説明

基板吸着方法およびその装置

【課題】 反りが発生している半導体ウエハの下面全面を吸着テーブル上に確実に吸着させる。
【解決手段】 反りが発生している半導体ウエハ21Aを吸着テーブル57の上面に載置する。次に、吸着テーブル57上に載置された半導体ウエハ21A上の封止膜11上にフィルム79を半導体ウエハ21Aおよびその周囲における吸着テーブル57を覆うように載置する。次に、吸着テーブル57の吸引孔57aが減圧状態になると、フィルム79下の空気が吸引孔57a内に吸引され、フィルム79下が減圧状態となり、フィルム79で半導体ウエハ21Aを全面的に押え付けることにより、半導体ウエハ21Aがその反りを矯正されて吸着テーブル57の上面に吸着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は基板吸着方法およびその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、従来の半導体装置には、CSP(Chip Size Package)と呼ばれるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この半導体装置は半導体基板を備えている。半導体基板上に設けられた絶縁膜の上面には配線が設けられている。配線のランド上面には外部接続用電極が設けられている。配線を含む絶縁膜の上面において外部接続用電極の周囲には封止膜が設けられている。外部接続用電極の上面には半田バンプが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−218731号公報
【0004】
上記従来の半導体装置の製造方法では、配線および外部接続用電極を形成した後に、配線および外部接続用電極を含む絶縁膜の上面にエポキシ樹脂からなる封止膜をその厚さが外部接続用電極の高さよりも厚くなるように形成している。したがって、この状態では、外部接続用電極の上面は封止膜によって覆われている。次に、封止膜の上面側および外部接続用電極の上部を研削し、外部接続用電極の上面を露出させている(特許文献1の第29段落参照)。次に、外部接続用電極の上面に半田バンプを形成している。
【0005】
ところで、特許文献1に記載はないが、封止膜の上面側および外部接続用電極の上部を研削するとき、半導体基板を形成するための半導体ウエハを吸着テーブル上に吸着させて吸着テーブルを回転し、この状態で半導体ウエハ上に形成された封止膜の上面側および外部接続用電極の上部を円板状の砥石で該砥石を回転させながら研削している。この場合、半導体ウエハを吸着テーブル上に吸着させるのは、研削するときに、半導体ウエハが不要に移動しないようにするためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の半導体ウエハ処理方法では、半導体ウエハとエポキシ樹脂からなる封止膜との熱膨張係数差に起因する応力により、半導体ウエハにその中央部に対してその外周部が浮き上がるような反りが発生していると、半導体ウエハの下面全面を吸着テーブル上に確実に吸着させることができないという問題がある。
【0007】
そこで、この発明は、反りが発生している基板(半導体ウエハ)の下面全面を吸着テーブル上に確実に吸着させることができる基板吸着方法およびその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明に係る基板吸着方法は、複数の吸引孔を有する吸着テーブル上に基板を載置し、前記基板を覆うようにフィルムを載置し、前記吸着テーブルと前記フィルムとの間の気体を前記吸引孔から吸引し、前記基板が前記吸引孔を塞ぐことを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明に係る基板吸着方法は、請求項1に記載の発明において、前記吸着テーブル上に載置された前記基板はその中心部に対してその外周部が浮き上がるように反っていることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明に係る基板吸着方