説明

基準電圧生成回路、ドライバ、電気光学装置及び電子機器

【課題】多様な電気光学パネルの表示特性に対応する、汎用性の高い階調電圧を生成できる基準電圧生成回路、ドライバ、電気光学装置及び電子機器を提供すること。
【解決手段】基準電圧生成回路は、ラダー抵抗回路10、選択回路100、サンプルホールド部200を含む。ラダー抵抗回路10は、第1の電源電圧VGMHと第2の電源電圧VGMLとの間に直列に接続された複数の抵抗RA0〜RAnを有し、RA0〜RAnによって抵抗分割された第1〜第nの分割電圧を出力する。選択回路100は、ラダー抵抗回路10が出力する第1〜第nの分割電圧のいずれかに対応する出力電圧VQAを、選択信号DAに基づいて選択して出力する。サンプルホールド部200は、複数のサンプルホールド回路を有し、各サンプルホールド回路が選択回路100の出力電圧VQAをサンプリングしてホールドする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基準電圧生成回路、ドライバ、電気光学装置及び電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯電話機やプロジェクターなどの電子機器に用いられる液晶パネル(広義には電気光学パネル)として、単純マトリクス方式の液晶パネルと、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor)などのスイッチ素子を用いたアクティブマトリクス方式の液晶パネルとが知られている。
【0003】
そして近年、携帯電話機やプロジェクターなどに用いられる液晶パネル画像表示には、映像が本来持っている色調表現を正確に再生できることが要求されている。
【0004】
一般に、画像表示を行うための映像信号は、液晶パネルの表示特性に応じて階調補正が行われており、正確な色調表現を実現するためには、液晶パネルの表示特性に最適な階調補正(γ補正)を行うことが要求される。
【0005】
この階調補正は、階調電圧生成回路(広義には、基準電圧生成回路)により行われる。階調電圧生成回路は、液晶パネルの表示特性に対応した階調電圧を生成する。このような階調電圧生成回路は、ラダー抵抗により構成することができ、ラダー抵抗を構成する各抵抗回路の両端の電圧が、階調データに対応した多値の階調電圧として出力される。
【0006】
ところで、液晶パネルには様々な製品が存在し、製品ごとに異なる表示特性を持っている。また、同じ製品の液晶パネルであっても複数の表示特性を持っている。例えば、液晶の劣化を防止するために極性反転駆動が行われるが、正極期間での表示特性(γカーブ)と負極期間での表示特性(γカーブ)は同じではない。また、例えば、液晶パネルの表示が赤青緑の3原色からなる場合には、赤青緑の表示特性は異なっており、各色の正極期間での表示特性と負極期間での表示特性も同じではない。
【0007】
このような多様な表示特性に対応した階調補正を実現するために、例えば特許文献1には、制御信号に基づいて抵抗値が可変制御される可変抵抗回路を含むラダー抵抗回路により、階調電圧を調節できる構成の階調電圧生成回路が開示されている。
【0008】
しかし、特許文献1に開示された技術では、設計時にあらかじめ設定された範囲内でしか可変抵抗回路の抵抗値を変化させることができないため、階調電圧を調節できる範囲が限られてしまうという問題があった。
【特許文献1】特開2003−233354号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の幾つかの態様によれば、多様な電気光学パネルの表示特性に対応する、汎用性の高い階調電圧を生成できる基準電圧生成回路、ドライバ、電気光学装置及び電子機器を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、少なくとも1つの基準電圧を生成する基準電圧生成回路であって、第1の電源電圧が供給される第1の電源線と、第2の電源電圧が供給される第2の電源線との間に直列に接続された複数の抵抗を有し、前記複数の抵抗の各抵抗によって抵抗分割された第1〜第n(nは自然数)の分割電圧を出力するラダー抵抗回路と、前記ラダー抵抗回路が出力する前記第1〜第nの分割電圧のいずれかに対応する出力電圧を、選択信号に基づいて選択して出力する選択回路と、複数のサンプルホールド回路を有し、前記複数のサンプルホールド回路の各サンプルホールド回路が前記選択回路の前記出力電圧をサンプリングしてホールドするサンプルホールド部と、を含む基準電圧生成回路に関係する。
【0011】
本発明では、ラダー抵抗回路は、第1の電源電圧と第2の電源電圧の間に直列に接続された複数の抵抗によって抵抗分割された第1〜第nの分割電圧を出力する。選択回路は、ラダー抵抗回路が出力する第1〜第nの分割電圧のいずれかに対応する出力電圧を選択信号に基づいて選択して出力する。そしてサンプルホールド部では、その複数のサンプルホールド回路の各サンプルホールド回路が選択回路の出力電圧をサンプリングしてホールドする。このようにすれば、複数のサンプルホールド回路のそれぞれが、ラダー抵抗回路が出力する第1〜第nの分割電圧のうちの任意の1つをサンプリングしてホールドするため、基準電圧を第1〜第nの分割電圧から自由な組み合わせと順序で選ぶことができ、汎用性の高い基準電圧を生成することができる。
【0012】
また本発明では、前記選択回路は、出力ノードと第1〜第nの入力ノードとの間にそれぞれ設けられた第1〜第nのスイッチ素子を有し、前記第1〜第nの入力ノードには、それぞれ前記ラダー抵抗回路が出力する前記第1〜第nの分割電圧が入力され、前記選択信号に基づいて、前記第1〜第nのスイッチ素子のうちのいずれかのスイッチ素子がオンし、他のスイッチ素子がオフすることで、前記選択回路の前記出力ノードに前記出力電圧が出力されてもよい。
【0013】
このような選択回路によれば、第1〜第nのスイッチ素子のうちの選択されたスイッチ素子がオンし、他のスイッチ素子はオフすることで、ラダー抵抗回路が出力する第1〜第nの分割電圧のいずれかに対応する出力電圧を選択信号に基づいて選択して出力できるようになる。
【0014】
また本発明では、前記選択回路は、前記選択信号に基づいて、第1〜第m(mは自然数)の出力期間のうちの各出力期間において、前記ラダー抵抗回路が出力する前記第1〜第nの分割電圧のいずれかに対応する出力電圧を選択して出力し、前記サンプルホールド部は、前記複数のサンプルホールド回路として第1〜第mのサンプルホールド回路を有し、前記少なくとも1つの基準電圧として第1〜第mの基準電圧からなるm個の基準電圧を出力し、前記第1〜第mのサンプルホールド回路のうちの第i(iは、1≦i≦mの整数)のサンプルホールド回路は、サンプリング指示信号に基づいて、前記第1〜第mの出力期間のうちの第iの出力期間において前記選択回路の前記出力電圧をサンプリングし、前記第1〜第mの基準電圧のうちの第iの基準電圧としてホールドして出力してもよい。
【0015】
このように、選択回路は、選択信号に基づいて第1〜第mの各出力期間において、ラダー抵抗回路が出力する第1〜第nの分割電圧のいずれかを選択して出力する。また、サンプルホールド部の第iのサンプルホールド回路は、サンプリング指示信号に基づいて第iの出力期間において選択回路の出力電圧をサンプリングし、第iの基準電圧としてホールドして出力する。このようにすることで、ラダー抵抗回路が出力する第1〜第nの分割電圧から自由な組み合わせと順序で第1〜第mの基準電圧を選ぶことができるようになる。特に例えばn>mの関係が成り立つ場合には、基準電圧の調整の自由度が、より一層高まる。
【0016】
また本発明では、前記サンプルホールド部は、第1のサンプルホールド部と第2のサンプルホールド部を有し、前記第1のサンプルホールド部は、周期的に繰り返される第1の期間と第2の期間のうちの前記第1の期間において、前記選択回路の前記出力電圧をサンプリングし、続く前記第2の期間において、前記第1の期間にサンプリングした電圧をホールドし、前記第2のサンプルホールド部は、前記第2の期間において、前記選択回路の前記出力電圧をサンプリングし、続く前記第1の期間において、前記第2の期間にサンプリングした電圧をホールドしてもよい。
【0017】
このようなサンプルホールド部によれば、第1のサンプルホールド部は、第1の期間において選択回路の出力電圧をサンプリングし、第2の期間において第1の期間にサンプリングした電圧をホールドすることで1組目の基準電圧を生成する。また第2のサンプルホールド部は、第2の期間において選択回路の出力電圧をサンプリングし、第1の期間において第2の期間にサンプリングした電圧をホールドすることで、1組目の基準電圧と独立した組み合わせの2組目の基準電圧を生成する。このようにすれば、独立した2組の基準電圧を交互に生成することができる。
【0018】
また本発明では、前記サンプルホールド部は、前記第1の期間において、出力指示信号に基づいて、前記第2のサンプルホールド部がホールドする電圧を選択して出力し、前記第2の期間において、前記出力指示信号に基づいて、前記第1のサンプルホールド部がホールドする電圧を選択して出力してもよい。
【0019】
このように、第1の期間において、出力指示信号に基づいて第2のサンプルホールド部がホールドする電圧を選択して出力し、第2の期間において、出力指示信号に基づいて第1のサンプルホールド部がホールドする電圧を選択して出力することで、2組の基準電圧を交互に出力させることができる。
【0020】
また本発明では、前記複数のサンプルホールド回路の各サンプルホールド回路は、フリップアラウンド型サンプルホールド回路でもよい。
【0021】
このようなフリップアラウンド型サンプルホールド回路を用いれば、サンプルホールド回路に電圧のサンプルホールド機能を持たせることができる共に、いわゆるオフセットフリーを実現できるため、バラツキの少ない高精度の基準電圧を生成できる。
【0022】
また本発明では、前記各サンプルホールド回路は、演算増幅器と、前記演算増幅器の第1の入力端子と前記各サンプルホールド回路の入力ノードとの間に設けられ、サンプリング期間において前記入力ノードの入力電圧に応じた電荷が蓄積されるサンプリング用キャパシタとを含み、前記サンプリング期間において前記サンプリング用キャパシタに蓄積された電荷に応じた出力電圧を、ホールド期間において出力してもよい。
【0023】
このようにすれば、サンプリング期間において入力ノードへの入力電圧をサンプリング用キャパシタにサンプリングし、サンプリング用キャパシタのフリップアラウンド動作を行うことで、サンプリング用キャパシタに蓄積された電荷に応じた出力電圧を、ホールド期間において出力できるようになる。
【0024】
また本発明では、前記各サンプルホールド回路は、その第2の入力端子にアナログ基準電源電圧が設定される演算増幅器と、前記各サンプルホールド回路の前記入力ノードと前記演算増幅器の第1の入力端子との間に設けられたサンプリング用スイッチ素子及びサンプリング用キャパシタと、前記演算増幅器の出力端子と前記第1の入力端子との間に設けられた帰還用スイッチ素子と、前記サンプリング用スイッチ素子と前記サンプリング用キャパシタとの間の接続ノードと前記演算増幅器の出力端子との間に設けられたフリップアラウンド用スイッチ素子と、を含んでもよい。
【0025】
