説明

基板の搬送装置

【課題】この発明は搬送される基板の端部をその厚さに係らず確実に保持できるようにした基板の搬送装置を提供することにある。
【解決手段】複数の搬送軸4に設けられた搬送ローラ5及び基板の幅方向両端部の下面を支持する端部支持ローラ5aと、搬送軸の上方に支持された上載せローラ軸16と、上載せローラ軸に設けられ端部支持ローラによって幅方向の端部下面が支持された基板の幅方向の端部上面を押圧する一対の上載せローラ25と、搬送軸の両端部に設けられ外周面が軸方向に対して傾斜した第1の傾斜面34に形成された第1の荷重調整ローラ31と、上載せローラ軸に設けられ外周面が第1の傾斜面と同じ角度で同じ方向に傾斜した第2の傾斜面35に形成されていて、第1の荷重調整ローラに対して軸方向に相対的に移動させて第1の傾斜面との接触度合を調整することで、上載せローラによる基板の端部上面を押圧する押圧力を設定する第2の荷重調整ローラ32を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば液晶表示装置に用いられるガラス製の基板を搬送する基板の搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置の製造工程においては、薄いガラス製の基板をエッチングする工程、エッチング処理後にマスクとして使用されたレジストを剥離する工程、さらにはエッチング工程や剥離工程などの後で汚れた基板を洗浄液によって洗浄する工程などがある。このような基板の処理工程では、基板を一枚ずつ搬送しながら処理する枚葉方式が採用されることが多い。
【0003】
枚葉方式によって基板を処理する場合、基板を搬送しながらその上下面或いは上面にシャワ−ノズルから処理液を噴射したり、洗浄ブラシを接触させて処理する処理装置が知られている。
【0004】
このような処理装置はチャンバを有し、このチャンバ内には上記基板を所定方向に沿って搬送するための搬送装置が設けられている。また、複数の処理装置を用いて基板を順次搬送処理する場合、隣り合う処理装置間にも、上流側の処理装置から下流側の処理装置に基板を搬送するための搬送装置が用いられる。
【0005】
上記搬送装置は、基板の搬送方向に沿って複数の搬送軸が所定間隔で回転可能に設けられている。この搬送軸には複数の搬送ロ−ラが軸方向に所定間隔で設けられている。そして、上記搬送軸を回転駆動することで、上記基板を搬送ローラによって搬送するようになっている。
【0006】
処理装置に用いられる搬送装置において、基板の下面を単に複数の搬送ローラで支持しただけでは、この基板に処理液を噴射したり、洗浄ブラシを接触させたとき、基板は処理液や洗浄ブラシから受ける抵抗によって一定の速度で円滑に搬送できなくなるということがあったり、基板の両端部がばたついて損傷するなどのことがある。
【0007】
そこで、基板を搬送する際、この基板の下面を搬送軸に設けられた搬送ローラによって支持するだけでなく、基板の端部下面を端部支持ローラで支持し、この端部支持ローラによって支持された基板の端部上面を上載せローラによって保持するということが行われている。
【0008】
それによって、搬送される基板が処理液や洗浄ブラシから抵抗を受けても、その基板を一定の速度で確実に搬送したり、基板の両端部がばたついて損傷することがないようにしている。このような先行技術は特許文献1に示されている。
【0009】
特許文献1に示された先行技術では、搬送軸の軸方向両端部の上方に上載せローラ軸が上記搬送軸に対して軸線を平行にして回転可能に支持されている。上記上載せローラ軸の上記基板の幅方向の端部から外方に突出した一端部は軸受によって回転可能に支持され、上記基板の幅方向端部の上方に位置する他端部には上記搬送軸の端部支持ローラによって端部下面が支持された基板の端部上面を保持する上載せローラが設けられている。
【0010】
さらに、上記上載せローラ軸の中途部にはウエイトが軸方向に移動可能かつ任意の位置で固定可能に設けられている。そして、上記ウエイトを上記上載せローラ軸の軸方向に対して移動させて位置決めすることで、上記上載せローラが上記基板の端部上面を押圧保持する保持力を設定できるようにしている。
【0011】
