説明

基板用除塵装置

【課題】回動体による基板の損傷を防止して、基板表面の円滑な除塵を実現することができる基板用除塵装置を提供する。
【解決手段】除塵ユニット2は、エア排出室5とエア吸引室7とを備えると共に、エア排出室5及びエア吸引室7が基板30の搬送方向R1に沿って配置され、エア排出室5から噴出用流路6を介して基板30の表面に向けて噴出させた清浄エアをエア吸引室7に吸引させるように構成される。また除塵ユニット2は、エア排出室5とエア吸引室7との間に設けられ、エア吸引室7の吸引力に抵抗する抵抗力を搬送中の基板30に与えるために基板30に従動して回動する回動体9を備える。さらに除塵ユニット2は、エア排出室5の清浄エアを、回動体9の表面であって基板30との接触位置とは異なる位置に噴出させた後、吸引除去する異物除去用流路10を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス板、合成樹脂板、金属板などの基板の表面に付着した塵や埃等の異物を、清浄エアを用いて吸引除去する基板用除塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置やプラズマ表示装置等に用いられるガラス基板を対象とした除塵装置は、例えば特許文献1や特許文献2に開示されている。この除塵装置は、清浄エアをガラス基板表面に噴射するエア排出室と、清浄エアによって舞い上がった塵や埃等の異物を吸引除去するエア吸引室とを有する除塵ユニットを備えており、この除塵ユニットをガラス基板の上方であって、エア排出室とエア吸引室とがガラス基板の搬送方向に沿って並ぶように配置して構成されている。
【0003】
上述した除塵装置では、除塵ユニットの直下に搬送されてきたガラス基板が、エア吸引室の負圧によって吸い上げられて撓むことがある。ガラス基板が吸い上げられて撓むと、ガラス基板がエア吸引室のエア吸引口に接触したり移動したりして、ガラス基板が損傷するおそれがある。
【0004】
そこで、エア吸引室の吸引力に抵抗する抵抗力を搬送中のガラス基板に与えるために基板に従動して回動する回動体(コロや補助ローラ)を備えた除塵装置が、例えば特許文献3や特許文献4に開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平7−60211号公報
【特許文献2】実用新案登録第3009694号公報
【特許文献3】特開2000−210630号公報
【特許文献4】特開2003−332401号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した回動体を備えた除塵装置では、回動体の表面に付着した異物によって、基板表面が損傷することがある。小型の基板の場合は、基板の両端に回動体を配置することによって、吸引力による基板の撓みを防止し、かつ回動体による損傷の影響を最小限に抑えることが可能である。一方、大型の基板の場合は、基板の幅方向(搬送方向に直交する方向)に多数の回動体を配置して、基板の中間部分の撓みを防止する必要があるが、この場合は、回動体によって基板の中間部分が損傷してしまうという問題が生じる。
【0007】
そこで、本発明の解決すべき課題は、回動体による基板の損傷を防止して、基板表面の円滑な除塵を実現することができる基板用除塵装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、相対移動される基板の表面に清浄エアを噴出する少なくとも1つのエア排出部と、前記エア排出部に対して前記基板の相対移動方向に沿って配置され、前記清浄エアを吸引する少なくとも1つのエア吸引部と、前記エア吸引部の吸引力に抵抗する抵抗力を相対移動中の基板に与えるために基板に従動して回動する回動体とを備えた基板用除塵装置において、前記回動体の表面に付着した異物を除去する異物除去部を備えることを特徴とする基板用除塵装置である。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の基板用除塵装置において、前記異物除去部は、前記エア排出部の清浄エアを、前記基板の表面に噴出させる噴出用流路とは異なる流路で、前記回動体の表面であって前記基板との接触位置とは異なる位置に噴出させ、前記エア吸引部で吸引するように構成されていることを特徴としている。
【0010】
請求項3の発明は、排気ポンプが接続されるエア排出室と吸気ポンプが接続されるエア吸引室とをそれぞれ少なくとも1個備えると共に、前記エア排出室及び前記エア吸引室が基板の相対移動方向に沿って配置され、前記エア排出室から噴出用流路を介して前記基板の表面に向けて噴出させた清浄エアを前記エア吸引室に吸引させるように構成した除塵ユニットを備え、前記除塵ユニットはさらに、前記エア排出室と前記エア吸引室との間に設けられ、前記エア吸引室の吸引力に抵抗する抵抗力を相対移動中の基板に与えるために基板に従動して回動する回動体を備えた基板用除塵装置において、前記除塵ユニットは、前記エア排出室の清浄エアを、前記回動体の表面であって前記基板との接触位置とは異なる位置に噴出させた後、吸引除去する異物除去用流路を有することを特徴とする基板用除塵装置である。
