多結晶シリコン抵抗
【課題】多結晶シリコン抵抗の特性バラツキを抑制する。
【解決手段】結晶粒を有する多結晶シリコン膜(2)と、多結晶シリコン膜(2)の上に設けられ、多結晶シリコン膜(2)の第1端部から第1距離(d1)の位置に配置された第1接続領域(3)と、多結晶シリコン膜(2)の上に設けられ、第1端部と異なる第2端部から第2距離(d2)の位置に設けられた第2接続領域(3)とを具備する多結晶シリコン抵抗(1)を構成する。その多結晶シリコン抵抗(1)おいて、多結晶シリコン膜(2)は、第1端部と第1接続領域(3)との間の第1部分(6)と、第2端部と第2接続領域(3)との間の第2部分(7)と、第1接続領域(3)と第2接続領域(3)との間の第3部分(8)とを具備するものとする。そして、第3部分(8)に含まれる結晶粒の結晶粒径は、第1部分(6)または第2部分(7)に含まれる結晶粒の結晶粒径よりも小さい。
【解決手段】結晶粒を有する多結晶シリコン膜(2)と、多結晶シリコン膜(2)の上に設けられ、多結晶シリコン膜(2)の第1端部から第1距離(d1)の位置に配置された第1接続領域(3)と、多結晶シリコン膜(2)の上に設けられ、第1端部と異なる第2端部から第2距離(d2)の位置に設けられた第2接続領域(3)とを具備する多結晶シリコン抵抗(1)を構成する。その多結晶シリコン抵抗(1)おいて、多結晶シリコン膜(2)は、第1端部と第1接続領域(3)との間の第1部分(6)と、第2端部と第2接続領域(3)との間の第2部分(7)と、第1接続領域(3)と第2接続領域(3)との間の第3部分(8)とを具備するものとする。そして、第3部分(8)に含まれる結晶粒の結晶粒径は、第1部分(6)または第2部分(7)に含まれる結晶粒の結晶粒径よりも小さい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多結晶シリコンを用いた多結晶シリコン抵抗に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路において用いられる抵抗には、単結晶シリコン半導体基板に、半導体基板と逆導電型の不純物を注入した拡散抵抗や、不純物を注入した多結晶シリコンを材料とした多結晶シリコン抵抗などが用いられている。
【0003】
多結晶シリコン抵抗は、周囲を絶縁膜で囲まれているためにリーク電流が少ない事や、グレイン境界に存在する欠陥により、高い高抵抗値が得られる事などの利点がある。そのため幅広く半導体集積回路に採用されている。多結晶シリコンを抵抗素子として使用する技術が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
特許文献1には、抵抗値変動が少なく安定的で出力電圧精度が高く、半導体製造工程に関わるプラズマチャージや熱・応力などの影響を抑制し、多結晶シリコン抵抗体からなる抵抗回路に関する技術が開示されている。特許文献1を参照すると、抵抗回路を構成する多結晶シリコン抵抗体からなる複数の抵抗群のそれぞれの上に、金属電極を形成し、その金属電極の面積を同一にする技術が記載されている。そのような技術を多結晶シリコン抵抗体に適用することで、金属電極が受ける半導体プロセスの外的影響を均一化し、抵抗値ばらつきを抑制している。
【0005】
特許文献2には、シート抵抗値(測定の単位はohm/square)が異なる製造ライン、においても適切な機能性を確実に与えることができるように、高精度の抵抗器の抵抗値を変更するための技術が開示されている。特許文献2を参照すると、半導体デバイスの一部として形成されるとともに全長を有する抵抗構造を形成し、要求された抵抗値を決定し、第1プロセスを用いて製造される第1複数のデバイスに所望の抵抗値が得られるように、シリサイド化される抵抗構造の全長の第1部分を決定している。このとき、同時的に、第2プロセスを用いて製造される第2複数のデバイス上に要求される抵抗値が得られるように、シリサイド化される抵抗構造の全長の第2部分を決定している。
【0006】
素子寸法の微細化に伴うロジックCMOSプロセスにおいて用いられる技術の一例として、ミリ秒アニール(フラッシュランプアニール)が知られている。ミリ秒アニール技術は、数ミリ秒の短時間に大光量のパルス光を放射して、短時間で照射物の表面のみの温度を上げることで、トランジスタのソース・ドレイン部分などに極浅接合を形成する場合などに用いられる技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−269573号公報
【特許文献2】特表2007−503727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ミリ秒アニールを多結晶シリコンに実施して多結晶シリコン抵抗を形成したときに、その多結晶シリコン抵抗の特性バラツキが増大する傾向にあることがわかってきた。このような課題は、ミリ秒アニールという新たな技術に対応して発生した新たな課題である。
【0009】
半導体集積回路の製造工程でミリ秒アニール技術が使用される場合に対応するため、多結晶シリコン抵抗を利用した回路設計を行う場合には、特性バラツキを抑制し、シート抵抗(sheet resistance)の相対精度を向上させることが求められている。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、多結晶シリコン抵抗の特性バラツキを抑制し、シート抵抗(sheet
resistance)の相対精度を向上させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下に、[発明を実施するための形態]で使用される番号を用いて、[課題を解決するための手段]を説明する。これらの番号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための形態]との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号を、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0012】
