説明

塗膜形成方法及び塗膜形成装置

【課題】設備の大型化及び設備コストを抑制するとともに、塗工桶内の塗料の乾燥を防止して、被塗装物の表面の塗装ムラの発生や異物の付着等による塗装不良の発生を防止することができる塗膜形成装置を提供する。
【解決手段】塗膜形成装置1Aは、塗料供給ユニット10と塗布ユニット11とを備えている。塗布ユニット11は保持部18と移動部19と塗工桶20とを備えている。保持部18は基体4を支持する支持具24を備えている。塗工桶20は移動部19により軸芯Pに沿って移動される。塗工桶20はシール部材41とカバー部材42とを備えている。シール部材41は弾性材料からなり気体4及び支持具24と当接すると弾性変形する。カバー部材42は塗工桶20が支持具24と相対した際に支持具24と当接して該塗工桶20内の空間を密閉して塗料供給ユニット10から供給された塗料の乾燥を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端ベルト形状物を含む円筒形状の被塗装物の外周面に塗料を塗布して塗膜を形成する塗膜形成装置に関し、例えば、PPC(普通紙複写機)、LBP(レーザビームプリンタ)、ファクシミリ等の電子写真方式を採用した画像形成装置において、転写紙上の未定着トナー像を加熱、加圧により定着させる定着部材(定着ローラ、定着ベルト)の離型層やプライマ層を形成するのに好適な塗膜形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真の原理に基づく複写機及びプリンタなどの画像形成装置では、転写紙を狭厚し、熱によりトナーを溶融して該転写紙に定着させる定着プロセスを行う。このような定着プロセスで用いられる部品(定着ローラ或いは定着ベルト)には、基体上にシリコーンゴム等の耐熱性ゴムで構成された弾性層(厚みが100μm〜300μm程度)と、該弾性層上に形成されたプライマ層と、フッ素樹脂と、で構成された離型層(厚みが20μm〜30μm程度)などが順に形成されたものが用いられる。
【0003】
従来、前述した離型層を形成するための工法としては、塗工装置を用いたもの(例えば、特許文献1を参照)が提案されている。この種の塗工装置は、被塗装物の軸芯が鉛直方向と平行な状態で該被塗装物の両端を支持具により支持するとともに、円環状の液槽部の内側に被塗装物を通して、被塗装物の表面に液槽部の内周縁に設けられたシール部材を当接させることで該液槽部を密閉し、この液槽部を被塗装物の軸芯に沿って該被塗装物と相対的に動かして、液槽部から塗料を被塗装物の外周面に塗布して塗膜を形成する。
【0004】
そして、前述した塗工装置は、液槽部を密閉して被塗装物と相対的に動かすことにより少ない塗料での浸漬塗装を実現している。また、前述した特許文献1に示された塗工装置は、同軸に配置された複数の被塗装物を連続的に塗装することも可能であり、勿論、被塗装物を一本ずつ塗装することも可能である。
【特許文献1】特開2004−279918号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した特許文献1に示された塗工装置は、被塗装物に塗料を塗布する前後の待機時において、被塗装物を支持する支持具にシール部材を当接させて液槽部を密閉することで、液槽部からの塗料の漏れを防止し、且つ、液槽部内を塗料で満たすことで該塗料の乾燥を防止していた。しかしながら、内部を塗料で満たした液槽部が支持具と相対する位置に位置付けられると、支持具に塗料が付着してしまい、この支持具に付着した塗料が乾燥して被塗装物への塗料の塗布時に該被塗装物の表面にムラや異物の付着等の塗装不良が発生するので、支持具の洗浄及び交換作業が不可欠となって、そのために、製造コストが増大するという問題があった。
【0006】
従来、前述した問題を改善する工法としては、被塗装物への塗料の塗布時において、液槽部が被塗装物に相対する位置では該液槽部内の塗料の液面の高さを上昇させるとともに、運転停止時及び待機中において、液槽部が支持具に相対する位置では該液槽部内の塗料の液面の高さを低下させることで、液槽部からの塗料の洩れを防止しするとともに、支持具への塗料の付着を防止する工法が提案されている。そして、この工法を適用すると、塗料の無駄を抑制し且つ支持具の洗浄及び交換作業を省略可能とすることで、製造コストの低減を図ることが可能となる。
【0007】
しかしながら、上記の工法では、運転停止時及び待機中において、液槽部は支持具と相対する位置にあり、この支持具に接触するシール部材の表面は、塗料が付着した状態で放置されることとなり、そのため、シール部材に付着した塗料が乾燥するという問題があった。したがって、従来においては、被塗装物への塗料の塗布時に、該被塗装物の表面のムラや異物の付着等の塗装不良の発生を防止することが困難であった。
【0008】
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。
【0009】
即ち、本発明は、被塗装物の表面にムラや異物の付着等の塗装不良が発生することを防止する塗膜形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、円筒状の被塗装物をその両端を挟んで鉛直方向に支持する支持具と、塗料を収容し且つ前記被塗装物を通す開口部が設けられた塗工桶と、前記塗工桶に設けられて該塗工桶と前記被塗装物との間を水密に保つシール部材と、前記塗工桶内に前記塗料を供給する塗料供給部と、前記塗工桶が前記開口部内に前記支持具を通す位置では、該塗工桶内の塗料の液面を前記シール部材よりも低くさせ、且つ、前記塗工桶が前記開口部内に前記被塗装物を通す位置では、前記液面を前記シール部材よりも高くさせるように制御する第1の制御部と、を備えた前記被塗装物に塗料を塗布して塗膜を形成する塗膜形成装置であって、前記塗工桶の上面には、円環状に形成されたカバー部材が設けられ、そして、前記カバー部材が、前記塗工桶が前記開口部内に前記支持具を通す位置に位置付けられた際に、当該カバー部材の内周面が前記支持具の外周面と当接して前記塗工桶内の空間を密閉するように取り付けられていることを特徴とする塗膜形成装置である。
【0011】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、前記支持具の外径が、前記被塗装物の外径よりも大きく形成され、そして、前記カバー部材の内径が、前記支持具の外径に合わせて形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項3に記載された発明は、請求項2に記載の発明において、前記カバー部材の前記内周面と前記支持具の前記外周面とのうち少なくとも一方に、前記カバー部材と前記支持具との間を水密に保つ弾性部材が設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項4に記載された発明は、請求項3に記載の発明において、前記弾性部材が、内部に圧入される流体によって膨張されるバルーンで構成されていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項5に記載された発明は、請求項1乃至請求項4のうち何れか1項に記載の発明において、前記塗料供給部に設けられた前記塗料を収容する収容タンク内の空気を前記塗工桶内に供給する気体供給部が設けられていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項6に記載された発明は、請求項5に記載の発明において、前記気体供給部には、前記収容タンクと前記塗工桶とを連通して前記空気を通す連通管と、前記空気の移動を自在とする気体移動手段とが設けられていることを特徴とするものである。
