説明

多孔質および非多孔質ナノ構造ならびにその応用

平滑および多孔質表面形状の両方を有するナノ繊維の繊維膜を生成するための方法。この方法は、溶媒を含むポリマーミックスおよび添加剤を含む溶融ポリマーを用いた材料加工を含む。この方法は、繊維構造の形成後の繊維構造上へのナノ材料の組み込みを含む。繊維構造は、ナノ粒子キャリア材料、ナノ粒子処理媒体、照明媒体、および触媒媒体の一部であってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書に全体の内容が組み込まれている、2004年4月8日出願の特許文献1、名称「Electrospinning of Polymer Nanofibers Using a Rotating Spray Head」、整理番号241015US−2025−2025−20に関連する。本出願はまた、参照により本明細書に全体の内容が組み込まれている、2004年4月8日出願の特許文献2、名称「Electrospray/electrospinning Apparatus and Method」、整理番号241013US−2025−2025−20に関連する。本出願は、参照により本明細書に全体の内容が組み込まれている、2004年4月8日出願の特許文献3、名称「Electrospinning in a Controlled Gaseous Environment」、整理番号245016US−2025−2025−20に関連する。本出願は、参照により本明細書に全体の内容が組み込まれている、2005年5月17日出願の特許文献4、名称「Nanofiber Mats and Production Methods Thereof」、整理番号256964US−2025−2025−20に関連する。本出願は、参照により本明細書に全体の内容が組み込まれている、2006年11月13日出願の特許文献5、名称「Particle Filter System Incorporating Nanofibers」、整理番号283730US−2025−2025−20に関連する。本出願は、参照により本明細書に全体の内容が組み込まれている、2006年11月13日出願の特許文献6、名称「Luminescence Device」、整理番号289033US−2025−2025−20に関連する。本出願は、参照により本明細書に全体の内容が組み込まれている、2006年12月22日出願の特許文献7、名称「Polymer Nanofiber−based Electronic Nose」、整理番号283740US−2025−2025−20に関連する。本出願は、参照により本明細書に全体の内容が組み込まれている、2007年6月12日出願の特許文献8、名称「Long−pass Optical Filter Made From Nanofibers」、整理番号310469に関連する。
【0002】
本発明は、ナノ繊維構造、ならびに表面多孔性を有するナノ繊維構造を生成するための方法、ならびに多孔質および非多孔質ナノ繊維の被覆方法に関する。これらの材料は、触媒、照明、ならびにナノ材料貯蔵および移送等の用途に使用することができる。
【背景技術】
【0003】
ナノ繊維は、衣料産業から軍事産業まで、様々な用途に使用することができる。近年では、ナノ繊維生成のための電界紡糸技術が注目されてきている。ナノ繊維材料の独特の材料特性は、主に超高表面積に起因する。多孔質表面形状を有するナノ繊維は、平滑なナノ繊維よりも高い表面積を有する。ナノ繊維表面上に多孔質形状を作製するためのいくつかの種類の製造方法が文献に報告されている。
【0004】
非特許文献1に開示されているように、ポリマーおよびシリカナノ粒子のブレンド溶液を電界紡糸し、続いて焼成によりポリマーを除去してシリカナノ粒子を残すことによる、テンプレート除去およびナノ多孔質無機ナノ繊維の製造が報告されている。多孔質ポリマーナノ繊維はまた、非特許文献2に開示されているように、除去可能なテンプレートとして氷晶を使用した低温電界紡糸により得られている。しかし、これらの方法は、所望の多孔質ナノ繊維構造を得るために、特定の材料加工条件または特殊な電界紡糸条件のいずれかを必要とする。また、多孔質ナノ繊維を得るために、繊維を水蒸気中に紡糸することによる他の技術が使用されているが、この技術はいわゆる「ブレスフィギュア(breath figures)」に基づいている。非特許文献3は、微小水滴の堆積によるポリマー膜における細孔形成に関して報告している。この技術は、非特許文献4により報告されているように、多孔質ナノ繊維の電界紡糸の可能性を有する。また、Wendroffら(特許文献9)は、特定のポリマー/揮発性溶媒の組により、従来の紡糸で多孔質ナノ繊維を得ることができることを報告している。
【0005】
上で参照された特許文献6、名称「Luminescence Device」は、白色光スペクトルを生成するためにナノ粒子およびナノ繊維を利用する手法を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願第10/819916号
【特許文献2】米国特許出願第10/819942号
【特許文献3】米国特許出願第10/819945号
【特許文献4】米国特許出願第11/130269号
【特許文献5】米国特許出願第11/559282号
【特許文献6】米国特許出願第11/559260号
【特許文献7】米国特許出願第11/615285号
【特許文献8】米国特許出願第60/929077号
【特許文献9】米国特許第6790528号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Kanehataら、Nanotechnology、2007、18、1〜7
【非特許文献2】Simonetら、Polymer Engineering and Science、2007、47、2020〜2026
【非特許文献3】Srinivasaraoら、Science、292(5514):79、2001年4月6日
【非特許文献4】S.Megelski、J.S.Stephans、D.B.Chase、およびJ.F Rabolt、Macromolecules、35、8456(2002)
【非特許文献5】Madhugiri,S.、W.L.Zhouら(2003)、「Electrospun mesoporous molecular sieve fibers」、Microporous and Mesoporous Materials 63(1〜3):75〜84
【非特許文献6】Han,S.O.、W.K.Sonら(2004)、「Preparation of porous ultra−fine fibres via selective thermal degradation of electrospun polyetherimide/poly(3−hydroxybutyrate−co−3−hydroxyvalerate) fibres」、Polymer Degradation and Stability 86(2):257〜262
【非特許文献7】Li,X.S.およびG.Y.Nie(2004)、「Nano−porous ultra−high specific surface ultrafine fibers」、Chinese Science Bulletin 49(22):2368〜2371
【非特許文献8】Lyoo,W.S.、J.H.Youkら(2005)、「Preparation of porous ultra−fine poly(vinyl cinnamate) fibers」、Materials Letters 59(28):3558〜3562
【非特許文献9】You,Y.、J.H.Youkら(2006)、「Preparation of porous ultrafine PGA fibers via selective dissolution of electrospun PGA/PLA blend fibers」、Materials Letters 60(6):757〜760
【非特許文献10】Li,L.およびY.L.Hsieh(2006)、「Chitosan bicomponent nanofibers and nanoporous fibers」、Carbohydrate Research 341(3):374〜381
【非特許文献11】Zhang,L.F.およびY.L.Hsieh(2006)、「Nanoporous ultrahigh specific surface polyacrylonitrile fibres」、Nanotechnology 17(17):4416〜4423
【非特許文献12】J.Rodriguez−Viejo、K.F.Jensen、H.Mattoussi、J.Michel、B.O.DabbousiおよびM.G.Bawendi、Applied Physics Letters、第70巻(1997)、第16号、21頁
【非特許文献13】Van de Hulst、Light Scattering by Small particles、Dover、1957
【非特許文献14】BohrenおよびHuffman、Absorption and Scattering of Light by Small Particles(Wiley、1983)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以下で詳細に議論され、また本発明者らにより認識される1つの問題は、発光デバイスおよび触媒用途におけるナノ粒子の安全性、取り扱い、付着、加工に関する。この全般的な問題は、発光用途に影響するだけでなく、ナノ粒子の取り扱いおよび/または他の材料構造への付着が問題となる他の応用分野にも影響する。本発明者らが認識している背景技術における他の問題は、これらの背景技術の手法における多孔性制御の欠如に関連する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つの特徴は、ポリマー溶液から多孔質および平滑な電界紡糸ナノ繊維を作製するための製剤化を含む、電界紡糸繊維の生成のためのプロセスウィンドウを改善するための装置および方法を提供することである。
【0010】
別の特徴は、2種の組成物を有するポリマー溶融物から多孔質ポリマーナノ繊維を作製するための方法および製剤化を含む、多孔質および非多孔質表面特徴を有するポリマーナノ繊維を生成する装置および方法を提供することである。
【0011】
本発明のさらに別の特徴は、多孔質および平滑な電界紡糸ポリマーナノ繊維に埋め込まれる量子ドットのための方法および条件を推進することである。
【0012】
本発明のさらに別の特徴は、電界紡糸多孔質および平滑ポリマーナノ繊維の、ナノ粒子キャリア材料への適用を推進することである。
【0013】
本発明のさらに別の特徴は、電界紡糸多孔質および平滑ポリマーナノ繊維の、ナノ粒子材料を処理するための媒体としての使用の適用を推進することである。
【0014】
本発明のさらに別の特徴は、電界紡糸多孔質および平滑ポリマーナノ繊維の、照明への適用を推進することである。
【0015】
本発明のさらに別の特徴は、電界紡糸多孔質および平滑ポリマーナノ繊維の、触媒への適用を推進することである。
【0016】
様々なこれらの特徴およびその他の特徴は、以下に示される開示された本発明の実施形態に提供される。
【0017】
上記の本発明の概要および以下の詳細な説明はともに例示的であり、本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【0018】
本発明およびそれに付随する利点の多くのより完全な理解は、付属の図面と関連して考慮されると以下の詳細な説明を参照することによってより良く理解されるため、本発明およびそれに付随する利点の多くのより完全な理解は容易に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】ナノ粒子の組み込み等を含む本発明の繊維および/またはナノ繊維の堆積に好適な電界紡糸装置を示す概略図である。
【図2A】図1に示される方法を使用して調製された多孔質ポリマーナノ繊維の走査型電子顕微鏡画像である。
【図2B(1)】図1に示される方法を使用して調製された多孔質ポリマーナノ繊維の走査型電子顕微鏡画像である。
【図2B(2)】図1に示される方法を使用して調製された多孔質ポリマーナノ繊維の走査型電子顕微鏡画像である。
【図2B(3)】図1に示される方法を使用して調製された多孔質ポリマーナノ繊維の走査型電子顕微鏡画像である。
【図2B(4)】図1に示される方法を使用して調製された多孔質ポリマーナノ繊維の走査型電子顕微鏡画像である。
【図3】図1に示される方法を使用して調製された多孔質ポリマーナノ繊維の透過型電子顕微鏡画像である。
【図4】本発明の量子ドット埋め込み(QDE)またはナノ粒子埋め込み(NPE)技術を使用して調製されたポリマー/QDまたはナノ粒子複合ナノ繊維の透過型電子顕微鏡画像である。
【図5】QDのQDEまたはNPE吸着および脱着プロセスを示す概略図である。
