説明

変性イソシアネートを含有する舗装マーキング

結合剤と、充填剤、増量剤、顔料およびその組み合わせの群から選択される材料と、再帰反射要素とを含む、舗装マーキングに有用な組成物。結合剤は、過剰量の少なくとも1種類のポリイソシアネートと少なくとも1種類のヒドロキシ基含有材料との反応生成物を含む第1成分と、少なくとも1種類のポリアミンを含む第2成分とを含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
米国特許第6,166,106号明細書に、液体舗装マーキング組成物、塗布方法、およびそれから製造される舗装マーキングが説明されている。この組成物は、1種または複数種のアスパラギン酸エステルおよび任意に1種または複数種のアミン官能性共反応物を含むアミン成分と、1種または複数種のポリイソシアネートを含むイソシアネート成分と、充填剤、増量剤、顔料およびその組み合わせの群から選択される材料と、を有する2液性コーティング組成物である。
【0002】
様々な液体舗装マーキング組成物が知られているが、産業は、向上した特性を有する組成物における利点を見出すだろう。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一実施形態において、本発明は、結合剤と、充填剤、増量剤、顔料およびその組み合わせの群から選択される材料と、再帰反射成分と、を含む舗装マーキング組成物を説明する。結合剤は、過剰量の少なくとも1種類のポリイソシアネートと少なくとも1種類のヒドロキシ基含有材料との反応生成物を含む第1成分、および少なくとも1種類のポリアミンを含む第2成分を含む。本明細書において、かかる反応生成物は、「変性イソシアネート」とも呼ばれる。結合剤(つまり、充填剤、増量剤、および顔料の群から選択される材料と組み合わせられる)は有利なことに、油汚染面に対して優れた付着性を示す。さらに、結合剤は、低レベルの収縮率(例えば、5%未満)を示す。
【0004】
他の実施形態において、本発明は、路面(traffic−bearing surface)および舗装マーキング組成物を含む予備成形舗装マーキングテープに関する。
【0005】
他の実施形態において、本発明は、前述の結合剤の2成分のそれぞれを提供する工程であって、少なくとも1つの成分が、充填剤、増量剤、顔料およびその組み合わせの群から選択される材料を含む工程;第1成分および第2成分を合わせる工程;路面に結合剤を吹付ける工程;任意に再帰反射成分を結合剤に適用する工程;を含む路面をマーキングする方法を説明する。
【0006】
さらに他の実施形態において、本発明は、
過剰量の少なくとも1種類のポリイソシアネートと、少なくとも1種類のヒドロキシ基含有材料との反応生成物を含む第1成分;
少なくとも1種類のポリアミンを含む第2成分;
含む結合剤と、
充填剤、増量剤、顔料およびその組み合わせの群から選択される材料約10重量%〜約70重量%と、
を含む、コーティング組成物を説明する。
【0007】
前述の各実施形態において、ヒドロキシ基含有材料は、酸素原子それぞれに対して少なくとも3個の炭素原子、好ましくは少なくとも6個の炭素原子を含み得る。二量体酸、二量体ジオール、およびその混合物から製造されるポリエステルポリオールが有益に用いられる。ヒドロキシ基含有材料は一般に、少なくとも300g/モルの数平均分子量を有する。第1成分は一般に、変性ポリイソシアネート約5wt%〜約50wt%を含み、第1成分の残りは過剰なイソシアネートを含む。そのポリイソシアネートは、ポリイソシアヌレートであることができる。ポリアミンは一般に、アスパラギン酸エステルアミンなどの第2級アミンである。第1成分および第2成分は一般に、化学量論比約1:1で反応させる。結合剤は一般に、充填剤、増量剤、顔料の群から選択される材料を少なくとも約15wt%(例えば、少なくとも30wt%、少なくとも約45wt%)含む。中空ガラス微小球は、代表的な充填剤である。好ましい再帰反射成分としては、セラミック微小球、セラミック反射要素、およびその組み合わせが挙げられる。結合剤、したがってマーキングは、揮発性有機成分を実質的に含有しないことが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の舗装マーキング組成物は、少なくとも1種類のポリアミンを含む第1成分と、少なくとも1種類のポリイソシアネートを含む第2成分と、を含む二液系から調製可能な結合剤を含む。本明細書で使用される「変性イソシアネート」とは、過剰な少なくとも1種類のポリイソシアネートと少なくとも1種類のヒドロキシ基含有材料との反応生成物を意味する。イソシアネート成分は、この変性イソシアネートのみからなり得るが、一般にイソシアネート成分は、かかる変性イソシアネート約5wt%〜約50wt%を含み、そのイソシアネート成分の残りは過剰な未反応イソシアネートである。塗布および硬化後、舗装マーキングは、かかる第1成分と第2成分との反応生成物を含む。反応した結合剤は、尿素基(−NR−C(O)−NR−)を含む。尿素基を含有するポリマーは、ポリ尿素と呼ばれる場合が多い。
【0009】
一部の好ましい実施形態において、反応した結合剤は、以下の式I:
【化1】

