説明

増幅システム

【課題】プラズマ生成時の負荷変動に高速に対応すると共に、自動インピーダンス制御回路の長寿命化を図ることが可能な増幅システムを提供する。
【解決手段】プラズマの生成によりインピーダンスが変動する負荷と接続する増幅システムは、入力線路、第1及び第2の増幅器、出力線路、接続線路及びインピーダンス制御回路を具備する。入力線路、出力線路及び接続線路の電気長は、駆動前調整により予め設定される。インピーダンス制御回路は、駆動前調整において、入力から前記負荷側を見たインピーダンスが第1のインピーダンスと等しくなるように制御する。駆動中には、第1の増幅器は、プラズマ生成前後において第1のインピーダンスを目標として信号を増幅する。第2の増幅器は、プラズマ生成前には増幅機能をオフとし、プラズマ生成後には第1のインピーダンスを目標として信号を増幅する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体製造装置に用いられる増幅システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置等で用いられるプラズマチャンバに電力を供給する場合、チャンバの負荷インピーダンスは、プラズマの生成により大きく変動する。このため、従来では、増幅器と負荷インピーダンスとの間に自動インピーダンス制御回路を実装する。自動インピーダンス制御回路は、負荷インピーダンスが変動する度に、増幅器から見たインピーダンスが最適となるようにインピーダンスを制御する。
【0003】
従来の自動インピーダンス制御回路は、モータ駆動の真空コンデンサを使用している。この種の自動インピーダンス制御回路は、機械的な構造を有するため、機械的寿命があると共に、高速制御に限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−215894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のように、従来の自動インピーダンス制御回路は、プラズマが生成される度に、増幅器と負荷インピーダンスとの間のインピーダンスを制御するが、その機械的な構成のため、機械的寿命があると共に、高速制御に限界があるという問題がある。
【0006】
そこで、目的は、プラズマ生成時の負荷変動に高速に対応すると共に、機械的寿命のある自動インピーダンス制御回路の動作回数を減らすことで、自動インピーダンス制御回路の長寿命化を図ることが可能な増幅システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、プラズマの生成によりインピーダンスが変動する負荷と接続する増幅システムは、入力線路、第1及び第2の増幅器、出力線路、接続線路及びインピーダンス制御回路を具備する。入力線路は、予め設定された第1のインピーダンスが設定され、可変長の第1の電気長を有し、信号を伝送する。第1の増幅器は、前記第1のインピーダンスを目標インピーダンスとした増幅機能で、前記入力線路により伝送された信号を増幅する。第2の増幅器は、前記第1の増幅器と並列して設置され、前記プラズマ発生の前後に応じた増幅機能で、入力された信号を増幅する。出力線路は、前記第2の増幅器の出力側に位置し、前記第1のインピーダンスが設定され、前記第1の電気長を有する。接続線路は、前記第1のインピーダンスが設定され、可変長の第2の電気長を有し、前記第1の増幅器から出力される信号と前記出力線路から出力される信号とが合成された信号を伝送する。インピーダンス制御回路は、前記接続線路と接続し、入力から前記負荷側を見たインピーダンスを制御する。そして、前記インピーダンス制御回路は、駆動前調整において、前記プラズマ生成後を想定して、入力から前記負荷側を見たインピーダンスが前記第1のインピーダンスと等しくなるようにインピーダンスを制御する。前記入力線路及び出力線路の第1の電気長と、接続線路の第2の電気長とは、前記駆動前調整において、プラズマ生成前に、前記インピーダンス制御回路の入力から前記負荷側を見たインピーダンスと、前記インピーダンス制御回路の入力から前記接続線路側を見たインピーダンスとが複素共役となるように設定される。前記第2の増幅器は、前記プラズマ生成前には増幅機能をオフとし、前記出力線路をオープンスタブとして前記第1の増幅器の出力整合回路の一部として使用すると共に、前記プラズマ生成後には前記第1のインピーダンスを目標インピーダンスとした増幅機能で信号を増幅する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態に係る増幅システムのプラズマ生成後の機能構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係る増幅システムのプラズマ生成前の機能構成を示すブロック図である。