【図6】QDのQDEまたはNPE吸着および脱着プロセスを示す写真である。
【図7】QDEまたはNPEプロセスを使用したナノ材料廃棄物処理を示す概略図である。
【図8A】本発明の一実施形態による、繊維の体積内の発光性化合物の配置を示す概略図である。
【図8B】本発明の一実施形態による、繊維の表面上または表面近傍の発光性化合物の配置を示す概略図である。
【図8C】繊維マットの全体が光学散乱中心として機能する、本発明の一実施形態による繊維マットを示す概略図である。
【図8D】繊維が個々の散乱中心として機能する、本発明の一実施形態による繊維マットを示す概略図である。
【図8E】繊維が異なるサイズの量子ドットの繊維上の分布を有する、本発明の一実施形態による繊維マットを示す概略図である。
【図9】2つの試料からの合成光スペクトルであり、曲線「a」における繊維マットおよび曲線「b」におけるナノ繊維を含有しないポリマーフィルムがそれぞれ等しい濃度の量子ドットを有する。
【図10】電界紡糸プロセス後に発光性粒子が電界紡糸繊維に付着した、本発明の一実施形態による発光デバイスを形成するための方法を示すフローチャートである。
【図11】本発明の一実施形態に従い、発光ダイオード(LED)がカプセル材を通して発光性材料を含む繊維に向かう光を結合する構成を示す概略図である。
【図12】本発明の一実施形態に従い、発光ダイオード(LED)が、発光性材料を含む繊維を中に含有するカプセル材を通る光を結合する構成を示す概略図である。
【図13】PAN/Au炭素ナノ繊維のSEM画像(AおよびB)ならびにEDXマッピング画像(C)であり、(C)における白色の点は、炭素ナノ繊維上のAuナノ粒子の場所を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ナノ繊維は、典型的には、10〜2000nmの範囲の1つの寸法(例えばそれらの直径)を有し得る固体構造を有し、他の寸法(例えば長さ)は極めて長くてもよく、例えばメートルの寸法にも及ぶ。本発明に好適なナノ繊維は、ポリマー、セラミック、ガラス、ゾルゲル、ポリイミドを含む様々な材料から作製することができ、材料のブレンドもまた容易に製造し得る。
【0021】
ナノ繊維の1つの特徴は、その小さな直径、ひいては高い表面積である。可視光付近(約500nm)またはさらにそれより小さいナノ繊維の直径は、本明細書に開示される方法を用いて容易に生成でき、非常に大きな表面積を形成する。ポリマーナノ繊維の表面は、平滑にでき、または多孔質形状のように粗くすることができる。ナノ繊維の粗い表面形態は、通常、ナノ繊維材料が平滑であった場合に得られる表面積よりもさらに大きいナノ繊維材料の表面積を示す。多孔質表面形状の一例において、細孔は、1nmから1000nmの範囲内となることができ、細孔の深さは、1nmから1000nmの範囲内となり得る。細孔がナノ繊維表面に陥入した完全な半球であると仮定し、また単位面積当たり1つの細孔が存在すると仮定すると、円形領域をナノ繊維表面に陥入した半球細孔に置き換えると可算表面積の100%の増加が得られる。円筒または楕円形状等の他の細孔形状は、100%より大きく表面積を増加させる。図2に示されるように、本発明の細孔は、完全な半球のみではない。不規則および異なる細孔形状もまた、表面積の向上を提供する。したがって、本発明における細孔は、50%以上の表面積の向上をもたらすことができ、例えば、いくつかの場合においては、200%もの表面積の増加をもたらし得る。
【0022】
ナノ粒子は、典型的には、1nm〜1000nmのサイズ範囲の粒子材料である。球体がナノ粒子の最も一般的な形状の1つであるが、ナノ粒子材料は、棒状、矩形、正方形、および円筒形等の異なる形状に作製できる。
【0023】
ナノ粒子の組成は様々となり得る。ナノ粒子の最も一般的な形態の1つは、コアシェル粒子であり、コアは金属または無機化合物とし得る。シェル(表面キャッピング)は、不動態化、環境保護、または改善された電気的もしくは光学的安定性を提供するために、無機または有機材料で作製できる。そのような構造の例は、デカンチオレートキャッピング分子でキャッピングされたAuナノ粒子であり、他の例は、ZnSシェルがCdSeコアを取り囲んだCdSe/ZnSである。表面キャッピングシェル層は、多くの場合、粒子が互いに凝集するのを防ぐ機能を有する。表面キャッピング層はまた、溶媒に対する粒子の溶解度を左右し得る。シェル分子はまた、ナノ粒子の全体的な特性を変化させるために改質され得る。
【0024】
したがって、本発明の一実施形態において、ナノ粒子と電界紡糸ポリマーナノ繊維とを組み合わせて、複合ポリマー/ナノ粒子ナノ繊維材料を形成できる。そのような複合材料において、ナノ粒子は、ともにポリマーバルク内にあってもよく、またはナノ粒子はナノ繊維の表面上にあるかもしくはナノ繊維の表面内に部分的に埋め込まれていてもよい。後者の場合、通常、例えば蛍光ナノ粒子の光学特性の向上等、予想外の材料特性が発現する。この向上した特性は、主に、ナノ粒子のサイズにより決定される特性と、ポリマーナノ繊維の高い表面積との組合せに起因する。
【0025】
本発明の一実施形態において、ナノ粒子は、後述する量子ドット埋め込み(QDE)技術を使用することにより、ナノ繊維の電界紡糸後にポリマーナノ繊維に付着される。
【0026】
ナノ繊維製造手順
ここで、いくつかの図を通して同様の参照番号が同一または対応する部分を示している図面を参照すると、図1は、本発明の繊維および/またはナノ繊維の堆積に好適な電界紡糸装置を示す概略図である。本発明の一実施形態において、粒子(例えば光刺激性粒子)は、本発明の繊維および/またはナノ繊維内に組み込まれる。光刺激性粒子を使用した実施形態の場合、これらの粒子は、一次光を照射されると二次光を放出する。一実施形態において、光刺激性粒子は、ナノ繊維の直径よりも小さい。
【0027】
図1において、電界紡糸装置21は、電界紡糸要素24を囲むチャンバ22を含む。したがって、電界紡糸要素24は、繊維を構成する物質を電界紡糸して繊維26を形成するように構成される。電界紡糸装置21は、電界紡糸要素24から離間して配置され、繊維および/またはナノ繊維を収集するように構成されるコレクタ28を含む。繊維およびナノ繊維を形成するための様々な方法が、上に列挙され参照することにより組み込まれている特許文献2、特許文献3、および特許文献1に記載されている。
【0028】
電界紡糸要素24は、例えば上記ポリマー溶液等のエレクトロスプレー媒体を含有する貯蔵供給部30と連通する。本発明のエレクトロスプレー媒体は、ナノ繊維材料の押出しを含む繊維の押出しの技術分野において知られているポリマー溶液および/または溶融物を含む。実際には、本発明に好適なポリマーおよび溶媒には、例えば、ジメチルホルムアミドもしくはトルエン中のポリスチレン、ジメチルホルムアミド/塩化メチレン混合物中のポリカプロラクトン、蒸留水中のポリ(エチレンオキシド)、蒸留水中のポリ(アクリル酸)、アセトン中のポリ(メチルメタクリレート)PMMA、アセトン中の酢酸セルロース、ジメチルホルムアミド中のポリアクリロニトリル、ジクロロメタンもしくはジメチルホルムアミド中のポリラクチド、および蒸留水中のポリ(ビニルアルコール)、ならびにこれらの組合せが含まれる。一般に、本発明に好適な溶媒には、ポリマーが溶解し得る有機および無機溶媒の両方が含まれる。ポリマー材料は、成形されると、好ましくは透明材料であるが、ポリマーは、(後により詳細に説明するように)発光性化合物のカラーフィルタとして機能する添加剤とともに紡糸できる。
【0029】
高電圧源34は、電界紡糸要素24を高電圧に維持するために提供される。コレクタ28は、電界紡糸要素24の先端から1〜100cm離して設置される。コレクタ28は、平板またはスクリーンであってもよい。典型的には、2,000V/mから400,000V/mの電界強度が高電圧源34によって確立される。典型的には、コレクタ28は接地され、電界紡糸要素24から電界紡糸により生成された繊維26は、電界32によりコレクタ28に向かって誘導される。電界32は、繊維を構成することになる物質を、フィラメントまたは流体の液体ジェット42として電界紡糸要素24の先端から引き出す。各電界紡糸要素24への物質の供給は、好ましくは、電界紡糸要素24を出る液滴の形状が一定に維持されるように、繊維を構成することになる物質を抽出する役割を担う電界強度と均衡している。ポリマー溶液中には(あるいは、電界紡糸プロセスの後またはその最中に繊維上に導入される)、発光性化合物が存在する。本発明の一実施形態において、堆積された繊維の直径は、50nmから数マイクロメートルの範囲となり得る。
【0030】
本発明の電界紡糸プロセスの例示として、以下の限定されない例は、ポリマー、溶媒、押出し要素の先端と収集表面との間のギャップ間隔、溶媒ポンプ速度、および電気的負性ガスの添加の選択を例示するために記載される:
分子量350kg/molのポリスチレン溶液、
ジメチルホルムアミドDMFの溶媒、
押出し要素先端直径1000μm、
Al平板コレクタ、
ポリマー溶液供給ポンプ速度約0.5ml/時、
COの電気的負性ガス流量8lpm、
電界強度2KV/cm、
および
押出し要素の先端とコレクタとの間のギャップ間隔17.5cm。
【0031】
関連出願である特許文献4(上記で参照により組み込まれている)にあるように、本発明は、異なるサイズの繊維の混合繊維の繊維マットを生成するために、異なる電界紡糸要素を使用できる。繊維マットは、例えば、マットの一方の面が繊維マットのもう一方の面より大きい平均繊維直径を有してもよい。
【0032】
本発明のナノ繊維において使用される繊維には、アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー、セルロース、酢酸セルロース、キトサン、コラーゲン、DNA、フィブリノゲン、フィブロネクチン、ナイロン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(クロロスチレン)、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ(エーテルイミド)、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(アルキルアクリレート)、ポリ(エチルアクリレート)、ポリ(エチルビニルアセテート)、ポリ(エチル−コ−ビニルアセテート)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、ポリ(メタクリル酸)塩、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(メチルスチレン)、ポリ(スチレンスルホン酸)塩、ポリ(スチレンスルホニルフルオリド)、ポリ(スチレン−コ−アクリロニトリル)、ポリ(スチレン−コ−ブタジエン)、ポリ(スチレン−コ−ジビニルベンゼン)、ポリ(ビニルアセテート)、ポリラクチド、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(ビニリデンフルオリド)、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリアニリン、ポリベンズイミダゾール、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリ(ジメチルシロキサン−コ−ポリエチレンオキシド)、ポリ(エーテルエーテルケトン)、ポリエチレン、ポリエチレンイミン、ポリイミド、ポリアミド、ポリイソプレン、ポリラクチド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリ(ビニルピロリドン)、タンパク質、SEBSコポリマー、シルク、およびスチレン/イソプレンコポリマーが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0033】
さらに、2種以上のポリマーが共通の溶媒に可溶である限り、ポリマーブレンドを含有するナノ繊維も生成することができる。いくつかの例は、ポリ(ビニリデンフルオリド)−ブレンド−ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)−ブレンド−ポリ(アルキルアクリレート)、ポリスチレン−ブレンド−ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ(メチルメタクリレート)−ブレンド−ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート)−ブレンド−ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)−ブレンド−ポリ(エチレンオキシド)、タンパク質−ブレンド−ポリエチレンオキシド、ポリラクチド−ブレンド−ポリビニルピロリドン、ポリスチレン−ブレンド−ポリエステル、ポリエステル−ブレンド−ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(エチレンオキシド)−ブレンド−ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシスチレン)−ブレンド−ポリ(エチレンオキシド)である。