において示されるイソシアヌレート基を含む。
しかしながら、反応した結合剤は、ビウレット基(−NR−C(O)−NR−C(O)−NR−)、ウレタン基(−NR−C(O)−O−)(式中、Rは独立して、水素または有機基である)等の他の基を含み得る。
【0010】
本発明の結合剤の第2成分の変性イソシアネートの調製に、様々なポリイソシアネートを使用することができる。「ポリイソシアネート」は、ジイソシアネート、トリイソシアネート、テトライソシアネート等、およびその混合物など、単一分子に2つ以上の反応性イソシアネート(−NCO)基を有する有機化合物を意味する。環状および/または直鎖状ポリイソシアネート分子を有用に使用することができる。風化を改善し、かつ黄変を低減するため、イソシアネート成分のポリイソシアネートは一般に脂肪族である。
【0011】
有用な脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、商品名「デスモジュール(Desmodur)W」としてペンシルバニア州ピッツバーグのバイエル社(Bayer Corp.,Pittsburgh,PA)から市販されているものなどのビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI);ニュージャージー州ピスカタウエイのヒュルス・アメリカ社(Huels America,Piscataway,NJ)から市販されているものなどのイソホロンジイソシアネート(IPDI);ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,WI)から市販のものなどのヘキサメチレンジイソシアネート(HDI);商品名「ヴェスタネート(Vestanate)TMDI」としてドイツ、デュッセルドルフのデグッサ社(Degussa,Corp.,Dusseldorf,Germany)から市販されているものなどのトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,WI)から市販のものなどのm−テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)が挙げられる。一般にそれほど好ましくないが、芳香族イソシアネート、例えばペンシルバニア州ピッツバーグのバイエル社(Bayer Corp.,Pittsburgh,PA)から商品名「モンジュール(Mondur)M」として市販されているものなどのジフェニルメタンジイソシアネート(MDI);ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,WI)から市販されているものなどのトルエン2,4−ジイソシアネート(TDI)、および1,4−フェニレンジイソシアネートもまた有用である。
【0012】
好ましいポリイソシアネートとしては、上記のモノマーポリイソシアネートの誘導体が挙げられる。これらの誘導体としては、限定されないが、ビウレット基を含有するポリイソシアネート、例えばバイエル社(Bayer Corp.)から商品名「デスモジュール(Desmodur)N−100」で市販されているヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のビウレット付加物、イソシアヌレート基を含有するポリイソシアネート、例えばバイエル社(Bayer Corp.)から商品名「デスモジュール(Desmodur)N−3300」で市販のもの、ならびにウレタン基、ウレトジオン基、カルボジイミド基、アロフォネート(allophonate)基等を含有するポリシアネートが挙げられる。これらの誘導体は、高分子であり、非常に低い蒸気圧を示し、かつイソシアネートモノマーを実質的に含有しないことから好ましい。
【0013】
ポリイソシアネートをヒドロキシ基含有材と予め反応させると、ポリイソシアネート単独よりも高い分子量と、低いイソシアネート含有率を有する変性ポリイソシアネートが得られる。これによって、変性ポリイソシアネートの粘度が高くなることが多い。変性ポリイソシアネートは、吹付けに適用できるように粘度が十分に低いことが好ましい。一般に、各成分のブルックフィールド粘度は、25℃〜70℃の温度範囲で、約10,000cps未満、好ましくは5,000cps未満、さらに好ましくは4,000cps未満である。本発明の変性ポリイソシアネートを製造するための例示的なポリイソシアネートとしては、ニュージャージー州クランベリーのロディア社(Rhodia Corp.,Cranbury,NJ)から商品名「トロネート(Tolonate)HDT−LV」で市販されており、かつバイエル社(Bayer Corp.)から商品名「デスモジュール(Desmodur)N−3600」で市販されているポリイソシアネートが挙げられる。これらの市販の製品は、25℃で粘度約1100cpsを有し、それから製造される変性ポリイソシアネートは一般に、25℃で粘度約1200〜約10,000cpsを有する。その他の例示的なポリイソシアネートとしては、「デスモジュール(Desmodur)N−3300」または「デスモジュール(Desmodur)N−100」が挙げられるが、これらの材料からは高い粘度の変性ポリイソシアネートが生成される。成分を吹付けする能力を改善するために、成分を約70℃まで加熱することによって、どちらの成分の粘度も低減することができる。
【0014】
ヒドロキシル基含有材料は一般に、2個以上のヒドロキシル基を含むポリオールであるが、1つのヒドロキシル基を含む材料を単独で、またはポリオールと組み合わせて使用することができる。変性イソシアネート成分の製造に様々なポリオールを用いることができる。適切なポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリジエンポリオール、水素化ポリジエンポリオール、ポリカーボネートポリオール、および炭化水素ポリオールが挙げられる。ポリオールは2個を超えるヒドロキシル基を含有し得るが、少なくとも一部の実施形態において、ポリオールは二官能性であることが好ましい。
【0015】
ポリオールの好ましい種類は、二量体酸から製造されるポリエステルポリオールである。二量体酸は、C36二酸生成物をもたらす、C18不飽和脂肪酸の二量体化の生成物である。一般に、不飽和酸の混合物は二量体化され、その結果、C36二酸の混合物が生じる。好ましい二量体酸ベースのポリオールは水素化され、その結果色が暗くなる。二量体酸から製造されるいくつかのポリエステルポリオールは、デラウェア州ニューキャッスルのユニケマ社(Uniqema Corporation,New Castle,DE)から商品名「プリプラスト(Priplast)」として市販されている。
【0016】
二量体ジオールは、カルボン酸の還元および二量体酸の残りの不飽和化によって得られ、C36炭化水素ジオールが提供される。二量体ジオールは、ユニケマ社(Uniqema Corporation)から商品名「プリポール(Pripol)2033」で市販されている。
【0017】
油汚染面に塗布する場合、マーキングの性能を長期間向上させるために、ヒドロキシ基含有材料(例えば、ポリオールまたはジオール)は疎水性であることが好ましい。ヒドロキシ基含有材料分子の炭素原子と酸素原子との比は、ヒドロキシ基含有材料の疎水性を特徴付ける一方法である。例えば、ポリオール分子中に存在する各酸素または他のヘテロ原子に対して約3個の炭素原子を有するポリカプロラクトンなどのポリオールは、本明細書において比較的低いレベルの疎水性を有するとみなされる。低レベルの疎水性を有する、ポリイソシアネートとヒドロキシ基含有材料との反応から製造される変性イソシアネートは、低い収縮率を有する舗装マーキングを提供するが、ヒドロキシ基含有材料分子中に存在する各酸素または他のヘテロ原子に対して少なくとも約6個の炭素原子を有するヒドロキシ基含有材料を使用するのが好ましいことが見出されている。例えば、水素化二量体酸から製造されるポリオールは、ポリオール分子中に存在する各酸素または他のヘテロ原子に対して少なくとも9個の炭素原子を有することが多いのに対して;二量体ジオールから製造されるポリオールは、各酸素または他のヘテロ原子に対して少なくとも約18個の炭素原子を有することが多い。油汚染面でのより良い性能は、炭素原子と、ポリオール分子の酸素または他のヘテロ原子とのより高い比(例えば、各酸素またはヘテロ原子に対して30〜40)を有するヒドロキシ基含有材料を選択することによって達成することができると推測される。例えば、ペンシルバニア州エクストンのサートマー社(Sartomer Corporation,Exton,PA)から商品名「ポリ(Poly)bd」および「クラソール(Krasol)」で市販されているものなどの、(例えば、水素化)ポリブタジエンポリオールは、ポリオール分子中に存在する各酸素または他のヘテロ原子に対して炭素原子50〜100個を有する。
【0018】
ヒドロキシ基含有材料(例えば、ポリオール)の数平均分子量は、好ましくは約300g/モルを超える。さらに、ヒドロキシ基含有材料の数平均分子量は一般に、15,000g/モル未満である。ヒドロキシ基含有材料の分子量およびヒドロキシル含有率は、所望のイソシアネートおよびウレタン基含有率の変性ポリイソシアネートが得られるように選択される。これは、例えば、粘度、収縮率、機械的性質および硬化プロセスにおいて必要なアミン成分の体積に影響する。一般に、本質的に上述のように粘度を考慮するために、分子量(Mn)範囲約500g/モル〜約5000g/モルのヒドロキシ基含有材料が好ましく、分子量約750g/モル〜3000g/モルを有するヒドロキシ基含有材料がさらに好ましい。
【0019】
変性イソシアネートの製造において、イソシアネートの化学量論的過剰量にて、少なくとも1種類のポリイソシアネートを含むイソシアネート成分を少なくとも1種類のヒドロキシ基含有材料(例えば、ポリオール、ジオール)を含むヒドロキシル官能性成分と反応させる。ヒドロキシ基含有材料の利用可能なヒドロキシル基のすべてが変性ポリイソシアネートの製造において反応し、その結果、変性ポリイソシアネートがウレタン基と未反応イソシアネート基のどちらも含有するように、条件が選択される。
【0020】
選択されるポリイソシアネートおよびヒドロキシ基含有材料に応じて、イソシアネート基とヒドロキシル基の比は、約2:1〜約150:1、好ましくは約5:1〜約25:1の範囲である。例えば、ジイソシアネートおよびジオールを約10:1の比で反応させる。少なくとも一部の実施形態において、トリイソシアネートおよびジオールを少なくとも約3個のイソシアネート基と1個のヒドロキシル基の比、好ましくは少なくとも約5個のイソシアネート基と1個のヒドロキシル基、最も好ましくは少なくとも約9個イソシアネート基と1個のヒドロキシル基の比で反応させる。上記の条件を満たし、かつポリイソシアネート成分中に存在するヒドロキシ基含有材料の量が少なくとも5wt%、好ましくは少なくとも10wt%であるような分子量のヒドロキシ基含有材料を選択することが好ましい場合が多い。さらに、イソシアネート成分に対してヒドロキシ基含有材料の量は一般に、約50wt%以下、好ましくは約30wt%以下である。過剰な未反応イソシアネートは、このように形成された変性イソシアネートに対して希釈剤としての役割を果たす。
【0021】
変性イソシアネートは、アミン成分と合わせる前に予め反応させることによって事前に製造される。ポリイソシアネートを最初に予め反応させることなく、ポリイソシアネート、ヒドロキシ基含有材料、およびアミンをヒドロキシ基含有材料(例えば、ポリオール、ジオール)と単に合わせる場合には、ヒドロキシ基含有材料とポリイソシアネートとの反応は、ポリアミンとポリイソシアネートとの反応よりもかなり遅いだろう。反応時間が遅いと、トラックフリー時間(track free time)が長くなり、したがって、舗装マーキング用途には一般に適していない。
【0022】
アミン成分は、少なくとも1種類のポリアミンを含む。本明細書で使用される、ポリアミンとは、それぞれが第1級アミンまたは第2級アミンから選択される少なくとも1種類の活性水素(N−H基)を含有する、少なくとも2つのアミン基を有する化合物を意味する。アミン成分は好ましくは、脂肪族ポリアミンを含み、かつ脂肪族ポリアミンからのみからなることができる。好ましい反応速度を得るために、アミン成分は好ましくは、アスパラギン酸エステルアミンなどの1種または複数種の第2級アミンを含み、かつ1種または複数種の第2級アミンからのみなることができる。
【0023】
好ましいアスパラギン酸エステルアミンは、以下の式II
【化2】

