多目的作業車の作業機
【課題】従来、路上のゴミや芝刈後に残った芝草を清掃する清掃車は、専用車両として製造されているので製造コストが高く、それに伴い販売価格も高価になり一般に普及し難い課題があった。
【解決手段】 この発明は、作業車8に装着する作業機において、共通のハウジング2を利用して、清掃機11と芝刈機12を構成するものである。芝刈機11を構成する場合には、回転軸4bにブレード式カッター3を装着し、清掃機12を構成する場合には、前記回転軸4bに清掃用ブラシ7を取り付ける。また広幅作業が可能な芝刈機11を清掃機12へ変更する際、不要な回転軸が生じる場合は、ゴミ等の絡まりが発生しない様、この軸下端部をキャップ部材で面一状に覆う。
【解決手段】 この発明は、作業車8に装着する作業機において、共通のハウジング2を利用して、清掃機11と芝刈機12を構成するものである。芝刈機11を構成する場合には、回転軸4bにブレード式カッター3を装着し、清掃機12を構成する場合には、前記回転軸4bに清掃用ブラシ7を取り付ける。また広幅作業が可能な芝刈機11を清掃機12へ変更する際、不要な回転軸が生じる場合は、ゴミ等の絡まりが発生しない様、この軸下端部をキャップ部材で面一状に覆う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、多目的作業車の作業機に関し、特にハウジングを共用して芝刈機と清掃機を構成するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特開平8−48197号公報に示されるように、回転ブラシを備えた清掃車が知られている。前記公報の清掃車は、車体前方へ突出させた回転ブラシを、車体の前側で左右方向に移動可能に取り付け、建物の隅角部、左右の壁際、および小径の円柱際をブラシで掃き残しなく清掃できる構成となっている。
【特許文献1】特開平8-48197号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、これら従来の清掃車は、専用車両として生産されているので、生産コストが高く、それに伴い販売価格も高価になるという課題が有った。この発明は、車体及び作業機の構成部品を極力共用することによって、複数種の作業機を低コストで生産しようとするものである、
【課題を解決するための手段】
【0004】
まず、請求項1に記載した発明は、上記課題を解決するために以下のように構成した。
即ち、請求項1の発明では、車体に対し着脱自在に構成したハウジング(2)に回転軸(4)を備え、前記回転軸(4)に対し、芝草を刈り取るカッター(3)と、清掃用のブラシ(7)を付け替え自在に構成した多目的作業車の作業機とした。
(請求項1の作用)
以上のように構成した請求項1の発明では、芝刈作業を行なう時には、ハウジング(2)内の回転軸(4)にカッター(3)を取り付け、清掃作業を行なう時には回転ブラシ(7)を取り付ける。
【0005】
また請求項2の発明では、前記ハウジング(2)に少なくとも3本の回転軸(4)備え、各回転軸(4,4)に対しブレード式カッター(3)を取り付けて隣接するカッター(3,3)の回転域を互いに重複させた状態で回転させる状態と、左右両側の回転軸(4,4)に清掃用の回転ブラシ(7,7)を取り付けると共に中央部の回転軸(4)にキャップ部材(6)を装着して、左右の回転ブラシ(7,7)を隣接して回転させる状態とに切り替え自在に構成した多目的作業車の作業機とした。
(請求項2の作用)
また請求項2の発明では、請求項1同様、芝刈作業を行なう時には、ハウジング(2)内の回転軸(4)にカッター(3)を取り付け、清掃作業を行なう時には回転ブラシ(7)を取り付け、不要な回転軸(4a)にはキャップ部材を取り付ける。
【発明の効果】
【0006】
以上のように構成した請求項1の発明は、共通のハウジング(2)にて芝刈機と清掃機を構成することができるので、生産コストを大幅に削減することができる。
また、請求項2の発明は、請求項1の効果に加え、芝刈作業及び清掃作業の作業幅を広くとれて、作業効率を向上することができる。また不要な回転軸にヤップ部材(6)を取り付けるので、紐状のゴミや草類等が絡まること無く清掃することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、この発明を図面に基づいて具体的に説明する。
最初に多目的作業車8の全体構成について説明する。
多目的作業車8は、一般的なトラクタの車体をベースとした構成であって、図6に示すように、車体1後部にエンジンEを設け、この周囲に荷台枠14を構成すると共に、車体前部にキャビン13を搭載する構成となっている。
