圧電振動デバイス
【課題】圧電振動デバイスの低背化を図るとともに、当該圧電振動デバイスの特性が悪くなるのを抑える。
【解決手段】水晶振動子1には、水晶振動片2を保持するベース3と、ベース3に保持した水晶振動片2を気密封止する金属材料からなる蓋4とが設けられ、ベース3と蓋4とが接合材7を介して接合されている。このベース3には端子電極364に引回された電極部362が設けられ、接合材7は絶縁部72と導電部73とから構成され、蓋4と導電部73と電極部362とが電気的に接続されている。
【解決手段】水晶振動子1には、水晶振動片2を保持するベース3と、ベース3に保持した水晶振動片2を気密封止する金属材料からなる蓋4とが設けられ、ベース3と蓋4とが接合材7を介して接合されている。このベース3には端子電極364に引回された電極部362が設けられ、接合材7は絶縁部72と導電部73とから構成され、蓋4と導電部73と電極部362とが電気的に接続されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
気密封止を必要とする電子部品の例として、水晶振動子、水晶フィルタ、水晶発振器等の圧電振動デバイスが挙げられる。これら各製品では、いずれも水晶振動片の主面に励振電極が形成され、この励振電極を外気から保護するために励振電極は圧電振動デバイスの本体筐体により気密封止されている。
【0003】
圧電振動デバイスは、ベースと蓋とからその本体筐体が構成されてなる。この圧電振動デバイスでは、ベースと蓋とを接合材により接合することで本体筐体の内部空間を形成するとともに内部空間を気密封止し、内部空間に圧電振動片を保持する(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
特許文献1に開示の表面実装型水晶振動子(本明細書でいう圧電振動デバイス)の本体筐体は、水晶振動板(本明細書でいう圧電振動片)を収容する断面が凹形のセラミックパッケージ(本明細書でいうベース)と、このセラミックパッケージの開口部に接合するセラミック材料からなるフタ(本明細書でいう蓋)とからなる。そして、接合材にガラス材を用い、ガラス材をフタの接合面に形成し、このガラス材を溶融してセラミックパッケージにフタを接合して、矩形水晶振動片を内部空間に気密封止する。
【特許文献1】特開2004−104766号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した特許文献1に示す背景技術では、フタにセラミック材料を用いているために、当該表面実装型水晶振動子の小型化に好ましくない。これは、セラミック材料の材質が脆いことに関係し、セラミック材料をフタに用いる場合、フタとして用いるための強度を有するためにはある一定以上の厚みを有する必要がある。
【0006】
そこで、上記課題を解決するために、本発明は、蓋の厚みを抑えて当該圧電振動デバイスの低背化を行う圧電振動デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明にかかる圧電振動デバイスは、圧電振動片を保持するベースと、前記ベースに保持した前記圧電振動片を気密封止するためにベースと接合する蓋とが設けられ、前記ベースと前記蓋とは接合材を介して接合された圧電振動デバイスにおいて、前記蓋は、金属材料からなり、前記接合材は絶縁部と導電部とから構成され、前記絶縁部と前記導電部との融点は同一もしくは近似し、前記ベースには、外部と電気的に接続する端子電極に引回された電極部が設けられ、前記蓋と前記導電部と前記電極部とが電気的に接続されたことを特徴とすることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、前記蓋は金属材料からなり、前記接合材は前記絶縁部と前記導電部とから構成され、前記絶縁部と前記導電部との融点は同一もしくは近似し、前記ベースに前記電極部が設けられ、前記蓋と前記導電部と前記電極部とが電気的に接続されるので、前記蓋の厚みを抑えて当該圧電振動デバイスの低背化を行うことが可能となる。そして、本発明によれば、当該圧電振動デバイスの低背化を行うとともに前記蓋に金属材料を用いた場合であっても前記蓋をGNDに接続することが可能となり、その結果、前記圧電振動片への外部環境からの電磁干渉を抑える(EMI対策を施す)ことが可能になる等、当該圧電振動デバイスの特性が悪くなるのを抑えることが可能となる。
【0009】
前記構成において、前記絶縁部と前記導電部との融点は、同一もしくは近似してもよい。
【0010】
この場合、前記絶縁部と前記導電部との融点が同一もしくは近似しているので、前記ベースと前記蓋との接合の際に、前記接合材のある部分が過剰に溶融したり前記接合材のある部分が溶融せずに接合不良が生じるのを抑制することが可能となり、前記接合材に前記絶縁部と前記導電部とが設けられた場合であっても、安定して前記ベースと前記蓋との接合を行うことが可能となる。
【0011】
前記構成において、前記ベースには、前記圧電振動片が、シリコーン系樹脂からなる接着剤を用いて接合保持され、前記融点は、280〜330℃であってもよい。
【0012】
この場合、前記ベースに前記圧電振動片が前記接着剤を用いて接合保持され、前記融点は、280〜330℃であるので、前記ベースと前記蓋との接合を行った場合にアウトガスが発生するのを抑制することが可能となる。
【0013】
前記構成において、前記絶縁部には、フィラー成分が全体に均一に分布された低融点ガラスが用いられてもよい。
【0014】
この場合、前記絶縁部のボイドの発生を抑制することが可能となる。具体的に、低融点ガラスにフィラー成分が全体に均一に分布されるので、低融点ガラスのボイドは発生し難くし、もしくは発生しない。
【0015】
前記構成において、具体的に、前記絶縁部はスパッタ法により形成されてもよい。
【0016】
この場合、フィラー成分をスパッタ法により低融点ガラスに含有させるので、スクリーン印刷とは異なり微細粒子によるフィラー成分の含有を行うことが可能となり、低融点ガラスにフィラー成分を微細な粒子で均一に分布させることが可能となる。また、スクリーン印刷では接合材の仮固着が必須の工程となっているが、本構成によればこの工程を省くことが可能となり、工程の簡略化を図ることも可能となる。また、本発明によれば、スパッタ法による前記絶縁部の形成により低融点ガラスの厚みを薄くして当該圧電振動デバイスの低背化を図ることが可能となる。
【0017】
前記構成において、前記絶縁部の熱膨張係数は、前記ベースおよび前記蓋と近似もしくは同一の値を有してもよい。
【0018】
この場合、前記ベースと前記蓋と前記絶縁部との熱膨張係数が、近似もしくは同一の値であり、熱膨張係数の相違によってベースと蓋との接合時にかかるストレスを抑えることが可能となり、この接合時のストレスが原因となるガラス封止部分のクラックとかガラス封止部分の剥がれなどを防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明にかかる圧電振動デバイスによれば、蓋の厚みを抑えて当該圧電振動デバイスの低背化を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施例では、圧電振動デバイスとしてATカット水晶振動子に本発明を適用した場合を示す。
【0021】
本実施例にかかるATカット水晶振動子1(以下、水晶振動子という)は、図1に示すように、平面視矩形に成形されたATカット水晶振動片2(本発明でいう圧電振動片であり、以下、水晶振動片という)と、この水晶振動片2を保持するベース3と、ベース3に保持した水晶振動片2を気密封止するための蓋4とからなる。