法は、請求項2に記載の発明において、前記基板は半導体ウエハであることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明に係る基板吸着方法は、請求項1に記載の発明において、前記吸着テーブルは回転可能であることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明に係る基板吸着装置は、複数の吸引孔を有する吸着テーブルと、前記吸着テーブル上に基板を載置する基板載置ユニットと、前記基板上にフィルムを載置するフィルム載置ユニットと、前記吸着テーブルと前記フィルムとの間の気体を前記吸引孔から吸引し、前記吸引孔を前記基板によって塞ぐ吸引部と、を備えることを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明に係る基板吸着装置は、請求項5に記載の発明において、前記基板載置ユニットは、更に前記吸着テーブル上から前記基板を取り除く操作をし、前記フィルム載置ユニットは、更に前記基板上から前記フィルムを取り除く操作をし、前記吸着テーブル上に載置された前記基板はその中心部に対してその外周部が浮き上がるように反っていることを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明に係る基板吸着装置は、請求項6に記載の発明において、前記基板は半導体ウエハであることを特徴とするものである。
請求項8に記載の発明に係る基板吸着装置は、請求項5に記載の発明において、前記吸着テーブルは回転可能であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、吸着テーブル上に載置された基板をフィルムで覆い、吸着テーブルとフィルムとの間の気体を吸引孔から吸引し、基板が吸引孔を塞ぐことにより、反りが発生している基板(半導体ウエハ)の下面全面を吸着テーブル上に確実に吸着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明を含む製造方法により製造される半導体装置の一例の平面図。
【図2】図1のII−II線にほぼ沿う部分の断面図
【図3】図1および図2に示す半導体装置の製造方法の一例において、当初準備したものの断面図。
【図4】図3に続く工程の断面図。
【図5】この発明の一実施形態としての半導体ウエハ処理装置の概略平面図。
【図6】洗浄ユニットの概略斜視図。
【図7】図5に続く工程の概略平面図。
【図8】図7に続く工程の概略平面図。
【図9】図8に続く工程の一部の断面図。
【図10】図9に続く工程の概略平面図。
【図11】図10に続く工程の概略平面図。
【図12】図11に続く工程の概略平面図。
【図13】図12に続く工程の概略平面図。
【図14】図13に続く工程の概略平面図。
【図15】図14に続く工程の概略平面図。
【図16】図15に続く工程の概略平面図。
【図17】図16に続く工程の概略平面図。
【図18】図17に続く工程の概略平面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1はこの発明を含む製造方法により製造される半導体装置の一例の平面図を示し、図2は図1のII−II線にほぼ沿う部分の断面図を示す。この半導体装置はシリコン基板(半導体基板)1を備えている。シリコン基板1の上面には、図示していないが、所定の機能の集積回路を構成する素子、例えば、トランジスタ、ダイオード、抵抗、コンデンサ等の素子が形成されている。シリコン基板1の上面周辺部には、上記集積回路の各素子に接続されたアルミニウム系金属等からなる複数の接続パッド2が設けられている。
【0012】
シリコン基板1の周辺部および接続パッド2の中央部を除くシリコン基板1の上面には酸化シリコン、窒化シリコン等からなるパッシベーション膜(絶縁膜)3が設けられ、接続パッド2の中央部はパッシベーション膜3に設けられた開口部4を介して露出されている。パッシベーション膜3の周辺部を除く上面にはポリイミド系樹脂等からなる保護膜(絶縁膜)5が設けられている。パッシベーション膜3の開口部4に対応する部分における保護膜5には開口部6が設けられている。
