説明

多回転角度検出装置

【課題】小型かつ安価にしてフェールセーフ性に優れた多回転角度検出装置を提供する。
【解決手段】歯数が異なる第1ギア11及び第2ギア12を回転軸Y−Yの周囲に同心に形成してなるロータ1と、第2ギア12と噛み合わされ、その回転軸X−Xがロータ1の回転軸Y−Yと交差する方向又は食い違う方向に配置された第2従動ギア14と、第1ギア11と噛み合わされ、その回転軸が第2従動ギア14の回転軸と同心に配置された中継ギア17と、中継ギア17と噛み合わされ、その回転軸が第2従動ギア14の回転軸と平行に配置された第1従動ギア13と、第1及び第2の従動ギア13,14にそれぞれ取り付けられた第1及び第2の磁石18,19と、第1及び第2の磁石18,19とそれぞれ対向に配置された第1及び第2の磁気検出素子20,21とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車のステアリングシャフトのように、360°を超える有限の角度範囲内で回転する多回転体の回転角を検出する多回転角度検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の多回転角度検出装置としては、ステアリングなどに連動して回転する回転体の歯車と、この歯車に係合する、歯数の異なる二つの歯車と、これらの二つの歯車のそれぞれに設けたマグネットと、これらのマグネットに対応する角度センサから構成され、これらの角度センサの測定結果に基づき、所定の演算式によって回転体の角度を測定するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表平11−500828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の回転角度検出装置は、回転体の歯車と、この歯車に係合する、歯数の異なる二つの歯車とが1つの平面におかれているため、多回転角度検出装置の外形寸法が大きくなるという問題がある。
【0005】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであって、その目的は、外形寸法の小さい多回転角度検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記の課題を解決するため、回転体と一体的に回転し、歯数が異なる第1ギア及び第1ギヤの歯数よりも少ない歯数をもつ第2ギアを同一面側で同心に形成してなるロータと、ロータの回転軸を含む平面と交差する方向に回転軸を有し、第2ギヤと噛み合わされて回転する第2従動ギアと、第2従動ギヤと同心に回転するように、第2従動ギヤから延設された延設部と回転可能に係合する係合孔を中央部に有し、第1ギアと噛み合わされて回転する中継ギアと、中継ギアと噛み合わされ、前記第2従動ギアの回転軸と平行な回転軸を有して回転する第1従動ギアと、前記第1従動ギアに取り付けられた第1磁石と、前記第2従動ギアの前記延設部に取り付けられた第2磁石と、前記第1磁石と対向するように配置された第1磁気検出素子と、前記第2磁石と対向するように配置された第2磁気検出素子と、前記第1及び第2の磁気検出素子を実装した回路基板と、前記各部材を収納するハウジングとを備えるという構成にした。
【0007】
かかる構成によると、ロータの回転軸を含む平面に対して第1従動ギア、中継ギア、及び第2従動ギアの回転軸を交差させたので、側面方向からハウジングを見てL字形状とすることができ、多回転角度検出装置の平面サイズを小型化できる。また、第1磁石及び第2磁石を同一平面上に配置させることができるので、それらの各磁石に対向する第1,第2磁気検出素子を1枚の回路基板に実装でき、構造を簡単化して低コスト化することができる。さらに、第2ギア及び第2従動ギアのいずれか一方の歯、若しくは、第1ギアと中継ギアと第1従動ギアのいずれか1つの歯に破損又は欠けなどが生じた場合、第1従動ギアに対応する第1磁気検出素子からの検出信号と第2従動ギアに対応する第2磁気検出素子からの検出信号とを比較することによって故障を検出することができるので、信頼性及びフェールセーフ性に優れた多回転角度検出装置を提供できる。
【0008】
また本発明は、延設部が、ギヤが形成された支持部よりも大径に形成され、係合孔が、支持部と回転可能に係合する第1孔部と、延設部と回転可能に係合する第2孔部とが連通されてなり、第1従動ギヤ及び第2従動ギヤが、ハウジングの内壁からロータの回転軸を含む平面と交差する方向に突設された第1支持軸及び第2支持軸にそれぞれ回転可能に支持される構成が好ましい。
