説明

基板洗浄方法および基板洗浄装置

【課題】スリット状の吐出口を有する吐出部を用いて円板状の基板の中央付近の多くの領域を均一に洗浄し、かつ、洗浄液の使用量を低減する。
【解決手段】基板洗浄装置1は、円板状の基板9を保持する保持部2、基板9を回転する回転機構3、吐出部4、および、吐出部4を走査方向に移動する走査機構5を備える。吐出部4はスリット状の吐出口41を有し、洗浄液を基板9の主面上の直線状の吐出領域に吐出する。基板洗浄装置1では、基板9の回転を停止した状態で吐出領域を基板9の主面内で走査して洗浄する走査洗浄工程が、基板9を所定角度だけ回転させつつ繰り返し行われ、その後、吐出部4が基板9の外縁部に停止した状態で洗浄液を吐出しつつ基板9を回転させる回転洗浄工程が行われる。これにより、基板9の全体を洗浄しつつ中央付近を均一に洗浄し、かつ、洗浄液の使用量を低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に向けて洗浄液を吐出して基板を洗浄する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、円板状の半導体基板などの基板を回転しつつ基板の上面の小さな円形の領域にノズルから洗浄液を吐出し、さらにノズルを水平方向に揺動することにより基板を洗浄する基板洗浄装置が利用されている。
【0003】
一方、スリット状の吐出口を有するノズルから洗浄液を吐出しつつ半導体基板やガラス基板を洗浄する技術も知られている。例えば、特許文献1では、超音波が印加された洗浄液を吐出する基板洗浄装置において、円板状の基板の回転中心から外縁部までの長さ以上のスリット状の吐出口を有するノズルを用いつつ基板を回転することにより、円形ノズルの場合よりも超音波の密度を下げて基板に与えるダメージをなくし、かつ洗浄効率を増進させる装置が開示されおり、特許文献2では、特許文献1に類似のノズルを基板の中心側が低くなるように傾斜させることにより、遠心力で基板上から排出される液流を阻害することなく液流を利用して異物を良好に排除できる湿式洗浄装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献3では、矩形基板の幅に合わせたスリット状洗浄液吐出部から基板表面に洗浄液を供給することにより、従来の円形の噴出ノズルから洗浄液を供給する場合に比較して洗浄ムラをなくし、洗浄液の消費量を少なくすることができる基板洗浄装置が開示されており、特許文献4においても、ライン状吐出ノズルから矩形基板に洗浄液を吐出することにより、大型で洗浄面積の広い基板を洗浄する場合に十分な洗浄能力を発揮させて基板の清浄化の程度を良好にする基板洗浄装置が開示されている。
【特許文献1】特開平7−66164号公報
【特許文献2】特開2004−281429号公報
【特許文献3】特開平7−297160号公報
【特許文献4】特開2000−325894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、アームの一端に1つの円形のノズルが取り付けられ、アームを旋回して円板状の基板を洗浄する枚葉式の基板洗浄装置では、回転する基板の外縁から中央へ、中央から外縁へとノズルを往復運動させて基板の洗浄が行われる。このような洗浄では、基板の中心(すなわち、回転の中心)から基板上のある領域までの距離とその領域に対する単位面積当たりの洗浄時間(すなわち、洗浄の程度)とは反比例の関係となり、基板の中央付近で洗浄時間が長くなり、中心から外縁へ離れるほど洗浄時間が極端に短くなる。その結果、基板の外縁部を十分に洗浄できるまで処理を行うと、中央付近の洗浄時間が必要以上に長くなって基板の中央付近のパターンにダメージが発生する。
【0006】
また、特許文献1および2の基板洗浄装置においても、スリット状のノズルが基板の中心から外縁部に向かって位置するため、特殊なノズルを開発しなければ上記円形ノズルの場合と同様の問題が生じてしまう。
【0007】
一方、特許文献3および4に記載の基板洗浄装置では、矩形の基板に対して洗浄が行われるが、円板状の基板の洗浄にこれらの基板洗浄装置を用いた場合、スリット式のノズルを走査する期間のうちノズルが基板の中央から離れている多くの時間において基板から外れた領域に洗浄液が吐出されることとなり、洗浄液を無駄に消費したり、はみ出して吐出された洗浄液が基板の下方で跳ね返り、洗浄後の領域に液滴が付着するといった問題が生じることがある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、円板状の基板を洗浄する際に、基板の中央付近のパターンを損傷することなく、基板の表面、特に基板の中央付近の多くの領域を均一に洗浄し、かつ、無用な液滴の飛散を防止して洗浄液の使用量を低減することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、円板状の基板を洗浄する基板洗浄方法であって、回転軸を中心に回転可能な保持部により基板の中心を前記回転軸に合わせつつ前記回転軸に垂直な姿勢にて前記基板を保持する基板保持工程と、前記保持部の回転が停止している状態で、前記基板の主面上の直線状の吐出領域に向けて洗浄液を吐出部から吐出しつつ前記吐出部を移動することにより、前記吐出領域を前記主面内にて前記基板の外縁部の一方側から中央部を経由して他方側へと走査する走査洗浄工程と、前記走査洗浄工程の後に、前記基板を前記保持部とともに所定角度だけ回転する基板回転工程と、前記基板回転工程の後に、前記走査洗浄工程を繰り返す繰り返し工程とを備え、前記基板回転工程の後の前記走査洗浄工程において前記吐出領域は前記主面上を走査する走査洗浄領域の一部が、前記基板回転工程の前の前記走査洗浄工程における走査洗浄領域の外に存在する。