説明

多層シート、熱成形容器および易開封性包装体

【課題】易開封性および開封感触が安定し、耐熱性および開封面の外観が良好な容器、その容器を備えた包装体およびこれらの容器および包装体を構成する多層シートを提供する。
【解決手段】
多層シート20は、表面層21と、この表面層21と隣接する表下層22とを含んで構成されたシートであって、表面層21の厚み寸法は、1μm〜200μmであり、表面層21は、ポリプロピレン、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、およびスチレン系ポリマーを含んで構成され、これらポリプロピレン、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂およびスチレン系ポリマーの含有率は、それぞれ60wt%以上80wt%以下、1wt%以上10wt%以下、8wt%以上28wt%以下、4wt%以上14wt%以下であり、表下層22はポリエチレン系樹脂を含有し、このポリエチレン系樹脂の含有率は、5wt%以上50wt%以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層シート、熱成形容器およびこの容器を備えた易開封性包装体に関する。例えば、蓋材と容器をヒートシールによって密封する包装形態を使用する易開封性包装体であり、食品・薬品・化粧品等を包装する。
【背景技術】
【0002】
近年、食に対する安全意識の高まりに伴い、内容物の密封性を高めると共に内容物を取り出すことができる易開封性の容器、蓋材、これら容器および蓋材を備えた包装体が知られている(特許文献1,2参照)。
特許文献1には、ポリオレフィン系樹脂およびエチレン・アクリル酸エステル・無水マレイン酸共重合体系樹脂からなるA層と、ポリオレフィン系樹脂からなるB層とを備えた多層シートが開示されている。また、多層シートを熱成形してなる熱成形容器も開示されている。
特許文献2には、ポリオレフィン系樹脂およびスチレン系ブロックポリマーを含有する表面層と、スチレン系樹脂およびスチレン系ブロックポリマーを含有する基材層との2層からなる蓋材用易剥離複合シートが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−231226号公報
【特許文献2】特開平7−223299号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の容器では、シール層としてのA層内で発生した凝集破壊と、A層およびその隣接したB層間の層間剥離とがランダムに発生することで開封面が安定しない場合がある。そのため、シール面に乱れた凝集破壊の跡が毛のように残ることでパッケージの一部混入や、開封時の感覚が悪くなることがある。
また、A層を構成する原料の中に融点が低いものを使用している。そのため、熱成形時の加熱ゾーンが加熱板の接触加熱の場合、加熱板へシートが付着し、安定した容器成形を阻害する場合がある。さらに、内容物の充填・殺菌・保存工程で高温雰囲気に置かれた際、A層が融けたり、崩れやすくなったりする場合がある。さらに、ヒートシール条件を高く設定した際にA層が排斥されやすく、密封性が阻害される原因となる場合がある。
また、特許文献2に記載のものは、層間剥離により開封するものであり、シート成形時、容器熱成形時の加熱条件などの変化により、剥離強度が変化しやすく開封感触が悪くなる場合がある。
また、包装体へ内容物を充填し密封する場合、内容物の漏れを防ぐためにヒートシール条件を高く設定する場合がある。しかし、この場合、密封性を高めたことにより開封後の外観や開封感が犠牲になっている場合がある。
【0005】
本発明の目的は、易開封性および開封感触が安定し、耐熱性および開封面の外観が良好な容器、その容器を備えた包装体およびこれらの容器および包装体を構成する多層シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の多層シートは、表面層と、この表面層に隣接して積層された表下層とを含んで構成された多層シートであって、前記表面層の厚み寸法は、1μm〜200μmであり、前記表面層は、ポリプロピレン、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、およびスチレン系ポリマーを含んで構成され、これらポリプロピレン、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂およびスチレン系ポリマーの含有率は、それぞれ60wt%以上80wt%以下、1wt%以上10wt%以下、8wt%以上28wt%以下、4wt%以上14wt%以下であり、前記表下層はポリエチレン系樹脂を含有し、このポリエチレン系樹脂の含有率は、5wt%以上50wt%以下であることを特徴とする。
また、本発明の多層シートは、表面層と、この表面層に隣接して積層された基材層とを含んで構成された多層シートであって、前記表面層の厚み寸法は、1μm〜200μmであり、前記表面層は、ポリプロピレン、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、およびスチレン系ポリマーを含んで構成され、これらポリプロピレン、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂およびスチレン系ポリマーの含有率は、それぞれ60wt%以上80wt%以下、1wt%以上10wt%以下、8wt%以上28wt%以下、4wt%以上14wt%以下であり、前記基材層はポリエチレン系樹脂を含有し、このポリエチレン系樹脂の含有率は、5wt%以上50wt%以下であることを特徴とする。
