説明

増幅回路及び受信装置

【課題】受信電波環境の変化に対して良好な受信感度を得ることのできる増幅回路及び受信装置を提供する。
【解決手段】入力信号の強度が第1の状態のときは第1の出力端に出力し、前記入力信号の強度が前記第1の状態よりも大きい第2の状態のときは第2の出力端に出力する入力回路と、前記第1の出力端から出力された信号を増幅し位相を反転して出力する反転増幅回路と、前記第2の出力端から出力された信号をそのまま、または減衰して出力するバイパス回路と、前記第1の状態のときは前記反転増幅回路の出力の位相を反転してまたは同相で出力し、前記第2の状態のときは前記バイパス回路の出力を同相または位相を反転して出力する出力回路と、を備えたことを特徴とする増幅回路が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増幅回路及び受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線受信機においては、アンテナから入力した微弱な電波を増幅して受信感度を高くしている。しかし、入力信号が大きすぎると、増幅回路で発生する相互変調などの歪み成分が増加し、かえって受信感度が低下する場合がある。
そのため、バイパス回路を並列に備えた増幅回路を用い、入力信号強度が過大である場合は、バイパス回路を通過させ、増幅による歪み成分の増加を回避する。また、入力信号強度が微弱である場合は、増幅回路を通過させ、低雑音指数での増幅により受信感度を高くする。
【0003】
一方、バイパス回路を通過した出力信号と増幅回路により増幅された出力信号とに位相差があると、入力信号強度の変化により出力信号が切り替わった場合、位相の不連続な信号が出力されることになる。例えば、増幅回路が反転増幅回路の場合、出力信号には180度の位相差がある。
そのため、信号の位相に情報がある場合、例えば位相変調されている場合にこの位相差が大きいと、出力信号を受ける後段の処理において、誤動作、復調エラーが発生する場合がある。例えば、デジタル放送などのデジタルデータを復調する場合、信号の位相が途中で180度反転すると誤ったデータに復調されるおそれがある。
【0004】
そこで、アンプ回路の出力信号とバイパス回路の出力信号の位相を整合させる位相調整回路を備え、切替差動時に生じる信号レベルの変動を抑制するアンテナアンプの提案もある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−281912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、出力信号で位相を検出してフィードバック制御によりバイパス回路の位相を整合させると、フィードバックの時間を考慮しないと正確に位相をそろえることができない。また、処理に時間がかかり、回路構成が複雑になる。
本発明は、受信電波環境の変化に対して良好な受信感度を得ることのできる増幅回路及び受信装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、入力信号の強度が第1の状態のときは第1の出力端に出力し、前記入力信号の強度が前記第1の状態よりも大きい第2の状態のときは第2の出力端に出力する入力回路と、前記第1の出力端から出力された信号を増幅し位相を反転して出力する反転増幅回路と、前記第2の出力端から出力された信号をそのまま、または減衰して出力するバイパス回路と、前記第1の状態のときは前記反転増幅回路の出力の位相を反転してまたは同相で出力し、前記第2の状態のときは前記バイパス回路の出力を同相または位相を反転して出力する出力回路と、を備えたことを特徴とする増幅回路が提供される。
【0008】
また、本発明の他の一態様によれば、増幅回路と、前記増幅回路の出力信号を周波数変換して中間周波信号を出力する周波数変換回路と、前記中間周波信号を増幅する中間周波増幅回路と、前記中間周波信号を復調する復調回路と、を備えたことを特徴とする受信装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、受信電波環境の変化に対して良好な受信感度を得ることのできる増幅回路及び受信装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る増幅回路の構成を例示するブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る増幅回路の他の構成を例示するブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る増幅回路の他の構成を例示するブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係る増幅回路の他の構成を例示するブロック図である。
【図5】本発明の実施形態に係る増幅回路の他の構成を例示するブロック図である。
【図6】本発明の実施形態に係る増幅回路の他の構成を例示するブロック図である。
【図7】本発明の実施形態に係る増幅回路の他の構成を例示するブロック図である。
【図8】本発明の実施形態に係る増幅回路の他の構成を例示するブロック図である。
【図9】本発明の実施形態に係る増幅回路の他の構成を例示するブロック図である。
【図10】本発明の実施形態に係る増幅回路の他の構成を例示するブロック図である。
【図11】本発明の実施形態に係る増幅回路の他の構成を例示するブロック図である。
【図12】本発明の実施形態に係る受信装置の構成を例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る増幅回路の構成を例示するブロック図である。
図1に表しように、本実施例の増幅回路100は、バイパス回路20、反転増幅回路40、出力回路60、入力回路90を備える。
【0013】
増幅回路100は、受信電波環境が変化し受信アンテナからの入力信号強度が変化する場合に用いることができる。例えば、受信点が移動し送信アンテナからの距離が異なる場合や、受信点は固定していて電波環境が変化する場合に用いることができる。
【0014】
増幅回路100の入力51は、入力回路90の第1の入力端91に接続され、入力回路90の第1の出力端93及び第2の出力端92は、それぞれ反転増幅回路40の入力端41、バイパス回路の入力端21に接続されている。
【0015】
入力回路90は、第1の入力端91に外部から入力された入力信号の強度が第1の状態のときは、上記入力信号を第1の出力端93に出力し、入力信号の強度が第1の状態より大きい第2の状態のときは、入力信号を第2の出力端92に出力する。
【0016】
すなわち、第1の状態のときは、第1の出力端93には、第1の入力端91に入力された入力信号がそのまま出力されている。このとき第2の出力端92には、入力信号が出力されてもよく、また出力されていなくてもよい。後述するように第1の状態のときは第2の出力端92の信号は後段に伝達されないため、第2の出力端92の状態については、問題とならない。
