説明

多色の光沢のある真珠光沢のある顔料

真珠光沢のある顔料であって、この顔料は無機材料であり、かつ白色のバックグラウンドに対して測定したこの顔料の均一コーティングの色は、約30以下のCIELAB L値および約3以下の彩度値;約50〜約80°のCIELAB色相角、hab(ここで、Lは約85以下であり、かつ彩度値は22より大きい);約80〜約275°のCIELAB色相角、hab(ここで、Lは約80以下であり、かつ彩度値は約10より大きい);および約275以上〜約50°以下のCIELAB色相角、hab(ここで、Lは約85以下であり、かつ彩度値は約9より大きい)からなる群から選択される、真珠光沢のある顔料。この顔料は、化粧品、プラスチック、自動車、または建築用コーティングを含む様々な用途で使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、これによって、すべて2007年10月31日出願の一部継続特許出願第11/931534号、同第11/931415号、同第11/931473号、同第11/931658号、および2007年6月20日出願の非仮特許出願第11/765614号の利益を主張する。これらの特許出願の開示は、これによって参照によりその全体を援用したものとする。
【0002】
本発明は、概して、多色の光沢のある真珠光沢のある顔料に関する。
【背景技術】
【0003】
装飾用の宝石(例えば、ダイアモンド、ルビー、エメラルド、トパーズ、オパール、翡翠)、および貴金属(例えば、金、銀、白金)とともに、真珠は、数千年にわたって人類にとって最も高く評価される財産(すなわち高級品)のうちの1つである。その天然の美しさ、光り輝く色および光沢に加えて、それらは社会的地位および幸福の水準と関連することが多い。結果として、そして驚くことではなく、化粧品の構成の傾向は、真珠、宝石および貴金属のこれらの「天然の」および「審美的な」外観を、干渉顔料などのこれらほど高価でない材料(例えば、金属酸化物コーティングされた雲母)を用いて模倣または再現することである。最も一般的なタイプの真珠光沢のある顔料は、微粉化された二酸化チタン、金属酸化物コーティングされた雲母、金属酸化物コーティングされたアルミナ、金属酸化物コーティングされたシリカ、塩基性炭酸鉛、オキシ塩化ビスマス、および天然の魚の銀色である。
【0004】
金属酸化物コーティングされた雲母顔料は、優れた光学的、化学的、機械的、毒物学的、および環境的特性を特徴とする。天然雲母または合成雲母、および代替の支持体(アルミニウム薄片、またはSiOプレートレット(小板状物)など)は、単独で使用することができるし、または二酸化チタン、酸化鉄(FeまたはFe)、フェロシアン化鉄(紺青またはプルシアンブルー)、酸化スズ、および酸化クロムのための支持体としても使用できる。これらのコーティングされた雲母系顔料によって画定される色空間は、使用されるコーティング(例えば金属酸化物、着色剤など)のタイプ、層の厚み、およびコーティングされた層の数を基礎とする。
【0005】
天然の真珠のうちで、最も高価なものは黒真珠であり、これは様々な下地の色およびカラーフロップ(color flop)を備えている。化粧品の構成におけるこの審美的な光学的効果を忠実に模倣することは、化粧品用顔料メーカーおよび配合業者が直面している最上位の挑戦のうちの1つである。これらの顔料への慣用的な取り組みは、暗いソリッド・カラーの無機顔料(例えば、カーボンブラック)を白色の板状の真珠光沢のある顔料(例えば、TiOコーティングされた雲母、TiOコーティングされたホウケイ酸塩、TiOコーティングされたアルミナ)とブレンドすることである。この板状の干渉顔料は、光沢、光輝(反射)、透明性および被写界深度をもたらす。このソリッド・カラー顔料は暗い下地の色および表面被覆を提供する。しかしながら、このタイプのブレンドは、通常、天然の真珠と比べて、はるかに「くすんでおり」、「光沢がなく」、「透明性がない」ように見える。これについての主な理由は、光散乱および光の干渉の乱れを導くソリッド・カラー顔料の粒による白色の真珠光沢のある顔料の滑らかな表面の乱れである。
【0006】
金属酸化物コーティングされたプレートレット(platelet)顔料は、磁性がある場合があり、すなわち磁化率を呈する場合がある。液体コーティングの中に入れられたとき、コーティングされた顔料の領域は、外部から印加された磁場によって整列し、ゴニオクロマチックな(goniochromatic)、または角度依存的な光学的効果を生成することがある。この効果は、二次元的または三次元的な像の印象を作り出すために使用されてもよい。顔料が整列した後、このコーティングは硬化されて、光学的効果を固定してもよい。顔料およびそれらを整列させる方法の例は、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、および特許文献5で論じられている。しかしながら、これの磁性顔料は、色空間の点で著しく限定される。利用できる典型的な色は、メタリックブラック、モノクロ階調、または弱い干渉色と合わさった黒または赤褐色の吸収色を特徴とする二色の色調(bichromic shade)である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6589331号明細書
【特許文献2】米国特許第6902807号明細書
【特許文献3】米国特許第5223360号明細書
【特許文献4】米国特許第6759097号明細書
【特許文献5】米国特許第7258900号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
色および不透明性の最適の制御が可能になる処理方法を使用して、金属酸化物コーティングされた顔料の既存の色空間を、より鮮やかな、光沢のある色のついた色調、および、古びた赴きの暗い真珠光沢のある色調まで広げるというニーズが存在する。加えて、整列した顔料と整列していない顔料との間のより大きい色の対比を有する、より色とりどりの磁性顔料に対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、真珠光沢のある顔料であって、基材および第1の層を含み、この第1の層は酸化鉄を含み、この酸化鉄中の鉄は約10%〜約20%のFe(II)、および約80%〜約90%のFe(III)を含む真珠光沢のある顔料を提供することによって、先行技術の上記および他の欠点を克服する。
【0010】
本発明の別の態様は、真珠光沢のある顔料であって、当該顔料は無機材料であり、かつ白色のバックグラウンドに対して測定した当該顔料の均一コーティングの色は、約50〜約80°のCIELAB色相角、hab(ここで、Lは約85以下であり、かつ彩度値は22より大きい);約80〜約275°のCIELAB色相角、hab(ここで、Lは約80以下であり、かつ彩度値は約10より大きい);および約275以上〜約50°以下のCIELAB色相角、hab(ここで、Lは約85以下であり、かつ彩度値は約9より大きい)からなる群から選択される、真珠光沢のある顔料である。
【0011】
本発明の別の態様は、真珠光沢のある顔料であって、当該真珠光沢のある顔料は無機材料であり、かつ当該顔料の均一コーティングの、白色のバックグラウンドに対して測定した色が、約30以下のCIELAB L値および約3以下の彩度値を有する、真珠光沢のある顔料である。
【0012】
本発明の別の態様は、基材を金属酸化物でコーティングして第1の層を形成する工程と、当該第1の層の当該金属酸化物を還元する工程であって、当該金属の約10%〜約20%だけが還元される工程とによって調製される、真珠光沢のある顔料である。
【0013】
本発明の別の態様は、真珠光沢のある顔料であって、当該均一な真珠光沢のある顔料は無機材料であり、かつ白色のバックグラウンドに対して測定した、磁気的に整列した顔料と整列していない顔料との間のΔEが20以上である、真珠光沢のある顔料である。
【0014】
本発明の別の態様は、金属酸化物コーティングされた基材を貴金属触媒の存在下で水素源を用いて還元するためのプロセスである。
【0015】
本発明の別の態様は、真珠光沢のある顔料の製造するためのプロセスであって、水素源を用いて、酸化鉄コーティングされた基材を還元する工程を含み、当該鉄の約1%〜約30%だけが還元されるプロセスである。
【0016】
本発明の別の態様は、ポリビニルピロリドン(PVP)ポリマー、または他のポリマーの中にナノ微粒子状の貴金属を含む、非常に高活性な触媒である。
【0017】
本発明の別の態様は、基材と第1の層とを含む真珠光沢のある顔料を含む化粧品配合物であって、当該第1の層は酸化鉄を含み、当該酸化鉄中の鉄は約10%〜約20%のFe(II)、および約80%〜約90%のFe(III)を含む、化粧品配合物である。
【0018】
本発明の別の態様は、基材と第1の層とを含む真珠光沢のある顔料を含む化粧品組成物であって、当該第1の層は酸化鉄を含み、当該酸化鉄の鉄は約1%〜約30%のFe(II)、および約70%〜約99%のFe(III)を有する、化粧品組成物である。
【0019】
本発明の別の態様は、基材と第1の層とを含む真珠光沢のある顔料を含む塗料またはインキ組成物であって、当該第1の層は酸化鉄を含み、当該酸化鉄の鉄は約1%〜約30%のFe(II)、および約70%〜約99%のFe(III)を有する、塗料またはインキ組成物である。
【0020】
本発明の別の態様は、基材と第1の層とを含む真珠光沢のある顔料を含むプラスチック組成物であって、当該第1の層は酸化鉄を含み、当該酸化鉄の鉄は約1%〜約30%のFe(II)、および約70%〜約99%のFe(III)を有する、プラスチック組成物である。
【0021】
本発明のこれらおよび他の目的および利点は、添付の図面およびその説明から明らかになるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】黒色のバックグラウンドに対して測定した実施例14〜実施例16のCIELAB aおよびb色座標のグラフである。
【図2】実施例18で試験した顔料の濾液の可視スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、制御された不透明性を備えた光沢のある、真珠光沢のある顔料であって、当該顔料は基材と第1の層とを含み、この第1の層は酸化鉄を含み、この酸化鉄中の鉄は約1%〜約30%のFe(II)および約70%〜約99%のFe(III)を含む、光沢のある、真珠光沢のある顔料に関する。
【0024】
酸化鉄コーティングされた基材は、高い光沢を有する強く着色した真珠光沢のある顔料を呈する。基材、酸化鉄層の厚み、およびその層の中のFe(II)およびFe(III)の量を変えると、当該顔料の色、明度、および透明性は変わる。この第1の層の平均厚みは、約1nm〜約350nm、約10nm〜約350nm、または約10nm〜約250nmであってよい。
【0025】
1つの実施形態では、この顔料は、基材と第1の層との間に配置されかつ約1.6より大きいまたは約1.4未満の屈折率を有する第2の層を備えていてもよい。この第2の層は、約1.8以上の屈折率を有していてもよい。第2の層として使用してよい化合物の例は、TiO、Fe、ZrO、SnO、Cr、BiOCl、およびZnOである。この第2の層は1以上の物質を含んでいてもよい。この第2の層はTiOあってもよい。この第2の層は、Fe、Fe、FeOOH、FeO、およびFe(OH)などの酸化鉄であってもよい。第2の層の平均厚みは、約50nm〜約800nm、または約100nm〜約600nmであってもよい。
【0026】
別の実施形態では、酸化チタンコーティングされた雲母顔料は、反射および光の干渉から生じる真珠光沢のある効果を呈する。この干渉色および光沢は、TiO表面層の厚みおよびその対応する表面粗さに依存する。第1の層のコーティングに先立つこの顔料の最初の干渉色は、黒色のバックグラウンドに対して眺めたときには見える。FeOOH堆積および続く還元によって、干渉色の進行およびTiOコーティングされたプレートレット様の顔料の不透明性の著しい増加がもたらされることが驚きをもって見出された。このプロセスは、透明な、TiOコーティングされた雲母を、不透明性が増加した、光沢のある着色された真珠光沢のある顔料へと変換する。堆積されたFeOOH層の厚みによって、色の進行および不透明性の大きさが制御される。比較的厚いFeOOH層については、この干渉色は次の色調へと進み、この顔料は完全な不透明性に近づく。
【0027】
光、撥水性、気候に対する安定性、質感、および分散能を改善するために、付与面積に応じて完成した顔料を表面処理にかけるのがよいことが多い。表面処理剤の例は、メチコン(ポリ(オキシ(メチルシリレン)))、金属石鹸、脂肪酸、水素添加レシチン、ジメチコン(ポリジメチルシロキサン)、フッ素化合物、アミノ酸、N−アシルアミノ酸、ロジン酸グリセリル、シラン、およびそれらの組み合わせである。上記プロセスの多くは、米国特許第6,790,452号;米国特許第5,368,639号;米国特許第5,326,392号;米国特許第5,486,631号;米国特許第4,606,914号;米国特許第4,622,074号;独国特許第2215191号;独国特許出願公開第3151354号;独国特許出願公開第3235017号;独国特許出願公開第3334598号;独国特許出願公開第4030727A1号;欧州特許第0649886A2号;国際公開第97/29059号;国際公開第99/57204号;米国特許第5,759,255号;欧州特許第0090259号;欧州特許第0634459号;国際公開第99/57204号;国際公開第96/32446号;国際公開第99/57204号;米国特許第5,759,255号;米国特許第5,571,851号;国際公開第01/92425号;米国特許第5,472,491号;J.J.Ponjee、Philips Technical Review、第44巻、第3号、81ff;およびP.H.Harding J.C.Berg、J.Adhesion Sci.Technol.第11巻、第4号、471−493頁に記載されている。このポストコーティング(後コーティング)はさらに、化学的安定性を増加させ、またはこの顔料の取扱い、特に種々の媒体への組み込みを平易にし得る。使用者の媒体との湿潤性、分散性および/または相溶性を改善するために、AlまたはZrOまたはこれらの混合物の機能性コーティングが顔料表面に付与されてもよい。
【0028】
1つの実施形態では、カップリング剤が、真珠光沢のある顔料上に外層を形成するために使用されてもよい。適切なカップリング剤は欧州特許第632109号に開示されている。例としては、シラン、アルミン酸ジルコニウム、ジルコン酸塩、およびチタン酸塩が挙げられる。このシランは、Y−(CH−SiX(式中、nは2〜8であり、Yは有機官能基、例えばアミノ、メタクリル(methacrylic)、ビニル、アルキル、アリール、ハロゲンおよび/またはエポキシ基であり、Xは、加水分解後に無機基材の活性部位と反応、または他のケイ素化合物との縮合によって反応するケイ素官能基である)を有してよい。この基Yは、例えばヒドロキシ、ハロゲンまたはアルコキシ基を含んでよい。
【0029】
これらの実質的に親水性のカップリング剤に加えて、親水性シラン、特にアリール置換、アルキル置換およびフルオロアルキル置換のジメトキシシランおよびトリメトキシシラン類を使用することも可能である。これらには、例えば、フェネチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリメトキシシランおよび(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルジメトキシシランが含まれる。カップリング剤の濃度は、ベース顔料に対して0.2〜1.2重量%であってよい。
【0030】
1つの実施形態では、当該基材は、プレートレットのようなものであり、約0.05〜約1.5μmの平均厚みおよび約1〜約750μmの平均幅を有してよい。この基材は、約10〜約60μm、約5〜約25μm、約10〜約100μm、約40〜約250μm、または約95〜約730μmの平均幅を有してよい。
【0031】
例として、玉虫色の青色のTiOコーティングされた層状の基材(SunchemicalによるSunPearl Iridescent Blueなど)上の比較的薄いFeOOHコーティングが水素化によって還元されるとき、半不透明層の光沢のある青色−緑色または青緑色の真珠光沢のある顔料が得られる(実施例26を参照)。しかしながら、この同じ玉虫色の青色の基材を使用しても、より厚いFeOOHコーティングは、同様の水素化条件を使用して還元した場合に不透明性が増加した光沢のある緑色またはオリーブ色の真珠光沢のある色調を生じる(実施例27を参照)。この色の進行の傾向は、TiOコーティングされた層状の基材の多くの色調に当てはまる。それゆえ、より不透明な青色の真珠光沢のある色調は、厚いFeOOHコーティングを含む玉虫色の紫色のTiOコーティングされた基材(SunChemicalによるSunPearl Iridescent Violetなど)の還元によって生成することができる(実施例23を参照)。同様に、それほど不透明でない緑色の色調は、比較的薄いFeOOH表面層を有する玉虫色の緑色のTiOコーティングされた基材(SunChemicalによるSunPearl Iridescent Greenなど)の還元によって生成することができる(実施例8を参照)。
【0032】
特定の着色した真珠光沢のある顔料の合成は、適正な基材材料の選択に始まる。この基材は、天然雲母、合成雲母、ガラス薄片、Alプレートレット、SiOプレートレット、BiOCl、ホウケイ酸塩、合成アルミナ、および窒化ホウ素から構成されていてよい。かかる基材は多層材料であってよく、すなわち異なる屈折率を有する材料を含んでよい。この基材は雲母を含んでよい。当該真珠光沢のある顔料は、異なる基材の混合物を含んでいてよい。さらに、この基材は、粒径が異なる同一のまたは異なる薄片からできていてよい。
【0033】
着色した真珠光沢のある顔料を形成する際の第1の工程は、当該基材、または金属酸化物コーティングされた基材を、アニーリングされていないFeOOHの層(これは、通常、色が淡黄色である)でコーティングすることである。結晶性の減少およびより高い表面積(多孔性のミクロ構造)のため、アニーリングされていないFeOOHは、より結晶性のFeに比べてより穏和な反応条件下で、酸化鉄(FeO、FeO−Fe、Fe)へと還元され得る。基材上へのFeOOHまたはFe(OH)の堆積(または沈殿)の方法は、例えばDyes and Pigments、58(2003)、239−244、米国特許第3926659号、ならびに特にMerck、Engelhard、およびBASFによる多くの科学文献および特許に示されるとおり、文献で周知である。前コーティングされた基材から出発してこの基材を金属酸化物でコーティングすることも可能である。あるいは、このプロセスは、当該基材それ自体から出発してもよく、1回のコーティングを使用して正しい量の酸化鉄に到達してもよい。FeOOH以外の金属酸化物を、当該基材または金属酸化物コーティングされた基材をコーティングするために使用してもよい。
【0034】
