説明

圧電振動片、圧電デバイスおよび圧電振動片の製造方法

【課題】励振電極と導通する電極パターンの断線を防止した圧電振動片、圧電デバイスおよび圧電振動片の製造方法を提供する。
【解決手段】圧電振動片は、圧電素板12の主面12a,12bに励振電極30を設けるとともに、圧電素板12を片持ち支持する基端18側に励振電極30に導通した電極パターン32を設けたものである。そして圧電振動片は、圧電素板12の外形を形成するときのウエットエッチングによって圧電素板12の一方の主面12a,12bと側面12cとのなす角が鈍角になった入り込み22に、電極パターン32を引き回している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動片、圧電デバイスおよび圧電振動片の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
圧電振動片は、1枚の圧電ウエハから複数の圧電振動片を形成している。そして特許文献1に記載された発明では、ATカット等の水晶基板から複数の水晶片を得ている。具体的には、この水晶片を得るために、まず水晶基板上に金属膜を形成した後、圧電振動片等の外形パターンに倣ったフォトレジストパターンを金属膜上に設けている。そしてフォトレジストパターンを保護膜として用いて金属膜をエッチングした後、フォトレジストパターンと金属膜パターンを保護膜として用いて水晶基板をエッチングし、水晶片やアーム部、フレーム部を形成する。なお水晶片の基端側は−X方向になっており、アーム部を介してフレーム部に固定されている。また水晶片の先端側は+X方向になっている。この後、フォトレジストパターンや金属膜を剥離して、水晶片に電極を形成することにより、水晶片集合体を得ている。次に、水晶片をアーム部から折り取ることにより、水晶片を個片化している。
また特許文献2に記載された水晶振動片は片端保持されるようになっており、−X側が自由端となり、+X側が固定端となるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−186847号公報(6頁、図1,2)
【特許文献2】特開2005−130218号公報(段落0023)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したように、特許文献1に記載された水晶片をフレームから折り取る前は、−X方向にある水晶片の基端側がフレーム部に固定され、+X方向が先端側になっている。このような水晶片では、水晶片の外形を形成するときに先端側の角部がエッチングされてしまい、チップの内側への大きな入り込みが生じてしまう。すなわち水晶片の先端側は、チップの内側から外方に向けて徐々に肉薄になってしまう。
【0005】
ところで水晶片をパッケージに搭載した水晶振動子等では、落下等により衝撃が加わった場合でも水晶片が撓むのを防止する必要がある。このためパッケージ内部の底面に「まくら」を設けて、水晶片の先端側を支えるようにし、水晶片が撓むのを防止している。ところが前述したような、入り込みが形成された水晶片が「まくら」に支えられている場合には、水晶片が肉薄になっているので衝撃等に対して弱くなっているから、落下等によって水晶片が破損してしまう可能性がある。よって水晶片を搭載したデバイスの信頼性(耐衝撃性)が悪化してしまう。
【0006】
また水晶片の主面には励振電極が形成される。しかしながら、入り込みが大きくなってしまうと励振電極を形成する部分にまで達してしまい、励振電極に形状的な影響が発生してしまう。また水晶片がメサ型になっている場合は、この肉厚になっているメサ部の形状的影響が発生してしまう。したがって、これらの場合には、水晶片の振動領域が阻害されてしまい、水晶片の諸特性が悪化してしまう。
【0007】
さらに特許文献1に記載された水晶片の基端はアーム部とつながっているが、当該支持部付近の形状がエッチングによって複雑化してしまう。このような水晶片をアーム部から折り取るときには、破断クズが大量に発生してしまい、また折り取り時に大きな残さ(バリ)が発生してしまう。そして大きな残さが発生した水晶片をパッケージに搭載した場合では、パッケージマウント時にパッケージの導電性を有する壁面と接触してしまい、水晶片が発振しない等の問題が生じてしまう。
なお特許文献2には、水晶片に電極パターンをどのように引き回すかについての記載がない。
【0008】
本発明は、励振電極と導通する電極パターンの断線を防止した圧電振動片、圧電デバイスおよび圧電振動片の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0010】
