説明

変倍光学系、光学装置、変倍光学系の製造方法

【課題】良好な光学性能を有する変倍光学系等を提供する。
【解決手段】物体側から、正の第1群G1と、負の第2群G2と、正の後群GRとから構成されており、後群GRは、最も物体側に配置されており正の第3群G3を少なくとも有し、第3群G3は、少なくとも4枚の正レンズL31〜L33,L35と、少なくとも1枚の負レンズL34とを有し、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第1群G1と第2群G2との間隔が増大し、第2群G2と後群GRとの間隔が減少し、第3群G3を構成するレンズL31〜L35どうしの間隔が一定であり、第1群G1よりも像側に位置するレンズ群の少なくとも一部が偏芯レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように偏芯し、所定の条件式を満足する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変倍光学系、光学装置、変倍光学系の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、写真用カメラ、電子スチルカメラ、ビデオカメラ等に適した変倍光学系が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-334215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の変倍光学系は、良好な光学性能を達成できていないという問題があった。
そこで本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、良好な光学性能を有する変倍光学系、光学装置、変倍光学系の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明は、
物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する後群とから構成されており、
前記後群は、最も物体側に配置されており正の屈折力を有する第3レンズ群を少なくとも有し、
前記第3レンズ群は、少なくとも4枚の正レンズと、少なくとも1枚の負レンズとを有し、
広角端状態から望遠端状態への変倍に際して、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が増大し、前記第2レンズ群と前記後群との間隔が減少し、前記第3レンズ群を構成するレンズどうしの間隔が一定であり、
前記第1レンズ群よりも像側に位置するレンズ群の少なくとも一部が偏芯レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように偏芯し、
以下の条件式(1)を満足することを特徴とする変倍光学系を提供する。
(1) 0.10<Lf/Lr<0.45
ただし、
Lf:前記第3レンズ群の全長
Lr:前記後群の広角端状態における全長
【0006】
また本発明は、
前記変倍光学系を備えたことを特徴とする光学装置を提供する。
【0007】
また本発明は、
物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する後群とからなる変倍光学系の製造方法であって、
前記後群内の最も物体側に、正の屈折力を有する第3レンズ群を少なくとも配置し、
前記第3レンズ群に、少なくとも4枚の正レンズと、少なくとも1枚の負レンズとを配置し、
前記第3レンズ群と前記後群が、以下の条件式(1)を満足するようにし、
広角端状態から望遠端状態への変倍に際して、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が増大し、前記第2レンズ群と前記後群との間隔が減少し、前記第3レンズ群を構成するレンズどうしの間隔が一定となるようにし、
前記第1レンズ群よりも像側に位置するレンズ群の少なくとも一部が偏芯レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように偏芯するようにすることを特徴とする変倍光学系の製造方法を提供する。
(1) 0.10<Lf/Lr<0.45
ただし、
Lf:前記第3レンズ群の全長
Lr:前記後群の広角端状態における全長
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、良好な光学性能を有する変倍光学系、光学装置、変倍光学系の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本願の第1実施例に係る変倍光学系の広角端状態におけるレンズ断面図である。
【図2】(a)、(b)はそれぞれ、第1実施例に係る変倍光学系の広角端状態における無限遠合焦時の諸収差図、及び0.70°の回転ぶれに対して防振を行った際のメリディオナル横収差図である。
【図3】第1実施例に係る変倍光学系の中間焦点距離状態における無限遠合焦時の諸収差図である。
【図4】(a)、(b)はそれぞれ、第1実施例に係る変倍光学系の望遠端状態における無限遠合焦時の諸収差図、及び0.30°の回転ぶれに対して防振を行った際のメリディオナル横収差図である。
【図5】本願の第2実施例に係る変倍光学系の広角端状態におけるレンズ断面図である。
【図6】(a)、(b)はそれぞれ、第2実施例に係る変倍光学系の広角端状態における無限遠合焦時の諸収差図、及び0.70°の回転ぶれに対して防振を行った際のメリディオナル横収差図である。
【図7】第2実施例に係る変倍光学系の中間焦点距離状態における無限遠合焦時の諸収差図である。
【図8】(a)、(b)はそれぞれ、第2実施例に係る変倍光学系の望遠端状態における無限遠合焦時の諸収差図、及び0.30°の回転ぶれに対して防振を行った際のメリディオナル横収差図である。
【図9】本願の第3実施例に係る変倍光学系の広角端状態におけるレンズ断面図である。
【図10】(a)、(b)はそれぞれ、第3実施例に係る変倍光学系の広角端状態における無限遠合焦時の諸収差図、及び0.70°の回転ぶれに対して防振を行った際のメリディオナル横収差図である。
【図11】第3実施例に係る変倍光学系の中間焦点距離状態における無限遠合焦時の諸収差図である。
【図12】(a)、(b)はそれぞれ、第3実施例に係る変倍光学系の望遠端状態における無限遠合焦時の諸収差図、及び0.30°の回転ぶれに対して防振を行った際のメリディオナル横収差図である。
【図13】本願の第4実施例に係る変倍光学系の広角端状態におけるレンズ断面図である。
【図14】(a)、(b)はそれぞれ、第4実施例に係る変倍光学系の広角端状態における無限遠合焦時の諸収差図、及び0.70°の回転ぶれに対して防振を行った際のメリディオナル横収差図である。
【図15】第4実施例に係る変倍光学系の中間焦点距離状態における無限遠合焦時の諸収差図である。
【図16】(a)、(b)はそれぞれ、第4実施例に係る変倍光学系の望遠端状態における無限遠合焦時の諸収差図、及び0.30°の回転ぶれに対して防振を行った際のメリディオナル横収差図である。
【図17】本願の第5実施例に係る変倍光学系の広角端状態におけるレンズ断面図である。
【図18】(a)、(b)はそれぞれ、第5実施例に係る変倍光学系の広角端状態における無限遠合焦時の諸収差図、及び0.70°の回転ぶれに対して防振を行った際のメリディオナル横収差図である。
【図19】第5実施例に係る変倍光学系の中間焦点距離状態における無限遠合焦時の諸収差図である。
【図20】(a)、(b)はそれぞれ、第5実施例に係る変倍光学系の望遠端状態における無限遠合焦時の諸収差図、及び0.30°の回転ぶれに対して防振を行った際のメリディオナル横収差図である。
【図21】本願の第6実施例に係る変倍光学系の広角端状態におけるレンズ断面図である。
【図22】(a)、(b)はそれぞれ、第6実施例に係る変倍光学系の広角端状態における無限遠合焦時の諸収差図、及び0.70°の回転ぶれに対して防振を行った際のメリディオナル横収差図である。
【図23】第6実施例に係る変倍光学系の中間焦点距離状態における無限遠合焦時の諸収差図である。
【図24】(a)、(b)はそれぞれ、第6実施例に係る変倍光学系の望遠端状態における無限遠合焦時の諸収差図、及び0.30°の回転ぶれに対して防振を行った際のメリディオナル横収差図である。
【図25】本願の変倍光学系を備えたカメラの構成を示す図である。
【図26】本願の変倍光学系の製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本願の変倍光学系、光学装置、変倍光学系の製造方法について説明する。
本願の変倍光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する後群とから構成されており、前記後群は、最も物体側に配置されており正の屈折力を有する第3レンズ群を少なくとも有し、前記第3レンズ群は、少なくとも4枚の正レンズと、少なくとも1枚の負レンズとを有し、広角端状態から望遠端状態への変倍に際して、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が増大し、前記第2レンズ群と前記後群との間隔が減少し、前記第3レンズ群を構成するレンズどうしの間隔が一定であり、前記第1レンズ群よりも像側に位置するレンズ群の少なくとも一部が偏芯レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように偏芯し、以下の条件式(1)を満足することを特徴とする。
(1) 0.10<Lf/Lr<0.45
ただし、
Lf:前記第3レンズ群の全長
Lr:前記後群の広角端状態における全長
【0011】
本願の変倍光学系では、上述のように第1レンズ群よりも像側に位置するレンズ群の少なくとも一部が偏芯レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように偏芯することで、像を変位させることができ、これによって手ぶれ等による像ぶれ発生時の像面補正、即ち防振を行うことができる。
【0012】
また、本願の変倍光学系では、画面中心の最も明るい光束である所謂マージナル光線が、第3レンズ群において光軸から離れた位置を通る。また、開口絞りは第3レンズ群の近傍や第3レンズ群中に配置されることが多いため、収差論からも明らかなように第3レンズ群では主に球面収差やコマ収差の補正が重要となる。したがって第3レンズ群は、正の屈折力を有することに起因する収差の発生を抑制する必要がある。