【0013】
保護膜5の上面には複数の配線7が設けられている。配線7は、保護膜5の上面に設けられた銅等からなる下地金属層8と、下地金属層8の上面に設けられた銅からなる上部金属層9との2層構造となっている。配線7の一端部は、パッシベーション膜3および保護膜5の開口部4、6を介して接続パッド2に接続されている。配線7のランド上面には銅からなる柱状の外部接続用電極10が設けられている。
【0014】
シリコン基板1の周辺部上面、パッシベーション膜3の周辺部上面および配線7を含む保護膜5の上面において外部接続用電極10の周囲にはシリカフィラーを含むエポキシ系樹脂等からなる封止膜11が設けられている。ここで、外部接続用電極10は、その上面が封止膜11の上面と面一乃至封止膜11の上面よりも数μm凹むように設けられている。外部接続用電極10の上面には半田バンプ12が設けられている。
【0015】
次に、この半導体装置の製造方法の一例について説明する。まず、図3に示すように、ウエハ状態のシリコン基板(以下、半導体ウエハ21という)上に接続パッド3、パッシベーション膜4、保護膜6、下地金属層8と上部金属層9とからなる2層構造の配線7、外部接続用電極10および封止膜11が形成されたものを準備する。
【0016】
この場合、半導体ウエハ21の厚さは、図2に示すシリコン基板1の厚さよりも厚くなっている。外部接続用電極10の高さは、図2に示す外部接続用電極10の高さよりも高くなっている。封止膜11は外部接続用電極10の外周面および上面を覆うように形成されている。なお、図3において、符号22で示す領域はダイシングストリートである。そして、ダイシングストリート22およびその両側に対応する部分におけるパッシベーション膜4および保護膜6は除去され、この除去された部分には封止膜11が形成されている。
【0017】
次に、後述する半導体ウエハ処理装置を用いて、封止膜11の上面側および外部接続用電極10の上部を適宜に研削して除去すると、図4に示すように、外部接続用電極10の上面が露出されるとともに、この露出された外部接続用電極10の上面を含む封止膜11の上面が平坦化される。
【0018】
これ以後の工程を簡単に説明すると、外部接続用電極10の上面に半田バンプ12を形成し、半導体ウエハ21の下面側を適宜に研削して半導体ウエハ21の厚さを薄くし、封止膜11および半導体ウエハ21をダイシングストリート22に沿って切断すると、図1および図2に示す半導体装置が複数個得られる。
【0019】
ここで、図5はこの発明の一実施形態としての半導体ウエハ処理装置の概略平面図を示す。この半導体ウエハ処理装置は装置本体31を備えている。装置本体31の上面の図5において右側には第1の基板載置ユニット32が設けられている。第1の基板載置ユニット32は、垂直に配置された支持軸33を備えている。支持軸33は上下動可能となっている。
【0020】
支持軸33の上面には第1のアーム34の基端部が回転機構(図示せず)を介して回転可能に取り付けられている。第1のアーム34の先端部上面には第2のアーム35の基端部が回転機構(図示せず)を介して回転可能に取り付けられている。第2のアーム34の先端部上面には第3のアーム36の基端部が回転機構(図示せず)を介して回転可能に取り付けられている。第3のアーム36の先端部には吸着部材37が回転機構38を介して水平軸を中心に回転可能に取り付けられている。吸着部材37は、例えば先端を解放されたほぼC字形状であり、下面に複数の吸引孔(図示せず)を有する構造となっている。
【0021】
装置本体31の図5において右側には半導体ウエハ収容カセット載置台41が設けられている。半導体ウエハ収容カセット載置台41の上面の図5において下側には第1の半導体ウエハ収容カセット42が載置され、上側には第2の半導体ウエハ収容カセット43が載置されるようになっている。第1、第2の半導体ウエハ収容カセット42、43は、同じ構造であり、複数枚の半導体ウエハ21を上下方向に間隔をおいて収容することができるようになっている。
【0022】
