説明

多層回転成形

本発明は回転成形で製造した多層品を開示し、これは、a)ポリオレフィン(PO)またはこれの混合物を40から100重量%および官能化ポリオレフィン(FPO)またはポリオレフィン以外の物(NPO)にグラフト化したブロック共重合体形態のPO(PO−g−NPO)を60から0重量%含んで成る組成物から作られたポリオレフィン(PO)が基になった層である層A、b)層AのPOとは異なるPOまたはNPOまたはこれらの混合物、場合によりFPOまたは(PO−g−NPO)を含んで成る層B、c)場合により、層Aの重合体とは異なりかつ層Bの重合体と同様または異なる重合体から作られていて層Aおよび/または層Bに隣接して位置しそしてこれが存在する時には層Aおよび/または層Bに対して良好な接着性を示しかつ層Aと層Bの混合物ではないことを特徴とする層Cを含んで成る。本発明は、また、そのような製品を製造する方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は回転成形(rotational moulding)で製造した多層品(multilayer article)の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
回転成形(rotomoulding)市場で用いられる重合体の80%以上をポリエチレンが占めている。それはポリエチレンが加工中の熱劣化に卓越して耐えること、粉砕が容易なこと、流動性が良好なことおよび低温衝撃特性(low temperature impact properties)を有することが理由である。
【0003】
回転成形は簡単なものから複雑な中空プラスチック製品を製造する目的で用いられる。これは多様な材料、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアミドまたはポリ塩化ビニル(PVC)などの成形で用いられ得る。好適には、線状の低密度ポリエチレンが用いられる(例えば非特許文献1に開示されているように)。
【0004】
回転成形では一般にチーグラー・ナッタ(Ziegler−Natta)触媒を用いて作られたポリエチレンが用いられるが、メタロセンで製造した(metallocene−produced)ポリエチレンの方が望ましい、と言うのは、それらは狭い分子量分布を示すことから衝撃特性がより良好でありかつ加工中のサイクル時間を短くすることができるからである。
【0005】
従来技術のメタロセンを用いて作られたポリエチレン(非特許文献1を参照)は収縮および反りの度合が高いと言った欠点を有しかつある用途では自然状態で白色であると言った欠点も有する。
【0006】
回転成形ではまた可塑弾性重合体(plastoelastomeric)組成物、例えば特許文献1に記述されている如き組成物も用いられ得るが、複雑な混合および加硫工程段階を必要とする。
【0007】
1種類のみの単量体を用いた「1槽」重合方法で作られた重合体アロイ(polymer alloys)[制御されたいろいろな微細構造の鎖を伴う半結晶性ポリオレフィン配列(sequences)を含有]を回転成形で用いることが特許文献2に開示されている。そのような重合体アロイの重合では有機金属触媒前駆体とカチオン形成用共触媒(catinonic forming cocatalysts)とクロスオーバー剤(cross−over agents)を含んで成る複雑な触媒系を用いる必要がある。
【特許文献1】米国特許第5,457,159号
【特許文献2】米国特許第6,124,400号
【非特許文献1】「Some new results on rotational molding of metallocene polyethylenes」、D.Annechini、E.TakacsおよびJ.Vlachopoulos、ANTEC、1巻、2001
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、最終製品の最終特性を向上させる目的で、同様または異なる材料の2層以上の層を有するように作られた製品を製造することが望まれている。例えば、ポリエチレンが有する受け入れられる食品接触性および品質、例えば低コストおよび低温における良好な衝撃性などとポリアミドが有する良好なバリヤー性(barrier)および温度安定性(temperature stability)を組み合わせることができれば、それは望ましいことであり得る。しかしながら、ポリアミドとポリエチレンは接着せず、従って構造的一体性を確保するには結合層(bonding layer)または架橋が必要であることが知られている。
【0009】
従って、そのような欠点を持たない回転成形多層品を製造することが求められている。
【0010】
本発明の1つの目的は、異なる材料で作られた層間の接着力が良好な回転成形品を製造することにある。
【0011】
本発明の別の目的は、耐透過性(permeation resistance)および/または耐化学薬品性が良好な回転成形品を製造することにある。
【0012】
本発明のさらなる目的は、高温における熱安定性が良好な回転成形品を製造することにある。
【0013】
本発明の更に別の目的は、塗装を容易に行うことができる回転成形品を製造することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
従って、本発明は、回転成形で製造した多層品を開示し、これは、
a.−ポリオレフィン(PO)またはこれの混合物を40から100重量%、および
−官能化ポリオレフィン(FPO)またはポリオレフィン以外の物(NPO)にグラフト化したブロック共重合体形態のPO(PO−g−NPO)を60から0重量%、
含んで成る組成物から作られたポリオレフィン(PO)が基になった層である層A、
b.−層AのPOとは異なるPOまたはNPOまたはこれらの混合物、
−場合によりFPOまたは(PO−g−NPO)、
を含んで成る層B、
