説明

塗料組成物および塗膜形成方法

【課題】明度が低く、かつ高い彩度および/または優れた光輝感を有し、従来にない新規な意匠性を備える塗膜を形成し得る塗料組成物、およびそのような塗膜の形成方法を提供すること。
【解決手段】本発明の塗料組成物は、アルミナ基材に、ニッケルを含み粒径が2nm〜80nmである微粒子が付着している、光輝材、およびカーボンブラック、を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光輝材を含有する塗料組成物および該塗料組成物を用いた塗膜の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば自動車車体等に用いられるメタリック塗装の意匠性について、車種等に応じた多様性が求められている。例えば、重厚かつ鮮やかな印象を出すために、塗膜の明度が低く、かつ、彩度および/または光輝感の高い塗膜が求められている。しかし、従来のメタリック塗装では、塗膜の明度を下げると、同時に彩度および/または光輝感も低下してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平6−70195
【特許文献2】特開平3−239769
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、明度が低く、かつ高い彩度および/または優れた光輝感を有し、従来にない新規な意匠性を備える塗膜を形成し得る塗料組成物、およびそのような塗膜の形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の塗料組成物は、アルミナ基材に、ニッケルを含み粒径が2nm〜80nmである微粒子が付着している、光輝材、およびカーボンブラック、を含有する。
【0006】
好ましい実施形態においては、上記微粒子の付着率は、上記アルミナ基材に対して0.5〜10重量%である。
【0007】
好ましい実施形態においては、上記アルミナ基材の厚さが0.1〜1μmである。
【0008】
好ましい実施形態においては、上記アルミナ基材がその表面に被覆層を有し、該被覆層の屈折率が該アルミナ基材の屈折率よりも0.5以上高い。
【0009】
好ましい実施形態においては、上記被覆層が酸化チタンを含む層であり、該酸化チタンを含む層の割合が上記アルミナ基材と該酸化チタンを含む層との合計量に対して、10〜50重量%である。
【0010】
好ましい実施形態においては、上記アルミナ基材の粒径が5〜40μmであり、密度が2〜4g/cmである。
【0011】
好ましい実施形態においては、上記微粒子は無電解メッキにより付着している。
【0012】
本発明のさらに別の局面によれば、複層塗膜の形成方法が提供される。この複層塗膜の形成方法は、上記の塗料組成物が塗装された上に、さらにクリヤー塗料を塗装する。
【0013】
本発明のさらに別の局面によれば、上記の塗料組成物の塗膜を有する物品が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、アルミナ基材に、ニッケルを含む微粒子が付着している光輝材、およびカーボンブラックを含有させることにより、明度が低く、かつ高い彩度および/または優れた光輝感を有し、従来にない新規な意匠性を備える塗膜を形成し得る塗料組成物、およびそのような塗膜の形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の好ましい実施形態に用いられる光輝材における微粒子の付着状態を説明するための模式図である。
【図2】銀、ニッケル、金および銅についての消衰係数と照射される光線の波長との関係を表すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
A.光輝材
本発明の塗料組成物に用いられる光輝材は、アルミナ基材の表面にニッケルを含む微粒子が付着しているか、またはアルミナ基材が被覆層を有する場合は当該被覆層の表面に当該微粒子が付着している。本明細書において「付着している」とは、物理的な付着ではなく、例えば無電解メッキなどにより化学的に付着していることを意味する。
【0017】
〔アルミナ基材〕
上記アルミナ基材の形状は、特に限定されない。具体例としては、鱗片状、球状、板状および破砕粒状が挙げられる。好ましくは鱗片状である。
【0018】
上記アルミナ基材の厚さは、好ましくは0.1〜1μmであり、さらに好ましくは0.5〜0.7μmである。
【0019】
上記アルミナ基材の粒径は、好ましくは5〜40μmであり、さらに好ましくは5〜30μmである。
【0020】
上記アルミナ基材の密度は、好ましくは2〜4g/cmであり、さらに好ましくは3.5〜4g/cmある。
【0021】
1つの実施形態においては、上記アルミナ基材は、その表面に被覆層を有していてもよい。この場合、該被覆層の屈折率は、アルミナ基材の屈折率(1.63)よりも0.5以上高いことが好ましい。このような被覆層の具体例としては、二酸化チタン(屈折率2.30)、酸化ジルコニウム(屈折率2.40)、酸化鉄(屈折率2.36)などの無機化合物を含む被覆層が挙げられる。好ましくは、二酸化チタンを含む被覆層である。