【0034】
比較的平滑なポリマーナノ繊維を作製するための条件
上記の一溶媒系によるポリマー溶液または一成分による溶融ポリマーのうちの1つを、上述の電界紡糸技術により平滑なポリマーナノ繊維を製造するために使用することができる。さらに、溶媒電界紡糸の他、溶融電界紡糸プロセスは、溶媒電界紡糸技術と類似したプロセスであるが、ただし溶融電界紡糸プロセスにおいては溶媒が関与せず、溶融物に使用されるポリマーは、電界紡糸の前にポリマー貯蔵部において200〜300℃に加熱される。単一ポリマー系を使用して平滑な繊維を生成できる。溶融電界紡糸に好適なポリマーの例には、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、エチレンビニルアルコール、フッ素ポリマー、ポリアセタール、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリアミド−イミド、ポリアリールエーテルケトン、ポリブタジエン、ポリブチレン、ポリカーボネート、ポリケトン、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンクロリネート、ポリイミド、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフタルアミド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリビニルクロリド、およびポリビニリデンクロリドが含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
多孔質ポリマーナノ繊維を作製するための条件
溶媒電界紡糸技術:この実施形態では、多孔性を達成するために、ポリマー溶液2〜10パーセント(重量基準)を、揮発性ではないがポリマーと比較して高い誘電率を有する添加剤と混合し、一実施形態における添加溶媒の誘電率は、50〜189の範囲内である。一実施形態において、好適に高い誘電率を有する有機溶媒としてN−メチルホルムアミドが使用され、1〜20wt%の重量パーセントで溶媒の混合物に添加される。トルエンは、N−メチルホルムアミドとともに使用可能な1種の溶媒である。一実施形態において、トルエンは、混合物の高い重量パーセントで、例えば80〜99wt%の範囲内で、電界紡糸混合物中に使用される。これらのトルエン/メチルホルムアミド/PMMAから生成された多孔質ポリ(メチルメタクリレート)PMMAポリマーナノ繊維は、一例として図2および3に示されている。電界紡糸の条件は、トルエンの含有、メチルホルムアミドのジメチルホルムアミドとの置換、およびPMMAのポリスチレンとの置換を除き、例示された上の例に密接に従う。
【0036】
この手法を用いて得られる平均細孔サイズは、紡糸溶液中の添加剤の重量分率に依存するようであった。この効果は、2%から20%(重量基準)のN−メチルホルムアミドの範囲に対して実証された。20%を超えるレベルでは、細孔が大きすぎてナノ繊維の円筒形状を維持できないことが判明した。これらの条件下では、図2Aおよび図3に示されるように、多孔質繊維は崩壊してリボン状に潰れる傾向があった。
【0037】
図2Aは、+20KV、1.0ml/時、コレクタ接地の電界紡糸条件下で作製された多孔質PMMAナノ繊維の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。試料の溶媒の濃度:(a)トルエン98%、N−メチルホルムアミド2%;(b)トルエン95%、N−メチルホルムアミド5%;(c)トルエン90%、N−メチルホルムアミド10%;(d)トルエン80%、N−メチルホルムアミド20%。図2Bは、+20KV、1.0ml/時、コレクタ接地の電界紡糸条件下で作製された多孔質PMMAナノ繊維のさらなる低倍での走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。試料の溶媒の濃度:(a)トルエン98%、N−メチルホルムアミド2%;(b)トルエン95%、N−メチルホルムアミド5%;(c)トルエン90%、N−メチルホルムアミド10%;(d)トルエン80%、N−メチルホルムアミド20%。
【0038】
図2Aおよび2Bにおいて、N−メチルホルムアミド等の高誘電率溶媒の添加は、単一溶媒系で調製された平滑なナノ繊維の丸い円筒形状と比較して、得られるナノ繊維を多孔質に、そして最終的にはリボン形状にすることが明らかである。2%〜5%等のより低い濃度のN−メチルホルムアミドで調製されたナノ繊維の場合、ナノ繊維表面上の完全な球形または円形形状の代わりに、細孔構造は、特に得られるナノ繊維の長手方向に沿って、ややより細長くなる傾向がある。N−メチルホルムアミドの濃度が10%〜20%に増加すると、丸い細孔は、得られるナノ繊維の長手方向に沿ってさらにより細長くなる傾向がある。N−メチルホルムアミド濃度が20%に達すると、細孔は互いに融合してナノ繊維表面上に非常に粗い表面形状を形成し始めた。これらの形状は、ある特定の実験条件では丸い細孔を特徴とし得るが、5%と10%の重量割合のN−メチルホルムアミドの間で、細孔サイズが顕著に増加し形状がより細長くなる閾値の存在が明確に観察される。
【0039】
ナノ繊維上の細孔の形状は、やや細長い形状から楕円形状までの幅を有し、1.1:1から10:1の範囲内のアスペクト比を有することが観察される。細孔は、ナノ繊維の表面内に部分的に埋め込まれ、いくつかの場合には5〜100nmの推定深さを有するが、より小さい細孔深さは容易には検出され得ない。細孔は、5〜100nmの推定長さを有するが、より小さい細孔長さは容易には検出され得ない。したがって、細孔は、ナノ繊維の内部表面を露出し、細孔のない同様の直径のナノ繊維と比較して増加した表面積を提供する。隣接した細孔は、その間のナノ繊維壁材料により互いから完全に隔てられてもよく、または、隣接した細孔は、部分的に重複してナノ繊維内により大きな空隙を形成してもよい。
【0040】
本発明に好適な他の高誘電率溶媒の例には、N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルプロパンアミド、N−エチルアセトアミド、N−プロピルプロパンアミド、ホルムアミド、N−ブチルアセトアミド、N−エチルホルムアミドが含まれるが、これらに限定されない。それらに適合する溶媒には、トルエン、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、ジクロロメタン、ジメチルアセトアミド、およびアセトンが含まれるが、これらに限定されない。ポリマーには、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(ベンジルメタクリレート)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリロニトリル)、ポリ(カーボネート)、およびこれらのブレンドが含まれるが、これらに限定されない。
【0041】
二成分ポリマー系電界紡糸を用いた溶融電界紡糸に続くポリマーテンプレート除去:この実施形態において、上述のような溶融電界紡糸プロセスは、溶媒電界紡糸技術と類似したプロセスであるが、ただし溶融電界紡糸プロセスにおいては溶媒が関与せず、溶融物に使用されるポリマーは、電界紡糸の前にポリマー貯蔵部において200〜300℃に加熱される。得られるナノ構造における多孔性のために、非混和性ポリマーブレンドを電界紡糸することにより多孔質ポリマーナノ繊維を得ることができ、この場合一方のポリマーは骨格(または第1の基材)として機能し、他方のポリマーはテンプレート(または第2の基材)として機能する。本発明のこの実施形態において、両方のポリマーに共通する溶媒はない。電界紡糸プロセスにおけるナノ繊維膜形成後、ナノ繊維からテンプレートポリマーを抽出でき、また骨格ポリマーを溶解しない好適な溶媒に膜構造を浸漬することにより、テンプレートポリマーを除去できる。テンプレートポリマーを使用した多孔質ポリマーナノ繊維の形成は、溶媒に基づくポリマーナノ繊維電界紡糸を用いたものが報告されている。非特許文献5から11は、参照により本明細書に組み込まれる参考文献のリストである。
【0042】
二成分ポリマーの例:この例では、骨格ポリマーポリ(ビニルアセテート)(PVAc)およびテンプレートポリマーポリ(b−ヒドロキシブチレート)(PHB)を使用する。PVAの非混和性ポリマーブレンドを、90〜200℃に加熱し、電界紡糸に供してポリマーナノ繊維膜を形成する。次いで、得られたナノ繊維膜をジクロロメタン溶媒とともにソックスレー抽出器に8時間入れ、PHBポリマーを完全に除去した。多孔質PVAcポリマー膜が形成された。
【0043】
ポリマー溶液の電界紡糸に関連した一般的実験手順は、ポリマー溶融物からの電界紡糸にも適用される。しかし、より高い電圧を必要とすることから、電界紡糸は従来的に真空中で行われている。溶融紡糸ナノ繊維に関する文献では、平均繊維直径は、10〜200μmの範囲内で、同じポリマーの溶媒電界紡糸ナノ繊維の平均繊維直径よりも大きいようである。本発明において、ナノ繊維は、電気的負性ガス環境下で電界紡糸され、骨格およびテンプレートポリマーのナノ繊維を生成する。テンプレートポリマーは、骨格ポリマーの構造および形態を変化させずに、ソックスレー抽出を用いてポリマーナノ繊維膜から抽出される。ソックスレーは、抽出に使用される溶媒に対する溶解度が限られている固体材料から不純物を抽出するために使用することができる、既知の実験装置である。
【0044】
ナノ粒子埋め込み手順
繊維およびナノ繊維の繊維マットを調製するために使用される、上記または別の場所に記載の製造手順に関わらず、本発明は、一実施形態において、繊維マットにナノ粒子を埋め込むための新規な手法を使用する。この単純な一段階技術は、以下に詳説する特定の生成物中のナノ粒子の取り扱い、貯蔵、廃棄物回収、処理、および利用における多種多様な応用を提供する。
【0045】
ナノ粒子の浸入
図4の結果に関して、量子ドット(QD)またはナノ粒子が埋め込まれたポリマーナノ繊維構造は、本発明において、本明細書で量子ドット埋め込み(QDE)技術と呼ばれる、または、本発明に使用される多くのナノ粒子は量子ドットではないため本明細書でより一般的にナノ粒子埋め込み(NPE)技術と呼ばれる、単純な一段階技術により作製される。このプロセスでは、ポリマーを溶解しないがポリマーを若干膨潤させる量子ドット溶液中に、事前に電界紡糸されたポリマーナノ繊維が含浸される。量子ドットまたはナノ粒子溶液は、本発明において、従来のコロイド合成法を用いて作製できる。得られるナノ粒子および/または量子ドットは、有機溶媒中、10〜150μmol/lの範囲内の濃度で存在する。ナノ粒子または量子ドット溶液の温度は、20〜25℃の室温である。
【0046】
QDEまたはNPEプロセスの間、ポリマーナノ繊維は、ポリマーへの溶媒の浸入により膨潤し、これによりポリマーネットワークが軟化され開かれる。ナノ粒子または量子ドットは、例えば溶液中のナノ粒子または量子ドットのブラウン運動により、溶液からポリマー表面に移動する。したがって、例えば5秒から72時間の期間、ナノ粒子または量子ドット溶液中に含浸された繊維は、ナノ粒子または量子ドットを吸収する。次いで、得られたナノ構造を、一定の溶媒流で20〜30秒間洗浄し、弱く付着したいかなる表面ナノ粒子または量子ドットも確実に除去できる。この例における得られた繊維膜を清浄な顕微鏡スライド上に置き、使用前に室温で乾燥させた。図4に示されるように、透過型電子顕微鏡画像では、個々のナノ粒子または量子ドットがナノ繊維の外側および内側の両方で観察される。この画像および他の画像から、最小限の凝集が観察される。
【0047】
本発明の一実施形態によれば、ポリマーナノ繊維上のナノ粒子または量子ドットの表面充填密度は、含浸時間、ナノ粒子溶液濃度、溶媒組成、および実験温度等のいくつかのパラメータにより制御され得る。これらの因子は、溶媒の存在下でのポリマーナノ繊維の膨潤に影響する。さらに、高い温度がブラウン運動中のナノ粒子または量子ドットの動きを促進し得る。高い温度は、典型的には、ポリマーのガラス転位点未満およびQDE溶媒の沸点未満であり、通常50〜100℃の温度範囲内である。
【0048】
ナノ粒子埋め込み例:ヘキサン中の2nmAuナノ粒子。ポリマーナノ繊維:ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)。2nmAuナノ粒子溶液を、PMMAナノ繊維膜の存在下、50℃に加熱した。適用した温度はPMMAのガラス転位温度よりはるかに低く、PMMAナノ粒子はその構造および形態を変化させない。しかし、適用した温度はポリマーの軟化に役立ち、ナノ粒子をナノ繊維の表面下により自由に移動させる。同じく重要なことに、高い温度は、ナノ粒子のブラウン運動を促進してより速い埋め込みプロセスを生じさせるのに役立つ。
