説明

塗布装置および塗布膜形成システム

【課題】基材に対して良好に塗布膜を塗布することができる塗布装置、および、この塗布装置を組み込んだ塗布膜形成システムを提供する。
【解決手段】ノズル11の第1回転角θ1は、膜厚測定部19により取得された塗布済膜の形状に応じて演算される。そして、塗布開始期間におけるノズル11の姿勢が第1回転角演算部93cにより演算された第1回転角θ1となるように、第1駆動制御部93aがノズル11を揺動させた状態で、塗布膜7が基材5上に形成される。これにより、塗布開始期間における塗布膜7は、「かすれ」や「盛り上がり」等の発生が抑制され、均一な膜厚とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学電池の電極材料として用いられる活物質の塗布液を基材に塗布することによって、基材上に塗布膜を形成する塗布装置、および、この塗布装置を組み込んだ塗布膜形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、基材として用いられる金属箔の上に、比較的高粘度の電極材料を塗布することによって、リチウムイオン二次電池などの化学電池を製造する方法が知られている(例えば、特許文献1および2)。
【0003】
例えば、特許文献1には、平面状の基板表面に塗布液を塗布する塗布装置に関する発明が記載されている。そして、特許文献1には、塗布終了期間において塗布膜が盛り上がる現象を抑制するため、塗布終了期間に、基板に対してノズルを引き上げる技術が、開示されている。また、特許文献2には、塗布部の終端部でノズルを揺動させることによって、基材からノズルを離隔させる技術が、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−090145号公報
【特許文献2】特開平11−244761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の塗布装置は、基板に対するノズルの姿勢を変更することができず、基板に対する塗布液の吐出方向は常に一定である。その結果、場合によっては、塗布の開始位置および終了位置付近において、塗布膜に「かすれ」や「盛り上がり」等の問題が発生する。
【0006】
また、特許文献2の塗布装置は、上述のように、ノズルを基材から離隔させるための技術である。すなわち、基材に対して塗布液を吐出するノズルの塗布位置において、基材に対するノズルの姿勢は、調整できない。その結果、特許文献2の塗布装置についても、上述の「かすれ」や「盛り上がり」等の問題が発生する。
【0007】
そして、特許文献1および2の塗布装置では、ノズルが移動または回転すると、ノズルが基板または基材から大きく離隔する。その結果、塗布膜を形成する処理以外に、塗布位置と離隔位置との間でノズルを移動させるという搬送処理がさらに必要となり、電極の製造コストが増大するという問題が発生する。
【0008】
そこで、本発明では、基材に対して良好に塗布膜を塗布することができる塗布装置、および、この塗布装置を組み込んだ塗布膜形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、帯状とされた基材に対して断続的に塗布液を塗布しつつ、搬送経路に沿って前記基材を移動させることによって、複数の塗布膜を前記基材上に連なって形成する塗布装置において、前記基材を押圧支持しつつ、前記搬送経路に沿って前記基材を走行させるバックアップローラと、前記バックアップローラに押圧支持された前記基材に向けて前記塗布液を吐出するノズルと、前記バックアップローラに対して前記ノズルを移動または回転させる駆動部と、前記駆動部により前記ノズルを移動または回転させることによって、前記バックアップローラの第1回転軸と平行であり、かつ、前記ノズルの先端付近に位置する軸心を中心に前記ノズルを揺動させる第1駆動制御部と、前記基材に塗布された前記複数の塗布膜のうちの第1塗布膜の形状を取得する取得部と、前記ノズルが前記第1駆動制御部により揺動させられる第1回転角を、塗布開始期間における前記第1塗布膜の形状に応じて演算する第1回転角演算部とを備え、塗布開始期間における前記ノズルの姿勢が、前記第1回転角演算部により演算された前記第1回転角となるように、前記第1駆動制御部が、前記ノズルを揺動させた状態で、前記複数の塗布膜のうちの前記第1塗布膜に後続する第2塗布膜が、前記基材上に形成されることを特徴とする。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の塗布装置において、前記ノズルが前記第1駆動制御部により揺動させられる第2回転角を、塗布終了期間における前記第1塗布膜の形状に応じて演算する第2回転角演算部、をさらに備え、塗布開始期間における前記ノズルの姿勢が、前記第1回転角演算部により求められた第1回転角となるように、かつ塗布終了期間における前記ノズルの姿勢が、前記第2回転角演算部により求められた前記第2回転角となるように、前記第1駆動制御部が、前記ノズルを揺動させた状態で、前記第2塗布膜が、前記基材上に形成されることを特徴とする。
