説明

地図作成装置および地図作成プログラム

【課題】出発地から目的地までの経路を辿る上で、判断の拠り所となる文字列が見易く配置された地図を作成できる地図作成装置および地図作成プログラムを提供すること。
【解決手段】印刷出力された地図30を見ながら、出発地から目的地までの経路をユーザが辿る際、ユーザが進行方向に応じて地図30の向きを回転させる場合がある。このような場合であっても、地図30によれば、第1種文字列36Aが、進行方向に応じた向きで配置されているので、ユーザが現在位置する道路32において判断の拠り所となる第1種文字列36Aが、常に、ユーザの進行方向に合わせた向きで配置され、ユーザにとって第1種文字列36Aが見易い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図作成装置および地図作成プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ユーザが所望する目的地までの経路を示す地図データを出力する装置が知られている。例えば、特許文献1には、車両用ナビゲーション装置が開示されており、案内経路に沿って表示される施設の敷地と案内経路とが重なったり、接したりする場合に、施設名の表示を強調表示することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−46570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、車両用ナビゲーション装置の場合、ユーザの進行方向と地図の上方向とが一致するように、地図が逐次更新される。しかしながら、紙媒体の地図の場合は、ユーザ自身が、進行方向に応じて地図を回転させながら、目的地までの経路を辿る場合がある。すなわち、一般的に、地図は上方が北を指すように作図されている。よって、例えば、南へ向かって進行する間、ユーザは、地図の上下を逆さまにする。この場合、ユーザは、地図内の文字を上下逆さまの状態で読まなくてはならない。このように、ユーザ自身が地図を回転させながら経路を辿る場合、地図上の文字が読み難くなるという問題が発生する。
【0005】
なお、携帯電話など、各種の携帯情報端末に表示された地図を見ながら、ユーザが経路を辿る場合においても、当該携帯情報端末に表示される地図が、ユーザの進行方向に応じて回転するものではない場合、紙媒体の地図と同様の問題が発生する。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、出発地から目的地までの経路を辿る上で、判断の拠り所となる文字列が見易く配置された地図を作成できる地図作成装置および地図作成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明の地図作成装置は、出発地と目的地とを含む地図を作成するための地図情報を取得する地図取得手段と、前記地図上の道路のうち、前記出発地から前記目的地に至るまでの経路として選択された道路を示す経路情報を取得する経路取得手段と、前記経路情報に基づき前記経路として選択される各道路について、前記出発地から前記目的地へ向けて進行する場合における進行方向を取得する進行方向取得手段と、前記地図に配置される文字列に対応した文字情報を取得する文字列取得手段と、前記文字列取得手段により取得される前記文字情報に対応した文字列のうち、前記経路として選択される各道路から所定範囲内に配置される文字列を、第1種文字列として選択する第1選択手段と、前記経路情報に基づき前記経路として選択される道路のうち、一の道路の進行方向と、他の道路の進行方向とが異なる場合、前記一の道路から前記所定範囲内に配置される前記第1種文字列と、前記他の道路から前記所定範囲内に配置される前記第1種文字列との態様が異なるように、前記第1選択手段により選択された前記第1種文字列の各々について前記進行方向に応じた態様を決定する態様決定手段と、前記態様決定手段により決定された態様で、前記第1種文字列の各々が配置された地図を、前記地図取得手段により取得された前記地図情報および前記文字列取得手段により取得された前記文字情報を用いて作成する作成手段とを備える。
【0008】
上記の地図作成装置において、前記態様決定手段は、前記第1種文字列が、当該第1種文字列が前記所定範囲内に配置される道路における進行方向に応じた向きで、前記地図に配置されるように、前記第1種文字列の各々について配置の向きを決定しても良い。
【0009】
なお、本発明は、地図作成装置を制御する制御装置、地図作成方法、地図作成プログラム、当該地図作成プログラムを記録する記録媒体等の種々の態様で構成できる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の地図作成装置によれば、経路として選択される道路のうち、一の道路の進行方向と、他の道路の進行方向とが異なる場合、前記一の道路から所定範囲内に配置される第1種文字列と、前記他の道路から所定範囲内に配置される第1種文字列との態様が異なるように地図が作成される。よって、出発地から目的地までの経路を辿る上で判断の拠り所となる第1種文字列が、ユーザにとって見易く配置された地図を作成できるという効果がある。
