説明

大豆原料からの脂肪の分離方法および該方法によって製造した組成物

脂肪濃縮画分と減脂肪抽出物の大豆原料からの分離方法を開示する。また、脂肪濃縮画分、粗油、脱ガム油、大豆ガム、減脂肪大豆抽出物、減脂肪大豆タンパク質組成物、および減脂肪抽出物または減脂肪タンパク質組成物を含む食品も開示する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(関連出願との相互参照)
本出願は、2006年3月3日に出願された米国仮特許出願第60/778,802号の権利を主張する;該出願は、参考として本明細書に合体させる。
(政府助成研究に関する陳述)
無し
【0002】
(背景技術)
大豆は、種々の食品において使用される重要な食用作物である。最近、低-または減脂肪高タンパク質大豆製品に対する消費者需要は、劇的に増大してきている。さらに、自然の有機且つ環境に優しい或いは“青物”食品に対する消費者需要も高まっている。溶媒抽出および圧搾系の方法、例えば、押出機、連続圧搾機、連続およびコールドプレス法のような数種の方法が、食品において使用する減脂肪(reduced fat)大豆タンパク質を商業的に生産するのに現在使用されている。これらの方法により、油画分と脱脂フレークまたはケーキを生産している。
溶媒抽出においては、溶媒、一般的にはヘキサンを使用して、油と残留溶媒を含有するフレークを生産している。これらの溶媒は、天然とはみなされず、有機食品表示のための米国農務省(USDA)ガイドラインによる認証有機食品を製造するには使用できない。
押出機プレス法は、有機大豆タンパク質製品および有機大豆由来油を商業的に生産するのに使用されている。しかしながら、押出機プレス法による油回収は比較的非効率であり、かなり高割合の脂肪がケーキ中に残存する。さらにまた、押出機プレス法によって生産した商業的に入手可能な部分脱脂ケーキおよび粉末は、乏しいタンパク質溶解性およびタンパク質機能性の低下に特徴を有する。
当該技術においては、大豆脂肪を大豆タンパク質から分離して、有機として認証され得る低脂肪タンパク質リッチ組成物および油を製造する方法が求められている。
【0003】
(発明の開示)
1つの局面においては、本発明は、大豆原料の処理方法を提供する。大豆原料を水抽出して抽出物を調製し、この抽出物を、脂肪濃縮画分と減脂肪抽出物とに遠心分離する。水抽出は、水を含む水溶液を大豆原料に添加することを含む。水溶液は、約0.10N以下のイオン強度を有し得、実質的に解乳化剤を含まなくてもよい。脂肪濃縮画分は、必要に応じてさらに処理して油を生成させ得る。減脂肪抽出物は、必要に応じてさらに処理して蒸発またはスプレー乾燥生成物を生成させ得る。
また、減脂肪抽出物は、さらに処理し濃縮して、減脂肪大豆タンパク質組成物を生成させ得る。減脂肪抽出物は、必要に応じて有効量の酸と接触させて、第1のカードおよびホエーを生成させ得る。カードをホエーから分離して、第1の減脂肪大豆タンパク質組成物を生成させ得る。この第1の減脂肪大豆タンパク質組成物を洗浄して、第2の減脂肪大豆タンパク質組成物を生成させ得る。
また、減脂肪抽出物は、濾過により濃縮して、第1の減脂肪大豆タンパク質組成物を生成させ得る。得られる第1の減脂肪大豆タンパク質組成物は、さらなる1連の濾過に供して第2の減脂肪大豆タンパク質組成物を得ることができる。
また、本発明の方法に従って生成させた減脂肪抽出物、脂肪濃縮画分、少なくとも65乾燥質量%のタンパク質を含む減脂肪大豆タンパク質組成物、少なくとも85乾燥質量%のタンパク質を含む減脂肪大豆タンパク質組成物、グリシニン濃縮画分、ベータ-コングリシニン濃縮画分、粗油、脱ガム油、大豆油、大豆ガムおよびタンパク質-脂肪沈降物も提供する。
もう1つの局面においては、少なくとも約65乾燥質量%のタンパク質を含む大豆タンパク質組成物を提供する。該大豆タンパク質組成物は、少なくとも約60%のタンパク質分散性指数(PDI)を有する非ヘキサン非アルコール処理大豆原料から製造する。該大豆タンパク質組成物を含む食品も提供する。
さらなる局面においては、少なくとも約65乾燥質量%のタンパク質を含む大豆タンパク質組成物から製造した食品を提供する。該大豆タンパク質組成物は、非ヘキサン非アルコール抽出大豆原料から製造する。
さらなる局面においては、少なくとも約55乾燥質量%のタンパク質を含む大豆抽出物を提供する。該大豆抽出物は、大豆原料の非ヘキサン非アルコール抽出によって製造する。該大豆原料は、少なくとも約60%のPDIを有する。また、該大豆抽出物を含有する食品も提供する。
【0004】
(発明を実施するための最良の形態)
