説明

基板検査装置並びにそのパラメータ設定方法およびパラメータ設定装置

【課題】不良品のサンプルが無い場合でも、基板検査装置に用いられるパラメータを自動生成可能な技術を提供する。
【解決手段】パラメータ設定装置が、基板上のスルーホールを撮像して得られた複数のスルーホール画像を取得し、そのスルーホール画像におけるスルーホール周辺画素の色分布から、不良な半田領域の画素がとり得る不良色範囲を推定する。そして、良品画像における半田領域の各画素の色を良点として色空間(色ヒストグラム)マッピングするとともに、その色空間の不良色範囲内に所定数の不良点をマッピングする。この色空間における良点と不良点の度数分布に基づいて良点の色と不良点の色とを分離するための色範囲を求め、その色範囲を基板検査で用いられる色条件(色パラメータ)として設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板検査装置で用いられるパラメータを自動生成するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、多数の電子部品が実装されたプリント基板の実装品質を検査するための基板検査装置が提案されている。この種のプリント基板において「電子部品の電極部とランドを半田付けした際の半田盛りの形状」を半田フィレットと呼ぶが、電子部品の電極部の濡れ上がりによっては、半田フィレットが形成されているように見えて、実は電子部品と半田フィレットが未接触な場合もある。よって、半田付けの良否を検査するには、自由曲線からなる半田フィレットの形状を正確に捉える必要がある。
【0003】
しかしながら、従前の基板検査装置では、モノクロ(単色)単一照明を光源に用いていたために、半田フィレットの3次元形状を画像解析するのが困難であった。それゆえ、半田付けの良否を判定することができず、基板検査装置として実用に耐えるものではなかった。
【0004】
このような課題を解決するため、本出願人は、図22に示す方式の基板検査装置を提案した(特許文献1参照)。この方式は3色光源カラーハイライト方式(もしくは単にカラーハイライト方式)とよばれるもので、複数の色の光源で検査対象を照らすことによって半田フィレットの3次元形状を疑似カラー画像として得る技術である。
【0005】
プリント基板の自動検査の実用化は、実質、このカラーハイライト方式技術の登場以降であると言われている。特に、電子部品が小型化する現在では、半田フィレット形状を目視で判別することも困難であり、カラーハイライト方式の基板検査装置なしでは基板検査が成り立たないと言うこともできる。
【0006】
図22に示すように、カラーハイライト方式の基板検査装置は、基板110上の検査対象107に異なる入射角で三原色光を照射する投光部105と、検査対象107からの反射光を撮像する撮像部106と、を備える。この投光部105は、異なる径を有し、かつ制御処理部からの制御信号に基づき赤色光、緑色光、青色光を同時に照射する3個の円環状光源111,112,113により構成されている。各光源111,112,113は、検査対象107の真上位置に中心を合わせ、かつ検査対象107から見て異なる仰角に対応する方向に配置されている。
【0007】
かかる構成の投光部105で検査対象(半田フィレット)107を照射すると、撮像部106には、検査対象107の表面の傾斜に応じた色の光が入射する。よって、図23に示すように、電子部品の半田付けが良好であるとき/部品が欠落しているとき/半田不足の状態であるときなど、半田フィレットの形状に応じて、撮像画像の色彩パターンに明確な差異が現れる。これにより、半田フィレットの3次元形状を画像解析するのが容易になり、電子部品の有無や半田付けの良否を正確に判定することができるようになる。
【0008】
カラーハイライト方式の基板検査装置では、「あるべき良品の色」や「あるべき不良品の色」を表す色パラメータ(色条件)を予め設定しておき、検査画像の中から色パラメータに該当する色領域を抽出し、その抽出された領域のもつ種々の特徴量(例えば、面積や長さ)に基づいて良否の判定を行う。したがって、実際の検査に先立ち、検査に用いる色パラメータ、特徴量の種類、良品と不良品とを切り分けるための判定条件(たとえば、しきい値)などを設定しておく必要がある。この色パラメータ、特徴量および判定条件を合
わせて検査ロジックもしくは検査パラメータと呼び、また検査ロジックを設定・調整することを一般にティーチングと呼ぶ。
【0009】
検査精度を向上するためには、良品の示す特徴量と不良品の示す特徴量との間に有意かつ明確な差異が現れるように色パラメータを設定することが肝要である。すなわち、色パラメータのティーチングの善し悪しが検査精度を直接左右すると言える。
【0010】
そこで本出願人は、図24に示すように、カラーハイライト方式における色パラメータの設定を支援するためのツールを提案している(特許文献2参照)。このツールでは、色パラメータとして、赤、緑、青の各色相比ROP、GOP、BOPおよび明度データBRTのそれぞれの上限値および下限値の設定が可能である。図24の入力画面には、色パラメータの設定値を入力するための色パラメータ設定部127とともに、設定された各色パラメータにより抽出される色彩の範囲を表示するための設定範囲表示部128が設けられている。この設定範囲表示部128には、所定の明度の下で得られるすべての色彩を示した色合い図134が表示されており、オペレータが各色パラメータの上限値、下限値を設定すると、色合い図134上には、設定された色パラメータにより抽出される色彩を囲むような確認領域135が表示される。また、2値化表示ボタン129を押すと、現在の色パラメータによる抽出結果が二値画像で表示される。このツールによれば、オペレータは、確認領域135や二値画像を見ながら、適切な抽出結果が得られるまで色パラメータの追い込みを行うことができる。
【0011】
ところで、両面実装基板において、面面と裏面を配線する役割を果たすものに、スルーホールがある。両面実装は、基板の高密度化に大きく貢献しており、スルーホールは基板の両面を接続する重要な役割を果たす。しかし、画像処理を基本とする視覚センサを用いた基板検査においては、スルーホールは部品や配線パターンとの誤認識を起こしやすく、検査性能に悪影響を与えることが多い。そこで従来は、スルーホールによる検査性能の劣化を防ぐために、基板検査の前処理段階でスルーホールを除去することが一般的であった。特許文献3、4には、スルーホール加工前の画像と加工後の画像を組み合わせることにより、スルーホールを画像から消去する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平2−78937号公報
【特許文献2】特開平9−145633号公報
【特許文献3】特開平4−120448号公報
【特許文献4】特開平7−20061号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
基板検査装置は、プリント基板の実装品質について一度に複数の検査項目を高速かつ正確に検査することが出来るという利点がある。ただし、基板検査装置の実稼動にあたっては、個別の検査対象に合わせて検査ロジック各々のティーチングを行い、不良品の見逃しがなく、かつ、良品を不良品と判定してしまう過検出が許容値(あらかじめ想定する値)以下に抑え込めるまで、判定精度を十分に高めなければならない。
【0013】
ところが、カラーハイライト方式の基板検査装置では、実用に耐え得る高度な基板検査が可能な反面、不良品の見逃しと過検出を目標値まで抑え込むためのティーチングが難しい。上述した色パラメータ設定支援ツールを利用したとしても、結局、色パラメータの追い込みはオペレータの経験と勘に頼る部分が大きいため、設定ミスの発生は避けられない。しかも、どれだけ優れたオペレータでも試行錯誤的に調整を繰り返さなければならず、非効率的であり、多大な労力と調整時間を要してしまうという問題がある。
【0014】
商品ライフサイクルの短命化が進む変化の激しい製造環境では、ティーチング作業の軽