【図3】図1の第1の入力線路、第2の出力線路及び接続線路の機能構成を示す図である。
【図4】図3の機能構成のその他の例を示す図である。
【図5】図3の機能構成のその他の例を示す図である。
【図6】図2の第1の入力線路、第2の出力線路及び接続線路の電気長を変化させた場合のインピーダンスのシミュレーション結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る増幅システムの機能構成を示すブロック図である。図1に示す増幅システムは、例えば、半導体製造装置等で用いられ、プラズマの生成によりインピーダンスが大きく変動するプラズマチャンバ等の負荷と接続する。増幅システムは、増幅した電力を負荷へ供給する。増幅システムは、プラズマの生成による負荷のインピーダンスの変化に合わせて、プラズマの生成前後で機能構成が変化する。図1はプラズマ生成後の増幅システムの機能構成であり、図2はプラズマ生成前の増幅システムの機能構成である。
【0011】
増幅システムは、高周波増幅器10、接続線路20及び自動インピーダンス制御回路30を具備する。
【0012】
自動インピーダンス制御回路30は、負荷と接続する。自動インピーダンス制御回路30は、初期調整において、自動インピーダンス制御回路30の入力から負荷側を見たインピーダンスを制御する。すなわち、自動インピーダンス制御回路30は、プラズマ生成後において、負荷のインピーダンスが大きく変動した状態を想定し、図1に示す自動インピーダンス制御回路30の入力から負荷側を見たインピーダンスが50Ωになるようにインピーダンスを制御する。なお、本実施形態では、増幅システムを駆動させる前の調整を初期調整と称する。
【0013】
高周波増幅器10は、第1及び第2の増幅器11,12、第1及び第2の入力線路13,14、第1及び第2の出力線路15,16、インピーダンス変換線路17及び制御部18を備える。
【0014】
第1の増幅器11及び第2の増幅器12は、例えば、FET(Field-Effect Transistor)を含む増幅器で、50Ω負荷時に飽和電力が和最大となるように設計してある。
【0015】
プラズマが生成される前において、第2の増幅器12はオフとし、第1の増幅器11のみ動作させる。第2の増幅器12の出力インピーダンスはオープンとなり、第2の出力線路16はオープンスタブとして動作し、伝送線路20と組合せて第1の増幅器11の出力整合回路の一部となる。
【0016】
プラズマ生成後は、第1及び第2の増幅器11,12とも出力インピーダンスが50Ωで最大の飽和電力が得られるようなバランス型の増幅器として動作する。
【0017】
第1の入力線路13は、前記第1の増幅器へ信号を伝送する。第1の入力線路13の電気長θBは、後述する第2の出力線路16の電気長と同一である。
【0018】
この電気長θBと、後述する接続線路20の電気長θAとは、初期調整において設定される。すなわち、電気長θA,θBは、プラズマ生成前において、図2に示す自動インピーダンス制御回路30の入力から負荷側を見たインピーダンスと、自動インピーダンス制御回路30の入力から高周波増幅器10側を見たインピーダンスとが複素共役となるように設定される。なお、プラズマ生成前において、自動インピーダンス制御回路30の入力から負荷側を見たインピーダンスは、プラズマ生成後における50Ωとは異なる値となる。そのため、自動インピーダンス制御回路30の入力から負荷側を見たインピーダンスによっては、インピーダンス同士が複素共役となるように電気長θA,θBを設定することで、プラズマ生成前において、第1の増幅器11の出力インピーダンスが50Ωとは異なる値となることもある。
【0019】
第1の出力線路15は、50Ωのインピーダンスが設定される。第1の出力線路15の電気長は、伝送する信号の4分の1波長と同等である。第1の出力線路15は、第1の増幅器11で増幅された信号を伝送する。
【0020】
第2の入力線路14は、50Ωのインピーダンスが設定される。第2の入力線路14の電気長は、伝送する信号の4分の1波長と同等である。第2の入力線路14は、第2の増幅器12へ信号を伝送する。
【0021】
第2の出力線路16は、50Ωのインピーダンスが設定される。第2の出力線路16の電気長は、電気長θBに設定される。プラズマが生成される前において、第2の出力線路16は第1の増幅器11の出力インピーダンスを制御するオープンスタブとして動作する。また、プラズマが生成された後においては、第2の出力線路16は、第2の増幅器12で増幅された信号を伝送する。第1及び第2の出力線路14,15により伝送された信号は、合成されてインピーダンス変換線路17へ出力される。
【0022】