本発明は、大豆原料を水抽出し、水抽出物を遠心分離して脂肪濃縮画分(または“クリーム”)および出発大豆原料のタンパク質対脂肪比と対比して増大したタンパク質-脂肪比を有する減脂肪大豆抽出物を調製することによって大豆原料を分別する方法を提供する。これらの原料は、さらに処理して所望の特性を有する種々の生成物を得ることができる。
本発明に従って調製した減脂肪抽出物は、少なくとも50%のタンパク質と15%以下の脂肪を含む低脂肪(low fat)豆乳を製造するのに使用することができ、或いは、さらに処理して、少なくとも65%の乾燥基準タンパク質を含有する減脂肪大豆タンパク質組成物(大豆タンパク質濃縮物;American Association of Feed Control Officialsの2006年定義)および少なくとも90%の乾燥基準タンパク質を含有する減脂肪大豆タンパク質組成物(大豆タンパク質分離物)のような減脂肪大豆タンパク質組成物を製造することができる。脂肪濃縮物画分は、油およびガム類(大豆レシチンのような)を製造するのに使用し得る。さらに、ある種の実施態様においては、繊維を含みリン脂質に富むタンパク質-脂肪沈降物も得ることができる。図1〜4は、大豆原料を如何に処理して本発明に従う種々の食品および栄養補給食品を製造するのに有用な種々の組成物を得ることができるかを図解している。
水抽出大豆は、各物質の密度差に基づき遠心分離して、比較的高密度の減脂肪画分(減脂肪大豆抽出物)と比較的低密度の脂肪濃縮画分を調製する。
【0005】
任意の適切な大豆原料を本発明の方法において使用し得る;但し、大豆原料の水抽出によって、遠心分離により取出すことのできる脂肪を含む水抽出物が得られることを条件とする。大豆原料としては、限定するものではないが、伝統的作物栽培大豆、非GMO(遺伝子組換え生物)大豆、GMO大豆および有機栽培大豆がある。適切な大豆原料としては、実質的に全脂肪大豆原料、即ち、ミリング前に、脱脂されていない大豆原料がある。また、大豆原料は、任意の適切な方法によって部分的に脱脂し得る。部分脱脂大豆原料を取得する方法は、当該技術において既知であり、限定するものではないが、スクリュープレス、押出機プレス、コールドプレス;例えば、二酸化炭素、窒素またはプロパンを使用する高圧液体抽出;および超臨界抽出がある。そのようにして製造した部分脱脂ケーキは、水抽出および遠心脂肪分離の前に、必要に応じてミリングして部分脱脂粉末とする。実施例においては、押出機プレス法または二酸化炭素を使用する高圧液体抽出(HPLE)法のいずれかを使用して遠心脂肪分離の前に部分脱脂した粉末またはケーキを使用した。また、商業的に入手可能な粉末、フレーク、ケーキ、小粒および粗びき粉も、遠心脂肪分離法において使用し得る。
上記方法において使用する大豆原料は、限定するものではないが、乾燥、平衡化水分レベルを達成するための状態調節、脱穀、粗砕、並びに大豆原料から夾雑物、雑草、殻または他の望ましくない物質を除去するための向流空気吸引、スクリーニング法または当該技術において既知の他の方法による清浄化のような任意の適切な手段による処理において調製し得る。大豆原料は、必要に応じて、限定するものではないがハンマーミル、ロールミルまたはスクリュータイプのミルを使用するような任意の適切な手段を使用してミリングすることによってさらに処理し得る。得られる粉末は、種々の粒度を有し得る。適切には40〜1000メッシュの粉末を抽出において使用し、より適切には100〜600メッシュの粉末を使用するが、任意の適切な粉末、フレーク、小粒、粗びき粉またはケーキを使用し得る。
実質的全脂肪大豆原料は、質量で約10%よりも高い脂肪分を含有し得る。適切には、実質的に全脂肪大豆原料の脂肪含有量は、約15質量%、20質量%または25質量%さえよりも高い。部分脱脂大豆原料としては、少なくとも脂肪の1部が除去されている任意の大豆原料がある。部分脱脂大豆原料の脂肪含有量は約3質量%、5質量%、10質量%または15質量%よりも多い脂肪であり得る。
【0006】
全脂肪または部分脱脂大豆原料を、水溶液で抽出する。本明細書において使用するとき、用語“水溶液”は、溶質を実質的に含まない水(例えば、水道水、蒸留水または脱イオン水)および溶質を含む水を包含する。当業者であれば承知しているように、水溶液は、塩類、緩衝剤、酸および塩基のような添加剤を含有し得る。脂肪分離は、本発明の方法によれば、解乳化剤を添加することなく実施し得るので、適切には、上記水溶液は、解乳化剤を実質的に含まない。解乳化剤を実質的に含まない水溶液としては、約0.01質量%以下の解乳化剤を含有する水溶液がある。適切には、水溶液は、約0.005質量%以下、より適切には約0.001質量%以下の解乳化剤を含有する。適切には、水溶液は、約0.10N以下、より適切には約0.07N、0.05Nもしくは0.02Nまたはこれら以下のイオン強度を有する。抽出温度は、約0℃〜約93.3℃(約32°F〜約200°F)、適切には約0℃〜約65.6℃(約32°F〜約150°F)、より適切には約26.7℃〜約65.6℃(約80°F〜約150°F)、より適切には約32.2℃〜約62.8℃(約90°F〜約145°F)、さらにより適切には約43.3℃〜60℃(約110°F〜約140°F)であり得る。種々の機能特性を有する生成物を、添加剤を含ませるかまたは抽出温度を変えることによって得ることができる。
