説明

多モードファイバを含むオプティカルカプラ、およびその製造方法

【課題】少数のモードを伝搬するフューモードファイバー(FMF)を中心に有する多モードポンプファイバーのバンドルと、ラージエリアコアダブルクラッドファイバー(LACDCF)とを接続した、光カプラを提供する。
【解決手段】中央のFMF10と、それを取り囲む複数の多モードファイバー16,18をバンドルし、融着領域20内で融着一体化する。ついでバンドル端は、ラージエリアコア28および内側のクラッディング30を有し、外側のポリマークラッディング32がはぎ取られたLACDCF26の端25に、アラインされ、スプライスされる。この時、バンドル中央のFMF10からラージエリアコア28まで基本モード送信を保存するために、適切なモードモードフィールド直径の調節によりスプライシングされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野
本発明は、一般に光ファイバカプラに関する。
特に本発明は、それらの中心にアフューモードファイバー(a few−mode fiber)を含んでいる多モードファイバーのバンドルを、ラージコアエリアダブルクラッドファイバーにカップリングするための光ファイバカプラに関する。本発明は、さらにそのようなカプラの製造方法を提供する。
【0002】
本発明の背景
多モード光ファイバは、通信網、センサシステム、アビオニクスおよび航空宇宙産業、医療機器、ファイバーバンドル、およびファイバー増幅器およびレーザのような多くの用途に使用される。これらの用途のほとんどにおける基礎的構成要素のうちの1つは、多モードファイバーカプラであり、それはパワースプリッター、タップカプラ、スターカプラあるいはパワーコンバイナーのようないくつかの異なる形式をとることができる。
これらのコンポーネントはすべて本質的にいくつかの多モードファイバーを使用し、それらを機械的にそれらを保持するか、またはそれらを一緒にねじることによりそれらをともに束ね、入力から出力までファイバー間のカップリングを引き起こすために構造物は融着され、および/またはテーパーにされる。このカップリングの基礎的な記述は、Kawasakiらの米国特許4,291,940に記載される。それは、2つの多モードファイバーが並んで置かれ、次に熱源を使用して融着される場合、1つのファイバーから別のファイバーに幾分かの光学的力の移動があることを明らかにする。そのような移動は、構造物が引っぱられ、テーパーにされるとともに増加させられることができる。
【0003】
基礎的な融着−テーパーのコンセプトは、その後の多くの特許、たとえば米国特許4,392,712および4,330,170に使用され、この手順が2以上のファイバーに使用することができ、それにより、MxN(Mはファイバーの入力数で、Nはファイバーの出力数である)、の融着−テーパーバンドルができることが明白になった。さらに、融着されテーパーづけられるプロセスはさらに、たとえば米国特許4,426,215および4,550,974に記載されるようないくつかのさらなる改良を受けた。ここでは、融着−テーパー多モードファイバーバンドルの中のパワー分布の均一性を改善するためのいくつかの技術が開示された。特には、米国特許4,550、974は、現在「カットアンドフューズ」プロセスとして知られる技術を開示し、これは融着されテーパーされた多モードファイバーバンドルがカットされ、ついで再度一緒に融着されてより良好なモードスクランブリング効果、すなわちより良好な均一性を与える。このプロセスから、同じ2つのカプラハーフをともに融着させる必要がなく、2つの異なるカプラハーフを使用することができることは早期に明白になり、それによりM x Nカプラを作る別の方法が作り出された。
【0004】
多モードファイバーの用途が発展するにつれ、このプロセスの利益を受ける別の用途が生じた。ダブルクラッドファイバー増幅器あるいはレーザはある種のファイバー、ダブルクラッドファイバー(DCF)を使用し、これはイッテルビウム、エルビウムあるいはネオジウムのような希土類元素のイオンでドープされたシングルモードコアを有し、はるかに大きな直径のオプティカルクラッディングにより囲まれている。このクラッディングは高度の多モード導波管であり、それはより低い屈折率である別のオプティカルクラッディングより囲まれ、それはポリマークラッディングであることができる。DCFコアを通して伝播する光学信号を増幅するために、希土類元素のイオンを光学的にポンプする必要がある。ポンプ光パワーは、シングルモードファイバー増幅器と同じ方法によりコア内に注入することができる。しかし、ダブルクラッドの目的は、コアを囲む内側のクラッディング内にポンプパワーを注入することができるということである。クラッディングモードのうちのいくつかがコアを通して移動するので、それらは希土類元素のイオンにエネルギーを供給し、信号の増幅を可能にする。さらに、内側のクラッディングがコアよりはるかに大きいので、多くのポンプレーザー光線を入力し、コア中でポンプレーザーを波長多重または偏光多重するのでなくて、クラッディング中で空間的に多重化することが可能である。したがって、シングルモードファイバー増幅器と比較して、非常に大量のポンプパワーが増幅用のDCFにおいて利用可能である。
