説明

基板収納用トレイおよび基板の搬送保管方法

【課題】搬送や保管の際に、広大なスペースを必要とせず、まて、輸送パッケージが縮小化され、コスト低減が計れ、さらに、基板にゴミや異物が付着し難く、且つ、基板の大型化ないし超大型に対応できる基板収納用トレイおよび基板の搬送保管方法を提供することである。
【解決手段】平面形状が矩形フレームからなる周枠の枠内に基板を載置する基板用トレイであって、一方の対向するフレームはフレームの中央位置でフレームの左右が上方に折り曲げ可能な折り曲げ部と、他方の対向するフレームは対向するフレームを接続し、基板を載置する複数のワイヤーまたはワイヤーロープと、を具備していることを特徴とする基板収納用トレイである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型ないし超大型の液晶表示装置等の表示パネルを形成するために使用される大型ないし超大型のガラス基板等を収納する基板収納用トレイおよび基板の搬送保管方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置の表示パネルは、通常、相互に対向して配置された一対のガラス基板の間に液晶を封入することにより形成されている。このような表示パネルを製造するために、ガラス基板が、表示パネルの製造工場に輸送される。
【0003】
このガラス基板を工場に輸送する場合には、通常、複数のガラス基板を収納するガラス基板収納ボックスが使用される。
【0004】
そして、ガラス基板は、液晶表示装置の表示パネルに限らず、各種表示装置の表示パネルの製造にも使用されており、各種の表示パネルに使用されるガラス基板を輸送するためにも、複数のガラス基板を収納するガラス基板収納ボックスが使用されている。
【0005】
また、電極等が形成された状態のガラス基板の半製品の搬送にも、ガラス基板を収納するガラス基板収納ボックスが使用される。
【0006】
また、最近、各種の表示パネルには、0.7mm以下の薄さのガラス基板が使用されるようになっている。さらに、表示パネルの製造工場に搬入されるガラス基板は大型化しており、一辺が1.3m以上の長方形状のガラス基板も工場に搬入されている。
【0007】
このような大型で薄いガラス基板は撓みやすいために、ガラス基板収納ボックス内に複数枚のガラス基板が収納されていると、輸送時に各ガラス基板が撓んで隣接するガラス基板同士が接触することによって破損するおそれがある。
【0008】
このために、ガラス基板収納ボックス内に収納される各ガラス基板を、撓むことによって相互に接触しないように、適当な間隔をあけて配置する必要がある。
【0009】
例えば、厚さが0.7mm、一辺の長さが1.3m以上のガラス基板は、その側縁部を20〜30mmの幅寸法で支持すると、ガラス基板の中央部における撓みが90mm以上にそれるおそれがある。
【0010】
このために、ガラス基板収納ボックス内では、ガラス基板同士を、少なくとも100mm以上の間隔をあけて保持する必要がある。
【0011】
また、ガラス基板収納ボックスからガラス基板を取り出す際には、通常、一対の平板状の吸着パッドを有するガラス基板吸着ハンドが使用される。このようなガラス基板吸着ハンドを使用する場合には、各吸着パッドを隣接するガラス基板の間に挿入する必要があり、そのためのスペースも必要になる。
【0012】
また、平板状の各吸着パッドは、通常、厚さが20mm程度になっており、従って、隣接するガラス基板の間には、各ガラス基板が撓んでも相互に接触しないような間隔と、さらに、吸着パッドが挿入されるための20mm程度の間隔をあける必要がある。
【0013】
このように、ガラス基板収納ボックス内に収納される複数のガラス基板は、適当な間隔をあける必要がある。このために、所定の大きさのガラス基板収納ボックス内に収納することができるガラス基板の枚数が減少する。
【0014】
その結果、輸送および保管に際して、ガラス基板収納ボックスの占有するスペースに対するガラス基板の枚数であるスペース効率が低下するという問題がある。
【0015】
これに対して、ガラス基板収納ボックスを大きくして、収納することができるガラス基板の枚数を多くすることにより、スペース効率をある程度は改善することができる。
【0016】
しかしながら、一辺の長さが1.3m以上のガラス基板は、1枚当たりの重量も5kg程度と重く、ガラス基板収納ボックス内に収納されるガラス基板の枚数が20枚以上になると、作業員1人によっては運搬することができなくなるおそれがある。
【0017】
このような問題を解決するために、1枚のガラス基板を収納する基板用トレイカセットが開示されている。(例えば、特許文献1参照。)。
【0018】
この基板用トレイカセットは、格子状に構成されており、また、上下方向に積み重ねることができる入り組み係合構造になっている。このような基板用トレイカセットでは、薄くて大きな1枚のガラス基板が撓むことなく収納される。
