説明

塗布装置及び塗布方法

【課題】ノズルのメンテナンス性を向上させること。
【解決手段】基板を保持する基板保持部と、前記基板との間で相対的に移動可能に設けられ、前記基板に対して先端部から液状体を吐出するノズルを有する塗布部と、前記ノズルの前記先端部の画像を取得する画像取得部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布装置及び塗布方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイなどの表示パネルを構成するガラス基板上には、配線パターンや電極パターンなどの微細なパターンが形成されている。一般的にこのようなパターンは、例えばフォトリソグラフィなどの手法によって形成される。フォトリソグラフィ法では、ガラス基板上にレジスト膜を形成する工程、このレジスト膜をパターン露光する工程、その後に当該レジスト膜を現像する工程がそれぞれ行われる。
【0003】
基板の表面上にレジスト膜を塗布する装置として、スリットノズルと、ガラス基板とを相対的に移動させ、当該スリットノズルの吐出領域とガラス基板とが重なる位置でレジストを塗布することにより、ガラス基板にレジストを塗布する塗布装置が知られている。
【0004】
このような塗布装置においては、複数枚のガラス基板にレジストを吐出することにより、スリットノズルにレジストの飛沫などが付着し、吐出されたレジストの膜厚に影響を及ぼす虞がある。このため、スリットノズルを洗浄するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−89253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、近年、基板の大型化に伴いスリットノズルも大型化しているため、ノズル先端の状態を確認する作業が困難になってきている。例えばスリットノズルを十分に洗浄しきれない場合が発生すると、ノズルを取り出して目視によって確認する必要があるなど、メンテナンス性が低下する可能性がある。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明は、ノズルのメンテナンス性を向上させることが可能な塗布装置及び塗布方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様に係る塗布装置は、基板を保持する基板保持部と、前記基板との間で相対的に移動可能に設けられ、前記基板に対して先端部から液状体を吐出するノズルを有する塗布部と、前記ノズルの前記先端部の画像を取得する画像取得部とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の第一の態様によれば、ノズルの先端部の画像を取得することができるため、取得した画像を用いてノズルの先端部の状態を確認することができる。これにより、ノズルを取り出して目視するなどといった手間を省くことができるため、ノズルのメンテナンス性を向上させることができる。
【0010】
上記の塗布装置において、前記画像取得部は、前記先端部に対して前記液状体が吐出される吐出方向上の位置から前記先端部を撮像する撮像機構を有することを特徴とする。
この場合、先端部に対して液状体が吐出される吐出方向上の位置から当該先端部を撮像することができるため、先端部の状態をより判断しやすい画像を得ることができる。
【0011】
上記の塗布装置において、前記ノズルは、長尺状に形成されており、前記画像取得部は、前記撮像機構を前記ノズルの長手方向に駆動する駆動機構を有することを特徴とする。
この場合、ノズルの長手方向に沿った先端部の全体に亘って画像を取得することができる。
【0012】
上記の塗布装置において、前記先端部を清掃する清掃部を更に備え、前記清掃部は、前記先端部に対向される清掃機構と、前記清掃機構を前記長手方向に駆動する第二駆動機構と、を有し、前記撮像機構と前記清掃機構とが同期して移動するように、前記駆動機構と前記第二駆動機構とを制御する制御部を更に備えることを特徴とする。
この場合、撮像機構と清掃機構とを同期して移動させることができるため、清掃中あるいは清掃後の所望のタイミングで撮像を行うことができる。撮像を行うことができる。これにより、清掃及び撮像を効率的に行うことができる。
【0013】
上記の塗布装置において、前記清掃機構は、前記先端部を払拭する払拭部を有することを特徴とする。
この場合、例えば払拭部によって先端部が払拭された後の所望のタイミングで撮像を行うことができる。
【0014】
上記の塗布装置において、前記清掃機構は、前記先端部に洗浄液を供給する洗浄液供給部を有することを特徴とする。
この場合、例えば洗浄液供給部によって洗浄液が供給された後の所望のタイミングで撮像を行うことができる。
【0015】
上記の塗布装置において、前記駆動機構及び前記第二駆動機構は、前記撮像機構及び前記清掃機構を案内する共通のガイド部を有することを特徴とする。
この場合、撮像機構と清掃機構とが共通のガイド部によって案内されるため、それぞれ個別の案内機構を設けずに済むことになる。これにより、スペースを省略することができる。
【0016】
上記の塗布装置において、前記第二駆動機構は、前記駆動機構を兼ねていることを特徴とする。
この場合、第二駆動機構が駆動機構を兼ねている構成であるため、第二駆動機構の動作によって清掃機構と撮像機構とを同時に移動させることができる。
【0017】
上記の塗布装置において、前記撮像機構は、前記清掃機構に対して着脱可能に設けられていることを特徴とする。
この場合、撮像機構が清掃機構に対して着脱可能に設けられているため、撮像動作を行わない場合には撮像機構を清掃機構から外しておくことができる。これにより、第二駆動機構における負担を軽減することができる。
【0018】
上記の塗布装置において、前記第二駆動機構は、前記清掃機構を保持して移動可能な移動子を有し、前記撮像機構は、前記移動子に対して着脱可能に設けられていることを特徴とする。
この場合、第二駆動機構が清掃機構を保持して移動可能な移動子を有し、撮像機構が移動子に対して着脱可能に設けられているため、撮像機構を直接清掃機構に着脱させずに済むことになる。これにより、清掃機構を保護することができる。
【0019】
上記の塗布装置は、前記清掃機構の移動経路から外れた位置に設けられ、前記撮像機構を待機させる待機部を更に備えることを特徴とする。
この場合、例えば撮像動作を行わない場合、清掃機構の移動経路から外れた位置に設けられる待機部に撮像機構を待機させておくことができる。これにより、清掃機構による清掃動作を妨げるのを回避することができる。
【0020】
上記の塗布装置は、前記ノズルとの間で相対的に移動可能に設けられ、前記先端部の状態を管理する管理部を更に備え、前記画像取得部及び前記清掃部は、前記管理部に設けられていることを特徴とする。
この場合、画像取得部及び清掃部が管理部に設けられているため、先端部の状態を管理する動作と画像取得動作及び清掃動作とを連動させて行わせることができる。これにより、効率的なメンテナンスが可能となる。
【0021】
上記の塗布装置において、前記画像取得部は、前記先端部に光を照射する光源を有することを特徴とする。
この場合、光源によって先端部に光を照射した状態で画像を取得することができるため、より鮮明な画像を得ることができる。
【0022】
上記の塗布装置において、前記光源は、前記先端部に対して前記液状体が吐出される吐出方向上から外れた位置に設けられていることを特徴とする。
この場合、光源が先端部に対して液状体が吐出される吐出方向上から外れた位置に設けられているため、光源に液状体が付着するのを抑制することができる。
【0023】
上記の塗布装置において、前記光源は、前記光の波長を調整する波長調整部を有することを特徴とする。
この場合、先端部に照射する光の波長を、例えば画像取得部の画像取得特性に応じて最適な波長に調整することができるため、画像取得部として用いることができる機種の選択の幅が広がることになる。
【0024】
上記の塗布装置は、前記画像取得部によって取得された前記画像を表示する表示部を更に備えることを特徴とする。
この場合、画像取得後の所望のタイミングで表示部を介して作業者が画像を確認することができるため、よりメンテナンス性を高めることができる。
【0025】
上記の塗布装置は、前記基板保持部は、前記基板を浮上させて搬送する浮上搬送機構を有することを特徴とする。
この場合、先端部の状態を確認することでノズルのメンテナンス性を向上させることができるため、浮上する基板に対する液状体の塗布状態を向上させることが可能となる。
【0026】
本発明の第二の態様に係る塗布方法は、基板を保持する基板保持ステップと、前記基板と、先端部から液状体を吐出するノズルとを相対的に移動させつつ、前記基板に対して前記先端部から液状体を吐出する塗布ステップと、前記塗布ステップの後、前記ノズルの前記先端部の画像を取得する画像取得ステップとを含むことを特徴とする。
【0027】
この場合、画像取得ステップにおいてノズルの先端部の画像を取得することができるため、取得した画像を用いてノズルの先端部の状態を確認することができる。これにより、ノズルのメンテナンス性を向上させることができる。
【0028】
上記の塗布方法において、前記画像取得ステップは、撮像機構を用いて前記先端部に対して前記液状体が吐出される吐出方向上の位置から前記先端部を撮像することを含むことを特徴とする。
この場合、撮像機構を用いて先端部に対して液状体が吐出される吐出方向上の位置から当該先端部を撮像するため、先端部の状態をより判断しやすい画像を得ることができる。
