説明

塗布量検出装置及び塗布量検出方法

【課題】電子部品が接着される領域における粘着剤の塗布量を正確に検出する。
【解決手段】基材上に導電パターンが形成されるとともに粘着剤によってICチップが接着された電子基板に対して、導電パターンが形成されるとともに粘着剤によってICチップが接着された面側から同軸照明光を照射する同軸照明ライト10及びハーフミラー30と、電子基板のそれとは反対側の面側からバックライトを照射するライト20と、電子基板の同軸照明光が照射される面側から電子基板を撮像するカメラヘッド50と、カメラヘッド50にて撮像された画像の明るさが所定値以下となる領域の面積に基づいて粘着剤の塗布量を検出する検出部60とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子基板において基材上に塗布された粘着剤の塗布量を検出する塗布量検出装置及び塗布量検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、情報化社会の進展に伴って、情報をカードに記録し、該カードを用いた情報管理や決済等が行われている。また、商品等に貼付されるラベルやタグに情報を記録し、このラベルやタグを用いての商品等の管理も行われている。このようなカードやラベル、あるいはタグを用いた情報管理においては、カードやラベル、あるいはタグに対して非接触状態にて情報の書き込みや読み出しを行うことが可能なICチップが搭載された非接触型ICカードや非接触型ICラベル、あるいは非接触型ICタグがその優れた利便性から急速な普及が進みつつある。
【0003】
このような非接触型ICカードや非接触型ICラベル、あるいは非接触型ICタグといったRF−IDメディアは、ベース基材上に導電性のアンテナが形成されるとともにこのアンテナに接続されるようにICチップが搭載されてなるインレットが表面シートやカード基材に挟み込まれて構成されているが、ICチップは、ベース基材上に塗布された粘着剤によってアンテナに接続された状態でベース基材に接着されている。
【0004】
このように、ベース基材上に塗布された粘着剤によってICチップを接着する場合、その粘着剤の塗布量は、ベース基材に対するICチップの接着力やICチップとアンテナとの導通性に大きく影響するため、正確に管理する必要がある。特に、ベース基材にICチップを接着するための粘着剤として、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)を用いた場合、その塗布量によってはICチップとアンテナとの接続不良が生じてしまうため、正確に管理する必要がある。ところが、粘着剤は周囲温度によって粘度が変化するため、正確な管理を行うことが難しい。
【0005】
そこで、プリント基板上に電子部品を固定するための粘着剤を塗布する場合に、プリント基板の電子部品が接着される領域とは異なる領域に粘着剤を予め塗布し、その塗布量をカメラで撮影して塗布量を検出し、この塗布量をプリント基板の電子部品が搭載される領域に対する粘着剤の塗布処理にフィードバックして粘着剤の塗布量を管理する技術が考えられており、例えば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4―48687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したように、プリント基板の電子部品が接着される領域とは異なる領域に粘着剤を予め塗布し、その塗布量をカメラで撮影して塗布量を検出し、この塗布量をプリント基板の電子部品が搭載される領域に対する粘着剤の塗布処理にフィードバックして粘着剤の塗布量を管理するものにおいては、電子部品が実際に接着される領域とは異なる領域に粘着剤を予め塗布し、その塗布量に基づいて粘着剤の塗布量を管理するものであるため、プリント基板上に電子部品が接着される領域における粘着剤の塗布量を正確に管理できるとは言い難い。
【0008】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、基材上に導電パターンが形成されるとともに導電パターンの一部に塗布された粘着剤上に電子部品が載置されて接着された電子基板において、電子部品が接着される領域における粘着剤の塗布量を正確に検出することができる塗布量検出装置及び塗布量検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、