【0019】
こために、輸送時にガラス基板が破損することを防止することができ、しかも、上下方向に多数を重ね合わせて輸送および保管することによって、スペース効率を改善することができる。
【0020】
また、限られたスペースにおいて、多くのディスプレイ用基板を、各ディスプレイ用基板同士が相互に接触することなく、効率よく輸送および保管するディスプレイ用基板収納用トレイ及びディスプレイ用基板の取り出し機構並びにディスプレイ用基板の取り出し方法も知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0021】
この、ディスプレイ用基板収納用トレイ及びディスプレイ用基板の取り出し機構並びにディスプレイ用基板の取り出し方法は、底部上にガラス基板が水平状態で載置される。そして、そのガラス基板は、底部の周縁部に、底部の上面から上方に突出するように設けられた枠部によって取り囲まれた状態になる。
【0022】
また、底部には、載置されたガラス基板を上方に持ち上げる支持ピンが挿入される複数の開口部が設けられている。そして、枠部には、上側に積み重ねられる他のディスプレイ用基板収納用トレイを位置決めする位置決め部が設けられている。
【0023】
さらに、表面に加工を施した大型ガラス基板を収納して輸送に使用するカセットであって、ガラス基板の有効面積が少なくならず、収納できる枚数が少なくならない大型ガラス基板用トレイ形カセットも知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【0024】
この大型ガラス基板用トレイ形カセットは矩形の底部、左側縁部、右側縁部、前切欠部、後切欠部で構成されるトレイ形カセットであって、底部上面に支え突起部、ロボットハンド用の溝部が設けられている。
【0025】
そして、底部下面に押さえ突起部が設けられ、左側縁部及び右側縁部の外面側には、吊り下げフック部、が設けられている。さらに、上部には、係合部、が設けられ、前切欠部及び後切欠部には側縁部が設けられていない。
【0026】
また、基板の大型化ないし超大型化に対処しうる基板用トレイカセットも知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【0027】
この基板用トレイカセットは矩形骨格を形作る周枠と、その周枠 間に架設された桟とからなる基本構造を有する格子状のトレイ形のカセットである。この周枠のうちの左周枠、右周枠および後方周枠により、主枠を構成する。また、周枠のうちの前方周枠と、桟とにより、副枠を構成する。
【0028】
前記主枠には、その上面より低い位置に、主枠内側面または主枠底面から張り出す張出部材を設ける。主枠に付設の張出部材上および副枠上には、基板を下方から支承するための樹脂ピンを突設する。
【0029】
さらに主枠は、トレイの積み重ねを可能にする入り組み係合構造に形成する。格子状のトレイの底部に底板を設けることもできる。
【0030】
以下に先行技術文献を示す。
【特許文献1】特開平10−287382号公報
【特許文献2】特開2004−59116号公報
【特許文献3】特開2004−75175号公報
【特許文献4】特開平10−287382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
しかしながら、例えば、特許文献1の基板用トレイカセットでは、内部に収納されるガラス基板が、樹脂ピンによって支持されており、支持ピンによって支持されたガラス基板の下方の空間に、ガラス基板吸着ハンドの各吸着パッドが挿入されるように構成されている。このように、ガラス基板の下方に、吸着パッドが挿入される空間を設けることにより、基板用トレイカセット全体が大型化するという問題がある。
【0032】
また、基板用トレイカセットは、格子状に形成されているために、その剛性に問題があり、上下方向に積み重ねられる基板用トレイカセットの個数が制限されるおそれがある。
【0033】
また、特許文献1をはじめ他の特許文献の基板用トレイは水平方式トレイであり、搬送や保管等に広大なスペースが必要となるという問題がある。
【0034】
さらに、水平方式トレイは搬送の際に、傾斜させても大きな通路幅と通路高さが必要となる。そして、高架搬送コンベア下の通りぬけが困難となる問題がある。さらに搬送ルートの制限が多くなるという問題もある。
【0035】
また、大型基板を水平方式トレイで輸送する際、特殊車両(例えば、トレーラー等)で輸送する必要がある。そして、コストが上昇するという問題がある。
【0036】
さらに、基板受け部材に発泡ポリエチレン等が用いられているため、表面が粗く、清掃し難いという問題がある。また、ゴミ等が溜まり易い。そして、基板にゴミや異物が付着する問題がある。
