説明

基板作製方法

【課題】アライメントマークが形成された基板を作製するにあたって、光によるアライメントマークの検出を可能としつつ、アライメントマークを形成する時間を短縮させる。
【解決手段】基板に対してアライメントマークを形成する際の基板作製方法において、前記基板を覆うようにレジスト層を形成する工程と、前記レジスト層にエネルギービームを照射することにより、所定のパターンの描画又は露光を行う露光工程と、前記描画又は露光されたレジスト層を現像し、凹凸からなるレジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、前記レジストパターン形成工程後、前記レジストパターンを有する部分における基板の少なくとも一部に対してウェットエッチングを行い、前記一部におけるレジストパターンの凹部よりも大きく、且つ、光を用いて検出可能な大きさを有するアライメントマークを前記基板上に形成するアライメントマーク形成工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、インプリント技術を実施する際に用いて好適な基板作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトリソグラフィ法を用いたインプリント技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。このインプリント技術は、元型基板と被転写基板とを用いて、凹凸のパターンを転写する技術である。
【0003】
特許文献1記載の技術においては、予め、元型基板の一主面に凹凸のパターンを形成する一方、被転写基板の一主面にレジスト層を形成しておく。そして、被転写基板を加熱してレジスト層を軟化させた状態で、元型基板の凹凸のパターンを被転写基板のレジスト層に接触させて加圧することにより、レジスト層を変形させる。更に、その状態で被転写基板を冷却または露光してレジスト層を硬化させる。そうすると、元型基板の凹凸のパターンの、凹と凸の関係を反転させた形状のパターンが、被転写基板のレジスト層に転写(形成)される。
【0004】
こうしたインプリント技術は、例えば、サブマスターモールドと呼ばれる元型基板を利用して、ハードディスク用途の記録メディアを作製する場合や、マスターモールドと呼ばれる元型基板を利用して、上記のサブマスターモールドを作製する場合などに利用されている。
【0005】
ここで挙げたマスターモールドは、光透過性を有するガラス基板を素材に用いて作製される。また、マスターモールドには、位置合わせのためのマーク(以下、「アライメントマーク」とも記す)が設けられる。このアライメントマークは、例えば、マスターモールドと被転写基板との相対的な位置合わせや、この被転写基板を素材として作製されるサブマスターモールドを利用して記録メディアを作製する場合に、この記録メディアとの位置合わせのために利用される。
【0006】
上記のアライメントマークは、マスターモールドを作製する工程で付される。このため、マスターモールドの一連の作製工程のなかには、その素材となるガラス基板にアライメントマークを形成するための工程(以下、「アライメントマーク形成工程」と記す)がある。
【0007】
ここで挙げたアライメントマークは、被転写基板にも設けられることになる。この被転写基板を素材としてサブマスターモールドを作製する際には、両者のアライメントマークの位置を光学センサなどにより検出及び計測する。そして、両者のアライメントマークの位置が一致するように、マスターモールドと被転写基板とを接触させる。
こうすることにより、被転写基板からサブマスターモールドを作製する際のパターン位置などの精度、ひいてはサブマスターモールドにより生産される製品の精度を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−206339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、従来のマスターモールドの作製工程には、以下のような問題があった。
近年、マスターモールドにおいて、記録メディアでいうところのデータ部に対応する部分のパターンはナノオーダーとなっている。
【0010】
その一方、アライメントマークは、検出手法が光である場合、アライメントマークを光の波長以下の大きさまで微細化すると、検出が極めて困難になってしまう。そこで、位置検出の精度を保つ必要上、アライメントマークの大きさはミクロンオーダーとなっている。つまり、データ部に対応する部分のパターンとアライメントマークとの間には、大きさにおいて、約1000倍のオーダーの違いがあり、一つの基板の中にナノオーダーからミクロンオーダーまでのパターンを作りこまなくてはならない。
【0011】
本来ならば、別々の電子線描画装置などで両者を形成すれば良いのだが、別々の電子線描画装置で描画を行うとなると、ある装置から別の装置へとマスターモールドを移し替える際に位置ずれが生じてしまい、正確な位置決めのためのアライメントマークそのものがずれて形成されてしまうおそれがある。
また、電子線描画装置は高価であり、アライメントマークの形成のためだけに新たに電子線描画装置を購入することはコスト面での負担が大きい。
そのため、通常は、1台の電子線描画装置によって、データ部に対応する部分のパターンとアライメントマークとを描画する。
【0012】