なお、従来の変倍光学系の多くは、物体側から順に多くても2枚の正レンズと1枚の負レンズからなる第3レンズ群を有する構成であったため、十分に球面収差やコマ収差を補正することができなかった。このため、第3レンズ群よりも像側に位置するレンズ群で第3レンズ群の収差を補正する必要があり、結果として第3レンズ群の偏芯敏感度が高くなり、偏芯レンズ群が偏芯した時の結像性能も不十分であった。
【0013】
そこで本願の変倍光学系では、上述のように第3レンズ群が少なくとも4枚の正レンズと少なくとも1枚の負レンズとを有し、当該少なくとも4枚の正レンズと少なくとも1枚の負レンズとは、広角端状態から望遠端状態への変倍に際して互いの間隔が一定であり、上記条件式(1)を満足する構成としている。この構成により、偏芯レンズ群が偏芯した時の偏芯収差と、偏芯レンズ群が偏芯しない時の収差とを、バランス良く抑制することが可能となり、良好な結像性能を得ることができる。また、製造誤差による結像性能の低下を効果的に防ぐこともできる。
【0014】
条件式(1)は、後群の広角端状態における全長に対する第3レンズ群の全長を規定するものである。
本願の変倍光学系の条件式(1)の対応値が上限値を上回ると、第3レンズ群を構成するレンズどうしの間隔が大きくなり過ぎることとなる。このため、第3レンズ群に必要な屈折力をもたせるためには、第3レンズ群を構成する各レンズの屈折力を大きくする必要が生じてしまう。この結果、球面収差やコマ収差を補正することが困難となり、ひいては像面湾曲や歪曲収差等を補正することも困難となってしまうため好ましくない。若しくは、後群を構成する第3レンズ群以外のレンズを、第3レンズ群よりも像側に多数枚配置することが困難になってしまう。また、後群を複数のレンズ群に分割し、変倍時にこれらの間隔を変化させる構成とする場合には、変倍間隔(当該複数のレンズ群を移動させるためのスペース)を十分に確保することが困難になってしまう。なお、条件式(1)の上限値を0.40に設定することで、本願の効果をより確実なものとすることができる。
【0015】
一方、本願の変倍光学系の条件式(1)の対応値が下限値を下回ると、第3レンズ群を構成する各レンズの厚みを十分に確保することが困難となる。この結果、像面湾曲や色収差を補正することが困難になってしまうため好ましくない。なお、条件式(1)の下限値を0.20に設定することで、本願の効果をより確実なものとすることができる。
以上の構成により、良好な光学性能を有する変倍光学系を実現することができる。
【0016】
また本願の変倍光学系は、前記偏芯レンズ群が負の屈折力を有することが望ましい。
この構成により、偏芯レンズ群が偏芯した時の収差変動、特に偏芯コマ収差の変動を小さくすることができる。また、本願の変倍光学系全体の小型化を図ることもできる。
【0017】
また本願の変倍光学系は、前記偏芯レンズ群が、少なくとも1枚の負レンズと、少なくとも1枚の正レンズとを含み、前記偏芯レンズ群内で、焦点距離が最も小さい正レンズの物体側レンズ面は、物体側へ凸形状であることが望ましい。
この構成により、偏芯レンズ群が偏芯した時の偏芯収差と、偏芯レンズ群が偏芯しない時の収差とを、バランス良く抑制することが可能となり、良好な結像性能を得ることができる。
【0018】
ここで、マージナル光線が偏芯レンズ群を構成する各レンズで屈折される時の偏角が極力小さくなるように当該各レンズの配置を行うことが、球面収差やコマ収差の補正に有利である。このことは、特に偏芯レンズ群が偏芯した時の偏芯コマ収差の補正に重要である。また、偏芯レンズ群内で焦点距離が最も小さい正レンズの物体側レンズ面が担う役割は、偏芯レンズ群単独の色消し、光学系全体のペッツバール和のコントロール、偏芯レンズ群が偏芯しない時の球面収差の補正、及び偏芯レンズ群が偏芯した時のコマ収差の補正であり、重要である。このうち、偏芯レンズ群が偏芯した時のコマ収差の補正には、当該正レンズの物体側レンズ面の曲率半径を小さくしつつ、これと同時に像側レンズ面の曲率半径も小さくすることが有効である。
しかしながら、従来の変倍光学系においては、偏芯レンズ群内の正レンズの曲率半径を小さくすると、偏芯レンズ群が偏芯しない時の球面収差の補正、色消し条件とペッツバール和の両立が困難であった。これに対して本願の変倍光学系は、偏芯レンズ群内で焦点距離が最も小さい正レンズの物体側レンズ面を物体側へ凸形状とすることで、マージナル光線の偏角を小さくするレンズ配置を実現できるため、前述の問題を解消することができる。
【0019】
また本願の変倍光学系は、前記偏芯レンズ群が、前記後群内であって前記第3レンズ群よりも像側に備えられていることが望ましい。
この構成により、マージナル光線は第3レンズ群で収束され、第3レンズ群よりも物体側に位置するレンズ群を偏芯レンズ群に設定するよりもレンズ径の小型化を実現することができる。このため、本願の変倍光学系は手ぶれ補正機構を組み込むことに適し、鏡筒の小型化と、手ぶれ補正に伴う収差変動の良好な補正を行うことが可能となる。
【0020】
また本願の変倍光学系は、以下の条件式(2)を満足することが望ましい。
(2) −7.00<fr/fvr<−1.00
ただし、
fr :前記偏芯レンズ群と像面との間に位置するレンズ群全体の望遠端状態における合成焦点距離
fvr:前記偏芯レンズ群の焦点距離
【0021】
条件式(2)は、偏芯レンズ群の焦点距離に対する、偏芯レンズ群と像面との間に位置するレンズ群全体の合成焦点距離を規定するものである。本願の変倍光学系は条件式(2)を満足することによって、偏芯レンズ群が偏芯した時に良好な光学性能を確保し、製造誤差による光学性能の劣化を緩和することができる。
本願の変倍光学系の条件式(2)の対応値が上限値を上回ると、偏芯レンズ群と像面との間に位置するレンズ群全体の屈折力が大きくなり過ぎる。このため、偏芯レンズ群よりも物体側に位置するレンズ群全体で生じる収差は縮小するものの、偏芯レンズ群と像面との間に位置するレンズ群全体で生じる収差が大きくなり過ぎてしまう。この結果、像面湾曲やコマ収差を補正することが困難となる。また、レンズ群どうしの偏芯等の製造誤差に対する結像性能の劣化、即ち偏芯コマ収差の劣化が著しくなるため好ましくない。なお、条件式(2)の上限値を−1.50に設定することで、本願の効果をより確実なものとすることができる。
【0022】
一方、本願の変倍光学系の条件式(2)の対応値が下限値を下回ると、偏芯レンズ群と像面との間に位置するレンズ群全体の屈折力が小さくなり、コマ収差や像面湾曲を補正することが容易となる。しかしながら、偏芯レンズ群よりも物体側に位置するレンズ群全体で生じる収差を縮小する効果が小さくなる。この結果、望遠端状態における球面収差とコマ収差が劣化してしまうため好ましくない。なお、条件式(2)の下限値を−5.50に設定することで、本願の効果をより確実なものとすることができる。
【0023】
また本願の変倍光学系は、前記第3レンズ群内の前記少なくとも1枚の負レンズが、以下の条件式(3),(4)を満足することが望ましい。
(3) 1.85<N3n
(4) 22.00<ν3n<40.00
ただし、
N3n:前記第3レンズ群内の前記少なくとも1枚の負レンズのd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率
ν3n:前記第3レンズ群内の前記少なくとも1枚の負レンズのd線(波長λ=587.6nm)に対するアッベ数
【0024】
上述のように本願の変倍光学系では、第3レンズ群において球面収差やコマ収差を補正することが重要である。そこで、第3レンズ群内の負レンズに正レンズよりも高屈折率の硝材を採用することで球面収差やコマ収差を補正することが容易となるため、これを条件式(3)で規定している。
第3レンズ群内の負レンズの屈折率が条件式(3)の下限値を下回ると、球面収差やコマ収差を補正することが困難となるため好ましくない。なお、条件式(3)の下限値を1.90に設定することで、本願の効果をより確実なものとすることができる。
【0025】
また、本願の変倍光学系では色消し条件等を考慮して、第3レンズ群内の負レンズに採用する硝材のアッベ数を条件式(4)で規定している。
第3レンズ群内の負レンズのアッベ数が条件式(4)の下限値を下回ると、当該負レンズのレンズ面の曲率半径が、球面収差やコマ収差を補正するために必要な値よりも大きくなり過ぎる。このため、球面収差やコマ収差の補正が不足することになってしまい好ましくない。なお、条件式(4)の下限値を24.00に設定することで、本願の効果をより確実なものとすることができる。
【0026】
一方、第3レンズ群内の負レンズのアッベ数が条件式(4)の上限値を上回ると、当該負レンズのレンズ面の曲率半径が、球面収差やコマ収差を補正するために必要な値よりも小さくなり過ぎる。このため、球面収差やコマ収差を過剰に補正することになってしまい好ましくない。なお、条件式(4)の上限値を37.00に設定することで、本願の効果をより確実なものとすることができる。
【0027】
また本願の変倍光学系は、以下の条件式(5)を満足することが望ましい。
(5) 0.30<Rs/RL<1.00
ただし、
Rs:前記偏芯レンズ群内の焦点距離が最も小さい正レンズにおける曲率半径の絶対値が小さいレンズ面の曲率半径
RL:前記偏芯レンズ群内の焦点距離が最も小さい前記正レンズにおける曲率半径の絶対値が小さい前記レンズ面と反対側のレンズ面の曲率半径
【0028】
本願の変倍光学系において、偏芯レンズ群が偏芯した時のコマ収差を良好に補正するためには、偏芯レンズ群内の正レンズに物体側から入射する光線の、当該正レンズの物体側レンズ面における偏角と像側レンズ面における偏角との差ができるだけ小さいことが好ましい。これは、当該正レンズの物体側レンズ面で発生する収差と像側レンズ面で発生する収差とが相殺しやすくなるためである。条件式(5)は、偏芯レンズ群内の焦点距離が最も小さい正レンズの両側のレンズ面の曲率半径を規定するための条件式である。条件式(5)を本願の変倍光学系が満足することで、前記偏角の差が小さくなり、偏芯レンズ群が偏芯した時のコマ収差を良好に補正することが可能となる。
【0029】
ここで、条件式(5)は正レンズのレンズ面の曲率半径について規定するものであるため、上限値は1.00となる。なお、条件式(5)の上限値を0.90に設定することで、本願の効果をより確実なものとすることができる。
一方、本願の変倍光学系の条件式(5)の対応値が下限値を下回ると、前記偏角の差が大きくなり、その結果、偏芯レンズ群が偏芯した時のコマ収差を補正することが困難になってしまう。なお、条件式(5)の下限値を0.50に設定することで、本願の効果をより確実なものとすることができる。