減、さらにはティーチングの自動化が強く望まれている。
【0015】
また、ティーチングにあたっては、良品のサンプルと不良品のサンプルとをできるだけ多く準備することが好ましいが、現実的には、基板実装ラインにおいて生じ得る不良を予測することも、ティーチングのためだけにわざわざ大量の不良品を製造することも困難である。よって、良品のサンプルのみからティーチングを行わざるを得ないことも多い。そのような場合には、オペレータが自身の経験と勘に頼って不良品の色を想像する必要があり、作成される色パラメータの精度がオペレータのスキルに大きく依存する、という問題があった。
【0016】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、基板検査装置に用いられるパラメータを自動生成可能な技術を提供することにある。
【0017】
より具体的には、本発明の目的は、不良品のサンプルが無い場合でも高精度なパラメータを自動生成可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明に係る基板検査装置は、基板上の実装部品に異なる入射角で複数の色の光を照射し、その反射光を撮像して得られた画像から所定の色条件を満たす領域を抽出し、抽出された領域のもつ特徴量が所定の判定条件を満たすか否かで前記部品の実装状態を検査する。異なる入射角で複数の色の光を照射すると、検査対象物表面の角度に応じた色彩パターンが撮像されることを利用したものである。たとえば、良好な半田は傾斜しているため、その画像では入射角の最も大きい光の色相(以下、第1色相という。)が多く現れるのに対し、部品欠落不良時の半田はランド上に平坦に広がるため、その画像では入射角の最も小さい光の色相(以下、第2色相という。)が多く現れる傾向がある。よって、画像中の半田領域に第1色相もしくは第2色相の画素がどの程度含まれるかを調べることによって、半田付け状態の良否を判定することが可能となる。
【0019】
色条件や判定条件などのパラメータを作成(ティーチング)するにあたっては、教師画像として、第1色相の画素を多く含む良品画像と第2色相の画素を多く含む不良品画像とをなるべく多く準備することが好ましい。しかしながら、上述のように、不良品画像を十分に用意することは困難である。とはいえ、画像の色調は撮像環境や機器のバラツキ等によって変わるため、教師画像無しに第2色相を正確に予測することもできない。
【0020】
そこで本発明者らは、良品基板を撮像した画像から、不良品画像に現れる第2色相に相当する(近い)色を抽出できないか検討した。その結果、良品基板の画像中でも、半田の末端部分、部品の電極、スルーホール周辺の金属部分などが第2色相に近い色で撮像されることを見出した。これらの部分は、部品欠落不良時の半田と同様、表面が平坦(基板表面に対して平行)であるからである。また他にも、拡散反射する材質で可視光下において第2色相を呈する部品や基板なども、第2色相に近い色で撮像されることがわかった。
【0021】
そしてこれらの中でも、本発明者らは、特にスルーホール周辺の金属部分の色に着目した。スルーホールは両面実装基板であれば必ず存在すること、また、スルーホールは形状および大きさが既知のため画像認識による判別や色の抽出が容易であることなどの理由による。
【0022】
すなわち、本発明の要旨は、不良な半田の色の代替としてスルーホール周辺に現れる色を利用することによって、良品サンプルのみからパラメータを生成することにある。
【0023】
具体的には、本発明のパラメータ設定装置は、スルーホール画像取得手段、画像取得手
段、不良色範囲推定手段、マッピング手段、色範囲探索手段、色条件設定手段を有する。これらの機能は情報処理装置のプログラムによって実現される。
【0024】
パラメータ設定装置では、スルーホール画像取得手段が、基板上のスルーホールを撮像して得られた複数のスルーホール画像を取得し、画像取得手段が、半田付けの良好な部品を撮像して得られた複数の良品画像を取得する。不良色範囲推定手段が、前記スルーホール画像におけるスルーホール周辺画素の色分布から、不良な半田領域の画素がとり得る不良色範囲を推定する。そして、マッピング手段が、前記良品画像における半田領域の各画素の色を良点として色空間にマッピングするとともに、前記色空間の前記不良色範囲内に所定数の不良点をマッピングし、色範囲探索手段が、前記色空間における良点と不良点の度数分布に基づいて良点の色と不良点の色とを分離するための色範囲を求め、色条件設定手段が、求められた前記色範囲を基板検査で用いられる色条件(色パラメータ)として設定する。
【0025】
これにより、検査用のパラメータの1つである色条件が自動的に生成される。しかも、スルーホール周辺画素の色分布から不良色範囲が推定されるので、不良品画像が無くとも高精度なパラメータ生成が可能である。
【0026】
本発明で用いる色空間は、明度、色相、彩度の3軸から少なくともなる多次元色空間であってもよいが、たとえば、不良な半田領域に多く含まれ、かつ、良好な半田領域にほとんど含まれない傾向にある色相(つまり、第2色相)についての彩度軸と明度軸からなる2次元色空間を用いることも好ましい。2次元色空間を採用することにより、色範囲の探索処理が簡単になる。また、2次元色空間において、色条件を彩度の下限と上限、および、明度の下限と上限から構成すれば、色範囲が矩形領域となり、色範囲の探索処理が一層簡単になる。
【0027】
厳密にいえば、スルーホール周辺に現れる色と、不良な半田領域に現れる色とは若干相違する。具体的には、両者の色相は略一致するが、明度が異なる傾向にある。
【0028】
そこで、不良色範囲推定手段が、前記スルーホール周辺画素の色分布範囲を求め、その色分布範囲の明度方向の値域を補正することによって前記不良色範囲を決定するとよい。このように明度補正を行うことによって、より本物(不良な半田領域)に近い不良色範囲を求めることができ、色条件のティーチング精度が向上する。
【0029】
ここで、不良色範囲推定手段は、前記スルーホール周辺画素の色分布範囲の明度の上限を明度最大値まで拡大したものを前記不良色範囲とするとよい。不良な半田領域に現れる色は、スルーホール周辺に現れる色に比べて明度方向の広がりが大きく、その上限は明度の最大値付近まで達する傾向にある、という知見に基づいている。
【0030】
不良色範囲の形状は自由に設定してよい。たとえば、矩形でもよいし、多角形状でもよいし、良点の分布範囲と対称な形状や、スルーホール周辺画素の色分布範囲を拡大した形状などでもよい。
【0031】
また、不良色範囲内に分布させる不良点の数(度数)や、その分布のさせ方なども自由に設定してよい。たとえば、不良点の数については、スルーホール周辺画素の数と同一でもよいし、ティーチングに必要十分な数を予め設定しておいてもよいし、良点の度数と略等しい数でもよい。分布のさせ方については、不良色範囲内に均一に分布させてもよいし、正規分布を採用してもよいし、経験的あるいは統計的な傾向に基づいて重み付け分布を採用してもよい。良点の分布範囲を把握し、その分布範囲と不良色範囲との境界付近に重みを付けることも好ましい。
【0032】
前記色範囲探索手段は、前記色範囲に含まれる不良点の数と良点の数の差が最大となるように色範囲を決定するとよい。かかるアルゴリズムにより、良点と不良点とを好適に切り分ける色範囲を自動的に探索することができる。
【0033】
以上のようにして色条件が設定された後は、判定条件の設定処理を実行するとよい。その場合、本発明のパラメータ設定装置は、特徴量ヒストグラム生成手段、しきい値決定手段、判定条件設定手段を具備するとよい。これらの機能は情報処理装置のプログラムによって実現される。
【0034】
そして、パラメータ設定装置では、特徴量ヒストグラム生成手段が、前記良品画像における半田領域から前記色条件を満たす画素領域を抽出して、その画素領域のもつ特徴量についての特徴量ヒストグラムを生成し、しきい値決定手段が、前記特徴量ヒストグラムの度数分布に基づいて前記良品画像における半田領域の特徴量を判別するためのしきい値を算出し、判定条件設定手段が、算出された前記しきい値を基板検査で用いられる判定条件として設定する。これにより、検査用パラメータの1つである判定条件(しきい値)も自動的に生成される。