堆積の基本原理は以下のとおりである:塩化(第二)鉄、硫酸(第二)鉄、またはその両方などのFe3+前駆体が、基材を含む酸性媒体に溶解される。KOH、NaOH、LiOH、およびアンモニアなどの塩基の添加によってpHが上昇するにつれて、Fe3+イオンは、pH制御プロファイル、温度および濃度、およびある場合には電場の存在に応じて、コロイド状FeOOH粒子または高密度の凝集体のいずれかとして析出する。FeOOHに対する親和性を有する基材の存在下で、このコロイド状粒子はすぐにその基材上に均一な膜を形成することができる。堆積した層と基材との間の結合は、通常、金属酸化物共有結合および水素結合の組み合わせである。例えば、古びた赴きのワインレッドの真珠光沢のある顔料を作製する場合、当該基材は、FeOOHに対して極めて良好な親和性を有する赤鉄鉱(ヘマタイト)(赤色の焼成Fe)でコーティングされた雲母である。
【0035】
KOHおよびNaOHを利用する慣用的な沈殿プロセスは不均一系加水分解プロセスと呼ばれる。しかしながら、より最近では、均一系加水分解と呼ばれるより新しいプロセスは、その場で派生した塩基として尿素を利用する。このプロセスは、Dyes and Pigments 58(2003)239−244、およびMaterials Research Bulletin(1999)、第34巻、第6号、905−914に示されるように、より滑らかかつより透明な金属酸化物膜を生成すると言われている。硫酸(第二)鉄を使用すると、塩化(第二)鉄よりも粗い粒子、および弱い光沢を生成することがあり得る。尿素の分解速度をより良好に制御する(これはひいてはアンモニア(塩基)発生の速度を制御する)ために、コンピューターでプログラムされた速度制御ヒーターが使用されてもよい。この塩基発生速度が0次である(すなわち、一定である)場合、FeOOHコロイドは一定速度で核形成して成長し、同様に一定速度で当該基材上に沈殿することになる。結果として、非常に均一な膜を生成することができる。80℃〜90℃で、尿素の加水分解はほぼ0次である。この温度範囲は、当該プロセスのプラトー(保持)温度として有用である場合がある。その溶液中に残る遊離のFe3+前駆体の量を最少にするために、使用される尿素の量は、最終の加水分解された溶液のpHが6〜8の間になるのにちょうど十分な量である。Fe3+は、約pH 8でその溶解度が最少になることは公知である。
【0036】
Fe(III)−尿素均一系加水分解によってFeOOHを堆積させることで、二酸化チタンコーティングされた雲母基材の表面上にFeOOHの均一層を導くことができ、これにより現在市販されていないネオンのような色調の真珠光沢のある顔料(ネオングリーン−ゴールド、ネオンピンク、ネオンシルバー ゴールドなど)がもたらされる。
【0037】
着色した基材上へのFeOOHの薄層の堆積後、当該顔料は濾過によって溶液から回収される。この顔料は、残存する尿素を除去するために脱イオン水で複数回洗浄され、次いで残留する水分を除去するために乾燥される。十分に乾燥した後、この乾燥顔料は、還元のための準備が整ったことになる。水素化は、FeOOH層を還元するために使用してよい。生成する酸化鉄(FeO、FeO−Fe、Fe)層は、還元の程度、その層の厚み、および任意の他の層に依存するが、典型的には色がより暗い。一般的に言えば、水素化条件が徹底的なほど、または層がより厚いほど、最終顔料はより暗くなる。しかしながら、あまりに厚い酸化鉄(FeO、FeO−Fe、Fe)層は、透明性および光沢のいくらかの減少につながりかねない。この還元は、当該酸化鉄の鉄が典型的には約1%〜約30%のFe(II)および約70%〜約99%のFe(III)を含むように実施される。この還元は、当該酸化鉄の鉄が約12%〜約18%のFe(II)および約82%〜約88%のFe(III)を含むように実施してよい。この還元は、当該酸化鉄の鉄が約14%〜約16%のFe(II)および約84%〜約86%のFe(III)を含むように実施してよい。1つの実施形態では、この酸化鉄中の鉄の量は、当該真珠光沢のある顔料の重量の約1%〜約15%である。
【0038】
他の金属酸化物をこの手順によって還元してもよい。この還元は、当該金属酸化物中の金属の約1%〜約30%が還元されるように実施してよい。この還元は、当該金属酸化物の金属の約12%〜約18%が還元されるように実施してよい。この還元は、当該金属酸化物の金属の約14%〜約16%が還元されるように実施してよい。1つの実施形態では、この金属酸化物中の金属の量は、当該真珠光沢のある顔料の重量の約1%〜約15%である。
【0039】
金属酸化物コーティングされた雲母系顔料を含む懸濁液の均一系水素化によって、還元(H/N)雰囲気中での従来の高温焼成と比べて、堆積された酸化鉄層のはるかにより大きい酸化状態の制御が可能になる。従って、この処理技法は、顔料の色および光沢に対するより正確な制御を可能にし得る。加えて、金属酸化物の堆積、次いで液相水素化というこの2工程プロセスは、既存の方法論(例えば、混合物など)と比べて、滑らかな質感および改善された耐摩擦性を有する真珠光沢のある顔料を与えることができる。還元され得る金属酸化物の例はFeOOHである。
【0040】
還元の1つの方法では、3つの主要構成要素:1)(Nパージを備えた)水素貯蔵容器;2)(45°ピッチの撹拌翼および電気式加熱マントルを備える)加圧反応室;および3)過圧の状況の場合の噴出物収集用の貯蔵容器からなる液相水素化装置が使用される。この系は、ガス爆発の危険を最小にするために、完全に取り囲まれる。顔料は、最初に、適度なHガスの溶解度を有する非酸化性の(または穏やかな還元性の)液体中に分散される。一般的に言えば、このガスの圧力が高いほど、運搬媒体中のH濃度は高く、それゆえ還元反応はより速い。より高い温度および貴金属触媒の添加もこの反応を加速する。最終の顔料の還元の程度、または明るさ(もしく暗さ)は、還元時間の長さおよび触媒の充填量によって最も効果的に制御される。
【0041】
溶媒のいくつかの例は、PEG 400(分子量425g/molのポリエチレングリコール)およびNMP(N−メチルピロリドン)である。エチレングリコール、PEG 200、ジメチルホルムアミドおよび水などの他の溶媒または液体もまた使用することができる。PEG 400は、その高い化学的安定性(すなわち、多くの実施について再使用可能)、高い沸点(すなわち、高温還元が可能になる)、低蒸気圧、低燃焼性、高いH溶解度、当該顔料に対する良好な湿潤力(すなわち、優れた分散および最大の表面がHに曝露されること)、当該触媒に対する良好な湿潤力(すなわち、触媒表面を最大にする)、および処理の容易さのための中程度の粘度(45cP)(粘度は、緩やかな撹拌下でさえも雲母顔料が沈降しないようにするために十分高くなければならず、かつ穏やかな減圧濾過条件下で濾別するために十分低くなければならない)に起因して、最も好ましい。NMPもまた使用してよい。水素化圧力は、大気圧から、または大気圧より上から約70bar(約7MPa)までであってよい。この圧力は、約10bar〜約40bar(約1〜約4MPa)、または約10〜約25bar(約1〜約2.5MPa)であってよい。温度は、室温〜約220℃、または200〜220℃、溶媒の分解温度より下であってよい。撹拌は、顔料の崩壊を回避するために、通常約300RPM未満に維持される。この雲母系顔料は、通常、非常に脆く、高せん断下では破砕し得る。崩壊すると、通常は、不透明性の上昇および光沢の減少につながる。触媒の濃度は、液体媒体1kgあたり約0.001〜約0.2gの触媒であってよい。1つの実施形態では、触媒の濃度は、液体媒体1kgあたり約0.01〜約0.08gの触媒であってよい。
【0042】
貴金属触媒の例としては、Pd、Pt、PtO(Adamの触媒)、Rh、Au、Ag、およびTaが挙げられるが、これらに限定されない。この触媒は、貴金属の酸化物、水酸化物または他の誘導体であってもよい。この触媒は、担持型または非担持型で供給されてもよい。担持型の例としては、チャコールまたは炭素系支持体(ヤシ殻など)、アルミナ、ゼオライトまたは他の無機基材(支持体)上に堆積されたPdおよびPt金属が挙げられるが、これらに限定されない。支持体のサイズは、数mmから10〜20ミクロンもの小ささの範囲であることができる。より高い表面対体積比に起因して、より小さい支持体上の触媒は、より高い金属充填量および従ってより高い触媒活性を有することができる。しかしながら、干渉顔料とのサイズおよび密度の類似性(すなわち、25〜75ミクロン、3〜5のSG)に起因して、小さい支持体の触媒は、顔料からの分離、回収および再使用が困難になることがある。約1mm以上のサイズの担持触媒を使用すると、80〜120のメッシュサイズの篩を使用する乾式の篩い分けによって、真珠光沢のある顔料から容易に分離することができる。大きい支持体触媒(Escat(登録商標) 3mm(Pt−アルミナ)が挙げられるが、これらに限定されない)は、容易に分離される。それらは、比較的低い効率を有し、従って古びた赴きの銅および古びた赴きの青銅などのより淡い色の古びた赴きの真珠を生成する、より浅い水素化のために有用である。
【0043】
ナノ微粒子金属触媒は、極めて暗い色を得るための深い水素化に有用である。1つの実施形態では、工業的に入手できるバルクのPtO粉末(通常、直径10〜50ミクロン)は、PEG400を用い、0.5mmジルコニア媒体を使用して強力媒体ミル(intensive media mill)中で8〜16時間湿式粉砕される。最終の粒径は、サブミクロン(すなわち、コロイドサイズ)であり、PtOは、沈降することなく、PEG 400液体に2、3日懸濁できる。干渉顔料の大部分は1時間かそこらでPEG 400中に沈降するであろうから、この顔料スラリーからコロイド状PtOを回収するための分離プロセスとして沈降を使用してよい。コロイド状PtOの大部分は、上澄み相に留まり、傾瀉され再使用されることになるであろう。かかる方法は、金属酸化物コーティングされた雲母顔料の効率的な液相水素化を提供する。
【0044】
1つの実施形態では、この触媒ナノ微粒子は、約53〜約55nmの平均直径を有する。中央粒径は約40nmであってよい。
【0045】
Ptナノ粒子(Pt−NP)などの安定化された金属ナノ粒子のコロイド状流体は、水素化のための触媒として使用してよい。Pt−NP触媒的流体は、ポリマーで安定化された直接還元方法によって調製される。このPtナノ粒子は、サイズが2〜5nmであり、ポリビニルピロリドン(PVP)ポリマーによって安定化されている。この実施形態は、上記の微粉化PtO触媒および工業的に利用できる水素化触媒と比べて、いくつかの恩恵を与える。第1に、Ptコロイドの極めて大きい表面積のために、より少ない触媒の使用、および触媒と基材との間のはるかにより密な接触が可能になると考えられる。第2に、小さい粒径および潤滑性のポリマー(PVP)の存在が、基材と触媒との間の摩擦を低減するのに役立ち、これは当該顔料の表面の滑らかさおよび光沢のより良好な保存を導き得る。第3に、この触媒的流体は熱力学的に安定である。長い貯蔵寿命は、触媒効率を持続するために、定期的に再粉砕することが必要である微粉化PtO触媒に対する大きな利点である。
【0046】
水素化後、当該顔料は、Pt残渣を除去するための任意の洗浄工程に供される。Ptに対する公知のキレート剤および白金塩に対する還元剤であるPVPは、上澄み中の遊離のPt−NP、基材上に吸収されたPt−NPおよび存在し得るあらゆる少量のPtイオンを除去するために、10% PVPの洗浄用水溶液として有用である。
【0047】
FeOOHの堆積、続く水素化は、真珠光沢のある、TiOコーティングされた雲母系顔料に関連する干渉色を進めるために利用されてもよい。透明な、真珠光沢のあるTiOコーティングされた顔料は、記載された方法論を使用して、光沢のある着色した真珠光沢のある顔料へと変換されてもよい。比較的薄いFeOOH堆積については、水素化は、不透明性が増加した同じ干渉色によって特徴付けられる顔料をもたらす。この干渉色は、比較的厚いFeOOHコーティングの還元を通して、次の色調へと進行(例えば、紫色から青色へ、または青色から緑色へ)されてもよい。このプロセスは、得られた真珠光沢のある顔料の不透明性を著しく増加させもする。従って、種々の鮮やかな、多色の顔料が、制御された不透明性を有してCIELAB色空間の4つの象限すべてで生成することができ、これによって著しく改善された配合の柔軟性が可能になる。
【0048】
黒色の/古びた赴きの真珠光沢のある顔料の1つの実施形態では、その合成は適切な基材を選ぶことから出発する。基材の選択は、黒色の/古びた赴きの真珠干渉顔料の下地の色および色の透明性に影響する。例えば、古びた赴きのワインレッドの見た目を得るために、深い赤色または深い栗色を有する基材(赤鉄鉱(すなわち、高温で焼成したFe)でコーティングされた雲母など)を選ぶことが重要である。この下地の色は、酸化鉄(FeO、FeO−Fe、Fe)最上層と組み合わさってワインレッド色の種々の色調を生み出す。FeまたはTiOコーティングされた合成または天然の雲母は、赤色〜黄色および青色〜緑色の範囲の色を有する。基材の色は、最終の真珠の外観の下地の色を決める。最終の真珠が高品質の天然真珠の「優雅な」見た目を忠実に模倣することができるように、高い透明性を有する基材を選ぶことも望ましい。一般的に言えば、合成雲母(CQVによって作製されるもの)、ガラス薄片層(例えば、日本板硝子株式会社から入手)、ホウケイ酸塩および合成アルミナ基材は、より高い透明性については天然雲母よりも好ましい。かかる基材は多層材料であってよく、すなわち異なる屈折率の材料を含んでよい。
【0049】
1つの実施形態では、当該真珠光沢のある顔料は無機材料であり、かつ白色のバックグラウンドの上で測定される当該顔料の均一コーティングの色は、約50〜約80°のCIELAB色相角、hab(ここで、Lは約85以下であり、および彩度値は22より大きい);約80〜約275°のCIELAB色相角、hab(ここで、Lは約80以下であり、彩度値は約10より大きい);および約275以上〜約50°以下CIELAB色相角、hab(ここで、Lは約85以下であり、彩度値は約9より大きい)からなる群から選択される。
【0050】
1つの実施形態では、当該真珠光沢のある顔料は無機材料であり、かつ白色のバックグラウンドに対して測定したこの顔料の均一コーティングの色は、約50〜約80°のCIELAB色相角、hab(ここで、Lは約85以下であり、彩度値は22より大きい)を有する。Lは、約80以下、約75以下、または約70以下であってよい。彩度値は、約24より大きく、約26より大きく、または約28より大きくてもよい。1つの実施形態では、CIELAB色相角、hab、は約50〜約65°である。
【0051】
1つの実施形態では、真珠光沢のある顔料は無機材料であり、かつ白色のバックグラウンドに対して測定した当該顔料の均一コーティングの色は、約80〜約275°のCIELAB色相角、hab(ここで、Lは約80以下であり、彩度値は約10より大きい)を有する。Lは、約75以下、約70以下、または約65以下であってよい。彩度値は約12より大きく、約14より大きく、または約16より大きくてもよい。
【0052】
1つの実施形態では、当該真珠光沢のある顔料は無機材料であり、かつ白色のバックグラウンドに対して測定した当該顔料の均一コーティングの色は、約275以上〜約50°以下のCIELAB色相角、hab(ここで、Lは約85以下であり、彩度値は約9より大きい)を有する。Lは約80以下、約75以下、または約70以下であってよい。彩度値は約11より大きく、約13より大きく、または約15より大きくてもよい。
【0053】
1つの実施形態では、真珠光沢のある顔料は、D65光源および視野10°を使用して白色のバックグラウンドに対して測定した、約170〜約275°のCIELAB色相角、habを有する青色である。紺青(フェロシアン化鉄)を含まない青色の真珠光沢のある顔料を生成してもよく、これにより、この顔料が口唇領域に関係する化粧品用途(リップグロス、口紅、および他の口唇用配合物)で使用することができるようになる。加えて、この青色の真珠光沢のある顔料は、アルカリ性のpHで分解して顔料の滲み出しおよび顔料の色の顕著な変化を生じるフェロシアン化鉄よりも安定である。この青色の真珠光沢のある顔料の別の利点は、それらが当該顔料をフェロシアン化鉄によって画定される色空間に制限しないことである。紺青は、顔料設計者に、顔料を明確な、狭い色空間内で配合することを可能にするだけで、配合の柔軟性を制限する強力な着色剤である。Dyes and Pigments 56(2003)93−98を参照。
【0054】
1つの実施形態では、当該真珠光沢のある顔料は、D65光源および視野10°を使用して白色のバックグラウンドに対して測定した、約80〜約170°のCIELAB色相角、habを有する緑色である。酸化クロムを含まない緑色の真珠光沢のある顔料を生成してもよく、これにより、この顔料が口唇領域に関係する化粧品用途(リップグロス、口紅、および他の口唇用配合物)で使用することができるようになる。最も市販されている緑色の真珠光沢のある顔料は、酸化クロム堆積に基づいている。米国特許第6485556号。
【0055】
1つの実施形態では、当該真珠光沢のある顔料は、D65光源および視野10°を使用して白色のバックグラウンドに対して測定した、約275以上〜約50°以下のCIELAB色相角、habを有する赤色、ピンク色、または紫色である。カルミンを含まない赤色、ピンク色、または紫色の雲母系真珠光沢のある顔料を生成してもよい。カルミンは、直接に、または真珠光沢のある顔料(Engelhard/BASFによるCloisonne(登録商標) Redにおけるように)と組み合わせてのいずれかで、化粧品産業で広く使用される着色剤である。それはUV曝露に非常に敏感であり、経時的に色褪せる場合もある。カルミンはまた、酸性環境では不安定でもある。それは、化粧品配合物(マニキュア液など)における着色剤の滲み出しによって特徴づけられることが多い。加えて、カルミン(これは昆虫から抽出される)は、アナフィラキシーを含めたアレルギー反応の数多くの報告に関連付けられている。カルミン不含の赤色、ピンク色および紫色の色調の開発は、特に好都合である。なぜなら、それは、配合業者により安定かつ健康により代替物を提供するからである。1つの実施形態では、当該真珠光沢のある顔料はカルミンを含まない。
【0056】
別の実施形態では、当該真珠光沢のある顔料は、アクリル系エナメル中の10重量%の顔料から形成した76μm厚のフィルムで測定した場合に、約1未満のHPIを有する。このHPIは約0.5未満であってもよい。このHPIは約0.05〜約0.5の範囲にあってもよい。
【0057】
暗く着色した(または古びた赴きに見える)真珠光沢のある顔料で現在市場に提供されているものは比較的少なく、かかる例は、Engelhard/BASFによるTimica(登録商標)およびCloisonne Nu−Antique(登録商標)シリーズである。市場に出ているこれらの既存の暗い真珠光沢のある製品はあまりに不透明であり、あまりに鈍く(すなわち、光沢が十分ではない)、天然の黒真珠の効果(例えば、タヒチ(Tahiti)黒真珠)を模倣するのに十分なほどは暗くない。加えて、それらは、皮膚に塗布およびこすりつけたときに、望ましくない暗化効果を呈する。これらの問題を解決するための1つの方法は、暗く着色した層を干渉層の上または下に滑らかな膜として使用して光散乱を最小にし、こうして顔料の光沢および透明性を保存することである。
【0058】
