説明

壁面移動装置

【課題】使い勝手が良い上、構成の簡易化を図った壁面移動装置を提供する。
【解決手段】ガイド部材3は、中空状のパイプ12と、吸着面側がパイプ12と連通した複数の吸盤6、6・・とを備え、パイプ12を介して空気を吸引することにより、吸盤6、6・・面内を負圧として壁面Wに吸着させ、ガイド部材3を壁面Wに対し固定可能とした。したがって、各吸盤6毎にモータ等を設置する必要がなく、製造コスト等を低コストに抑えることができる。加えて、ガイド部材3の固定にあたって、台車や支持機構といった大掛かりな装置を別途必要としないため、壁面移動装置のコンパクト化、組み立て作業の簡易化、汎用性の向上等といった効果を期待することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面に沿って上下左右に移動自在な移動体を有し、該移動体にたとえば塗装ローラ等の作業装置を設置して利用する壁面移動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、たとえばビルやマンションといった建造物の壁面を塗装したり清掃したりする場合には、壁面に沿って上下左右に移動可能な移動体を備えた壁面移動装置が一般的に用いられている。このような壁面移動装置としては、たとえば特許文献1や特許文献2に開示されているようなものがある。
【0003】
【特許文献1】特開2003−014711号公報
【特許文献2】特開2004−082235号公報
【0004】
ここで、特許文献1や特許文献2に開示されているような従来の壁面移動装置について、図6を基に説明する。図6(a)は、従来の壁面移動装置51の外観を示した説明図であり、図6(b)は、壁面移動装置51とは異なる従来の壁面移動装置61の外観を示した説明図である。
【0005】
まず、図6(a)を基に、壁面移動装置51について説明する。
壁面移動装置51は、台車52上に、所定の間隔を空けて一対の支持部材53、53を略垂直に立設したものである。支持部材53、53には、該支持部材53、53に沿って上下方向へとスライド自在で、且つ、支持部材53、53間を左右方向へとスライド自在に移動体54が設けられている。尚、移動体54には、各種作業装置(特許文献1では壁面診断装置)が設置可能となっている。
このような壁面移動装置51は、建造物55の周囲にレール56等を敷設して、該レール56上に台車52を移動可能に設置し、所望の位置にて移動体54を移動させて用いる。
【0006】
次に、図6(b)を基に、壁面移動装置61について説明する。
壁面移動装置61は、建造物65の壁面に沿って垂下される一対の支持部材63、63、該支持部材63、63を支持すべく建造物65の屋上等に設置される支持機構62、支持部材63、63間に設置され、支持部材63、63に沿って上下方向に移動可能な移動体64等からなる。尚、各支持部材63には、モータを有する吸盤(図示しない)が設けられている。また、移動体64には、壁面に対し各種作業を行う作業装置が設置可能となっている。
このような壁面移動装置61を使用するにあたっては、モータにより吸盤面内を負圧とし、吸盤を壁面に吸着させることによって、各支持部材63を壁面に対して固定し、移動体64を支持部材63、63に沿って移動させて使用する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図6(a)に示すような壁面移動装置によれば、使用するにあたって、建造物の周囲に台車を設置するためのレールを敷設しなければならい上、壁面に対して支持部材を固定するために、壁面に固定機構等を別途設置しなければならないといったように、非常に煩わしい作業を要することになる。また、装置の大型化やコスト高といった問題もある。
一方、図6(b)に示すような壁面移動装置によれば、建造物の屋上等といったように壁面の上方に支持機構を設置しなければならないことから、備え付けタイプとしては適しているものの、現場毎に運搬して使用する場合には使い勝手が悪い。また、吸盤によって支持部材を壁面に吸着させる構成ではあるものの、吸盤毎にモータを備えなければならない。したがって、メンテナンス等の作業が煩わしい上、装置全体の重量が増すことによる使用性の悪化、構成の複雑化に伴うコスト高等といった問題も生じる。
【0008】