一方、先にも述べたように、データ部に対応する部分のパターンとアライメントマークとの間には、約1000倍のオーダーの違いがある。そのため、電子線描画装置におけるビーム径をナノオーダーとしてデータ部のパターンを描画する一方、アライメントマークにおいてはビーム径及び出力を変更することなく、アライメントマークの部分のレジストに対し描画位置を少しずつずらしながら重ね書きを行うことにより、ミクロンオーダーの描画部分を形成している。
【0013】
ところが、このような描画方法だと、アライメントマークの部分を描画するためだけに数日を要してしまい、作業効率は決して良いものとは言えなくなってしまう。
【0014】
一方、ビーム径又は出力を変更してしまうと、ビーム径又は出力が一定の状態となるまでに数日を要してしまい、結局のところ、アライメントマークの部分を描画するためだけに、相当な時間を要してしまう。
【0015】
その結果、マスターモールドにおけるアライメントマーク作製のためだけに多くの日数を要することになり、マスターモールド作製の際の作業効率は決して良いものとは言えない。それにより、ひいてはサブマスターモールドの作製の効率も低下し、最終製品の作製にも相当な時間を要することになってしまっていた。
【0016】
本発明の主たる目的は、アライメントマークが形成された基板を作製するにあたって、光によるアライメントマークの検出を可能としつつ、アライメントマークを形成する時間を短縮させることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の態様は、
基板に対してアライメントマークを形成する際の基板作製方法において、
前記基板を覆うようにレジスト層を形成する工程と、
基板に対してアライメントマークを形成する際の基板作製方法において、
前記基板を覆うようにレジスト層を形成する工程と、
前記レジスト層にエネルギービームを照射することにより、所定のパターンの描画又は露光を行う露光工程と、
前記描画又は露光されたレジスト層を現像し、凹凸からなるレジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、
前記レジストパターン形成工程後、前記レジストパターンを有する部分における基板の少なくとも一部に対してウェットエッチングを行い、前記一部におけるレジストパターンの凹部よりも大きく、且つ、光を用いて検出可能な大きさを有するアライメントマークを前記基板上に形成するアライメントマーク形成工程と、
を有することを特徴とする、基板作製方法である。
本発明の第2の態様は、
前記基板は、前記アライメントマークが形成されるマーク部と、それ以外の部分であって凹凸パターンが形成される非マーク部と、を有し、
前記マーク部におけるレジストパターンを形成する際と、前記非マーク部におけるレジストパターンを形成する際とで、前記エネルギービームのビーム径及び出力を実質的に同一とすることを特徴とする第1の態様に記載の基板作製方法である。
本発明の第3の態様は、
前記基板を覆うようにハードマスク層を形成した後、前記ハードマスク層を覆うように前記レジスト層を形成し、
前記レジストパターン形成工程後、且つ、前記アライメントマーク形成工程前に、前記ハードマスク層に対するエッチング工程を行い、前記レジストパターンを前記ハードマスク層に転写することを特徴とする第1又は第2の態様に記載の基板作製方法である。
本発明の第4の態様は、
前記ハードマスク層に対するエッチング工程後、且つ、前記アライメントマーク形成工程前に、前記基板におけるマーク部及び非マーク部に対してドライエッチングを行い、前記ハードマスクの凹凸パターンを前記マーク部及び前記非マーク部に転写することを特徴とする第3の態様に記載の基板作製方法である。
本発明の第5の態様は、
前記アライメントマーク形成工程前に、前記非マーク部の凹凸パターンを保護するために、保護レジスト層を前記基板上に設けることを特徴とする第4の態様に記載の基板作製方法である。
本発明の第6の態様は、
前記レジストパターンの凹部は、平面から見たとき線形状にて等間隔で複数設けられており、
前記アライメントマーク形成工程においては、ウェットエッチングによって削られる領域を隣り合う凹部同士にて重複させることにより、前記レジストパターンにおける複数の線形状の凹部から少なくとも1本の線形状のアライメントマークを少なくとも一つ、前記基板上に形成することを特徴とする第1ないし5のいずれかの態様に記載の基板作製方法である。
本発明の第7の態様は、
前記エネルギービームの照射は、ナノオーダーのビーム径を有する電子線描画である一方、
前記アライメントマークは、サブミクロンオーダーまたはミクロンオーダーに形成されることを特徴とする第1ないし6のいずれかの態様に記載の基板作製方法である。
本発明の第8の態様は、
前記基板は、インプリントにおける元型モールドを形成するための円盤状の石英基板であり、
前記基板は、前記アライメントマークが形成されるマーク部を基板中央部に有する一方、それ以外の部分であって凹凸パターンが形成される非マーク部を基板周辺部に有し、
前記アライメントマークは、前記元型モールドが有する所定の凹凸パターンを被転写物に転写する際の位置合わせに用いられることを特徴とする第1ないし7のいずれかの態様に記載の基板作製方法である。
本発明の第9の態様は、
インプリントにおける元型モールドを形成するための円盤状の石英基板に対して、前記元型モールドが有する所定の凹凸パターンを被転写物に転写する際の位置合わせに用いられるアライメントマークを形成する際の基板作製方法において、
前記基板は、前記アライメントマークが形成されるマーク部を基板中央部に有する一方、それ以外の部分であって凹凸パターンが形成される非マーク部を基板周辺部に有しており、