1つの実施形態では、当該真珠光沢のある顔料は無機材料であり、白色のバックグラウンドに対して測定したその顔料の均一コーティングの色は、約30以下のCIELAB L値および約3以下の彩度値を有する。このLは、約28以下、約25以下、または約22以下であってもよい。この彩度値は約2.5未満、約2未満、または約1.5未満であってもよい。これらの方法は、非常に暗い古びた赴きの/黒色の真珠の干渉顔料を生成するために使用されてきた。ニトロセルロースワニス中の5%顔料ドローダウンに基づき実現される最も暗い色は、明度値(視野10°、光源D65を使用して測定される(表面光沢成分含む(Specular Component Included))、CIE1976色空間におけるL値)に関して約29〜約32の範囲にあり(これは、基準のLENETAカードの黒(L=28)に非常に近い)、これとともに彩度も非常に低い(典型的には3未満)。Titan(登録商標) STは、L=64〜65の範囲にあり、EngelhardのCloisonne NU−AntiqueシリーズはL=37〜60の範囲にある。すべての場合において、これらは、このプロセスによって形成される顔料よりもはるかに明るくかつ当該顔料ほどには光沢はない。
【0059】
記載される方法によって、高い光沢を維持しつつもより良好な隠蔽力を有する顔料が生成されてもよい。この顔料は、高いpHおよび低いpHで現在の顔料よりも良好な安定性を有し、滲み出す可能性が低い。
【0060】
1つの実施形態では、当該真珠光沢のある顔料は無機材料であり、白色のバックグラウンドに対して測定した当該顔料の均一コーティングについてのアルカリ安定性のΔEは、約2未満である。
【0061】
1つの実施形態では、当該真珠光沢のある顔料は無機材料であり、白色のバックグラウンドに対して測定した当該顔料の均一コーティングについての酸安定性のΔEは、約4未満である。
【0062】
1つの実施形態では、当該真珠光沢のある顔料は無機材料であり、白色のバックグラウンドに対して測定した当該顔料の磁気的に整列した均一コーティングおよび整列していない均一コーティングのΔEは、20以上である。
【0063】
1つの実施形態では、当該真珠光沢のある顔料は、約0.1×10−5〜7.5×10−5/kgの磁化率を有する。
【0064】
当該顔料は、磁性であってもよく、すなわち磁化率を呈してもよい。これらの顔料を含む液体コーティングまたは未硬化のプラスチック調製物などの流体ベースの系では、三次元的であると見える像を作り出すために、印加された磁場を使用して当該コーティングの特定の領域に顔料を整列させてもよい。顔料が整列された後、その像を固定するために当該コーティングは硬化されてもよい。
【0065】
この三次元的効果は、コーティング表面に対して非平行または中間の角度で整列された顔料粒子によって生成される。印加された電場の中で、高アスペクト比のプレートレットは、そのプレートレットの最も長い寸法(つまり、そのプレートレットの幅)が磁力線に沿って整列するように、整列することになる。この着色した粒子を再配向させることができることによって、それらを特定の角度に操作することができ、制御された三次元的な外観がもたらされる。磁力線が観測者に垂直である領域では、このプレートレット粒子は、観測者に垂直になり、漆黒の外観をもたらすことになる。この極めて暗い外観は、粒子の端部での光散乱、および反射表面の不存在に起因する。印加された磁力を欠く領域では、当該粒子は、付与されたコーティング表面に対してより実質的に平行に整列し、強く着色した外観をもたらす。コーティング表面に平行に磁場を印加すると、より多くの顔料がその表面に平行に配向し、さらにより強く着色した外観がもたらされる。
【0066】
1つの実施形態では、化粧品組成物は当該真珠光沢のある顔料を含む。この化粧品組成物は、皮膚、眼、または毛髪用の化粧用製品として有用であり得る。皮膚用の化粧品として意図される組成物の例としては、アイシャドー、アイライナー、マスカラ、ボディパウダーまたはフェースパウダー、ファウンデーション、ブラッシング(blushes)、着色したクリーム、マニキュア液、口紅、リップグロス、整髪またはボディ用ジェル、洗髪剤またはボディウォッシュ、カバースティック、ローション、コンシーラーおよびファウンデーションが挙げられる。口唇領域に関係する化粧品用途の例は、リップグロス、口紅、および他の口唇用組成物である。マニキュア液は、爪用ワニス、または爪用エナメルと呼ぶことがある。
【0067】
真珠光沢のある顔料は、米国特許第6663852号、同第6451294号、および同第6280714号に記載されるメークアップ用化粧品を製造するために使用してもよい。
【0068】
1つの実施形態では、当該組成物の顔料は、その組成物を施用する際または施用後に整列される。当該組成物の顔料を整列させる1つの例は、磁気によるアプリケーターを用いて当該組成物を付与することによる。この磁気によるアプリケーターは、磁性粒子を化粧品の中で整列させてそれらの外観の制御を可能にするために使用されてもよい。
【0069】
一般の化粧品組成物は、保存料、安定剤、中和剤、水相増粘剤(多糖の生体高分子、合成ポリマー)または脂肪相増粘剤(粘度鉱物など)、充填剤、香料、親水性有効成分または親油性有効成分、界面活性剤、酸化防止剤、膜形成性ポリマーおよびこれらの混合物を含んでいてよい。これらの種々の成分の量は当該分野で慣用的に用いられる量であり、例えば、その組成物の全重量の0.01〜30%であってよい。1つの実施形態では、化粧品組成物はさらに、バインダーを含んでもよく、この場合は、当該顔料はその組成物の約0.5%〜約99.5%を占める。
【0070】
口唇用化粧品組成物は、当該分野で通常使用される任意の成分、例えば水(好ましくは、当該組成物の全重量の0〜95%の範囲の量で)、水溶性または油溶性の染料、酸化防止剤、精油、保存料、芳香剤、中和剤、油溶性ポリマー(特に、ポリアルキレンまたはポリラウリン酸ビニルなどの炭化水素系ポリマー)、水相についてのゲル化剤、液体脂肪相についてのゲル化剤、ワックス、ガム、界面活性剤、さらなる化粧用または皮膚科用有効成分(例えば、皮膚軟化薬など)、保湿剤(例えば、グリセロール)、ビタミン、液体ラノリン、必須脂肪酸、親油性または親水性の日焼け止め、およびこれらの混合物を含んでもよい。この組成物はまた、イオン型および/または非イオン型の脂質小胞を含んでもよい。これらの成分(水以外のもの)は、当該組成物の全重量の0〜20%の割合で、組成物中に存在してよい。
【0071】
1つの実施形態では、コーティングまたはインキ組成物は当該真珠光沢のある顔料を含む。別の実施形態では、物品は当該真珠光沢のある顔料を含む。コーティング、インキ、または物品はさらにバインダーを含んでもよく、この場合、当該顔料は組成物の約0.5%〜約99.5%、約0.1%〜約70%、または約0.2%〜約10%を占める。
【0072】
このコーティングまたはインキは、印刷用インキ、表面コーティング、レーザーマーキング用コーティング、顔料調製物、乾式調製物、食品着色料、織物用コーティング、建築用コーティング、合成繊維、または繊維系製品であってもよい。コーティングは、液体、蒸気、または固体として物体に施されてよい。コーティングを施す方法の例は、印刷、塗装、ポリマーコーティング、または噴霧によるものである。このコーティングは、粉末、エナメル、エアロゾル、塗料、エポキシ、またはポリマーであってよい。
【0073】
上記インキは磁気トナーであってもよい。磁気トナーの例は、磁気インク文字認識(MICR)用に使用されるものである。これらのトナーは、小切手上に暗証番号を印刷するために使用されてもよく、安価な読み取り機で読み取られる。MICR用に使用されるトナーの多くは黒色である。MICRインキの色および磁化率は、異なる真珠光沢のある顔料を使用することによって調整されてよい。
【0074】
コーティングおよびインキの製造技術、ならびに種々の印刷プロセス(すなわち、凹刻、フレキソ、スクリーン、オフセット、グラビア)は文献で非常に周知であり、ここでは繰り返さない(「The Printing Ink Manual」、第5版、R.H.Leach編集、Taylor & Francis,Inc.を参照)。他のあまり一般的でない印刷プロセスとしては、Hewlett−Packardのインジゴ(Indigo)プロセスなどのデジタルオフセット法が挙げられる。
【0075】
印刷またはコーティングなどの局所的な施用に加えて、当該顔料は、形成段階の中で直接基材の中に組み込んで物品を作製することができる。例えば、紙に対して、当該顔料は、表面近くの開いた紙の孔を充填するために紙製造の中で他の通常の紙用充填剤(方解石、タルクなど)とともに導入することができる。その物品がプラスチックである場合、当該顔料は、基材の押出の際に導入することができる。物品の例は、プラスチック、ガラス、セラミック材料、コンクリート、圧縮木材、丸薬、紙、練り歯磨き、食品、または農産物である。
【0076】
ゴニオクロマチックな、玉虫色の、および真珠光沢のあるとの用語は、視角によって変わる色の変化を意味するためにほとんど同義で使用されてよい。
【0077】
別段の特定がない限り、顔料のアルカリ安定性は、実施例32に記載した手順を使用して白色のバックグラウンドに対して測定したΔEとして測定される。
【0078】
別段の特定がない限り、顔料の酸安定性は、実施例33に記載した手順を使用して白色のバックグラウンドに対して測定したΔEとして測定される。
【0079】
別段の特定がない限り、顔料のHPI、CIELAB座標、色相角、hab、L、a、b、および彩度は、D65光源および視野10°を使用して、白色または黒色のバックグラウンドを用いて実施例32に記載した顔料ドローダウンを使用して測定される。
【0080】
顔料の均一コーティングは1つの着色した要素のみを含むコーティングであり、それは着色した要素のブレンドではない。均一コーティングを形成しないであろう顔料の例は、Cloisonne(登録商標) Nu Antique Gold顔料であり、この顔料は、色顔料および酸化鉄の両方を含む。
【実施例】
【0081】
(実施例1:容易に還元できるFeOOH層を堆積するためのFeCl−尿素均一系加水分解プロセス)
・500mlの円筒状の反応容器翼(緩やかな撹拌および非付着性のため)に0.1M HCl溶液(356.9g)を加えた。この溶液を175RPMで撹拌した。7.1gの45重量%FeCl原液(Riedel 12322、45重量%のFeCl、55%の水)をこの反応器の中へと滴下した。
・撹拌しながら、尿素(16g)をゆっくりとこの反応器の中へ加えた。
・Sky Chemical Russet Pigment(20g)をこの反応器に加え、5分間撹拌した。
・温度を2℃/分で80℃まで上昇させ、4時間保持した。
・この顔料を濾過によって回収し、蒸留水で洗浄した。
【0082】
(実施例2:固体上の固体(Solid−on−Solid)型の触媒的水相水素化プロセス)
工程1−触媒の湿式微粉化
・酸化白金粉末(200mg、10〜50ミクロン等級、Aldrich 206032)を、100gのPEG 400中で撹拌した(すなわち、2mg PtO2/g流体)。
・0.5mmジルコニア媒体および水冷式のジャケットを備えたEiger−Mill装置にこのスラリーを充填した。出力を最大に設定し、6時間運転した。最終のスラリーは緑がかった黒であり、約1〜2日間沈降しなかった。
・粒径は、動的光散乱(Horiba DLLS粒径分布測定装置)およびOM(光学顕微鏡、Nikon)を用いてチェックし、1ミクロンを超える粒子が残っていないことを確認した。
【0083】
工程2−水素化
・PEG 400(100g)、FeOOH(20g)コーティングされた赤色の真珠顔料(すなわち、Sky Chemical Super Russet)および3gの工程1からの微粉化したPtOスラリー(2mg触媒/g流体)を、鋼で作製された水素化反応室の中に充填した。
・撹拌機を、この反応室の中まで下げた。反応室を閉じ、H貯蔵容器に接続した。
・ガスラインをNで数回パージした。
・この反応室をHでおよそ10〜14bar(1MPa〜1.4MPa)まで加圧した。
・撹拌機のスイッチを入れ、加熱マントルを200℃に設定した。この反応を6時間実施した。
・加熱マントルを取り除き、反応室を放冷した。この反応室のヘッドスペースおよびラインをNガスでパージし、あらゆる残留するHを除去した。
・反応室を開き、スラリーを容器に注ぎ出した。
【0084】
工程3−触媒回収および顔料の洗浄
・上記スラリーを容器の中で沈降させた。この真珠顔料は、コロイド状のPtOよりもはるかに速く沈むであろう。この顔料の大部分が沈降するとすぐに、PtOに富む上澄みをデカンテーションし、再使用のために取っておいた。
・次いで、沈降した顔料を、メッシュフィルター(20ミクロンメッシュ)上で、水で数回および工業用アルコールで1回洗浄し、PEGおよび残留するコロイド状PtOを除去した。
・この顔料を穏やかな真空下で乾燥した。
【0085】
(実施例3:均一系白金コロイド状ナノ粒子触媒の調製)
・ポリビニルピロリドン(PVP)還元剤溶液:無水エチレングリコール(80g)およびK15 PVP(10g、Fluka 81390またはISP)を、Hauschildミキサーを用いて、溶解するまで3000RPMで混合した。2インチ(約5.1cm)のPTFEコーティングされた3葉の翼、および窒素パージラインを備えた1Lの3.5インチ(約8.9cm)のテフロン(登録商標)コーティングされた円筒状の反応器に、この混合物を加えた。
・前駆体溶液:無水エチレングリコール(80g)およびHPtCl−6HO塩(0.5g、SA C3044)を、磁気撹拌棒を備えた4oz(約118ml)の広口瓶に加え、溶解するまで撹拌した。この液体を10分間超音波処理して酸素を除去し、次いでPVP還元剤溶液に加えた。
・前駆体および還元剤の混合:無水エチレングリコール(80g)をこの反応容器に加え、次いでおよそ200RPMで撹拌し、前駆体を還元剤と室温で緩やかに混合した。Nパージラインを液面のすぐ下まで下げ、挿入気体のブランケット(雰囲気)を提供した。
・熱的活性化:この混合物を、およそ100分間かけておよそ20℃から120℃まで加熱した。この混合物を120℃で1時間保持し、その後、加熱のスイッチを切った。この溶液を、オイルバス中で室温まで放冷した。
・回収:この(PVP+EG)液体中のPt[0.75mg Pt/q−流体]をガラスの広口瓶の中に注ぎ込み、この広口瓶を密封した。
【0086】
(実施例4:均一系触媒を用いた液相水素化プロセス)
工程1−水素化
・PEG 400(100g)、FeOOHコーティングされた赤色の真珠顔料(20g、すなわち、Sky Chemical Super Russet)、および実施例3からのPtコロイド状溶液(8g)(300ppmレベルのPt、顔料の乾燥含有量に対して標準化した)を、鋼で作製された水素化反応室の中に充填した。
・撹拌機を、この反応室の中まで下げた。反応室を閉じ、H貯蔵容器に接続した。
・ガスラインをNで数回パージした。
・この反応室をHでおよそ10〜14bar(1MPa〜1.4MPa)まで加圧した。撹拌機のスイッチを入れ、加熱マントルを200℃に設定した。この反応を6時間実施した。
・加熱マントルを取り除き、反応室を放冷した。この反応室のヘッドスペースおよびラインをNガスでパージし、あらゆる残留するHを除去した。
・反応室を開き、スラリーを容器に注ぎ出した。
【0087】
工程2−触媒回収および顔料の洗浄
・上記スラリーを容器の中で沈降させた後、上澄み流体を捨てた。
・次いで、沈降した顔料を、メッシュフィルター(20ミクロンメッシュ)上で、水中の10% PVPで数回および工業用アルコールで1回洗浄し、PEGおよび残留するコロイド状Ptを除去した。
・この顔料を穏やかな真空下で乾燥した。
【0088】
(実施例5:漆黒の真珠光沢のある顔料)
工程1− FeCl−尿素均一系加水分解によるFeOOH堆積
・0.1M HCl溶液(10,707g)を15Lの円筒状の反応容器に加えた。この溶液を175RPMで撹拌した。213gのFeCl原液(Riedel 12322、45重量%のFeCl、55%の水)をこの反応器の中へと滴下した。
・撹拌しながら、尿素(1440g)をこの反応器の中へとゆっくり加えた。
・Sudarshan Russet顔料(600g)をこの反応器に加え、5分間撹拌した。この堆積手法は、このSudarshan Russet顔料にしか適用できないものではない。他のプレートレット様の基材を使用してよく、その例としては、合成雲母(コーティングされていないもの、または金属酸化物でコーティングされているもの)または薄片状のガラス支持体を含む基材が挙げられる。これらの基材は、複数の吸着された層(様々な屈折率の材料を含む層など)を含んでよい。再堆積または反応条件の調整のいずれかにより予めコーティングされたかまたは未コーティングの支持体を使用して、等価なレベルのFe取り込み量(g Fe/g 雲母)が実現できることに留意することは重要である。
・反応温度を2℃/分で90℃まで上昇させ、4時間保持した。
・次いで、10ミクロンフィルターを使用して減圧濾過によって、コーティングされた顔料を回収した。フィルター上のケーキを、5Lの水で3回洗浄した。次いで、このコーティングされた顔料を、60℃で一晩乾燥した。
【0089】
工程2−水素化
・PEG 400(1920g)、FeOOHコーティングされた赤色の真珠顔料(400g、すなわち、Sudarshan Russet)、および実施例3からのPtコロイド状溶液(80g)を鋼で作製された水素化反応室の中に充填した。
・撹拌機を、この反応室の中まで下げた。反応室を閉じ、H貯蔵容器に接続した。
・ガスラインをNで数回パージした。
・この反応室をHでおよそ340〜380psig(2.3MPa〜2.6MPa)まで加圧した。
・撹拌機のスイッチを入れ、加熱マントルを200℃に設定した。この反応を6時間実施した。
・次いで加熱マントルを取り除き、反応室を放冷した。この反応室のヘッドスペースおよびラインをNガスでパージし、あらゆる残留するHを除去した。
・反応室を開き、スラリーを容器に注ぎ出した。
・次いで、この水素化された顔料を、10ミクロンフィルターを使用して減圧濾過によって回収した。フィルター上のケーキを4Lの水、次いで2Lのエタノールで洗浄した。
・次いで顔料をオーブン中で、60℃に24時間置いた。
【0090】
工程3−顔料ドローダウンの調製
・上記水素化した顔料(0.5g)を、DAC150FVZ−K モデル(Hauschild Engineering)高速ミキサー用に設計された最大15個の半透明の広口瓶の中で4.5gのPPG Delstar PMR499アクリル系エナメルに分散させた。
・ガラスビーズ(2g)をこの分散した懸濁液に加えた。
・次いで、この顔料懸濁液(10% 顔料)を、DAC150FVZ−Kモデル高速ミキサーを使用して3000rpmで3分間混合した。
・上記の手順を使用して、同じ10%顔料懸濁液の3つの調製物を調製した。混合した直後、各顔料懸濁液を、1.5ミル(約38μm)、3ミル(約76μm)または6ミル(約152μm)のBirdアプリケーターのいずれかを使用して、Form 2C Lenetaカードに塗布した。
・各ドローダウンを室温で30分間乾燥させ、次いでオーブン中で、60℃にさらに30分間置いた。
・乾燥した膜の比色パラメータ(CIE L)を、視野10°およびD65光源を使用して(表面光沢成分を含む、および表面光沢成分を除く)、白色および黒色の基準バックグラウンドの両方に対して測定した。これらの測定の結果を下記の表に列挙する。
【0091】
【表1】

