説明

外観検査用装置

【課題】 検査対象物の外観を確実に検査することができる外観検査用装置を提供する。
【解決手段】 第1の基台11は、鏡面状に加工された第1の円錐台面17を有しており、この第1の基台11には、第1の円錐台面17の中心軸線に沿って、円筒状の孔18が形成されている。この孔18には、第1の円錐台面17と同心軸状に、第2の基台12が配置される。第2の基台12の先端部は、円錐台形状となっており、鏡面状に加工された第2の円錐台面21を有している。そして、検査対象物7における外内周の端縁の全周が、第1の円錐台面17及び第2の円錐台面21に当接されて配置されている。また、照明器16には、複数の光源19が円周上に配列され、検査対象物7の上面7a、外周面7b或いは内周面7cに対して、直接光を照射する。この状態で検査対象物7をカメラ6によって撮像する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物の外観を検査するための外観検査用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、特開2000−35322号公報がある。この公報には、検査対象物であり円環形状をなすワークの上面を検査するための外観検査装置と、ワークの外周面を検査するための外観検査装置と、ワークの内周面を検査するための外観検査装置とが開示されている。
【0003】
ワークの上面を検査する外観検査装置は、ワークをその外周面で保持するホルダーを備え、円環状の照明器によってワークの上面を照明し、ワークの上面をカメラに撮像する構成となっている。
【0004】
また、ワークの外周面を検査するための外観検査装置は、ワークの内孔でワークを保持するホルダーと、ワークの側方に配置され、内向き円錐状に反射面が形成された反射体とを備えている。この反射体は、ワークの外周面から離間されて配置されている。さらに、この反射体の上方には、円環状の照明器が配置されており、照明器から照射された光を、一旦反射体に反射させて、ワークの外周面を照明している。
【0005】
また、円環形状のワークの内周面を検査するための外観検査装置は、ワークをその外周面で保持するホルダーを備え、ワークの下方に照明器を配置して、ワークの下方から内周面に向けて照明し、ワークの上方からワークの内周面をカメラによって撮像する構成となっている。
【特許文献1】特開2000−35322号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の外観検査装置では、ワークの上面と外周面と内周面とを検査するためには、検査する面に対応した外観検査装置を用いなければならない。したがって、ワークを各外観検査装置間で搬送させる必要があり、装置全体として複雑化する。
【0007】
また、上記のワークの外周面を検査するため外観検査装置においては、ワークの外周面を照明する円環状の照明器は、照射した光を一旦の反射体に反射させて、ワークの外周面を照明している。そのため、ワークの外周面を照明する照度は低下してしまう。また、反射体の反射面は、ワークの外周面から離間されて配置されているため、反射面に写るワークの外周面の像はぼやけてしまい、確実な検査ができないおそれがある。
【0008】
また、上記の円環形状のワークの内周面を検査する外観検査装置においては、ワークの上方からカメラによってワークの内周面を撮像しているが、これでは、ワークの内周面の側方からワークの内周面を撮像していることになり、確実にワークの内周面を検査することはできない。
【0009】
そこで、本発明は検査対象物の外観を確実に検査することができる外観検査用装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る外観検査用装置は、円柱面状とされた外周面を有する検査対象物の外観検査を行うための外観検査用装置であって、一方端から他方端にかけて内径が小さくなる円錐台面が形成された基台と、上記一方端側で基台に対向するように配置された円環状の照明器と、を備え、照明器は、円錐台面の内側で且つ円錐台面と同心軸状に配置された検査対象物の照明器に対向する主面と外周面とを直接照明し、円錐台面に検査対象物の外周面を写影させることを特徴とする。