そこで、本発明は上記課題に鑑みなされたものであって、使い勝手が良い上、構成の簡易化を図った壁面移動装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、壁面に対して固定される一対のガイド部材と、該ガイド部材に沿って昇降する昇降装置と、前記昇降装置間に架設され、昇降装置に同期して昇降可能なレール部材と、該レール部材に沿って前記ガイド部材間を移動可能な移動体とからなる壁面移動装置であって、前記ガイド部材は、中空状のパイプと、吸着面側が前記パイプと連通した複数の吸盤とを備え、前記パイプを介して空気を吸引することにより、前記吸盤面内を負圧として壁面に吸着させ、前記ガイド部材を壁面に対し固定可能としたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1の発明において、ガイド部材を、複数の単位ガイド部材を継ぎ足してパイプ同士を連通させた状態で一体化することにより形成したことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2の発明において、移動体を、レール部材に対して着脱自在としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ガイド部材において中空状のパイプと複数の吸盤の吸盤面とが連通した状態で設けられており、ポンプ等によってパイプから空気を吸引することにより、吸盤面内を負圧として壁面に吸着させ、ガイド部材を壁面に対し固定する構成としている。したがって、各吸盤毎にモータ等を設置する必要がなく、製造コスト等を低コストに抑えることができる。その上、各吸盤毎にモータ等を設置する従来のものと比較して、メンテナンスや取り扱い等も容易であるし、軽重量化も図ることが可能で、使い勝手が非常に良い。加えて、ガイド部材の固定にあたって、台車や支持機構といった大掛かりな装置を別途必要としないため、壁面移動装置のコンパクト化、組み立て作業の簡易化、汎用性の向上等といった効果を期待することができる。
また、請求項2の発明によれば、ガイド部材を、複数の単位ガイド部材を継ぎ足すことによって組み立て可能な構成としているため、現場の状況に応じてガイド部材の高さを適宜変更可能で、汎用性に富む。さらに、運搬時等には単位ガイド部材にまで分解しておけばよく、使い勝手を更に向上させることができる。
加えて、請求項3の発明によれば、移動体を、レール部材に対して着脱自在としているため、たとえば、現場の状況に応じ、各種作業装置が設置された種々の移動体を複数準備しておけば、レール部材に設置する移動体を取り替えるだけで壁面に対し様々な作業を行うことができる。つまり、ガイド部材やレール部材等を取り替えることなく種々の作業に対応可能で、且つ、移動体に設置されている作業装置を取り替えるといった煩わしい作業を行う必要もないため、現場における作業効率を極めて向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態となる壁面移動装置について図面を基に説明する。
【0012】
図1は、壁面移動装置1の全体を示した説明図である。
壁面移動装置1は、所定の間隔離して略垂直に立設された一対のガイド部材3、3と、ガイド部材3、3に沿って上下方向にスライド自在な昇降装置7、7と、昇降装置7、7間に架設されたレール部材8と、レール部材8に沿って左右方向にスライド自在な移動体4とからなる。尚、各ガイド部材3は、複数の吸盤6、6・・を壁面Wに吸着させることによって壁面Wに対し固定されている。また、移動体4には、作業装置である塗装用ローラ5やカメラ(図示しない)が設置されている。
【0013】
ここで、ガイド部材3及び昇降装置7について、図1及び2を基に説明する。図2は、ガイド部材3及び昇降装置7を上方から見た断面説明図である。尚、図2において、レール部材8は説明の便宜上省略している。
ガイド部材3は、長さ約3m程度の断面I字状のガイドレール(たとえば、アルミ製)11に複数(たとえば、3個)の吸盤6、6・・をジョイント10を介して連結した単位ガイド部材を、必要に応じて複数継ぎ足してなるものである(尚、1つの単位ガイド部材で足りる場合には、1つの単位ガイド部材がガイド部材3となる)。単位ガイド部材において、吸盤6、6・・は中空状のパイプ12によって連結されており、ポンプ(図示しない)等を用いてパイプ12から空気を吸引することにより、吸盤6、6・・を同時に負圧として壁面Wに吸着可能としている。また、ガイドレール11の前面側(図2においては下側)フランジの後面には、後述する昇降装置7のギア15が噛合可能なラックギア14が設けられている。尚、単位ガイド部材を継ぎ足す際に、ガイドレール11(ラックギア14も含めて)同士が一連に連結されるのは勿論のこと、パイプ12同士も連通状態で連結される。
