説明

基板処理装置、基板処理方法、プログラムおよび記憶媒体

【課題】各薬液供給源に設けられるバルブの設置スペースを小さくすることができる基板処理装置、基板処理方法、プログラムおよび記憶媒体を提供する。
【解決手段】ウエハWの処理を行う処理部10に接続された第1のライン22に第2のライン44の上流側端部および下流側端部がそれぞれ接続されている。第2のライン44から複数の第3のライン(過酸化水素水供給ライン42、アンモニア水供給ライン48、塩酸供給ライン52およびフッ酸供給ライン56)が分岐している。これらの第3のラインには、第2のライン44からの分岐箇所にそれぞれバルブ42a、48a、52a、56aが介設されている。各第3のラインにはそれぞれ薬液供給源(過酸化水素水供給源41、アンモニア水供給源46、塩酸供給源50およびフッ酸供給源54)が接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の薬液処理やリンス処理を行う基板処理装置、この基板処理装置による基板処理方法、基板処理装置の制御コンピュータにより実行することが可能なプログラムおよび当該プログラムが記憶された記憶媒体に関し、とりわけ、各薬液供給源に設けられるバルブの設置スペースを小さくすることができる基板処理装置、基板処理方法、プログラムおよび記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、基板の薬液処理やリンス処理を行う基板処理装置が知られている。基板処理装置の一例としては、例えば特許文献1等に開示されるものが知られている。
【0003】
特許文献1等に開示されるような従来の基板処理装置の構成について図2を用いて説明する。図2に示すように、従来の基板処理装置80において、ウエハWを収容し、この収容されたウエハWの薬液処理やリンス処理を行う処理槽81が設けられている。処理槽81の内部壁面には例えば4本の供給ノズル81aが配置されている。それぞれの供給ノズル81aは円筒形状の供給管からなり、その円筒表面には純水や薬液等の処理液を吐出するための複数の吐出孔が設けられている。それぞれの供給ノズル81aに形成された複数の吐出孔から処理槽81に純水や薬液等の処理液を吐出することによって、処理槽81内に処理液が貯留し、処理槽81に貯留された処理液にウエハWを浸漬させることにより、ウエハWの表面処理が行われるようになっている。
【0004】
また、処理槽81の上端部外壁面には回収部81bが設けられており、この回収部81bは、処理槽81の上端から溢れ出た処理液を回収するようになっている。回収部81bにより回収された処理液は、循環ポンプ82により再び各供給ノズル81aに送られるようになっている。このようにして、処理槽81内の処理液は循環ポンプ82により循環されるようになっている。
【0005】
一方、処理槽81に対して新たな処理液を供給する新液供給ライン80aには、複数の液供給源とバルブとが設けられている。具体的には、図2に示すように、バルブ83およびバルブ84を開けることにより、純水供給源85から新たな純水を処理槽81に供給することができるようになっている。純水の供給量はレギュレータ85aにより調整される。また、バルブ83およびバルブ86を開けることにより、洗浄液供給源87からオゾン水、水素水等の洗浄液を処理槽81に供給することができるようになっている。流量計83aは、そこを通過する純水または洗浄水の流量を計測するようになっている。
【0006】
また、バルブ91aを開けることによって塩酸(HCl)供給源91から塩酸を、バルブ92aを開けることによってアンモニア水(NHOH)供給源92からアンモニア水を、バルブ93aを開けることによってフッ酸(HF)供給源93からフッ酸を、バルブ94aを開けることによって過酸化水素水(H)供給源94から過酸化水素水をそれぞれ処理槽81に供給することができるようになっている。塩酸、アンモニア水、フッ酸、過酸化水素水の各々は、流量調整弁91b、92b、93b、94bによってその供給量を調整することができる。また、バルブ91a、92a、93a、94aは一体型のミキシングバルブとして構成されている。このような一体型のミキシングバルブの構成は例えば特許文献2等に開示されている。一体型のミキシングバルブの構成について図3を用いて以下説明する。
【0007】
図3に示すような一体型のミキシングバルブ110は、主流路113に対して複数(図3では2つ)の副流路114(第1副流路114A、第2副流路114B)が、その連通開口部118A、118Bを開閉する開閉弁部120A、120Bを介して接続されている。そして、主流路113および各副流路114A、114Bの各々には、圧力センサ131、132、133が配置されている。図3における参照符号111は本体ブロックを示し、参照符号112は弁ブロックを示している。