【0011】
請求項2記載の地図作成装置によれば、請求項1の奏する効果に加え、第1種文字列は、当該第1種文字列が所定範囲内に配置される道路における進行方向に応じた向きで地図に配置されるので、ユーザが進行方向に応じて地図の向きを変更する場合であっても、第1種文字列がユーザにとって見難くなることを抑制できる。
【0012】
請求項3記載の地図作成装置によれば、請求項1または2の奏する効果に加え、前記第1種文字列が、当該第1種文字列が所定範囲内に配置される道路における進行方向を文字の上方向とする向きで配置されるので、ユーザにとっては、現時点における進行方向を上に向けて地図を閲覧する場合において、第1種文字列の視認性が良いという効果がある。
【0013】
請求項4記載の地図作成装置によれば、請求項1から3のいずれかの奏する効果に加え、湾曲する道路から所定範囲内に配置される第1種文字列についても、適切な向きを決定できるという効果がある。
【0014】
請求項5記載の地図作成装置によれば、請求項2から4のいずれかの奏する効果に加え、進行方向が互いに異なる2以上の道路の所定範囲内に配置される第1種文字列について、適切な向きを決定できるという効果がある。
【0015】
請求項6記載の地図作成装置によれば、請求項1から5のいずれかの奏する効果に加え、経路を辿る上で判断の拠り所となる第1種文字列を適切に選択できるという効果がある。
【0016】
請求項7記載の地図作成装置によれば、請求項1から6のいずれかの奏する効果に加え、経路として選択される道路の所定範囲外に配置される文字列は、予め定められた態様で地図に配置されるので、ユーザにとっては、経路として選択される道路の所定範囲内に配置される文字列と、所定範囲外に配置される文字列とを容易に識別できるという効果がある。
【0017】
請求項8記載の地図作成装置によれば、請求項1から7のいずれかの奏する効果に加え、経路として選択された道路が、第1種文字列によって見難くならないように、第1種文字列を配置できるという効果がある。
【0018】
請求項9記載の地図作成プログラムを実行するコンピュータによれば、請求項1記載の地図作成装置と同様の作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態であるプリンタドライバを搭載したPCと、当該PCに接続されたプリンタとの電気的構成を示すブロック図である。
【図2】(a)地図情報に基づいて描画される地図の一例を示す図であり、(b)は、道路情報の一例を模式的に示す図であり、(c)は、ポイント情報の一例を模式的に示す図である。
【図3】PCが実行する地図作成処理により作成される地図の一例を示す図である。
【図4】PCのCPUによって実行される地図作成処理を示すフローチャートである。
【図5】PCのCPUによって実行される文字回転処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の地図作成プログラムの一実施形態であるプリンタドライバ14aを搭載したパーソナルコンピュータ10(以下、PC10と称する)と、PC10に接続されたプリンタ20の電気的な概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、PC10とプリンタ20とは、LAN回線4を介して接続されている。また、LAN回線4は、ルータ(図示せず)を介してインターネット8に接続されている。
【0021】
プリンタドライバ14aは、地図の印刷をプリンタ20に実行させるプログラムである。特に、本実施形態のプリンタドライバ14aがプリンタ20に印刷させる地図は、出発地から目的地までの経路を辿る上で、判断の拠り所となる文字列がユーザにとって見易く配置されたものである。以下、詳細を説明する。
【0022】
PC10は、CPU11、ROM12、RAM13、ハードディスクドライブ14(以下、HDD14と称す)、LANインターフェイス16(以下、LANI/F16)、入力装置17、LCD18とを主に有し、これらはバスライン19を介して互いに接続されている。
【0023】
CPU11は、ROM12やHDD14に記憶される固定値やプログラムに従って、バスライン19により接続された各部を制御する。ROM12は、PC10の動作を制御するためのプログラムなどが格納されたメモリであり、RAM13は、CPU11の処理に必要なデータなどを一時的に記憶するための読み書き可能なメモリであり、地図関連メモリ13a、地図描画メモリ13bが設けられる。地図関連メモリ13aに格納される情報については、図2を参照して後述する。地図描画メモリ13bに描画される地図については、図3を参照して後述する。
