説明

基板モジュールおよびそのシールドケース

【課題】実装基板と信号引き出し用ケーブルとの接続部を補強する基板モジュールを提供。
【解決手段】基板モジュール10は、電子機器14を設けた実装基板12に信号引き出し用ケーブル18を接続して構成され、この基板12の上に実装基板用シールドケース20を取り付けてこの機器14からの不要輻射を防ぐもので、とくに、このシールドケース20の一部を、基板12とケーブル18とを接続する接続部16の上部にて、このケーブルに当接させることにより、ケーブル18と接続部16との接続を補強する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実装基板と信号引き出し用ケーブルとの接続部を補強する基板モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板モジュールは、リジット実装基板にフレキシブル基板を接続して構成され、この接続部では、異方性導電フィルム (Anisotropic Conductive Film:ACF)接続が一般的に用いられる。また、この接続部の引き剥がし強度を確保するために、接着剤によって補強することが知られている。
【0003】
たとえば、特許文献1に記載のプリント配線板では、接続対象物とACF接続される際に、その幅方向両側にはみ出したプリント配線板補強用シールを貼付することによって、この配線板に加えられた力がこれらのはみ出た領域に分散されるので、プリント配線板が接続対象物から剥がれにくくなる。
【特許文献1】特開2003−158349号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の基板モジュールや上記の特許文献1によるプリント配線板では、配線基板と接続対象物との接続において、シールや接着剤などの特別な部品を追加して使用することになり、またその部品のために工数が追加されることになる。
【0005】
また、従来の基板モジュールでは、装置に組み込まれる際に、実装基板に対してフレキシブル基板を折り曲げることになるが、この折り曲げによりフレキシブル基板を断線させることがある。
【0006】
本発明はこのような従来技術の欠点を解消し、他の部品および工数を追加することなく、実装基板と信号引き出し用ケーブルとの接続強度を補強する基板モジュールおよびそのシールドケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上述の課題を解決するために、電子機器を設けた実装基板に信号引き出し用ケーブルを接続して構成される基板モジュールは、この基板の上に取り付けられてこの電子機器からの不要輻射を防ぐ実装基板用シールドケースを含み、このシールドケースは、その一部を、この基板とこのケーブルとの接続部の上部にて、このケーブルと当接させることを特徴とする。
【0008】
また、電子機器を設けた実装基板に信号引き出し用ケーブルを接続して構成される基板モジュールに設けられ、この基板の上に取り付けられてこの電子機器からの不要輻射を防ぐ実装基板用シールドケースは、その一部を、この基板とこのケーブルとの接続部の上部にて、このケーブルと当接させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の基板モジュールによれば、信号引き出し用ケーブルを接続した実装基板の接続部にて、シールドケースの一部をケーブルと当接させることにより、他の部品および工数を追加することなく、接続部の剥がれ方向の挙動を抑えて、接続部とケーブルとの接続を補強することができる。
【0010】
また、本発明の基板モジュールによれば、シールドケースの一部を延長したフラップによって接続部を面で押さえることにより、接続部とケーブルとの接続をよりよく補強することができる。
【0011】
さらに、本発明の基板モジュールによれば、シールドケースの一部を引き出した係合爪と、実装基板に設けた爪受部とを係合させることにより、ケースと基板との取り付けを強化して、接続部とケーブルとの接続を補強することができる。
【0012】
また、本発明によれば、基板モジュールは、組み込まれる他の装置のGNDにシールドケースを接続させ、信号引き出し用ケーブルにおいてケースと当接する部分にケーブルのGNDを露出させて、このケースとケーブルを当接させることにより、ケーブルのGNDを他の装置のGNDに導通させることができ、接続部とケーブルとの接続を補強し、さらに基板モジュールのGNDを強化することができる。
【0013】
