説明

変速装置およびそれを備える建設車両

【課題】ジェネレータ/モータとして、最大トルクのより小さな小型のものを用いることのできる電気−機械式変速装置およびそれを備える建設車両を提供する。
【解決手段】入力軸4と、出力軸16と、これら入力軸4と出力軸16との間に介挿される遊星歯車機構5,6を有する機械伝動部と、3個のジェネレータ/モータ21A,25A,31Aを有する電気伝動部とを備える変速装置において、第1ジェネレータ/モータ21Aの回転軸と第2ジェネレータ/モータ25Aの回転軸を機械伝動部に連結し、第3ジェネレータ/モータ31Aの回転軸を第1ジェネレータ/モータ21Aの回転軸および/または第2ジェネレータ/モータ25Aの回転軸に連結するクラッチ34,35,36を設ける構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジェネレータ/モータと遊星歯車機構とを組み合わせてなる電気−機械式変速装置およびその変速装置を備える建設車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、油圧式の変速装置として、エンジンからの入力パワーの全部を油圧に変換して伝達する純油圧式の変速装置(ハイドロスタティックトランスミッション;HST)と、入力パワーの一部を油圧に伝達するとともに、残部を機械的に伝達する油圧−機械式(動力分割式)の変速装置(ハイドロメカニカルトランスミッション;HMT)が知られている。このうち、後者の変速装置(HMT)は、機械的動力の一部を油圧動力に変換すれば良く、機械的動力の伝達効率が高いことから、前者の変速装置(HST)に比べて高効率を達成することができるという利点を有しており、ブルドーザ、ホイールローダといった負荷変動の激しい車両に対して理想的な変速機と言われて一部車両で採用されている。
【0003】
前記油圧−機械式変速装置(HMT)の代表的なものとして、その無段変速特性を遊星歯車機構により達成するようにしたものがある。すなわち、遊星歯車機構のサンギア、プラネタリギアを備えたキャリアおよびリングギアの三要素のうちの第1要素を入力軸に、第2要素を出力軸にそれぞれ連結するとともに、第3要素を油圧ポンプもしくは油圧モータに連結し、この油圧ポンプもしくは油圧モータの回転速度を変化させて出力軸の回転速度を変化させるように構成されたものである。
【0004】
このHMTは、前記遊星歯車機構に連結したポンプ/モータと油圧回路により流体的に接続される他のポンプ/モータを、変速装置の入力軸と回転比一定で連結する出力分割型のものと、前記遊星歯車機構に連結した油圧ポンプもしくは油圧モータと油圧回路により流体的に接続される他の油圧ポンプもしくは油圧モータを、変速装置の出力軸と回転比一定で連結する入力分割型のものの2形式がある。
【0005】
なお、HMTに類似する技術としてEMT(電気−機械式変速装置)がある。このEMTは、HMTにおけるポンプ/モータのかわりにジェネレータ/モータを用い、機械的動力の一部を電気動力に変換して伝達するものである。このEMTに関する先行技術としては、特許文献1に開示されたものがある。この文献に開示された変速装置は、2つの遊星歯車機構と2つの電動機をもつ電気−機械式変速装置であって、低速側で入力分割モードをつくり、高速側で複合分割(出力分割)モードをつくるためにクラッチにて切換えるように構成されたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,478,705号明細書
【0007】
ところで、HMTに用いられるポンプ/モータは、大きなトルクを発生させるためには容量を大きくする必要があるが、この大容量のポンプ/モータの容量を絞って高回転で用いる場合に、漏れによる損失が大きくなってしまい、変速装置全体の効率が低下してしまう。また、EMTに使用されるジェネレータ/モータは、逆に低速大トルクが得意でなく、低速で大トルクを発揮するものはサイズが非常に大型で高価なものとなってしまう。したがって、ポンプ/モータにおいてもジェネレータ/モータにおいても、最大トルクの小さな小型のものを用いることが望ましい。
【0008】
前記特許文献1に開示された変速装置においては、入力分割モード(input−split mode)と複合分割モード(compound−split mode)のうち、より大きな最大トルクが求められる方に合わせてジェネレータ/モータ(特許文献1において符号28で示される。)の大きさを決定する必要がある。すなわち、特許文献1に開示された変速装置では、入力分割モードか複合分割モードのいずれかの状態では、ジェネレータ/モータは、最大トルク付近の領域では用いられず、その性能を発揮することなく使用されることとなる。
【0009】
仮に、入力分割モードと複合分割モードのいずれの状態においても、ジェネレータ/モータが最大トルクを発生(または吸収)できるような構成とすることができれば、換言すると、ジェネレータ/モータ接続部の減速比を入力分割モードと複合分割モードの両方で最適なものとすることができれば、ジェネレータ/モータを小型化することができる。また、ジェネレータ/モータに代えてポンプ/モータを用いるHMTにおいても、同様にポンプ/モータを小型化して効率を高めることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前述のような事情に鑑みてなされたもので、ジェネレータ/モータとして、最大トルクのより小さな小型のものを用いることのできる電気−機械式変速装置およびそれを備える建設車両を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、第1発明による変速装置は、
入力軸と、出力軸と、これら入力軸と出力軸との間に介挿される少なくとも1つの遊星歯車機構を有する機械伝動部および電気伝動部とを備え、前記電気伝動部がインバータにより駆動制御される複数のジェネレータ/モータを有する変速装置であって、
前記複数のジェネレータ/モータが、第1ジェネレータ/モータと第2ジェネレータ/モータと第3ジェネレータ/モータとよりなり、
前記第1ジェネレータ/モータの回転軸と前記第2ジェネレータ/モータの回転軸とを、それぞれ前記機械伝動部に連結し、
前記第3ジェネレータ/モータの回転軸を、前記第1ジェネレータ/モータの回転軸に連結する第1連結機構と、
前記第3ジェネレータ/モータの回転軸を、前記第2ジェネレータ/モータの回転軸に連結する第2連結機構を有し、
前記第1連結機構および前記第2連結機構の切換え操作により、前記第3ジェネレータ/モータの回転軸を、前記第1ジェネレータ/モータの回転軸に連結し、前記第2ジェネレータ/モータの回転軸には連結しない状態と、前記第3ジェネレータ/モータの回転軸を、前記第2ジェネレータ/モータの回転軸に連結し、前記第1ジェネレータ/モータの回転軸には連結しない状態と、前記第3ジェネレータ/モータの回転軸を、前記第1ジェネレータ/モータの回転軸および前記第2ジェネレータ/モータの回転軸に同時に連結する状態を切換えることができるように構成されている
ことを特徴とするものである。
【0012】
また、第2発明による変速装置は、
入力軸と、出力軸と、これら入力軸と出力軸との間に介挿される少なくとも1つの遊星歯車機構を有する機械伝動部および電気伝動部とを備え、前記電気伝動部がインバータにより駆動制御される複数のジェネレータ/モータを有する変速装置であって、
前記機械伝動部が、第1遊星歯車機構と第2遊星歯車機構とを備え、
前記複数のジェネレータ/モータが、第1ジェネレータ/モータと第2ジェネレータ/モータと第3ジェネレータ/モータとよりなり、
前記入力軸を前記第1遊星歯車機構の第1要素に連結し、
前記第1ジェネレータ/モータの回転軸を前記第1遊星歯車機構の第2要素に連結し、
前記第2ジェネレータ/モータの回転軸を前記第2遊星歯車機構の第1要素に連結し、
前記出力軸を前記第1遊星歯車機構の第3要素および前記第2遊星歯車機構の第3要素に連結するとともに、