【0005】
いくつかのDCF増幅器あるいはレーザでは、カップリングは、ダブルクラッディング内へレンズとミラーを通してポンプパワーをカップリングする、バルクオプティクスによって達成される。米国特許5、864、644は、「カットアンドフューズ」技術と同様なアプローチを使用して、多モードテーパーバンドルを行う方法を開示する。ここでは、第2のカプラハーフがDCFと置き換えられる。この特許は、シングルモードファイバーのバンドル内に含まれ、DCFのシングルモードコアに接続され、信号をカプラを通して伝達し、増幅または減衰され、カプラが反対のポンプ配置(すなわち、ポンプパワーおよび信号は反対方向に入る)で使用される場合に、増幅器を出てゆく信号のロスを最小にする方法を開示する。この構造の修正は米国特許6,434,302に示される。そこでは、よりよい性能のために、テーパーにされたバンドルおよびDCF構造は、高められた利得効率用モード分布を改善するために、DCFの直径よりさらにテーパーにしなければならないと述べられている。
【0006】
高パワーアンプおよびレーザにおいて、ポンプに利用可能な力がより大きくなるにつれて、増幅器またはレーザの出力も、ドープしたガラス中の光の強度が十分に大きくなりガラスを破損するか、またはラマンまたはブリュアン散乱のような不適当な非線形の影響を生ずるまで大きくなる。したがって、DCFファイバーの新しい世代が、これらの高パワー状況に対処するために開発された。これらのファイバーは大きなコア領域を有し、その結果、パワーが大きくても、コア中の強度は適切なままである。コア導波管のインデックスステップを減少させても、大きなコアは必ずしもレーザ波長のシングルモードではない。ファイバーコアはアフューモードである。そのモードで増幅されるコア基本モードを注意深く励起しなければならず、それが最良の出力ビームを生じさせる。米国特許5,864、644および6,434,302は、シングルモード接続のみを取り扱い、この問題を取り扱っていない。シングルモード接続は単純である。なぜなら、テーパーにされたファイバーバンドルとDCFの間のスプライスが悪くても、接続中の基本モード以外に何も励起することができないからである。アフューモードの場合では、この接続は増幅器を適切に機能させるために重大である。
【0007】
したがって、それらの中心にアフューモード信号ファイバーを有する多モードポンプファイバーのバンドルと、ラージエリアコアダブルクラッドファイバー(LACDCF)との接続を提供するカプラへの必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、LACDCFに接続されるべき、それらの中心にアフューモードファイバーを有する多モードファイバーの融着されたファイバーバンドルのオプティカルカプラを提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、そのようなカプラ中のアフューモードコアのモーダルコンテント(modal content)を保存する、インプットエンドフューズドファイバー表面あるいはファイバーバンドル横断面ジオメトリーを提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、LACDCFへのファイバーバンドルのアラインメントおよびスプライシングを含む、上記の言及された特性を有するカプラの製造方法を提供することである。他の目的および発明の利点は以下の記述から明白になるだろう。
【0011】
知られているように、シングルモードファイバーは通常9ミクロン以内のモードフィールド直径を持っている。アフューモードファイバーは通常30−50ミクロンのモードフィールド直径を持ち、多モードファイバーは一般に50ミクロン以上のコアモードフィールド直径を持つ。さらに、LACDCFでは、コアは、アフューモードファイバーのコアの直径に類似するモードフィールド直径を持っている。
【0012】
シングルモード接続では、テーパーにするプロセスでは、モードフィールド直径は減少ではなく増加するので、同じモードフィールド直径を有する2つのコアを取り扱う。