第1の基板載置ユニット32の図5において右下における装置本体31の上面にはセンタリングテーブル44が回転可能に設けられている。第1の基板載置ユニット32の図5において右上における装置本体31の上面には乾燥用吸着テーブル45が回転可能に設けられている
【0023】
センタリングテーブル44の図5において右側における装置本体31の上面には第2の基板載置ユニット46が設けられている。第2の基板載置ユニット46は、垂直に配置された支持軸47を備えている。支持軸47は上下動可能および回転可能となっている。支持軸47の上部にはアーム48の基端部が取り付けられている。アーム48の先端部下面には吸着部材49が設けられている。吸着部材49は、円板状であり、下面に複数の吸引孔(図示せず)を有する構造となっている。
【0024】
乾燥用吸着テーブル45の図5において右側における装置本体31の上面には第3の基板載置ユニット51が設けられている。第3の基板載置ユニット51は、垂直に配置された支持軸52を備えている。支持軸52は上下動可能および回転可能となっている。支持軸52の上部にはアーム53の基端部が取り付けられている。アーム53の先端部下面には吸着部材54が設けられている。吸着部材54は、円板状であり、下面に複数の吸引孔(図示せず)を有する構造となっている。
【0025】
ここで、第1の基板載置ユニット32の吸着部材37は、第1の基板載置ユニット32の駆動により、平面的には、第1の半導体ウエハ収容カセット42の内部、第2の半導体ウエハ収容カセット43の内部、センタリングテーブル44の上方および乾燥用吸着テーブル45の上方に移動可能となっている。
【0026】
第2、第3の基板載置ユニット46、51の図5において右側における装置本体31の上面にはターンテーブル55が支持軸56と共に回転可能に設けられている。ターンテーブル55の上面には第1〜第3の吸着テーブル57、58、59が等間隔つまり120°ずつ離間して回転可能に設けられている。図5では、第1の吸着テーブル57は支持軸56の左側に位置させられ、第2の吸着テーブル58は支持軸56の右下に位置させられ、第3の吸着テーブル59は支持軸56の右上に位置させられている。第1〜第3の吸着テーブル57、58、59は、円板状であり、上面に複数の吸引孔(図示せず)を有する構造となっている。
【0027】
ここで、第2の基板載置ユニット46の吸着部材49は、第2の基板載置ユニット46の駆動により、平面的には、センタリングテーブル44の上方および支持軸56の左側に位置させられた第1の吸着テーブル57の上方に移動可能となっている。第3の基板載置ユニット51の吸着部材54は、第3の基板載置ユニット51の駆動により、平面的には、乾燥用吸着テーブル45の上方および支持軸56の左側に位置させられた第1の吸着テーブル57の上方に移動可能となっている。
【0028】
第3の吸着テーブル59の図5において右上の上方には円板状の粗削り用砥石部61を有する粗削り用回転円板62が上下動可能および回転可能に設けられている。第2の吸着テーブル58の図5において右下の上方には円板状の仕上げ用砥石部63を有する仕上げ用回転円板64が上下動可能および回転可能に設けられている。
【0029】
図5では図示していないが、支持軸56の左側に位置させられた第1の吸着テーブル57の上方には、図6に示す洗浄ユニット71が図5において上下方向(図6において左右方向)に移動可能に設けられている。洗浄ユニット71はユニット本体72を備えている。ユニット本体72の図6における右面には、左側から右側に向かって、第1の洗浄ユニット部73、第2の洗浄ユニット部75、フィルム載置ユニット77および第3の洗浄ユニット部80が設けられている。
【0030】
第1の洗浄ユニット部73は、下側に、上下動可能および回転可能な円板状の砥石部74を有する。第2の洗浄ユニット部75は、下側に、上下動可能および回転可能な円板状のブラシ部76を有する。フィルム載置ユニット77は、下側に、上下動可能な円板状のフィルム吸着部78を有する。第3の洗浄ユニット部80は、下側に、上下動可能および回転可能な円板状のブラシ部81を有する。
【0031】