前記第2遊星歯車機構の第2要素を固定端および/または前記第1遊星歯車機構の第2要素に連結する第1連結機構と、
前記第3ジェネレータ/モータの回転軸を、前記第1ジェネレータ/モータの回転軸に連結する第2連結機構と、
前記第3ジェネレータ/モータの回転軸を、前記第2ジェネレータ/モータの回転軸に連結する第3連結機構を有し、
前記第2連結機構および前記第3連結機構の切換え操作により、前記第3ジェネレータ/モータの回転軸を、前記第1ジェネレータ/モータの回転軸に連結し、前記第2ジェネレータ/モータの回転軸には連結しない状態と、前記第3ジェネレータ/モータの回転軸を、前記第2ジェネレータ/モータの回転軸に連結し、前記第1ジェネレータ/モータの回転軸には連結しない状態と、前記第3ジェネレータ/モータの回転軸を、前記第1ジェネレータ/モータの回転軸および前記第2ジェネレータ/モータの回転軸に同時に連結する状態を切換えることができるように構成されている
ことを特徴とするものである。
【0013】
また、第3発明による変速装置は、
入力軸と、出力軸と、これら入力軸と出力軸との間に介挿される少なくとも1つの遊星歯車機構を有する機械伝動部および電気伝動部とを備え、前記電気伝動部がインバータにより駆動制御される複数のジェネレータ/モータを有する変速装置であって、
前記機械伝動部が、第1遊星歯車機構と第2遊星歯車機構とそれらの間に配される第3遊星歯車機構を備え、
前記複数のジェネレータ/モータが、第1ジェネレータ/モータと第2ジェネレータ/モータと第3ジェネレータ/モータとよりなり、
前記入力軸を前記第1遊星歯車機構の第1要素に連結し、
前記第1ジェネレータ/モータの回転軸を前記第3遊星歯車機構の第1要素に連結し、
前記第2ジェネレータ/モータの回転軸を前記第2遊星歯車機構の第1要素に連結し、
前記出力軸を前記第1遊星歯車機構の第3要素および前記第2遊星歯車機構の第3要素に連結し、
前記第1遊星歯車機構の第2要素を前記第3遊星歯車機構の第3要素に連結し、
前記第2遊星歯車機構の第2要素を前記第3遊星歯車機構の第2要素に連結するとともに、
前記第2遊星歯車機構の第2要素を固定端および/または前記第3遊星歯車機構の第1要素に連結する第1連結機構と、
前記第3ジェネレータ/モータの回転軸を、前記第1ジェネレータ/モータの回転軸に連結する第2連結機構と、
前記第3ジェネレータ/モータの回転軸を、前記第2ジェネレータ/モータの回転軸に連結する第3連結機構を有し、
前記第2連結機構および前記第3連結機構の切換え操作により、前記第3ジェネレータ/モータの回転軸を、前記第1ジェネレータ/モータの回転軸に連結し、前記第2ジェネレータ/モータの回転軸には連結しない状態と、前記第3ジェネレータ/モータの回転軸を、前記第2ジェネレータ/モータの回転軸に連結し、前記第1ジェネレータ/モータの回転軸には連結しない状態と、前記第3ジェネレータ/モータの回転軸を、前記第1ジェネレータ/モータの回転軸および前記第2ジェネレータ/モータの回転軸に同時に連結する状態を切換えることができるように構成されている
ことを特徴とするものである。
【0014】
さらに、第4発明による変速装置は、
入力軸と、出力軸と、これら入力軸と出力軸との間に介挿される少なくとも1つの遊星歯車機構を有する機械伝動部および電気伝動部とを備え、前記電気伝動部がインバータにより駆動制御される複数のジェネレータ/モータを有する変速装置であって、
前記機械伝動部が、第1遊星歯車機構と第2遊星歯車機構とそれらの間に配される第3遊星歯車機構を備え、
前記複数のジェネレータ/モータが、第1ジェネレータ/モータと第2ジェネレータ/モータとよりなり、
前記入力軸を前記第1遊星歯車機構の第1要素に連結し、
前記第1ジェネレータ/モータの回転軸を前記第3遊星歯車機構の第1要素に連結し、
前記第2ジェネレータ/モータの回転軸を前記第2遊星歯車機構の第1要素に連結し、
前記出力軸を前記第1遊星歯車機構の第3要素および前記第2遊星歯車機構の第3要素に連結し、
前記第1遊星歯車機構の第2要素を前記第3遊星歯車機構の第3要素に連結し、
前記第2遊星歯車機構の第2要素を前記第3遊星歯車機構の第2要素に連結するとともに、
前記第2遊星歯車機構の第2要素を固定端および/または前記第3遊星歯車機構の第1要素に連結する連結機構を有する
ことを特徴とするものである。
【0015】
前記第1発明〜第4発明のいずれかにおいて、前記第1ジェネレータ/モータの回転速度が0となる低速側ダイレクト点と、前記第2ジェネレータ/モータの回転速度が0となる高速側ダイレクト点との速度比を3〜4に設定するのが好ましい(第5発明)。
【0016】
第6発明による建設車両は、
前記第1発明〜第4発明のいずれかの変速装置を備える建設車両であって、
前記第1ジェネレータ/モータの回転速度が0となる低速側ダイレクト点と、前記第2ジェネレータ/モータの回転速度が0となる高速側ダイレクト点との速度比を3〜4に設定するとともに、前記低速側ダイレクト点を作業時車速に設定し、前記高速側ダイレクト点を最高車速に設定することを特徴とするものである。
【0017】
ここで、前記作業時車速は、ホイールローダのVシェイプローディング時の車速とするか(第7発明)、あるいはブルドーザのドージング作業時の車速とする(第8発明)のが好適である。
【発明の効果】
【0018】
第1発明〜第4発明の各発明によれば、第3ジェネレータ/モータの回転軸が、第1ジェネレータ/モータの回転軸および/または第2ジェネレータ/モータの回転軸に付け替えて使用され、第3ジェネレータ/モータは常に他のいずれかのジェネレータ/モータの作用を補う働きをする。したがって、各ジェネレータ/モータとして従来と比べ最大トルクが小さな小型のものを用いることができ、容量を絞って高回転で用いる場合でも効率を高めることができる。また、第3ジェネレータ/モータの回転軸の連結先である、第1ジェネレータ/モータの回転軸もしくは第2ジェネレータ/モータの回転軸の両方に連結されるので、入力軸に入力される動力をすべて機械伝動部のみを通じて出力軸に伝達するダイレクト点を形成することができる。
【0019】
第3発明または第4発明によれば、第1遊星歯車機構と第2遊星歯車機構との間に、減速比調整用の第3遊星歯車機構が配されているので、第1ジェネレータ/モータの減速比を入力分割モードと複合分割モードの両方で最適なものとすることができる。したがって、第1ジェネレータ/モータとして最大トルクのより小さな小型のものを用いることができ、容量を絞って高回転で用いる場合でも効率を高めることができる。
【0020】
ところで、ブルドーザやホイールローダといった建設車両においては、作業時の車速に対して移動時の車速が概ね3倍から4倍となるような使われ方をされることが多い。例えば、ブルドーザでは、ドージング作業が3km/h程度に対して最高速度が11km/h程度であり、ホイールローダでは、Vシェイプローディング時には10km/h程度で作業するのに対し最高速度が35km/h程度である。このため、第5発明、第6発明のように、前記第1発明〜第4発明の変速装置を、これら建設車両に適用して、低速側ダイレクト点を作業時車速に、高速側ダイレクト点を最高車速に設定すれば、言い換えれば低速側ダイレクト点と高速側ダイレクト点との速度比を3〜4に設定すれば、これら各ダイレクト点は変速装置の伝達効率が最も良い点であるので、非常に効率が良くなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る変速装置の概略構成図
【図2】第1の実施形態に係る変速装置の作動特性図
【図3】本発明の第2の実施形態に係る変速装置の概略構成図
【図4】第2の実施形態に係る変速装置の作動特性図
【図5】本発明の第3の実施形態に係る変速装置の概略構成図
【図6】第3の実施形態に係る変速装置の作動特性図
【図7】本発明の第4の実施形態に係る変速装置の概略構成図
【図8】第4の実施形態に係る変速装置の作動特性図
【図9】本発明の第5の実施形態に係る変速装置の概略構成図
【図10】第5の実施形態に係る変速装置の作動特性図