米国特許6,434,302に開示されているように、シングルモードファイバーを含んでいるファイバーのバンドルをテーパーすることによって、DCFシングルモードコアのモードに、テーパーされたバンドルのシングルモードコアのモードフィールドを一致させることができる。しかしながら、2つのファイバーコアがシングルモードになるポイントまでバンドルをテーパーにしなければ、これをアフューモードファイバーで達成することは可能ではない。したがって、アフューモードファイバーのバンドルにLACDCFを接続することにおける基本的な相違は、信号を伝搬するアフューモードファイバーは、(シングルモードファイバーの場合のように)単純にテーパーにするだけで接続を達成することができず、LACDCFのモモーダルコンテントと一致するように作られなければならないということである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によって、本質的に、次のものを含むオプティカルカプラが提供される:
(a) 中心にアフューモードファイバーを有する複数の多モードファイバーのバンドルであって、該アフューモードファイバーは、それを通って光学信号が送信されるシグナルファイバーである;
(b) 内側のクラッディングおよびより低い屈折率を有する外側のクラッディングを有するラージエリアコアダブルクラッドファイバー(LACDCF)であって、該外側のクラッディングはポリマーで作られることができ、外側のクラッディングがポリマーで作られている場合に該LACDCFの末端では外側のクラッディングが取り除かれ、該末端はインプットエンドで終了し、その内側クラッディングはあらかじめ決定された外周長さを有し、LACDCFのインプットエンド内に送信される光学信号が入力される、
(c) LACDCFのインプットエンドの内側クラッディングの周囲内にフィットする、周囲長さを有するアウトプットエンドを有する融着エンド部分を有するバンドル;および
(d) アフューモードファイバーからLACDCFまで基本モード送信を保存するような方法で、LACDCFのインプットエンドとアラインされスプライスされたバンドルのアウトプットエンド。
【0014】
バンドルの多モードファイバーの末端部分も、LACDCFのインプットエンドの内側クラッディングの周囲内にフィットするために、融着される前にテーパーされることができる。
【0015】
本発明の方法は本質的に次のものを含む:
(a) 中央のアフューモードファイバーと、複数の取り囲む多モードファイバーをバンドルし、取り囲む多モードファイバーが中央のアフューモードファイバーのまわりにほぼ対称的に位置するようにし、それによってアウトプットエンドを有するファイバーのバンドルを形成すること;
(b) ラージエリアコアダブルクラッドファイバー(LACDCF)であって、外側のポリマークラッディングを有する場合には、該外側ポリマークラッディングをそのエンド部分から除去し、該エンド部分は所定の周囲長さの内側クラッディングを有するLACDCFインプットエンドで終了するエンド部分を有するものを提供すること;
(c) バンドルのアウトプットエンドを融着し、その周縁が、LACDCFのインプットエンドの内側クラッディングの外周囲内にフィットするようにすること;および
(d) アフューモードファイバーのコアがLACDCFのコアと正確にモード的にアラインされ、アフューモードファイバーからLACDCFへの基本モード送信を保存するような方法で、バンドルの融着されたアウトプットエンドをLACDCFのインプットエンドにスプライスすること。
【0016】
バンドルのアウトプットエンドでの多モードファイバーも、LACDCFのインプットエンドの内側のクラッディングの周囲内にフィットするために、融着されるに先立ってテーパーされることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明は、図面を参照して説明される:
【図1】図1は、2本の多モードファイバー、および中心にある1本のアフューモードファイバーを含む3本のファイバーのバンドルが、LACDCFに接続されている、本発明にのカプラ配置の概要の側面図である;
【図2】図2は、A−A行目に沿った図1のスプライシング領域の断面図である;
【図3】図3は、図1に示されたカプラの透視図である;
【図4】図4は、2本より多い多モードファイバー、および中心にある1本のアフューモードファイバーを含むバンドルが、LACDCFに接続されている、本発明のカプラ配置の概要の側面図である;
【図5】図5は、LACDCFとスプライシングする前に、シングルモードファイバーのコアが拡張され、アフューモードファイバーのコアに接続される、本発明の実施態様の概要の側面図である;