前記基板を覆うようにハードマスク層を形成した後、前記ハードマスク層を覆うようにレジスト層を形成する工程と、
前記レジスト層に対して、ナノオーダーのビーム径を有する電子線描画を行う工程と、
前記描画されたレジスト層を現像し、前記マーク部においてはナノオーダーであって平面から見たとき複数の等間隔の線形状の凹凸からなるレジストパターンを形成する一方、前記非マーク部においてはナノオーダーの凹凸からなるレジストパターンを形成する工程と、
前記ハードマスク層に対してエッチングを行い、前記レジストパターンを前記ハードマスク層に転写する工程と、
前記基板におけるマーク部及び非マーク部に対してドライエッチングを行い、前記ハードマスクの凹凸パターンを前記マーク部及び前記非マーク部に転写する工程と、
前記非マーク部に転写された凹凸パターンを保護するため、前記非マーク部を覆うように保護レジスト層を設ける工程と、
前記保護レジスト層を設けた後、前記マーク部に対してウェットエッチングを行い、ウェットエッチングによって削られる領域を隣り合う凹部同士にて重複させることにより、前記レジストパターンにおける複数の線形状の凹部から、サブミクロンオーダーまたはミクロンオーダーの1本の線形状のアライメントマークを少なくとも一つ、前記マーク部に形成する工程と、
を有し、
前記マーク部におけるレジストパターンを形成する際と、前記非マーク部におけるレジストパターンを形成する際とで、前記電子線描画の際のビーム径及び出力を実質的に同一とすることを特徴とする、基板作製方法である。
本発明の第10の態様は、前記非マーク部は、磁気記録媒体のデータの元となるデータ部であることを特徴とする第2又は9の態様に記載の基板作成方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、アライメントマークが形成された基板を作製するにあたって、光によるアライメントマークの検出を可能としつつ、アライメントマークを形成する時間を短縮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係るマスターモールドを説明する概略図である。
【図2】図1のA−A’の断面概略図であって、本発明の実施の形態に係る基板作製方法の工程フロー概略図である。
【図3】本発明の別の実施の形態に係る基板作製方法の工程フロー概略図である。
【図4】(a)本発明の別の実施の形態に係るマスターモールドを説明する概略図である。(b)本発明の別の実施の形態に係る基板作製方法において、保護レジスト層をウェットエッチングの際の堰とした場合を示す図である。(c)(b)のように堰を設けてウェットエッチングを行った後の基板を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明者らは、アライメントマークを形成する時間を短縮する手段について種々検討した。
検討に際し、本発明者らは、ビーム径のサイズとアライメントマークのサイズの差を如何にして埋めるかについて焦点を当てた。
【0021】
そして、本発明者らは、従来だとパターンサイズの変動要因と考えられていたオーバーエッチングを、凹凸パターンの凹部のサイズを拡大する手段として逆に利用するという知見を得た。そして、このオーバーエッチングを発生させるために、アライメントマーク形成工程においてウェットエッチングを用いることを想到した。
【0022】
<実施の形態1>
以下、本発明の実施形態について説明する。
順序としては、まず本実施形態において、図1に示すようなマスターモールド10にアライメントマーク5を形成する工程について説明する。なお、この説明においては、図1のマスターモールド10のA−A’断面の概略図である図2を用いる。
その後、<実施の形態2>においては、実施の形態1にて形成されたアライメントマーク5を検出する方法について記載する。
また、<実施の形態3>においては種々の変形例を記載する。
【0023】
本発明の実施の形態に係る基板作製方法は、以下に記述する複数の工程を含む。
1.ハードマスク層形成工程
2.レジスト層形成工程
3.電子線描画工程
4.現像工程
5.ハードマスクエッチング工程
6.基板エッチング工程
7.保護レジスト層形成工程
8.ウェットエッチングによるアライメントマーク形成工程(パターン凹部拡大工程)
9.レジスト層及び保護レジスト層除去工程
10.ハードマスク除去工程
そして最後に、本実施形態の効果について説明する。
以下、上記の各工程について順に説明する。
【0024】
[1.ハードマスク層形成工程]
まず、図2(a)に示すように、マスターモールド10の素材(元)となる基板1を用意して、この基板1の主面上にハードマスク層2を形成する。本実施形態においては、基板1としては、光透過性を有する円形の石英基板(ガラス基板)を用いる。
ハードマスク層2としては、例えば、クロムからなる単層の金属層、またはクロムを含む単層の金属層(合金層)を形成する。
【0025】
[2.レジスト層形成工程]
次に、基板1の主面上に、上記のハードマスク層2を覆う状態で、レジスト層3を形成する。レジスト層3は、後述する「ハードマスクエッチング工程」において、レジストパターン3aが転写されたエッチング用マスクを形成するためのものである。本実施形態においては、レジスト層3にはポジ型のレジストを用いて、スピンコート法等によって形成する。
【0026】
[3.電子線描画工程]