【0008】
主流路113は、第1流体(例えば、純水)f1が流通する流路であり、図3に示すように略直方体に形成された本体ブロック111の長手方向に略水平に貫通して設けられている。主流路113の両端は、接続開口部113a(上流側)、113b(下流側)として図示しない接続部材を介して外部配管または流体機器に接続されている。主流路113には、両副流路114A、114Bの連通開口部118A、118Bよりも下流(113b)側に、当該主流路113を流通する混合流体mの圧力を検知する圧力センサ131が配置される。
【0009】
副流路114(第1副流路114A、第2副流路114B)は、他の流体(ここでは各種薬液)である第2流体f2、第3流体f3が流通する流路であり、主流路113の下側にそれぞれ形成されている。そして、第1副流路114Aおよび第2副流路114Bは、それぞれ、第2流体f2、第3流体f3を、連通開口部118A、118Bを経て、主流路113に対して上向きに供給するようになっている。各副流路114A、114B内には、流路径が一旦狭くなる絞り部117A、117Bが形成されている。この絞り部117A、117Bは、各副流路114A、114Bを流通する各流体f2、f3の圧力損失部を形成する。図3の参照符号115A、115Bは、各副流路114A、114Bの外部配管等との接続開口部である。
【0010】
第1副流路114Aには、当該第1副流路114A内を流通する第2流体f2の圧力を検知する圧力センサ132が、第2副流路114Bには、当該第2副流路114B内を流通する第3流体f3の圧力を検知する圧力センサ133がそれぞれ配置されている。
【0011】
開閉弁部120A、120Bは、主流路113の連通開口部118A、118Bの上部に配置されており、図示しない制御装置によるエア等の作動によってその弁体124が主流路113を横切って進退し、対応する連通開口部118A、118Bを主流路113の内側から開閉し、各副流路114A、114Bから流入する流体f2、f3を主流路113内へ供給しまたは供給を停止するようになっている。図3における参照符号121はシリンダ、参照符号122はピストン、参照符号126は、連通開口部118A、118Bに形成された弁座、参照符号127はダイアフラム、参照符号128は弁体124を常時前方向に付勢するスプリングである。
【0012】
図3に示すような一体型のミキシングバルブ110において、主流路113の上流(113a)側から流入される第1流体f1は、各副流路114A、114Bからそれぞれ供給される各流体f2、f3と混合されて、混合流体mとして主流路113の下流(113b)側から流出される。
【0013】
図2に示すような基板処理装置80においては、新液供給ライン80aは、複数種類の新たな処理液を処理槽81に供給することが可能である。例えば、バルブ92a、バルブ94a、バルブ84およびバルブ83を開き、純水にアンモニア水と過酸化水素水とを混合して処理槽81に供給することができる。また、バルブ91a、バルブ94a、バルブ84およびバルブ83を開くことにより、純水に塩酸と過酸化水素水とを混合して処理槽81に供給することができる。なお、アンモニア水と過酸化水素水の混合液や、塩酸と過酸化水素水の混合液を処理槽81に供給するときには、加熱ヒータ85bによって純水を加熱・昇温した状態で薬液を混合する場合が多い。
【0014】
また、新液供給ライン80aは、オゾン水や水素水等の機能水を処理槽81に供給することもできる。洗浄液供給源87は、純水中にオゾン等を溶解して所定濃度のオゾン水等を生成する機能を有しており、バルブ86を開くことによってその生成されたオゾン水等を処理槽81に供給することができる。オゾン水等の流量は流量計83aによって計測され、バルブ86の開閉によって調整される。
【0015】
【特許文献1】特開2002−100605号公報
【特許文献2】特開2005−207496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、図2に示すような従来の基板処理装置80の新液供給ライン80aにおいては、各薬液供給源(塩酸供給源91、アンモニア水供給源92、フッ酸供給源93および過酸化水素水供給源94)から各種の薬液が供給される各々の薬液供給ラインは、処理槽81に純水やオゾン水、水素水等の洗浄液を供給するメインライン88にそれぞれ直接的に接続されている。そして、前述のように、メインライン88から各薬液供給ラインへの分岐箇所に設けられたバルブ91a、92a、93a、94aは一体型のミキシングバルブとして構成されている。
【0017】
一体型のミキシングバルブにおいて、メインライン88に対して4つの副流路91c、92c、93c、94cがバルブ91a、92a、93a、94aを介して接続されている。そして、バルブ91a、92a、93a、94aは、メインライン88に対する4つの副流路91c、92c、93c、94cを開閉するようになっている。