【0008】
そして前記エンジンEの回転動力を車体1前部に突設したフロントPTO軸10fと、前後輪間に突設したミッドPTO軸10mから取り出す構成となっている。また前記ミッドPTO軸10mは、伝動軸を介して後方へ延出可能に構成し、リヤPTO軸10rとしても利用する構成となっている。
【0009】
また前記キャビン13は、室内前側にステアリングハンドル15と各種の操作スイッチ類を配置した操作パネル16を設け、この後方に操縦席18を配置し車両の操縦部を構成している。また前記操作パネル16は、図7に示すように、操舵モードを選択するためのモード選択スイッチ(FWSモードスイッチ20、4WSモードスイッチ21、RWSモードスイッチ22と、自動モードスイッチ23)が設けられ、これらスイッチ操作で車両の操舵モードを選択できる構成としている。
【0010】
また前記操作パネル16上には、液晶表示装置35を設け、前記自動モードスイッチ23を選択した時に、ステアリングハンドル15の操作に基づく前輪と後輪との操向状態をモニタ画面上に表示する構成としている。詳しくは、FWSモードが実行されている時には図8に示すように、前輪が操舵される動画を表示し、4WSモードが実行されている時には図9に示すように、前後輪両方が操舵される動画を表示し、またRWSモードが実行されている時には後輪が操舵される動画を示す。また、これらモード切替時に操向輪を一旦中立に戻す必要が生じている場合は、図10に示すように、当該操向輪を点滅表示して必要操作を案内する構成となっている。また前記液晶表示装置35に表示する車両の動画には、各PTO軸10f,10m,10rの回転状態も表示する構成となっている。
【0011】
また前記ステアリングハンドル15は、パワーステアリング機構を介して前後輪を操舵する構成としている。そして、この油圧回路は、図11に示すように、エンジンEによって駆動される油圧ポンプ27からPTO入切クラッチ28の回路29を経由した配管30が、分流弁31によって前輪操舵側の回路32Fと後輪操舵側の回路32Rとに夫れ夫れ分岐され、同回路内の圧油を送油する構成としている。そして、一方の前輪操舵側の回路32Fは、前輪操舵用のパワステシリンダ33Fに連通して作動油を給排する構成とし、他方の後輪操舵側の回路32Rは、後輪操舵用のパワステシリンダ33Rに連通して作動油を給排する構成としている。
【0012】
次にこの車両の制御手段であるコントローラ36について説明する。
コントローラ36は、図12に示すように、入力側に入力インタフェース37を経由して、前輪操舵角センサ38、後輪操舵角センサ39、フロントPTOスイッチ40、ミッドPTOスイッチ41、FWSモードスイッチ20、RWSモードスイッチ22、4WSモードスイッチ21、自動モードスイッチ23等をそれぞれ接続する構成としている。
【0013】
また前記コントローラ36の出力側には、出力インタフェース45を経由して操舵モード切換リレー46、操舵モード切換リレー47、PTO昇圧ソレノイド48等を接続し、更に通信インタフェース49側には前記液晶表示装置35を接続して構成している。
【0014】
以上のように構成したコントローラ36では、作業車8を走行する場合、FWSモードスイッチ20をON操作すると、前輪操舵モードの出力信号が制御信号として操舵切換リレー46側に出力されてスタートする。そして、運転者は、ハンドル15を操舵操作しながら操向するが、それらの操作に伴って前記パワーステアリング機構が機能して前輪の操舵が行われる。
【0015】
そして、コントローラ36は、前輪の操舵角度を前輪操舵角センサ38によって検出し、その検出情報に基づいて制御信号が通信インタフェース49を経由して液晶表示装置35の画面上に表示する構成となっている。
【0016】
次に図1乃至図5に基づいて、多目的作業車に装備する作業機について説明する。
まず作業機のハウジング2は、図1に示すように、平面視において、中央軸4aとその左右両側の左右回転軸4b、4bを同ハウジング2内に突設する構成となっている。そして、前記ハウジング2の上面中央部には入力伝動ボックス60を設け、図3に示すように、車体1のフロントPTO軸10fからユニバーサルジョイント61を連結した入力軸62によって入力し、ボックス60下部に中央軸4aを突設する構成としている。
【0017】
また前記入力伝動ボックス60は、内部に傘歯車63、63を軸装し前記入力軸62の回転をその中央軸4aに伝達すると共に、この上部から伝動ベルト64の回転を介して左右回転軸4b、4bへ伝達する構成としている。