【0037】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、オンライン搬送や保管の際に、広大なスペースを必要とせず、また、輸送パッケージが縮小化され、コスト低減が計れ、さらに、基板にゴミや異物が付着し難く、且つ、基板の大型化ないし超大型に対応できる基板収納用トレイおよび基板の搬送保管方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0038】
上記問題点を解決するために、本発明の請求項1に係る発明は、
平面形状が矩形フレームからなる周枠の枠内に基板を載置する基板用トレイであって、一方の対向するフレームはフレームの中央位置でフレームの左右が上方に折り曲げ可能な折り曲げ部と、
他方の対向するフレームは対向するフレームを接続し、基板を載置する複数のワイヤーまたはワイヤーロープと、
を具備していることを特徴とする基板収納用トレイである。
【0039】
次に、本発明の請求項2に係る発明は、
前記複数のワイヤーまたはワイヤーロープの外側表面がプラスチックまたはゴムで被覆されていることを特徴とする請求項1記載の基板収納用トレイである。
【0040】
次に、本発明の請求項2に係る発明は、
請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の基板収納用トレイに基板を載置して、一方の対向するフレームを上方に折り曲げて、載置した基板を撓ませて搬送保管することを特徴とする基板の搬送保管方法である。
【発明の効果】
【0041】
本発明の基板収納用トレイおよび基板の搬送保管方法は以上の構成からなるのでオフライン搬送や保管が、僅かなスペースで出来る。
【0042】
また、本発明の基板収納用トレイは基板の輸送パッケージが縮小化できる。そして、輸送等コストを低減することが出来る。
【0043】
さらに、本発明の基板収納用トレイは発泡ポリエチレン等の基板受け部材が用いられていない。このため、ゴミが溜まることがない。さらに、基板の受け部は線接触であるため、基板にゴミや異物の付着が最小限に抑えることが出来る。
【0044】
また、本発明の基板収納用トレイは発泡ポリエチレン等の基板受け部材が用いられていない。清掃箇所が少ないため、作業が効率良くできる。
【0045】
さらに、本発明の基板収納用トレイは高架搬送コンベア等の搬送ルートの制限を受けることがない。
【0046】
また、ワイヤーまたはワイヤーロープを使用することによりゴミ等が溜まりにくく、清掃も容易である。
【0047】
また、トレイ不使用時には、ワイヤーまたはワイヤーロープを取り外し、二つ折りにして積載するなどで省スペース化が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
本発明の基板収納用トレイおよび基板の搬送保管方法を実施の形態に沿って以下に図面
を参照にしながら詳細に説明する。
【0049】
図1は、本発明の基板収納用トレイの一実施例の概略を示す斜視図である。
【0050】
図1に示すように、本発明の基板収納用トレイ(10)は平面形状が矩形フレームからなる周枠が形成さけている。そして、周枠は一方の対向するフレーム(1)と他方の対向するフレーム(2)から形成されている。
【0051】
前記一方の対向するフレーム(1)はフレームの中央位置に該フレーム(1)の左右が上方に折り曲げ可能な折り曲げ部(7)が設けられている。
【0052】
また、他方の対向するフレーム(2)には、ワイヤー取り付け部(20)で対向するフレーム(2)を接続するワイヤーまたはワイヤーロープ(3)が架設されている。
【0053】
前記ワイヤーまたはワイヤーロープ(3)のワイヤー取り付け部(20)は図3に示すようにワイヤーまたはワイヤーロープ(3)の先端が固定されているワイヤー取り付け調整ネジ(5)がフレーム(2)に羅着されている。
【0054】
そして、螺着されているワイヤー取り付け調整ネジ(5)を所定の位置で止めるために、フレーム(2)の外側方向に平ワッシャー(21)とバネ座金(22)を介してナット(23)、(24)がダブル(ダブルナット)に設けられている。そして、ワイヤーまたはワイヤーロープ(3)の張り具合がナット(23)、(24)により調整される。
【0055】
例えば、ワイヤーまたはワイヤーロープ(3)の張りを強く張る場合には、外側のナット(24)を緩める(時計の針の反対方向に回す)。次に、内側のナット(23)を締めて行く(時計の針の回る方向に回す)。そして、ワイヤーまたはワイヤーロープ(3)が所定の張り具合になったら内側のナット(23)が動かないようにして外側のナット(24)を締める(時計の針の回る方向に回す)。
【0056】
また、図には示していないが平ワッシャー(21)と内側のナット(23)の間のワイヤー取り付け調整ネジ(5)外側に圧縮バネ等を設けることによりワイヤーまたはワイヤーロープ(3)の張りが常に一定に保つことができる。そして、圧縮バネ等を設ける際には、バネ座金(22)に替えて平ワッシャー(21)が用いられる。