【0011】
この外観検査用装置によれば、円柱面状とされた外周面を有する検査対象物の外観検査を行う際、円錐台面の内側において、検査対象物を円錐台面と同心軸状に配置すれば、円錐台面に検査対象物の外周面が写影されると共に、照明器によって検査対象物の主面及び外周面が直接照明される。したがって、照明器側から検査対象物を観察すれば、検査対象物の主面は、照明器によって直接照明されているため、その主面の外観を鮮明度よく検査することができる。さらに、検査対象物の外周面も照明器によって直接照明されているため、間接的に照明されている場合と比べて照度の低減も殆どない。そのため、照明器側から観察すれば、円錐台面に写影された検査対象物の外周面を鮮明度よく検査することができる。このように、検査対象物の主面及び外周面を確実に検査することができる。
【0012】
さらに、上記の外観検査用装置において、照明器は、一方の端縁全周が円錐台面に当接して配置された検査対象物の照明器に対向する主面と外周面とを直接照明すると好ましい。このような構成を採用すれば、検査対象物の一方の端縁全周が円錐台面に当接するように検査対象物を配置することにより、検査対象物の主面及び外周面は、照明器によって直接照明される。したがって、照明器側から検査対象物を観察すれば、検査対象物の主面の外観を鮮明度よく検査することができる。さらに、検査対象物の外周面と円錐台面とは近距離になるために、円錐台面に検査対象物の外周面が鮮明に写影される。そのため、検査対象物の外周面が照明器によって直接照明されていることと相まって、円錐台面に写影された検査対象物の外周面を鮮明度よく検査することができる。また、照明器側からは、検査対象物の主面と外周面とが連なって観察されるため、外観検査を行い易い。
【0013】
また、本発明に係る外観検査用装置は、円柱面状とされた内周面を有する検査対象物の外観検査を行うための外観検査用装置であって、一方端から他方端にかけて外径が大きくなる円錐台面が形成された基台を備え、基台の円錐台面が形成された部分に、内周面により構成される内孔を挿入して配置された検査対象物の内周面を円錐台面に写影させることを特徴とする。
【0014】
この外観検査装置によれば、円錐台面が形成された部分に、検査対象物の内孔の内周面が写影されるため、その円錐台面に写影された検査対象物の内周面を観察することができ、その内周面を確実に検査することができる。
【0015】
また、この外観検査用装置において、円錐台面は、検査対象物の一方の内端縁全周によって当接されると好適である。この構成を採用することにより、検査対象物の内周面と円錐台面とは近距離になるために、円錐台面に検査対象物の内周面がより鮮明に写影される。したがって、検査対象物の内周面を鮮明度よく検査することができる。
【0016】
また、本発明に係る外観検査用装置は、円柱面状とされた外周面及び内周面を有する検査対象物の外観検査を行うための外観検査用装置であって、一方端から他方端にかけて内径が小さくなる第1の円錐台面が形成され、第1の円錐台面の中心軸線に沿って孔が形成された第1の基台と、第1の基台の孔において、第1の円錐台面と同心軸状であって、一方端から他方端にかけて外径が大きくなる第2の円錐台面が形成された第2の基台を備え、第1の円錐台面及び第2の円錐台面は、中心軸線上において同じ方向を向いていることを特徴とする。
【0017】
この外観検査用装置によれば、検査対象物を検査するにあたって、検査対象物を第1及び第2の円錐台面に対し同心軸状になるように、検査対象物の内周面によって形成される内孔を第2の円錐台面に差し込み、検査対象物が第1の円錐台面の内側方に位置するように配置する。そのことにより、第1の円錐台面には、検査対象物の外周面が写影され、第2の円錐台面には、検査対象物の内周面が写影される。したがって、第1及び第2の円錐台面が向いている側から検査対象物を観察すれば、第1及び第2の円錐台面と同じ側を向いている主面を検査することができるとともに、第1の円錐台面を観察することによって、検査対象物の外周面を検査することができ、さらに、第2の円錐台面を観察することによって、検査対象物の内周面を検査することができる。このように、検査対象物の主面、外周面、及び内周面を確実に検査することができる。