このようにすれば、サンプリング用スイッチ素子や帰還用スイッチ素子を用いてサンプリング用キャパシタへの入力電圧のサンプリングを実現し、フリップアラウンド用スイッチ素子を用いて、サンプリング用キャパシタのフリップアラウンド動作を実現できる。
【0026】
また本発明では、前記サンプリング期間においては、前記サンプリング用スイッチ素子及び前記帰還用スイッチ素子がオンになると共に、前記フリップアラウンド用スイッチ素子がオフになり、前記サンプリング用キャパシタには前記入力ノードの入力電圧に応じた電荷が蓄積され、ホールド期間においては、前記サンプリング用スイッチ素子及び前記帰還用スイッチ素子がオフになると共に、前記フリップアラウンド用スイッチ素子がオンになり、前記各サンプルホールド回路は、前記サンプリング期間において前記サンプリング用キャパシタに蓄積された電荷に応じた出力電圧を出力してもよい。
【0027】
このように、サンプリング期間においてサンプリング用スイッチ素子及び帰還用スイッチ素子がオンになることで、演算増幅器のイマジナリーショート機能を利用して、サンプリング用キャパシタに入力電圧に応じた電荷を蓄積できる。またホールド期間においてフリップアラウンド用スイッチ素子をオンにすることで、サンプリング用キャパシタに蓄積された電荷に応じた出力電圧を、各サンプルホールド回路の出力ノードに出力できる。
【0028】
また本発明では、前記少なくとも1つの基準電圧は、電気光学装置の階調表現に使用するための階調電圧であって、前記第1のサンプルホールド部は、前記第1の期間において、前記選択回路の前記出力電圧をサンプリングし、続く前記第2の期間において、前記第1の期間にサンプリングした前記選択回路の前記出力電圧を負極用階調電圧としてホールドして出力し、前記第2のサンプルホールド部は、前記第2の期間において、前記選択回路の前記出力電圧をサンプリングし、続く前記第1の期間において、前記第2の期間でサンプリングした前記選択回路の前記出力電圧を正極用階調電圧としてホールドして出力してもよい。
【0029】
このようにすれば、電気光学装置の階調表現に使用される正極用階調電圧と負極用階調電圧を生成し、交互に出力することができる。また、正極用階調電圧と負極用階調電圧を、ラダー抵抗が出力する第1〜第nの分割電圧から自由な組み合わせと順序で選ぶとことができるため、汎用性の高い階調電圧を生成することができる。
【0030】
また本発明では、前記少なくとも1つの基準電圧は、電気光学装置の階調表現に使用するための階調電圧であって、1回目の前記第1の期間と前記第2の期間はそれぞれ第1の分割期間と第2の分割期間であり、2回目の前記第1の期間と前記第2の期間はそれぞれ第3の分割期間と第4の分割期間であり、3回目の前記第1の期間と前記第2の期間はそれぞれ第5の分割期間と第6の分割期間であり、前記第1のサンプルホールド部は、前記第1の分割期間において、前記選択回路の前記出力電圧をサンプリングし、続く前記第2の分割期間において、前記第1の分割期間でサンプリングした前記選択回路の前記出力電圧を第2の色成分の正極用階調電圧としてホールドして出力し、前記第3の分割期間において、前記選択回路の前記出力電圧をサンプリングし、続く前記第4の分割期間において、前記第3の分割期間でサンプリングした前記選択回路の前記出力電圧を第1の色成分の負極用階調電圧としてホールドして出力し、前記第5の分割期間において、前記選択回路の前記出力電圧をサンプリングし、続く前記第6の分割期間において、前記第5の分割期間でサンプリングした前記選択回路の前記出力電圧を第3の色成分の負極用階調電圧としてホールドして出力し、前記第2のサンプルホールド部は、前記第2の分割期間において、前記選択回路の前記出力電圧をサンプリングし、続く前記第3の分割期間において、前記第2の分割期間でサンプリングした前記選択回路の前記出力電圧を第3の色成分の正極用階調電圧としてホールドして出力し、前記第4の分割期間において、前記選択回路の前記出力電圧をサンプリングし、続く前記第5の分割期間において、前記第4の分割期間でサンプリングした前記選択回路の前記出力電圧を第2の色成分の負極用階調電圧としてホールドして出力し、前記第6の分割期間において、前記選択回路の前記出力電圧をサンプリングし、続く前記第1の分割期間において、前記第6の分割期間でサンプリングした前記選択回路の前記出力電圧を第1の色成分の正極用階調電圧としてホールドして出力してもよい。
【0031】
このようにすれば、電気光学装置において階調表現に使用される第1〜第3の色成分の正極用階調電圧と第1〜第3の色成分の負極用階調電圧を生成し、周期的に出力することができる。また、各階調電圧を、ラダー抵抗が出力する第1〜第nの分割電圧から自由な組み合わせと順序で選ぶとことができるため、汎用性の高い階調電圧を生成することができる。
【0032】
また本発明は、前記第1の分割期間の前半期間及び、前記第4の分割期間の前半期間が、前記電気光学装置が有する電気光学パネルの対向電極に供給される対向電圧の極性反転期間に設定されてもよい。
【0033】
このようにすれば、極性反転後の第1及び第4の分割期間の前半期間を、電気光学パネルの対向電極に供給される対向電圧の安定化期間として利用できる。
【0034】
また本発明は、上記のいずれかに記載の基準電圧生成回路を含むドライバに関係する。
【0035】
また本発明は、上記に記載のドライバを含む電気光学装置に関係する。
【0036】
また本発明は、上記に記載の電気光学装置を含む電子機器に関係する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0038】
1.ドライバ、電気光学装置
図1に本実施形態の基準電圧生成回路(階調電圧生成回路、γ補正回路)を含むドライバ480(集積回路装置)及びこのドライバ480を含む電気光学装置600の構成例を示す。なお本実施形態のドライバ480及び電気光学装置600は図1の構成に限定されず、その構成要素の一部(例えば走査ドライバ、メモリ等)を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0039】
また以下では、本発明の基準電圧生成回路をドライバ480の階調電圧生成回路430に適用した例について説明する。ただし、本発明の基準電圧生成回路は、階調電圧生成回路430以外にも、複数の組み合わせの基準電圧を切り替える回路や、基準電圧を時分割に出力する回路にも適用可能である。例えば、ドライバ480の電源回路490に適用することもできる。
【0040】
電気光学パネル400(電気光学装置)は、複数のデータ線(例えばソース線)と、複数の走査線(例えばゲート線)と、データ線及び走査線により特定される複数の画素を有する。そして各画素領域における電気光学素子(狭義には、液晶素子、EL素子)の光学特性を変化させることで、表示動作を実現する。この電気光学パネル400(狭義には表示パネル)は、例えばTFT、TFDなどのスイッチ素子を用いたアクティブマトリクス方式のパネルにより構成できる。なお電気光学パネルは、アクティブマトリクス方式以外のパネルであってもよいし、液晶パネル以外の例えば有機EL(Electro Luminescence)や無機ELなどの発光素子を用いたパネルであってもよい。
【0041】
ドライバ480(集積回路装置)は、電気光学パネルのデータ線に供給するデータ信号(電圧信号、電流信号)と走査線に供給する走査信号を生成する。
【0042】
メモリ420(表示データRAM)は画像データを記憶する。メモリセルアレイ422は複数のメモリセルを含み、少なくとも1フレーム(1画面)分の画像データ(表示データ)を記憶する。ローアドレスデコーダ424(MPU/LCDローアドレスデコーダ)はローアドレスについてのデコード処理を行い、メモリセルアレイ422のワード線の選択処理を行う。カラムアドレスデコーダ426(MPUカラムアドレスデコーダ)はカラムアドレスについてのデコード処理を行い、メモリセルアレイ422のビット線の選択処理を行う。ライト/リード回路428(MPUライト/リード回路)はメモリセルアレイ422への画像データのライト処理や、メモリセルアレイ422からの画像データのリード処理を行う。
【0043】
ロジック回路440(ドライバ用ロジック回路)は、表示タイミングを制御するための制御信号やデータ処理タイミングを制御するための制御信号などを生成する。このロジック回路440は例えばゲートアレイ(G/A)などの自動配置配線により形成できる。
【0044】
制御回路442は各種制御信号を生成したり、装置全体の制御を行う。具体的には階調電圧生成回路430に対して、階調特性(γ特性)を調整するための階調調整データ(γ補正データ)を出力したり、電源回路490に対して、電源電圧を調整するための電源調整データを出力する。またローアドレスデコーダ424、カラムアドレスデコーダ426、ライト/リード回路428を用いたメモリへのライト/リード処理を制御する。
【0045】
表示タイミング制御回路444は表示タイミングを制御するための各種の制御信号を生成し、メモリ420から電気光学パネル側への画像データの読み出しを制御する。ホスト(MPU)インターフェース回路446は、ホストからのアクセス毎に内部パルスを発生してメモリ420にアクセスするホストインターフェースを実現する。RGBインターフェース回路448は、ドットクロックにより動画のRGBデータをメモリ420に書き込むRGBインターフェースを実現する。なおホストインターフェース回路446、RGBインターフェース回路448のいずれか一方のみを設ける構成としてもよい。
【0046】
データドライバ450は、電気光学パネル400(電気光学装置)のデータ線を駆動するためのデータ信号(電圧、電流)を生成する回路である。具体的にはデータドライバ450は、メモリ420から画像データ(階調データ、表示データ)を受け、階調電圧生成回路430から複数(例えば256段階)の階調電圧(基準電圧)を受ける。そして、これらの複数の階調電圧の中から、画像データ(階調データ)に対応する電圧(データ電圧)を選択して、電気光学パネル400のデータ線に出力する。
【0047】
走査ドライバ470は電気光学パネル400の走査線を駆動するための走査信号を生成する回路である。具体的には、内蔵するシフトレジスタにおいて信号(イネーブル入出力信号)を順次シフトし、このシフトされた信号をレベル変換した信号を、走査信号(走査電圧)として電気光学パネルの各走査線に出力する。なお走査ドライバ470に、走査アドレス生成回路やアドレスデコーダを含ませ、走査アドレス生成回路が走査アドレスを生成して出力し、アドレスデコーダが走査アドレスのデコード処理を行うことで、走査信号を生成してもよい。
【0048】
電源回路490は各種の電源電圧を生成する回路である。具体的には、入力電源電圧や内部電源電圧を、内蔵する昇圧回路が含む昇圧用キャパシタや昇圧用トランジスタを用いてチャージポンプ方式で昇圧する。そして昇圧により得られた電圧を、データドライバ450、走査ドライバ470、階調電圧生成回路430などに供給する。
【0049】
階調電圧生成回路430は階調電圧を生成してデータドライバ450に供給する回路である。具体的には階調電圧生成回路430は、高電位側電圧と低電位側電圧の間を抵抗分割し、抵抗分割ノードに階調電圧を出力するラダー抵抗回路を含むことができる。また階調調整データが書き込まれる階調レジスタ部や、書き込まれた階調調整データに基づいて、抵抗分割ノードに出力される階調電圧を可変に設定(制御)する階調電圧設定回路などを含むことができる。