上記の課題を解決するために、結晶粒を有する多結晶シリコン膜(2)と、前記多結晶シリコン膜(2)の上に設けられ、前記多結晶シリコン膜(2)の第1端部から第1距離(d1)の位置に配置された第1接続領域(3)と、前記多結晶シリコン膜(2)の上に設けられ、前記第1端部と異なる第2端部から第2距離(d2)の位置に設けられた第2接続領域(3)とを具備する多結晶シリコン抵抗(1)を構成する。その多結晶シリコン抵抗(1)おいて、前記多結晶シリコン膜(2)は、前記第1端部と前記第1接続領域(3)との間の第1部分(6)と、前記第2端部と前記第2接続領域(3)との間の第2部分(7)と、前記第1接続領域(3)と前記第2接続領域(3)との間の第3部分(8)とを具備するものとする。そして、前記第3部分(8)に含まれる結晶粒の結晶粒径は、前記第1部分(6)または前記第2部分(7)に含まれる結晶粒の結晶粒径よりも小さい。
【0013】
電気抵抗の主成分は、グレイン(結晶粒)中の伝導とグレインバウンダリ(結晶粒界)を通る伝導とで決定する。グレインサイズ(結晶粒径)が小さく、かつ、その粒子径がそろっている領域を抵抗体として使用することで特性バラツキを抑制する。
【発明の効果】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、多結晶シリコン抵抗の特性バラツキを抑制し、シート抵抗(sheet resistance)の相対精度を向上させることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本実施形態の多結晶シリコン抵抗1の構成を例示する図である。
【図2】図2は、多結晶シリコン膜2に対してミリ秒アニールを実施したときの、端部からの距離とシート抵抗との関係を例示するグラフである。
【図3】図3は、多結晶シリコン膜2にミリ秒アニールを行ったときの状態を概念的に例示する概念図である。
【図4】図4は、多結晶シリコン膜2の結晶の状態を例示する平面図である。
【図5】図5は、本実施形態の多結晶シリコン抵抗1の多結晶シリコン膜2における、グレインサイズとシート抵抗との関係を示すグラフである。
【図6】図6は、本実施形態の多結晶シリコン抵抗1が基板などに形成された状態を例示する断面図である。
【図7】図7は、本実施形態の多結晶シリコン抵抗1に適用される多結晶シリコン膜2の性質を示すグラフである。
【図8】図8は、第2実施形態の多結晶シリコン抵抗1の構成を例示する図である。
【図9】図9は、第3実施形態の多結晶シリコン抵抗1の構成を例示する平面図である。
【図10】図10は、第4実施形態の多結晶シリコン抵抗1の構成を例示する平面図である。
【図11】図11は、第5実施形態の多結晶シリコン抵抗1の構成を例示する平面図である。
【図12】図12は、第6実施形態の多結晶シリコン抵抗1の構成を例示する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施形態]
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、実施の形態を説明するための図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、以下の実施形態においては、多結晶シリコン抵抗1に適用する多結晶シリコンがP型半導体出る場合を例示して、本願発明の説明を行っていく。
【0017】
図1は、本実施形態の多結晶シリコン抵抗1の構成を例示する図である。図1の(a)は、多結晶シリコン抵抗1を上から見た状態を例示する平面図であり、図1の(b)は、多結晶シリコン抵抗1のA−A’断面の状態を例示する断面図である。図1を参照すると、多結晶シリコン抵抗1は、多結晶シリコン膜2を備えている。また、その多結晶シリコン膜2は、シリサイド領域3と、コンタクト4と、配線5とを備えている。
【0018】
本実施形態の多結晶シリコン抵抗1において、多結晶シリコン膜2は、第1部分6と、第2部分7と、第3部分8とを含んでいる。第1部分6は、多結晶シリコン膜2の端部から、第1距離d1までの領域である。第2部分7は、多結晶シリコン膜2の他の端部から第2距離d2までの領域である。本実施形態の多結晶シリコン抵抗1において、第1距離d1は概ね第2距離d2と同じ長さである。第3部分8は、第1部分6と第2部分7との間の領域である。
【0019】
第1部分6と第2部分7は、多結晶シリコン抵抗1の多結晶シリコン膜2におけるシート抵抗が、多結晶シリコン膜2の端部からの距離に応じて変化する領域である。第3部分8は、多結晶シリコン抵抗1の多結晶シリコン膜2におけるシート抵抗が、多結晶シリコン膜2の端部からの距離に依存することなく一定か、若しくは、多結晶シリコン膜2の端部からの距離に応じた変化が極めて微小な領域である。
【0020】
図1に示されているように、多結晶シリコン膜2は、第1部分6の近傍領域に設けられたシリサイド領域3と、第2部分7の近傍領域に設けられたシリサイド領域3とを備えている。それらのシリサイド領域3は、それぞれ、コンタクト4を介して配線5に接続されている。これによって、本実施形態の多結晶シリコン抵抗1は、多結晶シリコン膜2の第3部分8を抵抗体として機能させている。
【0021】
多結晶シリコン抵抗1は、安定したシート抵抗を有する第3部分8を抵抗体として使用し、その第3部分8の両端には、電極となるシリサイド領域3が配置されている。第3部分8のみを抵抗体として使用することで、ばらつきの小さい安定した抵抗値を有する多結晶シリコン抵抗1を構成することができる。
【0022】
図2は、多結晶シリコン膜2に対してミリ秒アニールを実施したときの、端部からの距離とシート抵抗との関係を例示するグラフである。図2の(a)は、多結晶シリコン膜2と測定点との関係を概念的に例示している。図2の(b)は、異なる幅の多結晶シリコンの測定結果を例示している。
【0023】
図2に示されているように、一体に形成されている多結晶シリコン膜2に、ミリ秒アニールを実施したとき、抵抗体中の抵抗値分布は、端部からの距離が20μm付近でシート抵抗の変化を示すグラフの傾きが減少し、30μm程度の距離で、シート抵抗が略一定になっている。
【0024】
本実施形態の多結晶シリコン抵抗1において、シリサイド領域3を、多結晶シリコン膜2の端部からの距離が20μm程度離れた位置に形成することで、ばらつきの小さい安定した抵抗値を有する多結晶シリコン抵抗1を構成することができる。好ましくは、多結晶シリコン膜2の端部からの距離が30μm程度離れた位置にシリサイド領域3を形成することで、より、ばらつきの小さい安定した抵抗値を有する多結晶シリコン抵抗1を構成することができる。