ここで、本発明の多層シートにおいて、前記表面層に分散剤が含有されたことが好ましい。
また、本発明では、前記表面層に使用されるポリプロピレン系樹脂は、プロピレンエチレンブテン1ターポリマーであることが好ましい。さらに、スチレン系ポリマーは、スチレンエチレンブテンスチレンブロックコポリマーであることが好ましい。
本発明の熱成形容器は、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の多層シートを熱成形することで得られ、開口部を有する熱成形容器であって、前記開口部の周辺にフランジ部が形成されたことを特徴とする。
本発明の易開封性包装体は、請求項5に記載の容器と、前記容器の開口部を塞ぐ状態に融着された蓋材と、を備えたことを特徴とする。
ここで、本発明の易開封性包装体は、前記フランジ部の開口部側近傍に樹脂溜まり部が形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、易開封性および開封感触が安定し、耐熱性および開封面の外観が良好な容器、その容器を備えた包装体およびこれらの容器および包装体を構成する多層シートを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明における実施形態の多層シートを示す断面図である。
【0009】
本発明の多層シート20は、基材層23と、基材層23に隣接して積層された表下層22と、この表下層22に隣接して積層された凝集破壊性の表面層21とを備える。
基材層23は、第1の基材層23Eと、第1の接着層23Dと、ガスバリア層23Cと、第2の接着層23Bと、第2の基材層23Aとが順に積層された構成である。
【0010】
第1および第2の基材層23E,23Aには、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂などを使用できるが、これに限られない。各基材層23E,23Aの厚さは、100〜2000μmであり、好ましくは、200〜1000μmである。
第1および第2の接着層23D、23Bには、例えば、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を使用できるが、不飽和カルボン酸またはその誘導体変性ポリオレフィン樹脂を使用してもよい。
ガスバリア層23Cとしては、ポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、エチレン−ビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニリデン等の材料を使用することが好ましいが、中でもエチレン−ビニルアルコール系樹脂を使用することが好ましい。
【0011】
表下層22には、ポリエチレン系樹脂が含有されており、その含有量は5wt%以上50wt%以下であり、好ましくは10wt%以上30wt%以下である。
また、表下層22には、ポリプロピレン系樹脂が含有されていてもよく、例えば、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレンである。
【0012】
表面層21には、少なくともポリプロピレン、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂およびスチレン系ポリマーが含有されている。
ポリプロピレンの含有量は、60wt%以上80wt%以下であり、好ましくは65wt%以上75wt%以下である。
ポリプロピレン系樹脂の含有量は、1wt%以上10wt%以下であり、好ましくは2wt%以上5wt%以下である。ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレンエチレンブテン1ターポリマーが使用できる。
また、表面層21のポリエチレン系樹脂の含有量は、8wt%以上28wt%以下であり、好ましくは13wt%以上23wt%以下である。
スチレン系ポリマーの含有量は、4wt%以上14wt%以下であり、好ましくは6wt%以上12wt%以下である。
本実施形態で使用されるスチレン系ポリマーとは、スチレンや、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、ジメチルスチレンなどの芳香族ビニル炭化水素とブタジエン、イソプレン、ペンタジエンなどのジエン化合物とのブロックコポリマーである。その構造としては、ポリスチレン−ポリブタジエン(SB)およびポリスチレン−ポリイソプレン(SI)などの2元系ブロックコポリマー、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン(SBS)およびポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン(SIS)などの3元系ブロックコポリマーである。また、これらのブロックコポリマーを水素添加したスチレン−エチレンブテン−スチレン(SEBS)、スチレン−エチレンプロピレン−スチレン(SEPS)などの飽和型PS系BPが挙げられる。SB系BPには、スチレンエチレンブテンスチレンブロックコポリマーを使用することが好ましい。