また、第2の状態のときは、第2の出力端92には、第1の入力端91に入力された入力信号がそのまま出力されている。このとき第1の出力端93には、入力信号が出力されてもよく、また出力されていなくてもよい。第2の状態のときは第1の出力端93の信号は後段に伝達されないため、第1の出力端93の状態については、問題とならない。
【0017】
ここで、第1の状態とは、後述するように入力信号が微弱な場合であり、低雑音指数の反転増幅回路40で入力信号を増幅することにより受信感度が高められる場合である。また、第2の状態とは、入力信号強度が第1の状態より大きく、反転増幅回路40を通すとかえって受信感度が低下する場合である。なお、この第1の状態と第2の状態とは、後述するように出力回路60により切替えられる。
【0018】
反転増幅回路40の出力端42、電源入力端43、バイパス回路20の出力端22は、それぞれ出力回路60に接続され、出力回路60の出力が増幅回路100の出力52となる。
【0019】
反転増幅回路40は、その入力端41に入力された入力信号を、利得G倍で反転増幅して出力端42に出力する。反転増幅回路40は、例えば、1段の低雑音増幅回路により構成される。また、電源入力端43へ電源を供給し、または電源の供給を停止することにより、出力端42への出力をオンまたはオフすることができる。この電源の供給及び停止は、出力回路60により切替られる。
【0020】
なお、本実施例においては、反転増幅回路40は、出力回路60で通電または停止に切替られる電源入力端43を有する構成を例示している。しかし、出力回路60の構成によっては、電源入力端43はなくてもよく、反転増幅回路40は常に電源を供給する構成とすることもできる。
【0021】
反転増幅回路40の入力信号は、上記のとおり、例えば、外部のアンテナから入力回路90を介して入力される。そのアンテナと送信アンテナとの距離、障害物など受信点の電波環境により、入力信号強度は変化する。そのため、入力信号は、増幅が必要な微弱な場合と増幅が不要な場合、または減衰させる必要がある場合などに変化する。また、受信点が、例えば、歩行中や自動車、鉄道などの車両で移動する場合は、時間とともに入力信号強度が変化することになる。
【0022】
バイパス回路20は、入力回路90を介して入力端21に入力された入力信号を、そのまま、または減衰させて、入力信号と同位相で出力端22に出力する。そして、出力回路60に出力する。なお、バイパス回路20において、入力信号を減衰させる構成とした場合は、その減衰量によりバイパス回路20の利得を調整して、受信点の電波環境に対して最適化することができる。
【0023】
出力回路60は、上記のとおり、反転増幅回路40の出力端42、電源入力端43、バイパス回路20の出力端22、及び入力回路90を切替える。
出力回路60は、入力信号強度が第1の状態のときと、入力信号強度が第1の状態より大きい第2の状態と、を有する。
【0024】
上記のとおり、第1の状態とは、入力信号が微弱な場合であり、低雑音指数の反転増幅回路40で入力信号を増幅することにより受信感度が高められる場合である。また、第2の状態とは、入力信号強度が第1の状態より大きく、反転増幅回路40を通すとかえって受信感度が低下する場合である。
【0025】
すなわち、無線受信機においては、入力信号が微弱な第1の状態の場合、低雑音指数の増幅回路により入力信号を増幅してから周波数変換することにより、受信感度を高めることができる。そのため、増幅回路で発生する相互変調歪等の歪成分を希望信号に対して十分低く抑制することが受信感度を保持するうえで重要である。
【0026】
ところで、複数の入力信号が周波数軸上近接して並んでいる場合がある。例えば、TV放送などの多チャンネル信号を受信する場合、希望信号の受信チャンネル周波数の近傍に妨害信号として別チャネル信号が存在する。このような場合、希望信号と妨害信号、または複数の妨害信号による相互変調歪などの歪み成分は、希望信号の受信帯域内に生じることがあり、フィルター等を用いた除去が難しいという特徴がある。
【0027】
また、この歪み成分は、増幅回路の非線形性により生じ、原因となるそれぞれの入力信号の大きさの積に比例する。例えば、3次歪みの場合は原因となる3つの信号の大きさ、または隣接する1つの信号の2乗と他の信号との積に比例し、入力信号強度の3乗に比例する。そのため、このような入力信号を増幅した場合、希望信号の増分以上に歪み成分が増加してしまう特徴を持つ。
【0028】
例えば、入力信号を2倍に増幅した場合、希望信号強度は2倍になるが、妨害信号としての歪み成分は、8倍になる。従って、増幅回路に過大な入力信号が入力されると希望信号の強度に対して歪みの影響が強くなり、結果として受信感度がかえって低下する。すなわち、第2の状態である。
【0029】
出力回路60は、入力信号強度が第1の状態のときは、反転増幅回路40の出力を位相を反転してまたは同相で出力し、第2の状態のときは、バイパス回路20の出力を同相または位相を反転して出力する。
従って、第1の状態のときは、バイパス回路20の出力は伝達されない。また、第2の状態のときは、反転増幅回路40の出力は伝達されない。
【0030】
そして、第1の状態のときと、第2の状態のときとは、互いに同位相で出力される。
このように、本実施例の増幅回路100においては、第1の状態と第2の状態との出力信号は同位相となるように出力される。これは、入力信号強度により、出力の位相が180度変化すると、その出力信号を入力して処理する後段の回路に次のような影響を与えるおそれがあるためである。
【0031】
たとえば、入力信号の位相に情報が含まれている場合、後段で復調するときに復調誤りが発生するおそれがある。すなわち、復調の途中で第1の状態と第2の状態とに変化して増幅回路100の出力信号の位相が180度変化すると復調誤りが発生する。さらに、誤った復調データに対して誤り訂正された場合、誤りデータとして破棄されたり、誤りが伝搬して受信感度の低下につながる。
【0032】
また、図1に表わした増幅回路100においては、出力回路60は、第1のスイッチ回路S1と、差動増幅回路30を有する構成を例示している。
第1のスイッチ回路S1は、反転増幅回路40の出力またはバイパス回路20の出力を、第3の出力端11または第4の出力端12に、位相変化無く出力する。入力信号強度が第1の状態のとき、反転増幅回路40の出力を第3の出力端11に出力し、第2の状態のとき、バイパス回路20の出力を第4の出力端12に出力する。
【0033】
すなわち、第1の状態のときは、反転増幅回路40により入力信号を増幅した信号を、第3の出力端11に出力する。このとき、第4の出力端12にはバイパス回路20の出力は伝達されない。第2の状態のときは、バイパス回路20により入力信号をそのまま、または減衰させた信号を第4の出力端12に出力する。このとき、第3の出力端11には反転増幅回路40の出力は伝達されない。
