説明

多因子生体認証のための分光学的方法およびシステム

【目的】認証対象(例えば、人物)の生体認証に用いるバイオメトリックス情報源(例えば、指先や虹彩)の非分光学的バイオメトリックス情報(例えば、指紋や虹彩パターン)を取得する工程と、前記バイオメトリックス情報源の分光学的バイオメトリックス情報(例えば、拡散反射スペクトルや反射スペクトル)を取得する工程と、前記非分光学的バイオメトリックス情報を用いて、バイオメトリックス情報源の身元を同定する工程と、前記分光学的バイオメトリックス情報を用いて、認証対象が所定の部類(例えば、生きている人間)に属することを確認する工程からなることを特徴とする多因子認証方法。基本となるバイオメトリックス技術に対し追加的な負担を要さず、ユーザーの手間も増やさない、実用的な形で、バイオメトリックスシステム(例えば、指紋認証システムや虹彩パターン認証システム)を分光学的バイオメトリックス機能で補完する。

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】
【0001】
本発明は、生体認証に対するなりすまし行為等を防ぐための分光学的方法とシステムに関する。従来の生体認証システムは、同定もしくは認証のために、人物の指紋、掌形、顔の特徴、網膜紋、虹彩パターン等を使用している。この認証工程においては、例えば、指紋等の生体的形質の像等のバイオメトリックス情報を取得し、この情報から利用可能な特徴を抽出し、これらの特徴を過去に抽出した特徴のデータベース値と比べる。しかし、指紋認証システムや顔認識システムといった生体認証システムに対しては、人工指や高解像度画像の使用によるなりすまし行為が実行できる。本発明の焦点は、人物の非分光学的バイオメトリックス情報の記録と比較に加え、その人物固有の「スペクトル特徴」や「スペクトル因子」を記録、比較することにより、生体認証工程の効果を分光学的方法により多因子的に強化し、詐称者が認証されてしまうことを防ぐことに置かれている。
【背景技術】
【0002】
人物の身元を自動的に認証するための技術は数多く存在する。このような認証工程は通常、人物が知っているもの(例えば、パスワード、パスフレーズ、PIN等)、持っているもの(例えば、券、スマートカード等)、身体的特徴(例えば、指紋、掌形、顔の特徴、網膜紋、虹彩パターン)、あるいは発生するもの(例えば、署名、声)に関しての確認を伴う。人物が知っているものや持っているものを利用する手段は、昨今もっとも広く利用されている、簡便な同定・確認手法である。一方、生体認証は、「指紋、虹彩パターン、顔の特徴等の生体的形質に基づく個人の同定」と定義づけられ、人物本来の身体的特徴や人物が発生できるものに基づいている。
【0003】
自分が知っているものを用いるためには、単に記憶が良ければこと足りるが、一方で簡単に盗み聞きされたり、見られたり、推測できたりしてしまう。手に持てるものは盗まれてから利用されるかコピーされかねない。指紋、虹彩パターン等は、体の一部であるため、簡単に盗まれたり、偽造されたり、共用されたりできないため、生体認証は一見これらの問題を解決できるかのように見える。実際、生体認証技術は、ATM、クレジットカード取引、電子取引、eパスポート、空港、国境、および、核施設等、高いセキュリティーレベルを要する場所において、同定や認証に好ましい標準的技術として用いられ始めている。しかし皮肉にもこのように広範囲にわたって普及しつつあるが故に、生体認証技術は、攻撃者の注目を集め、生体認証システムに対するなりすまし行為についての興味を増長させている。例えば、我々一人一人は、日常生活においてあらゆる場所に何千もの指紋を残すが、これらを回収し、人工的な指に成形することで、指紋検出に基づいた生体認証装置をだますことができる。Matsumotoらが行った実験では、11種類の光学およびシリコン指紋センサーが全試みの少なくとも60%において人工的な指を受け入れた(Tsutomu Matsumoto,Hiroyuki Matsumoto,Koji Yamada and Satoshi Hoshino,“Impacts of Artificial‘Gummy’Fingers on Fingerprint System”,Optical Society and Counterfeit Deterrence Techniques IV,Proceedings of SPIE,4677,pp.275−289,January 2002)。さらに、市販の高解像度のデジタルカメラを用いれば、人の顔の画像から簡単に虹彩パターンを抽出でき、それを用いて成形したコンタクトレンズを使って虹彩パターンに基づいた生体認証装置をだますことができる。市販の二種類の虹彩認識装置に対して行われた実験では、一方の装置は50%の割合でごまかすことができ、もう一方の装置は100%の割合でごまかすことができた(Tsutomu Matsumoto,Masashi Hirabayashi and Kenji Sato,“A Vulnerability of Iris Matching(Part 3)”,Proceedings of the 2004 Symposium on Cryptography and Information Security,the Institute of Electronics,Information and Communication Engineers,pp.701−706,January 2004)。
【0004】
生体認証システムのなりすまし攻撃に対する脆弱性についての研究は、様々な製品に既に用いられている指紋認識や虹彩認識について主になされてきたが、その他の生体認証システムもなりすまし攻撃を受ける可能性があり、例えば、掌形認識システムに対しては、掌の模造品が用いられたり、顔認識システムに対しては、高解像度の画像が用いられたりする。
【0005】
これらのようななりすまし攻撃に対抗する一つの手段として、認証対象として提示されるものが人工的な模造品でなく、実際に生きている人物の一部であることを検出する生存検出方法で生体認証手段を補完することが考えられる。例えば、指紋認証手段を、指先の脈波を検出する手段で補完することにより、認証対象として提示されている指先が生きている人物のそれであると判断できる。しかし、この方法も、脈波を提供しうる、生きている人物の指先を、真正の指紋を提供しうる薄いプラスチック成型された人工的な指先で覆うことにより騙すことができる。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の例からも分かるように、生体認証システムに対する多くのなりすまし手法では、樹脂製の指先、コンタクトレンズ、コピー媒体等の人工もしくは非ヒト由来の材料を用いて偽のバイオメトリックス情報が提示される。この点に注目し、本発明者は、生存の判断だけでなく、認証対象として提示される物体が、介在する人工もしくは補綴材料を一切有さない、生きている人間の一部であると判断できる手段を取り入れることにより、生体認証システムを格段に補強できると考えた。
【0007】
従って、本発明の目的は、なりすまし攻撃を防ぐために既存の生体認証技術を分光学的手法によって強化した方法とシステムを提供することにある。本発明は、単なる生存検出でなく、人間又は所定の部類(クラス)又はグループの人間に固有の「分光学的特徴情報」又は「分光学的因子」に基づく照合を、現在使われている手法に多因子的に取り入れることにより、なりすましを試みる者が認証される可能性を低減することを提案する。また本発明は、二種類の広く応用されている生体認証システム(指紋および虹彩認証装置)を分光学的生体認証機能で補完する方法とシステムを実用的、かつ追加経費やユーザーの手間をあまりかけない形で提供することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を達成するために、本発明は、例えば光学的指紋照合等のような、指紋画像等の非分光学的バイオメトリックス情報を指先等のバイオメトリックス情報源から取得する基本となる認証手法を、この基本認証手法のシステムサイズ、性能、コスト、電源条件、動作環境、および、操作条件を変えない実用的な構成にて、同じバイオメトリックス情報源から分光学的情報を抽出する手段で補完することを提案する。
