説明

塗装設備及び塗装方法

【課題】 複数の塗料種による塗装を同一の塗装ラインで行う混流塗装においても品質の高い塗装物を安定的に生産することを可能にする。
【解決手段】 塗料を噴霧する塗装ガン4Aを装備した塗装装置3に、塗装ガン4Aからの噴霧塗料における塗料溶剤の蒸発を促進するための蒸発促進空気Ahを噴出する空気噴出手段4Bを装備してある塗装設備であって、
搬送手段Tにより搬送される複数の被塗物2を塗装ガン4Aからの塗料噴霧により順次塗装する構成にするとともに、蒸発促進空気Ahの温度を被塗物2ごとの塗料種に応じて自動的に切り替える切り替え手段(10、11、12)を設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装設備及び塗装方法に関し、詳しくは、塗料を噴霧する塗装ガンを装備した塗装装置に、塗装ガンからの噴霧塗料における塗料溶剤の蒸発を促進するための蒸発促進空気を噴出する空気噴出手段を装備しておく塗装設備及び塗装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の塗装設備及び塗装方法としては、塗装ブース内に設置された塗装装置(例えば、塗装ロボット)に装備される塗装ガンとしての回転霧化式塗装機に、空気噴出手段としてのエアダクトを、それの複数個の空気噴出口が回転霧化式塗装機の円筒ボディの外周に円状に配置される状態で装備することで、回転霧化式塗装機から噴霧される塗料粒子の被塗物に向かう飛行域(以下、噴霧パターンと称することがある。)の外周を包囲する状態で蒸発促進空気をエアダクトから噴出して、その蒸発促進空気により噴霧パターン内の温度を制御し、これにより、噴霧パターン内での塗料溶剤の蒸発を促進して、塗装装置周囲の温度(すなわち、塗装ブース内の温度)に係わらず被塗物における塗膜の固形分率が適度に調整された良好な塗装を被塗物に施す技術が知られている。(下記特許文献1参照)
そして、この技術では、エアダクトから噴出する蒸発促進空気の温度を塗装ブース内の空気の温湿度条件によって設定していた。
【特許文献1】特開2000−325860
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年の製造現場では、生産から販売に至る総合効率の向上を目的に受注生産方式の採用が増加している。この受注生産方式は、1つの生産ラインで1種類の製品を順次生産するのではなく、1つの生産ラインで受注状況に併せて様々な種別の製品を順次生産するもので、在庫用倉庫や在庫整理業務などを省力化できるという優れた利点を有している。
そして、塗装設備においても、このような利点のある受注生産方式の採用を視野に、水を塗料溶剤とした水性塗料、シンナー等の有機溶剤を塗料溶剤とした溶剤塗料などの複数の塗料種による塗装を同一の塗装ラインで行う混流塗装への対応が求められている。
【0004】
ところが、蒸発促進空気の温度を塗装装置周囲の温湿度条件によって設定する上記の如き従来技術では、塗料溶剤の蒸発速度が異なる複数の塗料種による混流塗装の実施において、例えば、水を塗料溶剤とした水性塗料による塗装(水性塗装)と、水よりも蒸発し易い有機溶剤を塗料溶剤とした溶剤塗料による塗装(溶剤塗装)とを行う場合に、水性塗装においては蒸発促進空気による塗料溶剤(水)の蒸発促進が適度で塗膜の固形分率が適度に調整されるものの、溶剤塗装においては蒸発促進空気による塗料溶剤(有機溶剤)の蒸発促進が過剰で塗膜の固形分率が過大になり、そのことで塗装品質の低下を招くなど、混流塗装における塗料種の切り替わりに対して対応できない問題があった。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、合理的な改良により、上記の如き問題を効果的に解消する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1特徴構成は塗装設備に係り、その特徴は、
塗料を噴霧する塗装ガンを装備した塗装装置に、塗装ガンからの噴霧塗料における塗料溶剤の蒸発を促進するための蒸発促進空気を噴出する空気噴出手段を装備してある塗装設備であって、
搬送手段により搬送される複数の被塗物を前記塗装ガンからの塗料噴霧により順次塗装する構成にするとともに、前記蒸発促進空気の温度を被塗物ごとの塗料種に応じて自動的に切り替える切り替え手段を設けてある点にある。
【0007】
つまり、この第1特徴構成であれば、搬送手段により搬送される被塗物ごとの塗料種に応じて蒸発促進空気の温度を自動的に切り替えるから、混流塗装における塗料種の切り替わりに係わらず塗料溶剤の蒸発促進を適度なものにして塗膜の固形分率を適度なものにすることができ、このことにより、混流塗装においても品質の高い塗装物を安定的に生産することができる。
【0008】
ちなみに、混流塗装においても品質の高い塗装物を安定的に生産する別の塗装設備として、例えば、水性塗装と溶剤塗装とを行う混流塗装の実施において、水性塗装よりも塗料溶剤が蒸発し易い溶剤塗装時に、空気噴出手段からの蒸発促進空気の噴出を停止することで溶剤塗装において塗料溶剤の蒸発が過剰になることを抑制するなど、塗料種によって蒸発促進空気の噴出を発停することも考えられるが、それに比べて、本発明は、塗料種に応じて温度を切り替えた蒸発促進空気を噴出することにより、混流塗装における塗料種の切り替わりに係わらず塗料粒子の被塗物に向かう飛行速度が蒸発促進空気の有無により大きく異なることを回避して、蒸発促進空気の有無で塗膜の状態が大きく異なることを防止することもできるという利点がある。