【0057】
また、ワイヤー取り付け部(20)は基板収納用トレイ(10)の一方の対向するフレーム(1)の中央位置でフレーム(1)の左右を上方に折り曲げた際に、ワイヤーまたはワイヤーロープ(3)が撓む。このためワイヤーまたはワイヤーロープ(3)が損傷しないように樹脂製のワイヤーガイド(4)がフレーム(2)に埋め込まれている。
【0058】
前記樹脂製のワイヤーガイド(4)として、例えば、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)などのポリオレフィン、ナイロン−6、ナイロン−66などのポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などの樹脂の成形加工品または切削加工品等を使用することができる。
【0059】
また、他方の対向するフレーム(2)に架設されているワイヤーまたはワイヤーロープ
(3)の数は基板収納用トレイ(10)の大きさ、あるいは、基板収納用トレイ(10)に載置される基板(6)等によって適宜架設する本数やワイヤーまたはワイヤーロープ(3)の太さ(線径)等が選択される。
【0060】
また、ワイヤーまたはワイヤーロープ(3)の、ワイヤーは円形断面の公知の金属線、例えば、引き型にかけてひきのばした鉄、銅、ステンレス等が用いられる。また、ワイヤーロープを使用しなければならないような重量基板の場合には、ワイヤーと同様により合わせ方、例えば、普通より、ラングより等の公知のワイヤーロープを用いることが出来る。
【0061】
また、ワイヤーまたはワイヤーロープ(3)の外側面は図4(a)、(b)または図5(a)、(b)に示すようにプラスチックまたはゴム(8)、(9)等で被覆されている。前記被覆するプラスチックの樹脂(8)、(9)としては、熱可塑性樹脂、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニル系樹脂など公知の樹脂が用いられる。また、これら樹脂に静電気対策の為、カーボンを練り込み導電性を持たせても良い。また、前記ゴムとしては、例えば、ニトリルゴム、スチレンゴム、ハイスチレンゴム、アクリロゴム、イソブチレンゴム、クロロプレンゴム、多硫化ゴム、ケイ素ゴム、ポリエステルゴム、ポリエーテルゴム、ポリエチレンゴム等の合成ゴムが挙げられるが、特に合成ゴムに限定するものではなく、天然ゴムであっても良い。
【0062】
また、ワイヤーは公知の金属線に特に限定されるものではない、ワイヤー上に載置される基板(6)等によって樹脂からなる、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)などのポリオレフィン、ナイロン−6、ナイロン−66などのポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルスケトン(PEEK)等の樹脂線を用いることも出来る。
【0063】
また、ワイヤーまたはワイヤーロープ(3)の外側面を樹脂等で被覆する断面形状は図4(a)(b)に示すような円形でなくとも良い。例えば、図5(a)(b)に示すような断面形状が三角形状であっても良い。
【0064】
また、基板収納用トレイ(10)の周枠を形成する一方の対向するフレーム(1)と他方の対向するフレーム(2)の材料は、例えば、一般構造用圧延鋼材、構造用炭素鋼材、鍛造材、鋳造材、可鍛鋳物あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル鋼、ニッケルクロム鋼、ニッケル合金等の金属、あるいはプラスチック樹脂等であっても良く、特に限定されるものではない。
【0065】
前記プラスチック樹脂として、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエ
ステル、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)などのポリオレフィン、ナイロン−6、ナイロン−66などのポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等が挙げられる。
【0066】
次に、図2は本発明の基板収納用トレイが上方に折り曲げられた状態の一実施例の概略を示す斜視図である。
【0067】
本発明の基板収納用トレイ(10)は基板収納用トレイ(10)に架設されているワイヤーまたはワイヤーロープ(3)上に基板(6)が載置される。そして、搬送する際や、保管する際には一方の対向するフレーム(1)の中央位置に設けられている折り曲げ部(7)で該フレーム(1)の左右が上方に折り曲げられる。
【0068】