【0016】
請求項7に記載された発明は、請求項6に記載の発明において、前記塗工桶内の前記塗料の液面の昇降と連動して、前記気体移動手段が前記塗工桶内に前記空気を出し入れするように制御する第2の制御部が設けられていることを特徴とするものである。
【0017】
請求項8に記載された発明は、請求項7に記載の発明において、前記第2の制御部が、前記気体移動手段に前記塗工桶内に前記空気を加圧して供給させる制御部であることを特徴とするものである。
【0018】
請求項9に記載された発明は、請求項1乃至請求項8のうち何れか1項に記載の発明において、前記塗工桶内の前記塗料を前記収容タンク内に回収する塗料回収部が設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、請求項1に記載された発明によれば、塗工桶の上面に設けられた円環状のカバー部材が、塗工桶が開口部内に支持具を通す位置に位置付けられた際に、当該カバー部材の内周面が支持具の外周面と当接して塗工桶内の空間を密閉するように取り付けられているので、塗工桶内の空気が該塗工桶外へ流出することを防ぐことができ、そのため、塗工桶が開口部内に支持具を通す位置において、塗工桶内の塗料の液面を低くすることで露出するシール部材及びその周辺部に付着した塗料の乾燥を防止することができる。よって、被塗装物のムラや異物の付着等による塗装不良の発生を防止することができる。さらに、塗工桶の上面にカバー部材を取り付けるだけの簡単な構成とすることで、装置を小型で安価なものとすることができる。
【0020】
請求項2に記載された発明によれば、支持具の外径を被塗装物の外径よりも大きくし且つカバー部材の内径を支持具の外径に合わせて形成しているので、開口部内に支持具を通す位置に塗工桶が位置付けられた際に、該塗工桶に取り付けられたカバー部材の内周面を支持具の外周面と確実に当接させることができ、そのため、塗工桶内の空間をカバー部材によって確実に密閉することができる。よって、塗工桶内の塗料の液面の低下により露出するシール部材及びその周辺部に付着した塗料の乾燥を確実に防ぐことができる。
【0021】
請求項3に記載された発明によれば、カバー部材の内周面と支持具の外周面とのうち少なくとも一方に、カバー部材と支持具との間を水密に保つ弾性部材が設けられているので、塗工桶内の空間をカバー部材によって確実に密閉することができ、そのため、塗工桶内の塗料の液面の低下により露出するシール部材及びその周辺部に付着した塗料の乾燥を確実に防ぐことができる。さらに、カバー部材と支持具との位置決めが高精度でなくても、弾性部材によってカバー部材と支持具とを密着させて塗工桶内の空間の密閉が可能であるため、装置の精度の管理が簡単となり、安定した被塗装物への塗膜形成を可能とする。
【0022】
請求項4に記載された発明によれば、弾性部材が、内部に圧入される流体によって膨張されるバルーンで構成されているので、バルーンの膨張によりカバー部材の内周面と支持具の外周面との間を水密に保つことで塗工桶内の空間をカバー部材によって密閉することができ、そのため、塗工桶内の塗料の液面の低下により露出するシール部材及びその周辺部に付着した塗料の乾燥を確実に防ぐことができる。さらに、バルーンの膨張により塗工桶内の空間の密閉を行う軽量で且つ簡単な機構とすることで、装置を小型で安価なものとすることができる。
【0023】
請求項5に記載された発明によれば、塗料供給部に設けられた塗料を収容する収容タンク内の空気を塗工桶内に供給する気体供給部が設けられているので、塗工桶内を収容タンク内の空気(塗料の蒸気)で充満させることで、塗工桶内の塗料の蒸発を低減することができるとともに、塗工桶内の塗料の液面を低くすることで露出する塗工桶に設けられたシール部材及びその周辺部に付着した塗料の乾燥を防止することができる。よって、被塗装物の塗装ムラや異物の付着等を防止することができる。
【0024】
請求項6に記載された発明によれば、気体供給部には、収容タンクと塗工桶とを連通して空気を通す連通管と、空気の移動を自在とする気体移動手段とが設けられているので、塗工桶内を収容タンク内の空気(塗料の蒸気)で充満させることで、塗工桶内の塗料の蒸発を低減することができるとともに、塗工桶内の塗料の液面を低くすることで露出する塗工桶に設けられたシール部材及びその周辺部に付着した塗料の乾燥を防止することができる。よって、被塗装物の塗装ムラや異物の付着等を防止することができる。
【0025】
請求項7に記載された発明によれば、塗工桶内の塗料の液面の昇降と連動して、気体移動手段が塗工桶内に空気を出し入れするように制御する第2の制御部が設けられているので、塗工桶内に供給される塗料と同等の体積の空気を該塗工桶内から排出するとともに、塗工桶内から回収される塗料と同等の体積の空気を該塗工桶内に供給することができる。よって、塗工桶外への無駄な空気の流出を防ぐことができるので、必要とする空気の量を低減し、空気を貯留する収容タンクの小型化を可能とする。
【0026】
請求項8に記載された発明によれば、第2の制御部が、気体移動手段に塗工桶内に空気を加圧して供給させる制御部であるので、塗工桶内の空気を加圧することで、塗工桶内の塗料の蒸発を低減することができるとともに、塗工桶内の塗料の液面を低くすることで露出する塗工桶に設けられたシール部材及びその周辺部に付着した塗料の乾燥防止の効果を向上させることができる。よって、被塗装物の塗装ムラや異物の付着等を防止することができる。
【0027】
請求項9に記載された発明によれば、塗工桶内の塗料を収容タンク内に回収する塗料回収部が設けられているので、塗工桶内の塗料と収容タンク内の塗料との循環を行うことができ、メンテナンス等の長時間に亘って装置が停止する場合でも、塗工桶内の塗料の濃度を均一に保つことができる。よって、被塗装物の塗装ムラや異物の付着等を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の第1の実施形態を、図1乃至図4を参照して説明する。なお、図1は、本発明の第1の実施形態に係る塗膜形成装置の概略の構成を示す説明図である。図2は、図1に示された塗膜形成装置の塗工桶などの部分拡大図である。図3は、図1に示された塗膜形成装置によって塗膜が形成されて得られる定着ベルトの斜視図である。図4は、図3中のIII−III線に沿う断面図である。
【0029】
図1に示された塗膜形成装置1Aは、コピー機などの画像形成装置を構成する定着ベルト2(図3に示す。)のプライマ(接着剤)層3(図4に示す)と弾性層5とが形成された被塗装物としての基体4に塗膜としての離型層6を形成する装置である。
【0030】