【0009】
本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成の実施において好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記空気噴出手段の空気噴出部を、前記塗装ガンの塗料噴霧部に対する正面視でその塗料噴霧部の周囲に沿って配置することにより、塗料噴霧部から噴霧される塗料粒子の被塗物に向かう飛行域の外周を包囲する状態で前記蒸発促進空気を噴出する構成にしてある点にある。
【0010】
つまり、この第2特徴構成であれば、塗料粒子の被塗物に向かう飛行域(すなわち、噴霧パターン)の外周を蒸発促進空気で包囲することにより、噴霧パターンを塗装装置周囲の空気からシールドする状態にすることができて、噴霧パターン内への不純物の侵入を抑制することができ、このことにより、塗膜に不純物が混入するなどの塗装不良の発生を抑制することができて、混流塗装における塗装品質を一層高いものとすることができる。
【0011】
本発明の第3特徴構成は、第1、第2特徴構成の実施において好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
温度の異なる複数種の空気を空気混合手段で混合して、その混合空気を前記蒸発促進空気として前記空気噴出手段から噴出する構成にするとともに、
前記切り替え手段を、前記温度の異なる複数種の空気の混合比率を変化させることにより前記蒸発促進空気の温度を切り替える構成にしてある点にある。
【0012】
つまり、例えば、加熱器での空気の加熱量を増大又は低減することにより蒸発促進空気の温度を切り替えることも考えられるが、その場合、加熱器での空気の加熱量の増大又は低減に対して蒸発促進空気の温度が変化するまでに相当の時間遅れがあり、このことにより、蒸発促進空気の温度の切り替えが遅くなってしまう。
【0013】
それに対して、上記の第3特徴構成であれば、温度の異なる複数種の空気の空気混合手段での混合比率を変化させることにより蒸発促進空気の温度を切り替えるから、温度の切り替えを迅速に行うことができ、このことにより、混流塗装における塗装能率を高く確保することができる。
【0014】
本発明の第4特徴構成は、第3特徴構成の実施において好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記空気混合手段を、前記塗装装置又はそれに近い位置に設けてある点にある。
【0015】
つまり、この第4特徴構成であれば、空気混合手段で混合生成した蒸発促進空気をその移動距離が極力短い状態で塗装装置に装備した空気噴出手段から噴出させることができるから、生成した蒸発促進空気を極力短い時間で空気噴出手段から噴出させることができて、蒸発促進空気の温度の切り替えを一層迅速に行うことができ、このことにより、混流塗装における塗装能率を一層高く確保することができる。
【0016】
また、前述のように、生成した蒸発促進空気を極力短い時間で空気噴出手段から噴出させることができるから、蒸発促進空気が移動中に放熱することで温度が低下することを極力抑制することができて、空気噴出手段から噴出される蒸発促進空気の温度精度を高くすることができ、このことにより、混流塗装における塗装品質を一層高いものとすることができる。
【0017】
本発明の第5特徴構成は、第3、第4特徴構成の実施において好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記切り替え手段は、前記温度の異なる複数種の空気のうち、高温側空気の混合比率の下限を0よりも大なる値に制限した状態で前記蒸発促進空気の温度を切り替える構成にしてある点にある。
【0018】
つまり、例えば、蒸発促進空気の温度を高温側から低温側に切り替える際に、複数種の空気のうちの高温側空気の混合比率を一時的に0にすることも考えられるが、その場合、高温側空気を空気混合手段に供給する空気供給路内に高温側空気が滞留して放熱することによって高温側空気の温度が低下してしまい、次に蒸発促進空気の温度を低温側から高温側に切り替える際に、放熱によって温度が低下した高温側空気を空気混合手段で混合することになり、そのことで、蒸発促進空気の温度の高温側への切り替えが遅くなってしまう。
【0019】
それに対して、上記の第5特徴構成であれば、高温側空気の混合比率の下限を0よりも大なる値に制限した状態、つまり、高温側空気を必ず混合する状態で蒸発促進空気の温度を切り替えることになるから、高温側空気が空気供給路内で滞留して放熱することを抑制することができ、このことにより、蒸発促進空気の温度の高温側への切り替えを迅速に行うことができて、混流塗装における塗装能率を一層高く確保することができる。
【0020】