【0013】
このスチレン系ポリマー中のスチレン含有量については、特に限定するものではないが、スチレンなどの芳香族ビニル炭化水素が10wt%から80wt%の範囲の市販品、具体的には、電気化学工業(株)製のデンカSTR、デンカ−クリアレン、日本合成ゴム(株)製JSR−TR、旭化成工業(株)製タフプレン、ソルプレン、アサフレックス、タフテック、フィリップス製ソルプレン、Kレジン、シエル化学(株)製カリフレックスTR、クレイトンG、クラレ(株)製セプトン等が使用できる。
【0014】
また、表面層21には、さらに、分散剤が含有されていてもよい。この場合、分散剤の含有量は、1wt%以上8wt%以下であり、好ましくは2wt%以上5wt%以下である。
表面層21の厚さは、1μm以上200μm以下であり、好ましくは、10μm以上100μm以下である。
【0015】
このような多層シート20は、Tダイを用いた多層押出成形法により成形される。すなわち、各層21〜23に対応した押し出し機を使用し、各押し出し機から押し出された各層21〜23をTダイに入る直前に設けた特殊ブロックで合流、積層させて成形する。
【0016】
次に、図2、3を参照して、本発明の一実施形態にかかる容器および蓋材を備えた易開封性包装体(以下、「包装体」と略記する)について説明する。本実施形態の包装体は、デザート類、電子レンジ用食品、レトルト用食品等の食品用包装体として好適に利用することができる。
[第1実施形態]
(I)包装体1の構成:
図2は、本発明の包装体1の一態様(第1実施形態)を示した概略図であり、図2(A)は蓋材3で密封された状態、図2(B)は開封開始部4から蓋材3を開封した状態をそれぞれ示している。また、図3は、図2の開封開始部4の断面図である。
【0017】
熱成形容器2(以下、「容器」と略記する)は、開口部24に対して蓋材3を載置して、容器2の開口部24の周縁に配設されたフランジ部25と蓋材3とをヒートシールして、環状のシール部26(図3に示す環状シール盤7で形成されるシール部262と環状シール盤7aで形成される261)が形成され、図2(A)に示すように、易開封性容器の1内部が密封状態とされる。
一方、密封状態の包装体1を開封するには、図2(B)に示すように(及び後記する図7及び図8にも示すように)、包装体1の隅角に設けられた開封開始部4において蓋材3を上部(図2(B)の矢印方向)に引き上げるようにすれば、包装体1が簡便に開封される。
【0018】
(I−1)容器2の構成:
図2及び図3に示される包装体1は、容器2を備え、この容器2は、表面層21、表下層22、基材層23の3層からなる積層体である。
また、当該容器2は、所定の深さを有する略長方形のトレー形状であって、略長方形状の開口部24を有し、当該開口部24の周縁には、外側に張り出すようにフランジ部25が配設されている。
【0019】
ここで、本実施形態においては、後記する図7に示すが、容器2の表面層21が凝集破壊される凝集剥離により開封される。
【0020】
(I−2)蓋材3の構成:
蓋材3は、本実施形態にあっては、包装体1の外部に現れる外層33と、容器2の表面層21とヒートシールされるシール層31と、これらシール層31および外層33間に介在された中間層32からなる積層体である。
容器2の表面層21とヒートシールされる蓋材3のシール層31は、容器2の表面層21が凝集破壊して剥離する開封態様である。
【0021】
また、蓋材3を構成する中間層32は、ポリアミド系樹脂を使用することが好ましく、外層33は、ポリエチレンテレフタレート系樹脂を使用することが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、二軸延伸ナイロンフィルム(O−Ny)等を使用することができる。
【0022】
なお、このような表面層21を容器2に、またシール層31を蓋材3に採用して両者をヒートシールした場合にあっては、両層21,31が融着する一方、開封の際には、応力に対して弱い容器2の表面層21が凝集剥離して、開封が良好に行われることになる。
【0023】
(I−3)樹脂溜まり部6の形成:
本実施形態の包装体1は、図3に示すように、フランジ部25上に有るシール部の内周縁近傍(図3のXの位置)に、容器2の表下層22、表面層21及び蓋材3のシール層31が、容器2の開口部24方向に押し出されるようにして、瘤(こぶ)状の樹脂溜まり部6が形成されている。
図3に示すように、樹脂溜まり部6は、容器2の表面層21の樹脂溜まり61、表下層22の樹脂溜まり62、及び蓋材3のシール層31の樹脂溜まり63が集まって形成されているが、容器2の表面層21が凝集剥離される開封形態の包装体1にこのような樹脂溜まり部6を形成させることにより、包装容器として高い密封性を備えた上で、凝集剥離による開封形態を採用して易開封性を良好な状態で維持するとともに、当該樹脂溜まり部6における蓋材3と容器2のフランジ部25との切断が簡便に行われるとともに、内圧による応力がかかる向きと凝集破壊による開封しやすい向きを異ならせることにより、密封性の向上を実現することとなる。
【0024】
また、本発明においては、容器のフランジ部25上面にある環状のシール部262の内周縁近傍(図3のXの位置)の全周に前記した樹脂溜まり部6があって、容器の開封開始部にある環状のシール部262の外周縁はフラット、若しくは、内周縁近傍Xにある樹脂溜まり部6より小さい樹脂溜まりしかなく、容器2の開始部4以外の部分には、前記環状のシール部262の外周縁全周にも、内周縁近傍Xにある前記樹脂溜まり部6と略同じ大きさの図示しない樹脂溜まり部がある容器1が、高密封性、易開封性及び、開封開始部4以外からの蓋材3の開封防止性に優れる点で好ましい。