【0034】
そして、第1の状態のとき第3の出力端11に出力される出力信号と、第2の状態のとき第4の出力端12に出力される出力信号とは、互いに位相が180度異なる。
そこで、差動増幅回路30は、反転入力端31と非反転入力端32とに入力された信号を差動増幅して出力端33に出力する。この差動増幅回路30の出力端33は、増幅回路100の出力52に接続されている。
本実施例においては、第3の出力端11及び第4の出力端12は、それぞれ差動増幅回路30の反転入力端31、非反転入力端32に接続されている。従って、差動増幅回路30は、第4の出力端12と第3の出力端11とからそれぞれ入力した信号を差動増幅する。
【0035】
上記のとおり、第1の状態のときは、第3の出力端11には入力信号とは位相が180度異なる出力信号が出力されている。このとき第4の出力端12は、差動増幅回路30のバイアスによる直流電位となっている。そのため、差動増幅回路30の出力端33には、反転入力端31に入力された信号が、反転増幅されて出力される。
また、第2の状態のときは、第4の出力端12には入力信号と同相の出力信号が出力されている。このとき第3の出力端11は、差動増幅回路30のバイアスによる直流電位となっている。そのため、差動増幅回路30の出力端33には、非反転入力端32に入力された信号が、非反転増幅されて出力される。
従って、第1の状態のときと第2の状態のときとで、差動増幅回路30の利得は反転し、差動増幅回路30の出力信号の位相は、第1の状態と第2の状態とで変化しないことになる。
【0036】
なお、本実施例においては、第3の出力端11及び第4の出力端12は、それぞれ差動増幅回路30の反転入力端31、非反転入力端32に接続されている。そのため、差動増幅回路30の出力信号は、入力信号と同位相である。しかし、第3の出力端11と第4の出力端12とにそれぞれ出力される信号が差動増幅されればよく、第3の出力端11及び第4の出力端12を、それぞれ差動増幅回路30の非反転入力端32、反転入力端31に接続してもよい。この場合は、差動増幅回路30の出力信号は、入力信号と180度位相が異なることになる。
【0037】
このように、本実施例の増幅回路100は、バイパス回路20を並列に備えた増幅回路である。すなわち、入力信号強度が微弱な第1の状態の場合は反転増幅回路40を通過させ、低雑音指数での増幅により受信感度を高める。また、入力信号強度が過大な第2の状態の場合は、バイパス回路20を通過させ、反転増幅回路40での増幅による歪み成分の増加を回避する。そのため、入力信号強度の変化による受信感度の低下を抑制できる。
【0038】
さらに、第1の状態と第2の状態とで、増幅回路100の出力信号の位相は変化しないため、この出力信号を処理する後段の回路に影響を与えない。後段の回路の誤作動、例えば復調エラーなどのおそれもなく、受信感度を維持することができる。
【0039】
また、本実施例の増幅回路100においては、第1の状態と第2の状態とを、入力信号強度によりフィードフォワードで切替えているため、回路構成が単純であり切替時間も速い。
本実施例の増幅回路100によれば、受信電波環境の変化に対して良好な受信感度を得ることができる。
【0040】
なお、本実施例においては、第1の状態と第2の状態とを、第1のスイッチ回路S1及び入力回路90により、入力信号強度に応じて、切替える構成としている。その切替のときに、出力信号が途切れる場合があるが、後段の処理への影響は少ないと考えられる。
【0041】
すなわち、第1のスイッチ回路S1及び入力回路90により第1の状態と第2の状態とに切替えられた場合、出力信号は途切れたり、反転増幅回路40の出力とバイパス回路20の出力とが重複したりする。しかし、短時間で正常な出力信号を出力する状態になり、もとの出力信号と同相で出力される。そのため、例えば、後段の処理は、第1の状態と第2の状態との切替え時のエラーの状態から、正常な状態に短時間で復帰すると考えられる。
【0042】
また、本実施例においては、バイパス回路20は、第2の状態のとき、入力信号をそのまま、または減衰させて出力する構成を例示している。しかし、この第2の状態は、入力信号強度に応じてさらに細分された複数の状態、例えば、第21の状態、第22の状態、第23の状態を有してもよい。バイパス回路20は、例えば、第21の状態のとき入力信号をそのまま出力し、第22の状態、第23の状態のとき、それぞれ減衰量A、B(ただし、A<B)で入力信号を減衰させる構成とすることもできる。
【0043】
図2は、本発明の実施形態に係る増幅回路の他の構成を例示するブロック図である。
図2に表したように、本実施例の増幅回路100aにおいては、第1のスイッチ回路S1aが、第1の切替え回路S2、第2の切替え回路S3を有する構成を例示している。
第1のスイッチ回路S1a以外については、図1に表した増幅回路100と同様である。
【0044】
第1の切替え回路S2は、第1の状態のとき、反転増幅回路40の出力を第5の出力端13に出力し、第2の状態のとき、バイパス回路20の出力を第5の出力端13に出力する。
また、第2の切替え回路S3は、第1の状態のとき、第5の出力端13を第3の出力端11に接続し、第2の状態のとき、第5の出力端13を第4の出力端12に接続する。
【0045】
従って、増幅回路100aにおいては、入力信号が微弱な第1の状態のとき、入力信号は反転増幅回路40により増幅され、第5の出力端13、第3の出力端11に出力される。そして、差動増幅回路30により差動増幅されて出力される。
また、第2の状態のとき、入力信号は、バイパス回路20によりそのまま、または減衰されて第5の出力端13、第4の出力端12に出力される。そして、差動増幅回路30により差動増幅され出力される。
【0046】
さらに、第1の状態と第2の状態とで、差動増幅回路30の出力信号の位相は変化しないため、この出力信号を処理する後段の回路に影響を与えない。
本実施例の増幅回路100aによれば、受信電波環境の変化に対して良好な受信感度を得ることができる。
また、中間点として第5の出力端13を設け、第2の切替え回路S3を用いることにより、第1のスイッチ回路S1の構成が簡単化される。
【0047】
なお、第2の切替え回路S3は、NMOSトランジスタ、PMOSトランジスタ、ダイオードなどを用いたスイッチにより構成することができる。すなわち、NMOSトランジスタ、PMOSトランジスタにおいては、ゲートに切替信号を印加することによりオン・オフ可能なスイッチとして構成することができる。また、ダイオードにおいては、アノードに切替信号を印加することによりオン・オフ可能なスイッチとして構成することができる。また、第1のスイッチ回路S1aは、この切替信号により第1の切替え回路S2及び第2の切替え回路S3を第1の状態、または第2の状態とに切替る。
【0048】