【0014】
昇降装置7は、駆動モータ16や該駆動モータ16の動作により左右方向を軸として回転するギア15、駆動モータ16のトルクをギア15へと伝達するウォームギア18等を内蔵したものであって、ギア15をガイドレール11に設けられたラックギア14に噛合させた状態で設置されている。したがって、駆動モータ16を動作させてギア15を回転させることにより、ラックギア14(すなわち、ガイドレール11)に沿って昇降することができる。尚、13は、昇降装置7の移動時のガタつき等を防止し、よりスムーズに昇降させるための車輪であり、ガイドレール11に当接した状態で設けられている。該車輪13、13・・のガイドレール11に対する当接状態は、ねじ送りを利用した調節機構19によって調節可能となっている。また、17は、駆動モータ16の動作等を制御するための制御基板であり、地上等に設置される統括コンピュータ(図示しない)により制御可能となっている。
【0015】
次に、移動体4及びレール部材8について、図1、3及び4を基に説明する。図3は、移動体4及びレール部材8を左側から見た断面説明図である。また、図4は、移動体4内部を正面側から見た説明図である。尚、移動体4に設置される塗装用ローラ5等の作業装置は説明の便宜上省略している。
レール部材8は、一対の凹レール31、31を相反する方向へと向けた状態で連結してなるものであって、壁面移動装置1の組み立て時には、凹レール31、31が上下に開口する状態で昇降装置7、7間に架設される。一方、移動体4は、モータ21と、該モータ21の動作等を制御する制御基板27とを内蔵しているとともに、モータ21の動作により前後方向(図3において左右方向)を軸として回転する駆動車輪25、25、モータのトルクを駆動車輪25、25へと伝える下プーリ22、ベルト23、及び上プーリ24、24等を備えたものである。また、移動体4の移動に伴い回転する補助輪26、26も設置されている。尚、制御基板27は、昇降装置7の制御基板17同様、統括コンピュータにより制御可能となっている。また、移動体4の背面側には、上下方向に長い長孔28、28が穿設されており、移動体4のケーシング高さを調整可能、すなわち、レール部材8の凹レール31、31間の間隔に合わせて駆動車輪25と補助輪26との間隔を調整可能となっている。
【0016】
そして、移動体4は、駆動車輪25を上方へと開口した凹レール31に、補助輪26を下方へと開口した凹レール31にそれぞれ係合させた状態でレール部材8に設置される。そして、該状態でモータ21を駆動させることにより駆動車輪25が回転し、レール部材8に沿って左右方向(図3においては紙面の表裏方向)へとスライドすることができる。
【0017】
このような移動体4には、たとえば図5(a)及び(b)に示すような塗装用ローラ5やカメラといった作業装置を設置することができる。尚、設置する作業装置としては、塗装用ローラ5やカメラに限られることなく、洗浄装置や壁面検査装置、シーリング装置等の各種作業装置が考えられる。
そして、移動体4に作業装置を設置する際には、作業装置を構成する構成要素の一部を移動体4内に収納することができる。たとえば、本実施例では、塗装用ローラ5に供給されるペンキ等の塗装剤を貯留するタンク、該タンクから塗装用ローラ5へと塗装剤を供給するポンプ等が移動体4内に収納されている。また、塗装する際に、ローラ部を壁面押圧方向へと押し付け可能となっており、該押し付け動作に係る動作機構等も移動体4内に収納可能となっている。さらに、移動体4にはカメラが搭載されており、該カメラにより壁面Wの撮像データ(壁面Wの状態や壁面Wに対する移動体4の位置等)を取得可能としているとともに、取得した撮像データを、制御コンピュータ27等を介して統括コンピュータのモニターにて視認可能としている。
【0018】
以上のように構成される壁面移動装置1は、ガイド部材3と、塗装用ローラ5を設置された移動体4と、昇降装置7と、レール部材8とに分解された状態で各現場まで運搬され、現場において以下に記載するような手順で組み立てられる。