c.場合により、層Aの重合体とは異なりかつ層Bの重合体と同様または異なる重合体から作られていて層Aおよび/または層Bに隣接して位置しそしてこれが存在する時には層Aおよび/または層Bに対して良好な接着性を示しかつ層Aと層Bの混合物ではないことを特徴とする層C、
を含んで成る。
【0015】
本発明に従う好適な態様では、層Aおよび層Bの中のいずれかの層に官能性もしくはグラフト化ポリオレフィン(functional or grafted polyolefin)を存在させることで層Aと層Bの間の接着を生じさせる。
【0016】
FPOを用いる場合、このNPOに結合を作り出す反応性種を持たせる。PO−g−NPOを用いる場合、POがNPO部分と適合するようにする。例えば、PO−g−NPOはポリオレフィン−g−ポリアミドであってもよい。
【0017】
本発明に従う好適な態様で任意の層Cを存在させる場合、それを層Aまたは層Bのいずれかに隣接させて位置させるが、層Aと層Bの間には位置させない。
【0018】
外側層(これは層Aまたは層Bであり得る)は、エチレンおよび/またはプロピレンのホモ重合体または共重合体、および/またはポリアミド、および/または官能性フルオロポリマー(fluoropolymer)および場合により官能化ポリオレフィン(functionalised polyolefin)を含んで成る。この記述における共重合体は、ある種の単量体と1種以上の共重合用単量体から生じさせたものである。
【0019】
層Aの組成物は好適にはポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)を含んで成るが、前記PEまたはPPはチーグラー・ナッタまたはメタロセンが基になった触媒系を用いて作られたものである。
【0020】
本製品に通常方法、例えば結合層(bonding layer)などで接着力を与える追加的層を含めることも可能である。
【0021】
本発明に従う好適な態様における1番目の層の組成物は、ポリエチレンまたはアイソタクティックポリプロピレンもしくはシンジオタクテックポリプロピレンを70から98重量%、より好適には80から95重量%と官能化ポリオレフィンを好適には30から2重量%、より好適には20から5重量%含んで成る。
【0022】
本発明は、また、回転成形多層品を製造する方法も開示し、この方法では、各層に必要な材料の全部をワンショット(one shot)で供給することで製造を行う。好適には、外側層が層Aであり、より好適には、それをポリエチレンまたはポリプロピレンから生じさせる。
【0023】
回転成形方法では直径が最も小さい粒子(微細物)が最も短い時間で鋳型の壁に到達することを観察した。従って、樹脂の形態を異ならせることと樹脂の溶融温度を異ならせることを組み合わせることで回転成形2層品をワンショットで製造することができる。
【0024】
本発明に従うより好適な態様では、本製品に、外側層がポリエチレンと官能化ポリオレフィンを含んで成る組成物でありそして内側層がポリアミドまたはポリフッ化ビニリデンまたは官能基含有フルオロポリマーを含んで成る2層を持たせる。
【0025】
本発明は、また、前記2層製品を製造するワンショット方法も開示し、この方法は、
a)ポリエチレンを70から98重量%と官能化ポリエチレンを30から2重量%含んで成っていて145℃未満の融点を示すポリエチレン組成物を準備し、
b)145℃より高い融点を示すポリアミドもしくはポリフッ化ビニリデン(PVDF)を準備し、
c)前記2種類の樹脂を物理的に混合し、
d)段階c)の混合物を回転成形機に供給して回転下に保持し、
e)回転成形品を回収する、
段階を含んで成るが、ここでは、前記ポリエチレン組成物の粒子直径(DPE)と前記ポリアミドもしくはポリフッ化ビニリデンの粒子直径(DPA)の比率DPE/DPAが最大限で2:3でありかつ前記ポリエチレン組成物の融点の方が前記ポリアミドもしくはポリフッ化ビニリデンの融点より少なくとも15℃低いようにする。
【0026】
好適には、前記ポリエチレン組成物が示す融点が最大限で130℃でありかつ前記ポリアミドもしくはポリフッ化ビニリデンが示す溶融温度が少なくとも155℃、より好適には少なくとも175℃であるようにする。
【0027】
前記樹脂は下記の異なる3種類の形態で使用可能である:
− 直径が2から4mmのペレット;
− 直径が200から1500ミクロンのミクロペレット;
− 直径が100から1500ミクロンの粉末。
前記粒子直径の比率DPE/DPAが好適には最大限で0.5であるようにする。
【0028】
粒子の大きさを異ならせたことから大きさが最も小さくかつ融点が最も低いポリエチレン組成物の粒子が最初に分離して最初に鋳型に最も低い温度で粘着する。その後、その1番目の層が完全に生じた時点で温度を高くすると、前記ポリアミドもしくはポリフッ化ビニリデンが溶融して前記1番目の層に粘着し始める。
【0029】
そのような逐次的付着を制御する目的で、温度および粒度分布(granulometry)に加えて、樹脂の他の流動学的特性、例えばメルトインデックス(melt index)および粘度などを用いることも可能である。
【0030】
前記1番目の層に含めるポリプロピレンは、プロピレンのホモ重合体またはランダム共重合体またはブロック共重合体または不均一2相共重合体、好適にはメタロセンを用いて作られたアイソタクティックポリプロピレン(miPP)またはメタロセンを用いて作られたシンジオタクテックポリプロピレン(msPP)である。
【0031】
前記1番目の層に含めるポリエチレンは典型的にエチレンの共重合体である。それはまた発泡したポリエチレンまたは架橋したポリエチレンであってもよい。それは通常のチーグラー・ナッタ触媒系を用いて作られたものであってもよい。それの製造を、好適には、一般式:
R”(CpR(CpR)MQ3−g (I)
[式中、
−各Cpは、置換もしくは未置換のシクロペンタジエニル環であり、
−各Rは、同一もしくは異なり、水素または炭素原子を1から20個含有するヒドロカルビル基、例えばアルキル、アルケニル、アリール、アルキルアリールまたはアリールアルキル基などであるか、或は2個の炭素原子が一緒に連結してC−C環を形成しており、