【0035】
ここで特徴量としては、画素領域の面積、面積比、長さ、最大幅、重心、形状など種々のものが想定される。検査により検出すべき対象に応じて好ましい特徴量を1つまたは2つ以上採用すればよい。
【0036】
このように自動生成されたパラメータ(色条件と判定条件)は基板検査装置の記憶部に格納され、基板検査処理に供される。
【0037】
なお、本発明は、上記処理の少なくとも一部を含む基板検査装置のパラメータ設定方法、または、かかる方法を実現するためのプログラムとして捉えることができる。また、本発明は、上記処理を実行する手段の少なくとも一部を有する基板検査装置のパラメータ設定装置、または、かかる装置を備えた基板検査装置として捉えることもできる。上記手段および処理の各々は可能な限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、不良品のサンプルが無い場合でも、基板検査装置に用いられるパラメータを精度良く自動生成することができ、ティーチング作業の軽減、さらにはティーチングの自動化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。
【0040】
<第1実施形態>
(基板検査システムの構成)
図1は、本発明の実施形態に係る基板検査システムのハードウェア構成を示している。
【0041】
基板検査システムは、基板検査処理を実行する基板検査装置1と、この基板検査装置1の基板検査処理において用いられるパラメータを自動生成するパラメータ設定装置2とから構成される。基板検査装置1とパラメータ設定装置2は、有線もしくは無線のネットワーク、または、MOやDVDなどの記録媒体を介して、画像やパラメータなどの電子データの受け渡しを行うことができる。なお、本実施形態では基板検査装置1とパラメータ設定装置2が別体構成となっているが、基板検査装置本体にパラメータ設定装置の機能を組み込んで一体構成とすることも可能である。
【0042】
(基板検査装置の構成)
基板検査装置1は、カラーハイライト方式により基板20上の実装部品21の実装品質(半田付け状態など)を自動検査する装置である。基板検査装置1は、概略、Xステージ22、Yステージ23、投光部24、撮像部25、制御処理部26を備えている。
【0043】
Xステージ22およびYステージ23は、それぞれ制御処理部26からの制御信号に基づいて動作するモータ(図示せず)を備える。これらモータの駆動によりXステージ22が投光部24および撮像部25をX軸方向へ移動させ、またYステージ23が基板20を支持するコンベヤ27をY軸方向へ移動させる。
【0044】
投光部24は、異なる径を有しかつ制御処理部26からの制御信号に基づき赤色光,緑色光,青色光を同時に照射する3個の円環状光源28,29,30により構成されている。各光源28,29,30は、観測位置の真上位置に中心を合わせかつ観測位置から見て異なる仰角に対応する方向に配置されている。かかる配置により、投光部24は基板20上の実装部品21に異なる入射角で複数の色の光(本実施形態では、R,G,Bの3色)を照射する。
【0045】
撮像部25はカラーカメラであって、観測位置の真上位置に下方に向けて位置決めしてある。これにより基板表面の反射光が撮像部25により撮像され、三原色のカラー信号R,G,Bに変換されて制御処理部26へ供給される。
【0046】
制御処理部26は、A/D変換部33、画像処理部34、検査ロジック記憶部35、判定部36、撮像コントローラ31、XYステージコントローラ37、メモリ38、制御部(CPU)39、記憶部32、入力部40、表示部41、プリンタ42、通信I/F43などで構成される。
【0047】
A/D変換部33は、撮像部25からのカラー信号R,G,Bを入力してディジタル信号に変換する回路である。各色相毎のディジタル量の濃淡画像データは、メモリ38内の画像データ格納エリアへと転送される。
【0048】
撮像コントローラ31は、制御部39と投光部24および撮像部25とを接続するインターフェイスなどを備える回路であり、制御部39の出力に基づき投光部24の各光源28,29,30の光量を調整したり、撮像部25の各色相光出力の相互バランスを保つなどの制御を行う。
【0049】
XYステージコントローラ37は制御部39とXステージ22およびYステージ23とを接続するインターフェイスなどを備える回路であり、制御部39の出力に基づきXステージ22およびYステージ23の駆動を制御する。
【0050】
検査ロジック記憶部35は、基板検査処理に用いられる検査ロジックを記憶する記憶部である。基板検査装置1では、半田形状を検査するフィレット検査や部品の欠落を検査する欠落検査など、複数種類の検査処理を行うことができる。検査ロジックは、検査の種類ごとに用意されるものであって、画像から所定の色彩パターン(画素領域)を抽出するための色パラメータ(色条件)、その色彩パターンから抽出する特徴量の種類、その特徴量に関する良否の判定条件などから構成される。
【0051】
画像処理部34は、基板20上の部品21を撮像して得られた画像から色パラメータを満たす領域を抽出する処理、および、抽出された領域から所定の特徴量を算出する処理を実行する回路である。判定部36は、画像処理部34で算出された特徴量を受け取り、そ
の特徴量が所定の判定条件を満たすか否かで部品の実装状態の良否を判定する処理を実行する回路である。
【0052】
入力部40は、操作情報や基板20に関するデータなどを入力するのに必要なキーボードやマウスなどから構成されている。入力されたデータは制御部39へ供給される。通信I/F43は、パラメータ設定装置2や他の外部装置などとの間でデータの送受信を行うためのものである。
【0053】
制御部(CPU)39は、各種演算処理や制御処理を実行する回路である。記憶部32は、ハードディスクやメモリから構成される記憶装置であって、制御部39にて実行されるプログラムの他、基板のCAD情報、基板検査処理の判定結果などが格納される。
【0054】
図2に基板検査装置1の機能構成を示す。基板検査装置1は、指示情報受付機能10、基板搬入機能11、CAD情報読込機能12、ステージ操作機能13、撮像機能14、検査ロジック読込機能15、検査機能16、判定結果書込機能17、基板搬出機能18を有する。これらの機能は、制御部39が記憶部32に格納されたプログラムに従って上記ハードウェアを制御することによって実現されるものである。また、記憶部32の内部には、CAD情報を記憶するCAD情報記憶部32aと判定結果を記憶する判定結果記憶部32bが設けられている。
【0055】
(基板検査処理)
次に、上記基板検査装置1における基板検査処理について述べる。ここでは、基板検査処理の一例として、部品の欠落検査を説明する。部品欠落検査とは、部品の実装位置が正常か否かを判定する処理であって、部品の位置ずれや欠落などの欠落不良を発見するために行うものである。
【0056】
図3の上段に示すように、部品が正常な位置(設計上の位置)に実装されている場合、半田フィレット形状が、部品21から基板20上のランドにかけて山の裾野のような広い傾斜面となる。これに対し、欠落不良品では半田がランド全面に広がり、ランド中央部の半田フィレット形状が平面状になる。
【0057】
これらの半田フィレットを基板検査装置1で撮像すると、それぞれ図3の中段に示すような画像が得られる。赤色,緑色,青色の照射光はそれぞれ異なる角度で半田フィレットに入射するため、半田フィレットの傾斜に応じて撮像部25に入射する反射光の色相が変化する。つまり、傾斜の急な部分では入射角度の最も大きい青色光の反射光が支配的となるのに対し、傾斜がほとんどない部分では入射角度の最も小さい赤色光の反射光が支配的となる。したがって、良品の半田フィレットでは青色の色相の領域が大きくなり、欠落不良品の半田フィレットでは赤色の色相の領域が大きくなるのである。