【0018】
ここで、処理槽81に純水やオゾン水、水素水等の洗浄液を供給するメインライン88の径は大きくなっている。このため、一体型のミキシングバルブを構成する各バルブ91a、92a、93a、94aの径もそれぞれ大きくなってしまう。
【0019】
このことにより、図2に示すような従来の基板処理装置80では、各薬液供給源(塩酸供給源91、アンモニア水供給源92、フッ酸供給源93および過酸化水素水供給源94)に対応して設けられるバルブ91a、92a、93a、94aが大型化してしまうため、これらのバルブ91a、92a、93a、94aの設置スペースが大きくなってしまうという問題がある。
【0020】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、各薬液供給源に設けられるバルブの設置スペースを小さくすることができる基板処理装置、基板処理方法、プログラムおよび記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の基板処理装置は、基板の処理を行う処理部と、前記処理部と水供給源とにそれぞれ接続され、前記水供給源から送られた水を前記処理部に供給する第1のラインと、前記第1のラインに上流側端部および下流側端部の各々が接続された第2のラインと、前記第2のラインから分岐した複数の第3のラインであって、前記第2のラインからの分岐箇所にそれぞれバルブが介設された複数の第3のラインと、前記各第3のラインにそれぞれ接続された複数の薬液供給源であって、当該各薬液供給源は前記各第3のラインにそれぞれ薬液を供給するような複数の薬液供給源と、を備えたことを特徴とする。
【0022】
このような基板処理装置によれば、基板の処理を行う処理部に接続された第1のラインに第2のラインの上流側端部および下流側端部がそれぞれ接続されており、この第2のラインから複数の第3のラインが分岐しており、これらの第3のラインには、第2のラインからの分岐箇所においてそれぞれバルブが介設されており、各第3のラインにはそれぞれ薬液供給源が接続されており、これらの薬液供給源から各第3のラインに薬液が供給されるようになっている。このように、第2のラインの上流側端部および下流側端部が第1のラインにそれぞれ接続されており、この第2のラインが第1のラインのいわゆるバイパス経路の機能を果たすので、第2のラインの径を第1のラインの径よりも小さくすることができ、また、第3のラインに介設される各バルブの径を第2のラインの径と略同一またはそれ以下の大きさとすることができる。このことにより、第3のラインに介設される各バルブの径を第1のラインの径よりも小さくすることができ、薬液供給ラインに介設されるバルブの設置スペースを小さくすることができる。
【0023】
本発明の基板処理装置においては、前記各薬液供給源は、過酸化水素水(H)供給源、フッ酸(HF)供給源、塩酸(HCl)供給源、またはアンモニア水(NHOH)供給源であることが好ましい。
【0024】
本発明の基板処理方法は、基板の処理を行う処理部と、前記処理部と水供給源とにそれぞれ接続され、前記水供給源から送られた水を前記処理部に供給する第1のラインと、前記第1のラインに上流側端部および下流側端部の各々が接続された第2のラインと、前記第2のラインから分岐した複数の第3のラインであって、前記第2のラインからの分岐箇所にそれぞれバルブが介設された複数の第3のラインと、前記各第3のラインにそれぞれ接続された複数の薬液供給源であって、当該各薬液供給源は前記各第3のラインにそれぞれ薬液を供給するような複数の薬液供給源と、を備えた基板処理装置における基板処理方法であって、前記各薬液供給源により前記各第3のライン、前記第2のラインおよび前記第1のラインを介して前記処理部に薬液を供給し、前記処理部において基板の薬液処理を行う工程と、基板の薬液処理を行った後、前記水供給源により前記第1のラインおよび前記第2のラインを介して前記処理部に水を供給し、前記処理部において基板のリンス処理を行う工程と、を備えたことを特徴とする。
【0025】