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の基板洗浄方法であって、前記繰り返し工程において、繰り返された前記走査洗浄工程の後に前記基板回転工程および前記走査洗浄工程が少なくとも1回さらに行われ、前記繰り返し工程における各走査洗浄工程における走査洗浄領域の一部が、前記各走査洗浄工程以前に行われた全ての走査洗浄工程における走査洗浄領域の外に存在する。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の基板洗浄方法であって、前記走査洗浄工程の繰り返しによる複数の走査洗浄領域を重ね合わせた領域の輪郭が、前記回転軸を中心とする周方向に周期的な形状となる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の基板洗浄方法であって、前記吐出領域を前記基板の前記外縁部に位置させて前記吐出部の移動が停止している状態で、前記洗浄液を前記吐出部から吐出しつつ前記基板を1回転以上回転する回転洗浄工程をさらに備える。
【0013】
請求項5に記載の発明は、円板状の基板を洗浄する基板洗浄方法であって、回転軸を中心に回転可能な保持部により基板の中心を前記回転軸に合わせつつ前記回転軸に垂直な姿勢にて前記基板を保持する基板保持工程と、前記保持部の回転が停止している状態で、前記基板の主面上の直線状の吐出領域に向けて洗浄液を吐出部から吐出しつつ前記吐出部を移動することにより、前記吐出領域を前記主面内にて前記基板の外縁部の一方側から中央部を経由して他方側へと走査する走査洗浄工程と、前記走査洗浄工程の後または前に、前記吐出領域を前記基板の前記外縁部に位置させて前記吐出部の移動が停止している状態で、前記洗浄液を前記吐出部から吐出しつつ前記基板を1回転以上回転する回転洗浄工程とを備える。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の基板洗浄方法であって、前記走査洗浄工程において、前記吐出領域の両端部が前記基板のエッジに一致する前記吐出領域の位置から前記洗浄液の吐出が開始され、前記両端部が前記基板のエッジに一致する前記吐出領域の他の位置にて前記洗浄液の吐出が終了する。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の基板洗浄方法であって、前記吐出領域の走査方向が、前記吐出領域が伸びる方向に対してに垂直であり、前記吐出領域の長さが、前記基板の半径の1倍以上、1.7倍以下である。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の基板洗浄方法であって、前記吐出領域の長さが、前記基板の半径の1.4倍である。
【0017】
請求項9に記載の発明は、円板状の基板を洗浄する基板洗浄装置であって、回転軸を中心に回転可能であるとともに基板の中心を前記回転軸に合わせつつ前記回転軸に垂直な姿勢で前記基板を保持する保持部と、前記回転軸を中心に前記保持部を回転する回転機構と、前記保持部に保持された基板の主面上の直線状の吐出領域に向けて洗浄液を吐出する吐出部と、前記吐出部を移動することにより、前記吐出領域を前記主面内にて走査する走査機構と、前記回転機構、前記吐出部および前記走査機構を制御することにより、基板を保持する前記保持部の回転が停止している状態で、洗浄液を前記吐出部から吐出しつつ前記吐出部を移動することにより、前記吐出領域を前記主面内にて前記基板の外縁部の一方側から中央部を経由して他方側へと走査する走査洗浄工程と、前記基板を前記保持部とともに所定角度だけ回転する基板回転工程と、前記走査洗浄工程を繰り返す繰り返し工程とを実行する制御部とを備える。
【0018】
請求項10に記載の発明は、円板状の基板を洗浄する基板洗浄装置であって、回転軸を中心に回転可能であるとともに基板の中心を前記回転軸に合わせつつ前記回転軸に垂直な姿勢で前記基板を保持する保持部と、前記回転軸を中心に前記保持部を回転する回転機構と、前記保持部に保持された基板の主面上の直線状の吐出領域に向けて洗浄液を吐出する吐出部と、前記吐出部を移動することにより、前記吐出領域を前記主面内にて走査する走査機構と、前記回転機構、前記吐出部および前記走査機構を制御することにより、基板を保持する前記保持部の回転が停止している状態で、洗浄液を前記吐出部から吐出しつつ前記吐出部を移動することにより、前記吐出領域を前記主面内にて前記基板の外縁部の一方側から中央部を経由して他方側へと走査する走査洗浄工程と、前記走査洗浄工程の後または前に、前記吐出領域を前記基板の前記外縁部に位置させて前記吐出部の移動が停止している状態で、前記洗浄液を前記吐出部から吐出しつつ前記基板を1回転以上回転する回転洗浄工程とを実行する制御部とを備える。
【0019】
請求項11に記載の発明は、請求項9または10に記載の基板洗浄装置であって、前記吐出部がスリット状の吐出口を有し、前記吐出口から超音波が付与された前記洗浄液または微小液滴化された前記洗浄液が吐出される。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、円板状の基板上において洗浄が行われる直線状の吐出領域を走査しつつ、基板の中央付近のパターンを損傷することなく、基板の中央付近の多くの領域を均一に洗浄し、かつ、洗浄液の使用量を抑えることができる。
【0021】
請求項2の発明では、基板の外縁部のより多くの領域を洗浄することができ、請求項3の発明では、基板の外縁部において周方向におよそ均等に洗浄を行うことができる。また、請求項4、5および10の発明では、基板の外縁部全体を洗浄することができる。