【0018】
また前記ハウジング2は、この周囲に複数個のゲージ輪5,5…を配置して調節軸66とハウジング側に固定したブラケット部材67とによって上下に調節自由に設け、対地高さを調節する構成としている。尚、図1例は、ハウジング2を芝刈機12に構成した形態を示し、3本の回転軸4a、4b、4bにブレード式のカッター3を取り付け、回転域を一部重複した状態で回転させながら刈取を行う構成となっている。また図1中の符号65は前記伝動ベルト64のテンションプールを示し、符号68は刈り取った草片をハウジング2の側方へ案内して排出する案内カバーを示す。
【0019】
また前記ハウジング2を利用して清掃機11を構成する際には、図5の(B)と図5に示すように、前記回転軸4bに清掃用の円盤型の回転ブラシ7を取り付ける。この場合、回転ブラシ7の取付部は前記ブレード式カッター3と同形状としているので、カッター3を取り外して代りに回転ブラシ7を取り付けることもできる。
【0020】
また前記中央の回転軸4aに円盤型の回転ブラシ7を取り付ける時には、図4に示すように、ブレード式カッター3を外して、その中央部の回転軸4a下端部に前記ハウジング2の下面と面一状のキャップ部材6を取り付け、左右の回転軸4b、4bに、清掃用の回転ブラシ7を取り付ける構成となっている。
【0021】
また上記の如く構成した清掃機11は、前記同様、多目的作業車8に備えたリンク機構9を介して取り付け、フロントPTO軸10fの回転をユニバーサルジョイント61を介してハウジング2の入力伝動ボックス60へ伝達し、伝動ベルト64等の回転を介して回転ブラシ7,7を駆動する構成としている。
【0022】
以上のように構成した作業機は、ハウジング2を芝刈機12と清掃機11に共用して利用することによって部品点数を極力削減し、生産コストを削減することがができる。またこの場合、清掃機11は、ブレード式カッター3を回転ブラシ7に取り代えるだけの簡単に変更することができる。また前記ハウジング2の3本の回転軸4a、4b、4bからブレード式カッター3を外し、左右両側の回転軸4b、4bを利用して清掃用の回転ブラシ7,7を取り付け、不要な回転軸(4a)にはキャップ部材を取り付けることにより、左右の回転ブラシ7、7を衝突させることなく、また紐状のゴミなどを絡める事なく広幅で能率よく作業ができる。
【0023】
尚、この発明の別形態としては、図6に示すように、車体後部にリンク機構9を備えた一般的なトラクタの作業機に利用しても良いし、回転ブラシ7を前記カッター同様、ブレード式に構成したり、更には車両にコレクタとスロア若しくは吸引機を備えて芝草またはゴミを回収する構成としても良い。
【0024】
次に多目的作業車8のHST式走行用変速装置(以下、HST75)について説明する。
前記HST75は、図13の油圧回路図に示すように、油圧回路76の一方側に油圧ポンプ75pを、他方側に油圧モータ75mをそれぞれ配置して一連の回路で接続して作動油を循環する構成としている。そして、油圧ポンプ75pは、入力軸77から入力される回転動力によって駆動されてポンプ機能を発揮し、油圧モータ75mは、出力軸78を設けて正逆転(前後進)の回転動力を増減速しながらミッション装置に出力できる構成としている。この場合、油圧回路76は、給油ポート79から作動油が供給されて回路を循環し、油路内の圧力を一定に保つて循環するための油圧調整バルブ80が回路の中間部位に配置されている。
【0025】
また前記油圧ポンプ75pは、図15と図16に示すように、斜板81を操作するトラニオンアーム82の歯部82aに制御モータ83の制御歯車84を噛合させて制御可能に構成している。一方、油圧モータ75mは、トラニオンアーム85を設け、その歯部85aに制御モータ86の制御歯車87を噛合わせて制御できる構成としている。
【0026】
従って前記HST75は、油圧ポンプ75pと油圧モータ75mとの両方に制御モータ83、86を設け、それぞれのトラニオンアーム82,85を制御回動させて出力の変速が可能になる構成としている。
【0027】
また回転センサ88は、油圧モータ75mの前記出力軸78に設け、ミッション装置に出力される動力の回転速度を検出する構成とし、その検出情報を図外のコントローラ36に入力する構成としている。
【0028】
そして、前記コントローラ36は、HST75の駆動中において、トラニオンの位置と速度代表曲線とを記憶させておき、油圧ポンプ75pと油圧モータ75mとのトラニオンの位置に対して、記憶している速度代表曲線を下回る速度になると、制御モータ86に制御信号を出力して油圧モータ75mのトラニオンアーム85を制御操作して増速側に制御する構成となっている。