【0049】
上記の結果は、本発明のポリマーナノ繊維マット構造がQD(量子ドット)および/またはナノ粒子を捕集できることを示している。ナノ繊維への粒子吸着の1つの機構は、ポリマー/液体界面における粒子のブラウン運動によるものであると考えられるが、その他の機構も有効であり得る。ナノ粒子を保持する溶媒は、まずポリマーナノ繊維表面層を軟化させ、ネットワーク構造を開く。次いで粒子がポリマーマトリックス中に移動する(例えばブラウン運動または他の機構により)。これは、通常1分未満で生じるプロセスである。しかし、溶媒特性、環境の温度ならびにナノ繊維およびナノ粒子の表面化学の作用が、吸収時間に影響を与える可能性がある。これらの因子は、例えば、ナノ粒子およびナノ繊維の吸着特性を大幅に変化させる可能性があり、それによってこのQDE技術のいくつかの異なる適用が可能となる。
【0050】
粒子吸着のその他の機構には、ナノ繊維マット内での単純な粒子捕捉が含まれ得るが、これは、吸着されるナノ粒子を含有する流体がナノ繊維マット中のナノ繊維用の溶媒でない場合に限定される機構であり得る。
【0051】
一実施形態において、QDEまたはNPEプロセスは、可逆プロセスであると考えられる。この実施形態において、QD/ナノ粒子は、溶媒膨潤効果(すなわち、ポリマーネットワークを開くこと)およびブラウン運動(すなわち、ポリマー表面/表面下への粒子の移動)により、ポリマーナノ繊維表面に吸着される。このプロセスは、溶液中の粒子濃度が界面で溶媒/ポリマー平衡状態に達するまで、粒子を消費する。この平衡状態のために、QD担持ポリマーナノ繊維マットを純粋な溶媒中に含浸する次のプロセスが、ポリマーナノ繊維材料から粒子を引き出すことが予測される。そのようなプロセスは、図5に図式的に示され、また図6において繰り返し実証されている。
【0052】
図5および6に示されるプロセスにおいて、2nmのサイズのAuナノ粒子(NP)が、QDEプロセスの間にポリマーナノ繊維マット上に吸着され、脱着/脱離プロセスにおいて再び溶媒に放出された。例えばジメチルホルムアミド(DMF)等の少量のポリマー溶解溶媒が、QDの脱着プロセスの促進に役立った。本発明のナノ繊維マットは、量子ドットを含むナノ粒子材料を効果的に濾過除去(または捕集)し得るのに十分小さい細孔サイズを有し得る。したがって、溶媒中で膨潤しないナノ繊維マットを通してナノ材料の懸濁液を濾過しても、ナノ粒子を捕集し濃縮できる。したがって、これらのナノ繊維マットは、(以下で説明されるように)ナノ材料を安全に処理するために使用でき、また特定の用途においては、そのようなフィルタから回収されたナノ材料はまだ有用となり得る。
【0053】
ナノ粒子埋め込み応用分野
1.0 ナノ材料移送
現在、ナノ材料を移送するための1つの一般的な移送方法は、粒子凝集を最小限化するために溶液中で行うものであり、NPは通常、ある特定の溶媒に適合する界面活性剤層で被覆される。しかし、NPコロイド懸濁液の取り扱いは、2つの重大な安全上の懸念をもたらす。1つの安全上の懸念は、ナノ材料の未知の毒性、ならびに、ナノ材料が漏出し安全上の問題を引き起こす発送容器からの不慮の流出および/またはその破損があった場合の結果である。もう1つの安全上の懸念は、ナノ粒子を保持するために使用される有機溶媒に関するものである。そのような有機溶媒は、通常、それ自体有毒化学薬品とみなされる。
【0054】
本発明の一実施形態において、電界紡糸ナノ繊維材料をキャリアとして使用することにより、これらの問題は解消され得る。ポリマーナノ繊維材料は、ナノ粒子の吸着剤として使用できる。ナノ粒子は、溶媒を使用せずに固体形態中に保持され得る。上で示されたTEM顕微鏡データでは、ポリマーマトリックスが、凝集または集塊化を防止するためのナノ粒子の空間分離材として機能し得ることが確認される。
【0055】
ナノ構造が使用されるこの実施形態において、複数の利点が提供される。これらの利点には以下が含まれる。
低コストの材料、
安全上の問題が少ないこと、および
より容易な移送。
【0056】
この実施形態において、粒子の捕捉は、ある程度ナノ繊維マットの膨潤に依存する。他の用途において、ナノ繊維マットは、単に濾過されている溶液からナノ粒子を捕捉するためのフィルタとして機能し得る。これらの用途は、溶液と反応するようにナノ繊維マット材料が選択される用途ほど有益ではない。ナノ繊維マット材料がナノ粒子を含有する溶液と反応しない場合、濾過が継続するにつれてナノ粒子のある程度の凝集が予測される。ナノ粒子の回収がナノ繊維フィルタからのナノ粒子の個別放出の機構を提供しない限り、凝集は、いくつかの移送用途では有害となり得る。
【0057】
2.0 ナノ材料廃棄物回収および処理
廃棄物回収:ナノ粒子(NP)研究の急速な進展にも関わらず、明確な均一ナノ材料を作製するコストは未だに高い。したがって、生成および適用プロセスにおいてNPまたはQDを回収する必要がある。ポリマーナノ繊維構造は、NPまたはQD廃棄物回収材料として使用できる。この用途の一例は、NPまたはQD合成後の反応容器からの洗浄溶液中のナノ粒子の収集である。そのような洗浄溶液は通常、特に高濃度合成の場合、著しい量のナノ材料を含有する。本発明の一実施形態におけるポリマーナノ繊維マットは、NPまたはQDを含有する洗浄溶液中に挿入され、ナノ粒子を吸着する。図5に関して説明された手順を使用して、ナノ粒子を再利用できる。
【0058】
この再利用は、以下の利点を提供する。
製造コストの削減、および
容易な使用。
【0059】
この実施形態において、粒子の捕捉は、上述のようにある程度ナノ繊維マットの膨潤に依存する。他の廃棄物回収用途において、ナノ繊維マットは、単に濾過されている溶液からナノ粒子を捕捉するためのフィルタとして機能し得る。これらの用途は、溶液と反応するようにナノ繊維マット材料が選択される用途ほど有益ではない。ナノ繊維マット材料がナノ粒子を含有する溶液と反応しない場合、濾過が継続するにつれてナノ粒子のある程度の凝集が予測される。ナノ粒子の回収がナノ繊維フィルタからのナノ粒子の個別放出の機構を提供しない限り、凝集は、いくつかの移送用途では有害となり得る。
【0060】
廃棄物処理:多くのナノ材料NPまたはQDの毒性は未知であるが、特にそれらの高い反応性および超微小寸法に起因して、毒性は高いと推定される。微小ナノ粒子をより大きなバルク材料に変換するプロセスは、材料の毒性を大幅に低下させる。本発明の一実施形態において、図7に示されるように、QDEプロセスがナノ材料廃棄物処理に使用される。
【0061】
このプロセスは、ポリマーナノ繊維構造へのQDE粒子吸収と、それに続くナノ粒子を溶融する焼成手順とを含む。プロセスは比較的単純であり、複雑な手順および高価な機器を必要としない。
【0062】
この実施形態において、上述のように、粒子の捕捉は、ある程度ナノ繊維マットの膨潤に依存する。他の廃棄物処理用途において、ナノ繊維マットは、単に濾過されている溶液からナノ粒子を捕捉するためのフィルタとして機能し得る。この用途においてナノ粒子の回収は問題とされないため、溶液と反応するように選択されるナノ繊維マット材料の使用は、重要な問題ではない。
【0063】
ナノ材料廃棄物回収および処理の例:ナノ粒子:暗褐色のヘキサン中2nmAuコアシェルナノ粒子。ポリマーナノ繊維:白色のポリ(アクリロニトリル)(PAN)電界紡糸ナノ繊維。PANは、ナノ繊維膜形態に電界紡糸し、QDEプロセスのために2nmAuナノ粒子溶液中に2〜4時間入れた。このQDEプロセスの最後に、ナノ繊維マットは暗褐色に変化し、膜上へのナノ粒子吸収を示唆していた。次いで、ナノ粒子担持PANナノ繊維膜を管状炉内に入れ、空気中で2時間、450〜600℃で焼成した。この加熱プロセス中、ナノ粒子上の表面有機キャッピング分子は燃焼し、凝集形態のAuナノ粒子が残った。
【0064】
このプロセスの利点には、以下が含まれる。
低コストのポリマーナノ繊維材料、
高価な機器を必要としない、低コストの廃棄物処理手順、および
従来の廃棄物処理技術(溶媒蒸発および燃焼)を使用した場合の環境中へのナノ材料再導入の可能性の最小限化。
【0065】
ポリマー薄膜の使用に対するナノ繊維の使用の利点
理論上、ポリマー薄膜材料も同じ目的で機能し得るが、ポリマーナノ繊維構造には、薄膜材料と比較して、以下を含むいくつかの大きな利点がある。
より高い表面積。微小繊維直径に起因して、ナノ粒子がより多くの表面に到達できる;および
マット中のナノ繊維充填構造。薄膜材料に対するQDEプロセスでは、NP/QDは薄膜材料の表面/表面下にしか到達できない。電界紡糸ナノ繊維の場合、極めて多孔質の充填構造が、同じ量の材料において、QD/NPが付着するはるかに大きな到達可能表面を提供する。
【0066】
3.0 発光性ナノ構造
固体照明(SSL)は、発光源として、電気フィラメントまたはガスではなく、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、またはポリマー発光ダイオード(PLED)を使用する照明の種類を指す。市販のSSLデバイスは普通、通常2mmを超える粒子で構成される蛍光体により囲まれたLEDからなる。蛍光体材料は良好な発光特性を示すが、波長の数が制限されているために低効率でスペクトル品質が低いという問題がある。量子ドット材料は、通常1〜10nmの範囲内の微小粒子サイズに起因するその極めて微調整可能な光学特性のために、SSL材料製造のための有力な候補となっている。
【0067】
量子ドットは、その寸法が室温での電子のサイズ(ド・ブロイ波長)以下の桁を有するナノ粒子である。量子ドットのサイズがほぼ電子のド・ブロイ波長以下である場合、見かけ上電子を閉じ込めるポテンシャル井戸が形成される。基礎量子力学の「箱の中の粒子」の解において説明されるように、このポテンシャル井戸のサイズが、電子がとり得る量子化されたエネルギー順位を決定する。エネルギー順位が量子ドットの蛍光波長を決定するため、量子ドットのサイズを変更するだけで、大方、量子ドットが可視光を放射する色が変化する。したがって、量子ドットの量子閉じ込め効果は、それぞれの量子ドットから放出される光に直接影響し、異なるサイズの量子ドットを製造することにより広範囲の色を達成できる。
【0068】
典型的な量子ドットには、より高いバンドギャップを有する無機材料のシェルで囲まれていてもよいナノ結晶コアが含まれる。この構造は、様々な溶媒との適合性を確実とする外部有機層によりキャッピングされる。これに関して、集合体全体(すなわち、ナノ結晶コア、より高いバンドギャップ材料のシェル、および有機キャッピング層)が、集合的に量子ドットと呼ばれる。そのような量子ドットの代表例は、硫化亜鉛シェルで囲まれ、トリオクチルホスフィンオキシド等の有機配位子でキャッピングされたセレン化カドミウムナノ結晶コアからなる。そのようなコアシェル構造は、Troy、NYのEvident Technologies社により販売されている。
【0069】
量子ドットのナノ結晶コアは、ケイ素、ゲルマニウム、リン化インジウム、リン化インジウムガリウム、リン化インジウム、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、硫化鉛、酸化銅、セレン化銅、リン化ガリウム、硫化水銀、セレン化水銀、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、セレン化亜鉛、ケイ酸亜鉛、硫化チタン、酸化チタン、および酸化スズ等のうちの少なくとも1種を含むがこれらに限定されない、様々な材料から製造できる。本発明に特に実用的なのは、CdSe、InGaP、InP、GaP、およびZnSeのうちの少なくとも1種のコアを有する量子ドットである。量子ドットの光学特性は、このナノ結晶コアにより提供される。
【0070】
量子ドットは、トルエン等の低誘電率(低K)有機溶媒中のコロイド分散液として市販されている。しかし、量子ドットは、相互に誘引力を受けて凝集する可能性があり、これによりそれらの量子力学的挙動が阻害されそれらの性能特性が変化し得る。例えば、凝集は、量子ドットの発光効率を低減することが知られ、また凝集の結果形成されたより大きなドットへのエネルギー伝達に起因して、放射周波数の赤方偏移をもたらすことが知られている。参照により本明細書に全内容が組み込まれる、非特許文献12を参照されたい。僅かな色の変動に対する人間の目の感受性のため、粒子凝集は、発光源からの光の品質に大きく影響し得る。極端な場合、凝集は、量子ドットからのフォトルミネッセンスの消光をもたらし得る。
【0071】