【0022】
請求項6の発明では、基板の中央付近、および、外縁部のより多くの領域まで洗浄を行うことができ、ミストの発生を抑えて洗浄液の使用量を低減することができる。また、請求項7の発明では、基板の中央付近において均一に洗浄できる範囲を大きくすることができ、請求項8の発明では、基板の中央付近において均一に洗浄できる範囲を最も大きくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1および図2は、本発明の一の実施の形態に係る基板洗浄装置1を示す正面図および平面図であり、図1では、装置の構成の一部を断面にて示している。本実施の形態における基板洗浄装置1は、半導体基板などの円板状の基板9に洗浄液を吐出することにより基板9を洗浄する装置である。
【0024】
基板洗浄装置1は、図1に示すように、基板9の下面((−Z)側の主面)の中央部を吸着して保持する保持部2、ベース部11に取り付けられて保持部2を回転する回転機構3を備え、図1および図2に示すように、基板9に向けて洗浄液を吐出する吐出部4、および、図示省略のフレームに設けられるとともに図1中のY方向へと吐出部4を基板9の主面に沿って水平に移動する走査機構5をさらに備える。走査機構5が吐出部4を移動することにより、後述するように基板9上の洗浄液が吐出される直線状の領域(以下、洗浄液の吐出対象となる領域を単に「吐出領域」と呼ぶ。)が基板9の主面((+Z)側の面)内にて走査される。なお、洗浄液の供給対象である吐出領域は、ある時点において洗浄対象となっている洗浄領域でもある。さらに、ベース部11には、吐出部4および走査機構5の周囲を囲むカバー12が取り付けられ、カバー12内には、基板9の回転による洗浄液の飛散を防止するために基板9の外縁部を囲むカップ13が取り付けられる。
【0025】
図1に示すように、保持部2は、基板9を吸引して保持する吸着チャック21および取付部材22を有し、取付部材22が後述のシャフト31に取り付けられ、保持部2が回転軸J1を中心に回転可能とされるとともに、基板9の中心を回転軸J1に合わせつつ回転軸J1に垂直な姿勢で基板9を保持する。回転機構3は、吸着チャック21の下側に取付部材22を介して接続されるシャフト31、および、シャフト31を回転させるモータ32を備え、モータ32が駆動されることにより、シャフト31および保持部2と共に基板9が回転軸J1を中心に回転する。
【0026】
図1および図2に示すように、吐出部4は、X方向に伸びるスリット状の吐出口41を有し、保持部2に保持された基板9の主面(すなわち、上面)上において吐出口41に対向する吐出領域に向けて洗浄液を吐出する。図3は、吐出部4を示す断面図である。図2および図3に示すように、吐出部4は、洗浄液の流路を形成するとともに下部に吐出口41が形成されたノズル本体40を備え、ノズル本体40の上部には超音波振動子42および洗浄液供給管43が取り付けられ、後述する供給ポンプ44(図4参照)により洗浄液供給管43を介してノズル本体40内に供給される洗浄液に超音波が付与される。そして、吐出口41から超音波が付与された洗浄液が基板9に向けて吐出される。
【0027】
走査機構5では、図1および図2に示すように、Y方向に伸びるボールねじ51が図示省略の駆動装置に接続され、さらに、吐出部4の一端を保持する部材に固定されたナット52がボールねじ51に取り付けられる。吐出部4の他端側には、図2に示すように、ボールねじ51と平行にY方向に伸びるガイドレール53が設けられ、吐出部4の他端に固定された移動体54がガイドレール53上にて案内可能に支持される。これにより、吐出部4がY方向(すなわち、走査方向)に移動可能に支持され、ボールねじ51に接続された駆動装置が作動すると、ナット52および移動体54とともに吐出部4がガイドレール53に沿って走査方向に滑らかに移動する。
【0028】
図4は、基板洗浄装置1の制御部6および制御部6に接続された構成要素を示すブロック図である。制御部6は、動作シーケンス61を記憶し、洗浄液を吐出部4に供給する供給ポンプ44、回転機構3、および、走査機構5に接続される。そして、動作シーケンス61に従った制御部6からの指令により、各構成要素が制御され、円板状の基板9に対して以下に説明する洗浄処理が実行される。
【0029】
図5および図6は、基板洗浄装置1が基板9を洗浄する処理の流れを示す図であり、図5は、基板9を静止した状態で吐出部4を走査して洗浄する処理(以下、「走査洗浄」と呼ぶ。)の流れを示し、図6は、吐出部4を静止した状態で基板9を回転して洗浄する処理(以下、「回転洗浄」と呼ぶ。)の流れを示す。
【0030】
図1の基板洗浄装置1では、まず、基板9の中心を回転軸J1に合わせつつ回転軸J1に垂直な姿勢にて基板9が吸着チャック21により吸着されて保持される(図5:ステップS11)。次に、走査機構5が制御部6の動作シーケンス61(図4参照)に従って制御され、走査方向に吐出部4の移動が開始される(ステップS12)。そして、図7.Aに示すように、保持部2の回転が停止している状態で、吐出口41の全てが基板9の上面に対向したときに洗浄液の吐出が開始され(ステップS13)、基板9の上面上の直線状の吐出領域に向けて洗浄液を吐出口41から吐出しつつ吐出領域が向く方向(すなわち、吐出口41が伸びる方向)に垂直な方向に吐出部4の移動がさらに継続される。これにより、直線状の吐出領域が基板9の主面内にて基板9の外縁部の一方側から中央部を経由して反対側の他方側へと走査される。吐出部4が基板9の外縁部に差し掛かると、図7.Bに示すように、吐出口41の一部が基板9の上面から外れる直前に洗浄液の吐出が終了される(ステップS14)。