【0018】
このような外観検査装置において、第1の基台と第2の基台とを、中心軸線に沿って相対的に移動させる基台移動手段をさらに備えると好適である。この構成を採用することにより、検査対象物ごとに外径や内径等の大きさが異なっても、基台移動手段によって、第1の基台と第2の基台とを、中心軸線に沿って相対的に移動させることにより、その検査対象物の外周面を第1の円錐台面に写影させ、検査対象物の内周面を第2の円錐台面に写影させることができる。
【0019】
また、この外観検査装置において、第1の円錐台面及び第2の円錐台面はともに上方を向いており、基台移動手段は、第2の基台を第1の基台に対して上下させて、検査対象物を第1の円錐台面上に位置決めすると好適である。このような構成にすれば、検査対象物を第1の円錐台面に対して同心軸状に配置させようとしたときに、偏心した状態で検査対象物が第1の円錐台面に載置された場合、検査対象物の姿勢を修正し、検査対象物を第1の円錐台面に対して同心軸状に配置させる必要がある。そこで、第2の円錐台面は上方を向いているため、基台移動手段によって、第2の基台を第1の基台に対して上方に移動させることにより、検査対象物の内孔に第2の円錐台面を挿入させて、第2の円錐台面により検査対象物を支持することができる。このとき、偏心した姿勢であった検査対象物は、第2の基台に支持される際、その姿勢が修正されて、第2の円錐台面に対して同心軸状となる。その状態で、基台移動手段によって、第2の基台を第1の基台に対して下方に移動させることにより、検査対象物は、第1の基台に対して同心軸状に配置され、位置決めされることとなる。この場合、基台移動手段により第2の基台を一度相対移動させただけでは、修正しきれなかった場合、基台移動手段による第2の基台の相対移動を繰り返し行うことにより、検査対象物は修正されて位置決めされる。
【0020】
さらに、この外観検査用装置において、第1の基台に対向するように配置され、第1及び第2の円錐台面と同心軸状となるように配置された円環状の照明器と、照明器の姿勢を維持させつつ、第1及び第2の基台と照明器とを相対的に移動させる照明器移動手段とをさらに備えると好適である。この構成により、照明器移動手段によって、照明器の姿勢を維持させつつ、第1及び第2の基台と照明器とを相対的に移動させることによって、検査対象物における照明器側の主面や外周面、内周面のうち、照明する面を変えることができる。
【0021】
また、上記の外観検査用装置においては、複数の第1の基台が円周上に配列されて構成された第1のテーブル板と、第1のテーブル板の下方に配置され、複数の第2の基台が、円周上に配列されて固定された第2のテーブル板とを備え、第1のテーブル板と第2のテーブル板とは同心軸状に配置され、且つ、複数の第1の円錐台面が配列された円周と複数の第2の円錐台面が配列された円周は同じ大きさであり、さらに、第1のテーブル板を第2のテーブル板に対して相対的に回転させる回転手段を備え、基台移動手段は、第2のテーブル板を第1のテーブル板に対して相対的に上下させると良い。この構成を採用すれば、回転手段によって、第1のテーブル板を第2のテーブル板に対して相対的に回転させることにより、第1の円錐台面に配置された検査対象物を移動させることができ、さらに、基台移動手段によって、第2のテーブル板を第1のテーブル板に対して相対的に上下させることにより、第1の円錐台面に配置された検査対象物の位置決めができ、検査対象物における照明器側の主面及び外周面を検査することができる。また、検査対象物の内周面により形成される内孔に第2の円錐台面を挿入した状態とすれば、検査対象物の内周面も検査することができる。
【0022】
また、本発明に係る外観検査装置は、円柱面状とされた外周面及び内周面を有する検査対象物の外観検査を行うための外観検査用装置であって、一方端から他方端にかけて内径が小さくなっており、検査対象物の一方の外端縁全周を当接するための第1の円錐台面が形成され、第1の円錐台面の中心軸線に沿って孔が形成された第1の基台と、第1の基台の孔において第1の円錐台面と同心軸状に配置され、検査対象物の一方の内端縁全周を当接するため、一方端から他方端にかけて外径が大きくなる第2の円錐台面が形成された第2の基台と、を備え、第1及び第2の円錐台面は、中心軸線上において同じ方向を向いていることを特徴とする。