本発明のプログラムは、基板の処理を行う処理部と、前記処理部と水供給源とにそれぞれ接続され、前記水供給源から送られた水を前記処理部に供給する第1のラインと、前記第1のラインに上流側端部および下流側端部の各々が接続された第2のラインと、前記第2のラインから分岐した複数の第3のラインであって、前記第2のラインからの分岐箇所にそれぞれバルブが介設された複数の第3のラインと、前記各第3のラインにそれぞれ接続された複数の薬液供給源であって、当該各薬液供給源は前記各第3のラインにそれぞれ薬液を供給するような複数の薬液供給源と、を備えた基板処理装置の制御コンピュータにより実行することが可能なプログラムであって、当該プログラムを実行することにより、前記制御コンピュータが前記基板処理装置を制御して基板処理方法を実行させるものにおいて、前記基板処理方法が、前記各薬液供給源により前記各第3のライン、前記第2のラインおよび前記第1のラインを介して前記処理部に薬液を供給し、前記処理部において基板の薬液処理を行う工程と、基板の薬液処理を行った後、前記水供給源により前記第1のラインを介して前記処理部に水を供給し、前記処理部において基板のリンス処理を行う工程と、を備えたものであることを特徴とする。
【0026】
本発明の記憶媒体は、基板の処理を行う処理部と、前記処理部と水供給源とにそれぞれ接続され、前記水供給源から送られた水を前記処理部に供給する第1のラインと、前記第1のラインに上流側端部および下流側端部の各々が接続された第2のラインと、前記第2のラインから分岐した複数の第3のラインであって、前記第2のラインからの分岐箇所にそれぞれバルブが介設された複数の第3のラインと、前記各第3のラインにそれぞれ接続された複数の薬液供給源であって、当該各薬液供給源は前記各第3のラインにそれぞれ薬液を供給するような複数の薬液供給源と、を備えた基板処理装置の制御コンピュータにより実行することが可能なプログラムが記憶された記憶媒体であって、当該プログラムを実行することにより、前記制御コンピュータが前記基板処理装置を制御して基板処理方法を実行させるものにおいて、前記基板処理方法が、前記各薬液供給源により前記各第3のライン、前記第2のラインおよび前記第1のラインを介して前記処理部に薬液を供給し、前記処理部において基板の薬液処理を行う工程と、基板の薬液処理を行った後、前記水供給源により前記第1のラインを介して前記処理部に水を供給し、前記処理部において基板のリンス処理を行う工程と、を備えたものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明の基板処理装置、基板処理方法、プログラムおよび記憶媒体によれば、各薬液供給源に設けられるバルブの設置スペースを小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の一の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態に係る基板処理装置を示す図である。より具体的には、図1は、本実施の形態における基板処理装置の構成の概略を示す構成図である。
【0029】
図1に示すように、本実施の形態に係る基板処理装置1は、ウエハWを収容し、この収容されたウエハWの薬液処理やリンス処理を行う処理槽10を備えている。この処理槽10の内部壁面には例えば4本の供給ノズル12、18が配置されている。それぞれの供給ノズル12、18は円筒形状の供給管からなり、その円筒表面には純水や薬液等の処理液を吐出するための複数の吐出孔が設けられている。それぞれの供給ノズル12、18に形成された複数の吐出孔から処理槽10に純水や薬液等の処理液を吐出することによって、処理槽10内に処理液が貯留し、処理槽10に貯留された処理液にウエハWを浸漬させることにより、ウエハWの表面処理が行われるようになっている。
【0030】
処理槽10の内部壁面に配置された4本の供給ノズル12、18のうち、処理槽10の上部にある左右一対の供給ノズル12はそれぞれ供給管14に接続されている。そして、この供給管14から各供給ノズル12に処理液が供給されるようになっている。図1に示すように、供給管14にはバルブ14aが介設されている。同様に、処理槽10の内部壁面に配置された4本の供給ノズル12、18のうち、処理槽10の下部にある左右一対の供給ノズル18はそれぞれ供給管20に接続されている。そして、この供給管20から各供給ノズル18に処理液が供給されるようになっている。図1に示すように、供給管20にはバルブ20aが介設されている。そして、供給管14および供給管20は合流し、この合流箇所には第1のライン22が接続されている。すなわち、第1のライン22から各供給管14、20にそれぞれ処理液が供給されるようになっている。この第1のライン22の配管の径は例えば約1.5インチとなっている。
【0031】
第1のライン22の上流側端部には、純水(DIW)供給源30、オゾン水(OW)供給源32、および熱水(HDIW、より厳密には加熱された純水)供給源34がそれぞれ設けられている。より具体的には、純水供給源30には純水供給ライン36が接続されており、この純水供給源30から純水供給ライン36に純水が供給されるようになっている。この純水供給ライン36の径は例えば約1.5インチとなっている。図1に示すように、この純水供給ライン36は2本の配管に分岐するようになっている。分岐した2本の配管にはそれぞれバルブ36aが設けられている。ここで、分岐した2本の配管の径はそれぞれ例えば約1インチとなっており、バルブ36aの径も例えば約1インチとなっている。
