説明

型締装置、成形機、型盤、型締装置の制御方法、及び型盤の制御方法

【課題】高精度に調整可能な型締装置を提供する。
【解決手段】一つの形態に係る型締装置1は、金型11が取り付けられる型盤3と、型盤3の傾きを調整可能な駆動部31と、型盤3または金型11の角度に関する情報を検出する測定部33と、測定部33からの情報に基づいて駆動部31を動作させる制御部34とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば射出成形機やダイカストマシンなどの成形機に用いられる型締装置または型盤、及びそれらの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば近年のプラスチックレンズ成形では、従来に比べて一段高いレベルの精度が要求される。例えばレンズの光学的精度を維持するためには、固定金型と移動金型の同芯度が重要となる。これら要求を満足させるためには、金型の精度向上も重要であるが、金型の工夫だけでなく、型締装置の精度までレベルアップさせる必要がある。
【0003】
特許文献1には、固定プラテン1の中央底部に設けられた倒れ防止用の脚部4に、固定プラテン1の金型取付け面の鉛直軸に対する傾きを調整するための傾き調整ボルト6が設けられた型締機構が開示されている。上記脚部4は、固定プラテン1の背面側(射出装置側)に設けられている。
【0004】
特許文献2には、1枚プレート方式で、移動プラテン3の下部に設けられたローラ12を前後に移動させることで、移動プラテン3の傾斜を修正することができる平行度調整機構が開示されている。
【0005】
特許文献3には、可動プラテン31に自動調芯ベアリング35が設けられ、可動金型35が取り付けられるフローティングプレート81が自動調芯ベアリング35を介して可動プラテン31に取り付けられた型締装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−253532号公報
【特許文献2】特開平4−135705号公報
【特許文献3】特開2004−243724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
型締装置や型盤は、さらなる精度の向上が要望されている。
【0008】
本発明の目的は、高精度に調整可能な型締装置、成形機、型盤、型締装置の制御方法、及び型盤の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明の一つの形態に係る型締装置は、金型が取り付けられる型盤と、前記型盤に設けられ、前記型盤の傾きを調整可能な駆動部と、前記型盤または前記金型の角度に関する情報を検出する測定部と、前記測定部からの情報に基づいて前記駆動部を動作させる制御部とを備える。
【0010】
前記目的を達成するために、本発明の一つの形態に係る型締装置の制御方法は、金型が取り付けられる型盤と、前記型盤に設けられ、前記型盤の傾きを調整可能な駆動部と、前記型盤または前記金型の角度に関する情報を検出する測定部と、を備える型締装置において、前記測定部からの情報に基づいて前記駆動部を制御する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、型締装置が高精度に調整可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る型締装置を模式的に示す側面図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る駆動部を示す側面図。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る駆動部の変形例を示す側面図。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る型締装置の変形例を示す側面図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る型締装置を模式的に示す側面図。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る駆動部を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1乃至図4は、本発明の第1の実施形態に係る型締装置1を開示している。図1に示すように、型締装置1は、フレーム2と、固定盤3と、移動盤4とを備えている。フレーム2は、型締装置1の土台を形成する。フレーム2の上には、リニアガイド5が設けられている。
【0015】
固定盤3は、第1の型盤(第1のプラテン)の一例である。固定盤3には、固定金型11が取り付けられる。固定金型11は、第1の金型の一例である。固定盤3は、フレーム2の上に固定されている。固定盤3は、例えば2枚プレート方式の型盤であり、支持部材12(第1のダイプレート)と、盤面部材13(第2のダイプレート)とを有する。盤面部材13は、金型固定部材の一例である。
【0016】
支持部材12は、フレーム2の上に固定されている。支持部材12は、フレーム2に対して略直立した第1の部分14と、この第1の部分14の下端部から移動盤4に向いて突出した第2の部分15とを有する。第1の部分14は、略鉛直に起立し、移動盤4に向かい合う第1の面14aと、この第1の面14aとは反対側に位置された第2の面14bとを有する。第1の面14aには、盤面部材13が取り付けられている。第2の部分15の一部は、盤面部材13の下方に位置している。
【0017】
図1に示すように、盤面部材13は、支持部材12の第1の部分14に取り付けられ、フレーム2から浮かされた状態で、支持部材12に片持ち支持されている。盤面部材13は、移動盤4に向かい合っている。盤面部材13は、支持部材12の第2の部分15の上方に位置する。盤面部材13と、支持部材12の第2の部分15との間には、空間(隙間)が設けられている。
【0018】
なお、支持部材12は、図1では第1の部分14と第2の部分15とが一体に形成されているが、後述する移動盤4と同様に、第1の部分14と、第2の部分15との2つに分離した構成で形成されていてもよい。また、固定盤3は、支持部材12の第2の部分15を有しなくてもよい。すなわち、第2の部分15を無くして、駆動部31を直接フレーム2に支持するようにしてもよい。
【0019】
盤面部材13は、移動盤4に向かい合う第1の面13aと、この第1の面13aとは反対側に位置され、支持部材12に向かう合う第2の面13bとを有する。第1の面13aは、金型取付面の一例である。固定金型11は、盤面部材13の第1の面13aに取り付けられ、移動盤4に向かい合っている。
【0020】