【0009】
本発明の一つの態様は、認証対象のバイオメトリックス情報源の非分光学的バイオメトリックス情報を取得する工程と、前記バイオメトリックス情報源の分光学的バイオメトリックス情報を取得する工程と、前記非分光学的バイオメトリックス情報を用いて、バイオメトリックス情報源の身元を同定する工程と、前記分光学的バイオメトリックス情報を用いて、認証対象が所定の部類に属することを確認する工程からなることを特徴とする多因子認証方法を提供する。
【0010】
上記多因子認証方法は、認証対象のバイオメトリックス情報源の非分光学的バイオメトリックス情報を登録する工程と、前記バイオメトリックス情報源の分光学的バイオメトリックス情報を登録する工程とをさらに含んでいてもよく、非分光学的バイオメトリックス情報を用いてバイオメトリックス情報源の身元を同定する工程において、取得された非分光学的バイオメトリックス情報を登録された非分光学的バイオメトリックス情報と比較することにより、バイオメトリックス情報源の身元を同定し、分光学的バイオメトリックス情報を用いて、認証対象が所定の部類に属することを確認する工程において、取得された分光学的バイオメトリックス情報を登録された分光学的バイオメトリックス情報と比較することにより、認証対象が所定の部類に属することを確認してもよい。
【0011】
ここで、「非分光学的バイオメトリックス情報」とは、既存のバイオメトリックス技術により取得した画像、パターン、幾何学的パラメータ等の生物学的特徴データを意味する。従って、認証対象は例えば人物であっても良く、この場合、所定の部類は「所定の分光学的特徴を持つ、生きている人間」、バイオメトリックス情報源は指先、非分光学的バイオメトリックス情報は指先の指紋画像、そして、バイオメトリックス情報源の分光学的バイオメトリックス情報は指先の拡散反射スペクトルであっても良い。すなわち、この例では、まず、ある人物の指先の指紋画像が登録され、この人物の同じ指先の拡散反射スペクトルが登録される。その後、認証すべき人物の指先の指紋画像を取得し、この人物の同じ指先の拡散反射スペクトルを取得する。取得した指紋画像を登録された指紋画像と比較して、人物の身元を同定、すなわち、取得された指紋が認証すべき人物の指紋、すなわち、事前に指紋が登録された人物の指紋でありそれ以外の人物のものではないことを決定し、取得された指先の拡散反射スペクトルを登録された拡散反射スペクトルと比較して、人物が実際に所定の分光学的特徴を持つ、生きている人間であることを証明する。
【0012】
ここでは、例えば、指先等のバイオメトリックス情報源の指紋画像等の非分光学的バイオメトリックス情報を、指先の拡散反射スペクトル等のバイオメトリックス情報源の分光学的バイオメトリックス情報で補完し、非分光学的バイオメトリックス情報(例えば、指紋画像)で認証すべき対象物又は人物の身元を保証する一方で、分光学的バイオメトリックス情報(例えば、拡散反射スペクトル)により、非分光学的バイオメトリックス情報(例えば、指紋画像)が所定の部類(例えば、生きている人間)の真正な特徴データであることを保障するので、例えば、所定の部類(例えば、生きている人間)に属さないある物体(例えばコピー媒体やプラスチック製の指)に形成された非分光学的バイオメトリックス情報(例えば、指紋画像)を用いたなりすまし行為を防ぐことができる。すなわち、物体の分光学的情報は、その物体の光学的複雑性を反映するものであり、物体の構造が複雑であればあるほど、その分光学的情報はより複雑になる。特に、生きている人間の皮膚等の部位は、特徴的な形態や光学的性質を持つ異なる層からなる複雑な生物学的構造である。従って、例えば指先から得られる拡散反射スペクトルは、存在比率等が個人によって異なるメラニン、ヘモグロビン等といった皮膚、筋肉、血液等の成分を含めた物質のスペクトル成分を含んでいる。従って、生きている人間の指先やその他の部分から得られるスペクトル情報は非常に複雑で、人工的な模造品や人工装具の使用によって再現するのは困難であり、特に本発明では、同じ箇所の非分光学的バイオメトリックス情報を同定のために取得しているので、なりすましは略不可能となる。
【0013】
上記のコピー媒体に指先の画像を印刷したものを用いるなりすまし行為の例では、いかなるコピー媒体も紙、プラスチック等の人工的な物体もしくは、少なくとも生きていない皮膚等の生きていない物体であるので、生きている人間の一部と同じスペクトル情報を提供することは出来ない。仮に、なりすまし行為を行おうとする人物が真正な指先画像を提示できるよう成形された指先カバーを指先に装着した場合、検出されるスペクトル情報は生きている人間のスペクトル情報である、なりすまし行為者の指先のスペクトル情報を含み得る。しかし、装着されている指先カバーが人工的な物体、または少なくとも生きていない物体であるかぎり、検出されるスペクトル情報は、生きている人間のものとは異なるスペクトル情報をも含み、生きている人間のスペクトル情報とは異なるものとなる。
【0014】
本発明において、スペクトル情報は認証対象が所定の部類に属することを検証することに使用される。この所定の部類は、対象物体内の変異を許容出来るほど広く、かつ、なりすましを未然に防ぐことが出来るほど狭いことが好ましい。上記の例において、所定の部類は、「所定の分光学的特徴を持つ、生きている人間」であり、これにより、怪我や、高温もしくは低温、化学物質、紫外線等の外部条件や、薬品、アルコール等の摂取による血流量の変化等の内部条件に因る個人内の変異を許容するとともに、なりすまし行為のための人工物や非人間物の使用を未然に防ぐことができる。
【0015】
ここで、前記認証対象の前記バイオメトリックス情報源の前記非分光学的バイオメトリックス情報を取得する工程と、前記バイオメトリックス情報源の前記分光学的バイオメトリックス情報を取得する工程とは同時に実施されても良い。これにより、認証に必要な時間を著しく短縮することが出来る。
【0016】
また、前記取得された分光学的バイオメトリックス情報を前記登録された分光学的バイオメトリックス情報と比較することにより、前記認証対象が所定の部類に属することを確認する工程において、前記取得された分光学的バイオメトリックス情報と、前記登録された分光学的バイオメトリックス情報とに対し、クラスター解析を実施することにより、前記取得された分光学的バイオメトリックス情報と、前記登録された分光学的バイオメトリックス情報との相似値を求め、該相似値が所定の範囲内であれば、前期認証対象は所定の部類に属すると判定しても良い。
【0017】
本発明の別の態様は、認証対象のバイオメトリックス情報源の非分光学的バイオメトリックス情報を取得するための非分光学的バイオメトリックス情報取得手段と、前記バイオメトリックス情報源の分光学的バイオメトリックス情報を取得する分光学的バイオメトリックス情報取得手段と、前記非分光学的バイオメトリックス情報を用いて、バイオメトリックス情報源の身元を同定し、前記分光学的バイオメトリックス情報を用いて、認証対象が所定の部類に属することを確認する身元同定確認手段とからなることを特徴とする多因子認証システムを提供する。
【0018】