【図6】図6は、LACDCFとスプライシングする直前に、シングルモードファイバーのコアがアフューモードファイバーのレベルまで拡張される、本発明の異なる実施態様の概要の側面図である;
【図7】図7は、LACDCFとスプライシングする前に、アフューモードファイバーのコアがバンドリングの前に拡張され、その後バンドル融着領域内で、適当なモードサイズに融着され、テーパーされる、本発明の実施態様の概要の側面図である;
【図8】図8A−8Kは、本発明の範囲内として使用することができる異なるフアイバーバンドル配置の概要の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の詳細な説明
本発明の好ましい実施態様が、図面を参照しつつ説明されるが、同一部品は同じ参照番号によって示される。図1の中で示される実施態様では、アフューモードファイバー10が提供され、これは50ミクロンの直径のコア12および125ミクロンの直径のクラッディング14を有する。このアフューモードファイバー10は2つの多モードファイバー16および18とバンドルされ、該バンドルは融着領域20内で融着される。多モードファイバー16、18は各々、105ミクロンの直径のコア22および125ミクロンの直径のクラッディング24を有する。3つのファイバーは融着の前に375ミクロンの長さ方向での周囲長さを有し、融着の後に350ミクロンになる。この構造の融着された端はついでぴったりと合わされ、50ミクロンの直径のラージエリアコア28および350ミクロンの直径の内側のクラッディング30を有するLACDCF26の端25に、アラインされ、スプライスされた。第2の外側のポリマークラッディング32は、スプライシング領域34でスプライシングのに先立って、LACDCFのエンド部分27からはぎ取られた。ポリマーがスプライシング中に燃えないように、ポリマークラッディングがはぎ取られる。しかしながら、ポリマーではない外側のクラッディングが使用される場合、スプライシング領域の近くの内側のクラッディングからそれを剥ぐ必要はない。一旦カプラがこのように作られれば、それは、適切な基板に結合されてパッケージにされ、コンポーネントのアラインメントを保存する。
【0019】
図2は、図1のカプラ配置のA−A線、すなわち本質的にスプライシング位置に沿った図1の横断面図である。多モードファイバー16および18とバンドルされ、融着された、コア12を有するアフューモードファイバー10は、そのモーダルコンテントがコア12に対応するラージエリアコア28(図1中に示される)を有するLACDCF26と整列され、スプライシングされる。ファイバー10、16および18の融着されたバンドルのとLACDCFファイバー26をスプライシングする際、バンドルの周囲はLACDCFの内側のクラッディング30の周囲内にフィットするように適応され、必要な場合、そのようなサイズを達成するためにテーパーされるべきである。この周囲は、LACDCFの内側のクラッディング30のエンド25の全表面をカバーする必要はない。しかし、重要なことは、バンドルおよびアフューモードファイバーがLACDCFと、アフューモードファイバーからLACDCFへの基本モード送信が保持されるようにアラインされることである。本質的に、これは、コア12がラージエリアコア28と正確にモード的にアラインされるべきであることを意味する。これは、アフューモードファイバーの基本モードを発し、ニアフィールド測定装置、たとえば適切なレンズを通してファイバーのエンドフェイスを映し出すカメラで、LACDCFの入力でモーダルコンテントをモニタすることにより行うことができる。その後、ガウスモードフィールドが得られるまで、バンドルとLACDCFをアラインさせる。その後、スプライシングされ、モーダルフィールドは再びチェックされ、モーダルコンテントが変わらないことを確認する。モーダルコンテントがスプライスのために変わっているか損失のある場合には、これはスプライスのストレスによることがある。その後、モーダルコンテントを最適化するためにスプライスを再加熱し再加工する必要がある。モードをモニタする場合、LACDCFファイバーは、測定に影響を与えるモードカップリングを防ぐために、まっすぐ、あるいは若干の張力を加えた状態にあることが好ましい。そのような測定も、最良の結果を生むために、オペレーションの波長で、あるいは非常にそれに近い波長で行われるのがよい。
【0020】