図3は、本発明の実施形態に係る増幅回路の他の構成を例示するブロック図である。
図3に表したように、本実施例の増幅回路100bは、図2に表した増幅回路100aの出力回路60a、入力回路90を、それぞれ出力回路60b、入力回路90aに置き換えた構成となっている。また、出力回路60bは、出力回路60の第1の切替え回路S2を第1の切替え回路S2aに置き換えた構成となっている。
【0049】
入力回路90aは、第1の入力端91が、第1及び第2の出力端93、92に接続された構成を有し、第1及び第2の出力端93、92には、第1の入力端91に入力された入力信号が、第1及び第2の状態において常に出力されている。なお、本実施例においては、入力回路90aを用いる場合を例示しているが、入力回路90を用いることもできる。
【0050】
第1の切替え回路S2aは、スイッチ素子S4、第2のスイッチ素子S5を有する。また、第1の切替え回路S2aにおいては、第5の出力端13は、反転増幅回路40の出力端42に接続されている。
【0051】
スイッチ素子S4は、バイパス回路20の出力端22と第5の出力端13とに接続され、第1の状態のときオフし、第2の状態のときオンする。
また、第2のスイッチ素子S5は、反転増幅回路40の電源入力端43と電源VDDとに接続されている。そして、第1の状態のときオンして反転増幅回路40に電源を供給し、第2の状態のときオフして反転増幅回路40の電源の供給を停止する。
【0052】
増幅回路100bにおいては、増幅回路100aと同様に、第1の状態のとき、入力信号は反転増幅回路40により増幅され、第5の出力端13、第3の出力端11に出力される。そして差動増幅回路30により差動増幅されて出力される。
また、第2の状態のとき、入力信号はバイパス回路20によりそのまま、または減衰されて第5の出力端13、第4の出力端12に出力される。そして、差動増幅回路30により差動増幅され出力される。
【0053】
さらに、第1の状態と第2の状態とで、差動増幅回路30の出力信号の位相は変化しないため、この出力信号を処理する後段の回路に影響を与えない。
本実施例の増幅回路100bによれば、受信電波環境の変化に対して良好な受信感度を得ることができる。
【0054】
なお、増幅回路100bにおいては、入力信号がバイパス回路20を通る第2の状態のとき、反転増幅回路40の電源の供給を停止するように切替えるため、省電力化が図れる。
また、スイッチ素子S4、第2のスイッチ素子S5は、NMOSトランジスタ、PMOSトランジスタ、ダイオードなどを用いたスイッチにより構成することができる。
【0055】
図4は、本発明の実施形態に係る増幅回路の他の構成を例示するブロック図である。
図4に表したように、本実施例の増幅回路100cは、図3に表した増幅回路100bの出力回路60bを、出力回路60cに置き換えた構成となっている。また、出力回路60cは、出力回路60bの第1の切替え回路S2aを、第1の切替え回路S2bに置き換えた構成となっている。
第1の切替え回路S2bは、第2のスイッチ素子S5、スイッチ素子S6を有する。
【0056】
第2のスイッチ素子S5は、図3に表した第2のスイッチ素子S5と同様であり、第1の状態のとき反転増幅回路40へ電源を供給し、第2の状態のとき電源の供給を停止する。
また、スイッチ素子S6は、第1の状態のとき、第5の出力端13を反転増幅回路40の出力端42に接続し、第2の状態のとき、第5の出力端13をバイパス回路20の出力端22に接続する。
【0057】
増幅回路100cにおいては、増幅回路100bと同様に、第1の状態のとき、入力信号は反転増幅回路40により増幅され、第5の出力端13、第3の出力端11に出力される。そして差動増幅回路30により差動増幅されて出力される。
また、第2の状態のとき、入力信号はバイパス回路20によりそのまま、または減衰されて第5の出力端13、第4の出力端12に出力される。そして、差動増幅回路30により差動増幅され出力される。
【0058】
さらに、第1の状態と第2の状態とで、差動増幅回路30の出力信号の位相は変化しないため、この出力信号を処理する後段の回路に影響を与えない。
本実施例の増幅回路100cによれば、受信電波環境の変化に対して良好な受信感度を得ることができる。
【0059】
なお、本実施例の増幅回路100cにおいては、第1の切替え回路S2bは、第2のスイッチ素子S5を有する場合を例示している。そのため、入力信号がバイパス回路20を通る第2の状態のとき、反転増幅回路40の電源の供給を停止するように切替えられるため、省電力化が図れる。しかし、第2のスイッチ素子S5はなくてもよい。また、反転増幅回路40も第1のスイッチ回路S1cで通電または停止に切替られる電源入力端43を有さず、常に電源を供給する構成としてもよい。
このように、増幅回路100cにおいては、スイッチ素子S6を用いることにより、反転増幅回路40の電源の供給を切替えない構成とすることもできる。
また、スイッチ素子S6は、NMOSトランジスタ、PMOSトランジスタ、ダイオードなどを用いたスイッチにより構成することができる。
【0060】
図5は、本発明の実施形態に係る増幅回路の他の構成を例示するブロック図である。
図5に表したように、本実施例の増幅回路100dにおいては、第2のスイッチ回路S7をさらに備える点が、図1に表した増幅回路100と異なる。すなわち、出力回路60dは、出力回路60に第2のスイッチ回路S7を追加した構成となっている。
【0061】
第2のスイッチ回路S7は、第1の状態のとき、第4の出力端12を基準電位に固定し、第2の状態のとき、第3の出力端11を基準電位に固定する。なお、本実施例においては、基準電位として接地電位に固定する構成を例示している。
【0062】
上記図1において説明したとおり、第1の状態のときは、第3の出力端11には入力信号とは位相が180度異なる出力信号が出力されている。このとき第4の出力端12は、差動増幅回路30のバイアスによる直流電位となっている。
また、第2の状態のときは、第4の出力端12には入力信号と同相の出力信号が出力されている。このとき第3の出力端11は、差動増幅回路30のバイアスによる直流電位となっている。
【0063】
そこで、本実施例においては、第2のスイッチ回路S7により、第1の状態のとき信号が出力されない第4の出力端12と、第2の状態のとき信号が出力されない第3の出力端11とを、それぞれ基準電位として接地電位に固定する。
本実施例の増幅回路100dによれば、受信電波環境の変化に対して良好な受信感度を得ることができる。
さらに、増幅回路100dによれば、第1の状態と第2の状態とで、直流電位の変動を軽減することができる。すなわち、信号が出力されていない第3または第4の出力端11、12を基準電位に固定することにより、差動増幅回路30の入出力の直流電位の変動が軽減される。
【0064】
