説明

多層構造粒子の製造方法

【課題】本発明の課題は、粒径分布が単分散で、層の界面の平滑性が高い多層構造粒子を、生産性高く、かつ簡便に合成する製造方法を提供することである。
【解決手段】中心層(L0)をコアとし、コアの中心に対して同心状に1層以上の層(Ln)を積層した構造を有する多層構造粒子を製造する製造方法であって、少なくとも1層(Ln)をマイクロ波照射により形成させる工程を含むことで、生産性が高く簡便に多層構造樹脂粒子を製造することができる。該工程は、例えばマイクロ波照射下に、粒子である中心層(L0)を水を0.5%以上の濃度で溶解させることが可能な有機溶剤中に分散させた分散液(D0)に金属アルコキシドと水を添加して、中心層(L0)粒子の表面に金属酸化物層を形成させ多層粒子分散液を得ることにより多層構造粒子を得る製造工程である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2層以上の多層構造を有する粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多層構造を有する粒子としては、例えば、水との間の界面張力の差が0.1(mN/m)を超える関係を満たす2種のポリマーからなる層が同心状に交互に4層以上積層した多層高分子微粒子(例えば、特許文献1参照)、アクリル系樹脂からなる多層構造重合体粒子(例えば、特許文献2参照)等が開示されている。
しかし、従来の上記の粒子はいずれも樹脂だけの層からなる樹脂粒子であり、各層の屈折率を設計する上で範囲が狭くなるという問題点を有していた。
また、上記の多層高分子微粒子の製造方法は、特殊なブロック共重合体又はグラフト共重合体を使用しなければならず、工業的に有利な方法とは言い難い。また、上記のアクリル系樹脂からなる多層構造重合体粒子の製造方法は、層の厚み等を精密に制御することは困難である等の問題点を有していた。
【0003】
この層の厚みを精密に制御することができる多層粒子の合成方法として、多層高分子微粒子以外にも、金属層、金属酸化物層を持つ多層構造微粒子、例えば、めっき法により形成された強磁性層を有する磁性多層微粒子(例えば特許文献3参照)、金属層を有する多層微粒子(例えば特許文献4参照)などがあげられる。これらの方法では、様々な組成の層を形成させることができるため、多層構造粒子に様々な機能を付与することができる反面、樹脂系の多層構造微粒子と異なり、ワンショットで多層を形成させることは不可能であり、コア粒子から、一層一層積層していくビルドアップ法となる。このため、最終的に多層構造を持つ粒子にするには、非常に多くの工程が必要とされ、各工程時間も長いため、生産性が非常に低いものであった。
【特許文献1】特開2004-35785号公報
【特許文献2】特開2004-352837号公報
【特許文献3】特開2002-93607号公報
【特許文献4】特開2004-219415号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、粒径分布が単分散で、層の界面の平滑性が高い多層構造粒子を、生産性高く、かつ簡便に短時間で合成する製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は鋭意研究した結果、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、中心層(L0)をコアとし、コアの中心に対して同心状に1層以上の層(Ln)を積層した構造を有する多層構造粒子を製造する製造方法であって、少なくとも1層(Ln)をマイクロ波照射により形成させる工程を含むことを特徴とする多層構造粒子の製造方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の製造方法を用いれば、粒径分布が単分散で、層の界面の平滑性が高い多層構造粒子を、生産性高く、かつ簡便に短時間で合成することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の多層構造粒子の製造方法としては、中心層(L0)をコアとし、コアの中心に対して同心状に1層以上の層(Ln)を積層した構造を有する多層構造粒子を製造する製造方法であって、少なくとも1層(Ln)をマイクロ波照射により形成させる工程を含む。
【0008】
本発明の製造方法に用いられる中心層(L0)は、粒子であれば、特に限定されず、真球状粒子、紡錘状粒子、針状粒子、板状粒子、キューブ状粒子のいずれにも適用できるものである。材質はポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのビニル系高分子、ポリエステル、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミドなどの重縮合系高分子などの有機高分子、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ、酸化鉄、酸化銅、酸化銀、酸化亜鉛、酸化インジウム酸化マグネシウムなどの金属酸化物、これらを含有してなる天然物などが挙げられる。天然物としては具体的には、タルク、カオリンクレー、モンモリロナイト、マイカ、ベントナイト、ロー石クレー、クリソタイル等が挙げられる。それらの中で、製造し易さと屈折率の観点から、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、及びチタニアからなる群より選ばれる少なくとも1種であるものが好ましい。さらに、シリカ、アルミナ、及びチタニアが好ましい。