定着ベルト2は、図3に示すように、無端状に形成されている。定着ベルト2は、図4に示すように、ポリイミドやNi等の合成樹脂で構成された無端ベルト状の基体4と、プライマ(接着剤)層3と、シリコーンゴム等の耐熱性ゴムで構成された弾性層5と、プライマ(接着剤)層3と、フッ素樹脂で構成された離型層6とが順に積層されて構成されている。
【0031】
弾性層5の厚みTは、100〜300μm程度に形成されている。離型層6の厚みは、20〜30μm程度に形成されている。前述した離型層6が形成される前の被塗装物としての基体4の前述したプライマ層3と合わせた厚みは、200μm〜400μm程度に形成されている。即ち、前述した基体4は、全体として比較的薄肉で変形しやすくなっている。
【0032】
また、プライマ層3と弾性層5と離型層6は、基体4の幅方向の一端部(塗膜形成装置1Aによって後述の塗料7が塗布される際には上端部)4aと、基体4の幅方向の他端部(塗膜形成装置1Aによって塗料7が塗布される際には下端部)4bとに亘って形成されている。前述した定着ベルト2は、加熱されてトナーを転写紙に押圧して、該トナーを転写紙に定着させる。
【0033】
そして、塗膜形成装置1Aは、表面にプライマ層3と弾性層5とが形成された基体4(特許請求の範囲の被塗装物に相当)の外表面即ち前述したプライマ層3上に、前述したフッ素樹脂と周知の溶媒などを含んだ塗料7(図2に示す)を塗布して、前述した離型層6を形成する。
【0034】
塗膜形成装置1Aは、図1に示すように、塗料供給部としての塗料供給ユニット10と、塗布ユニット11と、制御装置12とを備えている。塗料供給ユニット10は、工場のフロア上などに設置され且つ塗料7を収容する収容タンク13と、該収容タンク13内に外気を取り込むための細長い管状の通気管14と、図示しない攪拌用モータと、塗料供給管15と、ポンプ16等を備えている。
【0035】
攪拌用モータは、収容タンク13に固定され且つ該収容タンク13内に位置付けられた出力軸に羽根車が取り付けられている。攪拌モータは、収容タンク13内の塗料7を攪拌して、該塗料7の粘度にむらが生じることを防止する。塗料供給管15は、細長い管状に形成されており、収容タンク13と後述する塗工桶20の桶本体40とを連通して塗料7を通す。ポンプ16は、収容タンク13内の塗料7を、塗料供給管15内を通して後述する塗工桶20の桶本体40内に送り出す。
【0036】
そして、前述した塗料供給ユニット10は、ポンプ16が収容タンク13内の塗料7を塗工桶20の桶本体40内に送り出すことで、塗工桶20内に塗料7を供給する。
【0037】
塗布ユニット11は、図1に示すように、装置本体17と、保持部18と、移動部19と、塗工桶20とを備えている。装置本体17は、工場のフロア上などに設置される台部21と、該台部21から上方に向かって延在した板状の延在板22とを備えている。台部21は、表面が水平方向と平行に配置されている。延在板22は、長手方向が鉛直方向と平行に配置されている。
【0038】
保持部18は、図1に示すように、マンドレル23と、一対の支持具24と、一対の保持部材25と、一つのチャックシリンダ26と、を備えている。
【0039】
マンドレル23は、一対の円盤部材27と、一つの軸部材28とを備えている。円盤部材27は、それぞれ、外径が基体4の内径よりも若干大きく且つ厚手の円盤状に形成されている。軸部材28は、円柱状に形成され且つ外径が円盤部材27の外径及び基体4の内径より小さく形成されている。軸部材28は、一対の円盤部材27と同軸に配置されて該一対の円盤部材27同士を連結しているとともに、両端部28a,28bが円盤部材27から突出している。そして、マンドレル23は、前述した基体4内に圧入されて、円盤部材27が基体4の両端4a,4bを内側から支持することとなる。
【0040】
一対の支持具24は、それぞれ、全体として厚肉の円筒状に形成されている。一対の支持具24は、それぞれ、内側にマンドレル23の軸部材28の両端部28a,28bがそれぞれ圧入される。一対の支持具24は、それぞれ、マンドレル23と同軸に配置されている。そして、一対の支持具24が基体4の両端部4a,4bを挟んで該基体4を鉛直方向に支持する。
【0041】
一対の保持部材25は、それぞれ円柱状に形成された本体部29と、該本体部29から突設された突出部30とを備えている。突出部30は、軸芯が鉛直方向と平行に配置されるとともに、先端に向かうにしたがって徐々に先細に形成されている。そして、一方の保持部材25aは、チャックシリンダ26の後述する固定部材33に固定されているとともに、他方の保持部材25bは、本体部29が台部21から立設した状態で該台部21に固定されている。
【0042】
チャックシリンダ26は、シリンダ本体31と、該シリンダ本体31から凸没自在なロッド32とを備えている。シリンダ本体31は、鉛直方向に沿って下方に向かってロッド32が伸長する状態で、連結部材31aによって前述した延在板22に取り付けられている。ロッド32は、円柱状に形成され且つ軸芯が鉛直方向と平行に配置されているとともに、その下端部に円盤状の固定部材33が設けられている。この固定部材33には前述した一方の保持部材25aが固定される。ロッド32は、鉛直方向に沿って、他方の保持部材25bと間隔をあけて相対する位置(他方の保持部材25bと同軸となる位置)に配されている。
【0043】
そして、一対の保持部材25a,25bは、チャックシリンダ26のロッド32が伸長することで、当該一対の保持部材25a,25bそれぞれに取り付けられた一対の支持具24a,24bが互いに近づく方向に押圧して、一対の支持具24a,24bが互いの間に挟んだマンドレル23を押圧する。
【0044】
前述した構成の保持部18は、チャックシリンダ26のロッド32の固定部材33に固定された一方の保持部材25aに一方の支持具24aが内側に該保持部材25aの突出部30が圧入されて取り付けられるとともに、台部21に固定された他方の保持部材25bに他方の支持具24bが内側に該保持部材25bの突出部30が圧入されて取り付けられる。
【0045】
そして、マンドレル23が基体4内に圧入され且つこれらの基体4とマンドレル23とを一対の支持具24a,24bの間に配置して、チャックシリンダ26のロッド32を伸長させることで、各支持具24a,24b内にマンドレル23の軸部材28の両端部28a,28bがそれぞれ圧入される。こうして、保持部18は、一対の保持部材25a,25bの間に、各支持具24a,24bを介してマンドレル23を挟んで、前述した基体4を保持する。
【0046】
そして、前述した保持部18が、基体4を保持すると、基体4の軸芯P(図1中に一点鎖線で示す)が、鉛直方向と平行になるとともに、該基体4の外周面4cが円筒面状(軸芯Pに直交する方向の断面形が円弧状)となる。このように、保持部18は、軸芯Pが鉛直方向と平行な状態で基体4を保持する。また、保持部18は、チャックシリンダ26のロッド32を伸長して、前述したマンドレル23等を介して基体4を保持するとともに、チャックシリンダ26のロッド32を縮小して、マンドレル23等を介して基体4を着脱自在とする。さらに、保持部18は、基体4を保持する際には、勿論、基体4の外周面4cを露出させる。
【0047】
