説明

基板処理装置

【課題】排気配管内に付着する副生成物を効率よくしかも均一性よく除去できる基板処理装置を提供する。
【解決手段】処理室201と、処理室201に基板処理用ガスとクリーニングガスをそれぞれ供給する供給手段232、234と、処理室201に連通された排気通路231と、基板200を加熱する加熱手段207とを有し、少なくとも排気通路231の内部に生成された副生成物を除去するため、クリーニングガスを処理室201内に供給し排気通路231を介して排出する際、排気通路231の途中から不活性ガス供給システム251、253により高温の不活性ガスを導入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に関し、特に、Si系原料ガスを用いてSi基板に成膜を行う半導体CVD(Chemical Vapor Deposition)装置に関する。
【背景技術】
【0002】
SiH、Si、SiHCl、SiHCl、SiCl等のSi系原料ガスを用いてSi基板に成膜を行う半導体CVD装置において、原料ガスが熱分解されると同時に高分子化(重合)が起こり、a−Si(SixHy)、塩化シランポリマー(SixCly,SixHyClz)等の副生成物が低温の排気配管に堆積する。また、副生成物の種類によっては、メンテナンスの際に侵入した大気中の水分と反応して加水分解を起こし、高燃料性の加水分解物や爆発性の加水分解物を形成するため非常に危険である。さらに、加水分解の際にHCl等の有毒ガスが発生する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この排気配管に堆積した副生成物をClFガスを使用したセルフクリーニングによって除去するが、従来は、排気配管を加熱することなく行っていた。そのために、セルフクリーニングの際、排気配管ではクリーニングガス自体の温度が低下するため、クリーニング効果が減少してしまい副生成物を効率よく除去できないという問題があった。
【0004】
クリーニング効果を高めるために、排気配管をヒータで加熱することも考えられるが、ヒータによる加熱では、全体を均一に加熱することは難しく、温度が高い箇所ではクリーニング時に排気配管の腐食が生じやすくなる一方で、温度が低い箇所では充分はクリーニングを行えず、副生成物が完全に除去できないという問題が生じてしまうことが判明した。
【0005】
従って、本発明の主な目的は、排気配管内に付着する副生成物を効率よくしかも均一性よく除去できる基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
基板を収容する処理室と、
前記処理室に所望の基板処理用の処理ガスとクリーニングガスを供給する供給手段と、
前記処理室に連通された排気通路と、
前記基板を加熱する加熱手段と、を有する基板処理装置であって、
少なくとも前記排気通路の内部に生成された副生成物を除去するため、前記クリーニングガスを前記処理室内に供給し前記排気通路を介して排出する際、前記排気通路の途中から高温の不活性ガスを導入することを特徴とする基板処理装置が提供される。
【0007】
このように、排気通路の途中から高温の不活性ガスを導入することにより、排気配管を均一に加熱することが可能となり、その結果、排気配管内に付着する副生成物を効率よくしかも均一性よく除去できるようになる。
【0008】
好ましくは、成膜処理中にも排気通路の途中から高温の不活性ガスを導入する。このようにすれば、成膜中にも排気配管を均一に加熱することが可能となり、その結果、排気配管内に副生成物が付着するのを抑制することができると共に、排気配管内に副生成物が局所的に付着してしまうのを防止できるようになる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、排気配管内に付着する副生成物を効率よくしかも均一性よく除去できる基板処理装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の好ましい実施例においては、SiH,Si、SiHCl、SiHCl、SiCl等のSi系原料ガスを用いてSi基板に成膜を行う半導体CVD装置において、成膜処理中に排気配管内壁に付着する副生成物の量を削減させるために、当該装置の排気配管に、CVD装置の処理炉とは別の手段で加熱されたN、Ar等の不活性ガスを導入する機構を有している。
【0011】
また、ClFガスによるセルフクリーニング時に、ClFガスを活性化させクリーニング効果を増大させ、効率よく副生成物を除去するために、同様に加熱された不活性ガスを排気配管に導入する機構を有している。
【0012】
次に、本発明の好ましい実施例を図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の好ましい実施例における減圧CVD装置を説明するための概略斜視図であり、図2は、本発明の好ましい実施例における減圧CVD装置を説明するための概略構造縦断面図であり、図3は、本発明の好ましい実施例における減圧CVD装置の処理炉を説明するための概略構造縦断面図である。
【0014】