−R”は、2個のCp環の間に位置する構造ブリッジであり、
−Mは、周期律表のIIIB、IVB、VBまたはVIB族の金属であり、
−Qは、炭素原子数が1から20のヒドロカルビル基、例えばアリール、アルキル、アルケニル、アルキルアリールまたはアリールアルキル基など、炭素原子数が1から20のヒドロカルボキシ基またはハロゲンであり、これは互いに同一もしくは異なっていてもよく、
−sは0または1であり、gは0、1または2であるが、gが0の時にはsが0であり、sが1の時にはnが4であり、そしてsが0の時にはnが5である]
で表されるメタロセン成分を含んで成るメタロセン触媒系を用いて行う。
【0032】
置換は、シクロペンタジエニル誘導体上の位置のいずれかが水素原子の代わりに置換基を含んで成り得ることを意味する。それは5員のシクロペンタジエニル環の中か或はそれは5員環の外側の環系の中に存在する炭素原子上であってもよい(配位子が例えばインデニル、テトラヒドロインデニルまたはフルオレニルである場合)。
【0033】
本触媒成分の中の配位子間に存在させるブリッジの種類には特に制限はない。R”は、典型的に、炭素原子数が1から20のアルキリデン基、ゲルマニウム基(例えばジアルキルゲルマニウム基)、ケイ素基(例えばジアルキルケイ素基)、シロキサン基(例えばジアルキルシロキサン基)、アルキルホスフィン基またはアミン基を含んで成る。そのようなブリッジ上の置換基は、好適には、炭素数が少なくとも1のヒドロカルビル基、例えば置換もしくは未置換エチレニル基、例えば−CH−CH−(Et)などを含んで成る。最も好適には、R”はEtまたはMeSiである。
【0034】
Qは、好適にはハロゲン、最も好適にはClである。
【0035】
Mは、好適には周期律表のVIB族の金属、より好適にはチタン、ジルコニウムまたはハフニウムである。
【0036】
そのようなメタロセンが基になった触媒系はメタロセンが基になった触媒成分を数種含んで成っていてもよい。そのようなメタロセンが基になった触媒系に、この上に示したメタロセン触媒成分に加えて、イオン化作用を有していて前記メタロセン触媒成分を活性にし得る1種以上の活性化剤、例えばアルモキサン(alumoxane)またはホウ素が基になった触媒活性化剤なども含有させる。
【0037】
加うるに、場合により、1種以上のアルミニウムアルキルを共触媒1種または2種以上として用いることも可能である。
【0038】
そのような触媒系を不活性な支持体、特に多孔質固体状支持体の上に固定してもよい。そのような支持体材料は好適には微細形態の無機酸化物である。
【0039】
ポリエチレン用のメタロセン触媒成分は、好適には、ビス(n−ブチル−シクロペンタジエニル)またはビス(インデニル)配位子、より好適にはビス(テトラヒドロインデニル)配位子が基になった成分であり、最も好適には、それはエチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライドである。
【0040】
本発明で使用可能なポリエチレンは、典型的に、密度が0.910から0.960g/cmでメルトインデックスMI2が1から20g/10分のポリエチレンである。前記密度は標準試験ASTM D 1505の方法に従って23℃で測定した密度であり、そして前記メルトフローインデックスMI2は標準試験ASTM D 1238の方法に従って190℃の温度において2.16kgの荷重下で測定したメルトフローインデックスMI2である。
【0041】
シンジオタクテックポリプロピレンとしてはシクロペンタジエニル−フルオレニル配位子が好適であり、そしてアイソタクティックポリプロピレンとしてはビスインデニルまたはビス−テトラヒドロインデニルが好適である。
【0042】
本発明で使用可能なポリプロピレンは、典型的に、メルトフローインデックスMI2が1.5から100g/10分のポリプロピレンである。前記メルトフローインデックスMI2は標準試験ASTM D 1238の方法に従って230℃の温度において2.16kgの荷重下で測定したメルトフローインデックスMI2である。
【0043】
本発明で使用可能なポリアミドは、
− 1種以上のアミノ酸、例えばアミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸および12−アミノドデカン酸など、または1種以上のラクタム、例えばカプロラクタム、オエナントラクタム(oenantholactam)およびラウリルラクタムなど、
− 1種以上のジアミン、例えばヘキサメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、ビス(p−アミノシクロヘキシル)メタンおよびトリメチルヘキサメチレンジアミンなどの塩もしくは混合物と二酸、例えばイソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸およびドデカンジカルボン酸など、
の縮合生成物である。
ポリアミドの一例としてPA 6およびPA 6−6を挙げることができる。
【0044】
また、有利にコポリアミドを用いることも可能である。少なくとも2種類のα,ω−アミノカルボン酸または2種類のラクタムまたは1種類のラクタムと1種類のα,ω−アミノカルボン酸を縮合させる結果としてもたらされるコポリアミドを挙げることができる。また、少なくとも1種のα,ω−アミノカルボン酸(またはラクタム)と少なくとも1種のジアミンと少なくとも1種のジカルボン酸を縮合させる結果としてもたらされるコポリアミドを挙げることも可能である。
【0045】
そのようなコポリアミドを有利にはPA 6/12およびPA 6/6−6から選択する。
【0046】
また、ポリアミドとポリオレフィンの混合物を層Bとして用いることも可能である。そのようなポリアミドは本明細書の上に開示した如くである。前記ポリオレフィンは官能化を受けたか或は官能化を受けていないポリオレフィンであってもよいか或は少なくとも1種の官能化ポリオレフィンおよび/または少なくとも1種の非官能化ポリオレフィンの混合物であってもよい。
