説明

地図配信装置、地図配信方法及びコンピュータプログラム

【課題】各端末からの配信要求の受信から地図更新データの配信までのレスポンスを短くすることを可能とした地図配信装置、地図配信方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】新規地図データが登録された場合であって、登録された新規地図データが複数の2次メッシュに跨るデータである場合(例えば、新設された道路が複数の2次メッシュに跨る場合)に、その新規地図データに含まれる複数の2次メッシュを組み合わせたエリアを新規地図エリアとして特定し、特定された新規地図エリアと各ナビゲーション装置4の登録地点情報から更新要求を受信する前に地図更新データを生成する対象となる作り置き対象ナビゲーション装置を特定し、作り置き対象ナビゲーション装置に対して配信する地図更新データを、配信要求を受信する前に生成し、地図更新データ格納DB28へと格納するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末からの要求に応じて端末に記憶された地図データを更新する為の地図更新データを配信する地図配信装置、地図配信方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の走行案内を行い、運転者が所望の目的地に容易に到着できるようにしたナビゲーション装置が車両に搭載されていることが多い。ここで、ナビゲーション装置とは、GPS受信機などにより車両の現在位置を検出し、その現在位置に対応する地図データをDVD−ROMやHDDなどの記録媒体、又はネットワークを通じて取得して液晶モニタに表示することが可能な装置である。そして、車両の現在位置を含む地図データを記録媒体等から読み出し、地図データに基づいて車両の現在位置の周囲における地図画像を描画して表示装置に表示するとともに、車両位置マークを地図画像に重ね合わせて表示し、車両の移動に応じて地図画像をスクロールしたり、地図画像を画面に固定し車両位置マークを移動させることによって、車両が現在どの地点を走行しているのかを一目でわかるようにしている。また、近年は携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ等においても上記ナビゲーション装置と同様の機能を有するものがある。
【0003】
ここで、日本全国においては毎年新しい道路(新設道路)が建設されている。また、これに伴って、既存の道路がなくなったり、既存の道路の形状が変更されたりする。その際、ナビゲーション装置等が所有する地図データが生成された後に新しく作られた新設道路等に関する情報は、地図データに登録されていないという問題がある。即ち、新設道路等を含まない地図データを持つナビゲーション装置等では、新設道路等が液晶モニタに表示されず、また、新設道路等が経路探索の対象とならないため、ナビゲーション装置等は新設道路等を通過しない遠回りの誘導経路を探索してしまうことがある。このような不具合を回避するためには、ナビゲーション装置等に記憶させる地図データはある程度の時間間隔で更新することが必要となる。ここで、地図データの更新は、新しい地図データの記録媒体を購入して古い記録媒体と交換したり、地図情報配信センタ等から配信された更新用の地図データ(以下、地図更新データという)に基づいて、ナビゲーション装置等が所有する地図データを書き換えることによって行われる。
【0004】
ここで、特に地図情報配信センタから配信される地図更新データを用いてナビゲーション装置等が所有する地図データを更新する方法として、ナビゲーション装置等が所有する地図データの内、ナビゲーション装置等が要求した一部のエリアの地図データのみを更新する差分更新がある(特開2008−89852号公報参照)。
【0005】
ところで、差分更新では、特定のエリアのみが新しい地図データへと更新されるので、地図データが更新されたエリアとそのエリアに隣接するエリアとの間で道路ネットワークが非連絡になる虞がある。例えば、複数のエリアに跨る道路が新設された場合に、その新設道路が跨る一のエリアの地図データのみを更新することとすると、その新設道路に進入する為の道路やその新設道路から退出するための道路が存在しなくなるという問題が発生する。
【0006】
そこで、従来では特定エリアの地図データのみを更新する差分更新を行う場合には、更新を行う前に、地図データが更新されるエリアとそのエリアに隣接するエリアとの間で更新後に道路ネットワークが正しく連絡されるか否かを確認する処理が行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−89852号公報(段落(0060)〜(0072)、図8、図9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来では上記道路ネットワークの確認処理は、ナビゲーション装置等から地図更新データの配信要求がある度に実行され、上記道路ネットワークの確認処理が終わった後に配信要求のあったナビゲーション装置に対して道路ネットワークが確認された地図更新データを配信していた。ここで、上記道路ネットワークの確認処理は、地図配信装置に大きな処理負担が生じ、処理の実行に長い時間が必要となることから、各端末からの配信要求の受信から地図更新データの配信までのレスポンスが悪化する原因となっていた。
【0009】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、複数の更新単位エリアに跨る新規地図データが登録された場合に、当該新規地図データが登録されたエリアを基準更新エリアに含む端末に対して配信する地図更新データを事前に生成し、格納するので、道路ネットワークの確認処理の実行にかかる地図配信装置の処理負担を軽減し、また、各端末からの配信要求の受信から地図更新データの配信までのレスポンスを短くすることを可能とした地図配信装置、地図配信方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため本願の請求項1に係る地図配信装置(1)は、端末(4)から該端末に記憶された地図データの内、該端末の登録地点を含む基準更新エリアの地図データを更新する為の地図更新データの配信要求があった場合に、該端末からの配信要求に応じて前記地図更新データを配信する地図配信装置(1)において、新規地図データが登録された場合に、登録された前記新規地図データが複数の更新単位エリアに跨るデータであるか否か判定するデータ判定手段(20)と、前記データ判定手段によって前記新規地図データが複数の更新単位エリアに跨るデータであると判定された場合に、前記新規地図データに含まれる複数の前記更新単位エリアを新規地図エリアとして特定する新規地図エリア特定手段(20)と、前記新規地図エリアの少なくとも一部が前記基準更新エリアに含まれる端末を特定する端末特定手段(20)と、前記端末特定手段によって特定された端末に記憶された地図データの内、前記新規地図エリア及び前記基準更新エリアを含む更新対象エリアの地図データを更新する為の地図更新データを生成する地図更新データ生成手段(20)と、前記地図更新データ生成手段によって生成された前記地図更新データを格納する地図更新データ格納手段(20)と、前記端末特定手段によって特定された端末から配信要求があった場合に、前記地図更新データ格納手段によって格納された前記地図更新データを該端末へと配信する地図更新データ配信手段(20)と、を有することを特徴とする。