図8Aおよび8Bは、例えば、ナノ繊維の表面上またはバルク内に配置された発光性粒子4(すなわち、以下に開示される化合物のうちの1種)を含む、光刺激性繊維(LF)2を示す概略図である。より具体的には、図8Aは、図8Aにおいてナノ繊維として示されている繊維2の体積内の発光性粒子4(例えば、量子ドット半導体材料またはナノ蛍光体等の光刺激性粒子)の配置を示す概略図である。図8Bは、これも図8Bにおいてナノ繊維として示されている繊維2の表面上または表面近傍の発光性粒子4の配置を示す概略図である。図8Cは、繊維マット6の全体が光学散乱中心として機能する、本発明の一実施形態による繊維マット6を示す概略図である。この構成において、本発明の一実施形態によれば、刺激性粒子は(明確には示されていないが)繊維マットの厚さhにわたりナノ繊維2と関連して配置されている。ナノ繊維2は、励起(または一次)光に対する散乱部位を累積的に提供し、それにより、本発明の一実施形態において、ポンプ源の光と刺激性粒子4との間の相互作用の確率が高められる。
【0072】
図8Dは、繊維2が個々の散乱中心として示されている、本発明の一実施形態による繊維マット6を示す概略図である。ナノ繊維2は、励起(または一次)光に対する散乱部位を個々に提供し、それにより、本発明の一実施形態において、ポンプ光源と刺激性粒子4との間の相互作用の確率が高められる。
【0073】
したがって、以下でより詳細に説明される本発明の様々な実施形態において、繊維マットからの刺激性放出に関して例えば図8Cおよび8Dに示される繊維マットを含むデバイスが提供される。繊維マット6は、100nmから2000nmの範囲内の平均繊維直径を有するナノ繊維と、ナノ繊維と関連して配置された複数の光刺激性粒子とを含む。刺激性粒子4は、波長λの一次光を受光すると二次発光を発生できる。平均繊維直径は、一次光に対する繊維マット内の散乱部位を提供するために、波長λと同程度のサイズである。
【0074】
平均繊維直径は、100nmから2000nm、または、より好適には、300nmから600nm、または、より好適には、400nmから500nmの範囲内である。平均繊維直径は、波長λの0.50倍から1.50倍の範囲内であり、または、より好適には、波長λの0.9倍から1.10倍の範囲内である。波長λは、100ナノメートルから2000ナノメートル、または、より好適には、400ナノメートルから500ナノメートルの範囲内である。繊維マット6は、0.1マイクロメートルから2,000マイクロメートルの範囲内、または、より好適には、1マイクロメートルから500マイクロメートルの範囲内の厚さを有する。
【0075】
本発明の様々な実施形態において、刺激性粒子4は、例えば、上に挙げた量子ドット材料の他に、またはそれに加えて、ナノ蛍光体を含む。例えば以下のリストにある、またはその他のナノ蛍光体が、本発明に好適である。好適なナノ蛍光体の例には、以下が含まれるが、これらに限定されない。
1.希土類ドープ金属酸化物、例えばY:Tb、Y:Eu3+、Lu:Eu3+、CaTiO:Pr3+、CaO:Er3+、(GdZn)O:Eu3+
2.希土類ドープイットリウムアルミニウムガーネット(YAG)、例えばYAG:Ce3+
3.希土類ドープ酸化ジルコニウム、例えばZrO:Sm3+、ZrO:Er3+
4.希土類ドープバナジウム酸塩(YVO:Eu)およびリン酸塩(La,Ce,Tb)PO
5.ホストマトリックス(例えばGd、GdOS、PbO、ZnO、ZnS、ZnSe)およびドーパント(Eu、Tb、TmおよびMn)からなるドープ材料;ならびに
6.硫化亜鉛およびセレン化亜鉛の金属ドープ形態(例えばZnS:Mn2+、ZnS:Cu)。
本発明に特に実用的なのは、希土類ドープYAG、ドープZnS、およびドープZnSeのうちの少なくとも1種を含むナノ蛍光体である。
【0076】
さらに、後により詳細に説明するように、刺激性粒子4は、一次光からそれぞれの二次発光を発生し、それにより、70を超える、または80を超える演色評価数を有する合成白色光を形成する、複数の特有色発光体(すなわち、異なるサイズの量子ドットの分布またはナノ蛍光体の分布)を含み得る。図8Eは、繊維が異なるサイズの量子ドットの繊維上の分布を有する、本発明の一実施形態による繊維マット6を示す概略図である。
【0077】
本発明の一実施形態において、例えばナノ繊維の繊維マット等の高表面積媒体上に刺激性粒子4を分散させることにより、ナノ繊維2および刺激性粒子4(例えば量子ドット)を含有する繊維マット6の放出効率は、フィルムに発光性粒子が分散した平面充填の場合に達成される放出効率より高く増加する。その結果、本発明の一実施形態において、そのようなナノ繊維マット構造は、量子ドットがフィルムに分散した場合よりも高い効率で、LEDにより放出された光子を捕集でき、また平面充填発光性粒子により可能な強度よりも高い強度で、可視波長で再放射できる。さらに、表面細孔を有するナノ繊維の使用は、後に例を挙げて説明するように、この効果を向上させる。
【0078】
いかなる特定の理論にも制限されないが、繊維2から散乱する光は、繊維直径、繊維上の細孔のサイズ、光の波長、光に対する繊維の方位および繊維の屈折率に依存する。繊維のポリマーは、1.3から1.6の範囲内の実屈折率を有する。若干吸収性の材料の(そして本発明のナノ繊維構造と同様に機能し得る)長繊維の光散乱効率曲線の例は、以前に非特許文献13により詳説されている。その以前の研究において、300nmの入射光に対し、最大光散乱は、3.14のサイズパラメータ(π×繊維直径/波長)およびQ=4.2の散乱効率(Q)を有する。600nmの入射光に対しては、サイズパラメータは1.6であり、Q=2である。したがって、より短い波長の光(本発明において頻繁に使用されると予測される)は、より長い波長の光よりも2倍繊維のマットに捕捉され易い。この現象を別の言い方で説明すると、平均的に、適切に設計されたナノ繊維材料を通る400nmの光の光路長(OPL)は、600nmの光のOPLよりも長いということである。本発明に適用すると、この現象が意味することは、繊維マット内の繊維の光散乱特性から発光の向上を得ることができる、すなわち、繊維のそれぞれが散乱中心として機能し、繊維のマットが、繊維マット媒体中に励起光をより効果的に閉じ込める媒体として機能し、励起光が繊維マット内に滞留している間発光体と相互作用する確率をより高くすることができるということである。
【0079】
例えば、本発明において、典型的な励起周波数は、450nmの青色光である。白色光を生成するためには、構造は、450nmから800nmの広範囲の周波数にわたり放射線を放出する必要がある。マット6内のナノ繊維4の平均直径が励起源の波長(すなわち450nm)とほぼ同じであるナノ繊維構造を製造することによって、励起周波数は、光散乱により効果的にナノ繊維構造内に捕捉され得る(すなわち、励起源のOPLが長い)。これは、励起源が蛍光発光を開始させて白色光を生成する可能性を増加させる。一方、発光性化合物の蛍光発光により生成されたより長い波長の放出光は、繊維マット内のナノ繊維によってより非効率的に散乱され、より最小限の散乱で繊維マット構造から放射され易い。これらの条件下で、波長および繊維直径の関数としての光散乱/フォトニック特性は改善される。
【0080】
ナノ繊維の光散乱効果に加えて、約150nm以上の寸法を有する表面細孔もまた、波長に依存して異なる程度に光を散乱する。そのような表面細孔は、上述のように、高誘電率溶媒および低誘電率溶媒の溶媒混合物を使用して、電界紡糸ナノ繊維に製造できる。そのようなナノ繊維上の細孔の散乱効率は、非特許文献13及び14に記載されている方法を使用して、容易に計算できる。例えば、ポリ(メチルメタクリレート)内に完全に埋め込まれた直径150nmの細孔は、400nmでは0.334の散乱効率を有するが、750nmでは僅か0.062の散乱効率である。細孔サイズは繊維直径よりも小さくなり得るため、図2に示されるように、各繊維上に複数の細孔を設けて、さらに大きな波長間の光散乱の差を提供できる。この効果は、上述のナノ繊維の効果と酷似して相乗効果を生成し、多孔質ナノ繊維によって、より短い波長がより低い波長よりもはるかに効果的に散乱される。表面細孔およびナノ繊維の両方に起因するこの波長依存性の光散乱効率の差は、以下の説明においいて、ナノ繊維の総合特性と呼ばれる。多孔質ナノ繊維のこの特性は、以下で説明するように、照明等の用途において有利となり得る。
【0081】
本発明の一実施形態において、繊維マット6は、(図8Cに示されるように)複数のナノ繊維層を含む。これらの層のナノ繊維2は、個々に、入射励起光に対する散乱中心として機能する。典型的には、ナノ繊維は、ほぼ励起源の波長(すなわち200〜500nm)と同じ平均直径を有する。さらに、繊維中の層の数は、典型的には、0.1マイクロメートルから2,000マイクロメートルの範囲内の繊維マット6の厚さを形成し得るが、例えば0.01マイクロメートル等のより薄い値、および例えば3,000マイクロメートル等のより厚い値が好適である。より薄い層は入射励起光をより「捕集」しにくい可能性があり、またより厚い層は、量子ドットからの誘導光を実質的に散乱し得る。
【0082】
本発明の一実施形態において、刺激性粒子4は、繊維が合体して得られる繊維マット6となる際に、粗面化された電界紡糸繊維2に適用され得る。この場合、刺激性粒子4は、電界紡糸プロセス中に電界紡糸繊維に付着される。この実施形態において、刺激性粒子4は、ナノ繊維の表面または表面近傍に位置付けられる。プロセスは、制御条件下でのナノ繊維の電界紡糸に関して上述された一般的技術と同様である。刺激性粒子4は、電界紡糸繊維が乾燥する前に電界紡糸繊維の表面上に付着される。刺激性粒子4は、ポリマー溶液を電界紡糸しているエレクトロスプレー先端から離れた位置に向けられたエレクトロスプレービームにより導入され得る。
【0083】
刺激性粒子4の低い凝集度は、この実施形態において、ナノ繊維形成と光刺激性粒子付着ステップとを分離することにより達成できる。これは、例えば、(例えばエレクトロスプレー溶液からの)刺激性粒子4を、生成したナノ繊維が乾燥する領域に導入することにより達成できる。エレクトロスプレー導入技術では、量子ドットを含有する溶媒(例えばトルエン等)の液滴を静電的に分断することにより、刺激性粒子懸濁液のサブマイクロメートルの液滴が生成される。エレクトロスプレーされた液滴は高電荷を有し(通常正に帯電)、反対の電荷を保持し得るポリマーナノ繊維6の表面までの通過中、同じ電荷の反発により凝集しない。
【0084】
ナノ繊維はニードルからの排出の間に乾燥するため、エレクトロスプレーの場所により、刺激性粒子4のナノ繊維2中への浸透が制御される。例えば、エレクトロスプレービームがエレクトロスプレー先端近くに移動されると、ナノ繊維はより多くの溶媒を含有し、刺激性粒子4は繊維中により深く埋め込まれるため、ナノ繊維はより柔らかくなり易い。あるいは、エレクトロスプレービームがエレクトロスプレー先端から離れてコレクタ近くに移動されると、ナノ繊維はより乾燥し、刺激性粒子は表面に制限される。刺激性粒子を分散させるために使用される溶媒等の他のパラメータもまた、エレクトロスプレーされた量子ドットの浸透の深さに影響し得る。
【0085】
刺激性粒子4をナノ繊維2中に導入するための適用技術に関わらず、本発明の光刺激性構造における適切なサイズの繊維(すなわち、励起周波数波長に近い直径のサイズの繊維)の効果を検証するために、450nmの平均直径を有するナノ繊維を有する繊維マット、およびナノ繊維を含有しないポリマーフィルムを調製した。材料は両方とも、同量の量子ドット(すなわち発光性化合物)を有していた。
【0086】
図9は、2つの試料からの合成光スペクトルである。ここでは、意図的な多孔性のない量子ドット浸入ナノ繊維構造と、表面に量子ドットが付着した薄膜とを比較している。ポリマーフィルム試料の曲線「b」と対照的な、曲線「a」により示される対応するスペクトルにおける540nmのピークの発光の強度により示されるように、ナノ繊維中に量子ドットが分散している場合、蛍発光の強度はポリマーフィルム試料と比較して約一桁増加した。この性能の改善は、上で説明されたように、ナノ繊維マトリックスと固体フィルムとの間の構造の違いに由来する、ナノ繊維材料の拡散した光散乱性に起因すると考えられる。すなわち、本発明のナノ繊維マットは、より低いエネルギーの光(例えば赤色光)よりも、より高いエネルギーの光(例えば青色またはUV励起)をより効率的に散乱させ、高エネルギー光に対し、材料を通過するより長い光路長(OPL)を形成する。OPLがより長いため、高エネルギー光は、ナノ繊維構造内でより反射され易くなり、量子ドットにより捕集されて量子ドット含有媒体からより高い強度の発光を発生し得る確率が高まる。固体フィルムのスペクトル(すなわち曲線「b」)においては赤方偏移がほとんど見られないことから、固体フィルムにおいては凝集は強度を低減させなかったと思われる。さらに、透過型電子顕微鏡(TEM)および紫外−可視分光法を使用して、量子ドットがサイズに関わらず繊維マット全体に均一に分散することが判明した。
【0087】
微小粒子は多くの場合静電引力を受けるため、凝集は低濃度であっても発光量子ドットデバイスにおいて問題となり得る。しかし、本発明は、高表面積ナノ繊維を使用して粒子凝集を低減し、これは大量のナノ粒子を収容することができる高表面積ナノ繊維の能力に起因すると考えられる。さらに、表面多孔性または表面粗度は、この発光デバイス用途における量子ドット、およびより一般的には他の用途におけるナノ粒子が凝集せずに存在し得る部位を提供する。