【0011】
請求項4の発明は、請求項3に記載の基板用除塵装置において、前記異物除去用流路は、前記回動体付近では、流路の中心線が回動体の接線となるように設置されていることを特徴としている。
【0012】
請求項5の発明は、請求項3に記載の基板用除塵装置において、前記異物除去用流路は、エア排出室側の流路面積が、前記噴出用流路の流路面積よりも小さく設定されていることを特徴としている。
【0013】
請求項6の発明は、請求項3に記載の基板用除塵装置において、前記異物除去用流路は、回動体よりも上流側付近の流路面積が、エア排出室側の流路面積よりも小さく設定されていることを特徴としている。
【0014】
請求項7の発明は、請求項3〜6のいずれかに記載の基板用除塵装置において、前記異物除去用流路における回動体より下流側流路は、前記エア吸引室に接続されていることを特徴としている。
【0015】
請求項8の発明は、請求項3〜6のいずれかに記載の基板用除塵装置において、前記異物除去用流路における回動体より下流側流路は、流路面積が前記エア吸引室の流路面積よりも小さく設定されると共に、前記吸気ポンプに直接接続されていることを特徴としている。
【0016】
請求項9の発明は、請求項1に記載の基板用除塵装置において、前記異物除去部は、前記回動体の表面であって前記基板との接触位置とは異なる位置に粘着ローラを接触させて回動体表面の異物を除去するように構成されていることを特徴としている。
【0017】
請求項10の発明は、請求項9に記載の基板用除塵装置において、前記異物除去部は、前記粘着ローラの表面を洗浄液で洗浄して付着した異物を除去すると共に、前記清浄エアを粘着ローラの表面に噴出させて乾燥させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、異物除去部によって回動体の表面に付着した異物が除去されるので、回動体による基板の損傷の発生を防止できる。そのため、回動体を基板の両端だけでなく中間部分にも配置できるので、大型の基板であっても、基板を損傷させることなく、基板表面の除塵を円滑に行うことができる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、エア排出部の清浄エアを用いて回動体の表面に付着した異物が除去され、異物はエア吸引部で吸引される。エア排出部の清浄エアを用いるので、比較的簡単な構成で異物除去部を構成することができる。また、基板表面に清浄エアを噴出させる噴出用流路とは異なる流路で清浄エアを回動体表面に噴出させるので、基板の除塵に影響を与えることなく、回動体の異物除去を行うことができる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、回動体は除塵ユニットに設けられているので、除塵ユニットに異物除去用流路を形成することで回動体の異物除去を行うことができる。したがって、比較的簡単な構成で異物除去を実現することができる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、異物除去用流路は、回動体付近では流路の中心線が回動体の接線となるように設置されている。流路内では中心部分が最も流速が速くなるので、流速の速い清浄エアが回動体表面に噴出されることになり、異物を効率良く除去することができる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、異物除去用流路は、エア排出室側の流路面積が、噴出用流路の流路面積よりも小さく設定されているので、清浄エアは噴出用流路に優先的に流れる。これによって、基板の除塵に影響を与えることなく、回動体の異物除去を行うことができる。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、異物除去用流路は、回動体よりも上流側付近の流路面積が、エア排出室側の流路面積よりも小さく設定されている。流路内では流路面積が小さくなると流速が速くなるので、流速の速くなった清浄エアが回動体に噴出されることになり、異物を効率良く除去することができる。
【0024】
請求項7に記載の発明によれば、異物除去用流路における回動体より下流側流路は、エア吸引室に接続されている。即ち、エア排出室とエア吸引室とを接続すると共に、回動体表面に干渉するような流路を形成することによって、異物除去用流路を形成することができる。したがって、比較的簡単に異物除去用流路を形成することができる。