なお、上記上載せローラによる基板の端部上面を押圧する保持力の設定は、上載せローラを組み立てる際の初期設定時や搬送装置によって搬送される基板の厚さが変更になった場合などに行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2006−306596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、上載せローラ軸に設けられたウエイトの位置をずらして上載せローラが基板の幅方向の端部上面を押圧保持する保持力を設定する場合、上記ウエイトの重量によって上記上載せローラ軸の変形量(撓み量)を増減させなければならない。
【0014】
ウエイトの重量によって上記上載せローラ軸の撓み量を大きく変化させるには、ウエイトを高重量化したり、上記基板の幅方向端部の外方に設けられる上載せローラ軸を長尺化しなければならない。しかしながら、ウエイトの高重量化や上載せローラ軸の長尺化は、ともに搬送装置の大型化を招く要因になるため、好ましくない。
【0015】
しかも、ウエイトの取付け位置によって上載せローラ軸の撓み量を調整して保持力を設定する構成であると、上載せローラ軸の撓み量を微調整することが難しいため、上載せローラによる基板端部の保持力を精密に設定することができないということがある。
【0016】
この発明は、上載せローラによって基板の幅方向端部の上面を押圧保持する保持力を精密に設定することができるようにした基板の搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この発明は、基板を所定方向に搬送する搬送装置であって、
軸方向の両端部が回転可能に支持され上記基板の搬送方向に対して軸線を交差させて所定間隔で平行に配置された複数の搬送軸と、
この搬送軸に設けられ上記基板の幅方向両端部を除く部分の下面を支持する複数の搬送ローラと、
上記搬送軸に設けられ上記基板の幅方向両端部の下面を支持する端部支持ローラと、
上記搬送軸の少なくとも一端部と他端部の上方に軸線を上記搬送軸と平行に対向させて回転可能に支持された上載せローラ軸と、
上記上載せローラ軸の上記一対の端部支持ローラと対向する部分に設けられこの端部支持ローラによって幅方向の端部下面が支持された上記基板の幅方向の端部上面を保持する一対の上載せローラと、
上記搬送軸の上記基板の幅方向両端部よりも外方に位置する両端部に設けられ外周面が軸方向に対して傾斜する第1の傾斜面に形成された第1の荷重調整ローラと、
上記上載せローラ軸の上記第1の荷重調整ローラと対応する箇所に設けられ外周面が軸方向に対して上記第1の傾斜面と同じ角度で同じ方向に傾斜してこの第1の傾斜面に接触する第2の傾斜面に形成されていて、上記第1の荷重調整ローラに対して軸方向に相対的に移動させて上記第1の傾斜面との接触度合を調整することで、上記上載せローラによる上記基板の端部上面を押圧する押圧力を設定する第2の荷重調整ローラと
を具備したことを特徴とする基板の搬送装置にある。
【0018】
上記第1の荷重調整ローラと第2の荷重調整ローラのどちらか一方の外周面には、これら第1、第2の荷重調整ローラの軸方向の相対的移動位置を視認するためのマークが設けられていることが好ましい。
【0019】
上記上載せローラの外周面には、幅方向の端部下面が上記端部支持ローラによって支持された上記基板の端部上面を弾性的に押圧する弾性部材によって形成されたOリングが設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、外周面が第1の傾斜面に形成された第1の荷重調整ローラを搬送軸に設け、上載せローラ軸には第1の荷重調整ローラと対応する箇所に外周面が第1の傾斜面と同じ角度で逆方向に傾斜して上記第1の傾斜面に接触する第2の傾斜面に形成された第2の荷重調整ローラを設けた。
【0021】
そして、第1の荷重調整ローラと第2の荷重調整ローラを相対的に軸方向に移動させて第1の傾斜面と第2の傾斜面の接触度合を調整することで、上記上載せローラによる基板の端部上面の押圧力を設定するため、その押圧力の設定を上記第1の傾斜面と第2の傾斜面とによって精密に行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の一実施の形態を示す搬送装置の基板の搬送方向に沿う縦断面図。