【0029】
上記の塗布方法において、前記ノズルは、長尺状に形成されており、前記画像取得ステップは、前記撮像機構を前記ノズルの長手方向に駆動することを含むことを特徴とする。
この場合、長尺状に形成されたノズルの長手方向に沿った先端部の全体に亘って画像を取得することができる。
【0030】
上記の塗布方法は、前記先端部を清掃する清掃ステップを更に含み、前記清掃ステップは、清掃機構を前記長手方向に移動させつつ当該清掃機構を前記先端部に対向配置させる対向配置ステップを含み、前記画像取得ステップは、前記対向配置ステップの後に行われることを特徴とする。
この場合、清掃機構を前記先端部に対向配置させた後に画像取得が行われるため、撮像機構と清掃機構とを同期して移動させることができるため、清掃中あるいは清掃後の所望のタイミングで撮像を行うことができる。これにより、清掃及び画像取得を効率的に行うことができる。
【0031】
上記の塗布方法において、前記清掃ステップは、前記清掃機構に設けられる払拭部により前記先端部を払拭することを含むことを特徴とする。
この場合、例えば払拭部によって先端部が払拭された後の所望のタイミングで撮像を行うことができる。
【0032】
上記の塗布方法において、前記清掃ステップは、前記清掃機構に設けられる洗浄液供給部により前記先端部に洗浄液を供給することを含むことを特徴とする。
この場合、例えば洗浄液供給部によって洗浄液が供給された後の所望のタイミングで撮像を行うことができる。
【0033】
上記の塗布方法において、前記清掃ステップ及び前記画像取得ステップでは、前記撮像機構及び前記清掃機構が共通のガイド部に案内されるようにすることを含むことを特徴とする。
この場合、撮像機構と清掃機構とが共通のガイド部に案内される、撮像機構と清掃機構とを効率的に案内することができる。
【0034】
上記の塗布方法において、前記画像取得ステップは、前記清掃機構と、前記撮像機構とを、一体的に移動させることを含むことを特徴とする。
この場合、清掃機構と撮像機構とを一体的に移動させることとしたので、清掃動作と撮像動作とを同時に行わせることができる。
【0035】
上記の塗布方法において、前記画像取得ステップに先立ち、前記清掃機構に対して前記撮像機構を装着することを特徴とする。
この場合、画像取得ステップを行わない場合には撮像機構を清掃機構から外しておくことができる。これにより、第二駆動機構における負担を軽減することができる。
【0036】
上記の塗布方法は、前記画像取得ステップに先立ち、前記清掃機構を保持して移動可能な移動子に対して前記撮像機構を装着することを特徴とする。
この場合、撮像機構を直接清掃機構に着脱させずに済むことになる。これにより、清掃機構を保護することができる。
【0037】
上記の塗布方法は、前記清掃機構の移動経路から外れた位置に前記撮像機構を待機させる待機ステップを更に含むことを特徴とする。
この場合、撮像動作を行わない場合、清掃機構の移動経路から外れた位置に撮像機構を待機させておくことができる。これにより、清掃機構による清掃動作を妨げるのを回避することができる。
【0038】
上記の塗布方法において、前記画像取得ステップは、前記先端部に光を照射する光照射ステップを含むことを特徴とする。
この場合、光照射ステップによって先端部に光を照射した状態で画像を取得することができるため、より鮮明な画像を得ることができる。
【0039】
上記の塗布方法において、前記光照射ステップは、前記先端部に対して前記液状体が吐出される吐出方向上から外れた位置から前記光を照射することを含むことを特徴とする。
この場合、先端部に対して液状体が吐出される吐出方向上から外れた位置から光を照射するため、光の経路上に吐出された液状体が配置されるのを抑制することができる。これにより、先端部に高照度の光を照射することができる。
【0040】
上記の塗布方法において、前記光照射ステップは、前記光の波長を調整することを含むことを特徴とする。
この場合、先端部に照射する光の波長を、例えば画像取得部の画像取得特性に応じて最適な波長に調整することができるため、画像取得部として用いることができる機種の選択の幅が広がることになる。
【0041】
上記の塗布方法は、前記画像取得ステップによって取得された前記画像を表示する表示ステップを更に含むことを特徴とする。
この場合、表示ステップにおいて表示された画像を確認することができるため、よりメンテナンス性を高めることができる。
【0042】
上記の塗布方法において、前記基板保持ステップは、前記基板を浮上させて搬送する浮上搬送ステップを有することを特徴とする。
この場合、先端部の状態を確認することでノズルのメンテナンス性を向上させることができるため、浮上する基板に対する液状体の塗布状態を向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、ノズルのメンテナンス性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本実施形態に係る塗布装置の構成を示す斜視図。
【図2】本実施形態に係る塗布装置の構成を示す正面図。
【図3】本実施形態に係る塗布装置の構成を示す平面図。
【図4】本実施形態に係る塗布装置の構成を示す側面図。
【図5】本実施形態に係る塗布装置のノズル洗浄装置の構成を示す図。
【図6】本実施形態に係る塗布装置の処理ステージの構成を示す平面図。
【図7】本実施形態に係るノズル及び管理部の一部の構成を示す斜視図。
【図8】本実施形態に係るノズル及び管理部の一部の構成を示す正面図。
【図9】本実施形態に係るノズル及び管理部の一部の構成を示す側面図。
【図10】本実施形態に係る塗布装置の搬送機の要部構成を示す図。
【図11】本実施形態に係る塗布装置の動作を示す図。
【図12】本実施形態に係る塗布装置の動作を示す図。
【図13】本実施形態に係る塗布装置の動作を示す図。
【図14】本実施形態に係る塗布装置の動作を示す図。
【図15】本実施形態に係る塗布装置の動作を示す図。
【図16】本実施形態に係る塗布装置の動作を示す図。
【図17】本実施形態に係る塗布装置の動作を示す図。
【図18】本実施形態に係る塗布装置の動作を示す図。
【図19】本実施形態に係る塗布装置の動作を示す図。
【図20】本発明に係るノズル洗浄装置の他の構成を示す図。
【図21】本発明に係るノズル洗浄装置の他の構成を示す図。
【図22】本発明に係るノズル洗浄装置の他の動作を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は本実施形態に係る塗布装置1の斜視図である。
図1に示すように、本実施形態に係る塗布装置1は、例えば液晶パネルなどに用いられるガラス基板上にレジストを塗布する塗布装置であり、基板搬送部(基板搬送系)2と、塗布部(塗布系)3と、管理部4と、制御部CONTとを主要な構成要素としている。
【0046】
この塗布装置1は、基板搬送部(基板搬送系)2によって基板を浮上させて搬送しつつ塗布部(塗布系)3によって当該基板上にレジストが塗布されるようになっており、管理部4によって塗布部3の状態が管理されるようになっている。制御部CONTは、塗布装置1の各部を統括的に制御する。制御部CONTには、表示部DPが接続されている。表示部DPとして、例えば画像や文字などが表示可能なディスプレイ装置などが用いられている。なお、図1において管理部4の待機部48には、本実施形態における特徴的構成要素の一である画像取得部IMCが設けられている。
【0047】
図2は塗布装置1の正面図、図3は塗布装置1の平面図、図4は塗布装置1の側面図である。これらの図を参照して、塗布装置1の詳細な構成を説明する。
【0048】
(基板搬送部)
まず、基板搬送部2の構成を説明する。
基板搬送部2は、基板搬入領域20と、塗布処理領域21と、基板搬出領域22と、搬送機構23と、これらを支持するフレーム部24とを有している。この基板搬送部2では、搬送機構23によって基板Sが基板搬入領域20、塗布処理領域21及び基板搬出領域22へと順に搬送されるようになっている。基板搬入領域20、塗布処理領域21及び基板搬出領域22は、基板搬送方向の上流側から下流側へこの順で配列されている。搬送機構23は、基板搬入領域20、塗布処理領域21及び基板搬出領域22の各部に跨るように当該各部の一側方に設けられている。
【0049】
以下、塗布装置1の構成を説明するにあたり、表記の簡単のため、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。基板搬送部2の長手方向であって基板の搬送方向をX方向と表記する。平面視でX方向(基板搬送方向)に直交する方向をY方向と表記する。X方向軸及びY方向軸を含む平面に垂直な方向をZ方向と表記する。なお、X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向、矢印の方向とは反対の方向が−方向であるものとする。
【0050】
基板搬入領域20は、装置外部から搬送されてきた基板Sを搬入する部位であり、搬入側ステージ25と、リフト機構26とを有している。
搬入側ステージ25は、フレーム部24の上部に設けられており、例えばSUSなどからなる平面視で矩形の板状部材である。この搬入側ステージ25は、X方向が長手になっている。搬入側ステージ25には、エア噴出口25aと、昇降ピン出没孔25bとがそれぞれ複数設けられている。これらエア噴出口25a及び昇降ピン出没孔25bは、搬入側ステージ25を貫通するように設けられている。
【0051】