また、第1のスイッチ回路S1の構成を単純にすることができ、構成に必要なスイッチ素子の数を減少して入力信号の損失を低減することができる。さらに、第2のスイッチ回路S7により第3の出力端11または第4の出力端12を基準電位とすることで、差動増幅回路30の反転入力端31、非反転入力端32の一方が浮遊状態とならないように電位を固定することで出力位相の安定化を図ることができる。
【0065】
図6は、本発明の実施形態に係る増幅回路の他の構成を例示するブロック図である。
図6に表したように、本実施例の増幅回路100eにおいては、出力回路60eの第1のスイッチ回路S1eが、第1のスイッチ素子S8、第2のスイッチ素子S5を有し、入力回路90aを用いる構成を例示している。
【0066】
入力回路90aについては、図3に表した増幅回路100bと同様である。すなわち、第1の入力端91が、第1及び第2の出力端93、92に接続されている。第1及び第2の出力端93、92には、第1の入力端91に入力された入力信号が、第1及び第2の状態において常に出力されている。なお、本実施例においては、入力回路90aを用いる場合を例示しているが、入力回路90を用いることもできる。
また、入力回路90aと第1のスイッチ回路S1e以外については、図5に表した増幅回路100dと同様である。
【0067】
第2のスイッチ素子S5は、図3に表した増幅回路100bにおける第2のスイッチ素子S5と同様であり、反転増幅回路40の電源入力端43と電源VDDとに接続されている。そして、第1の状態のときオンして反転増幅回路40に電源を供給し、第2の状態のときオフして反転増幅回路40の電源の供給を停止する。
【0068】
また、第1のスイッチ素子S8は、バイパス回路20の出力端22と第4の出力端12とに接続され、第1の状態のときオフし第2の状態のときオンする。
さらに、第1のスイッチ回路S1eにおいては、反転増幅回路40の出力端42は、第3の出力端11に接続されている。
【0069】
増幅回路100eは、第1の状態のとき、第2のスイッチ素子S5がオンすることにより、入力信号は反転増幅回路40により増幅され、第3の出力端11に出力される。また、第1のスイッチ素子S8がオフし、第2のスイッチ回路S7により第4の出力端12が接地電位となる。そのため、第3の出力端11の出力は、差動増幅回路30により差動増幅されて出力される。
【0070】
また、第2の状態のとき、第1のスイッチ素子S8がオンすることにより、入力信号はバイパス回路20によりそのまま、または減衰されて第4の出力端12に出力される。また、第2のスイッチ素子S5がオフし、第2のスイッチ回路S7により第3の出力端11が接地電位となる。そのため、第4の出力端12の出力は、差動増幅回路30により差動増幅され出力される。
【0071】
さらに、第1の状態と第2の状態とで、差動増幅回路30の出力信号の位相は変化しないため、この出力信号を処理する後段の回路に影響を与えない。
本実施例の増幅回路100eによれば、受信電波環境の変化に対して良好な受信感度を得ることができる。
【0072】
また、本実施例の増幅回路100eによれば、第1のスイッチ回路S1eにおいて、反転増幅回路40の出力及びバイパス回路20の出力がそれぞれ通るスイッチ素子の数を減少することができる。そのため反転増幅回路40と第3の出力端11との間、及びバイパス回路20と第4の出力端12との間の信号の損失を低減することができる。
【0073】
また、バイパス回路20と第4の出力端12との間の損失を低減することにより、バイパス回路20の出力レベルが大きくなる。そのため、反転増幅回路40により増幅を要しない入力信号のレベル範囲が大きくなり、バイパス回路20を通す入力信号強度の範囲、すなわち第2の状態が拡大する。反転増幅回路40の電源供給を停止することによりさらに省電力化が図れる。
なお、第1のスイッチ素子S8は、NMOSトランジスタ、PMOSトランジスタ、ダイオードなどを用いたスイッチにより構成することができる。
【0074】
図7は、本発明の実施形態に係る増幅回路の他の構成を例示するブロック図である。
図7に表したように、本実施例の増幅回路100fにおいては、出力回路60fの第1のスイッチ回路S1fが、第2のスイッチ素子S5、第1のスイッチ素子S8、第3のスイッチ素子S9を有する構成を例示している。
第1のスイッチ回路S1f以外の点については、図6に表した増幅回路100eと同様である。
【0075】
また、第1のスイッチ素子S8及び第2のスイッチ素子S5については、図6に表した増幅回路100eにおける第1のスイッチ回路S1eと同様である。
第3のスイッチ素子S9は、反転増幅回路40の出力端42と第3の出力端11とに接続され、第1の状態のときオンし、第2の状態のときオフする。
【0076】
増幅回路100fにおいては、第1の状態のとき、第2のスイッチ素子S5及び第3のスイッチ素子S9がオンすることにより、入力信号は反転増幅回路40により増幅され、第3の出力端11に出力される。また、第1のスイッチ素子S8がオフし、第2のスイッチ回路S7により第4の出力端12が接地電位となる。そのため、第3の出力端11の出力は、差動増幅回路30により差動増幅されて出力される。
【0077】
また、第2の状態のとき、第1のスイッチ素子S8がオンすることにより、入力信号はバイパス回路20によりそのまま、または減衰されて第4の出力端12に出力される。また、第3のスイッチ素子S9がオフし、第2のスイッチ回路S7により第3の出力端11が接地電位となる。そのため、第4の出力端12の出力は、差動増幅回路30により差動増幅され出力される。なお、第2の状態のとき、第2のスイッチ素子S5は、オン、オフいずれの状態でもよい。
【0078】
さらに、第1の状態と第2の状態とで、差動増幅回路30の出力信号の位相は変化しないため、この出力信号を処理する後段の回路に影響を与えない。
本実施例の増幅回路100fによれば、受信電波環境の変化に対して良好な受信感度を得ることのできる。
【0079】
また、本実施例の増幅回路100fによれば、第1のスイッチ回路S1fにおいて、反転増幅回路40の出力及びバイパス回路20の出力がそれぞれ通るスイッチ素子の数を減少することができる。そのため反転増幅回路40と第3の出力端11との間、及びバイパス回路20と第4の出力端12との間の信号の損失を低減することができる。
【0080】
また、バイパス回路20と第4の出力端12との間の損失を低減することにより、バイパス回路20の出力レベルが大きくなる。そのため、反転増幅回路40により増幅を要しない入力信号のレベル範囲が大きくなり、バイパス回路20を通す入力信号強度の範囲、すなわち第2の状態が拡大する。
なお、反転増幅回路40の電源供給を停止することによりさらに省電力化が図れる。
また、第3のスイッチ素子S9は、NMOSトランジスタ、PMOSトランジスタ、ダイオードなどを用いたスイッチにより構成することができる。
【0081】