【0030】
また本願の変倍光学系は、前記第3レンズ群の近傍又は前記第3レンズ群中に開口絞りを有することが望ましい。この構成により、本願の変倍光学系は周辺光量を十分に確保し、像面湾曲を良好に補正することができる。
また本願の変倍光学系は、前記後群が、前記第3レンズ群の像側に第4レンズ群を有しており、前記偏芯レンズ群は、前記第4レンズ群の少なくとも一部からなることが望ましい。この構成により、本願の変倍光学系は偏芯レンズ群の偏芯時にコマ収差の変動を小さく抑えることができる。
【0031】
また本願の変倍光学系は、前記後群が、前記第3レンズ群の像側に第4レンズ群を有しており、広角端状態から望遠端状態への変倍に際して、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔が変化することが望ましい。この構成により、本願の変倍光学系は変倍時の球面収差等の変動を小さく抑えながら、所定の変倍比を確保することができる。
また、本願の変倍光学系を構成するレンズのレンズ面が球面又は平面の場合、レンズ加工及び組立調整が容易になり、レンズ加工及び組立調整の誤差による光学性能の劣化を防ぐことができるため好ましい。また、像面がずれた場合でも描写性能の劣化が少ないため好ましい。
また本願の光学装置は、上述した構成の変倍光学系を備えていることを特徴とする。これにより、良好な光学性能を有する光学装置を実現することができる。
【0032】
また本願の変倍光学系の製造方法は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する後群とからなる変倍光学系の製造方法であって、前記後群内の最も物体側に、正の屈折力を有する第3レンズ群を少なくとも配置し、前記第3レンズ群に、少なくとも4枚の正レンズと、少なくとも1枚の負レンズとを配置し、前記第3レンズ群と前記後群が、以下の条件式(1)を満足するようにし、広角端状態から望遠端状態への変倍に際して、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が増大し、前記第2レンズ群と前記後群との間隔が減少し、前記第3レンズ群を構成するレンズどうしの間隔が一定となるようにし、前記第1レンズ群よりも像側に位置するレンズ群の少なくとも一部が偏芯レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように偏芯するようにすることを特徴とする。
(1) 0.10<Lf/Lr<0.45
ただし、
Lf:前記第3レンズ群の全長
Lr:前記後群の広角端状態における全長
これにより、良好な光学性能を有する変倍光学系を製造することができる。
【0033】
以下、本願の数値実施例に係る変倍光学系を添付図面に基づいて説明する。
(第1実施例)
図1は、本願の第1実施例に係る変倍光学系の広角端状態におけるレンズ断面図である。
本実施例に係る変倍光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、開口絞りSと、正の屈折力を有する後群GRとから構成されている。
後群GRは、物体側から順に、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とから構成されている。
【0034】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL11と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL12と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13との接合正レンズとからなる。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、両凹形状の負レンズL21と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22との接合負レンズと、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL23とからなる。
第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL31と、両凸形状の正レンズL32と、両凸形状の正レンズL33と両凹形状の負レンズL34との接合負レンズと、両凸形状の正レンズL35とからなる。
【0035】
第4レンズ群G4は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL41と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL42との接合負レンズからなる。
第5レンズ群G5は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL51と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL52との接合正レンズと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL53と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL54との接合負レンズとからなる。
開口絞りSは、第3レンズ群G3の物体側近傍に配置されており、広角端状態から望遠端状態への変倍に際して第3レンズ群G3とともに移動する。
【0036】
本実施例に係る変倍光学系では、広角端状態から望遠端状態への変倍に際して、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔が増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との空気間隔が減少し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との空気間隔が一定で、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との空気間隔が一定となるように、各レンズ群G1〜G5が光軸方向へ移動する。このとき、第3レンズ群G3を構成するレンズL31〜L35どうしの空気間隔は一定である。
また本実施例に係る変倍光学系では、第4レンズ群G4全体が偏芯レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように偏芯し、これによって防振を行うことができる。
また本実施例に係る変倍光学系は、第1レンズ群G1全体を物体側へ移動させることにより、遠距離物体から近距離物体への合焦を行う。
【0037】
以下の表1に、本願の第1実施例に係る変倍光学系の諸元の値を掲げる。
表1において、fは焦点距離、BFはバックフォーカスを示す。
[面データ]において、面番号は物体側から数えたレンズ面の順番、rはレンズ面の曲率半径、dはレンズ面の間隔、ndはd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率、νdはd線(波長λ=587.6nm)に対するアッベ数をそれぞれ示している。また、物面は物体面、可変は可変の面間隔、(絞りS)は開口絞りS、像面は像面Iをそれぞれ示している。なお、曲率半径r=∞は平面を示し、空気の屈折率nd=1.00000の記載は省略している。
【0038】
[各種データ]において、FNOはFナンバー、ωは半画角、Yは像高、TLは光学系全長、di(i:整数)は第i面の可変の面間隔をそれぞれ示す。なお、Wは広角端状態、Mは中間焦点距離状態、Tは望遠端状態をそれぞれ示す。
ここで、表1に掲載されている焦点距離fや曲率半径r、及びその他長さの単位は一般に「mm」が使われる。しかしながら光学系は、比例拡大又は比例縮小しても同等の光学性能が得られるため、これに限られるものではない。
なお、以上に述べた表1の符号は、後述する各実施例の表においても同様に用いるものとする。
【0039】
ここで、レンズ全系の焦点距離がf、防振係数(ぶれ補正時の防振レンズ群の移動量に対する像面I上での像の移動量の比)がKであるレンズにおいて、角度θの回転ぶれを補正するためには、防振レンズ群を(f・tanθ)/Kだけ光軸と直交する方向へ移動させればよい。したがって、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態において防振係数が1.13、焦点距離が56.09(mm)であるため、0.70°の回転ぶれを補正するための第4レンズ群G4の移動量は0.60(mm)となる。また、望遠端状態においては防振係数が1.73、焦点距離が293.90(mm)であるため、0.30°の回転ぶれを補正するための第4レンズ群G4の移動量は0.89(mm)となる。
【0040】
(表1)第1実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1 267.2708 4.40 1.51680 64.1
2 -267.2701 0.20
3 76.5471 2.00 1.78472 25.68
4 52.6873 8.20 1.49700 81.54
5 1207.6009 可変
6 -246.6847 1.20 1.74100 52.67
7 19.6258 3.80 1.84666 23.78
8 44.5733 3.40
9 -41.2120 1.20 1.80400 46.57
10 -357.8603 可変
11(絞りS) ∞ 1.80
12 70.0435 3.10 1.69680 55.52
13 -211.0000 0.20
14 69.6788 3.10 1.69680 55.52
15 -230.0000 0.20
16 52.6910 4.80 1.49700 81.54
17 -52.6889 1.20 1.90366 31.27
18 43.1764 0.20
19 29.0997 4.60 1.56384 60.67
20 -547.7122 可変
21 522.7391 1.10 1.77250 49.61
22 17.9430 1.90 2.00069 25.46
23 28.0061 可変
24 49.1627 4.50 1.64769 33.8
25 -28.8622 3.00 1.72000 50.23
26 -52.2713 2.80
27 -26.8616 4.00 1.48749 70.41
28 -15.4005 1.00 1.80100 34.96
29 -36.4531 BF
像面 ∞