【0009】
かかる構成によると、中継歯車を第2従動歯車で回転可能に支持できるので、部品点数を削減して装置全体を簡単かつコンパクトな構成にすることができ、より一層の小型化・低コスト化を図ることができる。
【0010】
また本発明は、中継ギヤが、第1ギヤと噛み合う第3ギヤと、第1従動ギヤと噛み合う第4ギヤとを有する構成にした。
【0011】
かかる構成によると、第1従動ギヤの歯数と第2従動ギヤの歯数の選択自由度を拡大でき、特に第1従動ギヤと第2従動ギヤとの回転速度の差を小さく設定できるので、小型で高範囲な角度検出を可能とする多回転角度検出装置を提供できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の多回転角度検出装置は、ロータの回転軸を含む平面に対して第1従動ギア、中継ギア、及び第2従動ギアの回転軸を交差させて、側面から見てハウジングをL字形状とすることができ、多回転角度検出装置の平面サイズを小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態に係る多回転角度検出装置の平面図である。
【図2】実施形態に係る多回転角度検出装置の側断面図である。
【図3】実施形態に係る多回転角度検出装置に備えられる各ギアの配列を示す正面図である。
【図4】実施形態に係る多回転角度検出装置の要部分解斜視図である。
【図5】実施形態に係る多回転角度検出装置が採用可能な第1ギア及び第2ギアの歯数の組合せを例示する表図である。
【図6】実施形態に係る多回転角度検出装置の回転角検出フローを示すフロー図である。
【図7】実施形態に係る多回転角度検出装置におけるロータの絶対角と磁気検出素子から出力される角度信号との関係を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず、実施形態に係る多回転角度検出装置の機械的構成につき、図1乃至図5を用いて説明する。
【0015】
本例の多回転角度検出装置は、これらの図に示すように、例えばステアリングシャフトなどの回転体に取り付けられ、回転体と一体的に回転するロータ1と、このロータ1を回転可能に保持し、回転体の周囲に配置された固定部に固定されるハウジング(ステータ)2とを有している。ハウジング2は、ケース3とカバー4との組合せにより構成されており、図2に示すように、側面方向から見てL字形状に形成されている。ロータ1及びハウジング2は、いずれも合成樹脂材料をもって形成される。このうち、ロータ1は、円滑に回転させるという観点や耐温度特性を向上させるという観点で優れた合成樹脂材料、例えばポリアセタールなどをもって形成される。以下に説明する各従動ギア及び中継ギアも同様である。
【0016】
ロータ1の下面の外周部には、互いに歯数が異なる第1ギア11及び第2ギア12が、回転体の回転軸、即ち、ロータ1の回転軸Y−Yと同心に形成されている。第1ギヤ11よりもロータ1の内周側に形成され、第1ギア11よりも歯数が少ない第2ギア12には、ケース3に形成された第2ギア軸16に回転可能に取り付けられた第2従動ギア14が噛み合わされる。第2ギア軸16の中心軸、即ち、第2従動ギア14の回転軸X−Xは、ロータ1の回転軸Y−Yを含む平面に対して交差する方向(図2の例では、回転軸Y−Yと直交している。)に形成されている。したがって、第2ギア12及びこれに噛み合う第2従動ギア14としては、直交交差軸用歯車としてすぐばかさ歯車、まがりばかさ歯車フェースギヤなどが用いられ、直交食い違い軸用歯車としてフェースギアなどが用いられる。ここで、第2従動ギヤ14として直交交差軸用歯車を用いるか、あるいは直交食い違い軸用歯車を用いるかは、求められる装置の外形形状に合わせて適宜選択できる。
【0017】
第2従動ギヤ14は、図4に示すように、支持部14aと支持部14aよりも大径に形成された延設部14bとを有し、支持部14aにはロータ1の第2ギヤと噛み合うギヤが形成されており、延設部14bの回路基板22側の面には後述する第2磁石19が取り付けられる。
【0018】