光透過性を有する基材上に、光透過性を有さない導電性材料からなる導電パターンが形成されるとともに、前記導電パターンの一部に塗布された粘着剤上に、上面が平坦形状の電子部品が載置されて接着された電子基板における前記粘着剤の塗布量を検出する塗布量検出装置であって、
前記基材の前記導電パターンが形成された面側から同軸照明光を照射する第1の照射源と、
前記基材の前記導電パターンが形成された面とは反対側の面側から光を照射する第2の照射源と、
前記基材を前記同軸照明光が照射される面側から撮像する撮像手段と、
前記撮像手段にて撮像された画像の明るさが所定値以下となる領域の面積に基づいて前記粘着剤の塗布量を検出する検出手段とを有する。
【0010】
上記のように構成された本発明においては、光透過性を有する基材上に、光透過性を有さない導電性材料からなる導電パターンが形成されるとともに、導電パターンの一部に塗布された粘着剤上に、上面が平坦形状の電子部品が載置されて接着された電子基板に対して、第1の照射源において、基材の導電パターンが形成された面側から同軸照明光が照射される。すると、導電パターンが光透過性を有さない導電性材料からなるものであり、また、電子部品は上面が平坦形状を有するものであることから、第1の照射源から照射された同軸照明光は導電パターンと電子部品が配置された領域においては、同軸照明光が照射されてくる方向に反射する。また、基材が光透過性を有するものであることから、基材のみからなる領域においては、第1の照射源から照射された同軸照明光は基材を透過する。また、基材上に塗布された粘着剤は、その上に電子部品が載置されることによりお椀型が潰れたような形状となっているため、第1の照射源から照射された同軸照明光は、同軸照明光が照射されてくる方向とは異なる方向に乱反射する。そのため、撮像手段において、基材を同軸照明光が照射されてくる面側から撮像された画像においては、電子基板のうち電子部品と導電パターンが配置された領域の明るさが明るく所定値を超えたものとなる。また、第2の照射源において、基材の導電パターンが形成された面とは反対側の面側から光が照射される。すると、基材が光透過性を有するものであることから、基材のみからなる領域においては、第2の照射源から照射された光が基材を透過する。そのため、撮像手段において、同軸照明光が照射されてくる面側から撮像された画像においては、電子基板のうち基材のみからなる領域の明るさも明るくなって所定値を超えたものとなる。これにより、撮像手段において撮像された画像のうち、粘着剤が塗布された領域のみの画像の明るさが所定値以下となり、検出手段において、撮像手段にて撮像された画像の明るさが所定値以下となる領域の面積に基づいて粘着剤の塗布量が検出されることになる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように本発明においては、光透過性を有する基材上に、光透過性を有さない導電性材料からなる導電パターンが形成されるとともに、導電パターンの一部に塗布された粘着剤上に、上面が平坦形状の電子部品が載置されて接着された電子基板に対して、基材の導電パターンが形成された面側から同軸照明光を照射するとともに、基材の導電パターンが形成された面とは反対側の面側から光を照射し、撮像手段において、基材を同軸照明光が照射されてくる面側から撮像し、撮像された画像の明るさが所定値以下となる領域の面積に基づいて粘着剤の塗布量を検出する構成としたため、基材上に実際に塗布された粘着剤によって電子部品が接着された状態における粘着剤の塗布状態に基づいて粘着剤の塗布量が検出されることとなり、それにより、電子部品が接着される領域における粘着剤の塗布量を正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の塗布量検出装置によって粘着剤の塗布量が検出される電子基板の一例を示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)に示したA―A’断面図である。
【図2】本発明の塗布量検出装置の実施の一形態を示す図である。
【図3】図2に示した塗布量検出装置を用いて図1に示したインレットにおける粘着剤の塗布量を検出する方法を説明するためのフローチャートである。
【図4】図2に示した塗布量検出装置から図1に示したインレットに対して光が照射された状態を示す図であり、(a)は同軸照明ライトからの同軸照明光が照射された状態を示す図、(b)はライトからのバックライトが照射された状態を示す図である。