図3は本発明のカプラの透視図を表わす。図3はアフューモードファイバー10が多モードファイバー16および18の間の中間に位置し、LACDCFファイバー26と、スプライシングエンド25で融着され、スプライスされることを示す。スプライシングエンド25の近く、すなわち、エンド部分27で、ポリマーの外側クラッディング32は取り除かれている。その結果、スプライシングは、LACDCF26の内側のクラッディングの周囲内で行われている。ポリマーではない外側クラッディングが使用されても、スプライシングは、LACDCF26の内側クラッディングの周囲内で行われる場合がある。しかし、エンド部分27からそのような外側クラッディングを取り除く必要はない。
【0021】
さらに、多モードファイバー16、18..Nの任意の適切な数の、アフューモードファイバー10のまわりでバンドルされた多モードファイバーを使用することが可能である。したがって、例えば、さらに、125ミクロンの直径を持っているアフューモードファイバー10のまわりに、125ミクロンの直径を持っている6つの多モードファイバーを配置することができる。これらのファイバーは、融着領域20内で融着され、LACDCFの内側クラッディング30の周囲内にフィットするようにされ、アフューモードファイバー10からLACDCF26まで基本モード送信を保存しつつ、LACDCFファイバー26へ、エンド25でスプライシング領域34内でスプライスされた。既に記述されたとおり、これは、コア12および28の適切なモードのアラインメントにより達成される。
【0022】
図4に示された異なる実施態様においては、例えば、125ミクロンのアフューモードファイバー10のまわりにバンドルされた、220ミクロンの直径を持っている7つの多モードファイバー17Nを使用することができる。ファイバー17Nは、融着領域20でそれらを融着させる前に125ミクロンの直径にテーパーされる。その後、それらは、フィード−トラフのモーダルコンテントを保存するようにアラインされた後に、LACDCFのエンド25に、スプライシング領域34でLACDCFファイバー26にスプライスされる。
【0023】
一般に、外側の多モードファイバーをテーパーする場合、以下の比率以上にそれらをテーパーするべきでない:
R=ρ/ρ=NAMM/NADCF
Rは最大のテーパー比である。
ρは多モードファイバーの最終直径である。
ρは多モードファイバーの最初の直径である。
NAMMは多モードファイバーの開口数である。
NADCFはLACDCFの内側のクラッディング導波管の開口数である。
【0024】
外側の多モードファイバーをテーパーする場合、上記のテーパー比が維持されることを条件に、任意の適当な数のそのようなファイバーをバンドルし、ついでアフューモードファイバーのまわりで融着することができる。いくつかのそのようなバンドル配置は図8Aから8Lに示され、以下で議論される。
【0025】
本発明のさらなる実施態様は図5、6および7に示される。これはダブルクラッドファイバーのラージエリアコアへの信号ファイバーのモードフィールド直径の調節に関する。
【0026】
すなわち、図5では、本発明は、50ミクロンのコア28を有するLACDCFファイバー26への、6ミクロンのコア13を有するシングルモードファイバーである信号ファイバー11のモードフィールド直径の調節を提供する。これは、15で示されるようなコアのサイズを増加させるためのモードコンバーターを提供し、所定の長さのアフューモードファイバーに21でスプライスし、融着領域20内に提供されるアフューモードファイバーの50ミクロンのコア12とそれを接続することにより行われる。その後、アフューモードファイバーは多モードファイバー16,18と、融着領域20で融着され、既に記載されたようにしてスプライシング領域34でLACDCF26とスプライスされた。その結果、コア12および28は、アフューモードファイバーからLACDCFへの基本モード送信を保存して連結される。
【0027】
図6に示された別の実施態様では、モードコンバーターを使用して拡張し、シングルモードファイバーを所定の長さのアフューモードファイバーにスプライスするのではなく、19で単一モードファイバー11のコア13を広げ、コア13がスプライシング表面25の近くの融着領域20内で広げられ、それによってファイバー11がスプライシング領域34に通じる数センチメートルにわたりアフューモードになるようにし、スプライシング領域においてLACDCF26とアラインされスプライスされるために、モードコンバーターを提供することができる。この配置は、バンドルの中で提供される過渡的なアフューモードファイバーがないこと以外は、図5の中で示されるものに類似している。
【0028】