【0025】
ここで、容器2の表下層22において、ポリエチレン系樹脂の含有量が5wt%未満であると、表面層21と表下層22の層間と凝集破壊面により毛羽立ち発生となる場合がある。一方、ポリエチレン系樹脂の含有量が50wt%を超えると、表下層22と基材層23の間で層間が剥離する場合がある。
【0026】
また、容器2の表面層21のポリプロピレンの含有量が60wt%未満であると、蓋材3との接着が弱く、密着性が悪化したり、耐熱性が悪化する場合がある。一方、ポリプロピレンの含有量が80wt%を超えると、密着性が強くなりすぎ、開封性が悪化する場合がある。
また、容器2の表面層21のポリプロピレン系樹脂の含有量が1wt%未満であると、蓋材3との接着が弱く、密着性が悪化したり、耐熱性も悪化する場合がある。一方、ポリプロピレン系樹脂の含有量が10wt%を超えると、蓋材3との密着性が強くなりすぎ、開封性が悪化したり、コストが高くなる場合がある。
そして、表面層21のポリエチレン系樹脂の含有量が8wt%未満であると、蓋材3との密着性が強くなりすぎ、開封性が悪化する場合がある。一方、ポリエチレン系樹脂の含有量が28wt%を超えると、コストが高くなる場合がある。
さらに、表面層21のスチレン系ポリマーの含有量が4wt%未満であると、分散性が悪くなる場合がある。一方、スチレン系ポリマーの含有量が14wt%を超えると、耐熱性が悪化するとともに、コストが高くなる場合がある。
表面層21の厚さが1μm未満または200μmを超えると、凝集破壊が起こりにくくなる場合がある。
【0027】
包装体1を製造するにあって、容器2のフランジ部25と蓋材3とを融着して包装体1を密封状態とするには、容器2のフランジ部25に蓋材3を重ね合わせ、この蓋材3の上面から、加熱状態の環状シール盤を押圧することによりヒートシールが実施されるのであるが、前記したような、開封開始部4のシール部の内周縁近傍Xに瘤状の樹脂溜まり部6を形成するには、例えば、下記のような方法を用いればよい。
【0028】
図4は、本実施形態の包装体1を製造する場合における開封開始部4のシール工程を示した模式図である。
容器2のフランジ部25と蓋材3とのヒートシールは、図4に示すように、容器2のフランジ部25に蓋材3を重ね合わせ、当該蓋材3の上部から、加熱状態の環状シール盤7を図4の矢印方向に押圧することにより実施され、これにより、容器2のフランジ部25に現れた表面層21と蓋材3のシール層31が融着される。
【0029】
また、図5は、ヒートシール時における環状シール盤7とフランジ部25の状態を示した部分断面図であり、また、図6は、環状シール盤7の部分拡大断面図である。
本実施形態の包装体1を製造するために使用される環状シール盤7は、フランジ部上面に対して、内周縁にR加工が施され、外周縁が環状シール盤7の先端(図6の先端73)より遅れて蓋材3に当たるようにされた形状の環状シール盤7であり、具体的には、境界A(環状シール盤7の先端73でもある)を介して、外周縁側には、断面が傾斜状となる傾斜面部71が、また、内周縁側には、R加工されて断面が曲面状の曲面部72が連続して形成されている。
【0030】
このうち、環状シール盤7の外周縁側に形成される傾斜面部71における、図5のようにフランジ部25に対して内周縁から外周縁に向かって形成されることとなる角度(θ)は環状シール盤7の巾Hによって異なるが、2〜20°、好ましくは3〜15°と設定することが好ましい。
この傾斜面部71の角度が2°より小さいと、ヒートシール時に押圧した場合であっても、前記した図3に示すような樹脂溜まり部6が、シール部26の外周縁近傍にも形成され易くなり、得られた容器1の開封時におけるシール部26外側で抵抗が大きくなり、包装体1の開封を円滑に行うことが困難となる。一方、傾斜面部71の角度が20°を超えると、境界Aの周辺がなだらかでなく尖ってしまい、シール時若しくは開封時に蓋材3が切断されてしまう場合があり、易開封性が損なわれるおそれがある。
【0031】
また、環状シール盤7に内周縁側に形成される曲面部72に施されるR加工としては環状シール盤7の巾Hによって異なるが、Rが0.2mm〜0.5HmmR程度であることが好ましく、0.5mm〜0.4HmmR程度とすることが特に好ましい。かかるRが0.2mmRより小さいと、境界Aの周辺がなだらかでなく尖ってしまい、シール時若しくは開封時に蓋材3等が切断されてしまう場合がある。一方、Rが0.5HmmRを超えると、ヒートシール時に押圧した場合であっても、フランジ部25のシール部内周縁近傍24に樹脂溜まり部6が形成されにくくなる。
【0032】
ここで、環状シール盤7に対して、これら傾斜面部71及び曲面部72は、境界Aが環状シール盤7の断面巾方向に対して内側寄り(内周縁寄り)となるように形成されることが好ましい。境界Aが環状シール盤7の断面巾方向に対して内側であれば、環状シール盤7の内周縁側に曲面部72、当該シール盤7の外周縁側に傾斜面部71が形成されていることも相俟って、ヒートシールに際して環状シール盤7の外周縁側より先端73が先に蓋材3と接すること(環状シール盤7の外周縁が先端73より蓋材3に遅れて接すること)が確実になされ、先に接した内周縁側の開口部24側に対して樹脂溜まり部6が、内側に選択的に形成されることになる。
