説明

大腸炎の治療のための組成物及び方法

本発明は、炎症性腸疾患(IBD)及び関連胃腸病態の治療に関する。本発明はまた、腫瘍壊死因子−α(TNFα)誘導性疾患やケモカイン媒介性疾患を含むサイトカイン媒介性疾患の治療に関する。本発明はまた、トール様受容体(4)に関連した疾患又は状態を有する動物を治療することに関する。具体的には、本発明は、サイトカイン媒介性であるか、又はトール様受容体(4)に関連した炎症性腸疾患(IBD)及び関連胃腸病態の治療に関する。より具体的には、本発明は、メチマゾール誘導体及び互変異性環状チオンを使用して、IBD及び関連胃腸病態を治療又は防止する方法に関する。本発明はまた、IBD及び関連胃腸病態の治療又は予防に有用であるメチマゾール誘導体及び互変異性環状チオンを含有する薬学的組成物に関する。本発明はまた、炎症性腸症候群及び関連胃腸病態を阻害並びに防止するために、腫瘍壊死因子−α(TNFα)誘導性血管細胞接着分子−1(VCAM−1)発現及びその結果生じる白血球−内皮細胞接着を阻害することが可能な薬学的配合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炎症性腸疾患(IBD)及び関連胃腸病態の治療に関する。本発明はまた、サイトカイン媒介性疾患、例えば腫瘍壊死因子−α(TNFα)誘導性疾患の治療に関する。本発明はさらに、ケモカイン媒介性疾患に関する。本発明はまた、異常トール様受容体4(TLR4)発現又はシグナル伝達に関連した疾患或いは状態を有する動物を治療することに関する。具体的には、本発明は、サイトカイン媒介性であるか、ケモカイン媒介性であるか、或いはトール様受容体4発現又はシグナル伝達に関連する炎症性腸疾患(IBD)及び関連胃腸病態の治療に関する。
【0002】
本発明は、国立科学財団により付与された助成第BES9733542号(0096303号)及びEHR0227907号の下で政府支援を伴って行われた。政府は、本発明において或る特定の権利を有し得る。
【0003】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2005年8月6日に出願された米国特許出願第10/912,948号(これは、その全体が参照により本明細書に援用される)の利益を主張する。
【背景技術】
【0004】
潰瘍性大腸炎は、大腸を苦しめる病因が未知の慢性炎症性疾患である。疾患の経過は、連続的又は再発的な軽度或いは重度であり得る。最初期の病変は、リーベルキューンの陰窩の基底部に膿瘍形成を伴う炎症性浸潤である。これらの膨張し、且つ破裂性の陰窩の癒着は、覆っている粘膜をその血液供給から切り離す傾向にあり、潰瘍形成を招く。疾患の徴候及び症状としては、痙攣、下腹部疼痛、直腸出血、並びに主として血液、膿及びわずかな糞便粒子を伴う粘液から構成される頻発する緩い放出物が挙げられる。総合的な結腸切除術が、急性で重度の又は慢性で不断の潰瘍性大腸炎に必要とされ得る。
【0005】
大腸炎を招き、且つ大腸炎を持続させる開始事象も一連の伝播事象も完全には解明されていない(1)。それにもかかわらず、トール様受容体4(TLR4)及び正常な胃腸グラム陰性菌の構成成分を含む機能不全性免疫応答が、大腸炎の病因において重要な役割を果たすことが次第に明らかとなっている(2)。したがって、初期工程は、CD14/TLR4複合体を含むプロセスであるマクロファージ抗原提示であり(1)、これはインターフェロン(IFN)生産及び放出、並びにIL−2のTリンパ球分泌を招く。IFNはマクロファージを活性化して、内皮細胞接着分子(ECAM)をアップレギュレートするTNFα及びIL−1を包含する様々なサイトカインを生産する。IP−10のようなケモカインもまた、大腸炎において重要であり(3)、クローン病(CD)及びUCの幾つかの実験的に誘導されるTh1媒介性モデルの1つである骨髄性細胞特異的Stat3欠損マウスの研究と関与が示されている。Stat3欠損マウスモデルはまた、疾患発現、欠陥IL−10シグナル伝達及びIL−12p40の異常生産とのTLR4の関与を示した。炎症性サイトカインは、白血球を活性化して、ECAMの増大された発現を誘導し(5、6)、十分に記載されている接着カスケードを介して白血球漸増及び管外遊出を招く(7)。したがって、要約すると、異常免疫/炎症性応答は、TLR4、炎症性サイトカイン、ケモカイン及びECAMの増大された発現、並びに白血球と過剰接着結腸微小血管系との間の増強された相互作用を特徴とする。
【0006】
腫瘍壊死因子α、即ちTNFαは、多数の免疫刺激薬に応答して主として単核食細胞により放出されるサイトカインである。動物又はヒトへ投与されると、腫瘍壊死因子αは、炎症、発熱、心血管系への影響、出血、凝固、並びに急性感染及びショック状態中に見られるものに類似した急性位相応答を引き起こす。したがって、過剰な又は未調節のTNFα生産は、内毒素血症、毒素性ショック症候群、悪液質及び成人呼吸促迫症候群(ARDS)を包含する多数の疾患状態との関与が示されている。TNFαは、関節炎を包含する骨吸収疾患に関与するようである。TNFαはまた、慢性炎症性疾患の領域でも役割を果たし、炎症における血管新生及び虚血に続く再灌流障害を誘導する。TNFαはまた、炎症誘発活性を有し、心筋梗塞、卒中及び循環性ショックを含むがこれらに限定されない幾つかの重要な障害において組織傷害を媒介する。内皮細胞上での細胞内接着分子−1(ICAM−1)、血管細胞接着分子−1(VCAM−1)及び内皮細胞白血球接着分子−1(ELAM−1、a/k/a E−セレクチン)のような接着分子のTNFα誘導性発現は、特に重要であり得る。TNFα封鎖は、慢性関節リウマチ及びクローン病において有益であることが示されている。
【0007】
上記観察は、免疫/炎症性応答を減衰させることにより大腸炎(及び関連疾患)を減少させようとする幾つかの療法的アプローチの開発につながっている。これらのアプローチは、TNFαに対するMAb(8)、ECAMに対するMAb(例えば、VCAM−1に対するMAb(9)、白血球βインテグリンに対するMAb(10)及びECAMの発現を転写レベルで阻止する化合物(11))の使用を包含する。
【0008】
メチマゾール(MMI)は、自己免疫グレーヴズ病又は原発性甲状腺機能亢進症の治療用に臨床的に広く使用されており(12)、ヒトにおける乾癬(13)、全身性狼瘡(14)、自己免疫眼瞼炎、自己免疫ブドウ膜炎、甲状腺炎及びマウス実験モデルにおける糖尿病(15〜18)を包含する幾つかの他の形態の自己免疫疾患を治療するのに有効であることが示されている。幾つかの観察により、MMIはまたECAM発現に影響を及ぼす場合があり、したがって潜在的な抗炎症性化合物であり得ることが示唆される。具体的には、(a)MMIで治療したグレーヴズ病患者は、循環可溶性E−セレクチン及び可溶性VCAM−1の低減されたレベルを有すること(19)並びに(b)MMIは、実験的大腸炎のラットモデルにおいて結腸粘膜損傷を減少させること(20)が報告されている。MMIよりも高い抗免疫効率を伴う誘導体化合物を同定する試みは、互変異性環状チオンであるフェニルメチマゾール(化合物10、C−10)が、狼瘡及び糖尿病の実験モデルにおいて50〜100倍も強力であり、且つはるかに有効的な作用物質であるという見解を導いた(18、21)。
【0009】
MMI及びC−10に関する観察により、本発明者等は、C−10が病理学的炎症を低減し得るという仮説を精査するに至った。最近の研究では、本発明者等は、炎症の体外モデルを使用して、この仮説を支持する証拠を見出した。具体的には、本発明者等は、C−10が、TNFα誘導性VCAM−1及びE−セレクチン発現の阻害により内皮細胞へのTNFα誘導性白血球細胞接着を低減し得ることを見出した(22)。この見解により、TNFα及びVCAM−1が大腸炎の病因との関与が示されている(1、8)という事実並びに炎症性カスケードを阻害する療法が大腸炎の治療において実に首尾よいことがわかっている(8、9)という事実と併せて、本発明者等は、大腸炎のための治療薬としてのC−10の使用を精査するに至った。この研究に関して、本発明者等は、ヒト大腸炎の十分確立されたモデルである大腸炎のDSS誘導性マウスモデルを使用した(23)。このモデルは、浮腫の存在、炎症性細胞の浸潤及び広範囲にわたる粘膜損傷により示される異常調節炎症性応答を特徴とする。本発明者等はこのモデルを使用して、大腸炎の肉眼的病態に対する、並びに大腸炎病態との関与が示されている重要な受容体、サイトカイン、ケモカイン及びECAMの発現に対するC−10の影響を評価した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
[発明の概要]
本発明は、サイトカイン媒介性活性を阻害する方法、並びにサイトカイン媒介性炎症性腸疾患及び関連胃腸病態の治療に関する。本発明はまた、微生物の生産物に対するTLR4媒介性先天免疫応答の誘導からおそらく得られるサイトカイン及びケモカインにより媒介される疾患を治療する方法を提供する。この方法は、先天免疫応答、サイトカイン、ケモカイン及び増大されたVCAM−1を阻害することが可能な治療上有効な量の本発明の1つ又は複数の化合物を、かかる治療を必要とする患者へ投与することを含む。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実施形態では、本発明は、治療を必要とする患者における胃腸障害を治療する方法であって、治療上有効な量の1つ又は複数のメチマゾール誘導体と互変異性環状チオンとのうち両方又は一方を上記患者へ投与することを含む方法を提供する。さらなる実施形態では、胃腸障害は、クローン病、潰瘍性大腸炎、細菌感染により誘導される腸疾患、不定型大腸炎、感染性大腸炎、薬物又は化学物質誘導性大腸炎、憩室炎、虚血性大腸炎、胃炎、過敏性腸症候群、消化性潰瘍、ストレス潰瘍、出血性潰瘍、胃酸過多症、消化不良、胃不全麻痺、ゾリンジャー・エリソン症候群、胃食道逆流疾患、短腸(吻合)症候群、全身性肥満細胞症又は好塩基球性白血病又は高ヒスタミン血症に関連した過分泌性状態である。さらなる態様では、本発明は、潰瘍性大腸炎、クローン病、不定型大腸炎、感染性大腸炎、薬物又は化学物質誘導性大腸炎、憩室炎及び虚血性大腸炎を包含するサイトカイン媒介性炎症性腸疾患の治療に関する。別の実施形態では、本方法は、サイトカイン媒介性潰瘍性大腸炎の治療を提供する。
【0012】
別の実施形態では、本発明は、サイトカインにより媒介される疾患を治療する方法を提供し、この方法は、治療上有効な量の1つ又は複数のメチマゾール誘導体と互変異性環状チオンとのうち両方又は一方を、かかる治療を必要とする患者へ投与することを含む。サイトカイン媒介性疾患は、以下の:後天性免疫不全症候群、急性及び慢性疼痛、急性化膿性髄膜炎、成人呼吸促迫症候群(ARDS)、アルツハイマー病、アフタ性潰瘍、関節炎、喘息、アテローム硬化症、アトピー性皮膚炎、骨吸収疾患、悪液質、慢性閉塞性肺疾患、うっ血性心不全、接触皮膚炎、クローン病、急性炎症性成分による皮膚病、糖尿病、内毒素血症、糸球体腎炎、対宿主性移植片病、顆粒球輸血、ギヤン・バレー症候群、炎症性腸疾患、らい病、白血球搬出、マラリア、外傷に続発する多臓器損傷、多発性硬化症、心筋梗塞、壊死性大腸炎及び血液透析に関連する症候群、変形性関節症、骨粗鬆症、乾癬、虚血に続く再灌流障害、経皮的経管的冠動脈形成術に続く再狭窄、慢性関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、敗血症、敗血症性ショック、卒中、全身性エリテマトーデス、熱傷、毒性ショック症候群、外傷性関節炎及び潰瘍性大腸炎から選択される。
【0013】
さらに別の態様では、上記方法は、細胞内又は細胞外サイトカイン、ケモカイン或いは関連媒介物質の内因性量を減少させる有効量の作用物質及び薬学的に許容可能なキャリア又は希釈剤を患者へ投与することを包含する。別の実施形態では、サイトカイン媒介性疾患又は病態に関与するサイトカインは、炎症性サイトカインである。さらに別の態様では、炎症性サイトカインは、TNFα、IL−1、IL−1β、IL−6及びIL−8が挙げられるがこれらに限定されない群から選択される。ケモカインは、IP−10、MCP−1、RNATES及びSDF−1が挙げられるがこれらに限定されない群から選択される。関連媒介物質は、リポ多糖結合タンパク質、TLR4、CD−14、GM−CSF及びG−CSFが挙げられるがこれらに限定されない群から選択される。
【0014】
本発明はまた、サイトカイン媒介性疾患を治療する方法を提供し、この方法は、有効なサイトカイン妨害量の本発明の1つ又は複数の化合物或いはそれらの薬学的に許容可能な塩又は互変異性体を投与することを含む。本発明の化合物は、下記の哺乳類による過剰な又は未調節のTNFα生産により悪化されるか、或いは引き起こされるヒト又は他の哺乳類被験体における任意の障害或いは疾患状態の治療に有用であるが、これに限定されない。別の実施形態では、メチマゾール誘導体及び互変異性環状チオン化合物は、有資格専門家の管理下で、TNFαの望ましくない影響を阻害するのに使用することができる。
【0015】
本発明はまた、潰瘍性大腸炎及び関連胃腸病態の阻害並びに防止のための腫瘍壊死因子−α(TNFα)誘導性血管細胞接着分子−1(VCAM−1)発現及びその結果生じる白血球−内皮細胞接着を阻害することが可能な薬学的配合物に関する。特に、メチマゾール誘導体及び互変異性環状チオンは、少なくとも部分的に望ましくない程度の腫瘍壊死因子−α(TNFα)誘導性血管細胞接着分子−1(VCAM−1)発現及びその結果生じる白血球−内皮細胞接着により引き起こされるか、或いはそれらに関連し、且つその防止、軽減又は治癒のために、TNFα誘導性VCAM−1発現及びその結果生じる白血球−内皮細胞接着が減少されるべきである疾患の治療に適している。
【0016】
一実施形態では、本発明は、TNFα誘導性VCAM−1発現を転写レベルで阻害することにより、病理学的炎症中に異常腫瘍壊死因子−α(TNFα)誘導性血管細胞接着分子−1(VCAM−1)発現及びその結果生じる白血球−内皮細胞接着を低減させる方法を提供する。具体的には、本発明は、メチマゾール誘導体又は互変異性環状チオンを使用して、TNFα誘導性VCAM−1発現及びその結果として起こる白血球−内皮細胞接着を調節する方法を提供する。
【0017】
本発明はまた、TNFα誘導性疾患又は病態を包含する任意の状態の治療のための、TNFα放出と体内活動との両方または一方を阻害する組成物並びに方法を包含し、当該任意の状態としては、内毒素誘導性敗血症、重度の敗血症及び敗血症性ショック、炎症、対宿主性移植片病、自己免疫疾患、急性呼吸促迫症候群、肉芽腫性疾患、慢性感染、移植拒絶反応、悪液質、細菌感染、ウイルス感染、寄生虫感染、真菌感染、外傷が挙げられるが、これらに限定されない。また、グラム陰性菌内毒素、グラム陽性菌内毒素、他の微生物因子又は感染因子を含む微生物毒素、並びにペプチドグリカン及びリポテイコ酸のような微生物病原体の細胞壁断片により媒介される疾患も包含される。TNFαは、炎症及び免疫性を調節するように作用し、一次免疫応答の発生における役割を果たす。特に、TNFαは、内毒素血症の致死率を高めるのに対して、TNFαの阻害は、致死的な内毒素血症に対する防御を付与する。同様に、TNFαの阻害は、毒素性ショック症候群に対する防御を付与する。TNFα活動・放出の阻害は、炎症性応答及びショックを治療するのに使用され得る。有益な効果は、ショック応答の初期段階及び後期段階の両方で、本発明により達成され得る。
【0018】
別の態様では、本発明は、細胞内又は細胞外サイトカインの内因性量を減少させる治療上有効な量の作用物質を、炎症性状態又は疾患を患う患者へ投与することにより、炎症性又は感染性の状態或いは疾患を治療する方法に関する。「炎症性又は感染性の状態或いは疾患」という用語は、自己免疫又は炎症性疾患(例えば、多発性硬化症、炎症性腸疾患、インスリン依存性糖尿病及び慢性関節リウマチ)、外傷、化学療法反応、移植拒絶反応、広汎性シュワルツマン反応、全身性炎症反応症候群、敗血症、重度の敗血症又は敗血症性ショックを包含するが、これらに限定されないことが当業者に理解されよう。
【0019】
さらなる態様では、本発明は、細胞内又は細胞外TNFαの内因性量を減少させる治療上有効な量の作用物質を、下記疾患を患う患者に投与することにより、対宿主性移植片病、急性呼吸促迫症候群、肉芽腫症性疾患、移植拒絶反応、悪液質、寄生虫感染、真菌感染、外傷及び細菌感染のような疾患を治療する方法に関する。
【0020】
本発明はまた、ケモカイン媒介性疾患又は病態を包含する任意の状態の治療のための、ケモカイン放出と体内活動とのうち両方または一方を阻害する組成物並びに方法を包含する。
【0021】
本発明はまた、ケモカイン媒介性活性を阻害する方法並びにケモカイン媒介性病態の治療方法に関する。目的の1つは、本発明の化合物を使用して、乾癬、アトピー性皮膚炎、喘息、COPD、成人呼吸疾患、関節炎、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、敗血症性ショック、内毒素性ショック、グラム陰性菌敗血症、毒素性ショック症候群、卒中、心臓及び腎臓再灌流障害、糸球体腎炎、血栓症、アルツハイマー病、対宿主性移植片反応、同種移植拒絶反応、マラリア、急性呼吸促迫症候群、遅延型過敏症反応、アテローム硬化症、大脳及び心臓虚血、変形性関節症、多発性硬化症、再狭窄、血管新生、骨粗鬆症、歯肉炎、呼吸器ウイルス、ヘルペスウイルス、肝炎ウイルス、HIV、カポージ肉腫関連ウイルス、髄膜炎、嚢胞性線維症、早期陣痛、咳、かゆみ症、多臓器機能不全、外傷、挫傷、捻挫、打撲傷、乾癬性関節炎、ヘルペス、脳炎、CNS血管炎、外傷性脳障害、CNS腫瘍、クモ膜下出血、術後の外傷、間質性肺炎、過敏症、結晶誘導性関節炎、急性及び慢性膵炎、急性アルコール性肝炎、壊死性大腸炎、慢性静脈洞炎、血管新生性眼疾患、眼炎症、未熟児網膜症、糖尿病性網膜症、湿式のものを含む黄斑変性、及び角膜血管新生、多発性筋炎、血管炎、挫瘡、胃及び十二指腸潰瘍、セリアック病、食道炎、舌炎、気道閉塞、気道過敏性、気管支拡張症、細気管支炎、閉塞性細気管支炎、慢性気管支炎、肺性心、咳、呼吸困難、気腫、高炭酸ガス症、過膨張、低酸素血症、低酸素症誘導性炎症、低酸素症、外科的肺気量整復、肺線維症、肺高血圧症、右心室肥大、連続携行式腹膜灌流(CAPD)に関連した腹膜炎、顆粒球性エールリヒア症、サルコイドーシス、末梢気道疾患、換気血流不均等、喘鳴、感冒、痛風、アルコール性肝臓疾患、狼瘡、熱傷治療、歯周炎並びに初期移植から成る群から選択されるケモカイン媒介性疾患を治療することである。
【0022】
本発明はまた、ケモカイン媒介性活性を阻害する方法並びにケモカイン媒介性疾患の治療方法に関し、当該ケモカイン媒介性疾患は、COPD、喘息又は嚢胞性線維症から選択される。別の実施形態では、本発明の化合物は、グルココルチコイド、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、β−2アドレナリン受容体アゴニスト、ムスカリン性M1及びM3アンタゴニスト、ムスカリン性M2アゴニスト、NK3アンタゴニスト、LTB4アンタゴニスト、システイニルロイコトリエンアンタゴニスト、気管支拡張薬、PDE4阻害剤、PDE阻害剤、エラスターゼ阻害剤、MMP阻害剤、ホスホリパーゼA2阻害剤、ホスホリパーゼD阻害剤、ヒスタミンH1アンタゴニスト、ヒスタミンH3アンタゴニスト、ドーパミンアゴニスト、アデノシンA2アゴニスト、NK1及びNK2アンタゴニスト、GABA−bアゴニスト、ノシセプチンアゴニスト、去痰薬、粘液溶解剤、うっ血除去薬、抗酸化薬、抗IL−8抗体、抗IL−5抗体、抗IgE抗体、抗TNF抗体、IL−10、接着分子阻害剤、成長ホルモン及び転写阻害剤(例えば、プロテアソーム阻害剤PS−519)から成る群から選択される1つ又は複数の薬物、作用物質或いは治療薬と併用して投与される。
【0023】
本発明は、ケモカイン媒介性活性を阻害する方法並びにケモカイン媒介性炎症性腸疾患及び関連胃腸病態の治療方法に関する。本発明は、ケモカイン媒介性疾患を治療する方法を提供し、この方法は、有効なケモカイン妨害量の本発明の1つ又は複数の化合物、或いはそれらの薬学的に許容可能な塩又は互変異性体を投与することを含む。本発明の化合物は、下記の哺乳類による過剰な又は未調節のケモカイン生産により悪化されるか、或いは引き起こされるヒト又は他の哺乳類における任意の障害或いは疾患状態の治療に有用であるが、これに限定されない。別の実施形態では、メチマゾール誘導体及び互変異性環状チオン化合物は、有資格専門家の管理下で、ケモカインの望ましくない影響を阻害するのに使用することができる。
【0024】
さらなる態様では、本発明は、潰瘍性大腸炎、クローン病、不定型大腸炎、感染性大腸炎、薬物又は化学物質誘導性大腸炎、憩室炎及び虚血性大腸炎を包含するケモカイン誘導性炎症性腸疾患の治療に関する。別の実施形態では、本発明の方法は、ケモカイン誘導性大腸炎の治療を提供する。
【0025】
一実施形態では、この態様はさらに、治療用ステロイドを患者へ投与することを包含する。非限定的な例として、治療用ステロイドとしては、例えば、コルチコイド、グルココルチコイド、デキサメタゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン及びベタメタゾンが挙げられ得る。さらなる態様では、本発明は、かかる治療を必要とする個体において細胞内又は細胞外サイトカイン或いはケモカインの内因性量を減少させる治療上有効な量の作用物質を投与することにより、治療用ステロイドの抗炎症活性を増強するか、或いは治療用ステロイドの有毒な副作用を低減させる方法に関する。
【0026】
別の態様では、本発明は、トール様受容体(TLR)又はそのシグナル伝達をダウンレギュレートする有効量の作用物質を患者へ投与することにより、サイトカイン誘導性疾患又は病態を包含する状態を治療する方法を包含する。一実施形態では、トール様受容体シグナル伝達をダウンレギュレートする作用物質は、細胞内又は細胞外サイトカインの内因性量を減少させることによりシグナル伝達をダウンレギュレートする。
【0027】
本発明はまた、トール様受容体4(TLR4)の発現を調節するための組成物及び方法を提供する。別の態様では、本発明は、細胞又は組織におけるトール様受容体4(TLR4)の発現を阻害する方法であって、トール様受容体4(TLR4)の発現が阻害されるように上記細胞又は組織を本発明の化合物の1つ又は複数と接触させることを含む方法を包含する。別の態様では、本発明は、トール様受容体4の過剰発現と関連した疾患又は状態を有する動物を治療する方法であって、トール様受容体4の発現が阻害されるように治療上又は予防上有効な量の本発明の1つ又は複数のメチマゾール誘導体及び互変異性環状チオン化合物を動物へ投与することを含む方法を包含する。
【0028】
さらに、サイトカイン誘導性疾患又は病態を包含する状態を治療する方法であって、トール受容体をダウンレギュレートする有効量の作用物質を患者へ投与することを含む方法が提供される。好ましくは、トール様受容体は、トール様受容体4である。別の実施形態では、上記方法はさらに、治療用ステロイドを投与することを含む。別の実施形態では、トール様受容体をダウンレギュレートする作用物質は、細胞内又は細胞外サイトカインの内因性量を減少させる。
【0029】
さらに、トール様受容体4に関連した疾患又は状態を有する動物を治療する方法であって、トール様受容体4の異常発現及びそのシグナル伝達が阻害されるように治療上又は予防上有効な量の本発明の化合物の1つ又は複数を動物へ投与することを含む方法が提供される。また、細胞又は組織におけるトール様受容体4の発現を阻害する方法であって、トール様受容体4の発現又はそのシグナル伝達が阻害されるように細胞又は組織を本発明の化合物の1つ又は複数と接触させる方法が提供される。一実施形態では、状態は、炎症性障害である。
【0030】
本発明は、トール様受容体4(「TLR−4」)活性を阻害する方法並びにトール様受容体4誘導性炎症性腸疾患及び関連胃腸病態の治療方法に関する。さらなる態様では、本発明は、潰瘍性大腸炎、クローン病、不定型大腸炎、感染性大腸炎、薬物又は化学物質誘導性大腸炎、憩室炎及び虚血性大腸炎を包含するトール様受容体4誘導性炎症性腸疾患の治療に関する。別の実施形態では、本方法は、トール様受容体4誘導性大腸炎の治療を提供する。
【0031】
本発明の目的の1つは、例えばTLR4の発現又はシグナル伝達を阻害することにより、TLR4の生物学的活性を阻害する方法を提供することである。本発明のさらなる目的は、TLR−4を阻害することが有益な効果を有するであろう疾患を治療する方法を提供することである。
【0032】
一実施形態では、トール様受容体4関連疾患は、1つ又は複数の、全身性エリテマトーデス、強皮症、シェーグレン症候群、多発性硬化症及び他の脱髄疾患、慢性関節リウマチ、若年性関節炎、心筋炎、ブドウ膜炎、ライター症候群、痛風、変形性関節症、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変症、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、再生不良性貧血、アディソン病、インスリン依存性糖尿病、内毒素性ショック、並びに他の疾患である。
【0033】
代替的な実施形態では、本発明の方法は、アテローム硬化症、移植アテローム硬化症、静脈移植アテローム硬化症、ステント再狭窄及び血管形成術再狭窄を包含するトール様受容体4媒介性先天免疫疾患を阻害するのに、またそれによりアテローム硬化症が引き起こす心血管疾患(これ以降「血管疾患」)を治療するのに使用される。これらの方法は、すでに存在するアテローム硬化症を低減させることにより、まだ形成されていないアテローム硬化症を阻害することにより、或いは既存のアテローム硬化症を低減すること及び新たなアテローム硬化症を阻害することの両方により益を享受することができる任意の患者において使用され得る。かかる患者としては、例えば、狭心症及びその亜型(例えば、不安定狭心症及び異型狭心症)、脳、心臓、骨及び腸のような臓器を冒す虚血、及び虚血に関連した症状(例えば、卒中、一過性虚血発作、心臓発作、骨壊死、大腸炎、腎機能不全及びうっ血性心不全)、四肢への血液循環不足及び血液循環不足の合併症(例えば、創傷治癒の遅延、感染及び跛行)、アテローム硬化症自体(アテローム硬化症病巣の血管形成術又はステント挿入後の再狭窄を含む)、バイパス手術後の静脈移植アテローム硬化症、移植アテローム硬化症並びにアテローム硬化症により引き起こされるか、又はアテローム硬化症に関連した他の疾患を患う患者が挙げられる。
【0034】
別の実施形態では、かかる疾患としては、例えば、アテローム硬化症及び血栓症のような血管疾患、血管形成術、ステント挿入後の再狭窄、並びにバイパス手術後の静脈移植疾患が挙げられる。
【0035】
本発明の化合物はまた、例えばステロイド、シクロオキソゲナーゼ−2阻害剤、NSAID、DMARDS、抗生物質、免疫抑制剤、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、LTBアンタゴニスト及びLTAヒドロラーゼ阻害剤、並びに抗細胞接着分子(例えば、E−セレクチン)と一緒に、部分的に又は完全に他の従来の抗炎症剤に代わって、同時療法で使用され得る。
【0036】
