説明

塗布圧力制御装置、方法及びプログラム並びにこれを用いた塗布装置

【課題】簡易な構成でありながら液状材料の塗布量を安定に制御し得る塗布圧力制御装置等を提供する。
【解決手段】塗布圧力制御装置10は、被塗布部材に塗布された液状材料の塗布形状a1及び濃淡分布a2を含む平面画像データaを入力する平面画像入力部11と、塗布形状a1に基づき液状材料の平面方向の情報b1を求める平面方向測定部12と、濃淡分布a2に基づき液状材料の高さ方向の情報b2を求める高さ方向測定部13と、被塗布部材に液状材料を塗布するのに要した塗布圧力のデータcを入力する塗布圧力データ入力部14と、塗布圧力のデータcと平面方向の情報b1と高さ方向の情報b2とから塗布圧力の補正値を算出し、その結果を塗布圧力補正データdとして出力する塗布圧力補正データ出力部15と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状材料に対する塗布圧力を制御する塗布圧力制御装置等、及びこれを用いた塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、製品や部品の小型化や高性能化が進み、多様かつ高品質な品揃えが要求されている。このため生産現場では、多品種・少量生産を、最小限のタクト・生産コストで実現していかなければならい。このようなことから、ダイボンダやマウンタ等においては、接着に用いるエポキシ系樹脂等の液状材料の多様化かつ高品質化に伴い、塗布量の高精度化・安定化を安価に実現しなければならない。こうした状況に対応するには、高精度安定化を実現した機械式塗布方法が考えられるが、導入コストや液状材料交換などの運用コストが割高となってしまう。
【0003】
そこで、導入コストや運用コストを抑制するエアー式塗布方法において高精度化・安定化を実現するために、塗布圧力や塗布速度や液状材料の温度管理といった塗布条件を制御することで、ある程度の安定化は図れる。しかし、塗布量という質量や体積を短タクトで測定することが困難なため、更なる高精度化を実現することが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−079472号公報
【特許文献2】特開2008−253876号公報
【特許文献3】特開2007−250617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ダイボンディングやマウント等の工程では、リードフレームや基板にエポキシ系樹脂やはんだ等の液状材料を塗布して、半導体ウェハから切り出したペレット等の電子部品を搭載する。このとき、塗布量が多すぎると電子部品に液状材料が這い上がり品質不適合が発生し、逆に塗布量が少ない場合にはシェア強度が得られなかったり完成後のクラック原因になったりするなどの品質不適合に繋がってしまうため、バラツキが少なく安定的な塗布量制御が要求される。また、これらの工程では、多品種生産に伴う品種切替が頻繁な上に、数時間〜数日という液状材料の使用期限があるため、液状材料を容易に交換できなければならない。
【0006】
液状材料の塗布方法としては、機械式及びエアー式の二種類があり、塗布量精度により使い分けされている。
【0007】
機械式は、液状材料が入った容器内にピストン等を押し込み、この押し込み量に比例した液状材料の塗布を行うことができるため、一般的に高粘度や塗布量の高精度・安定性が要求される場合に適用される。しかし、ピストンやそれを押し込むための機構が必要であり、構成が複雑になるので、エアー式と比較して装置価格が高価になる。しかも、液状材料を直接的に押し出すため液状材料の変更や定時交換などに際して、ピストン等の機構を分解して清掃しなければならず、運用コストが掛かってしまう。
【0008】
一方、エアー式は、エアー圧を直接又は使い捨てピストンを介して液状材料に印加して押し出すため、構成が単純で装置価格は安価である。しかも、液状材料の変更や定時交換も、容器を交換する程度で済むため運用コストを抑制することができる。しかし、エアーの膨張・収縮や材料の残量・粘性変化の影響を受けるため、塗布量が安定しないことが挙げられる。
【0009】
上記の理由から、ダイボンディングやマウント等の工程では、導入・運用コストを抑制し、ロット単位での塗布量調整等を行うことで塗布量の安定化を図ることとし、エアー式が採用されている。ところが、近年、リードフレーム材質などに依存して電子部品搭載時の液状材料の広がり具合であるヌレ性と品質との相関性が高まり、塗布量の高精度・高安定性が要求されるようになった。このため、液状材料を交換後の塗布量調整直後は塗布量に精度的な問題はないが、液状材料の残量や経時的粘性変化の影響による塗布量の微少変動がヌレ性を悪化させて品質不適合が多発してしまう、という課題が発生するようになってきた。これに対しては、塗布量調整を頻繁に行なうことで対応可能であるが、数十分から数時間単位での調整が発生するため、調整工数による運用コストが掛かってしまう。
【0010】
こうした課題の解決を図ろうとするものとして、前述の特許文献1〜4が挙げられる。
【0011】
特許文献1では、二種類の塗布圧力における塗布量を予め測定することで、測定時点における圧力と塗布量との比例関係を求め、所要の塗布量に応じた塗布圧力を算出するため、試行錯誤的な調整を行なう場合に比べて生産効率向上を図ろうとしている。また、この比例関係を定期的に求めることで、粘性変化等の影響を有効に取り除き、塗布量を高精度に維持しようとしている。しかし、比例関係を求める周期は液状材料の特性に起因するため、特性変化の大きい材料では頻繁に比例関係を求めなければならない。また、ダイボンディングやマウント等の工程においては、多種の液状材料を使い分けなければならないため、実際には生産効率向上が期待できない、という問題点がある。
【0012】
特許文献2では、塗布量を測定するタイミングを計画するスケジューリング部からの要請により、生産稼働中に自動的に塗布量を測定して適切な塗布圧力を算出することで、効率化を図ろうとしている。しかし、塗布量を測定するための測定器が必要であり、更に測定器の校正や測定後の塗布物の清掃などの運用コストが必要となってしまう問題点がある。
【0013】
前述の二つの特許文献と比較して特許文献3では、塗布状態を撮像して画像処理により塗布面積を算出して塗布量を概算的に算出できるとして、塗布面積に応じた塗布圧力や描画速度、液状材料温度を制御して塗布量の安定化を効率的に行おうとしている。しかし、液状材料の粘性が変化すると、粘度が上昇した場合は塗布形状の水平方向広がりは鈍化して垂直方向の高さが増加し、粘度が下降した場合は水平方向の広がりが増加して垂直方向の高さが減少する。このように塗布面積では、水平方向の変化成分しか捉えることができないため、塗布量の精度的な問題点がある。これを回避するためステレオカメラなどの画像処理やレーザ測定等による三次元形状測定が考えられるが、設備コストや測定時間や複雑な画像処理等の増加に伴うタクトタイムが延びてしまい、生産効率を落としてしまう問題が生じる。