【0025】
以下に、本実施形態の多結晶シリコン抵抗1が構成される仕組みについて説明する。図3は、多結晶シリコン膜2にミリ秒アニールを行ったときの状態を概念的に例示する概念図である。図3の矢印は、多結晶シリコン膜2の側面に照射される光を例示している。また、多結晶シリコン膜2の上面に照射される光は、本実施形態の理解を容易にするために、表現することを省略する。
【0026】
多結晶シリコン膜2に含まれる不純物イオンは、多結晶シリコン膜2の上面に照射される光と、多結晶シリコン膜2の側面に照射される光によって活性化される。図3に示されているように、多結晶シリコン膜2の端部付近の側面には、y方向に沿った光以外にも、x方向に沿った光や斜め方向の光が照射され、各々の光が不純物イオンの活性化に影響を与える。それに対し、多結晶シリコン膜2の端部付近を除いた側面領域は、y方向に沿った光のみが、不純物イオンの活性化に影響を与える。
【0027】
多結晶シリコン膜2の大部分の領域は、x方向に沿った光や斜め方向の光による影響が小さい領域である。また、端部付近を除いた領域は、端部付近に比べてイオンの活性化が平均的に行われる。換言すると、端部付近では、端部に近づくにしたがって、活性化の度合いが変化する。
【0028】
本実施形態の多結晶シリコン抵抗1は、活性化の度合いが変化する端部付近を除外した位置に接続点を配置し、活性化の度合いのバラツキが小さい安定した領域を抵抗体として使用すること、で、特性バラツキを抑制した多結晶シリコン抵抗1を構成することができる。
【0029】
図4は、図3に示した多結晶シリコン膜2の結晶の状態を例示する平面図である。図4の平面図は、ミリ秒アニールを実施した多結晶シリコン膜2を、上面に平行に切断した断面における、グレインサイズ(結晶粒径)が異なっている状態を概念的に例示している。なお、本実施形態において、グレインサイズ(結晶粒径)の測定方法に制限は無い。
【0030】
上述したように、多結晶シリコン膜2の端部付近では、側面にy方向に沿った光以外にも、x方向に沿った光や斜め方向の光が照射される。交流的に与えられた熱(温度)が物質中を拡散していく(伝わっていく)とき、どこまでその波形が残るかを示す指標である熱拡散長を考慮すると、多結晶シリコン膜2の端部から数十μm程度の距離は、他の部分より高温になる。
【0031】
図4に示されているように、高温になった多結晶シリコンは、低温の多結晶シリコンよりもグレイン(結晶粒)11が相対的に大きく成長する。また、グレイン11のサイズ(グレインサイズ:結晶粒径)がばらつく領域では、グレイン11の間のグレインバウンダリ(結晶粒界)が大きくなる。
【0032】
電気抵抗の主成分は、グレイン中の伝導とグレインバウンダリを通る伝導とで決定する。グレインサイズが大きい場合、グレインバウンダリで反射される成分が減少するため、抵抗値が小さくなる。第1部分6や第2部分7では、グレインサイズにバラツキがあり、シート抵抗が、位置によって変化してしまう。本実施形態の多結晶シリコン抵抗1は、グレインサイズが小さく、かつ、その粒子径がそろっている領域を抵抗体として使用することになるので、特性バラツキを抑制した多結晶シリコン抵抗1を構成することができる。
【0033】
図5は、本実施形態の多結晶シリコン抵抗1の多結晶シリコン膜2における、グレインサイズとシート抵抗との関係を示すグラフである。図5のグラフは、多結晶シリコン膜2のグレインサイズと、多結晶シリコン膜2のシート抵抗とには、強い相関が存在していることを示している。多結晶シリコン抵抗1は、グレインサイズがそろっている領域をシート抵抗が安定している領域として特定することで、特性バラツキを抑制した多結晶シリコン抵抗1を構成する。
【0034】
図6は、本実施形態の多結晶シリコン抵抗1が基板などに形成された状態を例示する断面図である。図6の(a)は、P型半導体基板12の上に形成されたときの多結晶シリコン抵抗1の状態を例示している。図6の(b)は、ウェル13に形成されたSTI14に多結晶シリコン抵抗1が形成されたときの状態を例示している。図6の(c)は、ゲート絶縁膜15の上に形成されたときの多結晶シリコン抵抗1の状態を例示している。図6に示されているように、本実施形態の多結晶シリコン抵抗1は、形成される位置や、下層に設けられる材料に依存することなく、多結晶シリコン抵抗1としての機能を提供することができる。
【0035】
[参考例]
図7は、本実施形態の多結晶シリコン抵抗1に適用される多結晶シリコン膜2の性質を示すグラフである。図7は、幅が異なる複数の多結晶シリコンに対しミリ秒アニールを実施し、ぞれぞれの多結晶シリコンの長さが変化するときのシート抵抗と多結晶シリコン長との関係を例示している。図7に示されているように、ミリ秒アニールを実施した多結晶シリコンの幅を一定にしたまま長さを変化させた場合、シート抵抗は、非一次関数的に増加している。
この特性は、ミリ秒アニールを多結晶シリコンに実施して多結晶シリコン抵抗を形成したときの、多結晶シリコン抵抗の特性バラツキの要因となっている。このような特性は、発明者らによって発見された。この発見に基づいて、本実施形態の多結晶シリコン抵抗1の構造が導き出されている。
【0036】
[第2実施形態]
以下に、図面を参照して本願発明の第2実施形態について説明を行う。図8は、第2実施形態の多結晶シリコン抵抗1の構成を例示する図である。図8の(a)は、第2実施形態の多結晶シリコン抵抗1を上から見た状態を例示する平面図であり、図8の(b)は、第2実施形態の多結晶シリコン抵抗1のB−B’断面の状態を例示する断面図である。第2実施形態の多結晶シリコン抵抗1は、第2部分7における端部からの距離が、第3距離d3となるように形成されている。図8に例示されているように、多結晶シリコン抵抗1は、シート抵抗が変化する領域を第1部分6および第2部分7として特定し、その内側を第3部分8としている。第1実施形態の多結晶シリコン抵抗1と異なり、第1部分6および第2部分7が、第3部分8に対して非対称の構造であっても、その多結晶シリコン抵抗1において、シート抵抗が変化しない領域を第3部分8として特定するように、シリサイド領域3が配置されることで、適切な抵抗値の多結晶シリコン抵抗1を構成することができる。
【0037】
[第3実施形態]