【0092】
【表2】

【0093】
【表3】

【0094】
【表4】

【0095】
(実施例6:ネオングリーン−金色の真珠光沢のある顔料)
HCl(706.2gの0.1M 溶液)、FeCl(14.2gの45重量% 溶液)、尿素(96g)、およびTiOコーティングされた天然雲母顔料(40g、SunPearl Iridescent Green、10〜60μm粒径)の混合物を、180rpmで撹拌しながら、1Lのジャケット付きポット反応器の中に入れた。この混合物はおよそ1.8のpHを有していた。次いでこの混合物を90℃まで加熱した。尿素分解によってこの溶液のpHが約6.3〜6.5に上昇したときに、この顔料は完成である。90℃で約2時間後、この顔料を濾過し、脱イオン水でリンスし、60〜80℃で乾燥した。金色がかった黄色の吸収色と組み合わさった緑色の干渉色を有するネオンのような光沢のある顔料を得た。Perkin Elmer 5100PC原子吸光分光光度計(Atomic Absorption Spectrophotometer)を使用して測定したところ、得られた顔料はおよそ6.5重量%の元素状の鉄を含んでいた。Spectraflash SF600 Plus分光光度計を用いてこの顔料および出発基材について測定したCIELAB値を、表5に列挙する。
【0096】
(実施例7:ネオンゴールドの真珠光沢のある顔料)
反応容器に最初に入れた各試薬の量が表6に示すように異なることを除いて、実施例1で示したのと同じ手法によって、ネオンゴールドの真珠光沢のある顔料を調製した。表6に示すように、40.6という同じ尿素/Feモル比および同じ出発基材を用いたが、コーティング用に使用したFeClの量は実施例1で使用した量の2倍であった。濾過、洗浄、および乾燥後、金色の干渉色を有するネオンのような光沢のある顔料が得られた(CIELAB値については表5を参照)。得られた顔料はおよそ10.7重量%の元素状の鉄を含んでいた。
【0097】
この実施例は、TiOでコーティングされたプレートレット様の基材上のFeOOH層のより厚いコーティングが、干渉色を次の色調へと進めるために利用できることを例証する。コーティングされた基材および出発材料について黒色のバックグラウンドに対して測定した色相角(表5を参照)の比較によって、これは明白である。未コーティングの基材は、色相角が205.1で緑色の干渉色を有している。FeOOHコーティングは、厚みが増加するとともに、色相角を時計回りに進める。反応Fe/顔料質量比が0.055(すなわち、最終顔料中での6.5重量% Fe)について示すように、色相角は緑色の干渉色(色相角=205.1)から緑色−金色 干渉色(色相角=108.6)へと進む。約2倍の反応Fe/顔料質量比(最終顔料中での10.7重量% Feとなる)については、色相角はより金色の干渉色(色相角=83.0)へとさらに進行する。
【0098】
表5に示すように、増加したFeOOH堆積によって基材の暗化、またはL値の低下がもたらされる。白色および黒色のバックグラウンドの両方に対する出発材料のL値は、堆積で使用したFe/顔料質量比が増加するにつれて減少する。
【0099】
【表5】