エア噴出口25aは、搬入側ステージ25のステージ表面(搬送面)25c上にエアを噴出する孔であり、例えば搬入側ステージ25のうち基板Sの通過する領域に平面視マトリクス状に配置されている。このエア噴出口25aには図示しないエア供給源が接続されている。この搬入側ステージ25では、エア噴出口25aから噴出されるエアによって基板Sを+Z方向に浮上させることができるようになっている。
【0052】
昇降ピン出没孔25bは、搬入側ステージ25のうち基板Sの搬入される領域に設けられている。当該昇降ピン出没孔25bは、ステージ表面25cに供給されたエアが漏れ出さない構成になっている。
【0053】
この搬入側ステージ25のうちY方向の両端部には、アライメント装置25dが1つずつ設けられている。アライメント装置25dは、搬入側ステージ25に搬入された基板Sの位置を合わせる装置である。各アライメント装置25dは長孔と当該長孔内に設けられた位置合わせ部材を有しており、搬入側ステージ25に搬入される基板を両側から機械的に挟持するようになっている。
【0054】
リフト機構26は、搬入側ステージ25の基板搬入位置の裏面側に設けられている。このリフト機構26は、昇降部材26aと、複数の昇降ピン26bとを有している。昇降部材26aは、図示しない駆動機構に接続されており、当該駆動機構の駆動によって昇降部材26aがZ方向に移動するようになっている。複数の昇降ピン26bは、昇降部材26aの上面から搬入側ステージ25へ向けて立設されている。各昇降ピン26bは、それぞれ上記の昇降ピン出没孔25bに平面視で重なる位置に配置されている。昇降部材26aがZ方向に移動することで、各昇降ピン26bが昇降ピン出没孔25bからステージ表面25c上に出没するようになっている。各昇降ピン26bの+Z方向の端部はそれぞれZ方向上の位置が揃うように設けられており、装置外部から搬送されてきた基板Sを水平な状態で保持することができるようになっている。
【0055】
塗布処理領域21は、レジストの塗布が行われる部位であり、基板Sを浮上支持する処理ステージ27が設けられている。処理ステージ27は、ステージ表面(搬送面)27cが例えば硬質アルマイトを主成分とする光吸収材料で覆われた平面視で矩形の板状部材であり、搬入側ステージ25に対して+X方向側に設けられている。
【0056】
処理ステージ27のうち光吸収材料で覆われた部分では、レーザ光などの光の反射が抑制されるようになっている。この処理ステージ27は、Y方向が長手になっている。処理ステージ27のY方向の寸法は、搬入側ステージ25のY方向の寸法とほぼ同一になっている。処理ステージ27には、ステージ表面27c上にエアを噴出する複数のエア噴出口27aと、ステージ表面27c上のエアを吸引する複数のエア吸引口27bとが設けられている。これらエア噴出口27a及びエア吸引口27bは、処理ステージ27を貫通するように設けられている。また、処理ステージ27の内部には、エア噴出口27a及びエア吸引口27bを通過する気体の圧力に抵抗を与えるための図示しない溝が複数設けられている。この複数の溝は、ステージ内部においてエア噴出口27a及びエア吸引口27bに接続されている。
【0057】
処理ステージ27では、エア噴出口27aのピッチが搬入側ステージ25に設けられるエア噴出口25aのピッチよりも狭く、搬入側ステージ25に比べてエア噴出口27aが密に設けられている。また、処理ステージ27においては、エア噴出口27aとともにエア吸引口27bが密に設けられている。これにより、この処理ステージ27では他のステージに比べて基板の浮上量を高精度で調節できるようになっており、基板の浮上量が例えば100μm以下、好ましくは50μm以下となるように制御することが可能になっている。処理ステージ27には、ステージ表面27cと基板Sとの間の距離を検出可能な検出部MSが設けられている。
【0058】
基板搬出領域22は、レジストが塗布された基板Sを装置外部へ搬出する部位であり、搬出側ステージ28と、リフト機構29とを有している。この搬出側ステージ28は、処理ステージ27に対して+X方向側に設けられており、基板搬入領域20に設けられた搬入側ステージ25とほぼ同様の材質、寸法から構成されている。搬出側ステージ28には、搬入側ステージ25と同様、エア噴出口28a及び昇降ピン出没孔28bが設けられている。リフト機構29は、搬出側ステージ28の基板搬出位置の裏面側に設けられており、例えばフレーム部24に支持されている。リフト機構29の昇降部材29a及び昇降ピン29bは、基板搬入領域20に設けられたリフト機構26の各部位と同様の構成になっている。このリフト機構29は、搬出側ステージ28上の基板Sを外部装置へと搬出する際に、基板Sの受け渡しのため昇降ピン29bによって基板Sを持ち上げることができるようになっている。
【0059】
搬送機構23は、図4に示すように、第一搬送機構60と、第二搬送機構61とを備えている。なお、図3においては、第一搬送機構60が基板Sを保持した状態を示し、第一搬送機構60の下方に配置されている第二搬送機構61の図示を省略している。
【0060】
第一搬送機構60は、搬送機(保持部)60aと、真空パッド(吸着部)60bと、レール60cと、搬送機60aを基板Sの搬送面と平行な面上を移動可能とする移動機構(進退機構)63とを有している。また、第二搬送機構61は、搬送機(保持部)61aと、真空パッド(吸着部)61bと、レール61cと、搬送機61aを昇降(上下動作)可能とする昇降機構(進退機構)62とを有している。レール60c,61cは、搬入側ステージ25、処理ステージ27及び搬出側ステージ28の側方に各ステージに跨って延在している。
【0061】
搬送機60a,61aは、内部に例えばリニアモータが設けられた構成になっており、当該リニアモータが駆動することによって搬送機60a,61aがレール60c,61c上を移動することで各ステージに沿って移動できるようになっている。すなわち、搬送機60a,61aは、基板Sを保持する保持部としての機能と、該保持部を駆動する駆動部としての機能とを備えたものとなっている。搬送機60a,61aは、所定の部分60d、61dが平面視で基板Sの−Y方向端部に重なるようになっている。この基板Sに重なる部分60d、61dは、基板Sを浮上させたときの基板裏面の高さ位置よりも低い位置に配置されるようになっている。
【0062】
第二搬送機構61は、図4に示すように第一搬送機構60と比べて、フレーム部24の階段状の段差部24aの下段に配置されている。また、平面的に視ると、第二搬送機構61は、第一搬送機構60に対してステージ側に配置されている。
【0063】
図4に示されるように、第二搬送機構61は、上記昇降機構62により搬送機61aを上昇させることで基板Sにアクセス可能(進退可能)となっている。一方、第一搬送機構60は、上記移動機構63により搬送機60aを基板Sの搬送面と平行な面上で水平移動させることで基板Sにアクセス可能(進退可能)となっている。第一搬送機構60の搬送機60aと第二搬送機構61の搬送機61aとは、それぞれ独立して移動可能となっている。
【0064】
また、例えば、第一搬送機構60が基板Sを保持している場合、基板Sを保持していない第二搬送機構61の搬送機61aは、昇降機構62が下降することによって下方に待機し、第一搬送機構60(搬送機60a)の搬送経路から退避している。また、第二搬送機構61が基板Sを保持している場合、基板Sを保持していない第一搬送機構60の搬送機60aは、移動機構63によって−Y方向に移動し、第二搬送機構61(搬送機61a)の搬送経路から退避している。
【0065】
図3に示すように、真空パッド60bは、搬送機60aのうち上記基板Sに重なる部分60dに基板Sの搬送方向に沿って複数(本実施形態では3個)配置されている。この真空パッド60bは、基板Sを真空吸着するための吸着面を有しており、当該吸着面が上方を向くように配置されている。真空パッド60bは、吸着面が基板Sの裏面端部を吸着することで当該基板Sを保持可能になっている。これら真空パッド60bは、基板Sの搬送方向前方側の端部から250mm以内を保持するのが好ましく、80mm以内とするのが望ましい。具体的に本実施形態では、搬送機60aは、基板Sの搬送方向前方の端部から真空パッド60bまでの距離Wが80mm以内となるように基板Sを保持している。これにより搬送機60aにより基板Sが均一に保持されて、基板端部が垂れ下がることが防止され、基板Sを均一に浮上させた状態で搬送することができる。したがって、基板S上に塗布されるレジストを乾燥固化させた膜にムラが生じるのを防止している。
【0066】
なお、第二搬送機構61における搬送機61aの構造は、図3では図示されていないものの、上記搬送機60aと同一構成を有している。すなわち、搬送機61aにおける真空パッド61bは、上記基板Sに重なる部分に基板Sの搬送方向に沿って3個配置されている。
【0067】
ここで、搬送機60a、61aの要部構成について説明する。なお、上述のように搬送機60a、61aはそれぞれ同一構成を有するものであることから、本説明では搬送機60aを例に挙げ、その構成について図5を参照しつつ説明する。なお、図5(a)は搬送機60aの要部の平面構成を示す図であり、図5(b)は搬送機60aの要部の断面構成を示す図である。
【0068】
図5(a)に示されるように、搬送機60aに設けられる真空パッド60bは、基板Sとの接触部が平面視略長円状となっている。そして、真空パッド60bの内部には不図示の真空ポンプ等に接続される排気孔65が設けられている。真空パッド60bは、この排気孔65を介して真空パッド60bと基板Sとの間に生じる密閉空間を排気することで基板Sを真空吸着することが可能となっている。