移動盤4は、第2の型盤(第2のプラテン)の一例である。移動盤4には、移動金型21が取り付けられる。移動金型21は、第2の金型の一例である。移動盤4は、リニアガイド5の上に載置され、リニアガイド5に沿って、固定盤3に近付く方向と固定盤3から離れる方向とに進退可能である。移動盤4は、例えば型締シリンダやトグル機構などによって、固定盤3に対して進退させられる。
【0021】
移動金型21は、固定金型11に対向する。移動金型21は、移動盤4が固定盤3に向いて移動されることで、固定金型11と合わされる。移動金型21と固定金型11とが合わされることで、移動金型21と固定金型11との間に製品形状に対応した空間(キャビティ)が形成される。
【0022】
移動盤4は、固定盤3と略同様に2枚プレート方式の型盤であり、支持部材22(第1のダイプレート)と、盤面部材23(第2のダイプレート)とを有する。盤面部材23は、金型固定部材の一例である。支持部材22は、第1の部材24と、第2の部材25とを有する。説明の便宜上、順序が逆になるが、第1の部材24は、支持部材22の第2の部分の一例である。第2の部材25は、支持部材22の第1の部分の一例である。
【0023】
図1に示すように、第1の部材24は、リニアガイド5に沿って設けられ、リニアガイド5に摺動可能に取り付けられている。第2の部材25は、第1の部材24の上に載置され、第1の部材24に対して略直立している。第2の部材25は、略鉛直に起立し、固定盤3に向かい合う第1の面25aと、この第1の面25aとは反対側に位置された第2の面25bとを有する。第1の面25aには、盤面部材23が取り付けられている。第1の部材24の一部は、盤面部材23の下方に位置している。なお第1及び第2の部材24,25は、一体に形成されてもよい。
【0024】
盤面部材23は、支持部材22の第2の部材25に取り付けられ、フレーム2及びリニアガイド5から浮かされた状態で、支持部材22に片持ち支持されている。盤面部材23は、固定盤3に向かい合っている。盤面部材23は、支持部材22の第1の部材24の上方に位置する。盤面部材23と、支持部材22の第1の部材24との間には、空間(隙間)が設けられている。
【0025】
盤面部材23は、固定盤3に向かい合う第1の面23aと、この第1の面23aとは反対側に位置され、支持部材22に向かう合う第2の面23bとを有する。第1の面23aは、金型取付面の一例である。移動金型21は、盤面部材23の第1の面23aに取り付けられ、固定盤3に向かい合っている。
【0026】
図1に示すように、型締装置1は、さらに、第1の駆動部31、第2の駆動部32、測定部33、制御部34、及び設定部35を有する。
【0027】
第1の駆動部31は、固定盤3に設けられ、固定盤3の傾きを調整可能に構成されている。第1の駆動部31は、例えば盤面部材13の下方に設けられている。詳しく述べると、第1の駆動部31は、支持部材12の第2の部分15と、盤面部材13との間に設けられ、盤面部材13を下方から支持している。第1の駆動部31は、例えば制御部34によって自動で制御されるアクチュエータである。また、第1の駆動部31は、フレーム2と、盤面部材13との間に設けられ、盤面部材13を下方から支持するようにしてもよい。
【0028】
図2は、第1の駆動部31の一例を示す。第1の駆動部31は、本体部41(固定部)と、この本体部41に設けられ、本体部41に対して移動可能な可動子42(可動部)とを有する。本実施形態では、本体部41は、支持部材12の第2の部分15に固定されている。可動子42の先端部は、盤面部材13に下方から当接し、盤面部材13を下方から支持している。可動子42は、略鉛直方向(すなわち上下方向)に移動可能である。例えば、可動子42が盤面部材13に向いて移動すると、盤面部材13が持ち上げられる。本実施形態での第1の駆動部31は、可動子42が盤面部材13の下方から上下方向に移動することで固定盤3の傾きの調整を可能としている。すなわち、第1の駆動部31は、盤面部材13の一方の端部を上方向または下方向に移動させることで、固定盤3の傾きを調整可能にする。
【0029】
なお第1の駆動部31は、本実施形態とは上下逆に設置されてもよい。すなわち、本体部41が盤面部材13に固定されるとともに、可動子42の先端部が支持部材12に上方から当接してもよい。この場合、可動子42が支持部材12に向いて移動すると、盤面部材13が持ち上げられる。第1の駆動部31の一例は、ピエゾ式のアクチュエータであり、遠隔操作可能である。
【0030】
図1に示すように、固定盤3(すなわち支持部材12及び盤面部材13の両方またはいずれか一方)は、固定金型11が取り付けられると、固定金型11の自重により固定金型11側に傾く(図1の矢印A参照)。第1の駆動部31は、支持部材12に対して、盤面部材13と同じ側に設けられている。第1の駆動部31は、固定盤3に取り付けられた固定金型11の自重により固定金型11側に傾く固定盤3(すなわち支持部材12及び盤面部材13の両方またはいずれか一方)を、その傾く側から支持している。
【0031】
第2の駆動部32は、移動盤4に設けられ、移動盤4の傾きを調整可能に構成されている。第2の駆動部32は、例えば盤面部材23の下方に設けられている。詳しく述べると、第2の駆動部32は、支持部材22の第1の部材24と、盤面部材23との間に設けられ、盤面部材23を下方から支持している。第2の駆動部32は、例えば制御部34によって自動で制御されるアクチュエータである。
【0032】
第2の駆動部32の構成は、第1の駆動部31の構成と略同じである。すなわち、第2の駆動部32は、本体部41(固定部)と、この本体部41に設けられ、本体部41に対して移動可能な可動子42(可動部)とを有する。本実施形態では、本体部41は、支持部材22の第1の部材24に固定されている。可動子42の先端部は、盤面部材23に下方から当接し、盤面部材23を下方から支持している。可動子42は、盤面部材23に向いて、略鉛直方向(すなわち上下方向)に移動可能である。例えば、可動子42が盤面部材23に向いて移動すると、盤面部材23が持ち上げられる。本実施形態での第2の駆動部32は、可動子42が盤面部材23の下方から上下方向に移動することで移動盤4の傾きの調整を可能としている。すなわち、第2の駆動部32は、盤面部材23の一方の端部を上方向または下方向に移動させることで、移動盤4の傾きを調整可能にする。
【0033】
なお第2の駆動部32は、本実施形態とは上下逆に設置されてもよい。すなわち、本体部41が盤面部材23に固定されるとともに、可動子42の先端部が支持部材22に上方から当接してもよい。この場合、可動子42が支持部材22に向いて移動すると、盤面部材23が持ち上げられる。第2の駆動部32の一例は、ピエゾ式のアクチュエータであり、遠隔操作可能である。
【0034】