【0100】
【表6】

【0101】
(実施例8:光沢のある、半不透明な緑色の真珠光沢のある顔料)
実施例6で調製した顔料(20g、雲母+TiO+Fe(OH)、10〜60μmの粒径)、およびエチレングリコール中のPVPで安定化されたPt触媒(4g)(実施例3で調製した)を、ポリエチレングリコール 400(96g、PEG 400、EMD Chemical、CAS 25322−68−3)に分散させ、1対の45°ピッチの撹拌翼のインペラーを備えた600mLの鋼製のParr反応器に加えた。この混合物をおよそ800rpmで撹拌した。この容器を窒素で加圧し、次いで真空下で真空に引くことによって、この反応溶液を数回パージした。十分なパージ後、この混合物を220℃まで加熱し、水素で10.3bar(1.03MPa)まで加圧し、これらの条件を6時間保持した。この顔料を濾過し、4Lの脱イオン水、次いで1Lのエタノールでリンスし、60〜80℃で乾燥した。深くかつ強く着色した、半不透明な、緑色の真珠光沢のある顔料(対応するCIE Lab色値については表7を参照)を得た。
【0102】
最終顔料中のFe(II)およびFe(III)の重量分率を表8に提示する。鉄全体およびFe(II)含量は、それぞれ原子吸光分光学および0.1N 重クロム酸カリウムを用いた酸化/還元滴定により測定した。この水素化は、堆積した鉄のおよそ15.4%の還元(Fe(III)からFe(II)へ)をもたらした。
【0103】
表7に示すように、この還元プロセスは、二色性の(bichroic)出発材料(実施例6)を、白色および黒色のバックグラウンドに対して測定した場合に、より均一な色座標を有するより不透明な顔料へと変換した。不透明性のレベル、すなわち隠蔽力は、
【0104】
【数1】


として定義される隠蔽力指数(hiding power index、HPI)を使用して記述することができる。
【0105】
式中、L(黒)およびL(白)は、それぞれ黒色および白色のバックグラウンド上での測定された明度またはL値である。L(黒)がL(白)に等しく、この隠蔽力指数が無限大に等しくなる場合に、完全な不透明性が得られる。当該顔料に関連するHPIを表7に列挙する。
【0106】
【表7】

【0107】
【表8】

【0108】
(実施例9:光沢のある、不透明な金色の真珠光沢のある顔料)
堆積で使用したFe/顔料質量比を2倍に増加し最終の顔料中でより高いFeの重量分率をもたらしたこと(表7および表8を参照)を除いて実施例8についての手順に従って、実施例8よりも不透明性が増加した、強く着色した金色の真珠光沢のある顔料を調製した。表7に列挙するCIELAB値が示すように、鮮やかに着色した金色の真珠光沢のある顔料を、水素化後に得た。表7に示すように、得られた顔料は、実施例8よりも高い不透明性、または高い隠蔽力指数を有する(実施例3についての1.56と比べて50.0)。
【0109】
TiOでコーティングされたプレートレット様の基材の干渉色の進行および不透明性は、Fe/顔料質量比によって正確に制御できる。以下の実施例に示すように、この2工程プロセス(コーティングおよび還元)は、金色、赤色、紫色、青色、緑色、および銀色などの種々の干渉色を有するTiOコーティングされた雲母顔料に適用してもよい。不透明性が意図する用途に適合するように制御しながら、CIELAB色座標系の4象限すべてにまたがる非常に多くの光沢のある、着色した真珠光沢のある顔料を生成してよい。
【0110】
色および不透明性は、最初のTiOおよび堆積したFeOOH層の両方の厚みによって直接制御される。(実施例8に記載したような)半不透明な色調については、薄いFeOOH層を還元すると、表7に示すような、最初の干渉色または色相角の単純な進行によって特徴付けられる顔料が生じる。より厚いFeOOH層を還元すると、干渉色または色相角のさらなる進行が生じ、不透明性またはHPIを増加させつつ、その干渉色を次の色調(実施例5の場合、緑色から黄色)に進行させることができる。
【0111】
(実施例10〜実施例13:金色の干渉色を有するTiOでコーティングされた雲母を使用する、光沢のある、真珠光沢のある顔料の開発)
上記の方法は、黄色または金色の干渉色で特徴付けられるTiOでコーティングされた雲母基材に適用してもよい。実施例10および実施例11は、使用した基材材料がSunPearl Iridescent GreenではなくSunPearl Iridescent Gold(10〜60μm)であることを除いて、実施例6および実施例7と類似している。実施例10および11の両方についての反応溶液の組成は、表6に示してあり、得られた顔料のCIELAB値は表9に提示している。
【0112】
これまでに示したように、FeOOH堆積は、出発基材の(黒色のバックグラウンドに対する)色相角の時計回りの進行をもたらす(表9を参照)。最初の金色の干渉色(色相角=93.4)は、低Fe充填量で橙色 金色(実施例6、色相角=68.6)まで進み、増加したFeOOH層の厚みではさらにピンク色(色相角=24.2)まで進む。堆積後、これらの顔料はゴニオクロマチックである、すなわち、一部の視角での特定の干渉色(この場合、橙色、金色、またはピンク色)、および他の視角での金色〜黄色の吸収光によって特徴付けられる。この金色〜黄色の吸収光は、沈殿した黄酸化鉄またはFeOOH層に起因する。表9に示す測定したL値が示すように、FeOOH厚みが増えるにつれて、コーティングされた顔料の暗さは増加する。
【0113】
実施例8に記載した水素化方法による実施例10および実施例11の還元によって、それぞれ、実施例12および実施例13を得た。実施例12は、HPIが0.267である光沢のある半不透明な、橙色の顔料である。比較的薄いFeOOH層に起因して、還元によって色相角の小さい進行が生じ、干渉色が金色から橙色へシフトした。実施例12と実施例13との間で還元条件は等価であるが、実施例13は、より不透明な(HPI=1.099)、暗い光沢のある暗紫色の顔料を生成する。49.2の色相角(黒色のバックグラウンド上での実施例12)から354.7の色相角(黒色のバックグラウンド上での実施例13)へのこのより大きい色シフト、および不透明性の増加は、コーティングされたFeOOH層の厚みの増加に起因する。
【0114】
【表9】

【0115】
(実施例14〜実施例19:赤色の干渉色を有するTiOでコーティングされた雲母を使用する、光沢のある、真珠光沢のある顔料の開発)
TiOでコーティングされた雲母基材(SunPearl Iridescent Red、10〜60μm)がピンク色〜赤色の干渉色によって特徴付けられることを除いて実施例6に記載した手順に従って、実施例14〜実施例19を調製した。使用した反応Fe/顔料質量比は、表6に示している。調製した各顔料についてのCIELAB値を表10に示す。
【0116】
分かりやすくするため、黒色のバックグラウンドに対して測定した実施例14〜実施例16のaおよびb座標を図1にプロットする。5gのビヒクル(酢酸n−ブチル中の10% CAB 531−1(Eastman Chemical)に0.75gの顔料を分散させることによって、実施例14〜実施例16の顔料ドローダウン(3ミル(約76μm)のBirdアプリケーター)を調製した。図1は、非常に低いFe/顔料比での、特に約0.055未満のFe/顔料比についての堆積が、b座標の初期増加を生じ、a値には小さい影響しか与えないことを示す。これは、おそらくはFeOOHの特徴的な黄色の吸収に起因する。FeOOH層の厚みが増加するにつれて色相角の時計回りのシフトが始まるのはこの点、図1の点2からである。示すように、色相角は、約0.055のFe/顔料比でこの支持体材料の最初の色相角を過ぎて進み始める。実施例16(Fe/顔料比=0.055)については、干渉色は顕著に紫色であり、これは次の色調への十分な進行(赤色から紫色へ)を示す。
【0117】
実施例8に記載した水素化方法による実施例14〜実施例16の還元によって、それぞれ実施例17〜実施例19を得た。表10に記載するCIELAB値が示すように、還元によってピンク色〜薄紫色の範囲の光沢のある、真珠光沢のある顔料が得られ、これらの顔料に関連する隠蔽力指数、またはHPIは、Fe/顔料質量比の増加とともに増加した。
【0118】
【表10】

【0119】
(実施例20〜実施例23:紫色の干渉色を有するTiOでコーティングされた雲母を使用する、光沢のある、真珠光沢のある顔料の開発)
表6に示すように、TiOでコーティングされた雲母基材が紫色の干渉色を有しており(SunPearl Iridescent Violet、10〜60μm)、かつそれぞれ0.055および0.110の反応Fe/顔料比を使用したことを除いて、実施例6に記載した手順に従って、実施例20および実施例21を調製した。FeOOH堆積後の顔料のCIELAB値を表11に提示する。
【0120】
【表11】

【0121】
実施例20および実施例21の顔料は色相角における特徴的な時計回りのシフトを示し、増加したFe/顔料比で紫色から青色の干渉色への徐々の進行をもたらした。実施例8に記載した条件を使用して実施例20および実施例21を還元して、それぞれ実施例22および実施例23を得た。表11に示すように、薄いFeOOH表面層を還元すると(実施例22など)、TiOでコーティングされた雲母支持体の干渉色に類似の色によって特徴付けられる半不透明な真珠光沢のある顔料が得られる。この場合、実施例22は光沢のある、暗い紫色の真珠光沢のある顔料を与える。より厚いFeOOH層の還元(実施例23で生成した顔料など)は、干渉色の次の色調への進行(この場合、紫色から青色へ)および増加した不透明性またはHPIを生じる。
【0122】
(実施例24〜実施例27:青色の干渉色を有するTiOコーティングされた雲母を使用する、光沢のある、真珠光沢のある顔料の開発)
表6に示すように、TiOでコーティングされた雲母基材が青色の干渉色を有し(SunPearl Iridescent Blue、10〜60μm)、かつそれぞれ0.055および0.110の反応Fe/顔料比を使用したことを除いて実施例6に記載した手順に従って、実施例24および実施例25を調製した。CIELAB値を表12に提示する。
【0123】
【表12】

【0124】
実施例24および実施例25の顔料は色相角における特徴的な時計回りのシフトを示し、増加したFe/顔料比での青色から緑色の干渉色への徐々の進行をもたらした。実施例6に記載した条件を使用して実施例24および実施例25を還元して、それぞれ実施例26および実施例27を得た。表12に示すように、薄いFeOOH表面層を還元すると(実施例26など)、このTiOでコーティングされた雲母支持体の干渉色に類似の色によって特徴付けられる半不透明な真珠光沢のある顔料が得られる。この場合、実施例26は、光沢のある、青緑色の真珠光沢のある顔料を与える。より厚いFeOOH層の還元(実施例27で生成した顔料など)は、干渉色の次の色調への進行(この場合、玉虫色の青色から不透明なオリーブグリーン)および増加した不透明性またはHPIを生じる。
【0125】
上記の実施例は、ほとんど無限の数の、制御された不透明性を有する光沢のある、鮮やかに着色した真珠光沢のある色調が本願明細書に記載される方法によって調製できることを示す。色の変化の可能性は、CIELAB色空間に広がる。
【0126】
(実施例28〜実施例31:銀色の干渉色を有するTiOコーティングされた雲母を使用する、光沢のある、真珠光沢のある顔料の開発)
表13に示すように、TiOでコーティングされた雲母基材が銀色の干渉色を有し(SunPearl Silver White、10〜60μm)、かつそれぞれ0.055および0.110のFe/顔料比を使用したことを除いて、実施例6に記載した手順に従って、実施例28および実施例29を調製した。CIELAB値を表14に示す。
【0127】
【表13】

【0128】
【表14】

【0129】
表14に示すように、FeOOH堆積は、透明な銀色 白色から金色の色調への遷移をもたらす。より厚いFeOOH層を堆積すると、より金色でかつ顕著に暗い外観(より低いL値)を生じる。実施例8に記載した条件を使用して実施例28および実施例29を還元して、それぞれ実施例30および実施例31を得た。実施例30は、HPIが0.862の光沢のある、半不透明な、シャンパン色の真珠光沢のある顔料である。実施例31で使用したような増加した反応Fe/顔料質量比では、より暗い外観(より低いL値、表14を参照)を有するより不透明な(HPI=1.852)、金属的な灰色の真珠光沢のある顔料が得られた。
【0130】
(実施例32:アルカリ安定性試験−青色の真珠光沢のある顔料)
実施例23および6つの市販の青色の真珠光沢のある顔料を、アルカリ安定性について試験した。試験した試料およびそれらの対応する成分を表15に列挙する。
【0131】
【表15】

【0132】
塩基性溶液(pH 12.5、蒸留水中のNaOH)を2重量% 顔料(表15を参照)と混合し、懸濁液を調製した。この懸濁液を混合し、約5時間静置した。次いでこの顔料を濾過し、脱イオン水でリンスし、80℃で乾燥した。
【0133】
4.5gのビヒクル(PPG Delstar DMR499アクリル系エナメル)中に各顔料0.5gを分散させ、次いでこの混合物をLeneta Form 2C不透明性カードに塗布することによって、顔料ドローダウン(3ミル(約76μm)のBirdアプリケーター)を調製した。これらの処理した試料および未処理の試料についてのCIELAB色座標(視野10°およびD65光源(表面光沢成分含む))を、Spectraflash SF600 Plus分光光度計を使用して90°の視角で測定した。(処理の前後での)隠蔽力指数および処理した試料と未処理の試料との間の色差すなわちΔE(ΔE=((ΔL+(Δa+(Δb1/2)を黒色および白色のバックグラウンドに対して測定した。表16を参照。
【0134】
【表16】

【0135】
試験したすべての市販の青色の真珠光沢のある顔料は、アルカリ溶液への浸漬後に、顕著な色のシフトおよび不透明性を示した。測定した色差は、アルカリ環境での紺青の不安定性に起因する。青色の真珠光沢のある顔料の調製物の中に紺青もフェロシアン化鉄も存在しないことが、アルカリ安定性に関して、著しい利点を表す。実施例23に記載したようにして調製した青色の真珠光沢のある顔料については、処理した試料および未処理の試料は、不透明性のわずかの低下(0.469から0.408へのHPIの低下)とともに小さい相対的色差(ΔE<2)を示した。
【0136】
(実施例33:酸安定性試験−赤色/ピンク色の真珠光沢のある顔料)
実施例18および6つの市販の赤色/ピンク色の雲母系の真珠光沢のある顔料を、酸安定性について試験した。試験した試料およびそれらの対応する成分を表17に列挙する。
【0137】
【表17】

【0138】
酸性溶液(蒸留水中のpH 1.5の濃HCl)を2重量%の顔料(表17を参照)と混合して懸濁液を調製した。この懸濁液を混合し、約20時間静置した。この顔料を濾過し、脱イオン水でリンスし、80℃で乾燥した。
【0139】
ドローダウン調製および色分析は、これまでの実施例に記載したようにして実施した。(処理の前後での)隠蔽力指数、ならびに黒色および白色のバックグラウンドに対して測定した処理した試料と未処理の試料との間の色差すなわちΔEを表18に示す。
【0140】
表18に示すように、実施例18のピンク色の真珠光沢のある顔料は、酸性条件への曝露後に、白色のバックグラウンドに対して最も低い色差(すなわちより低いΔE)を示した。Cosmica(登録商標) Redだけが、黒色のバックグラウンドに対して測定した、より低いΔEを示した。Cosmica(登録商標) Red試料について測定したΔEのこの低い値は、表19に示すように、そのL値(L=27.25)と黒色のバックグラウンドのL値(L=27.20)とが類似していることに起因する。現実には、Cosmica(登録商標) Red試料は、表20に示したように白色のバックグラウンドに対して測定した色座標の顕著な変化(ΔE=16.258)によって明らかであるように、著しい分解を示す。
【0141】
【表18】