【図5】図2に示したカメラヘッドにて撮像された画像を示す図であり、(a)は同軸照明ライトから照射された同軸照明光のみがインレットに照射された場合の画像を示す図、(b)は同軸照明ライトから照射された同軸照明光とライトから照射されたバックライトとがインレットに照射された場合の画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0014】
まず、本発明の塗布量検出装置によって粘着剤の塗布量が検出される電子基板について説明する。
【0015】
図1は、本発明の塗布量検出装置によって粘着剤の塗布量が検出される電子基板の一例を示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)に示したA―A’断面図である。
【0016】
本例における電子基板は図1に示すように、透明なPETからなる樹脂基材7上に、導電性材料からなる導電パターンであるアンテナ3、スルーホール4a,4b及び接続部5a,5bが形成されるとともに、電子部品であるICチップ2が搭載され、このICチップ2が、接続部5a,5b上に塗布された粘着剤6によって樹脂基材7に接着されて構成されたインレット1である。
【0017】
樹脂基材7は、透明なPETからなるものであることから、光透過性を有し、一方の面から照射された光を他方の面に透過させる。
【0018】
アンテナ3は、樹脂基材7上に光透過性を有さない導電性材料によって、印刷やエッチング等の手法でコイル状に形成されており、その一端にはスルーホール4aが形成され、他端には、ICチップ2の接続端子(不図示)に接続される接続部5bが形成されている。また、スルーホール4aは裏面に形成された導電パターン(不図示)を介してスルーホール4bと接続されており、このスルーホール4bは、ICチップ2の接続端子(不図示)に接続される接続部5aが接続されている。これらスルーホール4a,4b及び接続部5a,5bは、アンテナ3と同一材料を用いて同一の手法によって形成されている。
【0019】
粘着剤6は、バインダー中に微小な導電粒子が含有された異方性導電ペースト(ACP)であり、それ単体では導電性を有するものではなく、含有された導電粒子を介して接触するものどうしのみが導通することになる。そして、2つの接続部5a,5bを跨いで樹脂基材7上に塗布されている。
【0020】
ICチップ2は、上面が平坦形状となっており、樹脂基材7上に塗布された粘着剤6上に載置され、裏面に設けられた接続端子が粘着剤6に含まれる導電粒子を介して接続部5a,5bと接続されている。そして、アンテナ3から供給された電流によって動作し、アンテナ3を介して非接触状態にて情報の書き込みや読み出しが可能となる。
【0021】
上記のように構成されたインレット1においては、表面シートやカード基材に挟み込まれてタグあるいはカードとして使用され、外部に設けられた情報書込/読出装置に近接させることにより、情報書込/読出装置からの電磁誘導によりアンテナ3に電流が流れてこの電流がICチップ2に供給され、それにより、非接触状態において、情報書込/読出装置からICチップ2に情報が書き込まれたり、ICチップ2に書き込まれた情報が情報書込/読出装置にて読み出されたりする。
【0022】
図2は、本発明の塗布量検出装置の実施の一形態を示す図であり、図1に示したインレット1における粘着剤6の塗布量を検出するものである。
【0023】
本形態は図2に示すように、第1の照射源である同軸照明ライト10と、第2の照射源であるライト20と、ハーフミラー30と、撮像手段であるカメラヘッド50と、検出部60とから構成されている。
【0024】
同軸照明ライト10は、図1に示したインレット1に対してアンテナ3が形成された面側から同軸照明光を照射するものであって、インレット1が搬送される搬送経路40を介して一方の側において、搬送経路40に対して平行となる方向に同軸照明光を照射する。
【0025】
ライト20は、図1に示したインレット1のアンテナ3が形成された面とは反対側からバックライトを照射するものであって、インレット1が搬送される搬送経路40を介して同軸照明ライト10とは反対側において、搬送経路40に向かって垂直方向にバックライトを照射する。なお、ライト20から照射されるバックライトは、同軸光であっても同軸光でなくてもよい。
【0026】