【0069】
また、図5(b)に示すように、搬送機60a上に設けられた真空パッド60bの側方には、搬送中の基板Sの位置を規制するストッパー部材(位置規制部材)66を備えている。このストッパー部材66は、基板Sの側面S1に対向するとともに、基板Sの下面側に対向する凸部66aを備えている。この凸部66aは、基板Sの下方への撓みを規制するストッパーとして機能する。凸部66aは、図5(a)に示されるように、真空パッド60bの外周部を枠状に囲んだ状態に設けられている。凸部66aの上面は、搬入側ステージ25の上面に対して−30〜+30μmの範囲に設定するのが好ましく、−20μm近傍に設定するのが望ましい。また、凸部66aと真空パッド60bとの位置関係は、真空パッド60bを0〜1mm程度上方に設定するのが好ましい。
【0070】
なお、隣接する真空パッド60bの間に凸部66aが配置される構成、すなわち各真空パッド60bの四方を凸部66aが囲むようにしてもよい。
【0071】
本実施形態に係る真空パッド60bは、基板Sに対して変位可能となっている。具体的の本実施形態では、真空パッド60bが蛇腹構造からなる蛇腹部67を有している。これにより、例えば基板Sの端部に撓みが生じることで基板Sの高さに変動が生じた場合でも、真空パッド60bが基板Sの動きに追従することで当該基板Sに対する吸着を確実に保持することができる。また、真空パッド60bは、ステージ上における基板Sの浮上量を変化させた場合でも、蛇腹部67が変位することで基板Sを良好に吸着することができるようになっている。
【0072】
(塗布部)
次に、塗布部3の構成を説明する。
塗布部3は、基板S上にレジストを塗布する部分であり、門型フレーム31と、ノズル32とを有している。
【0073】
門型フレーム31は、支柱部材31aと、架橋部材31bとを有しており、処理ステージ27をY方向に跨ぐように設けられている。支柱部材31aは処理ステージ27のY方向側に1つずつ設けられており、各支柱部材31aがフレーム部24のY方向側の両側面にそれぞれ支持されている。各支柱部材31aは、上端部の高さ位置が揃うように設けられている。架橋部材31bは、各支柱部材31aの上端部の間に架橋されており、当該支柱部材31aに対して昇降可能となっている。
【0074】
この門型フレーム31は移動機構31cに接続されており、X方向に移動可能になっている。この移動機構31cによって門型フレーム31が管理部4との間で移動可能になっている。すなわち、門型フレーム31に設けられたノズル32が管理部4との間で移動可能になっている。また、この門型フレーム31は、図示しない移動機構によりZ方向にも移動可能になっている。
【0075】
ノズル32は、一方向が長手の長尺状に構成されており、門型フレーム31の架橋部材31bの−Z方向側の面に設けられている。このノズル32のうち−Z方向の先端には、自身の長手方向に沿ってスリット状の開口部32aが設けられており、当該開口部32aからレジストが吐出されるようになっている。ノズル32は、開口部32aの長手方向がY方向に平行になると共に、当該開口部32aが処理ステージ27に対向するように配置されている。開口部32aの長手方向の寸法は搬送される基板SのY方向の寸法よりも小さくなっており、基板Sの周辺領域にレジストが塗布されないようになっている。ノズル32の内部にはレジストを開口部32aに流通させる図示しない流通路が設けられており、この流通路には図示しないレジスト供給源が接続されている。このレジスト供給源は例えば図示しないポンプを有しており、当該ポンプでレジストを開口部32aへと押し出すことで開口部32aからレジストが吐出されるようになっている。支柱部材31aには不図示の移動機構が設けられており、当該移動機構によって架橋部材31bに保持されたノズル32がZ方向に移動可能になっている。ノズル32には不図示の移動機構が設けられており、当該移動機構によってノズル32が架橋部材31bに対してZ方向に移動可能になっている。門型フレーム31の架橋部材31bの下面には、ノズル32の開口部32a、すなわち、ノズル32の先端と当該ノズル先端に対向する対向面との間のZ方向上の距離を測定するセンサ33が取り付けられている。
【0076】
(管理部)
管理部4の構成を説明する。
管理部4は、基板Sに吐出されるレジスト(液状体)の吐出量が一定になるようにノズル32を管理する部位であり、基板搬送部2のうち塗布部3に対して−X方向側(基板搬送方向の上流側)に設けられている。この管理部4は、予備吐出機構41と、ディップ槽42と、ノズル洗浄装置43と、これらを収容する収容部44と、当該収容部を保持する保持部材45とを有している。保持部材45は、移動機構45aに接続されている。当該移動機構45aにより、収容部44がX方向に移動可能になっている。
【0077】
予備吐出機構41、ディップ槽42及びノズル洗浄装置43は、−X方向側へこの順で配列されている。これら予備吐出機構41、ディップ槽42及びノズル洗浄装置43のY方向の各寸法は上記門型フレーム31の支柱部材31a間の距離よりも小さくなっており、上記門型フレーム31が各部位を跨いでアクセスできるようになっている。
【0078】
予備吐出機構41は、レジストを予備的に吐出する部分である。当該予備吐出機構41はノズル32に最も近くに設けられている。ディップ槽42は、内部にシンナーなどの溶剤が貯留された液体槽である。ノズル洗浄装置43は、ノズル32の開口部32a近傍をリンス洗浄する装置であり、Y方向に移動する図示しない洗浄機構と、当該洗浄機構を移動させる図示しない移動機構とを有している。この移動機構は、洗浄機構よりも−X方向側に設けられている。ノズル洗浄装置43は、移動機構が設けられる分、予備吐出機構41及びディップ槽42に比べてX方向の寸法が大きくなっている。なお、予備吐出機構41、ディップ槽42、ノズル洗浄装置43の配置については、本実施形態の配置に限られず、他の配置であっても構わない。
【0079】
図6は、ノズル洗浄装置43の構成を示す図である。図6(a)はノズル洗浄装置43の正面図を、図6(b)はノズル洗浄装置43の平面図をそれぞれ示している。
図6(a)及び図6(b)に示すように、ノズル洗浄装置43は、基体43aと、パッド支持部材43bと、パッド43cと、エアナイフ噴出口43dと、吸引孔43eと、洗浄液噴出孔43gと、エアナイフ噴出口43hと、支持部材43iと、第二駆動機構AC2とを有している。
【0080】
パッド支持部材43bは、基体43aの上面に設けられており、当該基体43aのX方向の中心部に対して+X方向側及び−X方向側に1つずつ対になって配置されている。この一対のパッド支持部材43bは、パッド43cを支持する支持面43sを有している。
支持面43sは、ノズル32の先端の形状に沿って形成されている。例えば図中では、パッド支持部材43bのうち基体43aの±X方向の各端辺側からX方向の中心部にかけて基体43a上面からの高さが徐々に低くなっている部分が形成されており、この高さの徐々に低くなっている部分が支持面43sになっている。
【0081】
パッド43cは、ノズル先端32c及びその周辺領域32dに当接させる部材であり、例えば樹脂材料などから構成されている。各支持面43sには、Y方向に向けてパッド43cが例えば一列ずつ配列されている。パッド43cの上面43fは、ノズル先端32c及びその周辺領域32dに対応する形状となっており、パッド43cの上面43fをノズル先端32c及び周辺領域32dに当接したときに隙間無く当接されるようになっている。このパッド43cは、X方向においてエアナイフ噴出口43hに近接する位置まで設けられている。
【0082】
エアナイフ噴出口43dは支持面43sの端部に配置されており、吸引孔43eを挟んで一対設けられている。エアナイフ噴出口43dは、ノズル先端32cの周辺領域32dに対してエアナイフが噴出されるように、当該周辺領域32dに対向するように設けられている。
【0083】
吸引孔43eは、2つのパッド支持部材43bの間に設けられた矩形の孔である。この吸引孔43eは、基体43aのX方向の中央の領域を貫通するように設けられており、例えばポンプ43pなどの吸引機構に接続されている。この吸引孔43eはY方向が長手になっており、パッド43cの一部と平面視で重なっている。
【0084】
洗浄液噴出孔43gはノズル32を洗浄する洗浄液を噴出する孔であり、X方向に沿ってスリット状に設けられている。当該洗浄液噴出孔43gはパッド支持部材43bの支持面43sのうち+Y方向側の端部のパッド43c及び+Y方向側の端部から2番目のパッド43cに対応して設けられており、それぞれのパッド支持部材43bに設けられたパッド43cの+Y方向側に設けられている。各洗浄液噴出孔43gは、図示しない洗浄液供給源に接続されている。
【0085】
エアナイフ噴出口43hは、エアナイフ噴出口43dと同様、ノズル32へ向けてエアナイフを噴出する部分であり、パッド支持部材43bの支持面43sにY方向に沿ってスリット状に設けられている。当該エアナイフ噴出口43hは、各支持面43sのうちパッド43cの摺動方向(Y方向)に対して当該パッド43cの側方に1つずつ配置されている。
【0086】
支持部材43iは、基体43aの図中下面を支持するように設けられている。第二駆動機構AC2は、支持部材43iに接続されており当該支持部材43iをY方向へ移動させる駆動部である。第二駆動機構AC2がY方向に移動することにより、支持部材43iを介して基体43aがY方向に移動するようになっている。ノズル洗浄装置43は、第二駆動機構AC2が設けられる分、予備吐出機構41及びディップ槽42に比べてX方向の寸法が大きくなっている。勿論、予備吐出機構41、ディップ槽42、ノズル洗浄装置43の配置については、本実施形態の配置に限られず、他の配置であっても構わない。