【0022】
この水晶振動子1では、図1に示すように、ベース3と蓋4とが下記する接合材7を用いて真空加熱炉にて加熱溶融接合されて本体筐体5が構成され、この本体筐体5内に内部空間6が形成される。この内部空間6のベース3上には水晶振動片2が保持されているとともに、本体筐体5の内部空間6が気密封止されている。なお、内部空間6内において、ベース3に水晶振動片2がシリコーン系樹脂などの導電性接着剤81(本発明でいう接着剤)を用いて接合保持されている。
【0023】
次に、この水晶振動子1の各構成について図1〜3を用いて説明する。
【0024】
ベース3は、図1,2に示すように、セラミック材料(アルミナ)からなる平面視矩形状の一枚板の底部31と、この底部31上に積層したセラミック材料の堤部32とから構成される箱状体に成形され、これら底部31と堤部32とが断面凹状に一体的に焼成されている。また、堤部32は、底部31の上面外周に沿って成形されている。この堤部32の上面(端面)は、蓋4との接合領域33である。また、このベース3の外周には、四隅にキャスタレーション34が形成されている。そして、このベース3の表面35には、搭載する水晶振動片2の傾きを抑えるための枕部39と、水晶振動片2の励振電極23,24(下記参照)と電気的に接続する2つの電極パッド361、蓋4と端子電極364(下記参照)の一部とを電気的に接続するための4つの電極部362とが設けられている。電極パッド361は、それぞれに対応して引回された接続電極363を介して、ベース3の裏面37に形成される端子電極364の一部に電気的に接続され、端子電極364から外部(外部部品や外部機器)と接続される。また、電極部362は、外部(外部部品や外部機器)と電気的に接続する端子電極364に引回され、電極パッド361と同様に、それぞれに対応した接続電極363を介して、ベース3の裏面37に形成される端子電極364に電気的に接続され、端子電極364から外部部品や外部機器と接続される。なお、これらの電極パッド361、電極部362、接続電極363、及び端子電極364は、タングステン、モリブデン等のメタライズ材料を印刷した後にベース3と一体的に焼成して形成される。そして、これら電極パッド361、電極部362、接続電極363、及び端子電極364のうち、ベース3に露出形成されたものおよび露出された部分について、メタライズ上部にニッケルメッキが形成され、その上部に金メッキが形成されている。
【0025】
蓋4は、金属材料(具体的にコバール単体)からなり、図1,3に示すように、平面視矩形状の一枚板に成形され、当該一枚板の平面視各隅部が曲率形成されている。また、この蓋4の平面視の外形寸法は、同一方向視のベース3の外形寸法と略同一か、若干小さく(ひとまわり小さく)なるように設計されている。本実施例に示すように蓋4に金属材料を用いることで、ベース3と同一材料であるセラミックを蓋4に用いた場合と比較して、その厚みを薄くすることができ、水晶振動子1の低背化を図ることができる。また、セラミックを用いて本実施例と同一の厚みの蓋4を成形した場合、セラミックは金属材料より脆く、強度を保つことができない。
【0026】
また、図1,3に示すように、ベース3の接合領域33と蓋4の接合領域41との接合には、厚さ10μmからなる接合材7が用いられている。接合材7は、錫燐酸系から構成される低融点ガラスの絶縁部72と、金−錫からなる合金の導電部73とから構成されている。なお、この接合材7は、その大部分を絶縁部72で構成し、残りの部分を導電部73で構成している。具体的に、導電部73は、図1〜3に示すように、当該水晶振動子1の平面視各隅部に形成され、それ以外の位置に絶縁部72が形成され、これら絶縁部72と導電部73との融点は約320℃である。そして、図1に示すように蓋4とベース3とが接合材7を介して接合されることで、蓋4と導電部73と電極部362とが電気的に接続される。なお、本実施例では、蓋4とベース3との接合の前に、接合材7がスパッタ法により蓋4に形成される(図3参照)。具体的に、RF電源を用いて真空雰囲気にした状態のチャンバー内において蓋4の接合領域41に絶縁部72がスパッタリング形成される。そして、絶縁部72の形成後に、導電部73が、スパッタ法により蓋4の接合領域41のうち絶縁部72を形成した位置をマスキングした状態でスパッタリング形成されて図3に示す接合材7が蓋4に形成される。なお、本実施例では、絶縁部72の形成後に導電部73を形成して接合材7を形成しているが、導電部73の形成後に絶縁部72を形成して接合材7を形成してもよい。
【0027】
上記した絶縁部72の低融点化は、低融点ガラスにおける鉛の含有率等を調整して融点を制御して行なっている。また、本実施例では、絶縁部72に、酸化鉛系から構成される低融点ガラスが用いられている。この低融点ガラスには、その熱膨張係数をベース3および蓋4と近似もしくは同一の値とするために、ウィレマイトからなるフィラー成分が含有されている。なお、ここでいうフィラー成分とは、粒径状のフィラーとは区別して、原子レベルの単位で低融点ガラスに含有される成分のことをいう。ところで、この低融点ガラスは、スパッタ法により蓋4の接合領域41のうち導電部73を形成する位置(平面視隅部)をマスキングした状態でスパッタリングされて形成され、このスパッタリングによる低融点ガラスの形成によりフィラー成分が全体に均一に配される(フィラー成分が低融点ガラス全体に均一に分布される)。このフィラー成分が全体に均一に配されることで、低融点ガラスのいずれの位置においても熱膨張係数を同一にすることができる。
【0028】
なお、本実施例では、図3に示す接合材7を形成した蓋4を用いているが、接合材7の形成はこれに限定されるものではなく、例えば、図4,5に示すような形態であってもよい。具体的に、上記した図3では、蓋4のベース3と接合する接合面のうちベース3の接合領域33に対応する接合領域41に接合材7を形成した例を示す。これに対して、図4では、図3に示す接合材7の形成位置を広げてより幅広に蓋4に接合材7を形成した例を示す。また、図5では、蓋4のベース3と接合する接合面全面に接合材7を形成した例を示す。
【0029】
また、上記した本実施例にかかるベース3の熱膨張係数は7.4×10-6(1/℃)であり、蓋4の熱膨張係数は4.5〜5.1×10-6(1/℃)であり、図1,3に示すように接合材7の大部分を構成する低融点ガラスの熱膨張係数は4.5〜7.5×10-6(1/℃)である。これらベース3の熱膨張係数と、蓋4の熱膨張係数との中間値に接合材7の熱膨張係数を設定することが好適である。
【0030】
ところで、本実施例に示すような10μmの厚みの低融点ガラスを、スクリーン印刷によりベース3に塗布形成する場合、低融点ガラスの塗布厚を抑えることができず、ベース3に薄い低融点ガラスを塗布形成することができない。これに対して、本実施例に示すようにスパッタ法によりベース3にスパッタ形成する場合、低融点ガラスの塗布厚を抑えることができ、ベース3に薄い低融点ガラスを形成するのに好適である。
【0031】
また、図1に示すように、この接合材7の一部71は、ベース3と蓋4との接合の際にインナーメニスカス形成され、ベース3と蓋4とにより形成された内部空間6内に配されている。ここでいう接合材7の一部71を内部空間6内に配するとは、内部空間6内に接合材7の一部71を面するだけでなく、内部空間6内に接合材7の一部71を突出させた状態のことをいう。具体的に、接合材7の一部71がベース3の堤部32に対して内部空間6側にオーバーハングされた状態なっている。図1に示すように、ベース3の堤部32全域から接合材7の一部71が、内部空間6側にオーバーハングされている。