【0058】
本実施形態の欠落検査では、このような色彩パターンの傾向を利用し、赤色領域の大きさ(面積)に基づいて部品の実装状態の良否判定を行う。以下、図4のフローチャートに沿って、欠落検査の処理の流れを具体的に説明する。
【0059】
指示情報受付機能10は、基板検査の実行を指示する指示情報が入力されるまで待ち状態にある(ステップS100;NO、ステップS101)。入力部40の操作により、もしくは、通信I/F43を介して外部機器から指示情報が入力されると、指示情報受付機能10が指示情報を、基板搬入機能11、CAD情報読込機能12および検査ロジック読込機能15に送る(ステップS100;YES)。この指示情報には検査対象となる基板の情報(型番など)が含まれている。
【0060】
検査ロジック読込機能15は、基板の型番に対応する検査ロジックを検査ロジック記憶部35から読み込む(ステップS102)。ここでは欠落検査用の検査ロジックが読み込まれる。検査ロジックには色パラメータ(色条件)およびしきい値(判定条件)が含まれる。
【0061】
また、基板搬入機能11は、指示情報に基づいてプリント基板搬入部から検査対象となる基板20をコンベヤ27上に搬入し(ステップS103)、CAD情報読込機能12は、基板の型番に対応するCAD情報をCAD情報記憶部32aから読み込む(ステップS104)。
【0062】
次に、ステージ操作機能13は、読み込まれたCAD情報から基板20の寸法、形状、部品の配置などの情報を得て、基板20上に実装された複数の部品21が順に観測位置(撮像位置)に位置合わせされるように、XYステージコントローラ37を介してXステージ22およびYステージ23を操作する(ステップS105)。
【0063】
一方、撮像機能14は、撮像コントローラ31を介して投光部24の3個の光源28,29,30を発光させ、赤色、緑色、青色の光を同時に基板20上に照射する。また、撮像機能14は、撮像コントローラ31を介して撮像部25を制御し、ステージ22,23の操作に同期して基板20上の部品21を撮像する(ステップS106)。撮像された画像はメモリ38に取り込まれる。
【0064】
次に、検査機能16が、画像処理部34によって撮像画像から半田領域を抽出する(ステップS107)。半田領域の抽出はたとえばテンプレートマッチングにより自動で行うことができる。
【0065】
続いて、検査機能16は、抽出された半田領域を色パラメータを用いて二値化する(ステップS108)。ここで用いられる色パラメータは、赤色の彩度の下限と上限、および、明度の下限と上限の4つの値で構成されている。二値化処理では、色パラメータで定義された色範囲内に含まれる画素が白画素に、それ以外の画素が黒画素に変換される。
【0066】
図3の下段は、二値化後の半田領域を示している。色パラメータで二値化することにより、半田領域中の赤系色の領域のみが白画素として抽出され、良品画像と不良品画像の間の差異(特徴)が明確化していることがわかる。
【0067】
続いて、検査機能16は、画像処理部34にて、白画素領域の特徴量を抽出する。ここでは特徴量として白画素領域の面積(画素数)が計算される。そして、検査機能16は、白画素領域の面積値を判定部36に引き渡し、判定部36にて白画素領域の面積値としきい値とを比較する(ステップS109)。面積値がしきい値を超えた場合には(ステップS109;YES)、当該部品21の実装品質が不良(欠落不良有り)と判定され(ステップS110)、面積値がしきい値以下の場合には(ステップS109;NO)、当該部品21の実装品質が良(欠落不良無し)と判定される(ステップS111)。
【0068】
判定結果書込機能17は、上記判定結果をロケーションID(部品を特定するための情報)とともに判定結果記憶部32bに書き込む(ステップS112)。
【0069】
基板20上のすべての部品について検査を行ったら、基板搬出機能18がプリント基板搬送部によって基板20を搬出し、基板検査処理を終了する(ステップS113)。
【0070】
以上述べた基板検査処理によれば、2次元画像に現れる色彩パターンによって半田フィレットの3次元形状を的確に把握でき、それに基づき欠落不良の有無を正確に判定可能と
なる。
【0071】
ところで、不良品の見逃しがなく、かつ、過検出が許容値以下になるような高い判定精度を実現するためには、予め検査ロジックの色パラメータ(色条件)およびしきい値(判定条件)を検査対象に合わせて最適な値に設定しておく必要がある。従来、欠落検査に用いられるパラメータを精度良く設定するためには、多数の欠落不良品のサンプル(教師画像)と経験豊富な熟練者の存在が不可欠であった。これに対し、本実施形態では、パラメータ設定装置2によってパラメータ生成の自動化を実現するとともに、さらに欠落不良品の教師画像が無い場合でも、良品サンプルの画像のみから欠落不良の半田領域に現れる色を推定することによって高精度なパラメータ生成を可能としている。
【0072】
以下、パラメータ設定装置2の構成および処理について、不良品画像有りの場合と不良品画像無しの場合に分けて、詳しく説明する。
【0073】
[不良品画像有りの場合]
(パラメータ設定装置の構成)
パラメータ設定装置2は、図1に示すように、CPU、メモリ、ハードディスク、I/O制御部、通信I/F、表示部、情報入力部(キーボードやマウス)などを基本ハードウェアとして備える汎用のコンピュータ(情報処理装置)によって構成される。
【0074】
図5は、パラメータ設定装置2の機能構成のうち、良品および欠落不良品の教師画像からパラメータを生成するための機能部分を示している。同機能部分は、指示情報受付機能50、教師画像情報読込機能51、画像取得機能52、振分機能53、マッピング機能54、色範囲探索機能55、二値化機能56、特徴量ヒストグラム生成機能57、しきい値決定機能58、検査ロジック生成機能59、検査ロジック書込機能60からなる。これらの機能は、メモリもしくはハードディスクに格納されたプログラムがCPUに読み込まれ実行されることによって実現されるものである。
【0075】
また、ハードディスク内には、ティーチングに用いる教師画像情報を記憶する教師画像情報DB61が設けられている。教師画像情報は、基板検査装置1によって撮像された実装部品の画像と、その画像が良品か不良品かを示す教師情報(ティーチングデータ)とからなる。ティーチングの信頼性を高めるために、良品と不良品それぞれについて数十〜数千の教師画像情報を準備することが好ましい。
【0076】
(パラメータ設定処理)
図6のフローチャートに沿って、パラメータ設定処理の流れを説明する。なお、本実施形態では、上述した欠落検査で用いられる検査パラメータを生成する例を挙げる。
【0077】
指示情報受付機能50は、検査ロジックの自動生成を指示する指示情報が入力されるまで待ち状態にある(ステップS200;NO、ステップS201)。情報入力部から指示情報が入力されると、指示情報受付機能50は教師画像情報読込機能51に指示情報を伝える(ステップS200;YES)。この指示情報には検査ロジック生成の対象となる教師画像情報を特定する情報、および、検査ロジックの種類などが含まれている。
【0078】
教師画像情報読込機能51は、指示情報に従って、作成すべき検査ロジックに対応する教師画像情報を教師画像情報DB61から読み込む(ステップS202)。教師画像情報には、良品画像(部品の実装位置が正常な画像)と不良品画像(部品の実装位置が正常でない画像)とが含まれる。これらの画像には教師情報が付与されている。
【0079】
図7に良品画像と不良品画像の例を示す。良品画像では、部品62が設計通りの位置に
実装されており、部品62両端のランド領域63,63に良好な半田フィレットが形成されている。この画像には教師情報「良」が付与されている。一方、不良品画像では、部品が欠落しており、ランド領域65,65には扁平な半田フィレットが形成されている。この画像には教師情報「不良」が付与されている。
【0080】