【0024】
HDD14には、プリンタドライバ14aが格納される。プリンタドライバ14aは、プリンタ20を制御するためのプログラムである。CPU11は、プリンタドライバ14aを実行することにより、後述する地図作成処理(図4)を実行する。LANI/F16は、PC10をLAN回線4に接続するものである。入力装置17は、PC10に指示や情報を入力するためのものである。LCD18は、各種情報を表示する。
【0025】
プリンタ20は、CPU21、ROM22、RAM23、LANインターフェイス24(以下、LANI/F24)、操作キー25、LCD26、印刷部27を主に有し、これらはバスライン28を介してお互いに接続されている。
【0026】
CPU21は、ROM22に記憶されているプログラムに従って様々な処理を実行する。ROM22は、プリンタ20の動作を制御するプログラムなどを格納するメモリである。RAM23は、CPU21の処理に必要なデータなどを一時的に記憶するためのメモリである。
【0027】
操作キー25は、プリンタ20に指示や情報を入力するためのものである。LCD26は、各種情報を表示する。プリンタ20は、LANI/F24を介してPC10から入力される印刷データに基づいて印刷部27を駆動し、画像を印刷する。
【0028】
図2を参照して、地図関連情報について説明する。PC10は、地図を描画するための地図関連情報を、例えば、インターネット8上の地図検索サイトまたはHDD14にインストールされた地図アプリケーション(図示せず)などから取得し、地図関連メモリ13aに格納する。
【0029】
地図関連情報には、地図情報、道路情報、ポイント情報が含まれる。図2(a)は、地図情報に基づいて描画される地図30の一例を示す図である。地図情報は、地図30を構成する各画素の画素値が格納された画像データである。地図30の左上頂点を原点とし、地図30の左右方向(東西方向)をX方向とし、上下方向(南北方向)をY方向とするXY座標系の座標(x,y)により、地図30内の各画素が特定される。
【0030】
図2(a)に示すように、本実施形態において、地図30は、画像の上方が北方向を指し示すように作図されているものとする。また、地図30には、構成要素として、道路32、鉄道記号33、マーク34が含まれる。道路32は、実際の道路の配置を示す画像であり、鉄道記号33は、実際の路線を示す画像であり、マーク34は、建造物等の所在地を示す画像である。
【0031】
図2(b)は、道路情報の一例を模式的に示す図である。道路情報は、地図30を構成する各画素のうち、道路32を構成する画素と、道路32を構成しない画素とを区別するための情報である。この道路情報に基づいて、出発地から目的地に至るまでの経路となる道路32が決定される。
【0032】
図2(c)は、ポイント情報の一例を模式的に示す図である。ポイント情報は、地図30に文字列36(図3を参照して後述)を配置するために用いられる情報である。図2(c)に示すように、ポイント情報は、「ID」と、「座標」と、「名称」とをひとまとまりとする情報である。「ID」は、各ポイント情報に割り当てられた管理番号である。「座標」は、文字列36を地図30に配置する際の基準位置を示す座標情報である。道路32の名称を示す文字列36については、基準位置が道路32の近傍に設定される。路線や駅の名称を示す文字列36については、基準位置が鉄道記号33の近傍に設定される。建造物や施設等の名称を示す文字列36については、基準位置がマーク34の近傍に設定される。「名称」は、地図30に配置されるべき文字列36に対応した文字情報であり、建造物、道路、路線、駅、建造物、施設等の名称である。
【0033】
図3は、PC10が実行する地図作成処理により作成される地図30の一例を示す図である。なお、本実施形態において、「地図を作成する」とは、地図情報に基づいて、地図描画メモリ13bに地図30を描画し、さらに、地図30に、文字列36、出発地38、目的地40、経路を示す矢印42を配置することを意味している。
【0034】
図3に示すように、PC10は、地図30に含まれる道路32のうち、出発地38から目的地40に至るまでの経路として選択された道路32に重ねて、矢印42を描画する。この矢印42は、出発地から目的地へ向けて進行する場合における進行方向を示すものでもある。なお、出発地38および目的地40は、ユーザによって設定される。また、出発地38から目的地40までの経路の選択は公知の処理であるため、詳細な説明は省略する。
【0035】
次に、PC10は、地図30に配置されるべき文字列36のうち、経路として選択される各道路32から所定範囲内に配置される文字列36を、第1種文字列36Aとして選択する。そして、各第1種文字列36Aを、進行方向に応じた向き、具体的には、進行方向を文字の上方向とする向きで配置する。
【0036】