【0032】
水晶振動片2は、図1,2に示すように、ATカット水晶板(図示省略)からなり、平面視矩形上の一枚板の直方体に成形されている。この水晶振動片2の両主面21,22には、それぞれ励振電極23,24と、これらの励振電極23,24を外部電極(本実施例では、ベース3の電極パッド361)と電気的に接続するために励振電極23,24から引き出された引出電極25,26とが形成されている。これらの励振電極23,24及び引出電極25,26は、例えば、水晶振動板側からクロム−金の順に、あるいはクロム−金−クロムの順に、あるいはクロム−銀の順に、あるいはクロム−銀−クロムの順に積層して形成されている。そして、水晶振動片2の引出電極25,26とベース3の電極パッド361とが、導電性接着剤81により接合され、図1,2に示すように、水晶振動片2はベース3に片保持されている。
【0033】
水晶振動片2をベース3に接合して搭載保持するための圧電振動片用の接着剤として導電性接着剤81が用いられている。なお、この導電性接着剤81は、下塗り接着剤81aと上塗り接着剤81bとからなり、下塗り接着剤81aにより水晶振動片2と電極パッド361との導通を図るとともに水晶振動片2をベース3に保持し、上塗り接着剤81bにより水晶振動片2のベース3への保持を強化するものである。
【0034】
上記した構成からなるベース3に水晶振動片2を導電性接着剤81を介して電気機械的に接合保持し、この水晶振動片2を接合保持したベース3に、接合材7をスパッタ形成した蓋4を、真空加熱炉にて加熱溶融接合して水晶振動子1を製造する。
【0035】
上記したよう本実施例にかかる水晶振動子1によれば、蓋4は金属材料からなり、接合材7は絶縁部72と導電部73とから構成され、ベース3に電極部362が設けられ、蓋4と導電部73と電極部362とが電気的に接続されるので、蓋4の厚みを抑えて当該水晶振動子1の低背化を行うことができる。そして、本実施例によれば、当該水晶振動子1の低背化を行うとともに蓋4に金属材料を用いた場合であっても蓋4をGNDに接続することができ、その結果、水晶振動片2への外部環境からの電磁干渉を抑える(EMI対策を施す)ことができる等、当該水晶振動子1の特性が悪くなるのを抑えることができる。
【0036】
また、絶縁部72と導電部73との融点が同一もしくは近似しているので、ベース3と蓋4との接合の際に、接合材7のある部分が過剰に溶融したり接合材7のある部分が溶融せずに接合不良が生じるのを抑制することができ、接合材7に絶縁部72と導電部73とが設けられた場合であっても、安定してベース3と蓋4との接合を行うことができる。
【0037】
また、ベース3に水晶振動片2が導電性接着剤81を用いて接合保持され、融点は、290〜320℃であるので、ベース3と蓋4との接合を行った場合にアウトガスが発生するのを抑制することができる。具体的に、シリコーン系樹脂の耐熱温度が約300℃であり、この耐熱温度を超える温度でベース3と蓋4との接合を行った場合、アウトガスが発生し、このアウトガスが当該水晶振動子1の特性を悪くするが、本構成によれば、アウトガスの発生を抑えて当該水晶振動子1の特性が悪くなるのを抑えることができる。
【0038】
また、絶縁部72には、スパッタ法により形成されてフィラー成分が全体に均一に分布された低融点ガラスが用いられるので、絶縁部72のボイドの発生を抑制することができる。具体的に、低融点ガラスにフィラー成分が全体に均一に分布されるので、低融点ガラスのボイドは発生し難くし、もしくは発生しない。
【0039】
また、本実施例にかかる水晶振動子1によれば、フィラー成分をスパッタ法により低融点ガラスに含有させるので、スクリーン印刷とは異なり微細粒子によるフィラー成分の含有を行うことができ、低融点ガラスにフィラー成分を微細な粒子で均一に分布させることができる。また、スクリーン印刷では接合材の仮固着が必須の工程となっているが、本実施例にかかる水晶振動子1によればこの工程を省くことができ、工程の簡略化を図ることもできる。また、本実施例にかかる水晶振動子1によれば、スパッタ法による絶縁部72の形成により低融点ガラスの厚みを薄くして水晶振動子1の低背化を図ることができる。
【0040】
また、絶縁部72の熱膨張係数は、ベース3および蓋4と近似もしくは同一の値を有するので、熱膨張係数の相違によってベース3と蓋4との接合時にかかるストレスを抑えることができ、この接合時のストレスが原因となるガラス封止部分のクラックとかガラス封止部分の剥がれなどを防止することができる。
【0041】
また、接合材7がインナーメニスカス形成されているので、ベース3と蓋4との接合時における接合材7の接合幅を確保することができ、新たに接合材7の接合幅を確保するために本体筐体5を大きくする必要がなく、水晶振動子1の小型化を図ることができる。
【0042】
また、接合材7の導電部73が蓋4の平面視平面視各隅部に形成され、電極部363が堤部32の平面視各隅部に設けられているので、ベース3への蓋4の接合の際に接合方向が限定されることはなく、ベース3への蓋4の接合の自由度が高い。
【0043】
なお、本実施例では、圧電振動片としてATカット水晶振動片2を用いているが、これに限定されるものではなく、音叉型水晶振動片であってもよい。
【0044】
また、本実施例では、導電性接着剤81にシリコーン系樹脂を用いているが、これに限定されるものではなく、導電性の接着剤であれば他のものでもよく、例えばエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂などであってもよい。
【0045】
また、本実施例では、ベース3にセラミック材料を用いているが、これに限定されるものではなく、ベース3と蓋4と絶縁部72との熱膨張係数を近似もしくは同一の値であれば例えば、セラミック材料のベースに添加物を含有させて熱膨張係数を蓋4および絶縁部72に近似させてもよい。具体的に、ベース3の熱膨張係数を4.5〜5.5×10-6(1/℃)に設定させることを構成としてもよい。
【0046】
また、本実施例では、蓋4にコバール単体を用いているが、これに限定されるものではなく、ベース3と蓋4と絶縁部72との熱膨張係数を近似もしくは同一の値であれば任意の材料から蓋4を構成してもよい。例えば、蓋4を、ニッケル−コバールの順で積層されたものや、ニッケル−コバール−ニッケルの順で積層されたものや、42アロイ等から構成してもよい。
【0047】
また、本実施例では、接合材7の厚さが10μmであるが、これは好適な例でありこれに限定されるものではなく、20μm以下であれば任意の厚みに設定してもよい。なお、特に接合材7の厚さは10μm以下である場合、スクリーン印刷によって塗布形成した接合材では実現できない接合材7の厚みを可能とし、水晶振動子1の低背化を図ることができる。このように、水晶振動子1の小型化を図るためには接合材7の厚みをより薄くすることが望まれる。
【0048】
また、本実施例では絶縁部72と導電部73との融点が約320℃となっているが、これに限定されるものではなく、絶縁部72と導電部73との融点が、それぞれ280〜330℃に設定され、これら絶縁部72と導電部73との融点が同一もしくは近似していることが条件とされていればよい。
【0049】
また、本実施例では、絶縁部72に含有するフィラー成分にウィレマイトを用いているが、これに限定されるものではなく、絶縁部72の熱膨張係数をベース3および蓋4と近似もしくは同一の値になれば他の材料を用いてもよい。具体的に、フィラー成分にコージェライトや、燐酸ジルコニウムや、シリカフィラー系などを用いてもよい。
【0050】