【図11】本発明の第6の実施形態に係る変速装置の概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明による変速装置およびそれを備える建設車両の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0023】
(第1の実施形態)
図1には、本発明の第1の実施形態に係る変速装置の概略構成図が示されている。本実施形態は、ブルドーザ等の土木作業機械に適用された例に関するものである。
【0024】
本実施形態の変速装置1は、エンジン2からの動力が前後進切換え機構3を介して入力される入力軸4と、この入力軸4と同軸上に配される第1遊星歯車機構5および第2遊星歯車機構6とを備えている。第1遊星歯車機構5は、前記入力軸4に固定されるサンギア7と、このサンギア7の外周に噛合される複数のプラネタリギア8と、これらプラネタリギア8を軸支するキャリア9と、プラネタリギア8群の外周に噛合されるリングギア10とを備え、前記キャリア9が中間出力軸11に固定されるように構成されている。一方、前記第2遊星歯車機構6は、サンギア12と、このサンギア12の外周に噛合される複数のプラネタリギア13と、これらプラネタリギア13を軸支するキャリア14と、プラネタリギア13群の外周に噛合されるリングギア10とを備え、前記キャリア14がそのスリーブ部14aを介して前記中間出力軸11に回転自在に支承されるとともに、前記サンギア12が前記スリーブ部14aの外周に回転自在に支承されるように構成されている。
【0025】
前記第1遊星歯車機構5と第2遊星歯車機構6とはそれぞれのリングギア10,10が連結されることにより相互に連係している。そして、このリングギア10が出力軸16に固定された出力ギア17に噛合されている。
【0026】
前記第2遊星歯車機構6の終端側には連結機構としての第1クラッチ32および第2クラッチ33が配されている。第1クラッチ32は、中間出力軸11とキャリア14のスリーブ部14aとを接断する機能を有し、第2クラッチ33は、スリーブ部14aと固定端19とを接断する機能を有する。
【0027】
前記中間出力軸11の終端部には第1ギア20が一体結合され、この第1ギア20に、第1ポンプ/モータ21の出力軸22に固定された第2ギア23が噛合されている。また、前記第2遊星歯車機構6のサンギア12には第3ギア24が一体結合され、この第3ギア24に、第2ポンプ/モータ25の出力軸26に固定された第4ギア27が噛合されている。
【0028】
また、前記中間出力軸11に平行に第1軸37、第2軸38および第3軸(第3ポンプ/モータ31の出力軸)39がそれぞれ配されている。さらに、中間出力軸11の終端部に結合される第1ギア20が、第1軸37に第3クラッチ34を介して連結される第5ギア40に噛合され、中間出力軸11の終端部に配される第6ギア41が第2軸38に第4クラッチ35を介して連結される第7ギア42に噛合され、第1軸37の第8ギア43が第2軸38の第9ギア44に噛合され、第2軸38に第5クラッチ36を介して連結される第10ギア45がサンギア12に一体結合される第3ギア24に噛合され、第9ギア44が第3ポンプ/モータ31の出力軸(第3軸)39に固定された第11ギア46に噛合されている。ここで、第1ポンプ/モータ21と第2ポンプ/モータ25とは油圧配管28を介して流体的に接続されており、この油圧配管28に対して第3ポンプ/モータ31が油圧配管47を介して流体的に接続されている。
【0029】
前記第1ポンプ/モータ21、第2ポンプ/モータ25および第3ポンプ/モータ31はいずれも可変容量型油圧ポンプ/モータである。第1ポンプ/モータ21にはコントローラ(制御手段)61からの指令信号に応じてその第1ポンプ/モータ21の容量を調節する第1ポンプ/モータ容量調節装置62が付設され、第2ポンプ/モータ25にはコントローラ61からの指令信号に応じてその第2ポンプ/モータ25の容量を調節する第2ポンプ/モータ容量調節装置63が付設され、第3ポンプ/モータ31にはコントローラ61からの指令信号に応じてその第3ポンプ/モータ31の容量を調節する第3ポンプ/モータ容量調節装置64が付設されている。また、前記第1クラッチ32、第2クラッチ33、第3クラッチ34、第4クラッチ35および第5クラッチ36はいずれも油圧作動式クラッチである。第1クラッチ32にはコントローラ61からの指令信号に応じてその第1クラッチ32のクラッチ圧を調節する第1クラッチ圧調節弁65が付設され、第2クラッチ33にはコントローラ61からの指令信号に応じてその第2クラッチ33のクラッチ圧を調節する第2クラッチ圧調節弁66が付設され、第3クラッチ34にはコントローラ61からの指令信号に応じてその第3クラッチ34のクラッチ圧を調節する第3クラッチ圧調節弁67が付設され、第4クラッチ35にはコントローラ61からの指令信号に応じてその第4クラッチ35のクラッチ圧を調節する第4クラッチ圧調節弁68が付設され、第5クラッチ36にはコントローラ61からの指令信号に応じてその第5クラッチ36のクラッチ圧を調節する第5クラッチ圧調節弁69が付設されている。ここで、前記コントローラ61は、所定プログラムを実行する中央処理装置(CPU)と、このプログラム、更には各種テーブルを記憶する読み出し専用メモリ(ROM)と、このプログラムを実行するに必要なワーキングメモリとしての書込み可能メモリ(RAM)と、入力インターフェイスおよび出力インターフェイスとを備えて構成されている。
【0030】
本実施形態の変速装置1において、初期状態として、第1クラッチ32をOFF、第2クラッチ33をON、第3クラッチ34をOFF、第4クラッチ35をOFF、第5クラッチ36をONにした状態を考え、この状態からエンジン回転数を一定にして車両を前進方向に加速する場合について、図2に示される作動特性図を参照しつつ説明する。
【0031】
前記初期状態から加速していく際、各ポンプ/モータ21,25,31の回転数および容量は図2の領域Aに示されるように変化する。このとき、エンジン2からの動力は第1遊星歯車機構5のサンギア7に入力され、この動力はプラネタリギア8からリングギア10に出力される。一方、前記サンギア7に入力された動力はキャリア9から中間出力軸11に伝達され、第1ギア20および第2ギア23を介してポンプの働きをする第1ポンプ/モータ21に出力される。そして、この第1ポンプ/モータ21に出力された動力は油圧配管28を介してモータの働きをする第2ポンプ/モータ25に、油圧配管47を介してモータの働きをする第3ポンプ/モータ31にそれぞれ伝達される。さらに、第2ポンプ/モータ25の回転動力は、その出力軸26から第4ギア27、第3ギア24、サンギア12、プラネタリギア13を介してリングギア10に出力される一方、前記第3ポンプ/モータ31の回転動力は、その出力軸39から第11ギア46、第9ギア44、第2軸38、第10ギア45、第3ギア24、サンギア12、プラネタリギア13を介してリングギア10に出力される。こうして、第1遊星歯車機構5および第2遊星歯車機構6からの動力が合わさって出力軸16の回転動力となる。このように領域Aにおいては、第3ポンプ/モータ31の回転軸が第2ポンプ/モータ25の回転軸に連結されてその第2ポンプ/モータ25のモータ作用を応援する役目をする。
【0032】
この後、第3ポンプ/モータ31の吐出容量が徐々に減じて0となる車速V1において、第4クラッチ35をONに切換えるとともに、第5クラッチ36をOFFに切換えて図2の領域Bに入る。これにより、前記中間出力軸11に伝達された動力は、第1ポンプ/モータ21に出力されるほか、第6ギア41から第7ギア42、第2軸38、第9ギア44および第11ギア46を介して第3ポンプ/モータ31に出力されることになる。このとき、第3ポンプ/モータ31の回転軸は第1ポンプ/モータ21の回転軸に連結されてポンプ作用をし、その第1ポンプ/モータ21を応援する役目をする。こうして、車速V2において第1ポンプ/モータ21および第3ポンプ/モータ31の回転数が0になるとともに、第2ポンプ/モータ25の容量が0になる。このとき、エンジン2からの動力はすべて機械伝動部のみを通じて伝達されるダイレクト点(低速側ダイレクト点)となる。なお、図2に示される領域Aおよび領域Bにおいて変速装置1は入力分割型の変速装置として機能する。