【0142】
【表19】

【0143】
乾燥形態での改善された色の保持性に加えて、実施例18の顔料は、酸性溶液への着色剤の滲み出しの兆候を示さなかった唯一の試料であった。酸性懸濁液の濾過後、着色剤の滲み出しについて可視領域で濾液を分析した(図2を参照)。図2に示すように、本発明によって調製した顔料は、可視領域で目立った吸収を示さなかった唯一の濾液試料であった。市販の顔料を含むすべての酸性懸濁液は赤色の外観であり、これは酸性環境でのカルミン着色料の不安定性を示す。
【0144】
【表20】

【0145】
(実施例34:アルカリ安定性試験−緑色の真珠光沢のある顔料)
実施例27および3つの市販の緑色の雲母系の真珠光沢のある顔料を、アルカリ安定性について試験した。試験した試料およびそれらの対応する成分を表21に列挙する。
【0146】
【表21】

【0147】
塩基性溶液(pH 12.5、蒸留水中のNaOH)を2重量%の顔料(表21を参照)と混合して懸濁液を調製した。これらの懸濁液を混合し、約55時間静置した。次いで顔料を濾過し、脱イオン水でリンスし、80℃で乾燥した。
【0148】
ドローダウン調製および色分析は、実施例32に記載したようにして実施した。(処理の前後での)隠蔽力指数、ならびに黒色および白色のバックグラウンドに対して測定した処理した試料と未処理の試料との間の色差すなわちΔEを表22に示す。
【0149】
【表22】

【0150】
表21は、3タイプの緑色の真珠光沢のある顔料:雲母−TiO+Cr(Cloisonne GreenおよびBlue Green)、酸化鉄粒子と混合された雲母−TiO+Cr(Cloisonne Nu Antique Green)および実施例27からなる。実施例27の顔料と表21に示す市販の緑色の真珠光沢のある顔料との差異は、Crが存在しないことである。クロム含有化合物が存在しないことから、より多くの化粧品組成物、特に口唇領域に関係する用途での、これらの緑色の真珠光沢のある顔料の使用が可能になる。
【0151】
表22に示すように、実施例27に記載した緑色の真珠光沢のある顔料のアルカリ環境における色安定性(白色のバックグラウンドに対してΔE=2.49、および黒色のバックグラウンドに対してΔE=1.78)は、実施例23および実施例32に記載した青色の真珠光沢のある顔料について観察した値(白色のバックグラウンドに対してΔE=1.71および黒色のバックグラウンドに対してΔE=1.40)と一貫性がある。
【0152】
クロム不含であることに加えて、記載した緑色の真珠光沢のある顔料は、透明な(低HPI)および不透明な(高HPI)の両方の多様性で作製してよい。Crの層を含むTiOでコーティングされた雲母顔料は、一般に、表22に示すように透明な真珠光沢のある顔料(HPI=0.099)に制限される。他方、実施例27は、Cloisonne GreenおよびBlue Greenの両方よりもはるかに不透明である(HPI=0.505)。これは、実施例27についての粒度分布はCloisonneシリーズの顔料よりもわずかに高い(表21を参照)ことを考えると、意義深い。この特性によって、Crコーティングされた雲母系顔料に比べて、改善された隠蔽力または不透明性を有する、より光沢のある、緑色の真珠光沢のある顔料が可能になる。
【0153】
隠蔽力または不透明性を改善するために、従来のCrコーティングされた雲母系顔料は、Cloisonne Nu Antique Greenを調製するために使用される技術などのような、遊離しやすい酸化鉄粒子と組み合わせて不透明な緑色の真珠光沢のある顔料を作り出すことができる(表21を参照)。表22に示すように、これは、隠蔽力または表面被覆の著しい増加(HPI=1.351)をもたらす。しかしながら、この取り組みの重大な欠点は、過剰の光散乱に起因する光沢の低下、およびこれらの遊離しやすいプレートレット様でない粒子の存在から生じる一般にくすんだ外観である。この取り組みはまた、(表22に示す高ΔEによって示されるように)この遊離しやすい酸化鉄粒子がCrコーティングされた雲母系顔料から分離することに起因する液体調製物中での色安定性の著しい低下も生じさせる。
【0154】
(実施例35:半透明なカルミン不含の、赤色の真珠光沢のある顔料)
5つのカルミン不含の赤色の真珠光沢のある顔料および7つのカルミンを含有する赤色の真珠光沢のある顔料を比較した。表23を参照。これらの顔料のドローダウンの色は赤色であり、約275以上〜約50°以下の色相角を有していた。ドローダウン調製および色分析は、実施例32に記載したようにして実施した。各試料についてのCIELAB色座標および隠蔽力指数を表24に示す。実施例18の真珠光沢のある顔料は、約1未満のHPIを有するカルミンを含まない唯一の赤色の真珠光沢のある顔料であった。
【0155】
【表23】

【0156】
【表24】

【0157】
(実施例36:透明ゲルのリップグロス調製物)
表25に示す透明ゲルのリップグロスベースの構成要素を均一に混合し、80℃に加熱した。室温まで十分に冷却した後、実施例8から得た顔料を上記ベースゲルに対して2重量%で加え、十分に混合した。類似のリップグロス調製物は、実施例18、実施例19、実施例23、実施例24、実施例25、実施例27および実施例31から得た顔料を使用した。
【0158】
【表25】

【0159】
(予測的実施例47−爪用ワニス)
真珠光沢のある顔料を含む爪用ラッカーの化粧品組成物を、下記の表に示す成分から調製してよい。
【0160】
【表26】

【0161】
(予測的実施例48:口紅)
真珠光沢のある顔料を含む口紅の化粧品組成物を、下記の表に示す成分から調製してよい。
【0162】
【表27】

【0163】
(予測的実施例49:リップグロス)
真珠光沢のある顔料を含むリップグロスの化粧品組成物を、下記の表に示す成分から調製してよい。
【0164】
【表28】

【0165】
(予測的実施例50:マスカラ)
真珠光沢のある顔料を含むマスカラの化粧品組成物を、下記の表に示す成分から調製してよい。
【0166】
【表29】

【0167】
(予測的実施例51:フェースパウダー)
真珠光沢のある顔料を含むフェースパウダーの化粧品組成物を、下記の表に示す成分から調製してよい。
【0168】
【表30】

【0169】
(予測的実施例52:アイシャドー)
真珠光沢のある顔料を含むアイシャドーの化粧品組成物を、下記の表に示す成分から調製してよい。
【0170】
【表31】

【0171】
(予測的実施例53:ブラッシング)
真珠光沢のある顔料を含むブラッシングの化粧品組成物を、下記の表に示す成分から調製してよい。
【0172】
【表32】

【0173】
(予測的実施例54:整髪およびボディ用ジェル)
真珠光沢のある顔料を含む整髪およびボディ用ジェルの化粧品組成物を、下記の表に示す成分から調製してよい。
【0174】
【表33】

【0175】
(予測的実施例55:ローション)
真珠光沢のある顔料を含むローションの化粧品組成物を、下記の表に示す成分から調製してよい。
【0176】
【表34】

【0177】
(予測的実施例56:ファウンデーション)
真珠光沢のある顔料を含む口紅の化粧品組成物を、下記の表に示す成分から調製してよい。
【0178】
【表35】

【0179】
(実施例57:アイシャドークリーム)
【0180】
【表36】

【0181】
手順:
キサンタンガムおよびケイ酸マグネシウムアルミニウムを、混合物が滑らかなになるまで、高せん断混合を使用して脱イオン水に分散させて、相Aを形成した。トリエタンールアミン、プロピレングリコール、および水溶性保存料を相Aの滑らかなガム混合物に加え、滑らかになるまで混合した。ステアリン酸、ステアリン酸グリセリル、およびオレイルアルコールをゆっくりと撹拌しながら75±5℃に加熱して、相Dを形成した。
【0182】
当該真珠光沢のある顔料材料をゆっくりと撹拌しながら相A−Bの混合物に加え、75±5℃の温度に維持した。75±5℃の温度を維持しつつ、相Dをゆっくりと撹拌しながら相A−B−Cの混合物に加えた。一定の撹拌を維持し、混合物全体を35±5℃まで冷却した。
【0183】
このアイシャドークリームを皮膚に塗布したとき、以下の結果を観察した。
【0184】
【表37】

【0185】
(実施例58:アイシャドージェル)
【0186】
【表38】

【0187】
手順:
アクリレート/C10〜30アルキルアクリレート共重合体を、混合物が滑らかになるまで、高せん断混合を使用して脱イオン水に分散させた。グリセリン、トリエタンールアミン、および水溶性保存料を相Bの脱イオン水の一部に分散させ、次いで相Aの混合物に加え、滑らかになるまで、混合した。
【0188】
相Cの真珠光沢のある顔料材料を、ゆっくりと撹拌しながら室温で相A−Bの混合物に加えた。
【0189】
このアイシャドージェルの容器の上で、およびアイシャドージェルを皮膚に塗布した場合ともに、以下の結果を観察した。
【0190】
【表39】

【0191】
(実施例59:圧縮粉末)
【0192】
【表40】


手順:
タルク、ジメチコンおよびジメチコン共重合体、および保存料を十分にブレンドし、適切な乾式ブレンド/分散装置の中で分散させた。相Bの真珠光沢のある顔料材料を上記乾式ブレンドした成分に加え、均一になるまで混合した。
【0193】
この不透明な圧縮粉末アイシャドーを皮膚の上に塗布したとき、以下の色の移り変わり(travel)結果を観察した。
【0194】
【表41】

【0195】
(実施例60:マニキュア液)
【0196】
【表42】

【0197】
手順:
真珠光沢のある顔料(5部)を、Lightning(商標)タイプのプロペラミキサーを備えた適切なサイズの容器の中でマニキュア液ベース(95部)と混合した。これらの成分を均一になるまで混合した。
【0198】
透明な爪用エナメル中および爪に塗布したラッカー中の両方において、以下の強い色の移り変わり結果を観察した。
【0199】
【表43】

【0200】
(実施例60:高光沢の着色した口紅)
【0201】
【表44】

【0202】
手順:
ヒマシ油、イソノナン酸イソノニル、テトラカプリル酸/テトラカプリン酸ペンタエリスリチル(pentaerythrityl tetracaprylate/tetracaprate)、オクチルドデカノール、ラノリン油、カプリル酸/カプリン酸/ステアリン酸トリグリセリド、カンデリラワックス、カルナウバワックス、ポリブテンH−100、オゾケライト、ラノリンワックス、赤色 7 レーキ、保存料、および酸化防止剤をすべて秤量し、加熱した容器の中に入れた。温度を85±3℃まで上げた。これらの成分が融解し均一になるまで、それらを撹拌した。
【0203】
相Bの真珠光沢のある顔料を相Aのヒマシ油に分散させ、次いでコロイドミルまたはローラーミルのいずれかの中で粉砕した。次いで分散した顔料を加え、相Aの残りと混合した。次いで相Cの芳香剤を加え、一定の速度で撹拌しながら混合した。この組成物を75±5℃で注ぎ込み、次いで成形し、冷却し、口紅とした(flamed)。
【0204】
この不透明な高光沢の着色した口紅において以下の結果を観察した。
【0205】
【表45】

【0206】
(実施例61:高光沢の口紅)
【0207】
【表46】

【0208】
手順:
ヒマシ油、イソノナン酸イソノニル、テトラカプリル酸/テトラカプリン酸ペンタエリスリチル、オクチルドデカノール、ラノリン油、カプリル酸/カプリン酸/ステアリン酸トリグリセリド、カンデリラワックス、カルナウバワックス、ポリブテンH−100、オゾケライト、ラノリンワックス、保存料、および酸化防止剤をすべて秤量し、加熱した容器の中に入れた。温度を85±3℃まで上げた。これらの成分が融解し均一になるまで、それらを撹拌した。
【0209】
相Bの真珠光沢のある顔料を相Aのヒマシ油に分散させ、次いでコロイドミルまたはローラーミルのいずれかの中で粉砕した。次いで分散した顔料を加え、相Aの残りと混合した。次いで相Cの芳香剤を加え、一定の速度で撹拌しながら混合した。この組成物を75±5℃で注ぎ込み、次いで成形し、冷却し、口紅とした(flamed)。
【0210】
不透明な高光沢の口紅において以下の結果を観察した。
【0211】
【表47】

【0212】
(実施例62:透明ジェルのリップグロス)
【0213】
【表48】

【0214】
手順:
SunPearl Iridescent Greenの代わりにSunPearl Maroonを使用したことを除いて、実施例6に記載したようにして、真珠光沢のある顔料を調製した。次いで、200℃の温度で実施したことを除いて実施例8に記載した手順を使用して、この顔料を還元した。深くかつ強く着色した、不透明な、暗紫色の色調の真珠光沢のある顔料を得て、相Bとして使用した。
【0215】
水素化ポリイソブテン、エチレン/プロピレン/スチレン共重合体、ブチレン/エチレン/スチレン共重合体、パルミチン酸エチルヘキシル、ネオペンタン酸トリデシル、イソステアリン酸イソステアリル、および保存料をすべて秤量し、加熱した容器の中に入れた。温度を50±3℃まで上げた。これらの成分が融解し均一になるまで、それらを撹拌した。室温で、相Bの真珠光沢のある顔料を相Aに加え、すべての真珠光沢のある顔料がよく分散するまで混合した。必要に応じて芳香剤を加えて一定の速度で撹拌しながら混合してもよい。この組成物を室温で注ぎ込んだ。
【0216】
透明な透明ジェルのリップグロスにおいて以下の結果を観察した。
【0217】
【表49】

【0218】
(実施例63:入浴およびシャワー用ジェル)
【0219】
【表50】

【0220】
手順:
適切な容器の中で、アクリレート/C10〜30アルキルアクリレート共重合体を、一定の速度で撹拌しながら均一になるまで水に分散させた。相A成分の残りをこの混合物に加え、次いでこの混合物を65℃まで加熱した。一定の速度で撹拌しながら、相B成分を一度に加えた。この混合物を40℃まで冷却し、相Cおよび相Dの成分を加えた。
【0221】
この入浴およびシャワー用ジェルにおいて以下の結果を観察した。
【0222】
【表51】

【0223】
(実施例64:色彩効果のあるシャンプー)
【0224】
【表52】

【0225】
手順:
アクリレート共重合体を脱イオン水に加え、次いで穏やかに混合しながらラウレス硫酸ナトリウムを加えた。水酸化ナトリウムを用いてこの混合物のpHを6.5に調整した。撹拌しながら、相Bの成分を順にこの混合物に加えた。必要な場合は、水酸化ナトリウムを用いてpHを6.5に調整した。均一になるまで穏やかに撹拌しながら、相Cをこの混合物に加えた。
【0226】
この色彩効果のあるシャンプーにおいて、以下の結果を観察した。
【0227】
【表53】