ここで、前記多因子認証システムはさらに、予め取得された認証対象のバイオメトリックス情報源の非分光学的バイオメトリックス情報を登録非分光学的バイオメトリックス情報として記憶し、予め取得された前記バイオメトリックス情報源の分光学的バイオメトリックス情報を登録分光学的バイオメトリックス情報として記憶する記憶手段を含み、前記身元同定確認手段は、新たに取得された非分光学的バイオメトリックス情報を記憶された登録非分光学的バイオメトリックス情報と比較することによりバイオメトリックス情報源の身元を同定し、新たに取得された分光学的バイオメトリックス情報を記憶された登録分光学的バイオメトリックス情報と比較することにより認証対象が所定の部類に属することを確認しても良い。
【0019】
上記の認証対象が人物である例の場合、前記所定の部類を「所定の分光学的特徴を持つ、生きている人間」とし、前記認証対象の前記バイオメトリックス情報源を指先とし、前記非分光学的バイオメトリックス情報を前記指先の指紋画像とし、前記バイオメトリックス情報源の前記分光学的バイオメトリックス情報を前記指先の拡散反射スペクトルとし、前記非分光学的バイオメトリックス情報取得手段をCCDもしくはCMOSセンサーからなり、前記CCDもしくはCMOSセンサーの検出面に指先の像が形成されるよう構成されたCCDもしくはCMOS検出システムとし、前記分光学的バイオメトリックス情報取得手段をホトダイオードアレー(PDA)からなり、該指先からの拡散反射光が前記PDA上にスペクトル分散されるよう構成されたPDA検出システムとし、指紋画像(非分光学的バイオメトリックス情報)を用いて指先(バイオメトリックス情報源)の身元を決定し、スペクトル情報を用いて人物(認証対象)が「所定の分光学的特徴を持つ、生きている人間」である(所定の部類に属する)ことを検証する手段としてコンピュータまたは他の情報処理手段を用いることができる。
【0020】
ここで、ハーフミラーもしくはビームスプリッターを用いて、非分光学的バイオメトリックス情報(例えば、指紋画像)と、分光学的情報(例えば、拡散反射スペクトル)を同時に取得するよう構成しても良く、また、CCDもしくはCMOSセンサーの拡張部分をPDAとして構成し、複数の同様のスペクトルをスペクトル分析に充分なS/N比を持つ一つのスペクトルとして積算しても良い。これにより、システムを小型化し、認証速度を高速化することができる。
【実施例】
【0021】
本発明の実施例を以下に説明する。図1は、本発明の第1実施形態による分光学的バイオメトリックス補完型認証システムの基本構成を示す概略図であり、この認証システムは、人物の指紋と同じ人物の指のバイオスペクトル情報とから人物の身元を認証する指紋認証装置である。
【0022】
図1に示すように、本指紋認証装置1は、測定部2、制御部120、メモリー(記憶装置)130、およびモニター140から構成される。測定部2は、光学系10およびCCD(charge coupled device;イメージセンサー)100を含む。光学系10は、I2ランプ(光源)15、シートプリズム(プリズム手段)20、第1レンズ40、第2レンズ60、ミラー70、および、回折格子80から構成される。また、図2に示すように、CCD100は、1280×1024の行×列に配列された画素を持つイメージセンサーであり、境界画素である最上部の32行の画素とCCDの左右それぞれの側における32列ずつ画素を除く、CCD100の上部の960×960画素の領域である画像取得部102(CCDセンサーの検出面の第1の部分)と、境界画素である最下部の32行の画素とCCDの左右それぞれの側における32列ずつ画素を除く、CCD100の下部の160×960画素の領域であるスペクトル取得部103(CCDセンサーの検出面の第2の部分)を持つ。また、画像取得部とスペクトル取得部103の間の96行の画素も境界画素として扱われる。制御部120はCCD100、メモリー130、およびモニター140に電気的に接続され、所定の命令信号を発信することにより、これらの動作を制御する。メモリー130は、測定画像(マトリックス)記憶領域132、参照スペクトル(ベクトル)記憶領域133、測定スペクトル(ベクトル)記憶領域134、換算測定スペクトル(ベクトル)記憶領域135、登録画像パターン(テンプレート)記憶領域136〜136(nは、1より大きい整数)、登録スペクトルテンプレートデータ記憶領域137〜137、身元データ記憶領域138、および、登録身元データ記憶領域139〜139を持つ。制御部120は、身元データ入力手段としてのカードリーダ150にも電気的に接続されている。
【0023】
次に、本指紋認証装置1により、ある人物(認証対象)の指先(バイオメトリックス情報源)の非分光学的バイオメトリックス情報として指紋画像を取得し、同じ指先(バイオメトリックス情報源)のスペクトル情報として指先の拡散反射スペクトルを取得する様子を説明する。
【0024】
図1に示すように、本指紋認証装置1では、シートプリズム20の上面に押し付けられている、認証対象人物30の指31に対し、I2ランプ15からの光がシートプリズム20を介して入射される。指31に入射される光の一部は、正反射成分Lsとして、指31の表面から反射され、第1レンズ40がこの正反射成分LsをCCD100の画像取得部102に結像する。
【0025】
指31に入射される光の別の一部は、皮膚内に侵入し、皮膚内もしくは皮膚下の内部組織、血液等のあらゆる生理的成分により屈折、反射、吸収され、又は蛍光もしくは燐光として再発光され、この光の一部は最終的に表面に戻り、皮膚から様々な方向に出射され、拡散反射成分Lbを形成する。この光成分は、皮膚内を通った光から生じるものであるため、人物の皮膚の色や人物特有の生体的「スペクトル特徴」に関する情報を含んでいる(図3)。皮膚から出射された後、拡散反射成分Lbは、シートプリズム20を透過し、第2レンズ60およびミラー70により回折格子80に集光され、回折格子80によりスペクトル分散され、CCD100のスペクトル取得部103の各行において350nmから1050nmの範囲の指先拡散反射スペクトルが取得されるよう、スペクトル取得部103に入射される。
【0026】
CCD100に入射される光は、各画素において電荷に光電変換される。そして、制御部120の測定制御ユニット122からの命令信号に従い、これら電荷は1行ずつ、水平シフトレジスタ104内に電子的にシフトされた後、水平シフトレジスタ104の内容が1画素ずつ、コンデンサ105内にシフトされる。そしてコンデンサ105における電荷は、アナログ電圧としてアンプ106に供給され、アンプ106で適切なアナログ電圧レベル(例えば0〜10V)に増幅される。アンプによって出力される増幅電圧は、次にアナログ/デジタル(A/D)変換器107によってデジタル値に変換される。そしてA/D変換器107によって出力されるデジタル値は、制御部120の測定制御ユニット122からの命令信号に従って、データとしてメモリー130に入力される。このようにしてCCD100の画像取得部102からの電荷を読むことにより得られるデジタル値が制御部120からの命令信号に従って測定画像保存領域132にデータとして記憶され、CCD100のスペクトル取得部102からの電荷を読むことにより得られるデジタル値が制御部120の測定制御ユニット122からの命令信号に従って測定スペクトル保存領域134にデータとしてビニングされる。
【0027】
この読み出し工程において、境界画素(すなわち、CCD100の最上部および最下部のそれぞれの縁の32行、左右それぞれの縁の32列、および、画像取得部102とスペクトル取得部103の間の96行の画素)のデータは、他の部分のデータに比べ、信頼性が低いデータ、もしくは、画像とスペクトルの合成データである可能性があるデータとして無視される。
【0028】
次に指紋認証装置1を用いた認証工程を図4および図5のフローチャートを参照しながら説明する。本認証工程は、人物の指紋画像および指先拡散反射スペクトルを当該人物の身元情報とともに登録する登録工程(図4)と、人物が認証される必要がある度に実施される認証工程(図5)からなる。