【0023】
この外観検査用装置によれば、検査対象物の一方の外端縁全周を第1の円錐台面に当接させ、検査対象物の一方の内端縁全周を第2の円錐台面に当接させるように、検査対象物を配置すれば、検査対象物の外周面は、第1の円錐台面に近接しているため、第1の円錐台面に鮮明に写影される。また、検査対象物の内周面は、第2の円錐台面に近接しているため、第2の円錐台面に鮮明に写影される。したがって、第1の円錐台面の一方端側から観察すれば、検査対象物における第1の円錐台面の一方端側の主面、外周面、及び内周面を確実に検査することができる。また、第2の円錐台面に写影された内周面と、主面、第1の円錐台面に写影された外周面とは連なっているので、検査し易い。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、検査対象物の外観を確実に検査することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る外観検査用装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0026】
図1は、外観検査用装置1の概略構成図である。図1に示すように、外観検査用装置1は、検査対象物撮像部2、画像処理装置3、及びモニター4を備える。そして、検査対象物撮像部2にあるカメラ6A,6Bによって撮像された検査対象物7の画像信号が画像処理装置3に出力され、画像処理装置3によって処理された画像信号がモニター4に表示される。カメラ6A,6Bは、フォーカス調整機能を有している。モニター4に表示された検査対象物7を観察することにより、検査対象物7の外観を検査することができる。この検査対象物7は、円柱面状とされた外周面及び内周面を有する円環形状をしており、例えば、リングバリスタ等の電子部品である。
【0027】
また、検査対象物撮像部2には、第1のテーブル板8と第2のテーブル板9とが、水平且つ同心軸状で上下に配置されている。第1のテーブル板8は、検査対象物7の外周面を写影するための第1の基台11が複数箇所、等間隔で円周上に配列されるように構成されている。また、第2のテーブル板9には、検査対象物7の内周面を写影するための第2の基台12が複数個、等間隔で立設されて固定されている。この第2の基台12も第2のテーブル板9上に円周上に配列されている。そして、第1の基台11の形成個数と、第2の基台12の個数とは同数であり、配列されている円周の大きさも同じである。したがって、第1の基台11の位置と第2の基台12の位置とを上下に合わせることができる。
【0028】
また、第1のテーブル板8は、その中央において鉛直に延在する回転シャフト13によって保持されており、回転手段(図示せず)によって回転シャフト13が矢印P方向(右回り)に回転することにより、第1のテーブル板8は、同じ方向の矢印Q(右回り)に回転する。さらに、第2のテーブル板9は、複数本の支持部14によって保持されており、基台移動手段(図示せず)によって、支持部14が上下に移動可能となっている。これにより、第1の基台11に対して第2の基台12を相対的に移動させることができる。
【0029】
また、カメラ6A,6Bと第1のテーブル板8との間には、円環状の照明器16A,16Bがそれぞれ配置されている。この円環状の照明器16の中央に抜けた空間を通して、カメラ6は、検査対象物7を撮像する。この照明器16A,16Bは、照明器移動手段(図示せず)によって、照明器16A,16Bの姿勢を維持したまま、上下に移動させることができる。
【0030】
図2は、検査対象物7の上面(主面)7a及び外周面7bを検査している様子を示す第1の基台11の断面図である。図2に示すように、第1の基台11は、上方の一方端から下方の他方端にかけて内径が小さくなる第1の円錐台面17を有している。この第1の円錐台面17は、鏡面状に加工されている。なお、円錐状面に反射膜を塗布することで、第1の円錐台面17を形成しても良い。さらに、第1の基台11には、第1の円錐台面17の中心軸線に沿って、円筒状の孔18が形成されている。このような第1の円錐台面17上において、円環状の検査対象物7は、第1の円錐台面17と同心軸状に配置されている。このとき、検査対象物7における外周の下方の端縁は、全周にわたって、第1の円錐台面17に当接している。