また、金、銀、銅、白金、パラジウム、クロム、コバルト、マンガン、鉄、ニッケル、タングステン、バナジウム、タンタル、ジルコニウムなどの金属、及びこれらの混合物が挙げられる。それらの中でも、製造し易さの観点から、金、銀、銅、パラジウム、ニッケル、白金が特に好ましい。コアの数平均粒径としては、5nm〜100μmの範囲のものが好ましく、50nm〜10μmのものがさらに好ましい。
【0009】
層(Ln)を形成するものとしては、粒子表面を被覆できるものであれば特に限定はしない。具体的には、金属酸化物では、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ、酸化鉄、酸化銅、酸化銀、酸化亜鉛、酸化インジウムなどが挙げられ、それらの中でも製造し易さの観点から、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ、酸化鉄などが好ましい。さらに、シリカ、アルミナ、及びチタニアが好ましい。
樹脂では、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのビニル系高分子、ポリエステル、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミドなどの重縮合系高分子などが挙げられ、これらの中でもポリスチレン、ポリメタクリル酸メチルが好ましい。
金属では、金、銀、銅、、白金、パラジウム、クロム、コバルト、マンガン、鉄、ニッケルタングステン、バナジウム、タンタル、ジルコニウムなどが挙げられ、金、銀、銅、白金、パラジウム、クロム、コバルト、マンガン、鉄がさらに好ましい。
層(Ln)中には、層を構成する主成分(金属酸化物、樹脂、金属)以外にも、添加剤を加えることも可能である。これら添加剤の層中に占める重量は50重量%以下であり、10%以下がさらに好ましい。
層(Ln)の厚さは、1nm〜10μmが好ましく、製造が容易な点と、反応時間が短時間ですむという観点から、30nm〜400nmがさらに好ましい。
【0010】
本発明における層の形成方法は、従来より知られている次の反応に応用することができる。具体的にはコア粒子が存在下、液相中に金属アルコキシドと水を溶解させ、常温でゾルゲル反応を行うことにより、ゾルゲル反応により生成した微小粒子がコア粒子表面に吸着し、金属酸化物層を形成する層形成反応、または、コア粒子存在下、液相中で高分子の熱重合反応により微小粒子を生成させ、生成した微小粒子をコア粒子表面に吸着し、樹脂層を形成させる層形成反応、またはコア粒子存在下、液相中で加熱により金属塩の還元析出反応を行い、析出したナノ粒子がコア粒子表面に吸着することで、金属層を形成する層形成反応である。
これらの合成方法の中で、マイクロ波照射により形成される層の数、何層目かは特に限定されない。層形成が数分で完了するため、マイクロ波照射により形成させる層の数は多いほど、先述の従来より知られる金属酸化物、樹脂、金属層の層形成反応との工程時間の差が大きくなり好ましい。また何層目を行なうかは、マイクロ波照射による反応速度向上の効果が大きい層、例えば層形成に長時間を要する層形成工程に用いるのが好ましく、例えば全層をマイクロ波照射により形成させるのがさらに好ましい。
【0011】
マイクロ波の照射強度は、0.005〜2W/cm3 が好ましく、0.01〜1W/cm3がさらに好ましい。この範囲内であれば、副反応などが起きることなく、短時間で層形成を完結させることができる。
【0012】
マイクロ波の照射時間は、0.1〜120分が好ましく、0.5〜10分がさらに好ましい。この範囲であれば、目的の層厚さまで層を成長させるには十分な時間であり、かつ、工業的な観点からも、層形成工程を短時間に完了できることから、有利である。
【0013】
マイクロ波を照射される液の温度は、粒子を分散させた分散液が液状であれば特に限定されないが、反応装置が簡略ですむ観点から、マイクロ波照射装置以外の加熱、冷却装置の必要のない温度、具体的には10〜35℃であることが好ましい。マイクロ波を照射中の、反応途中の液温は、分散液の沸点より30℃高い温度以下であればよいが、分散液の沸点以下であることが、より好ましい。マイクロ波照射による加熱の場合、分散液の過昇温が起こり、沸点に達しても沸騰が起こらず、沸点以上に液温が上がることが起こり得る。
【0014】
本発明の多層構造粒子の製造方法としては、次の製造工程(10)、(21)、(31)及び(32)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0015】