【0029】
以上のように、HST75は、油圧ポンプ75pと油圧モータ75mとの両方に制御モータ83、86を配置して、両方のトラニオンアーム82,85を制御できる構成としている。そして作業中の負荷の増大に伴い、出力軸78の回転速度が速度代表曲線より低下すると、これを検出した回転センサ88からの検出情報に基づいて油圧モータ75mの制御モータ86に制御信号を出力してトラニオンアーム85の制御操作が行われる。このように、多目的作業車8のHST75は、出力軸78を、記憶させている速度代表曲線に近づける制御が行われる特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】ハウジングの平面図。
【図2】ハウジングの側面図。
【図3】ブレード式カッターを取り付けた中央軸の上下断面図。
【図4】キャップ部材を取り付けた中央軸を上下断面図。
【図5】(A)カッターを取り付けた左右軸の上下断面図。(B)回転ブラシを取り付けた左右軸の上下断面図。
【図6】多目的作業車の全体側面図。
【図7】操作パネルの正面図。
【図8】液晶表示装置の表示画面。
【図9】液晶表示装置の表示画面。
【図10】液晶表示装置の表示画面。
【図11】コントローラの接続状態を示すブロック図。
【図12】多目的作業車の一部油圧回路図。
【図13】HSTの油圧回路図。
【図14】HSTの正面図。
【図15】HSTの上下断面図。
【符号の説明】
【0031】
1 車体
2 ハウジング
3 ブレード式カッター
4 回転軸
4a 中央回転軸
4b 左右回転軸
5 ゲージ輪
6 キャップ部材
7 回転ブラシ
8 多目的作業車
9 リンク機構
10f フロントPTO軸
11 清掃機
12 芝刈機
【技術分野】
【0001】
この発明は、多目的作業車の作業機に関し、特にハウジングを共用して芝刈機と清掃機を構成するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特開平8−48197号公報に示されるように、回転ブラシを備えた清掃車が知られている。前記公報の清掃車は、車体前方へ突出させた回転ブラシを、車体の前側で左右方向に移動可能に取り付け、建物の隅角部、左右の壁際、および小径の円柱際をブラシで掃き残しなく清掃できる構成となっている。
【特許文献1】特開平8-48197号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、これら従来の清掃車は、専用車両として生産されているので、生産コストが高く、それに伴い販売価格も高価になるという課題が有った。この発明は、車体及び作業機の構成部品を極力共用することによって、複数種の作業機を低コストで生産しようとするものである、
【課題を解決するための手段】
【0004】
まず、請求項1に記載した発明は、上記課題を解決するために以下のように構成した。
即ち、請求項1の発明では、車体に対し着脱自在に構成したハウジング(2)に回転軸(4)を備え、前記回転軸(4)に対し、芝草を刈り取るカッター(3)と、清掃用のブラシ(7)を付け替え自在に構成した多目的作業車の作業機とした。
(請求項1の作用)
以上のように構成した請求項1の発明では、芝刈作業を行なう時には、ハウジング(2)内の回転軸(4)にカッター(3)を取り付け、清掃作業を行なう時には回転ブラシ(7)を取り付ける。
【0005】
また請求項2の発明では、前記ハウジング(2)に少なくとも3本の回転軸(4)備え、各回転軸(4,4)に対しブレード式カッター(3)を取り付けて隣接するカッター(3,3)の回転域を互いに重複させた状態で回転させる状態と、左右両側の回転軸(4,4)に清掃用の回転ブラシ(7,7)を取り付けると共に中央部の回転軸(4)にキャップ部材(6)を装着して、左右の回転ブラシ(7,7)を隣接して回転させる状態とに切り替え自在に構成した多目的作業車の作業機とした。
(請求項2の作用)
また請求項2の発明では、請求項1同様、芝刈作業を行なう時には、ハウジング(2)内の回転軸(4)にカッター(3)を取り付け、清掃作業を行なう時には回転ブラシ(7)を取り付け、不要な回転軸(4a)にはキャップ部材を取り付ける。
【発明の効果】
【0006】
以上のように構成した請求項1の発明は、共通のハウジング(2)にて芝刈機と清掃機を構成することができるので、生産コストを大幅に削減することができる。