教師画像情報が読み込まれたら、画像取得機能52が、教師情報の付与された画像から半田領域を抽出する(ステップS203)。画像取得機能52は、図8に示すように、ランドウィンドウ70と部品本体ウィンドウ71から構成されるテンプレートを有しており、テンプレートを拡大/縮小したり、ランドウィンドウ70と部品本体ウィンドウ71の相対位置をずらしたりしながら、各ウィンドウ70,71を画像中のランド領域63,65および部品62に合わせ込む。なお、図8の不良品画像のように部品が欠落している場合には、両端のランドウィンドウ70の中間に部品本体ウィンドウ71を仮配置する。ウィンドウの合わせ込みには、例えば、テンプレートマッチングなどの手法を利用すればよい。これにより、良品画像と不良品画像それぞれについてランド領域63,65が特定される。そして、ランドウィンドウ70から部品本体ウィンドウ71との重なり部分を除いた領域が半田領域として抽出される(図8の斜線部分参照)。なお、ランド領域自体(ランドウィンドウ70全体)を半田領域として扱ってもよい。
【0081】
次に、振分機能53が、教師情報に基づき、抽出された半田領域を対象画像と除外画像とに振り分ける(ステップS204)。本例では不良品検出が目的であるため、教師情報「不良」が付与された半田領域が対象画像とされ、教師情報「良」が付与された半田領域が除外画像とされる。教師情報「無視」が付与された半田領域は無視される。
【0082】
ここで抽出された対象画像は欠落不良が生じた場合の不良な半田フィレットを表しており、除外画像は部品実装位置が正常な場合の良好な半田フィレットを表している。よって、欠落検査用の最適な色パラメータを作成することは、対象画像の画素の色(赤系色)をなるべく多く包含し、かつ、除外画像の画素の色をほとんど排除できるような色範囲の最適解を求めることと等価である。
【0083】
そこでまず、マッピング機能54が、対象画像と除外画像の全画素の色を色ヒストグラムにマッピングする(ステップS205)。このとき、対象画像の画素は「対象点」として、除外画像の画素は「除外点」として、互いに区別可能な形式でマッピングが行われる。色ヒストグラムとは、色空間内の各点に画素の度数(個数)を記録したものである。色ヒストグラムにより、半田領域を構成する画素の色分布を把握することができる。なお、ここで言うところの画素とは、画像の最小解像度のことである。複数の画素でまとめてマッピング処理を実行すると混色が発生するため、画素ごとの処理が好ましい。
【0084】
一般に、色空間は、少なくとも色相、彩度、明度の多次元空間からなる。よって、画素の色分布を正確に把握するには、多次元色空間に画素の色をマッピングした多次元色ヒストグラムを用いることが好ましい。
【0085】
ただし、カラーハイライト方式では、光源に赤・青を使用していることから、半田領域には赤または青の色が強く現れる傾向にある(これは、半田表面において鏡面反射に近い反射が生じるためである。)。また、上述のように、良好な半田領域ではほとんどの画素が青系色となり、不良な半田領域ではほとんどの画素が赤系色になることもわかっている。
【0086】
したがって、不良な半田領域に現れる色(対象点)と良好な半田領域に現れる色(除外点)を分離するための色パラメータを決定する目的であれば、1色(たとえば赤色)または2色(たとえば青色と赤色)を考慮すれば十分といえる。そこで、本実施形態では、対
象画像(不良な半田領域)に多く含まれ、かつ、除外画像(良好な半田領域)にほとんど含まれない傾向にある色相として赤色を選択し、赤色の彩度軸と明度軸からなる2次元色空間に画素の色をマッピングした2次元色ヒストグラムを用いる。これにより、色パラメータの最適解を求めるアルゴリズムが極めて簡単化される。
【0087】
図9は、2次元色ヒストグラムの一例を示している。横軸が赤の彩度を表しており、プラスの値が大きくなるほど赤成分が強くなり、マイナスの値が大きくなるほど赤の補色であるシアン成分が強くなる。縦軸は明度を表しており、値が大きくなるほど明るさが強くなる。ヒストグラム中の白丸(○)が対象点を表し、黒三角(▲)が除外点を表している。対象点と除外点では色分布に違いがあることがわかる。
【0088】
次に、色範囲探索機能55が、2次元色ヒストグラムに基づいて、対象点の色分布と除外点の色分布とを最適に切り分ける色範囲を探索する(ステップS206)。本実施形態では、アルゴリズムの簡単化のため、図10(a)に示すように、彩度の下限(RInf)と上限(RSup)、および、明度の下限(LInf)と上限(LSup)からなる矩形の色範囲を考える。ここで求めるべき最適解は、対象点(○)をなるべく多く包含し、かつ、除外点(▲)をほとんど含まないような色範囲である。
【0089】
具体的には、色範囲探索機能55は、RInf、RSup、LInf、LSupそれぞれの値を変えながら、各色範囲について度数合計値Eを算出し(式1参照)、度数合計値Eが最大となる色範囲を求める。度数合計値Eは、色範囲に含まれる対象点の数(度数)と除外点の数(度数)の差を表す指標である。図10(b)は、度数合計値Eが最大となる色範囲を示している。
【数1】

【0090】
そして、色範囲探索機能55は、度数合計値Eが最大となる色範囲を検査用の色パラメータ(色条件)として設定する。このように、本実施形態によれば、対象画像(対象点)と除外画像(除外点)とを適切に切り分ける色パラメータを自動的に生成することができる。
【0091】
次に、上記色パラメータを用いて、検査用のしきい値(判定条件)を自動生成する処理が実行される。
【0092】
まず、二値化機能56が、上記色パラメータを用いて、良品画像および不良品画像のすべての半田領域を二値化する(ステップS207)。この二値化処理では、色パラメータで定義された色範囲内に含まれる画素が白画素に、それ以外の画素が黒画素に変換される。
【0093】
図11に示すように、不良品画像では白画素の領域が非常に大きく、良品画像では白画素の領域がきわめて小さくなる。よって、このような二値化画像を利用すると、良品・不良品を識別するための特徴量を定量的に計算するのが容易になる。特徴量としては、白画素領域の面積、面積比、重心、長さ、最大幅、形状などが挙げられるが、ここでは面積を
特徴量として選ぶ。
【0094】
特徴量ヒストグラム生成機能57は、良品画像の特徴量の分布傾向と不良品画像の特徴量の分布傾向との違いを把握するため、良品画像、不良品画像のそれぞれについて、白画素領域の面積値に関する面積ヒストグラムを作成する(ステップS208)。図12は、良品画像と不良品画像の面積ヒストグラム(以下、単に「良品ヒストグラム」「不良品ヒストグラム」とよぶ。)の一例を示している。良品画像の特徴量分布と不良品画像の特徴量分布に明確な違いが現れていることがわかる。
【0095】
次に、しきい値決定機能58が、良品ヒストグラムおよび不良品ヒストグラムの度数分布に基づいて、良品画像の特徴量と不良品画像の特徴量を最適に分離するためのしきい値を算出する(ステップS209)。特徴量ヒストグラムに現れた2つの山を最適に分離する手法は種々提案されており、ここではどの方法を採用してもよい。たとえば、大津の判別分析法を利用してもよいし、あるいは、経験に基づき良品画像の山の端から3σだけ離れた点をしきい値に決めてもよい。このようにして、良品と不良品を判別するためのしきい値が生成される。
【0096】
そして、検査ロジック生成機能59が、色パラメータ、特徴量の種類(本例では面積)、しきい値から検査ロジックを生成し(ステップS210)、検査ロジック書込機能60が、その検査ロジックを基板検査装置1の検査ロジック記憶部35に書き込む(ステップS211)。
【0097】
以上述べた処理によれば、部品の欠落検査で用いられる検査ロジック(パラメータ)が自動で生成されるので、ティーチングに要する時間と負荷を大幅に削減することができる。
【0098】
しかも、上述したアルゴリズムによって最適な色パラメータとしきい値とが算出されるので、カラーハイライト方式による良否判定を高精度に行うことが可能となる。なお、色パラメータとしきい値の信頼性は、最初に与える教師画像情報の数が多くなるほど向上する。