別の実施形態では、本発明は、胃腸炎症性疾患により引き起こされる炎症を低減させる方法を提供する。別の実施形態では、本発明は、大腸を冒す炎症性状態を患う被験体を治療する方法を提供する。別の実施形態では、大腸を冒す炎症性状態は、クローン病、潰瘍性大腸炎、感染性大腸炎、薬物又は化学物質誘導性大腸炎、憩室炎及び虚血性大腸炎から成る群から選択される。別の実施形態では、被験体は、大腸の部分的な又は完全に近い切除を受けている。別の実施形態では、上記方法は、大腸の炎症を包含する腸の炎症性状態を発症する危険性のある被験体を治療するのに予防的に使用される。
【0037】
本発明は、潰瘍性大腸炎の防止及び治療のための治療薬に関する。具体的には、本発明は、メチマゾール誘導体及び互変異性環状チオンの使用によるヒト並びに他の動物における潰瘍性大腸炎の防止及び治療を意図する。本発明は、メチマゾール誘導体又は互変異性環状チオンの特定のタイプに限定されるように意図されるものではない。
【0038】
別の実施形態では、本発明は、メチマゾール誘導体及び互変異性環状チオンを利用して、急性又は慢性潰瘍性大腸炎の症状を軽減し、且つ急性又は慢性潰瘍性大腸炎のエピソードから哺乳類(ヒトを包含する)を救済する方法を意図する。本発明はさらに、メチマゾール誘導体及び互変異性環状チオンを含む治療、並びに潰瘍性大腸炎の症状の発症後に使用される方法について教示する。
【0039】
別の実施形態では、本発明は、サリチル酸塩(スルファサラジン、オルサラジン及びメサラミンを包含する)、コルチコステロイド、免疫抑制薬(アザチオプリン及び6−メルカプトプリンを包含する)、抗生物質、抗接着分子(例えば、E−セレクチン)及びビタミンD化合物(例えば、1−α,25−ジヒドロキシビタミンD)と組み合わせたメチマゾール誘導体及び互変異性環状チオンを含む混合物(combination)を利用して、急性又は慢性潰瘍性大腸炎の症状を軽減し、且つ急性又は慢性潰瘍性大腸炎のエピソードから哺乳類(ヒトを包含する)を救済する方法を意図する。
【0040】
本発明は、(a)i)治療用の哺乳類、ii)メチマゾール誘導体及び互変異性環状チオンを含む治療用調製物を供給すること、並びに(b)メチマゾール誘導体及び互変異性環状チオンを哺乳類へ投与することを含む治療方法を意図する。
【0041】
別の実施形態では、本発明はまた、a)i)炎症性腸疾患の症状を有するヒト患者、ii)メチマゾール誘導体及び互変異性環状チオンを含む治療用配合物を準備しておくこと、並びにb)上記配合物を上記患者へ投与することを含む治療方法を意図する。
【0042】
別の実施形態では、本発明はまた、a)i)潰瘍性大腸炎の症状を有するヒト患者、ii)メチマゾール誘導体及び互変異性環状チオンを含む治療用配合物を準備しておくこと、並びにb)上記配合物を上記患者へ投与することを含む治療方法を意図する。
【0043】
上記実施形態では、上記投与することは、潰瘍性大腸炎の症状が低減されるような条件下で行われる。
【0044】
本発明の実施形態によれば、これらの新規化合物、組成物及び方法は、潰瘍性大腸炎及び関連胃腸病態の治療並びに防止に好適に使用される。本発明はまた、本発明の化合物を調製する方法及びこれらの方法で有用な中間体を提供する。
【0045】
一実施形態では、本発明は、メチマゾール(1−メチル−2−メルカプトイミダゾール)及びその誘導体の使用を提供する。別の実施形態では、本発明は、カルビマゾール(ネオメルカゾール)及びその誘導体として既知のメチマゾールのプロドラッグ形態の使用を提供する。
【0046】
別の実施形態では、本発明はメチマゾール、メトロニダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプト−5−ニトロベンズイミダゾール、2−メルカプト−5−メチルベンズイミダゾール、s−メチルメチマゾール、n−メチルメチマゾール、5−メチルメチマゾール、5−フェニルメチマゾール、及び1−メチル−2−チオメチル−5(4)ニトロイミダゾールから成る群から選択される1つ又は複数の化合物を含有する組成物の使用を提供する。好ましくは、5−フェニルメチマゾールが使用される。
【0047】
別の実施形態では、本発明は、潰瘍性大腸炎及び関連胃腸病態の治療のためのフェニルメチマゾール(化合物10、C−10)及びその誘導体の使用を提供する。
【0048】
本発明の化合物は、任意の従来の技法を使用して合成され得る。好ましくは、これらの化合物は、容易に入手可能な出発材料から化学的に合成される。
【0049】
本発明の化合物はまた、選択的な生物学的特性を増強するために、適切な官能性を付加することにより修飾され得る。かかる修飾は、当該技術分野で既知であり、所定の生物学的系(例えば、血液、リンパ系、中枢神経系)への生物学的浸透を増大させる修飾、経口による利用可能性を増大させる修飾、注射による投与を可能にさせるように溶解性を増大させる修飾、代謝を変更させる修飾及び排出の速度を変更させる修飾が挙げられる。
【0050】
いったん合成されると、本発明による化合物の活性及び特異性は、体外及び体内のアッセイを使用することにより決定してもよい。
【0051】
例えば、これらの化合物の炎症性腸疾患阻害活性の治療は、例えば直腸出血、血便、疼痛、結腸鏡検査、体重減少、結腸の長さ、結腸の組織学的分析、循環サイトカイン又はケモカインのレベル、循環抗原又は抗体のレベル、免疫細胞化学、循環中の又は自然に結腸管腔へ放出されるか、又は外科的に得られる結腸細胞の抽出物のPCR、或いは循環免疫細胞(例えば、単核白血球、T細胞又はTH−1ヘルパー細胞)の分析により、体内で測定され得る。体外のアッセイでは、例えば、これらの化合物の細胞接着阻害活性は、患者由来の又は連続培養におけるVCAM−1リガンド(例えば、VLA−4)発現細胞(例えば、単球、リンパ球)へのVCAM−1発現上皮又は内皮細胞の結合を阻止するのに要される阻害剤の濃度を確定することにより測定され得る。このアッセイでは、マイクロタイターウェルを、VCAM−1を発現することができる細胞(例えば、上皮又は内皮細胞)でコーティングする。ひとたびウェルがコーティングされたら、続いて、様々な濃度の試験化合物を、VCAM−1の発現を誘導することができるサイトカイン(例えば、TNFα)と一緒に添加する。或いは、試験化合物がまず添加されて、サイトカインの添加の前に上皮又は内皮細胞を含有するコーティングされたウェルとともにインキュベートさせてもよい。細胞を、少なくとも2時間、ウェル中でインキュベートさせる。インキュベーション後、適切に標識したVCAM−1リガンド発現細胞(例えば、単球、リンパ球)をウェルへ添加して、少なくとも30分間インキュベートさせる。インキュベーション期間後、ウェルを洗浄する。結合の阻害は、様々な濃度の試験化合物それぞれに関して、並びに試験化合物を含有しない対照に関して、プレートにおけるVCAM−1発現細胞へ結合された蛍光又は放射能を定量化することにより測定される。このアッセイにおいて利用され得るVCAM−1発現細胞としては、結腸細胞のような非免疫標的組織細胞が挙げられる。このアッセイにおいて使用されるVCAM−1リガンド発現細胞(例えば、単球、リンパ球)は、蛍光的に又は放射能により標識され得る。PCR又は抗体に基づくアッセイによる他のサイトカイン、ケモカイン又はTLR4 RNA若しくはタンパク質の測定はそれぞれ、同様に使用することができる。直接的な結合アッセイもまた、本発明の化合物の阻害活性を定量化するのに用いられ得る。
【0052】
特定の阻害剤が同定されると、それらはさらに、体内のアッセイで特性化されてもよい。かかるアッセイの1つは、病理学的炎症の他の十分確立された体内のモデル(例えば、慢性炎症(即ち、大腸炎)のマウスモデルにおける炎症性腸間膜内皮、発症しているアテローム硬化症病巣を伴うアポリポタンパク質E欠損(apoE−/−)マウスの単離頸動脈)における阻害剤の影響を試験する。
【0053】
これらの方法は、単剤療法で、或いは抗炎症剤又は免疫抑制剤と組み合わせて、本発明の化合物を使用し得る。かかる併用療法は、単回投薬形態での、或いは同時に又は異なる時間で投与される複数回投薬形態での作用物質の投与を包含する。
【0054】
本発明の上記概要は、本発明のそれぞれの実施形態又はあらゆる実施について記載するように意図されているものではない。利点及び達成は、本発明のより完全な理解とともに、添付の図面と併せて以下の詳細な説明及び特許請求の範囲を参照することにより明らかとなり、且つ理解されるであろう。
【0055】
この文書全体にわたって、温度はすべて、セ氏温度で与えられ、パーセントはすべて、別記しない限り重量パーセントである。本明細書で言及される刊行物はすべて、目下記載される本発明に関連して使用され得る刊行物において記載される組成物及び方法論について記載並びに開示する目的で、参照により本明細書に援用される。本明細書中で論述される刊行物は、本出願の出願日に先立つそれらの開示に関してのみ示されている。本明細書中のいずれの刊行物も、本発明が先行発明によりかかる開示に先行するものではないという承認として解釈されるべきではない。
【0056】
特許請求の範囲で規定されるような本発明は、以下の図面を参照してより良好に理解され得る。
【0057】
例示される実施形態の以下の説明において、実施形態の一部を成し、且つ例として本発明が実施され得る様々な実施形態が示される添付の図面を参照する。他の実施形態を利用してもよく、又本発明の範囲を逸脱することなく構造的及び機能的変更が成されてもよいことが理解されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
[発明の詳細な説明]
組織増強のための本発明の装置及び方法について記載する前に、本発明は、記載する特定の方法論、装置、配合物及び組成物に限定されず、したがって当然のことながら変化し得ることが理解されよう。同様に、本明細書中で使用される専門用語は、特定の実施形態のみについて記載する目的のためであり、本発明の範囲を限定するものと意図されず、本発明は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることが理解されよう。
【0059】
本明細書中で使用される場合、及び添付の特許請求の範囲において、単数を示唆する内容であっても、その文脈が明らかに他の場合を指示しない限りは複数の指示対象を包含することが留意されなくてはならない。別記しない限り、本明細書中で使用される技術用語及び科学用語はすべて、本発明が属する技術分野の熟練者に一般的に理解されるものと同義を有する。本明細書中に記載されるものに類似の、又は同等の任意の方法、装置及び材料は、本発明の実施又は実験で使用することができるが、ここで好ましい方法、装置及び材料について記載する。
【0060】
本明細書中で使用する場合、以下の用語は、以下に付与する定義を有するものとする。
【0061】
本明細書中で定義される薬学的に活性な化合物及び薬学的組成物の「投与」という用語は、それらの注射による(特に、非経口的に)ような全身的な使用、静脈内注入、坐剤及び経口投与、並びに化合物及び組成物の局所塗布を包含する。経口投与は、本発明において特に好ましい。
【0062】
「改善する」又は「改善」は、療法を受ける被験体における障害の有害な影響又は重篤性、当該技術分野で既知である手段におり確定される応答の重篤性の緩和を意味する。
【0063】
「ケモカイン」は、多種多様な細胞により放出されて、マクロファージ、T細胞、好酸球、好塩基球、好中球及び内皮細胞を炎症及び腫瘍成長の部位へ誘引する走化性サイトカインである。2つの主な種類のケモカイン、即ちCXC−ケモカイン及びCC−ケモカインが存在する。上記種類は、最初の2つのシステインが、単一アミノ酸により分離される(CXC−ケモカイン)か、又は隣接している(CC−ケモカイン)かどうかに依存する。CXC−ケモカインとしては、インターロイキン−8(IL−8)、好中球活性化タンパク質−1(NAP−1)、好中球活性化タンパク質−2(NAP−2)、GROα、GROβ、GROγ、ENA−78、GCP−2、IP−10、MIG及びPF4が挙げられる。CCケモカインとしては、RANTES、MIP−1α、MIP−2β、単球走化性タンパク質−1(MCP−1)、MCP−2、MCP−3及びエオタキシンが挙げられる。
【0064】
本明細書中の「適合性」とは、本発明を構成する組成物の構成成分が、通常の使用条件下で薬学的に活性な化合物の有効性を実質的に減少させる様式で相互作用することなく混合することが可能であることを意味する。
【0065】
「コルチコステロイド」とは、コレステロールに由来することができ、且つ水素化シクロペンタノペルヒドロフェナントレン環構造を特徴とする任意の天然に存在するステロイドホルモン又は合成ステロイドホルモンを意味する。天然に存在するコルチコステロイドは一般的に、副腎皮質により生産される。合成コルチコステロイドは、ハロゲン化され得る。活性に要される官能基としては、Δ4での二重結合、C3ケトン及びC20ケトンが挙げられる。コルチコステロイドは、グルココルチコイド、ミネラルコルチコイド活性を有し得る。
【0066】
例示的なコルチコステロイドとしては、例えば、デキサメタゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、二酢酸トリアムシノロン、トリアムシノロンヘキサアセトニド、べクロメタゾン、ジプロピオン酸塩、ジプロピオン酸べクロメタゾン一水和物、ピバル酸フルメタゾン、二酢酸ジフロラゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオロメトロン、酢酸フルオロメトロン、プロピオン酸クロベタゾール、デソキシメタゾン、フルオキシメステロン、フルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、ヒドロコルチゾンシピオネート、ヒドロコルチゾンプロブテート(hydrocortisone probutate)、吉草酸ヒドロコルチゾン、酢酸コルチゾン、酢酸パラメタゾン、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、テブト酸プレドニゾロン、ピバル酸クロコルトロン、21酢酸デキサメタゾン、17吉草酸ベタメタゾン、イソフルプレドン、9−フルオロコルチゾン、6−ヒドロキシデキサメタゾン、ジクロリゾン、メクロリゾン、フルプレジデン、ドキシベタゾール、ハロプレドン、ハロメタゾン、クロベタゾン、ジフルコルトロン、酢酸イソフルプレドン、フルオロヒドロキシアンドロステンジオン、フルメタゾン、ジフロラゾン、フルオシノロン、クロベタゾール、コルチゾン、パラメタゾン、クロコルトロン、21へミコハク酸遊離酸(21-hemisuccinate free acid)プレドニゾロン、メタスルホ安息香酸プレドニゾロン、及び21パルミチン酸トリアンシノロンアセトニドが挙げられる。「低用量コルチコステロイド」とは、炎症の治療のために患者に一般的に与えられるであろう用量よりも低い用量を意味する。例示的な低用量のコルチコステロイドは、次のとおりである:コルチゾール12mg/日;コルチゾン15mg/日;プレドニゾン3mg/日;メチルプレドニゾロン2.5mg/日;トリアメイノロン2.5mg/日;ベタメタゾン250μg/日;デキサメタゾン450μg/日;ヒドロコルチゾン9mg/日。
【0067】
「クローン病」は、胃腸管のすべての領域で起こり得る。この疾患により、炎症及び線維症に起因した腸閉塞が多数の患者で起きる。肉芽腫及び瘻孔形成は、クローン病の頻発する合併症である。疾患進行の結果は、静脈内栄養補給、手術及び結腸造瘻術を包含する。
【0068】
「炎症性腸疾患」(「IBD」)は、不明瞭な起源の慢性的な再発性の腸炎症により定義される。炎症性腸疾患としては、潰瘍性大腸炎、クローン病、不定型大腸炎、感染性大腸炎、薬物又は化学物質誘導性大腸炎、憩室炎及び虚血性大腸炎が挙げられる。これらの疾患は、腸における炎症性応答の抑制のない活性化に起因するようである。IBDを有する患者において、腸の内層の潰瘍及び炎症は、腹部疼痛、下痢及び直腸出血の症状を招く。潰瘍性大腸炎は、大腸で起きるのに対して、クローン病では、上記疾患は、GI管全体並びに小腸及び大腸を包含し得る。ほとんどの患者に関して、IBDは、数ヶ月から数年間持続する症状を伴う慢性状態である。IBDは、若年成人で最も一般的であるが、どの年齢でも起こり得る。IBDの臨床的な症状は、断続的な直腸出血、痙攣性腹痛、体重減少及び下痢である。IBDの診断は、臨床的な症状、バリウム注腸の使用に基づくが、直接的な可視化(S状結腸鏡検査法又は結腸鏡検査法)は最も精密な試験である。長期化したIBDは、結腸癌に対する危険因子であり、IBDの治療は、投薬及び手術を包含し得る。
【0069】
本明細書中で使用する場合、「炎症性腸疾患を有する疑いがある被験体」という用語は、潰瘍性大腸炎、クローン病又は慢性的な再発性の腸炎症を有すること、及び潰瘍性大腸炎、クローン病又は慢性的な再発性の腸炎症の1つ又は複数の症状を有することが可能な任意の動物(ヒト、非ヒト霊長類、ウサギ、ラット又はマウスを包含する)、特にヒトを意味する。
【0070】
本明細書中で使用する場合、「潰瘍性大腸炎」又は「UC」という用語は、潰瘍性大腸炎の特徴的な内視鏡的又は組織病理学的特徴を付随する左側結腸疾患の臨床的な特徴を有する疾患を意味する。左側結腸疾患の臨床的な特徴は、本明細書中で使用する場合、直腸出血、尿意促迫及びテネスムスである。直腸出血は、粘液分泌を伴う場合がある。UCに存在し得るさらなる臨床的な特徴としては、発熱、ブドウ膜炎、慢性関節リウマチ及び他の免疫/炎症性疾患或いは合併症が挙げられる。潰瘍性大腸炎(UC)における胃腸損傷の原因となる因子は、リンパ球及び特定の内皮細胞接着分子(ECAM)を包含する無調節のサイトカイン媒介性炎症性応答である。本発明は、潰瘍性大腸炎及び関連胃腸病態を抑制するための新規治療的アプローチを提供する。
【0071】
左側結腸疾患の臨床的な特徴を伴って存在して潰瘍性大腸炎を示す場合、潰瘍性大腸炎の特徴的な内視鏡的特徴は、近接した又は連続的な炎症よりも遠位でより重篤である炎症である。潰瘍性大腸炎に存在し得るさらなる典型的な内視鏡的特徴としては、直腸から近接して伸長する炎症、又は浅い潰瘍形成、又は深部の潰瘍形成の欠如が挙げられる。
【0072】
本明細書中で使用する場合、「潰瘍性大腸炎を伴う患者」という用語は、本明細書中で定義するような潰瘍性大腸炎の特徴的な内視鏡的又は組織病理学的特徴を付随する左側結腸疾患の臨床的な特徴の存在により定義されるような潰瘍性大腸炎を有する患者を意味する。
【0073】
「潰瘍性大腸炎の臨床的なサブタイプ」という用語は本明細書中で使用する場合、疾患の特徴が、潰瘍性大腸炎を有する他の患者よりも互いに類似している潰瘍性大腸炎を有する患者の部分集団を意味する。
【0074】
「潰瘍性大腸炎の症状」という語句は、本明細書中では腹部疼痛、下痢、直腸出血、体重減少、発熱、食欲の喪失及び他のより重症な合併症(例えば、脱水、貧血及び栄養失調)のような検出される症状に定義される。多数のかかる症状は、定量的な分析(例えば、体重減少、発熱、貧血等)に付される。症状によっては、血液試験(例えば、貧血)又は血液の存在を検出する試験(例えば、直腸出血)から容易に確定される。「ここで、上記症状は低減される」という語句は、疾患からの回復の速度(例えば、体重増加の速度)に対する検出可能な影響を包含するがこれらに限定されない検出可能な症状の定性的又は定量的な低減を指す。
【0075】
「潰瘍性大腸炎に対する危険性のある」という語句は本明細書中では、潰瘍性大腸炎に対する増大された危険性を有する世界人口の一部を包含するとして定義される。本発明は、1つの可能性として管腔へ又は管腔での投与を意図する。「管腔へ又は管腔で投与される」等の語句は本明細書中では、腸の内部における腔への送達として定義される。かかる送達は、様々な賦形剤中で(例えば、錠剤、坐剤等)様々な経路(例えば、経口、直腸等)により達成することができる。一実施形態では、管腔への又は管腔での投与は、固有層(又は小腸壁の領域若しくは粘膜に対して橈側の領域)へのメチマゾール誘導体及び互変異性環状チオンの送達をもたらす。固有層は、緩い輪紋状の結合組織として分類されるが、リンパ的な傾向を伴って、細菌感染に対する防御バリアとして推定上機能するリンパ系材料として分類される。
【0076】
「患者」という用語は本明細書中で使用する場合、本発明の化合物、組成物及び方法による治療から益を享受し得る任意の哺乳類、動物又はヒト被験体を包含すると意図される。
【0077】
「薬学的に許容可能な」は、本明細書中で定義される薬学的組成物及び方法で使用される薬学的に活性な化合物及び他の成分が、合理的な有益性/危険性の比に相応して、過度の毒性、刺激、アレルギー反応等を伴わずにヒト及び下等動物の組織と接触させた使用に適切であることを意味するものとする。
【0078】
「プロドラッグ」という用語は、内因性酵素若しくは他の化学物質の作用、条件より身体又はそれらの細胞内で活性形態(即ち、薬物)へ変換される不活性形態で調製される治療剤を示す。
【0079】
「安全且つ有効な量」という語句は、TLR4媒介性疾患発現、異常サイトカイン又はケモカイン生産の阻害、並びに細胞接着及び細胞接着媒介性病態の防止を達成するのに十分な量の薬学的に活性な化合物を意味する。思慮分別のある医学的判断の範囲内で、薬学的に活性な作用物質又は該活性作用物質を含有する薬学的組成物の所要の投与量は、治療される状態の重篤性、治療の持続期間、補助的な治療の性質、患者の年齢及び体調、用いられる特定の活性化合物、並びにこれ以降でより完全に論述される同様の考慮事項によって様々である。特定の化合物に関する「安全且つ有効な量」に達する際、これらの危険性、並びに本明細書中に記載する化合物が従来のメチマゾール化合物よりも低い投与量レベルで薬学的活性を提供するという事実が考慮されなくてはならない。
【0080】
本明細書中で使用する場合、「TNF媒介性障害」という用語は、TNF自体の制御により、或いは別のモノカインを放出させる(例えば、IL−1、IL−6又はIL−8であるが、これらに限定されない)TNFにより、TNFが役割を果たすありとあらゆる障害並びに疾患を指す。したがって、例えば、IL−1が主要な構成成分であり、且つその生産又は作用がTNFに応答して悪化或いは分泌される疾患状態は、TNFにより媒介される障害とみなされる。
【0081】
「トール様受容体」又は「TLR」は、その細胞外ドメインにおける反復したロイシンリッチなモチーフ及びトール/IL1受容体(TIR)ドメインと呼ばれる保存領域を含有する細胞質側末端を含有するI型膜貫通タンパク質である。少なくとも10個の哺乳類TLRタンパク質、即ちトール様受容体1〜10が同定されている。TLRは、微生物を検知することにより侵入病原体に対する初期先天免疫性において重要な役割を果たす、ショウジョウバエトール遺伝子の相同体であるこれらの進化的に保存された受容体は、病原体関連微生物パターン(PAMP)と呼ばれる微生物病原体によってのみ発現される高度に保存された構造モチーフを認識する。PAMPは、リポ多糖(LPS)、ペプチドグリカン(PGN)及びリポペプチドのような様々な細菌細胞壁構成成分、並びにフラゲリン、細菌DNA及びウイルス二重鎖RNAを包含する。したがって、TLRは、病原性生物の産物に対して「先天免疫」応答を発生することにより、ウイルス又は細菌のような病原性生物から哺乳類を防御する(24〜27)。先天免疫応答は、幾つかの炎症性サイトカイン並びに補助刺激分子に関する遺伝子の増大をもたらし、抗原特異的適応免疫性の発生に重要である(24〜27)。PAMPによるTLRの刺激は、多数のタンパク質(例えば、MyD88及びIRAK1)を包含するシグナル伝達カスケードを開始させる。このシグナル伝達カスケードは、炎症性サイトカイン(例えば、TNFα及びIL1)及び適応免疫応答を誘導するエフェクターサイトカインの分泌を誘導する転写因子NF−κBの活性化を招く。TLR−4は、LPSを特異的に認識する。TLRは、ほとんどの単球、マクロファージ又は免疫細胞中に存在するが、ヒトにおいては、TLR4は、樹状細胞のみに制限されると考えられていた。最近、TLR4 mRNAは、炎症性腸疾患に関連した腸上皮細胞において認識されている。しかしながら、RNAが、APC形成を誘導するシグナルを発生する機能的受容体をコードするかどうか、これが、リンパ系細胞に組織を標的とさせる腸上皮細胞の主要な作用であるかどうか、或いはそれが、免疫細胞浸潤に対する二次応答であるかどうかは不明確である。
【0082】
具体的に、また腸の疾患に関連付けて、TLR4は、腸内微生物叢を含むグラム陰性菌由来の細菌リポ多糖を認識する(24〜27)。TLR4は、2つの別個の経路を活性化する(24〜27)。アダプター分子であるMyD88による第1のシグナルは、NFκB、MAPK及び様々なサイトカインを活性化させる(24〜27)。IFN−β/TIR含有アダプター分子(TRIF/TICAM)−1を誘導するTIRドメイン含有分子アダプターと称されるアダプター分子による第2の対は(24〜27)、IFN調節因子(IRF)−3を活性化し、I型IFN(α又はβ)の合成及び放出を引き起こす。I型IFNは、正のフィードバックループを誘導して、さらにTLR4をアップレギュレートさせることができるか、或いは他の細胞と相互作用することができる(それらの抗ウイルス遺伝子防護プログラムに密接に関連した現象)。したがって、TLRのリガンド会合は、NF−κBの活性化、並びに適応免疫応答の活性化に要されるサイトカイン及び補助刺激分子並びに1型インターフェロンの誘導をもたらす。トールとして既知のショウジョウバエタンパク質に対するヒト相同体であるヒトトール様受容体4(TLR4及びhTollとしても既知)は、ヒト胎児肝臓/脾臓ライブラリーからクローニングされて、特性化されて、染色体9q32−33にマッピングされた。トール様受容体4 mRNA発現は、免疫系の細胞:単球、マクロファージ、樹状細胞、γΔT細胞、Th1及びTh2 αβT細胞並びにB−細胞において検出され得る。発現はまた、腸上皮、甲状腺細胞、心筋細胞及び胎盤でも検出されている。
【0083】
「治療する」、「治療すること」、「治療」及び「療法」は本明細書中で使用する場合、被験体のための任意の治癒的療法、予防的的療法、改善的療法及び防止的療法を指す。
【0084】
本発明は、炎症性腸疾患(IBD)及び関連胃腸病態の治療に関する。本発明はまた、腫瘍壊死因子α(TNFα)誘導性疾患及びケモカイン誘導性疾患を包含するサイトカイン媒介性疾患の治療に関する。本発明はまた、トール様受容体4に関連した疾患又は状態を有する動物を治療することに関する。具体的には、本発明は、サイトカイン媒介性であるか、又はトール様受容体4に関連した炎症性腸疾患(IBD)及び関連胃腸病態の治療に関する。本発明はまた、かかる疾患を治療する方法であって、治療上有効な量のサイトカイン媒介性であるか、ケモカイン媒介性であるか、或いはトール様受容体4過剰発現又はシグナル伝達に関連した病態を阻害することが可能な本発明の1つ又は複数の化合物を、かかる治療を必要とする患者へ投与することを含む方法を提供する。
【0085】
本発明の薬学的組成物は、薬学的に許容可能なキャリアと一緒に、安全且つ有効な量で使用される具体的に定義されるメチマゾール誘導体及び互変異性環状チオンを含む。
【0086】
本発明の組成物において使用されるメチマゾール誘導体は、下記構造式を有するものである:
【0087】
【化1】