そして、一方の対向するフレーム(1)の左右が上方に折り曲げられ、その折り曲げられたフレーム(1)の内側の角度が90°に到達すると、基材(6)が水平に置かれた常態よりもスペースは略30%程度減少する。
【0069】
図6は本発明の基板収納用トレイの他の一実施例の概略の正面を示す概略図である。
【0070】
図6に示すように本発明の基板収納用トレイ(30)は図1に示す基板収納用トレイ(10)と同様に基板収納用トレイ(30)に架設されているワイヤーまたはワイヤーロープ(3)上に基板(6)が載置される。
【0071】
そして、パンタグラフ機構が形成されている基板収納用トレイ(30)は吊り上げることによって一方の対向するフレーム(1)の中央位置に設けられている折り曲げ部(7)からフレーム(1)の左右の先端が上方に持ち上げられる。
【0072】
また、基板収納用トレイ(30)は一方の対向するフレーム(1)の左右の両端に鍔つきピン(31)が設けられている。その鍔つきピン(31)に回転可能な状態で右アーム(32)と左アーム(33)の一方の先端が係着されている。
【0073】
そして、鍔つきピン(31)に係着されている右アーム(32)と左アーム(33)の他方の先端は吊り上げプレート(35)に設けられているアーム受軸(34)に回転可能な状態で係着されている。そして、一方の対向するフレーム(1)の左右の先端と吊り上げプレート(35)に係着されている右アーム(32)と左アーム(33)で略平行四辺形を形成するパンタグラフ機構となり、一方の対向するフレーム(1)の左右の先端を上方に持ち上げることが容易にできる。
【0074】
そして、一方の対向するフレーム(1)の左右先端を上方に吊り上げられた際のフレーム(1)の内側の角度Cが90°の場合、水平方向の長さが30%程度短縮される。このため、搬送あるいは保管する際のスペースが縮小される。
【0075】
この場合、角度規制は、右アーム(32)、左アーム(33)の付け根、または、折り曲げ部(7)のどちらかで行っても良い。
【0076】
前記右アーム(32)と左アーム(33)の材料は、例えば、一般構造用圧延鋼材、構造用炭素鋼材、鍛造材、鋳造材、可鍛鋳物あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル鋼、ニッケルクロム鋼、ニッケル合金等の金属、カーボン繊維強化プラスチック(
CFRP)、金属とCFRPの積層体あるいはプラスチック樹脂等であっても良く、特に限定されるものではない。
【0077】
前記プラスチック樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)などのポリオレフィン、ナイロン−6、ナイロン−66などのポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等が挙げられる。
【0078】
次に、図7は本発明の基板収納用トレイを搬送する一実施例の概略を示す斜視図である。
【0079】
図7に示すように基板収納用トレイ(10)のワイヤーまたはワイヤーロープ(3)上に載置された基板(6)は撓んだ状態で搬送台車(40)により所定の場所等に搬送される。
【0080】
前記搬送台車(40)はベース(42)とフレーム(41)と支柱(43)とアーム(40)とダブルアーム(40)から形成されている。そして、ベース(42)の底面に複数の車輪(46)が設けられている。
【0081】
前記搬送台車(40)でワイヤーまたはワイヤーロープ(3)上に載置された基板(6)の基板収納用トレイ(10)を搬送する際には、基板収納用トレイ(10)の一方の対向するフレーム(1)の左右の先端方向を支柱(43)に回転可能な状態で係着されているアーム(44)とダブルアーム(45)で支持される。
【0082】
そして、アーム(44)とダブルアーム(45)で支持された基板収納用トレイ(10)は、図7に示すように支持されているアーム(44)とダブルアーム(45)の長さが異なるため、基板収納用トレイ(10)の一方の対向するフレーム(1)の左方が水平状態に近く、右方が垂直状態に近い形状で搬送することも出来る。そして、搬送する際に、搬送台車(40)の一方の通路幅は広く、他方の通路幅は狭い状態で搬送される。
【0083】
当然、アーム(44)とダブルアーム(45)の長さを同じにすることにより、基板収納用トレイ(10)の一方の対向するフレーム(1)の左右の先端方向の高さが搬送台車(40)上で同じ状態に形成される。
【0084】
そして、搬送台車(40)で搬送する際に、搬送台車(40)の通路幅も左右同じ幅で良い。また、アーム(44)とダブルアーム(45)の長さを同じにすることにより、支柱(43)を軸に回転させることも可能である。
【0085】
次に、図8は本発明の基板収納用トレイを保管する一実施例の概略を示す斜視図である。
【0086】