【0033】
また、本発明においては、容器1の開封開始部4以外の部位に対応する、環状シール盤7の内周縁、外周縁の全周に、前記R加工されて断面が曲面状の曲面部72が形成されており、容器1の開封開始部4に対応する環状シール盤7の部位は、内周縁に前記R加工されて断面が曲面状の曲面部72が形成されており、外周縁が環状シール盤7の先端73より蓋材3に遅れて接するようにされた形状を持つ環状シール盤を用いると、高密封性、易開封性及び、開封開始部4以外からの蓋材3の開封防止性に優れる容器を製造することができる点で好ましい。
【0034】
なお、環状シール盤7は、図2に示すような周状のヒートシール部26を一体的に形成させるため、前記した傾斜面部71と曲面部72を環状に連続して形成した環状シール盤(シールリング)としてもよく、また、包装体1の開封開始部4に対応する部位に対してのみ、当該傾斜面部71と曲面部72を形成した環状シール盤(シールリング)としてもよい。
【0035】
図5及び図6に示した形状の環状シール盤7を用いて、容器2のフランジ部25と蓋材3をヒートシールするには、図5に示すように、まず、環状シール盤7における傾斜面部71と曲面部72との境界Aに対応する先端73が蓋材3に接し、その後、当該境界Aの内周縁側に形成された曲面部72が蓋材3の内側に向かって、また、境界Aの外周縁側に形成された傾斜面部71が蓋材3の外側に向かって押圧していく。これにより、容器2の表面層21と当該表面層21と隣接する表下層22の樹脂成分は、前記の境界Aの下部から容器2の内側に押し出され、フランジ部25の環状シール盤7の内周縁が接する位置の近傍、すなわち、容器2のシール部26の内周縁近傍Xに盛り上がった瘤状の樹脂溜まり61,62を形成し、また、蓋材3のシール層31も追随して樹脂溜まり63を形成して、これらが樹脂溜まり部6を形成した状態で、容器2のフランジ部25に現れた表面層21と、蓋材3のシール層31とがヒートシールされ、両者が融着されることになる。
【0036】
ここで、シール条件として、シール温度としては、ヒートシールされる材料の種類等により適宜決定すればよいが、一般に、160℃〜240℃程度とすればよい。同様に、シール圧力は、10〜50kg/cm(100〜500kPa)程度とすればよい。
【0037】
なお、環状シール盤7によるヒートシールのみでは、外周縁側から夾雑物が入りやすくなるおそれがある。そのようなことを防止するために、この場合には、環状シール盤7により、前述した瘤状の樹脂溜まり部6を形成しながら、蓋材3のシール層31をフランジ部25の表面層21にヒートシールした後に、他の環状シール盤(図3の環状シール盤7a)を用いて、樹脂溜まり部6に、この環状シール盤が当たらず、かつ、樹脂溜まり部7の外周側に当たるように押圧して、容器2の表面層21と蓋材3のシール層31をヒートシールするようにすればよい。前記した他の環状シール盤7aのシール面は平滑でも良いが、易開封性を損なわないために、ローレット等の部分接着が可能な面にしても構わない。
【0038】
(I−4)包装体1の開封:
図7は、本実施形態の包装体1が初期開封された状態を示した断面図であり、図8は、当該包装体1が完全に開封された状態を示した断面図である。
なお、ここでいう「初期開封された状態」とは、凝集剥離された剥離面が樹脂溜まり部6まで達していない状態を指す。
【0039】
前記のようにして、容器2のフランジ部25と蓋材3とをヒートシールして得られた本実施形態の包装体1を開封開始部4から開封するために、図7に示すように、蓋材3に対して図7の矢印方向に力Fがかかった場合には、容器2の表面層21の凝集剥離が進行する。
また、この凝集剥離が樹脂溜まり部6に達したところにおいては、表面層21の凝集剥離は、当該表面層21と隣接する表下層22に形成された樹脂溜まり62の形状に沿って進行されることになる。
【0040】
そして、表面層21の凝集剥離が、シール部の内周縁近傍(切断位置にもなる)Xにまで達したら、蓋材3のシール層31に形成された樹脂溜まり63の形状に追随するようにして、容器2の表面層21の樹脂溜まり61が切断されることにより、包装体1における容器2と蓋材3との開封が容易に行われることになる。
【0041】
[実施形態の効果]
本実施形態の容器2を構成した多層シート20において、表面層21の厚みと、表面層に含有されるポリプロピレン、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、およびスチレン系ポリマーのそれぞれの含有率とを特定した。さらに、表下層22のポリエチレン系樹脂の含有率も特定した。
そのため、表面層21内部の凝集破壊による剥離面を安定化させることができ、易開封性と開封感触を確保できる。また、凝集剥離位置がずれないので凝集部分の混入を防止することができ、きれいな開封外観を達成できる。
また、高温雰囲気下における耐熱性を向上させることができ、熱成形時の加熱板接触時にシートの加熱板への付着を防止することができる。したがって、熱成形機の加熱方法を選ばない耐熱性から得られる安定した生産性を実現できる。
さらに、油分の多い内容物や高温での充填、再加熱時のシート溶解を防止でき、内容物や保存方法、調理方法を選ばずに容器2を使用することができる。
なお、表下層22が含まれず表面層21の1層のみを含む多層シート20に蓋材3をヒートシールした場合では、開封時に外観不良が発生したり開封感の安定しない場合がある。