【0228】
(実施例65:色彩効果のあるスタイリングジェル)
【0229】
【表54】

【0230】
手順:
相Aの成分を適切な容器の中で混合した。撹拌しながら、相Bの成分を順に加えた。透明ジェルが形成した後、相Cを加え、次いで撹拌しながら相Dを加えた。
【0231】
均一になるまで撹拌を維持した。
【0232】
この整髪用スタイリングジェルにおいて以下の結果を観察した。
【0233】
【表55】

【0234】
(実施例66:磁性の真珠光沢のある顔料)
SunPearl Bronze(20g、C84−6281、SunChemical)を、実施例8に記載したようにして還元し、深くかつ強く着色した、金色〜ベージュ色の真珠光沢のある顔料(対応するCIELAB色値については表7を参照)を得た。得られた顔料および出発の顔料の磁化率を、カリフォルニア州、サンタクルスのApplied Paleomagneticsによって、Bartington MS2磁化率測定装置を使用して、測定した。
【0235】
【表56】

【0236】
(実施例67:磁場を使用する実施例66の粒子の配列)
実施例66で調製した顔料およびSunPearl Bronzeの出発の顔料の顔料ドローダウンを、実施例32に記載したようにして調製した。
【0237】
4つの円形のボタン型磁石(13mm ProMAG(登録商標)、Magnetic Specialty LLC、ネオジム(等級35、12,300ガウス)磁石)を、50℃に維持したオーブン中でトレイ上に置いた。磁石を配置した後、0.64cm厚のガラスプレートを、この磁石の上に直接置いた。顔料懸濁液の塗布の直後に、不透明性カードをこのガラスプレート上に置き、各円形の磁石が、実施例66の出発の顔料および実施例66で調製した顔料の両方について、白色および黒色のバックグラウンドのすぐ下に置かれるようにした。実施例66で調製した顔料(磁化率=5.056×10−5/kg)は、白色および黒色のバックグラウンドの両方の上で、独特の奥行き知覚(depth of perception)で即座に三次元的な円形パターンに配向した。実施例66からの出発材料、SunPearl Bronze(磁化率=0.019×10−5/kg)は、この磁場の上に置いても変化を示さなかった。これは、その質量磁化率があまりに小さく、この磁場でこの顔料を配向させることができないことを示す。オーブン中で10〜15分間後、三次元像を硬化させ、このコーティング内で固定した。
【0238】
このコーティングのCIELAB値を、実施例32に記載したようにして測定した。整列した顔料は、磁石によって形成される円形の像の中心で測定した。三次元的な磁気による像の中央部分は、白色および黒色のバックグラウンドに対して黒に見える(Lは約30)。この黒色の外観は、プレートレット様の顔料が表面の法線方向に配向したことに起因するのかも知れない。この表面の法線方向に整列すると、反射に利用できる面積は大きく減少し、黒色の外観をもたらす。円形の像の中央部分(コーティング表面の法線方向の整列が最大)と印加した磁場がない領域との間の測定した色差(ΔE)は、表27に示すように、白および黒に対してそれぞれ25.9および27.2であった。
【0239】
【表57】

【0240】
(実施例68:緑色の真珠光沢のある顔料の磁気的特性)
実施例25に記載したようにして真珠光沢のある顔料を調製し、金色がかった黄色の吸収光と組み合わさった緑色の干渉色を有するネオンのような光沢のある顔料を形成した(実施例68a)。次いでこの顔料を、実施例27に記載した手順を使用して還元し、不透明なオリーブグリーンの、光沢のある真珠光沢のある顔料を形成した(実施例68b)。水素化の前後で測定したこの顔料の磁化率を表28に提示する。示すように、水素化後に磁化率はおよそ3桁増加した。
【0241】
【表58】

【0242】
両方の顔料についての顔料ドローダウンを作製し、実施例67に記載したようにして測定した。円形の像の中央部分(コーティング表面の法線方向の整列が最大)と印加した磁場がない領域との間の測定した色差(ΔE)は、白および黒に対してそれぞれ24.1および28.3であった。
【0243】
【表59】

【0244】
(実施例69:青色の真珠光沢のある顔料の磁気的特性)
実施例23に記載したようにして真珠光沢のある顔料を調製し、3.858×10−5/kgの質量磁化率を有する半不透明な光沢のある青色の真珠光沢のある顔料を形成した。
【0245】
この顔料についての顔料ドローダウンを作製し、実施例67に記載したようにして測定し、表30に示した。円形の像の中央部分(コーティング表面の法線方向の整列が最大)と印加した磁場がない領域との間の測定した色差(ΔE)は、白および黒に対してそれぞれ21.43および21.33であった。
【0246】
【表60】

【0247】
(実施例70:磁性の黒色の真珠光沢のある顔料の調製)
SunPearl Maroonを使用したことを除いて実施例68に記載したようにして、真珠光沢のある顔料を調製した。次いでこの顔料を、実施例8に記載した手順を使用して還元し、14.017×10−5/kgの質量磁化率を有する不透明な漆黒の真珠光沢のある顔料を形成した。
【0248】
この顔料についての顔料ドローダウンを作製し、実施例67に記載したようにして測定し、表31に示した。円形の像の中央部分(コーティング表面の法線方向の整列が最大)と印加した磁場がない領域との間の測定した色差(ΔE)は、白および黒に対してそれぞれ4.2および5.0であった。
【0249】
【表61】

【0250】
(実施例71:PVC中の真珠光沢のある顔料)
透明なプラスチゾル(plasticol)のPVCベース(Geon 121A、55重量部)、フタル酸ジイソデシル可塑剤(44重量部)、およびMark 4152安定剤(1重量部)を、均一になるまで混合した。実施例66の顔料(このPVCベースの1重量%)をこのPVCベースと混合した。6ミル(約152μm)のBirdアプリケーターを使用して、この未硬化のポリマーをガラスプレート上に1滴落として延ばした(厚み=0.32cm)。次いでこのガラスプレートを、180℃に加熱したオーブン中で8つの円形の磁石の上に置いた。5分後、可塑化したPVCドローダウンをこのオーブンから取り出し、放冷した。得られたプラスチックフィルムは、独特の奥行きを有する三次元的な円形の像を含む、温かみのあるベージュ色の真珠光沢のある外観を有する。
【0251】
(実施例72:化粧用の爪用エナメル用途への応用)
実施例66から得た顔料を4重量%で爪用エナメルベース(Tevco、製品8711)に加え、DAC150FVZ−Kモデル(Hauschild Engineering)高速ミキサーを使用して、3000rpmで3分間混合した。次いで3ミル(約76ミクロン)Birdアプリケーターを使用して、この爪用エナメルを不透明性カード(Leneta Form 3B)に塗布した。
【0252】
4つの円形のボタン型の磁石(13mm ProMAG(登録商標)、Magnetic Specialty LLC)を、50℃に維持したオーブン中でトレイ上に置いた。磁石を配置した後、0.64cm厚のガラスプレートを、この磁石の上に直接置いた。この爪用エナメルの塗布の直後に、不透明性カードをこのガラスプレート上に置き、2つの円形の磁石が、白色および黒色のバックグラウンドの両方のすぐ下に置かれるようにした。
【0253】
このカードを置くと、実施例66で調製した顔料は、白色および黒色のバックグラウンドの両方の上で、独特の奥行き知覚で即座に三次元的な円形パターンに配向した。
【0254】
(比較実施例73:市販の製品のアクリル系エナメルコーティング)
市販の着色した真珠光沢のある顔料を、その質量磁化率、およびコーティング中での整列および非整列の顔料のCIELAB色について試験した。
【0255】
【表62】

【0256】
実施例67で使用したドローダウン手順を、表32に列挙した顔料に適用した。このCloisonne(登録商標) Nu Antique Gold顔料への磁場の印加によっては、三次元的効果を作り出すための劇的なプレートレット再配列は示されず、代わりにこのコーティングは暗化しただけであった。この顔料は、プレートレット基材に結合しない磁性の酸化鉄粒子からできているかも知れない。結果として、磁場を印加しても、このプレートレットが整列して三次元効果を与えるということはない。他のコーティングのCIELAB値を、実施例67に記載したようにして測定した。
【0257】
【表63】