【0022】
上記被覆層の割合は、上記アルミナ基材と該被覆層との合計量に対して、好ましくは10〜50重量%であり、さらに好ましくは20〜45重量%である。上記被覆層の割合は、所望の意匠性に応じて、設定され得る。例えば、高い割合(代表的には、アルミナ基材と被覆層の合計量に対して35〜50重量%)で被覆層を有するアルミナ基材は、視認角度によって干渉色が変化する。一方、低い割合(代表的には、アルミナ基材と被覆層の合計量に対して10〜30重量%)で被覆層を有するアルミナ基材は、高い光輝感が得られる。上記被覆層の厚さは、特に限定されないが、100〜500nmが好ましい。
【0023】
上記アルミナ基材は市販品を用いてもよい。アルミナ基材の市販品の具体例としては、メルク株式会社製 商品名「Xirallic T60−22WNT」、「Xirallic T60−10WNT」が挙げられる。これら市販品のアルミナ基材は、多くの場合、二酸化チタンを含む被覆層により被覆されている。
【0024】
〔微粒子〕
本発明で用いられる微粒子は、ニッケルを含む。該微粒子は、ニッケルを含む合金であってもよい。好ましくは、ニッケルを含む合金ニッケル/リン合金である。1つの実施形態においては、微粒子に含まれる金属の消衰係数は波長480nmにおいて好ましくは2.6〜3.2である。別の実施形態においては、微粒子に含まれる金属の消衰係数は波長560nmにおいて好ましくは3.0〜3.6である。さらに、当該消衰係数は、波長380nm〜780nmにおいて波長が大きくなるにつれて単調増加している。このような消衰係数を有する金属を含む微粒子を用いれば、明度の低い塗膜を形成し得る塗料組成物を得ることができる。微粒子にニッケルを用いれば、上記範囲の消衰係数を有する効果と、ニッケルの反射光から得られる色調とが相まって、意匠性に優れた塗膜を得ることができる。また、ニッケルを含む微粒子による光の散乱・吸収の効果により、当該微粒子を特定の形態で基材に付着させた光輝材を含有する本発明の塗料組成物は、独特の意匠性を有する塗膜を形成し得る。なお、消衰係数とは、ナノオーダーの金属に吸収される光の減衰度合を示す値である。すなわち、金属に光が照射されると反射光を発生し、これを目視した場合は、金属光沢となる。しかし、金属の大きさがナノオーダーの大きさになると、照射された光は反射されるだけではなく、当該ナノオーダーの金属に吸収される、という性質を持つようになる。この光を吸収する性質は、クラマース−クロニッヒの関係として下記式1で表される関係があることが知られている(E.D.Palik著、Handbook of optical constants of solids)。
N=n−ik ・・・(1)
(N:該当金属の複素屈折率、n:該当金属の屈折率、i:虚数、k:消衰係数)
例えば、銀、ニッケル、金、銅について、消衰係数と照射される光線の波長とは図2に示す関係を有する。可視光線の中心領域である480〜560nmにおける消衰係数をみると、銀およびニッケルは消衰係数が大きい。また、銀およびニッケルの消衰係数と波長との相関線は他の金属と異なり、直線に近い上に凸の曲線で単調増加している。このように消衰係数の大きな金属が付着した光輝材を含む塗料組成物により塗膜を形成した場合、塗膜を進む光の減衰効果が大きくなり、当該塗膜の明度を下げることができると考えられる。さらに、アルミナ基材が上記被覆層を有する光輝材を用いれば、当該被覆層による光の干渉と、当該微粒子による光の散乱・吸収との相乗効果により、より意匠性に優れる塗膜を形成し得る塗料組成物を得ることができる。例えば、高い割合(代表的には、アルミナ基材と被覆層の合計量に対して35〜50重量%)で被覆層を有するアルミナ基材に上記微粒子を付着させて得られる光輝材を含む塗料組成物であれば、干渉色の複雑な変化を維持しつつ明度の低い塗膜を形成することができる。また、低い割合(代表的には、アルミナ基材と被覆層の合計量に対して10〜30重量%)で被覆層を有するアルミナ基材に上記微粒子を付着させて得られる光輝材を含む塗料組成物であれば、アルミナ基材の光輝感を維持しつつ明度の低い塗膜を形成することができる。特に、被覆層として二酸化チタンを含む被覆層を用いれば、当該相乗効果は非常に大きいと考えられ、その結果得られる塗料組成物は、低明度でありながら、高い彩度および/または優れた光輝感を有する塗膜を形成し得る。
【0025】