【0025】
請求項8に記載の発明によれば、異物除去用流路における回動体より下流側流路は、流路面積がエア吸引室の流路面積よりも小さく設定されると共に、吸気ポンプに直接接続されている。このような構成にすることによって、異物除去用流路の下流側流路をエア吸引室に接続する構成に比べて、エア排出室の清浄エアが異物除去用流路に流れにくくなる。これによって、清浄エアが噴出用流路に優先的に流れるので、基板の除塵に影響を与えることなく、回動体の異物除去を行うことができる。
【0026】
請求項9に記載の発明によれば、回動体表面の異物は粘着ローラによって除去される。したがって、清浄エアでは舞い上がりにくい異物であっても、確実に除去することができる。
【0027】
請求項10に記載の発明によれば、粘着ローラの表面は洗浄液で洗浄されて付着した異物が除去され、さらに清浄エアを用いて乾燥される。これによって、回動体表面の異物除去を確実かつ効率良く行うことが可能となる。粘着ローラの洗浄は、定期的に行うようにしてもよいし、表面が汚れてきたとユーザが判断したときに行うようにしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1は、本発明の第1実施形態である基板用除塵装置1における1つの回動体に関する概略的構成を示す模式図であり、(a)は側方から見た模式図であり、(b)は下方から見た模式図である。また図2は、基板用除塵装置1を構成する除塵ユニット2の外観を示す模式上面図であり、図3は、図2の切断面線c3−c3から見た模式断面図である。
【0029】
基板用除塵装置1は、図3に示すように、除塵ユニット2と、排気ポンプ3と、吸気ポンプ4とを備えて構成される。除塵ユニット2は、図2に示すように、基板搬送部20の上方に配置される。基板搬送部20は、等間隔に配列された複数の回転軸21を有し、各回転軸21の両端は支持台22,23に支持されている。各回転軸21には、複数の搬送ローラ24が回転自在に装着されており、複数の搬送ローラ24は等間隔で配列されている。除塵対象である基板30は、搬送ローラ24で支持されて搬送される。基板30の搬送は、搬送ローラ24を回転駆動させて行うようにしてもよいし、基板30を図示しない駆動源によって移動させて行うようにしてもよい。
【0030】
除塵ユニット2の外形は、細長い直方体状であり、その長手方向が、基板30の搬送方向R1に交差するように配置されている。本実施形態では、図2に示すように除塵ユニット2は、搬送ローラ24の回転軸21に対して傾斜するように配置されている。除塵ユニット2の長手方向の長さは、基板30の幅方向(搬送方向R1に対して直交する方向)の長さよりもやや長く設定される。
【0031】
除塵ユニット2は、エア排出室5と、エア排出室5に連通する噴出用流路6と、エア吸引室7と、エア吸引室7に連通する吸引用流路8とを備えている。除塵ユニット2においては、基板30の搬送方向R1に対して、上流側からエア吸引室7、エア排出室5の順序で配置されている。
【0032】
エア排出室5及びエア吸引室7は、除塵ユニット2の長手方向に延びて形成されており、除塵ユニット2の長さよりは短く形成されている。噴出用流路6及び吸引用流路8は、ともに除塵ユニット2の下面に開口している。また、噴出用流路6及び吸引用流路8も、エア排出室5及びエア吸引室7と同様に、除塵ユニット2の長手方向に延びて形成されており、エア排出室5及びエア吸引室7と同じ長さに形成されている。
【0033】
エア排出室5には、排気ポンプ3が接続されている。排気ポンプ3は、清浄エアをエア排出室5に供給する。エア排出室5に供給された清浄エアは、噴出用流路6を通って基板30の表面に向かって噴出する。噴出用流路6は、上述したように除塵ユニット2の長手方向に延びて形成されているので、基板30の幅方向全体に清浄エアが噴出されることになる。これによって、基板30の表面に付着している塵や埃等の異物が舞い上がる。なお、排気ポンプ3と除塵ユニット2(エア排出室5及び噴出用流路6)とがエア排出部を構成する。
【0034】
一方、エア吸引室7には、吸気ポンプ4が接続されている。吸気ポンプ4は、エア吸引室7内の気体を吸引する。したがって、噴出用流路6から噴出された清浄エアは、吸引用流路8及びエア吸引室7を介して吸気ポンプ4によって吸引される。これによって、舞い上がった塵や埃等の異物は、吸引除去される。なお、吸気ポンプ4と除塵ユニット2(エア吸引室7及び吸引用流路8)とがエア吸引部を構成する。
【0035】