本発明の第6特徴構成は、第3〜第5特徴構成の実施において好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記塗装ガンからの塗料噴霧の一時停止中も、前記高温側空気を前記空気混合手段に供給する高温側空気供給路に高温側空気が通風する状態を継続する構成にしてある点にある。
【0021】
つまり、例えば、塗料種の変更時(又は色替え時)や被塗物の搬送時など塗装ガンからの塗料噴霧の一時停止中に、蒸発促進空気の噴出を停止するなどにより高温側空気供給路に高温側空気が通風する状態を中断することも考えられるが、その場合、高温側空気供給路に高温側空気が滞留して放熱することにより高温側空気の温度が低下してしまい、次に塗装ガンからの塗料噴霧を再開した際に、温度が低下した高温側空気を空気混合手段で混合することになり、そのことで、塗料種に応じた所定温度の蒸発促進空気を生成するのが遅くなってしまう。
【0022】
それに対して、上記の第6特徴構成であれば、塗料噴霧の一時停止中においても高温側空気供給路に高温側空気が通風する状態を継続するから、高温側空気が高温側空気供給路に滞留して放熱することにより高温側空気の温度が低下することを抑制することができて、塗料噴霧の再開時に塗料種に応じた所定温度の蒸発促進空気を迅速に生成することができ、このことにより、塗料噴霧を一時停止する必要のある混流塗装においても塗装能率を高く確保することができて、様々な塗料種や生産工程での混流塗装にも対応し易い塗装設備とすることができる。
【0023】
本発明の第7特徴構成は、第6特徴構成の実施において好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記塗装ガンからの塗料噴霧の一時停止中に前記高温側空気供給路に通風する前記高温側空気を、前記空気噴出手段とは異なる排出部から外部に排出する構成にしてある点にある。
【0024】
つまり、例えば、塗料噴霧の一時停止中も高温側空気供給路に高温側空気が通風する状態を継続させるのに、塗料噴霧の一時停止中に高温側空気供給路に通風する高温側空気を蒸発促進空気として空気噴出手段から噴出することも考えられるが、その場合、搬送中の被塗物などに対して塗料溶剤の蒸発と関係しない不要な蒸発促進空気を吹き付けることになり、そのことで、塗膜が乱れるなどの塗装不良が生じてしまう虞がある。
【0025】
それに対して、上記の第7特徴構成であれば、塗料噴霧の一時停止中に高温側空気供給路に通風する前記高温側空気を、空気噴出手段とは異なる排出部から外部に排出するから、搬送中の被塗物などに不要な蒸発促進空気を吹き付けることで塗膜が乱れるなどの塗装不良が生じることを防止することができ、このことにより、塗料噴霧を一時停止する必要のある混流塗装においても塗装品質を高いものとすることができて、様々な塗料種や生産工程での混流塗装にも一層対応し易い塗装設備とすることができる。
【0026】
本発明の第8特徴構成は、第3〜第7特徴構成の実施において好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記温度の異なる複数種の空気が、加熱空気と常温空気である点にある。
【0027】
つまり、この第8特徴構成であれば、温度の異なる空気の一方が加熱器を必要としない常温空気であるから、その一方の空気を生成する専用加熱器を不要にすることができ、このことにより、塗装設備の複雑化を抑制することができる。
【0028】
本発明の第9特徴構成は塗装方法に係わり、その特徴は、
塗料を噴霧する塗装ガンを装備した塗装装置に、塗装ガンからの噴霧塗料における塗料溶剤の蒸発を促進するための蒸発促進空気を噴出する空気噴出手段を装備しておく塗装方法であって、
搬送手段により搬送される複数の被塗物を前記塗装ガンからの塗料噴霧により順次塗装するとともに、前記蒸発促進空気の温度を被塗物ごとの塗料種に応じて切り替える点にある。
【0029】
つまり、この第9特徴構成であれば、搬送手段により搬送される被塗物ごとの塗料種に応じて蒸発促進空気の温度を切り替えるから、混流塗装における塗料種の切り替わりに係わらず塗料溶剤の蒸発促進を適度なものにして塗膜の固形分率を適度なものにすることができ、このことにより、混流塗装においても品質の高い塗装物を安定的に生産することができる。
【0030】
ちなみに、混流塗装においても品質の高い塗装物を安定的に生産する別の塗装方法として、例えば、水性塗装と溶剤塗装とを行う混流塗装の実施において、水性塗装よりも塗料溶剤が蒸発し易い溶剤塗装時に、空気噴出手段からの蒸発促進空気の噴出を停止することで溶剤塗装において塗料溶剤の蒸発が過剰になることを抑制するなど、塗料種によって蒸発促進空気の噴出を発停することも考えられるが、それに比べて、本発明は、塗料種に応じて温度を切り替えた蒸発促進空気を噴出することにより、混流塗装における塗料種の切り替わりに係わらず塗料粒子の被塗物に向かう飛行速度が蒸発促進空気の有無により大きく異なることを回避して、蒸発促進空気の有無で塗膜の状態が大きく異なることを防止することもできるという利点がある。
【0031】