【0050】
2.階調電圧生成回路
次に本発明の基準電圧生成回路が適用される階調電圧生成回路430の具体例について説明する。この階調電圧生成回路430は、電気光学装置600の階調表現に使用するための階調電圧を生成するための回路である。この場合には、本発明の基準電圧生成回路は、少なくとも1つの基準電圧として複数の階調電圧を生成する。ただし、本発明の基準電圧生成回路は少なくとも1つの基準電圧を生成するものであればよく、例えば1つの基準電圧を生成するものであってもよい。
【0051】
まず、本実施形態の比較例の階調電圧生成回路について図2を用いて説明する。この比較例の階調電圧生成回路は、複数の可変抵抗回路R0〜Rs+1(sは0以上の整数)を含むラダー抵抗回路50により構成される。可変抵抗回路R0〜Rs+1は、電源電圧VGMHと電源電圧VGMLの間に直列に接続されており、これらの電源電圧の間を抵抗分割して階調電圧V0〜Vsを出力する。これにより、表示特性に合わせた階調電圧V0〜Vsを生成することができる。
【0052】
しかしながら、この比較例の階調電圧生成回路には、可変抵抗回路R0〜Rs+1があらかじめ決められた範囲内でしか抵抗値を設定できないために、階調電圧を調整できる範囲が狭いという課題があった。
【0053】
図3に、以上の課題を解決できる本実施形態の階調電圧生成回路(基準電圧生成回路、γ補正回路)の構成例を示す。この階調電圧生成回路は、ラダー抵抗回路10、選択回路100、サンプルホールド部200を含む。なおこれらの一部の構成要素(例えば選択回路)を省略したり、他の構成要素を追加するなどの変形実施も可能である。
【0054】
ラダー抵抗回路10は、複数の抵抗RA0〜RAn(nは2以上の整数)を含む。抵抗RA0〜RAnは、第1の電源線である電源線VHLと第2の電源線である電源線VLLの間に直列に接続される。電源線VHLには、第1の電源電圧である高電圧側の電源電圧VGMHが供給され、電源線VLLには、第2の電源電圧である低電圧側の電源電圧VGMLが供給される。なお、電源線VHLに低電圧側の電源電圧が供給され、電源線VLLに高電圧側の電源電圧が供給されてもよい。また、抵抗RA0〜RAnは例えばポリ抵抗などで構成することができる。
【0055】
抵抗RA0〜RAnは、電源電圧VGMHと電源電圧VGMLの間の電圧を抵抗分割する。抵抗分割された電圧は、第1〜第nの分割電圧VA1〜VAnとして出力される。
【0056】
例えば抵抗RA0と抵抗RA1の間のノードをノードNA1とし、抵抗RA1と抵抗RA2の間のノードをノードNA2とし、抵抗RAj−1と抵抗RAjの間のノードをノードNAjとする(jは1≦j≦nの整数)。そうすると、ノードNA1に分割電圧VA1が出力され、ノードNA2に分割電圧VA2が出力され、ノードNAjに分割電圧VAjが出力される。
【0057】
選択回路100は、ラダー抵抗回路10が出力する分割電圧VA1〜VAnを受けて、出力電圧VQAを出力する。選択信号DAに基づいて、分割電圧VA1〜VAnのいずれかが選択され、出力電圧VQAとして出力される。
【0058】
具体的には、ノードNA1〜NAnから分割電圧VA1〜VAnが入力され、図示しない制御回路から選択信号DAを受けて分割電圧VA1〜VAnのいずれかを選択し、対応する出力電圧VQAをノードNQAに出力する。
【0059】
サンプルホールド部200は、複数のサンプルホールド回路240−1〜240−Nを有する。サンプルホールド回路240−1〜240−Nは、各サンプルホールド回路が選択回路100の出力電圧VQAをサンプリングしてホールドし、階調電圧(広義には基準電圧)を生成する。
【0060】
具体的には、サンプルホールド回路240−1〜240−Nは、各サンプルホールド回路が独立して出力電圧VQAをサンプルホールドする。例えば出力電圧VQAは、ラダー抵抗回路10の分割電圧VA1〜VAnのいずれかであり、各サンプルホールド回路は、ホールドした出力電圧VQAに対応する電圧を階調電圧として出力する。
【0061】
例えば、サンプルホールド回路240−1〜240−Nのいずれか1つが分割電圧VA1〜VAnのいずれか1つをサンプリングし、サンプルホールド回路240−1〜240−Nの他の1つが分割電圧VA1〜VAnの他の1つをサンプリングすることができる。そして、各サンプルホールド回路が、それぞれ異なる電圧の階調電圧を出力する。
【0062】
ここで、サンプルホールド回路240−1〜240−Nは、図3に示すサンプリング指示信号DBを受けてサンプルホールドすることもできる。例えば、サンプリング指示信号DBがサンプルホールド回路240−1のサンプリングを指示する信号である場合には、サンプルホールド回路240−1が選択回路100の出力電圧VQAをサンプリングする。
【0063】
なお、サンプルホールド回路240−1〜240−Nは、そのうちの複数のサンプルホールド回路が、出力電圧VQAとして選択された同じ分割電圧をサンプルホールドし、同じ電圧の階調電圧を出力してもよい。また、サンプルホールド回路240−1〜240−Nは、時分割で出力電圧VQAをサンプルホールドし、階調電圧を出力してもよい。
【0064】
例えば、図2に示す本実施形態の比較例の階調電圧生成回路は、可変抵抗より構成されるラダー抵抗を用いて階調電圧を出力するために、その階調電圧の調整範囲が可変抵抗の調整範囲によって制限されてしまうという問題があった。
【0065】
この点、図3に示す本実施形態の階調電圧生成回路によれば、ラダー抵抗回路10の分割電圧VA1〜VAnから任意の組み合わせと順序で階調電圧を生成することができるため、階調電圧を広い範囲で調整することができる。すなわち、電気光学パネル400に様々な製品が使用されたとしても、製品ごとに最適な階調電圧を生成することができる。例えば、ラダー抵抗回路が、電源電圧をn=256個に抵抗分割して出力し、その中から電気光学パネルの階調特性に合ったN=64個の階調電圧を選び出すように構成することで、汎用性の高い階調電圧生成回路を実現することができる。
【0066】
3.選択回路
図4に選択回路100の具体例を示す。この選択回路100は、第1〜第nのスイッチ素子SA1〜SAnを有する。第1〜第nのスイッチ素子SA1〜SAnは、出力ノードNQAと第1〜第nの入力ノードNA1〜NAnの間にそれぞれ設けられる。
【0067】
具体的には、スイッチ素子SA1の一端が入力ノードNA1に接続され、他の一端が出力ノードNQAに接続される。また、スイッチ素子SA2の一端が入力ノードNA2に接続され、他の一端が出力ノードNQAに接続される。同様に、スイッチ素子SAj(jは1≦j≦nの整数)の一端が入力ノードNAjに接続され、他の一端が出力ノードNQAに接続される。
【0068】
また、入力ノードNA1〜NAnにはそれぞれ、図3のラダー抵抗回路10からの分割電圧VA1〜VAnが入力される。
【0069】
そして、選択回路100は、図示しない制御回路(スイッチ信号生成回路)から例えば複数ビットの選択信号DA[0:q](qは、1以上の整数)を受け、スイッチ素子SA1〜SAnのうちのいずれかのスイッチ素子がオンし、他のスイッチ素子がオフする。これにより、選択回路100の出力ノードNQAに出力電圧VQAが出力される。
【0070】
具体的には、選択信号DA[0:q]によってスイッチ素子SA1が選択される場合には、スイッチ素子SA1がオンし、スイッチ素子SA2〜SAnがオフすることで、分割電圧VA1が出力電圧VQAとして出力される。また、選択信号DA[0:q]によってスイッチ素子SA2が選択される場合には、スイッチ素子SA2がオンし、スイッチ素子SA1とスイッチ素子SA3〜SAnがオフすることで、分割電圧VA2が出力電圧VQAとして出力される。同様に、選択信号DA[0:q]によってスイッチ素子SAjが選択される場合には、スイッチ素子SAjがオンし、スイッチ素子SA1〜SAj−1とスイッチ素子SAj+1〜SAnがオフすることで、分割電圧VAjが出力電圧VQAとして出力される。
【0071】
ここで、選択回路100は、分割電圧VA1〜VAnから選択された出力電圧VQAを時分割に出力してもよい。例えば、第1〜第m(mは自然数)の出力期間のうちの各出力期間において、分割電圧VA1〜VAnのいずれかに対応する出力電圧VQAを選択して出力してもよい。また、スイッチ素子SA1〜SAnは、例えばトランスファーゲートなどのCMOSトランジスタにより構成できる。
【0072】
図4の構成によれば、ラダー抵抗回路10の出力する分割電圧VA1〜VAnのいずれかを任意に選択する選択回路を実現できる。
【0073】
4.サンプルホールド部
図5及び図7にサンプルホールド部200の第1、第2の構成例を示す。図5のサンプルホールド部は、ラダー抵抗回路10が出力するn個の分割電圧から任意のm個の階調電圧をサンプルホールドして出力できる。しかし、図5の第1の構成例には課題もある。それは、サンプリング期間中に階調電圧を出力できないことである。そこで、図7の第2の構成例では、2つのサンプルホールド部にサンプルホールドと出力を交互に行わせることによって、この課題を解決している。
【0074】
ここで、図5及び図7のサンプルホールド部200は、例えば、n個の分割電圧からn個よりも少ないm個(図7ではp個)の階調電圧をサンプルホールドして出力することができる。具体的には、例えば、256個の分割電圧から64個の階調電圧をサンプルホールドして出力することができる。この場合、256個の分割電圧の間隔は64個の階調電圧に必要な間隔よりも十分小さいため、液晶パネルの表示特性に近い階調電圧を、高精度且つ容易に選択することができる。
【0075】
ただし、n個の分割電圧がm個(p個)の階調電圧よりも個数が少なくてもよく、n個の分割電圧がm個(p個)の階調電圧と同数であってもよい。
【0076】
4.1.第1の構成例
まず最初に、図5の第1の構成例について説明する。図5にはサンプルホールド部200の構成例のみ示しているが、このサンプルホールド部200は図1の選択回路100からの出力電圧VQAをサンプリングする。まず、第1の構成例における選択回路100の動作について説明する。
【0077】
図3の選択回路100は、選択信号DA[0:q]を受けて、第1〜第m(mは自然数)の出力期間のうちの各出力期間において、出力電圧VQAを出力する。出力電圧VQAは、各出力期間において、ラダー抵抗回路10が出力する第1〜第nの分割電圧VA1〜VAnのいずれかに対応する。そして、出力される出力電圧VQAは、第1〜第mの出力期間のうちの各出力期間で異なる電圧を出力することができる。
【0078】
なお、この選択回路100は、第1〜第mの出力期間のうちの一部の出力期間または全出力期間で同一の分割電圧を選択して出力電圧VQAとして出力してもよい。
【0079】
そして、図5に示すように、サンプルホールド部200は第1〜第mのサンプルホールド回路SHA1〜SHAmを有する。これらのサンプルホールド回路SHA1〜SHAmは、少なくとも1つの階調電圧としてm個の階調電圧を出力する。m個の階調電圧は、第1〜第mの階調電圧VGA1〜VGAmからなる。ここで、第i(iは、1≦i≦mの整数)のサンプルホールド回路SHAiは、第iの出力期間において選択回路100の出力電圧VQAをサンプリングする。サンプリングは、図示しない制御回路等からの例えば複数ビットのサンプリング指示信号DB[0:r](rは、1以上の整数)に基づいて行われる。サンプリングされた出力電圧VQAはホールドされ、第iの階調電圧VGAiとして出力される。