(式中、R1は、二価有機基(好ましくは、炭素原子1〜40個を有する)であり、R2はそれぞれ独立して、温度100℃以下でイソシアネート基に対して不活性な有機基である)を有する。
【0024】
上記の式において、好ましくは、R1は、分枝状、非分枝状、または環状であることができる脂肪族基(好ましくは、炭素原子1〜40個を有する)であり、さらに好ましくは、R1は、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、2,2,4−および2,4,4−トリメチル−1,6−ジアミノヘキサン、1−アミノ−3,3,5−トリメチル−5−アミノメチル−シクロヘキサン、4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタンまたは3,3−ジメチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタンからアミノ基を除去することによって得られる二価炭化水素基の群から選択される。テキサス州ヒューストンのハンツマン社(Huntsman LLC,Houston,TX)から商品名「ジェファーミン(Jeffamine)」として市販されている製品、およびオハイオ州クリーブランドのノベオン社(Noveon Corp.,Cleveland,OH)から商品名「ハイカー(HYCAR)」として市販されているアミン末端ブタジエン−アクリロニトリルポリマーなどの比較的高分子量のポリエーテルポリアミンからアミノ基を除去することによって得られる二価基も適している。他の適切なポリアミン前駆体としては、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、2,5−ジアミノ−2,5−ジメチルヘキサン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、2,4−および/または2,6−ヘキサヒドロトルエンジアミン、および2,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタンが挙げられる。2,4−および/または2,6−ジアミノトルエン、2,4’−および/または4,4’−ジアミノジフェニルメタンなどの芳香族ポリアミンも適しているが、それほど好ましくない。
【0025】
上記の式において、好ましくは、R2はそれぞれ独立して、炭素原子1〜40個を有する有機基であり、さらに好ましくは、R2はそれぞれ独立して、アルキル基(好ましくは、炭素原子1〜20個を有する)であり、分枝状または非分枝状であることができ、最も好ましくは、R2はそれぞれ独立して、低級アルキル基(炭素原子1〜4個を有する)である。
【0026】
適切なアスパラギン酸エステルアミンが、商品名「デスモフェン(Desmophen)NH 1420」、「デスモフェン(Desmophen)NH 1521」、および「デスモフェン(Desmophen)NH 1220」でバイエル社(Bayer Corp.)から市販されている。
【0027】
デスモフェン(Desmophen)NH 1420は実質的に、以下の式III;
【化3】