図1に示すように、筐体101内部の前面側には、図示しない外部搬送装置との間で基板収納容器としてのカセット100の授受を行う保持具授受部材としてのカセットステージ105が設けられ、カセットステージ105の後側には昇降手段としてのカセットエレベータ115が設けられ、カセットエレベータ115には搬送手段としてのカセット移載機114が取りつけられている。カセットエレベータ115の後側には、カセット100の載置手段としてのカセット棚109が設けられ、カセット棚109はスライドステージ122上に横行可能に設けられている。又、カセット棚の上方にはカセット100の載置手段としてのバッファカセット棚110が設けられている。更に、バッファカセット棚110の後側にはクリーンユニット118が設けられ、クリーンエアを筐体101の内部を流通させるように構成されている。
【0015】
筐体101の後部上方には、処理炉202が設けられている。この処理炉202内には、ウエハ200に所定の処理を行う処理室201が形成されている。処理炉202の下側には、気密室としてのロードロック室102が仕切弁としてのゲートバルブ244により連接され、ロードロック室102の前面にはカセット棚109と対向する位置に仕切手段としてのロードロックドア123が設けられている。ロードロック室102内には、基板としてのウエハ200を水平姿勢で多段に保持する基板保持手段としてのボート217を、処理室201とロードロック室102との間で昇降させる昇降手段としてのボートエレベータ121が内設され、ボートエレベータ121には蓋体としてのシールキャップ219が取りつけられボート217を垂直に支持している。ロードロック室102とカセット棚109との間には図示しない昇降手段としての移載エレベータが設けられ、移載エレベータには搬送手段としてのウエハ移載機112が取りつけられている。
【0016】
カセット移載機114等の搬送動作は、搬送制御手段124により制御される。
【0017】
次に、本実施例の基板処理装置である減圧CVD装置の処理炉周辺の構成を図2を参照して説明する。
【0018】
気密室としてのロードロック室102の外面に下基板145が設けられ、下基板145に立設したガイドシャフト146の上端に上基板147が設けられ、下基板145と上基板147間に掛渡してボール螺子144が回転自在に設けられる。ボール螺子144は上基板147に設けられた昇降モータ148により回転される。ガイドシャフト146には昇降台149が昇降自在に嵌合し、昇降台149はボール螺子144に螺合している。
【0019】
昇降台149には中空の昇降シャフト150が垂設され、昇降台149と昇降シャフト150の支持部は気密となっている。昇降シャフト150はロードロック室102の天板151を遊貫し、ロードロック室102の底面近くに到達する。天板151の貫通部は昇降シャフト150の昇降動に対して接触することがない様充分な余裕があり、又ロードロック室102と昇降台149間には昇降シャフト150の突出部を覆う伸縮性を有する壁(例えばベローズ119)が気密に設けられ、ベローズ119は昇降台149の昇降量に対応できる充分な伸縮量を有し、ベローズ119の内径は昇降シャフト150の外形に比べ充分に大きくベローズ119の伸縮で接触することがない様になっている。
【0020】
昇降シャフト150の下端には昇降基板152が水平に固着される。昇降基板152の下面には駆動部カバー153が取付けられ、駆動部収納ケース154が構成されている。昇降基板152と駆動部カバー153との接合部にはOリング等のシール部材により密閉される。従って、駆動部収納ケース154内部はロードロック室102内の雰囲気と隔離される。
【0021】
また、昇降基板152の下面にはボート217の回転機構156が設けられ、回転機構152の周辺は、冷却手段157により、冷却される。
【0022】
電力供給ケーブル158が昇降シャフト150の上端から昇降シャフト150の中空部を通って回転機構156に導かれて接続されている。また、冷却手段157およびシールキャップ219には冷却水経路159が形成されており、冷却水経路159には冷却水を供給する冷却水配管160が接続され、冷却水配管160は昇降シャフト150の上端から昇降シャフト150の中空部を通っている。
【0023】
昇降基板152の上面には、シールキャップ219が気密に設けられる。昇降モータ148を駆動し、ボール螺子144を回転することで昇降台149、昇降シャフト150を介して駆動部収納ケース154を上昇させる。
【0024】
昇降台149の上死点近傍でシールキャップ219が処理炉202の開口部である炉口161を閉塞し、ウエハ処理が可能な状態とする。ウエハ処理が完了すると、昇降モータ148が駆動されて、ボート217が降下され、ウエハを外部に搬出できる状態となる。
【0025】
次に、本実施例の基板処理装置である減圧CVD装置の処理炉の詳細を図3を参照して説明する。
【0026】
図3に示すように、処理炉202は、アウタチューブ205よりなる反応管と、ガス排気管231と、ガス供給管232と、ガス供給管234と、マニホールド209と、マニホールド209の下端部(炉口161)を蓋し処理室201を密閉するシールキャップ219と、シールキャップ219上に設けられウエハ200を垂直方向に多段に搭載するウエハ搭載体としてのボート217と、ボート217を回転する回転機構156と、図示しないヒータ素線と断熱部材を有しウエハ200を加熱するヒータ207等を備えている。