ハーフミラー30は、インレット1が搬送される搬送経路40を介して同軸照明ライト10と同じ側に配置され、同軸照明ライト10から照射される同軸照明光を搬送経路40に対して垂直方向に反射させるとともに、同軸照明ライト10から照射されてハーフミラー30にて反射し、搬送経路40を搬送されてくるインレット1にて反射した光と、ライト20から照射され、搬送経路40を搬送されてくるインレット1を透過した光を透過させる。
【0027】
カメラヘッド50は、ハーフミラー30を介して搬送経路40とは反対側に配置され、ハーフミラー30を透過した光を受光することにより、搬送経路40を搬送されるインレット1の画像を撮像する。
【0028】
検出部60は、カメラヘッド50に接続されたパーソナルコンピュータ等にて実現され、カメラヘッド50にて撮影された画像の明るさを、所定の閾値を用いて2値化することにより、インレット1のうち粘着剤6が塗布された領域を検出してその面積を算出し、その面積に基づいて粘着剤6の塗布量を検出する。
【0029】
以下に、上記のように構成された塗布量検出装置を用いて図1に示したインレット1における粘着剤6の塗布量を検出する方法について説明する。
【0030】
図3は、図2に示した塗布量検出装置を用いて図1に示したインレット1における粘着剤6の塗布量を検出する方法を説明するためのフローチャートである。
【0031】
図2に示した塗布量検出装置を用いて図1に示したインレット1における粘着剤6の塗布量を検出する場合は、インレット1が搬送経路40を搬送されている状態において、同軸照明ライト10から同軸照明光を照射するとともに(ステップS1)、ライト20からバックライトを照射する(ステップS2)。
【0032】
インレット1は、搬送経路40においてアンテナ3が形成された面がハーフミラー30に対向する向きで搬送されている。
【0033】
同軸照明ライト10から照射された同軸照明光は、ハーフミラー30にて反射し、搬送経路40を搬送されているインレット1に照射される。インレット1は、上述したようにアンテナ3が形成された面がハーフミラー30に対向する向きで搬送経路40を搬送されているため、同軸照明ライト10から照射された同軸照明光は、インレット1のアンテナ3が形成された面側から照射されることになる。また、ライト20から照射されたバックライトは、インレット1のアンテナ3が形成された面とは反対側から照射されることになる。
【0034】
図4は、図2に示した塗布量検出装置から図1に示したインレット1に対して光が照射された状態を示す図であり、(a)は同軸照明ライト10からの同軸照明光が照射された状態を示す図、(b)はライト20からのバックライトが照射された状態を示す図である。
【0035】
同軸照明ライト10から照射され、ハーフミラー30にて反射した同軸照明光は、上述したように、インレット1のアンテナ3が形成された面側から照射される。
【0036】
すると、アンテナ3、スルーホール4a,4b及び接続部5a,5bが光透過性を有さない導電性材料からなるものであるため、これらアンテナ3、スルーホール4a,4b及び接続部5a,5bにおいては、インレット1に照射された同軸照明光が反射することになるが、これらアンテナ3、スルーホール4a,4b及び接続部5a,5bは、樹脂基材7上に導電性材料によって印刷やエッチング等の手法で形成されたものであるため、図4(a)に示すように、照射された同軸照明光は、同軸照明光が照射されてきた方向に反射する。
【0037】
また、ICチップ2は上面が平坦形状となっているため、照射された同軸照明光は、ICチップ2において同軸照明光が照射されてきた方向に反射する。
【0038】
また、粘着剤6においては、樹脂基材7上に塗布された後、ICチップ2が載置されることにより、お椀型が潰れたような形状となっているため、同軸照明ライト10から照射され、ハーフミラー30にて反射した同軸照明光は、ICチップ2が載置されていない領域において、同軸照明光が照射されてきた方向とは異なる方向に乱反射する。
【0039】
また、樹脂基材7は光透過性を有するものであるため、インレット1のうち、アンテナ3、スルーホール4a,4b及び接続部5a,5bが形成されておらず、かつ、ICチップ2や粘着剤6が配置されていない領域、すなわち、樹脂基材7のみからなる領域においては、同軸照明ライト10から照射され、ハーフミラー30にて反射した同軸照明光は樹脂基材7を透過する。
【0040】