【0099】
[不良品画像無しの場合]
不良品画像が無い場合、本実施形態では、不良な半田領域の色の代替として基板上のスルーホール周辺に現れる色を利用する。
【0100】
両面実装基板には多数のスルーホールが設けられる。図13に示すように、スルーホール80の周囲には、表面の配線パターンと裏面の配線パターンとを電気的に接続するための金属環81が取り付けられている。この金属環81の表面は平ら(基板表面と略平行)であるため、青色および緑色の反射光は撮像部25にほとんど入射せず、もっぱら赤色の反射光が撮像部25に入射する。これは、欠落不良の半田フィレットの場合と同様である。よって、スルーホール周辺には、欠落不良の半田領域に近い色が現れることになる。
【0101】
ただし、本発明者らの実験により、スルーホールの周囲に現れる色と、欠落不良の半田領域に現れる赤色とは若干相違することが判っている。具体的には、両者の色相は略一致するが、スルーホールの周囲に現れる赤色のほうが明度が小さくなる傾向にある。色相が共通するのは、両者とも基本的には同じ赤色光源からの光のみが入射しているからと考えられる。一方、明度が相違するのは、金属環81の表面の幅は狭いため、撮像部25に入射する反射光の光量が半田フィレットに比べて小さいからであると考えられる。
【0102】
そこで本実施形態では、良品の基板を撮像して得られた画像からスルーホール周辺に現
れる赤色を抽出し、その明度を補正することによって、欠落不良の半田領域に現れる色を近似する。
【0103】
(パラメータ設定装置の構成)
図14および図15は、パラメータ設定装置2の機能構成のうち、スルーホール画像と良品の教師画像からパラメータを生成するための機能部分を示している。
【0104】
パラメータ設定装置2は、新たな機能として、基板画像読込機能90、CAD情報読込機能91、スルーホール画像取得機能92、スルーホール周辺画素マッピング機能93、外れ値削除機能94、色分布範囲設定機能95、色分布範囲補正機能96、不良色情報書込機能97、不良色情報読込機能99を備える。これらのうちスルーホール周辺画素マッピング機能93、外れ値削除機能94、色分布範囲設定機能95および色分布範囲補正機能96により不良色範囲推定機能が構成されている。これらの機能も、メモリもしくはハードディスクに格納されたプログラムがCPUに読み込まれ実行されることによって実現されるものである。また、ハードディスク内には、不良色範囲推定機能によって推定された不良色範囲を記憶する不良色情報記憶部98が設けられている。
【0105】
(不良色範囲推定処理)
図16のフローチャートに沿って、スルーホール画像におけるスルーホール周辺画素の色分布から、不良な半田領域の画素がとり得る色の範囲(不良色範囲)を推定する処理について説明する。
【0106】
まず、基板画像読込部90が、基板検査装置1の撮像部25または画像情報DBから、プリント基板の撮像画像(基板画像)を読み込む(ステップS300)。ここで撮像するプリント基板としては、半田状態の良好な良品のサンプル基板を用いてもよいし、部品実装前のベアボードを用いてもよい。
【0107】
次に、CAD情報読込機能91が、基板検査装置1のCAD情報記憶部32aから、読み込んだ基板画像に対応するプリント基板のCAD情報を読み込む(ステップS301)。このCAD情報には、プリント基板上のスルーホールの位置、寸法などの情報が含まれている。
【0108】
スルーホール画像取得機能92は、基板画像から複数のスルーホール画像を取得する(ステップS302)。具体的には、図17に示すように、CAD情報を参照して基板画像中のスルーホール80の存在範囲82を大まかに特定した後、その存在範囲82の中から画像認識処理によってスルーホール80の詳細位置83を特定する。スルーホール80では光が反射されないため、カラーハイライト方式の基板検査装置1で撮像された画像ではスルーホール80が黒く写る。よって、黒い色(明度および彩度が低い色)を対象とした一般的な円形探索アルゴリズムを適用することによって、スルーホール80の詳細位置83を容易に特定することができる。詳細位置83が特定されたら、スルーホール画像取得機能92は、スルーホール80の周辺を含む部分画像をスルーホール画像として抽出する。図17に示すように、スルーホール80の周辺(金属環81の部分)には赤色光源の色が現れている。
【0109】
続いて、スルーホール周辺画素マッピング機能93が、スルーホール画像から、スルーホール80の周辺画素を複数点サンプリングし、それらの周辺画素の色を色ヒストグラムにマッピングする(ステップS303)。このとき、複数のスルーホール画像から十数点〜数百点の周辺画素をサンプリングするとよい。
【0110】
図18に、色ヒストグラムの一例を示す。ここでは、赤色の彩度軸と明度軸からなる2
次元色ヒストグラムが用いられる。スルーホール周辺画素の赤色は、中明度付近に、ある程度固まって分布することがわかる。その色分布から明らかに外れた点(外れ値)はノイズである。
【0111】
上記外れ値は、スルーホール周辺画素の色分布を規定するにあたり邪魔な存在なので、外れ値削除機能94によって前もって削除する(ステップS304)。具体的には、外れ値削除機能94は、階層的クラスタリングによって色分布の主たる塊を把握するか、色重心から数σの範囲を色分布の主たる塊と定義し、その塊から外れる点を外れ値とみなして色ヒストグラムから削除する。そして、色分布範囲設定機能95が、外れ値削除後に残った全ての点を囲む矩形範囲を計算する(ステップS305)。この矩形範囲が、スルーホール周辺画素の色分布範囲84を表す。
【0112】
上述したように、スルーホール周辺画素の色は不良な半田領域の色に比べて明度が低い。そこで、色分布範囲補正機能96は、スルーホール周辺画素の色分布範囲84の明度方向の値域を補正することによって不良色範囲85を算出する(ステップS306)。本実施形態では、色分布範囲84の明度の上限を明度最大値LMaxまで拡大したものを不良色範囲85とする。不良な半田領域に現れる色はスルーホール周辺に現れる色に比べて明度方向の広がりが大きく、その上限は明度の最大値付近まで達する傾向にあるからである。また、良好な半田領域に現れる赤色は低〜中明度付近に集まるために、不良色範囲を最大明度まで拡大したとしても、後述する色パラメータの精度にはほとんど影響がないことも理由の1つである。
【0113】
以上の処理により、スルーホール周辺画素の色分布から不良色範囲が精度よく推定される。不良色範囲は、不良色情報書込機能97によって不良色情報記憶部98に格納され(ステップS307)、以下のパラメータ設定処理に供される。
【0114】
(パラメータ設定処理)
図19のフローチャートに沿って、推定された不良色範囲を用いたパラメータ設定処理の流れを説明する。なお、図6のフローチャートと同様の処理については詳しい説明を省略するものとする。
【0115】
検査ロジックの自動生成を指示する指示情報が入力されると、検査ロジックに対応する教師画像情報が教師画像情報DB61から読み込まれる(ステップS200〜S202)。教師画像情報には、良品画像のみが含まれる。
【0116】
そして、画像取得機能52が、テンプレートマッチングなどにより良品画像から半田領域を抽出し(ステップS400)、マッピング機能54が、半田領域の全画素の色を「良点」として色ヒストグラムにマッピングする(ステップS401)。このとき、マッピング機能54は、マッピングした良点の度数を記憶しておく。図20は色ヒストグラムの一例を示し、黒三角(▲)がマッピングされた良点を表している。
【0117】
一方、不良色情報読込機能99は、不良色情報記憶部98から、不良色範囲を読み込む(ステップS402)。マッピング機能54は、その不良色範囲を参照し、色ヒストグラムに仮想的な「不良点」をマッピングする(ステップS403)。このとき、マッピング機能54は、先に記憶した良点の度数と等しい数の不良点を、不良色範囲内に均一に分布させる。経験上および統計的に、不良点が良点と同じ割合でプロットされていると色範囲の探索に都合が良いからである。