上記微粒子の粒径は、好ましくは2〜80nmであり、より好ましくは5〜80nmであり、さらに好ましくは10〜70nmであり、特に好ましくは15〜60nmである。1つの実施形態においては、後述の微粒子の付着率が0.5〜5重量%の場合、微粒子の粒径は、好ましくは10〜30nmである。別の実施形態においては、後述の微粒子の付着率が5〜10重量%の場合、微粒子の粒径は、好ましくは10〜60nmであり、さらに好ましくは15〜60nmである。微粒子の粒径がこのような範囲であれば、低明度な塗膜を形成し得る塗料組成物を得ることができる。また、微粒子の粒径がこのような範囲であれば、当該微粒子は光を反射する性質と吸収する性質を兼ね備えることができ、また表面積が大きくなることにより反射および吸収が効率的に発現し、さらに微粒子からの散乱光の効果も大きくなるため、低明度でありながら、高い彩度および/または優れた光輝感を有する塗膜を形成し得る塗料組成物を得ることができる。さらに、このような微粒子の粒径の効果と、微粒子が上記消衰係数の大きいニッケルを含むことの効果とが複合されて、より優れた意匠性を発揮する塗膜を得ることができると考えられる。微粒子の粒径は、電界放出型走査顕微鏡観察(日立ハイテクノロジーズ社製、S−4800型)の観察により測定することができる。
【0026】
上記微粒子は、できる限り真球状に近いことが好ましい。図1は、真球状の微粒子1が基材2に付着した光輝材10を示す模式図である。図1に示す形態であれば、微粒子1の基材2に接する面積が小さく、微粒子1と基材2との間に空隙3を設けることができる。また、微粒子が重なった場合であっても微粒子間に空隙4を設けることもできる。その結果、多くの光を基材2に到達させることができるので、基材2による干渉効果を非常に大きくすることができる。したがって、上記形状の微粒子が付着した光輝材を含む塗料組成物は、当該干渉効果と微粒子による光の散乱・吸収による効果が複合されて従来にない独特の意匠性を発揮する塗膜を形成し得る。また、基材が被覆層を有する場合(図示せず)も同様の効果を得ることができる。上記のような効果が得られる限り、微粒子が真球状以外の任意の適切な形状(例えば、楕円球状、涙滴状)を有し得ることは言うまでもない。
【0027】
上記球形の微粒子の真球度は、アスペクト比により表すことができる。上記微粒子のアスペクト比は、好ましくは1.00〜2.00であり、より好ましくは1.00〜1.50であり、さらに好ましくは1.00〜1.20である。なお、アスペクト比とは、球形微粒子の長軸の長さと短軸の長さとの比(長軸の長さ/短軸の長さ)であり、電界放出型走査顕微鏡観察像から求めることができる。
【0028】
上記微粒子の付着率はアルミナ基材に対して0.5〜10重量%であり、好ましくは1〜10重量%である。微粒子の付着率が0.5重量%未満である場合、明度の低下が不十分となるおそれがある。微粒子の付着率が10重量%を超えると明度と共に彩度および/または光輝感が低下するおそれがある。なお、上記微粒子の付着率は、所望の塗色に応じて選択され得る。例えば、微粒子よりも基材に由来する意匠を強調しながら、塗膜明度を低下させ、かつ微粒子の金属光沢を加えた塗色を所望する場合の微粒子の付着量は、基材に対して好ましくは0.5〜5重量%である。また、塗膜明度を低下させ、かつ基材由来の意匠に微粒子由来の発色を十分に加味させた塗色を所望する場合の微粒子の付着量は、基材に対して好ましくは5〜10重量%である。
【0029】
上記微粒子は、アルミナ基材に直接付着してもよく、アルミナ基材表面に形成された被覆層に付着してもよい。微粒子は、アルミナ基材および/または被覆層の全表面を覆って付着してもよく、点在して付着してもよい。点在して付着すれば、微粒子による光の散乱効果が大きく、独特の意匠性を発揮する塗膜が得られる。さらに、アルミナ基材が上記被覆層を有する場合、得られる塗料組成物は、当該被覆層による光の干渉効果と、微粒子による光の散乱・吸収による効果が複合されて従来にない独特の意匠性を発揮する塗膜を形成し得る。
【0030】
上記微粒子の付着面積率は、上記微粒子の付着量が0.5〜5重量%の場合、上限値としては、好ましくは50%未満、より好ましくは40%未満、さらに好ましくは30%未満であり、下限値としては、好ましくは1%以上、より好ましくは1.5%以上、さらに好ましくは2%以上である。上記微粒子の付着面積率は、上記微粒子の付着量が5〜10重量%の場合、上限値としては、好ましくは200%以下、さらに好ましくは180%以下、特に好ましくは150%以下であり、下限値としては、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上である。上記微粒子の付着面積率がこのような範囲であれば、明度が低く高彩度でかつ光輝感により優れる塗膜を得ることができる。また、上記のとおり微粒子の形状が真球状に近ければ、微粒子の付着面積率が100%以上である場合においても、基材(基材が被覆層を有する場合は、基材および被覆層)による干渉効果が得られるので、従来にない独特の意匠性を発揮する塗膜を得ることができる。なお、ここで微粒子の付着面積率とは、光輝材の所定範囲(例えば、面積1270nm×953nm)を法線方向から観察した際の「微粒子の数×微粒子1個の断面積(付着面に対する法線方向から見て最大となる断面積)」を微粒子の付着面積とし、上記光輝材の所定範囲の面積に対する当該微粒子の付着面積の比率を意味する。また、上記微粒子の数および微粒子1個の断面積は、例えば、電界放出型走査顕微鏡観察を用いて得られた光輝材表面の画像を二値化処理して計測することができる。
【0031】