【図2】搬送装置の基板の搬送方向と交差する方向に沿う縦断面図。
【図3】上載せローラ軸が設けられた搬送軸の一端部を示す拡大図。
【図4】搬送軸を支持する搬送用軸受と上載せローラ軸を支持する第1の上載せ用軸受の取付け構造を示す分解斜視図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照しながらこの発明の一実施の形態を説明する。
【0024】
図1と図2に示すこの発明の処理装置はチャンバ1を備えている。このチャンバ1は長手方向一端に搬入口2、他端に搬出口3が形成され、内部には基板Wを搬送するための搬送装置Cが設けられている。この搬送装置Cは上記チャンバ1の長手方向に対して所定間隔で回転可能に設けられた複数の搬送軸4を有する。各搬送軸4には複数の搬送ローラ5が軸方向に所定間隔で設けられている。
【0025】
図3に示すように、各搬送軸4は両端部が搬送用軸受6(一方のみ図示する。)によって回転可能に支持されている。複数の搬送軸4の1本の一端部にはウオームホイール7が嵌着されている。この搬送軸4に設けられたウオームホイール7はウオームギヤ8に噛合している。ウオームギヤ8はチャンバ1の長手方向に沿って配置された従動軸9に嵌着されている。
【0026】
上記従動軸9には従動プーリ(図示せず)が設けられ、この従動プーリと図2に示す駆動源12の回転軸12aに嵌着された駆動プーリ13にはチェーン14が張設されている。それによって、上記駆動プーリ13が駆動源12によって回転駆動されると、その回転に応じて上記ウオームホイール7が設けられた搬送軸4が従動軸9を介して回転駆動されるようになっている。
【0027】
各搬送軸4の一端部には図示しないスプロケットが設けられている。各スプロケットには図示しないチェーンが張設されている。それによって、ウオームホイール7が設けられた搬送軸4が回転駆動されると、その回転に他の搬送軸4が連動するようになっている。
【0028】
なお、上記駆動源12は図示しない制御装置によって駆動が制御され、上記駆動プーリ13の回転方向を正転方向、逆転方向及び正転方向と逆転方向とを交互に回転させることができるようになっている。
【0029】
上記チャンバ1の搬入口2からは液晶表示装置に用いられるガラス製の矩形状の基板Wが搬入される。チャンバ1内に搬入された基板Wは、下面を搬送軸4に設けられた上記搬送ローラ5に支持されて搬送される。
【0030】
上記搬送軸4には上記搬送ローラ5が軸方向に所定間隔で設けられていて、上記基板Wの幅方向両端部の下面は上記搬送ローラ5と同じ材料によって同じ形状に形成された端部支持ローラ5aによって支持されている。なお、図3に示すように、搬送ローラ5の外周面には耐薬品性を有する弾性材料によって形成されたOリング5bが取着されているが、端部支持ローラ5aにはOリングは取着されていない。
【0031】
図1に示すように、複数の上記搬送軸4のうち、チャンバ1の基板Wの搬送方向中途部に位置する複数本、たとえば3本の搬送軸4の上方にはそれぞれ搬送軸4と軸線を平行にして対向させた上載せローラ軸16が配設されている。この上載せローラ軸16は、一端を上記基板Wの搬送方向と交差する幅方向の端部上方に位置させ、他端を基板Wの幅方向端部よりも外方に突出させている。
【0032】
図3に示すように、上記上載せローラ軸16は軸方向の中途部が第1の上載せ用軸受17によって回転可能に支持されている。この第1の上載せ用軸受17は、上記搬送用軸受6とともに第1のブラケット18に設けられている。この第1のブラケット18には図4に示すように上端に開放した切り欠き部18aが形成されていて、この切り欠き部18aに上記搬送用軸受6が外周面に形成された溝6aを係合させて支持されている。
【0033】
上記第1のブラケット18の上記切り欠き部18aが形成された部分の上端には第2のブラケット19の下端がねじ21によって連結固定されている。この第2のブラケット19の下端部は上記搬送用軸受6の外周面に形成された溝6aに係合している。
【0034】
上記第2のブラケット19には上端に開放した切り欠き部19aが形成されていて、この切り欠き部19aには上記第1の上載せ用軸受17を保持したT字状のホルダ21が取り付けられる。
【0035】