【0031】
照明器16は、第1の基台11と対向するように配置され、この照明器16には、指向性を以て光を照射する複数の光源19が円周上に配列されている。光源19として、LEDが採用されている。そして、照明器16は、この光源19によって、第1の円錐台面17の円錐角と略同じ円錐角を以て、第1の円錐台面17に沿うように照明する。そのため、照明器16は、検査対象物7の上面7a及び外周面7bに対して、直接光を照射している。このことにより、照度が減じられることなく、検査対象物7の上面7a及び外周面7bは照明される。
【0032】
また、検査対象物7における外周の一報の端縁は、全周にわたって第1の円錐台面17に当接しているため、検査対象物7の外周面7bと第1の円錐台面17とは、近距離になるために、第1の円錐台面17に、検査対象物7の外周面7bが鮮明に写影される。そのため、検査対象物7の上面7a及び外周面7bが照明器16によって直接照明されていることと相まって、第1の円錐台面17の開口側、すなわち照明器側に設置されたカメラ6によって、検査対象物7の上面7a、及び第1の円錐台面17に写影された検査対象物7の外周面7bをコントラストよく鮮明に撮像することができる。そのため、検査対象物7の上面7a及び外周面7bの外観を確実に検査することができる。また、検査対象物7の上面7aと外周面7bとは連なって撮像されるため、外観検査を行い易い。
【0033】
図3は、検査対象物7の上面7a及び内周面7cを検査している様子を示す第1の基台11の断面図である。図3に示すように、第2の基台12が、孔18に挿入されている。これは、基台移動手段によって、支持部14が上方に移動されたことによって、第2のテーブル板9が上昇し、第2の基台12が上昇したことによる。このとき、第2の基台12は、孔18において、第1の円錐台面17と同心軸状に位置される。なお、基台移動手段は、検査対象物7の外径、内径等のサイズに対応して、第1の基台11に対する第2の基台12の位置を調整することができると共に、第2の基台12の上下移動速度も調整することができる。
【0034】
また、第2の基台12の先端部は、上方の一方端から下方の他方端にかけて外径が大きくなる円錐台形状をなす第2の円錐台面21を有している。この第2の円錐台面21も、鏡面状に加工されている。なお、この円錐状面に反射膜を塗布することで、第2の円錐台面21を形成しても良い。また、第2の円錐台面21の円錐角は、第1の円錐台面17の円錐角と略同じ角度である。この第2の円錐台面21は、その中心軸上において、第1の円錐台面17と同じ上方を向いている。そして、検査対象物7は、下方における内周側端縁の全周にわたって第2の円錐台面21に当接され、下方における外周側端縁の全周にわたって第1の円錐台面17に当接されて、配置されている。
【0035】
照明器16は、照明器移動手段によって、照明器16の姿勢を維持した状態で、上昇されている。そのことにより、検査対象物7の上面7a及び内周面7cは、照明器16によって、直接照明されている。したがって、検査対象物7の上面7a及び内周面7cは、照度が減じられることなく、鮮明に照明されている。
【0036】
また、検査対象物7の内周側の端縁は、全周にわたって、第2の円錐台面21に当接しているため、検査対象物7の内周面7cと第2の円錐台面21とは、近距離になるために、第2の円錐台面21に、検査対象物7の内周面7cが鮮明に写影される。そのため、検査対象物7の上面7a及び内周面7cが照明器16によって直接照明されていることと相まって、カメラ6によって、検査対象物7の上面7a、及び第2の円錐台面21に写影された検査対象物7の内周面7cをコントラストよく鮮明に撮像することができる。そのため、検査対象物7の上面7a及び内周面7cの外観を確実に検査することができる。また、検査対象物7の上面7aと内周面7cとは連なって撮像されるため、外観検査を行い易い。さらに、検査対象物7の外周面7bも第1の円錐台面に写影されるため、あわせて外周面7bも検査することができる。図2の検査対象物7と図3の検査対象物7はともに円環形状であるが、サイズが若干異なっている。しかしながら、同じサイズの検査対象物7を図2及ぶ図3に示す状態で検査することができるのは言うまでもない。