上記微粒子を付着させる方法としては、例えば、金属粒子の析出速度および粒径を精密に制御して行う無電解メッキ法により、基材(および/または被覆層)表面に粒状の金属粒子を析出させる方法が好ましい。無電解メッキ法は、プラスチックやセラミックスのような不導体にもメッキが可能な方法である。無電解メッキ法は、金属粒子の析出速度および粒径を精密に制御し得るので、好ましい。好ましい無電解メッキ法としては、例えば、前処理として基材に任意の適切な触媒(例えば、パラジウム)を担持させる方法による前処理、引き続いて任意の適切な添加剤(例えば、界面活性剤、錯化剤、還元剤)を用いて金属粒子が凝集せずに均一に分散しているメッキ浴によってメッキを行う方法などが挙げられる。触媒を担持させる方法とメッキ浴によってメッキを行なう方法を効率よく組み合わせることで所望の粒径を持った微粒子を基材表面に形成させることが可能である。
【0032】
上記無電解メッキ法では、メッキ浴に含まれた還元剤が、基材表面に担持された触媒で酸化される。このときに放出される電子によってメッキ浴中の金属イオンまたは金属酸化物イオンが還元され、触媒付近から金属の析出が始まり基材に付着する。その結果、上記粒径を持った微粒子を基材表面に形成させることが可能となる。
【0033】
上記還元剤としては、次亜リン酸、ホルムアルデヒド、水素化ボロン、ジメチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン、ヒドラジンなどを用いることが考えられる。
【0034】
上記錯化剤としては、コハク酸などのジカルボン酸、クエン酸、酒石酸などのオキシカルボン酸、グリシン、EDTA、アミノ酢酸などの有機酸、またはこれらのナトリウム塩などが用いられる。これらの錯化剤を用いることで、安定して上記金属微粒子を形成することができる。なお、上記の前処理は、無電解メッキの状態により省略することが可能である。これらの無電解メッキの条件は、上記微粒子が本願所望の粒径になるように選択すればよい。
【0035】
B.カーボンブラック
上記カーボンブラックの粒径は、好ましくは2〜14nm、さらに好ましくは4〜12nm、より好ましくは6〜10nmである。カーボンブラックの粒径がこのような範囲であれば、分散性に優れるので、均一な塗料組成物を得ることができる。
【0036】
上記カーボンブラックは市販品を用いてもよい。カーボンブラックの市販品の具体例としては、コロンビアカーボン社製 商品名「ラーベン5000ウルトラ3」、デグサ社製 商品名「カーボンブラック FW−200」、キャボットコーポレーション社製「モナーク1300」「モナーク1400」が挙げられる。
【0037】
C.塗料組成物
本発明の塗料組成物は、上記光輝材および上記カーボンブラックを含む。本発明の塗料組成物は、光輝材およびカーボンブラックを有することにより、光輝感および/または彩度を維持または向上しつつも、所望の明度に調整することができる。本発明の塗料組成物は、さらにビヒクル、溶剤、および/またはその他の成分を含み得る。
【0038】
本発明の塗料組成物中の上記光輝材の含有割合は、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な含有割合を採用し得る。例えば、当該含有割合は、全固形分量に対して、上限値としては、好ましくは50重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下、より好ましくは15重量%以下であり、特に好ましくは10重量%以下であり、下限値としては、好ましくは1重量%以上、さらに好ましくは3重量%以上である。上記光輝材の含有割合が50重量%より大きいと、塗料の流動性や作業性が低下したり、塗膜の密着性が劣ったりするおそれがある。上記光輝材の含有割合が1重量%より小さいと、所望の意匠が得られないおそれがある。
【0039】
本発明の塗料組成物中の上記カーボンブラックの含有割合は、全固形分量に対して、上限値としては、好ましくは10重量%以下であり、より好ましくは5重量%以下であり、さらに好ましくは3重量%以下であり、特に好ましくは2.5重量%以下であり、最も好ましくは2重量%以下であり、下限値としては、好ましくは0.2重量%以上であり、より好ましくは0.5重量%以上であり、さらに好ましくは1重量%以上であり、特に好ましくは1.5重量%以上である。カーボンブラックの含有割合がこのような範囲であれば、明度を低く、意匠性に優れる塗膜を形成し得る塗料組成物を得ることができる。カーボンブラックの含有割合が0.2重量%未満であると十分に明度の低い塗膜が得られないおそれがあり、10重量%より多いと明度が低下しすぎて光輝感に優れる塗膜が得られないおそれがある。また、本発明の塗料組成物は、上記光輝材を有することにより、カーボンブラックの含有割合が少量であっても、効果的に明度を低下させることができる。
【0040】
本発明の塗料組成物における上記カーボンブラックと光輝材との重量比(カーボンブラック/光輝材)は、好ましくは0.05〜1.7、より好ましくは0.05〜0.5である。
【0041】