さらに、本発明によれば、基板モジュールは、シールドケースの一部に信号引き出し用ケーブルのガイドを形成し、このガイドによってケーブルをケースおよび実装基板の角に当てずに折り曲げて配置させることにより、接続部とケーブルとの接続を補強し、さらにケーブルの折り曲げおよび断線を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に添付図面を参照して、本発明による基板モジュールの実施例を詳細に説明する。本実施例における基板モジュール10は、図1に示すように、電子機器14を設けた実装基板12に信号引き出し用ケーブル18を接続して構成され、この基板12の上に実装基板用シールドケース20を取り付けてこの機器14からの不要輻射を防ぐもので、とくに、このケース20の一部を基板12とケーブル18とを接続する接続部16の上部に当接させて接続部18を補強するものである。なお、本発明の理解に直接関係のない部分は、図示を省略し、冗長な説明を避ける。
【0015】
基板モジュール10は、設けられた電子機器14の機能を必要とする他の装置に組み込まれるもので、たとえば撮像素子などのカメラモジュールに適用することができる。
【0016】
実装基板12は、ガラエポ基板やセラミック基板などのリジット基板で、IC類および電子回路などの電子機器14を含んで構成されるものである。また、実装基板12は、接続部16を含んで信号引き出し用ケーブル18を接続することができ、たとえば、異方性導電フィルム(Anisotropic Conductive Film:ACF)接続部16によってフレキシブル基板(Flexible Printed Circuit:FPC)からなるケーブル18を接続することができる。
【0017】
本実施例において、シールドケース20は、電子機器14から発せられる不要輻射を防ぐ金属性シールドケースで、この機器14を覆うように実装基板12に取り付けられるものである。このケース20は、電子機器14に触れないように空間を有して形成され、また、実装基板12が組み込まれる他の装置に容易に取り付けられるように十分に薄く形成されるとよい。
【0018】
このシールドケース20は、図1では直方体形状を有しているが、基板12に接する面の寸法が基板12をわずかに下回る程度である長尺状のケースでよく、基板12に接する面ではその外周の辺だけが基板12に接する箱状のケースでよい。
【0019】
また、このシールドケース20は、図2に示すように、ケーブル18の引き出し口22を凹状に形成して、引き出されたケーブル18がケース20と基板12とに挟まれて破損することを回避することができる。この引き出し口22は、たとえば、厚さ0.15〜0.2mmぐらいのケーブル18が設置できるように、0.15〜0.2mmぐらいの高さのものでよい。
【0020】
本実施例の基板モジュール10では、実装基板12のACF接続部16にFPC 18が接続され、シールドケース20が、その一辺をACF接続部16の上部のFPC 18の表面に当接するように設置される。
【0021】
他の実施例として、基板モジュール10は、図3および図4に示すように、フラップ32を有するシールドケース20を用いて、このフラップ32で接続部16を覆って補強することができる。
【0022】
このシールドケース20は、図1に示すケースとほぼ同じ形状であるが、その一部を延長したフラップ32を有する。
【0023】
フラップ32は、ケース20の本体部分34においてケーブル18と当接する位置からケーブル18が引き出される方向へと延長して形成される。このフラップ32は、接続部16を十分に面で押さえることができる大きさのものでよく、たとえば、ケース20の本体部分34から3mm〜5mmまたは5mm〜10mmぐらい延長され、ケーブル18と同程度の幅を有して形成された薄板状のものでよい。
【0024】
また、他の実施例として、基板モジュール10は、図5、図6および図7に示すように、係合爪42を有するシールドケース20を用いて、この爪42が実装基板12の爪受部44と係合することにより接続部16の補強をより強固にすることができる。
【0025】
このシールドケース20は、図1または図3に示すケースとほぼ同じ形状であるが、その一部に係合爪42を有するもので、また実装基板12は、この爪42と係合する爪受部44を有する。
【0026】
本実施例の係合爪42は、シールドケース20の一部が実装基板12方向に引き出されたもので、たとえば、ケース20の外周面のうち、接続部16と当接する一辺の両側の2つの側面から、その一部を引き出して2つの係合爪42が形成される。
【0027】