図1に示すように、移動盤4(すなわち支持部材22及び盤面部材23の両方またはいずれか一方)は、移動金型21が取り付けられると、移動金型21の自重により移動金型21側に傾く(図1の矢印B参照)。第2の駆動部32は、支持部材22に対して、盤面部材23と同じ側に設けられている。第2の駆動部32は、移動盤4に取り付けられた移動金型21の自重により移動金型21側に傾く移動盤4(すなわち支持部材22及び盤面部材23の両方またはいずれか一方)を、その傾く側から支持している。
【0035】
図1に示すように、型締装置1は、固定盤3の角度(または固定金型11の角度)及び移動盤4の角度(または移動金型21の角度)に関する情報を検出する測定部33を有する。なお、「固定盤3の角度」と「固定金型11の角度」は実質的に同じであるため(実質的に対応するため)、以下の角度に関する説明は「固定盤3の角度」のみを用いて説明するが、これらは「固定金型11の角度」と読み替えて適用することもできる。同様に、「移動盤4の角度」と「移動金型21の角度」は実質的に同じであるため(実質的に対応するため)、以下の角度に関する説明は「移動盤4の角度」のみを用いて説明するが、これらは「移動金型21の角度」と読み替えて適用することもできる。
【0036】
また、「固定盤3の角度」とは、本実施形態では盤面部材13の角度のことであるが、これに代えて、支持部材12の角度を用いてもよい。同様に、「移動盤4の角度」とは、本実施形態では盤面部材23の角度のことであるが、これに代えて、支持部材22の角度を用いてもよい。
【0037】
測定部33は、固定盤3の角度及び移動盤4の角度を直接又は間接的に測るものでもよく、若しくは、固定盤3及び移動盤4の動きに関する別の要素を検出し、その要素から固定盤3の角度及び移動盤4の角度を割り出す(算出する)ものでもよい。
【0038】
すなわち「角度に関する情報」とは、固定盤3および移動盤4の角度そのものに限らず、固定盤3および移動盤4の位置情報や、動きの情報(角速度、角加速度、力)などでもよく、その情報に基づいて制御部34が固定盤3及び移動盤4の傾きに関する状態を知ることができる情報であればよい。
【0039】
測定部33は、第1の測定装置51と、第2の測定装置52とを有する。第1の測定装置51は、固定盤3に取り付けられた角度センサ(傾きセンサ)であり、固定盤3の角度に関する情報を検出する。より具体的には、第1の測定装置51は、固定盤3の盤面部材13に取り付けられ、盤面部材13の傾き(盤面部材13の角度情報、すなわち固定金型11の傾き)を測る。また、第1の測定装置51は、固定金型11に取り付けるようにしてもよい。
【0040】
第2の測定装置52は、移動盤4に取り付けられた角度センサ(傾きセンサ)であり、移動盤4の角度に関する情報を検出する。より具体的には、第2の測定装置52は、移動盤4の盤面部材23に取り付けられ、盤面部材23の傾き(盤面部材23の角度情報、すなわち移動金型21の傾き)を測る。また、第2の測定装置52は、移動金型21に取り付けるようにしてもよい。第1及び第2の測定装置51,52は、それぞれ制御部34に電気的に接続されており、それぞれが計測した固定盤3及び移動盤4の傾きに関する情報を制御部34に送る。
【0041】
設定部35は、例えばヒューマンマシンインターフェイス(HMI)である。操作者は、設定部35の例えばコントローラ画面などを通じて、第1及び第2の駆動部31,32の動作に関する指令などを制御部34に入力可能である。設定部35を通じて入力可能な情報の一例は、例えば第1及び第2の駆動部31,32のアクチュエータの変位量や、製品に応じた金型平行度や同芯度の許容値などであるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
図1に示すように、制御部34は、第1及び第2の駆動部31,32に電気的に接続されている。制御部34は、第1及び第2の駆動部31,32に駆動信号を送り、第1及び第2の駆動部31,32を動作させる。制御部34は、例えば固定金型11及び移動金型21を固定盤3及び移動盤4にそれぞれ取り付けた後で、例えば固定金型11及び移動金型21の自重による固定盤3及び移動盤4の倒れを解消するように、測定部33から得られた情報に基づいて第1及び第2の駆動部31,32を動作させる。
【0043】
より具体的には、制御部34は、例えば測定部33から得られた固定盤3の傾きと移動盤4の傾きに関する情報から、固定金型11と移動金型21の平行度を算出する。制御部34は、算出された平行度と、例えば予め入力されている製品に応じた平行度の許容値とを比較する。制御部34は、固定金型11と移動金型21の平行度を保つように、すなわち固定金型11と移動金型21の平行度が製品に応じた所定の許容値に収まるように、第1及び第2の駆動部31,32を制御する。
【0044】
また制御部34は、例えば測定部33から得られた固定盤3の傾きと移動盤4の傾きに関する情報から、固定金型11と移動金型21の同芯度を算出する。また、同芯度の精度を向上させるため、別途同芯度用の検出器を備えるようにしてもよい。その場合には、制御部34は、例えば測定部33から得られた固定盤3の傾きと移動盤4の傾きに関する情報と同芯度用の検出器から得られた測定値から、固定金型11と移動金型21の同芯度を算出する。制御部34は、算出された同芯度と、例えば予め入力されている製品に応じた同芯度の許容値とを比較する。制御部34は、固定金型11と移動金型21の同芯度が製品に応じた所定の許容値に収まるように、第1及び第2の駆動部31,32を制御する。
【0045】
次に、型締装置1の作用の一例について説明する。
固定盤3に固定金型11を取り付けると、固定金型11の自重により固定盤3が傾く(図1中の矢印A参照)。また、移動盤4に移動金型21を取り付けると、移動金型21の自重により移動盤4が傾く(図1中の矢印B参照)。また、固定金型11及び移動金型21を、重さが異なる別の金型に取り替えた時には、固定盤3及び移動盤4の傾きが変化する。
【0046】
固定盤3及び移動盤4の傾きは、第1及び第2の測定装置51,52によって計測される。固定盤3及び移動盤4の傾きに関する情報は、第1及び第2の測定装置51,52から制御部34に送られる。制御部34は、第1及び第2の測定装置51,52から得られた情報に基づいて、第1及び第2の駆動部31,32を動作させる。第1及び第2の駆動部31,32は、固定盤3及び移動盤4の傾き(倒れ)を無くすように、可動子42を上下方向に移動させる(図1中の矢印C,D参照)。すなわち、金型を新しく取り付けた時や、それまでよりも重い金型に交換した時は、固定盤3,4は矢印A,Bの向きに傾くので、可動子42を上方向に移動させ、盤面部材13,23を持ち上げる動作を行う。一方で、それまでよりも軽い金型に交換した時は、可動子42を下方向に移動させ、盤面部材13,23の傾きを調整する動作を行う。