インピーダンス変換線路17は、図1に示すA地点でのインピーダンスと、接続線路20との間のインピーダンス差を整合させる。インピーダンス変換線路17の電気長は、伝送する信号の4分の1波長と同等である。インピーダンス変換線路17のインピーダンスは、初期調整により設定される。すなわち、インピーダンス変換線路17は、プラズマの発生後において、図1に示すA点から負荷側を見たインピーダンス25Ωと、接続線路20のインピーダンス50Ωとを整合させるように、35.4Ωに設定される。
【0023】
制御部18は、第2の増幅器12を制御する。すなわち、プラズマが生成される前においては、制御部18は、第2の増幅器をオフとすることにより、第2の増幅機12の出力インピーダンスがオープンとなるように第2の増幅器12を制御する。また、プラズマが生成された後においては、制御部18は、第2の増幅器をオンとすることにより、図1に示すように、第1の増幅器11と第2の増幅器から見た出力インピーダンスが50Ωとなるように、第2の増幅器を制御する。
【0024】
接続線路20は、自動インピーダンス制御回路30と高周波増幅器10とを接続する。接続線路20は、50Ωのインピーダンスが設定される。接続線路20の電気長は、電気長θAに設定される。
【0025】
図3〜図5は、第1の入力線路13、第2の出力線路16及び接続線路20の機能構成を示す模式図である。なお、第1の入力線路13、第2の出力線路16及び接続線路20の構成はそれぞれ同様であるため、図3〜図5の説明では、第1の入力線路13を例として説明する。
【0026】
図3に示す第1の入力線路13は、第1のスイッチ191、選択線路192−1〜192−N及び第2のスイッチ193を備える。第1の入力線路13は、第1及び第2のスイッチ191,193が切り替えられることにより、選択線路192−1〜192−Nのうちいずれかが設定される。これにより、N通りの長さの線路が設定される。
【0027】
図4に示す第1の入力線路13は、第1のスイッチ191、選択線路192−1〜192−N、第2のスイッチ193、第3のスイッチ194、選択線路195−1〜195−M、第4のスイッチ196を備える。第1の入力線路13は、第1及び第2のスイッチ191,193が切り替えられることにより、選択線路192−1〜192−Nのうちいずれかが設定され、第3及び第4のスイッチ194,196が切り替えられることにより、選択線路195−1〜195−Mのうちいずれかが設定される。これにより、N+M通りの長さの線路が設定される。なお、図3及び図4において、選択線路192−1〜192−N,195−1〜195−Mのインピーダンスはそれぞれ50Ωである。
【0028】
図5に示す第1の入力線路13は、3dBハイブリッド回路197と、可変容量コンデンサ198,199とを備える。3dBハイブリッド回路197は、選択線路1971−1〜1971−4を備える。選択線路1971−1,1971−3は、インピーダンスが50Ωであり、電気長が4分の1波長である。選択線路1971−2,1971−4は、インピーダンスが35Ωであり、電気長が4分の1波長である。第1の入力線路13は、可変容量コンデンサ198,199の容量が変化されることにより、選択線路1971−1〜1971−4のうちいずれかを設定する。
【0029】
次に、以上のように構成された増幅システムによるプラズマ生成前及びプラズマ生成後の動作を説明する。
【0030】
図2に示すプラズマ生成前において、制御部18は、増幅機能がオフとなるように第2の増幅器12を制御する。
【0031】
電気長θA,θBは、自動インピーダンス制御回路30の入力から負荷側を見たインピーダンスと自動インピーダンス制御回路30の入力から高周波増幅器10側を見たインピーダンスとが複素共役となるように初期調整で設定されているため、第1の増幅器11で増幅された信号は、自動インピーダンス制御回路30を介して負荷へ供給される。
【0032】
図6は、接続線路20の電気長θAが0波長、8分の1波長、4分の1波長及び8分の3波長のときに、第1の入力線路13及び第2の出力線路16の電気長θBを連続的に変化させた場合に、自動インピーダンス制御回路30の入力から高周波増幅器10側を見たインピーダンスのシミュレーション結果を示す。なお、図6では、第1の増幅器11の出力インピーダンスが100Ωである場合を例にシミュレーションを行っている。第1の増幅器11の出力インピーダンスは50Ωであることが望ましいが、プラズマ生成前後における負荷のインピーダンスの変化によっては、電気長θAとθBとを変化させても、自動インピーダンス制御回路30の入力から負荷側を見たインピーダンスと、自動インピーダンス制御回路30の入力から高周波増幅器10側を見たインピーダンスとが複素共役とならない場合がある。
【0033】
第1の増幅器11の出力インピーダンスを100Ωにした場合、図6に示すように、電気長θA,θBを変化させることにより、インピーダンス平面の全てをカバーすることが可能となる。つまり、第1の増幅器11の出力インピーダンスを100Ωにした場合、自動インピーダンス制御回路30の入力から負荷側を見たインピーダンスがいかなる値であっても、自動インピーダンス制御回路30の入力から高周波増幅器10側を見たインピーダンスとの整合をとることが可能となる。
