説明

坩堝および薄板製造装置

【課題】坩堝に収容した溶湯に基板を接触させて金属材料および半導体材料のうち少なくとも一方を含む材料の薄板を製造する方法において、溶湯の液揺れにより溶湯が坩堝の外部に溢れ出し、坩堝上部の断熱材に溶湯が染み込む事態を回避し、断熱材の断熱性を均一に保つことができる薄板製造装置および同装置用の坩堝を提供する。
【解決手段】防波堤構造106を有する坩堝101と、坩堝101の側壁上面の外周側であって坩堝101の側壁上面の内周側より低い位置に設置した断熱材105と、基板搬送手段120とを備えた薄板製造装置100において、防波堤構造106は、坩堝101の側壁上面の内周側にあり、防波堤構造106の上端が、断熱材106の上端より高い位置にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄板製造装置に関し、特に、坩堝内の溶湯に基板を浸漬し、基板表面に溶湯を付着させ、凝固成長させて薄板を形成する薄板製造装置用の坩堝に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池用多結晶シリコンウエハは、鋳型に入ったシリコン溶湯を徐々に冷却し、得られた多結晶インゴットをブロック状に切り分けた後、そのブロックをスライスして製造しているため、スライスするコストおよびシリコンの損失が大きい。一方、スライス工程を必要としない板状シリコンの製造方法が知られている(特許文献1参照)。この製造方法は、原料シリコン溶湯に基板を浸漬し、基板上に溶湯を付着させて、板状シリコンを凝固成長させる方法であり、製造装置は、表面に板状シリコンを形成する基板と、溶湯を収容する坩堝と、基板を溶湯に浸漬し、溶湯から基板を取り出す基板搬送手段とを備える。
【0003】
この製造装置では、角型の板状シリコンを効率よく製造し、装置の小型化を図るため、角型ルツボおよび高周波誘導加熱方式を採用しているが、角型ルツボの角部では磁束密度が高まるため、過昇温が見られる一方、角型ルツボの側壁上面における辺の中央部分では十分に温度が上がりにくいため、角型ルツボの水平方向で温度差が生じやすい。このため、角型ルツボの角部では過昇温により炉材が損傷しやすく、一方、角型ルツボの側壁上面の辺の中央部分では、溶湯の過冷却および凝固が発生しやすく、このような温度分布により原料シリコンの熔融時および板状シリコンの製造時に、角型ルツボが割れるという現象が発生しやすい。
【0004】
角型ルツボの水平方向における温度差を小さくするために、角型ルツボの側壁上面における辺の中央部分に断熱材を配置して、保温する方法が知られている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−247396号公報
【特許文献2】特開2005−029405号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載の方法により、溶湯の温度分布を均一化することができるが、板状シリコンの製造時に溶湯の液揺れが生じると、溶湯が坩堝の外部に溢れ出し、坩堝上部の断熱材に溶湯が染み込み、断熱材の断熱性が部分的に悪化するという問題がある。断熱性が部分的に悪化すると、溶湯の温度分布が不均一になり、溶湯の温度が高過ぎる場合には、基板にシリコンが凝固成長しない。一方、溶湯の温度が低過ぎる場合には、溶湯が凝固し、凝固したシリコンに基板が接触すると、装置の故障につながり、溶融状態を保つために必要な電力も増大する。
【0006】
本発明の課題は、溶湯の液揺れにより溶湯が坩堝の外部に溢れ出し、坩堝上部の断熱材に溶湯が染み込む事態を回避し、断熱材の断熱性を均一に保つことができる薄板製造装置および同装置用の坩堝を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の坩堝は、金属材料および半導体材料のうち少なくとも一方を含む材料の溶湯を収容可能な坩堝であって、坩堝の側壁上面の内周側の少なくとも一部が、坩堝の側壁上面の外周側より高い位置にあることを特徴とする。また、本発明の薄板製造装置は、かかる坩堝と、坩堝の側壁上面の外周側であって坩堝の側壁上面の内周側より低い位置に設置する断熱材と、坩堝に収容された溶湯を付着させて凝固成長により薄板を形成するための基板を溶湯に浸漬し、溶湯から基板を取り出す基板搬送手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