【0011】
また、請求項3の発明は、請求項1に記載の塗布装置において、前記駆動部により前記ノズルを移動または回転させることによって、前記搬送経路における前記基材の搬送方向と逆方向に、前記ノズルの先端を移動させる第2駆動制御部、をさらに備えることを特徴とする。
【0012】
また、請求項4の発明は、請求項1に記載の塗布装置において、塗布開始から塗布終了するまでの期間におけるノズルの姿勢が、前記第1回転角演算部により演算された前記第1回転角となるように、前記第1駆動制御部が、前記ノズルを揺動させた状態で、前記第2塗布膜が、前記基材上に形成されることを特徴とする。
【0013】
また、請求項5の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の塗布装置において、前記駆動部は、前記第1回転軸と平行な第2回転軸を中心に、前記ノズルを揺動させる揺動部と、前記第2回転軸と垂直な第1移動軸に沿って、前記ノズルを移動させる第1移動部と、前記第2回転軸および前記第1移動軸と垂直な第1移動軸に沿って、前記ノズルを移動させる第2移動部とを有することを特徴とする。
【0014】
また、請求項6の発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の塗布装置と、前記塗布装置で塗布された前記基材上の前記塗布液を乾燥させる乾燥装置とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1から請求項6に記載の発明によれば、ノズルの第1回転角は、取得部により取得された第1塗布膜の形状に応じて演算される。そして、塗布開始期間におけるノズルの姿勢が、第1回転角演算部により演算された第1回転角となるように、第1駆動制御部が、ノズルを揺動させた状態で、第2塗布膜が、基材上に形成される。そのため、塗布開始期間における第2塗布膜は、「かすれ」や「盛り上がり」等の発生が抑制され、均一な膜厚とされる。
【0016】
特に、請求項2に記載の発明において、第2塗布膜が形成される場合、
(i) 塗布開始期間におけるノズルの姿勢が第1回転角とされた状態で、塗布液の吐出が開始でき、
(ii) 塗布終了期間におけるノズルの姿勢が第2回転角とされた状態で、塗布液の吐出が停止できる。そのため、塗布開始期間および塗布終了期間における第2塗布膜は、「かすれ」や「盛り上がり」等がなく、第2塗布膜の膜厚は、均一なものとなる。
【0017】
特に、請求項3に記載の発明によれば、
(i) 塗布開始期間には、ノズルの姿勢が第1回転角とされた状態で、塗布液の吐出が開始でき、
(ii) 塗布終了期間には、基材の搬送方向と逆方向にノズルの先端を移動させた状態で、塗布液の吐出が停止できる。そのため、塗布開始期間および塗布終了期間における第2塗布膜は、「かすれ」や「盛り上がり」等がなく、第2塗布膜の膜厚は、均一なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る塗布装置を組み込んだ塗布膜形成システムの全体構成の一例を示す正面図である。
【図2】塗布処理部の概略構成を示す正面図である。
【図3】基材に形成される塗布膜の形状の一例を示す図である。
【図4】基材に形成される塗布膜の形状の一例を示す図である。
【図5】塗布膜の先端部付近における膜形状の一例を示す正面図である。
【図6】塗布膜の後端部付近における膜形状の一例を示す正面図である。
【図7】塗布膜の後端部付近における膜形状の一例を示す正面図である。
【図8】ノズルおよびバックアップローラの位置関係の一例を示す正面図である。
【図9】ノズルおよびバックアップローラの位置関係の一例を示す正面図である。
【図10】ノズルおよびバックアップローラの位置関係の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
<1.塗布膜形成システムの構成>
図1は、本発明に係る塗布装置を組み込んだ塗布膜形成システム1の全体構成を示す図である。なお、図1および以降の各図には、方向関係を明確にするために、Z軸方向を鉛直方向とし、XY平面を水平面とするXYZ直交座標系が付されている。また、図1および以降の各図において、理解容易のため、必要に応じて、各部の寸法や数が誇張または簡略化して描かれている。
【0021】
塗布膜形成システム1は、基材5の上に活物質の塗布膜を形成するとともに、形成された塗布膜を乾燥させることによって、リチウムイオン二次電池の電極を製造する。図1に示すように、塗布膜形成システム1は、主として、塗布処理部10、予熱部60、乾燥部65、アニール部70、冷却部75、および搬送部80を備えている。また、塗布膜形成システム1は、電源等を収納する電装ボックス9を備えている。
【0022】