以下に、図面を参照して本願発明の第3実施形態について説明を行う。図9は、第3実施形態の多結晶シリコン抵抗1の構成を例示する平面図である。図9の(a)、および図9の(b)は、配線5の幅よりも、多結晶シリコン膜2の幅が大きい場合の多結晶シリコン抵抗1の構成を例示している。図9に示されているように、多結晶シリコン抵抗1に形成されるシリサイド領域3は、シート抵抗が変化する領域を第1部分6および第2部分7として特定し、その内側を第3部分8として特定するような位置に形成されていれば良い。したがって、シリサイド領域3とコンタクト4とを、配線5の位置に依存して、多結晶シリコン膜2の幅方向の任意の位置に配置することができる。
【0038】
[第4実施形態]
以下に、図面を参照して本願発明の第4実施形態について説明を行う。図10は、第4実施形態の多結晶シリコン抵抗1の構成を例示する平面図である。図10は、多結晶シリコン膜2が延伸する方向に交差するように引き出し配線16が配置されているときの多結晶シリコン抵抗1の構成を例示している。図10に示されているように、第4実施形態の多結晶シリコン抵抗1は、多結晶シリコン膜2が延伸する方向に交差する方向に形成された引き出し配線16に接続されている。多結晶シリコン膜2に交差するように引き出し配線16を配置することで、第1部分6や第2部分7の上層を有効に使用することが可能となる。
【0039】
[第5実施形態]
以下に、図面を参照して本願発明の第5実施形態について説明を行う。図11は、第5実施形態の多結晶シリコン抵抗1の構成を例示する平面図である。図11は、多結晶シリコン抵抗1を抵抗分圧器として用いる場合の構成を例示している。図11に示されているように、多結晶シリコン抵抗1は、引き出し配線16のほかに、更に、少なくとも1つの抵抗分圧用配線17を備えることで、分圧器として機能することが可能となる。
【0040】
[第6実施形態]
以下に、図面を参照して本願発明の第6実施形態について説明を行う。図12は、第6実施形態の多結晶シリコン抵抗1の構成を例示する平面図である。図12の(a)、および図12の(b)は、屈曲する多結晶シリコン膜2を有する多結晶シリコン抵抗1の構成を例示している。上述の第1〜第5実施形態においては、多結晶シリコン膜2が直方体に近い形状の多結晶シリコン抵抗1の構成を例示して、本願発明の説明を行ってきた。第6実施形態の多結晶シリコン抵抗1は、屈曲した部分を有している。第3部分8に屈曲するような部分があっても、シート抵抗が変化しない領域を第3部分8として特定するように、シリサイド領域3が配置されることで、適切な抵抗値の多結晶シリコン抵抗1を構成することができる。
【0041】
以上、本願発明の実施の形態を具体的に説明した。本願発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。また、上述の複数の実施形態は、その構成・動作に矛盾が生じない範囲において組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0042】
1…多結晶シリコン抵抗
2…多結晶シリコン膜
3…シリサイド領域
4…コンタクト
5…配線
6…第1部分
7…第2部分
8…第3部分
11…グレイン
12…P型半導体基板
13…ウェル
14…STI
15…ゲート絶縁膜
16…引き出し配線
17…抵抗分圧用配線
d1…第1距離
d2…第2距離
d3…第3距離
【技術分野】
【0001】
本発明は、多結晶シリコンを用いた多結晶シリコン抵抗に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路において用いられる抵抗には、単結晶シリコン半導体基板に、半導体基板と逆導電型の不純物を注入した拡散抵抗や、不純物を注入した多結晶シリコンを材料とした多結晶シリコン抵抗などが用いられている。
【0003】
多結晶シリコン抵抗は、周囲を絶縁膜で囲まれているためにリーク電流が少ない事や、グレイン境界に存在する欠陥により、高い高抵抗値が得られる事などの利点がある。そのため幅広く半導体集積回路に採用されている。多結晶シリコンを抵抗素子として使用する技術が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
特許文献1には、抵抗値変動が少なく安定的で出力電圧精度が高く、半導体製造工程に関わるプラズマチャージや熱・応力などの影響を抑制し、多結晶シリコン抵抗体からなる抵抗回路に関する技術が開示されている。特許文献1を参照すると、抵抗回路を構成する多結晶シリコン抵抗体からなる複数の抵抗群のそれぞれの上に、金属電極を形成し、その金属電極の面積を同一にする技術が記載されている。そのような技術を多結晶シリコン抵抗体に適用することで、金属電極が受ける半導体プロセスの外的影響を均一化し、抵抗値ばらつきを抑制している。
【0005】
特許文献2には、シート抵抗値(測定の単位はohm/square)が異なる製造ライン、においても適切な機能性を確実に与えることができるように、高精度の抵抗器の抵抗値を変更するための技術が開示されている。特許文献2を参照すると、半導体デバイスの一部として形成されるとともに全長を有する抵抗構造を形成し、要求された抵抗値を決定し、第1プロセスを用いて製造される第1複数のデバイスに所望の抵抗値が得られるように、シリサイド化される抵抗構造の全長の第1部分を決定している。このとき、同時的に、第2プロセスを用いて製造される第2複数のデバイス上に要求される抵抗値が得られるように、シリサイド化される抵抗構造の全長の第2部分を決定している。
【0006】
素子寸法の微細化に伴うロジックCMOSプロセスにおいて用いられる技術の一例として、ミリ秒アニール(フラッシュランプアニール)が知られている。ミリ秒アニール技術は、数ミリ秒の短時間に大光量のパルス光を放射して、短時間で照射物の表面のみの温度を上げることで、トランジスタのソース・ドレイン部分などに極浅接合を形成する場合などに用いられる技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−269573号公報
【特許文献2】特表2007−503727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ミリ秒アニールを多結晶シリコンに実施して多結晶シリコン抵抗を形成したときに、その多結晶シリコン抵抗の特性バラツキが増大する傾向にあることがわかってきた。このような課題は、ミリ秒アニールという新たな技術に対応して発生した新たな課題である。