【0029】
まず、図4に示す登録工程において、シートプリズム20の上面に設置された標準白色板(図示せず)の拡散反射スペクトルSrefが測定される。この測定により得られ、メモリー130の測定スペクトル記憶領域134に記憶されたスペクトルデータSrefは次に、メモリー130の標準スペクトル記憶領域134に転送され、再記憶される(ステップS11)。
【0030】
次に人物30の姓名等の身元情報が、人物30が持つIDカード32からカードリーダ150により読み込まれ、登録身元情報DR1として登録身元記憶領域139に記憶される(ステップS12)。
【0031】
次に、人物30の指紋画像データIおよび指先拡散反射スペクトル生データSMrが撮像、測定され、メモリー130の測定画像領域132および測定スペクトル記憶領域にそれぞれ記憶される(ステップS13)。
【0032】
次に、コントローラ120は、測定画像領域132に記憶された指紋画像データIを分析ユニット123に転送するようメモリー130に命令信号を発し、その後、分析ユニット123にて指紋画像データIから指紋パターンが抽出される。指紋画像データから指紋パターンを抽出する方法は既知であり、例えば、Davide Maltoni、Dario Maio、Anil K.Jain、Salil Prabhakar著「Handbook of Fingerprint Recognition」(Springer,1st ed.,2005)等に説明されているので、ここではその説明を省略する。次に、制御部120は、抽出された指紋パターンを、該当する登録身元記憶領域139に記憶された登録身元情報DR1と対応するよう、例えば、登録(テンプレート)指紋パターンIR1として登録画像パターン(テンプレート)記憶領域136に記憶する(ステップS14)。
【0033】
次に制御部120は、命令信号をメモリー130に発し、測定スペクトル記憶領域134に記憶されている指先拡散反射スペクトル生データSMrと、参照スペクトル記憶領域133に記憶されている参照反射スペクトルデータSrefを分析ユニット123に転送させる。その後、分析ユニット123において、参照反射スペクトルデータSrefの各値を100%反射率に対応するとして用いることにより、指先拡散反射スペクトル生データSMrを指先拡散反射スペクトルデータSに変換する。次に、指先拡散反射スペクトルデータSからスペクトル因子が抽出される。本例では、指先拡散反射スペクトルデータSにおける350〜400nm、401〜470nm、500〜560nm、600〜660nm、730〜790nm、830〜900nm、および、925〜1025nmの各範囲において積分を実施し、7つの積分値を求める(図6)。ここで、350〜400nmおよび401〜470nmの範囲はメラニンによるピーク、500〜560nm、600〜660nm、および、830〜900nmの範囲はヘモグロビンによるピーク、730〜790nmの範囲は動脈血、および、925〜1025nmの範囲は静脈血に対応する。結果として得られる7つの値は、登録指先拡散反射スペクトルテンプレートベクトルSR1の形で、登録スペクトルテンプレートデータ記憶領域137に記憶され、これにより、このスペクトルテンプレートベクトルが該当する登録身元記憶領域139における登録身元情報DR1と対応づけられる(ステップS15)。
【0034】
本登録工程は、人物が認証される必要があるごとに実施されるのではなく、1回のみもしくは所定の期間(数ヶ月、数年等)ごとに1回実施される。また、人物30以外の人物について、本登録工程のステップS12からS15の手順は、任意の数nの人のそれぞれの登録指紋画像Iと登録指先拡散反射スペクトルSを対応身分情報Dに対応させて登録するためにいつ実施されても良い。
【0035】
認証工程(図5)においては、まず、認証すべき人物30の身元情報が、人物30が所有するIDカード32からカードリーダ150により読み取られ、身元情報Dとして身元情報記憶領域138に記憶される(ステップS21)。
【0036】
次に、人物30の指紋画像データIおよび指先拡散反射スペクトル生データSMrが上記したように撮像、測定され、メモリー130の測定画像領域132および測定スペクトル記憶領域134にそれぞれ記憶される(ステップS22)。
【0037】
次に、制御部120がメモリー130に命令信号を発し、身元情報記憶領域138に記憶されている身元情報Dを分析ユニット123に転送させる。分析ユニット123では、身元情報Dが登録身元情報記憶領域139〜139内の登録対応身元情報DR1〜DRnのそれぞれと比較され、一致する登録身元情報が探索される(ステップS23、S24)。一致する登録身元情報が見つかれば、ステップS25に入る。一方、一致する登録身元情報が見つからなければ、ステップS41に入り、「一致する身元情報がありません。」等のメッセージがモニター140に表示され、本工程が人物30を認証すること無く終了する。
【0038】
本説明において、身元情報Dは、人物30(ここで、xは1〜nの範囲内の値を持つ)の登録対応身元情報DRxに一致するとみなす。この場合、ステップS25に入ると、コントローラ120がメモリー130に命令信号を発し、測定画像記憶領域132に記憶されている指紋画像データIを分析ユニット132に転送させ、分析ユニット132にて指紋パターンIが抽出される。分析ユニット123において、登録身元情報DRxに対応する指紋パターン、すなわち、登録画像パターン記憶領域136に記憶された登録指紋パターンIRxと、抽出された指紋パターンIとが比較され、抽出された指紋パターンIが登録指紋パターンIRxと一致するかどうか判定される(ステップS26)。なお、このような指紋画像データからの指紋パターンを比較する方法は既知であり、例えば、上記の「Handbook of Fingerprint Recognition」等に記述されているので、ここでは詳しい記述は省略する。
【0039】
上記ステップS26における分析により、抽出された指紋パターンIが登録指紋パターンIRxと一致すると判定された場合、ステップS27に入る。一方、指紋パターンが一致しない場合、ステップS42に入り、「指紋が一致しません。」等のメッセージがモニター140に表示され、人物30が認証されること無く、本工程が終了する。
【0040】
本説明において、抽出された指紋パターンIは登録指紋パターンIRxと一致するとみなす。この場合、ステップS27に入ると、制御部120はメモリー130に対し命令信号を発し、測定スペクトル記憶領域134に記憶されている、人物30の指先拡散反射スペクトル生データSMrと、参照スペクトル記憶領域133に記憶されている参照スペクトルSrefを分析ユニット123に転送させる。分析ユニット123において、参照反射スペクトルデータSrefの各値を100%反射率に対応するとして用いることにより、指先拡散反射スペクトル生データSMrが人物30の指先拡散反射スペクトルデータSに変換される。そして、上記のようにスペクトル因子ベクトルSとして7つのスペクトル因子が指先拡散反射スペクトルデータSから抽出される。次に、上記のごとく得られたスペクトル因子ベクトルSと、登録身元情報DRxに対応する登録スペクトルテンプレートデータ記憶領域137内の登録指先反射スペクトルテンプレートベクトルSRxとの相似値を、単連結ユークリッド距離を用いるクラスター分析により求める。この相似値の計算は、例えば、Minitab Statistical Software▲c▼(Minitab Inc.製)等のクラスター分析ソフトにて、7つのスペクトル因子の値がすべて0である7値ベクトルRを相似値39.11%に対応する不相似参照ベクトルとして用いることにより実施される。単連結ユークリッド距離を用いるクラスター分析による相似値の計算は、既知の技術であるため(例えば、The Euclidean Distance Transform,