まず、必要な高さとなるまで単位ガイド部材を継ぎ足してガイド部材3、3を組み立て、それぞれ吸盤6、6・・を壁面Wに押し付ける方向へと向けた状態で壁面Wに立て掛ける。この際、状況に応じては、ガイド部材3、3を建造物の屋上等からワイヤで吊して引き上げながら、単位ガイド部材を順次継ぎ足すようにしてもよい。そして、ガイド部材3、3が組み立てられると、ポンプ等により各パイプ12から空気を吸引して、吸盤6、6・・を壁面Wに対して吸着させ、ガイド部材3、3を壁面Wに対し固定する。尚、ガイド部材3、3同士の間隔は、レール部材8の左右方向長さに応じて所定の間隔だけ離しておく。また、パイプ12からの空気の吸引は、壁面移動装置1が使用されている間(撤去するまで)、常時行うものとする。
【0019】
次に、各ガイド部材3に昇降装置7を設置する。昇降装置7は、上述したように、ガイド部材3に設けられているラックギア14に昇降装置7のギア15を噛合させて設置する。さらに、昇降装置7、7間にレール部材8を架設し、ボルト等にて固定するとともに、該レール部材8の凹レール31、31に駆動車輪25及び補助輪26を係合させるようにして移動体4を設置する。
このようにして組み立てられる壁面移動装置1では、統括コンピュータから制御コンピュータ17、27等へと指令を送信し、昇降装置7、7を上下方向へと移動させるとともに、移動体4をレール部材8に沿って左右方向へと移動させることによって、移動体4を所望の位置へと移動させる。そして、所望位置にて塗装用ローラ5等の作業装置を動作させ、壁面Wの塗装といった作業を行う。
【0020】
以上のように構成される壁面移動装置1によれば、ガイド部材3において吸盤6、6・・が中空状のパイプ12により連結されており、ポンプ等によってパイプ12から空気を吸引することで、吸盤6、6・・を負圧とし、壁面Wに吸着させるような構成となっている。したがって、各吸盤6毎にモータ等を設置する必要がなく、製造コスト等を低コストに抑えることができる。その上、各吸盤6毎にモータ等を設置する従来のものと比較して、メンテナンスや取り扱い等も容易であるし、軽重量化も図ることが可能で、使い勝手が非常に良い。加えて、ガイド部材3の固定にあたって、台車や支持機構といった大掛かりな装置を別途必要としないため、壁面移動装置1のコンパクト化、組み立て作業の簡易化、汎用性の向上等といった効果を期待することができる。
【0021】
また、ガイド部材3を、単位ガイド部材を複数継ぎ足して組み立てる構成としているため、現場の状況に応じてガイド部材3の高さを適宜変更可能で、汎用性に富む。さらに、運搬時等には単位ガイド部材にまで分解しておけばよく、使い勝手も良い。加えて、アルミ等の軽金属製とすることで軽量化を図ることができ、更に取り扱いの良いものとなる。
さらに、昇降装置7は、ガイド部材3に当接する車輪13、13・・を有しているため、ラックギア14とギア15との噛合によりガイド部材3に沿って昇降する際に、ガタつき等が生じにくい。したがって、ラックギア14とギア15との噛合状態に異常が生じ、ガイド部材3の中途位置にて昇降装置7が移動不能となるといった事態が発生しない。
【0022】
さらにまた、移動体4に塗装用ローラ5といった作業装置を別途設置可能としているとともに、現場にて移動体4をレール部材8に取付可能な構成としているため、現場の状況に応じ、各種作業装置が設置された種々の移動体を複数準備しておけば、レール部材8に設置する移動体4を取り替えるだけで壁面Wに対し様々な作業を行うことができる。つまり、ガイド部材3やレール部材8等を取り替えることなく種々の作業に対応可能で、且つ、移動体4に設置されている作業装置を取り替えるといった煩わしい作業を行う必要もないため、現場における作業効率を極めて向上させることができる。
またさらに、移動体4にカメラを設置しているため、地上等に設置されるモニターにて壁面Wの状態や、壁面Wに対する移動体4の位置等を視認することができる。したがって、作業装置による塗装や洗浄、検査といった作業を必要とする箇所が何処であるのか等を確認可能で、作業が必要な箇所に対して確実に作業を行うことができる上、必要な箇所に対してのみ作業を行うようにすれば、作業時間等を短縮することができる。
【0023】
また、昇降装置7に車輪13、13・・の状態を調節可能な調節機構19が設けられている。したがって、ガイド部材3(ガイドレール11)の形状や作業装置の設置された移動体4重量等に応じ、車輪13、13・・とガイドレール11との当接状態を適宜容易に調節可能であり、更なる使い勝手・汎用性の向上を期待することができる。
加えて、移動体4のケーシング高さ、すなわち、移動体4における駆動車輪25と補助輪26との間隔を容易に調整可能としているため、移動体4とレール部材8との寸法等に極めて高い精巧さが求められることもなく、製造コストを抑えることが可能である。また移動体4やレール部材8のいずれか一方が破損した場合等に、両者共に交換する必要はなく、破損した側のみを取り替えれば再び利用可能となるため、極めて汎用性に富む。