フィルム載置ユニット77のフィルム吸着部78は、下面に複数の吸引孔(図示せず)を有する構造となっている。フィルム吸着部68の下面にはポリエチレンテレフタレート等からなる円形状(または正方形状)のフィルム79が吸着されるようになっている。フィルム79のサイズについては後で説明する。第3の洗浄ユニット部80のブラシ部81には水が供給されるようになっている。
【0032】
次に、この半導体ウエハ処理装置を用いて、図3に示す封止膜11の上面側および外部接続用電極10の上部を研削する場合について説明する。まず、この半導体ウエハ処理装置の初期状態について、図5を参照して説明する。第1の吸着テーブル57は支持軸56の左側に位置させられ、第2の吸着テーブル58は支持軸56の右下に位置させられ、第3の吸着テーブル59は支持軸56の右上に位置させられている。粗削り用砥石部61は粗削り用回転円板62と共に上限位置に位置させられている。仕上げ用砥石部63は仕上げ用回転円板64と共に上限位置に位置させられている。
【0033】
第1の基板載置ユニット32は図5に示すような初期位置に位置させられている。第2の基板載置ユニット46の吸着部材49は、センタリングテーブル44と、支持軸56の左側に位置させられた第1の吸着テーブル57と、の間の中間の初期位置に位置させられている。第3の基板載置ユニット51の吸着部材54は、乾燥用吸着テーブル45と、支持軸56の左側に位置させられた第1の吸着テーブル57と、の間の中間の初期位置に位置させられている。
【0034】
半導体ウエハ収容カセット載置台41の上面の図5において下側には第1の半導体ウエハ収容カセット42が載置され、上側には第2の半導体ウエハ収容カセット43が載置されている。この場合、第1の半導体ウエハ収容カセット42の内部には、図3に示す状態における複数枚の半導体ウエハ21A、21B、21C、21D、21E・・・が封止膜11側を上側とされて収容されている。第2の半導体ウエハ収容カセット43の内部は空っぽとなっている。また、第1、第2の半導体ウエハ収容カセット42、43の図5において右面は開放されている。
【0035】
図6に示す洗浄ユニット71は、第2、第3の基板載置ユニット46、51の吸着部材49、54の移動を邪魔しない初期位置に位置させられている。第1の洗浄ユニット部73の砥石部74、第2の洗浄ユニット部75のブラシ部76、フィルム載置ユニット77のフィルム吸着部78および第3の洗浄ユニット部80のブラシ部81は上限位置に位置させられている。フィルム載置ユニット77のフィルム吸着部78の下面にはフィルム79が吸着されている。
【0036】
以上のような初期状態において、第1の基板載置ユニット32の駆動により、第1の半導体ウエハ収容カセット42内に収容されている1枚目の半導体ウエハ21Aが取り出され、図7に示すように、この取り出された1枚目の半導体ウエハ21Aはセンタリングテーブル44上に載置される。次に、センタリングテーブル44等により、1枚目の半導体ウエハ21Aに対するセンタリングが行われる。
【0037】
次に、第2の基板載置ユニット46の駆動により、センタリングテーブル44上の1枚目の半導体ウエハ21Aは、図8に示すように、第1の吸着テーブル57上に載置される。ここで、図9(A)に示すように、1枚目の半導体ウエハ21Aと封止膜11との熱膨張係数差に起因する応力により、1枚目の半導体ウエハ21Aにその中央部に対してその外周部が浮き上がるような反りが発生していると、特に、1枚目の半導体ウエハ21Aの外周部下面と第1の吸着テーブル57の上面との間に比較的大きな隙間が形成される。なお、図9(A)において、符号57aで示すものは第1の吸着テーブル57の吸引孔である。
【0038】