製造工程(10)は、マイクロ波照射下に、粒子である中心層(L0)を水を0.5%以上の濃度で溶解させることが可能な有機溶剤(E1)中に分散させた分散液(D0)、又は多層粒子を(E1)中に分散させた分散液(Dn)に金属アルコキシドを添加して、又は分散液(D0)又は分散液(Dn)に金属アルコキシドを添加した後にマイクロ波を照射して、中心層(L0)又は多層粒子の表面に金属酸化物を形成させ多層粒子分散液を得ることにより多層構造粒子を得る工程であり、具体的な例としては、次のような方法が例示できる。
【0016】
(E1)中にコア粒子を超音波照射などの方法により均一に分散させた分散液に、金属酸化物層の原料となる金属アルコキシドとイオン交換水を溶解させた分散液を作成する。この分散液をマイクロ波を照射することのできる装置、例えば電子レンジに入れ、マイクロ波を照射することにより、コア粒子の表面に、金属酸化物層が1層形成された多層構造粒子を得ることができる。
金属アルコキシドとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、鉄、銅、アルミニウム、ケイ素などのアルコキシドが挙げられ、その中でケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタンのアルコキシドが好ましい。金属アルコキシドの有機部としては炭素数4以下が好ましく、具体的にはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシが好ましい。
1分子中のアルコキシ基の数は3又は4が好ましい。好ましい金属アルコキシドの例としてはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、ジルコニウムブトキシド、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシドが挙げられ、層形成が容易な点から、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが特に好ましい。
【0017】
有機溶剤(E1)は水を0.5重量%以上の濃度で溶解させることが可能な溶剤である。(E1)の誘電率は0.1〜50であることが好ましく、は2〜40であることがさらに好ましい。(E1)の沸点は100℃以上であるものが層厚さの精度の観点から好ましい。誘電率が2〜40であり、沸点が100℃以上である溶媒としては、ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、ニトロメタン、N−メチルピロリドン、1−ブタノール、2−メトキシエタノール、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、2−ブタノール、イソブタノール、酢酸、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどがあげられる。これらを用いることで、より層界面が平坦な、均一な層を形成させることができる。誘電率が低い溶媒(2〜40)は、一般的にマイクロ波により、加熱されにくく、コア粒子の表面が、特異的に加熱されるため、層形成反応が粒子表面で優先的に起こるので、溶媒中での反応が起こりにくくなるため、新たに粒子が生成することが極めて起こりにくい。また沸点が高い(100℃以上)と、沸騰による系の自己攪拌が起こりにくくなるため、先述の粒子表面での特異的加熱が維持される。
【0018】
また、金属アルコキシドを添加し、マイクロ波を照射して、中心層(L0)又は多層粒子の表面に金属酸化物層を形成させる際に、必要により触媒を添加すると好ましい。触媒としては金属触媒[スズ系(ジブチルチンジラウレート、スタナスオクトエートなど)、鉛系(オレイン酸鉛、ナフテン酸鉛、オクテン酸鉛など)など]、アミン系触媒[メチルアミン、トリエチレンジアミン、ジメチルエタノールアミンなど]、酸[三フッ化ホウ素、塩酸など]、塩基[アミン、アルカリ土類金属水酸化物など]、塩[第4級オニウム塩など]、有機金属触媒[塩化第一スズ、テトラブチルジルコネートなど]、有機酸[パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸など]などが挙げられる。触媒の添加量は分散液に対して0〜5.0%が好ましく、0.5〜1%がさらに好ましい。
分散液(Dn)中の粒子の濃度は分散液(Dn)の体積に対して0.01〜30体積%が好ましく、1〜10体積%が生産性と粒子の分散性の観点からさらに好ましい。
【0019】
製造工程(21)は、マイクロ波照射下に、粒子である中心層(L0)を水中または有機溶剤中に分散させた分散液(D0)又は多層粒子を水中または有機溶剤中に分散させた分散液(Dn)にビニル系モノマー及び水溶性の重合開始剤を添加して、又は分散液(D0)又は分散液(Dn)にビニル系モノマー及び重合開始剤を添加した後にマイクロ波を照射して、重合反応により中心層(L0)又は多層粒子の表面に樹脂層を形成させ多層粒子分散液を得ることにより多層構造粒子を得る工程であり、具体的な例としては、次のような方法が例示できる。
【0020】