次に、この基板1を電子線描画装置(図示せず)にセットする。この際、基板1の主面側に電子線発生部(図示せず)を配置し、基板1上のレジスト層3に対して、照射領域が所定の形状となるように電子線9を照射する(以下、この電子線9の照射を電子線描画とも記す)。
【0027】
本実施の形態においては、レジスト層3がポジ型のレジストで形成されている。このため、電子線9により照射されたレジスト層3の一部(感光された部分)が可溶化する。即ち、平面から見たとき、電子線9が照射された領域が線形状であれば、レジストパターン3aにおける凹部も線形状となる。
【0028】
この電子線9の照射に際し、基板1上において、アライメントマーク5が形成される予定の部分(以下、マーク部8とも記す)、及び、それ以外の部分であって凹凸パターンが形成される非マーク部に対し、本工程内にて共に電子線描画を行う。なお、本実施形態においてこの非マーク部は、マスターモールド10により製造される磁気記録媒体のデータの元となる凹凸パターンが形成される予定の部分とする(以下、データ部7とも記す)。
【0029】
具体的な描画形状としては、前記マーク部8においては複数の等間隔の線形状の描画を行う。この間隔は、後述するウェットエッチングによりオーバーエッチングされる領域が、隣接する開口部同士で重なり合うように設定するのが好ましい。
一方、前記データ部7においては所定のパターン形状となるように描画を行う。
【0030】
この際、前記マーク部8におけるレジストパターン3aを形成する際と、前記データ部7におけるレジストパターンを形成する際とで、前記エネルギービームのビーム径及び出力を実質的に同一とするのが好ましい。ビーム径又は出力を変更しなければ、ビーム径又は出力が一定の状態が保たれることになり、電子線描画装置の調整に時間を取られなくて済むためである。
なお、「ビーム径及び出力を実質的に同一」とは、装置におけるビーム径及び出力設定を同一にしている状態であるものを含む一方、設定を同一にしているにもかかわらず数値が誤差変動する場合も含むものとする。
なお、本実施形態においては、データ部7における所定のパターンをナノオーダーとすることに伴いビーム径もナノオーダー(例えば10nm程度。具体的には0nm超、0.1μm未満)とする一方、最終的に形成されるアライメントマーク5はサブミクロンオーダーまたはミクロンオーダーとしている。
【0031】
なお、本実施の形態における「サブミクロンオーダー」とは、0.1μm超、1μm未満のサイズのオーダーをいう。また、「ミクロンオーダー」とは、1μm以上、10μm以下のサイズのオーダーをいう。アライメントマーク5の幅は、例えば、アライメントマーク5の平面視形状が、長方形、十字形、弧状などであれば、マークの短手方向の寸法で規定されるものである。
【0032】
また、本実施形態における「所定のパターン形状」の描画は、具体的には、円形基板の周辺部(データ部7)では、記録メディアにおけるデータの元となるパターン形状の描画を行う。このパターン形状は任意のもので良く、DTRメディアの形状(Discrete Track Media:即ち平面視で線状)やBPMの形状(Bit Patterned Media:即ち平面視で点状)や、線状と点状が混在した形状であっても良い。
一方、円形基板の中心部(マーク部8)では、平面から見たとき、複数の線形状が等間隔になるよう描画する。なお、マーク部8における複数の線形状描画は、将来、1本の太い線形状のアライメントマーク5の元となる。
【0033】
[4.現像工程]
次に、図2(b)に示すように、前記第1の電子線描画工程でパターン形状を描画されたレジスト層3の一部を現像によって除去することにより、レジストパターン3aを形成する。この場合は、前記電子線描画工程で電子線9が照射されなかったレジスト層3の他部が、現像後にレジストパターン3aとなって残る。なお、このレジストパターン3aは、データ部7における所定のパターン形状に対応した開口部Hに加え、後で詳述するアライメントマーク5の形状の一部に対応した開口部H’を含んだものとなる。
【0034】
[5.ハードマスクエッチング工程]
次に、図2(c)に示すように、上記のレジストパターン3aをマスクに用いて、ハードマスク層2をクロムエッチング液でエッチングする。これにより、レジストパターン3aと同様の平面形状をもってハードマスク層2の一部がエッチングされる。そして、このエッチング後においては、ハードマスク層2の他部(エッチングされなかった部分)がハードマスク2aとなって残り、このハードマスク2aの上にレジストパターン3aが積層された状態となる。
【0035】
また、ハードマスク層2のエッチングに際しては、上述した開口部H及びH’がハードマスク層2の厚みに応じて掘り下げられる。
ここで、データ部7においてエッチングによって得られるハードマスク2aの開口部Hの開口形状は、所定の凹凸パターンの凹部の形状に対応したものとなる。
一方、マーク部8においてエッチングによって得られるハードマスク2aの開口部H’の開口形状は、アライメントマーク5のあくまで一部に対応したものとなる。なぜなら、ハードマスク2aの開口形状は、後述するウェットエッチングにより拡大されて(図1(f)の符号5)、基板1のマーク部8へと転写されるためである(図1(g))。
【0036】
以上の通り、前記マーク部8においてはナノオーダーであって複数の等間隔の線形状の凹凸からなるレジストパターン3aを形成する一方、前記データ部7においてはナノオーダーの凹凸からなるレジストパターン3aを形成する。
【0037】
[6.基板エッチング工程]