[各種データ]
変倍比 5.240
W M T
f 56.09 129.95 293.90
FNO 4.63 4.91 5.88
ω 14.76 6.16 2.77
Y 14.50 14.50 14.50
TL 166.62 194.87 208.59
BF 40.20 44.88 68.20

d5 4.35 43.24 55.74
d10 39.77 24.45 2.35
d20 17.20 17.20 17.20
d23 3.20 3.20 3.20

[レンズ群データ]
群 始面 f
1 1 120.20
2 6 -28.84
3 11 36.07
4 21 -47.54
5 24 107.10

[条件式対応値]
(1) Lf/Lr = 0.3102
(2) fr/fvr = -2.253
(3) N3n = 1.90366
(4) ν3n = 31.27
(5) Rs/RL = 0.641
【0041】
図2(a)、及び図2(b)はそれぞれ、第1実施例に係る変倍光学系の広角端状態における無限遠合焦時の諸収差図、及び0.70°の回転ぶれに対して防振を行った際のメリディオナル横収差図である。図3は、第1実施例に係る変倍光学系の中間焦点距離状態における無限遠合焦時の諸収差図である。図4(a)、及び図4(b)はそれぞれ、第1実施例に係る変倍光学系の望遠端状態における無限遠合焦時の諸収差図、及び0.30°の回転ぶれに対して防振を行った際のメリディオナル横収差図である。
【0042】
図2〜図4の各収差図において、FNOはFナンバー、Yは像高、ωは半画角をそれぞれ示す。なお、球面収差図では最大口径に対応するFナンバーの値を示し、非点収差図及び歪曲収差図では像高の最大値をそれぞれ示し、コマ収差図では各半画角の値を示す。Dはd線(λ=587.6nm)、Gはg線(λ=435.8nm)をそれぞれ示す。非点収差図において、実線はサジタル像面、破線はメリディオナル像面をそれぞれ示す。なお、以下に示す各実施例の収差図においても、本実施例と同様の符号を用いる。
【0043】
各諸収差図より、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有しており、さらに防振時にも優れた結像性能を有していることがわかる。
【0044】
(第2実施例)
図5は、本願の第2実施例に係る変倍光学系の広角端状態におけるレンズ断面図である。
本実施例に係る変倍光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、開口絞りSと、正の屈折力を有する後群GRとから構成されている。
後群GRは、物体側から順に、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とから構成されている。
【0045】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL11と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL12と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13との接合正レンズとからなる。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、両凹形状の負レンズL21と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22との接合負レンズと、両凹形状の負レンズL23とからなる。
第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL31と、両凸形状の正レンズL32と、両凸形状の正レンズL33と両凹形状の負レンズL34との接合負レンズと、両凸形状の正レンズL35とからなる。
【0046】
第4レンズ群G4は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL41と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL42との接合負レンズからなる。
第5レンズ群G5は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL51と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL52との接合正レンズと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL53と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL54との接合負レンズとからなる。
開口絞りSは、第3レンズ群G3の物体側近傍に配置されており、広角端状態から望遠端状態への変倍に際して第3レンズ群G3とともに移動する。
【0047】
本実施例に係る変倍光学系では、広角端状態から望遠端状態への変倍に際して、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔が増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との空気間隔が減少し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との空気間隔が増加し、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との空気間隔が減少するように、各レンズ群G1〜G5が光軸方向へ移動する。このとき、第3レンズ群G3を構成するレンズL31〜L35どうしの空気間隔は一定である。
また本実施例に係る変倍光学系では、第4レンズ群G4全体が偏芯レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように偏芯し、これによって防振を行うことができる。
また本実施例に係る変倍光学系は、第1レンズ群G1全体を物体側へ移動させることにより、遠距離物体から近距離物体への合焦を行う。
【0048】
以下の表2に、本願の第2実施例に係る変倍光学系の諸元の値を掲げる。
ここで、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態において防振係数が1.10、焦点距離が55.36(mm)であるため、0.70°の回転ぶれを補正するための第4レンズ群G4の移動量は0.62(mm)となる。また、望遠端状態においては防振係数が1.58、焦点距離が293.95(mm)であるため、0.30°の回転ぶれを補正するための第4レンズ群G4の移動量は0.97(mm)となる。
【0049】
(表2)第2実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1 276.3385 4.40 1.51680 64.11
2 -276.3385 0.20
3 73.0686 2.00 1.78472 25.68
4 50.9075 8.20 1.49700 81.54
5 827.6476 可変
6 -234.1051 1.20 1.74100 52.67
7 20.2788 3.86 1.84666 23.78
8 50.5632 3.40
9 -63.6972 1.20 1.80400 46.57
10 118.8876 可変
11(絞りS) ∞ 1.80
12 59.3138 3.10 1.69680 55.52
13 -353.1505 0.20
14 79.2036 3.10 1.69680 55.52
15 -448.3938 0.20
16 46.2667 4.80 1.49700 81.54
17 -56.5477 1.20 1.90366 31.27
18 48.0065 0.20
19 30.0405 4.60 1.54675 64.19
20 -358.2365 可変
21 370.5894 1.28 1.77250 49.61
22 23.6184 1.55 2.00272 18.16
23 30.8651 可変
24 49.1161 4.50 1.64769 33.80
25 -23.2660 1.00 1.74397 44.85
26 -60.2732 3.22
27 -22.9694 4.00 1.48749 70.41
28 -15.4368 2.00 1.80100 34.96
29 -31.1919 BF
像面 ∞