の化合物で構成される。
【0028】
デスモフェン(Desmophen)NH 1521は実質的に、以下の式IV;
【化4】

の化合物で構成される。
【0029】
デスモフェン(Desmophen)NH 1220は実質的に、以下の式V;
【化5】

の化合物で構成される。
式III〜Vにおいて、Etはエチルである。
【0030】
一部の実施形態において、アスパラギン酸エステルアミンに加えて、1種または複数種のアミン官能性共反応物を使用することが好ましい。これらのアミン(アスパラギン酸エステルアミン以外)は一般に、鎖延長剤および/または耐衝撃性改良剤として機能する。かかるアミン官能性共反応物の使用は、靱性の向上のための、ポリマー主鎖中のソフトセグメントの存在に寄与する。かかるアミン官能性共反応物は、第1級アミン、第2級アミン、またはその組み合わせである。第2級アミン、第2級アミンのブレンド、または第2級アミンと第1級アミンのブレンドが好ましい場合が多い。
【0031】
アミン官能性共反応物は好ましくは、アミン末端ポリマーである。かかるポリマーの例としては、限定されないが、ハンツマン・ケミカル社(Huntsman Chemical)から商品名「ジェファーミン(Jeffamine)」ポリプロピレングリコールジアミンとして市販されているポリマー、例えば「ジェファーミン(Jeffamine)XTJ−510」、オハイオ州クリーブランドのノベオン社(Noveon Corp.,Cleveland,OH)から商品名「ハイカー(HYCAR)」ATBN(アミン末端アクリロニトリルブタジエンコポリマー)として市販のポリマー、および米国特許第3,436,359号明細書(フービン(Hubin)ら)および米国特許第4,833,213号明細書(レイア(Leir)ら)に開示されるポリマー(アミン末端ポリエーテル、特にポリテトラヒドロフランジアミン)が挙げられる。有用であり得る、他の脂肪族ジアミンとしては、例えば低級反応性ジアミン、例えばイリノイ州デスプレーンズ(Des Plaines,IL)のUOP社から商品名「クリアリンク(Clearlink)1000ジアミン」として市販のジアミン、および脂環式ビス(第2級アミン)、例えばテキサス州ヒューストンのハンツマン社(Huntsman,Houston,TX)から商品名「ジェフリンク(Jefflink)754ジアミン」として市販のジアミンが挙げられる。
【0032】
ポリ尿素反応の化学量論は、第1成分のイソシアネート(例えば、変性イソシアネートおよび過剰イソシアネート)の当量と、第2成分のアミンの当量との比に基づく。第1成分および第2成分は、化学量論比約1:1で反応させる。好ましくは、イソシアネートは、わずかに過剰量で使用される。さらに好ましくは、イソシアネート:アミンの比は、約1.15:1未満である。さらに好ましくは、イソシアネート:アミンの比は、約1.1:1未満である。最も好ましくは、イソシアネート:アミンの比は、約1.05:1未満である。イソシアネートとアミンとの比が低いと、ゆるいポリマー網状構造が形成し、硬化コーティングの粘弾性減衰が増加する可能性がある。
【0033】
所望の化学量論を達成するために、好ましくは約5:1〜約1:5のアミンとイソシアネート成分の体積比でアミンおよびイソシアネート成分を合わせる。さらに好ましくは、その比は、アミンとイソシアネート成分約1:1〜3:1の範囲内である。特に好ましい比は、アミンとイソシアネート成分2:1および3:1である。
【0034】
成分のうち少なくとも1種類、したがって反応した結合剤は一般に、顔料、充填剤、増量剤およびその組み合わせなどの1種または複数種の材料を含む。顔料、充填剤、および増量剤は、硬化フィルム密度、フィルム硬化プロファイル、トラックフリー時間、硬化フィルム弾性率、基材へのコーティング付着性、熱サイクルへの応答、ポリマー成分の収縮率、耐摩擦性、靱性、およびコーティング耐久性などの未硬化および硬化組成物の所望の特性に寄与する。顔料および充填剤は非可溶性の固形材料であるのに対して、増量剤は一般に、結合剤成分と可溶性である。一般に、硬化された舗装マーキングは、非可溶性材料を少なくとも約5wt%含む。さらに一般的には、硬化された舗装マーキングは、非可溶性材料を少なくとも約15wt%、より一般的には少なくとも約20wt%含む。またさらに一般的には、硬化された舗装マーキングは、非可溶性材料を少なくとも約30wt%含む。またさらに一般的には、硬化された舗装マーキングは、非可溶性材料を少なくとも約45重量%含む。顔料は、不溶性の固形光散乱物質であり、日中に色および不透明性などの所望の外観特性を付与し、かつ夜間にはマーキングの再帰反射性能に寄与する。1種または複数種の光散乱物質を含む結合剤の反射は便利なことに、ANSI標準PH2.17−1985に記載のように特徴付けることができる。測定される値は、完全な拡散反射性材料に対して較正された標準からの拡散反射に対して、特定の角度での試料からの拡散反射を比較する反射率係数である。拡散反射性結合剤を用いた舗装マーキングについては、結合剤の反射率係数は一般に、幹線道路マーキングの適切な輝度のためには、厚さ500マイクロメートルで少なくとも75%である。さらに一般的には、結合剤は、厚さ500マイクロメートルで少なくとも85%の反射率係数を有する。
【0035】
拡散反射は、結合剤内の光散乱によって起こる。光散乱の程度は一般に、結合剤のベース組成と比較して、散乱位相の屈折率の差による。光散乱の増加は、一般に屈折率の差が約0.1を超えた場合に認められる。一般に、屈折率の差は、約0.4を超える(例えば、0.5、0.6、0.7および0.8を超える)。
【0036】
結合剤は一般に、拡散反射性顔料粒子および/または少なくとも1種類の鏡面反射性顔料粒子(例えば、アルミニウムフレーク、真珠箔顔料)を含む。結合剤が充填剤を欠いている実施形態では、顔料の量は、上述の非可溶性材料の量に等しい。有用な拡散反射性顔料の例としては、限定されないが、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、リトポン、ケイ酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、天然および合成硫酸バリウム、およびその組み合わせが挙げられる。有用な鏡面反射性顔料の一例は、ニューヨーク州ホーソーンのEMインダストリーズ社(EM Industries,Inc.,Hawthorne,NY)から商品名「アフレア(Afflair)9103」および「アフレア(Afflair)9119」として市販されており、かつニューヨーク州ホーソーンのEMインダストリーズ社(EM Industries,Inc.,Hawthorne,NY)から商品名「マーリン・ファイン・パール(Mearlin Fine Pearl)#139V」および「ブライトシルバー(Bright Silver)#139Z」として市販されている真珠箔顔料などの真珠箔顔料である。他の顔料を結合剤に添加して、着色舗装マーキングを製造することができる。特に黄色は、舗装マーキングに望ましい色である。特に透明微小球と組み合わせて、マーキングの反射率を最大にするために、コーティング粘度および硬化した結合剤の物理的性質が損なわれないという条件で、顔料の濃度を最大にすることが好ましい。一般に、顔料の最大量は、結合剤全濃度の約40〜45wt%である。
【0037】
充填剤は、コーティング混合物の反応性を損なうことなく、嵩体積を増加するため、または顔料の能力を伸ばすためにしばしば用いられる、固形不溶性材料である。望ましい光学的性質を有し、かつ比較的高価である場合が多い顔料と異なり、充填剤は一般に、かかる光学的性質を持たず、顔料より一般に安価である。多くの充填剤は、タルク、粘土、炭酸カルシウム、カオリン、白亜、およびシリカなどの天然鉱物である。他の例示的な充填剤としては、セラミック微小球、中空ポリマー微小球(ジョージア州ダルースのアクゾ・ノベル社(Akzo Nobel,Duluth,GA)から商品名「エクスパンセル(Expancel)551 DE」として市販されている微小球など)、および中空ガラス微小球(ミネソタ州セントポールの3M社(3M Company,St.Paul,MN)から商品名「K37」として市販されている微小球など)が挙げられる。
【0038】
特に好ましい種類の充填剤は、中空ガラス微小球である。中空ガラス微小球は、優れた熱安定性を示し、かつ分散粘度および密度への影響が最小限であることから特に有利である。中空ガラス微小球はまた、低せん断混合で迅速かつ容易に分散され、装置の摩耗が比較的少ない。好ましくは、微小球は、貯蔵安定性を高めるために、アミン成分中に組み込まれる。少なくとも一部の実施形態において、硬化された舗装マーキングは、中空ガラス微小球を少なくとも約30体積%、しばしば少なくとも約40体積%含むことが好ましい。ガラス微小球充填剤は、そのサイズ(一般に小さい)、低い耐久性(例えば、中空)、および後に説明される再帰反射性を付与することができないことを考慮して、ガラス微小球再帰反射要素と区別される。
【0039】
舗装マーキング組成物は一般に、当技術分野で公知のように様々な添加剤を含む。例えば、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、酸化防止剤などの耐候添加剤、分散剤および粉砕助剤、水捕捉剤、界面活性剤、レベリング剤、湿潤剤、耐衝撃性改良剤(例えば、ローム・アンド・ハース社(Rohm and Haas)から商品名「パラロイド(Paraloid)2691」および「EXL−2330」として市販されているものなどのゴム強化剤)、消泡剤、懸濁安定剤、殺生物剤等を結合剤に添加して、製造性、適用時の特性および/または本発明のマーキングの総合耐久性を向上させることができる。しかしながら、重要なことには、望ましいトラックフリー時間を達成するのに触媒は必要ない。
【0040】
反応混合物が高度に架橋するように、ポリアミン成分および変性イソシアネート成分を合わせ、反応させる。架橋度を決定する方法は、メチルエチルケトン(MEK)中に1週間浸漬した後、かかる溶媒に可溶性である硬化組成物の成分の量を測定する方法である。高度に架橋した組成物は一般に、MEKにおいて10wt%未満の可溶性を有する。少なくとも一部の実施形態において、本発明の硬化舗装マーキング組成物は、5wt%未満または3wt%未満の可溶性成分を有する。
【0041】
結合剤(例えば、ポリアミン、ポリイソシアネート、ヒドロキシ基含有材料)成分は、得られた舗装マーキングが一般に屋外耐久性であり、かつ車両の応力に対して耐性となるように選択される。再帰反射要素の非存在下では、舗装マーキングは、結合剤に顔料および任意の着色剤が含有されるために、優れた日中視認性を有する。結合剤を再帰反射要素(つまり、再帰反射要素)と合わせる場合、舗装マーキングは、優れた夜間視認性も提供する。
【0042】