【0047】
非官能化ポリオレフィンは、通常、α−オレフィンまたはジオレフィン、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−オクテンまたはブタジエンなどのホモ重合体または共重合体である。
【0048】
官能化ポリオレフィンは、極性および/または反応性を与える材料をグラフト化または共重合させたポリオレフィンであり、従って、それは隣接する層の性質に依存する。それは、反応性単位(官能性)を含有するα−オレフィン重合体であってもよく、そのような反応性単位は酸、無水物またはエポキシ官能である。例として、不飽和エポキシド、例えば(メタ)アクリル酸グリシジルなど、またはカルボン酸または対応する塩もしくはエステル、例えば(メタ)アクリル酸などか或は別法としてカルボン酸の無水物、例えば無水マレイン酸などをグラフト化または共重合もしくは三元共重合させた前記ポリオレフィンを挙げることができる。
【0049】
また、より一般的には、アミン末端を有する材料を層Bで用いることも可能であり、それらを好適にはポリアミドジアミン(PAジNH)から選択する。そのようなポリアミドは、使用する製造方法および/または連鎖制限剤(chain limiter)に応じて、酸またはアミン末端基を過剰に有する可能性があるか、或はアルキルまたは他の末端基、例えばアリールなどまたは選択した制限剤の構造に由来する他の何らかの官能をある比率で有する可能性さえある。そのような過剰な酸末端基は二酸である連鎖制限剤に由来する。過剰なアミン末端基は、ジアミンである連鎖制限剤に由来する。第一級アミンである連鎖制限剤を用いると、アルキル末端とアミン末端を有するポリアミド鎖がもたらされる。
【0050】
名称「ジアミンポリアミド、即ちPAジNH」は、下記の判断基準を満足させるポリアミドを指す:
− 両側がアミン基(NH)で終結している鎖を特定量で有すること、
− 両側がアミン基(NH)で終結している鎖の量の方が二酸で終結している鎖(もしあれば)の量よりも多いこと、
− アミン基の濃度の方が全体として酸基の濃度よりも高いこと、
− PAジNHがジアミンを連鎖制限剤として添加することで得られるか或はジアミンと二酸が基になったポリアミド、例えばPA6−6などの場合には共重合用ジアミン単量体の添加量の方が共重合用二酸単量体の添加量よりも多いことで得られること。
【0051】
また、層Bで使用可能なポリアミドは衝撃改質(impact−modified)ポリアミドであってもよい。補助改質剤(supple modifiers)は、例えば官能化ポリオレフィン、グラフト化脂肪族ポリエステル、ポリエーテルブロックとポリアミドブロックを含有する共重合体(場合によりグラフト化を受けていてもよい)、およびエチレンと(メタ)アクリル酸アルキルおよび/または飽和ビニルカルボン酸エステルの共重合体で作られていてもよい。そのような改質剤は、また、ポリアミドグラフト(grafts)またはポリアミドオリゴマーを有するポリオレフィン鎖、従ってポリオレフィンとポリアミドに親和性を示すポリオレフィン鎖であってもよい。そのような補助改質剤はまたブロック共重合体であってもよい。
【0052】
層Bでは、また、発泡したポリアミドを用いることも可能である。
【0053】
層Bを、更に有利には、ポリウレタンからか、或はポリアミドとエチレン/ビニルアルコール共重合体(EVOH)を含んで成る組成物、より一般的にはポリアミドとバリヤー層(barrier layer)を含んで成る組成物から生じさせてもよい。
【0054】
前記官能化ポリオレフィンは、極性および/または反応性を与える材料をグラフト化させたポリオレフィンであり、従って、それは隣接する層の性質に依存する。一般的説明をこの上のパラグラフに開示した。好適な官能化ポリオレフィンとして、とりわけ、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/アクリル酸エステル共重合体、例えばアクリル酸メチル(EMA)またはアクリル酸ブチル(EBA)共重合体、エチレン/アクリル酸エステル/無水マレイン酸(MAH)もしくはメタアクリル酸グリシジル(GMA)三元共重合体、無水マレイン酸グラフト化ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレン、無水マレイン酸グラフト化EVAもしくはAMA、EVOHを挙げることができる。典型的な官能化ポリオレフィンが例えばヨーロッパ特許出願公開第1104788号またはヨーロッパ特許出願公開第1122060号に開示されている。
【0055】
本発明では、好適には、ポリオレフィンに無水物をグラフト化させる。そのようなポリオレフィンは好適にはポリエチレンまたはポリプロピレンであり、より好適にはポリエチレンである。
【0056】
官能性ポリオレフィンとPO樹脂もしくはPO樹脂混合物を含んで成る層Aの組成物は、それらの成分を物理的に混合することで調製可能であるか、或はそのような成分の粉末混合物として提供可能である。
【0057】
補足的特性を与える目的で、前記1番目の層に含める材料とは異なる材料を用いて他の1層または2層を生じさせる。それは好適にはポリアミド、ポリプロピレンまたはポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデンまたはエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)である。
【0058】
本発明に従う好適な態様では、ポリアミドを用いて2番目の層を生じさせる。ポリアミドはバリヤー特性を示すことが知られており、従って、ポリアミド層を加えるとそのような構造物のバリヤー特性が向上する。最終用途に応じて、そのようなポリアミド層を内側層として用いることで例えば耐透過性を与えてもよいか或は外側層として用いて例えば内側層が食品に接触できるようにしてもよい。