坩堝内に収容する溶湯の温度分布を均一化し、基板上に薄板を効率的に凝固成長させ、炉材の損傷、溶湯の過冷却などを回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1
本実施の形態における薄板製造装置を図1および図4を用いて説明する。図1は、本発明の薄板製造装置の構造を例示する概略図である。図4は、本発明の薄板製造装置の斜視図である。図1に示すように、薄板製造装置100は、防波堤構造106を有する坩堝101と、坩堝101の側壁上面の外周側であって坩堝101の側壁上面の内周側より低い位置に設置した断熱材105と、基板搬送手段120とを備えている。「防波堤構造」とは、「坩堝の側壁上面の内周側の少なくとも一部であって、坩堝の側壁上面の外周側より高くなっている部分」を意味する。薄板製造装置100において、加熱手段103により融解した溶湯102を坩堝101に収容し、溶湯102に基板104の表面104bを浸漬し、基板104の表面104bに溶湯102を付着させ、凝固成長させることにより、基板104上に薄板を形成する。基板搬送手段120は、溶湯102に基板104を浸漬し、溶湯102から基板104を取り出す機能を有する。
【0010】
実施の形態1では、坩堝101は、主室(図示していない。)内に配置されている。主室内は、反応性の高い原料を融解可能とするために、たとえば、真空排気できる部材または不活性ガスを充填できる部材により構成されている態様が好ましい。たとえば、Ar(アルゴン)などの不活性ガスが導入され、たとえば、93kPaなど、大気圧よりもやや低い圧力、すなわち、負圧に保たれる。たとえば、不活性ガスとしてArガスを用いる場合には、排気に際し、フィルタなどを通してシリコン酸化物やその他の塵芥を除去し、循環使用する。また、主室内には、溶湯102の原料の追装機構(図示していない。)を有してもよい。追装機構としては、たとえば、追装用坩堝などを用いることができる。
【0011】
坩堝101の周囲には断熱材105が設けてあり、断熱材により坩堝の保温性が高まるため、より少ない電力コストで原料を融解できる。また、坩堝の周囲が高温になることを抑えることができるため、坩堝付近にある装置の故障リスクを抑えることができる。断熱材105の材質としては、高温でも変形を起こさない材質のものが好ましい。たとえば、黒鉛繊維をフェルト加工した材質またはアルミナをフェルト加工した材質を用いることが可能である。坩堝101の形状は、内部に溶湯102を保持できれば特に限定されないが、たとえば、図1および図4に示すように、上方に開口部を有する直方体形状とすることができる。
【0012】
図1(b)に示すように、坩堝101の側壁上面に、断熱材105を設置する場合、薄板を製造するときに、溶湯102が液揺れを起こし、溶湯102が坩堝101の外部へ溢れ出ると、溶湯102が断熱材105に染み込み、断熱効果が不均一になる。本発明の坩堝101は、防波堤構造を有し、坩堝の側壁上面の内周側の少なくとも一部が、坩堝の側壁上面の外周側より高くなっている部分を有する。したがって、溶湯102が坩堝101の外部へ溢れ出ることを防ぐことができる。たとえば、図1(b)に示すように、断熱材105が、坩堝101の側壁上面の外周側であって、坩堝101の側壁上面の内周側より低い位置に設置することにより、薄板製造時に、液揺れがあっても、溶湯102が坩堝の外部への溢れ出しを抑制することができる。特に、防波堤構造106が、坩堝101の側壁上面の内周側にあり、防波堤構造106の上端が、断熱材106の上端より高い位置にある態様が、溶湯102の外部のへ溢れ出しを効果的に防止する点で好ましい。
【0013】
また、図4に示すように、溶湯402を収容する坩堝の内壁に防波堤構造406を設け、防波堤構造406の上端を、断熱材405の上面より高くする態様も、溶湯の溢れ出しを効果的に防止できる点で好ましい。防波堤構造を設けることにより、断熱材への溶湯の染み込みを防止し、断熱性を均一に維持することができる。したがって、結晶成長を促進し、凝固した原料と基板などとの接触による装置の故障を回避することができる。防波堤構造の高さは約5〜10mm程度が望ましい。また、防波堤構造の厚みは3〜5mm程度が望ましい。ただし、防波堤構造の高さや厚みは、液揺れの大きさにより変化させることが可能である。