本発明の舗装マーキング(つまり、結合剤、および塗布前に結合剤成分と合わせられる顔料および充填剤などの成分)は、コンクリートおよびアスファルトなどの多種多様な基材および面への優れた付着性を示す。少なくとも一部の実施形態における変性イソシアネートを使用する利点は、油汚染面に塗布する場合の優れた性能である。本明細書で使用される「油汚染面への優れた付着性」とは、実施例に記載の試験方法に従って、24時間後に油汚染面からのマーキングの層間剥離が実質的にないことを意味する。マーキングのエッジ部分の巻き上がりまたは浮き上がりは、層間剥離の表れである。好ましい実施形態において、本発明のマーキングは、192時間、696時間、1824時間後、ならびにその間のいずれかの時間間隔で油汚染面への優れた付着性を示す。本明細書において用いられる試験方法は、促進老化試験であり、したがって、舗装マーキングの実際の製品寿命は、試験される期間よりも実質的に長い。
【0043】
変性イソシアネートの含有は、以下の実施例に記載の試験方法に従って評価されるように収縮の低減にも寄与する。好ましい実施形態において、本発明の舗装マーキング組成物は、150°F(65.6℃)のオーブン内での2週間のコンディショニング(水分の添加なし)後、約2.5%未満の収縮を示す。好ましくは、収縮は、長期間の後に、150°F(65.6℃)のオーブン内でのコンディショニング後にも実質的に変化せず、したがって、収縮は、2、3、4週間以上(例えば、2年)ならびにその間のいずれかの時間間隔で約2.5%未満であり続ける。
【0044】
本明細書に記載の舗装マーキングの他の特徴は、動的機械分析によって決定される、50℃近いガラス転移温度Tgである。さらに、舗装マーキング組成物は、周囲温度で水に1週間浸漬した場合に約5%未満の膨潤を示す。好ましくは、膨潤の量は、約4%未満であり、少なくとも一部の実施形態では約3%未満である。
【0045】
油汚染面への付着性、収縮率、Tg、水中での膨潤、およびMEK可溶性成分の濃度は、顔料、充填剤、および増量剤を含む結合剤組成物に基づいて評価されるのに対して;舗装マーキングの開放時間、トラックフリー時間および保持される再帰反射性は、再帰反射要素と組み合わせた結合剤に基づく。
【0046】
舗装マーキングのトラックフリー時間は、塗布されたマーキングが付着し、車輪の跡を付けることなく、マーキング上で車を運転することができる前の、マーキングが塗布された後の時間である。トラックフリー時間は、ASTM D 711−89を用いた実験室において、またはASTM D713−90を用いた野外において測定することができる。本発明の舗装マーキングは好ましくは、約20分以下、さらに好ましくは、約4〜10分以下、最も好ましくは約5分以下のASTM D 711−89によるトラックフリー時間を有する。
【0047】
さらに、結合剤は、再帰反射要素の優れた固着と併せて、塗布される表面を適切に浸潤するのに十分な開放時間(つまり、組成物が、表面に塗布された後に液体状態である時間の長さ)を有することが好ましい。およその開放時間は、ASTM D1640−95における試験の1つを用いて推定することができる。代替方法としては、コーティングを吹付け、反射要素を適用し、かつビーズが適用され、良好なビーズの沈下および付着性が得られる、吹付け後の最大時間を決定することによって、開放時間を決定することができる。本発明の舗装マーキングは好ましくは、ASTM D1640−95に従って測定された、少なくとも約30秒、さらに好ましくは少なくとも約1分の開放時間を有する。
【0048】
マーキングが夜間視認性を提供することが意図される実施形態では、結合剤組成物は、再帰反射要素に対して優れた付着性を示す。再帰反射要素に対する優れた付着性と併せて、適用される面への優れた付着性は、舗装マーキングの保持された再帰反射性に寄与する。本明細書で使用される「保持された再帰反射性」とは、その耐用寿命にわたって維持される舗装標識の再帰反射性能を説明するために使用される。舗装マーキングの再帰反射性は一般に、運転者が実際に舗装マーキングを見る条件に近付けるASTM E 1710−95aに従って、固定入口角および観測角にて野外において携帯用装置によって測定される。
【0049】
舗装マーキングは、車線を定めるために用いられることが多く、したがって、車線のエッジ上に連続ラインとして、またはスキップと呼ばれる、車線を区切る断続線で塗布される。かかるマーキングは、ラインが走行方向に平行に走っている点から、縦方向マーキングと呼ばれる。実際の用途では、道路を使用する比較的低いパーセンテージの車両が実際に、これらのマーキングを横断するだろう。代替方法としては、舗装マーキングは、ストップバー、コンチネンタルブロック、または印および記号の形で交差点をマーキングするためにも使用される。実際の用途では、道路を使用する比較的高いパーセンテージの車両が実際に、かかるマーキング、またはかかるマーキングの一部を横断する。
【0050】
交通マーキングの摩耗特性を研究するために、道路面に横断パターンで材料を塗布することが一般的である。つまり、車線を横切り、かつ走行方向に垂直に塗布される。したがって、各車両は、試験ラインの一部を踏むだろう。生じる摩擦パターンはさらに、「走行軌跡」として、または最大摩耗を受ける車両タイヤの進路にまっすぐなラインの一部として、または踏まれることが少ない車線の境界付近の領域、「エッジライン」として説明することができる。このように塗布された試験マーキングの性能を分析することによって、実際の耐久性を推定するために、促進時間枠においてマーキングの摩耗特性を研究することが可能である。
【0051】
本発明の組成物から形成される舗装マーキングは、縦方向交通マーキングとしての使用で、少なくとも約2年、さらに好ましくは少なくとも約3年、最も好ましくは少なくとも約4年の耐久性(つまり、耐用寿命を有する)である。再帰反射要素を使用する場合には、縦方向交通マーキングとしてのその耐用寿命を通して、入口角88.76度および観測角105度で、少なくとも約100mcd/m2/ルクス、さらに好ましくは少なくとも約150mcd/m2/ルクスの保持された反射能を示す。
【0052】
舗装マーキング組成物が、舗装マーキングの塗布および/またはその性能を促進する特性の相乗効果的バランスを有するように、結合剤の成分を選択することが好ましい。塗布を容易にするために、結合剤は一般に、低粘度の液体(反応前)であり、さらに高固形分を有する。さらに、結合剤は好ましくは、広い塗布領域を有する(つまり、広範囲の温度にわたって塗布することができる)。多くの2成分組成物は比較的温かい温度で塗布することができるが、本明細書に記載の結合剤は有利なことに、低い温度でも塗布することができる。例えば、最低塗布温度は、約7℃、4℃、2℃、さらには−4℃と低い。結合剤は好ましくは、揮発性有機成分の非存在下で望ましい粘度プロファイルを有する。本明細書で使用される「実質的に含有しない」とは、組成物の全重量に対して約5重量%未満の揮発性有機成分(つまり、20℃で0.01mmHg(13.33パスカル)を超える蒸気圧)を有することを意味する。結合剤は好ましくは、2成分静的混合またはエアレス高圧衝突混合塗布装置を使用して塗布することができる。さらに、結合剤は、少なくとも6ヶ月、さらに好ましくは少なくとも1年、最も好ましくは少なくとも2年の有用な貯蔵寿命を有する。
【0053】
本発明の舗装マーキング組成物は一般に、プライマー層を含む、または含まない路面に、またはその面に塗布された基材に直接塗布される。これは、吹付け塗布技術を用いて行うことができる。一般に、アミン成分およびイソシアネート成分は、装置から出る直前に成分を合わせることができる吹付け装置を使用して塗布される。例えば、2成分、高圧、エアレス、衝突混合システムを使用することができる。また、静的ミキサーを備えた、複数成分の吹付け装置を使用することができる。
【0054】
エアレス、衝突混合吹付け装置の一例は、ガスマー社(Gusmer)(1 Gusmer Drive,Lakewood,N.J.08701−0110)によって製造されている。このシステムは以下の構成要素:2成分を計量し、約1500psi(10.34MPa)を超える圧力に上昇させる配分セクション;2成分の温度(好ましくは、独立して)を上げて、粘度を制御する加熱セクション;2成分を合わせ、噴霧直前に混合することを可能にする衝突スプレーガン;を含む。衝突システムの他の製造業者としては、ビンクス・マニュファクチュアリング社(Binks Manufacturing)(イリノイ州シカゴ(Chicago,Ill.)およびグラス・クラフト社(Glas−Craft)(インディアナ州インディアナポリス(Indianapolis,Ind.)が挙げられる。
【0055】
ポリ尿素コーティングを塗布するのに有用な他のシステムは、2成分のブレンドを達成するために静的混合管を使用するシステムである。このシステムは、計量し、圧力を上昇させ、任意に成分を加熱するという点から、衝突ユニットのシステムに類似している。しかしながら、スプレーガンにて、成分が合わせられ、噴霧前に成分を混合するように設計された要素を含む管材料の全長にわたってポンプで送られる。このシステムは、スプレーガンを詰まらせる可能性のある硬化ポリ尿素の蓄積を防ぐために、静的混合管を定期的にフラッシングする必要がある。かかるスプレーガンの一例はビンクス(Binks)モデル(Model)43Pである。比較的少量の2成分舗装マーキング組成物を塗布する簡便な方法および装置が、2003年7月31日公開の国際公開第03/062532号パンフレットに記載されている。2成分のブレンドを達成するために静的混合管を使用した市販の適切な装置は、ミネソタ州ロジャース(Rogers,Minnesota)のエンディシス社(EndiSys)から入手可能である。
【0056】
2成分のそれぞれの粘度挙動は、2成分吹付け塗布プロセスにとって重要である。衝突混合では、2成分は、適切な混合およびさらには硬化を可能にするために、高せん断速度で可能な限り粘度が近いほうがよい。複数成分の静的混合/吹付けシステムは、2成分間の粘度の差に寛容であるように思われる。せん断速度および温度の関数としての粘度の特徴付けは、2成分吹付け装置ラインにおけるコーティングの温度および圧力の出発点に関する決定の助けとなり得る。
【0057】
本発明の結合剤組成物は、種々の再帰反射要素と合わせることができる。「再帰反射要素」とは、独立して、または拡散反射性コアと合わせた場合に、光源の方向に光を反射する、顆粒、フレーク、繊維、ビーズ等を意味する。
【0058】
入口角−4.0度および観測角0.2度を用いて、ASTM標準E809−94aの手順Bに従って、再帰反射係数(RA)が少なくとも約1cd/ルクス/m2であるという条件で、再帰反射要素は、ほとんどすべてサイズおよび形状を有することができる。特に優れた湿潤時の反射能を有する舗装マーキングに使用される再帰反射要素の好ましいサイズは、約0.2mm〜約10mmの範囲であり、さらに好ましくは約0.5mm〜約3mmである。さらに、実質的に球形の要素がさらに好ましい、湿潤反射性舗装マーキング用途の大部分に関して、RAは一般に、少なくとも約3cd/ルクス/m2(例えば、少なくとも5cd/ルクス/m2、少なくとも7cd/ルクス/m2、少なくとも8cd/ルクス/m2以上)である。