【0080】
具体的には、選択回路100の出力電圧VQAは、出力ノードNQAに出力され、サンプルホールド回路SHA1〜SAHmに入力される。サンプルホールド回路SHA1〜SAHmは、ノードNGA1〜NGAmに階調電圧VGA1〜VGAmを出力する。また、サンプルホールド回路SHA1〜SHAmには、サンプリング指示信号DB[0:r]が入力される。
【0081】
次に、図6を用いて、第1〜第mの出力期間が周期的に繰り返す場合の動作例について説明する。
【0082】
図6のA1に示すように、第1の出力期間TQ1において、選択信号DA[0:q]は、分割電圧VA1の選択を選択回路100に指示する。これにより、選択回路100はラダー抵抗10が出力する分割電圧VA1〜VAnの中から分割電圧VA1を選択し、A2に示すように出力電圧VQAとして分割電圧VA1を出力する。
【0083】
そして、図6のA3に示すように、第1の出力期間TQ1において、サンプリング指示信号DB[0:r]は、サンプルホールド回路SHA1に対してサンプリングを行うことを指示する。これにより、図6のA4に示すように、サンプルホールド回路SHA1は、選択回路100が出力する分割電圧VA1をサンプリングする。サンプリングは、出力期間TQ1に対応するサンプリング期間TSA1において行われる。そして、図6のA5に示すように、出力期間TQ2〜TQmに対応するホールド期間THA1においては、サンプルホールド回路SHA1は、出力期間TQ1でサンプリングした分割電圧VA1をホールドし、階調電圧VGA1として出力する。
【0084】
また、第2の出力期間TQ2においては、選択回路100は、図6のA6に示す選択信号DA[0:q]に従って分割電圧VA3を選択し、図6のA7に示すように出力電圧VQAとして分割電圧VA3を出力する。そして、サンプルホールド回路SHA2は、図6のA8に示すサンプリング指示信号DB[0:r]に従って、図6のA9に示すように出力期間TQ2に対応するサンプリング期間TSA2において分割電圧VA3をサンプリングする。そして、図6のA10に示すように、出力期間TQ3〜TQm及び次回の出力期間TQ1に対応するホールド期間THA2においては、サンプルホールド回路SHA1は、出力期間TQ1でサンプリングした分割電圧VA1をホールドし、階調電圧VGA2として出力する。
【0085】
以降一般には、第iの出力期間TQiにおいて、選択回路100は、A11に示す選択信号DA[0:q]に従って分割電圧VAhを選択し、A12に示すように出力電圧VQAとして分割電圧VAhを出力する。そして、サンプルホールド回路SHAiは、A13に示すサンプリング指示信号DB[0:r]に従って、A14に示すように出力期間TQiに対応するサンプリング期間TSAiにおいて分割電圧VAhをサンプリングする。A15に示すように、出力期間TQi+1〜TQm及び次回の出力期間TQ1〜TQi−1に対応するホールド期間THAiにおいては、サンプルホールド回路SHAiは、出力期間TQiでサンプリングした分割電圧VAhをホールドし、階調電圧VGAiとして出力する。
【0086】
図5のサンプルホールド部200は、同様の動作を図6のA16に示す出力期間TQmまで繰り返し、出力期間TQ1〜TQmにおける1回分の動作を完了する。これにより、このサンプルホールド部200は、m個の階調電圧VGA1〜VGAmを生成して出力する。図6では、出力期間TQ1〜TQmを周期的に繰り返し、図5のサンプルホールド部200は、階調電圧VGA1〜VGAmを周期的に生成して出力する。
【0087】
なお、このサンプルホールド部200が周期的に生成する階調電圧VGA1〜VGAmは、周期ごとに異なってもよく、毎周期同じでもよい。また例えば、複数の階調電圧のセットを周期的に生成することもできる。また、階調電圧VGA1〜VGAmは、それぞれが異なる電圧であってもよく、一部または全部が同一の電圧であってもよい。
【0088】
また、サンプルホールド回路SHA1〜SHAmは、それぞれのホールド期間THA1〜THAmにおいて、ホールドしている電圧を階調電圧として期間の全部で出力してもよいし、期間の一部でのみ出力してもよい。また、サンプルホールド回路SHA1〜SHAmの出力全てを階調電圧として利用してもよく、一部を階調電圧として利用してもよい。例えば、一部をデータドライバ450の階調電圧として出力し、他の一部を電源回路490の出力に代えて利用してもよい。
【0089】
このように、図5の第1の構成例によれば、ラダー抵抗回路10が出力するn個の分割電圧から任意のm個の階調電圧をサンプルホールドするサンプルホールド部200を実現できる。また、第1の構成例によれば、階調電圧を広い範囲で調整することができるため、様々な液晶パネルの表示特性に対応できる汎用性の高い階調電圧生成回路を提供することができる。
【0090】
しかしながら、この第1の構成例では、階調電圧のサンプルホールドと出力を1組のサンプルホールド部200によって行っているために、サンプルホールド回路SHA1〜SHAmがサンプリングしている間は階調電圧を出力できないという課題がある。
【0091】
例えば、本実施形態の階調電圧生成回路が1水平期間ごとに64階調の階調電圧を図1のデータドライバ450に供給している(例えば正極階調電圧と負極階調電圧)とする。そうすると、1水平期間において、階調電圧生成回路が64回のサンプリング動作を行うことになり、その64回のサンプリング動作に要する期間の分だけ、データドライバ450が階調電圧を利用できる期間が短くなるという課題がある。
【0092】
そこで、図7に示す第2の構成例では、2つのサンプルホールド部を設け、一方のサンプルホールド部がサンプリングしている期間は、他方に階調電圧を出力させることによって、この課題を解決している。
【0093】
4.2.第2の構成例
以下では、図7に示すサンプルホールド部の第2の構成例について説明する。このサンプルホールド部200は、第1のサンプルホールド部220−1と第2のサンプルホールド部220−2を有する。そして、第1の期間と第2の期間があり、周期的に繰り返される。この第1のサンプルホールド部220−1は、第1の期間において選択回路100の出力電圧VGAをサンプリングする。そして、続く第2の期間において、第1の期間にサンプリングした電圧をホールドする。第2のサンプルホールド部220−2は、第2の期間において選択回路100の出力電圧VGAをサンプリングする。そして、続く第1の期間において、第1の期間にサンプリングした電圧をホールドする。
【0094】
そして、図7のサンプルホールド部200は、図示しない制御回路等からの出力指示信号POLを受けて、階調電圧VGB1〜VGBpを出力する。このとき、第1の期間においては、第2のサンプルホールド部がホールドする電圧を選択して出力し、第2の期間においては、第1のサンプルホールド部がホールドする電圧を選択して出力する。
【0095】
具体的には、第1のサンプルホールド部220−1は、サンプルホールド回路SHB11〜SHB1pを有し、第2のサンプルホールド部220−2は、サンプルホールド回路SHB21〜SHB2pを有する。サンプルホールド回路SHB11〜SHB1pとSHB21〜SHB2pには、選択回路100の出力電圧VQAが入力される。また、サンプルホールド回路SHB11〜SHB1pとSHB21〜SHB2pは、ノードNGB1〜NGBpに階調電圧VGB1〜VGBpを出力する。
【0096】
そして、第1の期間においては、サンプルホールド回路SHB11〜SHB1pがサンプリング指示信号DB[0:r]を受けて選択回路100の出力VQAをサンプリングし、サンプルホールド回路SHB21〜SHB2pが第2の期間においてサンプリングした電圧をホールドする。また、第2の期間においては、サンプルホールド回路SHB21〜SHB2pがサンプリング指示信号DB[0:r]を受けて選択回路100の出力VQAをサンプリングし、サンプルホールド回路SHB11〜SHB1pが第1の期間においてサンプリングした電圧をホールドする。そして、出力指示信号POLは、ホールドを行っている方のサンプルホールド部を選択して、そのホールドしている電圧を階調電圧VGB1〜VGBpとして出力させる。
【0097】
以上に説明したように、2つのサンプルホールド部を設けることによって、一方のサンプルホールド部にp個の階調電圧を生成させ、その間は他方のサンプルホールド部に他のp個の階調電圧を出力させておくことができる。例えば、2組のp個の階調電圧を交互に生成して出力することもできるし、3組以上の複数組のp個の階調電圧を周期的に生成して出力することもできる。
【0098】
次に、図8を用いて本実施形態の動作を具体的に説明する。図8のB1に示すように、第1のサンプルホールド部220−1は、第1の期間TB1に対応するサンプリング期間TSB1において、選択回路100の出力電圧VGAをサンプリングする。このサンプリングは、サンプリング指示信号DB[0:r]に基づいて行われる。そして、図8のB2に示すように、第2の期間TB2に対応するホールド期間THB1において、図8のB1に示すサンプリング期間TSB1でサンプリングした電圧をホールドしている。ここで、図8のB3に示すように、出力指示信号POLは第2の信号レベルPB2である。これにより、図8のB4に示すように、第1のサンプルホールド部220−1がホールドしている電圧が階調電圧VGB1〜VGBpとして出力される。
【0099】
続いて、図8のB5に示すように、第2のサンプルホールド部220−2は、第2の期間TB2に対応するサンプリング期間TSB2において、選択回路100の出力電圧VGAをサンプリングする。このサンプリングは、サンプリング指示信号DB[0:r]に基づいて行われる。そして、図8のB6に示すように、第2の期間TB1に対応するホールド期間THB2において、図8のB5に示すサンプリング期間TSB2でサンプリングした電圧をホールドしている。ここで、図8のB7に示すように、出力指示信号POLは第1の信号レベルPB1である。これにより、図8のB8に示すように、第2のサンプルホールド部220−2がホールドしている電圧が階調電圧VGB1〜VGBpとして出力される。
【0100】
このとき、第1のサンプルホールド部220−1と第2のサンプルホールド部220−2は、それぞれのサンプリング期間TSB1とTSB2において、図5のサンプルホールド部200と同様なサンプルホールド動作を行う。ここでは、第1のサンプルホールド部220−1のサンプリング期間TSB1におけるサンプルホールド動作を例にとって説明する。
【0101】
図8のB9に示すように、第1の出力期間TQB1において、選択回路100は、選択信号DA[0:q]に従って例えば分割電圧VA1を選択し、出力電圧VQAとして分割電圧VA1を出力する。そして、サンプルホールド回路SHB11は、図8のB10に示すサンプリング指示信号DB[0:r]に従って、分割電圧VA1をサンプリングする。出力期間TQB2〜TQBmにおいては、サンプルホールド回路SHB11は、出力期間TQB1でサンプリングした分割電圧VA1をホールドする。出力期間TQB2〜TQBpにおいても同様にサンプルホールド回路SHB12〜SHB1pがサンプルホールド動作を行い、p個の階調電圧を生成することができる。
【0102】