次に、洗浄ユニット71が横方向に移動し、フィルム載置ユニット77のフィルム吸着部78が第1の吸着テーブル57の上方に位置する状態となる。次に、フィルム載置ユニット77の駆動により、フィルム吸着部78が下降し、フィルム吸着部78によるフィルム79に対する吸着が解除される。次に、フィルム吸着部78が上昇する。図9(B)に示すように、第1の吸着テーブル57上に載置された1枚目の半導体ウエハ21A上(実際は封止膜11上であるが、説明の都合上、以下においても半導体ウエハ上とする)にフィルム79が第1の吸着テーブル57上に載置された1枚目の半導体ウエハ21Aを覆い、第1の吸着テーブル57に達するように載置される。ここで、フィルム79のサイズは1枚目の半導体ウエハ21Aを覆い、第1の吸着テーブル57に達するサイズである。
【0039】
次に、図示しない吸引部により、第1の吸着テーブル57の吸引孔57aが減圧状態になると、フィルム79下の空気が吸引孔57a内に吸引され、フィルム79下が減圧状態となり、フィルム79で1枚目の半導体ウエハ21Aを全面的に押え付けることにより、図9(C)に示すように、1枚目の半導体ウエハ21Aがその反りを矯正されて第1の吸着テーブル57の上面に吸着される。したがって、この状態では、1枚目の半導体ウエハ21Aの下面全面は第1の吸着テーブル57の上面に確実に吸着されている。この場合、フィルム79はその厚さが例えば50μm程度で可撓性を有しているため、反っている1枚目の半導体ウエハ21Aを全面的に押え付けても、1枚目の半導体ウエハ21Aを破損することはない。
【0040】
1枚目の半導体ウエハ21Aの下面全面が第1の吸着テーブル57の上面に吸着されると、吸引孔57aによる吸引力がフィルム79に作用しなくなるため、フィルム79は1枚目の半導体ウエハ21および第1の吸着テーブル57上にただ単に載置された状態となる。そこで、次に、フィルム載置ユニット77の駆動により、フィルム吸着部78が下降し、フィルム吸着部78でフィルム79を吸着し、フィルム吸着部78がフィルム79と共に上昇すると、1枚目の半導体ウエハ21A上からフィルム79が取り除かれる。次に、洗浄ユニット71が横方向に移動して初期位置に戻る。
【0041】
次に、図10に示すように、ターンテーブル55が時計方向に120°回転すると、第1の吸着テーブル57は支持軸56の右上に位置させられ、第2の吸着テーブル58は支持軸56の左側に位置させられ、第3の吸着テーブル59は支持軸56の右下に位置させられる。次に、粗削り用砥石部61が粗削り用回転円板62と共に下降しながら回転し、且つ、第1の吸着テーブル57が1枚目の半導体ウエハ21Aと共に回転すると、1枚目の半導体ウエハ21A上の封止膜11の上面側および外部接続用電極10の上部が粗削りされる。次に、粗削り用砥石部61が粗削り用回転円板62と共に上昇して上限位置に戻る。
【0042】
ところで、この時点では、図11に示すように、第1の半導体ウエハ収容カセット42内に収容されていた2枚目の半導体ウエハ21Bが上記と同様にして取り出され、この取り出された2枚目の半導体ウエハ21Bが上記と同様にして第2の吸着テーブル58上に載置され、さらにこの2枚目の半導体ウエハ21Bが上記と同様にして第2の吸着テーブル58上に吸着されている。
【0043】
次に、図12に示すように、ターンテーブル55が時計方向にさらに120°回転すると、第1の吸着テーブル57は支持軸56の右下に位置させられ、第2の吸着テーブル58は支持軸56の右上に位置させられ、第3の吸着テーブル59は支持軸56の左側に位置させられる。次に、仕上げ用砥石部63が仕上げ用回転円板64と共に下降しながら回転し、且つ、第1の吸着テーブル57が1枚目の半導体ウエハ21Aと共に回転すると、1枚目の半導体ウエハ21A上の封止膜11の上面側および外部接続用電極10の上部が仕上げ削りされる。次に、仕上げ用砥石部63が仕上げ用回転円板64と共に上昇して上限位置に戻る。
【0044】
また、同時に、粗削り用砥石部61が粗削り用回転円板62と共に下降しながら回転し、且つ、第2の吸着テーブル58が2枚目の半導体ウエハ21Bと共に回転すると、2枚目の半導体ウエハ21A上の封止膜11の上面側および外部接続用電極10の上部が粗削りされる。次に、粗削り用砥石部61が粗削り用回転円板62と共に上昇して上限位置に戻る。
【0045】