水中にコア粒子を超音波照射などの方法により均一に分散させた分散液に、ビニル系モノマーを添加し、強撹拌下で水溶性開始剤を添加することが好ましい。具体的な操作の一例として、この分散液をマイクロ波を照射することのできる装置、例えば電子レンジにいれマイクロ波を照射することにより、コア粒子の表面に、樹脂層が1層形成された多層構造粒子を得ることができる。または有機溶剤中にコア粒子を超音波照射などの方法により均一に分散させた分散液に、ビニル系モノマーを添加し、撹拌下で油溶性開始剤を添加する。この分散液をマイクロ波を照射することのできる装置、例えば電子レンジにいれマイクロ波を照射することにより、コア粒子の表面に、樹脂層が1層形成された多層構造粒子を得ることができる。
樹脂層の原料となるビニル系モノマーとしては、スチレン、メタクリル酸メチル、メタクリル酸、アクリル酸メチルなどが挙げられる。その中でもスチレン、メタクリル酸メチルが好ましく、スチレンがさらに好ましい。開始剤としては、水溶性のものとしては過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムが好ましく、過硫酸カリウムをがもっとも好ましい。油溶性の開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4-メトキシー2,4−ジメチルバレロニトリル、ジメチル2,2'-アゾビス((2−メチルプロピオネート、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリルなどが好ましく、アゾビスイソブチロニトリルが最も好ましい。
【0021】
使用される溶剤としては、水、もしくは炭化水素系の溶剤、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン及びこれらの混合物が挙げられるが、沸点が高いという観点から、水、ドデカン、デカン、ノナンが好ましい。炭化水素系の溶剤を使用する場合、高分子系の分散剤を使用することが、合成された多層構造粒子の分散安定性の観点から好ましい。分散剤としては、ビニル基にポリジメチルシロキサン鎖が付加した、反応性分散剤が特に好ましく、例えば、分散液(Dn)中の粒子の濃度は分散液(Dn)の体積に対して0.01〜30体積%が好ましく、1〜10体積%が生産性と粒子の分散性の観点からさらに好ましい。
【0022】
製造工程(31)は、マイクロ波照射下に、粒子である中心層(L0)を金属塩(G)及び還元剤(H)を溶解させる溶剤(E31)中に分散させた分散液(D0)又は多層粒子を溶剤(E31)中に分散させた分散液(Dn)に金属塩(G)及び還元剤(H)を添加して、又は分散液(D0)又は分散液(Dn)に金属塩(G)及び還元剤(H)を添加した後マイクロ波を照射して、還元反応により中心層(L0)又は多層粒子の表面に金属層を形成させ多層粒子分散液を得ることにより多層構造粒子を得る工程であり、具体的な例としては、次のような方法が例示できる。
【0023】
ジメチルホルムアミド中にコア粒子を超音波照射などの方法によりにより均一に分散させ、金属塩、還元剤、分散安定剤を添加して、均一混合する。これをマイクロ波を照射することのできる装置、例えば電子レンジに入れ、マイクロ波照射することにより、コア粒子表面に金属層が形成された多層構造粒子を得ることができる。金属層の原料となる前駆体としては、塩化白金酸、塩化金酸、硝酸銀、硫酸銅、三塩化鉄、二塩化鉄、酢酸銅などの金属塩が挙げられ、塩化白金酸、塩化金酸、硝酸銀が特に好ましい。また還元剤としては、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類が好ましく、沸点が高いことから、グリセリン、エチレングリコール、ブタノールなどが特に好ましい。分散安定剤としては、高分子系の分散安定剤を例示することができ、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸などのポリカルボン酸塩などが好ましく、分散安定性の観点からポリビニルピロリドンが特にに好ましい。
【0024】
製造工程(32)はマイクロ波照射下に、粒子である中心層(L0)を金属塩(G)を還元させる溶剤(E32)中に分散させた分散液(D0)又は多層粒子を溶剤(E32)中に分散させた分散液(Dn)に金属塩(G)を添加して、又は分散液(D0)又は分散液(Dn)に金属塩(G)を添加した後にマイクロ波を照射して、還元反応により中心層(L0)又は多層粒子の表面に金属層を形成させ多層粒子分散液を得ることにより多層構造粒子を得る工程であり、具体的な例としては、次のような方法が例示できる。
【0025】
分散溶剤としてエチレングリコールにコア粒子を超音波照射などの方法により均一に分散させ、金属塩、分散安定剤を溶解させた水溶液を添加して、均一混合する。これを例えば電子レンジにに入れ、マイクロ波を照射することにより、コア粒子表面に金属層が形成された多層構造粒子を得ることができる。金属層の原料となる前駆体としては、塩化白金酸、塩化金酸、硝酸銀、硫酸銅、三塩化鉄、二塩化鉄、酢酸銅などの金属塩が挙げられる。また分散溶剤としては、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類が好ましく、沸点が高いことから、グリセリン、エチレングリコール、ブタノールなどがさらに好ましい。分散安定剤としては、高分子系の分散安定剤を例示することができ、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸などのポリカルボン酸塩などが好ましく、ポリビニルピロリドンが特に好ましい。