このようにして作成された地図30を、例えば、プリンタ20に印刷出力させる場合、以下の効果が得られる。印刷出力された地図30を見ながら、出発地38から目的地40までの経路をユーザが辿る際、ユーザが進行方向に応じて地図30の向きを回転させる場合がある。このような場合であっても、地図30によれば、第1種文字列36Aが、進行方向に応じた向きで配置されているので、ユーザは、常に、第1種文字列36Aを正しい向きで読むことができ、ユーザにとって第1種文字列36Aが見易い。
【0037】
例えば、南方向へ向かう道路32から所定範囲内に配置された第1種文字列36Aである「名古屋テレビ塔」は、地図30において、上下逆に配置される。したがって、南方向へ進行するユーザが、地図30の上下を逆さまにする場合(すなわち地図30における南方向を上方に向ける場合)、第1種文字列36A「名古屋テレビ塔」は、ユーザにとって、上下の向きが正しくなる。
【0038】
このように、経路として選択された道路を実際に進行するユーザが、地図30を閲覧する場合に、今いる道路が正しいか否かの判断の拠り所となる第1種文字列36Aを、常に正しい向きで読むことができ、地図30の視認性が良い。
【0039】
また、地図30によれば、経路として選択される道路32のうち、一の道路の進行方向と、他の道路の進行方向とが異なる場合、一の道路32から所定範囲内に配置される第1種文字列36Aと、他の道路32から所定範囲内に配置される第1種文字列36Aとの態様(本実施形態の場合は文字の向き)が異なる。よって、地図30を見ながら、経路を辿るユーザにとっては、経路を辿る上での判断の拠り所となる第1種文字列36Aを直感的に把握しやすく、第1種文字列36Aの視認性が良い。
【0040】
また、本実施形態の地図作成処理においては、ある第1種文字列36Aが、進行方向が互いに異なる2以上の道路32の所定範囲内に存在する場合、2以上の道路32のうち、出発地38から目的地40へ向けて進行する場合における通過順序が最も早い道路32における進行方向に応じた向きで、当該第1種文字列36Aが配置される。
【0041】
例えば、図3に示す例においては、第1種文字列36A「栄駅」は、経路として選択される2以上の道路32の所定範囲内に位置する。そして、一方の道路32における進行方向は南向きであり、他方の道路32における進行方向は東向きである。図3に示す例においては、進行方向を南向きとする道路32が、通過順序においてより早い。よって、図3に示す例においては、第1種文字列36A「栄駅」は、地図30の南方向が文字の上方向となるように配置される。
【0042】
ユーザは、現在位置よりも前方にある建造物などを目印として意識しつつ進行する場合が多い。よって、より通過順序が早い道路32に合わせて、第1種文字列36Aを配置することにより、適切な向きで配置できる。
【0043】
なお、地図30に配置される文字列36のうち、経路として選択される道路32の所定範囲外に配置される文字列(以下、第2種文字列36Bと称する)は、予め定められた態様で配置される。このようにすれば、ユーザにとっては、第1種文字列36Aと第2種文字列36Bとを容易に識別でき、地図30に配置される文字列の視認性が良い。すなわち、経路を辿る上で判断の拠り所となる可能性が高い第1種文字列36Aと、経路を辿る上では必要性が低い第2種文字列36Bとを容易に区別できる。
【0044】
ここで、「予め定められた態様で配置」とは、原則として、文字の上方が、地図30の上方(地図30における北方向)を向くように配置することを意味している。ただし、道路や鉄道の名称を表す文字列36については、道路32や鉄道記号33に沿った向きで配置することが予め定められている場合があるため、その場合は、道路32や路線に沿った向きで配置することが、「予め定められた態様で配置」することに相当する。
【0045】
図4は、PC10のCPU11によって実行される地図作成処理を示すフローチャートである。この処理は、地図関連情報に含まれる地図情報およびポイント情報を用いて、文字列36が配置された地図30を作成する処理であって、プリンタドライバ14aに従って実行される。この処理は、ユーザが出発地と目的地とを設定した上で、地図30の印刷出力を指示した場合に開始される。
【0046】
まず、ステップS402(以下、ステップを省略)において、CPU11は、地図関連情報を取得し、地図関連メモリ13aに格納する(S402)。上述したように、地図関連情報には、地図情報、道路情報、ポイント情報が含まれる。
【0047】
次に、CPU11は、出発地と目的地とに基づいて経路を決定し、地図30上の道路32のうち、出発地から目的地に至るまでの経路として選択された道路32を示す経路情報を取得する(S404)。ただし、経路の決定は、地図検索サイトまたは地図アプリケーションの経路決定機能を利用しても良い。また、S404において取得する経路情報には、経路として選択される各道路32について、出発地から目的地へ向けて進行する場合における通過順序、および、出発地から目的地へ向けて進行する場合における進行方向が含まれる。そして、CPU11は、取得した地図関連情報に基づいて、地図描画メモリ13bに地図30を描画し(S406)、さらに、地図30に、出発地38、目的地40、矢印42を配置する(S407)。