【0033】
次に、この車速V2から更に前進方向に加速する際には、第1クラッチ32をON、第2クラッチ33をOFFにそれぞれ切換えるとともに、第5クラッチ36をOFFにしたまま、第3クラッチ34をON、第4クラッチ35をOFFにそれぞれ切換える(図2の領域C)と、エンジン2からの動力は第1遊星歯車機構5のサンギア7に入力され、この動力はプラネタリギア8からリングギア10に出力される。一方、前記サンギア7に入力された動力はキャリア9から中間出力軸11に伝達され、キャリア14、サンギア12、第3ギア24および第4ギア27を介してポンプの働きをする第2ポンプ/モータ25に出力される。そして、この第2ポンプ/モータ25に出力された動力は油圧配管28を介してモータの働きをする第1ポンプ/モータ21、油圧配管47を介してモータの働きをする第3ポンプ/モータ31にそれぞれ伝達される。さらに、第1ポンプ/モータ21の回転動力は、その出力軸22から第2ギア23、第1ギア20、キャリア14、プラネタリギア13を介してリングギア10に出力される一方、前記第3ポンプ/モータ31の回転動力は、その出力軸39から第11ギア46、第9ギア44、第8ギア43、第1軸37、第5ギア40、第1ギア20、キャリア14、プラネタリギア13を介してリングギア10に出力される。こうして、第1遊星歯車機構5および第2遊星歯車機構6からの動力が合わさって出力軸16の回転動力となる。このように領域Cにおいては、第3ポンプ/モータ31の回転軸が引き続き第1ポンプ/モータ21の回転軸に連結されてその第1ポンプ/モータ21のモータ作用を応援する役目をする。なお、領域Bから領域Cに移った際に第1ポンプ/モータ21の回転方向は逆転する。
【0034】
この後、第3ポンプ/モータ31の吐出容量が徐々に減じて0となる車速V3において、第3クラッチ34をOFFに切換えるとともに、第5クラッチ36をONに切換えて図2の領域Dに入る。これにより、前記中間出力軸11に伝達された動力は、第2ポンプ/モータ25に出力されるほか、キャリア14から第10ギア45、第2軸38、第9ギア44および第11ギア46を介して第3ポンプ/モータ31に出力されることになる。このとき、第3ポンプ/モータ31の回転軸は第2ポンプ/モータ25の回転軸に連結されてポンプ作用をし、その第2ポンプ/モータ25を応援する役目をする。こうして、車速V4において第2ポンプ/モータ25および第3ポンプ/モータ31の回転数が0になるとともに、第1ポンプ/モータ21の容量が0になる。このとき、エンジン2からの動力はすべて機械伝動部のみを通じて伝達されるダイレクト点(高速側ダイレクト点)となる。なお、図2に示される領域Cおよび領域Dにおいて変速装置30は複合分割型の変速装置として機能する。
【0035】
このように本実施形態の変速装置1によれば、第3ポンプ/モータ31の回転軸が、図2の領域Aにおいては第2ポンプ/モータ25の回転軸に連結されてモータ作用を行い、領域Bにおいては、第1ポンプ/モータ21の回転軸に連結されてポンプ作用を行い、領域Cにおいては、第1ポンプ/モータ21の回転軸に連結されてモータ作用を行い、領域Dにおいては、第2ポンプ/モータ25の回転軸に連結されてポンプ作用を行うように切換えられる。このように第3ポンプ/モータ31の回転軸を第1ポンプ/モータ21の回転軸と第2ポンプ/モータ25の回転軸とに付け替えて使用することで、第3ポンプ/モータ31は常に他のいずれかのポンプ/モータ21,25の作用を補う働きをする。したがって、各ポンプ/モータ21,25,31として従来と比べ最大トルクが小さな小型のものを用いることができ、容量を絞って高回転で用いる場合でも効率を高めることができる。
【0036】
また、本実施形態の変速装置1によれば、第1遊星歯車機構5と第2遊星歯車機構6よりなる複合遊星歯車機構を採用し、かつクラッチにより入力分割型と複合分割型とを切換えて変速がなされるので、低速側と高速側の両方にダイレクト点(油圧での伝達パワーが0になる領域)を持たせることができる。ここで、ブルドーザやホイールローダといった建設車両においては、作業時の車速に対して移動時の車速が概ね3倍から4倍となるような使われ方をされることが多い。例えば、ブルドーザでは、ドージング作業が3km/h程度に対して最高速度が11km/h程度であり、ホイールローダでは、Vシェイプローディング時には10km/h程度で作業するのに対し最高速度が35km/h程度である。このため、本実施形態の変速装置1を、これら建設車両に適用して、低速側ダイレクト点を作業時車速に、高速側ダイレクト点を最高車速に設定すれば、これら各ダイレクト点は変速装置の伝達効率が最も良い点であるので、非常に効率が良くなる。
【0037】
また、本実施形態によれば、入力分割型と複合分割型とを切換える際に、第2ポンプ/モータ25の容量は0となり、この第2ポンプ/モータ25にトルクがかかっていない状態となるので、この切換えを容易に行うことができる。
【0038】
ところで、車速V1,V3において第3ポンプ/モータ31の回転軸の連結先を切り換える際、車速V1では第4クラッチ35と第5クラッチ36とを同時にONする状態を設け、また車速V3では第3クラッチ34と第5クラッチ36とを同時にONする状態を設けることで、この車速V1,V3は動力をすべて機械伝動部のみを通じて伝達するダイレクト点となる。この場合、前述の低速側ダイレクト点(モード切換点)、高速側ダイレクト点と合わせて、合計4つのダイレクト点を設けることができる。
【0039】
本実施形態において、前記各クラッチ32〜36としては、ドグクラッチのほか、シンクロメッシュ機構または多板クラッチ機構等を採用することができる。
【0040】
(第2の実施形態)
図3には、本発明の第2の実施形態に係る変速装置の概略構成図が示されている。また、図4には、第2の実施形態に係る変速装置の作動特性図が示されている。なお、本実施形態において、前記第1の実施形態と共通する部分には図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明を省略することとする。
【0041】
本実施形態の変速装置50においては、第1遊星歯車機構51と第2遊星歯車機構52との間に、減速比調整用の第3遊星歯車機構53を配置したものである。
【0042】
前記第1遊星歯車機構51は、入力軸4に固定されるサンギア7と、このサンギア7の外周に噛合される複数のプラネタリギア8と、これらプラネタリギア8を軸支するキャリア54とを備え、このキャリア54が第3遊星歯車機構53のリングギア55に固定されるように構成されている。また、前記第3遊星歯車機構53は、サンギア56と、このサンギア56の外周に噛合される複数のプラネタリギア57と、このプラネタリギア57を軸支するキャリア58と、プラネタリギア57群の外周に噛合される前記リングギア55を備え、前記キャリア58が第2遊星歯車機構52のキャリア14に固定されるとともに、サンギア56が中間出力軸11に固定されるように構成されている。
【0043】
また、中間出力軸11とキャリア14のスリーブ部14aとを接断する第1クラッチ32およびスリーブ部14aと固定端19とを接断する第2クラッチ33が設けられるとともに、前記中間出力軸11に平行に第1軸37、第2軸38および第3軸(第3ポンプ/モータ31の出力軸)39がそれぞれ配されている。また、中間出力軸11の終端部に結合される第1ギア20が、第1軸37に第3クラッチ34を介して結合される第5ギア40に噛合され、第1軸37の第8ギア43が第2軸38の第9ギア44に噛合され、第2軸38に第4クラッチ36Aを介して結合される第10ギア45が第2遊星歯車機構52のサンギア12に一体結合される第3ギア24に噛合され、第9ギア44が第3ポンプ/モータ31の出力軸(第3軸)39に固定された第11ギア46に噛合されている。