【0014】
そこで、本発明の目的は、簡易な構成でありながら液状材料の塗布量を安定に制御し得る塗布圧力制御装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る塗布圧力制御装置は、
被塗布部材に塗布された液状材料の塗布形状及び濃淡分布を含む平面画像データを入力する平面画像入力部と、
この平面画像入力部から入力された前記平面画像データに含まれる前記塗布形状に基づき、前記液状材料の平面方向の情報を求める平面方向測定部と、
前記平面画像入力部から入力された前記平面画像データに含まれる前記濃淡分布に基づき、前記液状材料の高さ方向の情報を求める高さ方向測定部と、
前記被塗布部材に前記液状材料を塗布するのに要した塗布圧力のデータを入力する塗布圧力データ入力部と、
この塗布圧力データ入力部から入力された塗布圧力のデータと前記平面方向測定部で求められた前記平面方向の情報と前記高さ方向測定部で求められた前記高さ方向の情報とから前記塗布圧力の補正値を算出し、その結果を塗布圧力補正データとして出力する塗布圧力補正データ出力部と、
を備えたものである。
【0016】
本発明に係る塗布圧力制御方法は、
被塗布部材に塗布された液状材料の塗布形状及び濃淡分布を含む平面画像データを入力し、
入力された前記平面画像データに含まれる前記塗布形状に基づき、前記液状材料の平面方向の情報を求め、
入力された前記平面画像データに含まれる前記濃淡分布に基づき、前記液状材料の高さ方向の情報を求め、
前記被塗布部材に前記液状材料を塗布するのに要した塗布圧力のデータを入力し、
入力された前記塗布圧力のデータと求められた前記平面方向の情報と求められた前記高さ方向の情報とから前記塗布圧力の補正値を算出する、
ものである。
【0017】
本発明に係る塗布圧力制御プログラムは、
被塗布部材に塗布された液状材料の塗布形状及び濃淡分布を含む平面画像データを入力する平面画像入力手順と、
この平面画像入力手順で入力された前記平面画像データに含まれる前記塗布形状に基づき、前記液状材料の平面方向の情報を求める平面方向測定手順と、
前記平面画像入力手順で入力された前記平面画像データに含まれる前記濃淡分布に基づき、前記液状材料の高さ方向の情報を求める高さ方向測定手順と、
前記被塗布部材に前記液状材料を塗布するのに要した塗布圧力のデータを入力する塗布圧力データ入力手順と、
この塗布圧力データ入力手順で入力された塗布圧力のデータと前記平面方向測定手順で求められた前記平面方向の情報と前記高さ方向測定手順で求められた前記高さ方向の情報とから前記塗布圧力の補正値を算出し、その結果を塗布圧力補正データとして出力する塗布圧力補正データ出力手順と、
をコンピュータに実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、被塗布部材に塗布された液状材料の平面画像データにおいて塗布形状と濃淡分布に着目することにより、液状材料の塗布量と塗布圧力との関係を正確に把握することができるので、簡易な構成でありながら液状材料の塗布量を安定に制御し得る塗布圧力制御装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態を示し、図1[1]は塗布圧力制御装置の機能ブロック図であり、図1[1]は塗布圧力制御方法のフロー図である。
【図2】本発明の一実施形態における塗布装置を示す斜視図である。
【図3】図2の塗布装置の動作原理(その1)を示す説明図である。
【図4】図2の塗布装置の動作原理(その2)を示す説明図である。
【図5】図2の塗布装置の動作原理(その3)を示す説明図である。
【図6】図2の塗布装置の動作原理(その4)を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という。)について説明する。図1は本発明の一実施形態を示し、図1[1]は塗布圧力制御装置の機能ブロック図であり、図1[1]は塗布圧力制御方法のフロー図である。以下、この図面に基づき、本実施形態の概要について説明する。
【0021】
本実施形態の塗布圧力制御装置10は、被塗布部材に塗布された液状材料の塗布形状a1及び濃淡分布a2を含む平面画像データaを入力する平面画像入力部11と、平面画像入力部11から入力された平面画像データaに含まれる塗布形状a1に基づき、液状材料の平面方向の情報b1を求める平面方向測定部12と、平面画像入力部11から入力された平面画像データaに含まれる濃淡分布a2に基づき、液状材料の高さ方向の情報b2を求める高さ方向測定部13と、被塗布部材に液状材料を塗布するのに要した塗布圧力のデータcを入力する塗布圧力データ入力部14と、塗布圧力データ入力部14から入力された塗布圧力のデータcと平面方向測定部12で求められた平面方向の情報b1と高さ方向測定部13で求められた高さ方向の情報b2とから塗布圧力の補正値を算出し、その結果を塗布圧力補正データdとして出力する塗布圧力補正データ出力部15と、を備えたものである。
【0022】
例えば、塗布圧力補正データ出力部15は、平面方向の情報b1と高さ方向の情報b2とから液体材料の塗布量を算出し、この塗布量が適正値よりも大きければ塗布圧力を減らす補正値を算出し、塗布量が適正値よりも小さければ塗布圧力を増やす補正値を算出する。
【0023】
例えば、高さ方向測定部13は、塗布形状a1の周辺が濃くなり(暗くなり)中央が淡くなる(明るくなる)場合に、濃い部分ほど液状材料の高さが低く淡い部分ほど液状材料の高さが高いと判断して、液状材料の高さ方向の情報b2を求める。このとき、高さ方向測定部13は、塗布形状の全体に占める淡い部分の割合が少ないほど液状材料の頂上の高さが高いと判断する、としてもよい。平面方向測定部12は、液状材料の平面方向の情報b1として、塗布形状a1の面積を求めてもよく、塗布形状a1の線幅を求めてもよい。なお、高さ方向とは、言うまでもなく平面方向に垂直な方向のことである。線幅とは、塗布形状が線状である場合の線の幅のことである。
【0024】