[各種データ]
変倍比 5.310
W M T
f 55.36 132.00 293.95
FNO 4.52 4.89 5.94
ω 14.88 6.09 2.77
Y 14.50 14.50 14.50
TL 167.33 195.55 205.44
BF 39.53 45.47 65.15

d5 3.60 42.65 55.15
d10 40.98 24.63 2.40
d20 16.69 17.27 19.53
d23 5.33 4.31 2.00

[レンズ群データ]
群 始面 f
1 1 120.20
2 6 -28.50
3 11 35.27
4 21 -49.20
5 24 136.45

[条件式対応値]
(1) Lf/Lr = 0.3054
(2) fr/fvr = -2.773
(3) N3n = 1.90366
(4) ν3n = 31.27
(5) Rs/RL = 0.765
【0050】
図6(a)、及び図6(b)はそれぞれ、第2実施例に係る変倍光学系の広角端状態における無限遠合焦時の諸収差図、及び0.70°の回転ぶれに対して防振を行った際のメリディオナル横収差図である。図7は、第2実施例に係る変倍光学系の中間焦点距離状態における無限遠合焦時の諸収差図である。図8(a)、及び図8(b)はそれぞれ、第2実施例に係る変倍光学系の望遠端状態における無限遠合焦時の諸収差図、及び0.30°の回転ぶれに対して防振を行った際のメリディオナル横収差図である。
各諸収差図より、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有しており、さらに防振時にも優れた結像性能を有していることがわかる。
【0051】
(第3実施例)
図9は、本願の第3実施例に係る変倍光学系の広角端状態におけるレンズ断面図である。
本実施例に係る変倍光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、開口絞りSと、正の屈折力を有する後群GRとから構成されている。
後群GRは、物体側から順に、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とから構成されている。
【0052】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL11と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL12と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13との接合正レンズとからなる。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、両凹形状の負レンズL21と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22との接合負レンズと、両凹形状の負レンズL23とからなる。
第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL31と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL32と、両凸形状の正レンズL33と両凹形状の負レンズL34との接合負レンズと、両凸形状の正レンズL35とからなる。
【0053】
第4レンズ群G4は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL41と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL42との接合負レンズからなる。
第5レンズ群G5は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL51と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL52との接合正レンズと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL53と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL54との接合負レンズとからなる。
開口絞りSは、第3レンズ群G3の物体側近傍に配置されており、広角端状態から望遠端状態への変倍に際して第3レンズ群G3とともに移動する。
【0054】
本実施例に係る変倍光学系では、広角端状態から望遠端状態への変倍に際して、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔が増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との空気間隔が減少し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との空気間隔が増加し、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との空気間隔が減少するように、各レンズ群G1〜G5が光軸方向へ移動する。このとき、第3レンズ群G3を構成するレンズL31〜L35どうしの空気間隔は一定である。
また本実施例に係る変倍光学系では、第4レンズ群G4全体が偏芯レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように偏芯し、これによって防振を行うことができる。
また本実施例に係る変倍光学系は、第1レンズ群G1全体を物体側へ移動させることにより、遠距離物体から近距離物体への合焦を行う。
【0055】
以下の表3に、本願の第3実施例に係る変倍光学系の諸元の値を掲げる。
ここで、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態において防振係数が1.07、焦点距離が55.22(mm)であるため、0.70°の回転ぶれを補正するための第4レンズ群G4の移動量は0.63(mm)となる。また、望遠端状態においては防振係数が1.59、焦点距離が293.26(mm)であるため、0.30°の回転ぶれを補正するための第4レンズ群G4の移動量は0.96(mm)となる。
【0056】
(表3)第3実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1 258.8169 4.40 1.51680 64.11
2 -258.8169 0.20
3 73.2475 2.00 1.78472 25.68
4 50.6603 8.20 1.49700 81.54
5 614.5655 可変
6 -307.1604 1.20 1.74100 52.67
7 19.8433 3.86 1.84666 23.78
8 47.7637 3.40
9 -53.5015 1.20 1.80400 46.57
10 184.3593 可変
11(絞りS) ∞ 1.80
12 55.7895 3.10 1.69680 55.52
13 -124.3740 0.20
14 61.2057 3.10 1.69680 55.52
15 206.5890 0.20
16 42.8739 4.80 1.49700 81.54
17 -58.0379 1.20 1.90366 31.27
18 37.2068 0.78
19 26.9337 4.60 1.55208 64.52
20 -1082.9155 可変
21 322.5905 1.06 1.74100 52.67
22 18.0704 1.94 1.95030 29.37
23 29.0384 可変
24 54.0053 4.50 1.68893 31.07
25 -27.0985 3.00 1.74047 45.12
26 -54.1321 2.74
27 -28.5027 4.00 1.48749 70.40
28 -15.5068 2.00 1.80100 34.96
29 -43.4369 BF
像面 ∞

[各種データ]
変倍比 5.311
W M T
f 55.22 131.79 293.26
FNO 4.44 4.85 5.88
ω 14.95 6.11 2.78
Y 14.50 14.50 14.50
TL 167.24 195.81 208.71
BF 41.36 48.41 70.45

d5 3.60 42.02 54.52
d10 40.01 23.72 2.40
d20 12.42 12.75 14.02
d23 6.36 5.42 3.84

[レンズ群データ]
群 始面 f
1 1 120.11
2 6 -28.50
3 11 35.50
4 21 -54.45
5 24 134.29

[条件式対応値]
(1) Lf/Lr = 0.3210
(2) fr/fvr = -2.466
(3) N3n = 1.90366
(4) ν3n = 31.27
(5) Rs/RL = 0.622
【0057】
図10(a)、及び図10(b)はそれぞれ、第3実施例に係る変倍光学系の広角端状態における無限遠合焦時の諸収差図、及び0.70°の回転ぶれに対して防振を行った際のメリディオナル横収差図である。図11は、第3実施例に係る変倍光学系の中間焦点距離状態における無限遠合焦時の諸収差図である。図12(a)、及び図12(b)はそれぞれ、第3実施例に係る変倍光学系の望遠端状態における無限遠合焦時の諸収差図、及び0.30°の回転ぶれに対して防振を行った際のメリディオナル横収差図である。
各諸収差図より、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有しており、さらに防振時にも優れた結像性能を有していることがわかる。
【0058】
(第4実施例)
図13は、本願の第4実施例に係る変倍光学系の広角端状態におけるレンズ断面図である。
本実施例に係る変倍光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、開口絞りSと、正の屈折力を有する後群GRとから構成されている。
後群GRは、物体側から順に、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とから構成されている。
【0059】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL11と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL12と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13との接合正レンズとからなる。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、両凹形状の負レンズL21と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22との接合負レンズと、両凹形状の負レンズL23とからなる。
第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL31と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL32と、両凸形状の正レンズL33と両凹形状の負レンズL34との接合負レンズと、両凸形状の正レンズL35とからなる。
【0060】
第4レンズ群G4は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL41と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL42との接合負レンズからなる。
第5レンズ群G5は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL51と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL52との接合正レンズと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL53と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL54との接合負レンズとからなる。
開口絞りSは、第3レンズ群G3の物体側近傍に配置されており、広角端状態から望遠端状態への変倍に際して第3レンズ群G3とともに移動する。
【0061】
本実施例に係る変倍光学系では、広角端状態から望遠端状態への変倍に際して、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔が増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との空気間隔が減少し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との空気間隔が一定で、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との空気間隔が減少するように、各レンズ群G1〜G5が光軸方向へ移動する。このとき、第3レンズ群G3を構成するレンズL31〜L35どうしの空気間隔は一定である。
また本実施例に係る変倍光学系では、第4レンズ群G4全体が偏芯レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように偏芯し、これによって防振を行うことができる。
また本実施例に係る変倍光学系は、第1レンズ群G1全体を物体側へ移動させることにより、遠距離物体から近距離物体への合焦を行う。
【0062】
以下の表4に、本願の第4実施例に係る変倍光学系の諸元の値を掲げる。
ここで、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態において防振係数が1.15、焦点距離が56.14(mm)であるため、0.70°の回転ぶれを補正するための第4レンズ群G4の移動量は0.60(mm)となる。また、望遠端状態においては防振係数が1.76、焦点距離が294.25(mm)であるため、0.30°の回転ぶれを補正するための第4レンズ群G4の移動量は0.88(mm)となる。
【0063】
(表4)第4実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1 258.8905 4.40 1.51680 64.11
2 -258.8904 0.20
3 72.4673 2.00 1.78472 25.68
4 50.2501 8.20 1.49700 81.54
5 562.3991 可変
6 -509.8829 1.20 1.74100 52.67
7 19.4327 3.82 1.84666 23.78
8 42.4448 3.40
9 -46.2794 1.20 1.80400 46.57
10 25460.0370 可変
11(絞りS) ∞ 1.80
12 66.5953 3.10 1.69680 55.52
13 -104.3847 0.20
14 49.3992 3.10 1.69680 55.52
15 113.9473 0.70
16 41.9307 4.80 1.49700 81.54
17 -61.1741 1.20 1.90366 31.27
18 38.7947 0.20
19 26.2140 4.60 1.48749 70.40
20 -284.9611 可変
21 454.0768 1.00 1.74100 52.67
22 16.3073 2.13 1.90366 31.27
23 28.3236 可変
24 47.4889 4.50 1.68893 31.07
25 -33.4264 1.00 1.74397 44.85
26 -75.4536 4.03
27 -26.4241 4.00 1.48749 70.40
28 -15.7370 1.00 1.80100 34.96
29 -37.0102 BF
像面 ∞