【0088】
発光デバイスの一実施形態において、凝集は、得られる繊維における発光性化合物の分散の不均一性をもたらすため、望ましくない。凝集は、合成発光の色均一性を変化させ得る。さらに、凝集はまた、放出周波数の赤方偏移および消光に起因する放出強度の低減をもたらすことにより、発光性化合物の光学特性を低下させる。
【0089】
ナノ粒子のサイズ分布は、例えば、溶媒系の有機相の変化、ナノ粒子が形成される温度の変化、ナノ粒子の形成に使用される反応物質の濃度の変更、保護シェル層の追加、キャッピング分子化学の変化、ナノ粒子を形成する材料の凝集を制御するための界面活性剤の添加、粒子核生成中の電場または磁場の印加、ナノ粒子の形成中の音響エネルギーの印加等の複数のパラメータを管理することにより、制御できる。
【0090】
典型的には金属または広いバンドギャップを有する無機材料であるシェルをナノ粒子(すなわち量子ドット)の周りに施して、ナノ粒子を化学的に安定化し得る。界面活性剤またはその他の有機配位子からなる配位圏または表面キャッピング層を、シェルの周りに含有およびシェルの外側に付着させて、溶解を促進し凝集を防止することができる。そのような配位子は、ナノ粒子が形成または乾燥状態で使用される際に、ナノ粒子の凝集を防止するのに役立ち得る。あるいは、粒子核生成後に電気泳動分離等の分離方法を使用して、所望の粒子分布を達成できる。
【0091】
本発明の一実施形態において、上述のように、例えば量子ドット等の光刺激性粒子は、電界紡糸後に繊維マットに適用できる。この実施形態は、図10に示される。本発明のこの実施形態によれば、繊維マットは、800において、例えば上述の技術等の電界紡糸方法により形成される。810において、刺激性粒子4を含有する溶液が提供される。820において、ナノ繊維マット6が溶液中に含浸される。溶液は、繊維マット6内に存在するポリマーを溶解しないが若干膨潤させるように選択される。
【0092】
埋め込みプロセス中、ポリマーナノ繊維は溶媒により膨潤し得る。このネットワーク内の繊維の膨張はまた、繊維間の空間を膨張させ、これによりネットワーク空間を開いて粒子をその間で移動させる。粒子は、ブラウン運動により繊維表面に移動し得る。粒子は、繊維マット6が表面細孔を含む場合、ナノ繊維マットの表面細孔内に配置され得る。繊維マット6は、1分間から72時間の期間、溶液中に含浸でき、また溶媒で0〜60秒間洗浄し、弱く付着したいかなる表面粒子も確実に除去できる。次いで繊維マット6を支持体上に設置し、使用前に室温で完全に乾燥させることができる。さらに、上述のナノ粒子および量子ドット溶液、ならびに上述の手順を、多孔質ナノ繊維中のナノ粒子および量子ドットの捕捉に使用できる。
【0093】
ポリマー/量子ドット複合溶液をスピンコーティングすることにより調製された、量子ドットで構成されるバルクポリマーを用いた研究が報告されている。また、ポリマー/量子ドット複合溶液を電界紡糸することにより作製された、ポリマー/量子ドット複合ナノ繊維を用いた研究も報告されており、ナノ繊維構造の高い表面積も使用して量子閉じ込め効果が生成されている。しかし、これらの2つの方法により調製された複合材は、複合材中の量子ドットの凝集問題を抱えている。凝集は、得られる材料の量子効率の低下をもたらす。
【0094】
本発明のQDEおよびNPE技術は、ポリマー材料の表面上および表面下への個々の粒子の吸収により、ナノ繊維生成後にポリマー/量子ドットまたはナノ粒子複合材料を生成できる。さらに、上で示した粗面化および多孔質表面もまた、複合形態における量子ドットの凝集を劇的に低減するのに役立つことができ、したがって得られる材料の高い量子効率をもたらす。QDE技術を使用した製造の一例を以下に示す。
【0095】
発光性ポリマーQDEの例:ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)。量子ドット:ヘキサン中のCdSe/ZnS量子ドット。上述の製造手順において挙げた装置および条件を使用して、まずPMMAナノ繊維膜を電界紡糸した。電界紡糸構造を周囲条件下で24時間放置して完全に溶媒を蒸発させ、続いてQDEプロセスのためにCdSe/ZnS量子ドット/ヘキサン溶液中に1〜60分間含浸した。プロセスの最後に、膜を溶液から取り出し、周囲条件下で30分放置して乾燥させてから、光学的特性決定を行った。
【0096】
一実施形態において、QDE製造膜構造は、ドープ内ポリマー/量子ドット複合ナノ繊維よりも3.5倍高い量子効率を示した。ドープとは、量子ドット/ポリマー混合溶液を指す。ドープ内ナノ繊維とは、ポリマーと量子ドットとの混合物から電界紡糸されたナノ繊維を指す。結果として、量子ドットは通常、ポリマーナノ繊維の内側に存在する。本発明のQDE製造膜構造の3.5倍高い量子効率の差は、a)ドープ内繊維に使用された溶媒によるQDの消光、b)ドープ内繊維の電界紡糸プロセスによるQD配位圏の損傷、c)ドープ内繊維がQDE繊維よりもナノ繊維材料による光の吸収が高い傾向があること、を含む、いくつかの因子に起因し得る。
【0097】
最後に、発光性材料を形成するQDE/ナノ繊維構造は、例えばエポキシマトリックス等のカプセル材内に含め得る。図11は、本発明の一実施形態に従い、発光ダイオード(LED)がカプセル材を通して発光性または光刺激性粒子を含む繊維に向かう光を結合する構成を示す概略図である。より具体的には、図12は、量子ドット(図示せず)のある特定の分布を有するナノ繊維材料2、4を通るUVまたは青色光を放出するLED50を示す。LED50により放出されたUVまたは青色光は、ナノ繊維材料2、4への入射光を構成する。刺激性粒子4(例えば量子ドット)は入射光を吸収し、その特性に依存して白色光を放出する。繊維マット材料2、4は、例えばエポキシカプセル材52内にカプセル化されている。エポキシ52は、完全に、または部分的に、LED50および繊維マット材料2、4の両方をカプセル化し得る。繊維マット材料2、4は、可視スペクトルの所望の部分にわたる発光を発生させるために、約1.5nmから10nmまで変動するサイズの量子ドットを含み得る。様々な量子ドットの濃度(および/またはサイズ分布)は制御され、本発明の一実施形態では、太陽放射に類似した高品質の白色光を生成する。
【0098】
他の例において、他の非白色光用途のために、青色発光体より高濃度の赤色発光体を選択できる。したがって、本発明は、発光構造の各領域に適切な量子ドット発光体をそれぞれ設置することにより、単色性発光構造および特有色発光構造の両方の作製を可能にする。例えば光ファイバケーブルを介して結合された共通光源が各領域から異なる光を発生させるように、各発光色(すなわち、白、赤、青、緑、または配合色)の事前に製造された繊維マットを切断して各領域に設置できる。
【0099】
本発明の別の実施形態によれば、エポキシによるカプセル化の前に、マットをLED50の表面上に直接設置できる。この設置により、エポキシ内へのUV吸収によるエネルギー損失を低減できる。量子ドット等の刺激性粒子4は、最大吸収効果のためにLED近傍に集中させてもよい。さらに、ナノ繊維マットのLEDへの結合の一部として、UV光を捕捉するために必要な散乱効果を最適化するために、繊維内の隙間をシリコーン等の低屈折率ポリマーで充填してもよい。
【0100】
図11は、本発明の一実施形態に従い、発光ダイオード(LED)50が、刺激性粒子4を含む繊維2を中に含有するカプセル材52を通して光を結合する構成を示す概略図である。この実施形態において、図11に示されるように、刺激性粒子4を含むナノ繊維マットは、分割され(例えば切断され)、エポキシカプセル材52、例えばLEDにおいて典型的に使用されるカプセル材に充填材として添加されている。代替の手法は、エポキシのせん断により繊維を分散させることである。ナノ繊維は、透明なエポキシの可視光透過性に干渉しないように微小に作製できるため、エポキシの光学特性は影響を受けないはずである。
【0101】
従来技術と比較した本発明の様々な実施形態のいくつかの利点には、1)本発明の光刺激性デバイス中にナノ粒子の分布を組み込むことにより、広域スペクトル放出を有する発光性材料の提供が実現され得ること、2)そのような構造の形成は、蛍光体用に現在使用されているキャスティングまたは電気泳動法よりも、必要とする溶媒が少ないこと、3)ナノ粒子(すなわち粒子密度、サイズ、組成等)およびナノ繊維形状(すなわち長さ、直径、多孔性等)の選択により、発光性材料の放出、伝達および散乱特性を個別に制御できること、4)より高い表面積および繊維形状の制御により、フォトルミネッセントコンバータのより効率的な動作を可能にすること、ならびに5)代替手法よりも便利な、最終デバイス中のナノ粒子の取り扱いおよび加工のためのプロセスを提供すること、が含まれる。
【0102】
4.0 触媒ナノ構造
現在、白金は、燃料電池システムにより一般的に使用される触媒金属の1つである。その高い触媒活性にも関わらず、この貴金属のコストは、移送ニーズにおける商業化に対する主な障害の1つとなっている。したがって、Pt触媒を最も効率的に使用できる、高い表面積、高い耐久性の特性を有する担体材料をいかにして設計するかが、対応すべき重要な問題となる。
【0103】
多くの研究は、PEMFCにおける触媒担体として、高表面積炭素材料(例えばカーボンブラック)を使用することに焦点を置いてきた。この炭素担持システムには2つの大きな課題がある。1つの課題は、凝集問題である。個々の粒子サイズは1〜100nmの範囲内であるにも関わらず、この触媒担体系は、通常、加熱中、粒子間相互作用による数百ナノメートルからマイクロメートルのサイズ範囲の粒子凝集が問題となり、全表面積の大幅な減少をもたらす。もう1つの課題は、加熱後の触媒粒子のシンタリングであり、これはこれらの粒子の触媒活性およびナノ特性の低下をもたらす。
【0104】
本発明のこの実施形態において、初期触媒担体テンプレートとして多孔質ポリマーナノ繊維(50〜500nmの直径を有する)が使用され、続いてポリマー繊維の炭化および触媒活性化が行われる。そのようなポリマーナノ繊維材料は、調製直後のままで使用することができ、凝集問題を有さず、したがって触媒担持部位の総面積を大幅に増加させるとともに加熱中の粒子の凝集を最小限化する。以下はその一例である。
【0105】
有機触媒の例:ポリ(アクリロニトリル)(PAN)ポリマーおよび2〜10nmのサイズ寸法の金属触媒Ptまたは合金ナノ粒子を使用した。まずPAN溶液の電界紡糸によりPANナノ繊維膜を得た。次いで、QDEプロセスのために、得られた膜をPtまたは合金ナノ粒子溶液中に2時間入れ、QDE溶液から材料を取り出し、大気中および周囲条件下で放置し、2〜4時間完全に乾燥させた。次いで、乾燥した膜をプログラム可能な管状炉に移して焼成した。焼成は、空気、水素およびアルゴンガス下の順で、250℃〜1100℃の温度範囲で20時間の全実験期間の間複合膜を加熱することを含む、いくつかのステップを含む。得られた複合炭素ナノ繊維を図13に示す。図13は、PAN/Au炭素ナノ繊維のSEM画像(AおよびB)ならびにEDXマッピング画像(C)を具体的に示しており、(C)における白色の点は炭素ナノ繊維上のAuナノ粒子の場所を示す。
【0106】
本発明の別の実施形態において、QDEまたはNPE技術を使用して、無機ナノ繊維構造を同様に調製できる。この場合、有機ナノ繊維またはゾル−ゲル/有機ブレンドナノ繊維を、様々な実施形態で使用できる。これらの材料は、その有機ポリマー含量のために、QDEまたはNPE技術において使用でき、表面にナノ粒子を埋め込み得る。次いで生成物を焼成して、金属ナノ粒子を有する無機ナノ繊維を得られる。以下はその一例である。
【0107】
無機触媒の例:ポリマー:ポリ(ビニルアルコール)(PVA)および無機添加剤リン酸カルシウム、ならびに触媒ナノ粒子Ptまたは金属合金ナノ粒子が含まれる。まず、PVAおよびリン酸カルシウム混合物をナノ繊維膜に電界紡糸し、室温で少なくとも8時間乾燥させた。次いで、乾燥したナノ繊維膜をPtナノ粒子QDE溶液中に1時間入れた。
【0108】
Ptナノ粒子担持PVA/リン酸カルシウムナノ繊維膜を室温で8時間乾燥させ、溶媒を完全に除去した。次いで、乾燥した膜をプログラム可能な管状炉に移して焼成した。焼成は、空気、水素およびアルゴンガス下の順で、250〜1100℃の温度範囲で20時間の全実験期間の間複合膜を加熱することを含む、いくつかのステップを含む。
【0109】
この目的のために使用可能なポリマーには、ポリ(アクリロニトリル)(炭素基材用)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(アクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ポリ(ビニルピロリドン)が含まれるが、これらに限定されない。
【0110】
この目的のために使用可能な無機添加剤には、テトラエチルオルトシリケート、チタンイソプロポキシド、リン酸カルシウム、チタン酸亜鉛、酸化タングステンが含まれるが、これらに限定されない。