【0087】
図7は、ノズル32及び管理部4の一部の構成を示す斜視図である。図8は、ノズル32及び管理部4の一部の構成を示す側面図である。図9は、ノズル32及び管理部4の一部の構成を示す正面図である。
【0088】
図7〜図9に示すように、画像取得部IMCは、撮像装置CM、光源装置LT、支持フレームFL及び第一駆動機構AC1を有している。画像取得部IMCは、ノズル32に設けられるノズル先端32cの画像を取得する。画像取得部IMCは、管理部4の−Y側端部に設けられた待機部48に配置された状態になっている。待機部48は、例えば収容部44内において上記のノズル洗浄装置43の待機位置よりも−Y側に配置されている。このため、待機部48は、ノズル洗浄装置43の移動経路から外れた位置に配置されていることになる。
【0089】
撮像装置CMは、ノズル先端32cの−Z側に移動可能に配置されている。撮像装置CMは、+Z方向(ノズル先端32cが配置される方向)に向けられている。したがって、撮像装置CMは、ノズル32の吐出方向上の位置からノズル先端32cを撮像することができるようになっている。撮像装置CMは、制御部CONTに接続されている。撮像装置CMによって撮像された画像データは、制御部CONTに送信されるようになっている。なお、制御部CONTは、当該画像データを表示部DP(図1参照)に表示させることができるようになっている。
【0090】
光源装置LTは、ノズル先端32cの+X側及び−X側に1つずつ配置されている。以下、2つの光源装置LTを区別する場合には、−X側の光源装置LTを上流側光源装置LT1と表記し、+X側の光源装置LTを下流側LT2と表記する。上流側光源装置LT1はノズル先端32cに対して照明光L1を射出し、下流側光源装置LT2はノズル先端32cに対して照明光L2を射出する。光源装置LTとしては、例えば赤色LEDや他の色(緑色、白色など)のLEDなど、複数色のLEDが用いられている。光源装置LTの構成としては、レジストとして基板Sに塗布する液状体が感光しない光を射出する構成であれば、他の構成であっても構わない。
【0091】
上流側光源装置LT1は、ノズル先端32cに対して液状体が吐出される吐出方向上から−X側に外れた位置に設けられている。また、下流側光源装置LT2は、ノズル先端32cに対して液状体が吐出される吐出方向上から+X側に外れた位置に設けられている。各光源装置LTは、それぞれ光の波長を調整する波長調整部49(図8参照)を有している。波長調整部49は、本実施形態では、例えば複数の色のLEDの中からどの色のLEDを用いるかを切り替えることで、照射光の波長を調整する構成となっている。波長調整部49の構成は、光源装置LTの構成に応じた構成となる。例えば、当該光源装置LTからの照明光の波長を調整できる構成であれば、適宜採用することができる。
【0092】
支持フレームFLは、撮像装置CM及び光源装置LTを支持している。撮像装置CM及び光源装置LTは、一体的に移動可能となるように支持フレームFLに接続されている。撮像装置CM及び光源装置LTは、支持フレームFLに対して着脱可能に設けられている。支持フレームFLは、例えばノズル32をY方向に跨ぐ範囲で移動可能に設けられている。支持フレームFLには、例えば不図示のロック機構が設けられている。当該ロック機構は、支持フレームFLが待機部48に配置されている場合にはロックが解除されるようになっている。ロックが解除されている状態では、撮像装置CM及び光源装置LTが取り外し可能となる。また、支持フレームFLが待機部48に配置されていない場合には、ロックが掛けられるようになっている。ロックが掛けられた状態では、撮像装置CM及び光源装置LTの取り外しは不可能となる。
【0093】
第一駆動機構AC1は、支持フレームFLをY方向に移動させるアクチュエーターである。第一駆動機構AC1は、支持フレームFLを移動させることにより、撮像装置CMと光源装置LTとを一体的に移動することができるようになっている。このため、本実施形態における画像取得部IMCは、光源装置LTによる照明光L1及びL2の照射位置と撮像装置CMの撮像位置との位置関係を保持したまま撮像装置CMを移動することができる構成である。
【0094】
第一駆動機構AC1としては、例えばリニアモータ機構やエアシリンダ機構、モーター機構、ベルト機構などが挙げられる。第一駆動機構AC1は、制御部CONTの制御により、支持フレームFLの駆動量及び駆動のタイミング、駆動速度などのパラメータを調整可能である。例えば、制御部CONTは、撮像装置CMと上記のノズル洗浄装置43とが同期して移動するように、第一駆動機構AC1及び上記の第二駆動機構AC2を制御することができるようになっている。
【0095】
(処理ステージ)
次に、上記の処理ステージ27に設けられた検出部MSの構成を説明する。
図10は、処理ステージ27の構成を示す平面図である。
処理ステージ27には、塗布浮上領域(第二浮上部)TCと、浮上量緩和領域(浮上量調整部)RCとが設けられている。塗布浮上領域TCは、処理ステージ27のX方向のほぼ中央に配置されている。塗布浮上領域TCは、ノズル32の開口部32aに対向する吐出領域CAを含む領域である。塗布浮上領域TCは、例えばX方向における処理ステージ27の全寸法のうち40%〜60%の寸法となるように形成されている。
【0096】
浮上量緩和領域RCは、塗布浮上領域TCの上流側(−X側)に設けられた上流側緩和領域(上流側調整部)RAと、塗布浮上領域TCの下流側(+X側)に設けられた下流側緩和領域RBとを有している。浮上量緩和領域RCは、第一浮上部である基板搬入領域20と第二浮上部である塗布浮上領域TCとの間、及び、第二浮上部である塗布浮上領域TCと第一浮上部である基板搬出領域22との間、でそれぞれ基板Sの浮上量が急激に変化するのを緩和する部分である。
【0097】
基板搬入領域20における基板Sの浮上量及び基板搬出領域22における基板Sの浮上量としては、例えば200μm〜300μm程度に設定されている。塗布浮上領域TCにおける基板Sの浮上量は、搬入側領域FA及び搬出側領域FBの浮上量よりも小さくなっており、例えば30μm程度に設定されている。浮上量緩和領域RCにおける基板Sの浮上量は、基板搬入領域20及び基板搬出領域22における基板Sの浮上量と、塗布浮上領域TCにおける基板Sの浮上量との間で適宜設定されている。
【0098】
複数の検出部MSは、それぞれ基板Sが通過する領域内に配置されている。本実施形態では、検出部MSは、処理ステージ27のうちX方向上の3箇所に設けられている(検出部MS1〜MS3)。各検出部MS1〜MS3には、それぞれ処理ステージ27のY方向の中央部と、Y方向の両端部とに1つずつ検出部MSが配置されている。このように、基板Sの搬送方向と直交する方向に分散して配置することにより、基板S全体における浮上量を検出可能になっている。
【0099】
また、検出部MSを基板Sの搬送方向にも分散して配置することにより、基板Sの各搬送位置における浮上量を検出可能になっている。本実施形態では、基板Sの浮上量が変化する位置に検出部MSが設けられているため、当該基板Sの浮上量の管理がより厳密に行われるようになっている。
【0100】
上記の配置において、複数の検出部MSは、処理ステージ27のうちそれぞれ吐出領域CAから外れた位置に設けられている。ノズル32の開口部32aから吐出されるレジストRが検出部MSに直接掛かりにくいため、検出部MSの検出結果に誤差が生じるのを防ぐことができる構成となっている。
【0101】
処理ステージ27には、検出部MSを収容するための開口部(検出用開口部)27dが形成されている。各検出部MSは、この検出用開口部27d内に配置されている。検出用開口部27d(及び検出部MS)は、エア噴出口27a及びエア吸引口27bから外れた位置にそれぞれ設けられている。このため、各エア噴出口27aによる気体の噴出及びエア吸引口27bによる吸引にそれぞれ影響が及ばない構成となっている。
【0102】
検出用開口部27dは、内部に検出部MSを収容する不図示のポートを有している。検出部MSが当該ポートに収容されることにより、例えば検出部MSは、上端(+Z側の端部)がステージ表面27cに対して所定の深さ(1mm程度)だけ−Z側に位置するように配置される。検出部MSは、例えば+Z側が球面状に形成されている。
【0103】
当該球面状に形成された部分の内部には、例えば不図示の発光部及び受光部が設けられている。発光部は、基板Sの−Z側の面に向けて検出光を照射する。受光部は、当該基板Sの−Z側の面で反射された検出光を受光する。発光部としては、例えばレーザダイオードなどが用いられる。また、受光部としては、例えばフォトダイオードなどが用いられる。発光部及び受光部は、例えば上記の制御部CONTに接続されている。制御部CONTは、発光部における検出光の照射のタイミングや照射強度などを制御すると共に、受光部によって検出された検出光の解析を行う。
【0104】
次に、上記のように構成された塗布装置1の動作を説明する。
図11〜図13は、塗布装置1の動作過程を示す平面図である。各図を参照して、基板Sにレジストを塗布する動作を説明する。この動作では、基板Sを基板搬入領域20に搬入し、当該基板Sを浮上させて搬送しつつ塗布処理領域21でレジストを塗布し、当該レジストを塗布した基板Sを基板搬出領域22から搬出する。図11〜図13には門型フレーム31及び管理部4の輪郭のみを破線で示し、ノズル32及び処理ステージ27の構成を判別しやすくした。以下、各部分における詳細な動作を説明する。