【0047】
第1及び第2の駆動部31,32の可動子42が上下方向に移動すると、固定盤3及び移動盤4の傾きが変化する。この変化後の固定盤3及び移動盤4の傾きは、第1及び第2の測定装置51,52によって再び計測され、その計測情報は制御部34に送られる。制御部34は、第1及び第2の測定装置51,52から得られた再計測の情報に基づいて、第1及び第2の駆動部31,32を再び駆動し、固定盤3及び移動盤4の傾きを調整する。
【0048】
より詳しく述べると、制御部34は、固定盤3の傾きと移動盤4の傾き、または固定盤3の傾きと移動盤4の傾きと同芯度用の検出器から得られた測定値から、固定金型11と移動金型21に対する平行度及び同芯度の両方またはいずれか一方を算出する。制御部34は、この算出された平行度及び同芯度の両方またはいずれか一方を、当該制御部34に予め設定されている許容値と比較する。制御部34は、固定盤3の傾きと移動盤4の傾きから算出された平行度及び同芯度の両方またはいずれか一方が所定の許容値以下になるまで、上記一連の動作を繰り返す。そして、固定盤3の傾きと移動盤4の傾きから算出された平行度及び同芯度の両方またはいずれか一方が所定の許容値以下になると、第1及び第2の駆動部31,32の駆動を停止する。これにより、固定盤3及び移動盤4の傾きの自動補正が成される。
【0049】
また、以上までは、第1及び第2の駆動部31,32が盤面部材13,23の下方に設けられている場合について述べたが、本実施形態はこれに限るものではない。第1の駆動部31は、図4に示すように、例えば支持部材12の第1の部分14の上方(端部)または下方(端部)で、盤面部材13と支持部材12の第1の部分14との間に設けられてもよい。第1の駆動部31は、例えば、支持部材12の第1の部分14の下方(端部)で、盤面部材13と支持部材12の第1の部分14との間に設けられている場合には、第1の駆動部31の可動子42は、上述と同様に、盤面部材13と支持部材12の第1の部分14との間に取り付けられ、略水平方向(型開閉方向(左右方向))に移動可能となる。
【0050】
固定盤3に、固定金型11を取り付けると、固定盤3の傾きは、第1の測定装置51によって測定され、該測定情報が制御部34に送られる。制御部34は該測定情報に基づいて、第1の駆動部31を固定盤3の傾き(倒れ)を無くすように(特に固定盤3の盤面部材13の傾き(倒れ)を無くすように)可動子42を水平方向(型開閉方向)に移動させる。これにより、固定盤3(特に固定盤3の盤面部材13)の傾きの自動補正が成される。また、第1の駆動部31は、例えば、支持部材12の第1の部分14の上方(端部)で、盤面部材13と支持部材12の第1の部分14との間に設けられている場合も同様である。
【0051】
また、同様に、第2の駆動部32は、例えば支持部材22の第2の部材25の上方(端部)または下方(端部)で、盤面部材23と支持部材22の第2の部材25との間に設けられていてもよく、作用についても、第1の駆動部31と同様の動作をさせることで、移動盤4(特に移動盤4の盤面部材23)の傾きの自動補正が成される。
【0052】
なお、上記のように駆動部31,32を略水平方向に配置する変形例は、後述する第2及び第3の実施形態においてもそれぞれ適用可能である。
【0053】
このような構成の型締装置1によれば、例えば金型11,21の平行度や同芯度などを高精度に調整することができる。すなわち本実施形態に係る型締装置1は、金型11,21が取り付けられる型盤3,4と、型盤3,4の傾きを調整可能な駆動部31,32と、型盤3,4の角度に関する情報を検出する測定部33と、測定部33から得られた情報に基づいて駆動部31,32を動作させる制御部34とを備える。
【0054】
この構成によれば、測定部33の測定情報に基づいて駆動部31,32が動作され、型盤3,4の傾き(倒れ)が例えば自動で補正される。すなわち、測定部33により測定した結果に基づいて調整が行われるため、金型11,21の平行度や同芯度などを高精度に調整することができる。上記構成によれば、例えば型盤3,4の傾きを手動で調整する場合に比べて、金型11,21の平行度や同芯度などの精度を向上させることができる。上記構成によれば、金型11,21の平行度、同芯度を例えばナノレベルで調整することができる。さらに、駆動部31,32により型盤3,4の傾きが例えば自動で調整されるので、運転中(成形稼働中)の調整が可能である。
【0055】
本実施形態では、固定金型11が取り付けられる固定盤3と、移動金型21が取り付けられる移動盤4と、固定盤3の傾きを調整可能な第1の駆動部31と、移動盤4の傾きを調整可能な第2の駆動部32と、固定盤3の角度及び移動盤4の角度に関する情報を検出する測定部33と、制御部34とを有する。制御部34は、固定金型11及び移動金型21を固定盤3及び移動盤4にそれぞれ取り付けた後で、固定金型11及び移動金型21の自重による固定盤3及び移動盤4の倒れを解消するように、測定部33から得られた情報に基づいて第1の駆動部31及び第2の駆動部32を動作させる。
【0056】
このような構成によれば、金型11,21の重さによらず、移動盤4及び固定盤3の傾きを補正することができる。さらに、固定盤3及び移動盤4の両方の傾きを調整することで、より高い精度で、固定金型11と移動金型21の平行度や同芯度を調整することができる。
【0057】
また、本発明は、金型の自重による型盤の倒れを抑制するものに限定されるものではない。本発明は、例えば成形稼働中に固定金型11または固定盤3の熱膨張などにより固定金型11または固定盤3が傾いた場合にも適用することができ、成形稼働中に固定金型11または固定盤3の傾きの自動補正を行うことができる。その結果、本実施形態では、成形稼働中に固定金型11及び固定盤3の熱膨張などによる影響を抑制することができる。また、移動盤4及び移動金型21に対して、略同じ効果を期待できる。
【0058】
本実施形態では、駆動部31,32は、金型取付部材(盤面部材13,23)の傾きを直接に調整することができるため、例えば特開2007−253532号公報のような構成に比べて、平行度や同芯度を出しやすい。なおこれは、第1及び第2の駆動部31,32を図4のように盤面部材13,23と支持部材12,22との間に取り付けた場合も同様である。
【0059】
また、特開2007−253532号公報の構成では、固定プラテン1の背面側に調整ボルト6が設けられているが、固定プラテン1の背面側にはノズルタッチ用の機構が装着されることが多く、リブ(脚部)を設けると邪魔になる可能性がある。また、強度が必要になる。
【0060】