【0031】
つまり、基板9の主面内において洗浄液が吐出される吐出領域(上下方向に関して吐出口41に重なる領域)に注目した場合、吐出部4が基板9の外縁部の一方側から中央部を経由して他方側へ(図7.B中の矢印71の方向へ)移動する途中で、直線状の吐出領域が、その両端部が基板9の一方側の外縁部のエッジに一致する位置(以下、「洗浄開始位置」という。)から洗浄液の吐出が開始され、この両端部が他方側(反対側)の外縁部のエッジに一致する他の位置(以下、「洗浄終了位置」という。)にて洗浄液の吐出を終了することにより、基板9の中央付近が洗浄されることとなる。このとき、洗浄開始位置と洗浄終了位置との間における吐出領域の軌跡の領域(以下、「走査洗浄領域」という。)91は矩形となる。吐出部4の移動は洗浄液の吐出終了と同時に停止され(ステップS15)、これにより、1回の超音波洗浄による走査洗浄が終了する。
【0032】
以上のように、基板9の主面内における直線状の吐出領域の移動距離を最大とすることにより、1回の走査洗浄において基板9の中央付近、および、外縁部のより多くの領域まで洗浄を行うことができる。また、基板上以外で洗浄液を吐出すると装置内の様々な箇所で洗浄液が飛散して多量のミストが発生してしまうが、基板洗浄装置1では吐出領域が基板9の主面内のみにて移動するように吐出部4の移動および吐出が制御されるため、ミストの発生を抑えるとともに洗浄液の使用量を低減することができる。
【0033】
基板洗浄装置1では、1回目の走査洗浄が完了すると、さらに走査洗浄が必要か否かが確認され、次の走査洗浄が行われる場合には基板9が保持部2とともに所定角度だけ回転される(図5:ステップS16,S17)。図8.Aは、基板9が45°だけ回転された様子を示す図であり、回転方向を矢印72にて示している。そして、基板9の回転の前に行われた走査洗浄における吐出部4の洗浄終了位置が、基板9の回転の後に行われる次の走査洗浄における吐出部4の洗浄開始位置とされる。すなわち、図8.Aに示す状態では直線状の吐出領域の両端部が基板9の一方側の外縁部のエッジに一致し、図8.Bに示すように矢印71aの方向に吐出部4の移動が開始されるとともに同時に吐出部4からの洗浄液の吐出が開始される(ステップS12,S13)。これにより、直線状の吐出領域が基板9の主面内にて基板9の外縁部の一方側から中央部を経由して他方側へと走査され、吐出領域の両端部が他方側の外縁部のエッジに一致する洗浄終了位置にて洗浄液の吐出および吐出部4の移動が終了し、図8.B中に示す新たな走査洗浄領域91aの洗浄が完了する(ステップS14,S15)。
【0034】
なお、1回目の基板9を回転する工程(ステップS17)よりも後において実行される2回目以降の走査洗浄に関連する工程を、以下、「繰り返し工程」と総称する。
【0035】
ところで、図8.Bに示すように、基板9を45°回転することにより、基板9の回転後に繰り返される走査洗浄工程において吐出領域が基板9の主面上を走査する走査洗浄領域91aの一部である四隅が、基板9を回転する工程の前にされた走査洗浄工程における走査洗浄領域91の外に存在することとなる。2つの走査洗浄工程の間に行われる基板9を回転する工程において、2つの走査洗浄領域が完全には重ならないという条件が満たされるように基板9が回転されることにより、基板9の中央付近の多くの領域を均一に洗浄し、かつ、洗浄液の使用量を抑え、さらに、基板9の外縁部のなるべく多くの領域を洗浄することが実現される。
【0036】
基板洗浄装置1では、走査洗浄に係る繰り返し工程において図8.Cに示すように、基板9が所定角度(図8.Cでは22.5°)だけ矢印72aの方向にさらに回転される(ステップS17)。そして、図8.Dに示す矢印71bの方向への吐出部4の移動および洗浄液の吐出が開始されて(ステップS12,S13)3回目の走査洗浄が行われ、新たな走査洗浄領域91bが洗浄される(ステップS14,S15)。
【0037】
さらに、図8.Eに示すように、基板9が所定角度(例えば、45°)だけ矢印72bの方向に回転され(ステップS17)、図8.Fに示す矢印71cの方向に吐出部4が移動して4回目の走査洗浄が繰り返され、走査洗浄領域91cが洗浄される(ステップS12〜S15)。
【0038】
以上のように、基板洗浄装置1では、1回目の走査洗浄工程、基板9を回転する工程および2回目の走査洗浄工程が行われた後、基板9を回転する工程および走査洗浄工程が少なくとも1回さらに行われ、このとき、繰り返される各走査洗浄工程における走査洗浄領域の一部(四隅)が、各走査洗浄工程以前に行われた全ての走査洗浄工程における走査洗浄領域の外に存在するように基板9の回転および走査洗浄が繰り返される。これにより、基板9の外縁部のより多くの領域を洗浄することができる。また、上記繰り返し工程により、図8.Fに示すように、走査洗浄工程の繰り返しによる複数の走査洗浄領域91,91a,91b,91cを重ね合わせた領域の輪郭は、基板9の回転軸を中心とする周方向に周期的な形状となることから、基板9の外縁部において周方向におよそ均等に洗浄を行うことが実現される。
【0039】
本実施の形態では、基板9の回転(ステップS17)において、基板9を回転させる角度を45°、22.5°、45°の順に設定しているが、回転角度は一定とされてもよい。すなわち1回目の走査洗浄工程の後に、90°を4分割した22.5°だけ基板9を回転して走査洗浄工程が繰り返され、22.5°だけ基板9を回転する工程および走査洗浄工程をさらに2回繰り返すことにより、図8.Fと同様の洗浄が行われてもよい。
【0040】