【0088】
これらの式において、Yは、H、C〜Cアルキル、C〜C置換アルキル、−NO及び下記フェニル部分:
【0089】
【化2】

【0090】
から選択され、ここで活性化合物中のわずか1つのY基が、フェニル部分であってもよく、Rは、H、−OH、ハロゲン(F、Cl、Br又はI)、C〜Cアルキル、C〜C置換アルキル、C〜Cエステル又はC〜C置換エステルから選択され、Rは、H、C〜Cアルキル又はC〜C置換アルキルから選択され、Rは、H、C〜Cアルキル、C〜C置換アルキル又は−CHPh(ここで、Phはフェニルである)から選択され、Rは、H、C〜Cアルキル又はC〜C置換アルキルから選択され、Xは、S又はOから選択され、Zは、−SR、−OR、S(O)R、又はC〜Cアルキルから選択され、ここでYがフェニル部分でない場合、化合物中のR基及びR基の少なくとも2つはC〜Cアルキルであり、またZがアルキルである場合、少なくとも1つのYは−NOであり、薬学的に許容可能なキャリアを伴う。
【0091】
Yは、好ましくはH、下記フェニル部分又は−NOであり、最も好ましくはH又は下記フェニル部分である:
【0092】
【化3】

【0093】
定義される化合物において、わずか1つのY基が、フェニル部分であってもよい。Rは、H、−OH、ハロゲン(F、Cl、Br及びI)、C〜Cアルキル、C〜C置換アルキル、C〜Cエステル及びC〜C置換エステルから選択され、好ましくはRは、H、−OH、ハロゲン、−OOCCHM(ここで、Mは、H又はハロゲンである)であり、最も好ましくはHである。Rは、H、C〜Cアルキル及びC〜C置換アルキルから選択され、好ましくはR基の一方又は両方がメチルである。本明細書中で使用する場合、「置換アルキル」又は「置換エステル」は、1つ又は複数の場所でヒドロキシル又はアルコキシル基、カルボキシル基、ハロゲン、ニトロ基、アミノ又はアシルアミノ基及びそれらの部分の混合物で置換されるアルキル、アリール又はエステル基を包含すると意図される。好ましい「置換アルキル」基は、C〜Cヒドロキシル又はアルコキシル基、並びにハロゲンで置換された基である。上記式中のR基は、H、C〜Cアルキル、C〜C置換アルキル及び−CHPh(ここで、Phはフェニルである)から選択され、好ましい化合物では、Rは、H又はC〜Cアルキルであり、最も好ましくはRは、C〜Cアルキル、特にメチルである。Rは、H、C〜Cアルキル及びC〜C置換アルキルから選択され、好ましくはHである。Xは、S又はOであってもよく、好ましくはSである。最後に、Zは、C〜Cアルキル、−SR、−S(O)R及び−ORから選択され、好ましくは−SR、−OR及び−S(O)Rであり、最も好ましくは−SR及び−OR、特に−SRである。上記式中において、Yがフェニル部分でない場合、化合物上のR基及びR基の少なくとも2つは、C〜Cアルキルでなくてはならない。さらに、ZがC〜Cアルキルである場合、Y基の少なくとも1つは−NOであるべきである。
【0094】
本発明で有用な化合物は、下記式:
【0095】
【化4】

【0096】
(式中、
、R=CH、CH;Ph、H;H、Phであり、
=H、CHであり、
=O、S、NH、NCHである)
を有するKjellin and Sandstrom, Acta Chemica Scandanavica 23: 2879-2887(1969)(参照により本明細書に援用される)に開示される互変異性環状チオンを包含する。
【0097】
本発明の組成物における使用に好ましい化合物としては、下記式を有する化合物が挙げられる:
【0098】
【化5】

【0099】
好ましい組成物の別の群としては、下記式:
【0100】
【化6】

【0101】
(式中、R10は、H、NO、Ph、4−HOPh及び4−m−Ph(ここで、mは、F、Cl、Br又はIである)から選択される)
を有するものが挙げられる。
【0102】
本明細書中で定義される薬学的化合物の特に好ましいサブセットは、Y基の1つが上記で定義されるフェニル部分であるものである。これらの化合物は、下記式を有する:
【0103】
【化7】

【0104】
これらの化合物において、Yは、H、C〜Cアルキル及びC〜C置換アルキルから選択され、好ましくはHである。Rは、H、−OH、ハロゲン(F、Cl、Br及びI)、C〜Cアルキル、C〜C置換アルキル、C〜Cエステル及びC〜C置換エステルから選択され、好ましくはH、−OH、ハロゲン、−OOCCHM(ここで、Mは、H又はハロゲンである)であり、好ましくはHではない。Rは、H、C〜Cアルキル及びC〜C置換アルキルから選択され、R基の少なくとも1つがメチル基であることが好ましい。Rは、H、C〜Cアルキル、C〜C置換アルキル、及び−CHPhから選択され、好ましいR部分は、H及びメチルである。Rは、H、C〜Cアルキル及びC〜C置換アルキルから選択され、好ましくはHである。Xは、S及びOから選択され、好ましくはSである。最後に、Z部分は、−SR及び−ORから選択され、好ましくは−SRである。特に好ましい化合物は、下記構造式を有する化合物である:
【0105】
【化8】

【0106】
他の好ましい化合物としては、下記:
【0107】
【化9】

【0108】
(式中、Rは、−OH、−M及び−OOCCHMから選択され、Mは、F、Cl、Br及びIから選択される)
が挙げられる。
【0109】
以下に付与する構造を有する化合物が最も好ましい:
【0110】
【化10】

5−フェニルメチマゾール
【0111】
本明細書中で定義される薬学的に活性な化合物の混合物もまた使用され得る。上述のメチマゾール誘導体及び互変異性環状チオンは、当業者に既知の技法を使用して合成することができる。例えば、幾つかの互変異性環状チオンの合成は、Kjellin and Sandstrom, Acta Chemica Scandanavica 23: 2879-2887 (1969)(参照により本明細書に援用される)に記載されている。
【0112】
代表的なメチマゾール誘導体は、以下の手順を使用して合成され得る。アルデヒドの適切に置換された類縁体は、臭素及びUV光による処理により2位で臭素化して、続いて無水エタノールを使用して相当するジエチルアセタールの形成を行った。続いて、封管中で約120℃で最長約16時間の無水メチルアミン又は他の適切なアミンによる処理により、この化合物から臭素を除去した。蒸気浴温度で一晩の塩酸の存在下での得られたアミノアセタールとチオシアン酸カリウムとの反応により、メチマゾール類縁体が得られる。
【0113】
本発明の代表的なメチマゾール化合物を表1に示す。
【0114】
【表1】