さらに、除塵ユニット2は、エア吸引部の吸引力に抵抗する抵抗力を搬送中の基板30に与えるために基板30に従動して回動する回動体9を8個備えている。8個の回動体9は、エア排出室5とエア吸引室7との間に設けられ、除塵ユニット2の長手方向に沿って等間隔に配置されている。回動体9の回転軸9aは、搬送ローラ24の回転軸21と平行になるように設定されている。この回動体9を設けたことによって、吸引力による基板30の撓みが防止されるので、基板30が撓んで除塵ユニット2に衝突したり移動したりして基板30の表面が損傷するのを防止できる。
【0036】
本発明は、回動体9の表面に付着した異物を除去するための異物除去部を設けたことが特徴である。本実施形態では、エア排出部(エア排出室5)の清浄エアを、噴出用流路6とは異なる流路で、回動体9の表面であって基板30との接触位置とは異なる位置に噴出させ、エア吸引部(エア吸引室7)で吸引するように構成している。
【0037】
より具体的には、図1及び図2に示すように、除塵ユニット2に、エア排出室5とエア吸引室7とを接続すると共に、回動体9の表面に干渉する異物除去用流路10が形成されている。この異物除去用流路10を設けたことによって、エア排出室5の清浄エアが回動体9の表面に噴出されて表面に付着している異物が舞い上がり、舞い上がった異物はエア吸引室7に吸引除去される。
【0038】
また、異物除去用流路10は、図4に示すように、回動体9付近では流路の中心線L1が回動体9の接線となるように形成されている。流路内では中心部分が最も流速が速くなるので、流速の速い清浄エアが回動体9の表面に噴出されることになる。
【0039】
また、異物除去用流路10は、図1に示すように、エア排出室5側の流路面積A1が、噴出用流路6の流路面積よりも小さくなるように形成されている。即ち、8個の回動体9に対応する8個の異物除去用流路10におけるエア排出室5側の流路面積A1の合計面積が、噴出用流路6の流路面積よりも小さくなるように、8個の異物除去用流路10は形成されている。この構成によって、エア排出室5の清浄エアは噴出用流路6に優先的に流れることになる。
【0040】
また、異物除去用流路10は、図1に示すように、回動体9よりも上流側付近の流路面積A2が、エア排出室5側の流路面積A1よりも小さくなるように形成されている。流路内では流路面積が小さくなると流速が速くなるので、流速の速くなった清浄エアが回動体9の表面に噴出されることになる。
【0041】
以上のように第1実施形態によれば、異物除去用流路10によって回動体9の表面に付着した異物が除去されるので、回動体9による基板30の損傷の発生を防止できる。そのため、回動体9を基板30の両端だけでなく中間部分にも配置できるので、大型の基板30であっても、基板30を損傷させることなく、基板30の表面の除塵を円滑に行うことができる。これによって、エア排出室5の空気圧、エア吸引室7の空気圧、除塵ユニット2と基板30との間隔を、基板30の撓みや吸着を気にすることなく変更することができるようになり、除塵能力の向上を図ることが可能となる。
【0042】
また、エア排出室5の清浄エアを用いて回動体9の表面に付着した異物が除去され、異物はエア吸引室7で吸引される。エア排出室5の清浄エアを用いるので、比較的簡単な構成で異物除去用流路10を構成することができる。また、基板30の表面に清浄エアを噴出させる噴出用流路6とは異なる流路で清浄エアを回動体9の表面に噴出させるので、基板30の除塵に影響を与えることなく、回動体9の異物除去を行うことができる。
【0043】
また、回動体9は除塵ユニット2に設けられているので、除塵ユニット2に異物除去用流路10を形成することで回動体9の異物除去を行うことができる。したがって、比較的簡単な構成で異物除去を実現することができる。さらに、異物除去用流路10における回動体9より下流側流路10aは、エア吸引室7に接続されている。即ち、エア排出室5とエア吸引室7とを接続すると共に、回動体9の表面に干渉するような流路を形成することによって、異物除去用流路10を形成することができる。したがって、比較的簡単に異物除去用流路10を形成することができる。
【0044】
また、異物除去用流路10は、回動体9付近では流路10の中心線L1が回動体9の接線となるように設置されている。流路内では中心部分が最も流速が速くなるので、流速の速い清浄エアが回動体9の表面に噴出されることになり、異物を効率良く除去することができる。
【0045】
また、異物除去用流路10におけるエア排出室5側の流路面積A1は、噴出用流路6の流路面積よりも小さく設定されているので、清浄エアは噴出用流路6に優先的に流れる。これによって、基板30の除塵に影響を与えることなく、回動体9の異物除去を行うことができる。
【0046】
また、異物除去用流路10における回動体9よりも上流側付近の流路面積A2は、エア排出室5側の流路面積A1よりも小さく設定されている。流路内では流路面積が小さくなると流速が速くなるので、流速の速くなった清浄エアが回動体9に噴出されることになり、異物を効率良く除去することができる。