また、本実施例では、低融点ガラスの構成として酸化鉛系を適用しているが、これに限定されるものではなく、絶縁部72の融点が導電部73の融点と同一もしくは近似の値であれば他の材料を用いてもよい。具体的に、鉛フリーガラスであってもよい。
【0051】
また、本実施例では、導電性接着剤81を下塗り接着剤81aと上塗り接着剤81bとから構成しているが、これに限定されるものではなく、導電性接着剤81を下塗り接着剤81aで構成してもよい。
【0052】
また、本実施例では、導電性接着剤81を接着剤として用いているが、これに限定されるものではなく、図6,7に示すように、金等からなる導電性バンプ82を接着剤として用いてFCB法により水晶振動片2がベース3に電気機械的に接合されてもよい。この場合、本体筐体5の小型化に好適な例であり、またベース3と蓋4との接合時に当該接着剤からのアウトガスの発生を無くすことができる。
【0053】
また、本実施例では、真空雰囲気中において接合材7を金属材料からなる蓋4に形成しているが、不活性ガス(窒素等)による雰囲気下において接合材7を金属材料からなる蓋4に形成してもよい。しかしながら、真空雰囲気中において接合材7を形成した場合、不活性ガス雰囲気中において接合材7を形成する場合と比較して、接合材7にボイドの発生を抑えて水晶振動子1のCI値を2/3以下に抑えることができ、真空雰囲気中において接合材7を形成することが好ましい。特に、このことは低周波数を対象とする水晶振動子1の製造に関して顕著である。
【0054】
また、本実施例では、スパッタ法により蓋4の接合領域41に接合材7を形成しているが、これに限定されるものではなく、ベース3の接合領域33と蓋4の接合領域との両方に接合材7を形成してもよく、またはベース3の領域33のみに接合材7を形成してもよい。
【0055】
具体的に、図8〜11に示すように接合材7をスパッタ法によりベース3の接合領域33にスパッタリングして形成してもよい。なお、図8,9では、ベース3の堤部32の上面全面を接合領域33とした例を示し、図10,11では、ベース3の堤部32の上面全面であって、その短辺に形成したキャスタレーション34のベース3内側を接合領域33とした例を示す。なお、接合材7を、図3〜5に示す蓋4の接合領域41と、図8〜11に示すベース3の接合領域33との両方に形成してもよい。この場合、ベース3の接合領域33に形成した接合材7を、蓋4に形成した接合材7とベース3との接合を良好にするための補助的な構成として用いることが好ましく、また、水晶振動子1の低背化を図るためにベース3の接合領域33に形成する接合材7の厚みを、蓋4に形成した接合材7の厚みより薄くすることが好ましい。
【0056】
また、本実施例では、キャスタレーション34を経由して蓋4と導電部73と電極部362とが電気的に接続されているが、これに限定されるものではなく、例えば、図10,12,13に示すようにベース3の堤部32にスルーホール321を設け、スルーホール321を経由して蓋4と導電部73と電極部362とが電気的に接続されてもよい。
【0057】
また、本実施例では、導電部73が4つ設けられているが、これに限定されるものではなく、その数は任意に設定可能であり、例えば、導電部73を蓋4の平面視四隅のうち1つの隅に1つ設けてもよい。
【0058】
また、本実施例では、電極部382を堤部32の平面視四隅に設けているが、電極部382を設ける位置はこれに限定されるものではなく、導電部73を介して蓋4と電極部362とを電気的に接続する位置であれば図13に示すような位置に電極部362を設けてもよい。図13では、電極部362が堤部32の対向する短辺中央に設けられている。なお、この図13に示すベース3に対応する蓋4では、導電部73が、蓋4の短辺に沿ってその中央に平面視円形状に形成して設けられている(図14参照)。また、図14に示すように、導電部73は、ベース3に設けられた電極部382の位置に対応させて、蓋4の平面視四隅以外の任意の位置に設けてもよく、また電極部382の形状は限定されるものではない。
【0059】
さらに、本発明は水晶振動片やIC等の他の電子部品を一体的に収納した水晶発振器、もしくは水晶振動片やIC等の他の電子部品を個別に収納した水晶発振器にも適用することができる。
【0060】
なお、本発明は、その精神や主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、圧電振動デバイスに適用でき、特に水晶振動子などに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1は、本実施例にかかる水晶振動子の概略構成図であり、図2のA−A線概略断面図である。
【図2】図2は、本実施例にかかる、水晶振動片を片保持したベースの概略平面図である。
【図3】図3は、本実施例にかかる蓋の、ベースとの接合面に接合材を形成した概略平面図と、B−B線概略断面図である。
【図4】図4は、本実施例の他の例にかかる蓋の、ベースとの接合面に接合材を形成した概略平面図と、B’−B’線概略断面図である。
【図5】図5は、本実施例の他の例にかかる蓋の、ベースとの接合面に接合材を形成した概略平面図と、B’’−B’’線概略断面図である。
【図6】図6は、本実施例の他の例にかかる水晶振動子の概略構成図であり、図7のA’−A’線概略断面図である。
【図7】図7は、本実施例の他の例にかかる、水晶振動片を片保持したベースの概略平面図である。
【図8】図8は、本実施例の他の例にかかるベースの、蓋との接合面に接合材を形成した概略平面図である。
【図9】図9は、図8に示すベースのA’’−A’’線概略断面図である。
【図10】図10は、本実施例の他の例にかかるベースの、蓋との接合面に接合材を形成した概略平面図である。
【図11】図11は、図10に示すベースのA’’’−A’’’線概略断面図である。
【図12】図12は、本実施例の他の例にかかるベースの概略構成図である。
【図13】図13は、本実施例の他の例にかかるベースの概略構成図である。
【図14】図14は、図13に示すベースに対応した蓋の、ベースとの接合面に接合材を形成した概略平面図と、B’’’−B’’’線概略断面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 水晶振動子(圧電振動デバイス)
2 水晶振動片(圧電振動片)
3 ベース
362 電極部
364 端子電極
4 蓋
7 接合材
72 絶縁部
73 導電部
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
気密封止を必要とする電子部品の例として、水晶振動子、水晶フィルタ、水晶発振器等の圧電振動デバイスが挙げられる。これら各製品では、いずれも水晶振動片の主面に励振電極が形成され、この励振電極を外気から保護するために励振電極は圧電振動デバイスの本体筐体により気密封止されている。
【0003】
圧電振動デバイスは、ベースと蓋とからその本体筐体が構成されてなる。この圧電振動デバイスでは、ベースと蓋とを接合材により接合することで本体筐体の内部空間を形成するとともに内部空間を気密封止し、内部空間に圧電振動片を保持する(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
特許文献1に開示の表面実装型水晶振動子(本明細書でいう圧電振動デバイス)の本体筐体は、水晶振動板(本明細書でいう圧電振動片)を収容する断面が凹形のセラミックパッケージ(本明細書でいうベース)と、このセラミックパッケージの開口部に接合するセラミック材料からなるフタ(本明細書でいう蓋)とからなる。そして、接合材にガラス材を用い、ガラス材をフタの接合面に形成し、このガラス材を溶融してセラミックパッケージにフタを接合して、矩形水晶振動片を内部空間に気密封止する。