#304を参照)、ここでは詳細な説明は省略する。
【0041】
計算された相似値は次に、例えば、実験的に求められた98%の閾値と比較される(S28)。計算された相似値が閾値以上である場合、人物30は人物30として認証され、工程が終了する(ステップS29)。一方、計算された相似値が閾値未満である場合、ステップS44に入り、「認証は拒否されました。」等のメッセージがモニター140に表示され、人物30を認証すること無く本工程が終了する。
【0042】
上記の実施例の説明からも分かるように、本発明では、バイオメトリックス情報源(指先)の非分光学的バイオメトリックス情報(指紋画像)を、バイオメトリックス情報源の分光学的バイオメトリックス情報(指先の拡散反射スペクトル)で補完し、非分光学的バイオメトリックス情報(指紋画像)で認証対象(人物)の身元を保証する一方で、分光学的バイオメトリックス情報(拡散反射スペクトル)により、非分光学的バイオメトリックス情報(指紋画像)が所定の部類(所定の相似の範囲内にある指紋拡散スペクトル特徴を持つ、生きている人間)の本物の特徴データであることを保証するので、例えば、所定の部類(所定の相似の範囲内にある指紋拡散スペクトル特徴を持つ、生きている人間)に属さないある物体(例えばコピー媒体やプラスチック製の指)に形成された非分光学的バイオメトリックス情報(指紋画像)を用いたなりすまし行為を防ぐことができる。すなわち、物体の分光学的情報は、その物体の光学的複雑性を反映するものであり、物体の構造が複雑であればあるほど、その分光学的情報はより複雑になる。特に、生きている人間の皮膚等の部位は、特徴的な形態や光学的性質を持つ異なる層からなる複雑な生物学的構造である。従って、例えば指先から得られる拡散反射スペクトルは、存在比率等が個人によって異なるメラニン、ヘモグロビン等の皮膚、筋肉、血液等の成分を含めた物質のスペクトル成分を含んでいる(例えば、図3を参照)。従って、生きている人間の指先やその他の部分から得られるスペクトル情報は非常に複雑で、人工的な模造品や人工装具の使用によって再現するのは困難であり、特に本発明では、同じ箇所の非分光学的バイオメトリックス情報を身元同定のために取得しているので、なりすましは略不可能となる。
【0043】
本発明の更なる応用範囲を示すために、第2実施例を次に説明する。図7は、本発明の第2実施例による分光学的バイオメトリックス補完型認証システムである、人物の虹彩パターンと虹彩のバイオスペクトル特徴に基づいて人物の身元を認証する虹彩認証装置200の基本構成を示す概略図である。
【0044】
図7に示すように、本虹彩認証装置は、第1実施例に用いられたのと同じ、画像取得部102とスペクトル取得部103を持つCCD100を用いる。本認証装置200では、認証すべき人物30の虹彩の像がレンズ340によって画像取得部102に結像される。虹彩35からCCD100に進む光の一部(10%〜20%)は、ハーフミラー240により反射され、さらにミラー242に反射されて回折格子244に入射され、ハーフミラー240によって反射された成分は回折格子244によってスペクトル分散され、スペクトル取得部103の各行において350nmから1050nmの範囲の虹彩の反射スペクトルが得られるよう、CCD100のスペクトル取得部103に入射される。
【0045】
次に、CCD100の画像取得部102により取得された虹彩画像、および、スペクトル取得部103により取得された虹彩反射スペクトルが第1実施例の指紋画像と指先拡散反射スペクトルと同様に処理されることにより、虹彩パターンと虹彩スペクトル情報ベクトルが得られ、これらが第1実施例の指紋画像パターンと指先スペクトル情報ベクトルと同じように扱われることにより、認証工程が実施される。
【0046】
指先拡散反射スペクトルと同様に、虹彩反射スペクトルも眼(虹彩)の内部組織や血液等のあらゆる生理的成分に関する情報を含むので、なりすまし行為に利用されることが困難な人物固有の生体分光学的特徴に関する情報を提供する。
【0047】
本発明は上記した各実施例に限らず。本発明の範囲内においてあらゆる変更が可能である。
【0048】
例えば、上記実施例においては、1280行と1024列に配列された画素を持つCCD100をイメージセンサーとして用いたが、他の任意のサイズのCCDやCMOS装置をイメージセンサーとして用いても良い。さらに、上記実施例において、CCD100は上部における960×960画素の画像取得部102と、下部における160×960画素のスペクトル取得部103に区分されているが、本発明はこれに限らず、これら各部は上記以外の大きさを持つよう構成しても良く、上記と異なる配置をしていても良い(例えば、画像取得部102をCCD100の下部に配置し、スペクトル取得部103を上部に配置しても良く、一部を左側に配置し、もう一部を右側に配置しても良い)。また言うまでもなく、データが無視される境界画素の構成もCCD100の最上部と最下部の縁の32行の画素、左右の各縁の32列の画素、および、画像取得部102とスペクトル取得部103の間の96行の画素に限らない。
【0049】
また、画像とスペクトルを一つのイメージセンサーで同時に取得するために、CCD100を画像取得部102およびスペクトル取得部103に分割したが、画像とスペクトルを取得するためのその他の構成も可能である。例えば、CCDやCMOSセンサー等のイメージセンサーとPDA(ホトダイオードアレー)を組み合わせ、それぞれによって画像の取得とスペクトルの取得を行うよう構成しても良く、また、イメージセンサーと、走査格子およびスペクトルを一点ずつ測定するポイントセンサーを用いた分光器とを組み合わせ、それぞれによって画像の取得とスペクトルの取得を行うよう構成しても良い。さらに、イメージセンサーと、求めるべきスペクトル情報と同じ数(上記各実施例では7つ)の光検出素子を持つセンサー、および、該当する波長領域を規定するためのフィルター等とを組み合わせて使用しても良い。求めるべきスペクトル情報の数は最低2つ必要なので、上記のような光検出素子が少なくとも2つあれば、本発明を実施できる。
【0050】
さらに、画像取得部とスペクトル取得部は、実施例のようにお互いに対し空間的に離れた形で構成されている必要はなく、お互いに対し時間的に離れた形で構成されていても良い。すなわち、例えば、バイオメトリックス情報源の非分光学的バイオメトリックス情報を得るための像をCCDの所定の部分に結像させ、その後、例えば可動ミラーを用いて、CCDへの結像を解除し、CCDの同じ部分にスペクトルを形成することにより、スペクトル情報を得ても良い。
【0051】
ただし、上記の実施例のように、イメージセンサーを画像取得部とスペクトル取得部に分割して使用することにより、画像とスペクトルを同時に得る場合、装置が小型、安価、および、省電力になるばかりでなく、イメージセンサーのスペクトル取得部に複数の同じスペクトルを形成し、ビンニング処理することにより、高い信号対ノイズ比(S/N比)を持つ、一つの増強されたスペクトルを得ることができ、また、装置の信頼性を損ないうる可動部品を全く使用せずに画像とスペクトルの両方を迅速に得ることができる等の利点があるので好ましい。
【0052】