【0118】
次に、色範囲探索機能55が、色ヒストグラムに基づいて、良点の色分布と不良点の色分布とを最適に切り分ける色範囲を探索する(ステップS404)。色範囲探索アルゴリ
ズムは上述したもの(図10参照)とほぼ同様であり、下記式2に従って、色範囲に含まれる不良点の数と良点の数の差(度数合計値E)が最大となる色範囲が求められる。この色範囲が、欠落検査用の色パラメータ(色条件)として設定される。
【数2】

【0119】
続いて、上記色パラメータを用いて、検査用のしきい値(判定条件)を自動生成する処理が実行される。
【0120】
二値化機能56が、上記色パラメータを用いて、良品画像のすべての半田領域を二値化し(ステップS405)、特徴量ヒストグラム生成機能57が、良品画像の白画素領域の面積値に関する面積ヒストグラムを作成する(ステップS406)。図21は、面積ヒストグラムの一例を示している。
【0121】
しきい値決定機能58は、面積ヒストグラムの度数分布に基づいて良品画像における半田領域の特徴量(面積値)を判別するためのしきい値を算出する(ステップS407)。ただし、本処理の場合は面積ヒストグラムの中に良品画像の山しか含まれていないため、大津の判別分析法のように2つの山を分離する手法は使用できない。そこでこの場合は、良品を不良品と誤判定(過検出)しないよう十分なマージンを確保して、しきい値を決定すればよい。具体的には、良品ヒストグラムの端点(上限)から経験的なマージンをとってもよいし、良品ヒストグラムの中心から6σの距離にしきい値を設定するなどの統計的手法を用いてもよい。このようにして、良品と不良品を判別するためのしきい値が生成される。
【0122】
そして、検査ロジック生成機能59が、色パラメータ、特徴量の種類(本例では面積)、しきい値から検査ロジックを生成し(ステップS210)、検査ロジック書込機能60が、その検査ロジックを基板検査装置1の検査ロジック記憶部35に書き込む(ステップS211)。
【0123】
以上述べた処理によれば、不良品のサンプルが無い場合であっても、部品の欠落検査で用いられる検査ロジック(パラメータ)を自動で生成することができる。
【0124】
しかも、基板を撮像して得られたスルーホール画像を利用しているので、不良色の実際の分布範囲を精度良く推定することができ、高い信頼性をもつ色パラメータおよびしきい値を生成可能である。
【0125】
<変形例>
上述した実施形態は本発明の一具体例を例示したものにすぎない。本発明の範囲は上記実施形態に限られるものではなく、その技術思想の範囲内で種々の変形が可能である。
【0126】
たとえば、上記実施形態では2次元の色ヒストグラム(色空間)を用いたが、多次元(色相、彩度、明度)の色ヒストグラムを用いてもよい。また、2次元色ヒストグラムについても、赤の彩度軸ではなく、青、緑、黄など他の色相の彩度軸を用いたり、彩度軸では
なく色相軸を用いたりしてもよい。色ヒストグラムの軸の選択は、基板検査装置で撮像された部品画像がもつ色彩パターンの傾向に合わせて決定すればよい。
【0127】
また、色範囲は矩形に限らず、円形、多角形、自由曲線図形などを用いてもよい。さらに、色ヒストグラムが多次元の場合には、色範囲も多次元形状にするとよい。
【0128】
また、上記実施形態では欠落検査用のパラメータを生成する処理を例に挙げたが、本発明は、不良色の分布範囲に基づいてパラメータ(色条件)を生成するものであれば、他の検査用パラメータの生成処理にも適用可能である。
【0129】
また、上記実施形態では特徴量として面積を用いたが、良否判定に用いる特徴量としては他にも、面積比、長さ、最大幅、重心などを好ましく採用できる。面積比とは、ランドウィンドウ内で二値化された面積の占有率である。たとえばランド領域に対して部品がずれて半田付けされていると、半田領域の面積が大小するため、面積比が変化する。これを特徴量として捉えれば、部品ずれの検査に有効である。また、長さとは、白画素領域の縦方向や横方向の長さであり、最大長は、白画素領域の長さの中で最大の値である。また、重心とは、白画素領域の重心のランドウィンドウに対する相対位置である。
【0130】
良否を精度良く判定できるものであればどの特徴量を用いてもよく、精度向上のために複数種類の特徴量を組み合わせることも好ましい。また、パラメータ設定処理において複数種類の特徴量を抽出し、その中で良品と不良品とが最もよく分離されるものを特徴量として採用するといったことも可能である。なお、上記実施形態では判定条件(しきい値)の決定に面積ヒストグラム(面積値ヒストグラム)を用いたが、特徴量の種類が異なればそれに合わせた特徴量ヒストグラム(面積比ヒストグラム、長さヒストグラム、最大幅ヒストグラム、重心ヒストグラムなど)を用いることになる。例えば、面積値ヒストグラムの替わりに面積比ヒストグラムを用いれば、ランドウィンドウにおける色パラメータで二値化された画素の占有率によって良否判定を実行するので、部品がズレたり傾いたりしてランドウィンドウの大きさが小さくなったり大きくなったりした場合でも、ランドウィンドウの大きさに影響されない判定処理が可能となる。
【0131】
また、パラメータ設定装置が、指示情報もしくは教師情報を参照して不良品画像の有無を判断し、不良品画像有りの場合は図6のパラメータ設定処理を実行し、不良品画像無しの場合は図16および図19のパラメータ設定処理を実行するというように、自動的に処理を切り替えるようにしてもよい。
【0132】
また、上記実施形態では、良点と同数の不良点をマッピングしたが、不良点の度数については予め設定しておいてもよい。その場合は、パラメータ設定処理において良点の度数をカウントする処理が不要になる。また、不良点の度数が既知のため、不良色範囲推定処理において不良色範囲とともに不良色範囲内に分布させる不良点の度数およびその分布のさせ方なども求め、それらを不良色情報として不良色情報DBに格納するようにしてもよい。
【0133】
また、上記実施形態では、パラメータ設定処理に先立ち不良色情報を算出しておくようにしたが、たとえばスルーホール画像も教師画像情報DBの中に準備しておき、パラメータ設定処理の一連の処理の中で不良色範囲を計算するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本発明の実施形態に係る基板検査システムのハードウェア構成を示す図。
【図2】基板検査装置の機能構成を示す図。
【図3】半田フィレットの形状と撮像パターンと二値化画像の関係を示す図。
【図4】基板検査処理の流れを示すフローチャート。
【図5】不良品画像有りの場合のパラメータ設定装置の機能構成を示す図。
【図6】不良品画像有りの場合のパラメータ設定処理の流れを示すフローチャート。
【図7】良品画像と不良品画像の一例を示す図。
【図8】半田領域の抽出処理を示す図。
【図9】2次元色ヒストグラムの一例を示す図。
【図10】色範囲の探索処理を示す図。
【図11】良品画像と不良品画像の二値化結果の一例を示す図。
【図12】良品および不良品の面積ヒストグラムとしきい値決定処理を示す図。
【図13】スルーホール周辺に現れる色と欠落不良の半田領域に現れる色の相違について説明する図。
【図14】不良品画像無しの場合のパラメータ設定装置の機能構成を示す図。
【図15】不良品画像無しの場合のパラメータ設定装置の機能構成を示す図。
【図16】不良品画像無しの場合の不良色範囲推定処理の流れを示すフローチャート。
【図17】スルーホール画像の抽出処理を示す図。
【図18】不良色範囲推定処理を示す図。
【図19】不良品画像無しの場合のパラメータ設定処理の流れを示すフローチャート。
【図20】不良品画像無しの場合の色範囲の探索処理を示す図。
【図21】不良品画像無しの場合のしきい値決定処理を示す図。
【図22】カラーハイライト方式の基板検査装置の構成を示す図。
【図23】撮像画像に現れる色彩パターンの一例を示す図。
【図24】色パラメータの設定支援ツールを示す図。
【符号の説明】