【0059】
ポリアミド(PA)層は、また、115℃に及ぶ高温で温度安定性も示す。比較として、ポリエチレンを用いて通常に製造された回転成形品が示す温度安定性は最大限で60℃の温度までである。
【0060】
更に、PA層は良好な環境応力亀裂抵抗(ESCR)も与える。
【0061】
PA外側層を有するように生じさせた回転成形多層品は塗装を容易に行うことができる。
【0062】
良好な耐酸化性および/または耐酸性が必要な時にはPAの使用は不可であり、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)重合体または他のフルオロポリマーの使用が好適である。
【0063】
ポリプロピレンは優れた応力亀裂抵抗を示す一方で、ポリエチレンは優れた耐衝撃性を示す。従って、そのような特性が要求される時には内側ポリプロピレン層と外側ポリエチレン層を有するか或はその逆である回転成形2層品を製造するのが有利である。
【0064】
ポリプロピレンはまた優れた耐引っ掻き性も示す。
【0065】
最終製品で望まれる特性に応じて多層系を設計し、それを例えば下記の如く構成させてもよい:
− PAもしくは発泡PA/PEもしくは発泡PEまたはmiPPもしくはmsPP組成物、
− miPP/PEまたはmiPPもしくはmsPP組成物/PA、
− siPP/PEもしくは発泡PEまたはmiPPもしくはmsPP組成物/PAもしくは衝撃改質PA、
− miPP/PEまたはmiPPもしくはmsPP組成物、
− PAもしくは発泡PA/PE組成物/ポリアミド、
− ポリフッ化ビニリデン(PVDF)もしくは官能基含有PVDT/PEまたはmiPPもしくはmsPP組成物、
− miPPもしくはmsPPまたはPE/官能基含有pvdfもしくは官能基含有フルオロポリマー(発泡もしくは未発泡)、
− PA組成物/PEもしくは発泡PEまたはmiPPもしくはmsPP、
− PE組成物/ポリウレタン(PU)もしくは発泡PU。
【0066】
それらは可能なあらゆる層構成の中のほんの数例に相当する。
【0067】
本発明を必要に応じて多数回繰り返しそして/または必要に応じて結合層を用いることで他の層を加えることも可能である。
【0068】
各層の厚みは最終製品の大きさ、所望特性およびコストで決まり、それは0.5mmから数cmに及んで多様であり得る。
【0069】
本回転成形品の大きさは0.5Lから50mに及んで多様である。
【0070】
材料を成形サイクル中に手動で導入するか或はドロップボックスを用いることで多層物を製造することができる。
【0071】
手動添加は、鋳型をオーブンから移動させ、当該部品の中に開口部を作り出す通気管またはプラグを取り出しそして漏斗またはワンド(wand)を用いてさらなる材料を添加することを伴う。そのような操作を追加的層の各々で繰り返す必要がある。
【0072】
ドロップボックスに典型的には1種類のみの層材料を入れ、それは、材料をこれがサイクル中の適切な時間に放出されるまで保持する絶縁容器である。材料放出に関するシグナルは一般にその機械のアームを貫く送気管による圧力パルスとして伝達される。前記絶縁は前記ボックスの中の材料が溶融しないように冷却を保持すべきである。
【0073】
いずれの方法にも下記の2つの重要な要因が存在する:
− 次の層を加える時の温度:これは先に生じるスキン(skin)の壁厚を決定するに重要でありかつ2つの層がどれほど良好に一緒に結合し得るかを決定するに重要である、
− 次の層の材料を添加する前に経過する時間:鋳型をあまりにも長く休ませると壁に既に接着している材料が垂れ下がる可能性がある。
【0074】
1番目の層が示すメルトインデックスを低くしそして/または次の層を注入する時の温度を低くしそして/または次の層を注入する前に鋳型を若干冷却しておくことでそのような問題を軽減することができる。
【0075】
回転成形多層品の製造に要するサイクル時間は、層の数および各層に注入すべき質量に依存する。各スキンの厚みが約3mmである2スキン製品の場合の典型的な総サイクル時間は60から80分である。
【0076】
驚くべきことに、数種の材料を逐次的に注入することで多層物を製造するとサイクル時間がその数種の材料の中のいずれか1種の材料を用いて全層厚が同じになるように生じさせる単層物を製造する時のサイクル時間よりも短くなることを見いだした。
【0077】
より驚くべきことに、散水による冷却を行うとサイクル時間を更に短くすることができるが、それでも、PE層を1層のみ有する回転成形品を製造する時に散水による冷却を用いた場合に観察した実質的な変形も収縮も示すことのない回転成形多層品がもたらされることを見いだした。
【0078】
本発明は、また、層Aが外側層でPEとFPOまたは(PO−g−NPO)を含んで成るポリエチレン組成物でありそして層Bが内側層でポリアミドまたはPVDFまたは官能基含有フルオロポリマーである回転成形2層品を製造する方法も開示し、この方法は、
a)層A用のポリエチレン組成物を準備し、
b)前記層Aを充分に溶融させる目的でピーク内部空気温度(peak internal air temperature)(PIAT)を層Aの前記組成物が溶融する温度より15から50℃高い温度にまで上昇させ、
c)ドロップボックスを用いて層B用の組成物を添加し、
d)前記層Bを充分に溶融させる目的でPIATを層Bの前記組成物が溶融する温度を超える温度にまで上昇させ、
e)前記樹脂を固化させる目的で冷却を散水で行ない、
f)回転成形品を回収する、
段階を含んで成る。
【0079】
本発明は、特に、自動車および大型トラック用の大きさが40Lから600Lの範囲の燃料用タンクの製造、より一般的には複雑な構造物の製造で用いるに有用である。
【0080】
本発明は、また、内側層をポリフッ化ビニリデンで生じさせた時には硝酸または他の化学品を輸送するためのコンテナの製造で用いるにも有用である。
【実施例】
【0081】
数種類の回転成形品を下記の如く製造した。
【0082】