移動部19は、図1に示すように、リニアアクチュエータ34と、リニアエンコーダ35と、支持ベース36と、クランプ部37などを備えている。リニアアクチュエータ34は、長手方向が鉛直方向と平行な状態で延在板22に取り付けられたレール34aと、該レール34aの長手方向即ち鉛直方向に沿ってレール34aに対し移動するスライダ34bとを備えている。スライダ34bには、支持ベース36とクランプ部37とが取り付けられている。
【0048】
リニアアクチュエータ34は、支持ベース36を介して塗工桶20を昇降させる。即ち、リニアアクチュエータ34は、保持部18と支持ベース36即ち塗工桶20とを前記軸芯Pに沿って相対的に移動させる。リニアエンコーダ35は、前述したスライダ34bに取り付けられた支持ベース36即ち塗工桶20の位置を検出して、該塗工桶20の位置に応じた情報を制御装置12に向けて出力する。
【0049】
支持ベース36は、円環状に形成され且つリニアアクチュエータ34のスライダ34bに取り付けられている。支持ベース36は、その両表面が水平方向と平行に配置されている。即ち、支持ベース36の表面は、軸芯Pに対して直交する方向に沿って平坦に形成されている。支持ベース36は、表面上に塗工桶20を設置して該塗工桶20を支持している。即ち、支持ベース36は、塗工桶20の下方に配置されている。
【0050】
クランプ部37は、クランプ部本体38と、一対の接離ロッド39とを備えている。クランプ部本体38即ちクランプ部37は、支持ベース36の下方に配されてリニアアクチュエータ34のスライダ34bに取り付けられている。一対の接離ロッド39は、それぞれ、棒状に形成され、互いに間隔をあけて平行に配置されているとともに、互いに接離自在となっている。一対の接離ロッド39は、互いの間に塗工桶20内を通される基体4や支持具24を位置付ける位置に配されている。クランプ部37は、一対の接離ロッド39同士を互いに近づけることで、該一対の接離ロッド39間に支持具24を挟む。
【0051】
このように、前述した構成の移動部19は、支持ベース36を昇降させることで、保持部18に保持された基体4と塗工桶20とを該基体4の軸芯Pに沿って相対的に移動させる。
【0052】
塗工桶20は、図1又は図2に示すように、桶本体40と、シール部材41と、カバー部材42とを備えている。桶本体40は、円盤状の底板部43と、該底板部43の外縁の全周から立設した外周壁44とを備えている。底板部43には、略中央部に開口部45が設けられており、この開口部45の内径は、基体4の外径よりも大きく形成されている。また、開口部45の内縁が全周に亘って切り欠かれた段差部46が形成されている。この段差部46には、シール部材41が取り付けられる。
【0053】
シール部材41は、ゴムなどの弾性変形自在な合成樹脂で構成されており、円環状に形成されている。シール部材41の厚みは、周方向に一定に形成されるとともに、段差部46の高さと略等しい。シール部材41は、底板部43の段差部46に取り付けられると該底板部43の表面と略面一になる。シール部材41は、塗工桶20と同軸に配置されており、当該シール部材41の弾性変形していない中立の状態での内径は、基体4の外径よりも小さい。
【0054】
そして、シール部材41は、塗工桶20の開口部45内に通された基体4に当接して、該基体4を通すことができる状態まで弾性変形する。シール部材41は、前述したように弾性変形すると、基体4の外周面4cを該基体4の径方向に沿って内側に押圧するとともに、該基体4の外周面4cとの間を水密に保つ。即ち、シール部材41は、基体4との間から塗工桶20内の塗料7が該塗工桶20外に漏れることを防止する。
【0055】
カバー部材42は、円環状のカバー本体47と、仕切壁48と、弾性部材49とを備えている。カバー本体47は、内外径が桶本体40の底板部43と略等しく形成されている。カバー本体47即ちカバー部材42は、その外縁部が桶本体40の外周壁44に重ねられて、該桶本体40に取り付けられる。カバー部材42は、桶本体40内の塗料7の溶媒などが揮発することを防止するとともに、該桶本体40内の塗料7にゴミなどの異物が侵入することを防止する。カバー本体47の内縁は、底板部43の開口部45の内縁と間隔をあける。このため、塗工桶20は、その内周側が全周に亘って内外を連通して開口している。
【0056】
仕切壁48は、円筒状に形成され且つカバー部材42と同軸に配置されている。仕切壁48は、カバー本体47の内縁と外縁との間の略中央部から底板部43に向かって立設している。仕切壁48のカバー本体47からの高さは、外周壁44の底板部43からの高さよりも低い。このため、仕切壁48は、桶本体40の底板部43と間隔をあけて相対している。仕切壁48は、桶本体40とカバー本体47即ちカバー部材42とで囲まれる塗工桶20内の空間50を、二つに仕切っている。そして、仕切壁48は、塗料供給ユニット11によって塗料7が供給される際などに、塗工桶20内の塗料7に生じた気泡と干渉して、該気泡が基体4側に移動して該基体4に付着することを防止する。
【0057】
弾性部材49は、ゴムなどの弾性変形自在な合成樹脂で構成されており、円筒状に形成されている。弾性部材49の厚みは、周方向に一定に形成されるとともに、カバー本体47の厚みと略等しい。弾性部材49の外径は、カバー本体47の内径と略等しく形成されて、該カバー本体47の内周面47aに取り付けられている。弾性部材49は、内径が支持具24の外径よりも若干小さく形成されて、カバー本体47の内側に通された支持具24の外周面24cを該支持具24の径方向に沿って内側に押圧するとともに、該支持具24の外周面24cとの間を水密に保つ。また、弾性部材49は、内径が基体4の外径より大きく形成されており、カバー本体47の内側に基体4が通された際に、基体4の外周面4cと間隔をあける。
【0058】
前述した塗工桶20は、桶本体40とカバー部材42との間に囲まれる前述した空間50内に前述した塗料7を収容する。塗工桶20は、塗料供給ユニット10によって塗料7が供給される。そして、塗工桶20は、桶本体40内に基体4を通すことで、該基体4の外周面4cを桶本体40の塗料7に浸漬させて、外周面4cに塗膜としての離型層6を形成する。
【0059】
制御装置12は、周知のRAM、ROM、CPUなどを備えたコンピュータである。制御装置12は、図1に示すように、塗料供給ユニット10と、塗布ユニット11の保持部18及び移動部19とに接続しており、これらを制御して、塗膜形成装置1A全体の制御を司る。即ち、制御装置12には、移動部19のリニアエンコーダ35からの情報が入力するとともに、リニアエンコーダ35からの情報などに基づいて、各部位を制御する。そして、制御装置12は、特許請求の範囲に記載された、第1の制御部を成している。
【0060】
前述した構成の塗膜形成装置1Aは、以下のように、基体4の外周面4cに弾性層5を形成する。まず、制御装置12がチャックシリンダ26のロッド32を縮小させて、移動部19に塗工桶20を最も上方に位置付けさせる。このとき、塗工桶20の開口部45内に一方の支持具24aを通し且つクランプ部37の一対の接離ロッド39同士を近づけて該一対の接離ロッド39で一方の支持具24aを挟んでおくとともに、台部21に固定された他方の保持部材25bに他方の支持具24bを取り付けておく。
【0061】