上記の各実施例においては、認証すべき人物の身元情報を、その人物が持つIDカードからカードリーダで読み、読み込んだ身元情報を使って認証装置の記憶手段に記憶された対応指紋(もしくは虹彩)パターンと対応スペクトル情報ベクトルを探し、探し出されたパターンとベクトルを測定部によって取得された画像とスペクトルから求めた指紋(もしくは虹彩)パターンとスペクトル情報ベクトルのそれぞれと比較している。しかし、本発明はこれに限らず、認証すべき人物の指紋(もしくは虹彩)パターンとスペクトル情報ベクトルをIDカードに記憶し、この指紋(もしくは虹彩)パターンとスペクトル情報ベクトルをカードリーダ等により読み、測定部によって取得された画像とスペクトルから求めた指紋(もしくは虹彩)パターンとスペクトル情報ベクトルのそれぞれと比較して人物を認証するといった態様も可能である。さらに、IDカードを全く用いず、例えば、測定部によって取得された指紋(もしくは虹彩)パターンを、メモリーに記憶された、もしくは、オンラインでアクセス可能なデータベース内の指紋(もしくは虹彩)パターンと比較することにより人物の身元を求め、測定部によって取得されたスペクトル情報ベクトルを、メモリーに記憶された、もしくは、オンラインでアクセス可能なデータベース内のスペクトル情報ベクトルと比較することにより、人物が所定の部類に属することを認証する態様も可能である。
【0053】
また、上記の実施例では、350nmから1050nmまでの全スペクトル領域内の7つの波長領域から7つの値を得てスペクトル情報ベクトルを求めたが、本発明はこのスペクトル情報ベクトルを得る方法に限らず、例えば、スペクトルの全域は350nmから1050nmまでではなく、X線や赤外線を含んでいてもよい。しかし、認証対象に対して害となる波長域は避けるべきで、例えば、虹彩検出においては紫外線(350nmから450nmまでの範囲内の紫外線も含め)の使用は避けるべきである。
【0054】
また、7つの値の代わりに、2つ以上であれば、どのような数のスペクトル情報値を使用しても良く、例えば、全スペクトルのスペクトル情報をスペクトル情報ベクトルとして使用してもよい。また、上記実施例では、標準白色板を較正用の標準として用いたが、本発明はこれに限らず、較正用の標準を用いる代わりに、スペクトルの比較的変化の少ない部分を用いて、測定されたスペクトルを正規化する方法を採用してもよい。
【0055】
また、実施例では、スペクトル情報を解析する方法としてクラスター解析を用いているが、本発明の解析方法は、これに限らず、ニューラルネットワーク、ファジー理論、線形計画法等の他のパターン認識法を採用してもよい。
【0056】
また、実施例では、I2ランプ15を使用したが、これをD2ランプ、レーザー等、必要とされる画像やスペクトルが上記の様に得られるその他の光源に換えてもよい。また、制御部120が光源をも制御するよう構成してもよい。また、第1の実施例では、シートプリズム20をプリズム手段として用いたが、立体的な三角プリズムを代わりに使用してもよい。ただし、シートプリズム20を使用することにより、光学系10を小型化でき、しいては指紋認証装置1全体を小型化できるので好ましい。
【0057】
また、上記実施例ではそれぞれ、指先の画像と拡散反射スペクトルを取得する指紋認証システム、および、虹彩の画像と拡散および正反射スペクトルを取得する虹彩パターン認証システムに関する実施例を説明したが、本発明はそれらに限らず、掌形、顔の特徴、網膜紋等を測定または検出し、反射スペクトルおよびまたは吸収スペクトル、透過スペクトル、発光スペクトル等を採用してスペクトル情報を取得するその他のバイオメトリックス認証技術にも同様に適応することができる。
【0058】
また、各実施例では、非分光学的バイオメトリックス情報をバイオメトリックス情報源の身元を同定するために用い、スペクトル情報を、認証対象が所定の部類に属することを確認するために用いたが、いうまでもなく、取得された非分光学的バイオメトリックス情報とスペクトル情報はその他の目的、例えば、対象物の健康状態を診断するため等にも用いてよい。
【0059】
上記において本発明の実施例を幾つか説明したが、これらは単に例として示されたものであり、本発明を限定するものでなく、本発明の全範囲は請求項により規定される。従って、上記の説明や請求項により、当業者に明らかになる変更や改良は、本発明の範囲内にあるとみなされるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0060】
上記したように、本発明では、既存の生体認証技術を分光学的手法によって強化することにより、なりすまし行為を防ぎ、ATM、クレジットカード取引、電子取引、eパスポート、空港、国境、および、核施設等、金融分野や高いセキュリティーレベルを要する分野における同定と認証において、装置、コスト、および時間についての追加経費やユーザーの手間をあまり掛けずにより高い安全性を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の第1実施形態による分光学的バイオメトリックス補完型認証システムの基本構成を示す概略図である。
【図2】は、本発明の第1実施形態による分光学的バイオメトリックス補完型認証システムにおけるCCD(イメージセンサー)を示す概略図である。
【図3】は、指先の拡散反射スペクトルである。
【図4】は本発明の実施形態による認証プロセスにおける登録プロセスを示すフローチャートである。
【図5】は本発明の実施形態による認証プロセスにおける検証プロセスを示すフローチャートである。
【図6】は拡散反射スペクトルから指先の拡散反射スペクトルテンプレートベクトルを求める方法を説明するための図である。
【図7】は、本発明の第二実施形態による分光学的バイオメトリックス補完型認証システムの基本構成を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証対象のバイオメトリックス情報源の非分光学的バイオメトリックス情報を取得する工程と、
前記バイオメトリックス情報源の分光学的バイオメトリックス情報を取得する工程と、
前記非分光学的バイオメトリックス情報を用いて、バイオメトリックス情報源の身元を同定する工程と、
前記分光学的バイオメトリックス情報を用いて、認証対象が所定の部類に属することを確認する工程
からなることを特徴とする多因子認証方法。
【請求項2】
前記認証対象の前記バイオメトリックス情報源の前記非分光学的バイオメトリックス情報を取得する工程と、前記バイオメトリックス情報源の前記分光学的バイオメトリックス情報を取得する工程とが同時に実施されることを特徴とする請求項1記載の多因子認証方法。
【請求項3】
認証対象のバイオメトリックス情報源の非分光学的バイオメトリックス情報を登録する工程と、
前記バイオメトリックス情報源の分光学的バイオメトリックス情報を登録する工程とをさらに含み、
非分光学的バイオメトリックス情報を用いてバイオメトリックス情報源の身元を同定する工程において、前記取得された非分光学的バイオメトリックス情報を前記登録された非分光学的バイオメトリックス情報と比較することにより、バイオメトリックス情報源の身元を同定し、
分光学的バイオメトリックス情報を用いて認証対象が所定の部類に属することを確認する工程において、前記取得された分光学的バイオメトリックス情報を前記登録された分光学的バイオメトリックス情報と比較することにより、認証対象が所定の部類に属することを確認することを特徴とする請求項1記載の多因子認証方法。
【請求項4】
前記認証対象の前記バイオメトリックス情報源の前記非分光学的バイオメトリックス情報を取得する工程と、前記バイオメトリックス情報源の前記分光学的バイオメトリックス情報を取得する工程とが同時に実施されることを特徴とする請求項3記載の多因子認証方法。
【請求項5】
前記取得された分光学的バイオメトリックス情報を前記登録された分光学的バイオメトリックス情報と比較することにより、前記認証対象が所定の部類に属することを確認する工程において、前記取得された分光学的バイオメトリックス情報と、前記登録された分光学的バイオメトリックス情報とに対してクラスター解析を実施することにより、前記取得された分光学的バイオメトリックス情報と前記登録された分光学的バイオメトリックス情報との相似値を求め、該相似値が所定の範囲内であれば、前期認証対象は所定の部類に属すると判定することを特徴とする請求項3記載の多因子認証方法。