本発明者は、被塗布部材に塗布された液状材料の濃淡分布a2が液状材料の高さ方向の情報b2を反映していることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。例えば、液状材料の平面画像データaにおいて塗布形状a1の周辺が濃くなり中央が淡くなる場合に、濃い部分ほど液状材料の高さが低くなり、淡い部分ほど液状材料の高さが高くなる。なぜなら、濃い部分は反射光が少ないので平面に対して垂直に近い面であり、淡い部分は反射光が多いので平面に対して平行に近い面であるからである。また、塗布形状の全体に占める淡い部分の割合が少ないほど、液状材料の頂上の高さが高くなる。なぜなら、被塗布部材に塗布された液状材料の縦断面は、量が少なければ略半円状となるが、量が多くなるにつれて重力によって押し潰され略台形状へと変化するからである。つまり、液状材料の縦断面が、略半円状であれば頂上付近の平面に対して平行に近い部分の割合が少なくなり、略台形状であれば頂上付近の平面に対して平行に近い部分の割合が多くなるからである。これにより、被塗布部材に塗布された液状材料の平面画像データaから、液状材料の立体形状を精度よく把握することができる。したがって、平面画像データaを取得することは簡易であるので、被塗布部材に塗布された液状材料の塗布量を高精度かつ簡易に算出できる。これにより、液状材料の塗布量と塗布圧力との関係を正確に把握できるので、簡易な構成でありながら液状材料の塗布量を安定に制御し得る塗布圧力制御装置10等を提供することができる。
【0025】
本実施形態の塗布圧力制御方法は、塗布圧力制御装置10の動作として実現されている。すなわち、本実施形態の塗布圧力制御方法は、被塗布部材に塗布された液状材料の塗布形状a1及び濃淡分布a2を含む平面画像データaを入力し(ステップ101)、入力された平面画像データaに含まれる塗布形状a1に基づき、液状材料の平面方向の情報b1を求め(ステップ102)、入力された平面画像データaに含まれる濃淡分布a2に基づき、液状材料の高さ方向の情報b2を求め(ステップ103)、被塗布部材に液状材料を塗布するのに要した塗布圧力のデータを入力し(ステップ104)、入力された塗布圧力のデータと求められた平面方向の情報b1と求められた高さ方向の情報b2とから塗布圧力の補正値を算出する(ステップ105)ものである。ステップ101とステップ104とは、どちらが先でもよい。ステップ102とステップ103とは、どちらが先でもよい。
【0026】
塗布圧力制御装置10は、コンピュータ及びそのプログラムによって実現することもできる。本実施形態の塗布圧力制御プログラムは、塗布圧力制御装置10の各部の動作をコンピュータに実現させるためのものである。すなわち、本実施形態の塗布圧力制御プログラムは、被塗布部材に塗布された液状材料の塗布形状a1及び濃淡分布a2を含む平面画像データaを入力する平面画像入力手順と、平面画像入力手順で入力された平面画像データaに含まれる塗布形状a1に基づき、液状材料の平面方向の情報b1を求める平面方向測定手順と、平面画像入力手順で入力された平面画像データaに含まれる濃淡分布a2に基づき、液状材料の高さ方向の情報b2を求める高さ方向測定手順と、被塗布部材に液状材料を塗布するのに要した塗布圧力のデータcを入力する塗布圧力データ入力手順と、塗布圧力データ入力手順で入力された塗布圧力のデータcと平面方向測定手順で求められた平面方向の情報b1と高さ方向測定手順で求められた高さ方向の情報b2とから塗布圧力の補正値を算出し、その結果を圧力補正データdとして出力する塗布圧力補正データ出力手順と、をコンピュータに実行させるためのものである。平面画像入力手順と塗布圧力データ入力手順とは、どちらが先でもよい。平面方向測定手順と高さ方向測定手順とは、どちらが先でもよい。ここで用いるコンピュータは、CPU、メモリ(ROM及びRAM)、入出力インタフェース等を有する一般的なものでよい。このとき、CPUが、メモリに記憶された本実施形態の塗布圧力制御プログラムを読み出し、解釈し、実行する。
【0027】
本実施形態の塗布圧力制御方法及びプログラムによれば、塗布圧力制御装置10と同様の作用及び効果を奏する。また、本実施形態の塗布圧力制御方法及びプログラムは、塗布圧力制御装置10の構成に準じて様々な構成を採り得る。
【0028】
図2は、本実施形態の塗布装置を示す斜視図である。以下、この図面に基づき説明する。
【0029】
本実施形態の塗布装置20は、本実施形態の塗布圧力制御装置10と、塗布手段30と、撮像手段としてのカメラ21と、制御手段としてのコントローラ22とを備えている。塗布圧力制御装置10は、コントローラ22に内蔵されている。塗布手段30は、容器としてのシリンジ31に収容された液状材料41’に塗布圧力を加えることにより、液状材料41’をシリンジ31から吐出させて被塗布部材としてのリードフレーム42に塗布する。具体的には、塗布手段30は、液状材料41’を収容するシリンジ31と、シリンジ31の先端に設けられ液状材料41’が吐出するノズル32と、シリンジ31に収容された液状材料41’に圧力を加えるディスペンサ33と、シリンジ31とディスペンサ33とを連結するエアー配管34とを有する。カメラ21は、リードフレーム42に塗布された液状材料41の平面画像データを取り込んで塗布圧力制御装置10へ出力する。コントローラ22は、液状材料41’に加える塗布圧力を決定してディスペンサ33へ指示する。更に、コントローラ22は、現在の塗布圧力のデータを塗布圧力制御装置10へ出力するとともに、塗布圧力制御装置10から出力された塗布圧力補正データに基づいて次の塗布圧力を決定してディスペンサ33へ指示する機能を有する。
【0030】
本実施形態は、ダイボンディングやマウント工程におけるエポキシ系樹脂等の液状材料41の塗布において、残量変化や経時変化に伴う粘性変化に適応する塗布量制御方法及び塗布量安定装置を提供する。つまり、塗布状態を撮像して画像処理を行うことにより、塗布面積と塗布部分の濃淡情報とに基づき塗布圧力を制御して、安定的な塗布量を実現する。これにより、エアー式塗布方法でも、必要最小限の運用コストにより高効率生産を実現する。以下に、本実施形態をより詳細に説明する。
【0031】
図2は、本実施形態の一例として、ダイボンディングにおける塗布量安定制御の構成を示している。ダイボンディング装置は、リードフレームなどの被接合体上に、接着剤となるエポキシ系樹脂を所定の描画形状に塗布し、これに半導体ウェハから切り出したペレットなどの接合体を搭載接合する装置である。本実施形態では、導入や運用コストを抑制するエアー式塗布装置を用いて、液状材料の残量や経時的粘性変化に対応した塗布量安定を目的とするため、ここではエポキシ系樹脂の塗布について示す。
【0032】
容器となるシリンジ31に液状材料41’が収容され、液状材料41’はシリンジ31の先端に取り付けられたノズル32から塗布される。ディスペンサ33は、シリンジ31とエアー配管34を介して接続され、コントローラ22から設定された所定塗布圧力のエアーをシリンジ31に供給することにより液状材料41’に圧力を印加する。ここでは、ディスペンサ33を用いたが、電空レギュレータのようなエアー加圧力制御可能なものであればよい。シリンジ31とリードフレーム42とを駆動系(図示せず)によって相対的に移動させることにより、リードフレーム42上で液状材料41の描画塗布を行う。コントローラ22は、液状材料41の塗布状態をカメラ21で撮像した画像を取り込み、塗布量を算出して適切な塗布量となる設定すべき塗布圧力を、ディスペンサ33に対して設定する。