次に、塗工桶20が最も上方に位置付けられた状態で、マンドレル23が圧入された基体4を一方の支持具24aと他方の支持具24bとの間に位置付ける。そして、制御装置12がチャックシリンダ26のロッド32を伸長させる。すると、ロッド32の固定部材33に固定された一方の保持部材25aと台部21に固定された他方の保持部材25bとの間に一対の支持具24a,24bとマンドレル23とを挟んで、保持部18が基体4を軸芯が鉛直方向と平行な状態で保持する。さらに、制御装置12がチャックシリンダ26の一対の接離ロッド39同士を互いに離す。
【0062】
その後、制御装置12が、移動部19に塗工桶20を降下させるとともに、リニアエンコーダ35からの情報に基づいて、塗工桶20が開口部45内に支持具24(一方の支持具24a)を通す位置に位置付けられたと判定すると当該移動部19を停止する。そして、制御装置12が塗料供給ユニット10に塗工桶20内へ塗料7の液面7aがシール部材41の先端より低くなるように該塗料7を供給させる。このとき、シール部材41が支持具24との間を水密に保つこととなるので、支持具24に塗料7が付着することなく、また、塗工桶20と支持具24との間から塗料7が漏れることがない。
【0063】
続いて、制御装置12が、移動部19に塗工桶20を徐々に降下させるとともに、リニアエンコーダ35からの情報に基づいて、塗工桶20が開口部45内に基体4を通す位置即ち塗工桶20が基体4の上端部4a側に位置付けられたと判定すると、塗料供給ユニット10に塗工桶20内の塗料7の液面7aがシール部材41先端より高くなるように該塗料7を供給させる。すると、基体4の外周面4cに上端部4aから下端部4bに向かって順に塗料7が塗布されて、離型層6が形成される。
【0064】
そして、制御装置12が、リニアエンコーダ35からの情報に基づいて、塗工桶20が基体4の下端部4b側に位置付けられたと判定すると、塗料供給ユニット10に塗工桶20内の塗料7の液面7aがシール部材41先端より低くなるように該塗料7を回収させる。
【0065】
さらに、制御装置12が、移動部19に塗工桶20をさらに降下させるとともに、リニアエンコーダ35からの情報に基づいて、塗工桶20が開口部45内に支持具24(他方の支持具24b)を通す位置に位置付けられたと判定すると、当該移動部19を停止する。このとき、シール部材41及びカバー部材42の弾性部材49が支持具24との間を水密に保つこととなるので、支持具24に塗料7が付着することなく、また、塗工桶20内の空間50が密閉されて該塗工桶20内に残った塗料7が乾燥することがない。
【0066】
最後に、制御装置12がチャックシリンダ26のロッド32を縮小する。そして、離型層6が形成された基体4と、基体4を支持したマンドレル23と、該マンドレル23の上端部28aに位置した一方の支持具24aとが取り除かれた後、制御装置12が、クランプ部37の一対の接離ロッド39同士を互いに近づけて、残った他方の支持具24bを挟むとともに、移動部19に塗工桶20を上昇させて、前述した工程と同様に、基体4を塗装する。
【0067】
このように、前述した塗膜形成装置1Aの制御装置12は、保持部18のマンドレル23に保持された基体4の上端部4aと相対した塗工桶20の内周側から塗料7を塗出させながら、該塗工桶20が基体4の下端部4bに向かって移動するように、移動部19と塗料供給ユニット10とを制御する。
【0068】
さらに、前述した塗膜形成装置1Aの制御装置12は、塗工桶20が開口部45内に支持具24を通す位置に位置付けられた際に、該塗工桶20内の塗料7の液面7aがシール部材41の先端より低くなるようにし、且つ、塗工桶20が開口部45内に基体4を通す位置に位置付けられた際に、該塗工桶20内の塗料7の液面7aがシール部材41の先端より高くなるように、塗料供給ユニット10を制御する。
【0069】
本実施形態によれば、塗工桶20の上面に設けられた円環状のカバー部材42が、塗工桶20が開口部45内に支持具24を通す位置に位置付けられた際に、当該カバー部材42の内周面47aが支持具24の外周面24cと当接して塗工桶20内の空間50を密閉するように取り付けられているので、塗工桶20内の空気が該塗工桶20外へ流出することを防止することができる。
【0070】
このため、塗工桶20が開口部45内に支持具24を通す位置において、塗工桶20内の塗料7の液面7aを低くすることで露出するシール部材41及びその周辺部に付着した塗料7の乾燥を防ぎ、次回の塗装時に塗装ムラや異物の発生を防止することができる。また、塗工桶20の上面にカバー部材42を取り付けるだけの簡単な構成とすることで、装置を小型で安価なものとすることができる。
【0071】
また、支持具24の外径を基体4(被塗装物)の外径よりも大きくし且つカバー部材42の内径を支持具24の外径に合わせて形成しているので、開口部45内に支持具24を通す位置に塗工桶20が位置付けられた際に、該塗工桶20に取り付けられたカバー部材42の内周面47aを支持具24の外周面24cと確実に当接させることができ、塗工桶20内の空間50をカバー部材42によって確実に密閉することができる。よって、塗工桶20内の塗料7の液面7aの低下により露出するシール部材41及びその周辺部に付着した塗料7の乾燥を確実に防ぐことができる。
【0072】
さらに、カバー部材42の内周面47aと支持具24の外周面24cとのうち少なくとも一方に、カバー部材42と支持具24との間を水密に保つ弾性部材49が設けられているので、塗工桶20内の空間50をカバー部材42によって確実に密閉することができ、塗工桶20内の塗料7の液面7aの低下により露出するシール部材41及びその周辺部に付着した塗料7の乾燥を確実に防ぐことができる。
【0073】
また、カバー部材42と支持具24との位置決めが高精度でなくても、弾性部材49によってカバー部材42と支持具24とを密着させて塗工桶20内の空間50の密閉が可能であるため、装置の精度の管理が簡単となり、安定した被塗装物への塗膜形成を可能とする。
【0074】
前述した実施形態では、弾性部材49がカバー部材42のカバー本体47の内周面47aに取り付けられている場合を示しているが、これに限定されるものではなく、支持具24の外周面24cに設けられていても良い。また、本発明では、弾性部材49を設けた場合を示しているが、これに限定されるものではなく、カバー部材42の内周面47aと支持具24の外周面24cとを当接させて、塗工桶20内の空間50を密閉する構成としても良いことは勿論である。
【0075】
次に、本発明の第2の実施形態に係る塗膜形成装置1Bを、図5を参照して説明する。なお、前述した第1の実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0076】
本実施形態では、図5に示すように、塗料供給ユニット10が、収容タンク13内の空気(塗料の蒸気を含んだ)Sを塗工桶20内に供給する気体供給部51をさらに備えている。この気体供給部51は、連通管52と、気体移動手段としてのポンプ53とを備えている。
【0077】
連通管52は、細長い管状に形成されており、収容タンク13と塗工桶20の桶本体40とを連通して、収容タンク13内及び塗工桶20内の空気Sを通す。ポンプ53は、収容タンク13内の空気Sを連通管52内を通して塗工桶20の空間50に出し入れする。
【0078】