【請求項6】
前記取得された分光学的バイオメトリックス情報を前記登録された分光学的バイオメトリックス情報を比較することにより、前記認証対象が所定の部類に属することを確認する工程において、前記取得された分光学的バイオメトリックス情報と、前記登録された分光学的バイオメトリックス情報とに対してクラスター解析を実施することにより、前記取得された分光学的バイオメトリックス情報と、前記登録された分光学的バイオメトリックス情報との相似値を求め、該相似値が所定の範囲内であれば、前期認証対象は所定の部類に属すると判定することを特徴とする請求項4記載の多因子認証方法。
【請求項7】
前記認証対象は人物であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の多因子認証方法。
【請求項8】
前記所定の部類は「生きている人間」であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の多因子認証方法。
【請求項9】
前記認証対象は人物であり、前記所定の部類は「生きている人間」であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の多因子認証方法。
【請求項10】
前記認証対象は人物であり、前記所定の部類は「生きている人間」もしくは「所定の分光学的特徴を持つ、生きている人間」であり、前記バイオメトリックス情報源は指先であり、前記非分光学的バイオメトリックス情報は前記指先の指紋画像であり、前記バイオメトリックス情報源の前記分光学的バイオメトリックス情報は前記指先の拡散反射スペクトルであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の多因子認証方法。
【請求項11】
前記認証対象は人物であり、前記所定の部類は「生きている人間」もしくは「所定の分光学的特徴を持つ、生きている人間」であり、前記バイオメトリックス情報源は指先であり、前記非分光学的バイオメトリックス情報は前記指先の指紋画像であり、前記バイオメトリックス情報源の前記分光学的バイオメトリックス情報は前記指先の350nmから1050nmの波長域における拡散反射スペクトルであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の多因子認証方法。
【請求項12】
前記認証対象は人物であり、前記所定の部類は「生きている人間」もしくは「所定の分光学的特徴を持つ、生きている人間」であり、前記バイオメトリックス情報源は虹彩であり、前記非分光学的バイオメトリックス情報は前記虹彩の画像であり、前記バイオメトリックス情報源の前記分光学的バイオメトリックス情報は前記虹彩の反射スペクトルであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の多因子認証方法。
【請求項13】
前記認証対象は人物であり、前記所定の部類は「生きている人間」もしくは「所定の分光学的特徴を持つ、生きている人間」であり、前記バイオメトリックス情報源は指先であり、前記非分光学的バイオメトリックス情報は前記虹彩の画像であり、前記バイオメトリックス情報源の前記分光学的バイオメトリックス情報は前記虹彩の350nmから1050nmの波長域における反射スペクトルであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の多因子認証方法。
【請求項14】
認証対象のバイオメトリックス情報源の非分光学的バイオメトリックス情報を取得するための非分光学的バイオメトリックス情報取得手段と、
前記バイオメトリックス情報源の分光学的バイオメトリックス情報を取得する分光学的バイオメトリックス情報取得手段と、
前記非分光学的バイオメトリックス情報を用いて、バイオメトリックス情報源の身元を同定し、前記分光学的バイオメトリックス情報を用いて、認証対象が所定の部類に属することを確認する身元同定確認手段
からなることを特徴とする多因子認証システム。
【請求項15】
前記取得された非分光学的バイオメトリックス情報を登録非分光学的バイオメトリックス情報として記憶し、前記取得された分光学的バイオメトリックス情報を登録分光学的バイオメトリックス情報として記憶する記憶手段をさらに含み、
前記身元同定確認手段は、新たに取得された非分光学的バイオメトリックス情報を記憶された登録非分光学的バイオメトリックス情報と比較することによりバイオメトリックス情報源の身元を同定し、新たに取得された分光学的バイオメトリックス情報を記憶された登録分光学的バイオメトリックス情報と比較することにより認証対象が所定の部類に属することを確認することを特徴とする請求項14記載の多因子認証システム。
【請求項16】
前記非分光学的バイオメトリックス情報取得手段による認証対象のバイオメトリックス情報源の非分光学的バイオメトリックス情報の取得と、前記分光学的バイオメトリックス情報取得手段による前記バイオメトリックス情報源の分光学的バイオメトリックス情報の取得が同時に実施されることを特徴とする請求項14もしくは15の多因子認証システム。
【請求項17】
前記認証対象は人物であり、前記所定の部類は「所定の分光学的特徴を持つ、生きている人間」であり、前記バイオメトリックス情報源は指先であり、前記非分光学的バイオメトリックス情報は前記指先の指紋画像であり、前記バイオメトリックス情報源の前記分光学的バイオメトリックス情報は前記指先の拡散反射スペクトルであり、前記非分光学的バイオメトリックス情報取得手段はCCDもしくはCMOSセンサーからなり、前記CCDもしくはCMOSセンサーの検出面に指先の像が形成されるCCDもしくはCMOS検出システムであり、前記分光学的バイオメトリックス情報取得手段はホトダイオードアレー(PDA)からなり、該指先からの拡散反射光が前記PDA上にスペクトル分散されるPDA検出システムであり、前記身元同定確認手段はコンピュータまたは他の情報処理手段からなることを特徴とする請求項14もしくは15項記載の多因子認証システム。
【請求項18】
シートプリズムまたは他のプリズム手段と、光源とをさらに含み、前記認証対象は人物であり、前記所定の部類は「所定の分光学的特徴を持つ、生きている人間」であり、前記バイオメトリックス情報源は指先であり、前記非分光学的バイオメトリックス情報は前記指先の指紋画像であり、前記バイオメトリックス情報源の前記分光学的バイオメトリックス情報は前記指先の拡散反射スペクトルであり、前記非分光学的バイオメトリックス情報取得手段はCCDもしくはCMOSセンサー、および、少なくとも第1のレンズからなる第1の光学系からなり、前記第1の光学系は前記CCDもしくはCMOSセンサーの検出面に指先の像を形成するよう構成されたCCDもしくはCMOS検出システムであり、前記非分光学的バイオメトリックス情報取得手段はホトダイオードアレー(PDA)、および、少なくとも第2のレンズと回折格子とからなる第2の光学系からなり、前記第2の光学系は該指先からの拡散反射光を前記PDA上にスペクトル分散するよう構成されたPDA検出システムであり、前記身元同定確認手段はコンピュータまたは他の情報処理手段からなり、前記指先は前記シートプリズムまたは他のプリズム手段上に置かれ、前記光源からの光がシートプリズムまたは他のプリズム手段を介して前記指先に入射し、前記指先画像と前記指先の拡散反射スペクトルが同時に取得されるよう、前記第1の光学系が前記CCDもしくはCMOSセンサーの検出面に指先の像を形成すると同時に、前記第2の光学系が前記指先からの拡散反射光を前記PDA上にスペクトル分散することを特徴とする請求項14もしくは15項記載の多因子認証システム。