これに対して本実施形態では、プラテンの前面側(金型側)に調整手段が設けられているので、傾き調整装置を小型化することができる。また盤面部材13,23を直接に支持するため、プラテンにリブ(脚部)を設ける必要がない。
【0061】
本実施形態では、固定盤3は、固定金型11が取り付けられる盤面部材13を有する。第1の駆動部31は、略鉛直方向に移動可能な可動子42を有するとともに、盤面部材13の下方に設けられ、盤面部材13を下方から支持している。この構成によれば、下方に向いて倒れようとする盤面部材13を、その倒れ方向とは反対方向に向いて第1の駆動部31で直接に押し上げる(持ち上げる)ことができるので、固定盤3の傾きをより高い精度で調整することができる。なお本実施形態では、移動盤4に関しても略同じ効果を期待することができる。
【0062】
本実施形態では、固定盤3は、固定金型11が取り付けられる盤面部材13を有する。第1の駆動部31は、略水平方向に移動可能な可動子42を有するとともに、盤面部材13の少なくとも上方または下方のどちらか一方から支持している。この構成によれば、第1の駆動部31を自動制御することで、下方に向いて倒れようとする盤面部材13を、倒れないようにすることができるため、固定盤3の傾き(特に固定盤3の盤面部材13の傾き)をより高い精度で調整することができる。その結果、固定金型11の平行度を保つようにすることができる。なお、本実施形態では、移動盤4に関しても略同じ効果を期待することができる。
【0063】
本実施形態では、固定盤3は、盤面部材13と、フレーム2の上に載置され、盤面部材13を支持した支持部材12とを有した2枚プレート方式である。ここで、固定金型11の自重により、固定盤3自体も一定の弾性変形をするため、固定金型11が直接取り付けられていない支持部材12の傾きに比べて、固定金型11が直接に取り付けられる盤面部材13の傾きが大きくなる。本実施形態では、第1の駆動部31が、支持部材12に比べて傾きが大きくなる盤面部材13を直接に支持しているので、固定盤3の傾きをより高い精度で調整することができる。なお本実施形態では、移動盤4に関しても略同じ効果を期待することができる。また、2枚プレート方式にすることで、盤面部材の下側に支持するスペースを設けることができる。
【0064】
本実施形態では、第1の駆動部31は、支持部材12に対して盤面部材13と同じ側に設けられている。支持部材12は、固定金型11の自重により、固定金型11側に傾く。このため第1の駆動部31は、固定盤3を、その傾く側から支持することができる。このため、固定盤3の傾きをより高い精度で調整することができる。なお本実施形態では、移動盤4に関しても略同じ効果を奏することができる。
【0065】
本実施形態では、第1及び第2の測定装置51,52がそれぞれ角度センサである。この構成によれば、固定盤3の傾き及び移動盤4傾きを測る測定部33を、比較的簡単な構成にすることができる。
【0066】
また、本実施形態の型盤3は、金型11が取り付けられる盤面部材13と、盤面部材13を支持する支持部材12と、支持部材12に設けられ、盤面部材13の傾きを調整可能な駆動部31と、盤面部材13または金型11の傾きに関する情報を検出する測定部33と、測定部33からの情報に基づいて駆動部31を動作させる制御部34を有する。
【0067】
同様に、本実施形態の型盤4では、金型21が取り付けられる盤面部材23と、盤面部材23を支持する支持部材22と、支持部材22に設けられ、盤面部材23の傾きを調整可能な駆動部32と、盤面部材23または金型21の傾きに関する情報を検出する測定部33と、測定部33からの情報に基づいて駆動部32を動作させる制御部34を有する。
【0068】
このような構成の型盤3,4によれば、測定部33の測定情報に基づいて駆動部31,32が各々独立的に動作され、型盤3,4の傾き(倒れ)が例えば各々独立的に自動で補正される。すなわち、測定部33により測定した結果に基づいて型盤3,4各々の調整が行われるため、金型11,21の各々の平行度などが高精度に調整することができる。上記構成によれば、例えば型盤3,4の傾きを各々手動で調整する場合に比べて、金型11,21各々の平行度などの精度を向上させることができる。上記構成によれば、金型11,21各々の平行度を例えばナノレベルで調整することができる。さらに、駆動部31,32により型盤3,4の傾きが例えば自動で調整されるので、運転中(成形稼動中)の調整が可能である。また、他の効果についても型締装置の場合と同様の効果が得られる。
【0069】
固定盤3、移動盤4の各々に対して、傾きを無くすように制御することができるため、例えば、金型11,21の平行度などを高精度に調整することができる。
【0070】
なお、図3は、第1及び第2の駆動部31,32の一つの変形例を示す。図3に示すように、第1及び第2の駆動部31,32は、アクチュエータに代えて、固定盤3または移動盤4を支持したジャッキでもよい。このジャッキは、図示しない別途のモータ等を用いて、制御部34から送られた駆動信号を基に、図示しない別途のモータ等を介してジャッキを自動的に動作させることも可能である。すなわちジャッキを用いた形態においても、運転中(成形稼働中)の調整が可能となる。また、ジャッキの駆動方式としては、機械式(ねじ式)、液体作動式(油圧式)、空気式と色々あるが、本発明では特に限定されず、どの駆動方式を採用してもよい。
【0071】
また、第1及び第2の測定装置51,52は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば角度センサに代えて、レベル計、角速度が測れる速度センサ、角加速度が測れる加速度センサ、力センサなどでもよい。すなわち、測定部33は、角度全般の情報(角度、角速度、各加速度、力)の少なくとも一つから、角度が得られる測定部であればよい。ただし、第1及び第2の測定装置51,52として、速度センサ、加速度センサ、力センサを用いる場合には、第1及び第2の測定装置51,52から得られた情報を制御部34内で積分などの演算処理を行い、扱いやすい角度情報に変換するなどの操作をしてから、第1及び第2の駆動部31,32を駆動するようにしてもよい。
【0072】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る型締装置1について、図5を参照して説明する。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また下記に説明する以外の構成は、上記第1の実施形態と同じである。
【0073】
本実施形態に係る型締装置1の測定部33は、角度センサに代えて、ビジョンセンサを有する。詳しく述べると、測定部33は、第1の測定装置51と、第2の測定装置52とを有する。第1の測定装置51は、固定盤3に対応したビジョンセンサ(例えばカメラやビデオカメラ)であり、固定盤3の角度に関する情報を検出する。より具体的には、第1の測定装置51は、固定盤3の盤面部材13の状態を撮影し、盤面部材13の傾き(すなわち固定金型11の傾き)を測る。