ここで、基材5は、リチウムイオン二次電池の集電体として機能する帯状の金属箔である。基材5の形状は、より具体的には、長尺のシート状とされている。また、基材5の幅および厚さは特に限定されるものではないが、基材5の幅は600mm〜700mmとすることができ、基材5の厚さは10μm〜20μmとすることができる。
【0023】
また、塗布膜形成システム1において、リチウムイオン二次電池の正極が製造される場合、基材5として例えばアルミニウム箔(Al)が使用できる。一方、負極が製造される場合、基材5として例えば銅箔(Cu)が使用できる。
【0024】
図1に示すように、帯状の基材5は、巻き出しローラ81から送り出されて巻き取りローラ82によって巻き取られることによって、塗布処理部10、予熱部60、乾燥部65、アニール部70、冷却部75の各部に、この順番で搬送される。搬送部80は、これら巻き出しローラ81および巻き取りローラ82と複数の補助ローラ83a〜83eとを備えて構成されており、基材5を矢印AR1方向(搬送方向)に沿って搬送する。なお、補助ローラ83a〜83eの個数および配置については、図1の例に限定されるものではなく、必要に応じて適宜に増減することができる。
【0025】
塗布処理部10は、電極材料として用いられる活物質の塗布液を基材5に塗布することによって、基材5上に塗布膜を形成する。塗布処理部10は、基材5の長手方向(矢印AR1方向)(以下、単に、「長手方向」とも称する)に沿った基材5の搬送経路8において、巻き出しローラ81より下流側であって、予熱部60の上流側に配置されている。なお、塗布処理部10の詳細な構成については、後述する。
【0026】
予熱部60は、塗布処理部10での塗布処理によって基材5の上に形成された電極材料の塗布膜を昇温し、一定時間の予熱を行う。また、乾燥部65は、主たる乾燥処理を行う処理部であり、予熱部60にて予熱された塗布膜に熱風を吹き付けて加熱して溶媒を乾燥させる。さらに、アニール部70は、塗布膜をより高温に加熱し、乾燥部65での乾燥処理で塗布膜中に発生した歪みおよび残留応力を除去する。冷却部75は、加熱された塗布膜に常温のドライエアを吹き付けることによって塗布膜を冷却する。
【0027】
このように、予熱部60、乾燥部65、アニール部70、および冷却部75は、塗布処理部10で塗布された基材5上の塗布液を乾燥させる乾燥装置として使用できる。なお、基材5の上に形成された塗布膜を乾燥させる乾燥装置としては、上記の4つの処理部を備えた構成に限定されるものではなく、塗布液の種類に応じて適宜のものとすることができる。例えば、乾燥装置は、予熱部60および乾燥部65のみによって構成されても良い。
【0028】
<2.塗布処理部の構成>
図2は、本発明に係る塗布装置である塗布処理部10の概略構成を示す図である。ここでは、図2を参照しつつ、塗布処理部10の構成を説明する。
【0029】
塗布処理部10は、帯状とされた基材5に対して断続的に塗布液を塗布しつつ、搬送経路8に沿って基材5を移動させることによって、複数の塗布膜6、7を基材5上に連なって形成する。図2に示すように、塗布処理部10は、主として、ノズル11と、バックアップローラ12と、駆動部15と、制御ユニット90と、を備えている。
【0030】
なお、基材5のように長手方向に延びる帯状シート体において、「主面」とは、基材5の長手方向および幅方向のそれぞれと平行な面を言うものとする。
【0031】
タンク50は、基材5に正極用または負極用の電極材料を供給するための供給源である。タンク50は、リチウムイオン二次電池の電極材料である活物質の溶液を、塗布液として貯留する。
【0032】
ここで、塗布膜形成システム1において正極が製造される場合、タンク50には、正極材料の塗布液として、例えば正極活物質であるコバルト酸リチウム(LiCoO2)と、導電助剤であるカーボン(C)と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)と、溶剤であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)と、の混合液が貯留される。
【0033】
正極活物質としては、コバルト酸リチウムに代えて、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMn24)、または燐酸鉄リチウム(LiFePO4)等も使用できるが、これらの物質に限定されるものではない。
【0034】
一方、塗布膜形成システム1において負極が製造される場合、タンク50には、負極材料の塗布液として、例えば負極活物質である黒鉛(グラファイト)と、結着剤であるPVDFと、溶剤であるNMPと、の混合液が貯留する。
【0035】
負極活物質としては、黒鉛に代えて、ハードカーボン、チタン酸リチウム(Li4Ti512)、シリコン合金、またはスズ合金等も使用できるが、これらの物質に限定されるものではない。
【0036】
また、正極材料および負極材料の双方において、結着剤としては、PVDFに代えてスチレン−ブタジエンゴム(SBR)等も用いられ、溶剤としては、NMPに代えて水(H2O)等も使用できる。さらに、結着剤としてSBRが、溶剤として水が、それぞれ用いられる場合、カルボキシメチルセルロース(CMC)が、増粘剤として併用できる。