【0032】
オゾン水供給源32にはオゾン水供給ライン38が接続されており、このオゾン水供給源32からオゾン水供給ライン38にオゾン水が供給されるようになっている。このオゾン水供給ライン38にはバルブ38aが設けられている。オゾン水供給ライン38の径は例えば約1インチとなっており、バルブ38aの径も例えば約1インチとなっている。また、熱水(HDIW)供給源34には熱水供給ライン40が接続されており、この熱水供給源34から熱水供給ライン40に加熱された純水が供給されるようになっている。この熱水供給ライン40にはバルブ40aが設けられている。熱水供給ライン40の径は例えば約1インチとなっており、バルブ40aの径も例えば約1インチとなっている。
【0033】
純水供給ライン36から分岐した2本の配管、オゾン水供給ライン38および熱水供給ライン40は一箇所で合流し、この合流箇所には第1のライン22の上流側端部が接続されている。すなわち、純水供給源30、オゾン水供給源32および熱水供給源34から、それぞれ純水、オゾン水および熱水が第1のライン22に供給されるようになっている。
【0034】
図1に示すように、第1のライン22にはバルブ22aが介設されている。ここで、第1のライン22の径は例えば約1.5インチとなっており、バルブ22aの径も例えば約1.5インチとなっている。
【0035】
図1に示すように、第2のライン44の上流側端部および下流側端部がそれぞれ第1のライン22に接続されている。ここで、第2のライン44は、第1のライン22のいわゆるバイパス経路の機能を果たすようになっている。
【0036】
第2のライン44の径は第1のライン22の径よりも小さく、具体的には例えば3/8インチまたは0.5インチとなっている。そして、第2のライン44からは、過酸化水素水(H)供給ライン42、アンモニア水(NHOH)供給ライン48、塩酸(HCl)供給ライン52およびフッ酸(HF)供給ライン56がそれぞれ分岐している。過酸化水素水供給ライン42には過酸化水素水供給源41が接続されており、この過酸化水素水供給源41から過酸化水素水供給ライン42に過酸化水素水が供給されるようになっている。また、アンモニア水供給ライン48にはアンモニア水供給源46が接続されており、このアンモニア水供給源46からアンモニア水供給ライン48にアンモニア水が供給されるようになっている。また、塩酸供給ライン52には塩酸供給源50が接続されており、この塩酸供給源50から塩酸供給ライン52に塩酸が供給されるようになっている。また、フッ酸供給ライン56にはフッ酸供給源54が接続されており、このフッ酸供給源54からフッ酸供給ライン56にフッ酸が供給されるようになっている。これらの過酸化水素水供給ライン42、アンモニア水供給ライン48、塩酸供給ライン52およびフッ酸供給ライン56はそれぞれ第3のラインを構成している。
【0037】
過酸化水素水供給ライン42、アンモニア水供給ライン48、塩酸供給ライン52およびフッ酸供給ライン56における第2のライン44との接続箇所にはそれぞれバルブ42a、48a、52a、56aが介設されている。ここで、バルブ42a、48a、52a、56aは図3に示すような一体型のミキシングバルブとして構成されており、これらのバルブ42a、48a、52a、56aの径は第2のライン44の径と同じく例えば約3/8インチまたは0.5インチとなっている。なお、これらのバルブ42a、48a、52a、56aの一部または全部が一体のミキシングバルブを構成しておらず、このような一体のミキシングバルブを構成していないバルブの径が第2のライン44の径よりも小さくなっていてもよい。
【0038】
また、基板処理装置1には、当該基板処理装置1における様々な構成要素を制御する、制御コンピュータからなる制御部70が設けられている。この制御部70は基板処理装置1の各構成要素に接続され、当該制御部70により、処理槽10におけるウエハWの薬液処理やリンス処理が制御されるようになっている。より具体的には、制御部70は、各供給源30、32、34、41、46、50、54からの純水や薬液等の供給を制御したり、各バルブ14a、20a、22a、36a、38a、40a、42a、48a、52a、56aの開閉を制御したりするようになっている。このような、制御部70による基板処理装置1の各構成要素の制御内容については後述する。本実施の形態において、制御部70には、工程管理者が基板処理装置1を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや、基板処理装置1の稼動状況を可視化して表示するディスプレイ等からなるデータ入出力部71が接続されている。また、制御部70には、基板処理装置1で実行される各種処理を制御部70による制御にて実現するための制御プログラムや、処理条件に応じて基板処理装置1の各構成要素に処理を実行させるためのプログラム(すなわち、レシピ)が記憶された記憶媒体72が接続されている。記憶媒体72は、ROMやRAMなどのメモリー、ハードディスク、CD−ROM、DVD−ROMなどのディスク状記憶媒体、その他の公知な記憶媒体から構成され得る。