製造工程(31)及び製造工程(32)において、分散液(Dn)中の粒子の濃度は分散液(Dn)の体積に対して0.01〜30体積%が好ましく、1〜10体積%がさらに好ましい。
【実施例】
【0026】
実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
以下、部は重量部とする。
【0027】
<平均粒径、粒径分散度の測定方法>
走査型電子顕微鏡(日本電子製、S−4800)を用いて、30000倍の倍率で500個の粒子の粒径を測定し、数平均粒径、粒径の分散度について計算により求めた。
<層数、層断面の確認方法>
粒子を市販のエポキシ樹脂で固め、マイクロカッターで切断し、その断面を透過電子顕微鏡(H−7100、日立製作所製)で観察し、層数の確認と、層界面の状態の観察を行った。層界面の状態は、層と層の界面に15nm以上の凹凸が観察されない場合を○、凹凸が観察される場合を×で評価した。
【0028】
<製造例1>
数平均粒径300nmのシリカ粒子(日本触媒製、シーホスター)0.1部を、エタノール35部、アセトニトリル26部の混合溶媒に分散させ、この分散液にイオン交換水0.24部、40%メチルアミン水溶液(和光純薬製)0.07部を加えた。この溶液を窒素気流下、マグネチックスターラーで攪拌しながら、チタンテトライソプロポキシド(和光純薬製)0.7部を添加し、25℃で3時間で反応させた後、恒温冷却小型遠心機(H−60RH型、コクサン製)を用いて(5000回転×3分間)の条件で固液分離を行い、チタニアをシェル、シリカをコアに持つ、コアシェル構造を有する粒子(P−1)を得た。数平均粒径は418nm、粒径の分散度は3.2%であった。
【0029】
<製造例2>
4つ口フラスコに、イオン交換水500部、スチレンモノマー(ナカライテスク製)40部と、塩化カリウム(ナカライテスク製)0.05部を混合し、30分間窒素によりバブリングを行なった。これをマックスブレンド翼により攪拌速度300rpmにて攪拌しながら、温度を70℃に加温した。窒素気流下で過硫酸カリウムを0.1部添加し、24時間70℃で反応を行った。反応液を冷却後、恒温冷却小型遠心機を用いて(5000回転×3分間)の条件で固液分離を行い、ポリスチレン粒子(P−2)を得た。数平均粒径は310nm、粒径の分散度は6.4%であった。
【0030】
<実施例1>製造工程(10)
製造例1で作製した粒子(P−1)0.1部を、ビス(2−メトキシエチル)エーテル(和光純薬製)40部に超音波をかけて均一分散後、テトラメトキシシラン(信越化学製)1.0部、イオン交換水0.5部を塩化水素水(和光純薬)0.005部を添加し、マグネチックスターラーで1時間攪拌した。この反応液をテフロン製の100mlビーカーに全量移送後、すぐに電子レンジ(型番CMO−522BL500W、クリスタル電器製)に入れ、1分間マイクロ波(照射強度 0.03W/cm3)照射を行なった。照射開始時の液温は25℃、1分間加熱後の液温は121℃まで上昇した。反応液を30℃まで冷却後、恒温冷却小型遠心機を用いて(5000回転×3分間)の条件で固液分離を行い、3層構造球状粒子(P−3)を得た。数平均粒径は568nm、粒径分散度は4.5%であった。
【0031】
<実施例2>製造工程(21)
製造例1で作製した粒子(P−1)0.1部をイオン交換水40部に超音波照射により均一に分散させた水分散液に、スチレンモノマー(ナカライテスク製)4部を添加し、撹拌下で過硫酸カリウム0.02部を添加し、改造により電子レンジ内に導入したマグネチックスターラー(EYELA製)を攪拌速度500rpmで攪拌しながら、電子レンジによるマイクロ波(照射強度 0.03W/cm3)照射を行ない、外部から赤外線温度計で温度を測定しながら、反応液の温度が70℃を超えないように電子レンジによる加熱を調整し、30分間反応を行った。反応液を冷却後、恒温冷却小型遠心機を用いて(5000回転×3分間)の条件で固液分離を行い、3層構造球状粒子(P−4)[数平均粒径は738nm、粒径分散度は3.4%]を得た。
【0032】
<実施例3>製造工程(31)
製造例1で作製した粒子(P−1)0.1部をジメチルスルホキシド100部中に分散させ、塩化白金酸(HPtCl)1部、安定化剤としてポリビニルピロリドン0.5部、還元剤としてブタノール5部を溶解させ、無攪拌で電子レンジによるマイクロ波(照射強度0.03W/cm3)照射を行ない、1分間反応を行った。照射開始時の液温は25℃、1分間加熱後の液温は131℃まで上昇した。反応液を30℃まで冷却後、恒温冷却小型遠心機を用いて(5000回転×3分間)の条件で固液分離を行い、3層構造球状粒子(P−5)[数平均粒径は587nm、粒径分散度は6.0%]を得た。
【0033】
<実施例4>製造工程(32)