尚、「登録地点」とは、ユーザによってあらかじめ登録されている地点であり、例えば、ユーザの自宅、ユーザの勤務地などがある。
また、「更新単位エリア」とは、地図データを区分するとともに、地図データを更新する際の更新単位となるエリアであり、例えば、2次メッシュや市区町村等の行政区画等がある。
【0011】
また、請求項2に係る地図配信装置は、請求項1に記載の地図配信装置(1)であって、前記端末(4)に記憶されている地図データのバージョンを取得する地図バーション取得手段(20)を有し、前記地図更新データ生成手段(20)は、前記地図バーション取得手段により取得された前記地図データのバージョンに基づいて、前記端末に現在記憶されている地図データの内、前記更新対象エリアの地図データを更新する為の地図更新データを生成することを特徴とする。
【0012】
また、請求項3に係る地図配信方法は、端末(4)から該端末に記憶された地図データの内、該端末の登録地点を含む基準更新エリアの地図データを更新する為の地図更新データの配信要求があった場合に、該端末からの配信要求に応じて前記基準更新範囲の地図データを更新する為の地図更新データを配信する地図配信方法において、新規地図データが登録された場合に、登録された前記新規地図データが複数の更新単位エリアに跨るデータであるか否か判定するデータ判定ステップと、前記データ判定ステップによって前記新規地図データが複数の更新単位エリアに跨るデータであると判定された場合に、前記新規地図データに含まれる複数の前記更新単位エリアを新規地図エリアとして特定する新規地図エリア特定ステップと、前記新規地図エリアの少なくとも一部が前記基準更新エリアに含まれる端末を特定する端末特定ステップと、前記端末特定ステップによって特定された端末に記憶された地図データの内、前記新規地図エリア及び前記基準更新エリアを含む更新対象エリアの地図データを更新する為の地図更新データを生成する地図更新データ生成ステップと、前記地図更新データ生成ステップによって生成された前記地図更新データを格納する地図更新データ格納ステップと、前記端末特定ステップによって特定された端末から配信要求があった場合に、前記地図更新データ格納ステップによって格納された前記地図更新データを該端末へと配信する地図更新データ配信ステップと、を有することを特徴とする。
【0013】
更に、請求項4に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに搭載され、端末(4)から該端末に記憶された地図データの内、該端末の登録地点を含む基準更新エリアの地図データを更新する為の地図更新データの配信要求があった場合に、該端末からの配信要求に応じて前記基準更新範囲の地図データを更新する為の地図更新データを配信することを実行させるコンピュータプログラムにおいて、新規地図データが登録された場合に、登録された前記新規地図データが複数の更新単位エリアに跨るデータであるか否か判定するデータ判定機能と、前記データ判定機能によって前記新規地図データが複数の更新単位エリアに跨るデータであると判定された場合に、前記新規地図データに含まれる複数の前記更新単位エリアを新規地図エリアとして特定する新規地図エリア特定機能と、前記新規地図エリアの少なくとも一部が前記基準更新エリアに含まれる端末を特定する端末特定機能と、前記端末特定機能によって特定された端末に記憶された地図データの内、前記新規地図エリア及び前記基準更新エリアを含む更新対象エリアの地図データを更新する為の地図更新データを生成する地図更新データ生成機能と、前記地図更新データ生成機能によって生成された前記地図更新データを格納する地図更新データ格納機能と、前記端末特定機能によって特定された端末から配信要求があった場合に、前記地図更新データ格納機能によって格納された前記地図更新データを該端末へと配信する地図更新データ配信機能と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
前記構成を有する請求項1に係る地図配信装置では、複数の更新単位エリアに跨る新規地図データが登録された場合に、当該新規地図データが登録されたエリアを基準更新エリアに含む端末に対して配信する地図更新データを事前に生成し、格納するので、道路ネットワークの確認処理の実行にかかる地図配信装置の処理負担を軽減し、また、各端末からの配信要求の受信から地図更新データの配信までのレスポンスを短くすることが可能となる。その結果、例えば、特に端末からの配信要求が集中する時間帯において、地図データの更新処理が遅延化することを防止できる。
【0015】
また、請求項2に係る地図配信装置では、地図更新データの配信対象となる各端末の地図データの更新状況に合わせて、現在端末に記憶されている地図データのバージョンを新しいバージョンへと更新する適切な地図更新データを生成し、配信することが可能となる。
【0016】
また、請求項3に係る地図配信方法では、複数の更新単位エリアに跨る新規地図データが登録された場合に、当該新規地図データが登録されたエリアを基準更新エリアに含む端末に対して配信する地図更新データを事前に生成し、格納するので、道路ネットワークの確認処理の実行にかかる地図配信装置の処理負担を軽減し、また、各端末からの配信要求の受信から地図更新データの配信までのレスポンスを短くすることが可能となる。その結果、例えば、特に端末からの配信要求が集中する時間帯において、地図データの更新処理が遅延化することを防止できる。
【0017】
更に、請求項4に係るコンピュータプログラムでは、複数の更新単位エリアに跨る新規地図データが登録された場合に、当該新規地図データが登録されたエリアを基準更新エリアに含む端末に対して配信する地図更新データを事前に生成させ、格納させるので、道路ネットワークの確認処理の実行にかかるコンピュータの処理負担を軽減し、また、各端末からの配信要求の受信から地図更新データの配信までのレスポンスを短くすることが可能となる。その結果、例えば、特に端末からの配信要求が集中する時間帯において、地図データの更新処理が遅延化することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態に係る地図情報配信システムを示した概略構成図である。