本発明の塗料組成物により塗膜を形成した際における、上記カーボンブラックによる被覆面積と上記微粒子による被覆面積との比(カーボンブラックによる被覆面積/上記微粒子による被覆面積)は、上記微粒子の付着量が0.5〜5重量%の場合、好ましくは0.001〜0.2であり、より好ましくは0.002〜0.05であり、さらに好ましくは0.005〜0.01である。上記微粒子の付着量が5〜10重量%の場合、好ましくは0.0001〜0.05であり、より好ましくは0.0005〜0.01であり、さらに好ましくは0.001〜0.003である。上記カーボンブラックによる被覆面積と上記微粒子による被覆面積との比がこのような範囲であれば、光輝感および/または彩度を維持または向上しつつも、所望の明度に調整することができる。なお、ここで被覆面積とは、塗膜の所定範囲を法線方向から観察した際の「カーボンブラックまたは微粒子の数×カーボンブラックまたは微粒子1個の断面積」を意味する。なお、上記カーボンブラックの数または微粒子の数は、塗料組成物中のカーボンブラックまたは微粒子の量、密度および平均粒径から算出される。また、カーボンブラック1個の断面積または微粒子1個の断面積は、カーボンブラックまたは微粒子の平均粒径から算出される。
【0042】
本発明に用いられるビヒクルとしては、目的に応じて任意の適切な樹脂が採用される。ビヒクルとしては、例えば、アクリル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂およびフッ素系樹脂などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく組み合わせて用いてもよい。
【0043】
本発明の塗料組成物をスプレー塗装する場合、塗料組成物中に溶剤を含有させることが好ましい。本発明に用いられる溶剤は、ビヒクルを溶解または分散するものである限り特に限定されない。具体例としては、水性溶剤および有機溶剤が挙げられる。水性溶剤の具体例としては、水が挙げられる。有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等ケトン類、メタノール、エタノール、イロプロパノール、n−ブタノールなどアルコール類、n−ブチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテルなどエーテル類などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく組み合わせて用いてもよい。
【0044】
本発明の塗料組成物は、必要に応じて、任意の適切な分散剤、硬化剤、有機顔料、レベリング剤、流動化助剤、脱気剤等の添加剤や助剤をさらに含んでもよい。このような任意成分の種類および使用量は、目的に応じて適切に選択され得る。なお、硬化剤としては、アミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物およびポリカルボン酸などが挙げられる。
【0045】
C.塗膜形成方法
本発明の塗料組成物は、通常、被塗装物に対し、任意の適切な方法で塗布して塗膜を形成するのに用いられる。当該塗布方法としては、例えば、エアスプレー、エアレススプレー、静電塗装等が挙げられる。得られる塗膜の膜厚は、用途等に応じて任意の適切な膜厚に設定し得る。一般的には乾燥膜厚で5〜40μmであることが好ましい。
【0046】
本発明の塗料組成物を塗装する場合、基体の表面に下塗り塗料を塗装して下塗り層を形成した後、塗膜の形成を行うものであってもよい。上記下塗り塗料としては、任意の適切な塗料を採用することができる。上記下塗り層の膜厚は、用途に応じて任意の適切な膜厚に設定し得る。一般的には乾燥膜厚で10〜70μmであることが好ましい。
【0047】
本発明の塗料組成物によって形成した塗膜上にクリヤー塗料を塗装し、複層塗膜を形成してもよい。上記クリヤー塗料としては、任意の適切なものを採用し得る。上記クリヤー塗料の塗装膜厚は、任意の適切な膜厚とすることができる。例えば、20〜50μmとすることができる。クリヤー塗料としては、特に限定されないが、例えば、酸・エポキシ硬化型クリヤー塗料、メラミン硬化型クリヤー塗料が挙げられる。1つの実施形態においては、本発明の塗料組成物を塗布した後の焼き付けを省略して上記クリヤー層を重ね塗りし、得られた複層塗膜を焼き付け硬化させてもよい。加熱温度としては、特に限定されないが、一般的には80〜180℃が好ましい。
【0048】
D.用途
本発明の塗料組成物は、自動車車体、携帯電話、家電製品、ノートパソコン、建材ボード、装飾品などの塗料用途に好適に使用することができる。
【実施例】
【0049】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例には限定されない。なお、特に明記しない限り、実施例における部および%は質量基準である。また、実施例における評価項目および評価方法は以下の通りである。
【0050】
(明度)
BYK−mac(商品名、BYK−Gardner社製)を用いて測定し、受光角110度におけるL*を塗膜の明度とした。
(彩度)
BYK−mac(商品名、BYK−Gardner社製)を用いて測定し、受光角15度におけるC*を塗膜の彩度とした。