ジメチルスルホキシドをエチレングリコールに替え、ブタノールを添加せずに行なった以外は、実施例3と同様の操作を行なうことにより、3層構造球状粒子(P−6)[数平均粒径は599nm、粒径分散度は5.1%]を得た。
【0034】
<実施例5>製造工程(21)
実施例1で作製した粒子(P−3)0.1部をイオン交換水40部に超音波照射により均一に分散させた水分散液に、スチレンモノマー(ナカライテスク製)4部を添加し、撹拌下で過硫酸カリウム0.02部を添加し、改造により電子レンジ内に導入したマグネチックスターラーを攪拌速度500rpmで攪拌しながら、電子レンジによるマイクロ波(照射強度 0.03W/cm3)照射を行ない、外部から赤外線温度計で温度を測定しながら、反応液の温度が70℃を超えないように電子レンジによる加熱を調整し、30分間反応を行った。反応液を冷却後、恒温冷却小型遠心機を用いて(5000回転×3分間)の条件で固液分離を行い、4層構造球状粒子(P−7)[数平均粒径は768nm、粒径分散度は6.8%]を得た。
【0035】
<実施例6>製造工程(21)
数平均粒径300nmのシリカ粒子0.1部をイオン交換水40部に超音波照射により均一に分散させた水分散液に、スチレンモノマー(ナカライテスク製)4部を添加し、撹拌下で過硫酸カリウム0.02部を添加し、改造により電子レンジ内に導入したマグネチックスターラーを攪拌速度500rpmで攪拌しながら、電子レンジによるマイクロ波(照射強度 0.03W/cm3)照射を行ない、外部から赤外線温度計で温度を測定しながら、反応液の温度が70℃を超えないように電子レンジによる加熱を調整し、30分間反応を行った。反応液を冷却後、恒温冷却小型遠心機を用いて(5000回転×3分間)の条件で固液分離を行い、2層構造球状粒子(P−8)[数平均粒径は544nm]を得た。
さらに粒子(P−8)0.1部をイオン交換水40部に超音波照射により均一に分散させた水分散液に、メタクリル酸メチル(ナカライテスク製)3.5部を添加し、撹拌下で過硫酸カリウム0.02部を添加し、粒子(P−8)と同様の条件で反応後、反応液を冷却し、恒温冷却小型遠心機を用いて(5000回転×3分間)の条件で固液分離を行い、3層構造球状粒子(P−9)[数平均粒径は654nm]を得た。
さらに粒子(P−9)0.1部をイオン交換水40部に超音波照射により均一に分散させた水分散液に、スチレンモノマー(ナカライテスク製)6部を添加し、撹拌下で過硫酸カリウム0.02部を添加し、、撹拌下で過硫酸カリウム0.03部を添加し、粒子(P−8)と同様の条件で反応後、反応液を冷却し、恒温冷却小型遠心機を用いて(5000回転×3分間)の条件で固液分離を行い、4層構造球状粒子(P−10)[数平均粒径は744nm、粒径分散度は5.9%]を得た。
【0036】
<実施例7>製造工程(21)
製造例2で作製したポリスチレン粒子(P−2)0.1部をイオン交換水40部に超音波照射により均一に分散させた水分散液に、メタクリル酸メチル(ナカライテスク製)4部を添加し、撹拌下で過硫酸カリウム0.02部を添加し、改造により電子レンジ内に導入したマグネチックスターラーを攪拌速度500rpmで攪拌しながら、電子レンジによるマイクロ波(照射強度 0.03W/cm3)照射を行ない、外部から赤外線温度計で温度を測定しながら、反応液の温度が70℃を超えないように電子レンジによる加熱を調整し、30分間反応を行った。反応液を冷却後、恒温冷却小型遠心機を用いて(5000回転×3分間)の条件で固液分離を行い、2層構造球状粒子(P−11)[数平均粒径は425nm]を得た。さらに粒子(P−11)0.1部をイオン交換水40部に超音波照射により均一に分散させた水分散液に、スチレンモノマー(ナカライテスク製)3.5部を添加し、撹拌下で過硫酸カリウム0.02部を添加し、粒子(P−11)と同様の条件で反応後、反応液を冷却し、恒温冷却小型遠心機を用いて(5000回転×3分間)の条件で固液分離を行い、3層構造球状粒子(P−12)[数平均粒径は638nm]を得た。さらに粒子(P−12)0.1部をイオン交換水40部に超音波照射により均一に分散させた水分散液に、メタクリル酸メチル(ナカライテスク製)6部を添加し、撹拌下で過硫酸カリウム0.02部を添加し、撹拌下で過硫酸カリウム0.03部を添加し、粒子(P−11)と同様の条件で反応後、反応液を冷却し、恒温冷却小型遠心機を用いて(5000回転×3分間)の条件で固液分離を行い、4層構造球状粒子(P−13)[数平均粒径は738nm、粒径分散度は9.8%]を得た。
【0037】
<比較例1>
製造例1で作製した粒子(P−1)0.1部を、エタノール(和光純薬製)40部に超音波をかけて均一分散後、0.1%アンモニア水溶液0.5部を混合し、均一化した後、テトラエトキシシラン(信越化学製)の10重量%エタノール溶液10部を全量添加し、26℃で12時間攪拌混合し、ゾルゲル反応を行った。反応液を恒温冷却小型遠心機を用いて(5000回転×3分間)の条件で固液分離を行い、3層構造球状粒子(P−1’)[数平均粒径は518nm、粒径分散度は5.0%]を得た。
【0038】
<比較例2>