【0037】
さらに、これら正極材料および負極材料の塗布液は、固体(微粒子)が分散されたスラリーである。これら塗布液の粘度は、いずれも1Pa・s(パスカル秒)以上であり、一般的にチクソトロピー性を有する。
【0038】
タンク50には、攪拌機53およびエア加圧ユニット54が付設されている。攪拌機53は、スクリュー53aを有しており、スクリュー53aは、タンク50内の塗布液に浸漬可能とされている。したがって、スクリュー53aが回転させられることによって、タンク50に貯留された塗布液が撹拌される。なお、塗布液の特性上、撹拌が必要とされない場合、攪拌機53およびスクリュー53aは、必須の要素ではない。
【0039】
エア加圧ユニット54は、高圧の空気をタンク50内の気相部分に送り込んで貯留されている塗布液の液面を加圧する。なお、ポンプ51のみで送液が可能であれば、エア加圧ユニット54は必須の要素ではない。
【0040】
タンク50とノズル11とは供給配管55によって連通接続されている。供給配管55としては、ステンレス管または樹脂管が使用できる。供給配管55の経路途中には、ポンプ51、閉止バルブ20、および流量計52が介挿されている。また、供給配管55の途中から分岐して循環配管56が設けられている。循環配管56の基端側は供給配管55の閉止バルブ20とポンプ51との間の位置に接続され、先端側はタンク50に接続されている。循環配管56には、循環バルブ57および流量調整バルブ58が介挿されている。
【0041】
ポンプ51は、供給配管55に設けられており、タンク50に貯留されている電極材料の塗布液を、ノズル11に向けて送り出す。流量計52は、供給配管55を流れる塗布液の流量を計測する。閉止バルブ20は、供給配管55の流路を開閉することによって、ノズル11への塗布液の供給を断続させる。なお、ポンプ51の駆動状況を監視すること、圧力計18の圧力値を監視すること、または、膜厚測定部19による膜厚を監視すること、によっても、供給配管55を流れる塗布液の流量が、演算できる。したがって、流量計52は、必須の要素ではない。
【0042】
循環配管56に設けられている循環バルブ57は、循環配管56の流路を開閉する。閉止バルブ20が供給配管55を閉止した状態で、循環バルブ57が開かれることによって、供給配管55を流れる塗布液は、循環配管56に流れ込み、タンク50へと帰還させられる。循環配管56を流れる塗布液の流量は、流量調整バルブ58により調整される。
【0043】
ノズル11は、供給配管55を経由して送供された塗布液を基材5に向けて吐出する。図2に示すように、ノズル11の先端には、基材5の幅方向(矢印AR2方向)(基材5の長手方向と直交する方向:以下、単に、「幅方向」と称する)に沿ったスリット状の吐出口11aが設けられている。
【0044】
バックアップローラ12は、基材5を押圧支持しつつ、搬送経路8に沿って基材5を走行させる。図2に示すように、バックアップローラ12は、ノズル11と対向する位置に配置されており、X軸と平行なローラ回転軸12a(第1回転軸)を中心に回転自在とされている。そして、ノズル11の吐出口11aから吐出される塗布液は、バックアップローラ12に押圧支持された基材5に向けて吐出される。
【0045】
位置検出部13は、図2に示すように、長手方向に沿った基材5の搬送経路8において、ノズル11の吐出位置PDより上流側の検出位置PSに配置されており、バックアップローラ13aと対向する。
【0046】
また、位置検出部13は、いわゆる2次元レーザ変位計により構成されたセンサであり、基材5の各部分における塗布膜6の位置を正確に検出する。これにより、制御ユニット90は、基材5の各部分において、塗布膜6、7の形成位置が一致するように、ノズル11の位置を決定することができる。そのため、塗布膜6、7により形成される化学電池の性能を向上させることができる。
【0047】
駆動部15は、バックアップローラ12に対してノズル11を、前後方向(X軸プラスまたはマイナス方向)、左右(Y軸プラスまたはマイナス方向)、および上下方向(Z軸プラスまたはマイナス方向)に、移動させる。また、駆動部15は、ノズル回転軸11bを中心にノズル11を回動させる。これにより、バックアップローラ12に対する吐出口11aの位置が調整される。図2に示すように、駆動部15は、主として、揺動部15aと、第1から第3移動部15b、15c、15dと、を有している。
【0048】
揺動部15aは、バックアップローラ12の回転軸12aと平行なノズル回転軸11b(第2回転軸)を中心にノズル11を回転させる。なお、ノズル回転軸11bは、図2に示すように、ノズル11上に配置されても良いし、ノズル11外に配置されても良い。
【0049】
第1移動部15bは、ノズル回転軸11bと垂直なY軸(第1移動軸)に沿ってノズル11を移動させる。第2移動部15cは、ノズル回転軸11bおよびY軸と垂直なZ軸(第2移動軸)に沿ってノズル11を移動させる。第3移動部15dは、X軸に沿ってノズル11を移動させる。
