示されたように、第3水晶振動子120は、リッド凹部17を有する第3リッド板12と、ベース凹部47を有する第3ベース板42と、第3ベース板42に載置されるATカットの第2水晶フレーム31とを備える。第3ベース板42と第3リッド板12とは、水晶材料又はガラスからなる。
【0065】
第2水晶フレーム31は、ATカットされた矩形の水晶片311により構成され、その水晶片311と水晶片311を囲む外枠310とで構成されている。また、水晶片311と外枠310との間には、上下を貫通する間隙部318a、間隙部318b及び連結部319が形成される。
【0066】
第2水晶フレーム31は、水晶片311の周辺部よりもy’軸方向に厚い振動部(メサ領域)350と、振動部350の両主面に配置された矩形の一対の励振電極314a、314bとを備えたメサ型の水晶振動片である。また、励振電極314aには引出電極315aが接続され、励振電極314bには引出電極315bが接続されている。
【0067】
第2水晶フレーム31は、外枠310の接合面M4に外枠形状に沿ってフレーム溝部313を有し、フレーム溝部313の外側に突起部35を有している。第2水晶フレーム31の四隅には、円形貫通孔をダイシングした際のキャスタレーション316a、316bが形成されている。側面電極317a、317bが、キャスタレーション316a、316bにそれぞれ形成される。
【0068】
第3リッド板12は、−y’側の接合面M5にリッド凹部17を有し、第3リッド板12の四隅には、キャスタレーション126a、126bが形成されている。キャスタレーション126a、126bは円形貫通孔をダイシングされた際に形成される。
【0069】
第3ベース板42は、+y’側の面にベース凹部47を有し、その周囲に形成された接合面M2を有している。第3ベース板42の四隅には、キャスタレーション426a、426bが形成されている。側面電極427a、427bが、キャスタレーション426a、426bにそれぞれ形成される。
【0070】
第3ベース板42の接合面M2には、ベース凹部47を枠状に囲むようにベース溝部423及び突起部45が形成されている。また、第3ベース板42は、実装面M1に側面電極427a、427bにそれぞれ電気的に接続された一対の実装端子425a、425bを有している。
【0071】
第3水晶振動子120は、図9で示された第2水晶振動子110の製造方法と同様に3枚のウエハを重ねあわせて製造される。図9のステップS157において、第1ウエハと水晶ウエハが加熱下で、y’軸方向に押圧される。封止材LGは、押圧によって第2水晶フレーム31と第3ベース板42との接合面から押し出されるが、所定の高さの突起部45によって一定の高さで押し止まる。
【0072】
また第3実施形態では、ウエハ間の導通を確実にするために、図9のステップS158とステップS159との間に、以下の工程が加えられる。
【0073】
図10(b)に示されたように、第3リッド板12と第2水晶フレーム31と第3ベース板42とは、封止材LGで接合される。その後、実装端子425を除いた実装面M1及びリッドの天井面をマスクして、ウエハに対してスッパタリング又は真空蒸着する。すると、円形貫通孔BH1にスパッタリングによる側面接続電極421が形成され、ベース側面電極427と第2水晶フレーム31の側面電極317とが導通し、引出電極315と実装端子425とが電気的に接合される。
【0074】
<突起部の製造>
図11は、図10(b)の丸で囲ったEL部、つまり第2水晶フレーム31の一部の拡大図である。水晶片311はメサ型であるため、上面(+y’側)の、水晶片311の周辺部と振動部350とは、厚さh2の段差がある。厚さh2の段差は、ウェットエッチングによって形成される。外枠310にはフレーム溝部313と突起部35とがウェットエッチングによって形成される。突起部35の高さh1が厚さh2と同じであると、振動部350より低い水晶片311の周辺部を形成する際に、突起部35を同時に形成することができる。
【0075】
<第3水晶振動子120の製造方法>
第3水晶振動子120の製造方法は第2実施形態で説明された図7のフローチャートと実質的に同じである。第3水晶振動子120の製造方法の相違点を図7のフローチャートを用い追加説明する。
【0076】
ステップS151では、水晶ウエハに第2水晶フレーム31が形成される。第2水晶フレーム31は、励振電極314a、314bを備えたメサ型水晶振動片を備える。第2水晶フレーム31は、外枠310接合面M4にフレーム溝部313及び突起部35が形成される。
【0077】
ステップS155では、第2ウエハに溝部、突起部を有しない第3リッド板12が形成される。第3実施形態では、図9のステップS158とステップS159との間に、円形貫通孔BH1にスパッタリングによる側面接続電極421が形成される工程が加えられる。
【0078】