このように、搬送経路40を搬送されているインレット1に対して、アンテナ3が形成された面側から、同軸照明ライト10からハーフミラー30を介して同軸照明光が照射されると、アンテナ3、スルーホール4a,4b、接続部5a,5b及びICチップ2においては、照射された同軸照明光が、同軸照明光が照射されてきた方向に反射し、粘着剤6においては、ICチップ2が載置されていない領域において、照射された同軸照明光が、同軸照明光が照射されてきた方向とは異なる方向に乱反射し、樹脂基材7のみからなる領域においては、照射された同軸照明光がインレット1の裏面に透過する。なお、インレット1のアンテナ3が形成された面側から照射する光として同軸照明光を用いることにより、インレット1のアンテナ3が形成された面側から照射された光が、アンテナ3、スルーホール4a,4b、接続部5a,5b及びICチップ2において乱反射せずに、光が照射されてくる方向に反射することになる。
【0041】
カメラヘッド50においては、インレット1に対して同軸照明光が照射される側からインレット1が撮像されている(ステップS3)。
【0042】
図5は、図2に示したカメラヘッド50にて撮像された画像を示す図であり、(a)は同軸照明ライト10から照射された同軸照明光のみがインレット1に照射された場合の画像を示す図、(b)は同軸照明ライト10から照射された同軸照明光とライト20から照射されたバックライトとがインレット1に照射された場合の画像を示す図である。
【0043】
上述したように、搬送経路40を搬送されているインレット1に対して、アンテナ3が形成された面側から、同軸照明ライト10からハーフミラー30を介して同軸照明光が照射されると、アンテナ3、スルーホール4a,4b、接続部5a,5b及びICチップ2においては、照射された同軸照明光が、同軸照明光が照射されてきた方向に反射し、粘着剤6においては、ICチップ2が載置されていない領域において、照射された同軸照明光が、同軸照明光が照射されてきた方向とは異なる方向に乱反射し、樹脂基材7のみからなる領域においては、照射された同軸照明光がインレット1の裏面に透過するため、インレット1に対して同軸照明光が照射される側からカメラヘッド50にて撮像されたインレット1の画像においては、図5(a)に示すように、インレット1のうち、アンテナ3、スルーホール4a,4b、接続部5a,5b及びICチップ2が配置された領域が明るく、粘着剤6のICチップ2が配置されていない領域と樹脂基材7のみの領域とが暗く映る。
【0044】
一方、ライト20から照射されたバックライトは、図4(b)に示すように、アンテナ3、スルーホール4a,4b、接続部5a,5b、ICチップ2及び粘着剤6が配置された領域においてはインレット1を透過せず、樹脂基材7のみからなる領域のみにてインレット1を透過する。
【0045】
そして、このライト20から照射され、インレット1を透過した光がカメラヘッド50にて受光され、それにより、図5(b)に示すように、同軸照明ライト10から照射された同軸照明光のみがインレット1に照射された場合にカメラヘッド50にて撮像された画像に対して、樹脂基材7のみからなる領域も明るく映り、それにより、インレット1のうち、粘着剤6のICチップ2が載置されていない領域のみが暗く映った画像が撮像されることになる。
【0046】
カメラヘッド50にて撮像された画像は検出部60に送られ、検出部60において、まず、カメラヘッド50にて撮影された画像の明るさが、所定の閾値を用いて2値化される。カメラヘッド50にて撮像されたインレット1の画像においては、上述したように、インレット1のうち、アンテナ3、スルーホール4a,4b、接続部5a,5b及びICチップ2が配置された領域と樹脂基材7のみの領域が明るく、粘着剤6のICチップ2が載置されていない領域のみが暗く映っているため、これらアンテナ3、スルーホール4a,4b、接続部5a,5b及びICチップ2が配置された領域及び樹脂基材7のみの領域と、粘着剤6のICチップ2が載置されていない領域とが閾値によって2つに切り分けられる。インレット1のうち、アンテナ3、スルーホール4a,4b、接続部5a,5b及びICチップ2が配置された領域と樹脂基材7のみの領域の明るさが所定の閾値を超えたものとなり、粘着剤6のICチップ2が載置されていない領域の明るさが所定の閾値以下のものとなる。
【0047】
そして、2つに切り分けられた領域のうち、画像の明るさが暗い領域、すなわち、明るさが所定の閾値以下となる粘着剤6のICチップ2が載置されていない領域が検出され、その面積が算出される(ステップS4)。
【0048】