【0039】
そして、必要に応じて、データ入出力部71からの指示等にて任意のレシピを記憶媒体72から呼び出して制御部70に実行させることで、制御部70の制御下で、基板処理装置1での所望の処理が行われる。
【0040】
次に、上述のような基板処理装置1を用いたウエハWの処理方法について説明する。なお、以下に示すような一連の薬液処理およびリンス処理は、記憶媒体72に記憶されたプログラム(レシピ)に従って、制御部70が基板処理装置1の各構成要素を制御することにより行われる。
【0041】
まず、処理槽10でウエハWに対して薬液処理やリンス処理を行う前の待機状態について説明する。このような待機状態においては、バルブ36a、22a、20aが制御部70により開かれ、純水供給源30から純水供給ライン36に純水が供給されることにより、第1のライン22、第2のライン44、供給管20を介して供給ノズル18により純水が処理槽10内に供給されることとなる。
【0042】
次に、処理槽10でウエハWに対して薬液処理が行われる。このような薬液処理は様々な態様があるが、薬液処理の第1の態様においては、バルブ36a、22a、56a、20a、14aが制御部70により開かれ、純水供給源30から純水供給ライン36に純水が供給されるとともに、フッ酸供給源54からフッ酸供給ライン56にフッ酸が供給される。そして、フッ酸供給源54から供給されたフッ酸は第2のライン44において純水により希釈され、純水により希釈されたフッ酸は供給管14、20を介して供給ノズル12、18により処理槽10内に供給されることとなる。このことにより、処理槽10に収容されたウエハWの表面に、純水により希釈されたフッ酸が供給され、このウエハWの表面の薬液処理が行われる。
【0043】
次に、薬液処理の第2の態様について説明する。薬液処理の第2の態様においては、バルブ40a、22a、42a、48a、20aが制御部70により開かれ、熱水供給源34から熱水供給ライン40に熱水が供給され、過酸化水素水供給源41から過酸化水素水供給ライン42に過酸化水素水が供給されるとともに、アンモニア水供給源46からアンモニア水供給ライン48にアンモニア水が供給される。そして、過酸化水素水供給源41から供給された過酸化水素水は第2のライン44において熱水により希釈され、熱水により希釈された過酸化水素水は第2のライン44においてアンモニア水と混合する。そして、過酸化水素水およびアンモニア水の混合液は供給管20を介して供給ノズル18により処理槽10内に供給されることとなる。このことにより、処理槽10に収容されたウエハWの表面に、過酸化水素水およびアンモニア水の混合液が供給され、このウエハWの表面の薬液処理が行われる。
【0044】
次に、薬液処理の第3の態様について説明する。薬液処理の第3の態様においては、バルブ36a、38a、22a、56a、14a、20aが制御部70により開かれ、純水供給源30から純水供給ライン36に純水が供給されるとともにオゾン水供給源32からオゾン水供給ライン38にオゾン水が供給され、また、フッ酸供給源54からフッ酸供給ライン56にフッ酸が供給される。そして、オゾン水供給源32から供給されたオゾン水は第1のライン22において純水により希釈され、純水により希釈されたオゾン水は第2のライン44においてフッ酸と混合する。そして、オゾン水およびフッ酸の混合液は供給管14、20を介して供給ノズル12、18により処理槽10内に供給されることとなる。このことにより、処理槽10に収容されたウエハWの表面に、オゾン水およびフッ酸の混合液が供給され、このウエハWの表面の薬液処理が行われる。
【0045】
次に、上述のようなウエハWの薬液処理が行われた後のウエハWのリンス処理について説明する。ウエハWのリンス処理は様々な態様があるが、リンス処理の第1の態様においては、バルブ36a、22a、14a、20aが制御部70により開かれ、純水供給源30から純水供給ライン36に純水が供給される。純水供給源30から供給された純水により第1のライン22および第2のライン44の洗浄が行われる。そして、この純水は最終的に供給管14、20を介して供給ノズル12、18により処理槽10内に供給されることとなる。このことにより、処理槽10に収容されたウエハWの表面に純水が供給され、このウエハWの表面のリンス処理が行われる。
【0046】