【0111】
触媒ナノ粒子の例には、Au、Pt、Pd等の貴金属、ならびにPtAu、PdAu、PtRu、PtFe、PtVFe等の二元および三元合金ナノ粒子が含まれるが、これらに限定されない。
【0112】
上記教示に照らして、本発明の数々の修正および変形が可能である。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲内で、本明細書において具体的に説明されたものとは異なるように実践され得ることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質ナノ繊維構造を形成するための方法であって、
第1の溶媒および第2の溶媒を含むポリマー溶液を、電界紡糸要素に供給するステップであって、第2の溶媒は第1の溶媒より高い誘電率を有するステップと、
前記ポリマー溶液からナノ繊維を電界紡糸して、前記多孔質ナノ繊維構造を形成するステップと
を含む方法。
【請求項2】
ナノ材料物質をナノ繊維に含有させるステップ
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ナノ材料物質として発光性ナノ粒子を含有させるステップ
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ナノ材料物質として触媒ナノ粒子を含有させるステップ
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
供給するステップが、
第2の溶媒として、ポリマー溶液に、50を超える範囲内の誘電率を有する誘電体を供給するステップ
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
供給するステップが、
第2の溶媒として、ポリマー溶液に、50〜189の範囲内の誘電率を有する誘電体を供給するステップ
を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
供給するステップが、
1wt%を超える重量パーセントで、第2の溶媒をポリマー溶液に供給するステップ
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
供給するステップが、
1〜20wt%の範囲の重量パーセントで、第2の溶媒をポリマー溶液に供給するステップ
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
供給するステップが、
第1の溶媒として、トルエン、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、ジクロロメタン、ジメチルアセトアミド、およびアセトンのうちの少なくとも1種を供給するステップと、
第2の溶媒として、N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルプロパンアミド、N−エチルアセトアミド、N−プロピルプロパンアミド、ホルムメタクリレートアミド、N−ブチルアセトアミド、およびN−エチルホルムアミドのうちの少なくとも1種を供給するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
電界紡糸するステップが、
多孔性を有さない同程度の直径のナノ繊維よりも100%超増加した表面積を有する前記ナノ繊維を生成するステップ
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
電界紡糸するステップが、
多孔性を有さない同程度の直径のナノ繊維よりも200%超増加した表面積を有する前記ナノ繊維を生成するステップ
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
多孔質ナノ繊維構造を形成するための方法であって、
第1の成分および第2の成分を含むポリマー溶融物を、電界紡糸要素に供給するステップと、
前記ポリマー溶融物からナノ繊維を電界紡糸するステップと、
第1および第2の成分のうちの少なくとも1つをエッチングして、前記多孔質ナノ繊維構造を形成するステップと
を含む方法。
【請求項13】
ナノ材料物質をナノ繊維に含有させるステップ
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ナノ材料物質として発光性ナノ粒子を含有させるステップ
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ナノ材料物質として触媒ナノ粒子を含有させるステップ
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
供給するステップが、
ポリマー溶融物として、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、エチレンビニルアルコール、フッ素ポリマー、ポリアセタール、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリアミド−イミド、ポリアリールエーテルケトン、ポリブタジエン、ポリブチレン、ポリカーボネート、ポリケトン、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンクロリネート、ポリイミド、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフタルアミド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリビニルクロリド、およびポリビニリデンクロリドのうちの少なくとも1種を供給するステップ
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
電界紡糸するステップが、
多孔性を有さない同程度の直径のナノ繊維よりも100%超増加した表面積を有する前記ナノ繊維を生成するステップ
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
電界紡糸するステップが、
多孔性を有さない同程度の直径のナノ繊維よりも200%超増加した表面積を有する前記ナノ繊維を生成するステップ
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
ナノ材料の取り扱いのための方法であって、
多孔質または非多孔質ナノ繊維のうちの少なくとも1種を含むナノ繊維マットを、ナノ材料を含む流体に挿入するステップと、
ナノ材料をナノ繊維マット内に捕集するステップと
を含む方法。
【請求項20】
挿入するステップが、
ナノ繊維マットとして、流体がその材料用の溶媒を含む材料を使用するステップ
を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ナノ繊維マットを焼成して捕集したナノ材料を集塊化させるステップ
をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
捕集するステップが、
ナノ材料をナノ繊維マット内に拡散させるステップ
を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
捕集するステップが、
流体との反応によりナノ繊維マットを膨潤させるステップ
を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
膨潤させるステップが、
ナノ繊維マットの溶媒中でナノ繊維マットを膨潤させるステップ
を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
捕集するステップが、
ナノ繊維マットを通して流体を濾過するステップ
を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
捕集するステップが、
ナノ粒子をナノ繊維マット内に捕集するステップ
を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
ナノ材料を含むナノ繊維マットをナノ繊維マットの溶媒中に挿入することにより、ナノ繊維マットからナノ材料を放出させるステップ
をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
ナノ繊維マットを挿入するステップが、
多孔性を有さない同程度の直径のナノ繊維よりも100%超増加した表面積を有するナノ繊維を含むナノ繊維マットを挿入するステップ
を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項29】
ナノ繊維マットを挿入するステップが、
多孔性を有さない同程度の直径のナノ繊維よりも200%超増加した表面積を有するナノ繊維を含むナノ繊維マットを挿入するステップ
を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項30】
ナノ材料の取り扱いおよび移送のための方法であって、
多孔質または非多孔質ナノ繊維のうちの少なくとも1種を含むナノ繊維マット内にナノ材料を貯蔵するステップと、
ナノ材料を含むナノ繊維マットを、第1の場所から第2の場所に移動させるステップと
を含む方法。
【請求項31】
貯蔵するステップが、
ナノ材料をナノ繊維マット内に捕集するステップ
を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
ナノ材料を含むナノ繊維マットをナノ繊維マットの溶媒中に挿入することにより、ナノ繊維マットからナノ材料を放出させるステップ
をさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
貯蔵するステップが、
多孔性を有さない同程度の直径のナノ繊維よりも100%超増加した表面積を有するナノ繊維を含むナノ繊維マット内に貯蔵するステップ
を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
貯蔵するステップが、
多孔性を有さない同程度の直径のナノ繊維よりも200%超増加した表面積を有するナノ繊維を含むナノ繊維マット内に貯蔵するステップ
を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
移動させるステップが、
ナノ繊維マットに溶媒が含有されることなく、ナノ材料を第1の場所から第2の場所に移動させるステップ
を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
ナノ繊維のネットワークとして形成された複数のナノ繊維と、
ナノ繊維のネットワークの表面積を増加させる表面細孔を有する、ネットワーク内の少なくとも1つのナノ繊維と、
ナノ繊維のネットワーク内に捕集されたナノ材料物質と
を備えるナノ繊維マット。
【請求項37】
ナノ材料物質が、発光性ナノ粒子を含む、請求項36に記載のマット。
【請求項38】
ナノ材料物質が、触媒ナノ粒子を含む、請求項36に記載のマット。
【請求項39】
複数のナノ繊維が、複数の焼成されたナノ繊維を含む、請求項36に記載のマット。
【請求項40】
複数のナノ繊維が、有機ポリマーを含む、請求項36に記載のマット。
【請求項41】
複数のナノ繊維が、無機ポリマーを含む、請求項36に記載のマット。
【請求項42】
刺激性発光のためのデバイスであって、
100nmから2000nmの範囲内の平均繊維直径を有し、ナノ繊維のうちの少なくとも1つの表面積を増加させる、ナノ繊維のうちの少なくとも1つの上の表面細孔を有する、ナノ繊維と、
ナノ繊維と関連して配置され、波長λの一次光を受光すると二次発光を発生するように構成される、複数の光刺激性粒子と
を含む繊維マットを備え、
前記平均繊維直径は、一次光に対する繊維マット内の散乱部位を提供するために、波長λと同程度のサイズであるデバイス。
【請求項43】
平均繊維直径が、300nmから600nmの範囲内である、請求項42に記載のデバイス。
【請求項44】
平均繊維直径が、400nmから500nmの範囲内である、請求項43に記載のデバイス。
【請求項45】
平均繊維直径が、波長λの0.50倍から1.50倍の範囲内である、請求項42に記載のデバイス。
【請求項46】
平均繊維直径が、波長λの0.9倍から1.10倍の範囲内である、請求項45に記載のデバイス。
【請求項47】
波長λが、300ナノメートルから600ナノメートルの範囲内である、請求項42に記載のデバイス。
【請求項48】
波長λが、400ナノメートルから500ナノメートルの範囲内である、請求項47に記載のデバイス。
【請求項49】
繊維マットが、0.01マイクロメートルから2,000マイクロメートルの範囲内の厚さを有する、請求項42に記載のデバイス。
【請求項50】
繊維マットが、1マイクロメートルから500マイクロメートルの範囲内の厚さを有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項51】