(第4実施形態)
<第4水晶振動子130の全体構成>
第4水晶振動子140の全体構成について、図12、図13を参照しながら説明する。
図12(a)は、第4水晶振動子130の分解斜視図であり、図12(b)は、第4水晶振動子130のE−E’断面図である。図13は、第4水晶振動子130の水晶ウエハ32Wの平面図である。
【0079】
第4水晶振動子130と第3水晶振動子120との違いは、第2水晶フレーム31に代えて、第4水晶振動子130は第3水晶フレーム32を第4ベース板43に搭載している点である。また、キャスタレーション及び突起部の位置、形状が異なる。第3実施形態と同じ構成要件には同じ符号を付し説明を省略し相違点について説明する。
【0080】
図12に示されたように、第4水晶振動子130はリッド凹部17を有する第4リッド板13と、ベース凹部47を有する第4ベース板43と、第4ベース板43に載置される第3水晶フレーム32とを備える。
【0081】
第3水晶フレーム32は、水晶接合面M3と水晶接合面M4とを有している。第3水晶フレーム32は水晶振動部321を囲む外枠320を有している。水晶振動部321と外枠320との間には、上下を貫通するL字型の間隙部328が形成され、間隙部308が形成されていない部分が水晶振動部321と外枠320との連結部324となっている。
【0082】
励振電極322a、322bは、水晶振動部321の中央付近の両主面に対向して配置されている。励振電極322aは水晶振動部321の表面(+y’側)の−x側まで伸びた引出電極323aが接続され、励振電極322bは水晶振動部321の底面(−y’側)の+x側まで伸びた引出電極323bが接続されている。
【0083】
第3水晶フレーム32は、外枠320の水晶接合面M4に外枠形状に沿ってフレーム溝部333が形成され、フレーム溝部333の外側に突起部35,36が形成されている。
突起部36は、突起部36aから形成され、隣り合う第3水晶フレーム32のスクライブラインSL(図13を参照)上にあり、ダイシングによって半円形に形成されている。
【0084】
第3水晶フレーム32は、x軸方向の両側にz’軸方向に伸びたキャスタレーション326a、326bが形成されている。キャスタレーション326a、326bは、角丸長方形の貫通孔BH2(図13を参照) をダイシングした際に形成される。側面電極327a、327bが、キャスタレーション326a、326bにそれぞれ形成される。
【0085】
第4ベース板43は、表面(+y’側の面)にベース凹部47の周囲に形成された接合面M2を有している。第4ベース板43は、x軸方向の両側にz’軸方向に伸びたキャスタレーション436a、436bが形成されている。側面電極437a、437bがキャスタレーション436a、436bにそれぞれ形成されている。
【0086】
第4ベース板43は、ベース凹部47を枠状に囲むように接合面M2にベース溝部433及び突起部45,46が形成されている。さらに、第4ベース板43は、実装面M1に側面電極437a、437bとそれぞれ電気的に接続された一対の実装端子435、435a、435bを有している。
【0087】
第4リッド板13は、−y’側の接合面M5にリッド凹部17を有し、第4リッド板13には、x軸方向の両側にz’軸方向に伸びたキャスタレーション136a、136bが形成されている。キャスタレーション136a、136bは角丸長方形の貫通孔を2分の1にダイシングされた際に形成される。
【0088】
第4リッド板13と第3水晶フレーム32と第4ベース板43とは、封止材LGで接合される。その後、実装端子435を除いた実装面M1及びリッドの天井面をマスクしてウエハに対してスッパタリング又は真空蒸着する。すると、角丸長方形の貫通孔にスパッタリングによる側面接続電極431が形成され、ベース側面電極437と第3水晶フレーム32の側面電極327とが導通し、引出電極323と実装端子435とが電気的に接合される。
【0089】
<第4水晶振動子130の製造方法>
第4水晶振動子130の製造方法は第2実施形態で説明された図7のフローチャートと実質的に同じである。第4水晶振動子130の製造方法の相違点を図7のフローチャートを用い追加説明する。
【0090】
ステップS151では、水晶ウエハに第3水晶フレーム32が形成される。第3水晶フレーム32は、励振電極322a、322bを備える。第3水晶フレーム32は、外枠320にフレーム溝部333及び突起部35,36が形成される。第3水晶フレーム32は、キャスタレーション326a、326b及び側面電極327a、327bが形成される。
【0091】
ステップS153では、第1ウエハに第4ベース板43が形成される。第4ベース板43は、ベース凹部47を備え接合面M2にベース溝部433及び突起部45,46が形成される。第4ベース板43は、キャスタレーション436a、436b及び側面電極437a、437bが形成される。