係合爪42は、図5では、爪穴を有して、凸型に形成された爪受部44と係合するように形成されているが、係合爪42が鉤型などの突出部を有して、この突出部が爪受部44に形成された穴や窪みに掛かるように形成されてもよい。また、この爪42は、爪受部44と係合する際に、その広い面に直交する方向に少し可撓するものがよい。
【0028】
本実施例の係合爪42および爪受部44は、図5に示すように、接続部16の近傍に形成されるが、シールドケース20と実装基板12との取り付けにおいて補強が所望される位置に形成されるとよい。
【0029】
さらに、他の実施例として、基板モジュール10は、組み込み先の他の装置におけるGNDと金属性シールドケース20とを接続し、さらにこのケース20をケーブル18におけるGNDと当接して、他の装置におけるGNDとケーブル18におけるGNDと導通させることにより、接続部16の接続強度を補強するとともに本モジュール10のGNDを強化することができる。
【0030】
このシールドケース20は、たとえば図8および図9に示すように、図1に示すケースとほぼ同じ形状であるが、端子などを有して他の装置におけるGNDと接続して接地するものである。
【0031】
また、このケーブル18は、たとえば多層FPCであって、図8および図9に示すように、ケース20と当接する部分の銅箔52、すなわちGNDを、接続部16の表面側方向に露出したままで接続部16に接続される。これにより、シールドケース20がその引き出し口でケーブル18と当接すれば、このケース20が銅箔52と導通して他の装置におけるGNDとケーブル18におけるGNDと導通させ、ケーブル18を接地させる。
【0032】
また、他の実施例として、基板モジュール10は、図10および図11に示すように、ガイド62を有するシールドケース20を用いて、ケーブル18をケース20および実装基板12の角に当てずに折り曲げて配置させることができる。
【0033】
このシールドケース20は、図1に示すケースとほぼ同じ形状であるが、その一部を延長したガイド62を有する。
【0034】
このガイド62は、たとえば図10に示すように、接続部16の上部でケーブル18に当接されたまま本体34から延長されてR形状に湾曲されて形成されるもので、ケーブル18をガイドしてシールドケース20および実装基板12の角に当てずに折り曲げて配置させる、ケーブル18の折り曲げガイドとして機能する。ガイド62は、ケーブル18よりも幅の広い薄板状のもので、ケース20の本体34から水平に少し延びて進行してから後に反り返るように形成され、反り返った後の高さが本体34の高さと同程度であるとよい。これにより、ケーブル18は、折り曲げられた後でも、ケース20および基板12の角に当たらないで本体34上に位置することができる。
【0035】
本発明の基板モジュールは、上述したさまざまな実施例の特徴のうち、少なくとも一つ以上を含むものでよく、これらの特徴を多様に組み合わせて構成することができる。たとえば、基板モジュール10は、フラップ32および係合爪42を含むシールドケースを用いてもよく、また他の装置のGNDとの接続およびガイド62を含むシールドケースを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る基板モジュールの一実施例を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示す実施例の基板モジュールの外観を示す図である。
【図3】本発明に係る基板モジュールの他の実施例を示す分解斜視図である。
【図4】図3に示す実施例の基板モジュールの外観を示す図である。
【図5】本発明に係る基板モジュールの他の実施例を示す分解斜視図である。
【図6】図5に示す実施例の基板モジュールの外観を示す図である。
【図7】図5に示す実施例の基板モジュールの外観を示す図である。
【図8】本発明に係る基板モジュールの他の実施例を示す分解斜視図である。
【図9】図8に示す実施例の基板モジュールの外観を示す図である。
【図10】本発明に係る基板モジュールの他の実施例を示す分解斜視図である。
【図11】図10に示す実施例の基板モジュールの外観を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
10 基板モジュール
12 実装基板
14 電子機器
16 接続部
18 信号引き出し用ケーブル
20 実装基板用シールドケース


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器を設けた実装基板に信号引き出し用ケーブルを接続して構成される基板モジュールにおいて、該モジュールは、