(光輝感)
BYK−mac(商品名、BYK−Gardner社製)を用いて測定し、受光角15度におけるSGを塗膜の光輝感とした。
(微粒子付着面積率)
電界放出型走査顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、S−4800型)を用いて光輝材表面を法線方向から観察し、観察した範囲の面積(1270nm×953nm)に対する微粒子の付着面積(微粒子の数×微粒子1個の断面積(付着面に対する法線方向から見て最大となる断面積))の比率を算出した。電界放出型走査顕微鏡による観察は、不作為に抽出した10箇所について行い、それぞれの箇所で算出された値を平均して、微粒子の付着面積率とした。
(微粒子の粒径)
電界放出型走査顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、S−4800型)の観察により測定した。電界放出型走査顕微鏡による観察は、不作為に抽出した10個の微粒子について行い、それらを平均して微粒子の粒径とした。
(微粒子アスペクト比)
電界放出型走査顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、S−4800型)の観察により測定した。電界放出型走査顕微鏡による観察は、不作為に抽出した10個の微粒子について行い、それぞれ長軸の長さおよび短軸の長さを測定し、(長軸の長さの平均値/短軸の長さの平均値)より微粒子のアスペクト比を算出した。
(被覆面積比率)
「カーボンブラックまたは微粒子の数×カーボンブラックまたは微粒子1個の断面積」を被覆面積として、カーボンブラックと微粒子との被覆面積比率(カーボンブラック/微粒子)を算出した。なお、上記カーボンブラックの数および微粒子の数は、塗料組成物中のカーボンブラックまたは微粒子の量、密度および平均粒径から算出される。また、カーブラック1個の断面積および微粒子1個の断面積は、カーボンブラックまたは微粒子の平均粒径から算出した。
【0051】
[製造例1]
<光輝材(1)の作製>
アルミナに二酸化チタンが被覆されている商品A(Xirallic T60−22WNT(メルク社製))を準備し、二酸化チタン層表面に無電解メッキ法によりニッケル−リン粒子を析出させた。具体的には、Xirallic T60−22WNTを水中に分散させ、得られた分散液中に還元剤、錯化剤を含むニッケル−リンメッキ液を導入した。その後、濾過、乾燥さらに焼成し、光輝材(1)を得た。付着したニッケル−リン粒子量はアルミナ基材重量に対しての割合(付着率)で示され付着率が1.0重量%になるように調製した。用いた商品の特数値を表1に示す。
【0052】
【表1】

【0053】
[製造例2]
<光輝材(2)の作製>
Xirallic T60−22WNTに替えて表1に示す商品B(Xirallic T60−10WNT(メルク社製))を用いた以外は製造例1と同様にして、光輝材(2)を得た。
【0054】
[製造例3]
<光輝材(3)の作製>
ニッケルーリンの付着率を10重量%になるように調製した以外は製造例2と同様にして、光輝材(3)を得た。
【0055】
<下地塗膜1の調製>
ブリキ板(長さ300mm、幅200mmおよび厚さ0.3mm)に塗料「オルガP−30−P 8005」(日本ペイント社製、ライトグレー、15度L値:87.0)を乾燥膜厚が40μmとなるようにエアースプレー塗装し、140℃で30分間焼き付けて下地塗膜1とした。
【0056】
<下地塗膜2の調製>
ブリキ板(長さ300mm、幅200mmおよび厚さ0.3mm)に塗料「オルガP−30−P 6048」(日本ペイント社製、ダークグレー、15度L値:11.6)を乾燥膜厚が40μmとなるようにエアースプレー塗装し、140℃で30分間焼き付けて下地塗膜2とした。
【0057】
[実施例1]
<塗料組成物の調製>
アクリル樹脂(数平均分子量約21000、水酸基価45、酸価15、固形分50重量%)と、メラミン樹脂(商品名「ユーバン20N−60」、三井化学社製、固形分60重量%)とを80:20の固形分重量比で配合して得たビヒクル88.2部に対し、光輝材(1)を10部およびカーボンブラック(商品名「ラーベン5000ウルトラ3」、コロンビアカーボン社製)1.8部を配合した。
次いで、有機溶剤(トルエン/キシレン/酢酸エチル/酢酸ブチルの重量比=70/15/10/5)とともに攪拌機により塗装適正粘度になるように攪拌混合し、塗料組成物を調製した。
<複層塗膜の形成>
上記下地塗膜2の被塗面に、得られた塗料組成物を乾燥膜厚が15μmになるようにスプレー塗装した。塗装中のブースの雰囲気は温度25℃、湿度75%に保持した。塗装後7分間セッティングし、アクリル/メラミン樹脂系クリヤー塗料(商品名:「スーパーラックO−150クリヤー」、日本ペイント社製)を乾燥膜厚が35μmになるように塗装後、室温で10分間セッティングし、140℃の温度で30分間焼き付け、複層塗膜を得た。得られた複層塗膜について、上記の評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0058】