このように、図7の第2の構成例によれば、複数の組の階調電圧を繰り返し出力できる。また、2つのサンプルホールド部のうち一方のサンプルホールド部が階調電圧を出力している間に、他方のサンプルホールド部が階調電圧をサンプリングすることができる。これにより、2つのサンプルホールド部が交互に階調電圧を出力するため、図5の第1の構成例ではサンプリング期間に階調電圧を出力できなかったという課題を解決している。
【0103】
5.正負独立及びRGB正負独立の階調電圧
ところで、代表的な電気光学パネル400である液晶パネルでは、極性反転における正極性と負極性で表示特性が異なっているため、この表示特性を正確に階調補正するためには、各極性の表示特性に適した階調電圧が必要である。このような場合に本実施形態の階調電圧生成回路を適用すれば、複数の組の階調電圧として各極性の表示特性に適した階調電圧を出力させることができる。そこで以下では、図9、図10を用いて、本実施形態の階調電圧生成回路の具体的な適用例として、1水平期間ごとに極性反転を行う電気光学装置600に適用した場合の動作について説明する。
【0104】
5.1.正負独立の階調電圧
最初に、図9に示す動作例について説明する。図9に示すのは、複数の組の階調電圧として正極用階調電圧と負極用階調電圧を1水平期間ごとに交互に出力する場合である。この動作例では、図8のB4に示す第2のサンプルホールド部の出力に対応して正極用階調電圧が出力され、図8のB8に示す第1のサンプルホールド部の出力に対応して負極用階調電圧が出力される。
【0105】
具体的には、図9の第1の期間TE1、第2の期間TE2は、図8のTB1、TB2に対応し、それぞれが電気光学装置600の1水平期間に相当する。また、図9のTQE1〜TQE64は、図8のTQB1〜TQBpに対応し、図9のVGE1〜VGE64は、図8のVGB1〜VGBpに対応する。また、図9のPE1、PE2は、図8のPB1、PB2に対応し、図9のTSE1、TSE2、THE1、THE2は、図8のTSB1、TSB2、THB1、THB2に対応する。
【0106】
そして、図9のE1に示すように、第1の期間TE1において、第1のサンプルホールド部220−1は選択回路100の出力電圧VQAをサンプリングする。次に、図9のE2に示すように、続く第2の期間TE2において、第1の期間TE1にサンプリングした選択回路100の出力電圧VQAをホールドし、図9のE3に示すように、負極用階調電圧として出力する。そして、図9のE4に示すように、第2の期間TE2において、第2のサンプルホールド部220−2は選択回路100の出力電圧VQAをサンプリングする。次に、図9のE5に示すように、続く第1の期間TE1において、第2の期間TE2でサンプリングした選択回路100の出力電圧VQAをホールドし、図9のE6に示すように、正極用階調電圧として出力する。
【0107】
このように、本実施形態の階調電圧生成回路によれば、正極用階調電圧と負極用階調電圧を1水平期間ごとに交互に出力することができる。
【0108】
5.2.RGB正負独立の階調電圧生成回路
しかし、近年では、例えばプロジェクターや携帯電話の画像表示には、優れた色調表現が求められており、正負のみ独立した階調補正では十分でない場合がある。そのため、より精度の高い階調補正を実現するために、その画像表示の色成分ごとに独立した階調補正を行うことが必要とされている。そこで、図10を用いて、このような階調補正に本実施形態の階調電圧生成回路を適用した例として、RGB独立かつ正負独立の階調補正を行う電気光学装置600に適用した場合の動作例について説明する。
【0109】
この動作例では、1水平期間に正極R(第1の色成分の正極用階調電圧)、正極G(第2の色成分の正極用階調電圧)、正極B(第3の色成分の正極用階調電圧)を出力する。そして、次の1水平期間に負極R(第1の色成分の負極用階調電圧)、負極G(第2の色成分の負極用階調電圧)、負極B(第3の色成分の負極用階調電圧)を出力する。そして、これらの水平期間を交互に繰り返す。
【0110】
具体的には、図10の第1の分割期間TF1と第2の分割期間TF2は、1回目の第1の期間と第2の期間であり、第3の分割期間TF3と第4の分割期間TF4は、2回目の第1の期間と第2の期間であり、第5の分割期間TF5と第6の分割期間TF6は、3回目の第1の期間と第2の期間である。これら第1の期間と第2の期間は、図8の期間TB1と期間TB2に対応する。また、図10のPF1、PF2は、図8のPB1、PB2に対応する。また、図10の正極R、正極B、負極Gは、図8の第2のサンプルホールド部の出力に対応し、図10の正極G、負極R、負極Bは、図8の第1のサンプルホールド部の出力に対応する。
【0111】
そして、図10のF1に示すように、第1のサンプルホールド部220−1は、分割期間TF1において、選択回路100の出力電圧VQAをサンプリングする。次に、図10のF2に示すように、続く分割期間TF2において、分割期間TF1でサンプリングした選択回路100の出力電圧VQAをホールドし、図10のF3に示すように、正極Gとして出力する。そして、図10のF4に示すように、第2のサンプルホールド部220−2は、分割期間TF2において、選択回路100の出力電圧VQAをサンプリングする。次に、図10のF5に示すように、続く分割期間TF3において、分割期間TF2でサンプリングした選択回路100の出力電圧VQAをホールドし、図10のF6に示すように、正極Bとして出力する。
【0112】
そして、同様に、第1のサンプルホールド部220−1は、分割期間TF3においてサンプリングし、続く分割期間TF4においてホールドし、負極Rとして出力する。次に、第2のサンプルホールド部220−2は、分割期間TF4においてサンプリングし、続く分割期間TF5においてホールドし、負極Gとして出力する。次に、第1のサンプルホールド部220−1は、分割期間TF5においてサンプリングし、続く分割期間TF6においてホールドし、負極Bとして出力する。次に、第2のサンプルホールド部220−2は、分割期間TF6においてサンプリングし、続く分割期間TF1においてホールドし、正極Rとして出力する。
【0113】
このように、本実施形態の階調電圧生成回路によれば、RGB独立の正極用階調電圧と負極用階調電圧を繰り返し出力することができる。
【0114】
5.3.極性反転期間の設定
以上では、本実施形態の階調電圧生成回路を極性反転動作を行う電気光学装置600に適用した場合について述べた。ここで、この電気光学装置600においては、電気光学パネル400の対向電極に供給される対向電圧VCOMは、極性反転時にその電圧の極性が反転される。例えば、1水平期間ごとに極性反転する場合には、対向電圧VCOMも1水平期間ごとに反転される。このとき、この対向電圧VCOMの反転に応じて、対向電極に寄生する液晶容量などが充電されるため、その充電が終了するまで対向電圧VCOMは所定の電圧に設定されない。
【0115】
そこで、図10に示すように、本実施形態の階調電圧生成回路では、極性反転期間TF11とTF41が設定されている。この極性反転期間は、電気光学装置600が有する電気光学パネル400の対向電極に供給される対向電圧VCOMの極性反転期間である。これにより、極性反転後に対向電圧VCOMを所定の電圧に設定するための期間を確保できる。ここで、極性反転期間TF11は、第1の分割期間TF1の前半期間に設定され、極性反転期間TE41は、第4の分割期間TF4の前半期間に設定される。
【0116】
具体的には、分割期間TF1の前半期間である極性反転期間TF11において、対向電圧VCOMが安定化され、分割期間TF4の前半期間である極性反転期間TF41において、対向電圧VCOMが安定化される。他の動作については、図10を用いて上に述べた通りであるため、省略する。
【0117】
例えば、極性反転期間TF11とTF41を分割電圧VA1〜VAnの安定期間として利用することもできる。極性反転期間TF11を例にとれば、極性反転にともなってラダー抵抗回路10の電源線VHLに供給する電源電圧と電源線VLLに供給する電源電圧を入れ替える場合には、極性反転期間TF11を分割電圧VA1〜VAnの安定期間として利用できる。そして、極性反転期間TF11の終了後に第1のサンプルホールド部がサンプリングを開始することで、安定した分割電圧VA1〜VAnをサンプリングできる。なお、極性反転に関わらず電源線VHLに供給する電源電圧と電源線VLLに供給する電源電圧が同じ場合には、図10のように分割期間TF1の最初から第1のサンプルホールド部がサンプリングすることもできる。
【0118】
本実施形態の階調電圧生成回路によれば、電気光学パネルの対向電極に供給される対向電圧が極性反転した後に、その対向電圧を安定化するための期間として、極性反転期間を利用できる。また、極性反転にともなってラダー抵抗回路10の電源電圧を入れ替える場合には、極性反転期間TF11とTF41を分割電圧VA1〜VAnの安定期間として利用できる。従って、サンプルホールド部220−1、220−2は正確な分割電圧VA1〜VAnをサンプリングできるため、高精度の基準電圧を生成することができる。
【0119】
6.フリップアラウンド型サンプルホールド回路
図3等に示すサンプルホールド回路240−1〜240−Nの各サンプルホールド回路は、いわゆるフリップアラウンド型サンプルホールド回路により構成できる。これら各サンプルホールド回路は、同様のフリップアラウンド型サンプルホールド回路により構成できるため、以下では、代表してサンプルホールド回路240−1について説明する。ここでフリップアラウンド型サンプルホールド回路は、例えば、サンプリング期間において、入力電圧に応じた電荷をサンプリング用キャパシタにサンプリングし、ホールド期間において、このサンプリング用キャパシタのフリップアラウンド動作を行って、蓄積された電荷に対応する電圧をその出力ノードに出力する回路である。
【0120】
図11(A)、図11(B)を用いてフリップアラウンド型サンプルホールド回路について更に詳細に説明する。
【0121】
例えば図11(A)、図11(B)において、フリップアラウンド型サンプルホールド回路により構成されるサンプルホールド回路240−1は、演算増幅器OPCと、サンプリング用キャパシタCCを含む。
【0122】
サンプリング用キャパシタCCは、演算増幅器OPCの反転入力端子(広義には第1の入力端子)とサンプルホールド回路240−1の入力ノードVICとの間に設けられる。そして図11(A)に示すようにキャパシタCCには、サンプリング期間において入力ノードNICの入力電圧VICに応じた電荷が蓄積される。
【0123】
なお図11(A)に示すようにサンプリング期間では演算増幅器OPCの出力がOPCの反転入力端子のノードNEGに帰還される。また、演算増幅器OPCの非反転入力端子(広義には第2の入力端子)は、アナログ基準電源電圧AGNDに設定される。従って演算増幅器OPCのイマジナリーショート機能により、キャパシタCCの一端が接続されるノードNEGは、AGNDに設定される。これによりキャパシタCCには、入力電圧VICに応じた電荷が蓄積されるようになる。
【0124】
ここで、アナログ基準電源電圧AGNDは、演算増幅器の高電位側電源電圧をVDDとし、低電位側電源電圧をVSSとした場合に、VDD〜VSSの任意の電圧である。例えば、VDDとVSSの間(中間)の電圧であり、この場合には、AGND=VSS+(VDD−VSS)/ML(ML>1)と表すことができる。例えばML=2の場合、AGND=VSS+(VDD−VSS)/2と表すことができ、VSS=0ならば、AGND=VDD/2と表すことができる。