また、請求項2の発明は、請求項1の効果に加え、芝刈作業及び清掃作業の作業幅を広くとれて、作業効率を向上することができる。また不要な回転軸にヤップ部材(6)を取り付けるので、紐状のゴミや草類等が絡まること無く清掃することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、この発明を図面に基づいて具体的に説明する。
最初に多目的作業車8の全体構成について説明する。
多目的作業車8は、一般的なトラクタの車体をベースとした構成であって、図6に示すように、車体1後部にエンジンEを設け、この周囲に荷台枠14を構成すると共に、車体前部にキャビン13を搭載する構成となっている。
【0008】
そして前記エンジンEの回転動力を車体1前部に突設したフロントPTO軸10fと、前後輪間に突設したミッドPTO軸10mから取り出す構成となっている。また前記ミッドPTO軸10mは、伝動軸を介して後方へ延出可能に構成し、リヤPTO軸10rとしても利用する構成となっている。
【0009】
また前記キャビン13は、室内前側にステアリングハンドル15と各種の操作スイッチ類を配置した操作パネル16を設け、この後方に操縦席18を配置し車両の操縦部を構成している。また前記操作パネル16は、図7に示すように、操舵モードを選択するためのモード選択スイッチ(FWSモードスイッチ20、4WSモードスイッチ21、RWSモードスイッチ22と、自動モードスイッチ23)が設けられ、これらスイッチ操作で車両の操舵モードを選択できる構成としている。
【0010】
また前記操作パネル16上には、液晶表示装置35を設け、前記自動モードスイッチ23を選択した時に、ステアリングハンドル15の操作に基づく前輪と後輪との操向状態をモニタ画面上に表示する構成としている。詳しくは、FWSモードが実行されている時には図8に示すように、前輪が操舵される動画を表示し、4WSモードが実行されている時には図9に示すように、前後輪両方が操舵される動画を表示し、またRWSモードが実行されている時には後輪が操舵される動画を示す。また、これらモード切替時に操向輪を一旦中立に戻す必要が生じている場合は、図10に示すように、当該操向輪を点滅表示して必要操作を案内する構成となっている。また前記液晶表示装置35に表示する車両の動画には、各PTO軸10f,10m,10rの回転状態も表示する構成となっている。
【0011】
また前記ステアリングハンドル15は、パワーステアリング機構を介して前後輪を操舵する構成としている。そして、この油圧回路は、図11に示すように、エンジンEによって駆動される油圧ポンプ27からPTO入切クラッチ28の回路29を経由した配管30が、分流弁31によって前輪操舵側の回路32Fと後輪操舵側の回路32Rとに夫れ夫れ分岐され、同回路内の圧油を送油する構成としている。そして、一方の前輪操舵側の回路32Fは、前輪操舵用のパワステシリンダ33Fに連通して作動油を給排する構成とし、他方の後輪操舵側の回路32Rは、後輪操舵用のパワステシリンダ33Rに連通して作動油を給排する構成としている。
【0012】
次にこの車両の制御手段であるコントローラ36について説明する。
コントローラ36は、図12に示すように、入力側に入力インタフェース37を経由して、前輪操舵角センサ38、後輪操舵角センサ39、フロントPTOスイッチ40、ミッドPTOスイッチ41、FWSモードスイッチ20、RWSモードスイッチ22、4WSモードスイッチ21、自動モードスイッチ23等をそれぞれ接続する構成としている。
【0013】
また前記コントローラ36の出力側には、出力インタフェース45を経由して操舵モード切換リレー46、操舵モード切換リレー47、PTO昇圧ソレノイド48等を接続し、更に通信インタフェース49側には前記液晶表示装置35を接続して構成している。
【0014】
以上のように構成したコントローラ36では、作業車8を走行する場合、FWSモードスイッチ20をON操作すると、前輪操舵モードの出力信号が制御信号として操舵切換リレー46側に出力されてスタートする。そして、運転者は、ハンドル15を操舵操作しながら操向するが、それらの操作に伴って前記パワーステアリング機構が機能して前輪の操舵が行われる。
【0015】
そして、コントローラ36は、前輪の操舵角度を前輪操舵角センサ38によって検出し、その検出情報に基づいて制御信号が通信インタフェース49を経由して液晶表示装置35の画面上に表示する構成となっている。
【0016】
次に図1乃至図5に基づいて、多目的作業車に装備する作業機について説明する。