【0074】
第2の測定装置52は、移動盤4に対応したビジョンセンサ(例えばカメラやビデオカメラ)であり、移動盤4の角度に関する情報を検出する。より具体的には、第2の測定装置52は、移動盤4の盤面部材23の状態を撮影し、盤面部材23の傾き(すなわち移動金型21の傾き)を測る。第1及び第2の測定装置51,52は、それぞれ制御部34に電気的に接続されており、それぞれが計測した固定盤3及び移動盤4の傾きに関する情報を制御部34に送る。制御部34は、ビジョンセンサによって得られた情報を用いて、固定盤3及び移動盤4の傾きの自動補正を行う。
【0075】
このような構成によれば、上記第1の実施形態と同様に、例えば金型11,21の平行度や同芯度などを高精度に調整することができる。なお本実施形態においても、第1及び第2の駆動部31,32は、アクチュエータに代えて、固定盤3または移動盤4を支持したジャッキでもよい。
【0076】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る型締装置1について、図6を参照して説明する。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また下記に説明する以外の構成は、上記第1の実施形態と同じである。
【0077】
図6に示すように、本実施形態に係る第1及び第2の駆動部31,32は、ピエゾ式のアクチュエータに代えて、ねじ式のアクチュエータを有する。ねじ式のアクチュエータの変位の調整は、例えば手動で行うようにしてもよく、例えば図示しないモータなどに連動させることで、制御部34からの信号に基づいて自動で行うようにしてもよい。
【0078】
このような構成によれば、上記第1の実施形態と同様に、例えば金型11,21の平行度や同芯度などを高精度に調整することができる。なお本実施形態においても、第1及び第2の駆動部31,32は、アクチュエータに代えて、固定盤3または移動盤4を支持したジャッキでもよく、ジャッキの場合でも手動と自動の両方の動作を行わせることができる。また、本実施形態でも、第2の実施形態のように、測定部33を角度センサに代えて、ビジョンセンサを採用することができることは言うまでもない。
【0079】
上述した第1乃至第3の実施形態に係る型締装置1は、射出成形機だけでなく、ダイカストマシンや、圧縮成形機(プレス成形機)、トランスファ成形機などにも広く採用することができる。
【0080】
以上、本発明の第1乃至第3の実施形態に係る構成ついて説明したが、本発明はこれらに限られるものではない。各実施形態に係る構成要素は、適宜組み合わせて実施することができる。また、本発明は、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0081】
例えば、第1及び第2の駆動部31,32に設けられるアクチュエータやジャッキは、それぞれ1つでもよく、複数個でもよい。固定盤3及び移動盤4のいずれか一方のみの傾きの調整で十分な平行度や同芯度が得られる場合は、移動盤4及び固定盤3のどちらか一方のみにその傾きを調整する駆動部を設けてもよい。第1及び第2の駆動部31,32は、固定盤3及び移動盤4の下部に設けられるものに限定されず、他の場所に設けられるものでもよい。固定盤3及び移動盤4は、2枚プレート方式のものに限定されず、それぞれ1枚プレート方式のものでもよい。
【0082】
この1枚プレート方式の場合には、例えば、金型11,21は、固定盤3の支持部材12の第1の部分14、または移動盤4の支持部材22の第2の部材25に取り付けられる。そのため、1枚プレート方式の場合には、駆動部31,32は、一端を固定盤3の支持部材12の第2の部分15、または移動盤4の支持部材22の第1の部材24に支持し、他端を固定金型11または移動金型21に当接し、金型11,21の傾きを直接的に調整するように構成してもよい。なお、金型保護の観点から、金型11,21にプレートのような保護部材を取り付け、保護部材が駆動部31,32と当接するようにしてもよい。また、反対に駆動部31,32の可動子42側にプレートのような保護部材を取り付け、その保護部材が固定金型11または移動金型21に当接するようにしてもよい。
【0083】
また、測定部33の第1の測定装置51、第2の測定装置52は、固定盤3の支持部材12の第1の部分14、または、移動盤4の支持部材22の第2の部材25、あるいは、金型11,21に取り付けるように構成してもよい。すなわち、1枚プレート方式の場合の型盤3は、金型11と、金型11を支持する支持部材12と、金型11の傾きを調整可能な駆動部31と、支持部材12または金型11の傾きに関する情報を検出する測定部33と、測定部33からの情報に基づいて駆動部31を動作させる制御部34を有する。また、1枚プレート方式の場合の型盤4も、同様な構成が可能である。このような構成にすれば、上述した2枚プレート方式の場合での型盤と、同様の効果を有することが可能である。また、2枚プレート方式の場合で示した第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態に対して、上述した1枚プレートの場合における変更点を採用することができる。また、1枚プレート方式の場合における第1の実施形態の変形例に対しては、例えば、固定盤3の支持部材12の第1の部分14、または、移動盤4の支持部材22の第2の部材25に突出部を設ければよい。すなわち、金型11,21は、固定盤3の支持部材の第1の部分14の突出部、または、移動盤4の支持部材22の第2の部材25の突出部に取り付けてもよい。そして、駆動部31,32は、例えば、突出部によって設けられた固定盤3の支持部材12の第1の部分14と金型11との間、または移動盤4の支持部材22の第2の部材25と金型21との間に設けるようにすればよい。また、1枚プレート方式の場合の型締装置の場合も、本発明を適用した各々の型盤3,4を用いることにより、2枚プレート方式の場合の型締装置と同様の効果を有することができる。
【0084】
以上のように、1枚プレート方式の場合の型盤、型締装置において、第1の実施形態、第1の実施形態の変形例、第2の実施形態、第3の実施形態で示すものと同様な構成を適用でき、結果、1枚プレート方式の場合でも同様にこれまで上述した2枚プレート方式の場合に得られるそれぞれの効果を得ることができる。
【0085】