【0033】
次に、撮像した画像から設定すべき塗布圧力を算出する方法について説明する。図3は、線描画塗布により同量の液状材料を塗布した際における、低粘度の液状材料411(図3[1])と高粘度の液状材料412(図3[2])とのそれぞれの線幅L1,L2の違いを表している。図示するように、液状材料の塗布量が同じであっても、粘度に依存して塗布面積が異なる。これは、次のような理由による。
【0034】
同量の液状材料を塗布した場合、それぞれの液状材料自体にかかる重力の影響を受けて水平方向に広がる。低粘度の液状材料411では、高粘度の液状材料412と比較して、小さな力で液状材料を変形することができるため水平方向に広がって線幅L1が太くなる。一方、高粘度の液状材料412では、低粘度の液状材料411と比較して線幅L2が狭くなる。これにより、塗布形状を画像処理して得られる塗布面積は、低粘度の液状材料411の方が広くなり高粘度の液状材料412では狭くなる。なお、図3及び図5における網目の大きさは、大きいほど淡く(明るく)、小さいほど濃い(暗い)ことを示している。
【0035】
図4は、図3における線描画塗布の断面と撮像時の照明の反射量とを表している。図示するように、液状材料の塗布量が同じであっても粘度に依存して高さが異なり、撮像した画像の濃淡度合いが変化する。これは、次のような理由による。
【0036】
低粘度の液状材料411(図4[1])では、水平方向に広がり易いため高さH1が低くなることにより、勾配が緩くなって塗布部分の反射光量が高粘度の液状材料412(図4[2])に比べて多くなる(すなわち明るくなる)。一方、高粘度の液状材料412(図では、水平方向に広がり難いため高さH2が高くなることにより、勾配が急になって塗布部分の反射光量が低粘度の液状材料411に比べて少なくなる(すなわち暗くなる)。なお、図4及び図5における矢印は、向きが光の方向を示し、長さが光の強さを示している。
【0037】
ダイボンダなどで使われるエポキシ系樹脂などの液状材料は、熱や紫外線などにより硬化するが、硬化の前後で体積変化が少ない。液状材料の粘性が変化しても、体積や質量が変化しなければ、塗布量は安定しているといえる。そのため、液状材料の粘性変化を考慮する場合とは、塗布面積を一定にしても塗布体積が一定であるとはいえないことを意味している。つまり、図3及び図4に示すように、同量の液状材料が塗布された状態であっても、粘度の違いにより塗布面積が変動する。更に塗布形状は接合物であるペレットのサイズに依存して描画形状が異なるため、ペレットサイズに占める塗布量の比率に比例的な相関があっても、塗布量と塗布面積とは比例的な相関になるとは限らない。このことと品種毎に液状材料が変更されることとを考慮すると、品種毎に適正塗布圧力の算出を行わなければならない。そこで、本実施形態では、撮像した画像から次の算出式(1)により適正塗布圧力を算出する。
【0038】
ΔP=α×ΔS+β ・・・(1)
【0039】
ΔP:現在塗布圧力からの補正量を示す。ΔPは、(設定すべき圧力)−(現在設定圧力)で表される。
【0040】
ΔS:適正塗布面積からの乖離を示す。ΔSは、(適正塗布面積)−(現在の塗布面積)で表される。ここで、適正塗布面積とは、予め調整により最適な塗布量となるように塗布条件を調整した際の塗布面積をいう。このときの塗布圧力を「適正塗布圧力」、同じく塗布量を「適正塗布量」という。
【0041】
α:主に粘性変化以外の塗布量変化に依存する係数であり、例えばペレットサイズ、塗布描画形状、残量変化等に依存する係数である。αは、粘性変化が生じても適正塗布量を維持するための塗布圧力変化量、又は、適正塗布圧力に対する所定圧力間(±5kPaや±20kPa)、における塗布面積変動量の比で表される。例えば、適正塗布圧力が20kPaで所定圧力が±5kPaとした場合、α=(25kPaで塗布して測定した塗布面積)÷(15kPaで塗布して測定した塗布面積)のように表すことができる。
【0042】
β:主に粘性に依存して算出される値であり、図4に示す塗布部断面の面積勾配(ここでは「断面積勾配」と呼ぶ。)により算出される値であって、粘性変化による高さと塗布面積の変化度合及び撮像により得られた画像の濃淡度合いに依存して算出する値である。
【0043】
βは、粘性変化に応じて、同一形状かつ同量の液状材料を塗布した際の塗布面積変化又は面積変化率と、濃淡変化又は濃淡変化率の割合であるが、これを測定するためには粘性変化具合を時系列に把握しなければならず手間が掛かり生産現場では受け入れられない。そこで、液状材料の表面張力や比重などが分かる場合には、塗布時の線幅と体積から断面の勾配曲線を算出して、照明の反射角度とカメラの撮像面とのなす角から濃淡の変化度合いを算出すればよい。また、粘性変化が生じない、又は影響がない短時間において、塗布速度を一定にしたまま塗布高さを微少に変更して塗布することで、塗布量がほぼ一定で塗布面積と塗布高さの違う塗布形状を再現できるため、断面積勾配を塗布面積変化又は面積変化率と濃淡変化又は濃淡変化率との割合として算出してもよい。
【0044】
上述の説明から塗布量変化に伴う演算について考える。例えば粘性変化を伴わず、塗布ノズルの詰まりや残量変化による水頭差の影響などに起因する塗布量が変化し、これによって塗布量が減少した場合について考える。この場合は、粘性変化がないため、同一塗布条件では高さが変動せずに液状材料の水平に広がる力に変化がないため、塗布面積は小さくなる。つまり、ΔSが変動するものの断面積勾配は変化しないため、α×ΔSは塗布圧力補正量に影響を与えるが、βの値は0に近い値となって、結果的にα×ΔSが塗布圧力補正量を支配的に決定する。
【0045】
逆に、粘性が上昇する変化が生じたにもかかわらず、塗布ノズルの詰まりが取れた等の理由が重なり、塗布量が一定となった場合(図4)について考える。この場合は、液状材料の水平方向に広がる力が粘度上昇により弱くなるため、面積が減少して高さが上昇する。このとき、測定される塗布面積が減少するため、α×ΔSは塗布圧力を上昇するように作用する。一方、塗布部分の断面積勾配が急になることから、画像濃淡変化が生じてβは塗布圧力を下降させるように作用する。その結果、塗布量に変化がない場合は、α×ΔSとβとが相殺され塗布圧力の補正は0となる。
【0046】
このため、一般的に生じる粘性上昇の場合を考えると、塗布量は減少するが塗布断面における高さに変化はなく、液状材料の水平方向の広がる力が減少するため、塗布断面は小さくなり測定される塗布面積は小さくなる。したがって、α×ΔSは塗布圧力を上昇するように作用する。一方、βに関しても、粘性変化前と比べて高さが同じで断面積が小さくなることから、断面積勾配が大きくなるので、塗布圧力を上昇するように作用する。
【0047】