製造例1で作製した粒子(P−1)0.1部をイオン交換水40部に超音波照射により均一に分散させた水分散液に、スチレンモノマー(ナカライテスク製)4部を添加し、窒素でバブリングを30分行い、70℃まで加熱後、撹拌下で過硫酸カリウム0.02部を添加した。70℃で12時間反応後、反応液を冷却し、恒温冷却小型遠心機を用いて(5000回転×3分間)の条件で固液分離を行い、3層構造球状粒子(P−2’)[数平均粒径は528nm、粒径分散度は9.8%]を得た。
【0039】
<比較例3>
製造例1で作製した粒子(P−1)0.1部をイオン交換水交換水100部中に分散させ、塩化白金酸(HPtCl)1部、安定化剤としてポリビニルピロリドン0.5部、還元剤としてメタノール5部を溶解させ、還流しながら70℃で24時間反応を行った。反応液を冷却後、恒温冷却小型遠心機を用いて(5000回転×3分間)の条件で固液分離を行い、3層構造球状粒子(P−3’)[数平均粒径は587nm、粒径分散度は10.0%]を得た。
【0040】
<比較例4>
製造例1で作製した粒子(P−1)0.1部をエチレングリコール100部中に分散させ、塩化白金酸(HPtCl)1部、安定化剤としてポリビニルピロリドン0.5部、還流しながら130℃で12時間反応を行った。反応液を冷却後、恒温冷却小型遠心機を用いて(5000回転×3分間)の条件で固液分離を行い、3層構造球状粒子(P−4’)[数平均粒径は578nm、粒径分散度は9.2%]を得た。
【0041】
<比較例5>
比較例1で作製した粒子(P−1’)0.1部をイオン交換水40部に超音波照射により均一に分散させた水分散液に、スチレンモノマー(ナカライテスク製)4部を添加し、窒素でバブリングを30分行い、70℃まで加熱後、撹拌下で過硫酸カリウム0.02部を添加した。70℃で12時間反応後、反応液を冷却し、恒温冷却小型遠心機を用いて(5000回転×3分間)の条件で固液分離を行い、3層構造球状粒子(P−5’)[数平均粒径は798nm、粒径分散度は12.0%]を得た。
【0042】
<比較例6>
数平均粒径300nmのシリカ粒子0.1部をイオン交換水40部に超音波照射により均一に分散させた水分散液に、スチレンモノマー(ナカライテスク製)4部を添加し、窒素でバブリングを30分行い、70℃まで加熱後、撹拌下で過硫酸カリウム0.02部を添加した。70℃で12時間反応後、反応液を冷却し、恒温冷却小型遠心機を用いて(5000回転×3分間)の条件で固液分離を行い、2層構造球状粒子(P−6’)[数平均粒径は449nm]を得た。さらに粒子(P−6’)0.1部をイオン交換水40部に超音波照射により均一に分散させた水分散液に、メタクリル酸メチル(ナカライテスク製)3.5部を添加し、撹拌下で過硫酸カリウム0.02部を添加し、粒子(P−6’)と同様の条件で反応後、反応液を冷却し、恒温冷却小型遠心機を用いて(5000回転×3分間)の条件で固液分離を行い、3層構造球状粒子(P−7’)[数平均粒径は684nm]を得た。さらに粒子(P−7’)0.1部をイオン交換水40部に超音波照射により均一に分散させた水分散液に、スチレンモノマー(ナカライテスク製)6部を添加し、撹拌下で過硫酸カリウム0.02部を添加し、、撹拌下で過硫酸カリウム0.03部を添加し、粒子(P−6’)と同様の条件で反応後、反応液を冷却し、恒温冷却小型遠心機を用いて(5000回転×3分間)の条件で固液分離を行い、4層構造球状粒子(P−8’)[数平均粒径は844nm、粒径分散度は16.0%]を得た。
【0043】
<比較例7>
製造例2で作製したポリスチレン粒子(P−2)0.1部をイオン交換水40部に超音波照射により均一に分散させた水分散液に、メタクリル酸メチル(ナカライテスク製)4部を添加し、窒素でバブリングを30分行い、70℃まで加熱後、撹拌下で過硫酸カリウム0.02部を添加した。70℃で12時間反応後、反応液を冷却し、恒温冷却小型遠心機を用いて(5000回転×3分間)の条件で固液分離を行い、2層構造球状粒子(P−9’)[数平均粒径は594nm]を得た。さらに粒子(P−9’)0.1部をイオン交換水40部に超音波照射により均一に分散させた水分散液に、スチレンモノマー(ナカライテスク製)3.5部を添加し、撹拌下で過硫酸カリウム0.02部を添加し、粒子(P−9’)と同様の条件で反応後、反応液を冷却し、恒温冷却小型遠心機を用いて(5000回転×3分間)の条件で固液分離を行い、3層構造球状粒子(P−10’)[数平均粒径は709nm]を得た。さらに粒子(P−10’)0.1部をイオン交換水40部に超音波照射により均一に分散させた水分散液に、メタクリル酸メチル(ナカライテスク製)6部を添加し、撹拌下で過硫酸カリウム0.02部を添加し、、撹拌下で過硫酸カリウム0.03部を添加し、粒子(P−9’)と同様の条件で反応後、反応液を冷却し、恒温冷却小型遠心機を用いて(5000回転×3分間)の条件で固液分離を行い、4層構造球状粒子(P−11’)[数平均粒径は896nm、粒径分散度は13.0%]を得た。
【0044】
<比較例8>