【特許文献1】特開2004−104766号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した特許文献1に示す背景技術では、フタにセラミック材料を用いているために、当該表面実装型水晶振動子の小型化に好ましくない。これは、セラミック材料の材質が脆いことに関係し、セラミック材料をフタに用いる場合、フタとして用いるための強度を有するためにはある一定以上の厚みを有する必要がある。
【0006】
そこで、上記課題を解決するために、本発明は、蓋の厚みを抑えて当該圧電振動デバイスの低背化を行う圧電振動デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明にかかる圧電振動デバイスは、圧電振動片を保持するベースと、前記ベースに保持した前記圧電振動片を気密封止するためにベースと接合する蓋とが設けられ、前記ベースと前記蓋とは接合材を介して接合された圧電振動デバイスにおいて、前記蓋は、金属材料からなり、前記接合材は絶縁部と導電部とから構成され、前記絶縁部と前記導電部との融点は同一もしくは近似し、前記ベースには、外部と電気的に接続する端子電極に引回された電極部が設けられ、前記蓋と前記導電部と前記電極部とが電気的に接続されたことを特徴とすることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、前記蓋は金属材料からなり、前記接合材は前記絶縁部と前記導電部とから構成され、前記絶縁部と前記導電部との融点は同一もしくは近似し、前記ベースに前記電極部が設けられ、前記蓋と前記導電部と前記電極部とが電気的に接続されるので、前記蓋の厚みを抑えて当該圧電振動デバイスの低背化を行うことが可能となる。そして、本発明によれば、当該圧電振動デバイスの低背化を行うとともに前記蓋に金属材料を用いた場合であっても前記蓋をGNDに接続することが可能となり、その結果、前記圧電振動片への外部環境からの電磁干渉を抑える(EMI対策を施す)ことが可能になる等、当該圧電振動デバイスの特性が悪くなるのを抑えることが可能となる。
【0009】
前記構成において、前記絶縁部と前記導電部との融点は、同一もしくは近似してもよい。
【0010】
この場合、前記絶縁部と前記導電部との融点が同一もしくは近似しているので、前記ベースと前記蓋との接合の際に、前記接合材のある部分が過剰に溶融したり前記接合材のある部分が溶融せずに接合不良が生じるのを抑制することが可能となり、前記接合材に前記絶縁部と前記導電部とが設けられた場合であっても、安定して前記ベースと前記蓋との接合を行うことが可能となる。
【0011】
前記構成において、前記ベースには、前記圧電振動片が、シリコーン系樹脂からなる接着剤を用いて接合保持され、前記融点は、280〜330℃であってもよい。
【0012】
この場合、前記ベースに前記圧電振動片が前記接着剤を用いて接合保持され、前記融点は、280〜330℃であるので、前記ベースと前記蓋との接合を行った場合にアウトガスが発生するのを抑制することが可能となる。
【0013】
前記構成において、前記絶縁部には、フィラー成分が全体に均一に分布された低融点ガラスが用いられてもよい。
【0014】
この場合、前記絶縁部のボイドの発生を抑制することが可能となる。具体的に、低融点ガラスにフィラー成分が全体に均一に分布されるので、低融点ガラスのボイドは発生し難くし、もしくは発生しない。
【0015】
前記構成において、具体的に、前記絶縁部はスパッタ法により形成されてもよい。
【0016】
この場合、フィラー成分をスパッタ法により低融点ガラスに含有させるので、スクリーン印刷とは異なり微細粒子によるフィラー成分の含有を行うことが可能となり、低融点ガラスにフィラー成分を微細な粒子で均一に分布させることが可能となる。また、スクリーン印刷では接合材の仮固着が必須の工程となっているが、本構成によればこの工程を省くことが可能となり、工程の簡略化を図ることも可能となる。また、本発明によれば、スパッタ法による前記絶縁部の形成により低融点ガラスの厚みを薄くして当該圧電振動デバイスの低背化を図ることが可能となる。
【0017】
前記構成において、前記絶縁部の熱膨張係数は、前記ベースおよび前記蓋と近似もしくは同一の値を有してもよい。
【0018】
この場合、前記ベースと前記蓋と前記絶縁部との熱膨張係数が、近似もしくは同一の値であり、熱膨張係数の相違によってベースと蓋との接合時にかかるストレスを抑えることが可能となり、この接合時のストレスが原因となるガラス封止部分のクラックとかガラス封止部分の剥がれなどを防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明にかかる圧電振動デバイスによれば、蓋の厚みを抑えて当該圧電振動デバイスの低背化を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施例では、圧電振動デバイスとしてATカット水晶振動子に本発明を適用した場合を示す。
【0021】
本実施例にかかるATカット水晶振動子1(以下、水晶振動子という)は、図1に示すように、平面視矩形に成形されたATカット水晶振動片2(本発明でいう圧電振動片であり、以下、水晶振動片という)と、この水晶振動片2を保持するベース3と、ベース3に保持した水晶振動片2を気密封止するための蓋4とからなる。
【0022】
この水晶振動子1では、図1に示すように、ベース3と蓋4とが下記する接合材7を用いて真空加熱炉にて加熱溶融接合されて本体筐体5が構成され、この本体筐体5内に内部空間6が形成される。この内部空間6のベース3上には水晶振動片2が保持されているとともに、本体筐体5の内部空間6が気密封止されている。なお、内部空間6内において、ベース3に水晶振動片2がシリコーン系樹脂などの導電性接着剤81(本発明でいう接着剤)を用いて接合保持されている。
【0023】
次に、この水晶振動子1の各構成について図1〜3を用いて説明する。
【0024】
ベース3は、図1,2に示すように、セラミック材料(アルミナ)からなる平面視矩形状の一枚板の底部31と、この底部31上に積層したセラミック材料の堤部32とから構成される箱状体に成形され、これら底部31と堤部32とが断面凹状に一体的に焼成されている。また、堤部32は、底部31の上面外周に沿って成形されている。この堤部32の上面(端面)は、蓋4との接合領域33である。また、このベース3の外周には、四隅にキャスタレーション34が形成されている。そして、このベース3の表面35には、搭載する水晶振動片2の傾きを抑えるための枕部39と、水晶振動片2の励振電極23,24(下記参照)と電気的に接続する2つの電極パッド361、蓋4と端子電極364(下記参照)の一部とを電気的に接続するための4つの電極部362とが設けられている。電極パッド361は、それぞれに対応して引回された接続電極363を介して、ベース3の裏面37に形成される端子電極364の一部に電気的に接続され、端子電極364から外部(外部部品や外部機器)と接続される。また、電極部362は、外部(外部部品や外部機器)と電気的に接続する端子電極364に引回され、電極パッド361と同様に、それぞれに対応した接続電極363を介して、ベース3の裏面37に形成される端子電極364に電気的に接続され、端子電極364から外部部品や外部機器と接続される。なお、これらの電極パッド361、電極部362、接続電極363、及び端子電極364は、タングステン、モリブデン等のメタライズ材料を印刷した後にベース3と一体的に焼成して形成される。そして、これら電極パッド361、電極部362、接続電極363、及び端子電極364のうち、ベース3に露出形成されたものおよび露出された部分について、メタライズ上部にニッケルメッキが形成され、その上部に金メッキが形成されている。