【図2】本実施形態に係る地図情報配信システムの構成を示したブロック図である。
【図3】センタ側地図情報DBに記憶される基本地図データのバージョン管理システムを説明した図である。
【図4】バージョン管理DBに記憶されるバージョン管理テーブルを示した図である。
【図5】ナビゲーション装置に記憶された地図データの更新の一例について説明した図である。
【図6】本実施形態に係る特定地図更新データ生成処理プログラムのフローチャートである。
【図7】本実施形態に係るネットワーク確認処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図8】新規地図エリアを説明する説明図である。
【図9】作り置き判定エリアを説明する説明図である。
【図10】更新対象エリアを説明する説明図である。
【図11】本実施形態に地図更新データ配信処理プログラムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る地図配信装置について地図配信センタ1に具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
先ず、本実施形態に係る地図配信センタ1を含む地図情報配信システム2の概略構成について図1を用いて説明する。図1は本実施形態に係る地図情報配信システム2を示した概略構成図である。
【0020】
図1に示すように、本実施形態に係る地図情報配信システム2は、地図配信センタ1と、車両3に設置されるナビゲーション装置4とから基本的に構成されている。尚、本実施形態では、後述のように地図データを記憶するとともに、地図配信センタ1から配信されたデータに基づいて記憶された地図データを更新する端末としてナビゲーション装置4を用いた例を説明しているが、ナビゲーション装置4の代わりに、携帯電話機、PDA、パーソナルコンピュータ等を用いても良い。
【0021】
ここで、地図配信センタ1は、ナビゲーション装置4に記憶された古いバージョンの地図データを新たに新設或いは撤廃された道路や施設等を反映した新たなバージョンの地図データへと更新する為のデータ(以下、地図更新データという)の生成、及び生成した地図更新データの配信を行う配信センタである。尚、地図更新データとしてはナビゲーション装置4に記憶された地図データを全て書き換えて更新する(以下、全更新という)為の全更新データと、地図データの特定エリアのみを書き換えて更新する(以下、差分更新という)差分更新データの2種類がある。そして、以下に説明する本実施形態では、特に地図更新データとして差分更新データを用いた実施形態のみを説明することとする。
【0022】
また、ナビゲーション装置4は全国の各道路を走行する車両3に設置され、格納する地図データに基づいて車両位置周辺の地図を表示したり、設定された目的地までの経路の探索及び案内を行う車載機である。ここで、地図配信センタ1とナビゲーション装置4は予め車両に搭載された携帯電話機やDCM等の車両用の通信モジュール5(以下、単に通信モジュール5という)を用いて双方向に通信可能に構成されており、両者間で後述の配信要求データや地図更新データ等の各種情報を送受信する。
また、ナビゲーション装置4は、特定の条件を満たした際(例えば、ACCがONされた際や目的地が設定されて経路案内が開始された際)に、地図配信センタ1に対して特定エリア(例えば、ユーザの自宅を中心とした80km四方のエリアや設定された目的地を中心とした10km四方のエリア)の地図データを新しいバージョンの地図データに更新する為の地図更新データの配信要求を送信する。
更に、ナビゲーション装置4は、送信した配信要求に応じて地図配信センタ1から地図更新データを受信した際には、受信した地図更新データに基づいて格納する地図データの更新を行う。
【0023】
続いて、地図情報配信システム2を構成する地図配信センタ1について図2を用いてより詳細に説明する。図2は本実施形態に係る地図情報配信システム2の構成を示したブロック図である。
【0024】
地図配信センタ1は、図2に示すようにサーバ(データ判定手段、新規地図エリア特定手段、端末特定手段、地図更新データ生成手段、地図更新データ格納手段、地図更新データ配信手段)20と、サーバ20に接続された情報記録部としてのセンタ側地図情報DB26と、バージョン管理DB27と、地図更新データ格納DB28と、センタ側通信装置29とを備える。
【0025】
サーバ20は、全国各地の道路や施設が新設或いは撤廃された場合に、管理者の入力操作等に基づいてそれらを反映した新規地図データを登録する処理、ナビゲーション装置4へと配信する地図更新データを生成する処理、生成した地図更新データをナビゲーション装置4へと配信する処理等の地図配信センタ1の全体の制御を行う制御ユニットである。そして、サーバ20は、サーバ20の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU21、並びにCPU21が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるRAM22、制御用のプログラムのほか、後述の特定地図更新データ生成処理プログラム(図6参照)及び地図更新データ配信処理プログラム(図11参照)等が記録されたROM23、ROM23から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ24等の内部記憶装置を備えている。
【0026】
また、センタ側地図情報DB26は、外部からの入力データや入力操作に基づいて登録され、ナビゲーション装置4に記憶された地図データを更新する際の基本となる地図データである基本地図データ30がバージョン毎及びエリア毎に区分されて記憶される記憶手段である。ここで、バージョンとは地図データが作成された時期を特定する為の作成時期情報であり、バージョンを参照することによって地図データが作成された時期を特定することが可能となっている。
そして、地図配信センタ1は、センタ側地図情報DB26に記憶された基本地図データ30を10km四方の2次メッシュ単位でバージョン管理を行う。例えば、図3はセンタ側地図情報DB26に記憶される基本地図データ30のバージョン管理システムを説明した図である。図3に示すように基本地図データ30は、2次メッシュ毎にメッシュIDを設定し、更に各メッシュIDにその2次メッシュの地図データの現時点における最新バージョンNo.を対応付けて管理している。例えば、図3に示す例では、「メッシュID:10001」の2次メッシュの地図データの最新のバージョンは“5”であり、「メッシュID:10002」の2次メッシュの地図データの最新のバージョンは“3”であり、「メッシュID:10003」の2次メッシュの地図データの最新のバージョンは“4”である。そして、基本地図データ30は、管理者によって新規地図データが登録された場合には、登録された新規地図データに含まれる2次メッシュについて、バージョンが新たに更新される(例えば、バージョン“4”からバージョン“5”へと更新される)。尚、センタ側地図情報DB26には、最新のバージョンの基本地図データ30に加えて、古いバーションの基本地図データ30についてもバージョン毎及び2次メッシュ毎に区分されて記憶されている。