【0034】
また、第1の増幅器11の出力インピーダンスを、プラズマ生成後の第1の増幅器11の出力インピーダンス50Ωよりも2倍高い100Ωとする場合、一般的には3dB飽和出力が低下する。また、第2の増幅器12をオフとしているので、プラズマ生成前においては、プラズマ生成後よりも合計6dB程度低い電力が負荷へ供給される。しかし、プラズマ生成前においては、負荷へ供給する必要のある電力は低いため、供給電力の低下は問題にはならない。
【0035】
なお、第1の増幅器11の出力インピーダンスを50Ωとして、図6と同様なグラフを書いてみると、電気長θAとθBとを変化させることにより、インピーダンス平面を全てカバーすることはできないが、カバーできる領域もある。つまり、プラズマ発生前の自動インピーダンス制御回路30の入力からみた負荷側のインピーダンスの値によっては、第1の増幅器11からみたインピーダンスを50Ωにすることも可能である。この場合はプラズマ生成前においては、負荷へ供給できる電力は生成後の電力と比較して3dB程度低い値となる。
【0036】
自動インピーダンス制御回路30は、初期調整により、プラズマ生成後において自動インピーダンス制御回路30の入力から負荷側を見たインピーダンスが50Ωになるように設定されている。そのため、プラズマ生成後には、第1及び第2の増幅器11,12の出力インピーダンスは共に、図1のB地点及びC地点で示すように、最大電力を出力可能な50Ωとなることになる。
【0037】
以上のように、上記実施形態では、初期調整において、自動インピーダンス制御回路30は、プラズマ生成後の負荷のインピーダンスを想定し、自動インピーダンス制御回路30の入力から負荷側を見たインピーダンスを制御する。また、初期調整において、電気長θA,θBは、プラズマ生成前の状態で、自動インピーダンス制御回路30の入力から負荷側を見たインピーダンスと、自動インピーダンス制御回路30の入力から高周波増幅器10側を見たインピーダンスとが複素共役となるように設定される。そして、増幅システムの駆動中においては、プラズマ生成前後で、第2の増幅器12を電気的にオンオフ制御し、自動インピーダンス制御回路30の制御は行わない。第2の増幅器12に対する制御は、電気的なものであるため、高速な制御が可能であり、機械的寿命に関係することは無い。これにより、プラズマの生成時の負荷変動に高速に対応することが可能になると共に、自動インピーダンス制御回路30による制御は初期調整時のみとすることが可能となる。
【0038】
したがって、本実施形態に係る増幅システムによれば、プラズマ生成時の負荷変動に高速に対応すると共に、機械的寿命のある自動インピーダンス制御回路の動作回数を減らすことで、自動インピーダンス制御回路の長寿命化を図ることができる。
【0039】
なお、上記実施形態では、第1及び第2の増幅器11,12は同一の飽和出力である場合を例に説明したが、これに限定される訳ではない。例えば、第1及び第2の増幅器11,12は、飽和出力が異なっていても構わない。
【0040】
また、上記実施形態では、第2の入力線路14、第1の出力線路15、インピーダンス変換線路17の電気長が伝送する信号の4分の1波長に相当する場合を例に説明したが、これに限定される訳ではない。例えば、これらの線路の電気長は、伝送する信号の(2n−1)/4波長に相当する場合であっても同様に実施可能である。
【0041】
また、上記実施形態では、第1及び第2の入力線路13,14、第1及び第2の出力線路15,16、接続線路20、及び、プラズマ生成後の自動インピーダンス制御回路30の入力から負荷側を見たインピーダンスがそれぞれ50Ωである場合を例に説明したが、これに限定される訳ではない。これらのインピーダンスは、50Ω以外の値に設定されても構わない。
【0042】
また、プラズマ発生前において、第1の増幅器11が過入力になってしまう場合は、制御部18により、プラズマ発生前後で、増幅器への入力レベルを制御してもよい。これも電気的に制御可能である。すなわち、制御部18は、プラズマ発生後において第1及び第2の増幅器11,12へ供給される信号の入力レベルが、プラズマ発生前において第1の増幅器11へ供給される信号の入力レベルよりも大きくなるように信号の入力レベルを制御する。
【0043】
また、上記実施形態に係る図6では、電気長θAが0波長、8分の1波長、4分の1波長及び8分の3波長のときに、電気長θBを連続的に変化させた場合を例に説明しているが、電気長θAを連続的に変化させることも可能である。
【0044】