【0047】
図5は、本発明の第2実施形態を示す模式断面図である。第2実施形態は、上述した第1実施形態に類似した構成であるので、同一の構成には同一の参照符号を付して詳細な説明は省略する。第2実施形態の特徴は、異物除去用流路10における回動体9よりも下流側の流路面積A3を、エア吸引室7の流路面積A4よりも小さく設定し、さらに異物除去用流路10における回動体9よりも下流側流路10aを吸気ポンプ4に直接接続したことである。
【0048】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。また、第2実施形態のような構成にすることによって、異物除去用流路10の下流側流路10aをエア吸引室7に接続する構成に比べて、エア排出室5の清浄エアが異物除去用流路10に流れにくくなる。これによって、清浄エアが噴出用流路6に優先的に流れるので、基板30の除塵に影響を与えることなく、回動体9の異物除去を行うことができる。
【0049】
図6は、本発明の第3実施形態を示す模式断面図である。第3実施形態は、上述した第1実施形態に類似した構成であるので、同一の構成には同一の参照符号を付して詳細な説明は省略する。なお、第3実施形態では、基板30の搬送方向R1に対して、上流側からエア排出室5、エア吸引室7の順序で配置しているが、第1及び第2実施形態のように、上流側からエア吸引室7、エア排出室5の順序で配置してもよい。
【0050】
第3実施形態の特徴は、回動体9の表面に付着した異物を粘着ローラ11によって除去するように構成したことである。
【0051】
粘着ローラ11は、回動体9の上方に配置され、回動体9の上部で表面に接触している。粘着ローラ11は、回動体9の回動に伴って回動し、回動体9の表面の異物は粘着ローラ11の表面に移動する。また、粘着ローラ11の上方において、粘着ローラ11の回転方向R2の上流側に、洗浄液供給部12が配置され、下流側には洗浄液回収部13が配置されている。さらに、粘着ローラ11の上端部には、エア排出室5とエア吸引室7とを接続すると共に、粘着ローラ11の表面に干渉する乾燥用流路14が形成されている。
【0052】
この構成によって、粘着ローラ11の表面は、洗浄液供給部12から供給される洗浄液によって洗浄されて付着した異物が除去され、異物が混合した洗浄液は洗浄液回収部13によって回収される。洗浄液回収部13は、フィルタによって洗浄液から異物を除去して洗浄液を回収する。さらに、粘着ローラ11の表面には、乾燥用流路14によって清浄エアが噴出されて乾燥される。粘着ローラ11の洗浄は、定期的に行うようにしてもよいし、表面が汚れてきたとユーザが判断したときに行うようにしてもよい。
【0053】
以上のように第3実施形態によれば、回動体9の表面の異物は粘着ローラ11によって除去されるので、清浄エアでは舞い上がりにくい異物であっても、確実に除去することができる。これによって、回動体9による基板30の損傷の発生を防止できる。そのため、回動体9を基板30の両端だけでなく中間部分にも配置できるので、大型の基板30であっても、基板30を損傷させることなく、基板30の表面の除塵を円滑に行うことができる。これによって、エア排出室5の空気圧、エア吸引室7の空気圧、除塵ユニット2と基板30との間隔を、基板30の撓みや吸着を気にすることなく変更することができるようになり、除塵能力の向上を図ることが可能となる。
【0054】
また、粘着ローラ11の表面は洗浄液で洗浄されて付着した異物が除去され、さらに清浄エアを用いて乾燥されるので、回動体9の表面の異物除去を確実かつ効率良く行うことが可能となる。
【0055】
上記の各実施形態では、除塵ユニット2を固定して基板30を搬送するようにしたけれども、基板30を固定して除塵ユニット2を移動させるようにしてもよい。
【0056】
また、除塵ユニット2は、基板30の搬送方向R1に直交するように配置してもよい。また、回動体9の個数は、8個に限られるものではなく、基板30の大きさによって適宜選択される。
【0057】
また、除塵ユニット2において、エア排出室5とエア吸引室7とは、基板30の搬送方向R1に対して、どちらを上流側に配置してもよい。さらに、除塵ユニット2を、2つのエア排出室5の間に1つのエア吸引室7を配置して構成してもよいし、2つのエア吸引室7の間に1つのエア排出室5を配置して構成してもよい。また、除塵ユニット2を基板30に対して下方に配置するようにしてもよいし、2つの除塵ユニット2を、基板30を挟んで上下に配置するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の第1実施形態である基板用除塵装置における1つの回動体に関する概略的構成を示す模式図であり、(a)は側方から見た模式図、(b)は下方から見た模式図。