ROTOSPEED回転成形機を用いてあらゆる試験成形を実施した。それは円形コンベヤー(carrousel)式機械であり、それにはオフセットアーム、バーナー容量が523kW/時のLPGバーナーアーム、空気ファン式冷却および/または散水式冷却が備わっており、最大プレート直径は1.5mである。
【0083】
アルミニウム製ボックス鋳型(box mould)を用いて試験成形品の製造を行った。その鋳型には離型が容易なように抜き勾配が備わっており、ドロップボックスを用いて2層品を製造した。前記ドロップボックスに1番目の層に必要な材料を充填した後、それを前記鋳型の蓋に取り付けた。前記ドロップボックスに備わっている空気式ラムで前記材料を必要な温度に到達するまで適切な場所に保持した後、前記ラムを作動させて、前記材料を落下させて中に入れた。この操作を以下に記述する条件下で各層毎に繰り返した。
【0084】
2種類の材料を用いて試験を実施した。鋳型をオーブンからいろいろなピーク内部温度で取り出した。この試験の成形条件は下記の通りであった:
・ オーブン温度:300℃
・ 回転比:4:1
・ 冷却用媒体:強制空気
・ アームおよび鋳型を予熱
・ ロトログユニット(rotolog unit)n゜5/ロトログソフトウエアバージョン(rotolog software version)2.7。
【0085】
生じるスキン厚がそれぞれ3mmおよび2mmになるようにショットサイズ(shot sizes)をそれぞれ1.8kgおよび1.2kgにした。
【0086】
内部空気温度トレースにおけるいろいろな段階の比較をより容易に行うことができるようにあらゆるサイクル時間を同じ開始点および終点から取った。
[実施例1]
【0087】
ビス(n−ブチル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライドを用いて作られた密度が0.940g/cmでメルトフローインデックスMI2が9g/10分のポリエチレンが80重量%で無水物をグラフト化させたポリエチレン[ATOFINAが名称OREVAC(商標)の下で販売]が20重量%のポリエチレン組成物を用いて厚みが3mmの単一スキン成形品を製造する目的で1.8kgのショット重量を用いた。達成したPIATは212℃でサイクル時間は36.42分であった。ロトログトレース(rotolog trace)を図1に示す。
[実施例2]
【0088】
PA−11樹脂[ATOFINAが名称RILSAN(商標)の下で販売]を用いて厚みが3mmの単一スキン成形品を製造する目的で1.85kgのショット重量を用いた。ナイロンが溶融する温度の方がポリエチレンが溶融する温度より高いことから239℃のPIATを達成しそしてサイクルは48.9分で完了した。ロトログトレースを図2に示す。
[実施例3]
【0089】
2スキン成形品を下記の如く製造した:
− 最初に、実施例1に示したポリエチレン組成物と同じ組成物を1.8kgのショット重量で鋳型の中に落下させることで外側層を構成させ、
− 実施例2に示したPA−11樹脂と同じ樹脂を1.8kgのショット重量で用いて133℃の温度で落下させて入れることで内側層を生じさせた。
245℃のPIATを達成しそしてサイクルは63.7分で完了した。ロトログトレースを図3に示す。2層間の結合は非常に良好であり、剥離は全く観察されなかった。
[実施例4]
【0090】
PA−11樹脂を落下させて入れる時の温度を133℃ではなく170℃にする以外は実施例3の2スキン成形と同じ成形を用いた。243℃のPIATを達成しそしてサイクルは68.12分で完了した。ロトログトレースを図4に示す。2層間の結合は平らな表面全体に渡って非常に良好であった。成形品の鋭角な隅の所に剥離を若干観察したが、その場所では、冷却中に内側のナイロン層の方がポリエチレン組成物よりも収縮したように思われる。
[実施例5]
【0091】
ポリエチレン組成物およびPA−11樹脂の両方のショット重量を1.2kgにすることで2mmの層を2層生じさせる以外は実施例4と同様にして2スキン成形品を製造した。PA−11材料を前記鋳型の中に133℃で落下させた。その鋳型が到達したPIATは241℃でありそしてサイクルは45.57分で完了した。
[実施例6]
【0092】
PA−11樹脂を鋳型の中に133℃ではなく175℃の温度で落下させる以外は実施例5を繰り返した。その鋳型が到達したPIATは245℃でありそしてサイクルは50.12分で完了した。
【0093】
これらの実施例を表Iに要約する。
【0094】
【表1】

【0095】
本発明に従って製造した2スキン成形品は全部、平らな表面上ではポリエチレン層とポリアミド層の間の接着力が優れていた。前記試験のいくつかでは鋭角な角度の所に剥離を若干観察した。
[実施例7]
【0096】
2スキン成形品を下記の如く製造した:
− 最初に、ビス(n−ブチル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライドを用いて作られた密度が0.934g/cmでメルトフローインデックスMI2が8.0g/10分の純粋なポリエチレンを1.8kgのショット重量で鋳型の中に落下させることで外側層を構成させ、
− ビス−インデニルメタロセン触媒系を用いて作られたメルトフローインデックスMI2が15g/10分の純粋なメタロセン製造アイソタクティックポリプロピレン(miPP)を1.8kgのショット重量で用いて133℃の温度で落下させて入れることで内側層を生じさせた。
245℃のPIATを達成しそしてサイクルは63.7分で完了した。官能化ポリオレフィンを用いなくても2層間の結合は非常に良好でありかつ剥離を全く観察しなかった。
(比較実施例)
実施例1から7の条件と同じ条件下で回転成形2スキン品を製造した。外側層をエチレン−ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライドを用いて作られた密度が0.934g/ccでメルトインデックスMI2が8dg/分の純粋なポリエチレンにしそして内側層をPA−11にした。純粋なPEで作られた外側層とPA−11で作られた内側層を有する回転成形2スキンタンクに相当する完成品は図6で分かるであろうように2層間に全く接着を示さなかった。