図8に示すように本発明の基板収納用トレイ(10)に架設されているワイヤーまたはワイヤーロープ(3)上に基板(6)が載置され、一方の対向するフレーム(1)の中央位置に設けられている折り曲げ部(7)で該フレーム(1)の左右が上方に折り曲げられた状態で所定の保管ケースに積載される。
【0087】
前記保管ケース(50)の大きさは基板収納用トレイ(10)を、上述したように一方の対向するフレーム(1)の左右が上方に折り曲げられた状態の外周寸法に形成される。そして、基板収納用トレイ(10)は保管ケース(50)内にワイヤーまたはワイヤーロープ(3)上に載置されている基板どうしが接触することなく積載収納され、保管される。
【0088】
また、前記保管ケース(50)の他に、図には示していないが平トレイに断面形状がV字状の傾斜を形成したトレイに基板収納用トレイ(10)を積載することも可能である。
【0089】
また、積載は図には示していないが、例えば、図8に示すよう保管ケース(50)の脚の高さを高くし、図7に示すような搬送台車(40)のフレーム(41)を昇降可能に設ける。そして、フレーム(41)を上昇させ、ベース(42)を保管ケース(50)の底(50)に挿入させ、積載する所定の位置でフレーム(41)を降下させる。
【0090】
基板収納用トレイ(10)を保管ケース(50)内の所定の位置に積載すると同時に基板収納用トレイ(10)を支持してアーム(40)とダブルアーム(40)の支持を開放する。そして、基板収納用トレイ(10)が折り曲げけられた状態で保管ケース(50)内に載置収納されるため、上述したように保管スペースが30%程度減少する。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の基板収納用トレイの一実施例の概略を示す斜視図である。
【図2】本発明の基板収納用トレイが上方に折り曲げられた状態の一実施例の概略を示す斜視図である。
【図3】本発明の基板収納用トレイのワイヤー取り付け部の概略を示す概略図である。
【図4】(a)、(b)は本発明の基板収納用トレイに用いられているワイヤーまたはワイヤーロープの一実施例の断面を示す断面概略図で、(a)はワイヤーの断面概略図で、(b)はワイヤーロープの断面概略図である。
【図5】(a)、(b)は本発明の基板収納用トレイに用いられているワイヤーまたはワイヤーロープの他の一実施例の断面を示す断面概略図で、(a)はワイヤーの断面概略図で、(b)はワイヤーロープの断面概略図である。従来のラインライトガイドの概略を説明するための概略図である。
【図6】本発明の基板収納用トレイの他の一実施例の概略を示す概略図である。
【図7】本発明の基板収納用トレイが搬送される一実施例の概略を示す斜視図である。
【図8】本発明の基板収納用トレイが保管される一実施例の概略を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0092】
1…一方のフレーム
2…他方のフレーム
3…ワイヤーまたはワイヤーロープ
4…ワイヤーガイド
5…ワイヤー取付調整ネジ
6…基板
7…折り曲げ部
8…被覆樹脂
9…被覆樹脂
10…基板収納用トレイ
20…ワイヤー取り付け部
21…平ワッシャー
22…バネ座金
23…ナット
24…ナット
30…基板収納用トレイ
31…鍔つきピン
32…右アーム
33…左アーム
34…アーム受軸
35…吊り上げプレート
40…搬送台車
41…フレーム
42…ベース
43…支柱
44…アーム
45…ダブルアーム
46…車輪
50…保管ケース
51…脚
52…底

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面形状が矩形フレームからなる周枠の枠内に基板を載置する基板用トレイであって、一方の対向するフレームはフレームの中央位置でフレームの左右が上方に折り曲げ可能な折り曲げ部と、
他方の対向するフレームは対向するフレームを接続し、基板を載置する複数のワイヤーまたはワイヤーロープと、
を具備していることを特徴とする基板収納用トレイ。
【請求項2】
前記複数のワイヤーまたはワイヤーロープの外側表面がプラスチックまたはゴムで被覆されていることを特徴とする請求項1記載の基板収納用トレイ。
【請求項3】
請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の基板収納用トレイに基板を載置して、一方の対向するフレームを上方に折り曲げて、載置した基板を撓ませて搬送保管することを特徴とする基板の搬送保管方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−132422(P2009−132422A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−310317(P2007−310317)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】