前述した構成の気体供給部51は、以下のように、制御装置12により制御される。制御装置12が、リニアエンコーダ35からの情報に基づいて、塗工桶20が基体4の下端部4b側に位置付けられたと判定して、塗料供給ユニット10に塗工桶20内の塗料7の液面7aがシール部材41先端より低くなるように該塗料7を回収させるのと連動して、気体供給部51に収容タンク13内の空気Sを塗工桶20内の空間50に供給させる。
【0079】
このとき、制御装置12は、収容タンク13内の空気Sを加圧して塗工桶20内の空間50に供給するように気体供給部51を制御する。すると、塗工桶20内の空気圧が外気圧よりも高くなり、該塗工桶20内の空気Sがカバー部材42の内周面47aと基体4の外周面4cとの間から流出するので、塗工桶20内への外気の侵入を防止することとなり、塗工桶20内に残った塗料7が乾燥することがない。
【0080】
そして、制御装置12が、リニアエンコーダ35からの情報に基づいて、塗工桶20が開口部45内に支持具24(他方の支持具24b)を通す位置に位置付けられたと判定すると、移動部19に塗工桶20の降下を停止させるのと連動して、気体供給部51に収容タンク13内の空気Sを加圧した状態で塗工桶20内の空間50にさらに供給させる。すると、シール部材41及びカバー部材42の弾性部材49によって密閉された塗工桶20内の空気圧を上昇させることとなり、塗工桶20内に残った塗料7が乾燥することがない。
【0081】
このように、前述した塗膜形成装置1Bの制御装置12は、塗工桶20が基体4の上端部4aと相対した際に、塗料供給ユニット10に塗工桶20内の塗料7を回収させるのと連動して、収容タンク13内の空気Sを加圧して塗工桶20内に供給するようにし、且つ、塗工桶20が支持具24(他方の支持具24b)と相対した際に、移動部19に塗工桶20の降下を停止させるのと連動して、収容タンク13内の空気Sを加圧した状態で塗工桶20内にさらに供給するように、気体供給部51を制御する。そして、この制御装置12は、特許請求の範囲に記載された、第2の制御部を成している。
【0082】
本実施形態によれば、塗料供給ユニット10に設けられた塗料7を収容する収容タンク13内の空気Sを塗工桶20内に供給する気体供給部51が設けられているので、塗工桶20内を収容タンク13内の空気Sで充満させることで、塗工桶20内の塗料7の蒸発を低減することができるとともに、塗工桶20内の塗料7の液面7aを低くすることで露出する塗工桶20に設けられたシール部材41及びその周辺部に付着した塗料7の乾燥を防ぐことができ、よって、次回の塗装時に塗装ムラや異物の発生を防止することができる。
【0083】
また、気体供給部51には、収容タンク13と塗工桶20とを連通して空気Sを通す連通管52と、該空気Sの移動を自在とするポンプ53とが設けられているので、塗工桶20内を収容タンク13内の空気Sで充満させることで、塗工桶20内の塗料7の蒸発を低減することができるとともに、塗工桶20内の塗料7の液面7aを低くすることで露出する塗工桶20に設けられたシール部材41及びその周辺部に付着した塗料7の乾燥を防ぐことができ、よって、次回の塗装時に塗装ムラや異物の発生を防止することができる。
【0084】
さらに、塗工桶20内の塗料7の液面7aの昇降と連動して、塗工桶20内に収容タンク13内の空気Sを出し入れするようにポンプ53即ち気体供給部51を制御装置12によって制御しているので、塗工桶20内に供給される塗料7と同等の体積の空気Sを該塗工桶20内から排出するとともに、塗工桶20内から回収される塗料7と同等の体積の空気Sを該塗工桶20内に供給することができ、よって、塗工桶20外への無駄な空気の流出を防ぐことができるので、必要とする空気の量を低減し、空気Sを貯留する収容タンク13の小型化を可能とする。
【0085】
また、制御装置12が、ポンプ53即ち気体供給部51に塗工桶20内に収容タンク13内の空気Sを加圧して供給させるので、塗工桶20内の空気Sを加圧することで、塗工桶20内の塗料7の蒸発を低減することができるとともに、塗工桶20内の塗料7の液面7aを低くすることで露出する塗工桶20に設けられたシール部材41及びその周辺部に付着した塗料7の乾燥防止の効果を向上させることができ、よって、次回の塗装時に塗装ムラや異物の発生を防止することができる。
【0086】
次に、本発明の第3の実施形態に係る塗膜形成装置1Cを、図6及び図7を参照して説明する。なお、前述した第1の実施形態及び第2の実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0087】
本実施形態では、図6に示すように、カバー部材42が、前述した弾性部材49の代わりに、内部に流体が圧入されることで膨張するバルーン55と、該バルーン55に加圧した気体を供給する加圧気体供給部56とを備えている。
【0088】
バルーン55は、ゴムなどの弾性変形自在な合成樹脂で構成されて、袋状に形成されている。また、バルーン55は、カバー本体47の内径と略等しい円環状に形成されて、該カバー本体47の内周面47aに取り付けられている。バルーン55は、内径が支持具24の外径よりも若干小さく形成されて、カバー本体47の内側に通された支持具24の外周面24cを該支持具24の径方向に沿って内側に押圧するとともに、該支持具24の外周面24cとの間を水密に保つ。また、バルーン55は、内径が基体4の外径より大きく形成されており、カバー本体47の内側に基体4が通された際に、基体4の外周面4cと間隔をあける。
【0089】
加圧気体供給部56は、図示しない加圧気体供給源と、レギュレータ57と、加圧気体連通管58aと、バルブ59と、気体排出管58bとを備えている。レギュレータ57は、加圧気体供給源から送り出された加圧気体の圧力を調整する。加圧気体連通管58aは、細長い管状に形成されており、バルーン55と加圧気体供給部(図示せず)とをレギュレータ57及びバルブ59を介して連通して、加圧気体供給部(図示せず)から送り出された加圧気体を通す。
【0090】
バルブ59は、レギュレータ57からバルーン55への加圧気体の供給と、バルーン55内の加圧気体の排出とを切り替える。気体排出管58bは、細長い管状に形成されており、バルブ59に接続されてバルーン55内から排出された加圧気体を通す。
【0091】
前述した構成の加圧気体供給部56は、加圧気体供給源及びレギュレータ57から供給された加圧気体を、加圧気体連通管58aを通してバルーン55内に供給して、この加圧気体によりバルーン55を膨張させる。そして、バルブ59を切り替えることで、バルーン55内の加圧気体を気体排出管58bを通して外部に排出する。
【0092】
また、本実施形態では、塗膜形成装置1Cの塗料供給ユニット10が、前述した塗料供給管15及びポンプ16に加えて、塗工桶20内の塗料7を収容タンク13内に回収する塗料回収部60をさらに備えている。この塗料回収部60は、塗料回収管61と、ポンプ62とを備えている。
【0093】
塗料回収管61は、細長い管状に形成されており、収容タンク13と塗工桶20の桶本体40とを連通して塗料7を通す。ポンプ62は、塗工桶20内の塗料7を塗料回収管61内を通して収容タンク13内に送り出す。そして、前述した塗料回収部60は、ポンプ62が塗工桶20内の塗料7を収容タンク13内に送り出すことで、収容タンク13内に塗料7を回収する。