製造例1で作製した粒子(P−1)0.1部を、エタノール(和光純薬製)40部に超音波をかけて均一分散後、0.1%アンモニア水溶液0.5部を混合し、均一化した後、テトラエトキシシラン(信越化学製)の10重量%エタノール溶液10部を全量添加し、26℃で1分間攪拌混合し、ゾルゲル反応を行った。反応液を恒温冷却小型遠心機を用いて(5000回転×3分間)の条件で固液分離を行い、3層構造球状粒子(P−12’)[数平均粒径は310nm、粒径分散度は32.0%]を得た。1層のシェルを持つコアシェル構造の粒子と、シェルを持たない粒子の混合物であった。粒径300nm以下の小粒子の発生が多数観察された。
【0045】
<比較例9>
製造例1で作製した粒子(P−1)0.1部をイオン交換水40部に超音波照射により均一に分散させた水分散液に、スチレンモノマー(ナカライテスク製)4部を添加し、窒素でバブリングを30分行い、70℃まで加熱後、撹拌下で過硫酸カリウム0.02部を添加した。70℃で30分間反応後、反応液を冷却し、恒温冷却小型遠心機(5000回転×3分間)の条件で固液分離を行い、3層構造球状粒子(P−13’)[数平均粒径は437nm、粒径分散度は21.0%]を得た。
【0046】
表1に各反応条件で合成した本発明の多層構造粒子(P−3)〜(P−13)、表2に比較例の多層構造粒子(P−1’)〜(P−13’)の反応時間、数平均粒径、粒径の分散度、層界面状態を示した。層形成をマイクロ波で行なうことで、多層構造粒子の合成時間を飛躍的に短縮することができた。また得られた粒子は単分散な粒径分布であり、界面の平滑性が高い粒子を合成することができた。
【0047】
【表1】

【0048】
【表2】

【0049】
本発明の製造方法を用いれば、多層構造球状粒子を、生産性が高く簡便に提供することができる。一層作成するために要する時間を、1/10〜1/100程度まで短縮することができ、それに伴う動力の省エネルギー化が期待できる。また、単分散な粒径分布であることから、小粒子や不純物の発生も少ないことが期待されることから、品質の高さを要求される電子材料、バイオ関連材料などへの応用も期待される。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本製造方法により作成された多層構造粒子は、ディスプレー用カラーフィルター用着色剤として極めて有用である。また、ディスプレー用光拡散フィルム、光拡散板、導光板及びアンチグレアフィルムなどへの添加剤として極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心層(L0)をコアとし、コアの中心に対して同心状に1層以上の層(Ln)を積層した構造を有する多層構造粒子を製造する製造方法であって、少なくとも1層(Ln)をマイクロ波照射により形成させる工程を含むことを特徴とする多層構造粒子の製造方法。
【請求項2】
製造工程(10)、(21)、(31)及び(32)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む請求項1に記載の製造方法。
マイクロ波照射下に、粒子である中心層(L0)を水を0.5%重量以上の濃度で溶解させることが可能な有機溶剤(E1)中に分散させた分散液(D0)、又は多層粒子を有機溶剤(E1)中に分散させた分散液(Dn)に金属アルコキシドと水を添加して、又は分散液(D0)又は分散液(Dn)に金属アルコキシドと水を添加した後にマイクロ波を照射して、中心層(L0)又は多層粒子の表面に金属酸化物層を形成させ多層粒子分散液を得ることにより多層構造粒子を得る製造工程(10);
マイクロ波照射下に、粒子である中心層(L0)を水中または有機溶剤中に分散させた分散液(D0)、又は多層粒子を水中または有機溶剤中に分散させた分散液(Dn)にビニル系モノマー及び重合開始剤を添加して、又は分散液(D0)又は分散液(Dn)にビニル系モノマー及び重合開始剤を添加した後にマイクロ波を照射して、重合反応により中心層(L0)又は多層粒子の表面に樹脂層を形成させ多層粒子分散液を得ることにより多層構造粒子を得る製造工程(21);
マイクロ波照射下に、粒子である中心層(L0)を金属塩(G)及び還元剤(H)を溶解させる溶剤(E31)中に分散させた分散液(D0)又は多層粒子を溶剤(E31)中に分散させた分散液(Dn)に金属塩(G)及び還元剤(H)を添加して、又は分散液(D0)又は分散液(Dn)に金属塩(G)及び還元剤(H)を添加した後マイクロ波を照射して、還元反応により中心層(L0)又は多層粒子の表面に金属層を形成させ多層粒子分散液を得ることにより多層構造粒子を得る製造工程(31);
マイクロ波照射下に、粒子である中心層(L0)を金属塩(G)を還元させる溶剤(E32)中に分散させた分散液(D0)又は多層粒子を溶剤(E32)中に分散させた分散液(Dn)に金属塩(G)を添加して、又は分散液(D0)又は分散液(Dn)に金属塩(G)を添加した後にマイクロ波を照射して、還元反応により中心層(L0)又は多層粒子の表面に金属層を形成させ多層粒子分散液を得ることにより多層構造粒子を得る製造工程(32)

【公開番号】特開2009−79106(P2009−79106A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−248663(P2007−248663)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】