【0135】
1 基板検査装置
2 パラメータ設定装置
10 指示情報受付機能
11 基板搬入機能
12 CAD情報読込機能
13 ステージ操作機能
14 撮像機能
15 検査ロジック読込機能
16 検査機能
17 判定結果書込機能
18 基板搬出機能
20 基板
21 実装部品
22 Xステージ
23 Yステージ
24 投光部
25 撮像部
26 制御処理部
27 コンベヤ
28 赤色光源
29 緑色光源
30 青色光源
31 撮像コントローラ
32 記憶部
32a CAD情報記憶部
32b 判定結果記憶部
33 A/D変換部
34 画像処理部
35 検査ロジック記憶部
36 判定部
37 XYステージコントローラ
38 メモリ
39 制御部
40 入力部
41 表示部
42 プリンタ
50 指示情報受付機能
51 教師画像情報読込機能
52 画像取得機能
53 振分機能
54 マッピング機能
55 色範囲探索機能
56 二値化機能
57 特徴量ヒストグラム生成機能
58 しきい値決定機能
59 検査ロジック生成機能
60 検査ロジック書込機能
62 部品
63,65 ランド領域
70 ランドウィンドウ
71 部品本体ウィンドウ
80 スルーホール
81 金属環
82 スルーホールの存在範囲
83 スルーホールの詳細位置
84 スルーホール周辺画素の色分布範囲
85 不良色範囲
90 基板画像読込機能
91 CAD情報読込機能
92 スルーホール画像取得機能
93 スルーホール周辺画素マッピング機能
94 外れ値削除機能
95 色分布範囲設定機能
96 色分布範囲補正機能
97 不良色情報書込機能
98 不良色情報記憶部
99 不良色情報読込機能

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の実装部品に異なる入射角で複数の色の光を照射し、その反射光を撮像して得られた画像から所定の色条件を満たす領域を抽出し、抽出された領域のもつ特徴量が所定の判定条件を満たすか否かで前記部品の実装状態を検査する基板検査装置において用いられるパラメータを自動生成する方法であって、
情報処理装置が、
基板上のスルーホールを撮像して得られた複数のスルーホール画像と半田付けの良好な部品を撮像して得られた複数の良品画像とを取得し、
前記スルーホール画像におけるスルーホール周辺画素の色分布から、不良な半田領域の画素がとり得る不良色範囲を推定し、
前記良品画像における半田領域の各画素の色を良点として色空間にマッピングするとともに、前記色空間の前記不良色範囲内に所定数の不良点をマッピングし、
前記色空間における良点と不良点の度数分布に基づいて良点の色と不良点の色とを分離するための色範囲を求め、
求められた前記色範囲を基板検査で用いられる色条件として設定する
基板検査装置のパラメータ設定方法。
【請求項2】
前記情報処理装置は、
前記スルーホール周辺画素の色分布範囲を求め、その色分布範囲の明度方向の値域を補正することによって前記不良色範囲を決定する
請求項1記載の基板検査装置のパラメータ設定方法。
【請求項3】
前記情報処理装置は、
前記スルーホール周辺画素の色分布範囲の明度の上限を明度最大値まで拡大したものを前記不良色範囲とする
請求項2記載の基板検査装置のパラメータ設定方法。
【請求項4】
前記情報処理装置は、
前記不良色範囲内に前記良点の度数と略等しい数の不良点を分布させる
請求項1〜3のうちいずれか1項記載の基板検査装置のパラメータ設定方法。
【請求項5】
前記情報処理装置は、
前記不良色範囲内に略均一に前記不良点を分布させる
請求項1〜4のうちいずれか1項記載の基板検査装置のパラメータ設定方法。
【請求項6】
前記情報処理装置は、
前記色範囲に含まれる不良点の数と良点の数の差が最大となるように色範囲を決定する請求項1〜5のうちいずれか1項記載の基板検査装置のパラメータ設定方法。
【請求項7】
前記情報処理装置は、
前記良品画像における半田領域から前記色条件を満たす画素領域を抽出して、その画素領域のもつ特徴量についての特徴量ヒストグラムを生成し、
前記特徴量ヒストグラムの度数分布に基づいて前記良品画像における半田領域の特徴量を判別するためのしきい値を算出し、
算出された前記しきい値を基板検査で用いられる判定条件として設定する
請求項1〜6のうちいずれか1項記載の基板検査装置のパラメータ設定方法。
【請求項8】
基板上の実装部品に異なる入射角で複数の色の光を照射し、その反射光を撮像して得られた画像から所定の色条件を満たす領域を抽出し、抽出された領域のもつ特徴量が所定の
判定条件を満たすか否かで前記部品の実装状態を検査する基板検査装置において用いられるパラメータを自動生成するための装置であって、
基板上のスルーホールを撮像して得られた複数のスルーホール画像を取得するスルーホール画像取得手段と、
前記スルーホール画像におけるスルーホール周辺画素の色分布から、不良な半田領域の画素がとり得る不良色範囲を推定する不良色範囲推定手段と、
半田付けの良好な部品を撮像して得られた複数の良品画像を取得する画像取得手段と、
前記良品画像における半田領域の各画素の色を良点として色空間にマッピングするとともに、前記色空間の前記不良色範囲内に所定数の不良点をマッピングするマッピング手段と、
前記色空間における良点と不良点の度数分布に基づいて良点の色と不良点の色とを分離するための色範囲を求める色範囲探索手段と、
求められた前記色範囲を基板検査で用いられる色条件として設定する色条件設定手段と、
を備える基板検査装置のパラメータ設定装置。
【請求項9】
前記不良色範囲推定手段は、
前記スルーホール周辺画素の色分布範囲を求め、その色分布範囲の明度方向の値域を補正することによって前記不良色範囲を決定する
請求項8記載の基板検査装置のパラメータ設定装置。
【請求項10】
前記不良色範囲推定手段は、
前記スルーホール周辺画素の色分布範囲の明度の上限を明度最大値まで拡大したものを前記不良色範囲とする
請求項9記載の基板検査装置のパラメータ設定装置。
【請求項11】
前記マッピング手段は、
前記不良色範囲内に前記良点の度数と略等しい数の不良点を分布させる
請求項8〜10のうちいずれか1項記載の基板検査装置のパラメータ設定装置。
【請求項12】
前記マッピング手段は、
前記不良色範囲内に略均一に前記不良点を分布させる
請求項8〜11のうちいずれか1項記載の基板検査装置のパラメータ設定装置。
【請求項13】
前記色範囲探索手段は、
前記色範囲に含まれる不良点の数と良点の数の差が最大となるように色範囲を決定する請求項8〜12のうちいずれか1項記載の基板検査装置のパラメータ設定装置。
【請求項14】
前記良品画像における半田領域から前記色条件を満たす画素領域を抽出して、その画素領域のもつ特徴量についての特徴量ヒストグラムを生成する特徴量ヒストグラム生成手段と、
前記特徴量ヒストグラムの度数分布に基づいて前記良品画像における半田領域の特徴量を判別するためのしきい値を算出するしきい値決定手段と、
算出された前記しきい値を基板検査で用いられる判定条件として設定する判定条件設定手段と、
をさらに備える請求項8〜13のうちいずれか1項記載の基板検査装置のパラメータ設定装置。
【請求項15】
請求項14記載のパラメータ設定装置により設定された色条件および判定条件を記憶する記憶部と、
基板上の実装部品に異なる入射角で複数の色の光を照射する投光手段と、
その反射光を撮像して得られた画像から、前記色条件を満たす領域を抽出する領域抽出手段と、
抽出された領域のもつ特徴量が、前記判定条件を満たすか否かで前記部品の半田付け状態を検査する検査手段と、
を備える基板検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2006−90965(P2006−90965A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−279796(P2004−279796)
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】