下記の実施例においては、水を、粉末に、大豆原料1部当り約4〜約16質量部の比で添加している。しかしながら、より多いまたはより少ない水も使用し得る。実施例においては、pHを水酸化カルシウムの添加によって調製してタンパク質の抽出を容易にしている。限定するものではないが水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウムまたは水酸化カリウムのような他の塩基もpHを調製するのに添加し得る。適切には、pHは約6.0〜約10.5に調整し、より適切には、pHは約7.0〜約9.0に調整して抽出を最適化する。適切には、pHは約7.0よりも高く、より適切には、pHは約7.5である。抽出は、撹拌してまたは撹拌しないで、タンパク質を抽出するのに十分な時間実施する。適切には、抽出は少なくとも10分間で実施し、より適切には、抽出は、少なくとも30分、1時間、2時間または4時間で実施する。当業者であれば承知しているように、より短いまたはより長い時間も使用し得る。
【0007】
抽出物は、遠心分離による脂肪の除去前に、不溶性副生成物(例えば、不溶性繊維画分またはオカラ)の少なくとも1部から分離し得る。この分離は、水平デカンター、ディスクタイプ排泥装置(desludger)、ディスクタイプ除濁装置、または液体と固体を分離する同様な装置を使用して達成し得る。実施例においては、ディスクタイプ除濁遠心分離または水平デカンターを使用して、遠心脂肪分離前に不溶性繊維画分を除去している。不溶性繊維画分は、動物飼料用として使用してもよく、或いは、さらに処理し乾燥させて、動物またはヒトの食餌成分として使用してもよい。
必要であれば、タンパク質の回収を増大させるために、不溶性繊維画分を、水溶液を不溶性副生成物に加え、上記のように遠心分離することによって洗浄することもできる。ディスクタイプ除濁遠心分離は、必要に応じて、残留不溶性繊維画分を除去するのに使用し得る。その後、得られた抽出物は、以下で説明するような遠心脂肪分離に供し得る。
一般に、比較的大きくて低密度の脂肪小球状物の方が、小さめで高密度の脂肪小球状物よりも、水抽出物から遠心脂肪分離によってより完全に分離し得る。脂肪球状物サイズは、大豆原料の調製法および抽出条件に影響を受け得る。遠心脂肪分離は、水抽出物中の脂肪小球状物と水との密度差を維持する方法で抽出物を調製することによって改良し得る。脂肪の遠心分離は、機械的処理を最低限にすること、脂肪分離前の大豆原料の貯蔵および熱に対する暴露を最小限にすること、原料を使用時に近い丸ごとの無傷の豆として処理すること、殻の除去後に空気への暴露を最小限にすること、水抽出物中での微生物増殖を減らすこと、水抽出物中の気泡発生を減らすこと、水抽出物中の空気内包を減らすこと、水抽出物中の遊離脂肪酸含有量を増大させない処理条件と加熱処理を選択すること、エマルジョン化を促進する処理を排除すること、抽出物のpHを約6.0よりも上に維持することによって増進させ得る。適切には、約40%よりも多い、50%、60%、70%、80%もしくは90%またはこれら以上の脂肪を、遠心分離後に水抽出物から取出すことが可能である。
【0008】
水抽出物の遠心分離は、任意の適切な方法によって達成し得、バッチ、半連続または連続法として実施し得る。要するに、大豆水抽出物は、脂肪の少なくとも1部を残りの抽出物から分離するのを可能にする条件下に操作する連続ディスクタイプセパレーターに供給し得る。該セパレーターは、固体ボウルにより或いは連続または断続固体排出設計によって作製し得る。ディスク角およびディスク間隔も同様に変更し得る。1つの実施態様においては、Westfalia Separator Industries社(ドイツ国オエルデ)からのモデルMP-1254のような連続排出ディスクタイプ二相固体ボウルセパレーターを使用する。また、Westfalia Separator Industries社(ドイツ国オエルデ)からのモデルMRPX-418 HGVのような三相セパレーターも使用し得る。三相セパレーターの使用は、不溶性副生成物(例えば、不溶性繊維画分またはオカラ)の減脂肪大豆抽出物および脂肪濃縮画分からの同時分離を可能にする。