なお、上記走査洗浄工程では洗浄液の吐出終了と同時に吐出部4の移動を停止しているが、洗浄液の吐出終了後一定時間経過後に吐出部4の移動が停止されてもよい。すなわち、吐出部4の停止位置は、洗浄終了位置と必ずしも一致しなくてもよく、この場合、次の走査洗浄において、吐出部4の移動開始後、吐出口41全体が基板9と対向する洗浄開始位置から洗浄液の吐出が開始される。
【0041】
次に、基板9の外縁部を洗浄する回転洗浄について図8.Gを参照して説明する。基板9を回転する工程および走査洗浄工程が所定の回数繰り返され、次の走査洗浄の必要がないと判断されると(図5:ステップS16)、基板9の洗浄処理が回転洗浄工程へと移行する。
【0042】
回転洗浄工程では、まず、図8.Gに示す矢印73の方向へと基板9の回転が開始される(図6:ステップS21)。そして、直線状の吐出領域が洗浄終了位置に位置し、かつ、吐出部4の移動が停止している状態で吐出口41から洗浄液の吐出が開始される(ステップS22)。洗浄液を吐出口41から吐出しつつ行われる基板9の回転は1回転以上とされ、これにより、基板9の外縁部である円環状の回転洗浄領域92が洗浄されることとなる。その後、洗浄液の吐出が停止され(ステップS23)、最後に、基板9の回転が停止されて(ステップS24)回転洗浄工程が終了する。
【0043】
ところで、基板洗浄装置1では、厳密には、基板9の外縁部は均一に洗浄されない。しかしながら、図4に示す制御部6が回転機構3、供給ポンプ44、および、走査機構5を制御することにより、走査洗浄で均一に洗浄された基板9の中央付近における単位面積当たりの洗浄時間と基板9の外縁部における単位面積当たりの平均洗浄時間とが大きくは相違しないように走査洗浄工程間の基板9の回転角度、走査洗浄工程の繰り返し回数、および、回転洗浄工程における基板9の回転数などが調整される。これにより、基板9の中央付近の洗浄時間を必要以上に長くすることなく外縁部を十分に洗浄することができ、洗浄液の吐出による基板9の中央付近のパターンの損傷を防止することができる。特に、半導体基板の場合は、基板9の外縁部には重要でない領域が多いため、基板9の外縁部に対する洗浄が若干不均一であったり、洗浄の程度が低くても大きく問題とはならない。
【0044】
換言すれば、従来のように円形の吐出口を有するノズルを揺動させつつ基板を回転させて洗浄する手法では、基板の外縁部と中央部とでは単位面積当たりの洗浄時間が極端に相違してしまうが、基板洗浄装置1ではスリット状のノズルを用いて効率よく洗浄を行いながら基板の外縁部と中央部とでの単位面積当たりの洗浄時間の極端な相違を防止することができる。
【0045】
また、近年では、パターンのさらなる微細化が進んでおり、中央付近に極めて細かいパターンを有する基板9を高速で回転させながら洗浄を行うと、高速回転の影響と相俟ってパターンにダメージが生じやすくなるおそれがあるが、走査洗浄工程では基板9の回転が停止しており、回転洗浄工程においても低速で回転させるのみで足りるため、極めて細かいパターンを有する基板9の洗浄であってもパターンへのダメージの発生を防止することができる。
【0046】
さらに、吐出領域が基板9の主面上にある時だけに洗浄が限定されるため、基板上以外で洗浄液を吐出するときに発生するミストを抑えることができ、かつ、洗浄液の使用量を抑えることもできる。
【0047】
次に、吐出口41の長さについて説明する。基板洗浄装置1では、1回の走査洗浄工程による走査洗浄領域91をできるだけ大きくして基板9の中央付近において均一に洗浄される範囲が最も大きくなるよう吐出口41の長さが設定される。図9は、吐出口41の長さと走査洗浄領域91との関係を説明するための図であり、基板9の半径をr、吐出口41の長さをLにて示す。吐出領域の走査方向は、直線状の吐出領域が伸びる方向に対して垂直であるため、図9に示すように、走査洗浄領域91は基板9に内接する正方形となる場合に面積が最も大きくなり、この正方形の一辺の長さが吐出領域の長さとされる。基板洗浄装置1では、吐出口41と基板9の主面とが近接しているので、吐出口41の長さLは、吐出領域の長さと同じ長さであり、数1で表される。
【0048】
【数1】

【0049】
すなわち、基板洗浄装置1では吐出口41の長さLおよび吐出領域の長さは基板9の半径rの1.4倍に設定される。
【0050】
なお、走査洗浄領域91を最大とすることにより、基板9を間欠的に回転しながら走査洗浄を繰り返す処理を行った後において、基板9の中央付近において均一に洗浄される略円形の範囲も最も大きくすることが実現される。
【0051】
図10は、直線状の吐出領域の長さLを基板9の半径rに等しくしたときの1回の走査洗浄工程における走査洗浄領域91を示す図である。吐出領域の長さが基板9の半径の1.4倍から変更される場合は、走査洗浄領域91は基板9の外周円に内接する長方形となる。そして、図11に示すように、走査洗浄工程と基板9の所定角度の回転とを繰り返すことにより、長方形の走査洗浄領域91が重なり合う実線にて示す多角形の領域93が少なくとも1回は洗浄が行われた領域となる。
【0052】
領域93のうち、基板9の中央付近にて均一に洗浄が行われた領域は太い破線93aにて示す直径rの円形に近い領域となる。すなわち、長方形の走査洗浄領域91の短辺の長さrを直径とするほぼ円形の領域93aが正確に均一に洗浄された領域となり、図8.Fの場合の領域(この場合、均一に洗浄される領域の直径は1.4rとなる。)よりも小さくなる。なお、直線状の吐出領域の長さが基板9の半径4の1.4倍を超える場合は走査洗浄領域の長辺の長さが吐出領域の長さ(すなわち、吐出口41の長さ)とが一致するが、この場合も基板9の中央付近において均一に洗浄される領域の直径は走査洗浄領域の短辺の長さとなる。