【0014】
溶湯102は、薄板の材料であれば、特に限定されないが、薄板の用途から、金属材料および半導体材料のうち少なくとも一方を含む材料が好ましい。たとえば、溶湯102の材料としては、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム、ひ素、インジウム、硼素、アンチモン、亜鉛、すずなどの半導体材料、アルミニウム、ニッケル、鉄などの金属材料、または樹脂などを使用することができる。実施の形態1においては、シリコン溶湯を用いている。
【0015】
加熱手段103は、溶湯102の温度を維持するため、坩堝101の周囲の全部または一部に配置することが好ましい。加熱手段103は、特に限定されないが、たとえば、抵抗加熱、誘導加熱または赤外線加熱などであり、金属または半導体原料を融解する一般的な方法を用いることが可能である。
【0016】
基板搬送手段は、特に限定されないが、たとえばガイドレールを使用する機構、回転体を使用する機構、またはロボットアームのような構造を使用する機構などを用いることができる。実施の形態1の基板搬送手段120は、図1(a)に示すように、ガイドレールを使用する機構を用いている。具体的には、基板搬送手段120は、たとえば基板104と、水平動作レール110と、スライド体111と、昇降機構112と、懸垂支柱113と、回転機構114と、回転支柱115と、台座支柱部116と、台座117とを備えている。具体的には、基板搬送手段120は、水平動作レール110に沿って動作(走行)するスライド体111に取り付けられた昇降機構112を備え、この昇降機構112には懸垂支柱113、懸垂支柱113に設置された回転機構114、回転機構114によって動作(回転)する回転支柱115、および台座支柱部116が吊り下げられている。台座支柱部116には基板104を保持する台座117が接続されている。なお、水平動作レール110は、特に限定されず、たとえば、水平方向にまっすぐに伸びる軌道を形成していてもよいし、溶湯102の上で台座117が溶湯102に近づくように、坩堝101上で浅いU字状の軌道を形成していてもよい。
【0017】
台座117は中央部に、基板104と係合する係合溝117aを有している。基板104は、裏面に畝状突起104aを有し、その畝状突起104aと台座117の係合溝117aとが係合し、両者は一体化されている。基板104における台座117と対向する面と反対の表面104bは、薄板を製造する面であり、平坦化している。基板104の材質は、高温の溶湯102中への浸漬により損傷し難い十分な耐熱性を有していることが好ましい。たとえば、溶湯102としてシリコン溶湯を用いる場合には、耐熱性の観点から基板104の材料としてカーボンを用いることが好ましい。なお、溶湯102としてシリコン溶湯を用いる場合には、シリコン溶湯は1400℃〜1500℃の高温であり、またシリコンの蒸着もあるので、水平動作レールなどの基板搬送手段120を保護するため、断熱性または冷却された遮蔽板を坩堝101上に配置する態様が好ましい。
【0018】
基板104の水平方向の移動は、水平動作レール110に沿って、スライド体111を移動させることにより、昇降機構112と懸垂支柱113に吊り下がっている機構全体を水平方向に移動させて行なう。上下(昇降)方向の移動は、昇降機構112が、懸垂支柱113に吊り下がっている機構全体を上下方向に移動することにより行なう。回転動作は、回転機構114によって行なわれる。具体的には、基板104を水平方向に移動させて、坩堝101内の溶湯102の上方に基板を配置できるようにする。そして、溶湯102の上から昇降機構112と懸垂支柱113に吊り下がっている機構全体を下降させることにより、基板104の表層部が溶湯102に浸漬される。この結果、基板104の表面104bに溶湯102中のシリコンが付着される。次いで、昇降機構112を上昇して、基板104を溶湯102から離脱する。この間、水平方向の移動と昇降動作と基板傾斜動作とは、互いに独立した制御機構によって動作される。この結果、基板104は任意の軌道および傾斜状態にて溶湯102に浸漬され、溶湯102内を移動し、溶湯102から離脱される。