なお、本実施例においては、第1のスイッチ回路S1fは、第2のスイッチ素子S5を有する場合を例示している。しかし、第2のスイッチ素子S5はなくてもよく、反転増幅回路40の電源入力端43は、電源VDDと接続して、常に電源を供給する構成としてもよい。
このように、増幅回路100fによれば、反転増幅回路40の電源の供給を切替えない構成とすることもできる。
【0082】
図8は、本発明の実施形態に係る増幅回路の他の構成を例示するブロック図である。
図8に表したように、本実施例の増幅回路100gは、図5に表した出力回路60dを出力回路60gに置き換えた構成となっている。出力回路60gは、出力回路60dの第2のスイッチ回路S7を第2のスイッチ回路S7aに置き換えた構成となっている。
第2のスイッチ回路S7aは、スイッチ素子S10、S11を有する。
【0083】
スイッチ素子S10は、第3の出力端11と接地とに接続され、第1の状態のときオフ、第2の状態のときオンする。
また、スイッチ素子S11は、第4の出力端12と接地とに接続され、第1の状態のときオン、第2の状態のときオフする。
【0084】
増幅回路100gにおいては、第1の状態のとき、入力信号は入力回路90を介して反転増幅回路40により増幅され、第3の出力端11に出力される。また、スイッチ素子S10がオフし、スイッチ素子S11がオンすることにより第4の出力端12が接地電位となる。そのため、第3の出力端11の出力は、差動増幅回路30により差動増幅されて出力される。
【0085】
また、第2の状態のとき、第1のスイッチ回路S1により入力信号は入力回路90を介してバイパス回路20によりそのまま、または減衰されて第4の出力端12に出力される。また、スイッチ素子S11がオフし、スイッチ素子S10がオンすることにより第3の出力端11が接地電位となる。そのため、第4の出力端12の出力は、差動増幅回路30により差動増幅され出力される。
【0086】
さらに、第1の状態と第2の状態とで、差動増幅回路30の出力信号の位相は変化しないため、この出力信号を処理する後段の回路に影響を与えない。
本実施例の増幅回路100gによれば、受信電波環境の変化に対して良好な受信感度を得ることのできる。
【0087】
また、本実施例の増幅回路100gによれば、第1のスイッチ回路S1において、反転増幅回路40の出力及びバイパス回路20の出力がそれぞれ通るスイッチ素子の数を減少することができ、信号の損失を低減することができる。
【0088】
また、バイパス回路20の出力が通過するスイッチ素子の数を減少することにより、バイパス回路20の出力レベルが大きくなる。そのため、反転増幅回路40により増幅を要しない入力信号のレベル範囲が大きくなり、バイパス回路20を通す入力信号強度の範囲、すなわち第2の状態が拡大する。反転増幅回路40の電源供給を停止することによりさらに省電力化が図れる。
なお、増幅回路100gにおいては、スイッチ素子S10、S11は、NMOSトランジスタ、PMOSトランジスタ、ダイオードなどを用いたスイッチにより構成することができる。
【0089】
図9は、本発明の実施形態に係る増幅回路の他の構成を例示するブロック図である。
図9に表したように、本実施例の増幅回路100hは、図5に表した出力回路60dを出力回路60hに置き換えた構成となっている。出力回路60hは、出力回路60dの第2のスイッチ回路S7を第2のスイッチ回路S7bに置き換えた構成となっている。
第2のスイッチ回路S7bは、第1の状態のとき、接地を第4の出力端12に接続し、第2の状態のとき、接地を第3の出力端11に接続する。
【0090】
増幅回路100hは、第1の状態のとき、入力信号は入力回路90を介して反転増幅回路40により増幅され、第3の出力端11に出力される。また、第2のスイッチ回路S7bにより第4の出力端12が接地電位となる。そのため、第3の出力端11の出力は、差動増幅回路30により差動増幅されて出力される。
【0091】
また、第2の状態のとき、第1のスイッチ回路S1により入力信号は入力回路90を介してバイパス回路20によりそのまま、または減衰されて第4の出力端12に出力される。また、第2のスイッチ回路S7bにより第3の出力端11が接地電位となる。そのため、第4の出力端12の出力は、差動増幅回路30により差動増幅され出力される。
【0092】
さらに、第1の状態と第2の状態とで、差動増幅回路30の出力信号の位相は変化しないため、この出力信号を処理する後段の回路に影響を与えない。
本実施例の増幅回路100hによれば、受信電波環境の変化に対して良好な受信感度を得ることのできる。
【0093】
また、本実施例の増幅回路100hによれば、第1のスイッチ回路S1において、反転増幅回路40の出力及びバイパス回路20の出力がそれぞれ通るスイッチの数を減少することができ、信号の損失を低減することができることは、増幅回路100gと同様である。
【0094】
また、バイパス回路20の出力が通過するスイッチ素子の数を減少することにより、バイパス回路20の出力レベルが大きくなる。そのため、反転増幅回路40により増幅を要しない入力信号のレベル範囲が大きくなり、バイパス回路20を通す入力信号強度の範囲、すなわち第2の状態が拡大する。また、反転増幅回路40の電源供給を停止することによりさらに省電力化が図れる。
なお、増幅回路100hにおいては、第2のスイッチ回路S7bは、NMOSトランジスタ、PMOSトランジスタ、ダイオードなどを用いたスイッチにより構成することができる。
【0095】
図10は、本発明の実施形態に係る増幅回路の他の構成を例示するブロック図である。
図10に表したように、本実施例の増幅回路100iは、図2に表した増幅回路100aの出力回路60a、入力回路90、バイパス回路20を、それぞれ出力回路60i、入力回路90b、バイパス回路20aに置き換えた構成となっている。出力回路60iは、出力回路60aの第1のスイッチ回路S1aを第1のスイッチ回路S1iに置き換えた構成となっている。
【0096】
バイパス回路20aは、その入力端21と出力端22とを接続する配線回路である。入力端21に入力された入力信号はそのまま、出力端22に出力される。
入力回路90bは、第1の状態のとき、第1の入力端91を第1の出力端93に接続し第2の出力端92を開放する。また、第2の状態のとき、第1の入力端91を第2の出力端92に接続し第1の出力端93を開放するスイッチ素子で構成されている。
【0097】
第1のスイッチ回路S1iは、図2に表した第1のスイッチ回路S1aにおける第1の切替え回路S2を第1の切替え回路S2cとした構成である。
第1の切替え回路S2cは、第2のスイッチ素子S5を有する。また、第1の切替え回路S2cにおいては、第5の出力端13は、バイパス回路20aの出力端21及び反転増幅回路40の出力端42にそれぞれ接続されている。
【0098】