【0048】
次に、CPU11は、出発地38から目的地40までの経路に沿って、第1種文字列36Aを検索するために、文字列36を検索すべき範囲の基準となる検索ポイントを、まず、出発地38に設定する(S408)。そして、CPU11は、経路として選択された道路32を全て検索したか否かを判断する(S409)。S409の判断が否定される場合(S409:No)、CPU11は、検索ポイントから所定範囲内に配置される文字列36を検索する。すなわち、経路として選択された道路32から所定範囲内に配置される文字列36を検索する(S410)。具体的には、ポイント情報に含まれる座標で示される、文字列36の基準位置が、検索ポイントから所定範囲内に含まれる場合、当該文字列36を、第1種文字列36Aとして選択する。座標に基づいて第1種文字列36Aを選択するので、経路を辿る上で判断の拠り所となる第1種文字列36Aを適切に選択できる。
【0049】
なお、本実施形態では、文字列36の基準位置を示す座標と検索ポイントの座標とから求められる距離を、実際の地表上の距離に換算した場合において、その距離が例えば30m以内である場合に、文字列36の基準位置が道路32から所定範囲内に含まれるものと判断することとする。しかしながら、道路32の幅に応じて、所定範囲が変更されても良い。また、文字列36の基準位置に代えて、建造物等の実際の所在地を示す座標の位置が、道路32から所定範囲内に含まれる場合に、当該建造物等を表す文字列36が、道路32から所定範囲内に含まれるものとして判断しても良い。
【0050】
次に、CPU11は、検索ポイントから所定範囲内に配置される第1種文字列36Aがあるか否かを判断する(S411)。第1種文字列36Aがある場合(S411:Yes)、CPU11は、その第1種文字列36Aを配置済みであるか否かを判断する(S412)。S412の判断が否定される場合(S412:No)、CPU11は、第1種文字列36Aを回転する文字回転処理を実行する(S416)。この文字回転処理(S416)は、道路32の進行方向に応じた向きで第1種文字列36Aを配置する処理である。文字回転処理(S416)については、図5を参照して後述する。なお、S411で第1種文字列36Aが複数あると判断された場合、CPU11は、複数の第1種文字列36Aのうち、配置されていない第1種文字列36Aが少なくとも1つある場合に、S412の判断を否定する(S412:No)。係る場合、配置されていない第1種文字列36Aが文字回転処理(S416)の処理対象となる。
【0051】
次に、CPU11は、経路として選択された道路32に沿って、検索ポイントを所定量、目的地へ向けて進める(S417)。ここで、「経路として選択された道路32」とは、出発地38から目的地40に至るまでにユーザが通過する道路32(すなわち、矢印42が重ねて描画された部分)を意味している。すなわち、出発地から目的地へ向けて、検索ポイントを所定量ずつ進めることにより、経路として選択された道路32から所定範囲内に配置される第1種文字列36Aを、通過順序が早い道路32から順番に検出するのである。
【0052】
次に、CPU11は、S409に戻り、検索ポイントから所定範囲内に配置される第1種文字列36Aを検索する(S410)。そして、検索ポイントから所定範囲内に第1種文字列36Aがない場合(S411:No)、CPU11は、S417に移行し、検索ポイントを所定量、進める(S417)。また、検索された第1種文字列36Aを、既に地図30に配置済みであると判断される場合(S412:Yes)、CPU11は、S417に移行し、検索ポイントを所定量、進める(S417)。このようにすれば、図3を参照して説明したように、進行方向が互いに異なる2以上の道路の所定範囲内に配置される第1種文字列36Aを、通過順序において最も早い道路32における進行方向に応じた向きで配置できる。
【0053】
このようにして処理を繰り返すうちに、検索ポイントが目的地へ至り、経路全ての検索を終了すると、S409の判断が肯定されるので(S409:Yes)、CPU11は、第1種文字列36Aとして選択されなかった第2種文字列36Bを、予め定められた態様で地図30に配置する(S418)。そして、CPU11は、地図描画メモリ13bに描画された地図30を、プリンタ20に印刷出力させるための印刷データを生成し、プリンタ20へ出力して(S420)、処理を終了する。このようにすれば、プリンタ20は、図3を参照して説明した地図30を印刷出力できる。
【0054】