本発明の第10特徴構成は、第9特徴構成の実施において好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記空気噴出手段の空気噴出部を、前記塗装ガンの塗料噴霧部に対する正面視でその塗料噴霧部の周囲に沿って配置することにより、塗料噴霧部から噴霧される塗料粒子の被塗物に向かう飛行域の外周を包囲する状態で前記蒸発促進空気を噴出させる点にある。
【0032】
つまり、この第10特徴構成であれば、塗料粒子の被塗物に向かう飛行域(すなわち、噴霧パターン)の外周を蒸発促進空気で包囲することにより、噴霧パターンを塗装装置周囲の空気からシールドする状態にすることができて、噴霧パターン内への不純物の侵入を抑制することができ、このことにより、塗膜に不純物が混入するなどの塗装不良の発生を抑制することができて、混流塗装における塗装品質を一層高いものとすることができる。
【0033】
本発明の第11特徴構成は、第9、第10特徴構成の実施において好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
温度の異なる複数種の空気を混合して、その混合空気を前記蒸発促進空気として前記空気噴出手段から噴出するとともに、
前記温度の異なる複数種の空気の混合比率を変化させることにより前記蒸発促進空気の温度を切り替える点にある。
【0034】
つまり、例えば、加熱器での空気の加熱量を増大又は低減することにより蒸発促進空気の温度を切り替えることも考えられるが、その場合、加熱器での空気の加熱量の増大又は低減に対して蒸発促進空気の温度が変化するまでに相当の時間遅れがあり、このことにより、蒸発促進空気の温度の切り替えが遅くなってしまう。
【0035】
それに対して、上記の第11特徴構成であれば、温度の異なる複数種の空気の空気混合手段での混合比率を変化させることにより蒸発促進空気の温度を切り替えるから、温度の切り替えを迅速に行うことができ、このことにより、混流塗装における塗装能率を高く確保することができる。
【0036】
本発明の第12特徴構成は、第11特徴構成の実施において好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記温度の異なる複数種の空気として、加熱空気と常温空気を用いる点にある。
【0037】
つまり、この第12特徴構成であれば、温度の異なる空気の一方に加熱器を必要としない常温空気を用いるから、その一方の空気を生成する専用加熱器を不要にすることができ、このことにより、塗装設備の複雑化を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
図1は本発明の塗装設備及び塗装方法を用いて構成した塗装設備を示し、1はトンネル状の塗装ブース(平面視)、2は被塗物(本実施形態では自動車ボディ)であり、塗装ブース1内には、搬送手段Tにより所定間隔でタクト搬送される被塗物2を順次に自動塗装する複数の塗装ロボット3を設置してある。
【0039】
塗装ロボット3の下面には、塗装ブース1の床面に被塗物2の搬送ラインと平行に敷設した所定長さのレール3a上を転動可能な複数の転輪3bを設けて被塗物2の搬送方向に所定範囲で移動できる構造にしてあり、また、塗装ロボット3の作業アーム3cには、被塗物2に対し塗料を霧状にして噴出するとともに、その塗料噴出に併行して後述する蒸発促進空気としてのシールドエアを被塗物2に向けて噴出するエアシールドノズル一体型の塗装機4を装備してあり、この塗装機4が、作業アーム3cの動作により、又は転輪3bのレール上の転動により移動することで、被塗物2の任意の塗装部位を塗装する。
【0040】
9は、空気供給源から供給される常温空気A1を加熱して塗装用加熱空気A2を生成する塗装機4ごとの加熱器であり、8Aは、その塗装用加熱空気A2を塗装ブース1の近傍に配置した塗装機4ごとの給気ヘッダ7に供給する長尺の高温側空気供給管であり、図示しないが、その全長に亘って外周を断熱材で被覆してある。また、8Bは、空気供給源から供給される常温空気A3(A1と同じ空気)を塗装ブース1の近傍まで導く低温側空気供給管であり、その塗装ブース1側の端部には他部材との接続用のフランジ状継手を設けてある。
【0041】
5は高温側空気供給管8Aを通じて給気ヘッダ7に供給された塗装用加熱空気A2を各塗装機4に供給する複数本(本実施形態では2本)の高温側空気供給ホースであり、また、6は低温側空気供給管8Bにより塗装ブース1の近傍に導かれた常温空気A3を低温側空気供給管8Bとの継手接続によって塗装用常温空気A3として各塗装機4に供給する低温側空気供給ホースである。これら、高温側及び低温側の空気供給ホース5、6は夫々、塗装機4の移動を許す可撓性を備える樹脂で構成してある。
【0042】
空気供給源からヒータ9に至る接続管14には、高温側の空気供給弁10を介装してあり、この高温側空気供給弁10の操作により、塗装機4への塗装用加熱空気A2の供給流量を調節できるようにしてある。また、空気供給源から低温側空気供給ホース6に至る低温側空気供給管8Bには、低温側の空気供給弁11を介装してあり、この低温側空気供給弁11の操作により、塗装機4への塗装用常温空気A3の供給流量を調節できるようにしてある。
【0043】