【0050】
圧力計18は、ノズル11内における塗布液の圧力を計測する。また、圧力計18によってノズル11内における塗布液の圧力が計測されるとともに、流量計52によって供給配管55を流れる塗布液の流量が計測されることによって、供給配管55を流れる塗布液の状態が把握できる。
【0051】
膜厚測定部19は、図2に示すように、搬送経路8において、ノズル11の吐出位置PDより下流側の測定位置PMに配置されている。また、膜厚測定部19は、位置検出部13と同様に、いわゆる2次元レーザ変位計により構成されたセンサであり、基材5の各部分における塗布膜7の膜厚を測定できる。これにより、基材5に塗布された各塗布膜7の形状(以下、単に、「膜形状」とも呼ぶ)が取得できる。このように、膜厚測定部19は、膜形状を取得する取得部として用いられる。
【0052】
制御ユニット90は、塗布処理部10の各要素の動作を制御するとともに、種々のデータ演算を実現する。図2に示すように、制御ユニット90は、主として、ROM91と、RAM92と、CPU93と、を有している。
【0053】
ROM(Read Only Memory)91は、いわゆる不揮発性の記憶部であり、例えば、プログラム91aが格納されている。なお、ROM91としては、読み書き自在の不揮発性メモリであるフラッシュメモリが使用されてもよい。RAM(Random Access Memory)92は、揮発性の記憶部であり、例えば、CPU93の演算で使用されるデータが格納される。
【0054】
CPU(Central Processing Unit)93は、ROM91のプログラム91aに従った制御(例えば、駆動部15によるノズル11の移動動作や、閉止バルブ20およびポンプ51による塗布液の吐出動作等の制御)が、実行される。また、図2中のCPU93内に記載されているブロック(それぞれ符号93a、93b、93c、および93dが付与されている)に対応する演算機能は、CPU93によって実現される。なお、各演算機能については、後述する。
【0055】
<3.塗布膜の形状>
図3は、塗布液の吐出が開始されてから一定期間、および塗布液の吐出が停止されてから一定期間における塗布膜7の膜厚が、塗布膜7の他の部分と比較して薄くなる場合を示す。図4は、塗布液の吐出が停止された後における塗布膜7の膜厚が、塗布膜7の他の部分と比較して厚くなる場合を示す。図3および図4において、縦軸は、塗布膜7の膜厚DTを、横軸は、時刻tを、それぞれ示す。
【0056】
ここで、塗布液の吐出が開始された直後、および塗布液の吐出が停止された直後において塗布膜7の膜厚が変化することは、塗布液の粘度や固形成分の含有量、および塗布速度など、様々な要因により生ずる。そして、図3および図4とは異なり、塗布液の吐出が開始されてから一定期間における塗布膜7の膜厚が、塗布膜7の他の部分と比較して厚くなる場合もある。
【0057】
また、図5は、塗布膜7の先端部7a付近における膜形状の一例を示す正面図である。図6および図7は、それぞれ塗布膜7の後端部7b、7c付近におけ膜形状の一例を示す正面図である。
【0058】
ここでは、図3から図7を参照しつつ先端部7aおよび後端部7b、7cにおける塗布膜7の形状について検討する。
【0059】
図3および図4に示すように、塗布液の吐出が開始される時刻t1から時間T1が経過するまでの期間(以下、単に、「塗布開始期間」とも呼ぶ)、塗布膜7の先端部7a(図3の右上がり斜線部分:図5の基材5上にも記載)が、基材5上に形成される。図3および図4に示すように、先端部7aの膜厚DTの値は、徐々に増加し、その後一定値となる。
【0060】
このように、先端部7aの膜厚DTが安定しないことの理由として、以下のことが考えられる。すなわち、塗布開始期間において、ノズル11の吐出口11aと基材5との間に形成されるメニスカスが、良好な形状とならない。その結果、塗布液が、基材5に対して良好に塗布できない。
【0061】
また、図3に示すように、塗布液が、比較的高粘度で、かつ、固形成分の含有量が少ない場合、時刻t2で塗布液の吐出が停止しても、ノズル11の吐出口11a付近と基材5の間に、塗布液が残留する。
【0062】
その結果、時刻t2から時間T2が経過するまでの期間(以下、単に、「塗布終了期間」とも呼ぶ)、塗布膜7の後端部7b(図3の右下がり斜線部分:図6の基材5上にも記載)が、基材5上に形成される。そして、図3に示すように、後端部7bの膜厚DTの値は、徐々に減少し、その後「ゼロ」となる。
【0063】
さらに、図4に示すように、塗布液が、比較的高粘度で、かつ、固形成分の含有量が多い場合において、時刻t2で塗布液の吐出が停止すると、ノズル11の吐出口11aから塗布液が離脱する。これにより、図4に示すように、時刻t2の直後の時刻t3において、膜厚DTが、極大値(最大値)を持ち、盛り上がりが形成される。そして、時刻t3以降、膜厚DTは、徐々に減少して「ゼロ」になる。
【0064】