図5は、PC10のCPU11が実行する文字回転処理(S416)を示すフローチャートである。この文字回転処理(S416)は、検索ポイントから所定範囲内に検出された第1種文字列36Aについて、配置の向きを決定し、決定した向きで地図30に配置する処理である。まず、CPU11は、検索ポイントから所定範囲内に検出された第1種文字列36Aのうち、未だ地図30に配置されていない第1種文字列36Aの1つを、処理対象の第1種文字列36Aとして選択する(S501)。次に、CPU11は、処理対象の第1種文字列36Aが所定範囲内に配置された道路32、すなわち検索ポイントが位置する道路32について、当該道路32が湾曲するかを、道路情報に基づいて判断する(S502)。道路32が湾曲しないと判断される場合(S502:No)、CPU11は、道路32における進行方向を文字の上方向とし、道路32に直交する方向を文字列の横方向とする向きを、第1種文字列36Aの配置の向きとして決定する。そして、第1種文字列36Aを決定した向きに回転して、地図30に配置する(S504)。なお、本実施形態の場合、各文字列36は横書きであるため、第1種文字列36Aの横方向が道路32に直交するように、第1種文字列36Aを配置するものとして説明するが、各文字列36が縦書きである場合には、第1種文字列36Aの縦方向が道路32と平行になるように、第1種文字列36Aを配置しても良い。
【0055】
一方、道路32が湾曲すると判断される場合(S502:Yes)、CPU11は、道路32の進行方向を文字の上方向とし、湾曲する道路32の接線に垂直な方向を文字列の横方向とする向きを、第1種文字列36Aの配置の向きとして決定する。そして、第1種文字列36Aを決定した向きに回転して、地図30に配置する(S506)。このようにすれば、湾曲する道路32から所定範囲内に配置される第1種文字列36Aについても、適切な配置の向きを決定できる。ただし、各文字列36が縦書きである場合には、第1種文字列36Aの縦方向が、道路32の接線方向と平行になるように、第1種文字列36Aが配置されても良い。
【0056】
次に、CPU11は、配置した第1種文字列36Aが経路上の他の道路32または他の文字列36に重なるか否かを判断する(S508)。ここで、「経路上の他の道路」とは、処理対象の第1種文字列36Aが所定範囲内に配置される道路32以外の道路32であって、経路として選択された道路32を意味している。ある道路32から所定範囲内に配置される第1種文字列36Aが、当該道路32に重なって配置されたとしても、その道路32と第1種文字列36Aとは元々密接な関係にあるから、地図30の視認性をそれほど低下させない。一方、ある道路32から所定範囲内に配置される第1種文字列36Aを回転させたところ、その第1種文字列36Aが、「経路上の他の道路」に重なる場合、その第1種文字列36Aと、経路上の他の道路32との関係が分かり難くなり、地図30の視認性を低下させる。
【0057】
よって、配置した第1種文字列36Aが経路上の他の道路32および他の文字列36のいずれにも重ならないと判断される場合(S508:No)、CPU11は、検索ポイントから所定範囲内に検出された全ての第1種文字列36Aを配置したか否かを判断し(S516)、この判断が否定される場合(S516:No)、S501に戻り、未処理の第1種文字列36Aを次の処理対象として選択し、処理を繰り返す。
【0058】
一方、配置した第1種文字列36Aが、経路上の他の道路32または他の文字列36に重なると判断される場合(S508:Yes)、CPU11は、処理対象の第1種文字列36Aの座標(すなわち基準位置)を中心とする一定半径内において、経路上の他の道路32または他の文字列36に重ならないように、第1種文字列36Aを配置可能か否かを判断する(S510)。
【0059】
S510の判断が肯定される場合(S510:Yes)、CPU11は、経路上の他の道路32または他の文字列36に重ならないように、処理対象の第1種文字列36Aの座標を中心とする一定半径内に、当該第1種文字列36Aを配置し(S512)、S516の判断に移行する。よって、経路として選択された道路32が、第1種文字列36Aによって見難くならないように、第1種文字列36Aを配置できる。なお、処理対象の第1種文字列36Aが、経路上の他の道路32または他の文字列36に重ならなければ、その第1種文字列36Aが所定範囲内に配置される道路32に重なる場合であっても、CPU11は、S510の判断を肯定し(S510:Yes)、道路32から所定範囲内に配置される第1種文字列36Aを、当該道路32に重ねて配置する(S512)。上述したように、ある道路32から所定範囲内に配置される第1種文字列36Aが、当該道路32に重なって配置されたとしても、その道路32と第1種文字列36Aとは元々密接な関係にあるため、地図30の視認性をそれほど低下させないからである。
【0060】