【0053】
以上のように、走査洗浄領域が長方形の場合は正方形の場合よりも走査洗浄工程および基板9を回転する工程を繰り返した後に基板9の中央付近で均一に洗浄される領域が小さくなってしまうが、図11と図8.Fとを比較して判るように、走査洗浄領域を長方形とした場合は、走査洗浄が繰り返された後に少なくとも1回は洗浄されている領域が大きくなる。したがって、洗浄の目的によっては走査洗浄領域は長方形とされることが好ましい場合もある。もちろん、走査洗浄領域が極端に細長い長方形の場合は1回の走査洗浄工程にて洗浄される領域が小さくなってしまうため、通常、走査洗浄領域の短辺の長さは、基板9の半径rの1倍以上とされることが好ましい。図11に示すように走査洗浄領域91の短辺の長さがrの場合は、長辺の長さL1は数2で示され、およそ1.7rとなる。
【0054】
【数2】

【0055】
既述のように直線状の吐出領域の長さは走査洗浄領域91の長辺に等しくされてもよいことから、走査洗浄領域91の短辺を基板9の半径rよりも長くするためには、吐出口41の長さLおよび線状の吐出領域の長さの好ましい範囲は、基板9の半径の1倍以上、1.7倍以下となる。これにより、洗浄効率を低下させることなく基板9の中央付近において均一に洗浄できる範囲を大きくすることができる。
【0056】
次に、複数回の走査洗浄工程の間における基板9の回転角度について説明する。基板9の回転角度は、各走査洗浄工程における走査洗浄領域の一部が、各走査洗浄工程以前に行われた全ての走査洗浄工程における走査洗浄領域の外に存在し、かつ、走査洗浄領域を重ね合わせた領域の輪郭が、基板9の回転軸を中心とする周方向に周期的な形状となるように決定される。これにより、基板9の外縁部の多くの領域に洗浄が行われるとともに外縁部における洗浄が周方向に関して均一化される。
【0057】
図8.Fに示すように、1つの走査洗浄領域が正方形の場合は、基板9を90°回転させると、次の走査洗浄領域と前の走査洗浄領域とが一致してしまうため、走査洗浄工程が繰り返される際の基板9の回転角度の累積値が90°の倍数とはならないことが必要となる。これに対し、1つの走査洗浄領域が長方形の場合は、基板9を180°回転させないと次の走査洗浄領域と前の走査洗浄領域とが一致しないため、走査洗浄工程が繰り返された際の基板9の回転角度の累積値が180°の倍数とはならないことが必要となる。1回の基板9の回転角を簡単に決める方法としては、例えば、走査洗浄領域が正方形の場合は、90°を等分割した値を1回の基板9の回転角度とし、走査洗浄領域が長方形の場合は、180°を等分割した値を1回の回転角度とする方法が挙げられる。
【0058】
図11では、180°を5つに分割して、基板9を36°だけ回転させる毎に走査洗浄工程を繰り返した場合を例示しており、複数の走査洗浄領域91を重ね合わせた領域93の輪郭が、基板9の回転軸を中心とする周方向に36°毎に周期的な形状となっている。このように、1つの走査洗浄領域が長方形となる場合においても、基板9の周方向におよそ均等に洗浄を行うことができる。
【0059】
図12は、吐出部の他の好ましい例として二流体混合型のスプレー式の吐出部4aを示す図である。吐出部4aでは、洗浄液を吐出する複数の吐出管45およびガス噴出管46が、スリット状の吐出口41の伸びる方向に配列されており、吐出管45から吐出される洗浄液にガス噴出管46から噴出される気体を衝突させることにより洗浄液が微小液滴化され、吐出口41から基板9の主面上の直線状の吐出領域に向けて洗浄液の液滴が高速に吐出される(すなわち、噴出される)。これにより、少量の洗浄液で効率よく洗浄を行うことができ、洗浄液の使用量をさらに低減することができる。
【0060】
次に、基板洗浄装置1における走査洗浄工程と回転洗浄工程との組み合わせの他の例について説明する。
【0061】
上記説明では、複数回の走査洗浄工程が繰り返された後、回転洗浄工程が行われることにより、走査洗浄工程において洗浄されなかった領域を含み、かつ、洗浄の程度が低い基板9の外縁部全体が洗浄されるが、回転洗浄工程は、上記走査洗浄工程が繰り返される前、または、途中に行われてもよい。また、回転洗浄工程は複数回に分けられてもよく、この場合、複数回の回転洗浄工程での基板9の合計回転数が1回転以上とされることにより、基板9の外縁部全体が洗浄されることとなる。
【0062】
また、基板9の外縁部に重要な洗浄箇所が少ない場合は、吐出部4の移動速度を低下させつつ走査洗浄工程が1回だけ行われてもよい。この場合、1回の走査洗浄工程の後または前に回転洗浄工程が行われることとなる。
【0063】
逆に、走査洗浄工程が多数回繰り返されて基板9の外縁部のほとんどの部分が洗浄される場合は、回転洗浄工程は省略されてもよい。既述のように基板洗浄装置1における洗浄では基板9の中央部と外縁部とにおける単位面積当たりの洗浄時間(すなわち、洗浄の程度)が極端に異なることを防止することが重要であるため、用途に応じて基板洗浄装置1における走査洗浄工程と回転洗浄工程との関係や回数は柔軟に変更されてよい。
【0064】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0065】
上記実施の形態では、洗浄液が吐出される線状の領域が、一定の方向に移動するが、これに限定されるものではない。図13は、基板洗浄装置の他の例を示す図である。図13に示すように、アーム47の一端に吐出部4が取り付けられ、アーム47を矢印74の方向へ旋回することにより、吐出口41から洗浄液が吐出される直線状の吐出領域を走査する走査洗浄が行われてもよい。このとき、走査洗浄領域が基板9の回転により元の領域と一致するまでの角度は360°となり、走査洗浄工程間の基板9の回転角度は、例えば、360°を等分割したものとされる。なお、図13の場合、洗浄対象となる吐出領域の両端部において洗浄の程度に差が生じるが、アーム47の旋回半径が十分に長ければ特に問題となることはなく、また、基板9の中央付近において均一に洗浄する範囲も大きくすることができる。