<4.制御ユニットの演算機能>
図8は、塗布開始期間におけるノズル11およびバックアップローラ12の位置関係の一例を示す正面図である。図9および図10は、塗布終了期間におけるノズル11およびバックアップローラ12の位置関係の一例を示す正面図である。
【0065】
上述のように、塗布開始期間および塗布終了期間において、塗布膜の膜厚が均一とならず、場合によっては、塗布膜7により形成される化学電池の性能に影響を与えるという問題が生ずる。
【0066】
これに対して、本実施の形態の塗布処理部10は、CPU93により実現される以下の演算機能によって、上述の問題を解消している。
【0067】
第1駆動制御部93aは、駆動部15によりノズル11を移動または回転させることによって、ノズル11の先端付近に位置する軸心SCを中心に、ノズル11を揺動させる。図8および図9に示すように、軸心SCは、バックアップローラ12のローラ回転軸12aと平行である。
【0068】
比較的高粘度で、かつ、固形成分の含有量が多い活物質が、塗布液として用いられる場合、第2駆動制御部93bは、駆動部15によりノズル11を移動または回転させることによって、搬送経路8における基材5の搬送方向(矢印AR1方向)と逆方向(矢印AR3方向:図10参照)に、ノズル11の先端を移動させる。
【0069】
例えば、後端部7cに盛り上がりが発生する場合(図7参照)、第2駆動制御部93bは、搬送方向と逆方向に、所定の速度で、ノズル11を移動させる。これにより、塗布終了期間において、ノズル11の先端から基材5までの塗布液が早く液切れされ、盛り上がりが発生することを抑制できる。
【0070】
また、ノズル11は、塗布位置付近で移動させられるため、駆動部15は、ノズル11の退避後、速やかに塗布位置にノズル11を移動させることができる。そのため、処理工数が増大することを抑制しつつ、後端部7cの盛り上がりを抑制することができる。
【0071】
なお、本実施の形態において、軸心SCを中心とするノズル11の揺動動作、および基材5の搬送方向と逆方向にノズル11を移動させる動作は、ノズル11をY軸およびZ軸方向に移動させることと、ノズル11をノズル回転軸11bを中心に揺動させることによって、実現できる。
【0072】
第1回転角演算部93cは、塗布開始期間において、ノズル11が第1駆動制御部93aにより回転させられる角度(第1回転角θ1:図8参照)を、演算する。この第1回転角θ1は、基材5上に塗布済の先端部7aの形状(すなわち、塗布開始期間における形状)に応じて演算される。
【0073】
例えば、塗布開始期間において、先端部7aに「かすれ」が発生する場合(図5参照)、第1回転角演算部93cは、ノズル11から基材5までの距離D12が距離D11より大きくなるように、第1回転角θ1を演算する。これにより、搬送経路8において、吐出口11aより上流側の流体抵抗が小さくなり、塗布液が上流側に広がる。そのため、塗布開始期間において重要な上流側のメニスカスが容易に形成される。
【0074】
比較的高粘度で、かつ、固形成分の含有量が少ない活物質が、塗布液として用いられる場合、第2回転角演算部93dは、塗布終了期間において、ノズル11が第1駆動制御部93aにより回転させられる角度(第2回転角θ2:図9参照)を、演算する。この第2回転角θ2は、基材5上に塗布済の後端部7bの形状(すなわち、塗布終了期間における形状)に応じて演算される。
【0075】
例えば、塗布終了期間において、後端部7bに「かすれ」が発生する場合、第2回転角演算部93dは、ノズル11から基材5までの距離D21が距離D22より大きくなるように、第2回転角θ2を演算する。これにより、搬送経路8において、吐出口11aより上流側の流体抵抗が大きくなり、吐出口11aと基材5との間に吐出される塗布液の量が減少する。そのため、塗布終了期間において、液切りを良好にすることができ、かすれ等の発生が抑制できる。
【0076】
<5.塗布膜の形成手法>
本実施の形態の塗布処理部10は、上述の第1および第2駆動制御部93a、93b、並びに第1および第2回転角演算部93c、93dの演算結果に基づいて、以下のようにして塗布膜7を形成する。
【0077】
まず、ノズル11から塗布液が吐出される時刻t1(図3および図4参照)より前の時点において、第1駆動制御部93aは、ノズル11の姿勢が第1回転角演算部93cにより演算された第1回転角θ1となるように、ノズル11を揺動させる(図8参照)。
【0078】
次に、時刻t1において、基材5が搬送経路8に沿って搬送された状態で、ノズル11から基材5に向けて塗布液が吐出される。これにより、塗布開始期間におけるノズルの姿勢は、上述の第1回転角θ1とされ、塗布膜7の先端部7aに「かすれ」が発生することを抑制できる。
【0079】
続いて、塗布開始期間が経過すると、ノズル11の姿勢が、図8の実線位置から一点鎖線位置となるように、ノズル11が揺動させられる。この場合も、基材5は搬送方向に沿って搬送され続けるとともに、ノズル11の吐出口11aと、基材5との間に良好なメニスカスが形成されている。そのため、基材5上に良好に塗布膜が形成できる。