一方、S510の判断が否定される場合(S510:No)、CPU11は、経路上の他の道路32または他の文字列36に重なる量が最小となるように、処理対象の第1種文字列36Aの座標を中心とする一定半径内に、当該第1種文字列36Aを配置し(S514)、S516の判断に移行する。そして、このようにして処理を繰り返す内に、検索ポイントから所定範囲内に検出された全ての第1種文字列36Aを配置すると(S516:Yes)、CPU11は、文字回転処理を終了し、S417の処理(図4)に戻る。
【0061】
文字回転処理によれば、各第1種文字列36Aについて、進行方向に応じた適切な配置の向きを決定できる。また、各第1種文字列36Aについて予め定められている座標を中心とする一定半径内に、各第1種文字列36Aが配置されるので、各第1文字列36Aの配置が基準位置から大きく変化することを抑制できる。
【0062】
上記実施形態において、PC10がコンピュータおよび地図作成装置の一例に相当し、プリンタドライバ14aが地図作成プログラムの一例に相当する。
【0063】
また、上記実施形態において、S402を実行するCPU11が地図取得手段、文字列取得手段、および座標情報取得手段の一例である。S404を実行するCPU11が経路取得手段、進行方向取得手段、および順序取得手段の一例である。S410を実行するCPU11が第1選択手段の一例である。S416を実行するCPU11が態様決定手段の一例である。地図作成処理(図4)を実行するCPU11が作成手段の一例である。S502を実行するCPU11が湾曲判断手段の一例である。
【0064】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0065】
例えば、上記実施形態では、PC10がコンピュータまたは地図作成装置の一例であり、プリンタドライバ14aが地図作成プログラムの一例であった。しかしながら、プリンタ20や携帯電話など各種装置が地図作成装置となり得る。また、各種装置にインストールされるプログラムが、地図作成プログラムの一例となり得る。
【0066】
また、上記実施形態の地図作成処理においては、文字列36の配置の基準となる座標が、道路32から所定範囲内に含まれるか否かに基づいて、第1種文字列を選択していた。これに代えて、文字列36によって表される建造物や施設等の所在地を示すマーク34の座標が、道路32から所定範囲内に含まれるか否かに基づいて、第1種文字列36Aを選択するように構成しても良い。また、道路32に面して配置される建造物であるか否かを識別し、道路32に面して配置されると判断される建造物の文字列36を、第1種文字列36Aとして選択しても良い。
【0067】
また、上記実施形態では、PC10が作成した地図30は、プリンタ20により印刷出力されるものとして説明した。しかしながら、携帯電話のLCDなどに地図30を表示出力させる態様においても、上記実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0068】
また、上記実施形態においては、文字の向きを回転させていたが、例えば、第1種文字列36Aを、進行方向に応じた態様で強調表示したり、色を変えたり、拡大したりしても良い。このようにしても、第1種文字列36Aの視認性を高めることができる。例えば、進行方向が変わる毎に、地図30上の第1種文字列36Aの文字色が変化すれば、経路を辿るユーザにとっては、道を誤り難い。
【0069】
また、上記実施形態では、地図情報に基づいて描画される地図30に、文字列36を配置していくものとした。しかしながら、例えば、地図30と文字列36とが一体化した地図画像に対応した地図情報が用いられる場合にも、本発明を適用可能である。そのような場合は、OCR処理により地図画像から文字列36のみを抽出し、進行方向に応じた態様で地図30に貼り付けるように構成しても良い。
【符号の説明】
【0070】
10 PC
14a プリンタドライバ
30 地図
32 道路
36 文字列
36A 第1種文字列
36B 第2種文字列
38 出発地
40 目的地

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地と目的地とを含む地図を作成するための地図情報を取得する地図取得手段と、
前記地図上の道路のうち、前記出発地から前記目的地に至るまでの経路として選択された道路を示す経路情報を取得する経路取得手段と、
前記経路情報に基づき前記経路として選択される各道路について、前記出発地から前記目的地へ向けて進行する場合における進行方向を取得する進行方向取得手段と、
前記地図に配置される文字列に対応した文字情報を取得する文字列取得手段と、
前記文字列取得手段により取得される前記文字情報に対応した文字列のうち、前記経路として選択される各道路から所定範囲内に配置される文字列を、第1種文字列として選択する第1選択手段と、
前記経路情報に基づき前記経路として選択される道路のうち、一の道路の進行方向と、他の道路の進行方向とが異なる場合、前記一の道路から前記所定範囲内に配置される前記第1種文字列と、前記他の道路から前記所定範囲内に配置される前記第1種文字列との態様が異なるように、前記第1選択手段により選択された前記第1種文字列の各々について前記進行方向に応じた態様を決定する態様決定手段と、