【0059】
再帰反射要素は一般に、舗装面に結合剤が塗布された後に適用される。この点に関しては、結合剤が塗布された後に、再帰反射要素が露出視面上に形成されるのに対して、充填剤は結合剤層と共に(例えば均一に)塗布され、結合剤中に分散されるだろう。これは、(わずかに)過剰な再帰反射要素で結合剤の表面全体を流し塗りすることによって達成することができる。代替方法としては、再帰反射要素を例えばパターンで選択的に位置付けることができる。再帰反射要素および結合剤を同時に塗布し、したがって、再帰反射要素の一部は結合剤層に組み込まれ、少なくとも最初は露出されない。代替方法としては、反射要素の一部を浮上(flotation)および付着性のために表面処理し、反射要素の残りを付着性のためだけに処理することができる。後者は大部分、結合剤に組み込まれ、最初は露出されず、前者は最初は露出される。再帰反射要素は一般に、再帰反射要素が適切に露出されるように、その直径の約20〜40%、好ましくは約30%まで結合剤に埋め込まれる。塗布後のガラスまたはガラスセラミックビーズ再帰反射要素の一般的な適用率(coverage rate)は一般に、結合剤1ガロンにつきビーズ約4ポンドを超え(479グラム/リットル)、さらに好ましくは、約10ポンド/ガロン(1200グラム/リットル)を超える。これは、厚さ15ミル(0.4mm)の硬化フィルムでは面積300cm2当たりビーズ約6グラムを超え、しばしば厚さ0.4mmの硬化フィルムでは面積300cm2当たりビーズ約15グラムを超えるのに相当する。
【0060】
再帰反射要素は非可溶性(例えば、無機)材料でも構成されることから、再帰反射要素の適用後、非可溶性材料(例えば、顔料、充填剤、および再帰反射要素)の総量は一般に少なくとも30wt%である。さらに、非可溶性材料の総量は一般に、80wt%以下である。
【0061】
結合剤および再帰反射要素が一般にテープの視面上に設けられている、予備成形された舗装マーキングテープ(つまり、舗装マーキングシート)上に、本明細書に記載の結合剤を用いることもできる。反対面上にアクリロニトリル−ブタジエンポリマー、ポリウレタン、またはネオプレンゴムなどの基材が設けられる。舗装マーキングテープの反対面は一般に、基材の下に接着剤(例えば、感圧性、熱または溶剤活性化、またはコンタクト型接着剤)も含む。使用時に、接着剤を対象の基材、通常舗装に接触させる。
【0062】
好ましい再帰反射要素は微晶質微小球である。微晶質微小球は、米国特許第4,564,556号明細書(ランジ(Lange))に記載されているように非ガラス質であることができ、あるいは微小球は、米国特許第6,461,988号明細書に記載のようにガラスセラミック材料を含み得る。一般に、再帰反射要素は、屈折率約1.5〜約2.6を有する。
【0063】
再帰反射要素は、摩耗を容易に受けない無機材料で構成される。再帰反射要素(例えば、透明ビーズ)は、非晶質相、結晶相、またはその組み合わせを含み得る。本明細書で使用される「ガラス」とは、主に非晶質である無機材料(固有のX線回折パターンの欠如によって証明されるその原子構造において長距離秩序を持たない材料)を意味する。本明細書で使用される「セラミック」とは、主に結晶質であり、かつ一般に微晶質構造を有する無機材料(固有のX線回折パターンを形成するのに十分なパターン化原子構造を有する材料)を意味する。
【0064】
舗装マーキングで最も広く使用されている再帰反射要素は、ソーダ石灰ケイ酸塩ガラスで製造されている。その耐久性は許容可能であるが、屈折率はわずか約1.5であり、その再帰反射輝度が大きく制限される。本明細書で使用することができる、向上した耐久性の高屈折率ガラス再帰反射要素が、米国特許第4,367,919号明細書に教示されている。
【0065】
再帰反射要素は、セラミック(例えば、ガラスセラミック)であることが好ましい。セラミック再帰反射要素は好ましくは、ジルコニア、アルミナ、シリカ、チタニア、およびその混合物を含む。さらに、耐久性および屈折率の改善が、米国特許第3,709,706号明細書;米国特許第4,166,147号明細書;米国特許第4,564,556号明細書;米国特許第4,758,469号明細書および米国特許第4,772,511号明細書に開示されている微晶質再帰反射要素を使用して得られている。好ましい再帰反射要素は、米国特許第4,564,556号明細書;米国特許第4,758,469号明細書および米国特許第6,245,700号明細書に開示されている。これらの再帰反射要素は、少なくとも1種類の金属酸化物を含有する少なくとも1種類の結晶相を含む。これらの再帰反射要素は、シリカなどの非晶質相も有し得る。再帰反射要素は、耐引掻き性および耐チッピング性があり、比較的硬く(700を超えるヌープ硬度)、比較的高い屈折率を有するように製造される。
【0066】
一般に、最適な再帰反射効果のために、再帰反射要素は、最適な乾燥時再帰反射能については、範囲約1.5〜約2.0、好ましくは約1.5〜約1.9の屈折率を有する。最適な湿潤時反射能については、再帰反射要素は、範囲約1.7〜約2.4、好ましくは範囲約1.9〜2.4、さらに好ましくは範囲約2.1〜約2.3の屈折率を有する。
【0067】
舗装マーキングは、同じ屈折率を有する再帰反射要素または2つ以上の屈折率を有する再帰反射要素を含み得る。さらに、舗装マーキングは、同じまたは2つ以上の屈折率を有する1種または複数種の再帰反射要素と併せて、本発明に従って再帰反射要素を含み得る。一般に、高い屈折率を有する再帰反射要素は湿潤時により良く機能し、低い屈折率を有する再帰反射要素は乾燥時により良く機能する。異なる屈折率を有する再帰反射要素のブレンドを使用する場合には、高い屈折率再帰反射要素と低い屈折率再帰反射要素との比は、好ましくは約1.05〜約1.4、さらに好ましくは約1.08〜約1.3である。
【0068】
再帰反射要素は、様々な色を逆反射するように着色することができる。さらに、再帰反射要素は、それらが埋め込まれるマーキング塗装に色合わせすることができる。本明細書で使用することができる着色セラミック再帰反射要素を製造する技術が、米国特許第4,564,556号明細書に記載されている。硝酸鉄(III)(赤色またはオレンジ色用)などの着色剤が、存在する金属酸化物の総量に対して約1〜約5重量%の量で添加される。特定の処理条件下で2種類の無色化合物を相互作用させることによって、色を付与することもできる(例えば、TiO2およびZrO2が相互作用し、黄色が形成される)。
【0069】
舗装マーキングは、当技術分野で公知のように、向上した垂直面を有する再帰反射要素などの他の様々な種類の再帰反射要素を含み得る。ある種類のかかる再帰反射要素は、国際公開第97/03814号パンフレット(ベスカップ(Bescup)ら)に記載のようにセラミックビーズでコーティングされた熱可塑性コアを含むペレットで構成されている。他の例として、不透明化セラミックコアと、そのコアに一部埋め込まれたセラミック再帰反射要素と、を含むすべてセラミックの再帰反射要素が、米国特許第5,772,265号明細書および米国特許第5,942,280号明細書に記載されている。他の多くの再帰反射要素が、例えば、米国特許第3,252,376号明細書;米国特許第3,254,563号明細書;米国特許第4,983,458号明細書;米国特許第4,072,403号明細書;米国特許第4,652,172号明細書;米国特許第5,268,789号明細書;米国特許第3,043,196号明細書;米国特許第3,175,935号明細書;米国特許第3,556,637号明細書;米国特許第3,274,888号明細書;米国特許第3,486,952号明細書;および欧州特許公開第0,322,671号明細書から知られている。他の再帰反射要素が、そのどちらも2004年1月21日出願の米国特許出願第10/761770号明細書および米国特許出願第10/761533号明細書に記載されている。
【0070】
所望のように、再帰反射要素の種々の組み合わせを使用することができる。
【0071】
選択される種類にかかわらず、再帰反射要素(例えば、ビーズ)は好ましくは、少なくとも1種類の接着促進剤および/または少なくとも1種類の浮選剤(floatation agent)で処理される。
【0072】
カップリング剤とも呼ばれる接着促進剤は一般に、結合剤と相互作用する少なくとも1つの官能基と、再帰反射要素と相互作用する第2官能基と、を含む。ポリ尿素、特に微晶質再帰反射要素(例えば、ガラスセラミックビーズ)および無機コア材料(例えば、砂、スキッド粒子(skid particle))に好ましい接着促進剤は、コネチカット州ダンベリーのOSIスペシャリティーズ社(OSI Specialties,Danbury,CT)から商品名「シルクエスト(Silquest)A−1100」として市販されている3−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミン末端シランである。
【0073】
適切な浮選剤としては、米国特許第3,222,204号明細書、2003年10月14日発行の米国特許第6632508号明細書に優先権を主張する2002年7月11日公開の米国特許出願公開第2002/0090515−A1号明細書;および2004年5月11日発行の米国特許第6734227号明細書に記載されているような様々なフルオロケミカルが挙げられる。デラウェア州ウィルミントンのデュポン社(Du Pont,Wilmington,DE)から商品名「クライトックス(Krytox)」として市販されている、1つの鎖末端上に位置するカルボン酸基を有するポリ(ヘキサフルオロプロピレンオキシド)などのポリフルオロポリエーテルベースの表面処理が挙げられる。「クライトックス(Krytox)」157 FSは、それぞれ低、中および高分子量である、2500g/モル(FSL)、3500〜4000g/モル(FSM)および7000〜7500g/モル(FSH)の比較的広範な3つの分子量範囲で市販されている。表面処理の水性送達には、低および中分子量グレードが好ましい。他の好ましい浮選剤は、国際公開第01/30873号パンフレット(例えば、実施例16)に記載されている。
【0074】
舗装マーキングはさらに、歩行者、自転車、および自動車によるスリップを低減するためにすべり抵抗性粒子を含む場合が多い。すべり抵抗性粒子は、例えば、石英などのセラミック、酸化アルミニウム、炭化ケイ素または他の研磨媒体であることができる。
【0075】
本発明の目的および利点は、以下の実施例によってさらに説明されるが、実施例に記載の特定の材料およびその量ならびに他の条件および詳細は、本発明を過度に限定するものと解釈すべきではない。本明細書におけるすべてのパーセンテージおよび比は、別段の指定がない限り重量による。
【実施例】
【0076】
以下の材料を使用して、本発明の実施例を調製した。
【0077】
【表1】