【0024】
なお、本発明の壁面移動装置に係る構成は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、ガイド部材、移動体、吸盤、昇降装置、及びレール部材等の構成を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0025】
たとえば、上記実施の形態では、ガイド部材のガイドレールをアルミ製としているが、他の金属により製造しても何ら問題はなく、強度等が十分であれば合成樹脂製であっても何ら問題はない。また、単位ガイド部材の長さや、単位ガイド部材に設けられる吸盤の数等も適宜変更可能である。
【0026】
また、上記実施の形態の如く、昇降装置に駆動モータ等を備えるのではなく、外部にワイヤ等を有する駆動装置を別途設け、該駆動装置により昇降装置をガイド部材に沿って移動させる構成としてもよい。さらに、上記実施の形態では、移動体側に駆動装置を設けているが、レール部材側に駆動装置(モータやチェーン等を備えてなる)を設け、移動体をレール部材の動作によって左右に移動させるような構成としても何ら問題はない。加えて、レール部材として「く」字状や「L」字状のものを用いれば、たとえば建造物の角部等を塗装したい際にも対応可能とすることができる。
【0027】
さらに、移動体に作業装置のみを設置するのではなく、壁面を覆うようなシートの一端を取り付けてもよい。このように移動体にシートを取り付けることによって、壁面を洗浄する際に洗浄液の飛散を防止したり、塗装後の壁面の養生を同時に行うことができるといった効果を期待することができる。尚、移動体にシートを取り付ける際、他端を地面等に固定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】壁面移動装置の全体を示した説明図である。
【図2】ガイド部材及び昇降装置を上方から見た断面説明図である。
【図3】移動体及びレール部材を左側から見た断面説明図である。
【図4】移動体内部を正面側から見た説明図である。
【図5】(a)は、移動体及びレール部材を左側から見た説明図であり、(b)は移動体及びレール部材を正面から見た説明図である。
【図6】(a)は、従来の壁面移動装置の一例を示した説明図であり、(b)は、従来の壁面移動装置の別例を示した説明図である。
【符号の説明】
【0029】
1・・壁面移動装置、3・・ガイド部材、4・・移動体、5・・塗装用ローラ、6・・吸盤、7・・昇降装置、8・・レール部材、10・・ジョイント、11・・ガイドレール、12・・パイプ、13・・車輪、14・・ラックギア、15・・ギア、16・・駆動モータ、17・・制御コンピュータ、21・・モータ、22・・下プーリ、23・・ベルト、24・・上プーリ、25・・駆動車輪、26・・補助輪、27・・制御コンピュータ、31・・凹レール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に対して固定される一対のガイド部材と、該ガイド部材に沿って昇降する昇降装置と、前記昇降装置間に架設され、昇降装置に同期して昇降可能なレール部材と、該レール部材に沿って前記ガイド部材間を移動可能な移動体とからなる壁面移動装置であって、
前記ガイド部材は、中空状のパイプと、吸着面側が前記パイプと連通した複数の吸盤とを備え、前記パイプを介して空気を吸引することにより、前記吸盤面内を負圧として壁面に吸着させ、前記ガイド部材を壁面に対し固定可能としたことを特徴とする壁面移動装置。
【請求項2】
ガイド部材を、複数の単位ガイド部材を継ぎ足してパイプ同士を連通させた状態で一体化することにより形成したことを特徴とする請求項1に記載の壁面移動装置。
【請求項3】
移動体を、レール部材に対して着脱自在としたことを特徴とする請求項1または2に記載の壁面移動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−130697(P2007−130697A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−324029(P2005−324029)
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【出願人】(505415075)
【Fターム(参考)】