【0019】
制御機構として、たとえば、パソコンにより、水平方向移動指令と昇降動作移動指令と、傾斜動作指令とをそれぞれプログラミングし、それをコントローラに送信しておくことにより、プログラム通りの任意の軌道を実現することができる。さらに、制御機構は、連続的に薄板を作製すると液面が徐々に下降し、原料を追装すると液面が上昇するため、基板搬送手段120には液面位置に合わせて基板104の浸漬軌道を調節できる機能を備えている態様が好ましい。なお、水平方向移動と、昇降動作移動と、傾斜動作とは、それぞれの動作に1つのモータを割り当てられ、合計3つのモータによって個別に駆動する。上記プログラムは、溶湯102の液面の変動および基板104の板厚の変動に対して所定の厚さのシリコン薄板が得られるように、上記3つの独立した移動(動作)手段を制御する。そして、溶湯102から離脱した後に基板104は水平方向に移動し(水平運動になり)、坩堝101から離れた位置でシリコンが付着した基板を台座117から外す。シリコンが付着した基板からシリコンを分離することにより、シリコン薄板を製造することができる。なお、シリコンが付着した基板を冷却してから基板104とシリコン薄板に分離することが好ましい。また、形状を整えるために、シリコン薄板の周辺を切断してもよい。
【0020】
実施の形態2
図2は、本実施の形態における薄板製造装置の斜視図である。図2を参照して、本発明の実施の形態2における薄板製造装置を説明する。本実施の形態における坩堝構成は、基本的には実施の形態1における薄板製造装置と同様であるが、防波堤構造および断熱材の配置において異なる。坩堝内の温度分布は、坩堝の形状および加熱手段により異なり、たとえば、図2に示すような直方体形状の坩堝201を使用して、誘導加熱手段203により加熱する場合、坩堝201の角部で磁束密度が高まるために温度が上昇しやすくなる。このため、坩堝の長辺部分の温度が最も低く、角部で最も温度が高くなる結果、溶湯202に温度分布が生じる。したがって、溶湯の温度が高い領域では、基板に溶湯が凝固成長せず、薄板の製造が困難になり、一方、温度が低い領域では凝固しやすくなり、凝固した原料と基板が接触すると、装置故障の原因となる。そこで、本実施の形態では、坩堝温度の低い長辺部分のみに断熱材205を設けており、溶湯の温度分布を均一化することができ、安定的に薄板を製造することが可能である。また、短辺方向には防波堤構造が必要ないため、より低い位置にまで基板を坩堝に接触させることができ、溶湯を効率的に使用することが可能である。
【0021】
(実施例1)
本実施例では、防波堤構造を設けることによる効果として、断熱材の状態と溶湯を保持するために必要な電力を調べた。本実施例では、図1に示すように、Siの溶湯102を収容する坩堝101の側壁上面に断熱材105を設置し、Si溶湯102が液揺れを起こすときに、溶湯102が坩堝101の外部へ溢れ出ることを防ぐための防波堤構造106を有する坩堝101を用いた。この断熱材105は坩堝101の側壁上面の外周側に設置し、坩堝101の側壁上面の内周側より低い位置に設置した。また、防波堤構造106の上端は、断熱材105の上端より高い位置にある坩堝101を使用した。また、Si薄板の製造は、図1に示すように、上述の防波堤構造106を有する坩堝101と、断熱材105と、坩堝101に収容された溶湯102を付着させ、凝固成長により薄板を形成するための基板104を、溶湯102に浸漬し、溶湯102から基板104を取り出す基板搬送手段120とを備える薄板製造装置100を用いて行なった。基板104の浸漬は、3日間実施し、断熱材の状態と電力の上昇分を調査した結果、防波堤構造106を設けることにより、溶湯102の溢れ出しを防止することができ、坩堝101上にある断熱材105は、3日間経過後もSiを含んでいなかった。また、融解状態の電力値は、3日間で3.5kw上昇した。その結果、表1に示す。
【0022】
【表1】

【0023】
(比較例1)