【0044】
本実施形態の変速装置50において、第1クラッチ32をOFF、第2クラッチ33をON、第3クラッチ34をOFF、第4クラッチ36AをONにした状態で、エンジン回転数を一定にして車両を前進方向に加速する(図4の領域A)と、エンジン2からの動力は第1遊星歯車機構51のサンギア7に入力され、この動力はプラネタリギア8からリングギア10に出力される。一方、前記サンギア7に入力された動力はキャリア54から第3遊星歯車機構53のリングギア55、プラネタリギア57およびサンギア56を経て増速されて中間出力軸11に伝達され、第1ギア20および第2ギア23を介してポンプの働きをする第1ポンプ/モータ21に出力される。そして、この第1ポンプ/モータ21に出力された動力は油圧配管28を介してモータの働きをする第2ポンプ/モータ25に、油圧配管47を介してモータの働きをする第3ポンプ/モータ31にそれぞれ伝達される。さらに、第2ポンプ/モータ25の回転動力は、その出力軸26から第4ギア27、第3ギア24、サンギア12、プラネタリギア13を介してリングギア10に出力される一方、前記第3ポンプ/モータ31の回転動力は、その出力軸39から第11ギア46、第9ギア44、第2軸38、第10ギア45、第3ギア24、サンギア12、プラネタリギア13を介してリングギア10に出力される。こうして、第1遊星歯車機構51および第2遊星歯車機構52からの動力が合わさって出力軸16の回転動力となる。このように領域Aにおいては、第3ポンプ/モータ31の回転軸が第2ポンプ/モータ25の回転軸に連結されてその第2ポンプ/モータ25のモータ作用を応援する役目をする。
【0045】
この後、第3ポンプ/モータ31の吐出容量が徐々に減じて0となる車速V1において、第3クラッチ34をONに切換えるとともに、第4クラッチ36AをOFFに切換えて図4の領域Bに入る。これにより、前記中間出力軸11に伝達された動力は、第1ポンプ/モータ21に出力されるほか、第5ギア40から第1軸37、第8ギア43、第9ギア44および第11ギア46を介して第3ポンプ/モータ31に出力されることになる。このとき、第3ポンプ/モータ31の回転軸は第1ポンプ/モータ21の回転軸に連結されてポンプ作用をし、その第1ポンプ/モータ21を応援する役目をする。こうして、車速V2において第1ポンプ/モータ21および第3ポンプ/モータ31の回転数が0になるとともに、第2ポンプ/モータ25の容量が0になる。このとき、エンジン2からの動力はすべて機械伝動部のみを通じて伝達されるダイレクト点(低速側ダイレクト点)となる。なお、図4に示される領域Aおよび領域Bにおいて変速装置50は入力分割型の変速装置として機能する。
【0046】
次に、この車速V2から更に前進方向に加速する際には、第1クラッチ32をON、第2クラッチ33をOFFにそれぞれ切換える(図4の領域C)と、エンジン2からの動力は第1遊星歯車機構51のサンギア7に入力され、この動力はプラネタリギア8からリングギア10に出力される。一方、前記サンギア7に入力された動力はキャリア54から第3遊星歯車機構53のリングギア55、プラネタリギア57およびサンギア56を経て増速されて中間出力軸11に伝達され、キャリア14、サンギア12、第3ギア24および第4ギア27を介してポンプの働きをする第2ポンプ/モータ25に出力される。そして、この第2ポンプ/モータ25に出力された動力は油圧配管28を介してモータの働きをする第1ポンプ/モータ21、油圧配管47を介してモータの働きをする第3ポンプ/モータ31にそれぞれ伝達される。さらに、第1ポンプ/モータ21の回転動力は、その出力軸22から第2ギア23、第1ギア20、キャリア14、プラネタリギア13を介してリングギア10に出力される一方、前記第3ポンプ/モータ31の回転動力は、その出力軸39から第11ギア46、第9ギア44、第8ギア43、第1軸37、第5ギア40、第1ギア20、キャリア14、プラネタリギア13を介してリングギア10に出力される。こうして、第1遊星歯車機構51および第2遊星歯車機構52からの動力が合わさって出力軸16の回転動力となる。このように領域Cにおいては、第3ポンプ/モータ31の回転軸が引き続き第1ポンプ/モータ21の回転軸に連結されてその第1ポンプ/モータ21のモータ作用を応援する役目をする。なお、領域Bから領域Cに移った際に第1ポンプ/モータ21の回転方向は変化しない。
【0047】
この後、第3ポンプ/モータ31の吐出容量が徐々に減じて0となる車速V3において、第3クラッチ34をOFFに切換えるとともに、第4クラッチ36AをONに切換えて図4の領域Dに入る。これにより、前記中間出力軸11に伝達された動力は、第2ポンプ/モータ25に出力されるほか、キャリア14から第10ギア45、第2軸38、第9ギア44および第11ギア46を介して第3ポンプ/モータ31に出力されることになる。このとき、第3ポンプ/モータ31の回転軸は第2ポンプ/モータ25の回転軸に連結されてポンプ作用をし、その第2ポンプ/モータ25を応援する役目をする。こうして、車速V4において第2ポンプ/モータ25および第3ポンプ/モータ31の回転数が0になるとともに、第1ポンプ/モータ21の容量が0になる。このとき、エンジン2からの動力はすべて機械伝動部のみを通じて伝達されるダイレクト点(高速側ダイレクト点)となる。なお、図4に示される領域Cおよび領域Dにおいて変速装置30は複合分割型の変速装置として機能する。
【0048】
このように本実施形態の変速装置50によれば、前記第1の実施形態と同様、第3ポンプ/モータ31の回転軸が第1ポンプ/モータ21の回転軸と第2ポンプ/モータ25の回転軸とに付け替えて使用されることで、各ポンプ/モータ21,25,31として従来と比べ最大トルクが小さな小型のものを用いることができ、容量を絞って高回転で用いる場合でも効率を高めることができる。
【0049】
また、本実施形態の変速装置50によれば、第1遊星歯車機構51と第2遊星歯車機構52との間に、減速比調整用の第3遊星歯車機構53が配されているので、第1ポンプ/モータの減速比を入力分割モードと複合分割モードの両方で最適なものとすることができる。したがって、第1ポンプ/モータとして最大トルクのより小さな小型のものを用いることができ、容量を絞って高回転で用いる場合でも効率を高めることができる。
【0050】
さらに、本実施形態においては、第1ポンプ/モータ21として一方向回転型のポンプ/モータを用いることができるので、装置構成の簡素化を図ることができる。
【0051】
本実施形態では、車速V1,V3において第3ポンプ/モータ31の回転軸の連結先を切換える際、第3クラッチ34と第4クラッチ36Aとを同時にONする状態を設けることで、この車速V1,V3は動力をすべて機械伝動部のみを通じて伝達するダイレクト点となる。この場合、前述の低速側ダイレクト点(モード切換点)、高速側ダイレクト点と合わせて、合計4つのダイレクト点を設けることができる。
【0052】
(第3の実施形態)
前記第1の実施形態では、2つの遊星歯車機構を用いるとともに、3つのポンプ/モータのうち1つのポンプ/モータを切換えて使用するものとした。また、前記第2の実施形態では、3つの遊星歯車機構を用いるとともに、3つのポンプ/モータのうち1つのポンプ/モータを切換えて使用するものとした。ここで、3つのポンプ/モータを用いるとともに、そのうち1つのポンプ/モータを切換えて使用する考え方は、従来の単列遊星機構を有するHMTに対しても適用することができる。
【0053】
図5に示されているのは、入力分割型の単列遊星歯車機構を有する変速装置に3ポンプ/モータ構成を適用した本発明の第3の実施形態に係る変速装置の概略構成図である。また、図6には、第3の実施形態に係る変速装置の作動特性図が示されている。本実施形態においても、先の実施形態と共通する部分には図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明を省略することとする。
【0054】