図7に示される実施態様は、図4に示されたような周囲のファイバー17Nをテーパーにするにつれて、細くされたアフューモードファイバー10のコア12の拡張を提供する。融着されたバンドルの直径がLACDCFの内部クラッディングの直径より大きいため、または上記の比率Rについて表わされる開口数の関係のために、これ以上外側の多モードファイバーをテーパーにすることができない場合のような、アフューモードファイバーをテーパーにしなければならないバンドルの特別のデザインのために、このような構成が採られることがある。そのような場合には、たとえば融着領域20内の位置23で、前述されたモードコンバーターを使用して、アフューモードファイバー10のコア12を拡張し、スプライシング領域34に導くことができる。スプライシング表面25でのアフューモードファイバーのコアが、LACDCF26のコア28と一致し、フィード−スルーの必要なモーダルコンテントを生成するように、この拡張は行われる。追加のテーパーリングが行われる場合、ポンプファイバーの合計のテーパリングは、前述されたR比率を超えるべきでないことに留意することは重要である。その比率より過剰のすべてのテーパリングは、余分なロスを引き起こすだろう。
【0029】
図5、6および7に関して前述されたモードコンバーターは、ファイバーコア中のドーパントとして存在するゲルマニウムがクラッディング内へ拡散し、それによりコアのサイズ、すなわちモードを増大させるように、ファイバーを高温に加熱することにより通常作られる。そのような拡散過程の1つのポイントで、拡張したコアのモードフィールド直径は、DCFのラージエリアコアのそれと等しくなる。このポイントで、加熱は停止され、モードコンバージョンは完了する。
【0030】
様々なバンドル、特にはテーパーにされたバンドルでは、できるだけアフューモードファイバーの周囲の対称性を尊重し、融着プロセスは非対称的なアフューモードファイバーのコアの変形を起こさないことが重要である。そうでないと、良好なスプライスを与えることを困難にする。しかしながら、ファイバーの数がたとえば19を越えるように多い場合、信号ファイバーがファイバーバンドルの中心に本質的に保持される限り、構造の対称を保存することにあまりに注意深くなる必要がない。高い融着と外側の多モードファイバーのテーパリングをしても、コアの変形は無視できるだろう。
【0031】
図8Aから8Lは、LACDCFとカップリングされるバンドル内の、本発明に従って使用することができる異なるファイバー配置を例証する。これらの配置が制限的ではないことは留意されるべきである。
【0032】
すなわち、図8Aは、3×1または(2+1)×lの配置を示し、たとえば既に図1、2および3において示されたように、3つのファイバーが1つのLACDCFとカップリングされる。この場合、中央の信号ファイバーFMFはアフューモードファイバーであり、2つの外側のポンプファイバMMFは多モードファイバーである。
図8Bは、4×lまたは(3+1)×l配置を示し、FMFは中央にあり、3つのMMFはそれを対称的に囲む。
図8Cおよび8Dは、本発明に従って使用することができる、5×1あるいは(4+1)×lバンドルの2つの対称な配置を例示する。FMFは中央に位置し、MMFファイバーに対称的に囲まれる。
図8Eおよび8Fは6×1あるいは(5+1)×lの2つの配置を示す。図8Eでは、FMFは同じ直径の5つのMMFファイバーに囲まれる。また、図8Fでは、中央のFMFは5つのより大きなMMFポンプファイバーに囲まれる。
図8Gは、中央のFMFが、同じサイズの6つのMMFポンプファイバーにより囲まれる、7×1または(6+1)×l配置を示す。
図8Hは、中央のFMFが9つの周囲のMMFポンプファイバーより著しく大きい、(9+1)×l配置を例示する。
図8Iは、中央のFMFが18の周囲のMMFポンプファイバーより大きい、(18+1)×1配置を示す。この場合、2、3の周囲のファイバーのみがMMFファイバーとして示されたが、それらのすべてはMMFファイバーであることができる。すべてのポートが必要ではない場合には、それらのいくつかはダミーのファイバー、すなわちコアのない純粋なシリカファイバーで置き換えることができる。
図8Jは、中央のFMFが、同じサイズの18のMMFファイバーにより囲まれる、19×1または(18+1)×l配置を示す。再び、MMFポートのうちのいくつかが必要でない場合、それらはダミーのファイバーと取り替えることができ、これはすべての配置に当てはまる。
図8Kは、大きな直径のFMFが18のMMFポンプファイバーにより取り囲まれる、19×1または(18+1)×1配置を示す。
最後に、図8Lは、中央のFMFが、同じサイズの36のMMFポンプファイバーにより囲まれる、37×1または(36+1)×l配置を示す。
【0033】