もう1つの実施態様においては、不溶性繊維(例えば、オカラ)の少なくとも1部を、上述したような減脂肪抽出物からの脂肪濃縮画分の遠心分離の前に、遠心分離によって水抽出物から除去する。好ましくは、ある種の繊維は、水抽出物中に残存する。その後、三相セパレーターを使用して、減脂肪抽出物、脂肪濃縮画分、並びにタンパク質、脂肪および繊維を含有する沈降物(タンパク質-脂肪沈降物)を形成させ得る。実施例5に示しているように、このタンパク質-脂肪沈降物は、約50%のタンパク質、約30%の脂肪および約10%の繊維からなる特異な組成を有する。相対的な割合は、出発原料の組成並びに抽出および遠心分離において使用する条件によって変動し得る。このタンパク質-脂肪沈降物は、リン脂質に富んでおり、食品および栄養補助食品の製造において有用であり得る。
【0009】
大豆抽出物から除去する脂肪の割合は、ストークス(Stokes)の法則と一致する遠心分離において使用する特定のパラメーターを変えることによって変動させ得る。脂肪除去の効率は、抽出物のセパレーターへの供給速度(時間)またはセパレーターが加えるg力(角速度)を変えることによって影響を受け得る。遠心脂肪分離は、遠心脂肪分離前の抽出物と比較したとき、減脂肪抽出物のタンパク質対脂肪比の約2倍の上昇をもたらし得る。適切には、タンパク質対脂肪比の上昇は、約3倍、4倍またはそれ以上である。遠心脂肪分離法により、抽出物の少なくとも約40質量%の脂肪分を除去し得る。適切には、遠心脂肪分離法により、抽出物から約60質量%、70質量%またはそれ以上でさえの脂肪を除去し得る。これらの方法によって生成させた減脂肪抽出物は、適切には、4対1のタンパク質対脂肪比を有する。タンパク質対脂肪比は、より適切には約5対1、6対1、8対1、10対1、或いは12対1でさえある。
また、抽出物から除去する脂肪の相対量は、抽出物の調製法を変えることによっても影響を与え得る。例えば、大豆原料のミリング法、抽出および取扱法は、遠心脂肪分離法により除去する脂肪の量に影響を与え得る。当業者であれば、脂肪分離の効率を、限定するものではないが大豆抽出物の密度、抽出温度または抽出物中の脂肪小球状物のサイズを変えるような種々の方法で調製方法を変更することによって変え得ることは承知しているであろう。どのような温度も遠心脂肪分離において使用し得るけれども、約48.9℃〜約82.2℃(約120°F〜約180°F)の温度が適切である。より適切には、約48.9℃〜約65.6℃(約120°F〜約150°F)の温度を使用する。
【0010】
脂肪濃縮画分(またはクリーム)および減脂肪抽出物(減脂肪豆乳)は、さらに処理して減脂肪大豆タンパク質生成物および大豆由来油を製造し得る。脂肪濃縮画分は、他の用途における食品成分として使用するために冷蔵タンク内で冷却して保存してもよく、或いは、当該技術において既知の方法を使用して、さらに処理して少なくとも1部の水を除去して
大豆由来の油およびガムを製造し得る。(Erickson, et al. 1980. Handbook of Soy Oil Processing and Utilization, American Soybean Association and the American Oil Chemists Society, St. Louis, Missouri and Champaign, Illinoisを参照されたい;その全体を参考として本明細書に合体させる)。減脂肪抽出物は、減脂肪豆乳として使用してもよく、或いは、当該技術において既知の方法を使用して、さらに処理してタンパク質濃縮物またはタンパク質分離物を製造し得る。(Zerki Berk, 1992. Technology of Production of Edible Flours and Protein Products from Soybeans, Food and Agriculture Organization of the United Nations Agriculture Services Bulletin No. 97, Haifa, Israelを参照されたい;その全体を参考として本明細書に合体させる)。