本実施形態の変速装置60においては、エンジン2からの動力が入力される入力軸4に遊星歯車機構5Aのサンギア7が固定され、このサンギア7の外周に複数のプラネタリギア8が噛合されるとともに、これらプラネタリギア8がキャリア9に軸支され、このキャリア9が中間出力軸11に固定され、プラネタリギア8群の外周にリングギア10が噛合されている。前記中間出力軸11の終端部には第1ギア20が一体結合され、この第1ギア20に、第1ポンプ/モータ21の出力軸22に固定された第2ギア23が噛合されている。また、前記リングギア10の外周に第3ギア24が一体結合され、この第3ギア24に第2ポンプ/モータ25の出力軸26に固定された第4ギア27が噛合されている。
【0055】
また、中間出力軸11に平行に第1軸37、第2軸38および第3軸39が配され、中間出力軸11の第1ギア20が、第1軸37に第1クラッチ34Aを介して結合される第5ギア40に噛合され、第1軸37の第6ギア43Aが第2軸38の第7ギア44Aに噛合され、第2軸38に第2クラッチ36Bを介して結合される第8ギア45Aが前記第3ギア24に噛合され、第7ギア44Aが第3ポンプ/モータ31の出力軸(第3軸)39に固定された第9ギア46Aに噛合されている。さらに、前記中間出力軸11に固定される第10ギア41Aが出力軸16に固定された出力ギア17に噛合されている。
【0056】
本実施形態の変速装置60は次のように作動する。まず、第1クラッチ34AをON、第2クラッチ36BをOFFにした状態で、エンジン回転数を一定にして車両を前進方向に加速する(図6の領域A)と、エンジン2からの動力は遊星歯車機構5Aのサンギア7に入力され、この動力はプラネタリギア8およびキャリア9から中間出力軸11に伝達され、第10ギア41A、出力ギア17を介して出力軸16に伝達される。一方、前記中間出力軸11に伝達された動力は、第1ギア20および第2ギア23を介してポンプの働きをする第1ポンプ/モータ21に出力される。また、前記中間出力軸11に伝達された動力は、第1ギア20から第5ギア40、第1軸37、第6ギア43A、第7ギア44Aおよび第9ギア46Aを介してポンプの働きをする第3ポンプ/モータ31にも出力される。そして、これら第1ポンプ/モータ21および第3ポンプ/モータ31に出力された動力はそれぞれ油圧配管28,47を介してモータの働きをする第2ポンプ/モータ25に伝達され、その出力軸26から第4ギア27、リンギギア10、第3ギア24、プラネタリギア8およびキャリア9を介して中間出力軸11に出力される。こうして、遊星歯車機構5Aからの機械パワーと第2ポンプ/モータ25からの油圧パワーとが合わさって出力軸16の回転動力となる。
【0057】
この後、第3ポンプ/モータ31の吐出容量が徐々に減じて0となる車速V1において、第1クラッチ34AをOFF、第2クラッチ36BをONにすると、図6の領域Bに入り、第3ポンプ/モータ31がポンプからモータに切り替わる。すなわち、エンジン2からの動力は遊星歯車機構5Aのサンギア7に入力され、この動力はプラネタリギア8およびキャリア9から中間出力軸11に伝達され、第10ギア41A、出力ギア17を介して出力軸16に伝達される。一方、前記中間出力軸11に伝達された動力は、第1ギア20および第2ギア23を介してポンプの働きをする第1ポンプ/モータ21に出力される。そして、この第1ポンプ/モータ21に出力された動力はそれぞれ油圧配管47,28を介してモータの働きをする第2ポンプ/モータ25および第3ポンプ/モータ31に伝達される。さらに、第2ポンプ/モータ25の動力は、その出力軸26から第4ギア27、第3ギア24、リンギギア10、プラネタリギア8およびキャリア9を介して中間出力軸11に出力され、第3ポンプ/モータ31の動力は、その出力軸39から第9ギア46A、第7ギア44A、第2軸38、第8ギア45Aを経て、第3ギア24、リンギギア10、プラネタリギア8およびキャリア9から中間出力軸11に出力される。こうして、遊星歯車機構5Aからの機械パワーと第2ポンプ/モータ25および第3ポンプ/モータ31からの油圧パワーとが合わさって出力軸16の回転動力となる。
【0058】
このように本実施形態によれば、第3ポンプ/モータ31の回転軸を第1ポンプ/モータ21の回転軸と第2ポンプ/モータ25の回転軸とに付け替えて使用するように構成されているので、各ポンプ/モータとして従来と比べ最大トルクが小さな小型のものを用いることができ、容量を絞って高回転で用いる場合でも効率を高めることができる。
【0059】
(第4の実施形態)
図7には、出力分割型の単列遊星歯車機構を有する変速装置に3ポンプ/モータ構成を適用した本発明の第4の実施形態に係る変速装置の概略構成図が示されている。また、図8には、第4の実施形態に係る変速装置の作動特性図が示されている。本実施形態においても、先の実施形態と共通する部分には図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明を省略することとする。
【0060】
本実施形態の変速装置70においては、エンジン2からの動力が入力される入力軸4に第1ギア20が固定され、この第1ギア20に噛合される第2ギア23が第1ポンプ/モータ21の出力軸22に固定されている。また、前記入力軸4には遊星歯車機構5Aのサンギア7が固定され、このサンギア7の外周に複数のプラネタリギア8が噛合されるとともに、これらプラネタリギア8がキャリア9に軸支され、このキャリア9が中間出力軸11に固定され、プラネタリギア8群の外周にリングギア10が噛合されている。このリングギア10の外周には第3ギア24が一体結合され、この第3ギア24に第2ポンプ/モータ25の出力軸26に固定された第4ギア27が噛合されている。
【0061】
また、入力軸4に平行に第1軸37および第2軸(第3ポンプ/モータ31の出力軸)39Aが配され、入力軸4の第1ギア20が、第1軸37に第1クラッチ34Bを介して結合される第5ギア40Aに噛合され、第1軸37の第6ギア43Bが第2軸39Aの第7ギア44Bに噛合され、第1軸37に第2クラッチ36Cを介して結合される第8ギア45Bが前記第3ギア24に噛合されている。さらに、前記中間出力軸11の終端部に固定される第9ギア41Bが出力軸16に固定された出力ギア17に噛合されている。
【0062】
本実施形態の変速装置70は次のように作動する。まず、第1クラッチ34BをOFF、第2クラッチ36CをONにした状態で、エンジン回転数を一定にして車両を前進方向に加速する(図8の領域A)と、エンジン2からの動力は入力軸4から遊星歯車機構5Aのサンギア7に入力され、この動力はプラネタリギア8およびキャリア9から中間出力軸11に伝達され、第9ギア41B、出力ギア17を介して出力軸16に伝達される。一方、前記入力軸11の動力は、第1ギア20および第2ギア23を介してポンプの働きをする第1ポンプ/モータ21に出力される。そして、この第1ポンプ/モータ21に出力された動力は油圧配管28を介してモータの働きをする第2ポンプ/モータ25に伝達されるとともに、油圧配管47を介してモータの働きをする第3ポンプ/モータ31に伝達される。さらに、第2ポンプ/モータ25の回転動力は、その出力軸26から第4ギア27、第3ギア24、プラネタリギア8およびキャリア9を介して中間出力軸11に出力される一方、前記第3ポンプ/モータ31の回転動力は、その出力軸39Aから第7ギア44B、第6ギア43B、第1軸37、第8ギア45B、第3ギア24、プラネタリギア8およびキャリア9を介して中間出力軸11に出力される。こうして、遊星歯車機構5Aからの機械パワーと第2ポンプ/モータ25および第3ポンプ/モータ31からの油圧パワーとが合わさって出力軸16の回転動力となる。
【0063】