【0115】
本発明の薬学的組成物は、安全且つ有効な量のメチマゾール誘導体又は互変異性環状チオン化合物(即ち、活性化合物)の1つ又は複数を含む。好ましい組成物は、約0.01%〜約25%の活性化合物を含有し、最も好ましい組成物は、約0.1%〜約10%の活性化合物を含有する。本発明の薬学的組成物は、従来既知の任意の方法で、例えば、腹腔内的に、静脈内的に、筋内的に、又は局所的に投与され得るが、経口投与が好ましい。好ましい組成物は、単位投与量形態、即ち個々の投与量が使用者により測定されることを要さずに単回投与量投与に適した予め測定された形態で利用可能な薬学的組成物、例えば丸剤、錠剤又はアンプルである。
【0116】
本発明の薬学的組成物は、上述のメチマゾール誘導体又は互変異性チオンと適合性の薬学的に許容可能なキャリアをさらに包含する。薬学的に許容可能なキャリアのほかに、薬学的組成物は、それらの技術分野で通用するレベルで、さらなる適合性の成分(例えば、さらなる薬学的活性物質、賦形剤、配合助剤(例えば、錠剤化助剤)、着色剤、芳香剤、防腐剤、可溶化剤又は分散剤及び当業者に既知の他の材料)を含有してもよい。
【0117】
本明細書中で使用する場合、「薬学的キャリア」という用語は、固体又は液体の充填剤、希釈剤或いは封入物質を意味する。これらの材料は、医薬品の技術分野の熟練者に既知である。薬学的キャリアとして機能し得る物質の幾つかの例は、糖(例えば、ラクトース、グルコース及びスクロース)、デンプン(例えば、コーンスターチ及びポテトスターチ)、セルロース及びその誘導体(カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及び酢酸セルロース)、粉末トラガカント、麦芽、ゼラチン、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、硫酸カルシウム、植物油(例えば、落花生油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及びカカオ脂)、ポリオール(例えば、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコール)、寒天、アルギン酸、発熱物質を含まない水、等張性生理食塩水及びリン酸緩衝溶液、並びに薬学的配合物で使用される他の無毒性の適合性物質である。それらは、生分解性ポリマーを包含する脂質若しくは高分子粒子で作製されるリポソーム又は薬物キャリアか、或いは標的送達用途(例えば抗体への連結)を含んでもよい。湿潤剤及び潤滑剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)並びに着色剤、芳香剤、錠剤化剤及び防腐剤もまた存在し得る。薬学的組成物への構成成分の配合は、従来の技法を使用して行われる。
【0118】
本発明の薬学的組成物と併せて使用される薬学的キャリアは、実用的な大きさと投与量の関係を提供するのに十分な濃度で使用される。好ましくは、薬学的キャリアは、総薬学的組成物の約25重量%〜約99.99重量%、好ましくは約50重量%〜約99.9重量%を構成する。驚くべきことに、本出願で定義されるメチマゾール誘導体又は互変異性環状チオンは、従来のキャリア材料においてメチマゾールよりも可溶性であり得る。これは、メチマゾール誘導体又は互変異性環状チオンを含有する薬学的組成物の配合においてより大きな柔軟性を可能にする際に有意な有益性を提供し、活性化合物の有意により低い用量の使用を可能にし得る。
【0119】
本発明の薬学的組成物で処理される状態は該して、IBD及びIBDの定義の範疇にある様々な症状を包含する。配合物は、治療的効果を達成するように投与される。身体において長期の残留期間を示す化合物に関して、1日1回のレジメンが可能である。或いは、通常1日につき最大3回の用量のような複数回用量が、より有効な療法を提供し得る。したがって、単回用量又は複数回用量レジメンが使用され得る。
【0120】
本発明はまた、痙攣性腹痛を伴う慢性下痢、直腸出血、並びに血液、膿及び粘液の緩い放出物を特徴とする大腸の疾患である潰瘍性大腸炎を診断並びに治療する方法を提供する。この疾患の徴候は、広く多様である。悪化及び寛解のパターンが、ほとんどの潰瘍性大腸炎の患者(70%)の臨床的経過の典型となるが、寛解を伴わない連続的な症状が、潰瘍性大腸炎を有する幾らかの患者に存在する。潰瘍性大腸炎の全身性合併症としては、関節炎、眼の炎症(例えば、ブドウ膜炎)、皮膚潰瘍及び肝臓疾患が挙げられる。さらに、潰瘍性大腸炎、特に長期にわたる広範囲の疾患は、結腸癌腫の増大された危険性に関連する。
【0121】
幾つかの病理学的特徴は、他の炎症性腸疾患と区別して潰瘍性大腸炎を特徴付ける。潰瘍性大腸炎は、通常直腸の最も遠位部分から近接した可変距離に向けて伸長するびまん性疾患である。左側大腸炎という用語は、左結腸曲まで伸長している結腸の遠位部を包含する炎症を表わしている。直腸の回避及び結腸の右側(近接部)単独の包含は、潰瘍性大腸炎では稀である。さらに、潰瘍性大腸炎の炎症性プロセスは、結腸に限定され、例えば、小腸、胃又は食道を包含しない。さらに、潰瘍性大腸炎は、一般的に腸壁の深層を回避する粘膜の表面的な炎症により識別される。変性腸陰窩が好中球で満たされた陰窩膿瘍もまた、潰瘍性大腸炎病態に典型的である(Rubin and Farber, Pathology (Second Edition) Philadelphia: J. B. Lippincott Company (1994)(これは、参照により本明細書に援用される)。
【0122】
いずれの場合でも、薬学的組成物は、化合物が患者の血流へ送達されるような様式で投与される。これを遂行するための1つの優れた様式は、静脈内投与である。IBDを治療するための静脈内用量レベルは、約0.01mg/kg/時間〜約100mg/kg/時間の有効なアミド化合物の範囲であり、すべて約1〜約120時間、特に1〜96時間である。約50〜約500mgの前負荷ボーラスはまた、適正な定常状態レベルを達成するのに投与され得る。筋内又は腹腔内注射のような他の形態の非経口投与も同様に使用することができる。この場合、類似した用量レベルが用いられる。
【0123】
経口投薬を用いる場合、1日につき1〜3回の、それぞれ約0.1〜約150mg/kgの活性化合物の経口用量が使用され、好ましい用量は、約0.15〜約100mg/kgである。直腸投薬を用いる場合、1日につき1〜3回の、それぞれ約1〜約150mg/kgの活性化合物の直腸用量が使用され、好ましい用量は、約1〜約100mg/kgである。
【0124】
任意の治療レジメンにおいて、医療専門家は、患者の状態を評価すべきであり、患者が治療により益を享受するかしないかを確定すべきである。或る程度の日常的な用量最適化は、最適な投薬レベル及びパターンを確定するのに要され得る。正の用量応答関係が観察されている。したがって、また副作用の重篤性及び症状の最大の考え得る改善を提供する利点に配慮して、設定によって、上述のような大量の活性化合物を投与することが望ましい場合がある。
【0125】
本発明の薬学的組成物は、適切なレベルの薬学的な活性物が血流で達成されるように投与される。所定の場合で要される正確な投与量レベルは、例えば使用される特定のメチマゾール誘導体、治療される疾患の性質並びに患者の大きさ、体重、年齢及び体調に依存する。
【0126】
「薬学的に許容可能な塩」とは、無機塩基又は有機塩基並びに無機酸又は有機酸を含む薬学的に許容可能な無毒の塩基又は酸から調製される塩を示す。無機塩基由来の塩としては、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン塩、マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛等が挙げられる。特に好ましくは、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、及びナトリウム塩である。薬学的に許容可能な無毒な有機塩基由来の塩としては、1級、2級、及び3級アミン類、自然発生的な置換アミン類を含む置換アミン類、環状アミン類の塩、塩基イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン類、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等が挙げられる。本発明の化合物が塩基性である場合、塩は無機酸及び有機酸を含む薬学的に許容可能な無毒の酸から調製することができる。このような酸としては、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩化水素酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。特に好ましくは、クエン酸、臭化水素酸、塩化水素酸、マレイン酸、リン酸、硫酸、及び酒石酸である。本明細書中で使用される場合、本明細書中で言及される化合物はまた、薬学的に許容可能な塩を含むことを意図すると理解されるであろう。
【0127】
本発明の治療用化合物の予防的又は療法的用量の規模は、当然のことながら治療されるべき状態の重篤性の性質により、また本発明の特定の治療用化合物及びその投与経路により様々である。本発明の治療用化合物の予防的又は療法的用量の規模はまた、個々の患者の年齢、体重及び応答に応じて様々である。概して、日用量範囲は、単回用量又は分割用量で、哺乳類の体重1kg当たり約0.001mg〜約100mg、好ましくは1kg当たり0.01mg〜約50mg、最も好ましくは1kg当たり0.1〜10mgの範囲内に存在する。他方で、場合によっては、これらの限界の範囲外の投与量を使用することが必要であり得る。
【0128】
静脈内又は腹腔内投与用の組成物が用いられる使用に関して、適切な投与量範囲は、1日につき体重1kg当たり約0.001mg〜約25mg(好ましくは0.01mg〜約1mg)の本発明の治療用化合物であり、細胞保護的使用に関しては、1日につき体重1kg当たり約0.1mg〜約100mg(好ましくは約1mg〜約100mg、より好ましくは約1mg〜約10mg)の本発明の治療用化合物である。
【0129】
経口用組成物が用いられる場合では、適切な投与量範囲は、例えば、1日につき体重1kg当たり約0.01mg〜約100mg、好ましくは1kg当たり約0.1mg〜約10mgの本発明の治療用化合物であり、細胞保護的使用に関しては、1日につき体重1kg当たり約0.1mg〜約100mg(好ましくは約1mg〜約100mg、より好ましくは約10mg〜約100mg)の本発明の治療用化合物である。
【0130】
本発明は、薬学的配合技法を利用して、上記で定義されるような腸の炎症性疾患を治療するためのメチマゾール誘導体及び互変異性環状チオンの組成物を提供する。メチマゾール誘導体及び互変異性環状チオンは、十分な濃度で且つその局所作用を発揮するのに十分長い時間、腸の炎症部分に到達する見込みを有さなくてはならない(クローン病の場合、腸全体又は小腸のみ、並びに潰瘍性大腸炎の場合、盲腸、結腸及び直腸)。
【0131】
潰瘍性大腸炎では、組成物は、メチマゾール誘導体及び互変異性環状チオンが結腸の通過中に優先的に放出されるように配合されるべきである。回腸におけるクローン病では、組成物は、メチマゾール誘導体及び互変異性環状チオンが小腸の通過中に優先的に放出されるように配合されるべきである。これは、メチマゾール誘導体及び互変異性環状チオンを含有するユニットの腸溶性、徐放性コーティングにより達成され得る。
【0132】
疾患を防止、抑制又は阻害するのに有効な本発明の化合物の投与量及び用量の速度は、様々な因子(例えば、阻害剤の性質、患者の大きさ、治療の目標、治療されるべき病態の性質、使用される特定の薬学的組成物及び治療する医師の判断)に依存する。
【0133】
別の実施形態によれば、本発明の化合物を含む組成物はまた、コルチコステロイド類、気管支拡張剤、抗喘息剤(肥満細胞安定化剤)、抗炎症剤、抗リウマチ剤、免疫抑制剤、代謝拮抗剤、免疫賦活剤、乾癬治療剤、抗生剤、及び抗糖尿病剤から成る群から選択される付加的な作用物質を含み得る。また、テオフィリン、スルファサラジン及びアミノサリチル酸塩(抗炎症剤);シクロスポリン、FK−506、及びラパマイシン(免疫抑制剤);シクロホスファミド及びメトトレキサート(代謝拮抗剤);並びにインターフェロン(免疫賦活剤)等の化合物がこの群に含まれる。
【0134】
一実施形態では、この態様はさらに、患者への治療用ステロイドを投与することを包含する。非限定的な例として、治療用ステロイドとしては、例えば、グルココルチコイド、デキサメタゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン及びベタメタゾンが挙げられる。
【0135】
種々の投薬形態に関する胃腸管を通る通過時間は、十分知られている。投薬量形態が胃から空になったら、小腸を通る通過は、3〜5時間かかる。大腸における残留時間は、相当長く、25〜50時間である。理想的には、局所的な影響のために、投薬形態が胃の中にとどまる間は、放出が起きるべきではない。小腸における大腸炎が治療されようとしている場合、投薬形態が胃を離れた後の約5時間中放出が続くべきである。大腸が治療されようとしている場合、局所的な放出は、理想的には盲腸で始まり、最長50時間続くべきである。
【0136】
薬学的組成物で見られる「組成物」という用語は、活性成分(複数可)及びキャリアを構成する不活性成分(複数可)(薬学的に許容可能な賦形剤)、並びに直接的に又は間接的に、成分の任意の2つ又はそれ以上の組合せ、錯化又は凝集に起因するか、或いは成分の1つ又は複数の解離に起因するか、或いは成分の1つ又は複数の他のタイプの反応又は相互作用に起因する任意の生成物を含む生成物を包含すると意図される。したがって、本発明の薬学的組成物は、本発明の化合物、さらなる活性成分(複数可)、及び薬学的に許容可能な賦形剤を混合することにより作製される任意の組成物を包含する。
【0137】
哺乳類、特にヒトに本発明の化合物を効果的な用量で提供するのに、任意の好適な投与経路を使用することができる。例えば、経口、直腸、局所、非経口、眼球、肺、鼻等を使用することができる。投薬形態としては、錠剤、トローチ、分散液(dispersion)、懸濁液、溶液、カプセル、クリーム、軟膏、エアロゾル等が挙げられる。これらは、便利なことに投薬形態単位で与えられ、薬学分野で既知の任意の方法で調製することができる。
【0138】
吸入による投与に関して、本発明の化合物は、加圧パック又はネブライザーからのエーロゾルスプレー提示の形態で利便性よく送達される。化合物はまた、配合され得る粉末として送達されてもよく、粉末組成物は、吸送粉末吸入器デバイスを用いて吸入され得る。吸入用の好ましい送達系は、適切な噴霧剤(例えば、フルオロカーボン又は炭化水素)中の本発明の化合物の懸濁液又は溶液として配合され得る定量吸入(MDI)エーロゾル、及びさらなる賦形剤あり又はなしで本発明の化合物の乾燥粉末として配合され得る乾燥粉末吸入(DPI)エーロゾルである。適切な局所用配合物としては、経皮デバイス、エーロゾル、クリーム、軟膏、ローション、散布剤等が挙げられる。
【0139】
実用的には、本発明の化合物は、従来の薬学的配合技法に従って、薬学的キャリアと緊密に混合した活性成分として組み合わせることができる。投与のそれらの簡易性のために、錠剤及びカプセルが、最も好適な経口用投薬単位形態を表し、この場合、明らかに固体薬学的キャリアが用いられる。望ましい場合、錠剤は、標準的な水性又は非水性技法によりコーティングされ得る。上述の一般的な投薬形態のほかに、本発明の治療用化合物はまた、米国特許第3,845,770号、同第3,916,899号、同第3,536,809号、同第3,598,123号、同第3,630,200号及び同第4,008,719号に記載されるもののような制御放出手段や送達デバイスにより投与されてもよい。
【0140】
経口投与に適した本発明の薬学的組成物は、粉末又は顆粒として、或いは水性液体、非水性液体、水中油型エマルジョン若しくは油中水型液体エマルジョン中の溶液又は懸濁液として、それぞれ既定量の活性成分を含有するカプセル、カシェ剤又は錠剤のような別個の単位として提示され得る。かかる組成物は、調剤の方法のいずれかにより調製され得るが、すべての方法が、1つ又は複数の必須の成分を構成するキャリアと活性成分を結合させる工程を包含する。概して、組成物は、活性成分を液体キャリア又は微細固体キャリア、或いはその両方と均一且つ緊密に混合すること、続いて必要であれば、生成物を所望の提示へ造形することにより調製される。例えば、錠剤は、任意に1つ又は複数の補助成分を用いた圧縮又は成形により調製され得る。圧縮錠剤は、結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、界面活性剤又は分散剤と任意に混合された粉末又は顆粒のような易流動性形態の活性成分を、適切な機械で圧縮することにより調製され得る。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を、適切な機械で成形することにより作製され得る。望ましくは、錠剤はそれぞれ、約1mg〜約500mgの活性成分を含有し、カシェ剤又はカプセルはそれぞれ、約1〜約500mgの活性成分を含有する。
【0141】
本発明の化合物は、本発明の化合物が有用である疾患若しくは状態の治療/予防/抑制、又は改善において使用される他の薬剤と組み合わせて使用することができる。このような他の薬剤は、メチマゾール誘導体及び互換異性環状チオン類等の本発明の化合物と共に、同時に又は連続して、一般に使用される量で、或る投与経路によって投与することができる。本発明の化合物が1つ又は複数の薬剤と同時に使用される場合、本発明の化合物に加えて、このような他の薬剤を含む薬学的な組成物であることが好ましい。したがって、本発明の薬学的な組成物としては、本発明の化合物に加えて、1つ又は複数の他の活性成分も含むものが挙げられる。別々に投与されるか、又は同一薬学的組成物において投与される、本発明の化合物と組み合わせることができる他の活性成分の例としては、(a)VCAM−1アンタゴニスト、(b)べクロメタゾン、メチルプレドニゾロン、ベタメタゾン、プレドニゾン、デキサメタゾン、及びヒドロコルチゾン等のステロイド類、(c)シクロスポリン、タクロリムス、ラパマイシン、及び他のFK−506型免疫抑制剤等の免疫抑制剤、(d)ブロムフェニラミン、クロルフェニラミン、デクスクロルフェニラミン、トリプロリジン、クレマスチン、ジフェンヒドラミン、ジフェニルピラリン、トリペレナミン、ヒドロキシジン、メトジラジン、プロメタジン、トリメプラジン、アザタジン、シクロヘプタジン、アンタゾリン、フェニラミンピリラミン、アステミゾール、テルフェナジン、ロラタジン、セチリジン、フェキソフェナジン、デスカルボエトキシルオラタジン等の抗ヒスタミン剤(H1−ヒスタミンアンタゴニスト)、(e)β2−アゴニスト(テルブタリン、メタプロテレノール、フェノテロール、イソエタリン、アルブテロール、ビトルテロール、サルメテロール及びピルブテロール)、テオフィリン、クロモリンナトリウム、アトロピン、臭化イプラトロピウム、ロイコトリエンアンタゴニスト(ザフィルルカスト、モンテルカスト、プランルカスト、イラルカスト、ポビルカスト、SKB−106,203)、ロイコトリエン生合成阻害剤(ジレウトン、BAY−1005)等の非ステロイド系の抗喘息剤、(f)プロピオン酸誘導体(アルミノプロフェン、べノキサプロフェン、ブクロクス酸、カルプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルプロフェン、フルビプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ミロプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、スプロフェン、チアプロフェン酸、及びチオキサプロフェン)、酢酸誘導体(インドメタシン、アセメタシン、アルクロフェナク、クリダナク、ジクロフェナク、フェンクロフェナク、フェンクロズ酸、フェンチアザク、フロフェナク、イブフェナク、イソキセパク、オキシピナク、スリンダク、チオピナク、トルメチン、ジドメタシン、及びゾメピラク)、フェナム酸誘導体(フルフェナム酸、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ニフルム酸、及びトルフェナム酸)、ビフェニルカルボン酸誘導体(ジフルニサル及びフルフェニサール)、オキシカム(イソキシカム、ピロキシカム、スドキシカム、及びテノキシカム)、サリチル酸塩(アセチルサリチル酸、スルファサラジン)並びにピラゾロン(アパゾン、ベズピペリロン(bezpiperylon)、フェプラゾン、モフェブタゾン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン)等の非ステロイド系の抗炎症剤(NSAID)、(g)セレコキシブ等のシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤、(h)4型ホスホジエステラーゼ(PDE−IV)の阻害剤、(i)ケモカイン受容体、特にCCR−1、CCR−2、CCR−3及びCXCR4のアンタゴニスト、(j)HMG−CoA還元酵素阻害剤(ロバスタチン、シンバスタチン並びにプラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、及び他のスタチン)、配列(コレスチラミン及びコレスチポール)、ニコチン酸、フェノフィブリン酸誘導体(ゲンフィブロジル、クロフィブラート、フェノフィブラート、及びベンザフィブラート)、並びにプロブコール等のコレステロール降下剤、(k)インスリン、スルホニル尿素、ビグアニド(メトフォルミン)、a−グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース)、及びグリタゾン(トログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン、MCC−555、BRL49653等)等の抗糖尿病剤、(l)1型インターフェロンの調製(例えば、β−インターフェロン及びα−インターフェロン)、(m)ムスカリン性アンタゴニスト(臭化イプラトロピウム)等の抗コリン剤、(n)5−アミノサリチル酸及びこのプロドラッグ、アザチオプリン及び6−メルカプトプリン等の代謝拮抗剤、並びに細胞毒性癌の化学療法剤等の他の化合物、(o)抗生剤、(p)サイトカイン活性又はケモカイン活性を阻害する抗体(例えば、抗TNFα)又は白血球接着を阻害する抗体(例えば、抗VCAM−1又は抗Eセレクチン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0142】