第2のスイッチ素子S5については、図3に表した第2のスイッチ素子S5と同様である。すなわち、第2のスイッチ素子S5は、反転増幅回路40の電源入力端43と電源VDDとに接続されている。そして、第1の状態のときオンして反転増幅回路40に電源を供給し、第2の状態のときオフして反転増幅回路40の電源の供給を停止する。
【0099】
増幅回路100iにおいては、増幅回路100aと同様に、第1の状態のとき、入力信号は入力回路90bを介して反転増幅回路40により増幅され、第5の出力端13、第3の出力端11に出力される。そして差動増幅回路30により差動増幅されて出力される。
また、第2の状態のとき、入力信号は入力回路90bを介して、バイパス回路20aによりそのまま出力されて第5の出力端13、第4の出力端12に出力される。そして、差動増幅回路30により差動増幅され出力される。
【0100】
さらに、第1の状態と第2の状態とで、差動増幅回路30の出力信号の位相は変化しないため、この出力信号を処理する後段の回路に影響を与えない。
本実施例の増幅回路100iによれば、受信電波環境の変化に対して良好な受信感度を得ることができる。
さらに、入力回路90bを用いることにより、増幅回路100iの入力51に接続される負荷を減少することができる。
【0101】
なお、増幅回路100bにおいては、入力信号がバイパス回路20を通る第2の状態のとき、反転増幅回路40の電源の供給を停止するように切替られるため、省電力化が図れる。
【0102】
図11は、本発明の実施形態に係る増幅回路の他の構成を例示するブロック図である。
図11に表したように、本実施例の増幅回路100jにおいては、図5に表した増幅回路100dの出力回路60d、入力回路90、バイパス回路20を、それぞれ出力回路60j、入力回路90b、バイパス回路20aに置き換えた構成となっている。出力回路60jは、出力回路60dの第1のスイッチ回路S1を第1のスイッチ回路S1jで置き換えた構成となっている。
【0103】
入力回路90b及びバイパス回路20aについては、図10に表した増幅回路100iと同様である。また、第1のスイッチ回路S1jは、第2のスイッチ素子S5を有し、第3の出力端11が反転増幅回路40の出力端42に、第4の出力端12がバイパス回路20aの出力端22にそれぞれ接続されている。
【0104】
第2のスイッチ素子S5は、図3に表した増幅回路100bにおける第2のスイッチ素子S5と同様であり、反転増幅回路40の電源入力端43と電源VDDとに接続されている。そして、第1の状態のときオンして反転増幅回路40に電源を供給し、第2の状態のときオフして反転増幅回路40の電源の供給を停止する。
【0105】
増幅回路100jは、第1の状態のとき、第2のスイッチ素子S5がオンすることにより、入力信号は入力回路90bを介して反転増幅回路40により増幅され、第3の出力端11に出力される。また、入力回路90b及び第2のスイッチ回路S7により、第4の出力端12が接地電位となる。そのため、第3の出力端11の出力は、差動増幅回路30により差動増幅されて出力される。
【0106】
また、第2の状態のとき、入力信号は、入力回路90b及びバイパス回路20によりそのまま、第4の出力端12に出力される。また、第2のスイッチ素子S5がオフし、第2のスイッチ回路S7により第3の出力端11が接地電位となる。そのため、第4の出力端12の出力は、差動増幅回路30により差動増幅され出力される。
【0107】
さらに、第1の状態と第2の状態とで、差動増幅回路30の出力信号の位相は変化しないため、この出力信号を処理する後段の回路に影響を与えない。
本実施例の増幅回路100jによれば、受信電波環境の変化に対して良好な受信感度を得ることができる。
【0108】
また、本実施例の増幅回路100jによれば、第1のスイッチ回路S1jにおいて、反転増幅回路40及びバイパス回路20aを経由する信号がそれぞれ通るスイッチ素子の数を減少することができ、信号の損失を低減することができる。
【0109】
また、バイパス回路20を経由する信号が通過するスイッチ素子の数を減少することにより、バイパス回路20の出力レベルが大きくなる。そのため、反転増幅回路40により増幅を要しない入力信号のレベル範囲が大きくなり、バイパス回路20を通す入力信号強度の範囲、すなわち第2の状態が拡大する。反転増幅回路40の電源供給を停止することによりさらに省電力化が図れる。
【0110】
図12は、本発明の実施形態に係る受信装置の構成を例示するブロック図である。
図12に表したように、本実施例の受信装置110は、バンドパスフィルタ71、増幅回路100、高周波増幅回路72、周波数変換回路73、中間周波増幅回路74、復調回路75を備える。
【0111】
受信装置110の入力端58は、例えば、受信アンテナに接続され、入力端58には外部から高周波信号が入力される。
高周波信号はバンドパスフィルタ71に入力され、バンドパスフィルタ71により不要な雑音、妨害信号を低減して、増幅回路100に入力される。そして、増幅回路100の出力は高周波増幅回路72に入力される。
【0112】
上記のとおり、増幅回路100は、入力信号強度に応じて入力信号を増幅し、または入力信号をそのまま、または減衰して増幅回路100の出力52に出力する。そのため、後段の高周波増幅回路72の信号強度を適正な範囲内にすることができ、受信電波環境の変化に対して良好な受信感度を得ることができる。
【0113】
なお、本実施例においては、バンドパスフィルタ71を備えた構成を例示しているが、希望信号の周波数と妨害信号または雑音の周波数とに応じて、他の特性のフィルタを用いることもできる。例えば、妨害信号を除去するためのトラップ、またはハイパスフィルタなどを用いてもよい。また、バンドパスフィルタ71を用いず、受信装置110の入力端58に入力された高周波信号を、そのまま増幅回路100に入力してもよい。
【0114】
高周波増幅回路72は、希望信号を選択的に増幅し、周波数変換回路73に出力する。
周波数変換回路73は、周波数混合回路76、局部発振回路77、位相同期回路78を有し、入力した高周波信号を中間周波信号に周波数変換して中間周波増幅回路74に出力する。
【0115】
周波数混合回路76は、高周波信号と、局部発振回路77の出力とを入力して中間周波信号を出力する。位相同期回路78は、局部発振回路77の発振周波数を設定し、受信しようとする希望信号を選択する。
【0116】
中間周波信号は、中間周波増幅回路74により選択、増幅され、復調回路75に出力される。
復調回路75は、中間周波信号を復調する。例えば、外部から入力した高周波信号が、テレビ放送信号の場合、復調回路75は、映像信号、音声信号を出力する。
【0117】
なお、本実施例においては、高周波増幅回路72を備える構成を例示しているが、なくてもよく、周波数変換回路73において、希望信号を選択的に増幅し、周波数変換してもよい。
【0118】