12は、予め設定された生産スケジュールに基づき塗装機4に対する供給塗料の切り替えに連携して、高温側及び低温側の空気供給弁10、11を自動操作する塗装機4ごとの弁制御器であり、この弁制御器12による弁操作により流量調節された塗装用加熱空気A2と塗装用常温空気A3を塗装機4に供給する構成にしてある。
【0044】
図2、図3は、作業アーム3cに装備した塗装機4を示し、4Aは作業アーム3cに取り付けた砲弾形状の塗装ガン、4aは塗装ガン4Aが先端に備える塗料噴霧部としての回転ベルであり、この回転ベル4aの正面視中央には塗料吐出口4bを形成してある。
【0045】
塗装ガン4Aの先端部には、被塗物2の側(すなわち、回転ベル4aが望む前方側)に向けてシェーピングエアAsを噴出する小孔のシェーピングエア噴出口4cを、回転ベル4aの正面視で回転ベル4aの周囲に環状に配置して多数形成してあり、塗料吐出口4bから吐出されて回転ベル4aの高速回転により回転ベル4aの外縁から霧化状態で放出された塗料の粒子は、図4に模式的に示す如く、シェーピングエアAsの噴出流により外郭が形成される噴霧パターンP内を被塗物2に向かい飛行して被塗物2に塗着する。
【0046】
4Bは塗装ガン4Aとともに作業アーム3cの先端部に装備した空気噴出手段としてのエアシールドノズルであり、このエアシールドノズル4Bは、回転ベル4aよりも若干後方(すなわち、反被塗物の側)において塗装ガン4Aから離した状態で、且つ、塗装ガン4Aを囲う状態で回転ベル4aの周囲に沿って配置した空気噴出部としての円環状のノズル部4eを備え、このノズル部4eはノズル支持部材4dを介して作業アーム3cの先端近傍部に対し連結固定してある。
【0047】
前記ノズル支持部材4dにおけるノズル部4eとの連結部近傍箇所には、塗装用加熱空気A2を供給する複数本の高温側空気供給ホース5、及び、塗装用常温空気A3を供給する低温側空気供給ホース6を後面側から接続して、これら空気供給ホース5、6から供給される塗装用加熱空気A2と塗装用常温空気A3とを混合し、その混合空気A2・A3を前面側から突出させた送出管13aを通してノズル部4eに供給する空気混合手段としての混合器13を装備してあり、この混合器13を装備することで、弁制御器12による弁操作をもって塗装用加熱空気A2及び塗装用常温空気A3を夫々の供給流量に調節することにより混合器13での塗装用加熱空気A2及び塗装用常温空気A3の混合比率を変化させて、混合空気A2・A3の温度を調節するようにしてある。
尚、13bは混合器13における送出管13aのノズル部4eに対する接続部に装備したサイレンサ(消音器)である。
【0048】
前記ノズル部4eは、ノズル支持部材4dにボルト連結するとともに後面側から混合器13の送出管13aを接続するノズル部本体4fと、そのノズル部本体4fの前面部分に取付ける蓋状体4gとからなり、ノズル部本体4fに形成した前向き開口の環状凹部に蓋する状態でノズル部本体4fの前面部に蓋状体4gを取り付けることにより、内部に環状の空気室4hを備える円環状のノズル部4eを形成し、この環状の空気室4hに対し混合器13を介して混合空気A2・A3を供給する構成にしてある。
【0049】
ノズル部4eの蓋状体4gには、環状の空気室4fに供給される混合空気A2・A3をシールドエアAhとして被塗物2の側に向けて噴出するシールドエア噴出口4gを、回転ベル4aに対する正面視でシェーピングエア噴出口4cの環状配置部の周囲に沿って環状に位置させる配置で形成してある。
【0050】
そして、このシールドエア噴出口4gからシールドエアAh(すなわち、温度調節された混合空気A2・A3)を噴出することで、図4に模式的に示す如く、回転ベル4aからのシェーピングエアAsにより形成される噴霧パターンPの外周をシールドエアAhの噴出流をもって包囲する状態(換言すれば、シールドエアAhにより噴霧パターンPを塗装ブース1の室内空気からシールドする状態)にし、これにより、噴霧パターンP内への不純物の侵入を抑制して、塗膜に不純物が混入するなどの塗装不良の発生を抑制するとともに、シールドエアAhをその流れ過程で噴霧パターンPに混入させる状態にして噴霧パターンPの内部温度をシールドエアAhにより調節し、そのことで、噴霧パターンP内において噴霧塗料中の塗料溶剤の蒸発を促進して塗装直後における塗膜の固形分率を適度にすることによりタレやムラなどの塗装不良の発生を抑制する。
【0051】
シールドエアAhの温度は、弁制御器12による高温側空気供給弁10及び低温側空気供給弁11の自動操作により、図5に示す如く、水を塗料溶媒として用いる水性塗装パターン、色替え時など塗装を行っていない状態の待機パターン、シンナー等の有機溶剤を塗料溶媒として用いる溶剤塗装パターンの3パターンで自動的に切り替えるようにしてあり、水性塗装パターンでは、塗装用加熱空気A2の流量Ra2を待機パターン及び溶剤塗装パターンでの流量Rb2、Rc2よりも大きな流量にするとともに、塗装用常温空気A3の流量Ra3を待機パターン及び溶剤塗装パターンでの流量Rb3、Rc3よりも小さな流量にする(本実施形態では、流量をゼロにする)ことで、シールドエアAhの温度Taを待機パターン及び溶剤塗装パターンでの温度Tb、Tcよりも高い温度(例えば、60℃)にして、これにより、噴霧パターンPの内部温度TAを待機パターン及び溶剤塗装パターンでの内部温度TB、TCよりも高い温度(例えば、36℃)にして、有機溶剤よりも蒸発し難い塗料溶媒である水の蒸発を促進する。