本発明による併用療法は、単独で、或いは別の療法と併用して実施されてもよく、自宅、医院、診療所、病院の外来又は病院で提供され得る。治療は概して、医師が治療の効果を密接に観察することができ、且つ必要とされる任意の調節を行うことができるように病院で始める。併用療法の持続期間は、治療されるべき潰瘍性大腸炎又は炎症性腸障害のタイプ、患者の年齢及び状態、患者の疾患の病期及びタイプ、並びに患者が治療に対してどのように応答するかどうかに依存する。さらに、潰瘍性大腸炎又は炎症性腸障害を発症するより大きな危険性を有する人(例えば、一般的に潰瘍性大腸炎又は炎症性腸障害にかかりやすい傾向にあるか、或いは以前に潰瘍性大腸炎又は炎症性腸障害にかかったことがある人)には、応答を阻害又は遅延するための予防的治療を施し得る。
【0143】
組合せの各構成成分の投与の投与量、頻度及び様式は、独立して制御することができる。例えば、或る化合物は、1日につき3回経口投与され得るのに対して、第2の化合物は、1日につき1回、筋内投与され得る。併用療法は、休息期間を包含する断続的なサイクルで付与され得る。化合物はまた、1回の投与が両方の化合物を送達するように一緒に配合されてもよい。
【0144】
組成物上の任意律速層は、水不溶性ポリマー又は水不溶性ポリマーの混合物或いは水溶性ポリマー及び水不溶性ポリマーの混合物を含む。
【0145】
一実施形態では、組成物は、本発明の化合物、及び治療用化合物の結合剤として、また化合物の放出のための律速層として作用する水溶性又は水不溶性ポリマーを含む。かかるポリマーは、セルロース誘導体、アクリル系ポリマー及びコポリマー、ビニルポリマー及び他の高分子ポリマー誘導体又は合成ポリマー(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、ポリビニルピロリドン、酢酸ポリビドン、酢酸ポリビニル、ポリメタクリル酸系及びエチレン−酢酸ビニルコポリマー)或いはそれらの組合せから選択され得る。好ましい膜形成ポリマーは、水性分散形態のエチルセルロース又はアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルのコポリマーである。
【0146】
別の実施形態では、組成物は、上述の水不溶性ポリマー又は水不溶性ポリマーの混合物或いは水溶性ポリマー及び水不溶性ポリマーの混合物中に含有される均質に分配されたメチマゾール誘導体及び互変異性環状チオンを含む。
【0147】
別の実施形態では、組成物は第2の律速層を含む。第2の層におけるポリマーは、薬学的目的に適しており、且つ低いpHでかろうじて溶解性であるが、より高いpHでは溶解性である(溶解性に関するpH限界は、pH4〜pH7.5である)陰イオン性カルボン酸ポリマーから成る群から選択されてもよく、上記群は、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリット酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸ポリビニル及びアクリル酸ポリマー(例えば、部分的にエステル化されたメタクリル酸ポリマー)を含む。これらのポリマーは、単独で、或いは互いに組み合わせて、或いは上述の水不溶性ポリマーと組み合わせて使用され得る。
【0148】
コーティングは、膜形成ポリマーの特性を改善させる他の薬学的に許容可能な材料(例えば、可塑剤、付着防止剤、界面活性剤及び分散促進物質又は分散遅延物質)を任意に含んでもよい。適切な可塑剤は、フタル酸エステル、トリアセチン、セバシン酸ジブチル、モノグリセリド、クエン酸エステル及びポリエチレングリコールを含む。好ましい可塑剤は、クエン酸アセチルトリブチル及びクエン酸トリエチルである。適切な付着防止剤は、タルク及び金属ステアレートを含む。
【0149】
ユニット上に塗布される第1のコーティングの量は一般的に、0.5重量%〜30重量%、好ましくは1重量%〜15重量%の範囲である。この量は、関連したケースでは、ステロイドの重量も包含する。ユニット上に塗布される第2のコーティングの量は一般的に、コーティングされるユニットの重量に基づいて算出して、コーティングされる1重量%〜50重量%、好ましくは2重量%〜25重量%の範囲である。残部は、投与量の重量を構成する。
【0150】
第2の活性成分に対する本発明の治療用化合物の重量比は多様であり、各成分の有効用量に依存する。概して、それぞれの有効用量が使用される。したがって、例えば、治療薬をNSAIDと組み合わせる場合、NSAIDに対する本発明の治療用化合物の化合物の重量比は概して、約1000:1〜約1:1000、好ましくは約200:1〜約1:200の範囲である。同様に、治療薬及び他の活性成分の組合せは概して、上述の範囲内に存在するが、それぞれの場合で、各活性成分の有効用量が使用されるべきである。
【0151】
以下の実施例は、本発明の薬学的に活性な化合物、薬学的組成物及び治療の方法を説明すると意図されるが、それらを限定するものと意図されない。
【実施例】
【0152】
潰瘍性大腸炎(UC)における胃腸損傷の原因となる因子は、白血球及び特定の内皮細胞接着分子(ECAM)を包含する無調節のサイトカイン媒介性炎症性応答である。UCを抑制するための有望な治療アプローチは、この異常炎症プロセス及びその免疫病因を減衰させることである。メチマゾールは、自己免疫疾患(例えば、グレーヴズ病)の治療のために臨床的に使用される。最近の体外の研究で、本発明者等は、メチマゾールの誘導体であるフェニルメチマゾール(C−10)が、その抗免疫作用に加えて、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)誘導性血管細胞接着分子−1(VCAM−1)発現及びその結果生じる白血球−内皮細胞接着を阻害することを見出している。
【0153】
この研究では、本発明者等は、C−10が大腸炎を抑制することができるかどうかを確定するためにマウスモデルを使用した。C57BL/6Jマウスに、3%(wt/vol)DSS処理と同時に或いは3%(wt/vol)DSS処理中に断続的にC−10を付与した(腹腔内的に)。大腸炎は、巨視的結腸観察(血液の存在、縦方向の長さ)及び結腸組織の組織学的分析により評価した。結腸におけるサイトカイン、ケモカイン及びVCAM−1のmRNA及びタンパク質レベルは、ノーザンブロット分析及び免疫組織化学を使用して特性化した。
【0154】
C−10は、(i)結腸のDSS誘導性短縮を有意に復帰させ(reversed)、(ii)結腸粘膜におけるDSS誘導性浮腫、侵食及び白血球浸潤を劇的に抑制し、(iii)DSS誘導性TNFα、インターロイキン−1β、トール様受容体−4(TLR−4)、インターフェロン−γ誘導タンパク質−10及びVCAM−1 mRNA発現を阻害し、(iv)DSS誘導性TLR−4及びVCAM−1タンパク質発現を低減させた。C−10は、DSS処理と同時に或いはDSS処理中に断続的に付与される場合に防御的であった。
【0155】
これらの結果は、C−10が、重要な炎症性媒介物質の発現及び白血球浸潤を阻害することによりDSS誘導性大腸炎を抑制し、大腸炎のための潜在的な治療薬であることを示唆する。
【0156】
材料及び方法
大腸炎の誘導及び薬物による処理:雄C57BL/6Jマウス(6週齢、体重18〜22g)をJackson Laboratories(Bar Harbor, Maine)から入手した。マウスは、明暗サイクルを用いて温度制御された部屋で飼育した。マウスを、72時間飼育環境に適応させた後、実験を開始した。実験はすべて、「研究室動物の管理及び使用に関する指針(Guide for Care and use of Laboratory Animals)」(NIH Publication No. 85-23, Revised 1985)、及びオハイオ大学のAnimal Care and Use Committeeの承認に従って実施した。大腸炎は、すでに記載されるのと類似した様式で誘導された(9)。簡潔に述べると、マウスに、3%(wt/vol)DSS(MW 30〜40kDa、ICN Biomedicals, Aurora, OH)を含有する蒸留飲料水を随意与えた(9、23、28)。個々の実験に記載されるように、マウスにC−10(Ricerca Inc., Cleveland, OH)、MMI(Sigma Aldrich, St. Louis, MO)、プレドニゾロン(Sigma Aldrich)又はC−10及びプレドニゾロンの毎日の腹腔内注射を施した。対照マウスには、2.5%DMSO(Sigma Aldrich、C−10に関するキャリア対照)又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS、Biofluids, Rockville, MD、MMI及びプレドニゾロンに関するキャリア対照)の毎日の注射を施した。
【0157】
巨視的結腸評価:マウスは、頸椎脱臼により死滅させた。結腸全体(即ち、盲腸、近接結腸及び遠位結腸を包含する)を切除した。結腸は、(a)結腸における血液の存在又は非存在、及び(b)結腸の縦方向の長さを確定することにより巨視的に評価した。続いて、結腸全体は、組織学的分析、ノーザンブロット分析及び免疫組織化学的分析用に3つの部分(即ち、盲腸、近接結腸及び遠位結腸)に分割した。
【0158】
結腸の組織学的分析:結腸の各部分(盲腸、近接結腸及び遠位結腸)の生検材料の1つを4%ホルマリン中に固定して、系列アルコール中で脱水させて、クロロホルム中で清浄化して、パラフィン中に包埋した。5μmの切片をハリスのヘマトキシリン(Fisher Diagnosis, FIsher Scientific Company L.L.C., Middletown, VA)及びエオシンで染色して、処理群を知らされていない研究者により検分された。各処理群において、少なくとも4匹の異なるマウス由来の各結腸セグメント(盲腸、近接結腸及び遠位結腸)のおよそ20〜25個の染色切片が観察された。およそ25μm離れた5つの代表的な切片を、炎症の重篤性(スコア0、なし;1、軽度;2、中程度;及び3、重度)、炎症の程度(スコア0、なし;1、粘膜性;2、粘膜性及び粘膜下;及び3、経壁性)及び陰窩損傷(スコア0、なし;1、基部1/3;2、基部2/3;3、陰窩が損失されるが、表面上皮が存在;及び4、表面上皮が損失)に関して病理組織学的にスコア付けした。5つの異なる視野を各切片において分析した(28、29)。
【0159】
RNA単離及びノーザンブロット分析:ノーザンブロット分析を使用して、大腸炎の病因に関与されると考えられる様々な因子のmRNAレベルを特性化した。各結腸部分(盲腸、近接結腸及び遠位結腸)のサンプルをPBSで洗浄して、Trizol(Invitrogen, Carlsbad, CA)中で均質化した。ホモジネートは、ドライアイス上で凍結させた後、−70℃保管へと移すか、或いは、製造業者の指示書に従って、即座にRNAを抽出した。総RNA 20μgを、0.66Mホルムアルデヒドを含有する1%アガロースゲル上で分離させた。RNAはNytran膜(Schleicher and Schuell Inc., Keene, NH)上へキャピラリーブロッティングして、UV架橋させて、ハイブリッド形成に付した。プローブに関して、完全長又は部分的cDNAを、Ladderman標識キット(Takara, Madison, WI)を使用して[α−32P]dCTPで標識した。部分的又は完全長cDNAは以下の通りに得られた:完全長マウスTNFα及びマウスTLR4 cDNAを、市販のベクターpORF9−mTNFα及びpUNO−mTLR4(Invivogen, San Diego, CA)から切除した。G3PDH cDNAは、Clontech(Palo Alto, CA)からのものであった。他のプローブ配列は、ヒト内皮細胞(hVCAM−1)又はマウスマクロファージ(mIL−1β及びmIP−10)のいずれか由来の以下のcDNA特異的プライマー及びRNAを使用して、RT−PCRにより合成された(30):ヒトVCAM−1、5’−GACTCCGTCTCATTGACTTGCAGCACCACAG−3’(配列番号1)及び5’−ATACTCCCGCATCCTTCAACTGGGCCTTTCG−3’(配列番号2)(1876bp);マウスIP−10、5’−CCATCAGCACCATGAACCCAAGTCCTGCCG−3’(配列番号3)及び5’−GGACGTCCTCCTCATCGTCGACTACACTGG−3’(配列番号4)(469bp);マウスIL−1β、5’−CTCATCTGGGATCCTCTCCAGCCAAGCTTC−3’(配列番号5)及び5'−CCATGGTTTCTTGTGACCCTGAGCGACCTG−3’(配列番号6)(1006bp)。ノーザンブロットは、Fujifilm FLA3000を用いて展開した。実験はそれぞれ、少なくとも2回繰り返した。
【0160】
免疫組織化学:免疫組織化学を使用して、VCAM−1及びTLR−4のタンパク質発現を特性化した。得られたばかりの結腸をPBSで洗浄して、Tissue−Tec OCT(Sakura, Tokyo, Japan)において凍結させた。クリオスタット切片を冷アセトン中で固定して、乾燥させて、PBSで再水和させて、10%ウシ血清アルブミン(Sigma Aldrich、VCAM−1発現用)又はマウス血清(C57BL/6Jマウスから収集、TLR−4発現用)を含有するPBS中でインキュベートした。VCAM−1発現を特性化するために、切片をマウスVCAM−1に対するラットMAb(429MVCAMA、IgG2ak、BD Pharmingen, San Diego, CA)により室温(RT)にて2時間染色した。インキュベーション後、切片をPBSで洗浄して、FITC結合抗ラット血清(Zymed Laboratory, San Francisco, CA)によりRTで1時間処理した。スライドをPBS中で3回洗浄して、乾燥させて、Gel Mount(Biomeda Comp., Foster City, CA)を用いて取り付けた。スライドを、蛍光用の浸漬油(Cargille Laboratories Inc, Cedar Grove, NJ)を用いて、100倍接眼レンズ及び10倍対物レンズで蛍光顕微鏡法を使用して観察した。TLR4発現を特性化するために、切片をヒトTLR4に対するマウスビオチン結合MAb(HTA125;IgG2a、IMGENEX, San Diego, CA)により4℃で一晩染色した。翌日、切片をPBSで洗浄して、DAB溶液[PBS中1mg/ml DAB(3,3’−ジアミノベンシジン、Sigma)及びH 1.2μl]とともに10分間インキュベートした。インキュベーション後、反応を蒸留水で停止させて、切片をハリスのヘマトキシリンで対比染色させて、エタノール及びキシロール中で脱水させて、Permountマウンティング培地(Fisher Diagnosis)中で取り付けた。示した結果は、各スライドに沿って観察される10個の野の代表である。実験はそれぞれ、少なくとも2回繰り返した。
【0161】
統計学的分析:一元配置のANOVAを使用して、統計学的差異の存在を評価した。ANOVAが条件間で有意な差異を示した場合、Bonferroni検定を多重対比較用に使用した。0.05未満のP値は、統計学的に有意であるとみなした。別記しない限り、誤差棒はすべて標準偏差を表す。
【0162】
結果
C−10によるマウスの毎日の処理は、生存率に影響を及ぼさない。予備実験では、本発明者等は、正常なマウスに対するC−10の影響を確定した。マウスを4つの処理群(1群当たり8匹のマウス)に分割した。群Iには、PBSの毎日の注射を施し、群IIには、2.5% DMSOの毎日の注射を施し、群IIIには、5mg/kg C−10の毎日の注射を施し、群IVには、10mg/kg C−10の毎日の注射を施した。或る実験では、注射は、1日目〜10日目までであり、マウスは最長30日目まで観察された。別個の実験では、注射は、1日目〜20日目までであり、マウスは最長60日目まで観察された。各群の生存率は100%であり、4つの群間でマウスの健康における差異はみられないようであった。
【0163】
DSS処理と同時に付与されるC−10は、DSS誘導性大腸炎を抑制する。VCAM−1は、マウスモデルにおけるDSS誘導性大腸炎において役割を果たすことが示されている(9)。この事実により、C−10が培養内皮細胞上でのTNFα誘導性VCAM−1発現を阻害するという本発明者等の近年の見解(22)と併せて、本発明者等はDSS誘導性大腸炎のマウスモデルにおけるC−10の影響を研究するに至った。
【0164】
最初に、本発明者等は、DSS処理と同時に付与されるC−10の影響を精査した。図1aに示すように、マウスを4つの処理群(1群当たり8匹のマウス)に分割した。群ANは、DSSを施さず、PBSの毎日の注射を付与した正常なマウスであり、群AC1にはDSSを施し、群AC2には、DSS及び2.5% DMSOの毎日の注射を施し[これらの群の両方(AC1、AC2)はDSS処理対照であり、これらの実験及び以下の実験では、これらの2つのDSS処理群間に差異は見られなかった]、実験処理群である群AEにはDSS及び2.5% DMSO中の5mg/kg C−10の毎日の注射を施した。C−10、DMSO及びPBS処理は、DDSが水に添加されたのと同日に開始された。
【0165】
マウスは7日目に屠殺して、結腸の巨視的及び顕微鏡的な組織学的分析を実施した(28、29、31)。この分析により、C−10による処理がDSS誘導性大腸炎を有意に阻害することが明らかとなった。具体的には、DSS処理と同時の5mg/kg C−10の毎日の投与は、結腸のDSS誘導性短縮を有意に復帰させ(図1b、AC1及びAC2に対するAE)、即ち、C−10を付与されたDSS処理マウスの平均結腸長は、DSS処理マウスの平均結腸長よりも明らかに有意に長かった(図1b、AC1及びAC2に対するAE)。DMSO(C−10に対するキャリア対照)は、結腸のDSS誘導性短縮に対して影響しなかった(図1b、AC1に対するAC2)ことに留意されたい。巨視的観察により、DSS処理マウスの結腸全体にわたる血液の一貫した存在が明らかとなったが、正常なマウスの結腸においては、存在するとしても稀であった(図1c、AC1に対するAN)。血液の出現は、5mg/kg C−10処理DSSマウスで頻度が低下する(特に、近接結腸及び遠位結腸において)(図1c、AC1に対するAE)が、DMSO処理したDSSマウスではそうではなかった(図1c、AC1に対するAC2)。同様の結果が10mg/kg C−10で処理したマウスに関して観察された。
【0166】
様々な処理群からの結腸の組織学的分析を実施して、材料及び方法のセクションで記載するようにスコア付けした。代表的な画像を以下の表2に記載するように評価して、スコアを表2に提示する(表2においてDSSマウス+/−DMSO間に差異は見られなかったことに留意されたい)。正常(AN)マウスからの組織切片は組織学的異常性を示さなかった(表2)。対比して、DSSマウス(AC1)からの組織切片は、浮腫の存在及び炎症細胞の浸潤を特徴とする重度の炎症を示した(表2)。粘膜構造の損失及び陰窩破壊をもたらす広範にわたる損傷もまたDSS処理マウスで観察された(表2)。その結果、DSS処理マウスの組織学的スコアは、対照マウスに対してはるかに増大された(表2)。5mg/kg C−10処理DSSマウス(AE)からの組織切片は、炎症細胞の浸潤の低減及び浮腫の劇的な抑制を特徴とする炎症の有意な減衰を示した(表2)。C−10投与はまた、DSS誘導性陰窩損傷を防ぐのに有効であった(表2)。その結果、C−10処理DSSマウスの組織学的スコアは、DMSO処理DSSマウスと比較してはるかに低減された(表2)。同様の結果が10mg/kg C−10で処理したマウスに関して観察された。
【0167】
【表2】