次に、図2(d)に示すように、上記のレジストパターン3aとハードマスク2aとを用いて、基板1をドライエッチングするのが好ましい。ドライエッチングを用いることにより、ハードマスク2aの開口形状を基板1に精緻に転写することができ、データ部7において精緻な凹凸パターンを形成することができるためである。
これにより、基板1の主面にアライメントマーク5の一部が形成される。つまり、アライメントマーク5の一部だけを、予め基板1上に形成しておいても良い。
こうすることにより、基板1に全くエッチングされていない状態からウェットエッチングを行うよりも、アライメントマーク5の完成形状へと速やかに且つ確実にエッチングすることができる。
【0038】
このアライメントマーク5の一部は、上述した開口部H’を掘り下げるかたちで断面凹状に形成される。このため、アライメントマーク5の一部は、開口部H’の開口形状にならったものとなる。
【0039】
更に、基板1の主面上のデータ部7において、ハードマスク2aおよびレジストパターン3aが積層されていない開口部Hに対応する部分は、アライメントマーク5の一部の形成と同時進行でエッチングされる。このため、基板1の主面の周辺部には、データ部7における所定の凹凸パターンが形成される。
【0040】
[7.保護レジスト層形成工程]
次に、図2(e)に示すように、前記データ部7を覆うように保護レジスト層6を設ける。本工程の後には、基板のマーク部8上におけるハードマスクの開口部H’の形状を、ウェットエッチングにより拡大して基板上に転写する工程が控えている。何の手当も施さなければ、このウェットエッチングにより、開口部H’のみならず、精緻なパターン形状が必要となるデータ部7をもウェットエッチングされてしまう。そのため、本実施形態においては、前記データ部7に転写された凹凸パターンを保護するために、この保護レジスト層6を設けるのである。
本実施形態においては、後のレジストパターン除去工程にて一緒に除去できるようにすべく、レジスト層3と同一のレジストを用い、同じくスピンコート法等によって形成する。もちろん、最終的にパターンの毀れなく剥離できるのならば、他の種類のレジストを用いても良い。
【0041】
[8.ウェットエッチングによるアライメントマーク形成工程(マーク部におけるレジストパターンの凹部を更に拡大する工程)]
上述の通り、マーク部8上には、ナノオーダー程度の開口部H’しか、ハードマスクには設けられていない。一方、光を用いて検出可能なアライメントマーク5の大きさとしては、サブミクロンオーダーまたはミクロンオーダーの大きさが必要である。
そこで、本実施形態においては、ナノオーダー程度の開口部H’を有するハードマスク上から基板1のマーク部8に対し、ウェットエッチングを行う。このウェットエッチングには、基板1が石英基板の場合には、フッ酸によるウェットエッチングを用いれば良い。
【0042】
このウェットエッチングにより、図2(f)に示すように、基板1のマーク部8において、オーバーエッチングが発生する。これにより、ナノオーダーの線形状の開口部H’の形状が、拡大されて基板1に転写される。
こうすることにより、少なくともサブミクロンオーダーにまで拡大されたアライメントマーク5を基板1上に形成することができる。
【0043】
更に、本実施形態においては、前記マーク部8においては複数の等間隔の線形状の描画を行っている。そして、基板1のマーク部8にて、上述のウェットエッチングによりオーバーエッチングされる領域が、隣接する開口部同士で重なり合うよう、間隔が設定されている。
こうすることにより、ナノオーダーのレジストパターン3aを形成しているにも拘わらず、ウェットエッチングにより、光の中でも頻繁に用いられる可視光を用いて検出可能な、サブミクロンオーダーまたはミクロンオーダーの1本の線形状のアライメントマーク5を少なくとも一つ、前記マーク部8に形成することができる。
【0044】
なお、アライメントマーク5の深さは、基板1のエッチング量に応じて設定すれば良い。一例を挙げれば、0.1μmの深さで形成しても良い。
【0045】
[9.レジストパターン及び保護レジスト層除去工程]
次に、基板1の第1の主面上から上記のレジストパターン3a及び保護レジスト層6を除去する。レジストパターン3a及び保護レジスト層6の除去は、例えば、レジスト剥離液によって行う。
【0046】
[10.ハードマスク除去工程]
次に、基板1の第1の主面上から上記のハードマスク2aを除去する。ハードマスク2aの除去は、例えば、クロムエッチング液によって行う。
【0047】
以上の工程により、図2(g)に示すように、マーク部8におけるアライメントマーク5と、データ部7における所定の凹凸パターンとを主面側に有する基板(マスターモールド10)が得られる。
【0048】
[実施の形態の効果]
本発明の実施の形態に係る基板作製方法においては、次のような効果が得られる。
即ち、基板に対して、ナノオーダーのパターンを有するデータ部7と、マイクロオーダーのアライメントマークが形成されるマーク部の上に設けられたレジスト層に対して電子線描画を行う。この際、データ部のパターンとアライメントマークとの間にオーダーの違いがあろうとも、ビーム径又は出力設定を変更させることなく、同一装置でこれらを形成することができる。
【0049】
そして、従来だとパターンサイズの変動要因と考えられていたオーバーエッチングを、凹凸パターンの凹部のサイズを拡大する手段として、本実施形態では逆に利用する。このオーバーエッチングを発生させるために、アライメントマーク形成工程においてウェットエッチングを用いることにより、凹部のサイズを拡大して基板に転写することができる。その結果、電子線描画において、従来よりも短い描画時間(即ち少ない照射面積)で、光により検出可能な大きさのアライメントマークを形成することができる。