【0025】
蓋4は、金属材料(具体的にコバール単体)からなり、図1,3に示すように、平面視矩形状の一枚板に成形され、当該一枚板の平面視各隅部が曲率形成されている。また、この蓋4の平面視の外形寸法は、同一方向視のベース3の外形寸法と略同一か、若干小さく(ひとまわり小さく)なるように設計されている。本実施例に示すように蓋4に金属材料を用いることで、ベース3と同一材料であるセラミックを蓋4に用いた場合と比較して、その厚みを薄くすることができ、水晶振動子1の低背化を図ることができる。また、セラミックを用いて本実施例と同一の厚みの蓋4を成形した場合、セラミックは金属材料より脆く、強度を保つことができない。
【0026】
また、図1,3に示すように、ベース3の接合領域33と蓋4の接合領域41との接合には、厚さ10μmからなる接合材7が用いられている。接合材7は、錫燐酸系から構成される低融点ガラスの絶縁部72と、金−錫からなる合金の導電部73とから構成されている。なお、この接合材7は、その大部分を絶縁部72で構成し、残りの部分を導電部73で構成している。具体的に、導電部73は、図1〜3に示すように、当該水晶振動子1の平面視各隅部に形成され、それ以外の位置に絶縁部72が形成され、これら絶縁部72と導電部73との融点は約320℃である。そして、図1に示すように蓋4とベース3とが接合材7を介して接合されることで、蓋4と導電部73と電極部362とが電気的に接続される。なお、本実施例では、蓋4とベース3との接合の前に、接合材7がスパッタ法により蓋4に形成される(図3参照)。具体的に、RF電源を用いて真空雰囲気にした状態のチャンバー内において蓋4の接合領域41に絶縁部72がスパッタリング形成される。そして、絶縁部72の形成後に、導電部73が、スパッタ法により蓋4の接合領域41のうち絶縁部72を形成した位置をマスキングした状態でスパッタリング形成されて図3に示す接合材7が蓋4に形成される。なお、本実施例では、絶縁部72の形成後に導電部73を形成して接合材7を形成しているが、導電部73の形成後に絶縁部72を形成して接合材7を形成してもよい。
【0027】
上記した絶縁部72の低融点化は、低融点ガラスにおける鉛の含有率等を調整して融点を制御して行なっている。また、本実施例では、絶縁部72に、酸化鉛系から構成される低融点ガラスが用いられている。この低融点ガラスには、その熱膨張係数をベース3および蓋4と近似もしくは同一の値とするために、ウィレマイトからなるフィラー成分が含有されている。なお、ここでいうフィラー成分とは、粒径状のフィラーとは区別して、原子レベルの単位で低融点ガラスに含有される成分のことをいう。ところで、この低融点ガラスは、スパッタ法により蓋4の接合領域41のうち導電部73を形成する位置(平面視隅部)をマスキングした状態でスパッタリングされて形成され、このスパッタリングによる低融点ガラスの形成によりフィラー成分が全体に均一に配される(フィラー成分が低融点ガラス全体に均一に分布される)。このフィラー成分が全体に均一に配されることで、低融点ガラスのいずれの位置においても熱膨張係数を同一にすることができる。
【0028】
なお、本実施例では、図3に示す接合材7を形成した蓋4を用いているが、接合材7の形成はこれに限定されるものではなく、例えば、図4,5に示すような形態であってもよい。具体的に、上記した図3では、蓋4のベース3と接合する接合面のうちベース3の接合領域33に対応する接合領域41に接合材7を形成した例を示す。これに対して、図4では、図3に示す接合材7の形成位置を広げてより幅広に蓋4に接合材7を形成した例を示す。また、図5では、蓋4のベース3と接合する接合面全面に接合材7を形成した例を示す。
【0029】
また、上記した本実施例にかかるベース3の熱膨張係数は7.4×10-6(1/℃)であり、蓋4の熱膨張係数は4.5〜5.1×10-6(1/℃)であり、図1,3に示すように接合材7の大部分を構成する低融点ガラスの熱膨張係数は4.5〜7.5×10-6(1/℃)である。これらベース3の熱膨張係数と、蓋4の熱膨張係数との中間値に接合材7の熱膨張係数を設定することが好適である。
【0030】
ところで、本実施例に示すような10μmの厚みの低融点ガラスを、スクリーン印刷によりベース3に塗布形成する場合、低融点ガラスの塗布厚を抑えることができず、ベース3に薄い低融点ガラスを塗布形成することができない。これに対して、本実施例に示すようにスパッタ法によりベース3にスパッタ形成する場合、低融点ガラスの塗布厚を抑えることができ、ベース3に薄い低融点ガラスを形成するのに好適である。
【0031】
また、図1に示すように、この接合材7の一部71は、ベース3と蓋4との接合の際にインナーメニスカス形成され、ベース3と蓋4とにより形成された内部空間6内に配されている。ここでいう接合材7の一部71を内部空間6内に配するとは、内部空間6内に接合材7の一部71を面するだけでなく、内部空間6内に接合材7の一部71を突出させた状態のことをいう。具体的に、接合材7の一部71がベース3の堤部32に対して内部空間6側にオーバーハングされた状態なっている。図1に示すように、ベース3の堤部32全域から接合材7の一部71が、内部空間6側にオーバーハングされている。
【0032】
水晶振動片2は、図1,2に示すように、ATカット水晶板(図示省略)からなり、平面視矩形上の一枚板の直方体に成形されている。この水晶振動片2の両主面21,22には、それぞれ励振電極23,24と、これらの励振電極23,24を外部電極(本実施例では、ベース3の電極パッド361)と電気的に接続するために励振電極23,24から引き出された引出電極25,26とが形成されている。これらの励振電極23,24及び引出電極25,26は、例えば、水晶振動板側からクロム−金の順に、あるいはクロム−金−クロムの順に、あるいはクロム−銀の順に、あるいはクロム−銀−クロムの順に積層して形成されている。そして、水晶振動片2の引出電極25,26とベース3の電極パッド361とが、導電性接着剤81により接合され、図1,2に示すように、水晶振動片2はベース3に片保持されている。
【0033】
水晶振動片2をベース3に接合して搭載保持するための圧電振動片用の接着剤として導電性接着剤81が用いられている。なお、この導電性接着剤81は、下塗り接着剤81aと上塗り接着剤81bとからなり、下塗り接着剤81aにより水晶振動片2と電極パッド361との導通を図るとともに水晶振動片2をベース3に保持し、上塗り接着剤81bにより水晶振動片2のベース3への保持を強化するものである。
【0034】
上記した構成からなるベース3に水晶振動片2を導電性接着剤81を介して電気機械的に接合保持し、この水晶振動片2を接合保持したベース3に、接合材7をスパッタ形成した蓋4を、真空加熱炉にて加熱溶融接合して水晶振動子1を製造する。
【0035】
上記したよう本実施例にかかる水晶振動子1によれば、蓋4は金属材料からなり、接合材7は絶縁部72と導電部73とから構成され、ベース3に電極部362が設けられ、蓋4と導電部73と電極部362とが電気的に接続されるので、蓋4の厚みを抑えて当該水晶振動子1の低背化を行うことができる。そして、本実施例によれば、当該水晶振動子1の低背化を行うとともに蓋4に金属材料を用いた場合であっても蓋4をGNDに接続することができ、その結果、水晶振動片2への外部環境からの電磁干渉を抑える(EMI対策を施す)ことができる等、当該水晶振動子1の特性が悪くなるのを抑えることができる。