【表2】

【0059】
[実施例2]
ビヒクル88.2部に替えてビヒクルの89.5部を用い、カーボンブラック1.8部に替えて、カーボン0.5部にした以外は、実施例1と同様にして塗料組成物を調製し、複層塗膜を得た。得られた複層塗膜について、上記の評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0060】
[実施例3]
ビヒクル88.2部に替えてビヒクルの87.8部を用い、カーボンブラック1.8部に替えて、カーボン2.2部にした以外は、実施例1と同様にして塗料組成物を調製し、複層塗膜を得た。得られた複層塗膜について、上記の評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0061】
[実施例4]
ビヒクル88.2部に替えてビヒクルの87部を用い、カーボンブラック1.8部に替えてカーボン3部にした以外は、実施例1と同様にして塗料組成物を調製し、複層塗膜を得た。得られた複層塗膜について、上記の評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0062】
[比較例1]
実施例1で用いた光輝材(1)に替えて商品Aを用い、ビヒクル88.2部に替えてビヒクルの87.8部、カーボンブラック1.8部に替えてカーボンブラックを2.2部とした以外は、実施例1と同様にして塗料組成物を調製し、複層塗膜を得た。得られた複層塗膜について、上記の評価を行った。
【0063】
[比較例2]
実施例1で用いた光輝材(1)に替えて商品Aを用い、ビヒクル88.2部に替えてビヒクルの87部、カーボンブラック1.8部に替えてカーボンブラックを3部とした以外は、実施例1と同様にして塗料組成物を調製し、複層塗膜を得た。得られた複層塗膜について、上記の評価を行った。
【0064】
[実施例5〜7および11〜16]
実施例1で用いた光輝材(1)に替えて光輝材(2)を用い、光輝材配合量およびカーボンブラック配合量を表3に示す量とし、下地塗膜2に替えて下地塗膜1を用いた以外は、実施例1と同様にして塗料組成物を調製し、複層塗膜を得た。得られた複層塗膜について、上記の評価を行った。評価結果を表3に示す。
【0065】
【表3】

【0066】
[実施例8〜10および17〜22]
実施例1で用いた光輝材(1)に替えて光輝材(3)を用い、光輝材配合量およびカーボンブラック配合量を表3に示す量とし、下地塗膜2に替えて下地塗膜1を用いた以外は、実施例1と同様にして塗料組成物を調製し、複層塗膜を得た。得られた複層塗膜を実施例4と同様の評価に供した。得られた複層塗膜について、上記の評価を行った。評価結果を表3に示す。
【0067】
[比較例3〜5および7〜9]
実施例1で用いた光輝材(1)に替えて商品Bを用い、光輝材配合量およびカーボンブラック配合量を表3に示す量とし、下地塗膜2に替えて下地塗膜1を用いた以外は、実施例1と同様にして塗料組成物を調製し、複層塗膜を得た。得られた複層塗膜を実施例4と同様の評価に供した。得られた複層塗膜について、上記の評価を行った。評価結果を表3に示す。
【0068】
[比較例6]
実施例1で用いた光輝材(1)に替えてイリオジン612(メルク社製)を用い、カーボンブラック配合量を1.4重量%とし、下地塗膜2に替えて下地塗膜1を用いた以外は、実施例1と同様にして塗料組成物を調製し、複層塗膜を得た。得られた複層塗膜を実施例4と同様の評価に供した。得られた複層塗膜について、上記の評価を行った。評価結果を表3に示す。
【0069】
実施例1〜4および比較例1〜2で用いた商品Aは、アルミナ基材と被覆層の比率が51.5/45である(表1)。被覆層をこのような比率で有するアルミナ基材は、視認角度によって干渉色が変化する。このようなアルミナ基材にニッケルを含む微粒子を付着させて得られた光輝材を含む塗料組成物であれば、塗膜明度を低下させ、かつ干渉色が複雑に変化する意匠を維持または向上した塗膜を形成することができる。このような塗膜は、下地塗膜として反射の少ない黒色に近い下地(下地塗膜2、15度L値:11.6)を用いることにより、当該干渉色を強調して評価することができる。このような条件下で形成された実施例1〜4の複層塗膜の外観を目視で観察したところ、干渉色の効果により、従来にない新規な意匠性を備えていた。
【0070】
表2において、実施例3と比較例1とを比較すれば明らかなように、本発明の塗料組成物によれば、特定の光輝材を含むことにより、低明度かつ高彩度の複層塗膜を得ることができる。
【0071】