【0027】
また、バージョン管理DB27は、地図更新データの配信対象となる各ナビゲーション装置4に現在格納されている地図データのバージョンを示したバージョン管理テーブル31が記録される記憶手段である。ここで、ナビゲーション装置4に格納されている地図データや上記基本地図データ30は、道路網を始めとして経路案内及び地図表示に必要な各種情報が記録されており、例えば、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、ノード点に関するノードデータ、道路(リンク)に関するリンクデータ、経路を探索するための探索データ、施設に関する施設データ、地点を検索するための検索データ等から構成されている。
そして、地図情報配信システム2では上記ナビゲーション装置4に格納されている地図データを配信先となるナビゲーション装置4毎に10km四方の2次メッシュ単位でバージョン管理を行う。ここで、図4はバージョン管理DB27に記憶されるバージョン管理テーブル31を示した図である。図4に示すようにバージョン管理テーブル31は、地図更新データの配信対象となるナビゲーション装置4毎にユーザIDを設定し、2次メッシュン毎にメッシュIDを設定し、更に各ユーザID及び各メッシュIDに地図データの現在のバージョンNo.を対応付けて管理している。例えば、図4に示す「ユーザID:A001」のナビゲーション装置4において、「メッシュID:10001」の2次メッシュの地図データの現在のバージョンは“5”であり、「メッシュID:10002」の2次メッシュの地図データの現在のバージョンは“3”であり、「メッシュID:10003」の2次メッシュは地図データの現在のバージョンは“3”である。そして、地図配信センタ1は、ナビゲーション装置4に対して地図更新データが配信された場合に、配信した地図更新データによって配信先のナビゲーション装置4が地図更新を行ったとみなし、バージョン管理テーブル31の内、該当するユーザID及びメッシュIDに対応するバージョンを更新する。
【0028】
また、バージョン管理DB27には、地図更新データの配信対象となる各ナビゲーション装置4において登録されている登録地点として、ユーザの自宅の位置座標についても記憶されている(図4参照)。尚、本実施形態ではユーザの自宅を登録地点とするが、予めナビゲーション装置4に登録されている地点であれば他の地点であっても良い。例えば、ユーザの勤務地等を登録地点としても良い。尚、ナビゲーション装置4において新たに登録地点が設定されると、設定された登録地点の情報が地図配信センタ1へと送信され、バージョン管理DB27が更新される。
【0029】
また、地図更新データ格納DB28は、基本地図データ30やバージョン管理DB27に記憶されたバージョン管理テーブル31に基づいてサーバ20により生成された地図更新データ32が格納される記憶手段である。
【0030】
ここで、地図更新データ32は、ナビゲーション装置4に格納された地図データの内、ナビゲーション装置4から要求されたエリア(以下、更新要求エリアという)の地図データを、新たなバージョンの地図データへと差分更新するデータである。基本的に、地図配信センタ1はナビゲーション装置4から地図更新データの配信要求を受信した後に、配信要求元のナビゲーション装置4に対して配信する地図更新データを生成し、生成した地図更新データを配信する。但し、地図配信センタ1は、特定のナビゲーション装置4に対して配信する特定の地図更新データについては、ナビゲーション装置4からの地図更新データの配信要求を受信する前に生成し、地図更新データ格納DB28へと格納する。そして、地図配信センタ1は、その後にその特定のナビゲーション装置4から特定の地図更新データの配信要求を受信した際に、地図更新データ格納DB28に格納された地図更新データを読み出し、読み出した地図更新データを配信する。
尚、ナビゲーション装置4から地図更新データを要求される更新要求エリアは、ナビゲーション装置4が地図更新データを要求する際のナビゲーション装置4の状況によって変化する。具体的に、ナビゲーション装置4は、ACCがONされた際及び目的地が設定されて経路案内が開始された際に地図配信センタ1に対して地図更新データの配信を要求するように構成されている。そして、ナビゲーション装置4のACCがONされた際には、ナビゲーション装置4の登録地点(例えばユーザの自宅)を中心とした所定距離(例えば80km)四方のエリアを含む2次メッシュ(基準更新エリア)と全国の高規格道路(例えば高速道路等)を含む2次メッシュの地図更新データの配信を要求する。一方、ナビゲーション装置4で目的地が設定されて経路案内が開始された際には、ナビゲーション装置4で設定された目的地を中心とした所定距離(例えば10km)四方のエリアを含む2次メッシュと全国の高規格道路を含む2次メッシュの地図更新データの配信を要求する。
【0031】
更に、センタ側通信装置29はナビゲーション装置4とネットワーク8を介して通信を行う為の通信装置である。ここで、ネットワーク8としては、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、イントラネット、携帯電話回線網、電話回線網、公衆通信回線網、専用通信回線網、インターネット等の通信回線網等の通信系を使用することができる。そして、放送衛星によるCS放送、BS放送、地上波ディジタルテレビ放送、FM多重放送等を利用する通信系を使用することもできる。更に、高度道路交通システム(ITS)において利用されるノンストップ自動料金支払いシステム(ETC)、狭域通信システム(DSRC)等の通信系を使用することもできる。
【0032】
次に、ナビゲーション装置4に記憶された地図データの更新の一例について図5を用いて簡単に説明する。図5に示す例では、ナビゲーション装置4から地図配信センタ1へ所定の更新要求エリアの地図データを更新する為の地図更新データの配信要求があった場合であって、ナビゲーション装置4に記憶された地図データ35の更新要求エリアのバージョンが“4”であり、一方、地図配信センタ1が所有する基本地図データ30の更新要求エリアの最新バージョンが“5”である場合を説明する。