【0092】
ステップS155では、第2ウエハに第4リッド板13が形成される。第4リッド板13は、キャスタレーション136a、136bを備える。第4実施形態では、図9のステップS158とステップS159との間に、角丸長方形の貫通孔にスパッタリングによる側面接続電極431が形成される工程が加えられる。その他の工程は第2実施形態で説明された図7のフローチャートと実質的に同じである。
【産業上の利用可能性】
【0093】
以上、本発明の最適な実施形態について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において実施形態に様々な変更・変形を加えて実施することができる。
【0094】
第1実施形態から第4実施形態において、リッド板部と水晶フレームとベース板部とは非導電性接着剤である低融点ガラスLGにより接合されているが、低融点ガラスLGの代わりにポリイミド樹脂を用いられてもよい。また、第1実施形態から第4実施形態においてさらに水晶振動片は水晶材料のみならず、タンタル酸リチウムやニオブ酸リチウムあるいは圧電セラミックを含む圧電材料に基本的に適用できる。また圧電振動片を発振させるIC等の発振回路を有する圧電発振器であってもよい。さらに、本発明は、発振回路を有するICを備えた発振器にも適用できる。
【符号の説明】
【0095】
10,11,12,13 … リッド
15、16 … 突起部、 35,36 … 突起部
17,47 … 凹部
20 … 水晶振動片
30,31,32 … 水晶フレーム
40,41,42,43 … ベース板
45,46 … 突起部
60 … 導電性接着剤
100、110、120,130 … 水晶振動子
113 … リッド溝部
106a,106、b116a,116b … キャスタレーション
126a,126b,136a,136b … キャスタレーション
306a,306b,316a,316b … キャスタレーション
326a,326b,406a,406b … キャスタレーション
416a,416b,426a,426b … キャスタレーション
436a,436b … キャスタレーション
201,301,311 … 水晶片
202a、202b,304a,304b … 励振電極
203a、203b,303a,303b … 引出電極
300,310,320 … 枠部
305a,305b,325a,325b … 接続電極パッド
307a,307b,317a,317b … 側面電極
327a,327b,407a,407b … 側面電極
417a,417b,427a,427b … 側面電極
437a,437b … 側面電極
308a,308b,318a,318b、328 … 間隙部
309,319,324 … 連結部
313、333 … フレーム溝部
314a,314b,322a,322b … 励振電極
315a,315b,323a,323b … 引出電極
321、350 … 水晶振動部
403、413,423 … ベース溝部
405,405a,405b,415,415a,415b … 実装端子
425、425a、425b,435a,435b … 実装端子
408a,408b … 接続電極、
418a,418b,428a,428b … 接続電極
421,431 … 側面接続電極
BH1 … 円形貫通孔,BH2 … 角丸長方形の貫通孔
CT … キャビティ
LG … 封止材
SL … スクライブライン
M1 … 実装面、 M2,M3,M4,M5 … 接合面
10W、11W … 第2ウエハ、 40W,41W,42W … 第1ウエハ、
30W,31W,32W、 … 水晶ウエハ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面とその第1面の反対側の第2面とを有する第1板と、
第3面とその第3面の反対側の第4面とを有する第2板と、
前記第1板の前記第2面と前記第2板の前記第3面との間に環状に配置され、前記第1板と前記第2板とを接合する環状の接合材と、
前記第2面又は前記第3面の少なくとも一方に形成された所定高さの突起部と、
前記第2面又は前記第3面の少なくとも一方に、前記突起部の内側に環状に形成される溝部と、を備え、
前記接合材は、前記突起部の周辺に配置されるとともに、前記溝部の内側を超えない範囲で配置される圧電デバイス。
【請求項2】
前記突起部は側面と天井面とを有し、
前記側面の少なくとも一部は前記接合材と接しており前記天井面は前記接合材を介さないで前記第3面又は前記第2面と直接接している請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項3】
前記突起部の側面の一部は前記第1板又は前記第2板の側面と同一平面になる請求項1又は請求項2に記載の圧電デバイス。
【請求項4】
前記第1板は前記第1面に外部電極を有するベース板であり、