【0105】
基板搬入領域20に基板を搬入する前に、塗布装置1をスタンバイさせておく。具体的には、搬入側ステージ25の基板搬入位置の−Y方向側に第一搬送機構60の搬送機60aを配置させ、真空パッド60bの高さ位置を基板の浮上高さ位置に合わせておくと共に、搬入側ステージ25のエア噴出口25a、処理ステージ27のエア噴出口27a、エア吸引口27b及び搬出側ステージ28のエア噴出口28aからそれぞれエアを噴出又は吸引し、各ステージ表面に基板が浮上する程度にエアが供給された状態にしておく。
【0106】
この状態で、例えば図示しない搬送アームなどによって外部から図3に示した基板搬入位置に基板Sが搬送されてきたら、昇降部材26aを+Z方向に移動させて昇降ピン26bを昇降ピン出没孔25bからステージ表面25cに突出させる。そして、昇降ピン26bによって基板Sが持ち上げられ、当該基板Sの受け取りが行われる。また、アライメント装置25dの長孔から位置合わせ部材をステージ表面25cに突出させておく。
【0107】
基板Sを受け取った後、昇降部材26aを下降させて昇降ピン26bを昇降ピン出没孔25b内に収容する。このとき、ステージ表面25cにはエアの層が形成されているため、基板Sは当該エアによりステージ表面25cに対して浮上した状態で保持される。基板Sがエア層の表面に到達した際、アライメント装置25dの位置合わせ部材によって基板Sの位置合わせが行われ、基板搬入位置の−Y方向側に配置された第一搬送機構60の移動機構63により搬送機60aの真空パッド60bを基板Sの−Y方向側端部に真空吸着させることができる(図3)。真空パッド60bによって基板Sの−Y方向側端部が吸着された後、搬送機60aをレール60cに沿って移動させる。基板Sが浮上した状態になっているため、搬送機60aの駆動力を比較的小さくしても基板Sはレール60cに沿ってスムーズに移動する(浮上搬送ステップ)。
【0108】
基板Sの搬送方向の先端が、処理ステージ27に差し掛かったら、制御部CONTは、検出部MSを用いて基板Sの−Z側の面とステージ表面27cとの距離(浮上量)を検出させる。また、基板Sの搬送方向先端がノズル32の開口部32aの位置に到達したら、図11に示すように、ノズル32の開口部32aから基板Sへ向けてレジストを吐出する。レジストの吐出は、ノズル32の位置を固定させ搬送機60aによって基板Sを搬送させながら行う。
【0109】
制御部CONTにおいては、検出部MSにおける検出結果に基づいて、基板Sの浮上量を調整しても構わない。この場合、例えば制御部CONTは、エア噴出口27aからのエア噴出量や、エア吸引口27bの吸引量を調整することにより、基板Sの浮上量を調整可能である。
【0110】
制御部CONTは、第一搬送機構60により搬送される基板Sに対してレジスト塗布を行っている途中において、例えば図示しない搬送アームなどによって外部から基板搬入位置に他の基板S´の受け渡しを行わせる。制御部CONTは、基板S´を受け取らせた後、昇降部材26aを下降させて昇降ピン26bを昇降ピン出没孔25b内に収容することで、基板S´はエアによりステージ表面25cに対して浮上した状態で保持される。
【0111】
基板S´がエア層の表面に到達した際、制御部CONTは、アライメント装置25dの位置合わせ部材によって基板Sの位置合わせを行わせる。その後、制御部CONTは、基板搬入位置の−Z方向側に配置された第二搬送機構61の昇降機構62により搬送機61aを上昇させ、真空パッド61bを基板Sの−Y方向側端部に真空吸着させる。制御部CONTは、当該基板S´についても、上記の基板Sと同様に浮上量の検出を適宜行わせる。
【0112】
このように本実施形態では、第一搬送機構60の搬送機60aと第二搬送機構61の搬送機61aとがそれぞれ独立して移動可能となっているので、第一搬送機構60によって搬送される基板Sに対するレジスト塗布の処理が終了する前に、第二搬送機構61により他の基板S´をステージ上に搬送することができる。よって、片持ち状態で順次搬送する基板S、S´上にレジストを良好に塗布することができ、レジスト塗布処理において高いスループットを得ることができる。
【0113】
一方、基板Sの移動に伴い、図12に示すように基板S上にレジスト膜Rが塗布されていく。基板Sがレジストを吐出する開口部32aの下を通過することにより、基板Sの所定の領域にレジスト膜Rが形成される。また、制御部CONTは、第二搬送機構61の搬送機61aを制御して基板S´を開口部32aの下方に移動させる。
【0114】
レジスト膜Rの形成された基板Sは、搬送機60aによって搬出側ステージ28へと搬送される。搬出側ステージ28では、ステージ表面28cに対して浮上した状態で、図13に示す基板搬出位置まで基板Sが搬送される。また、搬送機61aにより搬送された他の基板S´が開口部32aの下を通過することにより、他の基板S´の所定の領域にレジスト膜Rが形成される。
【0115】
基板Sが基板搬出位置に到達した後、制御部CONTは、真空パッド60bの吸着を解除させ、リフト機構29の昇降部材29aを+Z方向に移動させる。この動作により、昇降ピン29bが昇降ピン出没孔28bから基板Sの裏面へ突出し、基板Sが昇降ピン29bによって持ち上げられる。この状態で、制御部CONTは、例えば搬出側ステージ28の+X方向側に設けられた外部の搬送アームを搬出側ステージ28にアクセスさせ、基板Sを受け取らせる。基板Sが搬送アームに渡された後、制御部CONTは、第一搬送機構60を制御して搬送機60a(真空パッド60b)を基板Sの下方から退避させ、他の基板S´を搬送している第二搬送機構61の搬送経路(移動経路)から退避させる。
【0116】
この状態で制御部CONTは、第一搬送機構60を再び搬入側ステージ25の基板搬入位置まで戻させ、次の基板が搬送されるまで待機させる。このとき、図13に示されるように、第二搬送機構61に搬送される基板S´に対してレジスト塗布が行われているが、第一搬送機構60が上述のように第二搬送機構61の搬送経路から退避しているので、第二搬送機構61に接触せずに済む。このため、第一搬送機構60は、他の基板S´の搬送を妨げることが無く、搬入側ステージ25の基板搬入位置まで戻ることができる。
【0117】
また、第二搬送機構61により搬送された基板S´が基板搬出位置に到達した後、制御部CONTは、基板Sの場合と同様に、外部の搬送アームによって基板S´を受け取らせる。基板S´が外部の搬送アームによって搬出された後、制御部CONTは、第二搬送機構61を再び搬入側ステージ25の基板搬入位置まで戻させ、次の基板が搬送されるまで待機させる。
【0118】
上記のように、塗布部3には基板が時間的間隔を空けて搬送されてくる。このため、制御部CONTは、塗布部3に基板が搬送されない期間を利用して、ノズル32の吐出状態を維持あるいは改善するための管理動作を行わせる。当該管理動作には、管理部4が用いられる。
【0119】
制御部CONTは、図14に示すように、移動機構31cによって門型フレーム31を管理部4の位置まで−X方向へ移動させる。管理部4の位置まで門型フレーム31を移動させた後、まず、門型フレーム31の位置を調整してノズル32の先端をノズル洗浄装置43にアクセスさせ、当該ノズル洗浄装置43によってノズル先端32cを洗浄する(清掃ステップ)。
【0120】
ノズル洗浄装置43による洗浄動作では、ノズル32の先端の開口部32aの周辺領域32dに向けて洗浄液を噴出し、必要に応じて窒素ガスを噴出しながらノズル洗浄装置43を+Y方向にスキャンさせる。このとき、図15に示すように、制御部CONTは、パッド43cの上面43fをノズル先端32c及び周辺領域32dに当接させる。上面43fはノズル先端32c及び周辺領域32dの形状に対応しているため、上面43fとノズル32との間に隙間が無いように当接されることになる。また、制御部CONTは、図15に示すように、吸引孔43eにおいて周囲の雰囲気を吸引させる。
【0121】
この状態で、図16に示すように、ノズル洗浄装置43の洗浄液噴出孔43gから洗浄液を噴出させると共にエアナイフ噴出口43d及びエアナイフ噴出口43hからエアナイフを噴出させながらノズル洗浄装置43を走査させる。この走査により、パッド43cが洗浄液と共にノズル32のうちノズル先端32c及び周辺領域32d摺動して洗浄し、この洗浄液を掻き出しながら当該ノズル先端32c及び周辺領域32dを乾燥する。
【0122】
また、エアナイフ噴出口43d及びエアナイフ噴出口43hから噴出されるエアナイフがノズル32の周辺領域32dに吹き付けられ、当該周辺領域32dが乾燥する。エアナイフ噴出口43dは摺動方向の最後尾に設けられているため、パッド43cによる摺動の後で乾燥することになる。また、エアの噴出及び吸引孔43eにおける吸引によって、洗浄液及び除去された付着物が吸引孔43eに吸引されることとなる。このように、ノズル先端32cの洗浄が行われる。
【0123】
ノズル先端32cの洗浄後、制御部CONTは、画像取得部IMCを用いて洗浄後のノズル先端32cの画像を取得させる(画像取得ステップ)。なお、画像取得ステップを行わせるまでは、制御部CONTは、画像取得部IMCを待機部48に待機させておくようにする(待機ステップ)。待機部48はノズル洗浄装置43の移動経路から外れた位置に設けられているため、画像取得部IMCを待機部48に待機させた状態においては、ノズル洗浄装置43の洗浄動作の妨げにならずに済むことになる。
【0124】