この場合において、地図配信センタ1は、センタ側地図情報DB26に記憶されたバージョン“4”とバージョン“5”の基本地図データ30とを比較することにより、地図更新データ32を生成する。尚、この場合に生成される地図更新データ32は、ナビゲーション装置4に記憶された地図データ35の内、更新要求エリアの地図データをバージョン“4”からバージョン“5”へと更新するデータである。また、地図更新データ32を生成する際には、地図データが更新されるエリアとそのエリアに隣接するエリアとの間で更新後に道路ネットワークが正しく連絡されるか否かを確認する処理(ネットワーク確認処理)や生成された地図更新データのエラーをチェックする処理(エラーチェック処理)についても行われる。但し、後述のように特定のナビゲーション装置へと配信する特定の地図更新データについては、その特定のナビゲーション装置4から配信要求を受信する前に生成される。また、地図更新データの生成に伴う上記ネットワーク確認処理やエラーチェック処理についても、その特定のナビゲーション装置4から配信要求を受信する前に実行される。
そして、地図配信センタ1は生成された地図更新データ32を配信要求元のナビゲーション装置4へと配信する。一方、地図更新データ32を受信したナビゲーション装置4は、受信した地図更新データ32を用いて地図データ35を更新する。その結果、ナビゲーション装置4に記憶された地図データ35の内、更新要求エリアの地図データがバージョン“4”からバージョン“5”へと更新される。
【0033】
次に、本実施形態に係る地図情報配信システム2において地図配信センタ1のサーバ20が実行する特定地図更新データ生成処理プログラムについて図6に基づき説明する。図6は本実施形態に係る特定地図更新データ生成処理プログラムのフローチャートである。ここで、特定地図更新データ生成処理プログラムは、地図配信センタ1において新規地図データの登録操作が行われた際に実行され、特定のナビゲーション装置へと配信する特定の地図更新プログラムを、その特定のナビゲーション装置4から配信要求を受信する前に予め作り置くプログラムである。尚、以下の図6にフローチャートで示されるプログラムは、サーバ20が備えているRAM22やROM23に記憶されており、CPU21により実行される。
【0034】
先ず、特定地図更新データ生成処理プログラムではステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU21は、管理者によって入力されたデータに基づいて新規地図データの登録処理を行う。具体的には、全国各地にある道路や施設が新設或いは撤廃された場合に、その変更内容を反映した地図データを新たなバージョンの基本地図データ30として生成し、センタ側地図情報DB26に格納することにより、登録処理が行われる。また、前記S1の新規地図データの登録は2次メッシュ単位で行われる。即ち、全国各地にある道路や施設が新設或いは撤廃された場合に、その変更箇所を含む2次メッシュの地図データのみを新規地図データとして登録する。従って、基本地図データ30は、2次メッシュ単位でバージョン毎に管理されている(図3参照)。
尚、新規地図データの登録は、2次メッシュ単位以外のエリア単位で行うこととしても良い。例えば、市区町村等の行政区画単位や2次メッシュより狭いエリア(例えば2.5km四方のエリア)で行っても良い。
【0035】
次に、S2においてCPU21は、後述の新規地図エリア特定処理(図7)を行う。尚、新規地図エリア特定処理は、前記S1で登録された新規地図データが複数の2次メッシュに跨るデータである場合(例えば、新設された道路が複数の2次メッシュに跨る場合)に、その新規地図データに含まれる複数の2次メッシュを組み合わせたエリアを新規地図エリアとして特定する処理である。例えば、図8に示すように新設された新設道路41が3つの2次メッシュ42〜44に跨っている場合には、2次メッシュ42〜44を組み合わせたエリアが新規地図エリアとして特定される。この新規地図エリアは、更新後において道路ネットワークを正しく連絡させるために、同時に更新しなければならないエリア(同時に地図更新データを配信しなければいけないエリア)となる。即ち、上記S2では地図更新データの生成に伴うネットワーク確認処理に相当する処理を行っている。
【0036】
続いて、S3においてCPU21は、前記S2で特定された新規地図エリアに基づいて作り置き判定エリアを設定する。ここで、作り置き判定エリアは、前記S2で特定された新規地図エリアから40km離れた地点を結んだ境界によって囲まれた範囲となる。この作り置き判定エリアは、後述のS4で更新要求を受信する前に地図更新データを生成する対象となるナビゲーション装置4を特定するために用いられる。
例えば、図9は、図8に示す2次メッシュ42〜44を組み合わせたエリアが新規地図エリアとして特定された場合に設定される作り置き判定エリア45を示した図である。図9に示すように、作り置き判定エリア45は、2次メッシュ42〜44に対して40km離れた地点を結んだ境界によって囲まれた範囲となる。具体的には、40km四方の正方形を2次メッシュ42〜44に接した状態で2次メッシュ42〜44の周りを周回させた際に、該正方形が描く外周の範囲内を作り置き判定エリア45とする。
また、前記S3において作り置き判定エリアが設定されると、設定された作り置き判定エリアを特定する情報(例えばエリアの外周の座標等)がRAM22等に記憶される。
【0037】
その後、S4においてCPU21は、更新要求を受信する前に地図更新データを生成する対象となるナビゲーション装置(以下、作り置き対象ナビゲーション装置という)を特定する。具体的には、先ず、地図更新データの配信対象となる各ナビゲーション装置4において登録されている登録地点として、各ユーザの自宅の位置座標をバージョン管理DB27から取得する。そして、各ユーザの自宅の位置座標と前記S3で設定された作り置き判定エリアとを比較し、作り置き判定エリア内にユーザの自宅の位置座標が含まれるナビゲーション装置4を特定する。尚、作り置き判定エリア内にユーザの自宅の位置座標が含まれるナビゲーション装置4は、新規地図エリアの少なくとも一部がそのナビゲーション装置4の基準更新エリア(ナビゲーション装置4の登録地点(ユーザの自宅)を中心とした80km四方のエリアを含む2次メッシュ)に含まれるナビゲーション装置である。即ち、作り置き対象ナビゲーション装置は、ACCがONされて基準更新エリアの地図データを更新する際に、新規地図エリアの少なくとも一部の地図データが更新対象とされるナビゲーション装置である。
【0038】