[適用例1]圧電素板の主面に励振電極を設けるとともに、前記圧電素板を片持ち支持する基端側に前記励振電極に導通した電極パターンを設け、前記圧電素板の外形を形成するときのウエットエッチングによって、前記圧電素板の一方の主面と側面とのなす角が鈍角になった入り込みを形成してなり、前記入り込みに前記電極パターンを引き回した、ことを特徴とする圧電振動片。
このように鈍角の部分に電極パターンを設けているので、電極パターンの断線を防止できる。また圧電振動片は、入り込みが生じた部分に電極パターンを設けているので、励振電極は入り込みが生じていない部分に設けることになる。このため励振電極を設ける部分の圧電素板の形状がエッチングによって変形することを防止できるので、励振電極の形状が変わってしまうことも防止できる。また励振電極を設ける部分に入り込みが生じていないことにより、圧電振動片の剛性を向上できる。
【0011】
[適用例2]前記圧電素板は、ATカット水晶素板であり、前記基端と前記圧電素板の先端とを結ぶ方向は水晶の結晶軸のX軸に沿い、前記基端は、前記先端よりも+X側にある、ことを特徴とする適用例1に記載の圧電振動片。
これにより入り込みは、X軸に沿う辺における+X側に形成されるので、励振電極を−X側に、電極パターンを+X側に設けることができる。よって圧電素板の先端側の形状がエッチングによって変形するのを防止できる。
【0012】
[適用例3]前記圧電素板を片持ち支持する前記基端側の辺に支持部につながる連結部を設け、前記ウエットエッチングによって前記圧電振動片の前記基端とつながる箇所の前記連結部を細くする入り込みを設けたことを特徴とする適用例1または2に記載の圧電振動片。
圧電素板の基端側は、エッチングによって減肉できるので、圧電素板を圧電ウエハから折り取る箇所の断面積を小さくできる。よって圧電素板に弱い力をかけるだけで折り取ることができ、また意図している箇所で折り取ることができるので、破断クズの発生を防止でき、残さが発生するのを防止できる。
【0013】
[適用例4]適用例1ないし3のいずれかに記載の圧電振動片をパッケージに搭載したことを特徴とする圧電デバイス。
圧電デバイスは、前述した特長を有するメサ型圧電振動片を搭載しているので、メサ型圧電振動片を凹陥部に入れることができ、またパッケージの壁面と導電性接着剤とが接触してしまうことを防止できる。さらに落下等による衝撃が圧電デバイスに加わったとしても、圧電振動片の先端側に圧電振動片が破損してしまうことを防止できる。よって圧電デバイスの信頼性(耐衝撃性)を向上できる。
【0014】
[適用例5]前記入り込みに引き回した前記電極パターンに導電性接着剤を設けて、前記圧電振動片と前記パッケージ側とを導通したことを特徴とする適用例4に記載の圧電デバイス。
これにより導電性接着剤と励振電極との導通を確実に取ることができる。
【0015】
[適用例6]ATカット水晶ウエハをウエットエッチングして、水晶結晶軸の+X側を先端とし−X側を基端とする圧電振動片と、前記圧電振動片の前記基端と水晶ウエハ本体とをつなげる連結部とを形成するとともに、前記ウエットエッチングによって前記圧電振動片と前記連結部との間に前記連結部を細くする入り込みを形成し、前記入り込みが生じた箇所から前記圧電振動片を折り取って個片化する、ことを特徴とする圧電振動片の製造方法。
入り込みが形成された箇所は、ATカット水晶ウエハの厚さよりも細くなっている。このため圧電振動片を水晶ウエハ本体から折り取り易くでき、破断クズの発生も少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】圧電振動片の説明図である。
【図2】メサ型圧電振動片を形成した圧電ウエハの一部を拡大した概略平面図である。
【図3】メサ型圧電振動片と連結部とがつながっている部分の説明図である。
【図4】メサ型圧電デバイスの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る圧電振動片、圧電デバイスおよび圧電振動片の製造方法の最良の実施形態について説明する。なお以下では、圧電振動片の一例としてメサ型圧電振動片を用いた形態について説明するが、本発明はこの形態に限定されることはない。すなわち本発明に係る圧電振動片は、メサ型以外の形状であってもよく、例えばフラット板型等であってもよい。
【0018】