【0036】
また、絶縁部72と導電部73との融点が同一もしくは近似しているので、ベース3と蓋4との接合の際に、接合材7のある部分が過剰に溶融したり接合材7のある部分が溶融せずに接合不良が生じるのを抑制することができ、接合材7に絶縁部72と導電部73とが設けられた場合であっても、安定してベース3と蓋4との接合を行うことができる。
【0037】
また、ベース3に水晶振動片2が導電性接着剤81を用いて接合保持され、融点は、290〜320℃であるので、ベース3と蓋4との接合を行った場合にアウトガスが発生するのを抑制することができる。具体的に、シリコーン系樹脂の耐熱温度が約300℃であり、この耐熱温度を超える温度でベース3と蓋4との接合を行った場合、アウトガスが発生し、このアウトガスが当該水晶振動子1の特性を悪くするが、本構成によれば、アウトガスの発生を抑えて当該水晶振動子1の特性が悪くなるのを抑えることができる。
【0038】
また、絶縁部72には、スパッタ法により形成されてフィラー成分が全体に均一に分布された低融点ガラスが用いられるので、絶縁部72のボイドの発生を抑制することができる。具体的に、低融点ガラスにフィラー成分が全体に均一に分布されるので、低融点ガラスのボイドは発生し難くし、もしくは発生しない。
【0039】
また、本実施例にかかる水晶振動子1によれば、フィラー成分をスパッタ法により低融点ガラスに含有させるので、スクリーン印刷とは異なり微細粒子によるフィラー成分の含有を行うことができ、低融点ガラスにフィラー成分を微細な粒子で均一に分布させることができる。また、スクリーン印刷では接合材の仮固着が必須の工程となっているが、本実施例にかかる水晶振動子1によればこの工程を省くことができ、工程の簡略化を図ることもできる。また、本実施例にかかる水晶振動子1によれば、スパッタ法による絶縁部72の形成により低融点ガラスの厚みを薄くして水晶振動子1の低背化を図ることができる。
【0040】
また、絶縁部72の熱膨張係数は、ベース3および蓋4と近似もしくは同一の値を有するので、熱膨張係数の相違によってベース3と蓋4との接合時にかかるストレスを抑えることができ、この接合時のストレスが原因となるガラス封止部分のクラックとかガラス封止部分の剥がれなどを防止することができる。
【0041】
また、接合材7がインナーメニスカス形成されているので、ベース3と蓋4との接合時における接合材7の接合幅を確保することができ、新たに接合材7の接合幅を確保するために本体筐体5を大きくする必要がなく、水晶振動子1の小型化を図ることができる。
【0042】
また、接合材7の導電部73が蓋4の平面視平面視各隅部に形成され、電極部363が堤部32の平面視各隅部に設けられているので、ベース3への蓋4の接合の際に接合方向が限定されることはなく、ベース3への蓋4の接合の自由度が高い。
【0043】
なお、本実施例では、圧電振動片としてATカット水晶振動片2を用いているが、これに限定されるものではなく、音叉型水晶振動片であってもよい。
【0044】
また、本実施例では、導電性接着剤81にシリコーン系樹脂を用いているが、これに限定されるものではなく、導電性の接着剤であれば他のものでもよく、例えばエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂などであってもよい。
【0045】
また、本実施例では、ベース3にセラミック材料を用いているが、これに限定されるものではなく、ベース3と蓋4と絶縁部72との熱膨張係数を近似もしくは同一の値であれば例えば、セラミック材料のベースに添加物を含有させて熱膨張係数を蓋4および絶縁部72に近似させてもよい。具体的に、ベース3の熱膨張係数を4.5〜5.5×10-6(1/℃)に設定させることを構成としてもよい。
【0046】
また、本実施例では、蓋4にコバール単体を用いているが、これに限定されるものではなく、ベース3と蓋4と絶縁部72との熱膨張係数を近似もしくは同一の値であれば任意の材料から蓋4を構成してもよい。例えば、蓋4を、ニッケル−コバールの順で積層されたものや、ニッケル−コバール−ニッケルの順で積層されたものや、42アロイ等から構成してもよい。
【0047】
また、本実施例では、接合材7の厚さが10μmであるが、これは好適な例でありこれに限定されるものではなく、20μm以下であれば任意の厚みに設定してもよい。なお、特に接合材7の厚さは10μm以下である場合、スクリーン印刷によって塗布形成した接合材では実現できない接合材7の厚みを可能とし、水晶振動子1の低背化を図ることができる。このように、水晶振動子1の小型化を図るためには接合材7の厚みをより薄くすることが望まれる。
【0048】
また、本実施例では絶縁部72と導電部73との融点が約320℃となっているが、これに限定されるものではなく、絶縁部72と導電部73との融点が、それぞれ280〜330℃に設定され、これら絶縁部72と導電部73との融点が同一もしくは近似していることが条件とされていればよい。
【0049】
また、本実施例では、絶縁部72に含有するフィラー成分にウィレマイトを用いているが、これに限定されるものではなく、絶縁部72の熱膨張係数をベース3および蓋4と近似もしくは同一の値になれば他の材料を用いてもよい。具体的に、フィラー成分にコージェライトや、燐酸ジルコニウムや、シリカフィラー系などを用いてもよい。
【0050】
また、本実施例では、低融点ガラスの構成として酸化鉛系を適用しているが、これに限定されるものではなく、絶縁部72の融点が導電部73の融点と同一もしくは近似の値であれば他の材料を用いてもよい。具体的に、鉛フリーガラスであってもよい。
【0051】
また、本実施例では、導電性接着剤81を下塗り接着剤81aと上塗り接着剤81bとから構成しているが、これに限定されるものではなく、導電性接着剤81を下塗り接着剤81aで構成してもよい。
【0052】
また、本実施例では、導電性接着剤81を接着剤として用いているが、これに限定されるものではなく、図6,7に示すように、金等からなる導電性バンプ82を接着剤として用いてFCB法により水晶振動片2がベース3に電気機械的に接合されてもよい。この場合、本体筐体5の小型化に好適な例であり、またベース3と蓋4との接合時に当該接着剤からのアウトガスの発生を無くすことができる。
【0053】
また、本実施例では、真空雰囲気中において接合材7を金属材料からなる蓋4に形成しているが、不活性ガス(窒素等)による雰囲気下において接合材7を金属材料からなる蓋4に形成してもよい。しかしながら、真空雰囲気中において接合材7を形成した場合、不活性ガス雰囲気中において接合材7を形成する場合と比較して、接合材7にボイドの発生を抑えて水晶振動子1のCI値を2/3以下に抑えることができ、真空雰囲気中において接合材7を形成することが好ましい。特に、このことは低周波数を対象とする水晶振動子1の製造に関して顕著である。
【0054】
また、本実施例では、スパッタ法により蓋4の接合領域41に接合材7を形成しているが、これに限定されるものではなく、ベース3の接合領域33と蓋4の接合領域との両方に接合材7を形成してもよく、またはベース3の領域33のみに接合材7を形成してもよい。
【0055】
具体的に、図8〜11に示すように接合材7をスパッタ法によりベース3の接合領域33にスパッタリングして形成してもよい。なお、図8,9では、ベース3の堤部32の上面全面を接合領域33とした例を示し、図10,11では、ベース3の堤部32の上面全面であって、その短辺に形成したキャスタレーション34のベース3内側を接合領域33とした例を示す。なお、接合材7を、図3〜5に示す蓋4の接合領域41と、図8〜11に示すベース3の接合領域33との両方に形成してもよい。この場合、ベース3の接合領域33に形成した接合材7を、蓋4に形成した接合材7とベース3との接合を良好にするための補助的な構成として用いることが好ましく、また、水晶振動子1の低背化を図るためにベース3の接合領域33に形成する接合材7の厚みを、蓋4に形成した接合材7の厚みより薄くすることが好ましい。