遠心脂肪分離後、得られた減脂肪大豆抽出物を使用して、図1に図解しているように、低脂肪または無脂肪豆乳を製造し得る。減脂肪豆乳は、液体(例えば、豆乳)として摂取し得、或いは多くの食品を製造するのに使用し得る。例えば、固形分濃度またはpHを調整することができ、添加剤を含ませることができ、或いは、減脂肪抽出物をさらなる加工に供して、特異な減脂肪大豆抽出物製品を創作することもできる。食品としては、限定するものではないが、豆乳飲料、ヨーグルト、または以下で説明するような特定の食品用途において機能性の利点を有する他の製品がある。必要に応じて、脂肪濃縮画分の1部を減脂肪抽出物に添加して、正確なタンパク質対脂肪比を有する大豆抽出物を製造することもできる。例えば、減脂肪大豆抽出物に脂肪添加して、無脂肪よりはむしろ低脂肪製品を製造し得ていた。また、減脂肪大豆抽出物は、蒸発器内で濃縮してもよく、或いは、スプレー乾燥させて減脂肪大豆抽出物粉末を製造することもできる。また、減脂肪大豆抽出物粉末は、当業者が理解しているような種々の食品においても使用することができる。
【0011】
豆乳製品は、豆乳中のタンパク質対脂肪比に応じて、低脂肪または無脂肪のいずれかとして表示する。現在のところ、有機的に保証し得る無脂肪豆乳製品は、商業的に入手可能ではない。実施例1および2において実証しているように、本明細書において開示する方法は、有機的に保証し得る無脂肪豆乳を製造するのに使用し得る大豆タンパク質組成物を生成させている。実施例9参照。低脂肪豆乳は、十分な脂肪を大豆抽出物から除去するか或いは脂肪を減脂肪大豆抽出物に加え戻して、タンパク質対脂肪比が少なくとも4対1(質量/質量)であるか或いは大豆系乳製品がサービング(1回の摂取量)当り少なくとも6.25gのタンパク質を典型的に含有していると仮定して、236.6cm3 (8オンス)サービング当り約1.55g以下の脂肪であるようにすることによって製造し得る。これらの減脂肪豆乳製品は、乾燥固形分基準で少なくとも約55%のタンパク質と約15乾燥質量%以下の酸加水分解脂肪を含有している。適切には、減脂肪豆乳製品は、多くても約10乾燥質量%の酸加水分解脂肪、より適切には約7乾燥質量%以下の酸加水分解脂肪と少なくとも約60乾燥質量%のタンパク質を含有する。より適切には、減脂肪豆乳のタンパク質対脂肪比は、約5対1(質量/質量)またはそれ以上、より適切には約8対1(質量/質量)またはそれ以上である。上述したように、遠心脂肪分離により除去する脂肪の量を該脂肪分離法のパラメーターを調整することによって変動させて、無脂肪または脱脂豆乳を、さらなる脂肪を遠心分離除去して豆乳の236.6cm3 (8オンス)サービングが0.5g以下の脂肪を含有するようにすることによって製造し得る。無脂肪乳中のタンパク質対脂肪の比は、少なくとも12対1(質量/質量)である。
【0012】
減脂肪抽出物は、当業者にとって既知の方法によって分別して、大豆タンパク質画分を生成させ得る。要するに、限定するものではないが重硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化マグネシウムおよび塩化カルシウムのような任意の種類の水溶性塩およびイオウイオンを減脂肪抽出物に添加し得る。その後、減脂肪抽出物のpHを、酸によって特定のpHレベル(通常、pH 5.0〜pH 7.0)に調整する。pH低下は、11Sタンパク質画分を沈降せしめ、11S富化沈降物と液体抽出物の生成を可能にする。その後、液体抽出物は、約pH 4.0〜約pH 5.0 (例えば)へのさらなるpH調整を受けて、7S富化大豆タンパク質画分を濃縮し沈降する。より狭いpH範囲を使用して残りの液体抽出物のさらなる分別(例えば、2Sおよび15S画分を分離する)を可能にする他の分別工程も使用し得る。実施例6は、減脂肪大豆抽出物をコングリシニン濃縮画分とベータ-コングリシニン濃縮画分に分別するさらなる方法を提示している。
また、当該技術において既知の他の方法を使用しても、種々の大豆タンパク質画分を生成させ得る。例えば、2S、7S、11Sおよび15Sタンパク質は、最も一般的に報告されている大豆タンパク質画分である。Soybeans as a Food Source (CRC Press社、オハイオ州クリーブランド、1971年)は、2Sタンパク質画分(8,000〜21,500 M.W.)が総タンパク質質量のおよそ22%を典型的に構成し、7S(110,000〜210,000 M.W.)が総タンパク質質量のおよそ37%を構成し、11S(約350,000 M.W.)が総タンパク質質量のおよそ31%を構成し、15S(約600,000 M.W.)が脱脂大豆生成物のタンパク質組成物の総質量のおよそ11%を構成することを報告している。これらのタンパク質画分は、溶液から、pH 4.0〜5.0の範囲内の等電点pHにおいて沈降させ得る。Davidson等は、多段大豆分離物分離回収方法を開示している(米国特許第4,172,828号)。