そして、算出された面積に基づいて粘着剤6の塗布量が検出される。粘着剤6は、上述したように、ICチップ2が載置されることによりお椀型が潰れたような形状となっているため、算出された面積に基づいてその塗布量を算出することができる。なおこの際、粘着剤6のうちICチップ2が載置された領域においては、カメラヘッド50にて撮像された画像では明るく映っているものの、ICチップ2の大きさが検出部60に予め与えられており、2つに切り分けられた領域のうち画像の明るさが暗い領域の面積に、このICチップ2の大きさによる面積が加算され、それにより、粘着剤6全体の塗布量が検出される。
【0049】
そして、検出された塗布量が予め決められた上限値及び下限値と比較され(ステップS5)、検出された塗布量が上限値と下限値との間である場合は、塗布量が正常である旨が出力され(ステップS6)、検出された塗布量が上限値と下限値との間ではない場合はエラーが出力される(ステップS7)。
【0050】
このように、インレット1のアンテナ3、スルーホール4a,4b、接続部5a,5bが形成されるとともに粘着剤6上にICチップ2が載置された面側から同軸照明光が照射されるとともに、インレット1のそれとは反対側の面側から光が照射され、カメラヘッド50において、インレット1の同軸照明光が照射される面側からインレット1が撮像され、撮像された画像の明るさが所定値以下となる領域の面積に基づいて粘着剤6の塗布量が検出されるので、樹脂基材7上に実際に塗布された粘着剤6によってICチップ2が接着された状態における粘着剤6の塗布状態に基づいて粘着剤6の塗布量が検出されることとなり、それにより、ICチップ2が接着される領域における粘着剤6の塗布量を正確に検出することができる。
【0051】
なお、本形態においては、電子基板として、電子部品となるICチップ2が樹脂基材7に粘着剤6によって接着されたインレット1における粘着剤6の塗布量を検出するものを例に挙げて説明したが、光透過性を有する基材上に、光透過性を有さない導電性材料からなる導電パターンが形成されるとともに、導電パターンの一部に塗布された粘着剤上に、上面が平坦形状の電子部品が載置されて接着された電子基板であれば、本発明の塗布量検出装置によって粘着剤の塗布量を検出することができる。また、その粘着剤としては、上述したような異方性導電ペーストに限らず、絶縁ペースト(NCP:Non Conductive Paste)であってもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 インレット
2 ICチップ
3 アンテナ
4a,4b スルーホール
5a,5b 接続部
6 粘着剤
7 樹脂基材
10 同軸照明ライト
20 ライト
30 ハーフミラー
40 搬送経路
50 カメラヘッド
60 検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性を有する基材上に、光透過性を有さない導電性材料からなる導電パターンが形成されるとともに、前記導電パターンの一部に塗布された粘着剤上に、上面が平坦形状の電子部品が載置されて接着された電子基板における前記粘着剤の塗布量を検出する塗布量検出装置であって、
前記基材の前記導電パターンが形成された面側から同軸照明光を照射する第1の照射源と、
前記基材の前記導電パターンが形成された面とは反対側の面側から光を照射する第2の照射源と、
前記基材を前記同軸照明光が照射される面側から撮像する撮像手段と、
前記撮像手段にて撮像された画像の明るさが所定値以下となる領域の面積に基づいて前記粘着剤の塗布量を検出する検出手段とを有する塗布量検出装置。
【請求項2】
光透過性を有する基材上に、光透過性を有さない導電性材料からなる導電パターンが形成されるとともに、前記導電パターンの一部に塗布された粘着剤上に、上面が平坦形状の電子部品が載置されて接着された電子基板における前記粘着剤の塗布量を検出する塗布量検出方法であって、
前記基材の前記導電パターンが形成された面側から同軸照明光を照射するとともに、前記基材の前記導電パターンが形成された面とは反対側の面側から光を照射し、
前記基材を前記同軸照明光が照射される面側から撮像し、
前記撮像された画像の明るさが所定値以下となる領域の面積に基づいて前記粘着剤の塗布量を検出する塗布量検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−54634(P2011−54634A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−200051(P2009−200051)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】