【0056】
また、本実施例では、キャスタレーション34を経由して蓋4と導電部73と電極部362とが電気的に接続されているが、これに限定されるものではなく、例えば、図10,12,13に示すようにベース3の堤部32にスルーホール321を設け、スルーホール321を経由して蓋4と導電部73と電極部362とが電気的に接続されてもよい。
【0057】
また、本実施例では、導電部73が4つ設けられているが、これに限定されるものではなく、その数は任意に設定可能であり、例えば、導電部73を蓋4の平面視四隅のうち1つの隅に1つ設けてもよい。
【0058】
また、本実施例では、電極部382を堤部32の平面視四隅に設けているが、電極部382を設ける位置はこれに限定されるものではなく、導電部73を介して蓋4と電極部362とを電気的に接続する位置であれば図13に示すような位置に電極部362を設けてもよい。図13では、電極部362が堤部32の対向する短辺中央に設けられている。なお、この図13に示すベース3に対応する蓋4では、導電部73が、蓋4の短辺に沿ってその中央に平面視円形状に形成して設けられている(図14参照)。また、図14に示すように、導電部73は、ベース3に設けられた電極部382の位置に対応させて、蓋4の平面視四隅以外の任意の位置に設けてもよく、また電極部382の形状は限定されるものではない。
【0059】
さらに、本発明は水晶振動片やIC等の他の電子部品を一体的に収納した水晶発振器、もしくは水晶振動片やIC等の他の電子部品を個別に収納した水晶発振器にも適用することができる。
【0060】
なお、本発明は、その精神や主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、圧電振動デバイスに適用でき、特に水晶振動子などに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1は、本実施例にかかる水晶振動子の概略構成図であり、図2のA−A線概略断面図である。
【図2】図2は、本実施例にかかる、水晶振動片を片保持したベースの概略平面図である。
【図3】図3は、本実施例にかかる蓋の、ベースとの接合面に接合材を形成した概略平面図と、B−B線概略断面図である。
【図4】図4は、本実施例の他の例にかかる蓋の、ベースとの接合面に接合材を形成した概略平面図と、B’−B’線概略断面図である。
【図5】図5は、本実施例の他の例にかかる蓋の、ベースとの接合面に接合材を形成した概略平面図と、B’’−B’’線概略断面図である。
【図6】図6は、本実施例の他の例にかかる水晶振動子の概略構成図であり、図7のA’−A’線概略断面図である。
【図7】図7は、本実施例の他の例にかかる、水晶振動片を片保持したベースの概略平面図である。
【図8】図8は、本実施例の他の例にかかるベースの、蓋との接合面に接合材を形成した概略平面図である。
【図9】図9は、図8に示すベースのA’’−A’’線概略断面図である。
【図10】図10は、本実施例の他の例にかかるベースの、蓋との接合面に接合材を形成した概略平面図である。
【図11】図11は、図10に示すベースのA’’’−A’’’線概略断面図である。
【図12】図12は、本実施例の他の例にかかるベースの概略構成図である。
【図13】図13は、本実施例の他の例にかかるベースの概略構成図である。
【図14】図14は、図13に示すベースに対応した蓋の、ベースとの接合面に接合材を形成した概略平面図と、B’’’−B’’’線概略断面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 水晶振動子(圧電振動デバイス)
2 水晶振動片(圧電振動片)
3 ベース
362 電極部
364 端子電極
4 蓋
7 接合材
72 絶縁部
73 導電部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電振動片を保持するベースと、前記ベースに保持した前記圧電振動片を気密封止するためにベースと接合する蓋とが設けられ、前記ベースと前記蓋とは接合材を介して接合された圧電振動デバイスにおいて、
前記蓋は、金属材料からなり、
前記接合材は絶縁部と導電部とから構成され、前記絶縁部と前記導電部との融点は同一もしくは近似し、
前記ベースには、外部と電気的に接続する端子電極に引回された電極部が設けられ、
前記蓋と前記導電部と前記電極部とが電気的に接続されたことを特徴とする圧電振動デバイス。
【請求項2】
前記ベースには、前記圧電振動片が、シリコーン系樹脂からなる接着剤を用いて接合保持され、
前記融点は、280〜330℃であることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動デバイス。
【請求項3】
前記絶縁部には、フィラー成分が全体に均一に分布された低融点ガラスが用いられたことを特徴とする請求項1または2に記載の圧電振動デバイス。
【請求項4】
前記絶縁部は、スパッタ法により形成されたことを特徴とする請求項3に記載の圧電振動デバイス。
【請求項5】
前記絶縁部の熱膨張係数は、前記ベースおよび前記蓋と近似もしくは同一の値を有することを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1つに記載の圧電振動デバイス。
【請求項1】
圧電振動片を保持するベースと、前記ベースに保持した前記圧電振動片を気密封止するためにベースと接合する蓋とが設けられ、前記ベースと前記蓋とは接合材を介して接合された圧電振動デバイスにおいて、
前記蓋は、金属材料からなり、
前記接合材は絶縁部と導電部とから構成され、前記絶縁部と前記導電部との融点は同一もしくは近似し、
前記ベースには、外部と電気的に接続する端子電極に引回された電極部が設けられ、
前記蓋と前記導電部と前記電極部とが電気的に接続されたことを特徴とする圧電振動デバイス。
【請求項2】
前記ベースには、前記圧電振動片が、シリコーン系樹脂からなる接着剤を用いて接合保持され、
前記融点は、280〜330℃であることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動デバイス。
【請求項3】
前記絶縁部には、フィラー成分が全体に均一に分布された低融点ガラスが用いられたことを特徴とする請求項1または2に記載の圧電振動デバイス。
【請求項4】
前記絶縁部は、スパッタ法により形成されたことを特徴とする請求項3に記載の圧電振動デバイス。
【請求項5】
前記絶縁部の熱膨張係数は、前記ベースおよび前記蓋と近似もしくは同一の値を有することを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1つに記載の圧電振動デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−271093(P2008−271093A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−110388(P2007−110388)
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】
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