説明

基板処理装置

【課題】加熱板の熱膨張歪みを抑え、温度均一性のよい基板処理装置を提供する。
【解決手段】被加熱基板4を載置する上面(第一の面)と、この上面(第一の面)の裏面であって加熱手段2aを装着する下面(第二の面)を有する加熱板1と、その加熱板1の下面(第二の面)に接する上面(第三の面)と、この上面(第三の面)の裏面であって押さえ板3aに接する下面(第四の面)を有する加熱手段2aと、加熱手段2a下面(第四の面)に接する上面(第五の面)を有する押さえ板3aとを有する構造で、前記加熱板1および加熱手段2aはそれぞれ一体型で、かつ押さえ板3aは、複数の板に分割されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、半導体基板等に対して所要の処理を施す基板処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5に従って従来技術を説明する。
半導体工程で使用されるホットプレートを例にすると、ウェハなどの被加熱基板10を所定温度に加熱された加熱板7の上面(第一の面)に載置することで加熱処理が行われる。加熱板7は略円板状の物が用いられ、加熱板7の下面(第二の面)に抵抗加熱方式のヒーターに代表される加熱手段8を装着する押さえ板9が取り付けられ、加熱手段8には電力を供給するための制御器12が接続されている。制御器12へは、押さえ板9、加熱手段8を貫通して、加熱板7内部に埋め込んだ温度センサー11がつながっており、温度センサー11の温度をモニターし、加熱板7の温度を所定の温度に維持するよう制御器12が制御を行う。これら一式で半導体などのホットプレートを構成し、ホットプレート上面にウェハを載置して加熱などの処理を行うのが一般的である。ここでは、加熱板、加熱手段、押さえ板を別々に構成しているものを示しているが、加熱板内に加熱手段を埋め込んで一体型とし押さえ板を使用しない場合もある。
【0003】
ホットプレート上に、フォトレジストを塗布されたウェハなどの被加熱基板10を載置、加熱する場合、加熱板7上面(第一の面)の温度均一性が十分に取れていないと、ウェハ面内でフォトレジストの処理ムラが発生し、後工程に影響を与え、歩留まり低下などの原因となるので、加熱板7の上面(第一の面)の温度を均一にすることが要求される。
【0004】
【特許文献1】特開平11−67619号公開特許公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、温度が上がれば、加熱板7や押さえ板9が熱膨張を起こす。加熱板7と押さえ板9が同一材質、同一構造であれば、同じように膨張することで大きな影響はないが、通常はホットプレートの構成上、加熱板と押さえ板は同一材質であっても厚さや構造が異なる。あるいは材質が異なる場合もあるため、熱膨張が異なって両者に歪みが発生し加熱板7、押さえ板9自体が変形する。
たとえば、加熱板がアルミ合金で、押さえ板がステンレス(SUS304)であった場合、線膨張率がアルミは24×10-6/K、ステンレス(SUS304)は17×10-6/Kと異なるため、加熱板、押さえ板両者の熱膨張が異なり、しかも、押さえ板が加熱板に固定されているために加熱板は伸びようとするが押さえ板によって無理に押さえつけられることによって、加熱板、押さえ板ともに変形を起こしやすくなる。
【0006】
加熱板7や押さえ板9が変形すると、加熱板7の上面(第一の面)が歪む、あるいは押さえ板9が歪む。その場合、加熱手段8の押さえ方が場所によって異なり、加熱板7への熱の伝わり方が不均一となり、加熱板7上の温度の不均一が発生する。加熱板7の上面が歪むあるいは温度が不均一になると、それに接するウェハ面内の温度も不均一になり、ウェハが変形したり、面内でのレジストの加熱ムラが発生したりする。図6に、このような場合のウェハ面内温度等高線図の一例を示す。1目盛りが0.1℃を示し、この例では中央部と外周部で0.5℃以上の温度ムラがある。
【0007】
たとえば、特開平11−67619(特許文献1)のように、加熱手段を複数に分割しそれぞれの加熱手段を独立に温度制御を行うなどで加熱板の温度均一性を図る場合もあるが、加熱板と押さえ板が一体型なので、前記と同じく熱膨張の問題が発生する。
本発明は、上記のような熱膨張を緩和して加熱板、押さえ板の変形を防止し、良好な温度均一性を得られる基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、被加熱基板を載置する上面(第一の面)と、この上面(第一の面)の裏面であって加熱手段を装着する下面(第二の面)を有する加熱板と、その加熱板の下面(第二の面)に接する上面(第三の面)と、この上面(第三の面)の裏面であって押さえ板に接する下面(第四の面)を有する加熱手段と、加熱手段下面(第四の面)に接する上面(第五の面)を有する押さえ板で構成される基板処理装置であり、前記加熱板および加熱手段はそれぞれ分割されておらず一体型であり、かつ、押さえ板は複数の板に分割されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、被加熱基板を載置する上面(第一の面)と、この上面(第一の面)の裏面であって加熱手段を装着する下面(第二の面)を有する加熱板と、その加熱板の下面(第二の面)に接する上面(第三の面)と、この上面(第三の面)の裏面であって押さえ板に接する下面(第四の面)を有する加熱手段と、加熱手段下面(第四の面)に接する上面(第五の面)を有する押さえ板で構成される基板処理装置であり、前記加熱板は一体型であり、かつ加熱手段および押さえ板がそれぞれ複数に分割されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の押さえ板は、中央部の第一部分と、当該第一部分の外側の第二部分とに分割されており、前記第二部分は複数の板に分割されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1または2にかかる基板処理装置によれば、押さえ板を分割したことで、加熱板の熱膨張を、押さえ板が無理に抑えることがなくなり、両者ともに無理な力が加わらず、変形も起こりにくい。これにより、加熱板、押さえ板の熱膨張による変形が抑えられ、ヒーターなどの加熱手段が常に加熱板に均一に密着するので、加熱板上面の温度均一性が維持改善される。その上に加熱手段分割型にくらべ複数の制御器を必ずしも必要としないので、コストが安く、制御もシンプルとなる。基板処理装置の構造も簡単なのでメンテナンスもやりやすい。