そして、S5においてCPU21は、前記S4で少なくとも一以上のナビゲーション装置4が作り置き対象ナビゲーション装置として特定されたか否か判定する。その結果、少なくとも一以上のナビゲーション装置4が作り置き対象ナビゲーション装置として特定された場合(S5:YES)には、S6へと移行する。一方、いずれのナビゲーション装置4も作り置き対象ナビゲーション装置として特定されなかった場合(S5:NO)には、地図更新データの作り置きを行うことなく特定地図更新データ生成処理プログラムを終了する。
【0039】
S6においてCPU21は、前記S4で特定された作り置き対象ナビゲーション装置毎に、そのナビゲーション装置の基準更新エリア(ナビゲーション装置の登録地点(ユーザの自宅)を中心とした80km四方のエリアを含む2次メッシュ)と前記S2で特定された新規地図エリアを含む更新対象エリアを設定し、更新対象エリアの地図データを更新する為の地図更新データを生成する。具体的には、先ずCPU21はバージョン管理DB27から該当するナビゲーション装置4の更新対象エリアのバージョンを取得する。そして、取得したバージョンの基本地図データ30と同エリアの最新のバージョンの基本地図データ30とを比較して、地図更新データを生成する。尚、この場合に生成される地図更新データは、ナビゲーション装置4に記憶された地図データの内、更新対象エリアの地図データを現在のバージョンから新しいバージョンへと更新するデータである(図5参照)。また、前記S6では、CPU21は地図更新データの生成に伴い、更新後に更新対象エリアと更新対象エリアに隣接するエリアとの間で道路ネットワークが正しく連絡されるか否かを確認するネットワーク確認処理も行う。更に、生成された地図更新データのエラーをチェックするエラーチェック処理も行う。
【0040】
ここで、図10は、図8に示す2次メッシュ42〜44を組み合わせたエリアが新規地図エリアとして特定され、図9に示す作り置き判定エリア45内に登録地点(ユーザの自宅)がある作り置き対象ナビゲーション装置に対して設定される更新対象エリア48を示した図である。図10に示すように、更新対象エリア48は、作り置き対象ナビゲーション装置の基準更新エリア49(ナビゲーション装置の登録地点(ユーザの自宅)を中心とした80km四方のエリアを含む2次メッシュ)と新規地図エリアである2次メッシュ42〜44とを含むエリアとなる。
【0041】
次に、S7においてCPU21は、前記S6で生成した地図更新データを配信先のナビゲーション装置のユーザIDに対応付けて、地図更新データ格納DB28へと格納する。その後、地図更新データ生成処理プログラムを終了する。尚、地図更新データ格納DB28に格納された地図更新データは、後述のように作り置き対象のナビゲーション装置4からの配信要求を受信した場合に、受信した配信要求に応じて配信する(S26)。
【0042】
次に、上記S2の新規地図エリア特定処理のサブ処理について図7に基づき説明する。図7は新規地図エリア特定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0043】
以下のS11及びS12の処理は、前記S1の新規地図データの登録処理によってバージョンの更新された全ての2次メッシュに対して実行される。具体的には、メッシュIDの小さい順に前記S1の新規地図データの登録処理によってバージョンの更新された2次メッシュを処理対象とし、S11及びS12の処理を繰り返し実行する。そして、前記S1の新規地図データの登録処理によってバージョンが更新された全ての2次メッシュに対する処理が完了した後にS13へと移行する。
【0044】
先ず、S11においてCPU21は、処理対象の2次メッシュの更新部分(例えば、新設道路)が他のメッシュに跨っているか否か、即ち、前記S1で登録された新規地図データが複数の2次メッシュに跨るデータであるか否か判定する。尚、処理対象の2次メッシュの更新部分が他のメッシュに跨っている場合には、その更新部分が跨る複数の2次メッシュは、更新後において道路ネットワークを正しく連絡させるために、同時に更新する必要がある。即ち、更新部分が跨る複数の2次メッシュについては同時に地図更新データを生成し、配信する必要がある。
【0045】
前記S11の判定の結果、処理対象の2次メッシュの更新部分が他のメッシュに跨っていると判定された場合(S11:YES)、即ち、前記S1で登録された新規地図データが複数の2次メッシュに跨るデータであると判定された場合には、S12へと移行する。
【0046】
S12においてCPU21は、処理対象の2次メッシュと更新部分が跨っていると判定された他の2次メッシュとを組み合わせる。尚、組み合わせ対象となる2次メッシュが既に他の2次メッシュと組み合わされていた場合には、他の2次メッシュも併せて組み合わせる。その結果、2以上の2次メッシュを組み合わせたエリアが形成される。
【0047】
一方、処理対象の2次メッシュの更新部分が他のメッシュに跨っていないと判定された場合(S11:NO)又は前記S12の処理が終了した後には、前記S1の新規地図データの登録処理によってバージョンの更新された全ての2次メッシュを対象として前記S11及びS12の処理が行われたか否か判定する。そして、前記S1の新規地図データの登録処理によってバージョンが更新された全ての2次メッシュを対象として前記S11及びS12の処理が完了したと判定された場合にはS13へと移行する。それに対して、前記S1の新規地図データの登録処理によってバージョンが更新された全ての2次メッシュを対象として、前記S11及びS12の処理が完了していないと判定された場合には、前記S1の新規地図データの登録処理によってバージョンが更新された2次メッシュの内から現在の処理対象の2次メッシュの次にメッシュIDの小さい2次メッシュを処理対象として新たに選択し、S11へと戻る。
【0048】
そして、S13でCPU21は、前記S11及びS12の処理で2次メッシュの組み合わせが形成されたか否か判定する。そして、2次メッシュの組み合わせが形成されたと判定された場合(S13:YES)には、S14へと移行する。
【0049】
それに対して、2次メッシュの組み合わせが形成されなかったと判定された場合(S13:NO)には、地図更新データの作り置きを行うことなく特定地図更新データ生成処理プログラムを終了する。その場合には、前記S1で登録された新規地図データに含まれるエリアについては、ナビゲーション装置4から配信要求を受信した後に地図更新データの生成が行われることとなる。
【0050】
また、S14でCPU21は、前記S11及びS12の処理で組み合わされた2次メッシュを新規地図エリアとして特定する。この新規地図エリアは、更新後において道路ネットワークを正しく連絡させるために、同時に更新しなければならないエリア(同時に地図更新データを配信しなければいけないエリア)となる。その後、S3へと移行する。
【0051】