アウタチューブ205、マニホールド209およびシールキャップ219等により処理室201を構成している。
【0027】
この処理炉202の構成において、処理ガスは、第1のガス供給源180、第2のガス供給源181および第3のガス供給源182から供給され、ガス流量制御手段としてのMFC(マスフローコントローラー)183、MFC184およびMFC185でその流量がそれぞれ制御された後、バルブ177、178、179をそれぞれ介して一本のガス供給管232より処理室201の上部から導入される。なお、ガス供給管232は、マニホールド209を貫通し、アウタチューブ205内を処理室201の上部まで延在して設けられている。ガス供給管232にはバルブ176が設けられている。
【0028】
クリーニングガス供給管234もマニホールド209を貫通して設けられている。クリーニングガスは、第4のガス供給源180から供給され、ガス流量制御手段としてのMFC188でその流量が制御された後、バルブ186、235を介してクリーニングガス供給管234処理室201内に導入される。
【0029】
マニホールド209には、ガス排気管231が連通して設けられている。ガス排気管231には排気バルブ175、排気システムとしての真空ポンプ246および除害装置248が下流側に向かってこの順序で設けられている。処理室201内の雰囲気はガス排気管231に接続された真空ポンプ246により、処理室201から排気される。
【0030】
排気バルブ175と真空ポンプ246との間のガス排気管231には、不活性ガス供給システム251が連通して設けられている。不活性ガス供給システム251から加熱された不活性ガス252が排気バルブ175と真空ポンプ246との間のガス排気管231に供給される。真空ポンプ246と除害装置との間のガス排気管231には、不活性ガス供給システム253が連通して設けられている。不活性ガス供給システム253から加熱された不活性ガス254が真空ポンプ246と除害装置との間のガス排気管231に供給される。
【0031】
なお、ヒータ207、回転機構156、MFC183、184、185、187、バルブ175、176、177、178、179、235、263、昇降モータ148、ロードロックドア123、ゲートバルブ244、真空ポンプ246、除害装置248、不活性ガス供給システム251、253等は制御装置162によって制御され、ウエハ200を搭載したボート217の処理室201とローロック室102との間の昇降、ゲートバルブ244やロードロックドア123の開閉、処理炉202内の温度制御、処理室201内への処理ガスやクリーニングガスの供給、メンテナンスポート261からの大気またはNHの供給および処理室201の排気、ロードロック室102への不活性ガスとしての窒素ガスの供給、ロードロック室102の排気、冷却水経路159への冷却水の供給および停止、加熱された不活性ガス252、254のガス排気管231への供給やこれらの不活性ガスの温度等が制御装置162によって制御される。
【0032】
次に、本実施例の基板処理装置である減圧CVD装置における半導体ウエハ200の処理の一例として、半導体シリコンウエハにSiHCl、HClおよびHを用いてエピタキシャルSi膜を成膜する場合を説明する。
【0033】
図示しない外部搬送装置から搬送されたカセット100は、カセットステージ105に載置され、カセットステージ105でカセット100の姿勢を90°変換され、更に、カセットエレベータ115の昇降動作、横行動作及び、カセット移載機114の進退動作の協働によりカセット棚109又は、バッファカセット棚110に搬送される。
【0034】
ウエハ移載機112によりカセット棚109からボート217へウエハ200が移載される。ボート217へウエハ200を移載する準備として、ボート217がボートエレベータ121により降下され、ゲートバルブ244により処理室201が閉塞され、更にロードロック室102の内部にパージノズル234から窒素ガスのパージガスが導入される。ロードロック室102が大気圧に復圧された後、ロードロックドア123が開かれる。
【0035】
水平スライド機構122はカセット棚109を水平移動させ、移載の対象となるカセット100をウエハ移載機112に対峙する様に位置決めする。ウエハ移載機112は昇降動作、回転動作の協働によりウエハ200をカセット100よりボート217へと移載する。ウエハ200の移載はいくつかのカセット100に対して行われ、ボート217へ所定枚数ウエハの移載が完了した後、ロードロックドア123が閉じられ、ロードロック室102が排気管236を介して真空引きされる。
【0036】