ところで、この時点では、図13に示すように、第1の半導体ウエハ収容カセット42内に収容されていた3枚目の半導体ウエハ21Cが上記と同様にして取り出され、この取り出された3枚目の半導体ウエハ21Cが上記と同様にして第3の吸着テーブル59上に載置され、さらにこの3枚目の半導体ウエハ21Cが上記と同様にして第3の吸着テーブル59上に吸着されている。
【0046】
次に、図14に示すように、ターンテーブル55が反時計方向に240°回転して初期位置に戻ると、第1の吸着テーブル57は支持軸56の左側に位置する初期位置に戻され、第2の吸着テーブル58は支持軸56の右下に位置する初期位置に戻され、第3の吸着テーブル59は支持軸56の右上に位置する初期位置に戻される。ここで、ターンテーブル55を時計方向にさらに120°回転させずに反時計方向に240°回転させて初期位置に戻すのは、ターンテーブル55下に引き回されている配線を保護するためである。
【0047】
次に、洗浄ユニット71が横方向に移動し、第3の洗浄ユニット部80のブラシ部80が第1の吸着テーブル57の上方に位置する状態となる。次に、第3の洗浄ユニット部80の駆動により、ブラシ部80が下降しながら回転し、且つ、水が流出され、1枚目の半導体ウエハ21A上の封止膜11および外部接続用電極10の上面が洗浄される。次に、第3の洗浄ユニット部80の駆動により、ブラシ部80が上昇して上限位置に戻り、且つ、水の流出が停止される。次に、洗浄ユニット71が横方向に移動して初期位置に戻る。
【0048】
次に、第3の基板載置ユニット51の駆動により、第1の吸着テーブル57上の1枚目の半導体ウエハ21Aは、図15に示すように、乾燥用吸着テーブル45上に載置される。次に、1枚目の半導体ウエハ21Aは乾燥用吸着テーブル45上に吸着される。次に、乾燥用吸着テーブル45がその上に吸着された1枚目の半導体ウエハ21Aと共に回転すると、1枚目の半導体ウエハ21Aの乾燥が行われる。次に、乾燥用吸着テーブル45による1枚目の半導体ウエハ21Aに対する吸着が解除される。次に、第1の基板載置ユニット32の駆動により、乾燥用吸着テーブル45上の1枚目の半導体ウエハ21Aは、図16に示すように、第2の半導体ウエハ収容カセット43内に収容される。
【0049】
ところで、図15に示す工程では、以下の動作も行われる。すなわち、粗削り用砥石部61が粗削り用回転円板62と共に下降しながら回転し、且つ、第3の吸着テーブル59がと共に3枚目の半導体ウエハ21Cと共に回転すると、3枚目の半導体ウエハ21C上の封止膜11の上面側および外部接続用電極10の上部が粗削りされる。次に、粗削り用砥石部61が粗削り用回転円板62と共に上昇して上限位置に戻る。
【0050】
また、同時に、仕上げ用砥石部63が仕上げ用回転円板64と共に下降しながら回転し、且つ、第2の吸着テーブル58が2枚目の半導体ウエハ21Bと共に回転すると、2枚目の半導体ウエハ21B上の封止膜11の上面側および外部接続用電極10の上部が仕上げ削りされる。次に、仕上げ用砥石部63が仕上げ用回転円板64と共に上昇して上限位置に戻る。
【0051】
また、図15に示す工程では、以下の動作も行われる。すなわち、洗浄ユニット71が横方向に移動し、第1の洗浄ユニット部73の砥石部74が第1の吸着テーブル57の上方に位置する状態となる。次に、第1の洗浄ユニット部73の駆動により、砥石部73が下降しながら回転し、砥石部73で第1の吸着テーブル57の上面が擦られる。次に、第1の洗浄ユニット部73の駆動により、砥石部74が上昇して上限位置に戻る。
【0052】
次に、洗浄ユニット71が横方向に移動し、第2の洗浄ユニット部75のブラシ部76が第1の吸着テーブル57の上方に位置する状態となる。次に、第2の洗浄ユニット部75の駆動により、ブラシ部76が下降しながら回転し、ブラシ部76で第1の吸着テーブル57の上面が洗浄される。次に、第2の洗浄ユニット部75の駆動により、ブラシ部76が上昇して上限位置に戻る。
【0053】
ところで、この時点では、図17に示すように、第1の半導体ウエハ収容カセット42内に収容されていた4枚目の半導体ウエハ21Dが上記と同様にして取り出され、この取り出された4枚目の半導体ウエハ21Dが上記と同様にして第1の吸着テーブル57上に載置され、さらにこの4枚目の半導体ウエハ21Dが上記と同様にして第1の吸着テーブル57上に吸着されている。