Shemerは、水溶性タンパク質および炭水化物成分をpH 5.1〜5.9で酸化防止剤の存在下に抽出し、次いで、リン酸によりpH 4.5に調整して、70質量%よりも多い7S大豆タンパク質画分を含有する粘稠タンパク質溶液を調製することを開示している(米国特許第4,188,399号)。John R. Turnerは、亜硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウムまたは水酸化ナトリウムのようなアルカリ物質を使用してグリシニンをpH 6.4〜6.8で抽出することを開示している (米国特許第2,489,208号)。その後、グリシニンを、抽出物から、抽出物をその等電点pH (例えば、pH 4.2〜4.6)に二酸化イオウによるようにして調整することによって沈降させている。Howardは、水溶性タンパク質および炭水化物成分をpH 8.0で塩化ナトリウムと重亜硫酸ナトリウムの存在下に抽出し、次いで、酸によりpH 6.0に調整して11S沈降物画分を得ることによる3種の大豆タンパク質画分の分離を開示している(米国特許第4,368,151号)。分別したタンパク質は、当業者が承知しているように、種々の用途を有する。
【0013】
減脂肪抽出物は、必要に応じて、タンパク質の酸沈降および例えば、限外濾過、精密濾過またはダイアフィルトレーションのような濾過のような当該技術において既知の濃縮および分離方法により、さらに処理して減脂肪大豆タンパク質組成物を製造し得る。これらの方法を使用して、有機認証可能である大豆タンパク質組成物を製造し得る。製造したタンパク質組成物は、使用する特定の方法および出発原料に応じて、乾燥質量基準で少なくとも65%のタンパク質を含有する濃縮物または乾燥質量基準で少なくとも90%のタンパク質を含有する分離物であり得る。適切には、最終タンパク質組成物は、乾燥質量基準で少なくとも約65%、75%、85%または90%のタンパク質を含有する。最終タンパク質生成物は、少なくとも約5対1(質量/質量)のタンパク質対脂肪比、必要に応じて、約8対1、約10対1或いは約12対1(質量/質量)以上でさえのタンパク質対脂肪比を含み得る。減脂肪大豆タンパク質組成物は、約15乾燥質量%以下の脂肪を含有し得、適切には、約10乾燥質量%または約7乾燥質量%以下でさえの脂肪を含有し得る。
実施例1〜3においては、図2において図解しているように、減脂肪抽出物中のタンパク質を酸沈降により濃縮し遠心分離により分離して、部分脱脂または全脂肪大豆原料からの大豆タンパク質濃縮物または分離物を製造した。要するに、減脂肪抽出物中のタンパク質は、クエン酸のような酸をタンパク質の等電点まで添加することによって沈降させ得る。沈降タンパク質(第1のカード)は、第1のホエーから、下記の実施例において使用したWestfalia Separator Industries社(ドイツ国オエルデ)から入手し得るディスクタイプ除濁遠心分離モデルSB-7のような、連続水平デカンター、ディスクタイプ除濁装置またはディスクタイプ排泥装置内で分離し得る。分離した第1のカードは、第1の減脂肪大豆タンパク質組成物を構成する。各実施例において製造した第1の大豆タンパク質組成物を、水溶液を該第1大豆タンパク質組成物に添加し遠心分離することによって洗浄して、より高めの濃度のタンパク質を含む第2の大豆タンパク質組成物を製造した。各実施例において、少なくとも90%のタンパク質を含有する大豆分離物を製造した。
【0014】
実施例4においては、減脂肪抽出物を、図3に図解しているようにして、限外濾過によって濃縮し分離して、大豆濃縮物を全脂肪大豆原料から製造した。また、この方法を使用して、限定するものではないが、ホットプレスした、コールドプレスした、高圧液体抽出したまたは超臨界液体抽出した大豆原料のような、当該技術において既知の任意の手段により製造した部分脱脂大豆原料からも大豆タンパク質組成物を製造した。この方法は、減脂肪抽出物を微多孔質限外濾過膜装置に通してタンパク質リッチのリテンテートを生成させることを含む。限外濾過からのタンパク質リッチリテンテート(第1の減脂肪大豆タンパク質組成物)は、粉末に変性し乾燥させてタンパク質濃縮物を生成させるか或いは第2段階のダイアフィルトレーションまたは限外濾過工程においてさらに処理することができる。第2のリテンテートは、第2の減脂肪大豆タンパク質組成物を構成する。限外濾過以外に、当業者であれば、タンパク質を水溶液から濃縮し分離する任意の適切な方法を使用してタンパク質濃縮物または分離物を取得し得ることは承知しているであろう。