【0037】
次に、図4を参照して、検査対象物7の位置決めについて説明する。
【0038】
図4(a)は、検査対象物7を第1の円錐台面17に対して同心軸状に配置させようとしたときに、偏心した状態で検査対象物7が第1の円錐台面17に載置された状態を示している。この場合、検査対象物7の姿勢を修正し、検査対象物7を第1の円錐台面17に対して同心軸状に配置させる必要がある。そこで、図4(b)に示すように、基台移動手段によって、第2の基台12を上方に移動させて、検査対象物7の内孔22に第2の円錐台面21を挿入させて、第2の基台12により検査対象物7を持ち上げて支持させる。すると、偏心した姿勢であった検査対象物7は、第2の基台12に支持される際、その姿勢が修正されて、第2の円錐台面21に対して同心軸状となる。その状態で、図4(c)に示すように、基台移動手段によって、第2の基台12を下方に移動させることにより、検査対象物7は、第1の基台11に対して同心軸状に配置され、位置決めされることとなる。この場合、基台移動手段による第2の基台12の上下移動を一度行っただけでは修正しきれなかった場合、基台移動手段による第2の基台12の上下移動を繰り返し行うことにより、検査対象物7の姿勢を修正して位置決めすることができる。
【0039】
次に、図5を参照して、円盤形状の検査対象物23の位置決めについて説明する。
【0040】
図5(a)は、検査対象物23を第1の円錐台面17に配置させたときに、第1の円錐台面17に対して偏心した状態で検査対象物23が第1の円錐台面17に載置された状態を示している。検査対象物23の姿勢を修正するためには、図5(b)に示すように、基台移動手段によって、第2の基台12を上方に移動させて、第2の基台12の頂面24によって検査対象物23を持ち上げて支持させる。すると、偏心した姿勢であった検査対象物23は、第2の基台12の頂面24に支持される際、その姿勢が修正されて、水平となり、第1の円錐台面17に対して同心軸状となる。その状態で、図5(c)に示すように、基台移動手段によって、第2の基台12を下方に移動させることにより、検査対象物23は、第1の円錐台面17に対して同心軸状に配置され、位置決めされることとなる。
【0041】
以上のように検査対象物7の上面7a、外周面7b、内周面7cの検査に関する説明を踏まえて、図1に戻り、外観検査用装置1における検査対象物7の検査の流れについて説明する。
【0042】
先ず、矢印Rに示す第1の基台11における第1の円錐台面に、検査対象物7を配置する。そして、回転手段によって矢印P方向に第1のテーブル板8を回転させ、検査対象物7をカメラ6Aの下方に位置付ける。このとき、検査対象物7が、第1の円錐台面17に対して偏心した状態で配置されている場合には、図4に示す方法により、検査対象物7の姿勢を修正して位置決めする。そのうえで、図2に示すように、検査対象物7の上面7a及び外周面7bをカメラ6Aで撮像する。カメラ6Aによって出力された画像信号は、画像処理装置3によって処理され、モニター4に表示される。モニター4には、検査対象物7の上面7a及び外周面7bの外観がコントラスト良く鮮明に表示されるため、これを観察して検査する。
【0043】
さらに、図3に示すように、照明器16Aを照明器移動手段によって上昇させて、検査対象物7の上面7a及び内周面7cをカメラ6Aで撮像する。このカメラ6Aによって出力された画像信号は、画像処理装置3によって処理され、モニター4に表示される。モニター4には、検査対象物7の上面7a及び内周面7cの外観がコントラスト良く鮮明に表示されるため、これを観察して検査する。
【0044】
続いて、回転手段によって矢印P方向に第1のテーブル板8を同じ角度だけ回転させ、矢印Sに示すように、検査対象物7を、例えば、アームロボット等の反転機構によって反転させて、第1のテーブル板8の回転方向に隣接する別の第1の基台11における第1の円錐台面に配置する。さらに、回転手段によって矢印P方向に第1のテーブル板8を同じ角度だけ回転させ、検査対象物7をカメラ6Bの下方に位置付ける。このときにも、検査対象物7が、第1の円錐台面17に対して偏心した状態で配置されている場合には、図4に示す方法により、検査対象物7の姿勢を修正して位置決めする。