【0258】
表34は、実施例の磁気的に整列した領域と磁場がない領域との間の測定した色差(ΔE)が市販の顔料についての色差よりも高いことを示す。
【0259】
【表64】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
真珠光沢のある顔料であって、前記顔料は無機材料であり、かつ白色のバックグラウンドに対して測定した前記顔料の均一コーティングの色は、
約30以下のCIELAB L値および約3以下の彩度値;
約50〜約80°のCIELAB色相角、hab(ここで、Lは約85以下であり、かつ前記彩度値は22より大きい);
約80〜約275°のCIELAB色相角、hab(ここで、Lは約80以下であり、かつ前記彩度値は約10より大きい);および
約275以上〜約50°以下のCIELAB色相角、hab(ここで、Lは約85以下であり、かつ前記彩度値は約9より大きい)
からなる群から選択される、真珠光沢のある顔料。
【請求項2】
顔料が約1未満のHPIを有する、請求項1記載の顔料。
【請求項3】
白色のバックグラウンドに対して測定した、顔料の均一コーティングについてのアルカリ安定性のΔEが約2未満である、請求項1記載の顔料。
【請求項4】
白色のバックグラウンドに対して測定した、顔料の均一コーティングについての酸安定性のΔEが約4未満である、請求項1記載の顔料。
【請求項5】
約0.1×10−5〜約20×10−5/kgの磁化率を有する、請求項1に記載の真珠光沢のある顔料。
【請求項6】
基材および第1の層を含み、前記第1の層は酸化鉄を含み、前記酸化鉄中の鉄は約1%〜約30%のFe(II)、および約70%〜約99%のFe(III)を有する、請求項1記載の真珠光沢のある顔料。
【請求項7】
さらに、前記基材と前記第1の層との間に置かれた第2の層を含み、前記第2の層が、約1.6より大きいかまたは約1.4未満の屈折率を有する、請求項6に記載の真珠光沢のある顔料。
【請求項8】
さらに、前記基材と前記第1の層との間に置かれた第2の層を含み、前記第2の層が、TiO、Fe、ZrO、SnO、Cr、BiOCl、およびZnOからなる群から選択される酸化物を有する、請求項6に記載の真珠光沢のある顔料。
【請求項9】
顔料が外側保護コーティングを有する、請求項6記載の顔料。
【請求項10】
前記基材が、天然雲母、合成雲母、ガラス薄片、Alプレートレット、SiOプレートレット、BiOCl、ホウケイ酸塩、合成アルミナ、および窒化ホウ素からなる群から選択される、請求項6に記載の真珠光沢のある顔料。
【請求項11】
前記第1の層の平均厚みが約1nm〜約350nmである、請求項6記載の真珠光沢のある顔料。
【請求項12】
前記顔料が無機材料であり、前記顔料の磁気的に整列された均一コーティングおよび整列していない均一コーティングの、白色のバックグラウンドに対して測定したΔEが20以上である真珠光沢のある顔料。
【請求項13】
顔料が約1未満のHPIを有する、請求項12記載の顔料。
【請求項14】
白色のバックグラウンドに対して測定した、顔料の均一コーティングについてのアルカリ安定性のΔEが約2未満である、請求項12記載の顔料。
【請求項15】
白色のバックグラウンドに対して測定した、顔料の均一コーティングについての酸安定性のΔEが約4未満である、請求項12記載の顔料。
【請求項16】
基材および第1の層を含み、前記第1の層は酸化鉄を含み、前記酸化鉄中の鉄は約1%〜約30%のFe(II)、および約70%〜約99%のFe(III)を有する、請求項12記載の真珠光沢のある顔料。
【請求項17】
さらに、前記基材と前記第1の層との間に置かれた第2の層を含み、前記第2の層が、約1.6より大きいかまたは約1.4未満の屈折率を有する、請求項16に記載の真珠光沢のある顔料。
【請求項18】
前記基材が、天然雲母、合成雲母、ガラス薄片、Alプレートレット、SiOプレートレット、BiOCl、ホウケイ酸塩、合成アルミナ、および窒化ホウ素からなる群から選択される、請求項16に記載の真珠光沢のある顔料。
【請求項19】
前記顔料が無機材料であり、白色のバックグラウンドに対して測定した、顔料の均一コーティングについてのアルカリ安定性のΔEが約2未満である、真珠光沢のある顔料。
【請求項20】
基材および第1の層を含み、前記第1の層は酸化鉄を含み、前記酸化鉄中の鉄は約1%〜約30%のFe(II)、および約70%〜約99%のFe(III)を有する、請求項19記載の真珠光沢のある顔料。
【請求項21】
基材および第1の層の間に置かれた第2の層をさらに有し、該第2の層が約1.6よりも大きいか、または約1.4未満の屈折率を有する、請求項20記載の真珠光沢のある顔料。
【請求項22】
顔料が無機材料であり、前記顔料の均一コーティングについての酸安定性の、白色のバックグラウンドに対して測定したΔEが約4未満である、真珠光沢のある顔料。
【請求項23】
基材および第1の層を含み、前記第1の層は酸化鉄を含み、前記酸化鉄中の鉄は約1%〜約30%のFe(II)、および約70%〜約99%のFe(III)を有する、請求項22記載の真珠光沢のある顔料。
【請求項24】
さらに、前記基材と前記第1の層との間に置かれた第2の層を含み、前記第2の層が、約1.6より大きいかまたは約1.4未満の屈折率を有する、請求項23に記載の真珠光沢のある顔料。
【請求項25】
約0.1×10−5〜約7.5×10−5/kgの磁化率を有する、真珠光沢のある顔料。
【請求項26】
真珠光沢のある顔料を製造するためのプロセスであって、液体媒体中で、貴金属触媒の存在下で水素源を用いて、金属酸化物でコーティングされた基材を還元する工程を含む、プロセス。
【請求項27】
還元工程の前に、塩基の存在下で溶液から金属を沈殿させることにより金属酸化物で基材をコーティングする、請求項26記載のプロセス。
【請求項28】
還元工程の圧力が大気圧以上である、請求項26記載のプロセス。
【請求項29】
前記貴金属触媒の濃度が液体媒体1kgあたり約0.001〜約0.2gの貴金属触媒である、請求項26記載のプロセス。
【請求項30】
前記貴金属触媒の濃度が液体媒体1kgあたり約0.001〜約0.08gの貴金属触媒である、請求項26記載のプロセス。
【請求項31】
前記貴金属触媒が、Pt、Pd、Rh、Au、AgおよびTaからなる群から選択される金属を含む、請求項26記載のプロセス。
【請求項32】
前記貴金属触媒が、Ptを含む、請求項26記載のプロセス。
【請求項33】
基材が天然又は合成の雲母を含む、請求項26記載のプロセス。
【請求項34】
基材がTiOまたはFeでコーティングされた、天然又は合成の雲母を含む、請求項26記載のプロセス。
【請求項35】
触媒粒子が、サブミクロンの大きさを有する、請求項26記載のプロセス。
【請求項36】
触媒がナノ粒子を含む、請求項26記載のプロセス。
【請求項37】
コロイド状懸濁液が触媒を含む、請求項36記載のプロセス。
【請求項38】
コロイド状懸濁液がPtおよびポリビニルピロリドンポリマーを含む、請求項37記載のプロセス。
【請求項39】
金属酸化物がFeである、請求項26記載のプロセス。
【請求項40】
Fe(III)の約1%〜約30%がFe(II)に還元される、請求項39に記載のプロセス。
【請求項41】
水素源で、酸化鉄でコーティングされた基材を還元することを含み、鉄の約1%から約30%のみが還元される、真珠光沢のある顔料を製造するためのプロセス。
【請求項42】
還元が貴金属触媒の存在下で行われる、請求項41記載のプロセス。
【請求項43】
前記貴金属触媒が、Pt、Pd、Rh、Au、AgおよびTaからなる群から選択される金属を含む、請求項42記載のプロセス。
【請求項44】
酸化鉄がFeであり、還元された酸化鉄がFeOである、請求項41記載のプロセス。
【請求項45】
基材と第1の層を含む真珠光沢のある顔料であって、第1の層が酸化鉄を含み、前記酸化鉄中の鉄は約1%〜約30%のFe(II)、および約70%〜約99%のFe(III)を有する、真珠光沢のある顔料。
【請求項46】
酸化鉄の鉄が、顔料の重量の約1%から約15%で存在する、請求項45記載の真珠光沢のある顔料。
【請求項47】
酸化鉄層の平均厚さが、約10nmから約350nmである、請求項45記載の真珠光沢のある顔料。
【請求項48】
前記基材が、天然雲母、合成雲母、ガラス薄片、Alプレートレット、SiOプレートレット、BiOCl、ホウケイ酸塩、合成アルミナ、および窒化ホウ素からなる群から選択される、請求項45に記載の真珠光沢のある顔料。
【請求項49】
さらに、前記基材と前記第1の層との間に置かれた第2の層を含み、前記第2の層が、TiO、Fe、ZrO、SnO、Cr、BiOCl、およびZnOからなる群から選択される酸化物を有する、請求項48に記載の真珠光沢のある顔料。
【請求項50】
液体媒体が水を含む、請求項26記載のプロセス。
【請求項51】
真珠光沢のある顔料を含む化粧品組成物であって、該顔料が基材と第1の層を含み、該第1の層が酸化鉄を含み、前記酸化鉄中の鉄は約1%〜約30%のFe(II)、および約70%〜約99%のFe(III)を有する、化粧品組成物。
【請求項52】
さらにバインダーを含み、顔料が組成物の約0.5%から約99.5%で存在する、請求項51記載の化粧品組成物。
【請求項53】
前記第1の層の酸化鉄の鉄が、顔料の約1%から約15%で存在する、請求項51記載の化粧品組成物。
【請求項54】
化粧品組成物が爪用ポリッシュである、請求項51記載の化粧品組成物。
【請求項55】
化粧品組成物がリップスティックまたはリップグロスである、請求項51記載の化粧品組成物。
【請求項56】
化粧品組成物がマスカラである、請求項51記載の化粧品組成物。
【請求項57】
化粧品組成物がボディパウダーまたはフェースパウダーである、請求項51記載の化粧品組成物。
【請求項58】
化粧品組成物がアイシャドーである、請求項51記載の化粧品組成物。
【請求項59】
化粧品組成物が髪またはボディ用のジェルまたはウォッシュである、請求項51記載の化粧品組成物。
【請求項60】
化粧品組成物がローションである、請求項51記載の化粧品組成物。
【請求項61】
化粧品組成物がファンデーションである、請求項51記載の化粧品組成物。
【請求項62】
組成物の顔料が、組成物を施用する際または施用後に整列される、請求項51記載の化粧品組成物の施用方法。
【請求項63】
顔料の均一コーティングの色が緑であり、白色のバックグラウンドに対して測定した、約80から約170°のCIELAB色相角、habを有し、白色のバックグラウンドに対して測定した、顔料の均一コーティングについてのアルカリ安定性のΔEが約3未満である、請求項51記載の化粧品組成物。
【請求項64】
顔料の均一コーティングの色が赤、ピンクまたはスミレ色であり、白色のバックグラウンドに対して測定した、約275以上で約50°以下のCIELAB色相角、habを有し、白色のバックグラウンドに対して測定した、顔料の均一コーティングについての酸安定性のΔEが約4未満である、請求項51記載の化粧品組成物。
【請求項65】
顔料の均一コーティングの色が青であり、白色のバックグラウンドに対して測定した、約170から約275°のCIELAB色相角、habを有し、白色のバックグラウンドに対して測定した、顔料の均一コーティングについてのアルカリ安定性のΔEが約2未満である、請求項51記載の化粧品組成物。
【請求項66】
顔料の均一コーティングの色が緑であり、白色のバックグラウンドに対して測定した、約80から約170°のCIELAB色相角、habを有し、該顔料がCrを含まない、請求項51記載の化粧品組成物。
【請求項67】
顔料の均一コーティングの色が赤、ピンクまたはスミレ色であり、白色のバックグラウンドに対して測定した、約275以上で約50°以下のCIELAB色相角、habを有し、該顔料がカルミンを含まない、請求項51記載の化粧品組成物。
【請求項68】
顔料の均一コーティングの色が青であり、白色のバックグラウンドに対して測定した、約170から約275°のCIELAB色相角、habを有し、該顔料がフェロシアン化鉄を含まない、請求項51記載の化粧品組成物。
【請求項69】
真珠光沢のある顔料が無機材料であり、かつ白色のバックグラウンドに対して測定した前記顔料の均一コーティングの色は、約30以下のCIELAB L値および約3以下の彩度値を有する、請求項51記載の化粧品組成物。
【請求項70】
請求項51記載の化粧品組成物であって、真珠光沢のある顔料が無機材料であり、かつ白色のバックグラウンドに対して測定した前記顔料の均一コーティングの色が以下からなる群から選択される、化粧品組成物:
約50〜約80°のCIELAB色相角、hab(ここで、Lは約85以下であり、かつ前記彩度値は22より大きい);
約80〜約275°のCIELAB色相角、hab(ここで、Lは約80以下であり、かつ前記彩度値は約10より大きい);および
約275以上〜約50°以下のCIELAB色相角、hab(ここで、Lは約85以下であり、かつ前記彩度値は約9より大きい)。
【請求項71】
真珠光沢のある顔料が無機材料であり、かつ白色のバックグラウンドに対して測定した前記顔料磁気的に整列されたたものと整列されていないものとのΔE値は20以上である、請求項51記載の化粧品組成物。
【請求項72】
真珠光沢のある顔料が無機材料であり、かつ白色のバックグラウンドに対して測定した前記顔料の均一コーティングの色は、約30以下のCIELAB L値および約3以下の彩度値を有する、化粧品組成物。
【請求項73】
真珠光沢のある顔料を含む化粧品組成物であって、該真珠光沢のある顔料が無機材料であり、かつ白色のバックグラウンドに対して測定した前記顔料の均一コーティングの色が以下からなる群から選択される、化粧品組成物:
約50〜約80°のCIELAB色相角、hab(ここで、Lは約85以下であり、かつ前記彩度値は22より大きい);
約80〜約275°のCIELAB色相角、hab(ここで、Lは約80以下であり、かつ前記彩度値は約10より大きい);および
約275以上〜約50°以下のCIELAB色相角、hab(ここで、Lは約85以下であり、かつ前記彩度値は約9より大きい)。
【請求項74】
真珠光沢のある顔料を含む化粧品組成物であって、該真珠光沢のある顔料が無機材料であり、顔料の均一コーティングの色が赤、ピンク、またはスミレ色であり、白色のバックグラウンドに対して測定した、約275以上から約50°以下のCIELAB色相角、habを有し、白色のバックグラウンドに対して測定した、顔料の均一コーティングについての酸安定性のΔEが約4未満である、請求項51記載の化粧品組成物。
【請求項75】
真珠光沢のある顔料を含む化粧品組成物であって、該真珠光沢のある顔料が無機材料であり、顔料の均一コーティングの色が青であり、白色のバックグラウンドに対して測定した、約170から約275°以下のCIELAB色相角、habを有し、白色のバックグラウンドに対して測定した、顔料の均一コーティングについてのアルカリ安定性のΔEが約2未満である、請求項51記載の化粧品組成物。
【請求項76】
基材および第1の層を含み、前記第1の層は酸化鉄を含み、前記酸化鉄中の鉄は約1%〜約30%のFe(II)、および約70%〜約99%のFe(III)を有する真珠光沢のある顔料を含む、コーティングまたはインキ組成物。
【請求項77】
さらにバインダーを含み、顔料が組成物の約0.5%から約99.5%で存在する、請求項76記載のコーティングまたはインキ組成物。
【請求項78】
第1の層の酸化鉄の鉄は、顔料の約1重量%から約15重量%で存在する、請求項76記載のコーティングまたはインキ組成物。
【請求項79】
さらに、前記基材と前記第1の層との間に置かれた第2の層を含み、前記第2の層が、約1.6より大きいかまたは約1.4未満の屈折率を有する、請求項76記載のコーティングまたはインキ組成物。
【請求項80】
前記顔料の第1の層の平均厚みが約10nm〜約350nmである、請求項76記載のコーティングまたはインキ組成物。
【請求項81】
組成物が印刷用インキ、表面コーティング、レーザーマーキング用コーティング、顔料調製物、乾式調製物、食品着色料、織物用コーティング、建築用コーティング、合成繊維、繊維系製品、またはMICRトナーである、請求項76記載のコーティングまたはインキ組成物。
【請求項82】
真珠光沢のある顔料が無機材料であり、かつ白色のバックグラウンドに対して測定した前記顔料の均一コーティングの色は、約30以下のCIELAB L値および約3以下の彩度値を有する、請求項76記載のコーティングまたはインキ組成物。
【請求項83】
請求項76記載のコーティングまたはインキ組成物であって、真珠光沢のある顔料が無機材料であり、かつ白色のバックグラウンドに対して測定した前記顔料の均一コーティングの色が以下からなる群から選択される、コーティングまたはインキ組成物:
約50〜約80°のCIELAB色相角、hab(ここで、Lは約85以下であり、かつ前記彩度値は22より大きい);
約80〜約275°のCIELAB色相角、hab(ここで、Lは約80以下であり、かつ前記彩度値は約10より大きい);および
約275以上〜約50°以下のCIELAB色相角、hab(ここで、Lは約85以下であり、かつ前記彩度値は約9より大きい)。
【請求項84】
前記顔料が無機材料であり、前記顔料の磁気的に整列された均一コーティングおよび整列していない均一コーティングの、白色のバックグラウンドに対して測定したΔEが20以上である、請求項76記載のコーティングまたはインキ組成物。
【請求項85】
基材および第1の層を含み、前記第1の層は酸化鉄を含み、前記酸化鉄中の鉄は約1%〜約30%のFe(II)、および約70%〜約99%のFe(III)を有する真珠光沢のある顔料を含む、物品。
【請求項86】
さらにバインダーを含み、顔料が組成物の約0.1%から約70%で存在する、請求項85記載の物品。
【請求項87】
該物品はプラスチックを含み、顔料は組成物の約0.2%から約10%で存在する、請求項86記載の物品。
【請求項88】
さらに、前記基材と前記第1の層との間に置かれた第2の層を含み、前記第2の層が、約1.6より大きいかまたは約1.4未満の屈折率を有する、請求項85記載の物品。
【請求項89】
前記顔料の第1の層の平均厚みが約10nm〜約350nmである、請求項85記載の物品。
【請求項90】
組成物がプラスチック、ガラスまたはセラミック物質である、請求項85記載の物品。
【請求項91】
真珠光沢のある顔料が無機材料であり、かつ白色のバックグラウンドに対して測定した前記顔料の均一コーティングの色は、約30以下のCIELAB L値および約3以下の彩度値を有する、請求項85記載の物品。
【請求項92】
請求項85記載の物品であって、真珠光沢のある顔料が無機材料であり、かつ白色のバックグラウンドに対して測定した前記顔料の均一コーティングの色が以下からなる群から選択される、物品:
約50〜約80°のCIELAB色相角、hab(ここで、Lは約85以下であり、かつ前記彩度値は22より大きい);
約80〜約275°のCIELAB色相角、hab(ここで、Lは約80以下であり、かつ前記彩度値は約10より大きい);および
約275以上〜約50°以下のCIELAB色相角、hab(ここで、Lは約85以下であり、かつ前記彩度値は約9より大きい)。
【請求項93】
前記顔料が無機材料であり、前記顔料の磁気的に整列された均一コーティングおよび整列していない均一コーティングの、白色のバックグラウンドに対して測定したΔEが20以上である、請求項85記載の物品。
【請求項94】
真珠光沢のある顔料を含むコーティングまたは物品であって、前記顔料が無機材料であり、かつ白色のバックグラウンドに対して測定した前記顔料の均一コーティングの色は、約30以下のCIELAB L値および約3以下の彩度値を有する、コーティングまたは物品。
【請求項95】
真珠光沢のある顔料を含むコーティングまたは物品であって、真珠光沢のある顔料が無機材料であり、かつ白色のバックグラウンドに対して測定した前記顔料の均一コーティングの色が以下からなる群から選択される、物品:
約50〜約80°のCIELAB色相角、hab、でLは約85以下であり、かつ前記彩度値は22より大きい;
約80〜約275°のCIELAB色相角、hab、でLは約80以下であり、かつ前記彩度値は約10より大きい);および
約275以上〜約50°以下のCIELAB色相角、hab、でLは約85以下であり、かつ前記彩度値は約9より大きい)。
【請求項96】
白色のバックグラウンドに対して測定した、真珠光沢のある顔料の均一コーティングについてのアルカリ安定性のΔEが約2未満である、請求項95記載のコーティングまたは物品。
【請求項97】
白色のバックグラウンドに対して測定した、真珠光沢のある顔料の均一コーティングについての酸安定性のΔEが約4未満である、請求項95記載のコーティングまたは物品。
【請求項98】
真珠光沢のある顔料を含むコーティングまたは物品であって、前記顔料が無機材料であり、前記顔料の磁気的に整列された均一コーティングおよび整列していない均一コーティングの、白色のバックグラウンドに対して測定したΔEが20以上である、コーティングまたは物品。
【請求項99】
白色のバックグラウンドに対して測定した、真珠光沢のある顔料の均一コーティングについてのアルカリ安定性のΔEが約2未満である、請求項98記載のコーティングまたは物品。
【請求項100】
白色のバックグラウンドに対して測定した、真珠光沢のある顔料の均一コーティングについての酸安定性のΔEが約4未満である、請求項98記載のコーティングまたは物品。


【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−530467(P2010−530467A)
【公表日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513299(P2010−513299)
【出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【国際出願番号】PCT/US2008/064243
【国際公開番号】WO2008/156948
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(596024024)サン・ケミカル・コーポレーション (39)
【Fターム(参考)】