まずメサ型圧電振動片について説明する。図1は圧電振動片の説明図である。ここで図1(A)はメサ型圧電振動片の平面図、図1(B)は同図(A)のA−A線における断面図である。メサ型圧電振動片10は、圧電素板12を有している。この圧電素板12は、肉厚部14と、この肉厚部14よりも薄く形成した肉薄部16とを有している。肉薄部16は、肉厚部14に隣接し、且つ、肉厚部14の高さ方向の中央部に設けてある。この圧電素板12の具体的な一例としては、ATカット水晶素板を挙げることができる。このATカット水晶素板を用いたメサ型圧電振動片10は、図1(A)に示すように、長辺がX軸に沿い、短辺がZZ’軸に沿っている。そしてメサ型圧電振動片10の基端18側が+X側になり、先端20側が−X側になっている。
【0019】
このため圧電素板12は、これの外形パターンを形成するときにウエットエッチングをすると、長辺における基端18側の側面12cがエッチングされ、入り込み22が形成される。この入り込み22は、図1(B)に示すように、2つの長辺のうち−ZZ’側に形成されるものが上方の主面12a側をエッチングしており、+ZZ’側に形成されるものが下方の主面12b側をエッチングしている。これより上方の主面12aと−ZZ’側の入り込み22とのなす角は鈍角となり、また下方の主面12bと+ZZ’側の入り込み22とのなす角は鈍角となる。
【0020】
このような圧電素板12では、肉厚部14の主面にそれぞれ励振電極30が設けてある。また圧電素板12の基端18側の両角部には、それぞれ電極パターン32(マウント電極34)が設けてある。マウント電極34は、引き出し電極36(電極パターン32)によって、励振電極30と1対1に導通している。このマウント電極34は、圧電素板12(肉薄部16)の上方の主面12a、下方の主面12bおよび側面12cに設けてある。これにより上方の主面12aに設けたマウント電極34と、下方の主面12bに設けたマウント電極34とが、側面12cを介して導通することになる。またマウント電極34は、入り込み22の表面にも設けてある。これによりマウント電極34は、圧電素板12(肉薄部16)の主面12a,12bと入り込み22とのなす角が鈍角となっている箇所において断線し難くなる。
【0021】
そしてメサ型圧電振動片10の製造方法の一例は、次のようになっている。図2はメサ型圧電振動片を形成した圧電ウエハの一部を拡大した概略平面図である。図3はメサ型圧電振動片と連結部とがつながっている部分の説明図である。ここで図3(A)は平面図、図3(B)は同図(A)の破線B−B’における断面図、図3(C)は同図(A)の破線C−C’における断面図である。
【0022】
まず圧電素板12、すなわち肉厚部14およびこれの周囲に設けた肉薄部16は、フォトリソグラフィおよびエッチングを用いた加工により形成できる。具体的な圧電素板12の形成工程は、次のようになっている。まず圧電ウエハ40の表面に金属膜のマスクを形成した後、このマスクの開口部分に露出した圧電ウエハ40をウエットエッチングして、圧電素板12、1枚の圧電ウエハ40から複数の圧電素板12を得るために形成される支持部42、この支持部42と圧電素板12をつなぐ連結部44、および複数の支持部42を連結する枠部46等の外形を形成する。なお支持部42と枠部46が圧電ウエハ本体となる。また圧電ウエハがATカット水晶ウエハであれば、支持部42と枠部46が水晶ウエハ本体となる。さらに圧電ウエハがATカット水晶ウエハであれば、図2に示すように、圧電素板12の基端18側が水晶結晶軸の+X方向になり、先端20側が−X方向になり、圧電素板12の幅方向が水晶結晶軸のZZ’軸に沿っている。
【0023】
次に、肉厚部14を形成するために、この肉厚部14が形成される部分に対応した箇所を金属膜のマスクで覆い、このマスクの開口部分をウエットエッチングする。これにより圧電素板12に肉薄部16が形成され、マスクとなっている金属膜を除去すると、圧電ウエハ40は図2に一例を示すような形状となり、1枚の圧電ウエハ40から複数の圧電素板12を得ることができる。なお図2では、肉厚部14や切り欠き部48、入り込み22等の記載を省略している。
【0024】
そして得られた圧電ウエハ40では、メサ型圧電振動片10を圧電ウエハ40から折り取り易くするために、圧電素板12と連結部44との間に切り欠き部48を設けている(図3を参照)。この切り欠き部48は、図3(A)に示すように、圧電素板12の長辺と連結部44のX軸に沿った辺とがつながる箇所に設けられており、且つ、圧電素板12の上方の主面12aから下方の主面12bにかけて切り欠いている。また圧電素板12と連結部44との間では、図3(B),(C)に示すように圧電素板12の短辺方向に沿って溝50が形成されており、圧電素板12は下方の主面12b側において連結部44と一体につながっている。なお溝50は、ウエットエッチングによって形成された入り込みである。このためメサ型圧電振動片10の基端18とつながる箇所の連結部44は、前記圧電ウエハ本体よりも細くなっている。