【0009】
半導体集積回路の製造工程でミリ秒アニール技術が使用される場合に対応するため、多結晶シリコン抵抗を利用した回路設計を行う場合には、特性バラツキを抑制し、シート抵抗(sheet resistance)の相対精度を向上させることが求められている。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、多結晶シリコン抵抗の特性バラツキを抑制し、シート抵抗(sheet
resistance)の相対精度を向上させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下に、[発明を実施するための形態]で使用される番号を用いて、[課題を解決するための手段]を説明する。これらの番号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための形態]との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号を、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0012】
上記の課題を解決するために、結晶粒を有する多結晶シリコン膜(2)と、前記多結晶シリコン膜(2)の上に設けられ、前記多結晶シリコン膜(2)の第1端部から第1距離(d1)の位置に配置された第1接続領域(3)と、前記多結晶シリコン膜(2)の上に設けられ、前記第1端部と異なる第2端部から第2距離(d2)の位置に設けられた第2接続領域(3)とを具備する多結晶シリコン抵抗(1)を構成する。その多結晶シリコン抵抗(1)おいて、前記多結晶シリコン膜(2)は、前記第1端部と前記第1接続領域(3)との間の第1部分(6)と、前記第2端部と前記第2接続領域(3)との間の第2部分(7)と、前記第1接続領域(3)と前記第2接続領域(3)との間の第3部分(8)とを具備するものとする。そして、前記第3部分(8)に含まれる結晶粒の結晶粒径は、前記第1部分(6)または前記第2部分(7)に含まれる結晶粒の結晶粒径よりも小さい。
【0013】
電気抵抗の主成分は、グレイン(結晶粒)中の伝導とグレインバウンダリ(結晶粒界)を通る伝導とで決定する。グレインサイズ(結晶粒径)が小さく、かつ、その粒子径がそろっている領域を抵抗体として使用することで特性バラツキを抑制する。
【発明の効果】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、多結晶シリコン抵抗の特性バラツキを抑制し、シート抵抗(sheet resistance)の相対精度を向上させることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本実施形態の多結晶シリコン抵抗1の構成を例示する図である。
【図2】図2は、多結晶シリコン膜2に対してミリ秒アニールを実施したときの、端部からの距離とシート抵抗との関係を例示するグラフである。
【図3】図3は、多結晶シリコン膜2にミリ秒アニールを行ったときの状態を概念的に例示する概念図である。
【図4】図4は、多結晶シリコン膜2の結晶の状態を例示する平面図である。
【図5】図5は、本実施形態の多結晶シリコン抵抗1の多結晶シリコン膜2における、グレインサイズとシート抵抗との関係を示すグラフである。
【図6】図6は、本実施形態の多結晶シリコン抵抗1が基板などに形成された状態を例示する断面図である。
【図7】図7は、本実施形態の多結晶シリコン抵抗1に適用される多結晶シリコン膜2の性質を示すグラフである。
【図8】図8は、第2実施形態の多結晶シリコン抵抗1の構成を例示する図である。
【図9】図9は、第3実施形態の多結晶シリコン抵抗1の構成を例示する平面図である。
【図10】図10は、第4実施形態の多結晶シリコン抵抗1の構成を例示する平面図である。
【図11】図11は、第5実施形態の多結晶シリコン抵抗1の構成を例示する平面図である。
【図12】図12は、第6実施形態の多結晶シリコン抵抗1の構成を例示する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施形態]
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、実施の形態を説明するための図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、以下の実施形態においては、多結晶シリコン抵抗1に適用する多結晶シリコンがP型半導体出る場合を例示して、本願発明の説明を行っていく。
【0017】
図1は、本実施形態の多結晶シリコン抵抗1の構成を例示する図である。図1の(a)は、多結晶シリコン抵抗1を上から見た状態を例示する平面図であり、図1の(b)は、多結晶シリコン抵抗1のA−A’断面の状態を例示する断面図である。図1を参照すると、多結晶シリコン抵抗1は、多結晶シリコン膜2を備えている。また、その多結晶シリコン膜2は、シリサイド領域3と、コンタクト4と、配線5とを備えている。
【0018】
本実施形態の多結晶シリコン抵抗1において、多結晶シリコン膜2は、第1部分6と、第2部分7と、第3部分8とを含んでいる。第1部分6は、多結晶シリコン膜2の端部から、第1距離d1までの領域である。第2部分7は、多結晶シリコン膜2の他の端部から第2距離d2までの領域である。本実施形態の多結晶シリコン抵抗1において、第1距離d1は概ね第2距離d2と同じ長さである。第3部分8は、第1部分6と第2部分7との間の領域である。
【0019】
第1部分6と第2部分7は、多結晶シリコン抵抗1の多結晶シリコン膜2におけるシート抵抗が、多結晶シリコン膜2の端部からの距離に応じて変化する領域である。第3部分8は、多結晶シリコン抵抗1の多結晶シリコン膜2におけるシート抵抗が、多結晶シリコン膜2の端部からの距離に依存することなく一定か、若しくは、多結晶シリコン膜2の端部からの距離に応じた変化が極めて微小な領域である。
【0020】