続いて、本実施形態に係る地図情報配信システム2において地図配信センタ1のサーバ20が実行する地図データ配信処理プログラムについて図11に基づき説明する。図11は本実施形態に係る地図データ配信処理プログラムのフローチャートである。ここで、地図データ配信処理プログラムは、ナビゲーション装置4から地図更新データの配信要求を受信した際に実行され、ナビゲーション装置4から送信された配信要求に応じて地図更新データを配信するプログラムである。尚、以下の図11にフローチャートで示されるプログラムは、サーバ20が備えているRAM22やROM23に記憶されており、CPU21により実行される。
【0052】
先ず、地図更新データ配信処理プログラムでは、CPU21はS21において、ナビゲーション装置4から送信された地図更新データの配信要求を受信する。そして、受信した配信要求に関する情報をRAM22に記憶する。
【0053】
尚、配信要求には、配信要求の送信元のナビゲーション装置4を特定するユーザIDと、更新を要求するエリアを特定する情報が含まれている。ここで、ナビゲーション装置4は、ACCがONされた際及び目的地が設定されて経路案内が開始された際に地図配信センタ1に対して地図更新データの配信を要求するように構成されている。そして、更新を要求するエリアは、ナビゲーション装置4のACCがONされた際には、ナビゲーション装置4の登録地点を中心とした所定距離(例えば80km)四方のエリアを含む2次メッシュ(基準更新エリア)と全国の高規格道路(例えば高速道路等)を含む2次メッシュとなる。また、ナビゲーション装置4で目的地が設定されて経路案内が開始された際には、ナビゲーション装置4で設定された目的地を中心とした所定距離(例えば10km)四方のエリアを含む2次メッシュと全国の高規格道路を含む2次メッシュとなる。
【0054】
次に、S22においてCPU21は、配信要求の送信元のナビゲーション装置4が前記S4で特定された作り置き対象ナビゲーション装置であるか否か判定する。そして、配信要求の送信元のナビゲーション装置4が前記S4で特定された作り置き対象ナビゲーション装置であると判定された場合(S22:YES)には、S23へと移行する。一方、配信要求の送信元のナビゲーション装置4が前記S4で特定された作り置き対象ナビゲーション装置でないと判定された場合(S22:NO)には、S25へと移行する。
【0055】
また、S23においてCPU21は、ナビゲーション装置4から受信した配信要求が、基準更新エリアを含むエリアの地図データを更新する為の地図更新データの配信要求であるか否かを判定する。尚、本実施形態では、ナビゲーション装置4のACCがONされた際に送信される配信要求が、基準更新エリアを含むエリアの地図データを更新する為の地図更新データの配信要求となる。
【0056】
そして、ナビゲーション装置4から受信した配信要求が基準更新エリアを含むエリアの地図データを更新する為の地図更新データの配信要求であると判定された場合(S23:YES)は、S24へと移行する。それに対して、ナビゲーション装置4から受信した配信要求が基準更新エリアを含むエリアの地図データを更新する為の地図更新データの配信要求でないと判定された場合(S23:NO)は、S25へと移行する。
【0057】
S24においてCPU21は、前記S7において地図更新データ格納DB28に格納された地図更新データの内、配信要求の送信元のナビゲーション装置4に対応付けられた地図更新データを読み出す。その後、配信要求の送信元のナビゲーション装置4に対して読み出した地図更新データを配信する(S26)。そして、地図更新データを受信したナビゲーション装置4は、受信した地図更新データに基づいてナビゲーション装置4に記憶された地図データを更新する。その結果、ナビゲーション装置4に記憶された地図データの内、更新対象エリア(図10参照)の地図データが新しいバージョンの地図データへと更新される。
尚、配信要求の送信元のナビゲーション装置4に対して前回、地図更新データを配信してから、全国にある高規格道路(例えば高速道路等)について変更(新設又は撤廃)する新規地図データが新たに登録されている場合には、その高規格道路を含む2次メッシュを更新する為の地図更新データについても生成し、配信する。
【0058】
一方、S25においてCPU21は、配信要求に基づいて、要求されたエリアの地図データを新しいバージョンの地図データへと更新する為の地図更新データを生成する。その後、配信要求の送信元のナビゲーション装置4に対して読み出した地図更新データを配信する(S26)。尚、前記S25において地図更新データを生成する際には、従来技術と同様に地図データが更新されるエリアとそのエリアに隣接するエリアとの間で更新後に道路ネットワークが正しく連絡されるか否かを確認する処理(ネットワーク確認処理)や生成された地図更新データのエラーをチェックする処理(エラーチェック処理)についても行われる。尚、前記S25の地図データ生成処理(ネットワーク確認処理やエラーチェック処理を含む)については既に公知であるので、詳細は省略する。尚、地図更新データの配信処理(S26)に伴って、バージョン管理DB27に記憶されたバージョン管理テーブル31(図4)が更新される。
【0059】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る地図配信センタ1、地図配信センタ1による地図更新方法及び地図配信センタ1で実行されるコンピュータプログラムでは、新規地図データが登録された場合であって、登録された新規地図データが複数の2次メッシュに跨るデータである場合(例えば、新設された道路が複数の2次メッシュに跨る場合)に、その新規地図データに含まれる複数の2次メッシュを組み合わせたエリアを新規地図エリアとして特定し(S2)、特定された新規地図エリアと各ナビゲーション装置4の登録地点情報から更新要求を受信する前に地図更新データを生成する対象となる作り置き対象ナビゲーション装置を特定し(S4)、作り置き対象ナビゲーション装置に対して配信する地図更新データを、配信要求を受信する前に生成し(S6)、地図更新データ格納DB28へと格納する(S7)ので、複数の2次メッシュに跨る新規地図データが登録された場合に、当該新規地図データが登録されたエリアを基準更新エリアに含む端末に対して配信する地図更新データを事前に生成し、格納することができる。従って、道路ネットワークの確認処理の実行にかかる地図配信センタ1のサーバ20の処理負担を軽減し、また、各ナビゲーション装置4からの配信要求の受信から地図更新データの配信までのレスポンスを短くすることが可能となる。その結果、例えば、特にナビゲーション装置4からの配信要求が集中する時間帯(通勤時間帯等)において、地図データの更新処理が遅延化することを防止できる。