【0045】
そして、カメラ6Aで撮像した検査対象物7の上面7aとは裏側の面を、カメラ6Bによって撮像させる。このカメラ6Bによって出力された画像信号は、画像処理装置3によって処理され、モニター4に表示される。モニター4には、検査対象物7の裏面がコントラスト良く鮮明に表示されるため、これを観察して検査する。なお、カメラ6Bの下方に検査対象物7が配置されたときに、図2及び図3に示すように、検査対象物7の裏面や外周面7b、内周面7cを検査しても良い。
【0046】
検査対象物7の検査が終了すると、回転手段によってさらに矢印P方向に第1のテーブル板8を回転させる。そして、矢印T,Uに示すように、良、不良を区別して、検査対象物7を仕分けする。ここで、検査対象物7の良、不良の区別は、検査対象物7の表面におけるカケ、ワレ、或いはクラック等の有無によって判断する。
【0047】
図6は、検査対象物7であるリングバリスタが不良であった場合に、図3で示す構成でカメラ6により撮像され、モニター4に表示されるリングバリスタ7の検査画面例である。図6に示すように、画面中央には、第2の基台12の頂面24が表示され、その周囲には、第2の円錐台面21が表示されている。さらに、その周囲には第2の円錐台面21に写影されたリングバリスタ7の内周面7c、続いて上面7a、さらに、第1の円錐台面17に写影されたリングバリスタ7の外周面7bが表示されている。この外周面7bには、3個の側面電極部26が現れており、隣接する側面電極部26,26間は、電極ギャップ部27となっている。さらにその周囲には、第1の円錐台面17が表示されている。このような画像において、例えば、符号28で示すようなクラックが生じていた場合には、不良品として取り扱う。
【0048】
なお、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態では、検査対象物7としてリングバリスタを例に挙げたが、リング磁石、リングコア等であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係る外観検査用装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】検査対象物の上面及び外周面を検査している様子を示す断面図である。
【図3】検査対象物の上面及び内周面を検査している様子を示す断面図である。
【図4】円環形状の検査対象物の位置決めについて説明する図であり、図4(a)は、偏心した状態で検査対象物が第1の円錐台面に載置された状態を示している。図4(b)は、第2の基台により検査対象物を持ち上げて支持させている状態を示す図である。図4(c)は、検査対象物の姿勢が修正されて、第1の基台に対して位置決めされた状態を示す図である。
【図5】円盤形状の検査対象物の位置決めについて説明する図であり、図5(a)は、偏心した状態で検査対象物が第1の円錐台面に載置された状態を示している。図5(b)は、第2の基台により検査対象物を持ち上げて支持させている状態を示す図である。図5(c)は、検査対象物の姿勢が修正されて、第1の基台に対して位置決めされた状態を示す図である。
【図6】リングバリスタの検査画面例である。
【符号の説明】
【0050】
1…外観検査用装置、7,23…検査対象物、8…第1のテーブル板、9…第2のテーブル板、11…第1の基台、12…第2の基台、16…照明器、17…第1の円錐台面、18…孔、19…光源、21…第2の円錐台面、22…内孔、24…頂面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱面状とされた外周面を有する検査対象物の外観検査を行うための外観検査用装置であって、
一方端から他方端にかけて内径が小さくなる円錐台面が形成された基台と、
前記一方端側で前記基台に対向するように配置された円環状の照明器と、を備え、
前記照明器は、前記円錐台面の内側で且つ前記円錐台面と同心軸状に配置された前記検査対象物の前記照明器に対向する主面と前記外周面とを直接照明し、前記円錐台面に前記検査対象物の前記外周面を写影させることを特徴とする外観検査用装置。