【0125】
次に、図11(B)に示すようにホールド期間においては、サンプルホールド回路240−1は、サンプリング期間においてサンプリング用キャパシタCCに蓄積された電荷に応じた出力電圧VOCを、その出力ノードNOCに出力する。具体的には、その一端にノードNEGが接続されるキャパシタCCの他端を、演算増幅器OPCの出力端子に接続するフリップアラウンド動作を行うことで、キャパシタCCに蓄積された電荷に応じた出力電圧VOCを出力する。
【0126】
以上のようなフリップアラウンド型サンプルホールド回路によりサンプルホールド回路240−1を構成すれば、いわゆるオフセットフリーを実現できる。
【0127】
例えば演算増幅器OPCの反転入力端子と非反転入力端子の間に発生するオフセット電圧をVOFとし、説明を簡素化するためにアナログ基準電源電圧AGNDを仮に0Vとし、サンプリング期間での入力電圧をVIC=VIとし、キャパシタCCの容量値をCSとする。すると、サンプリング期間において蓄積される電荷Qは下式のように表される。
【0128】
Q=(VI−VOF)×CS (1)
一方、ホールド期間でのノードNEGの電圧をVXとし、出力電圧をVOCとすると、ホールド期間において蓄積される電荷Q’は下式のように表される。
【0129】
Q’=(VOC−VX)×CS (2)
また演算増幅器OPCの増幅率をAとすると、VOCは下式のように表される。
【0130】
VOC=−A×(VX−VOF) (3)
すると電荷保存の法則によりQ=Q’となるため、下式が成立する。
【0131】
(VI−VOF)×CS=(VOC−VX)×CS (4)
従って上式(3)、(4)により、
VOC=VI−VOF+VX=VI−VOF+VOF−VOC/A
が成立する。従って、サンプルホールド回路240−1の出力電圧VOCは下式のように表される。
【0132】
VOC={1/(1+1/A)}×VI (5)
上式(5)から明らかなように、サンプルホールド回路240−1の出力電圧VOCは、オフセット電圧VOFに依存せず、オフセットをキャンセルできるため、オフセットフリーを実現できる。
【0133】
例えば階調電圧生成回路430のサンプルホールド回路240−1〜240−Nにより階調電圧が出力される場合に、出力電圧VOCにオフセット電圧VOFが表れると、出力電圧VOCのバラツキにより階調電圧に誤差が生じてしまい、表示品質が劣化する。
【0134】
この点、フリップアラウンド型サンプルホールド回路を用いれば、オフセットをキャンセルできるため、出力電圧VOCのバラツキを最小限に抑えることができる。従って、誤差の少ない高精度の階調電圧をデータドライバ450に供給でき、表示品質を向上できる。
【0135】
次に、図12(A)、図12(B)にフリップアラウンド型サンプルホールド回路を用いたサンプルホールド回路240−1の詳細な構成例を示す。
【0136】
図12(A)、図12(B)のサンプルホールド回路240−1は、演算増幅器OPDと、サンプリング用スイッチ素子SSDと、サンプリング用キャパシタCDと、帰還用スイッチ素子SFDと、フリップアラウンド用スイッチ素子SADを含む。また、出力用スイッチ素子SODを含む。なお、これらの一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加するなどの変形実施も可能である。また、スイッチ素子SSD、SAD、SFD、SODは、例えばトランスファーゲートなどのCMOSトランジスタにより構成できる。
【0137】
そして、演算増幅器OPDの非反転入力端子(第2の入力端子)には、アナログ基準電源電圧AGNDが設定される。サンプリング用スイッチ素子SSD及びサンプリング用キャパシタCDは、サンプルホールド回路240−1の入力ノードNIDと演算増幅器OPDの反転入力端子(第1の入力端子)との間に設けられる。帰還用スイッチ素子SFDは、演算増幅器OPDの出力端子とOPDの反転入力端子との間に設けられる。フリップアラウンド用スイッチ素子SADは、スイッチ素子SSDとキャパシタCDとの間の接続ノードNSと、演算増幅器OPDの出力端子との間に設けられる。
【0138】
そして、図12(A)に示すようにサンプリング期間においては、サンプリング用スイッチ素子SSD及び帰還用スイッチ素子SFDがオンになると共に、フリップアラウンド用スイッチ素子SADがオフになる。これにより、図12(A)で説明したフリップアラウンド型サンプルホールド回路のサンプリング動作を実現できる。
【0139】
一方、図12(B)に示すようにホールド期間においては、サンプリング用スイッチ素子SSD及び帰還用スイッチ素子SFDがオフになると共に、フリップアラウンド用スイッチ素子SADがオンになる。これにより、図12(B)で説明したフリップアラウンド型サンプルホールド回路のホールド動作を実現できる。
【0140】
また、出力用スイッチ素子SODは、演算増幅器OPDの出力端子とサンプルホールド回路240−1の出力ノードNODとの間に設けられる。そして図12(A)に示すようにサンプリング期間においては、出力用スイッチ素子SODはオフになる。これにより、サンプルホールド回路240−1の出力がハイインピーダンス状態になり、サンプリング期間中の不確定な電圧が後段に伝達されるのを防止できる。
【0141】
一方、図12(B)に示すように、ホールド期間においては、出力用スイッチ素子SODはオンになる。これにより、サンプリング期間において生成された階調電圧である電圧VODを出力できる。
【0142】
ここで、出力用スイッチ素子SODは、フリップアラウンド型サンプルホールド回路のサンプルホールド動作と独立してオン、オフすることもできる。例えば、図7、図8で説明したサンプルホールド部200のサンプルホールド回路SHB11〜SHB1p、SHB21〜SHB2pが、フリップアラウンド型サンプルホールド回路で構成される場合である。具体的には、例えば図7のサンプルホールド回路SHB11は、サンプリング指示信号DB[0:r]に従って、図8の期間TB1の出力期間TQ1においてサンプリングし、他の出力期間はホールドしている。しかし、出力用スイッチ素子SODは、サンプリング指示信号DB[0:r]とは異なる信号である出力指示信号POLに従って、期間TB1においてオフし、期間TB2においてオンしている。
【0143】
次に、図6を用いて、図5のサンプルホールド回路SHA1がフリップアラウンド型サンプルホールド回路で構成される場合を例に、図12(A)、図12(B)の回路動作を説明する。図12(A)、図12(B)のノードNIDには、選択回路100の出力電圧VGAが入力される。
【0144】
図6のサンプリングサンプリング期間TSA1においては、サンプリング指示信号DB[0:r]を受けて、サンプリング用スイッチ素子SSD、帰還用スイッチ素子SFDに入力されるスイッチ制御信号がアクティブ(Hレベル)になるため、スイッチ素子SSD、SFDはオンになる。一方、フリップアラウンド用スイッチ素子SAD、出力用スイッチ素子SODに入力されるスイッチ制御信号が非アクティブ(Lレベル)になるため、スイッチ素子SAD、SODはオフになる。
【0145】
また、図6のホールド期間THA1においては、サンプリング指示信号DB[0:r]を受けて、スイッチ素子SSD、SFDに入力されるスイッチ制御信号が非アクティブになるため、SSD、SFDはオフになる。一方、スイッチ素子SAD、SODに入力されるスイッチ制御信号がアクティブになるため、SAD、SODはオンになる。
【0146】
そして、図6のA4に示すように、サンプリング期間TSA1においてA2の電圧VA1をサンプリングし、サンプリング用キャパシタCDには電圧VA1に応じた電荷が蓄積される。このとき、スイッチ素子SODはオフのため、電圧VODは階調電圧として出力されない。次に、A5に示すように、ホールド期間THA1においてサンプリング用キャパシタCDに蓄積された電荷に応じた電圧である電圧VA1をホールドし、電圧VODとして出力する。そして、スイッチ素子SODはオンのため、電圧VODは階調電圧として出力される。従って、図7の階調電圧VGA1として電圧VA1が出力される。
【0147】
7.詳細な構成例
次に、図13に本実施形態の詳細な構成例を示す。図13の階調電圧生成回路は、256階調のラダー抵抗回路の出力電圧から64階調の階調電圧VGE1〜VGE64を生成して出力することができる。この階調電圧生成回路は、図3に対応して、ラダー抵抗回路10、選択回路100、サンプルホールド部200を含む。なお、図13では、ラダー抵抗回路10と選択回路100をまとめて、ラダー抵抗回路&選択回路としている。
【0148】
そして、ラダー抵抗回路10は、直列に接続された抵抗RE0〜RE256を有する。この抵抗RE0〜RE256は、図3の抵抗RA0〜RAnに対応し、電源電圧VGMHと電源電圧VGMLの間の電圧を抵抗分割し、256個の分割電圧を出力する。
【0149】
選択回路100は、図4のスイッチ素子SA1〜SAnに対応するスイッチ素子SE1〜SE256を有する。このスイッチ素子SE1〜SE256は、抵抗RE0〜RE256の各抵抗の間のノードと出力ノードNQEとの間に設けられる。例えば、スイッチ素子SE1は、抵抗RE0とRE1の間のノードと出力ノードNQEとの間に設けられ、スイッチ素子SE2は、抵抗RE1とRE2の間のノードと出力ノードNQEとの間に設けられる。
【0150】
サンプルホールド部200は、第1のサンプルホールド部220−1と第2のサンプルホールド部220−2を有する。第1のサンプルホールド部220−1は、図7のサンプルホールド回路SHB11〜SHB1pに対応するサンプルホールド回路SHE101〜SHE164を含み、第2のサンプルホールド部220−2は、図7のサンプルホールド回路SHB21〜SHB2pに対応するサンプルホールド回路SHE201〜SHE264を含む。
【0151】
そして、これらのサンプルホールド回路はそれぞれ、図12で説明したフリップアラウンド型サンプルホールド回路で構成される。例えば、サンプルホールド回路SHE101は、図12に対応して、演算増幅器OPE101と、サンプリング用スイッチ素子SSE101と、サンプリング用キャパシタCE101と、帰還用スイッチ素子SFE101と、フリップアラウンド用スイッチ素子SAE101と、出力用スイッチ素子SOE101を含む。
【0152】
そして、選択回路100は、選択信号DA[0:q]を受けて、ラダー抵抗回路10の出力する256個の電圧のうちいずれかを選択して電圧VQEとして出力する。次に、第1のサンプルホールド部220−1と第2のサンプルホールド部220−2が、サンプリング指示信号DB[0:r]を受けて、電圧VQEをサンプリングしてホールドする。そして、出力指示信号POLを受けて、階調電圧VGE1〜VGE64を出力する。
【0153】
ここで、図9を例に本実施形態の階調電圧生成回路の具体的な動作を説明する。なお、本実施形態の動作は、図9に制限されるものではなく、例えば図8、図10に示す動作例にも適用できる。
【0154】