第1及び第2の測定装置51,52は、少なくともその一方が角度センサやビジョンセンサであればよく、両方が角度センサやビジョンセンサである必要はない。なお、第1及び第2の測定装置51,52は、それぞれ角度センサやビジョンセンサ以外のセンサであってもよい。測定部33は、第1及び第2の測定装置51,52が明確に分かれている必要はなく、ひとつの測定装置によって固定盤3の傾きと移動盤4の傾きとを同時に測ることができるものでもよい。また、本明細書では、説明の便宜上、固定盤及び固定金型側にある部材を第1側の部材、移動盤及び移動金型側にある部材を第2側の部材としているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、本発明は、移動盤及び移動金型側にある部材を第1側の部材、固定盤及び固定金型側にある部材を第2側の部材として適用してもよい。つまり、移動盤4は「第1の型盤」の一例であり、移動金型21は「第1の金型」の一例であり、駆動部32は「第1の駆動部」の一例である。また、固定盤3は「第2の型盤」の一例であり、固定金型11は「第2の金型」の一例であり、駆動部31は「第2の駆動部」の一例である。
【符号の説明】
【0086】
1…型締装置、2…フレーム、3…固定盤(第1の型盤)、4…移動盤(第2の型盤)、5…リニアガイド、11…固定金型(第1の金型)、12…支持部材、13…盤面部材、21…移動金型(第2の金型)、22…支持部材、23…盤面部材、31…第1の駆動部、32…第2の駆動部、33…測定部、34…制御部、51…第1の測定装置、52…第2の測定装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の金型が取り付けられる第1の型盤と、
前記第1の金型に対向する第2の金型が取り付けられる第2の型盤と、
前記第1の型盤に設けられ、前記第1の型盤の傾きを調整可能な第1の駆動部と、
前記第2の型盤に設けられ、前記第2の型盤の傾きを調整可能な第2の駆動部と、
前記第1の型盤または前記第1の金型の角度及び前記第2の型盤または前記第2の金型の角度に関する情報を検出する測定部と、
前記第1の型盤及び前記第2の型盤の倒れを解消するように、前記測定部からの情報に基づいて前記第1の駆動部及び前記第2の駆動部を動作させる制御部と、
を備えることを特徴とする型締装置。
【請求項2】
請求項1の記載において、
前記制御部は、前記第1の金型と前記第2の金型の平行度を保つように前記第1の駆動部及び前記第2の駆動部を制御することを特徴とする型締装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2の記載において、
少なくとも前記第1の型盤は、前記第1の金型が取り付けられる盤面部材を有し、
少なくとも前記第1の駆動部は、略鉛直方向に移動可能な可動部を有するとともに、前記盤面部材の下方に設けられ、前記盤面部材の一方の端部を上方向または下方向に移動させることで前記第1の型盤の傾きを調整可能にすることを特徴とする型締装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2の記載において、
少なくとも前記第1の型盤は、前記第1の金型が取り付けられる盤面部材を有し、
少なくとも前記第1の駆動部は、略水平方向に移動可能な可動部を有するとともに、前記盤面部材に設けられ、前記盤面部材の少なくとも一方の端部を略水平方向に移動させることで前記第1の型盤の傾きを調整可能にすることを特徴とする型締装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4の記載において、
リニアガイドが設けられたフレームを備え、
少なくとも前記第1の型盤は、前記盤面部材と、前記フレームまたは前記リニアガイドの上に載置され、前記盤面部材を支持した支持部材とを有した2枚プレート方式であり、
少なくとも前記第1の駆動部は、前記支持部材に対して前記盤面部材と同じ側に設けられ、前記第1の金型側に傾く前記第1の型盤を、その傾く側から支持したことを特徴とする型締装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項の記載において、
前記測定部は、前記第1の型盤または前記第1の金型の角度に関する情報を検出する第1の測定装置と、前記第2の型盤または前記第2の金型の角度に関する情報を検出する第2の測定装置とを有し、前記第1の測定装置及び前記第2の測定装置の少なくとも一方は、角度センサであることを特徴とする型締装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項の記載において、
前記測定部は、前記第1の型盤または前記第1の金型の角度に関する情報を検出する第1の測定装置と、前記第2の型盤または前記第2の金型の角度に関する情報を検出する第2の測定装置とを有し、前記第1の測定装置及び前記第2の測定装置の少なくとも一方は、ビジョンセンサであることを特徴とする型締装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項の記載において、
前記第1の駆動部及び前記第2の駆動部の少なくとも一方は、前記第1の型盤または前記第2の型盤に当接した可動部を有したアクチュエータであることを特徴とする型締装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項の記載において、
前記第1の駆動部及び前記第2の駆動部の少なくとも一方は、前記第1の型盤または前記第2の型盤を支持したジャッキであることを特徴とする型締装置。
【請求項10】
金型が取り付けられる型盤と、
前記型盤に設けられ、前記型盤の傾きを調整可能な駆動部と、
前記型盤または前記金型の角度に関する情報を検出する測定部と、
前記測定部からの情報に基づいて前記駆動部を動作させる制御部と、
を備えることを特徴とする型締装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の型締装置を備えたことを特徴とする成形機。
【請求項12】
金型が取り付けられる盤面部材と、
前記盤面部材を支持する支持部材と、
前記支持部材に設けられ、前記盤面部材の傾きを調整可能な駆動部と、
前記支持部材、前記盤面部材または前記金型の角度に関する情報を検出する測定部と、
前記測定部からの情報に基づいて前記駆動部を動作させる制御部と、
を備えることを特徴とする型盤。
【請求項13】
請求項12の記載において、
前記駆動部は、略鉛直方向に移動可能な可動部を有するとともに、前記盤面部材の下方に設けられ、前記盤面部材の一方の端部を上方向または下方向に移動させることで前記盤面部材の傾きを調整可能にすることを特徴とする型盤。
【請求項14】
請求項12の記載において、