図3に示すような薄板製造装置を用い、防波堤構造を設けなかった以外は実施例1と同様にして、断熱材の状態と溶湯を保持するために必要な電力を調べた。すなわち、図3に示すように、Si溶湯302を収容する坩堝301に断熱材305を設置し、防波堤構造を設けることなく、加熱手段303を用いて、基板の浸漬を3日間実施した。断熱材の状態と電力の上昇分を表1に示す。表1から明らかなとおり、防波堤構造のない坩堝を用いて浸漬を行なった場合は、溶湯302の液揺れにより、溶湯302が坩堝301の外部へ溢れ出し、3日間を経過した後では、坩堝301上にある断熱材305はSiを含んでいた。また、融解状態を維持するための電力値は5.5kw上昇した。したがって、断熱材305がSiを含むことにより、断熱性が悪くなり、融解状態を保持するのに必要な電力が上昇したことがわかった。
【0024】
(実施例2と3)
本実施例では、図5に示すような薄板製造装置を用い、断熱材を坩堝上部の一部に設置したときの坩堝の温度分布を調査した。本実施例では、長辺300mm、短辺250mm、深さ600mmの坩堝を用いた。また、黒鉛繊維をフェルト加工した断熱材を用い、図5(b)に示すように、長辺側に、長さ250mm、幅25mm、厚さ3mmの断熱材505aを用い、短辺側に、長さ125mm、幅20mm、厚さ2mmの断熱材505bを用いた。一方、図5(c)では、長辺にのみ長さ100mm、幅20mm、厚み3mmの断熱材505cを用いた。図5(b)と図5(c)に示すように、断熱材はそれぞれ長辺、短辺の中央に配置し、防波堤構造506を有する坩堝を用いた。坩堝温度の測定は、W−Re熱電対を用いて行ない、また、図5(a)には、参考例として、断熱材と防波堤構造のない態様について測温した。その他の点では、実施例1と同様に実施した。その結果を表2に示す。
【0025】
【表2】

【0026】
表2の結果から明らかなとおり、断熱材を配置した辺の坩堝の温度が上昇し、長辺のみに断熱材を配置することで短辺と長辺の温度差を小さくすることができることがわかった。また、防波堤構造を有する坩堝を用いることにより、断熱材の劣化を抑えられることから、坩堝温度の分布を長期間に亘り均一に保持することができることがわかった。また、坩堝の形状または加熱手段に応じて断熱材の配置を変更しても同様に有効であることがわかった。
【0027】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0028】
坩堝内の溶湯の水平方向における温度分布を均一化し、結晶の成長を促進し、凝固した原料と基板などとの接触による装置の故障を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態1における薄板製造装置の構造を示す概略図である。
【図2】本発明の実施の形態2における薄板製造装置の斜視図である。
【図3】比較例1における薄板製造装置の斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態1における薄板製造装置の斜視図である。
【図5】本発明の実施例2と3における薄板製造装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
100 薄板製造装置、101 坩堝、102 溶湯、104 基板、105 断熱材、106 防波堤構造、110 水平動作レール、111 スライド体、112 昇降機構、113 懸垂支柱、114 回転機構、115 回転支柱、116 台座支柱部、117 台座、120 基板搬送手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属材料および半導体材料のうち少なくとも一方を含む材料の溶湯を収容可能な坩堝であって、
該坩堝の側壁上面の内周側の少なくとも一部が、前記坩堝の側壁上面の外周側より高い位置にある坩堝。
【請求項2】
請求項1に記載の坩堝と、
該坩堝の側壁上面の外周側であって前記坩堝の側壁上面の内周側より低い位置に設置する断熱材と、
前記坩堝に収容された溶湯を付着させて凝固成長により薄板を形成するための基板を前記溶湯に浸漬し、前記溶湯から前記基板を取り出す基板搬送手段と
を備える薄板製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−314383(P2007−314383A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−146975(P2006−146975)
【出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】