刺激性粒子が、発光性粒子を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項52】
発光性粒子が、量子ドットおよびナノ蛍光体のうちの少なくとも1種を含む、請求項11に記載のデバイス。
【請求項53】
量子ドットが、ケイ素、ゲルマニウム、リン化インジウム、リン化インジウムガリウム、リン化インジウム、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、硫化鉛、酸化銅、セレン化銅、リン化ガリウム、硫化水銀、セレン化水銀、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、セレン化亜鉛、ケイ酸亜鉛、硫化チタン、酸化チタン、および酸化スズのうちの少なくとも1種を含む、請求項52に記載のデバイス。
【請求項54】
ナノ蛍光体が、Y:Tb、Y:Eu3+、Lu:Eu3+、CaTiO:Pr3+、CaO:Er3+、および(GdZn)O:Eu3+を含む希土類ドープ金属酸化物、YAG:Ce3+を含む希土類ドープイットリウムアルミニウムガーネット(YAG)、ZrO:Sm3+およびZrO:Er3+を含む希土類ドープ酸化ジルコニウム、(YVO:Eu)および(La,Ce,Tb)POを含む希土類ドープバナジウム酸塩およびリン酸塩、Gd、GdOS、PbO、ZnO、ZnS、およびZnSeのうちの1種を含むホストマトリックスを有し、Eu、Tb、TmおよびMnのドーパントのうちの1種を含むドープ材料、ならびにZnS:Mn2+およびZnS:Cuを含む硫化亜鉛およびセレン化亜鉛の金属ドープ形態のうちの少なくとも1種を含む、請求項52に記載のデバイス。
【請求項55】
ナノ蛍光体が、希土類ドープYAG、希土類ドープZnS、および希土類ドープZnSeのうちの少なくとも1種を含む、請求項52に記載のデバイス。
【請求項56】
刺激性粒子が、一次光からそれぞれの二次発光を発生するように構成される、複数の特有色発光体を含む、請求項42に記載のデバイス。
【請求項57】
繊維マットから透過した一次光および繊維マットからの二次発光が、70を超える演色評価数を有する合成白色光を生成する、請求項56に記載のデバイス。
【請求項58】
繊維マットから透過した一次光および繊維マットからの二次発光が、80を超える演色評価数を有する合成白色光を生成する、請求項56に記載のデバイス。
【請求項59】
繊維マットからの二次発光が、70を超える演色評価数を有する合成白色光を生成する、請求項56に記載のデバイス。
【請求項60】
繊維マットからの二次発光が、80を超える演色評価数を有する合成白色光を生成する、請求項56に記載のデバイス。
【請求項61】
刺激性粒子が、ナノ繊維の表面上もしくは体積内または表面細孔内に配置される、請求項42に記載のデバイス。
【請求項62】
刺激性粒子が、繊維マット内に取り込まれる、請求項42に記載のデバイス。
【請求項63】
繊維マットを封入する透明カプセル材
をさらに備える、請求項42に記載のデバイス。
【請求項64】
一次光を生成するように構成される発光ダイオード
をさらに備える、請求項42に記載のデバイス。
【請求項65】
発光ダイオードと繊維マットとを封入する透明カプセル材
をさらに備える、請求項64に記載のデバイス。
【請求項66】
ナノ繊維が、有機および無機繊維のうちの少なくとも1種を含む、請求項42に記載のデバイス。
【請求項67】
ナノ繊維が、ポリ(アルキルアクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリラクチド、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ(ビニルアルコール)、それらの誘導体および関連するポリマー、ポリシリコーン、ポリスルホン、ならびにそれらの組合せのうちの少なくとも1種を含むポリマーを含む、請求項42に記載のデバイス。
【請求項68】
ナノ繊維が、繊維マット内のナノ繊維の屈折率および電気伝導率のうちの少なくとも1つを変更するための添加剤を含む、請求項42に記載のデバイス。
【請求項69】
ナノ繊維が、2つの群の繊維を含む、請求項42に記載のデバイス。
【請求項70】
2つの群が、異なる材料を有する繊維を含む、請求項29に記載のデバイス。
【請求項71】
2つの群が、異なる平均繊維直径を有する繊維を含む、請求項29に記載のデバイス。
【請求項72】
一次光源と、
100nmから2000nmの範囲内の平均繊維直径を有し、ナノ繊維のうちの少なくとも1つの表面積を増加させる、ナノ繊維のうちの少なくとも1つの上の表面細孔を有する、ナノ繊維と、
ナノ繊維および表面細孔と関連して配置され、一次光源から波長λの光を受光すると二次発光を発生するように構成される、複数の光刺激性粒子と
を含む繊維マットと
を備え、前記平均繊維直径は、一次光に対する繊維マット内の散乱部位を提供するために、波長λと同程度のサイズである、ランプ。
【請求項73】
平均繊維直径が、400nmから500nmの範囲内である、請求項72に記載のランプ。
【請求項74】
発光ダイオードが、400ナノメートルから500ナノメートルの範囲内の前記波長λを有する光を放出するように構成される、請求項72に記載のランプ。
【請求項75】
繊維マットが、1マイクロメートルから500マイクロメートルの範囲内の厚さを有する、請求項72に記載のランプ。
【請求項76】
刺激性粒子が、量子ドットおよびナノ蛍光体のうちの少なくとも1種を含む、請求項72に記載のランプ。
【請求項77】
刺激性粒子が、一次光からそれぞれの二次発光を発生するように構成される、複数の特有色発光体を含む、請求項72に記載のランプ。
【請求項78】
一次光源と繊維マットとを封入する透明カプセル材
をさらに備える、請求項72に記載のランプ。
【請求項79】
一次光源が、発光ダイオード、発光ダイオードアレイ、レーザ、およびレーザダイオードアレイのうちの少なくとも1種を備える、請求項72に記載のランプ。
【請求項80】
発光性繊維マットを作製するための方法であって、
ポリマー溶液を電界紡糸して、1)100nmから2000nmの直径と、2)ナノ繊維の表面積を増加させる表面細孔とを有するナノ繊維を形成するステップと、
ナノ繊維を収集して繊維マットを形成するステップと、
繊維マットを刺激性粒子で被覆するステップと
を含む方法。
【請求項81】
被覆するステップが、
刺激性粒子を含有する溶媒中に繊維マットを含浸するステップ
を含む、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
刺激性粒子を含有する溶媒の超音波処理された溶液を提供するステップ
をさらに含む、請求項80に記載の方法。
【請求項83】
溶液から繊維マットを取り出すステップと、
繊維マットから溶媒を乾燥させるステップと
をさらに含む、請求項80に記載の方法。
【請求項84】
繊維マットに表面被覆を提供するステップ
をさらに含む、請求項80に記載の方法。
【請求項85】
刺激性粒子を含有する溶媒が、繊維マットを溶解することなく繊維マットを膨潤させる、請求項80に記載の方法。
【請求項86】
ナノ繊維の膨潤が、ナノ繊維内への刺激性粒子の浸透を高め、刺激性粒子を繊維マットの表面下に存在させる、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
繊維マットを作製するための方法であって、
ポリマー溶液を電界紡糸して、1)50nmから2000nmの直径と、2)ナノ繊維の表面積を増加させる表面細孔とを有するナノ繊維を形成するステップと、
ナノ繊維を収集して繊維マットを形成するステップと、
繊維マットをナノ粒子で被覆するステップと
を含む方法。
【請求項88】
被覆するステップが、
ナノ粒子を含有する溶媒中に繊維マットを含浸するステップ
を含む、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
ナノ粒子を含有する溶媒の超音波処理された溶液を提供するステップ
をさらに含む、請求項87に記載の方法。
【請求項90】
溶液から繊維マットを取り出すステップと、
繊維マットから溶媒を乾燥させるステップと
をさらに含む、請求項87に記載の方法。
【請求項91】
繊維マットに表面被覆を提供するステップ
をさらに含む、請求項87に記載の方法。
【請求項92】
粒子を含有する溶媒が、繊維マットを溶解することなく繊維マットを膨潤させる、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
ナノ繊維の膨潤が、ナノ繊維内への粒子の浸透を高め、粒子を繊維マットの表面下に存在させる、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
ナノ繊維を焼成して炭素繊維にするために、繊維マット内のナノ繊維を加熱するステップ
をさらに含む、請求項87に記載の方法。
【請求項95】
ナノ粒子を焼成して金属触媒にするために、繊維マット内のナノ粒子を加熱するステップ
をさらに含む、請求項87に記載の方法。
【請求項96】
ナノ繊維のネットワークとして形成された複数のナノ繊維と、
ナノ繊維のネットワーク内に捕集されたナノ材料物質と
を備え、前記ネットワークは、移送中にナノ材料物質を含有する担体を提供する、ナノ材料キャリア。
【請求項97】
前記複数のナノ繊維が、乾燥材料を含む、請求項96に記載のキャリア。
【請求項98】
ネットワーク内のナノ繊維のうちの少なくとも1つが、ナノ繊維のネットワークの表面積を増加させる表面細孔を有する、請求項96に記載のキャリア。
【請求項99】
ナノ繊維のネットワークとして形成された複数のナノ繊維と、
ナノ繊維のネットワーク内に捕集されたナノ材料物質と
を備え、前記ネットワークは、ネットワークからのその後のナノ材料物質の回収のためのナノ材料物質を含有する担体を提供する、ナノ材料廃棄物回収媒体。
【請求項100】
ナノ材料物質が、溶液から回収された量子ドット溶液を含む、請求項99に記載の媒体。
【請求項101】
ネットワーク内のナノ繊維のうちの少なくとも1つが、ナノ繊維のネットワークの表面積を増加させる表面細孔を有する、請求項99に記載のキャリア。
【請求項102】
複数のナノ繊維が、液体フィルタを構成する、請求項99に記載のキャリア。
【請求項103】
ナノ繊維のネットワークとして形成された複数のナノ繊維と、
ナノ繊維のネットワーク内に捕集されたナノ材料物質と
を備え、前記ネットワークは、ネットワークからのその後のナノ材料物質の処理のためのナノ材料物質を含有する担体を提供する、ナノ材料廃棄物処理媒体。
【請求項104】
ナノ材料物質が、溶液から回収された量子ドット溶液を含む、請求項103に記載の媒体。
【請求項105】
ネットワーク内のナノ繊維のうちの少なくとも1つが、ナノ繊維のネットワークの表面積を増加させる表面細孔を有する、請求項103に記載のキャリア。
【請求項106】
複数のナノ繊維が、加熱によりナノ材料サイズ粒子がマイクロメートル以上の一片に変換される媒体を含む、請求項103に記載のキャリア。
【請求項107】
複数のナノ繊維が、加熱によりナノ繊維が炭素材料に変換される媒体を含む、請求項103に記載のキャリア。

【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図1】
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【図2A】
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【図2B(1)】
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【図2B(2)】
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【図2B(3)】
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【図2B(4)】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8E】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2011−523981(P2011−523981A)
【公表日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−509653(P2011−509653)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/043784
【国際公開番号】WO2009/140381
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(500240896)リサーチ・トライアングル・インスティチュート (36)
【Fターム(参考)】