[実施例8]
【0097】
エチレン−ビス(テトラヒドロ−インデニル)ジルコニウムジクロライドを用いて作られたポリエチレンが85重量%でOREVAC(商標)が15重量%の混合物を1.8kg用いかつPA−11を1.8kg用いて2重スキン品を製造した。PA−11を150℃の温度で落下させて219℃のPIATを達成した。強制空気を用いて系を出発温度から170℃の温度になるまで冷却した後、散水による冷却をレベル3(18リットル/分)で行うことで室温にまで冷却した。
[実施例9、10および11]
【0098】
散水による冷却を冷却開始時からそれぞれ実施例9の場合にはレベル1(6リットル/分)、実施例10の場合にはレベル2(12リットル/分)そして実施例11の場合にはレベル3(18リットル/分)で用いる以外は実施例8を繰り返した。
【0099】
PIATおよび収縮の結果を表IIに要約する。
【0100】
【表2】

【0101】
これらの実施例では、あらゆる層が互いに優れた接着力を示し、手で分離させるのは不可能であった。しかしながら、実施例8および9は、完成品の鋭角な隅の所に収縮による若干の空隙をいくらか示し、このことは、冷却速度が重要であることを示している。鋳型のデザインを適切にすることでもまた収縮による空隙の量を少なくすることができる。
[実施例12]
【0102】
壁厚が6mmの2種類の回転成形品を調製した。1番目の製品には厚みが6mmの層を1層持たせ、それをポリエチレン単独で生じさ、そして冷却を強制空気を用いて実施した。サイクル時間は58分であった。2番目の製品には、もう一方の製品で用いたPEと同じPEを用いて生じさせた厚みが3mmの外側層とPA−11から生じさせた厚みが3mmの内側層を持たせて、それの冷却を散水で実施した。サイクル時間は42分であり、従って強制空気で冷却した前記単層品のサイクル時間よりもずっと短かった。従って、サイクル時間を短くしようとする場合には、その系の冷却で散水を用いるのが非常に有益であることを観察した。加うるに、寸法特性は1層品も2層品も本質的に同じであることを観察し、両方の製品が示した収縮率は1.5から2%であった。
[実施例13]
【0103】
Brabender/Leistritz/Maag/A5 PAC/TWSと呼ばれるGalaアンダーウォーターシステム(underwater system)を用いてPA−11の通常ペレット(3.2mm)からミクロペレットを成功裏に得た。それを二軸押出し加工機に装備したが、それにはA5 PAC 6ペレタイザー、ギアポンプおよび溶融状態の重合体を濾過する装置が備わっていた。
【0104】
実験条件は下記の通りであった:
1)条件A
− スクリュー速度:180rpm
− 溶融物の温度:250℃
− 供給速度:100kg/時
− ペレタイザー速度:4650rpm
− 直径が0.8mmの穴が24個。
2)条件B
− スクリュー速度:180rpm
− 溶融物の温度:250℃
− 供給速度:100kg/時
− ペレタイザー速度:4500rpm
− 直径が0.65mmの穴が120個。
【0105】
条件AおよびBで得たミクロペレットの形態的特徴を図7および8に示す。ミクロペレットの平均的大きさは条件Aの場合には1000から1200μmでありそして条件Bの場合には800から1000μmであった。相当するふるい分け結果は下記である:
1)条件Aの場合:
S850:99.6%
S600:0.4%
2)条件Bの場合:
S850:89.4%
S600:10.6%
次に、そのようなPA−11のミクロペレットを回転成形2層品の製造で成功裏に用いた。外側層をメタロセン製造ポリエチレンとOREVAC(商標)の混合物[OREVAC(商標)の量を10から20重量%に変えた]から生じさせそして内側層を前記PA−11ミクロペレットから生じさせた。
【0106】
ポリエチレンを粉末の形態で供給しかつポリアミドを粉末としてか或は前記ポリエチレンの溶融温度より若干高いがポリアミドの溶融温度より低い溶融温度を有する熱可塑性プラスチック製バッグの中に包み込まれているペレットとして供給するシステムを用いて、2層の回転成形品に関する追加的実験をいくつか実施した。前記PEが最初に溶融して前記鋳型の壁を覆うことで外側層が生じた後、前記熱可塑性プラスチック製パウチが溶融することで前記PA材料が放出されて、それが内側層の形成で用いられた。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1−5】図1から5は、それぞれ、実施例1から4および実施例7のロトログトレースである。それらの各々にピーク内部空気温度(PIAT)(摂氏度で表す)をサイクル時間(秒で表す)の関数として示す。
【図6】図6に、純粋なmPEから生じさせた外側層とPA−11から生じさせた内側層を有する2スキン回転成形タンクを示す。
【図7】図7に、条件Aで得たPA−11樹脂のミクロペレットを示す。
【図8】図8に、条件Bで得たPA−11樹脂のミクロペレットを示す。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転成形で作られた多層品であって、
a)−ポリオレフィン(PO)またはこれの混合物を40から100重量%、および
−官能化ポリオレフィン(FPO)またはポリオレフィン以外の物(NPO)にグラフト化したブロック共重合体形態のPO(PO−g−NPO)を60から0重量%、
含んで成る組成物から作られたポリオレフィン(PO)が基になった層である層A、
b)−層AのPOとは異なるPOまたはNPOまたはこれらの混合物、
−場合によりFPOまたは(PO−g−NPO)、
を含んで成る層B、
c)場合により、層Aの重合体とは異なりかつ層Bの重合体と同様または異なる重合体から作られていて層Aおよび/または層Bに隣接して位置しそしてこれが存在する時には層Aおよび/または層Bに対して良好な接着性を示しかつ層Aと層Bの混合物ではないことを特徴とする層C、