また、ナビゲーション装置4に記憶されている地図データのバージョンを取得し、取得された地図データのバージョンに基づいて、ナビゲーション装置4に現在記憶されている地図データの内、更新対象エリアの地図データを更新する為の地図更新データを生成するので、地図更新データの配信対象となる各ナビゲーション装置4の地図データの更新状況に合わせて、現在ナビゲーション装置4に記憶されている地図データのバージョンを新しいバージョンへと更新する適切な地図更新データを生成し、配信することが可能となる。
【0060】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では、地図配信センタ1から配信されたデータに基づいて記憶された地図データを更新する端末としてナビゲーション装置4を用いた例を説明しているが、ナビゲーション装置4の代わりに、携帯電話機、PDA、パーソナルコンピュータ等を用いても良い。
【0061】
また、本実施形態では、前記S6において、更新対象エリアをナビゲーション装置4の基準更新エリア(ナビゲーション装置の登録地点(ユーザの自宅)を中心とした80km四方のエリアを含む2次メッシュ)と前記S2で特定された新規地図エリアを含むエリアに設定している(図10参照)が、基準更新エリアと作り置き対象エリアを含むエリアに設定しても良い。
【符号の説明】
【0062】
1 地図配信センタ
2 地図情報配信システム
3 車両
4 ナビゲーション装置
20 サーバ
21 CPU
22 RAM
23 ROM
32 地図更新データ
45 作り置き判定エリア
48 更新対象エリア
49 基準更新エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末から該端末に記憶された地図データの内、該端末の登録地点を含む基準更新エリアの地図データを更新する為の地図更新データの配信要求があった場合に、該端末からの配信要求に応じて前記地図更新データを配信する地図配信装置において、
新規地図データが登録された場合に、登録された前記新規地図データが複数の更新単位エリアに跨るデータであるか否か判定するデータ判定手段と、
前記データ判定手段によって前記新規地図データが複数の更新単位エリアに跨るデータであると判定された場合に、前記新規地図データに含まれる複数の前記更新単位エリアを新規地図エリアとして特定する新規地図エリア特定手段と、
前記新規地図エリアの少なくとも一部が前記基準更新エリアに含まれる端末を特定する端末特定手段と、
前記端末特定手段によって特定された端末に記憶された地図データの内、前記新規地図エリア及び前記基準更新エリアを含む更新対象エリアの地図データを更新する為の地図更新データを生成する地図更新データ生成手段と、
前記地図更新データ生成手段によって生成された前記地図更新データを格納する地図更新データ格納手段と、
前記端末特定手段によって特定された端末から配信要求があった場合に、前記地図更新データ格納手段によって格納された前記地図更新データを該端末へと配信する地図更新データ配信手段と、を有することを特徴とする地図配信装置。
【請求項2】
前記端末に記憶されている地図データのバージョンを取得する地図バーション取得手段を有し、
前記地図更新データ生成手段は、前記地図バーション取得手段により取得された前記地図データのバージョンに基づいて、前記端末に現在記憶されている地図データの内、前記更新対象エリアの地図データを更新する為の地図更新データを生成することを特徴とする請求項1に記載の地図配信装置。
【請求項3】
端末から該端末に記憶された地図データの内、該端末の登録地点を含む基準更新エリアの地図データを更新する為の地図更新データの配信要求があった場合に、該端末からの配信要求に応じて前記基準更新範囲の地図データを更新する為の地図更新データを配信する地図配信方法において、
新規地図データが登録された場合に、登録された前記新規地図データが複数の更新単位エリアに跨るデータであるか否か判定するデータ判定ステップと、
前記データ判定ステップによって前記新規地図データが複数の更新単位エリアに跨るデータであると判定された場合に、前記新規地図データに含まれる複数の前記更新単位エリアを新規地図エリアとして特定する新規地図エリア特定ステップと、
前記新規地図エリアの少なくとも一部が前記基準更新エリアに含まれる端末を特定する端末特定ステップと、
前記端末特定ステップによって特定された端末に記憶された地図データの内、前記新規地図エリア及び前記基準更新エリアを含む更新対象エリアの地図データを更新する為の地図更新データを生成する地図更新データ生成ステップと、
前記地図更新データ生成ステップによって生成された前記地図更新データを格納する地図更新データ格納ステップと、
前記端末特定ステップによって特定された端末から配信要求があった場合に、前記地図更新データ格納ステップによって格納された前記地図更新データを該端末へと配信する地図更新データ配信ステップと、を有することを特徴とする地図配信方法。
【請求項4】
コンピュータに搭載され、
端末から該端末に記憶された地図データの内、該端末の登録地点を含む基準更新エリアの地図データを更新する為の地図更新データの配信要求があった場合に、該端末からの配信要求に応じて前記基準更新範囲の地図データを更新する為の地図更新データを配信することを実行させるコンピュータプログラムにおいて、
新規地図データが登録された場合に、登録された前記新規地図データが複数の更新単位エリアに跨るデータであるか否か判定するデータ判定機能と、
前記データ判定機能によって前記新規地図データが複数の更新単位エリアに跨るデータであると判定された場合に、前記新規地図データに含まれる複数の前記更新単位エリアを新規地図エリアとして特定する新規地図エリア特定機能と、
前記新規地図エリアの少なくとも一部が前記基準更新エリアに含まれる端末を特定する端末特定機能と、
前記端末特定機能によって特定された端末に記憶された地図データの内、前記新規地図エリア及び前記基準更新エリアを含む更新対象エリアの地図データを更新する為の地図更新データを生成する地図更新データ生成機能と、
前記地図更新データ生成機能によって生成された前記地図更新データを格納する地図更新データ格納機能と、
前記端末特定機能によって特定された端末から配信要求があった場合に、前記地図更新データ格納機能によって格納された前記地図更新データを該端末へと配信する地図更新データ配信機能と、
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−210944(P2010−210944A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56911(P2009−56911)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】