一方、ロータ1の下面外周部において第2ギヤ12よりも外周側に形成され、第2ギア12よりも歯数が多い第1ギア11には、第2従動ギア14と同心に配置されたリング状の中継ギア17が噛み合わされる。中継ギア17は、第1ギヤ11に噛み合う第3ギヤ17aと、後述する第2従動ギヤ13に噛み合う、平歯車からなる第4ギヤ17bとを有し、またその中央部には小径の第1係合孔17cと、第1係合孔17cよりも大径の第2係合孔17dとが連通してなる係合孔17eが形成されている。図2に示すように、第2従動ギヤ14の支持部14aが第1係合孔17cと回転可能に係合し、第2従動ギヤ14の延設部14bが第2係合孔17dと回転可能に係合するので、第2ギヤ軸16に軸支された第2従動ギア14に中継ギヤ17が回転可能に保持される。また、第2従動ギア14の磁石取付面、即ち延設部14bの回路基板22側の面は、中継ギア17の回路基板22側の面と略同一平面となるように、係合孔17eに露出される。中継ギア17の第3ギヤ17a及びこれに噛み合う第1ギア11としては、第2従動ギア14と同様の直交交差軸用歯車又は直交食い違い軸用歯車が形成され、第4ギヤ17bとしては、平歯車が形成されている。
【0019】
中継ギア17の平歯車17bには、第1従動ギア13が噛み合わされる。この第1従動ギア13は、平歯車をもって構成されており、ケース3に形成された第1ギア軸15に回転可能に取り付けられている。
【0020】
第1従動ギア13の回路基板22側の面に第1磁石18が取り付けられ、第2従動ギア14の延設部14bに取り付けられた第2磁石19と略同一平面上に配置される。
【0021】
このように、第1,第2磁石18,19が略同一面上に配置されるので、たった1枚の回路基板22上に第1磁気検出素子20及び第2磁気検出素子21を実装することができる。即ち、回路基板22の第1磁石18と対向する部分には、第1従動ギア13の回転に伴う磁場の変化を検出する第1磁気検出素子20が配置され、第2磁石19と対向する部分には、第2従動ギア14の回転に伴う磁場の変化を検出する第2磁気検出素子21が配置される。これらの磁気検出素子20,21としては、磁界の強さの影響をあまり受けず安定性が高いことから、GMR(Giant Magneto-Resistive:巨大磁気抵抗)センサが多用される。なお、回路基板22には、第1、第2磁気検出素子20,21の検出信号からロータ1の回転角度を算出するマイクロプロセッサ23も備えられる。
【0022】
第1ギア11の歯数は、ロータ1の最大回転数をN(Nは整数)、第1ギア11と第1従動ギア13とのギア比をn(nは整数)とするとき、N×nのm倍(mは整数)で構成されている。本実施形態では、例えば、ロータ1が中立位置から左右に2回転ずつ回転する間(最大回転数N=4)の絶対角を検出するものとし、第1ギア11と第1従動ギア13とのギア比をn=2、mの値を8とすると、歯数が64(4×2(=8)の8倍)となる。
【0023】
これに対して、第2ギア12の歯数はN×n−1のm倍(mは整数)の歯数で構成されている。本実施形態では、歯数が56(4×2−1(=7)の8倍)で形成されている。
【0024】
なお、第1ギア11及び第2ギア12の歯数の組合せは、前記組合わせに限定されるものではなく、図5に示す他の組合せとすることもできる。
【0025】
第1従動ギア13は、第1ギア11が上述の構成を有するものとするとき、歯数が第1ギア部11と第2ギア12とのそれぞれの歯数差のN倍で構成されている。本実施形態では、N=4であり、歯数差が64−56=8であるから、第1従動ギア13の歯数は4×8=32で構成されている。
【0026】
第2従動ギア14の歯数は、第2ギア11が上述の構成を有するものとするとき、第1従動ギア13と同様に構成されており、本実施形態では32となる。
【0027】
次に、マイクロプロセッサ23によって行われる回転角の検出処理につき、図6及び図7を用いて説明する。図6は実施形態に係る多回転角度検出装置の回転角検出フローを示すフロー図、図7は実施形態に係る多回転角度検出装置におけるロータの絶対角と磁気検出素子から出力される角度信号との関係を示すグラフ図である。
【0028】
マイクロプロセッサ23は、第1磁気検出素子20及び第2磁気検出素子21の出力信号に基づいて、図7(a)に示すように、第1従動ギア13が0度から360度まで回転する間に出力値が0%から100%までリニアに変化する第1角度信号A1、及び第2従動ギア14が0度から360度まで回転する間に出力値が0%から100%までリニアに変化する第2角度信号A2とを算出する。第1従動ギア13及び第2従動ギア14の回転が2回転目となると、それぞれ出力値が0%に不連続的に戻り、各従動ギア13,14の回転とともに再びリニアに増加する。
【0029】