本明細書において説明する大豆タンパク質組成物は、当業者であれば、多くの製品を製造するのに使用し得る。例えば、固形分濃度またはpHを調整することができ、或いは反応条件を変更して種々の機能特性を有するタンパク質製品を製造することができる。さらに、種々の添加剤を含ませることができ、或いは濃縮物または分離物を使用する手順を実施して、特定の用途のための機能性利点を有する特定の製品を創作することもできる。例えば、脂肪濃縮画分の1部を大豆タンパク質組成物に添加してタンパク質対脂肪比を調整し得る。上記の方法によって製造した大豆濃縮物および分離物は、多くの種々のタイプの製品を製造するのに使用し得る。得られる大豆タンパク質分離物または濃縮物は、スプレー乾燥機、フラッシュ乾燥機または当業者にとって既知の他の同様な食品級乾燥装置内で乾燥させて自由流動性粉末とすることができる。
【0015】
この方法によって製造した生成物は、1部の理由として、高タンパク質分散性指数(PDI)を有する大豆原料を出発原料として使用し得るので、現在入手し得る有機認証可能大豆タンパク質製品(例えば、押出機圧搾大豆原料から製造した製品)と比較して、増強された機能性を有する。改良された機能性は、1部では、大豆原料の処理中の熱に対する暴露の低減による。低下したPDIは、機能性低下の1つの適切な尺度である。さらに、得られる製品は、ヘキサンまたはアルコール抽出大豆原料に関連する望ましくない汚染物を含有していない。1つの実施態様においては、大豆濃縮物および分離物は、少なくとも約65%のPDIを有する全脂肪大豆原料から製造する。適切には、全脂肪大豆原料は、ヘキサンまたはアルコールによっては抽出せず、少なくとも約70%のPDIを有する;さらにより適切には、大豆原料は、少なくとも約80%のPDIを有する。タンパク質分散性指数は、出発大豆原料の相対的抽出性を判定するために測定し、得られる大豆タンパク質組成物の溶解性を指標する。0〜100%の尺度において、低PDIは低タンパク質抽出性を示し、高PDIは高レベルのタンパク質抽出性を示す。PDI法は、AOCS, 5th Edition, Method Ba 10-65の推奨基準である。この方法においては、サンプルを懸濁液中に入れ、8500rpmで10分間混合する。サンプルスラリーの1部を遠心分離し、上清アリコートをケルダールタンパク質について分析する。上清タンパク質値をサンプルタンパク質値で割り、100を掛けてパーセントタンパク質分散性指数(PDI)を得る。
【0016】
本発明の生成物は、大豆原料タンパク質濃縮物および分離物において望ましいとみなされるある種の機能特性を有する。本発明に従って製造した減脂肪大豆タンパク質の以下の機能特性が評価済みまたは現在評価中である:表面疎水性、水結合能力、脂肪結合性、エマルジョン化、ゲル硬度および変形性、溶液粒度、溶解性、分散性、ホイップ形成性、粘度、色合および風味等。
大豆タンパク質組成物の表面疎水性は、該タンパク質組成物を食品において使用するための重要な機能特性である。表面疎水性は、蛍光プローブ法("Hydrophobicity determined by a florescence probe method and its correlation with surface properties of proteins", A. Kato, S. Nakai, Biochimia et Biophysica Acta.; Vol 624, No. 13-20, (1980) に記載されているような;その全体を参考として本明細書に合体させる) によって測定し得る。この方法によれば、タンパク質を、その両親媒性により、油と水の界面に吸着させ、エマルジョン化を直ぐに容易にする界面張力の明白な低下を生じさせる。より疎水性のタンパク質ほど、界面張力を大きい度合で低下させ、シス-パリナリン酸のような親油性物質の優れた結合性を示す。タンパク質と結合したとき、シス-パリナリン酸は、蛍光を発し、タンパク質表面疎水性の測定値を与える。界面張力によって蛍光分析的に測定したタンパク質表面疎水性とタンパク質のエマルジョン化活性との間には、強い相関が存在する。とりわけ、蛍光勾配法は、タンパク質組成物の機能特性およびそのエマルジョン系中での有用性と直接相関している。
実施例7に示しているように、遠心脂肪分離法を使用して全脂肪大豆原料から調製したタンパク質組成物の表面疎水性は、他の方法により調製したタンパク質組成物の表面疎水性よりも有意に高いことが判明した。全脂肪大豆原料から調製したタンパク質組成物は、約100よりも大きい、適切には、約110よりも大きい蛍光強度対タンパク質濃度の勾配を生じる表面疎水性を有していた。観測された表面疎水性は、ヘキサン抽出またはホットプレス大豆原料において観測された表面疎水性よりも少なくとも15%、適切には少なくとも約20%高かった。
【0017】