【0050】
その結果、アライメントマークを形成する時間を短縮させることができる。つまり、マスターモールドにおけるアライメントマーク作製のためだけに多くの日数を要することがなくなり、マスターモールド作製の際の作業効率が向上し、ひいてはサブマスターモールドの作製の効率も向上する。ひいては、最終製品の作製の効率も向上する。
【0051】
<実施の形態2>
本実施形態においては、実施の形態1において形成したアライメントマーク5を検出する方法について説明する。
【0052】
上述の通り、本実施形態においては、光を用いて検出可能な大きさを有するアライメントマーク5を形成する必要がある。
【0053】
この光の光源にはレーザを使用してもよく、または単波長および複数の波長の光源を使用しても良い。また、波長についても特に制限されないが、使用しやすさからも可視光の波長が好ましい。
【0054】
可視光を用いる場合、アライメントマーク5の大きさが、可視光の波長と同程度の大きさを有していなければアライメントマーク5の検出を行えない。そのため、アライメントマーク5の大きさを可視光の波長と同程度にすべく、上述のようにウェットエッチングを行う。
【0055】
また、このアライメントマーク5の検出方法としては、例えば、XY方向に移動可能であるXYステージ上に、マスターモールド10の位置計測を行うためのセンサを搭載することが挙げられる。このセンサにより、マスターモールド10に形成されているアライメントマーク5の位置を計測し、XYステージの位置とモールドとの相対位置を計測する。計測手段は、顕微鏡やCCD等の光学系によってマークの映像を取り込み、画像処理を行って位置を算出する方法を用いたパターン認識装置や、ヘテロダイン干渉を応用した方法などを用いても良い。
【0056】
さらに、センサは、Z軸方向の距離を計測する機能を有しても良く、XYステージの移動と同期して、モールドの下面とセンサとの距離を計測しても良い。この際の検出方法は、レーザ光を発して、反射する光の位置を検出する方法や、静電容量の変化を利用したもの等であっても良い。
【0057】
以上の検出方法を用い、実施の形態1のマスターモールド10と、被転写基板との位置あわせを行う具体的な方法の概略は以下の通りである。
即ち、被転写基板の被転写面と、マスターモールド10の凹凸パターンが形成された転写面とを対向して配置する。その際、両者の間の間隙にはレジスト層3となるレジスト液を満たす。そして、被転写面及びマスターモールド10の上方から、被転写面に対して垂直な光軸を持つアライメント光学系によって2つのアライメントマーク5(被転写面及びマスターモールド10に設けられているマーク)を読みとり、その観測結果を用いてマスターモールド10と被転写基板との位置合わせを行う。
【0058】
<実施の形態3>
本発明の技術的範囲は上述した実施の形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
そこで、本実施形態においては、実施の形態1における各種変形例について示す。特筆しない点は、実施の形態1と同様である。
【0059】
まず、基板1の形状は、円形以外であってもよい。例えば、四角形等を含む多角形の基板であってもよい。
また、基板1の種類は、石英、サファイヤ、又はSi等の金属、プラスチック、セラミック等からなり、あるいはそれらの組み合わせからなっても良く、マスターモールド10として用いることができるのならば材質あるいは構造は問わない。
【0060】
また、前記実施の形態においては、ハードマスク層2を、クロムからなる金属層、またはクロムを含む金属層(合金層)で形成するものとしたが、これに限らず、ハードマスク層2を、クロムを含まない金属層(合金層を含む)によって形成しても良い。
【0061】
例えば、前記実施の形態においては、レジスト層3をポジ型のレジストを用いて形成するものとしたが、これに限らず、ネガ型のレジストを用いて形成しても良い。
【0062】
なお、実施の形態1では基板上にハードマスク層2とレジスト層3を設けたが、密着層を両層の間に別途設けても良い。
また、ハードマスク層2を必要とせずにレジストパターン3aをマスク材として基板1をエッチングして溝形成できる場合、基板1に直接レジスト層3を形成しても良い。またこの場合、基板1に対して脱水ベーク処理あるいは密着補助層の形成を行った後、その上にレジスト層3を設けても良い。
【0063】
また、実施の形態1ではマーク部8を基板中央部、データの元となる凹凸パターンが形成されるデータ部7を基板周辺部、となるように設定したが、逆に配置しても良い。即ち、マーク部8を基板周辺部、データ部7を基板中央部に配置しても良い。マーク部8を基板周辺部と基板中央部に設け、データ部7をその間に配置しても良い。また、最終的にデータ部7の凹凸パターンを毀すことが無ければ、マーク部8及びデータ部7の配置は上記の例に限定されない。
【0064】
また、実施の形態1では[3.電子線描画工程]において、その名の通り電子線描画について述べている。その一方、本発明は電子線描画に限定されることなく、他のエネルギービームの照射にも適用できる。具体的には、紫外線、X線、電子線、イオンビーム、プロトンビーム等であっても良い。結局のところ、所定のパターン形状をレジスト層3に施すことができる方法であれば良い。そのため、実施の形態1のような描画でなくとも、露光マスクを用いた露光をレジスト層3に施しても良い。露光を行うのならば、基板1は光透過性とするのが、裏面露光が可能となるという点からも好ましい。