真空引き完了後にガスパージノズル234より窒素ガスが導入され、ロードロック室102内部が窒素ガスにより大気圧に復圧されるとゲートバルブ244が開かれ、昇降モータ148を駆動することによりボートエレベータ121によりボート217が処理室201内に挿入され、シールキャップ219により処理炉202の開口部である炉口161を閉塞することによって処理室201を閉塞する。ボート217を処理室201内に挿入する際には、処理室201内の温度は200℃に保たれている。ロードロック室102は、ウエハ200の処理が終了して再びボート217がロードロック室102に下降してくるまでは窒素ガスによりほぼ大気圧に保たれている。
【0037】
次に、排気バルブ175を開けて、処理室201内の雰囲気を排気し、処理室201の圧力を0.1Pa程度に減圧する。そして、制御装置162によりヒータ207を制御し、処理室201内の温度、ひいてはウエハ200の温度を750℃に維持する。その後、回転機構156が駆動してボート217を所定の回転数で回転する。
【0038】
第1のガス供給源180、第2のガス供給源181、第3のガス供給源182には、処理ガスとして、SiHCl、HClおよびHがそれぞれ封入されており、それぞれの流量はMFC183、MFC184、MFC185によってそれぞれ制御される。ガス供給管を開閉するバルブ177,178,178を開き、バルブ176を開いて、処理ガスをガス供給管232を通じて、処理室201に供給し、一方では、ガス排気管236によって排気することによって処理室201内の圧力を100Paに保って、減圧CVD法により、ウエハ200にエピタキシャルSi膜を成膜する。この際に、不活性ガス供給システム251から100〜200℃に加熱された不活性ガス252であるNガスを排気バルブ175と真空ポンプ246との間のガス排気管231に供給し、不活性ガス供給システム253から100〜200℃に加熱された不活性ガス254であるNガスを真空ポンプ246と除害装置との間のガス排気管231に供給する。
【0039】
処理室201内でウエハ200に所定の成膜処理がなされた後、処理室201内をパージガスとしての窒素ガスで置換する。すなわち、成膜後、(1)処理室201内を0.1Pa程度までガス排気管231を介して減圧し、その後窒素ガス(N)をガス供給管232より処理室201内が30Pa程度になるまで流して処理室201内をパージし、その後、(2)窒素ガスを止めて、再度処理室201内を0.1Pa程度までガス排気管231を介して減圧し、その後窒素ガスをガス供給管232より処理室201内が30Pa程度になるまで流して処理室201内をパージする。この(1)、(2)の操作をパージ3min、減圧3minで4回繰り返す。その後ガス供給管232より窒素ガスを処理室201内に導入し、窒素ガスで処理室201内をほぼ大気圧まで戻す。なお、ロードロック室102は、上述のとおり、窒素ガスによりほぼ大気圧に保たれている。
【0040】
この状態で、昇降モータ148を駆動することによりボートエレベータ121によりウウエハ200を搭載したボート217が処理室201からロードロック室102内に下降し、ゲートバルブ244が閉じられる。
【0041】
その後、排気管236を介してロードロック室102内を10Torr以下まで真空引きし、その後、窒素ガスをパージノズル234より処理室201内に導入してロードロック室102内を大気圧まで窒素ガスで戻す。
【0042】
その後、ロードロックドア123を開き、処理後のウエハ200は上記した操作の逆の手順によりボート217からカセット棚109を経てカセットステージ105に移載され、図示しない外部搬送装置により搬出される。
【0043】
以上のようにして、エピタキシャルSi膜の成膜を所定回数行う毎に、ウエハ200を搭載しない状態でボート217をボートエレベータ121により処理室201内に挿入し、シールキャップ219により処理炉202の開口部である炉口161を閉塞することによって処理室201を閉塞する。
【0044】
次に、排気バルブ175を開けて、処理室201内の雰囲気を排気し、処理室201内を減圧する。そして、制御装置162によりヒータ207を制御し、処理室201内の温度を400℃に維持する。その後、回転機構156が駆動してボート217を所定の回転数で回転する。
【0045】
第4のガス供給源187には、クリーニングガスとしてのClFが封入されており、その流量はMFC188によって制御される。バルブ186を開き、バルブ235を開いて、クリーニングガスとしてのClFをガス供給管234を通じて、処理室201に供給し、一方では、ガス排気管231によって排気することによって処理室201内の圧力を所定の圧力に保って、クリーニングを行う。
【0046】
この際に、不活性ガス供給システム251から50〜150℃に加熱された不活性ガス252であるNガスを排気バルブ175と真空ポンプ246との間のガス排気管231に供給し、不活性ガス供給システム253から50〜150℃に加熱された不活性ガス254であるNガスを真空ポンプ246と除害装置との間のガス排気管231に供給する。
【0047】
SiH、Si、SiHCl、SiHCl、SiCl等のSi系原料ガスを用いて600〜900℃でSi基板に成膜を行う半導体CVD装置においては、原料ガスが熱分解されると同時に高分子化(重合)が起こり、a−Si(SixHy)、塩化シランポリマー(SixCly,SixHyClz)等の副生成物が低温の排気配管231に堆積する。また、副生成物の種類によっては、メンテナンスの際に侵入した大気中の水分と反応して加水分解を起こし、高燃料性の加水分解物や爆発性の加水分解物を形成するため非常に危険である。さらに、加水分解の際にHCl等の有毒ガスが発生する。