図1に示されているように、多結晶シリコン膜2は、第1部分6の近傍領域に設けられたシリサイド領域3と、第2部分7の近傍領域に設けられたシリサイド領域3とを備えている。それらのシリサイド領域3は、それぞれ、コンタクト4を介して配線5に接続されている。これによって、本実施形態の多結晶シリコン抵抗1は、多結晶シリコン膜2の第3部分8を抵抗体として機能させている。
【0021】
多結晶シリコン抵抗1は、安定したシート抵抗を有する第3部分8を抵抗体として使用し、その第3部分8の両端には、電極となるシリサイド領域3が配置されている。第3部分8のみを抵抗体として使用することで、ばらつきの小さい安定した抵抗値を有する多結晶シリコン抵抗1を構成することができる。
【0022】
図2は、多結晶シリコン膜2に対してミリ秒アニールを実施したときの、端部からの距離とシート抵抗との関係を例示するグラフである。図2の(a)は、多結晶シリコン膜2と測定点との関係を概念的に例示している。図2の(b)は、異なる幅の多結晶シリコンの測定結果を例示している。
【0023】
図2に示されているように、一体に形成されている多結晶シリコン膜2に、ミリ秒アニールを実施したとき、抵抗体中の抵抗値分布は、端部からの距離が20μm付近でシート抵抗の変化を示すグラフの傾きが減少し、30μm程度の距離で、シート抵抗が略一定になっている。
【0024】
本実施形態の多結晶シリコン抵抗1において、シリサイド領域3を、多結晶シリコン膜2の端部からの距離が20μm程度離れた位置に形成することで、ばらつきの小さい安定した抵抗値を有する多結晶シリコン抵抗1を構成することができる。好ましくは、多結晶シリコン膜2の端部からの距離が30μm程度離れた位置にシリサイド領域3を形成することで、より、ばらつきの小さい安定した抵抗値を有する多結晶シリコン抵抗1を構成することができる。
【0025】
以下に、本実施形態の多結晶シリコン抵抗1が構成される仕組みについて説明する。図3は、多結晶シリコン膜2にミリ秒アニールを行ったときの状態を概念的に例示する概念図である。図3の矢印は、多結晶シリコン膜2の側面に照射される光を例示している。また、多結晶シリコン膜2の上面に照射される光は、本実施形態の理解を容易にするために、表現することを省略する。
【0026】
多結晶シリコン膜2に含まれる不純物イオンは、多結晶シリコン膜2の上面に照射される光と、多結晶シリコン膜2の側面に照射される光によって活性化される。図3に示されているように、多結晶シリコン膜2の端部付近の側面には、y方向に沿った光以外にも、x方向に沿った光や斜め方向の光が照射され、各々の光が不純物イオンの活性化に影響を与える。それに対し、多結晶シリコン膜2の端部付近を除いた側面領域は、y方向に沿った光のみが、不純物イオンの活性化に影響を与える。
【0027】
多結晶シリコン膜2の大部分の領域は、x方向に沿った光や斜め方向の光による影響が小さい領域である。また、端部付近を除いた領域は、端部付近に比べてイオンの活性化が平均的に行われる。換言すると、端部付近では、端部に近づくにしたがって、活性化の度合いが変化する。
【0028】
本実施形態の多結晶シリコン抵抗1は、活性化の度合いが変化する端部付近を除外した位置に接続点を配置し、活性化の度合いのバラツキが小さい安定した領域を抵抗体として使用すること、で、特性バラツキを抑制した多結晶シリコン抵抗1を構成することができる。
【0029】
図4は、図3に示した多結晶シリコン膜2の結晶の状態を例示する平面図である。図4の平面図は、ミリ秒アニールを実施した多結晶シリコン膜2を、上面に平行に切断した断面における、グレインサイズ(結晶粒径)が異なっている状態を概念的に例示している。なお、本実施形態において、グレインサイズ(結晶粒径)の測定方法に制限は無い。
【0030】
上述したように、多結晶シリコン膜2の端部付近では、側面にy方向に沿った光以外にも、x方向に沿った光や斜め方向の光が照射される。交流的に与えられた熱(温度)が物質中を拡散していく(伝わっていく)とき、どこまでその波形が残るかを示す指標である熱拡散長を考慮すると、多結晶シリコン膜2の端部から数十μm程度の距離は、他の部分より高温になる。
【0031】
図4に示されているように、高温になった多結晶シリコンは、低温の多結晶シリコンよりもグレイン(結晶粒)11が相対的に大きく成長する。また、グレイン11のサイズ(グレインサイズ:結晶粒径)がばらつく領域では、グレイン11の間のグレインバウンダリ(結晶粒界)が大きくなる。
【0032】
電気抵抗の主成分は、グレイン中の伝導とグレインバウンダリを通る伝導とで決定する。グレインサイズが大きい場合、グレインバウンダリで反射される成分が減少するため、抵抗値が小さくなる。第1部分6や第2部分7では、グレインサイズにバラツキがあり、シート抵抗が、位置によって変化してしまう。本実施形態の多結晶シリコン抵抗1は、グレインサイズが小さく、かつ、その粒子径がそろっている領域を抵抗体として使用することになるので、特性バラツキを抑制した多結晶シリコン抵抗1を構成することができる。
【0033】
図5は、本実施形態の多結晶シリコン抵抗1の多結晶シリコン膜2における、グレインサイズとシート抵抗との関係を示すグラフである。図5のグラフは、多結晶シリコン膜2のグレインサイズと、多結晶シリコン膜2のシート抵抗とには、強い相関が存在していることを示している。多結晶シリコン抵抗1は、グレインサイズがそろっている領域をシート抵抗が安定している領域として特定することで、特性バラツキを抑制した多結晶シリコン抵抗1を構成する。
【0034】
図6は、本実施形態の多結晶シリコン抵抗1が基板などに形成された状態を例示する断面図である。図6の(a)は、P型半導体基板12の上に形成されたときの多結晶シリコン抵抗1の状態を例示している。図6の(b)は、ウェル13に形成されたSTI14に多結晶シリコン抵抗1が形成されたときの状態を例示している。図6の(c)は、ゲート絶縁膜15の上に形成されたときの多結晶シリコン抵抗1の状態を例示している。図6に示されているように、本実施形態の多結晶シリコン抵抗1は、形成される位置や、下層に設けられる材料に依存することなく、多結晶シリコン抵抗1としての機能を提供することができる。
【0035】
[参考例]
図7は、本実施形態の多結晶シリコン抵抗1に適用される多結晶シリコン膜2の性質を示すグラフである。図7は、幅が異なる複数の多結晶シリコンに対しミリ秒アニールを実施し、ぞれぞれの多結晶シリコンの長さが変化するときのシート抵抗と多結晶シリコン長との関係を例示している。図7に示されているように、ミリ秒アニールを実施した多結晶シリコンの幅を一定にしたまま長さを変化させた場合、シート抵抗は、非一次関数的に増加している。