[各種データ]
変倍比 5.241
W M T
f 56.14 132.11 294.25
FNO 4.60 4.88 5.88
ω 14.71 6.11 2.78
Y 14.50 14.50 14.50
TL 167.36 194.48 207.80
BF 39.81 46.93 70.87

d5 3.60 41.44 53.94
d10 41.36 24.57 2.40
d20 12.28 12.28 12.28
d23 8.52 7.48 6.53

[レンズ群データ]
群 始面 f
1 1 120.11
2 6 -29.39
3 11 35.53
4 21 -50.34
5 24 125.40

[条件式対応値]
(1) Lf/Lr = 0.3176
(2) fr/fvr = -2.491
(3) N3n = 1.90366
(4) ν3n = 31.27
(5) Rs/RL = 0.576
【0064】
図14(a)、及び図14(b)はそれぞれ、第4実施例に係る変倍光学系の広角端状態における無限遠合焦時の諸収差図、及び0.70°の回転ぶれに対して防振を行った際のメリディオナル横収差図である。図15は、第4実施例に係る変倍光学系の中間焦点距離状態における無限遠合焦時の諸収差図である。図16(a)、及び図16(b)はそれぞれ、第4実施例に係る変倍光学系の望遠端状態における無限遠合焦時の諸収差図、及び0.30°の回転ぶれに対して防振を行った際のメリディオナル横収差図である。
各諸収差図より、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有しており、さらに防振時にも優れた結像性能を有していることがわかる。
【0065】
(第5実施例)
図17は、本願の第5実施例に係る変倍光学系の広角端状態におけるレンズ断面図である。
本実施例に係る変倍光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する後群GRとから構成されている。
後群GRは、物体側から順に、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4と、負の屈折力を有する第5レンズ群G5とから構成されている。
【0066】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL11と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL12と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13との接合正レンズとからなる。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、両凹形状の負レンズL21と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22と、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL23と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL24との接合正レンズと、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL25とからなる。
【0067】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL31と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL32と、両凸形状の正レンズL33と両凹形状の負レンズL34との接合負レンズと、開口絞りSと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL35とからなる。
第4レンズ群G4は、物体側から順に、両凹形状の負レンズL41と両凸形状の正レンズL42との接合正レンズと、両凸形状の正レンズL43とからなる。
第5レンズ群G5は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL51と、両凸形状の正レンズL52と、両凹形状の負レンズL53とからなる。
【0068】
本実施例に係る変倍光学系では、広角端状態から望遠端状態への変倍に際して、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔が増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との空気間隔が減少し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との空気間隔が減少し、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との空気間隔が減少するように、各レンズ群G1〜G5が光軸方向へ移動する。このとき、第3レンズ群G3を構成するレンズL31〜L35どうしの空気間隔は一定である。
また本実施例に係る変倍光学系では、第2レンズ群G2内の、正メニスカスレンズL23と負メニスカスレンズL24との接合正レンズと、負メニスカスレンズL25とからなる負の屈折力を有する部分群が、偏芯レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように偏芯し、これによって防振を行うことができる。
また本実施例に係る変倍光学系は、第1レンズ群G1全体を物体側へ移動させる、若しくは第5レンズ群G5全体を像側へ移動させることにより、遠距離物体から近距離物体への合焦を行う。
【0069】
以下の表5に、本願の第5実施例に係る変倍光学系の諸元の値を掲げる。
ここで、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態において防振係数が0.71、焦点距離が56.50(mm)であるため、0.70°の回転ぶれを補正するための偏芯レンズ群の移動量は0.97(mm)となる。また、望遠端状態においては防振係数が1.96、焦点距離が293.99(mm)であるため、0.30°の回転ぶれを補正するための偏芯レンズ群の移動量は0.79(mm)となる。
【0070】
(表5)第5実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1 164.0915 4.00 1.58913 61.13
2 -638.6860 0.20
3 94.8774 1.60 1.80518 25.42
4 64.8456 5.63 1.49782 82.56
5 516.7029 可変
6 -330.2957 1.20 1.74400 44.79
7 29.7015 2.86
8 31.7988 2.85 1.84666 23.78
9 61.3115 4.64
10 -86.2506 2.69 1.95030 29.37
11 -38.7665 1.20 1.62041 60.32
12 -204.5690 1.43
13 -54.3223 1.20 1.74400 44.79
14 -1429.4530 可変
15 91.9069 2.94 1.69680 55.53
16 -192.3532 0.20
17 64.9048 2.64 1.58913 61.16
18 385.2001 0.20
19 41.6613 5.40 1.49782 82.56
20 -54.4396 1.20 1.80440 39.58
21 71.3743 1.42
22(絞りS) ∞ 10.44
23 -167.2881 1.59 1.58913 61.16
24 -113.9496 可変
25 -1216.0789 1.20 1.74400 44.79
26 31.1523 5.72 1.50980 68.08
27 -58.8789 0.20
28 84.5100 2.98 1.62041 60.32
29 -131.5135 可変
30 784.2672 1.20 1.80217 43.78
31 34.0761 1.90
32 33.1208 4.61 1.62004 36.26
33 -33.2986 2.94
34 -28.7135 1.20 1.77250 49.60
35 118.6789 BF
像面 ∞

[各種データ]
変倍比 5.203
W M T
f 56.50 132.00 293.99
FNO 4.50 5.13 5.88
ω 14.67 6.15 2.79
Y 14.50 14.50 14.50
TL 182.58 226.76 237.37
BF 42.00 62.12 90.03

d5 2.97 47.15 57.61
d14 43.61 31.81 1.10
d24 2.90 1.17 1.00
d29 13.60 7.00 10.12

[レンズ群データ]
群 始面 f
1 1 135.96
2 6 -35.34
3 15 59.05
4 25 76.01
5 30 -59.00
fvr = -78.89