この後、第3ポンプ/モータ31の吐出容量が徐々に減じて0となる車速V1において、第1クラッチ34BをON、第2クラッチ36CをOFFにすると、図8の領域Bに入り、第3ポンプ/モータ31がモータからポンプに切り替わる。すなわち、エンジン2からの動力は入力軸4から遊星歯車機構5Aのサンギア7に入力され、この動力はプラネタリギア8およびキャリア9から中間出力軸11に伝達され、第10ギア41A、出力ギア17を介して出力軸16に伝達される。一方、前記入力軸4の動力は、第1ギア20および第2ギア23を介してポンプの働きをする第1ポンプ/モータ21に出力される一方、第1ギア20、第5ギア40A、第1軸37、第6ギア43B、第7ギア44Bを介して第3ポンプ/モータ31に出力される。そして、これら第1ポンプ/モータ21および第3ポンプ/モータ31に出力された動力はそれぞれ油圧配管28,47を介してモータの働きをする第2ポンプ/モータ25に伝達される。さらに、第2ポンプ/モータ25の動力は、その出力軸26から第4ギア27、第3ギア24、プラネタリギア8およびキャリア9を介して中間出力軸11に出力される。こうして、遊星歯車機構5Aからの機械パワーと第2ポンプ/モータ25からの油圧パワーとが合わさって出力軸16の回転動力となる。
【0064】
本実施形態においても、前記第3の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0065】
(第5の実施形態)
図9には、本発明の第5の実施形態に係る変速装置の概略構成図が、図10には、第5の実施形態に係る変速装置の作動特性図がそれぞれ示されている。本実施形態においても、先の実施形態と共通する部分には図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明を省略することとする。
【0066】
本実施形態の変速装置80は、前記第2の実施形態の変速装置50の変形例に関わるもので、第1遊星歯車機構51と第2遊星歯車機構52との間に減速比調整用の第3遊星歯車機構53を配置した点は第2の実施形態と同様である。
【0067】
本実施形態の変速装置80において、第1クラッチ32をOFF、第2クラッチ33をONにした状態で、エンジン回転数を一定にして車両を前進方向に加速する(図10の領域A)と、エンジン2からの動力は第1遊星歯車機構51のサンギア7に入力され、この動力はプラネタリギア8からリングギア10に出力される。一方、前記サンギア7に入力された動力はキャリア54から第3遊星歯車機構53のリングギア55、プラネタリギア57およびサンギア56を経て増速されて中間出力軸11に伝達され、第1ギア20および第2ギア23を介してポンプの働きをする第1ポンプ/モータ21に出力される。そして、この第1ポンプ/モータ21に出力された動力は油圧配管28を介してモータの働きをする第2ポンプ/モータ25に伝達される。さらに、第2ポンプ/モータ25の回転動力は、その出力軸26から第4ギア27、第3ギア24、サンギア12、プラネタリギア13を介してリングギア10に出力される。こうして、第1遊星歯車機構51および第2遊星歯車機構52からの動力が合わさって出力軸16の回転動力となる。
【0068】
この後、車速V1において、第1ポンプ/モータ21の回転数が0になるとともに、第2ポンプ/モータ25の吐出容量が0になる。このとき、エンジン2からの動力はすべて機械伝動部のみを通じて伝達されるダイレクト点(低速側ダイレクト点)となる。なお、領域Aにおいて変速装置80は入力分割型の変速装置として機能する。
【0069】
次いで、車速V1において第1クラッチ32をONに切換えるとともに、第2クラッチ33をOFFに切換えると、図10の領域Bに入る。この領域Bでは、エンジン2からの動力は第1遊星歯車機構51のサンギア7に入力され、この動力はプラネタリギア8からリングギア10に出力される。一方、前記サンギア7に入力された動力はキャリア54から第3遊星歯車機構53のリングギア55、プラネタリギア57およびサンギア56を経て増速されて中間出力軸11に伝達され、キャリア14、サンギア12、第3ギア24および第4ギア27を介してポンプの働きをする第2ポンプ/モータ25に出力される。そして、この第2ポンプ/モータ25に出力された動力は油圧配管28を介してモータの働きをする第1ポンプ/モータ21に伝達される。さらに、第1ポンプ/モータ21の回転動力は、その出力軸22から第2ギア23、第1ギア20、キャリア14、プラネタリギア13を介してリングギア10に出力される。こうして、第1遊星歯車機構51および第2遊星歯車機構52からの動力が合わさって出力軸16の回転動力となる。
【0070】
この後、車速V2において、第2ポンプ/モータ25の回転数が0になるとともに、第1ポンプ/モータ21の容量が0になる。このとき、エンジン2からの動力はすべて機械伝動部のみを通じて伝達されるダイレクト点(高速側ダイレクト点)が生ずる。なお、領域Bにおいて変速装置80は複合分割型の変速装置として機能する。
【0071】
本実施形態の変速装置80によれば、第1の実施形態のものに比べて減速比調整用の第3遊星歯車機構53が配されているので、第1ポンプ/モータの減速比を入力分割モードと複合分割モードの両方で最適なものとすることができる。したがって、第1ポンプ/モータとして最大トルクのより小さな小型のものを用いることができ、容量を絞って高回転で用いる場合でも効率を高めることができる。また、本実施形態においては、第1ポンプ/モータ21として一方向回転型のポンプ/モータを用いることができ、装置構成の簡素化を図ることができるという利点もある。
【0072】
前記各実施形態において、各ポンプ/モータを複数(少なくとも2個)のポンプ/モータを組み合わせて構成し、小容量での運転時には1個のポンプ/モータのみを運転させるようにすることができる。この場合、複数のポンプ/モータのうち1個のポンプ/モータについて接続、切り離しを選択できるようにし、低速時にはそのポンプ/モータを接続して大きな容量を得るようにするのが好ましい。また、この接続・切り離し可能なポンプ/モータを遊星歯車機構に接続される際の減速比を他のポンプ/モータの減速比と変えるようにすることもできる。このようにすれば、各ポンプ/モータがカバーする速度範囲を変えることができるので、ポンプ/モータの容量をより小さくすることができる。
【0073】
(第6の実施形態)
図11には、本発明の第6の実施形態に係る変速装置の概略構成図が示されている。
【0074】
本実施形態は、前記第1の実施形態におけるポンプ/モータ21,25,31をジェネレータ/モータ21A,25A,31Aに置き換えた電気−機械式変速装置90の例である。この場合、各ジェネレータ/モータ21A,25A,31Aはバッテリー91に接続されたコントローラ61Aによってその駆動制御が行われる。ここで、コントローラ61Aには、インバータ回路が組み込まれている。なお、ジェネレータとモータ間に電気エネルギーを蓄える蓄電装置を介挿させることが好ましい。本実施形態によれば、前記第1の実施形態と同様、各ジェネレータ/モータとして従来と比べ最大トルクが小さな小型のものを用いることができ
【0075】
なお、前記第2〜第5の実施形態に係る変速装置においても、そのポンプ/モータをジェネレータ/モータに置き換えて電気−機械式変速装置とすることができる。
【符号の説明】
【0076】
1,50,60,70,80,90 変速装置
2 エンジン
4 入力軸
5,51 第1遊星歯車機構
6,52 第2遊星歯車機構
7,12 サンギア
8,13 プラネタリギア
9,14 キャリア
10 リングギア
11 中間出力軸
16 出力軸
19 固定端
21 第1ポンプ/モータ
21A,25A,31A ジェネレータ/モータ
25 第2ポンプ/モータ
31 第3ポンプ/モータ
32,34A,34B 第1クラッチ(連結機構)
33,36B,36C 第2クラッチ(連結機構)
34 第3クラッチ(連結機構)
35,36A 第4クラッチ(連結機構)
36 第5クラッチ(連結機構)
53 第3遊星歯車機構
61 コントローラ(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力軸と、出力軸と、これら入力軸と出力軸との間に介挿される少なくとも1つの遊星歯車機構を有する機械伝動部および電気伝動部とを備え、前記電気伝動部がインバータにより駆動制御される複数のジェネレータ/モータを有する変速装置であって、