【0094】
前述した構成の加圧気体供給部56と塗料回収部60とは、以下のように、制御装置12により制御される。制御装置12が、リニアエンコーダ35からの情報に基づいて、塗工桶20が開口部45内に支持具24を通す位置に位置付けられたと判定して、移動部19に塗工桶20の降下を停止させるのと連動して、加圧気体供給部56にバルーン55内に加圧気体を供給させる。すると、加圧気体の供給によってバルーン55が膨張して、支持具24との間を水密に保つこととなるので、塗工桶20内の空間50が密閉されて該塗工桶20内に残った塗料7が乾燥することがない。
【0095】
そして、制御装置12が、リニアエンコーダ35からの情報に基づいて、塗工桶20が基体4と相対する位置に位置付けられたと判定すると、加圧気体供給部56にバルーン55内の加圧気体を外部に排出させる。すると、加圧気体の排出によってバルーン55が縮小して、基体4の外周面4cと間隔をあけた状態となる。
【0096】
また、制御装置12が、リニアエンコーダ35からの情報に基づいて、塗工桶20が支持具24と相対する位置に位置付けられたと判定し、且つ、塗工桶20内の空間50が密閉された状態で長時間放置する場合、塗料回収部60に塗工桶20内の塗料7を収容タンク13内に回収させるとともに、塗料供給ユニット10に収容タンク13内の塗料7を塗工桶20内に供給させる。すると、収容タンク13内の塗料7と塗工桶20内の塗料7とが循環することとなり、塗工桶20内の塗料の濃度を均一に保つことができる。
【0097】
このように、前述した塗膜形成装置1Cの制御装置12は、塗工桶20が支持具24と相対する位置に位置付けられた際に、移動部19に塗工桶20の降下を停止させるのと連動して、加圧気体供給部56にバルーン55内に加圧気体を供給させ、且つ、塗工桶20が基体4と相対する位置に位置付けられた際に、加圧気体供給部56にバルーン55内の加圧気体を外部に排出させる。
【0098】
さらに、前述した塗膜形成装置1Cの制御装置12は、塗工桶20が支持具24と相対する位置に位置付けられ、且つ、塗工桶20内の空間50が密閉された状態で長時間放置する際に、塗料回収部60に塗工桶20内の塗料7を収容タンク13内に回収させるとともに、塗料供給ユニット10に収容タンク13内の塗料7を塗工桶20内に供給させる。
【0099】
本実施形態によれば、弾性部材49が、内部に圧入される流体によって膨張されるバルーン55で構成されているので、バルーン55の膨張によりカバー部材42の内周面47aと支持具24の外周面24cとの間を水密に保つことで塗工桶20内の空間50をカバー部材42によって密閉することができ、塗工桶20内の塗料7の液面7aの低下により露出するシール部材41及びその周辺部に付着した塗料7の乾燥を確実に防ぐことができる。また、バルーン55の膨張により塗工桶20内の空間の密閉を行う軽量で且つ簡単な機構とすることで、装置を小型で安価なものとすることができる。
【0100】
また、塗工桶20内の塗料7を収容タンク13内に回収する塗料回収部60が設けられているので、塗工桶20内の塗料7と収容タンク13内の塗料7との循環を行うことができ、メンテナンス等の長時間にわたって装置が停止する場合でも、塗工桶20内の塗料7の濃度を均一に保つことができ、よって、次回の塗装時に塗装ムラの発生を防止することができる。
【0101】
前述した実施形態では、塗膜形成装置1Cの塗料供給ユニット10が、前述した塗料供給管15及びポンプ16に加えて塗料回収部60をさらに備えている構成としているが、本発明は、塗膜形成装置1Cの塗料供給ユニット10が、塗料供給管15、ポンプ16及び塗料回収部60に加えて、気体供給部51をさらに備えた構成として、制御装置12が気体供給部51に塗工桶20内の塗料7の液面7aの昇降と連動して、塗工桶20内に収容タンク13内の空気Sを出し入れするように制御しても良いことは勿論である。
【0102】
次に、本発明の発明者は、第1の実施形態乃至第3の実施形態及び比較例1について、後述する試験1を行い、その効果を確認した。また、試験1及び結果を図8及び図9を参照して説明する。なお、図8は、本発明に係る塗膜形成装置によって塗膜が形成された際に生じる被塗装物の厚膜化領域を示す概略図である。図9は、連続塗装回数に対する一層物の厚膜化領域長さの結果を示すグラフである。
【0103】
(比較例1)
比較例1の塗膜形成装置(図示せず)は、前述した第1の実施形態の塗膜形成装置1Aの塗工桶20のカバー部材42を有していない構成である。即ち、塗工桶20の上面側が内外を連通して開口した構成である。
【0104】
(試験1)
前述した第1の実施形態の塗膜形成装置1A、第2の実施形態の塗膜形成装置1B、第3の実施形態の塗膜形成装置1C、及び、比較例1の塗膜形成装置を用い、且つ、塗料7としてPFAディスパージョン(水分散系)、及び被塗装物としてポリイミド(以下PI)で構成された直径60mm、長さ370mm、厚さ70μmの円筒状の基材の外周に膜厚150μmのゴム層が形成された無端状ベルトを用いて、連続して複数の無端状ベルトへの離型層の形成を行った。
【0105】
また、連続して複数の無端状ベルトに離型層を形成する際のサイクルタイムは115sec(秒)で行い、その間に塗工桶20内の塗料7の液面7aが低下した状態で放置される時間は約17secとした。
【0106】
そして、無端状ベルトへの塗料7の塗布開始時に生じる該塗料7の厚膜化する領域T(図8に示す)が、品質不良とならない塗布開始地点から15mm以下に抑えられた無端状ベルトが得られる連続塗装回数を調べた。そして、その結果を第1の実施形態乃至第3の実施形態及び比較例1との比較を図9のグラフに示す。
【0107】
図9のグラフによれば、比較例1の塗膜形成装置(図示せず)を用いて試験1を実施したところ、12回目で厚膜化する領域Tが15mmを越える結果となった。これにより、12回以上連続して塗膜を形成することはできず、残留塗料の回収や塗工桶20の交換等のメンテナンスを行うため、11本ごと(21分ごと)に約5分の停止時間が必要となり、生産性を低下させる大きな要因となる。また、比較例1では日産本数が606本である。
【0108】
第1の実施形態の塗膜形成装置1Aを用いて試験1を実施したところ、連続19本まで厚膜化する領域を15mm以下に抑えられる結果が得られた。これにより、18本ごと(35分ごと)に約5分の停止時間となり、生産性が向上し、日産本数が606本から657本まで増産(8%UP)することが可能となる。
【0109】
第2の実施形態の塗膜形成装置1Bを用いて試験1を実施したところ、連続63本まで厚膜化する領域を15mm以下に抑えられる結果が得られた。これにより、62本ごと(119分ごと)に約5分の停止時間となり、生産性が向上して、日産本数が606本から720本まで増産(19%UP)することが可能となる。
【0110】
第3の実施形態の塗膜形成装置1Cを用いて試験1を実施したところ、連続して塗膜の形成を行う場合における塗工桶20内の塗料7の乾燥防止の効果は、原理上、第1の実施形態の塗膜形成装置1Aと同等であり、第1の実施形態と同じく18本ごと(35分ごと)に約5分の停止時間となり、生産性が向上し、日産本数が606本から657本まで増産(8%UP)することが可能となる。
【0111】