【0054】
次に、図18に示すように、ターンテーブル55が時計方向に120°回転すると、第1の吸着テーブル57は支持軸56の右上に位置させられ、第2の吸着テーブル58は支持軸56の左側に位置させられ、第3の吸着テーブル59は支持軸56の右下に位置させられる。次に、上記と同様に、4枚目の半導体ウエハ21Dに対して粗削り用砥石部61による粗削りが行われ、3枚目の半導体ウエハ21Cに対して仕上げ用砥石部63による仕上げ削りが行われる。2枚目の半導体ウエハ21Bは、上記と同様にして、洗浄、乾燥後に、第2の半導体ウエハ収容カセット43内に収容される。以下、上記の動作が繰り返される。
【0055】
なお、半導体ウエハ21に対する処理は、その上に形成された封止膜11の上面側および外部接続用電極10の上部の研削に限定されるものではない。例えば、外部接続用電極10の上面に半田バンプ12を形成する場合において、上記のようなフィルム79を用いた吸着方法を採用するようにしてもよい。また、この発明は、半導体ウエハに限らず、他の基板にも適用可能である。
【符号の説明】
【0056】
10 外部接続用電極
11 封止膜
21 半導体ウエハ
31 装置本体
32 第1の基板載置ユニット(基板載置ユニット)
41 半導体ウエハ収容カセット載置台
42 第1の半導体ウエハ収容カセット
43 第2の半導体ウエハ収容カセット
44 センタリングテーブル
45 乾燥用吸着テーブル
46 第2の基板載置ユニット(基板載置ユニット)
51 第3の基板載置ユニット(基板載置ユニット)
55 ターンテーブル
57 第1の吸着テーブル
58 第2の吸着テーブル
59 第3の吸着テーブル
61 粗削り用砥石部
63 仕上げ用砥石部
71 洗浄ユニット
77 フィルム載置ユニット
78 フィルム吸着部
79 フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の吸引孔を有する吸着テーブル上に基板を載置し、
前記基板を覆うようにフィルムを載置し、
前記吸着テーブルと前記フィルムとの間の気体を前記吸引孔から吸引し、前記基板が前記吸引孔を塞ぐことを特徴とする基板吸着方法。
【請求項2】
請求項1に記載の発明において、前記吸着テーブル上に載置された前記基板はその中心部に対してその外周部が浮き上がるように反っていることを特徴とする基板吸着方法。
【請求項3】
請求項2に記載の発明において、前記基板は半導体ウエハであることを特徴とする基板吸着方法。
【請求項4】
請求項1に記載の発明において、前記吸着テーブルは回転可能であることを特徴とする基板吸着方法。
【請求項5】
複数の吸引孔を有する吸着テーブルと、
前記吸着テーブル上に基板を載置する基板載置ユニットと、
前記基板上にフィルムを載置するフィルム載置ユニットと、
前記吸着テーブルと前記フィルムとの間の気体を前記吸引孔から吸引し、前記吸引孔を前記基板によって塞ぐ吸引部と、
を備えることを特徴とする基板吸着装置。
【請求項6】
請求項5に記載の発明において、
前記基板載置ユニットは、更に前記吸着テーブル上から前記基板を取り除く操作をし、
前記フィルム載置ユニットは、更に前記基板上から前記フィルムを取り除く操作をし、
前記吸着テーブル上に載置された前記基板はその中心部に対してその外周部が浮き上がるように反っていることを特徴とする基板吸着装置。
【請求項7】
請求項6に記載の発明において、前記基板は半導体ウエハであることを特徴とする基板吸着装置。
【請求項8】
請求項5に記載の発明において、前記吸着テーブルは回転可能であることを特徴とする基板吸着装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−84643(P2012−84643A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228472(P2010−228472)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】