[条件式対応値]
(1) Lf/Lr = 0.4037
(5) Rs/RL = 0.449
【0071】
図18(a)、及び図18(b)はそれぞれ、第5実施例に係る変倍光学系の広角端状態における無限遠合焦時の諸収差図、及び0.70°の回転ぶれに対して防振を行った際のメリディオナル横収差図である。図19は、第5実施例に係る変倍光学系の中間焦点距離状態における無限遠合焦時の諸収差図である。図20(a)、及び図20(b)はそれぞれ、第5実施例に係る変倍光学系の望遠端状態における無限遠合焦時の諸収差図、及び0.30°の回転ぶれに対して防振を行った際のメリディオナル横収差図である。
各諸収差図より、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有しており、さらに防振時にも優れた結像性能を有していることがわかる。
【0072】
(第6実施例)
図21は、本願の第6実施例に係る変倍光学系の広角端状態におけるレンズ断面図である。
本実施例に係る変倍光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する後群GRとから構成されている。
後群GRは、物体側から順に、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5と、負の屈折力を有する第6レンズ群G6とから構成されている。
【0073】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL11と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL12と両凸形状の正レンズL13との接合正レンズとからなる。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、両凹形状の負レンズL21と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22との接合負レンズと、両凹形状の負レンズL23とからなる。
第3レンズ群G3は、物体側から順に、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL31と、開口絞りSと、両凸形状の正レンズL32と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL33との接合正レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL34と、両凸形状の正レンズL35と両凹形状の負レンズL36との接合負レンズと、両凸形状の正レンズL37とからなる。
【0074】
第4レンズ群G4は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL41と、両凹形状の負レンズL42と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL43との接合負レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL44とからなる。
第5レンズ群G5は、両凸形状の正レンズL51のみからなる。
第6レンズ群G6は、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL61のみからなる。
【0075】
本実施例に係る変倍光学系では、広角端状態から望遠端状態への変倍に際して、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔が増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との空気間隔が減少し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との空気間隔が増大し、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との空気間隔が減少し、第5レンズ群G5と第6レンズ群G6との空気間隔が一旦増加した後に減少するように、各レンズ群G1〜G6が光軸方向へ移動する。このとき、第3レンズ群G3を構成するレンズL31〜L37どうしの空気間隔は一定である。
また本実施例に係る変倍光学系では、第4レンズ群G4内の、正レンズL41と、負レンズL42と正メニスカスレンズL43との接合負レンズとからなる負の屈折力を有する部分群が、偏芯レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように偏芯し、これによって防振を行うことができる。
また本実施例に係る変倍光学系は、第1レンズ群G1全体を物体側へ移動させることにより、遠距離物体から近距離物体への合焦を行う。
【0076】
以下の表6に、本願の第6実施例に係る変倍光学系の諸元の値を掲げる。
ここで、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態において防振係数が0.95、焦点距離が56.09(mm)であるため、0.70°の回転ぶれを補正するための偏芯レンズ群の移動量は0.72(mm)となる。また、望遠端状態においては防振係数が1.40、焦点距離が293.89(mm)であるため、0.30°の回転ぶれを補正するための偏芯レンズ群の移動量は1.10(mm)となる。
【0077】
(表6)第6実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1 146.7305 4.40 1.51680 64.1
2 -1290.5280 0.20
3 85.1613 2.00 1.78472 25.68
4 56.8668 8.20 1.49700 81.54
5 -2366.3385 可変
6 -189.3057 1.20 1.74100 52.67
7 20.6513 4.02 1.84666 23.78
8 52.5648 3.40
9 -55.8119 1.20 1.80400 46.57
10 222.3881 可変
11 -104.2306 2.08 1.54339 65.18
12 -64.0241 0.20
13(絞りS) ∞ 0.20
14 44.2255 3.63 1.67260 51.95
15 -369.7253 1.00 1.76182 26.56
16 -517.6143 0.20
17 67.4152 2.53 1.48749 70.41
18 368.1426 0.20
19 41.1878 4.35 1.49700 81.54
20 -65.7583 1.20 1.90366 31.27
21 40.4588 0.20
22 34.4006 3.62 1.48749 70.41
23 -306.2846 可変
24 169.9117 2.87 1.48749 70.41
25 -49.3144 0.20
26 -58.5646 1.00 1.74100 52.67
27 23.8176 2.53 1.95030 29.37
28 41.3244 7.88
29 27.0000 5.49 1.79500 45.29
30 24.5831 可変
31 50.7215 3.42 1.67687 31.64
32 -78.4370 可変
33 -23.3861 1.00 1.80100 34.96
34 -48.3317 BF
像面 ∞

[各種データ]
変倍比 5.240
W M T
f 56.09 132.00 293.89
FNO 4.56 5.05 5.88
ω 14.9 6.17 2.79
Y 14.50 14.50 14.50
TL 171.32 198.61 214.62
BF 40.57 49.42 72.61

d5 3.83 40.60 53.09
d10 40.36 23.25 2.40
d23 4.20 4.21 7.80
d30 7.03 5.69 4.85
d32 6.91 7.02 5.45

[レンズ群データ]
群 始面 f
1 1 120.53
2 6 -29.50
3 11 38.18
4 24 -66.62
5 31 46.00
6 33 -57.59
fvr = -73.11