まず作業機のハウジング2は、図1に示すように、平面視において、中央軸4aとその左右両側の左右回転軸4b、4bを同ハウジング2内に突設する構成となっている。そして、前記ハウジング2の上面中央部には入力伝動ボックス60を設け、図3に示すように、車体1のフロントPTO軸10fからユニバーサルジョイント61を連結した入力軸62によって入力し、ボックス60下部に中央軸4aを突設する構成としている。
【0017】
また前記入力伝動ボックス60は、内部に傘歯車63、63を軸装し前記入力軸62の回転をその中央軸4aに伝達すると共に、この上部から伝動ベルト64の回転を介して左右回転軸4b、4bへ伝達する構成としている。
【0018】
また前記ハウジング2は、この周囲に複数個のゲージ輪5,5…を配置して調節軸66とハウジング側に固定したブラケット部材67とによって上下に調節自由に設け、対地高さを調節する構成としている。尚、図1例は、ハウジング2を芝刈機12に構成した形態を示し、3本の回転軸4a、4b、4bにブレード式のカッター3を取り付け、回転域を一部重複した状態で回転させながら刈取を行う構成となっている。また図1中の符号65は前記伝動ベルト64のテンションプールを示し、符号68は刈り取った草片をハウジング2の側方へ案内して排出する案内カバーを示す。
【0019】
また前記ハウジング2を利用して清掃機11を構成する際には、図5の(B)と図5に示すように、前記回転軸4bに清掃用の円盤型の回転ブラシ7を取り付ける。この場合、回転ブラシ7の取付部は前記ブレード式カッター3と同形状としているので、カッター3を取り外して代りに回転ブラシ7を取り付けることもできる。
【0020】
また前記中央の回転軸4aに円盤型の回転ブラシ7を取り付ける時には、図4に示すように、ブレード式カッター3を外して、その中央部の回転軸4a下端部に前記ハウジング2の下面と面一状のキャップ部材6を取り付け、左右の回転軸4b、4bに、清掃用の回転ブラシ7を取り付ける構成となっている。
【0021】
また上記の如く構成した清掃機11は、前記同様、多目的作業車8に備えたリンク機構9を介して取り付け、フロントPTO軸10fの回転をユニバーサルジョイント61を介してハウジング2の入力伝動ボックス60へ伝達し、伝動ベルト64等の回転を介して回転ブラシ7,7を駆動する構成としている。
【0022】
以上のように構成した作業機は、ハウジング2を芝刈機12と清掃機11に共用して利用することによって部品点数を極力削減し、生産コストを削減することがができる。またこの場合、清掃機11は、ブレード式カッター3を回転ブラシ7に取り代えるだけの簡単に変更することができる。また前記ハウジング2の3本の回転軸4a、4b、4bからブレード式カッター3を外し、左右両側の回転軸4b、4bを利用して清掃用の回転ブラシ7,7を取り付け、不要な回転軸(4a)にはキャップ部材を取り付けることにより、左右の回転ブラシ7、7を衝突させることなく、また紐状のゴミなどを絡める事なく広幅で能率よく作業ができる。
【0023】
尚、この発明の別形態としては、図6に示すように、車体後部にリンク機構9を備えた一般的なトラクタの作業機に利用しても良いし、回転ブラシ7を前記カッター同様、ブレード式に構成したり、更には車両にコレクタとスロア若しくは吸引機を備えて芝草またはゴミを回収する構成としても良い。
【0024】
次に多目的作業車8のHST式走行用変速装置(以下、HST75)について説明する。
前記HST75は、図13の油圧回路図に示すように、油圧回路76の一方側に油圧ポンプ75pを、他方側に油圧モータ75mをそれぞれ配置して一連の回路で接続して作動油を循環する構成としている。そして、油圧ポンプ75pは、入力軸77から入力される回転動力によって駆動されてポンプ機能を発揮し、油圧モータ75mは、出力軸78を設けて正逆転(前後進)の回転動力を増減速しながらミッション装置に出力できる構成としている。この場合、油圧回路76は、給油ポート79から作動油が供給されて回路を循環し、油路内の圧力を一定に保つて循環するための油圧調整バルブ80が回路の中間部位に配置されている。
【0025】
また前記油圧ポンプ75pは、図15と図16に示すように、斜板81を操作するトラニオンアーム82の歯部82aに制御モータ83の制御歯車84を噛合させて制御可能に構成している。一方、油圧モータ75mは、トラニオンアーム85を設け、その歯部85aに制御モータ86の制御歯車87を噛合わせて制御できる構成としている。
【0026】
従って前記HST75は、油圧ポンプ75pと油圧モータ75mとの両方に制御モータ83、86を設け、それぞれのトラニオンアーム82,85を制御回動させて出力の変速が可能になる構成としている。