【0042】
また、表面層21に分散剤を含有することにより、スチレン系ポリマーの分散性が向上することで、表面層21に発生しやすい凹凸が解消され、容器2の外観がより向上する場合がある。
【0043】
本実施形態の包装体1は、容器2のフランジ部25に蓋材3をヒートシールして形成した。
この包装体1は、易開封性および開封感触が安定し、耐熱性および開封面の外観が良好となる。
【0044】
また、包装体1の開口部24側近傍に樹脂溜まり部6を形成した。
そのため、凝集剥離が樹脂溜まり部6が介在するところまで進行すると、樹脂溜まり部6の介在により剥離する応力が蓋材3を容器2から引き離す方向に作用することとなり、蓋材3と容器2のフランジ部25との切断が良好に行われることとなり、良好な開封性を備えた包装体1となる。
【0045】
[第2実施形態]
前記した第1実施形態の包装体1は、容器2と蓋材3が開封するに際し、容器2の表面層21が凝集剥離して開封される態様を示すものであった。
これに対して、第2実施形態の包装体1aは、図9及び図10に示すように、容器2と蓋材3が開封するに際して、蓋材3のシール層31が凝集剥離するという点において、第1実施形態と相違する。
なお、本実施形態においては、前記した第1実施形態と同一構造及び同一部材については、同一符号を付すとともに、その説明は省略又は簡略化している。
【0046】
図9は、本実施形態の包装体1aが初期開封された状態を示した断面図であり、図10は、当該包装体1aが完全に開封された状態を示した断面図である。
図9及び図10に示すように、包装体1aを構成する蓋材3のシール層31が凝集破壊して、蓋材3が剥離するようにするには、シール層31を構成する材料として、上述の表面層21と同様の構成を採用し、中間層32として、上述の表下層22と同様の構成を採用する。
この場合、容器2の表面層21としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂やこれらのブレンド系を使用すればよい。
【0047】
このようなシール層31を蓋材3に、表面層21を容器2に採用して両者をヒートシールした場合にあっては、両層21,31が融着する一方、開封の際には、応力に対して弱い蓋材3のシール層31が凝集破壊して、開封が良好に行われる。
【0048】
本実施形態の包装体1aを開封開始部4から開封するには、図9に示すように、蓋材3に対して図7の矢印方向に力Fがかかるようにすると、蓋材3のシール層31の凝集剥離が進行していくことになる。そして、開封が樹脂溜まり部6に達したところにおいては、当該シール層31の凝集剥離は、当該シール層31とヒートシールされた容器2の表面層21に形成された樹脂溜まり61の形状に沿って進行されることになる。
蓋材3のシール層31の凝集剥離がシール部の内周縁近傍(切断位置にもなる)Xにまで達した後は、シール層31の樹脂溜まり63が切断されることにより、包装体1における容器2と蓋材3との開封が容易に行われることになる。
【0049】
[実施形態の変形]
なお、以上説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の構成を備え、目的および効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造および形状等は、本発明の目的および効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状等としても問題はない。本発明は前記した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形や改良は、本発明に含まれるものである。
【0050】
本実施形態の多層シート20および容器2では、表面層21、表下層22および基材層23を備えた構成を示したが、これに限られない。
例えば、基材層を設けず、表面層21、表下層22の二層にて構成されていてもよい。つまり、表下層22が基材層となる構成でもよい。
また、本実施形態の多層シート20および容器2の基材層23は、第1の基材層23E、第1の接着層23D、ガスバリア層23C、第2の接着層23B、第2の基材層23Aを備えた構成を示したが、これに限られない。
例えば、図11に示すように、基材層23は、第1の基材層23Eのみから構成されていてもよい。
つまり、多層シート20および容器2は、表面層21および表下層22が少なくとも含まれた二層以上の多層構成であればよい。
【0051】
そして、本実施形態のうち、容器2の表面層21が凝集剥離する態様を示したが、本発明にあっては、開封に際し、容器2の表面層21と蓋材3のシール層31の両層が凝集破壊されて開封される場合も含む。
【0052】
なお、本発明の易開封性容器の製造方法を実施して図2及び図3に示される構成の易開封性容器を製造するにあっては、場合によっては、環状シール盤7の内周縁が接する位置に対応する部分に形成される樹脂溜まり部6のほか、当該シール盤7の外周縁が接する位置に対応する部分に樹脂溜まりが形成される場合であっても良い。外周縁に形成される樹脂溜まりより、内周縁に形成される樹脂溜まりの方が大きくなるため、良好な易開封性と高密封性が維持されることとなる。
その他、本発明の実施における具体的な構造および形状等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