【図2】基板用除塵装置を構成する除塵ユニットの外観を示す模式上面図。
【図3】図2の切断面線c3−c3から見た模式断面図。
【図4】回動体付近を拡大して示す模式断面図。
【図5】本発明の第2実施形態を示す模式断面図。
【図6】本発明の第3実施形態を示す模式断面図。
【符号の説明】
【0059】
1 基板用除塵装置
2 除塵ユニット
3 排気ポンプ
4 吸気ポンプ
5 エア排出室
6 噴出用流路
7 エア吸引室
8 吸引用流路
9 回動体
10 異物除去用流路
11 粘着ローラ
12 洗浄液供給部
13 洗浄液回収部
20 基板搬送部
21 回転軸
22,23 支持台
24 搬送ローラ
30 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対移動される基板の表面に清浄エアを噴出する少なくとも1つのエア排出部と、
前記エア排出部に対して前記基板の相対移動方向に沿って配置され、前記清浄エアを吸引する少なくとも1つのエア吸引部と、
前記エア吸引部の吸引力に抵抗する抵抗力を相対移動中の基板に与えるために基板に従動して回動する回動体とを備えた基板用除塵装置において、
前記回動体の表面に付着した異物を除去する異物除去部を備えることを特徴とする基板用除塵装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板用除塵装置において、
前記異物除去部は、前記エア排出部の清浄エアを、前記基板の表面に噴出させる噴出用流路とは異なる流路で、前記回動体の表面であって前記基板との接触位置とは異なる位置に噴出させ、前記エア吸引部で吸引するように構成されていることを特徴とする基板用除塵装置。
【請求項3】
排気ポンプが接続されるエア排出室と吸気ポンプが接続されるエア吸引室とをそれぞれ少なくとも1個備えると共に、前記エア排出室及び前記エア吸引室が基板の相対移動方向に沿って配置され、前記エア排出室から噴出用流路を介して前記基板の表面に向けて噴出させた清浄エアを前記エア吸引室に吸引させるように構成した除塵ユニットを備え、
前記除塵ユニットはさらに、前記エア排出室と前記エア吸引室との間に設けられ、前記エア吸引室の吸引力に抵抗する抵抗力を相対移動中の基板に与えるために基板に従動して回動する回動体を備えた基板用除塵装置において、
前記除塵ユニットは、前記エア排出室の清浄エアを、前記回動体の表面であって前記基板との接触位置とは異なる位置に噴出させた後、吸引除去する異物除去用流路を有することを特徴とする基板用除塵装置。
【請求項4】
請求項3に記載の基板用除塵装置において、
前記異物除去用流路は、前記回動体付近では、流路の中心線が回動体の接線となるように設置されていることを特徴とする基板用除塵装置。
【請求項5】
請求項3に記載の基板用除塵装置において、
前記異物除去用流路は、エア排出室側の流路面積が、前記噴出用流路の流路面積よりも小さく設定されていることを特徴とする基板用除塵装置。
【請求項6】
請求項3に記載の基板用除塵装置において、
前記異物除去用流路は、回動体よりも上流側付近の流路面積が、エア排出室側の流路面積よりも小さく設定されていることを特徴とする基板用除塵装置。
【請求項7】
請求項3〜6のいずれかに記載の基板用除塵装置において、
前記異物除去用流路における回動体より下流側流路は、前記エア吸引室に接続されていることを特徴とする基板用除塵装置。
【請求項8】
請求項3〜6のいずれかに記載の基板用除塵装置において、
前記異物除去用流路における回動体より下流側流路は、流路面積が前記エア吸引室の流路面積よりも小さく設定されると共に、前記吸気ポンプに直接接続されていることを特徴とする基板用除塵装置。
【請求項9】
請求項1に記載の基板用除塵装置において、
前記異物除去部は、前記回動体の表面であって前記基板との接触位置とは異なる位置に粘着ローラを接触させて回動体表面の異物を除去するように構成されていることを特徴とする基板用除塵装置。
【請求項10】
請求項9に記載の基板用除塵装置において、
前記異物除去部は、前記粘着ローラの表面を洗浄液で洗浄して付着した異物を除去すると共に、前記清浄エアを粘着ローラの表面に噴出させて乾燥させることを特徴とする基板用除塵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−56378(P2009−56378A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−224913(P2007−224913)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(507292368)SDフューチャーテクノロジー株式会社 (6)
【Fターム(参考)】