【0168】
表2では、DSS処理と同時に付与されるC−10は、DSS誘導性組織学的異常性を有意に復帰させる。様々な処理群(図1aに記載)からの遠位結腸の組織学的分析を実施した。染色した切片を、炎症の重篤性(スコア0、なし;1、軽度;2、中程度;及び3、重度)、炎症の程度(スコア0、なし:1、粘膜性;2、粘膜性及び粘膜下;及び3、経壁性)及び陰窩損傷(スコア0、なし;1、基部1/3;2、基部2/3;3、陰窩が損失されるが、表面上皮が存在;及び4、陰窩及び表面上皮が損失)に関してスコア付けした(研究者は処理群を知らされていなかった)。各処理群における少なくとも4匹の異なるマウス由来のおよそ25μm離れた5つの異なる切片を分析した。各切片を、5つの異なる視野で分析した。提示するスコアは、平均値+/−SEである。値は、2重反復での3回の実験からのものである。太字の値は、有意な阻害を表す(P<0.05又はそれ以上)。
【0169】
総合すると、このセクションで提示する結果は、DSS処理と同時に付与されるC−10がDSS誘導性大腸炎を抑制することを明らかに実証する。
【0170】
DSS処理中に断続的に付与されるC−10は、DSS誘導性大腸炎を防ぐ。同時のC−10処理がDSS誘導性大腸炎を抑制する(図1及び表2)ことが確立したため、本発明者等は、続いてDSS処理中に断続的に或いはDSS処理が開始された後に投与される場合にC−10の防御的影響を研究した。さらに、本発明者等は、DSS誘導性大腸炎に対するC−10の影響をMMI(これは、大腸炎のラットモデルで有効であることが示されている(20))及びプレドニゾロン(大腸炎の治療で使用される標準的な薬物(32))の影響と比較した。
【0171】
図2aに示すように、マウスを8つの処理群(1群当たり6匹のマウス)に分割した。群BNにはDSSを施さずに、PBSの毎日の注射を付与し、疾患対照である群BCにはDSSを施し、群BE1には、DSS、及びDSS処理が開始された後、即ち2日目〜6日目に5mg/kg C−10の毎日の注射を施し、群BE2には、DSS、及び1日目〜6日目に5mg/kg C−10の毎日の注射を施し、群BE3には、DSS、及びDSS処理が開始された後、即ち5日目〜10日目に5mg/kg C−10の毎日の注射を施し、群BE4には、DSS、及び1日目〜10日目に25mg/kg MMIの毎日の注射を施し(14を参照)、群BE5には、DSS、及び1日目〜10日目に5mg/kg プレドニゾロンの毎日の注射を施し、群BE6には、DSS、及び1日目〜10日目に毎日5mg/kg C−10及び5mg/kg プレドニゾロンの毎日の注射を施した。マウスを10日目に屠殺して、結腸の巨視的及び顕微鏡的な組織学的分析を実施した(28、29、31)。
【0172】
巨視的結腸観察により、DSS処理マウスの結腸長が正常なマウスの結腸長と比較してかなり短いことが明らかとなった(図2b、BNに対するBC)。2日目〜6日目、1日目〜6日目又は5日目〜10日目に付与されるC−10は、結腸長のDSS誘導性短縮を有意に復帰させた(図2b、BCに対するBE1、BE2及びBE3)。したがって、2日目〜6日目、1日目〜6日目又は5日目〜10日目にC−10を付与されるDSS処理マウスの平均結腸長は、DSS処理マウスの平均結腸長よりも有意に長かった(図2b、BCに対するBE1、BE2及びBE3)。さらに、5日目〜10日目にC−10を付与されるDSS処理マウスの平均結腸長は、対照マウスと有意に異ならなかった(図2b、BCに対するBE3)。1日目〜10日目の同時のMMI投与は、結腸長のDSS誘導性短縮を有意に復帰させた(図2b、BCに対するBE4)。C−10は、MMI及びプレドニゾロンと同程度に有効であるようであった(例えば、図2b、BE4及びBE5に対するBE3)。要約すると、結腸長単独に基づいて、DSS処理が開始された後の5日間付与されるC−10は、DSS処理全体にわたって付与されるMMI及びプレドニゾロンと同程度に有効であるようであった(例えば、図2b、BE4及びBE5に対するBE3)。C−10及びプレドニゾロンによる併用した処理(BE6)は、C−10(BE3)又はプレドニゾロン(BE5)単独による処理と比較して有益な影響を有さないようであった(図2b)。
【0173】
巨視的観察により、DSS処理マウスの結腸全体にわたる血液の一貫した存在が明らかとなったが、正常なマウスの結腸においては、存在するとしても稀であった(図2c、BNに対するBC)。血液の出現は、C−10処理DSSマウス(図2c、BCに対するBE1、BE2、BE3)、MMI処理DSSマウス(図2c、BCに対するBE4)、プレドニゾロン処理DSSマウス(図2c、BCに対するBE5)及びC−10/プレドニゾロン処理DSSマウス(図2c、BCに対するBE6)で頻度が低下した(特に、近接結腸及び遠位結腸において)。DSS処理が5日間すでに続行された後にC−10で5日間処理した群(BE3)は、正常(BN)と同様に、結腸のいかなる部分にも血液を有さない唯一の群であった(図2c)。
【0174】
処理群からの遠位結腸の組織学的分析を再び実施して、材料及び方法のセクションで記載するようにスコア付けした。代表的な画像を使用して、変化をスコア付けして、群全体に関するスコアを表3に提示する。正常マウスからの組織切片は組織学的異常性を示さなかった(表3、BN)。対比して、DSSマウスからの組織切片は、浮腫の存在及び炎症細胞の浸潤を特徴とする重度の炎症を示した(表3、BC)。粘膜構造の損失及び陰窩破壊をもたらす広範にわたる損傷もまたDSS処理マウスで観察された(表3、BC)。その結果、DSS処理マウスの組織学的スコアは、第1の実験で述べたように(表2)、対照に対してはるかに増大された(表3)。5日目〜10日目にC−10で処理したDSSマウスの組織切片(BE3)は、炎症細胞浸潤物の有意な減衰、浮腫の劇的な抑制及び粘膜損傷の低減を示した(表3、BE3)。炎症における類似した低減が、BE2で、及び程度は劣るがBE1で観察された(データは示していない)。MMIは、炎症及び陰窩損傷を低減するようであるが、回復は、C−10処理ほど有意ではないようであった(表3、BE3に対するBE4)。炎症及び陰窩損傷を低減させることに対するC−10の影響は、プレドニゾロンの影響に類似しているようであり(表3、BE5に対するBE3)、C−10及びプレドニゾロンの組合せは、一方の化合物単独による処理に類似していた(BE3及びBE5に対するBE6)。
【0175】
【表3】