【0048】
本実施例においては、成膜時に、不活性ガス供給システム251から100〜200℃に加熱された不活性ガス252であるNガスを排気バルブ175と真空ポンプ246との間のガス排気管231に供給し、不活性ガス供給システム253から100〜200℃に加熱された不活性ガス254であるNガスを真空ポンプ246と除害装置との間のガス排気管231に供給しているので、ガス排気管231を均一に加熱でき、副生成物の付着を削減させることができる。なお、排気配管加熱ヒータと併用すれば更に効果は増大する。
【0049】
また、本実施例においては、ClFセルフクリーニングの際に、不活性ガス供給システム251から50〜150℃に加熱された不活性ガス252であるNガスを排気バルブ175と真空ポンプ246との間のガス排気管231に供給し、不活性ガス供給システム253から50〜150℃に加熱された不活性ガス254であるNガスを真空ポンプ246と除害装置との間のガス排気管231に供給しているので、ガス排気管231を均一に加熱でき、副生成物の除去効果を増大させることができる。
【0050】
なお、ClFセルフクリーニングは通常処理室201の温度を400℃程度としてクリーニングを導入するが、ガス排気管231の下流に向かうに従いガス温度が低下する。従って、本実施例のように、ガスの温度低下に合わせ適所に加熱した不活性ガスを導入することにより、副生成物の除去効果を増大させることができるようになる。
【0051】
また、成膜時には、100〜200℃の不活性ガスをガス排気管231に供給し、ClFセルフクリーニングの際には不活性ガスの温度を下げて、50〜150℃の不活性ガスをガス排気管231に供給しているが、不活性ガスの温度の切換は、成膜処理の終わったウエハ200を搭載したボート217を処理室201からロードロック室102に取り出し、ロードロック室102に取り出されたボート217からウエハ200を取り出し、その後、ウエハ200を搭載しないボート217を処理室201に挿入し、処理室201内の雰囲気を排気し、クリーニングガスを処理室201に導入する間に行う。
【0052】
以上説明したように、本実施例によれば、排気配管内に付着する副生成物の量を削減させるとともに、付着した副生成物の除去効率を向上させることにより、メンテナンス周期を延ばすことができる。また、副生成物の堆積を最小限に抑えることにより、副生成物の爆発や副生成物から発生する有毒ガスによる危険を軽減させ安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の好ましい実施例における減圧CVD装置を説明するための概略斜視図である。
【図2】本発明の好ましい実施例における減圧CVD装置を説明するための概略構造縦断面図である。
【図3】本発明の好ましい実施例における減圧CVD装置の処理炉を説明するための概略構造縦断面図である。
【符号の説明】
【0054】
100…カセット
101…筐体
102…ロードロック室
109…カセット棚
112…ウエハ移載機
118…クリーンユニット
119…ベローズ
121…ボートエレベータ
123…ロードロックドア
124…搬送制御手段
148…昇降モータ
149…昇降台
156…回転機構
161…炉口
162…制御装置
175…排気バルブ
176、177、178、179、186…バルブ
183、184、185、188…MFC
180…第1のガス供給源
181…第2のガス供給源
182…第3のガス供給源
187…第4のガス供給源
200…ウエハ
201…処理室
202…処理炉
205…アウターチューブ
207…ヒータ
209…マニホールド
217…ボート
219…シールキャップ
231…ガス排気管
232…ガス供給管
246…排気システム
248…除害装置
251、253…不活性ガス供給システム
252、254…加熱された不活性ガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を収容する処理室と、
前記処理室に所望の基板処理用の処理ガスとクリーニングガスを供給する供給手段と、
前記処理室に連通された排気通路と、
前記基板を加熱する加熱手段と、を有する基板処理装置であって、
少なくとも前記排気通路の内部に生成された副生成物を除去するため、前記クリーニングガスを前記処理室内に供給し前記排気通路を介して排出する際、前記排気通路の途中から高温の不活性ガスを導入することを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−59938(P2006−59938A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−238964(P2004−238964)
【出願日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】