前記駆動部は、略水平方向に移動可能な可動部を有するとともに、前記盤面部材に設けられ、前記盤面部材の少なくとも一方の端部を略水平方向に移動させることで前記盤面部材の傾きを調整可能にすることを特徴とする型盤。
【請求項15】
請求項12乃至請求項14のいずれか1項の記載において、
前記測定部は、角度センサであることを特徴とする型盤。
【請求項16】
請求項12乃至請求項14のいずれか1項の記載において、
前記測定部は、ビジョンセンサであることを特徴とする型盤。
【請求項17】
金型が取り付けられる支持部材と、
前記金型の傾きを調整可能な駆動部と、
前記支持部材または前記金型の角度に関する情報を検出する測定部と、
前記測定部からの情報に基づいて前記駆動部を動作させる制御部と、
を備えることを特徴とする型盤。
【請求項18】
第1の金型が取り付けられる第1の型盤と、
前記第1の金型に対向する第2の金型が取り付けられる第2の型盤と、
前記第1の型盤に設けられ、前記第1の型盤の傾きを調整可能な第1の駆動部と、
前記第2の型盤に設けられ、前記第2の型盤の傾きを調整可能な第2の駆動部と、
前記第1の型盤または前記第1の金型の角度及び前記第2の型盤または前記第2の金型の角度に関する情報を検出する測定部と、
を備える型締装置において、
前記第1の型盤及び前記第2の型盤の倒れを解消するように、前記測定部からの情報に基づいて前記第1の駆動部及び前記第2の駆動部を制御することを特徴とする型締装置の制御方法。
【請求項19】
請求項18の記載において、
前記第1の金型と前記第2の金型の平行度を保つように前記第1の駆動部及び前記第2の駆動部を制御することを特徴とする型締装置の制御方法。
【請求項20】
請求項18または請求項19の記載において、
少なくとも前記第1の型盤は、前記第1の金型が取り付けられる盤面部材を有し、
少なくとも前記第1の駆動部は、略鉛直方向に移動可能な可動部を有するとともに、前記盤面部材の下方に設けられ、前記盤面部材の一方の端部を上方向または下方向に移動させることで前記第1の型盤の傾きを調整可能にすることを特徴とする型締装置の制御方法。
【請求項21】
請求項18または請求項19の記載において、
少なくとも前記第1の型盤は、前記第1の金型が取り付けられる盤面部材を有し、
少なくとも前記第1の駆動部は、略水平方向に移動可能な可動部を有するとともに、前記盤面部材に設けられ、前記盤面部材の少なくとも一方の端部を略水平方向に移動させることで前記第1の型盤の傾きを調整可能にすることを特徴とする型締装置の制御方法。
【請求項22】
請求項20または請求項21の記載において、
前記型締装置は、リニアガイドが設けられたフレームを備え、
少なくとも前記第1の型盤は、前記盤面部材と、前記フレームまたは前記リニアガイドの上に載置され、前記盤面部材を支持した支持部材とを有した2枚プレート方式であり、
少なくとも前記第1の駆動部は、前記支持部材に対して前記盤面部材と同じ側に設けられ、前記第1の金型側に傾く前記第1の型盤を、その傾く側から支持したことを特徴とする型締装置の制御方法。
【請求項23】
請求項18乃至請求項22のいずれか1項の記載において、
前記測定部は、前記第1の型盤または前記第1の金型の角度に関する情報を検出する第1の測定装置と、前記第2の型盤または前記第2の金型の角度に関する情報を検出する第2の測定装置とを有し、前記第1の測定装置及び前記第2の測定装置の少なくとも一方は、角度センサであることを特徴とする型締装置の制御方法。
【請求項24】
請求項18乃至請求項22のいずれか1項の記載において、
前記測定部は、前記第1の型盤または前記第1の金型の角度に関する情報を検出する第1の測定装置と、前記第2の型盤または前記第2の金型の角度に関する情報を検出する第2の測定装置とを有し、前記第1の測定装置及び前記第2の測定装置の少なくとも一方は、ビジョンセンサであることを特徴とする型締装置の制御方法。
【請求項25】
請求項18乃至請求項24のいずれか1項の記載において、
前記第1の駆動部及び前記第2の駆動部の少なくとも一方は、前記第1の型盤または前記第2の型盤に当接した可動部を有したアクチュエータであることを特徴とする型締装置の制御方法。
【請求項26】
請求項18乃至請求項24のいずれか1項の記載において、
前記第1の駆動部及び前記第2の駆動部の少なくとも一方は、前記第1の型盤または前記第2の型盤を支持したジャッキであることを特徴とする型締装置の制御方法。
【請求項27】
金型が取り付けられる型盤と、
前記型盤に設けられ、前記型盤の傾きを調整可能な駆動部と、
前記型盤または前記金型の角度に関する情報を検出する測定部と、
を備える型締装置において、
前記測定部からの情報に基づいて前記駆動部を動作させることを特徴とする型締装置の制御方法。
【請求項28】
金型が取り付けられる盤面部材と、
前記盤面部材を支持する支持部材と、
前記支持部材に設けられ、前記盤面部材の傾きを調整可能な駆動部と、
前記支持部材、前記盤面部材または前記金型の角度に関する情報を検出する測定部と、
を備える型盤において、
前記測定部からの情報に基づいて前記駆動部を動作させることを特徴する型盤の制御方法。
【請求項29】
請求項28の記載において、
前記駆動部は、略鉛直方向に移動可能な可動部を有するとともに、前記盤面部材の下方に設けられ、前記盤面部材の一方の端部を上方向または下方向に移動させることで前記盤面部材の傾きを調整可能にすることを特徴とする型盤の制御方法。
【請求項30】
請求項28の記載において、
前記駆動部は、略水平方向に移動可能な可動部を有するとともに、前記盤面部材に設けられ、前記盤面部材の少なくとも一方の端部を略水平方向に移動させることで前記盤面部材の傾きを調整可能にすることを特徴とする型盤の制御方法。
【請求項31】
請求項28乃至請求項30のいずれか1項の記載において、
前記測定部は、角度センサであることを特徴とする型盤の制御方法。
【請求項32】
請求項28乃至請求項30のいずれか1項の記載において、
前記測定部は、ビジョンセンサであることを特徴とする型盤の制御方法。
【請求項33】
金型が取り付けられる支持部材と、
前記金型の傾きを調整可能な駆動部と、
前記支持部材または前記金型の角度に関する情報を検出する測定部と、
を備える型盤において、
前記測定部からの情報に基づいて前記駆動部を動作させることを特徴とする型盤の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−245744(P2012−245744A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120915(P2011−120915)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000003458)東芝機械株式会社 (843)
【Fターム(参考)】