【0078】
【表2】

【0079】
アミン成分の調製
工程1:以下の表3に記載の量のデスモフェン(Desmophen)NH−1420および分散剤(つまりディスパービク(Disperbyk)111)を1000mlプラスチックビーカーに装入した。コールズ型インペラーブレードを使用して、低せん断で成分を2分間混合した(1000〜2000rpm)。
工程2:以下の表3に示す量のTiO2顔料を手で混合しながらゆっくりと添加した。TiO2すべてを添加した後、TiO2が湿潤し、かつ混合物が凝集塊なく均一なコンシステンシーを有するまで、混合物をさらに手で混合した。次いで、コールズ型インペラーブレードを使用して、高せん断で混合物を5分間混合した(5000〜6000rpm)。
工程3:以下の表3に示す量のCaCO3をゆっくりと添加し、工程2に記載のように手で混合した。粘度が高くなりすぎた場合には、デスモフェン(Desmophen)NH−1220をいくらか添加して、粘度を低減し、混合を助けた。
工程4:コールズ型インペラーブレードを使用して高せん断で混合物を15分間混合し(5000〜6000rpm)、凝集したTiO2およびCaCO3を分散させた。温度をモニターし、140°F(60℃)を超える温度に上昇した場合には、インペラーブレードのrpmを低減するか、デスモフェン(Desmophen)NH−1220をいくらか添加して、粘度を低減した。ヘグマン(Hegman)型粒ゲージを使用して、分散液の質を評価した。PC粉砕物スケール(PC grind scale)で7.0未満の読取値が得られた場合、PC粉砕物スケールで読取値7.0以上が得られるまで、さらに粉砕した。
工程5:次いで、NH−1220の残りの量(工程3および4で添加された量より少なく、合計すると以下の表3に示す量となる)および以下の表3に示す量のXTJ−510を添加し、続いて、約5分間低せん断混合して(2000rpm)、均一な混合を確保した。以下の表1に、アミン成分の調製に使用された各成分の量(グラム)を示す。
【0080】
【表3】

【0081】
変性イソシアネート成分の調製
変性イソシアネートA〜Dそれぞれに関して、それぞれのポリオール80グラムを丸底フラスコに装入し、真空下にて100℃で1時間加熱した。反応を60℃に冷却し、乾燥窒素下で気圧にした。トロネート(Tolonate)HDT−LVまたはデスモジュール(Desmodur)N−3600(320g)を添加し、続いてジブチルスズジラウラート0.05gを添加した。反応を80℃に加熱し、90分間保ち、次いで冷却し、乾燥窒素雰囲気にて包装および密封した。
【0082】
以下の表2に、変性イソシアネート成分の調製に使用した各成分の量(グラム)を示す。
【0083】
【表4】

【0084】
以下の表3に、本発明の2成分組成物の各成分の量(重量%として)を示す。
【0085】
【表5】

【0086】
試験
400ミルの2:1混合カートリッジ、ター・インダストリーズ社(Tah Industries)(ニュージャージー州ロビンスヴィル(Robbinsville,NJ))から市販の160−24静的混合管、および2成分のブレンドを達成するために静的混合管が使用され、かつ空気を導入し、混合物を吹付けることができる吹付け機を使用して、吹付けすることによって、上記の実施例のコーティングを形成した(2003年7月31日公開の国際公開第03/062532号パンフレットに記載のように)。
【0087】
過剰な5W30モーター油を塗布することによってモーター油で予め汚染され、放置され、余分な油をペーパータオルで除去し、次いで、コーティング前に1日間放置しておいた滑らかなコンクリート面上に、実施例1〜4の厚さ約15〜20ミルのコーティングを吹付けた。1/2インチの円であるコーティングを形成するために、直径1/2インチの円を有する接着剤付きステンシルを使用して油汚染面上にコーティングを塗布した。汚染されたコンクリート上への吹付けを行う他に、物理的性質の試験を行うために、コーティングを剥離紙上に塗布した。
【0088】
レーザー干渉計およびボール滑り台(ball slide stage)を使用して、コーティングの収縮率を測定した。各コーティングの試料を切断し、剥離紙から剥がした。各試料はおよそ幅1インチ長さ10インチであった。初期試料の長さを正確に測定し、次いで150°Fオーブン内で試料を保管し、150°Fでの保管から1、2および4週間後に測定を繰り返すことによって、各試料を試験した。収縮の量は、収縮=1−L/L0(式中、LおよびL0はそれぞれ、所定時間後の長さおよび初期長さである)によって示される。その結果を図1に図示する。
【0089】
本発明の例示的なコーティングそれぞれの7つの試料をコンディショニングにかけ、相対湿度15%/時の速度で相対湿度60%〜95%のサイクルの湿度と同時に、温度は、72°F/時の速度で−4°F〜140°Fのサイクルであり、それぞれの最低および最高条件は、図3に図示するように2時間一定に保たれた。
【0090】
様々な時間間隔後に層間剥離を証明するために、試料を調べた。コーティングの一部の巻き上がりまたは浮き上がりは、不合格とみなされた。この結果を以下の表4に示す。
【0091】
【表6】