[条件式対応値]
(1) Lf/Lr = 0.3134
(2) fr/fvr = -2.234
(3) N3n = 1.90366
(4) ν3n = 31.27
(5) Rs/RL = 0.576
【0078】
図22(a)、及び図22(b)はそれぞれ、第6実施例に係る変倍光学系の広角端状態における無限遠合焦時の諸収差図、及び0.70°の回転ぶれに対して防振を行った際のメリディオナル横収差図である。図23は、第6実施例に係る変倍光学系の中間焦点距離状態における無限遠合焦時の諸収差図である。図24(a)、及び図24(b)はそれぞれ、第6実施例に係る変倍光学系の望遠端状態における無限遠合焦時の諸収差図、及び0.30°の回転ぶれに対して防振を行った際のメリディオナル横収差図である。
各諸収差図より、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有しており、さらに防振時にも優れた結像性能を有していることがわかる。
【0079】
上記各実施例によれば、良好な光学性能を有する変倍光学系を実現することができる。ここで、上記各実施例は本願発明の一具体例を示しているものであり、本願発明はこれらに限定されるものではない。
なお、以下の内容は、本願の変倍光学系の光学性能を損なわない範囲で適宜採用することが可能である。
本願の変倍光学系の数値実施例として5群構成又は6群構成のものを示したが、本願はこれに限られず、その他の群構成(例えば、7群等)の変倍光学系を構成することもできる。具体的には、本願の変倍光学系の最も物体側や最も像面側にレンズ又はレンズ群を追加した構成でも構わない。なお、レンズ群とは、変倍時に変化する空気間隔で分離された、少なくとも1枚のレンズを有する部分を示す。
【0080】
また、本願の変倍光学系は、無限遠物体から近距離物体への合焦を行うために、レンズ群の一部、1つのレンズ群全体、又は複数のレンズ群を合焦レンズ群として光軸方向へ移動させる構成としてもよい。特に、第1レンズ群の少なくとも一部又は第5レンズ群の少なくとも一部を合焦レンズ群とすることが好ましい。また、斯かる合焦レンズ群は、オートフォーカスに適用することも可能であり、オートフォーカス用のモータ、例えば超音波モータ等による駆動にも適している。
また、本願の変倍光学系において、いずれかのレンズ群全体又はその一部を、偏芯レンズ群として光軸に垂直な成分を含むように移動させ、又は光軸を含む面内方向へ回転移動(揺動)させることで、手ぶれによって生じる像ぶれを補正する構成とすることもできる。
【0081】
また、本願の変倍光学系を構成するレンズのレンズ面は、球面又は平面としてもよく、或いは非球面としてもよい。レンズ面が球面又は平面の場合、レンズ加工及び組立調整が容易になり、レンズ加工及び組立調整の誤差による光学性能の劣化を防ぐことができるため好ましい。また、像面がずれた場合でも描写性能の劣化が少ないため好ましい。レンズ面が非球面の場合、研削加工による非球面、ガラスを型で非球面形状に成型したガラスモールド非球面、又はガラス表面に設けた樹脂を非球面形状に形成した複合型非球面のいずれでもよい。また、レンズ面は回折面としてもよく、レンズを屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)或いはプラスチックレンズとしてもよい。
【0082】
また、本願の変倍光学系において開口絞りは第3レンズ群の内部又は近傍に配置されることが好ましいが、開口絞りとして部材を設けずにレンズ枠でその役割を代用する構成としてもよい。
また、本願の変倍光学系を構成するレンズのレンズ面に、広い波長域で高い透過率を有する反射防止膜を施してもよい。これにより、フレアやゴーストを軽減し、高コントラストの高い光学性能を達成することができる。
【0083】
また、本願の変倍光学系は、変倍比が3〜10倍程度である。
また、本願の変倍光学系において、第1レンズ群は正レンズ成分を2つ有することが好ましい。また、第2レンズ群は負レンズ成分を2つ有することが好ましい。また、第3レンズ群は正レンズ成分を3つと負レンズ成分を1つ有することが好ましい。また、第4レンズ群は負のレンズ成分を1つ有することが好ましい。また、第5レンズ群は正レンズ成分を1つと負レンズ成分を1つ有することが好ましい。
【0084】
次に、本願の変倍光学系を備えたカメラを図25に基づいて説明する。
図25は、本願の変倍光学系を備えたカメラの構成を示す図である。
本カメラ1は、図25に示すように撮影レンズ2として上記第1実施例に係る変倍光学系を備えたデジタル一眼レフカメラである。
本カメラ1において、不図示の物体(被写体)からの光は、撮影レンズ2で集光されて、クイックリターンミラー3を介して焦点板4に結像される。そして焦点板4に結像されたこの光は、ペンタプリズム5中で複数回反射されて接眼レンズ6へ導かれる。これにより撮影者は、被写体像を接眼レンズ6を介して正立像として観察することができる。
【0085】
また、撮影者によって不図示のレリーズボタンが押されると、クイックリターンミラー3が光路外へ退避し、不図示の被写体からの光は撮像素子7へ到達する。これにより被写体からの光は、当該撮像素子7によって撮像されて、被写体画像として不図示のメモリに記録される。このようにして、撮影者は本カメラ1による被写体の撮影を行うことができる。
以上の構成により、上記第1実施例に係る変倍光学系を撮影レンズ2として搭載した本カメラ1は、良好な光学性能を実現することができる。なお、上記第2〜第6実施例に係る変倍光学系を撮影レンズ2として搭載したカメラを構成しても上記カメラ1と同様の効果を奏することができる。
【0086】
以下、本願の変倍光学系の製造方法の概略を図26に基づいて説明する。
図26は、本願の変倍光学系の製造方法を示す図である。
本願の変倍光学系の製造方法は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する後群とからなる変倍光学系の製造方法であって、次の各ステップS1〜S5を含むものである。
【0087】
ステップS1:後群内の最も物体側に、正の屈折力を有する第3レンズ群を少なくとも配置する。
ステップS2:第3レンズ群に、少なくとも4枚の正レンズと、少なくとも1枚の負レンズとを配置する。
ステップS3:第3レンズ群と後群が以下の条件式(1)を満足するように、第1レンズ群、第2レンズ群、及び後群を用意し、円筒状の鏡筒内に物体側から配置する。
(1) 0.10<Lf/Lr<0.45
ただし、
Lf:前記第3レンズ群の全長
Lr:前記後群の広角端状態における全長
【0088】
ステップS4:各レンズ群に公知の移動機構を設ける等することで、広角端状態から望遠端状態への変倍に際して、第1レンズ群と第2レンズ群との間隔が増大し、第2レンズ群と後群との間隔が減少し、第3レンズ群を構成するレンズどうしの空気間隔が一定となるようにする。
ステップS5:公知の移動機構を設ける等することで、第1レンズ群よりも像側に位置するレンズ群の少なくとも一部が偏芯レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように偏芯するようにする。
斯かる本願の変倍光学系の製造方法によれば、良好な光学性能を有する変倍光学系を製造することができる。
【符号の説明】
【0089】
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
G4 第4レンズ群
G5 第5レンズ群
G6 第6レンズ群
GR 後群
I 像面
S 開口絞り
W 広角端状態
T 望遠端状態

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する後群とから構成されており、
前記後群は、最も物体側に配置されており正の屈折力を有する第3レンズ群を少なくとも有し、
前記第3レンズ群は、少なくとも4枚の正レンズと、少なくとも1枚の負レンズとを有し、
広角端状態から望遠端状態への変倍に際して、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が増大し、前記第2レンズ群と前記後群との間隔が減少し、前記第3レンズ群を構成するレンズどうしの間隔が一定であり、
前記第1レンズ群よりも像側に位置するレンズ群の少なくとも一部が偏芯レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように偏芯し、
以下の条件式を満足することを特徴とする変倍光学系。
0.10<Lf/Lr<0.45
ただし、
Lf:前記第3レンズ群の全長
Lr:前記後群の広角端状態における全長
【請求項2】
前記偏芯レンズ群が負の屈折力を有することを特徴とする請求項1に記載の変倍光学系。
【請求項3】
前記偏芯レンズ群は、少なくとも1枚の負レンズと、少なくとも1枚の正レンズとを含み、
前記偏芯レンズ群内で、焦点距離が最も小さい正レンズの物体側レンズ面は、物体側へ凸形状であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の変倍光学系。
【請求項4】
前記偏芯レンズ群は、前記後群内であって前記第3レンズ群よりも像側に備えられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の変倍光学系。
【請求項5】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の変倍光学系。
−7.00<fr/fvr<−1.00
ただし、
fr :前記偏芯レンズ群と像面との間に位置するレンズ群全体の望遠端状態における合成焦点距離
fvr:前記偏芯レンズ群の焦点距離
【請求項6】
前記第3レンズ群内の前記少なくとも1枚の負レンズは、以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の変倍光学系。
1.85<N3n
22.00<ν3n<40.00
ただし、
N3n:前記第3レンズ群内の前記少なくとも1枚の負レンズのd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率
ν3n:前記第3レンズ群内の前記少なくとも1枚の負レンズのd線(波長λ=587.6nm)に対するアッベ数
【請求項7】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の変倍光学系。
0.30<Rs/RL<1.00
ただし、
Rs:前記偏芯レンズ群内の焦点距離が最も小さい正レンズにおける曲率半径の絶対値が小さいレンズ面の曲率半径
RL:前記偏芯レンズ群内の焦点距離が最も小さい前記正レンズにおける曲率半径の絶対値が小さい前記レンズ面と反対側のレンズ面の曲率半径
【請求項8】
前記第3レンズ群の近傍又は前記第3レンズ群中に開口絞りを有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の変倍光学系。
【請求項9】
前記後群は、前記第3レンズ群の像側に第4レンズ群を有しており、
前記偏芯レンズ群は、前記第4レンズ群の少なくとも一部からなることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の変倍光学系。
【請求項10】
前記後群は、前記第3レンズ群の像側に第4レンズ群を有しており、
広角端状態から望遠端状態への変倍に際して、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔が変化することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の変倍光学系。
【請求項11】
前記変倍光学系を構成するレンズのレンズ面は、球面又は平面であることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の変倍光学系。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の変倍光学系を備えたことを特徴とする光学装置。
【請求項13】
物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する後群とからなる変倍光学系の製造方法であって、
前記後群内の最も物体側に、正の屈折力を有する第3レンズ群を少なくとも配置し、
前記第3レンズ群に、少なくとも4枚の正レンズと、少なくとも1枚の負レンズとを配置し、
前記第3レンズ群と前記後群が、以下の条件式を満足するようにし、
広角端状態から望遠端状態への変倍に際して、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が増大し、前記第2レンズ群と前記後群との間隔が減少し、前記第3レンズ群を構成するレンズどうしの間隔が一定となるようにし、
前記第1レンズ群よりも像側に位置するレンズ群の少なくとも一部が偏芯レンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように偏芯するようにすることを特徴とする変倍光学系の製造方法。
0.10<Lf/Lr<0.45
ただし、
Lf:前記第3レンズ群の全長
Lr:前記後群の広角端状態における全長

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2011−99924(P2011−99924A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253267(P2009−253267)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】