【0065】
また、同じく[3.電子線描画工程]において、実施の形態1のようにデータ部7とマーク部8のレジストパターン3aを形成するのではなく、マーク部8のレジストパターン3aを形成した後、データ部7のレジストパターン3aを別途形成しても良い。こうすることにより、アライメントマーク形成の際のデータ部7の凹凸パターンの毀れを気にする必要がなくなるためである。
【0066】
また、実施の形態1では[5.ハードマスクエッチング工程]において、ウェットエッチングを行っている。この代わりに、ハードマスク層2を構成する物質に応じたガスを用いて、ドライエッチングを行っても良い。
【0067】
更に、実施の形態1では[6.基板エッチング工程]を行った後に、アライメントマーク5を形成しているが、この順番を逆にしても良い。つまり、図3に示すように、[8.ウェットエッチングによるアライメントマーク形成工程]の手前までは基板1に対するエッチングを行わない状態のまま、データ部7の上に保護レジスト層6を設ける(図3(e))。そして、アライメントマーク5を形成し、保護レジスト層6を除去した後、別途データ部7の凹凸パターンをデータ部7に形成しても良い(図3(f))。
【0068】
また、実施の形態1では、[7.保護レジスト層形成工程]において、データ部7を覆うように保護レジスト層6を設けている。それに対し、図4(a)(b)に示すように、データ部7とマーク部8との間に堰となる保護レジスト層11を形成しても良い。円盤状の基板1のマーク部8を保護レジスト層11からなる堰で取り囲むことにより(図4(b))、前記レジストパターン3aを有する部分における基板の少なくとも一部(即ちマーク部8のみ)をウェットエッチングすることができる(図4(c))。
【0069】
そもそもデータ部7においては、精緻な凹凸パターンが要求される。この凹凸パターンはわずかな衝撃でも毀れるおそれがあり、保護レジスト層6の剥離に伴い凹凸パターンが毀れる可能性も否定できない。
【0070】
ところが、上述のように堰となる保護レジスト層11を形成することにより、データ部7における凹凸パターンに、堰となる保護レジスト層11が入り込む機会を無くすことができ、保護レジスト層の剥離という工程をデータ部7に施す必要が無くなり、凹凸パターン変形の機会を無くすことができる。
【0071】
また、実施の形態1では、[8.ウェットエッチングによるアライメントマーク形成工程]において、アライメントマーク5の元となるレジストパターン3aを、複数の等間隔の線形状の凹凸からなるパターンにしている。これに対し、凹部は線形状以外であっても良く、ビット状であっても良いし、矩形形状であっても良い。結局のところ、ウェットエッチング後に、アライメントマーク5が、光を用いて検出可能な大きさを有するものになっていれば良い。
【0072】
また、上記の線形状のアライメントマーク5を1本のみ設けるのではなく、複数本を設けても良い。この時、各アライメントマーク5は、光を用いて検出可能な大きさを有していれば良い。更に、この複数のアライメントマーク5が周期的な凹部となっていても良い。
こうすることにより、光による検出の際に、光エネルギーの周期的な変動を利用した検出を行う場合、周期的変動において、アライメントマーク5が存在する部分だけに変化が生じる。これを利用して、1本のマイクロオーダーのアライメントマークを形成するまでもなく、サブミクロンオーダー、又は場合によってはそれ以下のオーダーのアライメントマークでも光の検出が可能となると考えられる。
【0073】
更に、電子線描画領域をサブミクロンオーダーよりも小さな幅の1本の線としておき、その1本の線から、1本のアライメントマーク5を形成しても良い。
また、アライメントマークの数については、図1のように複数個設けても良いし、一つのみ設けても良い。また、同心円上に複数個設けても良いし、半径方向において平行に各々設けても良い。
【0074】
また、[9.レジスト層及び保護レジスト層除去工程]においては、硫酸過水を用いてこれらを除去しても良い。
【0075】
また、実施の形態1では、電子線描画においてはナノオーダーのビーム径を用い、アライメントマーク5はサブミクロン又はミクロンオーダーとしたが、本発明の思想はこのオーダーに限定されないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0076】
1…基板、2…ハードマスク層、2a…ハードマスク、3…レジスト層、3a…レジストパターン、5…アライメントマーク、6…保護レジスト層、7…データ部、8…マーク部、9…電子線、10…マスターモールド、11…堰となる保護レジスト層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対してアライメントマークを形成する際の基板作製方法において、
前記基板を覆うようにレジスト層を形成する工程と、
前記レジスト層にエネルギービームを照射することにより、所定のパターンの描画又は露光を行う露光工程と、
前記描画又は露光されたレジスト層を現像し、凹凸からなるレジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、
前記レジストパターン形成工程後、前記レジストパターンを有する部分における基板の少なくとも一部に対してウェットエッチングを行い、前記一部におけるレジストパターンの凹部よりも大きく、且つ、光を用いて検出可能な大きさを有するアライメントマークを前記基板上に形成するアライメントマーク形成工程と、