この特性は、ミリ秒アニールを多結晶シリコンに実施して多結晶シリコン抵抗を形成したときの、多結晶シリコン抵抗の特性バラツキの要因となっている。このような特性は、発明者らによって発見された。この発見に基づいて、本実施形態の多結晶シリコン抵抗1の構造が導き出されている。
【0036】
[第2実施形態]
以下に、図面を参照して本願発明の第2実施形態について説明を行う。図8は、第2実施形態の多結晶シリコン抵抗1の構成を例示する図である。図8の(a)は、第2実施形態の多結晶シリコン抵抗1を上から見た状態を例示する平面図であり、図8の(b)は、第2実施形態の多結晶シリコン抵抗1のB−B’断面の状態を例示する断面図である。第2実施形態の多結晶シリコン抵抗1は、第2部分7における端部からの距離が、第3距離d3となるように形成されている。図8に例示されているように、多結晶シリコン抵抗1は、シート抵抗が変化する領域を第1部分6および第2部分7として特定し、その内側を第3部分8としている。第1実施形態の多結晶シリコン抵抗1と異なり、第1部分6および第2部分7が、第3部分8に対して非対称の構造であっても、その多結晶シリコン抵抗1において、シート抵抗が変化しない領域を第3部分8として特定するように、シリサイド領域3が配置されることで、適切な抵抗値の多結晶シリコン抵抗1を構成することができる。
【0037】
[第3実施形態]
以下に、図面を参照して本願発明の第3実施形態について説明を行う。図9は、第3実施形態の多結晶シリコン抵抗1の構成を例示する平面図である。図9の(a)、および図9の(b)は、配線5の幅よりも、多結晶シリコン膜2の幅が大きい場合の多結晶シリコン抵抗1の構成を例示している。図9に示されているように、多結晶シリコン抵抗1に形成されるシリサイド領域3は、シート抵抗が変化する領域を第1部分6および第2部分7として特定し、その内側を第3部分8として特定するような位置に形成されていれば良い。したがって、シリサイド領域3とコンタクト4とを、配線5の位置に依存して、多結晶シリコン膜2の幅方向の任意の位置に配置することができる。
【0038】
[第4実施形態]
以下に、図面を参照して本願発明の第4実施形態について説明を行う。図10は、第4実施形態の多結晶シリコン抵抗1の構成を例示する平面図である。図10は、多結晶シリコン膜2が延伸する方向に交差するように引き出し配線16が配置されているときの多結晶シリコン抵抗1の構成を例示している。図10に示されているように、第4実施形態の多結晶シリコン抵抗1は、多結晶シリコン膜2が延伸する方向に交差する方向に形成された引き出し配線16に接続されている。多結晶シリコン膜2に交差するように引き出し配線16を配置することで、第1部分6や第2部分7の上層を有効に使用することが可能となる。
【0039】
[第5実施形態]
以下に、図面を参照して本願発明の第5実施形態について説明を行う。図11は、第5実施形態の多結晶シリコン抵抗1の構成を例示する平面図である。図11は、多結晶シリコン抵抗1を抵抗分圧器として用いる場合の構成を例示している。図11に示されているように、多結晶シリコン抵抗1は、引き出し配線16のほかに、更に、少なくとも1つの抵抗分圧用配線17を備えることで、分圧器として機能することが可能となる。
【0040】
[第6実施形態]
以下に、図面を参照して本願発明の第6実施形態について説明を行う。図12は、第6実施形態の多結晶シリコン抵抗1の構成を例示する平面図である。図12の(a)、および図12の(b)は、屈曲する多結晶シリコン膜2を有する多結晶シリコン抵抗1の構成を例示している。上述の第1〜第5実施形態においては、多結晶シリコン膜2が直方体に近い形状の多結晶シリコン抵抗1の構成を例示して、本願発明の説明を行ってきた。第6実施形態の多結晶シリコン抵抗1は、屈曲した部分を有している。第3部分8に屈曲するような部分があっても、シート抵抗が変化しない領域を第3部分8として特定するように、シリサイド領域3が配置されることで、適切な抵抗値の多結晶シリコン抵抗1を構成することができる。
【0041】
以上、本願発明の実施の形態を具体的に説明した。本願発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。また、上述の複数の実施形態は、その構成・動作に矛盾が生じない範囲において組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0042】
1…多結晶シリコン抵抗
2…多結晶シリコン膜
3…シリサイド領域
4…コンタクト
5…配線
6…第1部分
7…第2部分
8…第3部分
11…グレイン
12…P型半導体基板
13…ウェル
14…STI
15…ゲート絶縁膜
16…引き出し配線
17…抵抗分圧用配線
d1…第1距離
d2…第2距離
d3…第3距離
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶粒を有する多結晶シリコン膜と、
前記多結晶シリコン膜の上に設けられ、前記多結晶シリコン膜の第1端部から第1距離の位置に配置された第1接続領域と、
前記多結晶シリコン膜の上に設けられ、前記第1端部と異なる第2端部から第2距離の位置に設けられた第2接続領域と
を具備し、
前記多結晶シリコン膜は、
前記第1端部と前記第1接続領域との間の第1部分と、
前記第2端部と前記第2接続領域との間の第2部分と、
前記第1接続領域と前記第2接続領域との間の第3部分と
を具備し、
前記第3部分に含まれる結晶粒の結晶粒径は、前記第1部分または前記第2部分に含まれる結晶粒の結晶粒径よりも小さい
多結晶シリコン抵抗。
【請求項2】
請求項1に記載の多結晶シリコン抵抗において、
前記第1部分に含まれる結晶粒の結晶粒径は、
前記第1接続領域から前記第1端部までの距離に依存して変化し、
前記第2部分に含まれる結晶粒の結晶粒径は、
前記第2接続領域から前記第2端部までの距離に依存して変化し、
前記第3部分に含まれる結晶粒の結晶粒径は、
前記第1接続領域または前記第2接続領域からの距離に依存することなく略均一に形成されている
多結晶シリコン抵抗。
【請求項3】
請求項1または2に記載の多結晶シリコン抵抗において、