【0080】
続いて、塗布液の吐出が停止される時刻t2(図3および図4参照)より前の時点において、用いられる塗布液に応じて2つの処理(A)、(B)が実行される。
【0081】
(A)すなわち、比較的高粘度で、かつ、固形成分の含有量が少ない活物質が、塗布液として用いられている場合、第1駆動制御部93aは、ノズル11の姿勢が第2回転角演算部93dにより演算された第2回転角θ2となるように、ノズル11を揺動させる(図9参照)。
【0082】
そして、時刻t2において、塗布液の吐出が停止される。これにより、塗布終了期間におけるノズルの姿勢は、上述の第2回転角θ2とされ、塗布膜7の後端部7bに「かすれ」が発生することを抑制できる。
【0083】
(B)一方、比較的高粘度で、かつ、固形成分の含有量が多い活物質が、塗布液として用いられている場合、時刻t2において、第2駆動制御部93bは、ノズル11を移動または回転させることによって、搬送経路8における基材5の搬送方向と逆方向に、ノズル11の先端を移動させる(図10参照)。また、時刻t2において、塗布液の吐出が停止される。これにより、塗布終了期間において、ノズル11から基材5に向けて液だれすることを防止できる。
【0084】
<6.本実施の形態の塗布処理部および塗布膜形成システムの利点>
以上のように、本実施の形態の塗布処理部10、および塗布処理部10を組み込んだ塗布膜形成システム1において、ノズル11の第1回転角θ1は、膜厚測定部19により取得された塗布済膜の形状に応じて演算される。そして、塗布開始期間におけるノズル11の姿勢が第1回転角演算部93cにより演算された第1回転角θ1となるように、第1駆動制御部93aがノズル11を揺動させた状態で、塗布膜7が、基材5上に形成される。そのため、塗布開始期間における塗布膜7は、「かすれ」や「盛り上がり」等の発生が抑制され、均一な膜厚とされる。
【0085】
また、本実施の形態の塗布処理部10により塗布膜7が形成される場合、
(i) 塗布開始期間におけるノズル11の姿勢が第1回転角θ1とされた状態で、塗布液の吐出が開始でき、
(ii) 塗布終了期間におけるノズル11の姿勢が第2回転角θ2とされた状態で、塗布液の吐出が停止できる。そのため、塗布開始期間および塗布終了期間における塗布膜7は、「かすれ」や「盛り上がり」等がなく、塗布膜7の膜厚は、均一なものとなる。
【0086】
また、本実施の形態の塗布処理部10は、
(i) 塗布開始期間には、ノズル11の姿勢が第1回転角θ1とされた状態で、塗布液の吐出が開始でき、
(ii) 塗布終了期間には、基材5の搬送方向(矢印AR1方向)と逆方向(矢印AR3方向:図10)にノズル11の先端を移動させた状態で、塗布液の吐出が停止できる。そのため、塗布開始期間および塗布終了期間における塗布膜7は、「かすれ」や「盛り上がり」等がなく、塗布膜7の膜厚は、均一なものとなる。
【0087】
<7.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0088】
(1)本実施の形態において、第1駆動制御部93aは、
(i) 塗布開始期間におけるノズル11の姿勢が、第1回転角演算部93cにより求められた第1回転角θ1となるように、ノズル11を揺動させるとともに、
(ii) 塗布終了期間におけるノズル11の姿勢が、第2回転角演算部93dにより求められた第2回転角θ2となるように、ノズル11を揺動させた状態で状態で、塗布膜7が基材5上に形成されるものとして説明したが、塗布膜7の形成手法は、これに限定されるものでない。
【0089】
例えば、塗布終了期間において、ノズル11の姿勢によらず、良好に液切りを実行でき、液だれを防止できる場合、第1駆動制御部93aは、塗布開始から塗布終了するまでの期間(すなわち、図3および図4の場合、時刻t1から時刻t5までの期間)におけるノズルの姿勢が、第1回転角演算部93cにより演算された第1回転角θ1となるように、ノズル11を揺動させた状態で、塗布膜7が基材5上に形成されても良い。この場合、ノズル11は、塗布開始から終了まで、同一姿勢とすることができる。そのため、CPU93の計算コストを軽減することができる。
【0090】
(2)また、本実施の形態において、位置検出部13および膜厚測定部19は、いわゆる2次元レーザ変位計により構成されるものであるとして説明したが、これに限定されるものでない。
【0091】
例えば、撮像部と、演算部と、を有するものが、位置検出部とされても良い。また、塗布膜で反射されたレーザ光と、塗布膜を透過したレーザ光と、を用いて、塗布膜6、7の膜厚が測定されても良い。この場合、レーザ光の代わりに、X線、γ線、またはβ線等が用いられても良い。
【0092】
(3)また、本実施の形態において、制御ユニット90は、塗布処理部10の各要素の動作制御や、これら各要素に関する演算処理を実行するものであるとして説明したが、これに限定されるものでない。制御ユニット90は、例えば、塗布処理部10を含めた塗布膜形成システム1の各要素(塗布処理部10に加えて、予熱部60、乾燥部65、アニール部70、および冷却部75)の動作制御および演算処理を実行するものであっても良い。