【0066】
図13の場合も走査方向は吐出領域の向く方向に対して垂直となるが、走査方向は吐出領域に対して厳密に垂直にされる必要はない。また、走査洗浄において吐出領域の両端部が基板9の主面のエッジからエッジまで正確に移動する必要はなく、若干エッジの内側で吐出領域が走査されてもよく、回転洗浄工程においても吐出領域の両端が正確にエッジに位置する必要はなく、若干内側で回転洗浄工程が行われてもよい。
【0067】
吐出領域を正確に直線状にするためには、吐出部4はスリット状の吐出口41を有することが好ましいが、吐出方法としては他の手法が利用されてもよい。例えば、洗浄液の液滴を別途生成しておき、この液滴をキャリアガスと共に吐出部4へと供給することにより、直線状の吐出領域に洗浄液の液滴が吐出(噴出)されてもよい。また、直線状の吐出領域が洗浄されるのであるならば、吐出口41の長さや形状は吐出領域と異なるものであってもよい。例えば、吐出口41の長さが吐出領域よりも短くてもよく、さらには、洗浄ムラが余り生じないのであるならば、直線に配列された複数のノズルから直線状の吐出領域に洗浄液が吐出されてもよい。
【0068】
また、洗浄液としては様々なものが利用されてよく、純水のみならず、薬液を含むものが洗浄液として使用されてもよい。また超音波を使用しない液のみによる洗浄としてもよい。
【0069】
保持部2による基板9の保持は吸着には限定されず、回転機構3や走査機構5も上記実施の形態にて示したものには限定されない。さらには、走査洗浄工程と回転洗浄工程とは個別の装置にて行われてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】基板洗浄装置の正面図である。
【図2】基板洗浄装置の平面図である。
【図3】吐出部を示す断面図である。
【図4】制御部および制御部に接続された構成要素を示すブロック図である。
【図5】走査洗浄工程の流れを示す図である。
【図6】回転洗浄工程の流れを示す図である。
【図7.A】1回目の走査洗浄を示す図である。
【図7.B】1回目の走査洗浄を示す図である。
【図8.A】1回目の基板の回転を示す図である。
【図8.B】2回目の走査洗浄を示す図である。
【図8.C】2回目の基板の回転を示す図である。
【図8.D】3回目の走査洗浄を示す図である。
【図8.E】3回目の基板の回転を示す図である。
【図8.F】4回目の走査洗浄を示す図である。
【図8.G】回転洗浄を示す図である。
【図9】吐出口の長さと走査洗浄領域との関係を示す図である。
【図10】吐出口の長さと走査洗浄領域との関係を示す図である。
【図11】重なり合った複数の走査洗浄領域を示す図である。
【図12】吐出部の他の例を示す図である。
【図13】基板洗浄装置の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
1 基板洗浄装置
2 保持部
3 回転機構
4 吐出部
5 走査機構
6 制御部
9 基板
41 吐出口
91,91a,91b,91c 走査洗浄領域
93 領域
S11,S12〜S15,S17,S21〜S24 ステップ
J1 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板状の基板を洗浄する基板洗浄方法であって、
回転軸を中心に回転可能な保持部により基板の中心を前記回転軸に合わせつつ前記回転軸に垂直な姿勢にて前記基板を保持する基板保持工程と、
前記保持部の回転が停止している状態で、前記基板の主面上の直線状の吐出領域に向けて洗浄液を吐出部から吐出しつつ前記吐出部を移動することにより、前記吐出領域を前記主面内にて前記基板の外縁部の一方側から中央部を経由して他方側へと走査する走査洗浄工程と、
前記走査洗浄工程の後に、前記基板を前記保持部とともに所定角度だけ回転する基板回転工程と、
前記基板回転工程の後に、前記走査洗浄工程を繰り返す繰り返し工程と、
を備え、
前記基板回転工程の後の前記走査洗浄工程において前記吐出領域は前記主面上を走査する走査洗浄領域の一部が、前記基板回転工程の前の前記走査洗浄工程における走査洗浄領域の外に存在することを特徴とする基板洗浄方法。
【請求項2】
請求項1に記載の基板洗浄方法であって、
前記繰り返し工程において、繰り返された前記走査洗浄工程の後に前記基板回転工程および前記走査洗浄工程が少なくとも1回さらに行われ、
前記繰り返し工程における各走査洗浄工程における走査洗浄領域の一部が、前記各走査洗浄工程以前に行われた全ての走査洗浄工程における走査洗浄領域の外に存在することを特徴とする基板洗浄方法。
【請求項3】
請求項2に記載の基板洗浄方法であって、
前記走査洗浄工程の繰り返しによる複数の走査洗浄領域を重ね合わせた領域の輪郭が、前記回転軸を中心とする周方向に周期的な形状となることを特徴とする基板洗浄方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の基板洗浄方法であって、
前記吐出領域を前記基板の前記外縁部に位置させて前記吐出部の移動が停止している状態で、前記洗浄液を前記吐出部から吐出しつつ前記基板を1回転以上回転する回転洗浄工程をさらに備えることを特徴とする基板洗浄方法。
【請求項5】
円板状の基板を洗浄する基板洗浄方法であって、
回転軸を中心に回転可能な保持部により基板の中心を前記回転軸に合わせつつ前記回転軸に垂直な姿勢にて前記基板を保持する基板保持工程と、