以上により、粘性変化に伴う塗布量変化において、水平方向に広がる力の変化に起因する塗布面積変化量だけでなく、塗布量を体積として捕らえるため断面積勾配を用いることによって高精度に塗布量の変化を捕らえることが可能であり、塗布量を安定化するための補正量を適切に算出することができる。
【0048】
こうして、算出式(1)に示したα,ΔS,βを品種毎のパラメータとして持ち、適時カメラ21により塗布状態を撮像して、コントローラ22により画像処理及び現在塗布圧力からの補正量であるΔPの算出を行い、ディスペンサ33に対して塗布圧力をΔPだけ塗布圧力を補正する指示を出すことで、液状材料の残量変化や経時的粘性変化に適応した塗布量の安定化を実現することが可能となる。
【0049】
次に、本実施形態の効果について説明する。第一の効果として、エポキシ系樹脂などの液状材料塗布において、残量変化や経時的粘性変化に依存せず、適正な塗布量を安定して確保することができるため、ダイボンダやマウンタなど樹脂系液状材料の塗布量のバラツキを抑制し、品質を向上することができる。第二の効果として、液状材料塗布において、機構が複雑で高価な機械式塗布方式を使用せず、機構が単純で機械式より安価に構成できるエアー式を用いるため、導入コストを抑制することができる。第三の効果として、エアー式を用いることで単純な機構であるため、液状材料の変更や定期的交換やメンテナンスなどの工数を削減し、生産コストを抑制することができる。
【0050】
次に、本実施形態の塗布装置20における他の動作例について説明する。
【0051】
前述の例においては、塗布部分の面積変化による塗布圧力補正と、塗布面積と濃淡度合とから算出される断面勾配による塗布圧力補正とにより、塗布量の高精度安定化を図った。しかし、塗布形状全体の面積ではなく、1つ以上の所定の塗布形状の断面として捉えた線幅を用いてもよい。本例では、前述の例と同じ構成において、他の塗布圧力補正演算方法を図5を用いて説明する。
【0052】
図5は、粘性変化により生じる低粘度の液状材料と高粘度の液状材料とを同量塗布した状態における、予め指定された所定部分の線塗布描画について撮像した画像とその断面とを表している。この場合、塗布量が同じであるため両者の断面積は一定である。低粘度の液状材料411(図5[1])は、高粘度の液状材料412(図5[2])に比べて、水平方向に広がる力が大きいため、線幅L1は大きいが高さH1が低くなり、撮像時の照明からの反射は一様であるため前述の例で説明した断面積勾配も小さい。一方、高粘度の液状材料412は、低粘度の液状材料411に比べて、水平方向に広がる力が小さいため、線幅L2は小さいが高さH2は高くなり、撮像時の照明からの反射は変化が激しくなり断面積勾配は大きい。このため、本例では、撮像した画像から次の算出式(2)により適正塗布圧力を算出する。
【0053】
ΔP=α×ΔL+β ・・・(2)
【0054】
ΔP:前述の例と同じ値であって、現在塗布圧力からの補正量を示す。ΔPは、(設定すべき圧力)−(現在設定圧力)で表される。
【0055】
ΔL:適正塗布幅からの乖離を示す。ΔLは、(適正塗布幅)−(現在の塗布幅)で表される。ここで、塗布幅とは、所定部分の線塗布描画の断面における底辺の長さをいう。適正塗布幅とは、予め調整により最適な塗布量となるように塗布条件を調整した際の塗布幅をいう。
【0056】
α:前述の例と同様の値であって、主に粘性変化以外の塗布量変化に依存する係数であり、例えばペレットサイズや塗布描画形状及び残量変化等に依存する係数である。αは、粘性変化が生じても適正塗布量を維持するための塗布圧力変化量、又は、適正塗布圧力に対する所定圧力間(±5kPaや±20kPa)、における塗布幅変動量の比で表される。例えば、適正塗布圧力が20kPaで所定圧力が±5kPaとした場合、α=(25kPaで塗布して測定した塗布幅)÷(15kPaで塗布して測定した塗布幅)のように表すことができる。
【0057】
β:前述の例と同様の値であって、主に粘性に依存して算出される値であり、図5に示す塗布部断面の面積勾配(ここでは「断面積勾配」と呼ぶ。)により算出され、粘性変化による高さと塗布幅の変化度合及び撮像により得られた画像の濃淡度合いに依存して算出される値である。
【0058】
βは、粘性変化に応じて、同一形状かつ同量の液状材料を塗布した際の塗布幅変化又は塗布幅変化率と、濃淡変化又は濃淡変化率の割合であるが、これを測定するためには粘性変化具合を時系列に把握しなければならず手間が掛かり生産現場では受け入れられない。そこで、液状材料の表面張力や比重などが分かる場合には、塗布時の線幅と体積から断面の勾配曲線を算出して、照明の反射角度とカメラの撮像面とのなす角から濃淡の変化度合いを算出すればよい。また、粘性変化が生じない、又は影響がない短時間において、塗布速度を一定にしたまま塗布高さを微少に変更して塗布することで、塗布量がほぼ一定で塗布幅と塗布高さの違う塗布形状を再現できるため、断面積勾配を塗布幅変化又は塗布幅変化率と濃淡変化又は濃淡変化率との割合として算出してもよい。
【0059】
ここで、所定部分は、一箇所でも良いが、特に高粘度においては線塗布描画における線幅が安定せず塗布幅が変動することがあるため、複数の点を用いることが好ましい。この複数点における総和や平均や分散に応じた重み付けなどの統計的処理を行う方が、精度は高まる。図6では、液状材料41の×字の線塗布描画における点線で示した四つの交点41a,41b,41c,41dを、複数の所定部分として示す。この例のように、中心から等距離であってもよいし、ランダムであってもよいが、線描画に対して垂直な断面での塗布幅を算出する。
【0060】
上述の説明から塗布量変化に伴う演算について考える。例えば粘性変化を伴わず、塗布ノズルの詰まりや残量変化による水頭差の影響などに起因する塗布量が変化して、塗布量が減少した場合について考える。この場合、粘性変化がないことにより、同一塗布条件では高さが変動せずに、液状材料の水平に広がる力に変化がないため、塗布幅は狭くなる。つまり、ΔLが変動するものの断面積勾配は変化しないため、α×ΔLは塗布圧力補正量に影響を与える。一方、βの値は0に近い値となるので、結果的にα×ΔLが塗布圧力補正量を支配的に決定する。
【0061】
逆に、粘性が上昇する変化が生じたにもかかわらず、塗布ノズルの詰まりが取れた等の理由が重なり、塗布量が一定となった場合(図5)を考える。この場合は、液状材料の水平方向に広がる力が粘度上昇により弱くなるため、塗布幅が減少して高さが上昇する。このとき、測定される塗布幅が減少するため、α×ΔLは塗布圧力を上昇するように作用する。一方、塗布部分の断面積勾配が急になることから、画像濃淡変化が生じて、βは塗布圧力を下降させるように作用する。そのため、塗布量に変化がない場合は、α×ΔLとβとが相殺され、塗布圧力の補正は0となる。
【0062】