【0176】
表3.DSS処理中に断続的に付与されるC−10は、DSS誘導性組織学的異常性を有意に復帰させる。様々な処理群(図2に記載)からの遠位結腸の組織学的分析を実施した。染色した切片を、炎症の重篤性(スコア0、なし;1、軽度;2、中程度;及び3、重度)、炎症の程度(スコア0、なし:1、粘膜性;2、粘膜性及び粘膜下;及び3、経壁性)及び陰窩損傷(スコア0、なし;1、基部1/3;2、基部2/3;3、陰窩が損失されるが、表面上皮が存在;及び4、陰窩及び表面上皮が損失)に関してスコア付けした(研究者は処理群を知らされていなかった)。各処理群における少なくとも4匹の異なるマウス由来のおよそ25μm離れた5つの異なる切片を分析した。各切片を、5つの異なる視野で分析した。提示するスコアは、平均値+/−SEである。
【0177】
このセクションで提示する複合の結果は、DSS処理中に断続的に付与されるC−10、及びDSS処理後の5日間付与されるC−10でさえ、DSS誘導性大腸炎を防ぐことを実証する。重要なことに、C−10が、DSS誘導性大腸炎を防ぐ際にMMIよりも有効であり、プレドニゾロンと同様に有効であることが結果により示唆される。
【0178】
DSS処理が開始された後に付与されるC−10は、MMI又はプレドニゾロンによる同一の処理との比較により、生存率を改善させ、且つDSS誘導性大腸炎を防ぐ。予備実験により、マウスが、DSSによる延長された(10日を超える)処理後に死滅し始めることが明らかとなった(データは示していない)。DSS処理が開始された後の炎症を低減させる際のC−10の有効性(上記BE3群)を考慮して、次に、本発明者等は、C−10の、生存率を増大させる能力を精査した。マウスに、1日目〜14日目にDSSを付与した。5日目〜10日目に、マウスの群(1群当たり8匹のマウス)をDMSO、C−10(5mg/kg)、MMI(25mg/kg)又はプレドニゾロン(5mg/kg)のいずれかで処理した。10日目に、直腸出血の程度を確定し、14日目に、各群において生存したマウスの%を確定した。C−10は、MMI又はプレドニゾロン単独よりも直腸出血を防止するのに有意に効果的であるようであった(図3b、上部)。より重要なことに、C−10は、DMSO単独、MMI単独又はプレドニゾロン単独で処理したマウスと比較した場合に、生存率をはるかに増強させた(図3b、底部)。
【0179】
C−10は、DSSにより増大されるTNFα、IL−1β、IP−10、TLR4及びVCAM−1発現を阻害する。大腸炎を招き、且つ大腸炎を持続させる開始事象及び一連の伝播事象は、完全には解明されていないが、細菌感染並びにTLR4、サイトカイン、ケモカイン及びECAMが重要な役割を果たすことはかなり明確である(4、20、32〜35)。したがって、本発明者等は、TNFα、IL−β(炎症性サイトカイン)、IP−10[大腸炎において役割を果たすことが既知の代表的なケモカイン(3)]、VCAM−1[大腸炎において役割を果たすころが既知のECAM(9)]及びTLR−4[大腸炎に関与するグラム陰性菌リポ多糖内毒素に関する受容体(2)]の発現に対するC−10の影響を研究した。
【0180】
ノーザンブロット分析により、正常なマウスの結腸は、TNFα又はIL−1β mRNAを発現しないことが明らかとなった(図4、BN)。対比して、DSS(図4、BC)又はDSS+DMSO(データは示していない)で処理したマウスは、主として遠位結腸において有意なTNFα及びIL−1β mRNAを発現した(図4、BC)。様々な用量レジメン(図2に表される)で付与されるC−10は、遠位結腸におけるDSS誘導性TNFα及びIL−1β mRNA発現を明らかに阻害した(図4、BCに対するBE1、BE2及びBE3)。興味深いことに、結腸のDSS誘導性短縮、直腸出血及び組織学的炎症を復帰させるのに最も有効であったC−10用量レジメン(BE3)は、TNFα及びIL−1β mRNA発現に対して最大の阻害効果を有した(図4)。プレドニゾロン並びにC−10及びプレドニゾロンの組合せもまた、TNFα及びIL−1β mRNA発現を低減させた(図4、BCに対するBE5、BE6)。MMIは、有効であったが、IL−1βに関してわずかに劣っていた(図4、BC及びBE3に対するBE4)。同様の結果が、IP−10のmRNA発現に関して観察された。具体的には、DSS誘導性IP−10発現は、主に遠位結腸で観察され(図5a、AC1及び図5b、BC)、C−10、MMI、プレドニゾロン並びにC−10及びプレドニゾロンの組合せにより阻害された(図5a、AE及び図5b、BE3、BE4、BE5、BE6)。
【0181】
ノーザンブロット分析により、正常なマウスの結腸は、主として近接結腸及び遠位結腸で低レベルのTLR−4 mRNAを発現する(図6、BN)ことが明らかとなった。DSSで処理したマウスは、増大されたレベルのTLR−4 mRNAを発現した(図6、BC)。様々な用量レジメン(図2aに表されている)で付与されるC−10は、DSS誘導性の増大されたTLR−4 mRNA発現を阻害するようであった(図6、BCに対するBE1、BE2、BE3)。プレドニゾロンは、TLR−4 mRNA発現を阻害するようであったのに対して、MMIの影響は6不明確であった(図6、BCに対するBE5、BE4)。免疫組織化学的分析により、C−10が、過剰発現されたTLR4を伴うはるかに少ない腸上皮細胞、腸上皮細胞のあまり強烈でない染色、及び正常な腸上皮細胞におけるレベルへの復帰により確定されるようにTLR−4タンパク質発現に対して明瞭な阻害効果を有することが確認された。
【0182】
ノーザンブロット分析により、正常なマウスの結腸は、VCAM−1 mRNAを発現しないことが明らかとなった(図7a、AN)。DSSで処理したマウスは、有意なレベルのVCAM−1 mRNA(図7a、AC)を発現し、免疫蛍光によりそのままの状態で測定されるタンパク質を発現した。C−10は、VCAM−1 mRNA発現を減少させ(図7a、AE)、この減少は、免疫蛍光によりそのままの状態で測定されるタンパク質レベルと同等である。
【0183】
議論
大腸炎の重要な態様は、浮腫、白血球動員及び組織の浸潤である(1)。これは、炎症性サイトカイン(例えば、TNFα)、ECAM(例えば、VCAM−1)及びケモカイン(例えば、IP−10)の増大された発現を特徴とする(1、3、4、9)。幾つかの治療上のアプローチは、炎症応答に関与されるこれらの分子の増大された発現を阻害することにより大腸炎を減少しようと努める。これまでに、本発明者等は、C−10が、ヒト動脈細胞におけるTNFα誘導性VCAM−1発現及びその結果として起こる白血球接着を阻害することを実証している(22)。この文書では、本発明者等は、C−10が体内で作用し、炎症の重要な媒介物質であるVCAM−1の抑制を包含するプロセスを介してDSS誘導性大腸炎を減少させることができるという仮定を精査した。本発明者等は、C−10が大腸炎に有効であることを示し、その作用がVCAM−1に対する影響を包含するだけでなく、広範な抗炎症剤並びに抗免疫剤として表面上作用する証拠を提供する。
【0184】
本発明者等の結果は、C−10がDSS誘導性大腸炎を有意に阻害することができることを明らかに実証している。具体的には、C−10は、結腸のDSS誘導性短縮を減衰させ、結腸における血液の存在を減衰させた。これらを肉眼で見ても、顕微鏡的な組織学的分析と同等となる。特に、C−10は、浮腫を大きく抑制し、白血球浸潤を低減させ、粘膜完全性を維持した。注目すべきことに、C−10が、結腸の全長に沿って(即ち、盲腸から遠位結腸まで)DSS誘導性粘膜炎症を抑制することを本発明者等は観察した。本発明者等の系で観察される大腸炎の巨視的な徴候及び顕微鏡的な徴候が大腸炎の他の動物モデルにおいて並びにヒトにおいて観察される(36)ため、これらのデータは、他の大腸炎モデル及びヒト大腸炎に広く適用可能である可能性が高い。
【0185】
本発明者等はこれまでに、C−10がTNFα誘導性VCAM−1発現を阻害することを示している(22)ため、本発明者等はC−10が大腸炎において有効であり得ると予期した。驚くべきことに、本発明者等の研究により、VCAM−1発現を減少させることに加えて、C−10は、重要な炎症媒介物質:IL−1β、TNFα、IP−10及びTLR−4のDSS誘導性発現を減少させることが明らかとなった。近年、TLR−4の重要性が、ヒトにおいて及び大腸炎の別個の動物モデルにおいて示されている。したがって、近年の研究により、グラム陰性菌リポ多糖を認識するTLR−4は、CD及びUCの両方において強力にアップレギュレートされることが示された(2)。この観察は、CD及びUCのようなヒト炎症性腸疾患の発症のメカニズムを理解するのに使用される腸炎の幾つかの実験的に誘導されるモデルの1つである骨髄性細胞特異的Stat3欠損マウスの研究に関連する(4)。重症のTh1媒介性腸炎を示すこのモデルは、TLR−4/Stat3欠損マウスにおいて有意に改善される一方で、TNFα/Stat欠損マウスは依然として重症の腸炎を有し、Th1依存性腸炎における先天免疫性及びTLR−4の重要性を示している(4)。コバヤシ(Kobayashi)他(4)は、損傷を受けた結腸における常在微生物叢が或る特定の遺伝的条件下でTLR−4シグナル伝達を過剰刺激することが可能である場合があり、炎症性サイトカイン(例えば、TNFα)の過剰生産をもたらすことを提唱した。TLR−4は、2つのアダプター分子:MyD88(これは、NF−κB、MAPK及び様々なサイトカインを活性化するMyD88)、IFN−β/TIR含有アダプター分子(TRIF/TICAM)−1を誘導するTIRドメイン含有分子アダプター(これは、IFN調節因子(IRF)−3を活性化して、I型IFN(α又はβ)の合成及び放出を引き起こす)を介してその影響をシグナル伝達する(24〜27)。したがって、C−10は、TLR4媒介性シグナル伝達を減少させることにより、炎症性サイトカイン(例えば、TNFα)及びケモカイン(例えば、IP−10)の発現を減衰し得るようである。その結果起こるVCAM−1の減少とともに、C−10は、白血球浸潤及びその結果起こる組織損傷を阻止することができる。このシナリオはいくらか推測に過ぎないが、それは今日までに作成されたデータと一致し、C−10が、VCAM−1及び異常白血球接着だけでなく、大腸炎における幾つかの原因となる要因を抑制するように作用することを示唆する。
【0186】
MMIは、幾つかの自己免疫疾患において広範囲に活性であることが知られている(12〜18)。主要組織適合性複合体(MHC)クラス1及び2のような免疫マーカーの抑制は、その作用の1つであった。C−10は、IFN誘導性MHC遺伝子発現の抑制を改善させるその能力に基づいて、より強力な免疫抑制薬として開発された(18)。したがって、C−10が先天免疫性及び炎症に対して潜在的な効果を有するという見解は、その作用がMMIよりも広範囲且つ有効であるため、その有用性を拡大させて、それをUC及び炎症性腸疾患における潜在的に有効な作用物質とさせるようである。プレドニゾロンが、免疫炎症応答を抑制するが、その根本的な原因を攻撃することが未知であるステロイドであるため、C−10がプレドニゾロンよりも良好であることを示唆するデータは驚くべきことではないかもしれない。生存率及び直腸出血に関するデータは、有力な直接的な比較である。
【0187】
マクロファージ/単球は、IL−1様受容体(IL−1−R)、トール様受容体4を介した細胞内寄生虫や内毒素或いは他の細菌疾患又はウイルス疾患により活性化され、炎症性TNFα、IL−12、IL−1β及びIL−6を分泌する(37)。これらのサイトカインの過剰且つ未制御の分泌は、高い死亡率を伴う微小循環機能不全、組織損傷及び敗血症性ショックのような重度の局所的合併症及び全身性合併症を招く重度の局所的炎症性プロセス及び全身性炎症性プロセスを生じる。
【0188】
活性化されたTリンパ球であるCD4+は、Th1免疫応答及び関連病態を招くTNFαを分泌する。ナイーブT細胞がまず活性化される場合に存在するサイトカインは、応答がTh1分化又はTh2分化に対して偏向されるかどうかに大いに影響を与える(38)。ナイーブT細胞からのTh1分化に関連する主要な分子は、IL−12及びTNFαである(38)。活性化されたTh1細胞は、細胞媒介性エフェクターメカニズムの強力な刺激因子であるIFNγ及びTNFαを放出する。これらのメカニズムは、Th1サイトカインに関連する多くの疾患の原因となる。したがって、TNFαは、Th1リンパ球であるCD4+の活性化により放出され、且つTh1依存性サイトカイン疾患を引き起こすより重要なサイトカインの1つとして記載されている(38、39)。
【0189】
この文脈では、TNFα及びIL−1分泌を阻止することは、それが炎症性サイトカイン及びTh1サイトカインの影響を阻止すべきであるように、良好な治療的戦略である。TNFαサイトカイン活性と関連するTh1サイトカイン依存性炎症性疾患は、Szabo S.J他2003(39)による最近の検討によれば、げっ歯類モデルにおいて、クローン病及び炎症性腸疾患を包含する。多発性硬化症、糖尿病、自己免疫性甲状腺疾患及び狼瘡は、この群における他の疾患である(39)。同著者等及びRich R.他 2001(38)は、Th1細胞が、様々な臓器特異的自己免疫疾患及び他の免疫学的疾患:橋本甲状腺炎、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、リウマチ性心疾患、自己免疫性肝炎、ギヤン・バレー、自己免疫性末梢神経障害、セリアックスプルー、潰瘍性大腸炎、クローン病、心筋炎、グッドパスチャー疾患、原発性胆汁性肝硬変、自己免疫性肝炎、重症筋無力症、I型糖尿病、天疱瘡及び他の水疱性疾患、精巣炎及び卵巣炎、サルコイドーシス、ブドウ膜炎、強膜炎、角膜炎、角膜移植拒絶反応、並びに固形臓器移植術における臓器損傷の原因となることを示した。
【0190】
結論として、本発明者等は、フェニルメチマゾール(C−10)が、VCAM−1に加えて炎症の多岐にわたる重要な媒介物質の阻害を包含するプロセスを通じて、DSS誘導性マウス大腸炎を抑制することを実証してきた。C−10は、DSS処理と同時に、DSS処理中に断続的に、及び重要なことにDSS処理が開始された後に(即ち炎症性腸疾患のための治療の自然な経過と類似した状況で)付与される場合のすべてにおいて、防御的である。したがって、C−10は、潰瘍性大腸炎のような炎症性腸疾患のための潜在的な治療薬であり得る。
【0191】
本発明の薬学的組成物
細胞接着及び炎症障害の治療のために、投与量単位形態での薬学的組成物は、1日につき約0.05〜約60ミリグラム、好ましくは約0.05〜約20ミリグラムの活性化合物を提供する組成物の量を含む。本発明の活性化合物の投与のための有用な薬学的配合物を以下に説明し得る。当該配合物は、従来の技法を使用して作製される。
【0192】
カプセル
活性成分 0.05〜20mg
ラクトース 20〜100mg
コーンスターチU.S.P. 20〜100mg
エーロゾル化されたシリカゲル 2〜4mg
ステアリン酸マグネシウム 1〜2mg
【0193】
錠剤
活性成分 0.05〜20mg
微結晶性セルロース 50mg
コーンスターチU.S.P. 80mg
ラクトースU.S.P. 50mg
ステアリン酸マグネシウムU.S.P. 1〜2mg
【0194】
この錠剤は、従来技術の実践に従って糖衣をかけることができる。色彩がコーティングに添加されてもよい。
【0195】
チュアブル錠
活性成分 0.05〜20mg
マンニトール、N.F. 100mg
風味 1mg
ステアリン酸マグネシウムU.S.P. 2mg
【0196】
坐剤
活性成分 0.05〜20mg
坐剤基剤 1900mg
ジメチルスルホキシド 0.1〜3%
【0197】
液剤
活性成分 2.0%
ポリエチレングリコール300、N.F. 10.0%
グリセリン 5.0%
亜硫酸水素ナトリウム 0.02%
ソルビタン溶液70%、U.S.P. 50%
メチルパラベン、U.S.P. 0.1%
プロピルパラベン、U.S.P. 0.2%
蒸留水、U.S.P.(適量) 100.0ml(cc)
ジメチルスルホキシド 0.1〜3%
【0198】
注射可能物質
活性物質 0.05〜60mg
ポリエチレングリコール600 1.0ml(cc)
亜硫酸水素ナトリウム、U.S.P. 0.4mg
注射用水、U.S.P(適量) 2.0ml(cc)
ジメチルスルホキシド 0.1〜3%
【0199】
さらに、本明細書中に記述される事項を補足する手順に関する詳細又は他の詳細に関する情報は、参照により本明細書に具体的に援用される引用参照文献に記載されている。
【0200】
本発明の新規教示に逸脱することなく、本明細書中に記載する好ましい実施形態に対して変更又は変形が成され得ることは、当業者に明らかであろう。かかる変更及び変形はすべて、本発明中及び特許請求の範囲内に包含されると意図される。
【0201】
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【図面の簡単な説明】
【0202】
【図1】DSS処理と同時に付与されるC−10は、結腸のDSS誘導性短縮を有意に復帰させて、結腸(特に近接結腸及び遠位結腸)における血液の出現を低減させる。(a)7日の実験で使用される処理群。ANは、DSSを施さず、PBSの毎日の注射を付与し、AC1は、DSSを施し、AC2は、DSS及び2.5% DMSOの毎日の注射を施し、及びAEは、DSS及び5mg/kg C−10の毎日の注射を施した。(b)結腸全体(即ち、盲腸、近接結腸及び遠位結腸を包含する)を切除して、結腸の縦方向の長さを確定した。画像は、様々な処理群からの代表的な結腸を示す。結腸の長さの値は、8匹のマウスの平均値である。#は、p<0.05を示す。(c)結腸における血液の存在又は非存在は、目視検査により確定された。棒は、盲腸(黒い棒)、近接結腸(斜線を付した棒)又は遠位結腸(白抜き棒)に存在する血液を有したマウスの数を示す。提示した結果は、2回の別個の実験の代表である。上記DSS処理と同時に付与されるC−10は、DSS誘導性組織学的異常を有意に復帰させる。様々な処理群からの結腸の組織学的分析を実施して、代表的な画像が得られた。DSSマウス(AC1)からの組織切片は、浮腫の存在、炎症性細胞の浸潤及び陰窩破壊を特徴とする。対比して、C−10処理DSSマウス(AE)からの組織切片は、有意な且つほぼ完全な、(a)浮腫の減衰、(b)炎症性細胞の浸潤の低減及び(c)DSS誘導性陰窩損傷に対する保護を明らかにした。達成された結果は、2回の別個の実験の代表である。
【図2】DSS処理中に断続的に付与されるC−10は、結腸のDSS誘導性短縮を有意に復帰させて、結腸(特に近接結腸及び遠位結腸)における血液の出現を低減させる。(a)10日の実験で使用される処理群。BNは、DSSを施さず、PBSの毎日の注射を付与し、BCは、DSSを施し、BE1は、DSS及び2日目〜6日目に5mg/kg C−10の毎日の注射を施し、BE2は、DSS及び1日目〜6日目に5mg/kg C−10の毎日の注射を施し、BE3は、DSS及び5日目〜10日目に5mg/kg C−10の毎日の注射を施し、BE4は、DSS及び1日目〜10日目に25mg/kg MMIの毎日の注射を施し、BE5は、DSS及び1日目〜10日目に5mg/kg プレドニゾロンの毎日の注射を施し、BE6は、DSS並びに1日目〜10日目に5mg/kg C−10及び5mg/kg プレドニゾロンの毎日の注射を施した。(b)結腸全体(即ち、盲腸、近接結腸及び遠位結腸を包含する)を切除して、結腸の縦方向の長さを確定した。画像は、様々な処理群からの代表的な結腸を示す。結腸の長さの値は、6匹のマウスの平均値である。#は、すべての他の棒と比較してp<0.05を示す。*は、左端の棒と統計的に類似であることを示す。(c)結腸における血液の存在又は非存在は、目視検査により確定された。棒は、盲腸(黒い棒)、近接結腸(斜線を付した棒)又は遠位結腸(白抜き棒)に存在する血液を有したマウスの数を示す。提示した結果は、2回の別個の実験の代表である。このDSS処理中に断続的に付与されるC−10は、DSS誘導性組織学的異常を有意に且つほぼ完全に復帰させる。様々な処理群からの遠位結腸の組織学的分析(この図に記載される)を実施した。低倍率及び高倍率での代表的な画像が評価された。DSSマウス(BC)からの組織切片は、浮腫の存在、炎症性細胞の浸潤及び陰窩破壊を特徴とする。対比して、C−10(BE3)、プレドニゾロン(BE5)又はC−10及びプレドニゾロンの組合せ(BE6)処理DSSマウスからの組織切片は、浮腫の減衰、炎症性細胞の浸潤の低減及びDSS誘導性陰窩損傷に対する保護を明らかにする。MMI処理DSSマウス(BE4)からの組織切片はまた、炎症及び陰窩損傷の低減を明らかにするが、その回復は、C−10処理を用いた場合ほど有意ではない。結果は、2回の別個の実験の代表であった。
【図3】C−10は、DSS誘導性大腸炎における死亡を防止する。(a)14日の実験で使用される処理レジメン。マウスにDSS及び5日目〜10日目にC−10、MMI又はプレドニゾロンの毎日の注射を施した。(b)10日目での直腸出血の存在及び14日目まで生存したマウスの割合が確定された。(説明文:DSSは、DSSによる14日間の処理(+)を示す。処理は、5日目から10日目のC−10、DMSO、MMI、プレドニゾロンによる処理、又は処理なし(−)を示す。)提示した結果は、2回の別個の実験の代表である。
【図4】C−10は、結腸におけるDSS誘導性TNFα及びIL−1β発現を阻害する。様々な処理群からのマウスの結腸組織切片(c−盲腸、pc−近接結腸、dc−遠位結腸)から単離したRNAは、TNAα及びIL−1βに関する適切なプローブを使用してノーザンブロット分析に付した。臭化エチジウム染色したrRNAを、負荷対照として使用した。提示した結果は、2回の実験の典型である。列挙した処理群は図2に記載されている。
【図5】C−10は、結腸におけるDSS誘導性IP−10 mRNA発現を阻害する。(a)図1に記載される様々な処理群からのマウスの結腸組織切片(c−盲腸、pc−近接結腸、dc−遠位結腸)から単離したRNAは、IP−10に関するプローブを使用してノーザンブロット分析に付した。臭化エチジウム染色したrRNAを、負荷対照として使用した。(b)図2に記載される様々な処理群からのマウスの遠位結腸組織切片から単離したRNAは、IP−10に関するプローブを使用してノーザンブロット分析に付した。G3PDHプローブは、負荷対照として使用した。提示した結果は、2回の実験の典型である。
【図6】C−10は、結腸におけるTLR4 mRNA及びタンパク質発現を阻害する。(a)図2に記載される様々な処理群からのマウスの結腸組織切片(c−盲腸、pc−近接結腸、dc−遠位結腸)から単離したRNAは、TLR4に関するプローブを使用してノーザンブロット分析に付した。臭化エチジウム染色したrRNAを、負荷対照として使用した。C−10処理を伴う(BE3)及び伴わない(BC)DSSマウスの遠位結腸の切片はまた、免疫組織化学的分析に付された。ハリスヘマトキシリン染色を伴う対比染色用抗体処理スライドは、TLR4の存在を示す褐色を生じる。TLR4は、疾患発現に関連して大腸炎を伴う動物における細胞の結腸上皮において有意に増大される。C10は、TLR4の総合的な染色、TLR4染色細胞の数及びTLR4染色の強度を有意に減少させた。これは、プレドニゾロン処理マウスには当てはまらなかった。
【図7】C−10は、結腸におけるVCAM−1 mRNA及びタンパク質発現を阻害する。(a)C−10処理を伴うか、又は伴わないDSS処理マウスの遠位結腸の組織切片から単離したRNAを、VCAM−1に関するプローブを使用してノーザンブロット分析に付した。臭化エチジウム染色したrRNAを、負荷対照として使用した。列挙した処理群は図1に記載されている。正常なマウス(AN)並びにC−10処理を伴う(AE)及び伴わない(AC1)DSSマウスの遠位結腸の切片を、免疫組織化学分析に付した。蛍光シグナルの強度は、VCAM−1発現のレベルと相関する。C10処理は、細動脈における細胞の蛍光染色により測定される場合、VCAM−1発現を劇的に減少させた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療を必要とする被験体における胃腸障害の治療方法であって、治療上有効量の1つ又は複数のメチマゾール誘導体と互変異性環状チオンとのうち、両方または一方を患者へ投与することを含む、胃腸障害の治療方法。
【請求項2】
前記胃腸障害は、炎症性腸疾患、クローン病、胃炎、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、消化性潰瘍、ストレス潰瘍、出血性潰瘍、胃酸過多症、消化不良、胃不全麻痺、ゾリンジャー・エリソン症候群、胃食道逆流疾患、細菌感染、短腸(吻合)症候群、全身性肥満細胞症又は好塩基球性白血病又は高ヒスタミン血症に関連した過分泌性状態から成る群から選択される、請求項1に記載の胃腸障害の治療方法。
【請求項3】
前記胃腸障害は、潰瘍性大腸炎、クローン病、不定型大腸炎、感染性大腸炎、薬物又は化学物質誘導性大腸炎、憩室炎及び虚血性大腸炎から成る群から選択されるサイトカイン媒介性炎症性腸疾患である、請求項2に記載の胃腸障害の治療方法。
【請求項4】
前記胃腸障害は、サイトカイン媒介性大腸炎である、請求項2に記載の胃腸障害の治療方法。
【請求項5】
前記サイトカイン媒介性疾患又は病態に関与するサイトカインは、炎症性サイトカインである、請求項3に記載の胃腸障害の治療方法。
【請求項6】
前記炎症性サイトカインは、TNFα、IL−1、IL−1β、IL−6、IL−8から成る群から選択される、請求項5に記載の胃腸障害の治療方法。
【請求項7】
前記炎症性サイトカインはTNFαである、請求項5に記載の胃腸障害の治療方法。
【請求項8】
被験体におけるサイトカインにより媒介される、疾患、障害、状態又は症状の治療方法であって、サイトカインにより媒介される疾患、障害、状態又は症状の防止、阻害或いは抑制に有効な量で、メチマゾール誘導体又は互変異性環状チオン或いはそれらの混合物を含む薬学的組成物を該被験体へ投与することを含む、疾患、障害、状態又は症状の治療方法。
【請求項9】
前記疾患又は状態は、後天性免疫不全症候群、急性及び慢性疼痛、急性化膿性髄膜炎、成人呼吸促迫症候群(ARDS)、アルツハイマー病、アフタ性潰瘍、関節炎、喘息、アテローム硬化症、アトピー性皮膚炎、骨吸収疾患、悪液質、慢性閉塞性肺疾患、うっ血性心不全、接触皮膚炎、クローン病、急性炎症性成分による皮膚病、糖尿病、内毒素血症、糸球体腎炎、対宿主性移植片病、顆粒球輸血、ギヤン・バレー症候群、炎症性腸疾患、らい病、白血球搬出、マラリア、外傷に続発する多臓器損傷、多発性硬化症、心筋梗塞、壊死性大腸炎及び血液透析に関連する症候群、変形性関節症、骨粗鬆症、乾癬、再灌流障害、経皮的経管的冠動脈形成術に続く再狭窄、慢性関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、敗血症、敗血症性ショック、卒中、全身性エリテマトーデス、熱傷、毒性ショック症候群、外傷性関節炎及び潰瘍性大腸炎のうちの1つ又は複数である、請求項8に記載の疾患、障害、状態又は症状の治療方法。
【請求項10】
哺乳類におけるTNFαにより媒介される疾患、障害、状態又は症状の治療方法であって、TNFα放出又は活性の防止、阻害或いは抑制に有効な量で、メチマゾール誘導体又は互変異性環状チオン或いはそれらの混合物を含む薬学的組成物を該哺乳類へ投与することを含む、疾患、障害、状態又は症状の治療方法。
【請求項11】
前記TNFα誘導性疾患又は病態は、内毒素誘導性敗血症、重度の敗血症及び敗血症性ショックを包含するショック、炎症、炎症性腸疾患、対宿主性移植片病、自己免疫疾患、急性呼吸促迫症候群、肉芽腫性疾患、慢性感染、移植拒絶反応、悪液質、細菌感染、ウイルス感染、寄生虫感染、真菌感染及び外傷から成る群から選択される、請求項10に記載の疾患、障害、状態又は症状の治療方法。
【請求項12】
前記TNFα誘導性疾患又は病態は、潰瘍性大腸炎、クローン病、不定型大腸炎、感染性大腸炎、薬物又は化学物質誘導性大腸炎、憩室炎及び虚血性大腸炎から成る群から選択される炎症性腸疾患である、請求項10に記載の疾患、障害、状態又は症状の治療方法。
【請求項13】
前記TNFα誘導性疾患又は病態は潰瘍性大腸炎である、請求項10に記載の疾患、障害、状態又は症状の治療方法。
【請求項14】
哺乳類におけるケモカインにより媒介される疾患、障害、状態又は症状の治療方法であって、ケモカイン放出又は活性の防止、阻害或いは抑制に有効な量で、メチマゾール誘導体又は互変異性環状チオン或いはそれらの混合物を含む薬学的組成物を該哺乳類へ投与することを含む、疾患、障害、状態又は症状の治療方法。
【請求項15】
前記胃腸障害は、潰瘍性大腸炎、クローン病、不定型大腸炎、感染性大腸炎、薬物又は化学物質誘導性大腸炎、憩室炎及び虚血性大腸炎から成る群から選択されるケモカイン媒介性炎症性腸疾患である、請求項14に記載の疾患、障害、状態又は症状の治療方法。
【請求項16】
前記ケモカイン媒介性疾患又は病態は、乾癬、アトピー性皮膚炎、喘息、COPD、成人呼吸疾患、関節炎、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、敗血症性ショック、内毒素性ショック、グラム陰性菌敗血症、毒素性ショック症候群、卒中、心臓及び腎臓再灌流障害、糸球体腎炎、血栓症、アルツハイマー病、対宿主性移植片反応、同種移植拒絶反応、マラリア、急性呼吸促迫症候群、遅延型過敏症反応、アテローム硬化症、大脳及び心臓虚血、変形性関節症、多発性硬化症、再狭窄、血管新生、骨粗鬆症、歯肉炎、呼吸器ウイルス、ヘルペスウイルス、肝炎ウイルス、HIV、カポージ肉腫関連ウイルス、髄膜炎、嚢胞性線維症、早期陣痛、咳、かゆみ症、多臓器機能不全、外傷、挫傷、捻挫、打撲傷、乾癬性関節炎、ヘルペス、脳炎、CNS血管炎、外傷性脳障害、CNS腫瘍、クモ膜下出血、術後の外傷、間質性肺炎、過敏症、結晶誘導性関節炎、急性及び慢性膵炎、急性アルコール性肝炎、壊死性大腸炎、慢性静脈洞炎、血管新生性眼疾患、眼炎症、未熟児網膜症、糖尿病性網膜症、湿式のものを含む黄斑変性、及び角膜血管新生、多発性筋炎、血管炎、挫瘡、胃及び十二指腸潰瘍、セリアック病、食道炎、舌炎、気道閉塞、気道過敏性、気管支拡張症、細気管支炎、閉塞性細気管支炎、慢性気管支炎、肺性心、咳、呼吸困難、気腫、高炭酸ガス症、過膨張、低酸素血症、高酸素症誘導性炎症、低酸素症、外科的肺気量整復、肺線維症、肺高血圧症、右心室肥大、連続携行式腹膜灌流(CAPD)に関連した腹膜炎、顆粒球性エールリヒア症、サルコイドーシス、末梢気道疾患、換気血流不均等、喘鳴、感冒、痛風、アルコール性肝臓疾患、狼瘡、熱傷治療、歯周炎並びに初期移植から成る群から選択される、請求項14に記載の疾患、障害、状態又は症状の治療方法。
【請求項17】
前記ケモカイン媒介性疾患は、COPD、喘息又は嚢胞性線維症から選択される肺疾患である、請求項14に記載の疾患、障害、状態又は症状の治療方法。
【請求項18】
グルココルチコイド、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、β−2アドレナリン受容体アゴニスト、ムスカリン性M1及びM3アンタゴニスト、ムスカリン性M2アゴニスト、NK3アンタゴニスト、LTB4アンタゴニスト、システイニルロイコトリエンアンタゴニスト、気管支拡張薬、PDE4阻害剤、PDE阻害剤、エラスターゼ阻害剤、MMP阻害剤、ホスホリパーゼA2阻害剤、ホスホリパーゼD阻害剤、ヒスタミンH1アンタゴニスト、ヒスタミンH3アンタゴニスト、ドーパミンアゴニスト、アデノシンA2アゴニスト、NK1及びNK2アンタゴニスト、GABA−bアゴニスト、ノシセプチンアゴニスト、去痰薬、粘液溶解剤、うっ血除去薬、抗酸化薬、抗IL−8抗体、抗IL−5抗体、抗IgE抗体、抗TNF抗体、IL−10、接着分子阻害剤及び成長ホルモンから成る群から選択される1つ又は複数の薬物、作用物質或いは治療薬と併用して投与される、請求項1、8、10又は14に記載の方法。
【請求項19】
前記ケモカイン媒介性疾患又は病態は、潰瘍性大腸炎、クローン病、不定型大腸炎、感染性大腸炎、薬物又は化学物質誘導性大腸炎、憩室炎及び虚血性大腸炎から成る群から選択されるケモカイン誘導性炎症性腸疾患である、請求項14に記載の疾患、障害、状態又は症状の治療方法。
【請求項20】
1つ又は複数の治療用ステロイドと併用して投与される、請求項14に記載の疾患、障害、状態又は症状の治療方法。
【請求項21】
1つ又は複数の治療用ステロイドは、コルチコイド、グルココルチコイド、デキサメタゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン及びベタメタゾンから成る群から選択される、請求項20に記載の疾患、障害、状態又は症状の治療方法。
【請求項22】
哺乳類におけるトール様受容体4により媒介される疾患、障害、状態又は症状の治療方法であって、トール様受容体4発現又は作用の防止、阻害或いは抑制に有効な量で、メチマゾール誘導体又は互変異性環状チオン或いはそれらの混合物を含む薬学的組成物を該哺乳類へ投与することを含む、疾患、障害、状態又は症状の治療方法。
【請求項23】
前記トール様受容体4誘導性疾患は、全身性エリテマトーデス、強皮症、シェーグレン症候群、多発性硬化症及び他の脱髄疾患、慢性関節リウマチ、若年性関節炎、心筋炎、ブドウ膜炎、ライター症候群、痛風、変形性関節症、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、再生不良性貧血、アディソン病及びインスリン依存性糖尿病から成る群から選択される1つ又は複数の疾患或いは病態である、請求項22に記載の疾患、障害、状態又は症状の治療方法。
【請求項24】
前記トール様受容体4誘導性疾患は、炎症性腸疾患及び関連胃腸病態である、請求項22に記載の疾患、障害、状態又は症状の治療方法。
【請求項25】
前記トール様受容体4誘導性炎症性腸疾患は、潰瘍性大腸炎、クローン病、不定型大腸炎、感染性大腸炎、薬物又は化学物質誘導性大腸炎、憩室炎及び虚血性大腸炎から成る群から選択される、請求項24に記載の疾患、障害、状態又は症状の治療方法。
【請求項26】
前記トール様受容体4誘導性炎症性腸疾患は大腸炎である、請求項24に記載の疾患、障害、状態又は症状の治療方法。
【請求項27】
前記トール様受容体4誘導性疾患は、1つ又は複数の血管疾患である、請求項22に記載の疾患、障害、状態又は症状の治療方法。
【請求項28】
前記トール様受容体4誘導性疾患は、アテローム硬化症、移植アテローム硬化症、静脈移植片アテローム硬化症、ステント再狭窄及び血管形成術再狭窄から成る群から選択される1つ又は複数の疾患或いは病態である、請求項22に記載の疾患、障害、状態又は症状の治療方法。
【請求項29】
ステロイド、シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤、NSAID、DMARDS、抗生物質、免疫抑制剤、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、LTBアンタゴニスト及びLTAヒドロラーゼ阻害剤及び抗細胞接着分子から成る群から選択される1つ又は複数の化合物と併用して投与される、請求項22に記載の疾患、障害、状態又は症状の治療方法。
【請求項30】
大腸の炎症を含む腸の炎症状態を発症する危険性のある被験体を予防的に治療するのに使用される、請求項1、8、10、14又は22に記載の方法。
【請求項31】
急性又は慢性潰瘍性大腸炎の症状を軽減し、且つ急性又は慢性潰瘍性大腸炎のエピソードから哺乳類を救済する方法であって、サリチル酸塩、コルチコステロイド、免疫抑制薬、抗生物質、抗接着分子及びビタミンD化合物とともに組み合わせて、1つ又は複数のメチマゾール誘導体又は互変異性環状チオンを含む組合せを含む薬学的組成物を該哺乳類へ投与することを含む、急性又は慢性潰瘍性大腸炎の症状を軽減し、且つ急性又は慢性潰瘍性大腸炎のエピソードから哺乳類を救済する方法。
【請求項32】
前記薬学的組成物は、安全且つ有効な量の次式から選択される活性化合物及び薬学的に許容可能なキャリアを含み、
【化1】