前記第2板は励振電極が形成された励振部とこの励振部を取り囲む枠部とを有する圧電振動片であり、
前記ベース板と前記枠部とが前記接合材で接合される請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の圧電デバイス。
【請求項5】
前記第1板は、前記リッド板であり、
前記第2板は励振電極が形成された励振部とこの励振部を取り囲む枠部とを有する圧電振動片であり、
前記リッド板と前記枠部とが前記接合材で接合される請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の圧電デバイス。
【請求項6】
前記励振部は前記励振電極が形成されたメサ領域と該メサ領域の周辺で前記メサ領域よりも厚さが薄い周辺領域とを有し、
前記突起部の所定の高さは前記メサ領域と前記周辺領域との差に等しい請求項4又は請求項5に記載の圧電デバイス。
【請求項7】
前記第1板は前記第1面に外部電極を有するベース板であり、
前記第2板は励振電極が形成された励振部を覆うリッド板であり、
前記ベース板と前記リッド板とが前記接合材で接合される請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の圧電デバイス。
【請求項8】
前記第1面と前記第2面とを結ぶ側面に形成されたキャスタレーションと、
前記キャスタレーションに形成された側面電極と、を備え、
前記外部電極と前記側面電極とが電気的に接続されている請求項4から請求項7のいずれか一項に記載の圧電デバイス。
【請求項1】
第1面とその第1面の反対側の第2面とを有する第1板と、
第3面とその第3面の反対側の第4面とを有する第2板と、
前記第1板の前記第2面と前記第2板の前記第3面との間に環状に配置され、前記第1板と前記第2板とを接合する環状の接合材と、
前記第2面又は前記第3面の少なくとも一方に形成された所定高さの突起部と、
前記第2面又は前記第3面の少なくとも一方に、前記突起部の内側に環状に形成される溝部と、を備え、
前記接合材は、前記突起部の周辺に配置されるとともに、前記溝部の内側を超えない範囲で配置される圧電デバイス。
【請求項2】
前記突起部は側面と天井面とを有し、
前記側面の少なくとも一部は前記接合材と接しており前記天井面は前記接合材を介さないで前記第3面又は前記第2面と直接接している請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項3】
前記突起部の側面の一部は前記第1板又は前記第2板の側面と同一平面になる請求項1又は請求項2に記載の圧電デバイス。
【請求項4】
前記第1板は前記第1面に外部電極を有するベース板であり、
前記第2板は励振電極が形成された励振部とこの励振部を取り囲む枠部とを有する圧電振動片であり、
前記ベース板と前記枠部とが前記接合材で接合される請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の圧電デバイス。
【請求項5】
前記第1板は、前記リッド板であり、
前記第2板は励振電極が形成された励振部とこの励振部を取り囲む枠部とを有する圧電振動片であり、
前記リッド板と前記枠部とが前記接合材で接合される請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の圧電デバイス。
【請求項6】
前記励振部は前記励振電極が形成されたメサ領域と該メサ領域の周辺で前記メサ領域よりも厚さが薄い周辺領域とを有し、
前記突起部の所定の高さは前記メサ領域と前記周辺領域との差に等しい請求項4又は請求項5に記載の圧電デバイス。
【請求項7】
前記第1板は前記第1面に外部電極を有するベース板であり、
前記第2板は励振電極が形成された励振部を覆うリッド板であり、
前記ベース板と前記リッド板とが前記接合材で接合される請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の圧電デバイス。
【請求項8】
前記第1面と前記第2面とを結ぶ側面に形成されたキャスタレーションと、
前記キャスタレーションに形成された側面電極と、を備え、
前記外部電極と前記側面電極とが電気的に接続されている請求項4から請求項7のいずれか一項に記載の圧電デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−51560(P2013−51560A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188541(P2011−188541)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】
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