【0092】
実施例2〜4は、最低の疎水性を有するポリオールから調製された変性イソシアネートから製造された実施例1と比較して、油汚染面上での優れた性能を示した。
【0093】
剥離ライナーからコーティング約1gを剥がし、脱イオン水に試料を浸し、1週間後に吸収された水の量および可溶性材料の量を測定することによって、水浸漬試験を行い、その結果を以下に示す。
【0094】
【表7】

【0095】
試料のすべてが5%未満の膨潤、2.5%未満の水可溶性成分を有した。
【0096】
剥離ライナーからコーティング約0.4〜0.8グラムを剥がし、細目ガラス繊維スクリーンに試料を入れ、MEK中に試料を浸し、1週間後のMEK可溶性材料の量を測定することによって、MEK浸漬を行った。その結果を以下に示す。
【0097】
【表8】

【0098】
試料のすべてが本質的に同レベルのMEK可溶性(2〜4%)を有し、そのことから、同様なレベルの架橋が示されている。つまり、変性イソシアネートの使用は、システムの硬化度に負の影響を及ぼさなかった。
【0099】
コネチカット州ノーウォークのパーキン・エルマー社(Perkin−Elmer Corporation,Norwalk,CT)から商品名「モデル(Model)DMA−7e」で市販されている動的機械分析器を使用して、コーティングのDMA分析を行った。試料を切断し、剥離紙から剥がした。各試料はおよそ幅5.5mm長さ2.5cmであった。動荷重100mN/mm2(1.0×105N/m2)および静荷重110mN/mm2(1.1×105N/m2)を用いて、試料を試験した。試験中、温度を速度1℃/分で約−50℃から150℃に上げた。Tg(最大損失係数)をそれぞれの試料について決定した。わずかに低いTgおよび広い移行を示した実施例1を除いては、試料のすべてが同様なTgを有した。その温度曲線を図2に図示する。試料それぞれのTgは以下のとおりである。
【0100】
【表9】

【0101】
実施例5および6のコーティングを平らな厚紙面上に吹付け、次いで以下の表に示される量で反射要素を手で適用し、その量は、4インチ×18インチの面積(72in2すなわち465cm2)に適用される重量(グラム)である。コーティングを吹付けた後約15〜45秒以内に、反射要素を適用した。大きなほうの要素(3M)を最初に適用し、小さなほうの要素(スワルコ(Swarco))を次に適用した。運転者の視距離30メートルをシミュレートするために、入口角88.76度および観測角1.05度を用いて、デルタ社(Delta)製LTL2000レトロメーターを使用して、実施例の再帰反射性を測定した。試験の結果を以下の表に示す。さらに、顕微鏡の下で要素を見て、金属プローブでそれを引っ張ることによって、要素の付着性を評価した。除去の難しさ、および除去された要素の少なくとも一部に付着した残存する結合剤のいくらかの形跡、および除去が達成される前に起こる要素のところどころの破損または粉砕によって判断されるように、実施例すべてにおける要素のすべてが、優れた付着性を示すと思われた。
【0102】
【表10】

【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】時間の関数として、150°F(65℃)での本発明の組成物の収縮率を表すグラフである。
【図2】本発明の組成物の動的機械分析温度の曲線を表すグラフである。
【図3】付着試験についての温度および湿度サイクルを表すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
過剰量の少なくとも1種類のポリイソシアネートと、少なくとも1種類のヒドロキシ基含有材料との反応生成物を含む第1成分;
少なくとも1種類のポリアミンを含む第2成分;を含む結合剤と、
充填剤、増量剤、顔料およびその組み合わせの群から選択される材料と、
再帰反射要素と、
を含む、舗装マーキング組成物。
【請求項2】
前記ヒドロキシル基含有材料が、各酸素原子に対して少なくとも3個の炭素原子を含む、請求項1に記載の舗装マーキング組成物。
【請求項3】
前記ヒドロキシル基含有材料が、各酸素原子に対して少なくとも6個の炭素原子を含む、請求項1に記載の舗装マーキング組成物。
【請求項4】
前記ヒドロキシル基含有材料が、二量体酸、二量体ジオール、およびその混合物からなる群から製造されるポリエステルポリオールである、請求項1に記載の舗装マーキング組成物。
【請求項5】
前記ヒドロキシル基含有材料が、ジオールである、請求項4に記載の舗装マーキング組成物。
【請求項6】
前記ヒドロキシル基含有材料が、少なくとも300g/モルの数平均分子量を含む、請求項1に記載の舗装マーキング組成物。
【請求項7】
前記ヒドロキシル基含有材料が、前記第1成分を約5重量%〜約50重量含む、請求項1に記載の舗装マーキング組成物。
【請求項8】
前記ポリイソシアネートが、イソシアヌレート基を含む、請求項1に記載の舗装マーキング組成物。
【請求項9】
前記ポリアミンが、第2級アミンである、請求項1に記載の舗装マーキング組成物。
【請求項10】
前記ポリアミンが、アスパラギン酸エステルアミンである、請求項1に記載の舗装マーキング組成物。
【請求項11】
前記第1成分および第2成分を化学量論比約1:1で反応させる、請求項1に記載の舗装マーキング組成物。
【請求項12】
前記結合剤が、充填剤、増量剤、顔料の群から選択される材料を少なくとも約5wt%含む、請求項1に記載の舗装マーキング組成物。
【請求項13】
前記結合剤が、充填剤、増量剤、顔料の群から選択される材料を少なくとも約15wt%含む、請求項12に記載の舗装マーキング組成物。
【請求項14】
前記結合剤が、充填剤、増量剤、顔料の群から選択される材料を少なくとも約30wt%含む、請求項12に記載の舗装マーキング組成物。
【請求項15】
前記組成物が、充填剤、増量剤、顔料の群から選択される材料を少なくとも約45wt%含む、請求項12に記載の舗装マーキング。
【請求項16】
前記充填剤が、中空ガラス微小球を含む、請求項1に記載の舗装マーキング組成物。
【請求項17】
前記結合剤が、5%未満の収縮率を示す、請求項12に記載の舗装マーキング組成物。
【請求項18】
前記結合剤が、油汚染面に対して優れた付着性を示す、請求項12に記載の舗装マーキング組成物。
【請求項19】
前記再帰反射要素が、セラミック微小球、セラミック反射要素、およびその組み合わせを含む、請求項1に記載の舗装マーキング組成物。
【請求項20】
前記マーキングが、揮発性有機成分を実質的に含有しない、請求項1に記載の舗装マーキング組成物。
【請求項21】
請求項1に記載の硬化舗装マーキング組成物を含む、路面。
【請求項22】
基材と、請求項1に記載の硬化舗装マーキング組成物と、を含む、予備成形された舗装マーキングテープ。
【請求項23】
過剰量の少なくとも1種類のポリイソシアネートと、少なくとも1種類のヒドロキシ基含有材料との反応生成物を含む第1成分;
少なくとも1種類のポリアミンを含む第2成分;
を含む2成分結合剤であって、少なくとも1種類の成分が充填剤、増量剤、顔料およびその組み合わせの群から選択される材料を含む、2成分結合剤を提供する工程と、
結合剤の前記第1成分および第2成分を合わせる工程と、
前記結合剤を路面に塗布する工程と、
を含む路面をマーキングする方法。
【請求項24】
前記結合剤に再帰反射要素を適用することをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記結合剤が、吹付けによって塗布される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
過剰量の少なくとも1種類のポリイソシアネートと、少なくとも1種類のヒドロキシ基含有材料との反応生成物を含む第1成分;
少なくとも1種類のポリアミンを含む第2成分;を含む結合剤と、
充填剤、増量剤、顔料およびその組み合わせの群から選択される材料約15重量%〜約45重量%と、
を含む、コーティング組成物。
【請求項27】
前記組成物が、再帰反射要素を含む、請求項26に記載のコーティング組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−502773(P2008−502773A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516487(P2007−516487)
【出願日】平成17年5月3日(2005.5.3)
【国際出願番号】PCT/US2005/015218
【国際公開番号】WO2006/007037
【国際公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】