【請求項2】
前記照明器は、一方の端縁全周が前記円錐台面に当接して配置された前記検査対象物の前記照明器に対向する前記主面と前記外周面とを直接照明することを特徴とする請求項1に記載の外観検査用装置。
【請求項3】
円柱面状とされた内周面を有する検査対象物の外観検査を行うための外観検査用装置であって、
一方端から他方端にかけて外径が大きくなる円錐台面が形成された基台を備え、
前記基台の前記円錐台面が形成された部分に、前記内周面により構成される内孔を挿入して配置された前記検査対象物の前記内周面を前記円錐台面に写影させることを特徴とする外観検査用装置。
【請求項4】
前記円錐台面は、前記検査対象物の一方の内端縁全周によって当接されることを特徴とする請求項3に記載の外観検査用装置。
【請求項5】
円柱面状とされた外周面及び内周面を有する検査対象物の外観検査を行うための外観検査用装置であって、
一方端から他方端にかけて内径が小さくなる第1の円錐台面が形成され、前記第1の円錐台面の中心軸線に沿って孔が形成された第1の基台と、
前記第1の基台の前記孔において、前記第1の円錐台面と同心軸状であって、一方端から他方端にかけて外径が大きくなる第2の円錐台面が形成された第2の基台を備え、
前記第1及び前記第2の円錐台面は、前記中心軸線上において同じ方向を向いていることを特徴とする外観検査用装置。
【請求項6】
前記第1の基台と前記第2の基台とを、前記中心軸線に沿って相対的に移動させる基台移動手段をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の外観検査用装置。
【請求項7】
前記第1の円錐台面及び前記第2の円錐台面はともに上方を向いており、
前記基台移動手段は、前記第2の基台を前記第1の基台に対して上下させて、検査対象物を前記第1の円錐台面上に位置決めすることを特徴とする請求項6に記載の外観検査用装置。
【請求項8】
前記第1の基台に対向するように配置され、前記第1及び第2の円錐台面と同心軸状となるように配置された円環状の照明器と、
前記照明器の姿勢を維持させつつ、前記第1及び第2の基台と前記照明器とを相対的に移動させる照明器移動手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の外観検査用装置。
【請求項9】
複数の前記第1の基台が円周上に配列されて構成された第1のテーブル板と、
前記第1のテーブル板の下方に配置され、複数の前記第2の基台が、円周上に配列されて固定された第2のテーブル板とを備え、
前記第1のテーブル板と前記第2のテーブル板とは同心軸状に配置され、且つ、前記複数の前記第1の円錐台面が配列された円周と前記複数の前記第2の円錐台面が配列された円周は同じ大きさであり、
さらに、前記第1のテーブル板を前記第2のテーブル板に対して相対的に回転させる回転手段を備え、
前記基台移動手段は、前記第2のテーブル板を前記第1のテーブル板に対して相対的に上下させることを特徴とする請求項6又は7のいずれか一項に記載の外観検査用装置。
【請求項10】
円柱面状とされた外周面及び内周面を有する検査対象物の外観検査を行うための外観検査用装置であって、
一方端から他方端にかけて内径が小さくなっており、検査対象物の一方の外端縁全周を当接するための第1の円錐台面が形成され、前記第1の円錐台面の中心軸線に沿って孔が形成された第1の基台と、
前記第1の基台の前記孔において前記第1の円錐台面と同心軸状に配置され、前記検査対象物の一方の内端縁全周を当接するため、一方端から他方端にかけて外径が大きくなる第2の円錐台面が形成された第2の基台と、を備え、
前記第1及び前記第2の円錐台面は、前記中心軸線上において同じ方向を向いていることを特徴とする外観検査用装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−3271(P2006−3271A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−181497(P2004−181497)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】