前記基板の上に取り付けられて前記電子機器からの不要輻射を防ぐ実装基板用シールドケースを含み、
該シールドケースは、その一部を、前記基板と前記ケーブルとの接続部の上部にて、前記ケーブルと当接させることを特徴とする基板モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の基板モジュールにおいて、前記シールドケースは、その一部が前記ケーブルと当接する位置から該ケーブルが引き出される方向へと延長して形成されたフラップを有することを特徴とする基板モジュール。
【請求項3】
請求項1に記載の基板モジュールにおいて、前記シールドケースは、前記接続部付近の一部が引き出された係合爪を含み、
前記実装基板は、前記係合爪と係合する爪受部を含むことを特徴とする基板モジュール。
【請求項4】
請求項1に記載の基板モジュールにおいて、前記シールドケースは、該モジュールが組み込まれる他の装置のGNDと接続し、
前記ケーブルは、前記シールドケースと当接する部分にて該ケーブルのGNDを露出させ、
該モジュールは、前記シールドケースと前記ケーブルとを当接させて、前記ケーブルのGNDを前記他の装置のGNDに導通させることを特徴とする基板モジュール。
【請求項5】
請求項1に記載の基板モジュールにおいて、前記シールドケースは、その一部が前記ケーブルと当接する位置から該ケーブルが引き出される方向へと延長して形成され、前記ケーブルを該シールドケースおよび前記実装基板の角に当てずに折り曲げて配置させるガイドを有することを特徴とする基板モジュール。
【請求項6】
請求項5に記載の基板モジュールにおいて、前記ガイドは、前記接続部の上部で前記ケーブルに当接されたまま前記シールドケースの本体から延長されてR形状に湾曲されて形成されることを特徴とする基板モジュール。
【請求項7】
請求項1に記載の基板モジュールにおいて、前記接続部は、異方性導電フィルム (Anisotropic Conductive Film:ACF)接続が用いられることを特徴とする基板モジュール。
【請求項8】
請求項1に記載の基板モジュールにおいて、前記実装基板は、ガラエポ基板やセラミック基板などのリジット基板であることを特徴とする基板モジュール。
【請求項9】
請求項1に記載の基板モジュールにおいて、前記ケーブルは、フレキシブル基板(Flexible Printed Circuit:FPC)であることを特徴とする基板モジュール。
【請求項10】
電子機器を設けた実装基板に信号引き出し用ケーブルを接続して構成される基板モジュールに設けられ、前記基板の上に取り付けられて前記電子機器からの不要輻射を防ぐ実装基板用シールドケースにおいて、該シールドケースは、その一部を、前記基板と前記ケーブルとの接続部の上部にて、前記ケーブルと当接させることを特徴とするシールドケース。
【請求項11】
請求項10に記載のシールドケースにおいて、該シールドケースは、その一部が前記ケーブルと当接する位置から該ケーブルが引き出される方向へと延長して形成されたフラップを有することを特徴とするシールドケース。
【請求項12】
請求項10に記載のシールドケースにおいて、該シールドケースは、前記接続部付近の一部が引き出された係合爪を含み、
該係合爪は、前記実装基板に設けられた爪受部と係合することを特徴とするシールドケース。
【請求項13】
請求項10に記載のシールドケースにおいて、該シールドケースは、前記モジュールが組み込まれる他の装置のGNDと接続し、
前期接続部付近で前記ケーブルの露出されたGNDと当接することを特徴とするシールドケース。
【請求項14】
請求項10に記載のシールドケースにおいて、該シールドケースは、その一部が前記ケーブルと当接する位置から該ケーブルが引き出される方向へと延長して形成され、前記ケーブルを該シールドケースおよび前記実装基板の角に当てずに折り曲げて配置させるガイドを有することを特徴とするシールドケース。
【請求項15】
請求項14に記載のシールドケースにおいて、前記ガイドは、前記接続部の上部で前記ケーブルに当接されたまま前記シールドケースの本体から延長されてR形状に湾曲されて形成されることを特徴とするシールドケース。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−4489(P2008−4489A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−175344(P2006−175344)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】