前記保持部の回転が停止している状態で、前記基板の主面上の直線状の吐出領域に向けて洗浄液を吐出部から吐出しつつ前記吐出部を移動することにより、前記吐出領域を前記主面内にて前記基板の外縁部の一方側から中央部を経由して他方側へと走査する走査洗浄工程と、
前記走査洗浄工程の後または前に、前記吐出領域を前記基板の前記外縁部に位置させて前記吐出部の移動が停止している状態で、前記洗浄液を前記吐出部から吐出しつつ前記基板を1回転以上回転する回転洗浄工程と、
を備えることを特徴とする基板洗浄方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の基板洗浄方法であって、
前記走査洗浄工程において、前記吐出領域の両端部が前記基板のエッジに一致する前記吐出領域の位置から前記洗浄液の吐出が開始され、前記両端部が前記基板のエッジに一致する前記吐出領域の他の位置にて前記洗浄液の吐出が終了することを特徴とする基板洗浄方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の基板洗浄方法であって、
前記吐出領域の走査方向が、前記吐出領域が伸びる方向に対してに垂直であり、
前記吐出領域の長さが、前記基板の半径の1倍以上、1.7倍以下であることを特徴とする基板洗浄方法。
【請求項8】
請求項7に記載の基板洗浄方法であって、
前記吐出領域の長さが、前記基板の半径の1.4倍であることを特徴とする基板洗浄方法。
【請求項9】
円板状の基板を洗浄する基板洗浄装置であって、
回転軸を中心に回転可能であるとともに基板の中心を前記回転軸に合わせつつ前記回転軸に垂直な姿勢で前記基板を保持する保持部と、
前記回転軸を中心に前記保持部を回転する回転機構と、
前記保持部に保持された基板の主面上の直線状の吐出領域に向けて洗浄液を吐出する吐出部と、
前記吐出部を移動することにより、前記吐出領域を前記主面内にて走査する走査機構と、
前記回転機構、前記吐出部および前記走査機構を制御することにより、基板を保持する前記保持部の回転が停止している状態で、洗浄液を前記吐出部から吐出しつつ前記吐出部を移動することにより、前記吐出領域を前記主面内にて前記基板の外縁部の一方側から中央部を経由して他方側へと走査する走査洗浄工程と、前記基板を前記保持部とともに所定角度だけ回転する基板回転工程と、前記走査洗浄工程を繰り返す繰り返し工程とを実行する制御部と、
を備えることを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項10】
円板状の基板を洗浄する基板洗浄装置であって、
回転軸を中心に回転可能であるとともに基板の中心を前記回転軸に合わせつつ前記回転軸に垂直な姿勢で前記基板を保持する保持部と、
前記回転軸を中心に前記保持部を回転する回転機構と、
前記保持部に保持された基板の主面上の直線状の吐出領域に向けて洗浄液を吐出する吐出部と、
前記吐出部を移動することにより、前記吐出領域を前記主面内にて走査する走査機構と、
前記回転機構、前記吐出部および前記走査機構を制御することにより、基板を保持する前記保持部の回転が停止している状態で、洗浄液を前記吐出部から吐出しつつ前記吐出部を移動することにより、前記吐出領域を前記主面内にて前記基板の外縁部の一方側から中央部を経由して他方側へと走査する走査洗浄工程と、前記走査洗浄工程の後または前に、前記吐出領域を前記基板の前記外縁部に位置させて前記吐出部の移動が停止している状態で、前記洗浄液を前記吐出部から吐出しつつ前記基板を1回転以上回転する回転洗浄工程とを実行する制御部と、
を備えることを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項11】
請求項9または10に記載の基板洗浄装置であって、
前記吐出部がスリット状の吐出口を有し、前記吐出口から超音波が付与された前記洗浄液または微小液滴化された前記洗浄液が吐出されることを特徴とする基板洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7.A】
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【図7.B】
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【図8.A】
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【図8.B】
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【図8.C】
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【図8.D】
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【図8.E】
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【図8.F】
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【図8.G】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−42742(P2007−42742A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−222996(P2005−222996)
【出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】