図9の第1の期間TE1においては、第1のサンプルホールド部220−1が電圧VQEをサンプリングし、第2のサンプルホールド部220−2が第2の期間TE2においてサンプリングした電圧をホールドし、正極性階調電圧として出力する。一方、図9の第2の期間TE2においては、第2のサンプルホールド部220−2が電圧VQEをサンプリングし、第1のサンプルホールド部220−1が第1の期間TE1においてサンプリングした電圧をホールドし、負極用階調電圧として出力する。
【0155】
具体的には、例えばサンプルホールド回路SHE101は次のように動作する。ここで、ラダー抵抗回路10の抵抗RE1とRE2の間の電圧を電圧VE2とする。そして、期間TE1の期間TQE1において、選択回路100は、選択信号DA[0:q]を受けて電圧VE2を選択している。そうすると、選択回路100は、スイッチ素子SE2がオンし、他のスイッチ素子がオフし、電圧VQEとして電圧VE2を出力する。
【0156】
そして、サンプルホールド回路SHE101は、期間TE1の期間TQE1において、電圧VE2をサンプリングし、期間TE1の残りの期間と期間TE2において、電圧VE2をホールドする。ここで、スイッチ素子SOE101は、出力指示信号POLを受けて、期間TE1においてオフし、期間TE2においてオンする。これにより、サンプルホールド回路SHE101は、期間TE2において、ホールドする電圧VE2を階調電圧VGE1として出力する。
【0157】
ここで、サンプルホールド回路SHE101は、サンプリングする期間において、スイッチ素子SSE101、SFE101がオンし、SAE101がオフする。そして、ホールドする期間において、スイッチ素子SSE101、SFE101がオフし、SAE101がオンする。
【0158】
このように、図13に示す詳細な構成例によれば、本実施形態の階調電圧生成回路を実現できる。
【0159】
8.ドライバ
ところで、本実施形態の階調電圧生成回路が出力する階調電圧は、例えば図1のデータドライバ450に供給される。このデータドライバ450は、液晶パネルなどの電気光学パネル400のデータ線にデータ信号を供給するものである。以下では、図14、図15を用いて、データドライバ450(ソースドライバ)の構成例について説明する。
【0160】
最初に、図14の構成例について説明する。図14のデータドライバは、D/A変換回路452、データ線駆動回路460−1〜460−Mを含む。そして図14では、1つのD/A変換回路452が、複数のデータ線駆動回路460−1〜460−M(第1〜第Mのデータ線駆動回路)により共用される。なおデータ線駆動回路等を表示パネルの各データ線毎に設けてもよいし、データ線駆動回路が複数のデータ線に時分割にデータ信号を供給するようにしてもよい。またデータドライバ(集積回路装置)の一部又は全部を表示パネル上に一体に形成してもよい。
【0161】
D/A変換回路452(電圧生成回路)は、例えば図1のメモリ420から階調データDG(画像データ、表示データ)を受ける。そして階調データDGに対応した第1、第2の階調電圧VG1、VG2を出力する。
【0162】
具体的には、D/A変換回路452は、階調データを受け、階調データに対応した第1、第2の階調電圧VG1、VG2を、第1〜第Mのサンプリング期間の各サンプリング期間に時分割に出力する。
【0163】
データ線駆動回路460−1〜460−Mは階調生成アンプ462−1〜462−M(GA1〜GAM)を含む。これらの階調生成アンプ462−1〜462−Mの各々は、第1〜第Mのサンプリング期間の各サンプリング期間においてD/A変換回路452から出力された第1、第2の階調電圧VG1、VG2をサンプリングし、VG1とVG2の間の階調電圧を生成する。
【0164】
具体的には、階調電圧VG1、VG2は、D/A変換回路452に入力される複数の階調電圧(例えばVM1〜VM64)において隣り合う階調電圧(例えばVM1とVM2、VM2とVM3)になる。そして、階調電圧VG1、VG2をサンプリングし、階調データDGに応じて、VG1、VG2、または(VG1+VG2)/2を生成する。
【0165】
なお、VG1とVG2の間の階調電圧は、(VG1+VG2)/2に限らずVG1とVG2の間の電圧であればよく、1個でなく複数個であってもよい。
【0166】
次に、図15にデータドライバ450の第2の構成例を示す。図15では、データ線駆動回路460−1〜460−Mは、階調生成アンプ462−1〜462−Mの後段に設けられた駆動アンプ464−1〜464−Mを更に含む。なお駆動アンプ464−1〜464−Mを設けない変形実施も可能である。
【0167】
データ線駆動回路460−1〜460−Mが含む駆動アンプ464−1〜464−M(DA1〜DAM)は、第1〜第Mのサンプリング期間の後の駆動アンプ用サンプリング期間において、階調生成アンプ462−1〜462−Mの出力電圧をサンプリングする。そして駆動アンプ用サンプリング期間の後の駆動アンプ用ホールド期間において、サンプリングされた出力電圧を出力する。
【0168】
図14、図15の構成によれば、D/A変換回路452が時分割に第1、第2の階調電圧VG1、VG2を出力したとしても、階調生成アンプ462−1〜462−Mのサンプリング機能により、第1〜第Mの各サンプリング期間での電圧の適正なサンプリングが可能になる。
【0169】
例えば、データ線駆動回路をサンプルホールド機能を持たないアンプ、例えばボルテージフォロア型のアンプで構成した場合、各データ線駆動回路毎に同じ構成のD/A変換回路を設ける必要があり、D/A変換回路のレイアウト面積が原因となって集積回路装置の大規模化を招く。
【0170】
この点、本実施形態では、階調生成アンプや駆動アンプにサンプルホールド機能を持たせたことにより、複数のデータ線駆動回路460−1〜460−Mに対して1つのD/A変換回路452を共有することができる。従って、集積回路装置内でのD/A変換回路452の占有面積を削減でき、集積回路装置の小規模化を図れる。
【0171】
また、本実施形態のデータドライバによれば、階調生成アンプ462により階調電圧を生成できるため、図1の階調電圧生成回路430が生成する階調電圧の個数を削減できる。これにより階調電圧線の本数を削減できると共に、D/A変換回路452の回路規模を削減できる。
【0172】
例えば階調データDGが8ビットであり、階調数が2=256階調である場合に、従来の手法では、階調電圧生成回路430は256個の階調電圧を生成する必要があり、D/A変換回路452には、これらの256個の階調電圧の中から階調データDGに応じた階調電圧を選択するセレクタ群が必要になる。従って、階調電圧生成回路430やD/A変換回路452の大規模化を招く。また階調電圧線の本数も256本になるため、配線領域の占有面積も大きくなる。
【0173】
この点、本実施形態のデータドライバによれば、階調生成アンプ462により階調電圧が生成されるため、階調電圧生成回路430は例えば128個の階調電圧を生成すればよく、D/A変換回路452には、これらの128個の階調電圧の中から電圧を選択するセレクタ群を設ければ済む。従って、従来の手法に比べて回路規模の大幅な削減が可能になる。また階調電圧線の本数も128本にすることができ、配線領域の面積も大幅に削減できる。なお、実際には、階調生成アンプ462が第1、第2の階調電圧VG1、VG2を分割した電圧を生成するため、上記の場合に階調電圧線は128+1=129本必要になる。
【0174】
また、本実施形態のデータドライバによれば、例えば図10で説明した階調電圧生成回路が正極RGBと負極RGBを時分割で出力する場合のように、階調電圧線をR用(赤)、G用(緑)、B用(青)に時分割に共用できるという利点もある。
【0175】
ここで、R用、G用、B用に、各々、64本の階調電圧線が必要な場合には、R用、G用、B用に別々の階調電圧線を設ける手法では、64×3=192本の階調電圧線が必要になる。
【0176】
この点、本実施形態では、1本の階調電圧線をR用、G用、B用に時分割に使用しているため、64本の階調電圧線で済むようになり、階調電圧線の配線領域を大幅に削減でき、集積回路装置の小面積化を図ることができる。
【0177】
なお、本発明のデータドライバは、サンプルホールド機能は持つが階調電圧を生成しないアンプで構成したデータ線駆動回路を用いてもよく、ボルテージフォロア型のアンプで構成したデータ線駆動回路を用い、各データ線駆動回路毎にD/A変換回路を設けてもよい。
【0178】
9.電子機器
図16(A)、図16(B)に本実施形態のドライバ480を含む電子機器や電気光学装置600の構成例を示す。なお図16(A)、図16(B)の構成要素の一部を省略したり、他の構成要素(例えばカメラ、操作部又は電源等)を追加するなどの種々の変形実施が可能である。また本実施形態の電子機器は携帯電話機には限定されず、デジタルカメラ、PDA、電子手帳、電子辞書、プロジェクタ、リアプロジェクションテレビ、或いは携帯型情報端末などであってもよい。
【0179】
図16(A)、図16(B)においてホストデバイス410は、例えばMPU、ベースバンドエンジンなどである。このホストデバイス410は、ドライバ480の制御を行う。或いはアプリケーションエンジンやベースバンドエンジンとしての処理や、圧縮、伸長、サイジングなどのグラフィックエンジンとしての処理を行うこともできる。また図16(B)の画像処理コントローラ500は、ホストデバイス410に代行して、圧縮、伸長、サイジングなどのグラフィックエンジンとしての処理を行う。
【0180】
図16(A)の場合には、ドライバ480としてメモリ内蔵のものを用いることができる。即ちこの場合にはドライバ480は、ホストデバイス410からの画像データを、一旦内蔵メモリに書き込み、書き込まれた画像データを内蔵メモリから読み出して、表示パネルを駆動する。一方、図16(B)の場合には、ドライバ480としてメモリ非内蔵のものを用いることができる。即ちこの場合には、ホストデバイス410からの画像データは、画像処理コントローラ500の内蔵メモリに書き込まれる。そしてドライバ480は、画像処理コントローラ500の制御の下で、電気光学パネル400を駆動する。
【0181】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語(第1の入力端子、第2の入力端子、基準電圧、第1の電源電圧、第2の電源電圧等)と共に記載された用語(反転入力端子、非反転入力端子、階調電圧、VGMH、VGML等)は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また基準電圧生成回路(階調電圧生成回路)、選択回路、サンプルホールド部、データ線駆動回路、階調生成アンプ、駆動アンプ、電気光学装置、電子機器等の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定に限定されず、種々の変形実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0182】
【図1】本実施形態のドライバ、電気光学装置の構成例。
【図2】階調電圧生成回路の比較例。
【図3】本実施形態の階調電圧生成回路の構成例。
【図4】選択回路の構成例。
【図5】サンプルホールド部の第1の構成例。
【図6】本実施形態の動作を説明するための第1の信号波形例。
【図7】サンプルホールド部の第2の構成例。
【図8】本実施形態の動作を説明するための第2の信号波形例。
【図9】本実施形態の動作を説明するための第3の信号波形例。
【図10】本実施形態の動作を説明するための第4の信号波形例。