さらに、表2から明らかなように、本発明の塗料組成物は、カーボンブラック量の調整により、塗膜の明度および光輝感を制御することができる。実施例2では、カーボンブラック量を減らすことにより彩度の高い塗膜が得られた。なお、実施例2は、比較例1と比較すれば明らかなように、特定の光輝材を含むことにより、カーボンブラック量が少なくとも、明度が高くならなかった。また、実施例4では、カーボンブラック量を増やすことにより明度の低い塗膜を得ることができた。なお、実施例4は、比較例2と比較すれば明らかなように、特定の光輝材を含むことにより、彩度を維持しながら明度を低くすることができた。明度と彩度とのバランスにおいて特に好ましい例は実施例1および3である。なかでも、実施例1は、比較例1に対してカーボンブラック量が少ないにもかかわらず、低明度かつ光彩度の複層塗膜が得られた。このような複層塗膜を形成し得る塗料組成物は、カーボンブラックの凝集による不具合点を解消し得るという点でも有用である。
【0072】
実施例5〜22、比較例3〜5および比較例7〜9で用いた商品Bは、アルミナ基材と被覆層の比率が74/24である(表1)。被覆層をこのような比率で有するアルミナ基材は、高い光輝感が得られる。このようなアルミナ基材にニッケルを含む微粒子を付着させた光輝材を含む塗料組成物であれば、アルミナ基材の光輝感を維持しつつ明度の低い塗膜を得ることができる。このような塗膜は、下地塗膜として白色に近い下地(下地塗膜1、15度L値:87.0)を用いることにより、明度が低い場合の光輝感をより強調して評価することができる。
【0073】
表3から明らかなように、実施例5〜10では比較例6と比較して明度が低く、光輝感が顕著に優れる塗膜が得られた。なお、比較例5からさらに明度を低くするためには、光輝材配合量を少なくする必要があり、そうすると、光輝感が一層劣る塗膜になると考えられる。
【0074】
また、被覆層を有するアルミナ基材にニッケルを含む微粒子を付着させることで、塗膜の光輝感を維持しながら、明度を低下させ得る塗料組成物が得られた(例えば、比較例3〜5と実施例5〜7との比較、比較例7〜9と実施例14〜16との比較等)。このように、本発明によれば、従来の塗膜により得られるレベルの彩度または光輝感を維持しながら、より明度の低い塗膜を得ることができる。
【0075】
さらに、表3から明らかなように、本発明の塗料組成物は、カーボンブラック量の調整により、塗膜の明度および光輝感を制御することができる。カーボンブラック量を減らすことにより光輝感の高い塗膜が得られる(例えば、実施例5〜7と実施例11〜13との比較)。また、カーボンブラック量を増やすことにより明度の低い塗膜を得ることができる(例えば、実施例5〜7と実施例14〜16との比較)。明度と彩度とのバランスにおいて特に好ましい例は実施例5〜10である。
【0076】
加えて、表3において、実施例11〜13と比較例3〜5とを比較すれば明らかなように、本発明の塗料組成物は、少量のカーボンブラックによって、低明度かつ光輝感の高い複層塗膜を得ることができる。このような複層塗膜を形成し得る塗料組成物は、カーボンブラックの凝集による不具合点を解消し得るという点でも有用である。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の塗料組成物は、自動車車体の塗装等に好適に利用され得る。
【符号の説明】
【0078】
10 光輝材
1 微粒子
2 基材
3、4 空隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミナ基材に、ニッケルを含み粒径が2nm〜80nmである微粒子が付着している、光輝材、
およびカーボンブラック、
を含有する、塗料組成物。
【請求項2】
前記微粒子の付着率が、前記アルミナ基材に対して0.5〜10重量%である、請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項3】
前記アルミナ基材の厚さが0.1〜1μmである、請求項1または2に記載の塗料組成物。
【請求項4】
前記アルミナ基材がその表面に被覆層を有し、該被覆層の屈折率が該アルミナ基材の屈折率よりも0.5以上高い、請求項1から3のいずれかに記載の塗料組成物。
【請求項5】
前記被覆層が酸化チタンを含む層であり、該酸化チタンを含む層の割合が前記アルミナ基材と該酸化チタンを含む層との合計量に対して、10〜50重量%である、請求項4に記載の
塗料組成物。
【請求項6】
前記アルミナ基材の粒径が5〜40μmであり、密度が2〜4g/cmである、請求項1から5のいずれかに記載の塗料組成物。
【請求項7】
前記微粒子が無電解メッキにより付着している、請求項1から6のいずれかに記載の塗料組成物。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の塗料組成物が塗装された上に、さらにクリヤー塗料を塗装する、複層塗膜の形成方法。
【請求項9】
請求項1から7のいずれかに記載の塗料組成物の塗膜を有する、物品。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−242796(P2009−242796A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−61146(P2009−61146)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000230054)日本ペイント株式会社 (626)
【Fターム(参考)】