【実施例】
【0053】
次に、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等の記載内容に何ら制約されるものではない。
【0054】
[実施例1−1〜実施例5、比較例1−1〜比較例5−2]
図12は、実施例および比較例において実施した開封強度およびシール強度の測定位置を示す模式図である。
(1)容器の製造:
共押出成形により、次の表面層/表面下層/基材層からなる、厚さが600μmの積層体を成形した。
【0055】
(容器の構成)
表面層および表下層は、表1、2に記載のものを使用した。
第2の基材層(厚み):ポリプロピレン(150μm)
第2の接着層(厚み):接着性樹脂(5μm)
ガスバリア層(厚み):エチレンビニルアルコール(EVOH)(30μm)
第1の接着層(厚み):接着性樹脂(5μm)
第1の基材層(厚み):ポリプロピレン(300μm)
次に、この積層体を用いて、プラグアシスト真空成形により、130mm×150mm×30mmのフランジ付の容器を成形した。なお、この容器は、開口部に対して巾15mmのフランジ部を有し、略長方形のトレイ状となるように形成されている。
このようにして得られた容器の開口部周縁のフランジ部に対して、下記構成からなる多層フィルムを蓋材として載置して、下記のシール条件を用い、また、シール盤として、図4に示した、傾斜面部と曲面部が全周に形成された環状シール盤(シールリング)を使用して、蓋材を容器のフランジに対してヒートシールして、本発明の包装体を製造した。
なお、この構成の容器と蓋材を使用すると、開封時は、容器の表面層の凝集破壊により剥離が進行する凝集剥離が行われる。
(蓋材の構成)
外層:ポリエチレンテレフタレート(PET)(12μm)
中間層:ポリアミド(ナイロン、Ny)(15μm)
シール層:ポリエチレン(PE)(60μm)又はポリプロピレン(PP)(60μm)
外層、中間層、シール層の順は、PET/Ny/PEまたはPET/Ny/PPである。
【0056】
[実施例1−1〜4、比較例1−1〜4−2の製造条件]
(シール条件)
シール温度: 200℃
シール圧力: 100kg/個
時間: 1.0秒
ヒートシールの回数: 1回
(環状シール盤の仕様)
シール巾: 3mm
傾斜角度θ(傾斜面部71): 6°
R加工(曲面部72): 1.0mmR
[実施例5、比較例5−1、5−2の製造条件]
(シール条件)
シール温度: 200℃
シール圧力: 200kg/個
時間: 2.0秒
ヒートシールの回数: 1回
(環状シール盤の仕様)
シール巾: 3mm
傾斜角度θ(傾斜面部71): 6°
R加工(曲面部72): 1.0mmR
【0057】
[評価結果]
前記のようにして得られた実施例1−1〜5−2および比較例1−1〜5の接着(密封)性、剥離強度、開封感、外観、耐熱性を下記の基準にて比較・評価した。結果は表1、2に示した。
【0058】
(シール強度)
図12Bに示すように、包装体1の側辺部を15mm巾に切断して試験サンプルとし、当該サンプルを、フランジ部の内側(容器本体の開口部側)から外側(フランジ部の外周縁側)(図10Bの矢印方向)へオートグラフ引張試験機を用いて、180°剥離で300mm/minの条件で測定した。試験は、n=8で行った。
【0059】
(剥離強度)
図12Aに示すように、包装体1の隅角(開封開始部)を15mm巾に切断して試験サンプルとし、当該サンプルを、フランジ部の外側(フランジ部の外周縁側)から内側(容器本体の開口部側)(図12Aの矢印方向)へオートグラフ引張試験機を用いて、135°剥離で300mm/minの条件で測定した。試験は、n=6で行った。
【0060】
(開封外観)
評価内容は、開封後目立った毛羽立ちや蓋材の破れが発生していない場合を「○」、開封後の毛羽立ちや蓋材の破れが発生した場合を「×」とした2段階で評価した。
【0061】
(耐熱性)
評価内容は、容器成形時の熱板接触加熱方式を想定した170℃の加熱板に付着しない場合を「○」、155℃の加熱板に付着しないが170℃の加熱板に付着する場合を「△」、155℃の加熱板に付着する場合を「×」とした3段階で評価した。
【0062】
【表1】

【0063】
【表2】

*1:蓋材と強接着しており、剥離せず蓋材が破れる。
*2:蓋材との接着が弱く、密封性なし。
*3:蓋材との接着が弱く、密封性なし。耐熱性悪化。
*4:性能良好だが、耐熱性悪化。
*5:開封面が安定せず凝集破壊面が乱れ毛羽立ちが発生。
*6:表面層および表下層の層間と凝集破壊面とにより毛羽立ち発生。
*7:性能良好だが耐熱性悪化。
【0064】
表1,2に示すように、実施例1−1〜5では、シール強度、剥離強度、開封外観、耐熱性を総合的に判断して良好であった。
一方、比較例1−1〜5−2では、表2に示すように、シール強度、剥離強度、開封外観、耐熱性のうち少なくともいずれかについて、評価が「×」であった。
したがって、表面層に含有されたPP、PP系樹脂、PE系樹脂およびスチレン系ポリマーの含有量を特定するとともに、表下層のPEの含有量を特定し、さらに、表面層の厚みを特定することにより、接着(密封)性、剥離強度、開封感、外観、耐熱性が良好になることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の易開封性容器は、高密封性と易開封性を併せ持っており、例えば、レトルト食品等の各種食品や薬品、化粧品等に包装容器として広く利用することができる易開封性容器を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本実施形態の多層シートを示す断面図。