【図11】図11(A)、図11(B)はフリップアラウンド型サンプルホールド回路の説明図。
【図12】図12(A)、図12(B)はフリップアラウンド型サンプルホールド回路の詳細な構成例。
【図13】階調電圧生成回路の詳細な構成例。
【図14】データドライバの第1の変形例。
【図15】データドライバの第2の変形例。
【図16】図16(A)、図16(B)は電子機器の構成例。
【符号の説明】
【0183】
RA0〜RAn 抵抗、VA1〜VAn 第1〜第nの分割電圧、
VGMH、VGML 第1、第2の電源電圧、VHL、VLL 第1、第2の電源線、
VQA 選択回路の出力電圧、DA 選択信号、SA1〜SAn スイッチ素子、
DB サンプリング指示信号、VGA1〜VGAm 基準電圧、POL 出力指示信号、
CC サンプリング用キャパシタ、OPC 演算増幅器、
SSD サンプリング用スイッチ素子、SFD 帰還用スイッチ素子、
SAD フリップアラウンド用スイッチ素子、SOD 出力用スイッチ素子、
TB1、TB2 第1、第2の期間、TF1〜TF6 第1〜第6の分割期間、
TF11、TF41 極性反転期間、TQ1〜TQm 第1〜第mの出力期間、
10 ラダー抵抗回路、100 選択回路、200 サンプルホールド部、
220−1〜220−N サンプルホールド回路、
400 電気光学パネル、410 ホストデバイス、420 メモリ、
422 メモリセルアレイ、424 ローアドレスデコーダ、
426 カラムアドレスデコーダ、428 ライト/リード回路、
430 階調電圧生成回路、440 ロジック回路、442 制御回路、
444 表示タイミング制御回路、446 ホストインターフェース回路、
448 RGBインターフェース回路、450 データドライバ、
452 D/A変換回路、460−1〜460−M データ線駆動回路、
462−1〜462−M 階調生成アンプ、464−1〜464−M 駆動アンプ、
470 走査ドライバ、480 ドライバ、490 電源回路、
500 画像処理コントローラ、600 電気光学装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの基準電圧を生成する基準電圧生成回路であって、
第1の電源電圧が供給される第1の電源線と、第2の電源電圧が供給される第2の電源線との間に直列に接続された複数の抵抗を有し、前記複数の抵抗の各抵抗によって抵抗分割された第1〜第n(nは自然数)の分割電圧を出力するラダー抵抗回路と、
前記ラダー抵抗回路が出力する前記第1〜第nの分割電圧のいずれかに対応する出力電圧を、選択信号に基づいて選択して出力する選択回路と、
複数のサンプルホールド回路を有し、前記複数のサンプルホールド回路の各サンプルホールド回路が前記選択回路の前記出力電圧をサンプリングしてホールドするサンプルホールド部と、
を含むことを特徴とする基準電圧生成回路。
【請求項2】
請求項1において、
前記選択回路は、
出力ノードと第1〜第nの入力ノードとの間にそれぞれ設けられた第1〜第nのスイッチ素子を有し、
前記第1〜第nの入力ノードには、それぞれ前記ラダー抵抗回路が出力する前記第1〜第nの分割電圧が入力され、
前記選択信号に基づいて、前記第1〜第nのスイッチ素子のうちのいずれかのスイッチ素子がオンし、他のスイッチ素子がオフすることで、前記選択回路の前記出力ノードに前記出力電圧が出力されることを特徴とする基準電圧生成回路。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記選択回路は、
前記選択信号に基づいて、第1〜第m(mは自然数)の出力期間のうちの各出力期間において、前記ラダー抵抗回路が出力する前記第1〜第nの分割電圧のいずれかに対応する出力電圧を選択して出力し、
前記サンプルホールド部は、
前記複数のサンプルホールド回路として第1〜第mのサンプルホールド回路を有し、前記少なくとも1つの基準電圧として第1〜第mの基準電圧からなるm個の基準電圧を出力し、
前記第1〜第mのサンプルホールド回路のうちの第i(iは、1≦i≦mの整数)のサンプルホールド回路は、サンプリング指示信号に基づいて、前記第1〜第mの出力期間のうちの第iの出力期間において前記選択回路の前記出力電圧をサンプリングし、前記第1〜第mの基準電圧のうちの第iの基準電圧としてホールドして出力することを特徴とする基準電圧生成回路。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記サンプルホールド部は、
第1のサンプルホールド部と第2のサンプルホールド部を有し、
前記第1のサンプルホールド部は、
周期的に繰り返される第1の期間と第2の期間のうちの前記第1の期間において、前記選択回路の前記出力電圧をサンプリングし、続く前記第2の期間において、前記第1の期間にサンプリングした電圧をホールドし、
前記第2のサンプルホールド部は、
前記第2の期間において、前記選択回路の前記出力電圧をサンプリングし、続く前記第1の期間において、前記第2の期間にサンプリングした電圧をホールドすることを特徴とする基準電圧生成回路。
【請求項5】
請求項4において、
前記サンプルホールド部は、
前記第1の期間において、出力指示信号に基づいて、前記第2のサンプルホールド部がホールドする電圧を選択して出力し、
前記第2の期間において、前記出力指示信号に基づいて、前記第1のサンプルホールド部がホールドする電圧を選択して出力することを特徴とする基準電圧生成回路。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、
前記複数のサンプルホールド回路の各サンプルホールド回路は、
フリップアラウンド型サンプルホールド回路であることを特徴とする基準電圧生成回路。
【請求項7】
請求項6において、
前記各サンプルホールド回路は、
演算増幅器と、
前記演算増幅器の第1の入力端子と前記各サンプルホールド回路の入力ノードとの間に設けられ、サンプリング期間において前記入力ノードの入力電圧に応じた電荷が蓄積されるサンプリング用キャパシタとを含み、
前記サンプリング期間において前記サンプリング用キャパシタに蓄積された電荷に応じた出力電圧を、ホールド期間において出力することを特徴とする基準電圧生成回路。
【請求項8】
請求項6において、
前記各サンプルホールド回路は、
その第2の入力端子にアナログ基準電源電圧が設定される演算増幅器と、
前記各サンプルホールド回路の前記入力ノードと前記演算増幅器の第1の入力端子との間に設けられたサンプリング用スイッチ素子及びサンプリング用キャパシタと、
前記演算増幅器の出力端子と前記第1の入力端子との間に設けられた帰還用スイッチ素子と、
前記サンプリング用スイッチ素子と前記サンプリング用キャパシタとの間の接続ノードと前記演算増幅器の出力端子との間に設けられたフリップアラウンド用スイッチ素子と、
を含むことを特徴とする基準電圧生成回路。
【請求項9】
請求項8において、
前記サンプリング期間においては、前記サンプリング用スイッチ素子及び前記帰還用スイッチ素子がオンになると共に、前記フリップアラウンド用スイッチ素子がオフになり、前記サンプリング用キャパシタには前記入力ノードの入力電圧に応じた電荷が蓄積され、
前記ホールド期間においては、前記サンプリング用スイッチ素子及び前記帰還用スイッチ素子がオフになると共に、前記フリップアラウンド用スイッチ素子がオンになり、
前記各サンプルホールド回路は、
前記サンプリング期間において前記サンプリング用キャパシタに蓄積された電荷に応じた出力電圧を出力することを特徴とする基準電圧生成回路。
【請求項10】
請求項4乃至9のいずれかにおいて、
前記少なくとも1つの基準電圧は、電気光学装置の階調表現に使用するための階調電圧であって、
前記第1のサンプルホールド部は、
前記第1の期間において、前記選択回路の前記出力電圧をサンプリングし、続く前記第2の期間において、前記第1の期間にサンプリングした前記選択回路の前記出力電圧を負極用階調電圧としてホールドして出力し、
前記第2のサンプルホールド部は、
前記第2の期間において、前記選択回路の前記出力電圧をサンプリングし、続く前記第1の期間において、前記第2の期間でサンプリングした前記選択回路の前記出力電圧を正極用階調電圧としてホールドして出力することを特徴とする基準電圧生成回路。
【請求項11】
請求項4乃至9のいずれかにおいて、
前記少なくとも1つの基準電圧は、電気光学装置の階調表現に使用するための階調電圧であって、
1回目の前記第1の期間と前記第2の期間はそれぞれ第1の分割期間と第2の分割期間であり、2回目の前記第1の期間と前記第2の期間はそれぞれ第3の分割期間と第4の分割期間であり、3回目の前記第1の期間と前記第2の期間はそれぞれ第5の分割期間と第6の分割期間であり、
前記第1のサンプルホールド部は、
前記第1の分割期間において、前記選択回路の前記出力電圧をサンプリングし、続く前記第2の分割期間において、前記第1の分割期間でサンプリングした前記選択回路の前記出力電圧を第2の色成分の正極用階調電圧としてホールドして出力し、
前記第3の分割期間において、前記選択回路の前記出力電圧をサンプリングし、続く前記第4の分割期間において、前記第3の分割期間でサンプリングした前記選択回路の前記出力電圧を第1の色成分の負極用階調電圧としてホールドして出力し、
前記第5の分割期間において、前記選択回路の前記出力電圧をサンプリングし、続く前記第6の分割期間において、前記第5の分割期間でサンプリングした前記選択回路の前記出力電圧を第3の色成分の負極用階調電圧としてホールドして出力し、
前記第2のサンプルホールド部は、
前記第2の分割期間において、前記選択回路の前記出力電圧をサンプリングし、続く前記第3の分割期間において、前記第2の分割期間でサンプリングした前記選択回路の前記出力電圧を第3の色成分の正極用階調電圧としてホールドして出力し、
前記第4の分割期間において、前記選択回路の前記出力電圧をサンプリングし、続く前記第5の分割期間において、前記第4の分割期間でサンプリングした前記選択回路の前記出力電圧を第2の色成分の負極用階調電圧としてホールドして出力し、
前記第6の分割期間において、前記選択回路の前記出力電圧をサンプリングし、続く前記第1の分割期間において、前記第6の分割期間でサンプリングした前記選択回路の前記出力電圧を第1の色成分の正極用階調電圧としてホールドして出力することを特徴とする基準電圧生成回路。
【請求項12】
請求項11において、
前記第1の分割期間の前半期間及び、前記第4の分割期間の前半期間が、前記電気光学装置が有する電気光学パネルの対向電極に供給される対向電圧の極性反転期間に設定されることを特徴とする基準電圧生成回路。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれかに記載の基準電圧生成回路を含むことを特徴とするドライバ。
【請求項14】
請求項13に記載のドライバを含むことを特徴とする電気光学装置。
【請求項15】
請求項14に記載の電気光学装置を含むことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−168842(P2009−168842A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−3460(P2008−3460)
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】