【0052】
また、溶剤塗装パターンでは、塗装用加熱空気A2の流量Rb2を水性塗装パターンでの流量Ra2の半分強の流量にするとともに、塗装用常温空気A3の流量Tb2を水性塗装パターンでの流量Ta2よりも大きな流量にして、シールドエアAhの温度Tbを水性塗装パターンでの温度Taよりも低い温度(例えば、42℃)にし、また、塗装用加熱空気A2と塗装用常温空気A3との合計流量を水性塗装パターンでの流量よりも若干小さな流量にし、これにより、噴霧パターンPの内部温度TBを水性塗装パターンでの内部温度TAよりも低い温度(例えば、27℃)にするとともにシールドエアAhの噴出量も低下させて、有機溶剤の蒸発をある程度は促進する。
【0053】
つまり、搬送された被塗物2に対して水性塗装パターンのシールドエアAhにより塗料溶剤(水)の蒸発を促進する状態で水性塗装を行い、次に搬送された溶剤塗装を施すべき別の被塗物2に対しては、弁制御器12による空気供給弁10、11の自動操作により塗装用加熱空気A2及び塗装用常温空気A3の流量を調節して混合器13での塗装用加熱空気A2及び塗装用常温空気A3の混合比率を変化させることで溶剤塗装パターンに自動的に切り替えたシールドエアAhにより、塗料溶剤(有機溶剤)の蒸発をある程度促進する状態で溶剤塗装を行うことができ、また反対に、搬送された被塗物2に対して溶剤塗装パターンのシールドエアAhで塗料溶剤(有機溶剤)の蒸発をある程度促進する状態で溶剤塗装を行い、次に搬送された水性塗装を施すべき別の被塗物2に対しては、前述と同じく自動的に水性塗装パターンに切り替えたシールドエアAhにより、塗料溶剤(水)の蒸発を促進する状態で水性塗装を行うことができるようにして、塗料種の切り替わりに係わらず塗膜の固形分率を適度なものにすることができるようにしてある。
【0054】
また、水性塗装パターン及び溶剤塗装パターンの夫々においてシールドエアAhを噴出することにより、水性塗装、溶剤塗装など塗装種に係わらず塗装中において噴霧パターンP内への不純物の侵入をシールドエアAhが抑止して、塗膜に不純物が混入するなどの塗装不良の発生を回避するとともに、水性塗料、溶剤塗料など塗料種によって被塗物2に向かう塗料粒子の飛行速度がシールドエアAh噴出の有無により大きく異なることを回避して、シールドエアAh噴出の有無で塗装後の塗膜の状態が大きく異なることも合せて防止する。
【0055】
また、待機パターンにおいては、塗装用加熱空気A2の流量Rc2、塗装用常温空気A3の流量Tc2を溶剤塗装パターンと同一の流量設定にして、シールドエアAhの温度Tc及び噴霧パターンPの内部温度TCを溶剤塗装パターンと同一の温度設定にしてある。
【0056】
つまり、水性塗装パターン、待機パターン、溶剤塗装パターンの全てにおいて、混合器13での塗装用加熱空気A2の混合比率を0よりも大なる値に制限した状態(換言すれば、混合器13で塗装用加熱空気A2を必ず混合する状態)で生成したシールドエアAhを噴出することにより、加熱器9から混合器13に至る高温側空気供給路(詳しくは、高温側空気供給管8A及び高温側空気供給ホース5)内に新鮮な塗装用加熱空気A2を常に通風させておくようにして、塗装用加熱空気A2が高温側空気供給路内に滞留することで生じる放熱により塗装用加熱空気A2の温度が低下することを抑制し、このように温度低下を抑制した新鮮な塗装用加熱空気A2を塗装機4に設けた混合器13で混合してシールドエアAhを生成することで、待機パターンの有無に係わらず水性塗装パターン及び溶剤塗装パターンの温度のシールドエアAhの生成を迅速に行えるようにしてあり、また、混合器13で生成されたシールドエアAhを混合器13と同じく塗装機4に設けたエアシールドノズル4Bから噴出することにより、極力短い時間で所要温度のシールドエアAhを噴出できるようにしてある。
【0057】
塗装機4に設けた混合器13に塗装用加熱空気A2を供給する複数本の高温側空気供給ホース5には、図6〜図8に示す如く、それら空気供給ホース5の外周を囲う被覆ホース5dを設けて、被覆ホース5dの内周面と空気供給ホース5の外周面との間に空気供給ホース5の全長に亘って断面視円環状の保温用空間Sを形成する二重ホース構造にしてあり、この保温用空間Sの内部に保温用空気層SAを形成するようにしてある。
尚、被覆ホース5dは空気供給ホース5と同様に塗装機4の移動を許す可撓性を備える樹脂で構成してある。
【0058】
そして、高温側空気供給ホース5の塗装機4側端部の近傍(詳しくは、混合器13との接続部近傍)には、それら空気供給ホース5の内部を通過して塗装機4側端部の近傍に至った塗装用加熱空気A2の一部(本実施形態では全体流量の約10%)を空気供給ホース5から排出して保温用空間Sに導入する小孔の第1排出口5aを周方向に複数配設してあり、また、塗装ブース1の外部に位置する被覆ホース5dの給気ヘッダ7近傍には、保温用空間S内の保温用空気A4を被覆ホース5dの外部に排出する小孔の第2排出口5cを周方向に複数配設してあり、これにより、第1排出口5aを通じて保温用空間S内に導入した塗装用加熱空気A2の一部を保温用加熱空気A4として空気供給ホース5の内部における塗装用加熱空気A2の通過向きとは反対向きである給気ヘッダ7側に向けて通過させたのち、この保温用空気A4を第2排出口5cを通じて保温用空間Sから塗装ブース1の外部に排出することで、空気供給ホース5内部の塗装用加熱空気A2からの外部放熱を抑止する保温用空気層SAを保温用空間S内に形成するようにしてある。