前記多結晶シリコン膜は、
前記多結晶シリコン膜と異なる部材の上に形成され、
ミリ秒アニールが実施されたときに照射される光を受ける側面を有する
多結晶シリコン抵抗。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の多結晶シリコン抵抗において、
前記多結晶シリコン膜は、
長さと幅とを有し、
前記第1端部と前記第2端部との各々は、
前記長さの方向を示す線に交差し、
前記第1接続領域は、
前記第1端部から、前記多結晶シリコン膜の長さ方向に20μm以上離れた位置に配置された第1シリサイドを有し、
前記第2接続領域は、
前記第2端部から、前記多結晶シリコン膜の長さ方向に20μm以上離れた位置に配置された第2シリサイドを有する
多結晶シリコン抵抗。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の多結晶シリコン抵抗において、
前記第1シリサイドは、
コンタクトを介して第1配線に接続され、
前記第2シリサイドは、
コンタクトを介して第2配線に接続される
多結晶シリコン抵抗。
【請求項6】
結晶粒を有する多結晶シリコン膜を形成するステップと、
前記多結晶シリコン膜にミリ秒アニールを実施するステップと、
前記多結晶シリコン膜の第1端部から第1距離の位置に配置された第1接続領域を特定するステップと、
前記多結晶シリコン膜の、前記第1端部と異なる第2端部から第2距離の位置に設けられた第2接続領域を特定するステップと
を具備し、
前記ミリ秒アニールを実施するステップは、
前記第1接続領域と前記第2接続領域との間に含まれる前記多結晶シリコンの結晶粒の結晶粒径が、前記第1接続領域とまたは前記第2接続領域の外側部分に含まれる結晶粒の結晶粒径よりも小さくなるように前記ミリ秒アニールを実施する
多結晶シリコン抵抗の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の多結晶シリコン抵抗の製造方法であって、
前記多結晶シリコン膜を形成するステップは、
前記多結晶シリコン膜と異なる部材の上に、前記ミリ秒アニールが実施されたときに照射される光を受ける側面を有するように前記多結晶シリコン膜を形成する
多結晶シリコン抵抗の製造方法。
【請求項1】
結晶粒を有する多結晶シリコン膜と、
前記多結晶シリコン膜の上に設けられ、前記多結晶シリコン膜の第1端部から第1距離の位置に配置された第1接続領域と、
前記多結晶シリコン膜の上に設けられ、前記第1端部と異なる第2端部から第2距離の位置に設けられた第2接続領域と
を具備し、
前記多結晶シリコン膜は、
前記第1端部と前記第1接続領域との間の第1部分と、
前記第2端部と前記第2接続領域との間の第2部分と、
前記第1接続領域と前記第2接続領域との間の第3部分と
を具備し、
前記第3部分に含まれる結晶粒の結晶粒径は、前記第1部分または前記第2部分に含まれる結晶粒の結晶粒径よりも小さい
多結晶シリコン抵抗。
【請求項2】
請求項1に記載の多結晶シリコン抵抗において、
前記第1部分に含まれる結晶粒の結晶粒径は、
前記第1接続領域から前記第1端部までの距離に依存して変化し、
前記第2部分に含まれる結晶粒の結晶粒径は、
前記第2接続領域から前記第2端部までの距離に依存して変化し、
前記第3部分に含まれる結晶粒の結晶粒径は、
前記第1接続領域または前記第2接続領域からの距離に依存することなく略均一に形成されている
多結晶シリコン抵抗。
【請求項3】
請求項1または2に記載の多結晶シリコン抵抗において、
前記多結晶シリコン膜は、
前記多結晶シリコン膜と異なる部材の上に形成され、
ミリ秒アニールが実施されたときに照射される光を受ける側面を有する
多結晶シリコン抵抗。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の多結晶シリコン抵抗において、
前記多結晶シリコン膜は、
長さと幅とを有し、
前記第1端部と前記第2端部との各々は、
前記長さの方向を示す線に交差し、
前記第1接続領域は、
前記第1端部から、前記多結晶シリコン膜の長さ方向に20μm以上離れた位置に配置された第1シリサイドを有し、
前記第2接続領域は、
前記第2端部から、前記多結晶シリコン膜の長さ方向に20μm以上離れた位置に配置された第2シリサイドを有する
多結晶シリコン抵抗。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の多結晶シリコン抵抗において、
前記第1シリサイドは、
コンタクトを介して第1配線に接続され、
前記第2シリサイドは、
コンタクトを介して第2配線に接続される
多結晶シリコン抵抗。
【請求項6】
結晶粒を有する多結晶シリコン膜を形成するステップと、
前記多結晶シリコン膜にミリ秒アニールを実施するステップと、
前記多結晶シリコン膜の第1端部から第1距離の位置に配置された第1接続領域を特定するステップと、
前記多結晶シリコン膜の、前記第1端部と異なる第2端部から第2距離の位置に設けられた第2接続領域を特定するステップと
を具備し、
前記ミリ秒アニールを実施するステップは、
前記第1接続領域と前記第2接続領域との間に含まれる前記多結晶シリコンの結晶粒の結晶粒径が、前記第1接続領域とまたは前記第2接続領域の外側部分に含まれる結晶粒の結晶粒径よりも小さくなるように前記ミリ秒アニールを実施する
多結晶シリコン抵抗の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の多結晶シリコン抵抗の製造方法であって、
前記多結晶シリコン膜を形成するステップは、
前記多結晶シリコン膜と異なる部材の上に、前記ミリ秒アニールが実施されたときに照射される光を受ける側面を有するように前記多結晶シリコン膜を形成する
多結晶シリコン抵抗の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−233809(P2011−233809A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−104874(P2010−104874)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
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