【請求項19】
前記認証対象は人物であり、前記所定の部類は「所定の分光学的特徴を持つ、生きている人間」であり、前記バイオメトリックス情報源は指先であり、前記非分光学的バイオメトリックス情報は前記指先の指紋画像であり、前記バイオメトリックス情報源の前記分光学的バイオメトリックス情報は前記指先の拡散反射スペクトルであり、前記非分光学的バイオメトリックス情報取得手段はCCDもしくはCMOSセンサーの検出面の第1の部分からなり、前記第1の部分に指先の像を形成し、前記非分光学的バイオメトリックス情報取得手段は前記CCDもしくはCMOSセンサーの前記検出面の前記第1の部分とは異なる第2の部分からなり、該指先からの拡散反射光を前記第2の部分にスペクトル分散し、前記身元同定確認手段はコンピュータまたは他の情報処理手段からなることを特徴とする請求項14もしくは15項記載の多因子認証システム。
【請求項20】
シートプリズムまたは他のプリズム手段と、光源とをさらに含み、前記認証対象は人物であり、前記所定の部類は「所定の分光学的特徴を持つ、生きている人間」であり、前記バイオメトリックス情報源は指先であり、前記非分光学的バイオメトリックス情報は前記指先の指紋画像であり、前記バイオメトリックス情報源の前記分光学的バイオメトリックス情報は前記指先の拡散反射スペクトルであり、前記非分光学的バイオメトリックス情報取得手段はCCDもしくはCMOSセンサーの検出面の第1の部分、および、少なくとも第1のレンズからなる第1の光学系からなり、前記第1の光学系は前記第1の部分に指先の像を形成し、前記非分光学的バイオメトリックス情報取得手段は前記CCDもしくはCMOSセンサーの前記検出面の前記第1の部分とは異なる第2の部分、および、少なくとも第2のレンズと回折格子とからなる第2の光学系からなり、前記第2の光学系は該指先からの拡散反射光を前記第2の部分にスペクトル分散し、前記身元同定確認手段はコンピュータまたは他の情報処理手段からなり、前記指先は前記シートプリズムまたは他のプリズム手段上に置かれ、前記光源からの光がシートプリズムまたは他のプリズム手段を介して前記指先に入射し、前記指先画像と前記指先の拡散反射スペクトルが同時に取得されるよう、前記第1の光学系が前記第1の部分に指先の像を形成すると同時に、前記第2の光学系が前記指先からの拡散反射光を前記第2の部分にスペクトル分散することを特徴とする請求項14もしくは15項記載の多因子認証システム。
【請求項21】
前記認証対象は人物であり、前記所定の部類は「所定の分光学的特徴を持つ、生きている人間」であり、前記バイオメトリックス情報源は虹彩であり、前記非分光学的バイオメトリックス情報は前記虹彩の画像であり、前記バイオメトリックス情報源の前記分光学的バイオメトリックス情報は前記虹彩の反射スペクトルであり、前記非分光学的バイオメトリックス情報取得手段はCCDもしくはCMOSセンサーからなり、前記CCDもしくはCMOSセンサーの検出面に虹彩の像が形成されるよう構成されたCCDもしくはCMOS検出システムであり、前記非分光学的バイオメトリックス情報取得手段はホトダイオードアレー(PDA)からなり、該虹彩からの反射光が前記PDA上にスペクトル分散されるよう構成されたPDA検出システムであり、前記身元同定確認手段はコンピュータまたは他の情報処理手段からなることを特徴とする請求項14もしくは15項記載の多因子認証システム。
【請求項22】
前記認証対象は人物であり、前記所定の部類は「所定の分光学的特徴を持つ、生きている人間」であり、前記バイオメトリックス情報源は虹彩であり、前記非分光学的バイオメトリックス情報は前記虹彩の画像であり、前記バイオメトリックス情報源の前記分光学的バイオメトリックス情報は前記虹彩の反射スペクトルであり、前記非分光学的バイオメトリックス情報取得手段はCCDもしくはCMOSセンサー、および、第1の光学系からなり、前記第1の光学系は前記CCDもしくはCMOSセンサーの検出面に虹彩の像を形成するよう構成されているCCDもしくはCMOS検出システムであり、前記非分光学的バイオメトリックス情報取得手段はホトダイオードアレー(PDA)、および、少なくとも回折格子と、ビームスプリッターもしくはハーフミラーとからなる第2の光学系からなり、前記第2の光学系は該虹彩からの反射光を前記PDA上にスペクトル分散するよう構成されているPDA検出システムであり、前記身元同定確認手段は、コンピュータまたは他の情報処理手段からなり、前記虹彩画像と前記虹彩の反射スペクトルが同時に取得されるよう、前記第1の光学系が前記CCDもしくはCMOSセンサーの検出面に虹彩の像を形成すると同時に、前記第2の光学系が前記虹彩からの反射光を前記PDA上にスペクトル分散することを特徴とする請求項14もしくは15項記載の多因子認証システム。
【請求項23】
前記認証対象は人物であり、前記所定の部類は「所定の分光学的特徴を持つ、生きている人間」であり、前記バイオメトリックス情報源は虹彩であり、前記非分光学的バイオメトリックス情報は前記虹彩の画像であり、前記バイオメトリックス情報源の前記分光学的バイオメトリックス情報は前記虹彩の反射スペクトルであり、前記非分光学的バイオメトリックス情報取得手段はCCDもしくはCMOSセンサーの検出面の第1の部分からなり、前記第1の部分に虹彩の像を形成し、前記非分光学的バイオメトリックス情報取得手段は前記CCDもしくはCMOSセンサーの前記検出面の前記第1の部分とは異なる第2の部分からなり、該虹彩からの反射光を前記第2の部分にスペクトル分散し、前記身元同定確認手段はコンピュータまたは他の情報処理手段からなることを特徴とする請求項14もしくは15項記載の多因子認証システム。
【請求項24】
前記認証対象は人物であり、前記所定の部類は「所定の分光学的特徴を持つ、生きている人間」であり、前記バイオメトリックス情報源は虹彩であり、前記非分光学的バイオメトリックス情報は前記虹彩の画像であり、前記バイオメトリックス情報源の前記分光学的バイオメトリックス情報は前記虹彩の反射スペクトルであり、前記非分光学的バイオメトリックス情報取得手段はCCDもしくはCMOSセンサーの検出面の第1の部分、および、第1の光学系からなり、前記第1の光学系は前記第1の部分に虹彩の像を形成し、前記非分光学的バイオメトリックス情報取得手段は前記CCDもしくはCMOSセンサーの前記検出面の前記第1の部分とは異なる第2の部分、および、少なくとも回折格子と、ビームスプリッターもしくはハーフミラーとからなる第2の光学系からなり、前記第2の光学系は該虹彩からの反射光を前記第2の部分にスペクトル分散し、前記身元同定確認手段はコンピュータまたは他の情報処理手段からなり、前記虹彩画像と前記虹彩の反射スペクトルが同時に取得されるよう、前記第1の光学系が前記第1の部分に虹彩の像を形成すると同時に、前記第2の光学系が前記虹彩からの反射光を前記第2の部分にスペクトル分散することを特徴とする請求項14もしくは15項記載の多因子認証システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−530555(P2010−530555A)
【公表日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−530686(P2009−530686)
【出願日】平成19年5月8日(2007.5.8)
【国際出願番号】PCT/JP2007/060168
【国際公開番号】WO2008/139631
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(504040128)
【氏名又は名称原語表記】PISHVA Davar
【Fターム(参考)】