また図3(A)に示すように、圧電素板12の下方の主面12bには、入り込み22が形成されている。このような切り欠き部48を設けることにより、メサ型圧電振動片10を圧電ウエハ40から折り取り易くしている。
【0025】
そして圧電ウエハ40に圧電素板12を形成した後は、圧電素板12の表面に励振電極30やマウント電極34、引き出し電極36を形成する。これらの電極30,34,36は、当該電極形状に倣ったパターンの電極用の金属膜を圧電素板12の表面に形成して得ればよい。この場合、圧電素板12の入り込み22の表面にも電極用の金属膜が形成されるので、主面12a,12bと入り込み22とのなす角が鈍角となっている箇所での電極パターン32の断線を防止している。これにより圧電ウエハ40につながっているメサ型圧電振動片10が形成される。
この後、メサ型圧電振動片10を連結部44から折り取ると、図1に示すように個片化されたメサ型圧電振動片10を得る。なおメサ型圧電振動片10は、連結部44に形成された入り込み(溝50)の部分で折り取っている。
【0026】
このようなメサ型圧電振動片10によれば、主面12a,12bとのなす角が鈍角になっている入り込み22にも電極パターン32を設けているので、電極パターン32の断線を防止できる。
【0027】
またメサ型圧電振動片10は、エッチングによる入り込み22が生じた基端18側にマウント電極34を設けているので、圧電素板12の先端20側に入り込み22が生じていない。このため先端20側の形状がエッチングによって変形することを防止できるので、肉厚部14の形状が変形することも防止できる。これによりメサ型圧電振動片10の剛性を向上でき、また肉厚部14や励振電極30の形状が変わってしまうことを防止できる。そして圧電素板12の平面サイズが小さくなったときでも振動領域を確保できる。
【0028】
またメサ型圧電振動片10と連結部44がつながっている箇所の形状(折り取り時に破断させたい部分の形状)は、図3に示すように簡単な形状になっているので、メサ型圧電振動片10を連結部44から折り取り易くできる。すなわち圧電素板12の基端18側は、エッチングによって減肉されるので、折り取る箇所の断面積を小さくできる。これにより折り取るときに強い力をかけてしまい、意図していないところから破断するのを防止できる。また折り取るときの破断クズの発生を防止できるので、振動領域に破断クズが付いて、クリスタルインピーダンス値が高くなり、Q値が劣化してしまうのを防止できる。さらに破断時に残さ(バリ)の発生を防止できるので、この残さがメサ型圧電振動片10をパッケージに搭載したときに壁面へ接触するのを防止できる。
【0029】
次に、前述したメサ型圧電振動片10を搭載した圧電デバイス(メサ型圧電デバイス)について説明する。図4はメサ型圧電デバイスの説明図である。なお図4では、励振電極30や電極パターン32等の記載を省略している。メサ型圧電デバイス60は、前記パッケージ62を備えている。このパッケージ62は、パッケージベース64および蓋体72を有している。パッケージベース64は、上方に向けて開口した凹陥部66を備えており、この凹陥部66の底面に一対のパッケージ側マウント電極68を備えている。またパッケージベース64の裏面には外部端子70が設けてあり、パッケージ側マウント電極68と1対1に導通している。
【0030】
なおパッケージベース64は、平板状の絶縁シートの上面に枠型のシームリングを配設して、凹陥部66を形成した形態であってもよい。この場合、絶縁シートの上面にパッケージ側マウント電極68を設けるとともに、下面に外部端子70を設けていればよい。これによりパッケージベース64の側壁がシームリングで形成されることになるので、このシームリング上に蓋体72を直接に接合でき、パッケージ62を薄型化できる。
【0031】
そしてパッケージ側マウント電極68の上には導電性接着剤74を塗布しており、この導電性接着剤74の上にメサ型圧電振動片10を配設している。このとき導電性接着剤74はマウント電極34に接合しており、図1に示す形態のメサ型圧電振動片10では、入り込み22にも導電性接着剤74が接合している。これにより圧電素板12(肉薄部16)の上方の主面12aとのなす角が鈍角になっている入り込み22(圧電素板12の長辺のうち−ZZ’側に形成された入り込み22)にも導電性接着剤74が接触するので、パッケージ側マウント電極68とメサ型圧電振動片10の励振電極30とが導電性接着剤74を介して1対1に確実に導通する。