また、マイクロプロセッサ23は、第1角度信号A1と第2角度信号A2に基づいて、ロータ1の絶対回転角を算出するための演算処理を行う。この演算処理は、図6に示すように、第1角度信号A1と第2角度信号A2とを検出してこれらの差分を計算する第1のステップ(S1)と、この差分を補正する第2のステップ(S2)と、ロータ1の絶対角を算出する第3のステップ(S3)とからなる。
【0030】
ロータ1の回転に対して、第1従動ギア13と第2従動ギア14とが互いに異なる回転速度で回転するので、回転角の値にずれが生じて第1角度信号A1と第2角度信号A2との間に差が生じてくる。そこで、第1のステップ(S1)では、図7(b)に示すように、第1角度信号A1の出力値から第2角度信号A2の出力値を差し引いて、差分信号A3を算出する処理を行う。この差分信号A3はロータ1の絶対角によって異なる値となり、ロータ1が4回転すると第1従動ギア13と第2従動ギア14とは、1回転分の回転角度差となって、差分信号A3は再び0となる。
【0031】
第2のステップ(S2)では、図7(c)に示すように、差分信号A3が負の値を示しているときにこの差分値に100を加えて補正値信号A4を算出する処理を行う。この補正値信号A4も、検出すべき絶対角の全範囲と1対1で対応しており、その間0%から100%までリニアに変化する値となる。
【0032】
第3のステップ(S3)は、補正信号A4に基づいて1回転を超えるロータ1、即ち回転体の絶対角を検出する処理を行う。
【0033】
次に、本実施形態に係る多回転角度検出装置を自動車用ステアリングシャフトの回転角検出に適用した場合の回転角検出方法について説明する。
【0034】
運転者が自動車のハンドルを回転すると、ハンドルとともにロータ1が回転する。このとき、第1ギア11及び中継ギア17を介して第1従動ギア13が回転し、第2ギア12を介して第2従動ギア14が第1従動ギア13と逆方向に回転する。この際、第1ギア11と第1従動ギア13とのギア比が2なので、ロータ部1が1回転する間に第1従動ギア13は2回転する。
【0035】
第1従動ギア13は、ロータ1が180度回転する度に1回転する。そこで、この間の第1角度信号A1は、0%から100%まで変化する三角波であらわされる。ロータ1が4回転して絶対角が0度から1440度の間を変化する間に第1従動ギア13は8回転するので、この三角波は、図7(a)に示すように全体で8周期となる。これに対して、
第2角度信号A2は、ロータ1が4回転する間に第2従動ギア14が7回転するので、図7(a)に示すようにこの三角波の周期は全体で7周期となる。
【0036】
第1角度信号A1及び第2角度信号A2に対して第1のステップ(S1)の処理を行うと、図7(b)に示すように、第1角度信号A1と第2角度信号A1との出力差である差分信号A3を算出する。この差分信号A3は負の範囲を有するので、この値を第2ステップ(S2)で補正して、図3(c)に示すような補正値信号A4を算出する。続いて、第3ステップ(S3)において、補正値信号A4に基づいて1回転を超えるロータ1、即ち回転体の絶対角を検出する処理を行う。
【0037】
実施形態に係る多回転角度検出装置は、ロータ1の回転軸(Y−Y)を含む平面に対して、第1従動ギア13と第2従動ギア14と中継ギア17との回転軸をそれぞれ交差させて配置したので、多回転角度検出装置のハウジングを側面方向から見てL字形状とすることができ、平面サイズを小型化することができる。また、ロータ1の同一面側に第1ギヤと第1ギヤよりも少ない歯数の第2ギヤとを形成し、第2ギヤと噛み合う第2従動ギヤには延設部を延設し、第1ギヤと噛み合って第2従動ギヤと同心に回転する中継ギヤの中央には延設部と回転可能に係合する係合孔を形成し、中継ギヤに噛み合って回転するように第1従動ギヤを設け、第1従動ギヤ及び第2従動ギヤに第1磁石及び第2磁石を取り付けると共に、それらの各磁石に対向するように第1,第2磁気検出素子20,21を1枚の回路基板22に実装したので、ハウジング内の構造を簡単化して低コスト化することができる。さらに、第1ギア11と中継ギア17と第1従動ギア13のいずれか1つの歯、若しくは、第2ギア12及び第2従動ギア14のいずれか一方の歯に破損又は欠けが生じた場合、第1従動ギア13に対応する第1磁気検出素子20からの検出信号と第2従動ギア14に対応する第2磁気検出素子21からの検出信号とを比較することによって故障を検出することができるので、信頼性及びフェールセーフ性に優れた多回転角度検出装置を提供できる。