【0012】
請求項3にかかる基板処理装置によれば、押さえ板を中央部と外周部、特に変形量の大きい外周部を複数に分割したことで、特に外縁部の変形を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1に本発明の実施形態の第1実施例を示す。半導体工程で使用されるホットプレートを例とする。
【実施例】
【0014】
被加熱基板4であるウェハを上面(第一の面)に載置して加熱処理を行う円板状の加熱板1と加熱板1の下面(第二の面)に装着して加熱板を加熱昇温させるための加熱手段2aと、加熱手段2aに電力を供給する制御器6aと、加熱手段2aを加熱板1の下面(第二の面)との間にはさみこんで密着させるための押さえ板3aから構成されている。制御器6aへは、押さえ板3a、加熱手段2aを貫通して加熱板1内部に埋め込んだ温度センサー5aがつながっており、温度センサー5aの温度をモニターし、加熱板1の温度を所定の温度に保つよう制御器6aが制御を行う。押さえ板3aは、中央部第一部分と3分割された外側部第二部分の4分割で構成されている場合を示している。
【0015】
図4に本発明のウェハ面内温度等高線図の一例を示す。1目盛りが0.1℃を示し、従来の場合(図6)と比較してウェハ面内の温度分布が大きく改善している。
【0016】
図2に本発明の実施形態の第2実施例を示す。
加熱板の温度特性に合わせて、押さえ板3bは、中央部第一部分と4分割された外側部第二部分の5分割で構成されている。被加熱基板4、加熱板1、加熱手段2b、制御器6b、温度センサー5bなどの構成は図1と同じであり、同等の温度均一性が得られる。
【0017】
図3に本発明の実施形態の第3実施例を示す。
被加熱基板4としてウェハを上面に載置して加熱処理を行う円板状の加熱板1と加熱板1の下面に装着して加熱板を昇温させるための加熱手段2cと加熱手段2cに電力を供給する制御器6cと加熱手段2cを加熱板1の下面に密着させるための押さえ板3cから構成されている。制御器6cへは、押さえ板3c、加熱手段2cを貫通して加熱板1内部に埋め込んだ複数の温度センサー5c(図3では4つ)がつながっており、温度センサー5cの温度をモニターし、加熱板1の温度を所定の温度に保つよう制御器6cが制御を行う。加熱手段2cおよび押さえ板3cは、中央部第一部分と3分割された外側部第二部分の4分割で構成されている。
この実施例では、加熱手段2cと押さえ板3cの形を同じとしてあるが、加熱板、押さえ板の熱膨張緩和という面から、必ずしも同じ形である必要はない。
【0018】
図1、図2、図3では、中央部が円板状で外周部を円弧状の3または4分割構成としたが、処理目的に合わせて加熱板の基板載置表面の温度が均一になるように押さえ板の分割のしかたは様々であり、実施例のような形に固定されているわけではないことは言うまでもない。また、温度制御は分割した加熱手段をそれぞれに行ってもよいし、複数をまとめて制御してもよいことは言うまでもない。
【0019】
本発明の実施例としては、半導体工程を例としたが、半導体工程に限定しているわけではなく、液晶などの工程でも本発明は有効である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態の第1実施例である。
【図2】本発明の実施形態の第2実施例である。
【図3】本発明の実施形態の第3実施例である。
【図4】本発明のウェハ面内温度等高線図の一例である。
【図5】従来技術の概略構造図である。
【図6】従来技術のウェハ面内温度等高線図である。
【符号の説明】
【0021】
1 加熱板
2a,2b 加熱手段
3 押さえ板
4a,4b 被加熱基板
5a,5b,5c 温度センサー
6a,6b,6c 制御器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱基板を載置する第一の面と、この第一の面の裏面であって加熱手段を装着する第二の面を有する加熱板と、その加熱板の第二の面に接する第三の面と、この第三の面の裏面であって押さえ板に接する第四の面を有する加熱手段と、加熱手段第四の面に接する第五の面を有する押さえ板とで構成される基板処理装置であり、加熱板および加熱手段はそれぞれ一体型で、かつ押さえ板が複数の板に分割されていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
被加熱基板を載置する第一の面と、この第一の面の裏面であって加熱手段を装着する第二の面を有する加熱板と、その加熱板の第二の面に接する第三の面と、この第三の面の裏面であって押さえ板に接する第四の面を有する加熱手段と、加熱手段第四の面に接する第五の面を有する押さえ板とで構成される基板処理装置であり、加熱板は一体型で、かつ加熱手段および押さえ板が複数に分割されていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
前記基板処理装置の押さえ板は、中央部の第一部分と、当該第一部分の外側の第二部分とに分割されており、前記第二部分は複数の板に分割されていることを特徴とする請求項1または2に記載の基板処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−216808(P2006−216808A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−28532(P2005−28532)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(594020248)株式会社幸和電熱計器 (11)
【Fターム(参考)】