【0059】
つまり、変形抵抗のほとんどない無形物である保温用空気A4を通過させた保温用空気層SAで空気供給ホース5内部の塗装用加熱空気A2を保温することにより、塗装機4の動きによる空気供給ホース5の変形によって保温効果が低下することを抑制し、これにより、塗装用加熱空気A2に対する保温効果を長期にわたり高く保って、保温効果の低下に原因する塗装用加熱空気A2の温度低下によってシールドエアAhの温度精度が低下することを抑制して、塗装品質を高く保つとともに、保温することによる空気供給ホース5の可撓性の低下を最小限のものとして、塗装機4の移動の抵抗となることによる塗装ロボット3及び塗装機4の運転効率の低下を抑制する。
【0060】
また、横断面視において、空気供給ホース5がそのほぼ全周に亘り保温用空間Sに囲まれる形態にすることにより空気供給ホース5内部の塗装用加熱空気A2からの放熱を保温用空気層SAがそのほぼ全周に亘り抑止するとともに、常温空気よりも高温の保温用加熱空気A4で保温用空気層SAを形成することにより塗装用加熱空気A2から保温用空気層SAに放熱する側の熱交換量を極力少ない状態にし、さらに、保温用加熱空気A4を保温用空間SAに通過させることにより保温用加熱空気A4が保温用空気層SA内で滞留して放熱することで温度が低下することを抑制して保温用空気層SAの高温を極力維持し、これらのことにより、空気供給ホース5内部の塗装用加熱空気A2の保温を効果的に行う。
【0061】
高温側空気供給ホース5の外周面には、被覆ホース5dの内周面の半径R1と空気供給ホース5の外周面の半径R2との差Rよりも高さHの小さな側面視角錐台状の樹脂製のスペーサー5bの複数個を周方向に均等間隔(本実施例では90度ごとに4つ)に配設するとともに、この複数個の周方向配置スペーサー5bからなるスペーサー群をホース長さ方向に所定間隔で複数群設けてあり、周方向に隣合うスペーサー5bどうしの間、及び、被覆ホース5dの内周面とこれに相対向するスペーサーの天井面との間に保温用空気A4を通過させるようにしながら、空気供給ホース5の外周面よりも外方でスペーサー5bが被覆ホース5dの内周面に接触することにより、塗装機4の移動に伴う空気供給ホース5の撓み時等の弾性変形において空気供給ホース5と被覆ホース5dとが接触することを防止し、これにより、保温用空気層SAの周方向の一部の厚みが薄くなる、ないし、保温用空気層SAが周方向の一部で不存となることを防止して、これらの部分からの放熱やこれらの部分が保温用加熱空気A4の通過の支障となることで保温効率が低下することを抑制する。
【0062】
尚、本実施形態において、弁制御器12、空気供給弁10、11は、シールドエアAhの温度を切り替える切り替え手段を構成してある。
【0063】
また、本実施形態において、塗装用加熱空気A2、保温用加熱空気A4は、外気中の空気と同一組成からなるものに限られるものではなく、無形物である気体であればどのような組成であってもよい.
【0064】
〔別実施形態〕
次に本発明の別実施形態を列記する。
前述の実施形態では、色替え時などの塗装を行っていない状態の待機時にも塗装用加熱空気A2の混合器13での混合比率を0よりも大きくした待機パターンのシールドエアAhを噴出する構成にすることで、高温側空気供給路に塗装用加熱空気A2の通風を継続させていたが、待機時にシールドエアAhの噴出を一時停止して、高温側空気供給路内の塗装用加熱空気A2を第1排出口5a、被覆ホース5d、第2排出口5cとからなる排出部を通じて高温側空気供給路の外部に排出することで、高温側空気供給路に塗装用加熱空気A2の通風を継続させる構成にしてもよい。
【0065】
前述の実施形態では、混合器13を塗装ロボット3に設けていたが、塗装ブース1内など塗装ロボット3の近くに設けてもよい。
【0066】
前述の実施形態では、弁制御器12を、予め設定された生産スケジュールに基づき塗装機4に対する供給塗料の切り替えに連携して、高温側及び低温側の空気供給弁10、11を自動操作するように構成していたが、さらに、塗装ロボット3周囲の温度などに連携するように構成してもよい。
【0067】
前述の実施形態では、蒸発促進空気としてシールドエアAhを例に示したが、これに限られるものではなく、例えば、塗料溶剤の蒸発促進用に温度を設定したシェービングエアAsであってもよい。つまり、直接であるか間接であるかを問わず、塗料溶剤の蒸発の促進に用いる空気であれば、どのようなものであってもよい。
【0068】
前述の実施形態では、保温用空気層SAとして、保温用空間Sに保温用加熱空気A4を通過させて構成する例を示したが、保温用空間Sに空気を密封させて構成してもよい。
【0069】