【0038】
また、第2従動ギヤ14の延設部14bを、ギヤが形成された支持部14bよりも大径に形成し、中継ギヤの係合孔17aを、支持部14bと回転可能に係合する第1孔部17bと、延設部14bと回転可能に係合する第2孔部17cとを連通するように形成し、第1従動ギヤ13及び第2従動ギヤ14を、ハウジングの内壁からロータ1の回転軸を含む平面と交差する方向に突設された第1ギヤ軸15及び第2ギヤ軸16にそれぞれ回転可能に支持するので、中継ギヤ17を第2従動ギヤ14で回転可能に支持でき、部品点数を削減して装置全体を簡単かつコンパクトな構成にすることができるので、より一層の小型化・低コスト化を図ることができる。
【0039】
さらに、中継ギヤ17は、第1ギヤ11と噛み合う第3ギヤ17aと、第1従動ギヤ13と噛み合う第4ギヤ17bとを有するので、第1従動ギヤ13の歯数と第2従動ギヤ14の歯数の選択自由度を拡大でき、特に第1従動ギヤ13と第2従動ギヤ14との回転速度の差を小さく設定できるので、小型で高範囲な角度検出を可能とする多回転角度検出装置を提供できる。
【0040】
なお、本発明の要旨は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記実施形態に係る多回転角度検出装置は自動車用としているが、自動車に限られるものではなく、電車や船等の他の乗物にも適用することができる。また、上記実施形態ではギア比をn=2としているが、その他のギヤ比とすることもできる。また、中継ギヤ17として、第1ギヤ11と噛み合う第3ギヤ17aと、第1従動ギヤ13と噛み合う第4ギヤ17bとを有する構成としたが、第4ギヤ17bのない構成、即ち第3ギヤ17aが第1従動ギヤ13と噛み合う構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、自動車におけるステアリングシャフトの回転角検出などに利用できる。
【符号の説明】
【0042】
1 ロータ
2 ハウジング(ステータ)
11 第1ギア
12 第2ギア
13 第1従動ギア
14 第2従動ギア
15 第1ギア軸
16 第2ギア軸
17 中継ギア
18 第1磁石
19 第2磁石
20 第1磁気検出素子
21 第2磁気検出素子
22 回路基板
23 マイクロプロセッサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体と一体的に回転し、第1ギア及び該第1ギヤの歯数よりも少ない歯数をもつ第2ギアを同一面側で同心に形成してなるロータと、該ロータの回転軸を含む平面と交差する方向に回転軸を有し、前記第2ギアと噛み合わされて回転する第2従動ギアと、該第2従動ギヤと同心に回転するように、該第2従動ギヤから延設された延設部と回転可能に係合する係合孔を中央部に有し、前記第1ギアと噛み合わされて回転する中継ギアと、該中継ギアと噛み合わされ、前記第2従動ギアの回転軸と平行な回転軸を有して回転する第1従動ギアと、前記第1従動ギアに取り付けられた第1磁石と、前記第2従動ギアの前記延設部に取り付けられた第2磁石と、前記第1磁石と対向するように配置された第1磁気検出素子と、前記第2磁石と対向するように配置された第2磁気検出素子と、前記第1及び第2の磁気検出素子を実装した回路基板と、前記各部材を収納するハウジングとを備えたことを特徴とする多回転角度検出装置。
【請求項2】
前記延設部は、ギヤが形成された支持部よりも大径に形成され、前記係合孔は、前記支持部と回転可能に係合する第1孔部と、前記延設部と回転可能に係合する第2孔部とが連通されてなり、前記第1従動ギヤ及び第2従動ギヤは、前記ハウジングの内壁から前記ロータの回転軸を含む平面と交差する方向に突設された第1支持軸及び第2支持軸にそれぞれ回転可能に支持されたことを特徴とする請求項1に記載の多回転角度検出装置。
【請求項3】
前記中継ギヤは、前記第1ギヤと噛み合う第3ギヤと、前記第1従動ギヤと噛み合う第4ギヤとを有することを特徴とする請求項2に記載の多回転角度検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−271180(P2010−271180A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−123191(P2009−123191)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】