また、従来は10分間の休憩時間の直後は、塗料7の濃度上昇により無端状ベルトが全体的に厚膜化して、無端状ベルトに形成した塗膜の膜厚が約22μmとなってしまい、塗膜の膜厚規格上限値に近づくため、必ず塗工桶の交換を必要としていたが、第3の実施形態の塗膜形成装置1Cの場合では、塗料7の循環により濃度が均一化して、停止時間10分経過後でも無端状ベルトに形成した塗膜の膜厚が約20μmとなり、塗工桶20の交換を不要として、さらにメンテナンスの時間を削減することでき、日産本数が606本から673本まで増産(11%UP)することが可能となる。
【0112】
なお、塗膜の膜厚規格は18±5μmであり、無端状ベルトの中央部は、ほぼ中心値の膜厚で塗膜が形成されるが、厚膜化する領域T(図8に示す)の膜厚は約30μmであり、15mmを超えると直ちに品質不良となる。
【0113】
前述した試験1の結果から、第1の実施形態乃至第3の実施形態は、被塗装物への塗装ムラや異物の付着等による塗装不良の発生を防止して安定した塗装が可能な塗膜形成装置1A,1B,1Cであることが明らかとなった。
【0114】
前述した実施形態では、定着ベルト2の離型層6を形成する場合を示しているが、本発明は、定着ベルト2に限ることなく種々の無端ベルトに塗膜を形成しても良いことは勿論である。
【0115】
また、前述した実施形態では、保持部18によって基体4を固定して、移動部19の支持ベース36を移動させている。しかしながら、本発明では、支持ベース36を固定して、基体4を移動させても良く、支持ベース36と基体4との双方を移動させても良い。
【0116】
さらに、前述した実施形態では、制御装置12が特許請求の範囲に記載の第1の制御部及び第2の制御部を成している場合を示しているが、本発明は、これに限定するものではなく、第1の制御部と第2の制御部とが別々に設けられていても良い。
【0117】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。即ち、塗布ユニット11の保持部18と移動部19及び制御装置12等は、実施形態に記載された構成及び配置に限定されることなく、種々の構成及び配置にしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る塗膜形成装置の概略の構成を示す説明図である。
【図2】図1に示された塗膜形成装置の塗工桶などの部分拡大図である。
【図3】図1に示された塗膜形成装置によって塗膜が形成されて得られる定着ベルトの斜視図である。
【図4】図3中のIII−III線に沿う断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る塗膜形成装置の概略の構成を示す説明図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る塗膜形成装置の概略の構成を示す説明図である。
【図7】図6に示された塗膜形成装置の塗工桶などの部分拡大図である。
【図8】本発明に係る塗膜形成装置によって塗膜が形成された際に生じる被塗装物の厚膜化領域を示す概略図である。
【図9】連続塗装回数に対する一層物の厚膜化領域長さの結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0119】
1 塗膜形成装置
4 基体(被塗装物)
7 塗料
7a 液面
10 塗料供給ユニット(塗料供給部)
12 制御装置(第1及び第2の制御部)
13 収容タンク
20 塗工桶
24 支持具
24c 外周面
41 シール部材
42 カバー部材
45 開口部
47a 内周面
49 弾性部材
50 空間
51 気体供給部
52 連通管
53 ポンプ
55 バルーン
60 塗料回収部
S 空気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の被塗装物をその両端を挟んで鉛直方向に支持する支持具と、
塗料を収容し且つ前記被塗装物を通す開口部が設けられた塗工桶と、
前記塗工桶に設けられて該塗工桶と前記被塗装物との間を水密に保つシール部材と、
前記塗工桶内に前記塗料を供給する塗料供給部と、
前記塗工桶が前記開口部内に前記支持具を通す位置では、該塗工桶内の塗料の液面を前記シール部材よりも低くさせ、且つ、前記塗工桶が前記開口部内に前記被塗装物を通す位置では、前記液面を前記シール部材よりも高くさせるように制御する第1の制御部と、
を備えた前記被塗装物に塗料を塗布して塗膜を形成する塗膜形成装置であって、
前記塗工桶の上面には、円環状に形成されたカバー部材が設けられ、そして、
前記カバー部材が、前記塗工桶が前記開口部内に前記支持具を通す位置に位置付けられた際に、当該カバー部材の内周面が前記支持具の外周面と当接して前記塗工桶内の空間を密閉するように取り付けられていることを特徴とする塗膜形成装置。
【請求項2】
前記支持具の外径が、前記被塗装物の外径よりも大きく形成され、そして、前記カバー部材の内径が、前記支持具の外径に合わせて形成されていることを特徴とする請求項1記載の塗膜形成装置。
【請求項3】
前記カバー部材の前記内周面と前記支持具の前記外周面とのうち少なくとも一方に、前記カバー部材と前記支持具との間を水密に保つ弾性部材が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の塗膜形成装置。
【請求項4】
前記弾性部材が、内部に圧入される流体によって膨張されるバルーンで構成されていることを特徴とする請求項3に記載の塗膜形成装置。
【請求項5】
前記塗料供給部に設けられた前記塗料を収容する収容タンク内の空気を前記塗工桶内に供給する気体供給部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうち何れか1項に記載の塗膜形成装置。
【請求項6】
前記気体供給部には、前記収容タンクと前記塗工桶とを連通して前記空気を通す連通管と、前記空気の移動を自在とする気体移動手段と、が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の塗膜形成装置。
【請求項7】
前記塗工桶内の前記塗料の液面の昇降と連動して、前記気体移動手段が前記塗工桶内に前記空気を出し入れするように制御する第2の制御部が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の塗膜形成装置。
【請求項8】
前記第2の制御部が、前記気体移動手段に前記塗工桶内に前記空気を加圧して供給させる制御部であることを特徴とする請求項7に記載の塗膜形成装置。
【請求項9】
前記塗工桶内の前記塗料を前記収容タンク内に回収する塗料回収部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のうち何れか1項に記載の塗膜形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−18268(P2009−18268A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−183639(P2007−183639)
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】