Yは、H、C〜Cアルキル、C〜C置換アルキル、−NO及び下記フェニル部分から成る群から選択され、
【化2】

前記活性化合物中のただ1つのY基は、フェニル部分であり、Rは、H、−OH、C〜Cアルキル及びC〜C置換アルキルから成る群から選択され、Rは、H、C〜Cアルキル及びC〜C置換アルキルから成る群から選択され、Rは、H、C〜Cアルキル、C〜C置換アルキル及び−CHPhから成る群から選択され、Rは、H、C〜Cアルキル及びC〜C置換アルキルから成る群から選択され、Xは、S及びOから選択され、Zは、−SR、−OR及びC〜Cアルキルから選択され、ここでYがフェニル部分でない場合、化合物中のR基及びR基の少なくとも2つはC〜Cアルキルであり、またZがアルキルである場合、少なくとも1つのYは−NOである、
請求項1、8、10、14又は22に記載の方法。
【請求項33】
Zは、−SR及びORから選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
Zは−SRであり、XはSである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
YはHである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
はC〜Cアルキルである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
はメチルである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
基の少なくとも1つはメチルである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
基はともにメチルである、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記活性化合物は、下記式:
【化3】

を有する、請求項32に記載の方法。
【請求項41】
前記活性化合物は、下記式:
【化4】

を有する、請求項32に記載の方法。
【請求項42】
前記活性化合物は、下記式:
【化5】

を有する、請求項32に記載の方法。
【請求項43】
前記活性化合物は、下記式:
【化6】

を有する、請求項32に記載の方法。
【請求項44】
前記活性化合物は、下記式:
【化7】

を有する、請求項32に記載の方法。
【請求項45】
前記Y基の1つはフェニル部分である、請求項34に記載の方法。
【請求項46】
及びRはHである、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
はメチルであり、前記R基の少なくとも1つはメチルである、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
はHである、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
基はともにメチルである、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記活性化合物は、下記:
【化8】

から成る群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項51】
前記薬学的組成物は、プロドラッグ形態である、請求項32に記載の方法。
【請求項52】
前記薬学的組成物は、約0.01%〜約25%の前記活性化合物及び約75%〜約99.99%の前記薬学的に許容可能なキャリアを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項53】
前記薬学的組成物は、安全且つ有効な量の下記式を有する活性化合物を含み、
【化9】

は、H、C〜Cアルキル及びC〜C置換アルキルから成る群から選択される、請求項1、8、10、14又は22に記載の方法。
【請求項54】
前記Rは、C〜Cアルキル及びC〜C置換アルキルから成る群から選択される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
はメチルである、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記薬学的組成物は、安全且つ有効な量の次式から選択される化合物及び薬学的に許容可能なキャリアを含み、
【化10】

Yは、H、C〜Cアルキル、C〜C置換アルキル、−NO及び下記フェニル部分から成る群から選択され、
【化11】

前記活性化合物中のわずか1つのY基が、フェニル部分であり、Rは、H、−OH、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜C置換アルキル、C〜Cエステル及びC〜C置換エステルから成る群から選択され、Rは、H、C〜Cアルキル及びC〜C置換アルキルから成る群から選択され、Rは、H、C〜Cアルキル、C〜C置換アルキル及び−CHPhから成る群から選択され、Rは、H、C〜Cアルキル及びC〜C置換アルキルから成る群から選択され、Xは、S及びOから選択され、Zは、−SR、−OR、−S(O)R、−SR及びC〜Cアルキルから選択され、ここでYがフェニル部分でない場合、化合物中のR基及びR基の少なくとも2つはC〜Cアルキルであり、またZがアルキルである場合、少なくとも1つのYは−NOである、請求項1、8、10、14又は22に記載の方法。
【請求項57】
前記活性化合物は、次式から成る群から選択され、
【化12】

は、−OH、−M及びOOCCHMから成る群から選択され、ここでMは、F、Cl、Br及びIから選択される、請求項1、8、10、14又は22に記載の方法。
【請求項58】
前記活性化合物は、次式から成る群から選択され、
【化13】

10は、H、−NO、Ph、4−HOPh及び4−MPhから成る群から選択され、Mは、F、Cl、Br及びIから選択される、請求項1、8、10、14又は22に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−509137(P2008−509137A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−524823(P2007−524823)
【出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/025067
【国際公開番号】WO2006/019962
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(507040183)インターザー コーポレーション (2)
【Fターム(参考)】