次に、リンス処理の第2の態様について説明する。リンス処理の第2の態様においては、バルブ40a、22a、20aが制御部70により開かれ、熱水供給源34から熱水供給ライン40に加熱された純水が供給される。熱水供給源34から供給された熱水により第1のライン22および第2のライン44の洗浄が行われる。そして、この加熱された純水は最終的に供給管20を介して供給ノズル18により処理槽10内に供給されることとなる。このことにより、処理槽10に収容されたウエハWの表面に純水が供給され、このウエハWの表面のリンス処理が行われる。
【0047】
以上のように本実施の形態の基板処理装置1および基板処理方法によれば、ウエハWの処理を行う処理槽10に接続された第1のライン22に第2のライン44の上流側端部および下流側端部がそれぞれ接続されており、この第2のライン44から複数の第3のライン(過酸化水素水供給ライン42、アンモニア水供給ライン48、塩酸供給ライン52およびフッ酸供給ライン56)が分岐しており、これらの第3のラインには、第2のライン44からの分岐箇所においてそれぞれバルブ42a、48a、52a、56aが介設されており、各第3のラインにはそれぞれ薬液供給源(過酸化水素水供給源41、アンモニア水供給源46、塩酸供給源50およびフッ酸供給源54)が接続されており、これらの薬液供給源から各第3のラインに薬液が供給されるようになっている。このように、第2のライン44の上流側端部および下流側端部が第1のライン22にそれぞれ接続されており、この第2のライン44が第1のライン22のいわゆるバイパス経路の機能を果たすので、第2のライン44の径を第1のライン22の径よりも小さくすることができ、また、第3のラインに介設される各バルブ48a、52a、56aの径を第2のライン44の径と略同一またはそれ以下の大きさとすることができる。このことにより、第3のラインに介設される各バルブ42a、48a、52a、56aの径を第1のライン22の径よりも小さくすることができ、薬液供給ライン(第3のライン)に介設されるバルブの設置スペースを小さくすることができる。
【0048】
なお、本発明による基板処理装置1および基板処理方法は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。例えば、図1に示すような基板処理装置1において、オゾン水供給源32や熱水供給源34の設置を省略することができる。また、第2のライン44に接続される薬液供給ラインとしては、過酸化水素水供給ライン42、アンモニア水供給ライン48、塩酸供給ライン52およびフッ酸供給ライン56に限定されることはなく、他の種類の薬液を供給する薬液供給源が接続された薬液供給ラインであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一の実施の形態における基板処理装置の構成の概略を示す構成図である。
【図2】従来の基板処理装置の構成の概略を示す構成図である。
【図3】一体型のミキシングバルブの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1 基板処理装置
10 処理槽
12 供給ノズル
14 供給管
14a バルブ
18 供給ノズル
20 供給管
20a バルブ
22 第1のライン
22a バルブ
30 純水供給源
32 オゾン水供給源
34 熱水供給源
36 純水供給ライン
36a バルブ
38 オゾン水供給ライン
38a バルブ
40 熱水供給ライン
40a バルブ
41 過酸化水素水供給源
42 過酸化水素水供給ライン
42a バルブ
44 第2のライン
46 アンモニア水供給源
48 アンモニア水供給ライン
48a バルブ
50 塩酸供給源
52 塩酸供給ライン
52a バルブ
54 フッ酸供給源
56 フッ酸供給ライン
56a バルブ
70 制御部
71 データ入出力部
72 記憶媒体
80 基板処理装置
80a 新液供給ライン
81 処理槽
81a 供給ノズル
81b 回収部
82 循環ポンプ
83 バルブ
83a 流量計
84 バルブ
85 純水供給源
85a レギュレータ
85b 加熱ヒータ
86 バルブ
87 洗浄液供給源
88 メインライン
91 塩酸供給源
91a バルブ
91b 流量調整弁
91c 副流路
92 アンモニア水供給源
92a バルブ
92b 流量調整弁
92c 副流路
93 フッ酸供給源
93a バルブ
93b 流量調整弁
93c 副流路
94 過酸化水素水供給源
94a バルブ
94b 流量調整弁
94c 副流路
110 一体型のミキシングバルブ
W ウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の処理を行う処理部と、
前記処理部と水供給源とにそれぞれ接続され、前記水供給源から送られた水を前記処理部に供給する第1のラインと、