例として、ポンプファイバーを半分に減らすために、ポンプファイバーの直径を125ミクロンから65ミクロンに減らすと、図8Hに示されるように、125ミクロンの信号ファイバーのまわりに9つのファイバーを置くことができる。さらに図8Iに示されるようなに、1つの信号ファイバーのまわりの18のポンプファイバーの配置を形成するために、ポンプファイバーの別の層を加えることができる。図8Kに示されるように、信号ファイバーを囲む27のポンプファイバーを生成するためにポンプファイバーの追加の層をさらに加えることができる。27のポンプファイバーで、配置は400ミクロンの直径のLACDCFの内にフィットする。
【0034】
さらなる例において、ポンプファイバーが0.22の開口数で直径が220ミクロンである場合、それらを125ミクロンの直径にし、125ミクロンの中央の信号ファイバーのまわりにそれらをバンドルすることができる。図8A、8B、8C、8D、8E、8G、8Jおよび8Lに例示されるように、ファイバーがすべて等しいサイズである配置を生成することができる。図8Gで示される7×1、図8Jで示される19×1、および図8Lで示される37×1の配置は最密配置であり、スペースがファイバー間に本質的に残されていないことを意味している。
【0035】
本発明の範囲は上記の具体的な実施態様に限定されないことは留意されるべきである。当該技術分野における当業者にとって自明な種種の改良を、本発明の技術的範囲および特許請求の範囲の記載から離れて行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のものを含むオプティカルカプラ:
(a) 中心にアフューモードファイバーを有する複数の多モードファイバーのバンドルであって、該アフューモードファイバーはそれを通って光学信号が送信される信号ファイバーである;
(b)内側クラッディングおよび、より低い屈折率を有する外側クラッディング、およびインプットエンドで終了するエンド部分を有するラージエリアコアダブルクラッドファイバー(LACDCF)であって、その内側クラッディングは予め決定された外周長さを有し、そのLACDCFのインプットエンドに光学信号が送られる;
(c)該バンドルはアウトプットエンドと融着されたエンド部分を有し、該アウトプットエンドはLACDCFのインプットエンドの内側クラッディングの外周囲内にフィットする周囲を有する;および
(d)アフューモードファイバーからLACDCFへの基本モード送信を保存するような方法で、LACDCFのインプットエンドとアラインされスプライスされたバンドルのアウトプットエンド。
【請求項2】
LACDCFの外側のクラッディングがポリマークラッディングであり、該ポリマーの外側のクラッディングがLACDCFのエンド部分から取り除かれる、請求項1記載のオプティカルカプラ。
【請求項3】
LACDCFのインプットエンドの内側クラッディングの外周囲内にフィットさせるために、アウトプットエンドで融着する前に、多モードファイバーがテーパーにされる、請求項1または2記載のオプティカルカプラ。
【請求項4】
アフューモードファイバーのコア中の基本モード送信に影響しないような方法で、多モードファイバーがテーパーにされ融着される、請求項3記載のオプティカルカプラ。
【請求項5】
バンドル化する前にアフューモードファイバーのコアが拡張されている場合、多モードファイバーのテーパリングがアフューモードファイバーのコアを、バンドルのアウトプットエンドの近くで基本モードサイズに減少させる、請求項3記載のオプティカルカプラ。
【請求項6】
アフューモードファイバーはそのアウトプットエンドで、単一モードファイバーから拡張されたコアを有するファイバーである、請求項1、2または3記載のオプティカルカプラ。
【請求項7】
バンドル内において、複数の多モードファイバーがアフューモードファイバーの周囲に本質的に対称的に配置される、請求項1から6のいずれか1項記載のオプティカルカプラ。
【請求項8】
バンドル中の複数の多モードファイバーの少なくとも1つが、ダミーのファイバーと置き換えられる、請求項1から7のいずれか1項記載のオプティカルカプラ。
【請求項9】
以下を含む、オプティカルカプラを形成する方法:
(a) 中央のアフューモードファイバーと、それを取り囲む複数の多モードファイバーをバンドルし、取り囲む多モードファイバーが中央のアフューモードファイバーのまわりに本質的に対称的に位置するようにし、それによってアウトプットエンドを有するファイバーのバンドルを形成すること;
(b)内側のクラッディングおよびより低い屈折率の外側のクラッディングを有するラージエリアコアダブルクラッドファイバー(LACDCF)であって、インプットエンドで終了するエンド部分を有し、LACDCFの内側クラッディングが所定の外周囲長さを有するものを提供すること;
(c) バンドルのアウトプットエンドを融着し、その周縁が、LACDCFのインプットエンドの内側クラッディングの外周囲内にフィットするようにすること;および