前記複数のジェネレータ/モータが、第1ジェネレータ/モータと第2ジェネレータ/モータと第3ジェネレータ/モータとよりなり、
前記第1ジェネレータ/モータの回転軸と前記第2ジェネレータ/モータの回転軸とを、それぞれ前記機械伝動部に連結し、
前記第3ジェネレータ/モータの回転軸を、前記第1ジェネレータ/モータの回転軸に連結する第1連結機構と、
前記第3ジェネレータ/モータの回転軸を、前記第2ジェネレータ/モータの回転軸に連結する第2連結機構を有し、
前記第1連結機構および前記第2連結機構の切換え操作により、前記第3ジェネレータ/モータの回転軸を、前記第1ジェネレータ/モータの回転軸に連結し、前記第2ジェネレータ/モータの回転軸には連結しない状態と、前記第3ジェネレータ/モータの回転軸を、前記第2ジェネレータ/モータの回転軸に連結し、前記第1ジェネレータ/モータの回転軸には連結しない状態と、前記第3ジェネレータ/モータの回転軸を、前記第1ジェネレータ/モータの回転軸および前記第2ジェネレータ/モータの回転軸に同時に連結する状態を切換えることができるように構成されている
ことを特徴とする変速装置。
【請求項2】
入力軸と、出力軸と、これら入力軸と出力軸との間に介挿される少なくとも1つの遊星歯車機構を有する機械伝動部および電気伝動部とを備え、前記電気伝動部がインバータにより駆動制御される複数のジェネレータ/モータを有する変速装置であって、
前記機械伝動部が、第1遊星歯車機構と第2遊星歯車機構とを備え、
前記複数のジェネレータ/モータが、第1ジェネレータ/モータと第2ジェネレータ/モータと第3ジェネレータ/モータとよりなり、
前記入力軸を前記第1遊星歯車機構の第1要素に連結し、
前記第1ジェネレータ/モータの回転軸を前記第1遊星歯車機構の第2要素に連結し、
前記第2ジェネレータ/モータの回転軸を前記第2遊星歯車機構の第1要素に連結し、
前記出力軸を前記第1遊星歯車機構の第3要素および前記第2遊星歯車機構の第3要素に連結するとともに、
前記第2遊星歯車機構の第2要素を固定端および/または前記第1遊星歯車機構の第2要素に連結する第1連結機構と、
前記第3ジェネレータ/モータの回転軸を、前記第1ジェネレータ/モータの回転軸に連結する第2連結機構と、
前記第3ジェネレータ/モータの回転軸を、前記第2ジェネレータ/モータの回転軸に連結する第3連結機構を有し、
前記第2連結機構および前記第3連結機構の切換え操作により、前記第3ジェネレータ/モータの回転軸を、前記第1ジェネレータ/モータの回転軸に連結し、前記第2ジェネレータ/モータの回転軸には連結しない状態と、前記第3ジェネレータ/モータの回転軸を、前記第2ジェネレータ/モータの回転軸に連結し、前記第1ジェネレータ/モータの回転軸には連結しない状態と、前記第3ジェネレータ/モータの回転軸を、前記第1ジェネレータ/モータの回転軸および前記第2ジェネレータ/モータの回転軸に同時に連結する状態を切換えることができるように構成されている
ことを特徴とする変速装置。
【請求項3】
入力軸と、出力軸と、これら入力軸と出力軸との間に介挿される少なくとも1つの遊星歯車機構を有する機械伝動部および電気伝動部とを備え、前記電気伝動部がインバータにより駆動制御される複数のジェネレータ/モータを有する変速装置であって、
前記機械伝動部が、第1遊星歯車機構と第2遊星歯車機構とそれらの間に配される第3遊星歯車機構を備え、
前記複数のジェネレータ/モータが、第1ジェネレータ/モータと第2ジェネレータ/モータと第3ジェネレータ/モータとよりなり、
前記入力軸を前記第1遊星歯車機構の第1要素に連結し、
前記第1ジェネレータ/モータの回転軸を前記第3遊星歯車機構の第1要素に連結し、
前記第2ジェネレータ/モータの回転軸を前記第2遊星歯車機構の第1要素に連結し、
前記出力軸を前記第1遊星歯車機構の第3要素および前記第2遊星歯車機構の第3要素に連結し、
前記第1遊星歯車機構の第2要素を前記第3遊星歯車機構の第3要素に連結し、
前記第2遊星歯車機構の第2要素を前記第3遊星歯車機構の第2要素に連結するとともに、
前記第2遊星歯車機構の第2要素を固定端および/または前記第3遊星歯車機構の第1要素に連結する第1連結機構と、
前記第3ジェネレータ/モータの回転軸を、前記第1ジェネレータ/モータの回転軸に連結する第2連結機構と、
前記第3ジェネレータ/モータの回転軸を、前記第2ジェネレータ/モータの回転軸に連結する第3連結機構を有し、
前記第2連結機構および前記第3連結機構の切換え操作により、前記第3ジェネレータ/モータの回転軸を、前記第1ジェネレータ/モータの回転軸に連結し、前記第2ジェネレータ/モータの回転軸には連結しない状態と、前記第3ジェネレータ/モータの回転軸を、前記第2ジェネレータ/モータの回転軸に連結し、前記第1ジェネレータ/モータの回転軸には連結しない状態と、前記第3ジェネレータ/モータの回転軸を、前記第1ジェネレータ/モータの回転軸および前記第2ジェネレータ/モータの回転軸に同時に連結する状態を切換えることができるように構成されている
ことを特徴とする変速装置。
【請求項4】
入力軸と、出力軸と、これら入力軸と出力軸との間に介挿される少なくとも1つの遊星歯車機構を有する機械伝動部および電気伝動部とを備え、前記電気伝動部がインバータにより駆動制御される複数のジェネレータ/モータを有する変速装置であって、
前記機械伝動部が、第1遊星歯車機構と第2遊星歯車機構とそれらの間に配される第3遊星歯車機構を備え、
前記複数のジェネレータ/モータが、第1ジェネレータ/モータと第2ジェネレータ/モータとよりなり、
前記入力軸を前記第1遊星歯車機構の第1要素に連結し、
前記第1ジェネレータ/モータの回転軸を前記第3遊星歯車機構の第1要素に連結し、
前記第2ジェネレータ/モータの回転軸を前記第2遊星歯車機構の第1要素に連結し、
前記出力軸を前記第1遊星歯車機構の第3要素および前記第2遊星歯車機構の第3要素に連結し、
前記第1遊星歯車機構の第2要素を前記第3遊星歯車機構の第3要素に連結し、
前記第2遊星歯車機構の第2要素を前記第3遊星歯車機構の第2要素に連結するとともに、
前記第2遊星歯車機構の第2要素を固定端および/または前記第3遊星歯車機構の第1要素に連結する連結機構を有する
ことを特徴とする変速装置。
【請求項5】
前記第1ジェネレータ/モータの回転速度が0となる低速側ダイレクト点と、前記第2ジェネレータ/モータの回転速度が0となる高速側ダイレクト点との速度比を3〜4に設定することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の変速装置。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の変速装置を備える建設車両であって、
前記第1ジェネレータ/モータの回転速度が0となる低速側ダイレクト点と、前記第2ジェネレータ/モータの回転速度が0となる高速側ダイレクト点との速度比を3〜4に設定するとともに、前記低速側ダイレクト点を作業時車速に設定し、前記高速側ダイレクト点を最高車速に設定することを特徴とする建設車両。
【請求項7】
前記作業時車速は、ホイールローダのVシェイプローディング時の車速であることを特徴とする請求項6に記載の建設車両。
【請求項8】
前記作業時車速は、ブルドーザのドージング作業時の車速であることを特徴とする請求項6に記載の建設車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−33192(P2011−33192A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−191678(P2010−191678)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【分割の表示】特願2006−535698(P2006−535698)の分割
【原出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】