また、上記実施形態に係る図6では、第1の増幅器11の出力インピーダンスが100Ωである場合を例に説明したが、電気長θA,θBを変化させることにより得られる出力インピーダンスは100Ωに限定される訳ではない。例えば、自動インピーダンス制御回路30の入力から負荷側を見たインピーダンスと、自動インピーダンス制御回路30の入力から高周波増幅器10側を見たインピーダンスとの整合を取れるならば、出力インピーダンスは50Ωから100Ωのその他の値をとっても構わない。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0046】
10…高周波増幅器、11…第1の増幅器、12…第2の増幅器、13…第1の入力線路、14…第2の入力線路、15…第1の出力線路、16…第2の出力線路、17…インピーダンス変換線路、18…制御部、20…接続線路、30…自動インピーダンス制御回路、191…第1のスイッチ、192−1〜192−N…選択線路、193…第2のスイッチ、194…第3のスイッチ、195−1〜195−M…選択線路、196…第4のスイッチ、197…3dBハイブリッド回路、1971−1〜1971−4…選択線路、198,199…可変容量コンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマの生成によりインピーダンスが変動する負荷と接続する増幅システムにおいて、
予め設定された第1のインピーダンスが設定され、可変長の第1の電気長を有し、信号を伝送する入力線路と、
前記第1のインピーダンスを目標インピーダンスとした増幅機能で、前記入力線路により伝送された信号を増幅する第1の増幅器と、
前記第1の増幅器と並列して設置され、前記プラズマ発生の前後に応じた増幅機能で、入力された信号を増幅する第2の増幅器と、
前記第2の増幅器の出力側に位置し、前記第1のインピーダンスが設定され、前記第1の電気長を有する出力線路と、
前記第1のインピーダンスが設定され、可変長の第2の電気長を有し、前記第1の増幅器から出力される信号と前記出力線路から出力される信号とが合成された信号を伝送する接続線路と、
前記接続線路と接続し、入力から前記負荷側を見たインピーダンスを制御するインピーダンス制御回路と
を具備し、
前記インピーダンス制御回路は、駆動前調整において、前記プラズマ生成後を想定して、入力から前記負荷側を見たインピーダンスが前記第1のインピーダンスと等しくなるようにインピーダンスを制御し、
前記入力線路及び出力線路の第1の電気長と、接続線路の第2の電気長とは、前記駆動前調整において、プラズマ生成前に、前記インピーダンス制御回路の入力から前記負荷側を見たインピーダンスと、前記インピーダンス制御回路の入力から前記接続線路側を見たインピーダンスとが複素共役となるように設定され、
前記第2の増幅器は、前記プラズマ生成前には増幅機能をオフとし、前記プラズマ生成後には前記第1のインピーダンスを目標インピーダンスとした増幅機能で信号を増幅することを特徴とする増幅システム。
【請求項2】
前記第2の増幅器の増幅機能は、前記プラズマ生成前後で電気的に制御されることを特徴とする請求項1記載の増幅システム。
【請求項3】
前記第1の増幅器の出力インピーダンスは、前記第1及び第2の電気長が設定されることで、前記第1のインピーダンスから前記第1のインピーダンスの2倍のインピーダンスのいずれかとなることを特徴とする請求項1又は2に記載の増幅システム。
【請求項4】
プラズマ発生後において第1及び第2の増幅器へ供給される信号の入力レベルは、プラズマ発生前において第1の増幅器へ供給される信号の入力レベルよりも大きくなるように制御されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の増幅システム。
【請求項5】
前記入力線路、出力線路及び接続線路のうち少なくともいずれかは、複数の選択線路及び切替スイッチを備え、前記切替スイッチにより、前記複数の選択線路のうちいずれかが選択されることで、前記第1又は第2の電気長が設定されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の増幅システム。
【請求項6】
前記入力線路、出力線路及び接続線路のうち少なくともいずれかは、ハイブリッド回路及び可変容量コンデンサを備え、前記可変容量コンデンサの容量を変化させることで、ハイブリッド回路を構成する選択線路のうちいずれかが選択され、前記第1又は第2の電気長が設定されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の増幅システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−65402(P2013−65402A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201925(P2011−201925)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】