上記ホルダ21は中央部21aと、この中央部21aの幅方向両側の上部から外方に向かって突出した一対の連結部21bを有する。上記中央部21aの両側面には溝22aが形成されていて、この溝22aを上記第2のブラケット19の切り欠き部19aにスライド可能に係合させている。
【0036】
上記ホルダ21の一対の連結部21bには上下方向に貫通したねじ孔21cが形成されている。このねじ孔21cにはロックナット23が設けられた高さ調整ねじ22が螺合されている。上記ねじ孔21cに螺合された上記高さ調整ねじ22の先端は上記連結部21bの下端面から突出して上記第2のブラケット19の上端面に当接する。
【0037】
したがって、上記調整ねじ22のねじ込み量を調整すれば、上記第2のブラケット19に保持された上記ホルダ21の高さ、つまり上記上載せローラ軸16を支持した第1の上載せ用軸受17の高さを設定することができるようになっている。
【0038】
上記上載せローラ軸16の上記基板Wの幅方向端部の上方に位置する一端部には上載せローラ25が設けられている。この上載せローラ25はフッ素樹脂などの耐薬品性を有する材料によって形成されていて、外周面には取付け溝25aが形成されている。
【0039】
上記取付け溝25aには耐薬品性を有する弾性材料、たとえばフッ素樹脂などによって形成されたOリング25bが取着されている。そして、上載せローラ25に設けられたOリング25bは、上記基板Wの上記端部支持ローラ5aによって下面が支持された幅方向端部の上面を弾性的に押圧するようになっている。
【0040】
図3に示すように、上記上載せローラ軸16の軸方向他端部には第2の上載せ用軸受26によって回転可能に支持されている。この第2の上載せ用軸受26はホルダ27に収容されていて、このホルダ27は上記第1のブラケット18に一端が連結されたL字状の第2のブラケット28の上端にねじ止め固定されている。
【0041】
なお、上記第2の上載せ用軸受26は上記第1の上載せ用軸受17と軸芯が同じ高さになるよう上記第2のブラケット28に取り付けられる。
【0042】
上記搬送軸4の上記基板Wの幅方向端部よりも外方に位置する部分には第1の荷重調整ローラ31が軸方向に移動可能に設けられている。上記上載せローラ軸16の軸方向中途部で、上記第1の荷重調整ローラ31と対応する位置には第2の荷重調整ローラ32が軸方向に移動可能に設けられている。
【0043】
上記第1、第2の荷重調整ローラ31,32には径方向に貫通したねじ孔31a,32aが形成され、各ねじ孔31a,32aには止めねじ31b,32bがねじ込められている。各止めねじ31b,32bの先端はそれぞれ搬送軸4と上載せローラ軸16の外周面に圧接して各荷重調整ローラ31,32を移動不能に固定する。したがって、各荷重調整ローラ31,32は、上記搬送軸4及び上記上載せローラ軸16の軸方向に対して任意の移動位置で固定できるようになっている。
【0044】
第1の荷重調整ローラ31の外周面は軸方向に対して傾斜した第1の傾斜面34に形成され、上記第2の荷重調整ローラ32の外周面は軸方向に対して上記第1の傾斜面34と同じ方向に同じ角度で傾斜した第2の傾斜面35に形成されている。
【0045】
上記第1の傾斜面34と第2の傾斜面35は接触している。したがって、上記第1の荷重調整ローラ31と第2の荷重調整ローラ32の一方或いは両方、この実施の形態では第2の荷重調整ローラ32だけを図3に矢印で示す第1の荷重調整ローラ31の方向に移動させれば、その移動量に応じて第1の傾斜面34と第2の傾斜面35との接触長さが増大する。
【0046】
それによって、第2の傾斜面35が形成された第2の荷重調整ローラ32が設けられた上載せローラ軸16の一端部が上方に撓んで、その一端部に設けられた上載せローラ25が上方に変位する。つまり、上載せローラ25に設けられたOリング25bによる基板Wの端部上面の押圧力が減少することになる。
【0047】
逆に、上記第2の荷重調整ローラ32を矢印で示す方向と逆方向に移動させれば、その移動量に応じて第2の傾斜面35が第1の傾斜面34に沿って下降する。
【0048】
それによって、上載せローラ軸16の上載せローラ25が設けられた一端部が下方に変位し、その一端部の上方への撓み量が減少するから、上記上載せローラ25のOリング25bによる基板Wの端部上面に対する押圧力が増大することになる。