一般的に生じる粘性上昇の場合を考える。この場合は、塗布量が減少するものの塗布断面における高さに変化はなく、液状材料の水平方向の広がる力が減少するため、塗布断面は小さくなり測定される塗布幅は小さくなる。したがって、α×ΔLは塗布圧力を上昇するように作用する。一方、βに関しても、粘性変化前と比べて高さが同じで断面積が小さくなることから、断面積勾配が大きくなり塗布圧力を上昇するように作用する。
【0063】
以上により、粘性変化に伴う塗布量変化において、水平方向に広がる力の変化に起因する塗布幅変化量だけでなく、塗布量を体積として捕らえるため断面積勾配を用いることによって高精度に塗布量の変化を捕らえることが可能であり、塗布量を安定化するための補正量を適切に算出することができる。
【0064】
こうして、算出式(2)に示したα,ΔL,βを品種毎のパラメータとして持ち、適時カメラ21により塗布状態を撮像して、コントローラ22により画像処理及び現在塗布圧力からの補正量であるΔPの算出を行い、ディスペンサ33に対して塗布圧力をΔPだけ塗布圧力を補正することで、液状材料の残量変化や経時的粘性変化に適応した塗布量の安定化を実現することが可能となる。
【0065】
以上、上記実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細については、当業者が理解し得るさまざまな変更を加えることができる。例えば、上記算出式(1)(2)は例示であって、もちろん他の算出式を用いてもよい。
【0066】
上記の実施形態の一部又は全部は以下の付記のようにも記載され得るが、本発明は以下の構成に限定されるものではない。
【0067】
(付記1)電子部品等の搭載や接合等を行う際、接着・接合に液状材料を用いて予め液状材料を塗布する工程において、
容器に収容された液状材料と、
前記容器を所定の圧力で加圧することにより前記液状材料を塗布する塗布手段と、
前記液状材料を所定の形状に塗布するための駆動手段と、
前記液状材料の塗布状態を撮像する撮像手段と、
前記駆動手段を制御するとともに前記撮像手段から得られた画像を処理して最適な塗布圧力を算出して前記塗布手段に適切な圧力を指定するコントローラと、
を有することを特徴とする塗布装置。
【0068】
(付記2)付記1記載の塗布装置において、
前記液状材料は、液体でゲル状の流体であって、当該液状材料の残量や当該液状材料自体の経時的粘性変化等の影響を受けて、同一塗布条件であっても塗布量がばらつく、
ことを特徴とする塗布装置
【0069】
(付記3)付記1又は2記載の塗布装置において、
前記画像処理は、前記液状材料の塗布形状から得られた塗布部分の面積及び濃淡情報を用いて演算処理することによって塗布量を算出することを特徴とし、塗布量を高精度かつ安定的に保つために塗布圧力を算出する、
ことを特徴とする塗布装置。
【0070】
(付記4)付記1乃至3のいずれか一つに記載の塗布装置において、
前記画像処理は、前記液状材料の塗布形状から得られた1つ以上の所定部分における塗布幅及び濃淡情報を用いて演算処理することによって塗布量を算出することを特徴とし、塗布量を高精度かつ安定的に保つために塗布圧力を算出する、
ことを特徴とする塗布装置。
【0071】
(付記11)被塗布部材に塗布された液状材料の塗布形状及び濃淡分布を含む平面画像データを入力する平面画像入力部と、
この平面画像入力部から入力された前記平面画像データに含まれる前記塗布形状に基づき、前記液状材料の平面方向の情報を求める平面方向測定部と、
前記平面画像入力部から入力された前記平面画像データに含まれる前記濃淡分布に基づき、前記液状材料の高さ方向の情報を求める高さ方向測定部と、
前記平面方向測定部で求められた前記平面方向の情報と前記高さ方向測定部で求められた前記高さ方向の情報とから前記液状材料の塗布量を算出し、その結果を塗布量データとして出力する塗布量出力部と、
を備えた塗布量算出装置。
【0072】
(付記12)付記11記載の塗布量算出装置において、
前記高さ方向測定部は、前記塗布形状の周辺が濃くなり中央が淡くなる場合に、濃い部分ほど前記液状材料の高さが低く淡い部分ほど前記液状材料の高さが高いと判断して、前記液状材料の高さ方向の情報を求める、
塗布量算出装置。
【0073】
(付記13)付記12記載の塗布量算出装置において、
前記高さ方向測定部は、前記塗布形状の全体に占める前記淡い部分の割合が少ないほど前記液状材料の頂上の高さが高いと判断する、
塗布量算出装置。
【0074】
(付記14)付記11乃至13のいずれか一つに記載の塗布量算出装置において、
前記平面方向測定部は、前記液状材料の平面方向の情報として、前記塗布形状の面積を求める、
塗布量算出装置。
【0075】
(付記15)付記11乃至13のいずれか一つに記載の塗布量算出装置において、
前記平面方向測定部は、前記液状材料の平面方向の情報として、前記塗布形状の幅を求める、
塗布量算出装置。
【0076】
(付記16)付記11乃至15のいずれか一つに記載の塗布量算出装置と、
容器に収容された液状材料に圧力を加えることにより、前記液状材料を前記容器から吐出させて被塗布部材に塗布する塗布手段と、
前記被塗布部材に塗布された前記液状材料の前記平面画像データを取り込んで前記塗布量算出装置へ出力する撮像手段と、
前記液状材料に加える圧力を決定して前記塗布手段へ指示する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記塗布量算出装置から出力された前記塗布量データに基づいて最適な前記圧力を決定して前記塗布手段へ指示する機能を有する、
塗布装置。
【0077】
(付記17)被塗布部材に塗布された液状材料の塗布形状及び濃淡分布を含む平面画像データを入力し、
入力された前記平面画像データに含まれる前記塗布形状に基づき、前記液状材料の平面方向の情報を求め、
入力された前記平面画像データに含まれる前記濃淡分布に基づき、前記液状材料の高さ方向の情報を求め、
求められた前記平面方向の情報と求められた前記高さ方向の情報とから前記液状材料の塗布量を算出する、
塗布量算出方法。
【0078】
(付記18)付記17記載の塗布量算出方法において、
前記塗布形状の周辺が濃くなり中央が淡くなる場合に、濃い部分ほど前記液状材料の高さが低く淡い部分ほど前記液状材料の高さが高いと判断して、前記液状材料の高さ方向の情報を求める、
塗布量算出方法。
【0079】
(付記19)付記18記載の塗布量算出方法において、
前記塗布形状の全体に占める前記淡い部分の割合が少ないほど前記液状材料の頂上の高さが高いと判断する、
塗布量算出方法。
【0080】
(付記20)付記17乃至19のいずれか一つに記載の塗布量算出方法において、
前記液状材料の平面方向の情報として、前記塗布形状の面積を求める、
塗布量算出方法。
【0081】
(付記21)付記17乃至19のいずれか一つに記載の塗布量算出方法において、