このようにメサ型圧電振動片10を搭載したパッケージベース64の上面に蓋体72を接合して、凹陥部66を気密封止している。
【0032】
このようなメサ型圧電デバイス60によれば、エッチングの残さが生じるのを抑圧したメサ型圧電振動片10を搭載しているので、メサ型圧電振動片10とパッケージ62の側壁とが接触するのを防いでいる。ここでメサ型圧電振動片に残さが有ると、この残さによって導電性接着剤が凹陥部の壁面に接触してしまい、不良品となってしまう可能性がある。また残さが長いとメサ型圧電振動片を凹陥部内に入れることができなくなってしまう。これに対し、本実施形態に係るメサ型圧電振動片10は残さがないので、メサ型圧電振動片10を凹陥部66に入れることができ、また導電性接着剤74と凹陥部66の壁面とが接触して導通してしまうことを防止できる。
【0033】
またメサ型圧電振動片10は先端20側に入り込み22が生じていないので、このメサ型圧電振動片10をパッケージ62に片持ち実装したときの自由端側に入り込み22が生じていないことになる。このためメサ型圧電デバイス60が落下等して衝撃が生じたとしても、メサ型圧電振動片10が破損してしまうことを防止できる。よってメサ型圧電デバイス60の信頼性(耐衝撃性)を向上できる。
【0034】
なおメサ型圧電デバイス60は、図4に示すようなメサ型圧電振動子の形態ばかりでなく、メサ型圧電振動片10とともに発振回路をパッケージ62内に収容したメサ型圧電発振器の形態にすることもできる。
【符号の説明】
【0035】
10………メサ型圧電振動片、12………圧電素板、12a………上方の主面、12b………下方の主面、12c………側面、14………肉厚部、16………肉薄部、18………基端、20………先端、22………入り込み、30………励振電極、32………電極パターン、40………圧電ウエハ、42………支持部、44………連結部、48………切り欠き部、60………メサ型圧電デバイス、62………パッケージ、74………導電性接着剤。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素板の主面に励振電極を設けるとともに、前記圧電素板を片持ち支持する基端側に前記励振電極に導通した電極パターンを設け、
前記圧電素板の外形を形成するときのウエットエッチングによって、前記圧電素板の一方の主面と側面とのなす角が鈍角になった入り込みを形成してなり、
前記入り込みに前記電極パターンを引き回した、
ことを特徴とする圧電振動片。
【請求項2】
前記圧電素板は、ATカット水晶素板であり、
前記基端と前記圧電素板の先端とを結ぶ方向は水晶の結晶軸のX軸に沿い、前記基端は、前記先端よりも+X側にある、
ことを特徴とする請求項1に記載の圧電振動片。
【請求項3】
前記圧電素板を片持ち支持する前記基端側の辺に支持部につながる連結部を設け、前記ウエットエッチングによって前記圧電振動片の前記基端とつながる箇所の前記連結部を細くする入り込みを設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の圧電振動片。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の圧電振動片をパッケージに搭載したことを特徴とする圧電デバイス。
【請求項5】
前記入り込みに引き回した前記電極パターンに導電性接着剤を設けて、前記圧電振動片と前記パッケージ側とを導通したことを特徴とする請求項4に記載の圧電デバイス。
【請求項6】
ATカット水晶ウエハをウエットエッチングして、水晶結晶軸の+X側を先端とし−X側を基端とする圧電振動片と、前記圧電振動片の前記基端と水晶ウエハ本体とをつなげる連結部とを形成するとともに、前記ウエットエッチングによって前記圧電振動片と前記連結部との間に前記連結部を細くする入り込みを形成し、
前記入り込みが生じた箇所から前記圧電振動片を折り取って個片化する、
ことを特徴とする圧電振動片の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−102487(P2013−102487A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−286195(P2012−286195)
【出願日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【分割の表示】特願2007−302859(P2007−302859)の分割
【原出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】