画像取得ステップを行う場合、制御部CONTは、第一駆動機構AC1を用いて支持フレームFLを+Y方向に移動させる。支持フレームFLの移動により、当該支持フレームFLと一体的に設けられた撮像装置CM及び光源装置LTが+Y方向に移動する。
【0125】
撮像装置CMがノズル32の−Z側に到達した後、制御部CONTは、図17に示すように、支持フレームFLを+Y方向に移動させつつ、上流側光源装置LT1からノズル先端32cに対して照明光L1を照射させると共に、下流側光源装置LT2からノズル先端32cに対して照明光L2を照射させる(光照射ステップ)。このとき、制御部CONTは、照明光L1及びL2として液状体が感光しない波長の光が照射されるように波長調整部49を制御する。制御部CONTは、ノズル先端32cのうち照明光L1及びL2が照射された領域L3を、撮像装置CMによって撮像させる。撮像装置CMがノズル先端32cの+Y側の端部まで移動した後、制御部CONTは当該移動を停止させる。
【0126】
この動作により、洗浄後のノズル先端32cの画像がY方向の全体に亘って撮像されることになる。撮像された画像は、制御部CONTに送信され、表示部DPに表示される(表示ステップ)。作業者は、表示部DPに表示された画像を見ることにより、ノズル先端32cの状態を確認することができる。
【0127】
作業者が確認した結果、例えばノズル先端32cが清浄である場合には、ノズル先端32cの洗浄を終了させるように制御部CONTに指令を与えるようにする。また、例えばノズル先端32cに異物が付着している場合には、ノズル先端32cに対して再度洗浄動作を行わせるよう制御部CONTに指令を与えるようにする。
【0128】
また、作業者が表示部DPを確認して判断する他に、例えば制御部CONTによって判断を行わせるようにしても構わない。この場合、撮像装置CMによって撮像された画像から例えば単位面積あたりの汚染量を算出し、当該単位面積あたりの汚染量に基づいて再度洗浄動作を行わせるか否かの判断を行うようにしても構わない。例えば、一例として、単位面積あたりの汚染量が30%以上である場合に再度ノズル洗浄装置43による洗浄動作を行わせるようにしても構わない。また、例えば頻繁にノズル先端32cの確認を行う場合には、単位面積あたりの汚染量が10%以上の場合に洗浄動作を再度行わせるようにしても構わない。この閾値については、例えば予め設定しておく構成とすることができる。また、当該設定値を任意に変更可能な構成とすることもできる。
【0129】
なお、例えば図18に示すように、制御部CONTは、第二駆動部AC2によってノズル洗浄装置43を+Y方向に移動させてノズル先端32cの洗浄動作を行わせつつ、第一駆動部AC1によって撮像装置CM(支持フレームFL)を+Y方向に移動させて洗浄後のノズル先端32cを撮像させるようにしても構わない。
【0130】
このように、ノズル洗浄装置43の移動と撮像装置CMの移動とを同期させるようにしても構わない。この場合、ノズル洗浄装置43の後を追うように撮像装置CMを移動させつつノズル先端32cを撮像させることにより、洗浄直後のノズル先端32cの画像が取得されることになる。このため、より短時間で洗浄動作及び画像取得動作を行わせることができる。
【0131】
ノズル先端32cの洗浄後、当該ノズル32を予備吐出機構41にアクセスさせる。予備吐出機構41では、開口部32aと予備吐出面との間の距離を測定しながらノズル32の先端の開口部32aをZ方向上の所定の位置に移動させ、ノズル32を−X方向へ移動させながら開口部32aからレジストを予備吐出する。
【0132】
予備吐出動作を行った後、門型フレーム31を元の位置に戻す。次の基板Sが搬送されてきたら、図19に示すようにノズル32をZ方向上の所定の位置に移動させる。このように、基板Sにレジスト膜Rを塗布する塗布動作と予備吐出動作とを繰り返し行わせることで、基板Sには良質なレジスト膜Rが形成されることになる。
【0133】
なお、必要に応じて、例えば管理部4に所定の回数アクセスする毎に、当該ノズル32をディップ槽42内にアクセスさせても良い。ディップ槽42では、ノズル32の開口部32aをディップ槽42に貯留された溶剤(シンナー)の蒸気雰囲気に曝すことでノズル32の乾燥を防止する。
【0134】
以上のように、本実施形態によれば、ノズル32に設けられるノズル先端32cの画像を取得することができる。当該取得した画像を例えば表示部DPなどに表示させることにより、ノズル先端32cの状態を確認することができる。この場合、確認の結果に基づいて、例えばノズル先端32cを再度洗浄したり、ノズル先端32cの洗浄動作を終了させたりすることができるため、ノズル32のメンテナンス性を向上させることができる。
【0135】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
例えば、上記実施形態では、第一搬送機構60及び第二搬送機構61が、それぞれ搬送機60a、61aを一個ずつ備えた構成について説明したが、本発明はこれに限定されることはない。
【0136】
図20に示すように、第一搬送機構60としてレール60cに搬送機60aが3個設けられた構成とすることができる。なお、図20においては、図示を省略するものの、第二搬送機構61についても搬送機61aを3個備えた構成とすることができる。また、本説明では、搬送機60a、61aが3個ずつ備える構成について説明するが、本発明はこれに限定されることは無く、搬送機60a、61aを2個ずつ、或いは4個以上ずつ備える構成についても適用可能である。
【0137】
図20に示す構成において、基板Sの搬送方向上流側から順に第1の搬送機161、第2の搬送機162、第3の搬送機163と表記する。また、これらを総称する場合には、搬送機161、162、163と表記する。
【0138】
これら搬送機161、162、163は、基板Sの搬送時においてはそれぞれが同期した状態でレール60c上を移動する。また、各搬送機161、162、163は、基板Sの非搬送時においては、レール60c上でそれぞれ独立に移動可能となっている。この構成によれば、搬送する基板Sの長さに応じて各搬送機161、162、163における基板Sの保持位置を任意に設定することができる。
【0139】
搬送機161の真空パッド60bは、基板Sの搬送方向前方側の端部から250mm以内を保持するのが好ましく、80mm以内とするのが望ましい。具体的に搬送機161は、基板Sの搬送方向前方の端部から真空パッド60bまでの距離W1が80mm以内となるように基板Sを保持している。
【0140】
また、搬送機163の真空パッド60bは、基板Sの搬送方向後方側の端部から250mm以内を保持するのが好ましく、80mm以内とするのが望ましい。具体的に搬送機163は、基板Sの搬送方向後方の端部から真空パッド60bまでの距離W2が80mm以内となるように基板Sを保持している。
【0141】
これら搬送機161、162、163により基板Sが均一に保持されて、基板端部が垂れ下がることが防止され、大型の基板Sを均一に浮上させた状態で搬送することができる。したがって、大型の基板S上に塗布されるレジストを乾燥固化させた膜にムラが生じるのを防止できる。
【0142】
また、上記実施形態では、ノズル洗浄装置43と画像取得部IMCとが別個に設けられた構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば、図21に示すように、ノズル洗浄装置43と画像取得部IMCとが一体的に設けられた構成であっても構わない。
【0143】
図21に示すように、画像取得部IMC及びノズル洗浄装置43は、共通の支持フレームFLに接続されている。この支持フレームFLは、画像取得部IMCに接続された第一支持部FLaと、ノズル洗浄装置43に接続された第二支持部FLbとを有している。第一支持部FLa及び第二支持部FLbは、一体的に接合されている。第二支持部FLbは、第一支持部FLaに対して+Y側に配置されている。このため、支持フレームFLに支持された状態において、ノズル洗浄装置43は画像取得部IMC(撮像装置CM)よりも+Y側に配置された状態となる。
【0144】
このように、画像取得部IMCとノズル洗浄装置43とは、支持フレームFLを介して一体的に移動可能になっている。したがって、ノズル洗浄装置43を駆動する第二駆動機構AC2を用いて、ノズル洗浄装置43、支持フレームFL及び画像取得部IMCを一体的に駆動することができるようになっている。したがって、第二駆動機構AC2が画像取得部IMCの駆動機構(上記実施形態では第一駆動機構AC1に相当する構成)を兼ねていることになる。
【0145】
支持フレームFLの−Z側には、例えばY方向に延在するガイド部材Gが設けられている。ガイド部材Gは、支持フレームFLのY方向の移動を案内する。このため、画像取得部IMC及びノズル洗浄装置43は、共通のガイド部材GによってY方向の移動が案内されることになる。
【0146】
図21に示す構成においては、画像取得部IMCのうち撮像装置CMは、支持フレームFL(第一支持部FLa)に対して着脱可能に設けられている。第一支持部FLaから取り外された撮像装置CMは、例えば待機部48に待機させることができるようになっている。なお、撮像装置CMを第一支持部FLaに対して着脱させる着脱機構(不図示)や、待機部48と第一支持部FLaとの間で撮像装置CMを移動させたりする移動機構(不図示)は、別途設けられている。
【0147】
図21のように構成された画像取得部IMC及びノズル洗浄装置43を用いてノズル32のメンテナンス動作を行う場合、制御部CONTは、まず撮像装置CMを第一支持部FLaに装着させる。その後、制御部CONTは、図22に示すように、第二駆動機構AC2を用いてノズル洗浄装置43と画像取得部IMCとを一体的に+Y方向に移動させる。