【0027】
また回転センサ88は、油圧モータ75mの前記出力軸78に設け、ミッション装置に出力される動力の回転速度を検出する構成とし、その検出情報を図外のコントローラ36に入力する構成としている。
【0028】
そして、前記コントローラ36は、HST75の駆動中において、トラニオンの位置と速度代表曲線とを記憶させておき、油圧ポンプ75pと油圧モータ75mとのトラニオンの位置に対して、記憶している速度代表曲線を下回る速度になると、制御モータ86に制御信号を出力して油圧モータ75mのトラニオンアーム85を制御操作して増速側に制御する構成となっている。
【0029】
以上のように、HST75は、油圧ポンプ75pと油圧モータ75mとの両方に制御モータ83、86を配置して、両方のトラニオンアーム82,85を制御できる構成としている。そして作業中の負荷の増大に伴い、出力軸78の回転速度が速度代表曲線より低下すると、これを検出した回転センサ88からの検出情報に基づいて油圧モータ75mの制御モータ86に制御信号を出力してトラニオンアーム85の制御操作が行われる。このように、多目的作業車8のHST75は、出力軸78を、記憶させている速度代表曲線に近づける制御が行われる特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】ハウジングの平面図。
【図2】ハウジングの側面図。
【図3】ブレード式カッターを取り付けた中央軸の上下断面図。
【図4】キャップ部材を取り付けた中央軸を上下断面図。
【図5】(A)カッターを取り付けた左右軸の上下断面図。(B)回転ブラシを取り付けた左右軸の上下断面図。
【図6】多目的作業車の全体側面図。
【図7】操作パネルの正面図。
【図8】液晶表示装置の表示画面。
【図9】液晶表示装置の表示画面。
【図10】液晶表示装置の表示画面。
【図11】コントローラの接続状態を示すブロック図。
【図12】多目的作業車の一部油圧回路図。
【図13】HSTの油圧回路図。
【図14】HSTの正面図。
【図15】HSTの上下断面図。
【符号の説明】
【0031】
1 車体
2 ハウジング
3 ブレード式カッター
4 回転軸
4a 中央回転軸
4b 左右回転軸
5 ゲージ輪
6 キャップ部材
7 回転ブラシ
8 多目的作業車
9 リンク機構
10f フロントPTO軸
11 清掃機
12 芝刈機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に対し着脱自在に構成したハウジング(2)に回転軸(4)を備え、前記回転軸(4)に対し、芝草を刈り取るカッター(3)と、清掃用のブラシ(7)を付け替え自在に構成した多目的作業車の作業機。
【請求項2】
前記ハウジング(2)に少なくとも3本の回転軸(4)備え、各回転軸(4,4)に対しブレード式カッター(3)を取り付けて隣接するカッター(3,3)の回転域を互いに重複させた状態で回転させる状態と、左右両側の回転軸(4,4)に清掃用の回転ブラシ(7,7)を取り付けると共に中央部の回転軸(4)にキャップ部材(6)を装着して、左右の回転ブラシ(7,7)を隣接して回転させる状態とに切り替え自在に構成した多目的作業車の作業機。
【請求項1】
車体に対し着脱自在に構成したハウジング(2)に回転軸(4)を備え、前記回転軸(4)に対し、芝草を刈り取るカッター(3)と、清掃用のブラシ(7)を付け替え自在に構成した多目的作業車の作業機。
【請求項2】
前記ハウジング(2)に少なくとも3本の回転軸(4)備え、各回転軸(4,4)に対しブレード式カッター(3)を取り付けて隣接するカッター(3,3)の回転域を互いに重複させた状態で回転させる状態と、左右両側の回転軸(4,4)に清掃用の回転ブラシ(7,7)を取り付けると共に中央部の回転軸(4)にキャップ部材(6)を装着して、左右の回転ブラシ(7,7)を隣接して回転させる状態とに切り替え自在に構成した多目的作業車の作業機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−141345(P2006−141345A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−339132(P2004−339132)
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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