前記液状材料の平面方向の情報として、前記塗布形状の幅を求める、
塗布量算出方法。
【0082】
(付記22)被塗布部材に塗布された液状材料の塗布形状及び濃淡分布を含む平面画像データを入力する平面画像入力手順と、
この平面画像入力手順で入力された前記平面画像データに含まれる前記塗布形状に基づき、前記液状材料の平面方向の情報を求める平面方向測定手順と、
前記平面画像入力手順で入力された前記平面画像データに含まれる前記濃淡分布に基づき、前記液状材料の高さ方向の情報を求める高さ方向測定手順と、
前記平面方向測定手順で求められた前記平面方向の情報と前記高さ方向測定手順で求められた前記高さ方向の情報とから前記液状材料の塗布量を算出し、その結果を塗布量データとして出力する塗布量出力手順と、
をコンピュータに実行させるための塗布量算出プログラム。
【0083】
(付記23)付記22記載の塗布量算出プログラムにおいて、
前記高さ方向測定手順では、前記塗布形状の周辺が濃くなり中央が淡くなる場合に、濃い部分ほど前記液状材料の高さが低く淡い部分ほど前記液状材料の高さが高いと判断して、前記液状材料の高さ方向の情報を求める、
塗布量算出プログラム。
【0084】
(付記24)付記13記載の塗布量算出プログラムにおいて、
前記高さ方向測定手順では、前記塗布形状の全体に占める前記淡い部分の割合が少ないほど前記液状材料の頂上の高さが高いと判断する、
塗布量算出プログラム。
【0085】
(付記25)付記22乃至24のいずれか一つに記載の塗布量算出プログラムにおいて、
前記平面方向測定手順では、前記液状材料の平面方向の情報として、前記塗布形状の面積を求める、
塗布量算出プログラム。
【0086】
(付記26)付記22乃至24のいずれか一つに記載の塗布量算出プログラムにおいて、
前記平面方向測定手順では、前記液状材料の平面方向の情報として、前記塗布形状の幅を求める、
塗布量算出プログラム。
【0087】
(付記31)被塗布部材に塗布された液状材料の塗布形状及び濃淡分布を含む平面画像データを入力する平面画像入力部と、
この平面画像入力部から入力された前記平面画像データに含まれる前記塗布形状に基づき、前記液状材料の平面方向の情報を求める平面方向測定部と、
前記平面画像入力部から入力された前記平面画像データに含まれる前記濃淡分布に基づき、前記液状材料の高さ方向の情報を求める高さ方向測定部と、
前記被塗布部材に前記液状材料を塗布するのに要した塗布圧力のデータを入力する塗布圧力データ入力部と、
この塗布圧力データ入力部から入力された塗布圧力のデータと前記平面方向測定部で求められた前記平面方向の情報と前記高さ方向測定部で求められた前記高さ方向の情報とから前記塗布圧力の補正値を算出し、その結果を塗布圧力補正データとして出力する塗布圧力補正データ出力部と、
を備えた塗布圧力制御装置。
【0088】
(付記32)付記31記載の塗布圧力制御装置において、
前記塗布圧力補正データ出力部は、前記平面方向の情報と前記高さ方向の情報とから前記液体材料の塗布量を算出し、この塗布量が適正値よりも大きければ前記塗布圧力を減らす補正値を算出し、前記塗布量が前記適正値よりも小さければ前記塗布圧力を増やす補正値を算出する、
塗布圧力制御装置。
【0089】
(付記33)付記31又は32記載の塗布圧力制御装置において、
前記高さ方向測定部は、前記塗布形状の周辺が濃くなり中央が淡くなる場合に、濃い部分ほど前記液状材料の高さが低く淡い部分ほど前記液状材料の高さが高いと判断して、前記液状材料の高さ方向の情報を求める、
塗布圧力制御装置。
【0090】
(付記34)付記31乃至33のいずれか一項記載の塗布圧力制御装置において、
前記高さ方向測定部は、前記塗布形状の全体に占める前記淡い部分の割合が少ないほど前記液状材料の頂上の高さが高いと判断する、
塗布圧力制御装置。
【0091】
(付記35)付記31乃至34のいずれか一項記載の塗布圧力制御装置において、
前記平面方向測定部は、前記液状材料の平面方向の情報として、前記塗布形状の面積を求める、
塗布圧力制御装置。
【0092】
(付記36)付記31乃至35のいずれか一項記載の塗布圧力制御装置において、
前記平面方向測定部は、前記液状材料の平面方向の情報として、前記塗布形状の幅を求める、
塗布圧力制御装置。
【0093】
(付記37)付記31乃至36のいずれか一項記載の塗布圧力制御装置と、
容器に収容された液状材料に塗布圧力を加えることにより、前記液状材料を前記容器から吐出させて被塗布部材に塗布する塗布手段と、
前記被塗布部材に塗布された前記液状材料の前記平面画像データを取り込んで前記塗布圧力制御装置へ出力する撮像手段と、
前記液状材料に加える前記塗布圧力を決定して前記塗布手段へ指示する制御手段とを備え、
前記制御手段は、現在の前記塗布圧力のデータを前記塗布圧力制御装置へ出力するとともに、前記塗布圧力制御装置から出力された前記塗布圧力補正データに基づいて次の前記塗布圧力を決定して前記塗布手段へ指示する機能を有する、
塗布装置。
【0094】
(付記38)被塗布部材に塗布された液状材料の塗布形状及び濃淡分布を含む平面画像データを入力し、
入力された前記平面画像データに含まれる前記塗布形状に基づき、前記液状材料の平面方向の情報を求め、
入力された前記平面画像データに含まれる前記濃淡分布に基づき、前記液状材料の高さ方向の情報を求め、
前記被塗布部材に前記液状材料を塗布するのに要した塗布圧力のデータを入力し、
入力された前記塗布圧力のデータと求められた前記平面方向の情報と求められた前記高さ方向の情報とから前記塗布圧力の補正値を算出する、
塗布圧力制御方法。
【0095】
(付記39)付記38記載の塗布圧力制御方法において、
前記塗布圧力の補正値を算出する際に、前記平面方向の情報と前記高さ方向の情報とから前記液体材料の塗布量を算出し、この塗布量が適正値よりも大きければ前記塗布圧力を減らす補正値を算出し、前記塗布量が前記適正値よりも小さければ前記塗布圧力を増やす補正値を算出する、
塗布圧力制御方法。
【0096】
(付記40)被塗布部材に塗布された液状材料の塗布形状及び濃淡分布を含む平面画像データを入力する平面画像入力手順と、
この平面画像入力手順で入力された前記平面画像データに含まれる前記塗布形状に基づき、前記液状材料の平面方向の情報を求める平面方向測定手順と、
前記平面画像入力手順で入力された前記平面画像データに含まれる前記濃淡分布に基づき、前記液状材料の高さ方向の情報を求める高さ方向測定手順と、
前記被塗布部材に前記液状材料を塗布するのに要した塗布圧力のデータを入力する塗布圧力データ入力手順と、
この塗布圧力データ入力手順で入力された塗布圧力のデータと前記平面方向測定手順で求められた前記平面方向の情報と前記高さ方向測定手順で求められた前記高さ方向の情報とから前記塗布圧力の補正値を算出し、その結果を塗布圧力補正データとして出力する塗布圧力補正データ出力手順と、