【0148】
この動作により、ノズル洗浄装置43が画像取得部IMCに先行して+Y方向に移動することになる。制御部CONTは、ノズル洗浄装置43に洗浄動作を行わせると共に、画像取得部IMCにノズル先端32cの画像を取得させる。この場合、ノズル洗浄装置43によって洗浄された直後のノズル先端32cの画像を取得することができる。このため、より短時間で洗浄動作及び画像取得動作を行わせることができる。
【0149】
なお、図21に示す構成では、画像取得部IMC(例えば撮像装置CM)が支持フレームFLを介してノズル洗浄装置43に装着される構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば、画像取得部IMC(撮像装置CM)がノズル洗浄装置43に直接装着される構成であっても構わない。この場合、例えばノズル洗浄装置43の−Y側の面に装着させることができる。勿論、ノズル洗浄装置43の他の面に装着する構成であっても構わない。
【0150】
また、上記実施形態においては、清掃部の一例として、ノズル先端32cに洗浄液を供給して洗浄するノズル洗浄装置43を有する構成を説明したが、これに限られることは無い。清掃部として、洗浄液を用いない構成、例えば掻き取りあるいはエアナイフなどによってノズル先端32cを清掃する構成であっても構わない。
【0151】
また、上記実施形態においては、基板Sを浮上させて搬送する構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば、ローラーなどを用いて基板Sを搬送する構成であっても構わない。
【0152】
また、上記実施形態においては、表示部DPを塗布装置1の一部とする構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無く、表示部DPが塗布装置1の外部に設けられる構成であっても構わない。
【0153】
また、上記実施形態においては、液状体として、例えばカラーフィルタの各色層の顔料分散型レジストを用いる場合のみならず、例えばTFTなどの素子や配線を形成するポジ型フォトレジストを用いる場合であっても、上記構成の適用は可能である。
【符号の説明】
【0154】
CONT…制御部 DP…表示部 IMC…画像取得部 CM…撮像装置 LT…光源装置 FL…支持フレーム FLa…第一支持部 FLb…第二支持部 L1…照明光 L2…照明光 L3…領域 G…ガイド部材 4…管理部 41…予備吐出機構 42…ディップ槽 43…ノズル洗浄装置 43c…パッド 43d…エアナイフ噴出口 43g…洗浄液噴出孔 48…待機部 49…波長調整部 S…基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持する基板保持部と、
前記基板との間で相対的に移動可能に設けられ、前記基板に対して先端部から液状体を吐出するノズルを有する塗布部と、
前記ノズルの前記先端部の画像を取得する画像取得部と
を備える塗布装置。
【請求項2】
前記画像取得部は、前記先端部に対して前記液状体が吐出される吐出方向上の位置から前記先端部を撮像する撮像機構を有する
請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
前記ノズルは、長尺状に形成されており、
前記画像取得部は、前記撮像機構を前記ノズルの長手方向に駆動する駆動機構を有する
請求項2に記載の塗布装置。
【請求項4】
前記先端部を清掃する清掃部を更に備え、
前記清掃部は、前記先端部に対向される清掃機構と、前記清掃機構を前記長手方向に駆動する第二駆動機構と、を有し、
前記撮像機構と前記清掃機構とが同期して移動するように、前記駆動機構と前記第二駆動機構とを制御する制御部を更に備える
請求項3に記載の塗布装置。
【請求項5】
前記清掃機構は、前記先端部を払拭する払拭部を有する
請求項4に記載の塗布装置。
【請求項6】
前記清掃機構は、前記先端部に洗浄液を供給する洗浄液供給部を有する
請求項4又は請求項5に記載の塗布装置。
【請求項7】
前記駆動機構及び前記第二駆動機構は、前記撮像機構及び前記清掃機構を案内する共通のガイド部を有する
請求項4から請求項6のうちいずれか一項に記載の塗布装置。
【請求項8】
前記第二駆動機構は、前記駆動機構を兼ねている
請求項3から請求項7のうちいずれか一項に記載の塗布装置。
【請求項9】
前記撮像機構は、前記清掃機構に対して着脱可能に設けられている
請求項8に記載の塗布装置。
【請求項10】
前記第二駆動機構は、前記清掃機構を保持して移動可能な移動子を有し、
前記撮像機構は、前記移動子に対して着脱可能に設けられている
請求項8に記載の塗布装置。
【請求項11】
前記清掃機構の移動経路から外れた位置に設けられ、前記撮像機構を待機させる待機部
を更に備える請求項4から請求項10のうちいずれか一項に記載の塗布装置。
【請求項12】
前記ノズルとの間で相対的に移動可能に設けられ、前記先端部の状態を管理する管理部
を更に備え、
前記画像取得部及び前記清掃部は、前記管理部に設けられている
請求項4から請求項11のうちいずれか一項に記載の塗布装置。
【請求項13】
前記画像取得部は、前記先端部に光を照射する光源を有する
請求項1から請求項12のうちいずれか一項に記載の塗布装置。
【請求項14】
前記光源は、前記先端部に対して前記液状体が吐出される吐出方向上から外れた位置に設けられている
請求項13に記載の塗布装置。
【請求項15】
前記光源は、前記光の波長を調整する波長調整部を有する
請求項13又は請求項14に記載の塗布装置。
【請求項16】
前記画像取得部によって取得された前記画像を表示する表示部
を更に備える請求項1から請求項15のうちいずれか一項に記載の塗布装置。
【請求項17】
前記基板保持部は、前記基板を浮上させて搬送する浮上搬送機構を有する
請求項1から請求項16のうちいずれか一項に記載の塗布装置。
【請求項18】
基板を保持する基板保持ステップと、
前記基板と、先端部から液状体を吐出するノズルとを相対的に移動させつつ、前記基板に対して前記先端部から液状体を吐出する塗布ステップと、
前記塗布ステップの後、前記ノズルの前記先端部の画像を取得する画像取得ステップと
を含む塗布方法。
【請求項19】
前記画像取得ステップは、撮像機構を用いて前記先端部に対して前記液状体が吐出される吐出方向上の位置から前記先端部を撮像することを含む
請求項17に記載の塗布方法。
【請求項20】
前記ノズルは、長尺状に形成されており、
前記画像取得ステップは、前記撮像機構を前記ノズルの長手方向に駆動することを含む
請求項19に記載の塗布方法。
【請求項21】
前記先端部を清掃する清掃ステップを更に含み、
前記清掃ステップは、清掃機構を前記長手方向に移動させつつ当該清掃機構を前記先端部に対向配置させる対向配置ステップを含み、
前記画像取得ステップは、前記対向配置ステップの後に行われる
請求項20に記載の塗布方法。
【請求項22】
前記清掃ステップは、前記清掃機構に設けられる払拭部により前記先端部を払拭することを含む
請求項21に記載の塗布装置。
【請求項23】
前記清掃ステップは、前記清掃機構に設けられる洗浄液供給部により前記先端部に洗浄液を供給することを含む
請求項21又は請求項22に記載の塗布装置。
【請求項24】
前記清掃ステップ及び前記画像取得ステップでは、前記撮像機構及び前記清掃機構が共通のガイド部に案内されるようにすることを含む
請求項21から請求項23のうちいずれか一項に記載の塗布方法。
【請求項25】
前記画像取得ステップは、前記清掃機構と、前記撮像機構とを、一体的に移動させることを含む
請求項20から請求項24のうちいずれか一項に記載の塗布方法。
【請求項26】
前記画像取得ステップに先立ち、前記清掃機構に対して前記撮像機構を装着する
請求項25に記載の塗布方法。
【請求項27】
前記画像取得ステップに先立ち、前記清掃機構を保持して移動可能な移動子に対して前記撮像機構を装着する
請求項25に記載の塗布方法。
【請求項28】
前記清掃機構の移動経路から外れた位置に前記撮像機構を待機させる待機ステップ
を更に含む請求項21から請求項27のうちいずれか一項に記載の塗布方法。
【請求項29】
前記画像取得ステップは、前記先端部に光を照射する光照射ステップを含む
請求項18から請求項28のうちいずれか一項に記載の塗布方法。
【請求項30】
前記光照射ステップは、前記先端部に対して前記液状体が吐出される吐出方向上から外れた位置から前記光を照射することを含む
請求項29に記載の塗布方法。
【請求項31】
前記光照射ステップは、前記光の波長を調整することを含む
請求項29又は請求項30に記載の塗布方法。
【請求項32】
前記画像取得ステップによって取得された前記画像を表示する表示ステップ
を更に含む請求項18から請求項31のうちいずれか一項に記載の塗布方法。
【請求項33】
前記基板保持ステップは、前記基板を浮上させて搬送する浮上搬送ステップを有する
請求項18から請求項32のうちいずれか一項に記載の塗布方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−135725(P2012−135725A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290147(P2010−290147)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】