前記第1のラインに上流側端部および下流側端部の各々が接続された第2のラインと、
前記第2のラインから分岐した複数の第3のラインであって、前記第2のラインからの分岐箇所にそれぞれバルブが介設された複数の第3のラインと、
前記各第3のラインにそれぞれ接続された複数の薬液供給源であって、当該各薬液供給源は前記各第3のラインにそれぞれ薬液を供給するような複数の薬液供給源と、
を備えたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記各薬液供給源は、過酸化水素水(H)供給源、フッ酸(HF)供給源、塩酸(HCl)供給源、またはアンモニア水(NHOH)供給源であることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
基板の処理を行う処理部と、前記処理部と水供給源とにそれぞれ接続され、前記水供給源から送られた水を前記処理部に供給する第1のラインと、前記第1のラインに上流側端部および下流側端部の各々が接続された第2のラインと、前記第2のラインから分岐した複数の第3のラインであって、前記第2のラインからの分岐箇所にそれぞれバルブが介設された複数の第3のラインと、前記各第3のラインにそれぞれ接続された複数の薬液供給源であって、当該各薬液供給源は前記各第3のラインにそれぞれ薬液を供給するような複数の薬液供給源と、を備えた基板処理装置における基板処理方法であって、
前記各薬液供給源により前記各第3のライン、前記第2のラインおよび前記第1のラインを介して前記処理部に薬液を供給し、前記処理部において基板の薬液処理を行う工程と、
基板の薬液処理を行った後、前記水供給源により前記第1のラインおよび前記第2のラインを介して前記処理部に水を供給し、前記処理部において基板のリンス処理を行う工程と、
を備えたことを特徴とする基板処理方法。
【請求項4】
基板の処理を行う処理部と、前記処理部と水供給源とにそれぞれ接続され、前記水供給源から送られた水を前記処理部に供給する第1のラインと、前記第1のラインに上流側端部および下流側端部の各々が接続された第2のラインと、前記第2のラインから分岐した複数の第3のラインであって、前記第2のラインからの分岐箇所にそれぞれバルブが介設された複数の第3のラインと、前記各第3のラインにそれぞれ接続された複数の薬液供給源であって、当該各薬液供給源は前記各第3のラインにそれぞれ薬液を供給するような複数の薬液供給源と、を備えた基板処理装置の制御コンピュータにより実行することが可能なプログラムであって、当該プログラムを実行することにより、前記制御コンピュータが前記基板処理装置を制御して基板処理方法を実行させるものにおいて、
前記基板処理方法が、
前記各薬液供給源により前記各第3のライン、前記第2のラインおよび前記第1のラインを介して前記処理部に薬液を供給し、前記処理部において基板の薬液処理を行う工程と、
基板の薬液処理を行った後、前記水供給源により前記第1のラインを介して前記処理部に水を供給し、前記処理部において基板のリンス処理を行う工程と、
を備えたものであることを特徴とするプログラム。
【請求項5】
基板の処理を行う処理部と、前記処理部と水供給源とにそれぞれ接続され、前記水供給源から送られた水を前記処理部に供給する第1のラインと、前記第1のラインに上流側端部および下流側端部の各々が接続された第2のラインと、前記第2のラインから分岐した複数の第3のラインであって、前記第2のラインからの分岐箇所にそれぞれバルブが介設された複数の第3のラインと、前記各第3のラインにそれぞれ接続された複数の薬液供給源であって、当該各薬液供給源は前記各第3のラインにそれぞれ薬液を供給するような複数の薬液供給源と、を備えた基板処理装置の制御コンピュータにより実行することが可能なプログラムが記憶された記憶媒体であって、当該プログラムを実行することにより、前記制御コンピュータが前記基板処理装置を制御して基板処理方法を実行させるものにおいて、
前記基板処理方法が、
前記各薬液供給源により前記各第3のライン、前記第2のラインおよび前記第1のラインを介して前記処理部に薬液を供給し、前記処理部において基板の薬液処理を行う工程と、
基板の薬液処理を行った後、前記水供給源により前記第1のラインを介して前記処理部に水を供給し、前記処理部において基板のリンス処理を行う工程と、
を備えたものであることを特徴とする記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−50393(P2010−50393A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−215435(P2008−215435)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】