【図2】本発明の第1実施形態における易開封性容器を示した図であって、(A)は蓋材で密封された状態、(B)は開封開始部から蓋材を開封した状態を示す概略図。
【図3】第1実施形態における易開封性容器の開封開始部の部分断面図。
【図4】第1実施形態における易開封性容器のシール工程を示した模式図。
【図5】第1実施形態におけるヒートシール時のシール盤とフランジ部との状態を示した部分断面図。
【図6】第1実施形態における環状シール盤の部分拡大図。
【図7】第1実施形態の易開封性容器が初期開封された状態を示した部分断面図。
【図8】第1実施形態の易開封性容器が完全に開封された状態を示した部分断面図。
【図9】第2実施形態の易開封性容器が初期開封された状態を示した部分断面図。
【図10】第2実施形態の易開封性容器が完全に開封された状態を示した部分断面図。
【図11】他の実施形態の多層シートを示す断面図。
【図12】実施例において実施した開封強度及びシール強度の測定位置を示す模式図。
【符号の説明】
【0067】
1、1a 易開封性包装体
2 容器
3 蓋材
4 開封開始部
6 樹脂溜まり部
7 環状シール盤
7a 他の環状シール盤
20 多層シート
21 表面層
22 表下層
23 基材層
23A 第2の基材層
23B 第2の接着層
23C ガスバリア層
23D 第1の接着層
23E 第1の基材層
24 開口部
25 フランジ部
26 シール部
261 7で形成されるシール部
262 7aで形成されるシール部
31 シール層
32 中間層
33 外層
61 21の樹脂溜り
62 22の樹脂溜り
63 31の樹脂溜り
71 傾斜面部
72 曲面部
73、A 先端(境界)
X シール部の内周縁近傍

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面層と、この表面層に隣接して積層された表下層とを含んで構成された多層シートであって、
前記表面層の厚み寸法は、1μm〜200μmであり、
前記表面層は、ポリプロピレン、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、およびスチレン系ポリマーを含んで構成され、
これらポリプロピレン、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂およびスチレン系ポリマーの含有率は、それぞれ60wt%以上80wt%以下、1wt%以上10wt%以下、8wt%以上28wt%以下、4wt%以上14wt%以下であり、
前記表下層はポリエチレン系樹脂を含有し、このポリエチレン系樹脂の含有率は、5wt%以上50wt%以下である
ことを特徴とした多層シート。
【請求項2】
表面層と、この表面層に隣接して積層された基材層とを含んで構成された多層シートであって、
前記表面層の厚み寸法は、1μm〜200μmであり、
前記表面層は、ポリプロピレン、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、およびスチレン系ポリマーを含んで構成され、
これらポリプロピレン、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂およびスチレン系ポリマーの含有率は、それぞれ60wt%以上80wt%以下、1wt%以上10wt%以下、8wt%以上28wt%以下、4wt%以上14wt%以下であり、
前記基材層はポリエチレン系樹脂を含有し、このポリエチレン系樹脂の含有率は、5wt%以上50wt%以下である
ことを特徴とした多層シート。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の多層シートであって、
前記表面層に分散剤が含有された
ことを特徴とした多層シート。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の多層シートであって、
前記スチレン系ポリマーは、スチレンエチレンブテンスチレンブロックコポリマーである
ことを特徴とした多層シート。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の多層シートを熱成形することで得られ開口部を有する熱成形容器であって、
前記開口部の周辺にフランジ部が形成された
ことを特徴とした熱成形容器。
【請求項6】
請求項5に記載の容器と、
前記容器の開口部を塞ぐ状態に融着された蓋材と、
を備えたことを特徴とした易開封性包装体。
【請求項7】
請求項6の易開封性包装体であって、
前記フランジ部の開口部側近傍に樹脂溜まり部が形成されている
ことを特徴とした易開封性包装体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2010−111087(P2010−111087A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−287662(P2008−287662)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【出願人】(500163366)出光ユニテック株式会社 (128)
【Fターム(参考)】