(d)バンドルの融着されたアウトプットエンドをLACDCFのインプットエンドに、アフューモードファイバーのコアがLACDCFのコアと正確にモード的にアラインされ、アフューモードファイバーからLACDCFへの基本モード送信を保存するような方法で、スプライスすること。
【請求項10】
LACDCFの外側のクラッディングがポリマークラッディングであり、スプライシングの前に、該ポリマーの外側のクラッディングがLACDCFのエンド部分から取り除かれる、請求項9記載の方法。
【請求項11】
融着する前に、多モードファイバーがバンドルのアウトプットエンドでテーパーにされる、請求項9または10記載の方法。
【請求項12】
テーパリングが以下の最大テーパー比により行われる、請求項11記載の方法:
R=ρ/ρ=NAMM/NADCF
Rは最大のテーパー比である。
ρは多モードファイバーの最終直径である、
ρは多モードファイバーの最初の直径である、
NAMMは多モードファイバーの開口数である、
NADCFはLACDCFの内側のクラッディング導波管の開口数である。
【請求項13】
多モードファイバーのテーパリングと引き続くバンドルの融着が、アフューモードファイバーのコアのモーダルサイズに影響を与えないように行われる、請求項11または12記載の方法。
【請求項14】
バンドル化の前にアフューモードファイバーのコアが拡張されていた場合に、多モードファイバーのテーパリングと引き続くバンドルの融着が、アフューモードファイバーのコアのモーダルサイズを減少させる、請求項11または12記載の方法。
【請求項15】
アフューモードファイバーは、そのバンドルのアウトプットエンドの近くで、初期の単一モードファイバーコアから拡張されたコアを有する、請求項9または10記載の方法。
【請求項16】
拡張が、コアのサイズを大きくするために、モードコンバーター手段により行われる、請求項14または15記載の方法。
【請求項17】
拡張が、高温に加熱して、コア中に存在するゲルマニウムがクラッディング内へ拡散し、それによりコアのサイズおよびモードを増大させることにより行われる、請求項14または15記載の方法。
【請求項18】
アフューモードファイバーの基本モードを発し、ニアフィールド測定装置でLACDCFのインプットエンドでモーダルコンテントをモニタし、ガウスモードフィールドが得られるまで、バンドルのアウトプットエンドとLACDCFのインプットエンドをアラインさせることにより、アフューモードファイバーのコアとLACDCFのコアをモード的に正確にアラインさせる、請求項9から17項のいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
ニアフィールド測定装置でモードをモニターする際にLACDCFが直線上または若干張力のかけられた状態で保持され、測定がオペレーションの波長またはその近傍の波長で行われる、請求項18記載の方法。
【請求項20】
カプラが適当な基体に結合されることによりパッケージとされ、要素のアラインメントが保存される、請求項18または19記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図8G】
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【図8H】
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【図8I】
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【図8J】
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【図8K】
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【図8L】
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【公開番号】特開2012−88733(P2012−88733A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−278904(P2011−278904)
【出願日】平成23年12月20日(2011.12.20)
【分割の表示】特願2006−526493(P2006−526493)の分割
【原出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【出願人】(506093429)アイティーエフ テクノロジーズ オプティク インク−アイティーエフ オプティカル テクノロジーズ インク (2)
【Fターム(参考)】