を含んで成る多層品。
【請求項2】
層Aがチーグラー・ナッタまたはメタロセンが基になった触媒系を用いて作られたポリエチレンまたはポリプロピレンである請求項1記載の多層品。
【請求項3】
層Aがメタロセン製造ポリエチレンを75から100重量%と官能化ポリエチレンを25から0重量%含んで成る請求項1または請求項2記載の多層品。
【請求項4】
前記メタロセン触媒の成分がビス(テトラヒドロインデニル)またはビス(n−ブチル−シクロペンタジエニル)である請求項3記載の多層品。
【請求項5】
層Aがプロピレンのアイソタクティックもしくはシンジオタクテックホモ重合体または共重合体を75から100重量%と官能化ポリプロピレンを25から0重量%含んで成る請求項1または請求項2記載の多層品。
【請求項6】
層Bが1種以上のアミノ酸および/または1種以上のジアミンの塩または混合物の縮合の結果としてもたらされたポリアミド、またはジアミンポリアミド、またはコポリアミド、またはポリオレフィンとポリアミドの混合物、または発泡したポリアミド、または衝撃改質ポリアミドから選択されるポリアミドを75から100重量%と官能化ポリオレフィン(FPO)またはポリオレフィン−グラフト−ポリアミドブロック共重合体を25から0重量%含んで成る請求項1記載の多層品。
【請求項7】
前記官能化ポリオレフィンが酸もしくは無水物またはエポキシ官能を反応性単位として有しかつ前記ポリオレフィンが2種以上の共重合用単量体を用いて作られた共重合体であってもよい請求項1〜6のいずれか1項記載の多層品。
【請求項8】
層Aがポリエチレンもしくはポリプロピレンと官能化ポリオレフィンを含んで成る組成物でありそして層Bがポリアミドまたは例えば酸、無水物、アルコール、アミンまたはエポキシなどから選択される官能基を含有するフルオロポリマーを含んで成る請求項1〜7のいずれか1項記載の多層品。
【請求項9】
層Bが熱可塑性ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレートまたはブチレンテレフタレートなど、または液晶重合体、またはフルオロポリマーもしくは官能基含有フルオロポリマー、またはポリカーボネート、またはアクリル系、またはポリアミド、または芳香族もしくは脂肪族ポリケトン、またはポリエーテルケトン、またはポリエチレンビニルアルコール、またはポリフェニレンスルフィド、およびそれら自身もしくはそれらと他の重合体とのアロイであり、前記NPOが反応性種または結合を形成し得る末端基を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の多層品。
【請求項10】
各層の厚みが少なくとも0.5mmである請求項1〜9のいずれか1項記載の多層品。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項記載の回転成形多層品を製造する方法であって、層Aが層Aと層Bの間およびそれと任意の3番目の層との接着力を与えるように各層に必要な材料をワンショットで供給することによる方法。
【請求項12】
層Aが外側層でポリエチレン組成物でありそして層Bが内側層でポリアミドまたはポリフッ化ビニリデンまたは官能基含有フルオロポリマーである回転成形2層品を製造する請求項11記載の方法であって、
a)ポリエチレンを70から98重量%と官能化ポリエチレンを30から2重量%含んで成っていて145℃未満の融点を示すポリエチレン組成物を準備し、
b)少なくとも145℃の融点を示すポリアミドもしくはポリフッ化ビニリデンもしくは官能性フルオロポリマーを準備し、
c)前記2種類の樹脂を物理的に混合し、
d)段階c)の混合物を回転成形機に供給して回転下に保持し、
e)回転成形品を回収する、
段階を含んで成るが、前記ポリエチレン組成物の粒子直径(DPE)と前記ポリアミドもしくはポリフッ化ビニリデンもしくはフルオロポリマーの粒子直径(DPA)の比率DPE/DPAが最大限で2:3でありかつ前記ポリエチレン組成物の融点の方がもう一方の重合体の融点より少なくとも15℃低いようにする方法。
【請求項13】
層Aが外側層でPEとFPOまたは(PO−g−NPO)を含んで成るポリエチレン組成物でありそして層Bが内側層でポリアミドまたはPVDFまたは官能基含有フルオロポリマーである請求項1から10のいずれか1項記載の回転成形2層品を製造する方法であって、
a)層A用のポリエチレン組成物を準備し、
b)前記層Aを充分に溶融させる目的でピーク内部空気温度(PIAT)を層Aの前記組成物が溶融する温度より15から50℃高い温度にまで上昇させ、
c)ドロップボックスを用いて層B用の組成物を添加し、
d)前記層Bを充分に溶融させる目的でPIATを層Bの前記組成物が溶融する温度を超える温度にまで上昇させ、
e)前記樹脂を固化させる目的で冷却を散水で行ない、
f)回転成形品を回収する、
段階を含んで成る方法。
【請求項13】
燃料用タンク、化学品用タンクまたは油圧タンクとして用いる目的で請求項1から10のいずれか1項記載の回転成形多層品から作られたタンク。
【請求項14】
請求項1から10のいずれか1項記載の回転成形品を固化させる時に起こる収縮隙間を減少させる目的で散水冷却を使用する方法。

【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−507145(P2006−507145A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−552692(P2004−552692)
【出願日】平成15年11月20日(2003.11.20)
【国際出願番号】PCT/EP2003/013049
【国際公開番号】WO2004/045849
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(504469606)トータル・ペトロケミカルズ・リサーチ・フエリユイ (180)
【Fターム(参考)】