【0049】
すなわち、基板Wの厚さが変わったり、基板を洗浄する際などに基板Wに加わる外力が変化するような場合には、上記一対の荷重調整ローラ31,32の傾斜面34,35の重なり度合を調整することで、その厚さや基板Wに加わる外力に応じて上記上載せローラ25による基板Wの端部上面を押圧する押圧力を設定することができるようになっている。
【0050】
上記第1の荷重調整ローラ31の第1の傾斜面34には軸方向の中央から傾斜方向上方に向かってたとえば1.0mm間隔で複数の位置決め線37a〜37nが形成されている。
【0051】
図3に示すように、傾斜方向下方の末端に位置する位置決め線37aに第2の荷重調整ローラ32の第2の傾斜面35の軸方向一端を合わせたとき、上記端部支持ローラ5aの外周面と、上記上載せローラ25の外周面との間隔が所定の間隔、たとえば0.3mmになるよう、上記第1、第2の傾斜面34,35の傾斜角度が設定されている。
【0052】
そして、上載せローラ25を上記位置決め線37a〜37nの1つ分の間隔で移動させることで、上記上載せローラ25の外周面と、上記端部支持ローラ5aの外周面の間隔が0.1mmずつ大きくなるように設定されている。
【0053】
したがって、上記位置決め線37a〜37nによって第1の荷重調整ローラ31の第1の傾斜面34と、第2の荷重調整ローラ32の第2の傾斜面35との軸方向の接触度合を調整すれば、上記端部支持ローラ5aの外周面と、上記上載せローラ25の外周面との間隔を所望する精度で設定することができるようになっている。
【0054】
上記第1の荷重調整ローラ31と上記第2の荷重調整ローラ32を相対的に軸方向にずらして端部支持ローラ5aの外周面と、上載せローラ25の外周面との間隔を調整する際、上記高さ調整ねじ22の先端をホルダ21の連結部21bの下端面よりも上方に位置させておく。それによって、上記上載せローラ軸16の中途部を支持した第1の上載せ用軸受17が設けられたホルダ21は、上記第2のブラケット19の切り欠き部19aに沿って上下方向に移動可能な状態となる。
【0055】
その状態で、第1、第2の荷重調整ローラ31,32を相対的に軸方向に移動させれば、その移動に応じて上載せローラ軸16の上載せローラ25が設けられた一端部側が上下方向に変位可能となる。
【0056】
そして、端部支持ローラ5aの外周面と、上載せローラ25の外周面との間隔を調整し終えたならば、その状態で上記高さ調整ねじ22を下端が第2のブラケット19の上端面に接触する位置までねじ込めば、上記上載せローラ25と上記端部支持ローラ5aとの外周面の間隔が上記第1、第2の荷重調整ローラ31,32によって設定された値よりも小さくならないように維持される。
【0057】
上記搬送軸4と上記上載せローラ軸16の上記チャンバ1の側壁内面に近い部分には液切りローラ38,39が設けられている。各液切りローラ38,39はチャンバ1内で基板Wに供給された処理液が各軸4,16を伝わって外部に流出するのを阻止している。
【0058】
なお、図3に示すように、上記搬送軸4の上記チャンバ1の外部に突出した端部と、上記上載せローラ軸16の上記チャンバ1の外部に突出した部分とには、それぞれ互いに噛合する平歯車41,42が設けられている。
【0059】
それによって、上載せローラ軸16は上記搬送軸4の回転が上記平歯車41,42を介して上載せローラ軸16に伝達されるようになっている。つまり、上載せローラ軸16は搬送軸4と逆方向に回転駆動されるようになっている。
【0060】
このように構成された搬送装置によれば、チャンバ1内に搬送される基板Wの厚さに応じて基板Wの幅方向両端部の下面を支持する端部支持ローラ5aの外周面と、上記基板Wの端部支持ローラ5aによって下面が支持された部分の上面を支持する上載せローラ25の外周面との間隔を設定する。
【0061】
すなわち、搬送軸4に設けられた第1の荷重調整ローラ31に対して上載せローラ軸16に設けられた第2の荷重調整ローラ32を相対的に軸方向に移動させ、上記第1の荷重調整ローラ31の第1の傾斜面34と、上記第2の荷重調整ローラ32の第2の傾斜面35との軸方向の接触長さを、第1の傾斜面34に設けられた位置決め線37a〜37nに基づいて設定する。
【0062】