を有することを特徴とする、基板作製方法。
【請求項2】
前記基板は、前記アライメントマークが形成されるマーク部と、それ以外の部分であって凹凸パターンが形成される非マーク部と、を有し、
前記マーク部におけるレジストパターンを形成する際と、前記非マーク部におけるレジストパターンを形成する際とで、前記エネルギービームのビーム径及び出力を実質的に同一とすることを特徴とする請求項1に記載の基板作製方法。
【請求項3】
前記基板を覆うようにハードマスク層を形成した後、前記ハードマスク層を覆うように前記レジスト層を形成し、
前記レジストパターン形成工程後、且つ、前記アライメントマーク形成工程前に、前記ハードマスク層に対するエッチング工程を行い、前記レジストパターンを前記ハードマスク層に転写することを特徴とする請求項1又は2に記載の基板作製方法。
【請求項4】
前記ハードマスク層に対するエッチング工程後、且つ、前記アライメントマーク形成工程前に、前記基板におけるマーク部及び非マーク部に対してドライエッチングを行い、前記ハードマスクの凹凸パターンを前記マーク部及び前記非マーク部に転写することを特徴とする請求項3に記載の基板作製方法。
【請求項5】
前記アライメントマーク形成工程前に、前記非マーク部の凹凸パターンを保護するために、保護レジスト層を前記基板上に設けることを特徴とする請求項4に記載の基板作製方法。
【請求項6】
前記レジストパターンの凹部は、平面から見たとき線形状にて等間隔で複数設けられており、
前記アライメントマーク形成工程においては、ウェットエッチングによって削られる領域を隣り合う凹部同士にて重複させることにより、前記レジストパターンにおける複数の線形状の凹部から少なくとも1本の線形状のアライメントマークを少なくとも一つ、前記基板上に形成することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の基板作製方法。
【請求項7】
前記エネルギービームの照射は、ナノオーダーのビーム径を有する電子線描画である一方、
前記アライメントマークは、サブミクロンオーダーまたはミクロンオーダーに形成されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の基板作製方法。
【請求項8】
前記基板は、インプリントにおける元型モールドを形成するための円盤状の石英基板であり、
前記基板は、前記アライメントマークが形成されるマーク部を基板中央部に有する一方、それ以外の部分であって凹凸パターンが形成される非マーク部を基板周辺部に有し、
前記アライメントマークは、前記元型モールドが有する所定の凹凸パターンを被転写物に転写する際の位置合わせに用いられることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の基板作製方法。
【請求項9】
インプリントにおける元型モールドを形成するための円盤状の石英基板に対して、前記元型モールドが有する所定の凹凸パターンを被転写物に転写する際の位置合わせに用いられるアライメントマークを形成する際の基板作製方法において、
前記基板は、前記アライメントマークが形成されるマーク部を基板中央部に有する一方、それ以外の部分であって凹凸パターンが形成される非マーク部を基板周辺部に有しており、
前記基板を覆うようにハードマスク層を形成した後、前記ハードマスク層を覆うようにレジスト層を形成する工程と、
前記レジスト層に対して、ナノオーダーのビーム径を有する電子線描画を行う工程と、
前記描画されたレジスト層を現像し、前記マーク部においてはナノオーダーであって平面から見たとき複数の等間隔の線形状の凹凸からなるレジストパターンを形成する一方、前記非マーク部においてはナノオーダーの凹凸からなるレジストパターンを形成する工程と、
前記ハードマスク層に対してエッチングを行い、前記レジストパターンを前記ハードマスク層に転写する工程と、
前記基板におけるマーク部及び非マーク部に対してドライエッチングを行い、前記ハードマスクの凹凸パターンを前記マーク部及び前記非マーク部に転写する工程と、
前記非マーク部に転写された凹凸パターンを保護するため、前記非マーク部を覆うように保護レジスト層を設ける工程と、
前記保護レジスト層を設けた後、前記マーク部に対してウェットエッチングを行い、ウェットエッチングによって削られる領域を隣り合う凹部同士にて重複させることにより、前記レジストパターンにおける複数の線形状の凹部から、サブミクロンオーダーまたはミクロンオーダーの1本の線形状のアライメントマークを少なくとも一つ、前記マーク部に形成する工程と、
を有し、
前記マーク部におけるレジストパターンを形成する際と、前記非マーク部におけるレジストパターンを形成する際とで、前記電子線描画の際のビーム径及び出力を実質的に同一とすることを特徴とする、基板作製方法。
【請求項10】
前記非マーク部は、磁気記録媒体のデータの元となるデータ部であることを特徴とする請求項2又は9に記載の基板作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−148447(P2012−148447A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7821(P2011−7821)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】