前記態様決定手段により決定された態様で、前記第1種文字列の各々が配置された地図を、前記地図取得手段により取得された前記地図情報および前記文字列取得手段により取得された前記文字情報を用いて作成する作成手段とを備える地図作成装置。
【請求項2】
前記態様決定手段は、
前記第1種文字列が、当該第1種文字列が前記所定範囲内に配置される道路における進行方向に応じた向きで、前記地図に配置されるように、前記第1種文字列の各々について配置の向きを決定するものである請求項1記載の地図作成装置。
【請求項3】
前記態様決定手段は、
前記第1種文字列が、当該第1種文字列が前記所定範囲内に配置される道路における進行方向を文字の上方向とする向きで前記地図に配置されるように、前記第1種文字列の各々について配置の向きを決定するものである請求項1または2に記載の地図作成装置。
【請求項4】
前記第1種文字列が前記所定範囲内に配置される道路が湾曲するかを判断する湾曲判断手段を備え、
前記態様決定手段は、
前記湾曲判断手段により、前記第1種文字列が前記所定範囲内に配置される道路が湾曲していると判断される場合、当該道路の接線方向に応じた向きを、前記第1種文字列の配置の向きとして決定するものである請求項1から3のいずれかに記載の地図作成装置。
【請求項5】
前記経路情報に基づき前記経路として選択される各道路について、前記出発地から前記目的地へ向けて進行する場合における通過順序を取得する順序取得手段を備え、
前記態様決定手段は、
前記進行方向が互いに異なる2以上の道路の前記所定範囲内に配置される第1種文字列が存在する場合、前記2以上の道路のうち、前記通過順序が最も早い道路における進行方向に応じた向きを、前記2以上の道路の前記所定範囲内に配置される第1種文字列の配置の向きとして決定するものである請求項2から4のいずれかに記載の地図作成装置。
【請求項6】
前記文字列取得手段により取得される文字情報に対応した文字列の各々について、前記地図に配置される際の基準位置を示した座標情報を取得する座標情報取得手段を備え、
前記第1選択手段は、前記文字列のうち、前記経路として選択される道路から前記所定範囲内に基準位置が存在する文字列を、前記第1種文字列として、前記座標情報取得手段により取得される前記座標情報に基づいて選択するものである請求項1から5のいずれかに記載の地図作成装置。
【請求項7】
前記文字列取得手段により取得される前記文字情報に対応した文字列のうち、前記経路として選択される道路の前記所定範囲外に配置される文字列が、予め定められた態様で配置された地図を作成するものである請求項1から6のいずれかに記載の地図作成装置。
【請求項8】
前記作成手段は、
前記第1種文字列が、当該第1種文字列を前記所定範囲内に含む道路以外の道路であって且つ前記経路として選択された道路に重ならないように配置された地図を、作成するものである請求項1から7のいずれかに記載の地図作成装置。
【請求項9】
地図作成プログラムであって、
コンピュータを、
出発地と目的地とを含む地図を作成するための地図情報を取得する地図取得手段と、
前記地図上の道路のうち、前記出発地から前記目的地に至るまでの経路として選択された道路を示す経路情報を取得する経路取得手段と、
前記経路情報に基づき前記経路として選択される各道路について、前記出発地から前記目的地へ向けて進行する場合における進行方向を取得する進行方向取得手段と、
前記地図に配置される文字列に対応した文字情報を取得する文字列取得手段と、
前記文字列取得手段により取得される前記文字情報に対応した文字列のうち、前記経路として選択される各道路から所定範囲内に配置される文字列を、第1種文字列として選択する第1選択手段と、
前記経路情報に基づき前記経路として選択される道路のうち、一の道路の進行方向と、他の道路の進行方向とが異なる場合、前記一の道路から前記所定範囲内に配置される前記第1種文字列と、前記他の道路から前記所定範囲内に配置される前記第1種文字列との態様が異なるように、前記第1選択手段により選択された前記第1種文字列の各々について前記進行方向に応じた態様を決定する態様決定手段と、
前記態様決定手段により決定された態様で、前記第1種文字列の各々が配置された地図を、前記地図取得手段により取得された前記地図情報および前記文字列取得手段により取得された前記文字情報を用いて作成する作成手段として機能させる地図作成プログラム。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−73410(P2012−73410A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218095(P2010−218095)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】