前述の実施形態では、保温用加熱空気A4を被覆ホース5dの第2排出口5cを通じて外部に放出する例を示したが、保温用加熱空気A4を外部に放出せず、供給ヘッダ7に再供給する構成にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】塗装設備の構成図
【図2】エアシールドノズル一体型の塗装機の一部破断断面図
【図3】エアシールドノズル一体型の塗装機の正面図
【図4】塗料噴霧状態を模式的に示す側面図
【図5】塗装用加熱空気の供給流量、塗装用常温空気の供給流量、シールドエアの温度、噴霧パターン内の温度の関係を説明するための表
【図6】高温側空気供給ホースの縦断図
【図7】図6のI−I線断面図
【図8】図6のII−II線断面図
【符号の説明】
【0071】
T 搬送手段
2 被塗物
3 塗装ロボット(塗装装置)
4A 塗装ガン
4a 回転ベル(塗料噴霧部)
4B エアシールドノズル(空気噴出手段)
4e ノズル部(空気噴出部)
A2 塗装用加熱空気(高温側空気、加熱空気)
A3 塗装用常温空気(常温空気)
5 高温側空気供給ホース(高温側空気供給路)
5a 第1排出口(排出部)
5c 第2排出口(排出部)
5d 被覆ホース(排出部)
8A 高温側空気供給管(高温側空気供給路)
10 高温側空気供給弁(切り替え手段)
11 低温側空気供給弁(切り替え手段)
12 弁制御器(切り替え手段)
13 混合器(空気混合手段)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗料を噴霧する塗装ガンを装備した塗装装置に、塗装ガンからの噴霧塗料における塗料溶剤の蒸発を促進するための蒸発促進空気を噴出する空気噴出手段を装備してある塗装設備であって、
搬送手段により搬送される複数の被塗物を前記塗装ガンからの塗料噴霧により順次塗装する構成にするとともに、前記蒸発促進空気の温度を被塗物ごとの塗料種に応じて自動的に切り替える切り替え手段を設けてある塗装設備。
【請求項2】
前記空気噴出手段の空気噴出部を、前記塗装ガンの塗料噴霧部に対する正面視でその塗料噴霧部の周囲に沿って配置することにより、塗料噴霧部から噴霧される塗料粒子の被塗物に向かう飛行域の外周を包囲する状態で前記蒸発促進空気を噴出する構成にしてある請求項1記載の塗装設備。
【請求項3】
温度の異なる複数種の空気を空気混合手段で混合して、その混合空気を前記蒸発促進空気として前記空気噴出手段から噴出する構成にするとともに、
前記切り替え手段を、前記温度の異なる複数種の空気の混合比率を変化させることにより前記蒸発促進空気の温度を切り替える構成にしてある請求項1又は2記載の塗装設備。
【請求項4】
前記空気混合手段を、前記塗装装置又はそれに近い位置に設けてある請求項3記載の塗装設備。
【請求項5】
前記切り替え手段は、前記温度の異なる複数種の空気のうち、高温側空気の混合比率の下限を0よりも大なる値に制限した状態で前記蒸発促進空気の温度を切り替える構成にしてある請求項3又は4記載の塗装設備。
【請求項6】
前記塗装ガンからの塗料噴霧の一時停止中も、前記高温側空気を前記空気混合手段に供給する高温側空気供給路に高温側空気が通風する状態を継続する構成にしてある請求項3〜5のいずれか1項に記載の塗装設備。
【請求項7】
前記塗装ガンからの塗料噴霧の一時停止中に前記高温側空気供給路に通風する前記高温側空気を、前記空気噴出手段とは異なる排出部から外部に排出する構成にしてある請求項6記載の塗装設備。
【請求項8】
前記温度の異なる複数種の空気が、加熱空気と常温空気である請求項3〜7のいずれか1項に記載の塗装設備。
【請求項9】
塗料を噴霧する塗装ガンを装備した塗装装置に、塗装ガンからの噴霧塗料における塗料溶剤の蒸発を促進するための蒸発促進空気を噴出する空気噴出手段を装備しておく塗装方法であって、
搬送手段により搬送される複数の被塗物を前記塗装ガンからの塗料噴霧により順次塗装するとともに、前記蒸発促進空気の温度を被塗物ごとの塗料種に応じて切り替える塗装方法。
【請求項10】
前記空気噴出手段の空気噴出部を、前記塗装ガンの塗料噴霧部に対する正面視でその塗料噴霧部の周囲に沿って配置することにより、塗料噴霧部から噴霧される塗料粒子の被塗物に向かう飛行域の外周を包囲する状態で前記蒸発促進空気を噴出させる請求項9記載の塗装方法。
【請求項11】
温度の異なる複数種の空気を混合して、その混合空気を前記蒸発促進空気として前記空気噴出手段から噴出するとともに、
前記温度の異なる複数種の空気の混合比率を変化させることにより前記蒸発促進空気の温度を切り替える請求項9又は10記載の塗装方法。
【請求項12】
前記温度の異なる複数種の空気として、加熱空気と常温空気を用いる請求項11記載の塗装方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−61791(P2007−61791A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−254743(P2005−254743)
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【出願人】(000149790)株式会社大気社 (136)
【Fターム(参考)】