それによって、端部支持ローラ5aの外周面と、上載せローラ25の外周面との間隔を0.1mm単位で設定することができる。つまり、基板Wの厚さに応じて端部支持ローラ5aの外周面と、上載せローラ25の外周面との間隔を確保することができる。
【0063】
基板Wの厚さに応じて端部支持ローラ5aの外周面と、上載せローラ25の外周面との間隔を確保することができれば、基板Wの幅方向両端部を上記端部支持ローラ5aの外周面と、上記上載せローラ25の外周面に設けられたOリング25bとで確実に保持することができる。
【0064】
したがって、搬送時に基板Wの幅方向の両端部がバタ付いて損傷したり、基板Wに加わる外力によって一定の速度で円滑に搬送できなくなるなどのことを防止することができる。しかも、上記基板Wの端部上面は上記上載せローラ25の外周面に設けられた弾性材料によって形成されたOリング25bによって弾性的に保持されるから、そのことによっても基板Wの幅方向両端部を確実に保持し、その基板Wの搬送を確実に行うことができる。
【0065】
なお、上記一実施の形態では、搬送軸の一端部と他端部の上方にそれぞれ上載せローラ軸を設けるようにしたが、上載せローラ軸を搬送軸と同じ長さにして上記搬送軸の上方に対向して配置し、その上載せローラ軸の両端部の、上記搬送軸に設けられた端部支持ローラと対向する位置にそれぞれ上載せローラを設けるようにしてもよい。つまり、上載せローラ軸は少なくとも搬送軸の一端部と他端部の上方に設けられていればよい。
【符号の説明】
【0066】
4…搬送軸、5…搬送ローラ、16…上載せローラ軸、25…上載せローラ、31…第1の荷重調整ローラ、32…第2の荷重調整ローラ、34…第1の傾斜面、35…第2の傾斜面、37n…位置決め線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を所定方向に搬送する搬送装置であって、
軸方向の両端部が回転可能に支持され上記基板の搬送方向に対して軸線を交差させて所定間隔で平行に配置された複数の搬送軸と、
この搬送軸に設けられ上記基板の幅方向両端部を除く部分の下面を支持する複数の搬送ローラと、
上記搬送軸に設けられ上記基板の幅方向両端部の下面を支持する端部支持ローラと、
上記搬送軸の少なくとも一端部と他端部の上方に軸線を上記搬送軸と平行に対向させて回転可能に支持された上載せローラ軸と、
上記上載せローラ軸の上記一対の端部支持ローラと対向する部分に設けられこの端部支持ローラによって幅方向の端部下面が支持された上記基板の幅方向の端部上面を押圧する一対の上載せローラと、
上記搬送軸の上記基板の幅方向両端部から外方へ外れた両端部に設けられ外周面が軸方向に対して傾斜した第1の傾斜面に形成された第1の荷重調整ローラと、
上記上載せローラ軸の上記第1の荷重調整ローラと対応する箇所に設けられ外周面が軸方向に対して上記第1の傾斜面と同じ角度で同じ方向に傾斜してこの第1の傾斜面に接触する第2の傾斜面に形成されていて、上記第1の荷重調整ローラに対して軸方向に相対的に移動させて上記第1の傾斜面との接触度合を調整することで、上記上載せローラによる上記基板の端部上面を押圧する押圧力を設定する第2の荷重調整ローラと
を具備したことを特徴とする基板の搬送装置。
【請求項2】
上記第1の荷重調整ローラと第2の荷重調整ローラのどちらか一方の外周面には、これら第1、第2の荷重調整ローラの軸方向の相対的移動位置を視認するためのマークが設けられていることを特徴とする請求項1記載の基板の搬送装置。
【請求項3】
上記上載せローラの外周面には、幅方向の端部下面が上記端部支持ローラによって支持された上記基板の端部上面を弾性的に押圧する弾性部材によって形成されたOリングが設けられていることを特徴とする請求項1記載の基板の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−116523(P2011−116523A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277103(P2009−277103)
【出願日】平成21年12月5日(2009.12.5)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】