受信装置110に入力される高周波信号は、例えば、外部のアンテナから入力される。そのアンテナと送信アンテナとの距離、障害物など受信点の電波環境により、入力信号強度は変化する。そのため、入力される高周波信号は、増幅が必要な微弱な場合と増幅が不要な場合、または減衰させる必要がある場合などに変化する。また、受信点が、例えば、歩行中や自動車、鉄道などの車両で移動する場合は、時間とともに入力信号強度が変化することになる。
【0119】
増幅回路100は、このような受信電波環境の変化に対応して、入力信号強度が過大な第2の状態の場合は、バイパス回路20を通過させ、反転増幅回路40での増幅による歪み成分の増加を回避する。また、入力信号強度が微弱な第1の状態の場合は増幅回路を通過させ、低雑音指数での増幅により受信感度を高める。そのため、入力信号強度が変化しても受信感度が低下するおそれはない。
【0120】
さらに、第1の状態と第2の状態とで、差動増幅回路30の出力信号の位相が変化しないため、この出力信号を処理する後段の回路に影響を与えない。後段の回路、例えば復調回路75の誤作動、例えば復調エラーなどのおそれもなく、受信感度を維持することができる。
【0121】
このように本実施例の受信装置110によれば、受信電波環境の変化に対して良好な受信感度を得ることができる。
なお、本実施例においては、増幅回路100を用いた構成を例示しているが、増幅回路100a〜100jを用いることもできる。
【0122】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、増幅回路及び受信装置を構成する各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0123】
その他、本発明の実施形態として上述した増幅回路及び受信装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての増幅回路及び受信装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0124】
11 第3の出力端
12 第4の出力端
13 第5の出力端
20、20a バイパス回路
21、41、58、91 入力端
22、33、42、92、93 出力端
30 差動増幅回路
31 反転入力端
32 非反転入力端
40 反転増幅回路
43 電源入力端
51 増幅回路の入力
52 増幅回路の出力
60、60a〜60j 出力回路
71 バンドパスフィルタ
72 高周波増幅回路
73 周波数変換回路
74 中間周波増幅回路
75 復調回路
76 周波数混合回路
77 局部発振回路
78 位相同期回路
90、90a、90b 入力回路
91 第1の入力端
92 第2の出力端
93 第1の出力端
100、100a〜100j 増幅回路
110 受信装置
S1、S1a〜S1j 第1のスイッチ回路
S2、S2a、S2b、S2c 第1の切替え回路
S3 第2の切替え回路
S4、S6、S10、S11 スイッチ素子
S5 第2のスイッチ素子
S7、S7a、S7b 第2のスイッチ回路
S8 第1のスイッチ素子
S9 第3のスイッチ素子
VDD 電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号の強度が第1の状態のときは第1の出力端に出力し、前記入力信号の強度が前記第1の状態よりも大きい第2の状態のときは第2の出力端に出力する入力回路と、
前記第1の出力端から出力された信号を増幅し位相を反転して出力する反転増幅回路と、
前記第2の出力端から出力された信号をそのまま、または減衰して出力するバイパス回路と、
前記第1の状態のときは前記反転増幅回路の出力の位相を反転してまたは同相で出力し、前記第2の状態のときは前記バイパス回路の出力を同相または位相を反転して出力する出力回路と、
を備えたことを特徴とする増幅回路。
【請求項2】
前記出力回路は、
前記第1の状態のときは前記反転増幅回路の出力を第3の出力端に同相で出力し、前記第2の状態のときは前記バイパス回路の出力を第4の出力端に同相で出力する第1のスイッチ回路と、
前記第3の出力端と前記第4の出力端とからそれぞれ出力された信号を差動増幅して出力する差動増幅回路と、
を有することを特徴とする請求項1記載の増幅回路。
【請求項3】
前記第1のスイッチ回路は、
前記第1の状態のときは前記反転増幅回路の出力を第5の出力端に出力し、前記第2の状態のときは前記バイパス回路の出力を前記第5の出力端に出力する第1の切替え回路と、
前記第1の状態のときは前記第5の出力端を前記第3の出力端に接続し、前記第2の状態のときは前記第5の出力端を前記第4の出力端に接続する第2の切替え回路と、
を有することを特徴とする請求項2記載の増幅回路。
【請求項4】
前記第1の状態のときは前記第4の出力端を基準電位に固定し、前記第2の状態のときは前記第3の出力端を前記基準電位に固定する第2のスイッチ回路をさらに備え、
直流電位の変動を軽減したことを特徴とする請求項2記載の増幅回路。
【請求項5】
前記反転増幅回路は、前記第1のスイッチ回路により電源の供給が通電または停止される電源入力端をさらに有し、
前記第1のスイッチ回路は、
前記バイパス回路の出力端と前記第4の出力端とに接続され、前記第1の状態のときオフし、前記第2の状態のときオンする第1のスイッチ素子と、
前記電源入力端と電源とに接続され、前記第1の状態のときオンして前記反転増幅回路に電源を供給し、前記第2の状態のときオフして前記反転増幅回路の電源の供給を停止する第2のスイッチ素子と、
を有し、
前記第3の出力端は、前記反転増幅回路の出力端に接続されてなり、
前記バイパス回路と前記第4の出力端との間の損失を低減したことを特徴とする請求項4記載の増幅回路。
【請求項6】
前記第1のスイッチ回路は、
前記バイパス回路の出力端と前記第4の出力端とに接続され、前記第1の状態のときオフし、前記第2の状態のときオンする第1のスイッチ素子と、
前記反転増幅回路の出力端と前記第3の出力端とに接続され、前記第1の状態のときオンし、前記第2の状態のときオフする第3のスイッチ素子と、
を有し、
前記バイパス回路と前記第4の出力端との間の損失を低減したことを特徴とする請求項4記載の増幅回路。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の増幅回路と、
前記増幅回路の出力信号を周波数変換して中間周波信号を出力する周波数変換回路と、
前記中間周波信号を増幅する中間周波増幅回路と、
前記中間周波信号を復調する復調回路と、
を備えたことを特徴とする受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−55098(P2011−55098A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−200190(P2009−200190)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】