【符号の説明】
【0093】
1 塗布膜形成システム
5 基材
6、7 塗布膜
7a 先端部
7b、7c 後端部
8 搬送経路
10 塗布処理部(塗布装置)
11 ノズル
11a 吐出口
11b ノズル回転軸(第2回転軸)
12 バックアップローラ
12a ローラ回転軸(第1回転軸)
15 駆動部
15a 揺動部
15b 第1移動部
15c 第2移動部
15d 第3移動部
19 膜厚測定部(取得部)
60 予熱部
65 乾燥部
70 アニール部
75 冷却部
80 搬送部
90 制御ユニット
93a 第1駆動制御部
93b 第2駆動制御部
93c 第1回転角演算部
93d 第2回転角演算部
PD 吐出位置
PM 測定位置
PS 検出位置
SC 軸心
θ1 第1回転角
θ2 第2回転角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状とされた基材に対して断続的に塗布液を塗布しつつ、搬送経路に沿って前記基材を移動させることによって、複数の塗布膜を前記基材上に連なって形成する塗布装置において、
(a) 前記基材を押圧支持しつつ、前記搬送経路に沿って前記基材を走行させるバックアップローラと、
(b) 前記バックアップローラに押圧支持された前記基材に向けて前記塗布液を吐出するノズルと、
(c) 前記バックアップローラに対して前記ノズルを移動または回転させる駆動部と、
(d) 前記駆動部により前記ノズルを移動または回転させることによって、前記バックアップローラの第1回転軸と平行であり、かつ、前記ノズルの先端付近に位置する軸心を中心に前記ノズルを揺動させる第1駆動制御部と、
(e) 前記基材に塗布された前記複数の塗布膜のうちの第1塗布膜の形状を取得する取得部と、
(f) 前記ノズルが前記第1駆動制御部により揺動させられる第1回転角を、塗布開始期間における前記第1塗布膜の形状に応じて演算する第1回転角演算部と、
を備え、
塗布開始期間における前記ノズルの姿勢が、前記第1回転角演算部により演算された前記第1回転角となるように、前記第1駆動制御部が、前記ノズルを揺動させた状態で、
前記複数の塗布膜のうちの前記第1塗布膜に後続する第2塗布膜が、前記基材上に形成されることを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
請求項1に記載の塗布装置において、
(g) 前記ノズルが前記第1駆動制御部により揺動させられる第2回転角を、塗布終了期間における前記第1塗布膜の形状に応じて演算する第2回転角演算部、
をさらに備え、
(i) 塗布開始期間における前記ノズルの姿勢が、前記第1回転角演算部により求められた第1回転角となるように、かつ
(ii) 塗布終了期間における前記ノズルの姿勢が、前記第2回転角演算部により求められた前記第2回転角となるように、前記第1駆動制御部が、前記ノズルを揺動させた状態で、
前記第2塗布膜が、前記基材上に形成されることを特徴とする塗布装置。
【請求項3】
請求項1に記載の塗布装置において、
(h) 前記駆動部により前記ノズルを移動または回転させることによって、前記搬送経路における前記基材の搬送方向と逆方向に、前記ノズルの先端を移動させる第2駆動制御部、
をさらに備えることを特徴とする塗布装置。
【請求項4】
請求項1に記載の塗布装置において、
塗布開始から塗布終了するまでの期間におけるノズルの姿勢が、前記第1回転角演算部により演算された前記第1回転角となるように、前記第1駆動制御部が、前記ノズルを揺動させた状態で、
前記第2塗布膜が、前記基材上に形成されることを特徴とする塗布装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の塗布装置において、
前記駆動部は、
(c-1) 前記第1回転軸と平行な第2回転軸を中心に、前記ノズルを揺動させる揺動部と、
(c-2) 前記第2回転軸と垂直な第1移動軸に沿って、前記ノズルを移動させる第1移動部と、
(c-3) 前記第2回転軸および前記第1移動軸と垂直な第1移動軸に沿って、前記ノズルを移動させる第2移動部と、
を有することを特徴とする塗布装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の塗布装置と、
前記塗布装置で塗布された前記基材上の前記塗布液を乾燥させる乾燥装置と、
を備えることを特徴とする塗布膜形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−216375(P2012−216375A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80049(P2011−80049)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】