をコンピュータに実行させるための塗布圧力補正制御プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明の利用例として、ダイボンダやマウンタなどの接合・搭載装置において、接合のために液状材料の塗布を行なう装置等が挙げられる。
【符号の説明】
【0098】
10 塗布圧力制御装置
11 平面画像入力部
12 平面方向測定部
13 高さ方向測定部
14 塗布圧力データ入力部
15 塗布圧力補正データ出力部
a 平面画像データ
a1 塗布形状
a2 濃淡分布
b1 液状材料の平面方向の情報
b2 液状材料の高さ方向の情報
c 塗布圧力のデータ
d 塗布圧力補正データ
20 塗布装置
21 カメラ(撮像手段)
22 コントローラ(制御手段)
30 塗布手段
31 シリンジ(容器)
32 ノズル
33 ディスペンサ
34 エアー配管
41,41’,411,412 液状材料
41a,41b,41c,41d 交点
42 リードフレーム(被塗布部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被塗布部材に塗布された液状材料の塗布形状及び濃淡分布を含む平面画像データを入力する平面画像入力部と、
この平面画像入力部から入力された前記平面画像データに含まれる前記塗布形状に基づき、前記液状材料の平面方向の情報を求める平面方向測定部と、
前記平面画像入力部から入力された前記平面画像データに含まれる前記濃淡分布に基づき、前記液状材料の高さ方向の情報を求める高さ方向測定部と、
前記被塗布部材に前記液状材料を塗布するのに要した塗布圧力のデータを入力する塗布圧力データ入力部と、
この塗布圧力データ入力部から入力された塗布圧力のデータと前記平面方向測定部で求められた前記平面方向の情報と前記高さ方向測定部で求められた前記高さ方向の情報とから前記塗布圧力の補正値を算出し、その結果を塗布圧力補正データとして出力する塗布圧力補正データ出力部と、
を備えた塗布圧力制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の塗布圧力制御装置において、
前記塗布圧力補正データ出力部は、前記平面方向の情報と前記高さ方向の情報とから前記液体材料の塗布量を算出し、この塗布量が適正値よりも大きければ前記塗布圧力を減らす補正値を算出し、前記塗布量が前記適正値よりも小さければ前記塗布圧力を増やす補正値を算出する、
塗布圧力制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の塗布圧力制御装置において、
前記高さ方向測定部は、前記塗布形状の周辺が濃くなり中央が淡くなる場合に、濃い部分ほど前記液状材料の高さが低く淡い部分ほど前記液状材料の高さが高いと判断して、前記液状材料の高さ方向の情報を求める、
塗布圧力制御装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項記載の塗布圧力制御装置において、
前記高さ方向測定部は、前記塗布形状の全体に占める前記淡い部分の割合が少ないほど前記液状材料の頂上の高さが高いと判断する、
塗布圧力制御装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項記載の塗布圧力制御装置において、
前記平面方向測定部は、前記液状材料の平面方向の情報として、前記塗布形状の面積を求める、
塗布圧力制御装置。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか一項記載の塗布圧力制御装置において、
前記平面方向測定部は、前記液状材料の平面方向の情報として、前記塗布形状の線幅を求める、
塗布圧力制御装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項記載の塗布圧力制御装置と、
容器に収容された液状材料に塗布圧力を加えることにより、前記液状材料を前記容器から吐出させて被塗布部材に塗布する塗布手段と、
前記被塗布部材に塗布された前記液状材料の前記平面画像データを取り込んで前記塗布圧力制御装置へ出力する撮像手段と、
前記液状材料に加える前記塗布圧力を決定して前記塗布手段へ指示する制御手段とを備え、
前記制御手段は、現在の前記塗布圧力のデータを前記塗布圧力制御装置へ出力するとともに、前記塗布圧力制御装置から出力された前記塗布圧力補正データに基づいて次の前記塗布圧力を決定して前記塗布手段へ指示する機能を有する、
塗布装置。
【請求項8】
被塗布部材に塗布された液状材料の塗布形状及び濃淡分布を含む平面画像データを入力し、
入力された前記平面画像データに含まれる前記塗布形状に基づき、前記液状材料の平面方向の情報を求め、
入力された前記平面画像データに含まれる前記濃淡分布に基づき、前記液状材料の高さ方向の情報を求め、
前記被塗布部材に前記液状材料を塗布するのに要した塗布圧力のデータを入力し、
入力された前記塗布圧力のデータと求められた前記平面方向の情報と求められた前記高さ方向の情報とから前記塗布圧力の補正値を算出する、
塗布圧力制御方法。
【請求項9】
請求項8記載の塗布圧力制御方法において、
前記塗布圧力の補正値を算出する際に、前記平面方向の情報と前記高さ方向の情報とから前記液体材料の塗布量を算出し、この塗布量が適正値よりも大きければ前記塗布圧力を減らす補正値を算出し、前記塗布量が前記適正値よりも小さければ前記塗布圧力を増やす補正値を算出する、
塗布圧力制御方法。
【請求項10】
被塗布部材に塗布された液状材料の塗布形状及び濃淡分布を含む平面画像データを入力する平面画像入力手順と、
この平面画像入力手順で入力された前記平面画像データに含まれる前記塗布形状に基づき、前記液状材料の平面方向の情報を求める平面方向測定手順と、
前記平面画像入力手順で入力された前記平面画像データに含まれる前記濃淡分布に基づき、前記液状材料の高さ方向の情報を求める高さ方向測定手順と、
前記被塗布部材に前記液状材料を塗布するのに要した塗布圧力のデータを入力する塗布圧力データ入力手順と、
この塗布圧力データ入力手順で入力された塗布圧力のデータと前記平面方向測定手順で求められた前記平面方向の情報と前記高さ方向測定手順で求められた前記高さ方向の情報とから前記塗布圧力の補正値を算出し、その結果を塗布圧力補正データとして出力する塗布圧力補正データ出力手順と、
をコンピュータに実行させるための塗布圧力制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−212526(P2011−212526A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80932(P2010−80932)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】