タンパク質:水ゲル強度は、大豆タンパク質組成物を使用して製造した冷蔵ゲルの強度の尺度である。ゲル強度は、円筒状プローブをゲルがプローブによって破壊されるまでゲル中に推進させるTX-TIテクスチャーアナライザーを使用し、ニュートンでのゲル強度を記録したグラム数でのゲル破壊点から算出することによって測定する。
実施例11に報告しているように、本明細書において説明するような脂肪分離方法を使用して製造した生成物の全てが、使用した原料にもかかわらず、試験した他の商業的有機大豆タンパク質製品よりも高いゲル強度を有していた。とりわけ、全脂肪大豆原料およびHPLE調製大豆原料のゲル強度は、商業的に入手可能な製品のゲル強度よりもはるかに高かった。上記組成物のゲル強度は、ホットプレス法により脱脂した大豆タンパク質組成物のゲル強度よりも少なくとも約20%高かった。上記タンパク質組成物は、実施例11の方法によって測定したとき、適切には約2.2ニュートンよりも高い、適切には約2.3ニュートンよりも高い、より適切には約2.4ニュートンよりも高いゲル強度を有する。従って、本発明の大豆タンパク質組成物は、肉エマルジョン、肉類似物、ヨーグルト、模造チーズ、およびタンパク質ゲルを水中で形成する能力が望まれる他の製品のような多くの種類の食品における高ゲル食品成分として使用するのに適する。
タンパク質:油:水エマルジョン強度は、大豆タンパク質を含む冷蔵油および水エマルジョンの強度の尺度である。該エマルジョン強度は、円筒状プローブをエマルジョンがプローブによって破壊されるまでエマルジョン中に推進させるTX-TIテクスチャーアナライザーを使用し、エマルジョン強度を記録したエマルジョンの破壊点から算出することによって測定する。実施例12に報告しているように、全脂肪またはHPLE大豆原料から製造したタンパク質組成物のエマルジョン強度は、商業的に入手可能な大豆タンパク質組成物のエマルジョン強度よりも有意に高いエマルジョン強度を有していた。上記大豆タンパク質組成物のエマルジョン強度は、ホットプレス法により脱脂した大豆タンパク質組成物のエマルジョン強度よりも少なくとも約20%高かった。高いエマルジョン強度は、肉エマルジョン製品を製造するのに必要である。上記タンパク質組成物の油エマルジョン強度は、実施例12の方法によって測定したとき、1.0ニュートンよりも高く、適切には1.1ニュートンよりも高く、より適切には1.2ニュートンよりも高く、さらにより適切には1.3ニュートンよりも高かった。本発明において製造した大豆タンパク質の全てが、肉類似物、ヨーグルト、模造チーズ等のような多くの種類の食品系のタンパク質乳化剤として使用し得る。
【0018】
本明細書において説明する減脂肪大豆タンパク質組成物は、適切には、食品の製造におけるその使用が食品の風味または色合に負の影響を与えないような実質的に淡白な味と灰白色(off-white)の色合を有する。
上記の遠心脂肪分離法は、増強された量のイソフラボン類、リン脂質、サポニン類、トコフェロール類およびステロール類のような有益な微視的成分も含有し得る大豆タンパク質組成物を生じる。数種の微視的成分の量を評価している。
植物ステロール類は、コレステロールと同様な化学構造と生物学的機能を有する植物化合物である。そのコレステロールとの構造的類似性故に、植物ステロール類は、そのコレステロール吸収抑制特性について真っ先に研究された。そのコレステロール低下作用以外に、植物ステロール類は、抗癌活性、抗アテローム性動脈硬化活性、抗炎症活性および酸化防止活性も有し得る。植物ステロールの抗癌性食餌成分としての作用は、最近広範囲に再検討されており(Journal of Nutrition 2000; 130:2127-2130)、植物ステロール摂取は、乳癌、胃癌および食道癌と逆相関していること判明している。1999年、FDAは、サービング当り最低6.25グラムの大豆タンパク質を含有する食品にコレステロールを低下させ心臓病を改善するものとしてラベル表示することを認可した。大豆タンパク質中のステロール類は、コレステロール低下に関与することが判明している。本明細書において説明するタンパク質組成物は、とりわけヘキサン抽出タンパク質組成物と比較したとき、ステロールレベルを上昇させている。実施例10参照。
【0019】
減脂肪大豆抽出物および減脂肪大豆タンパク質組成物は、広範囲の食品を製造するのに使用し得る。これらの食品としては、限定するものではないが、菓子製品、ベーカリー製品、注入肉製品、乳化肉製品、ひき肉製品、肉類似製品、シリアル、シリアル棒、乳類似製品、飲料、豆乳液または粉末食餌調合物、繊維化大豆製品、パスタ、健康栄養補強品および栄養棒がある。詳細には、菓子製品としては、限定するものではないが、キャンディーまたはチョコレートがあり得る。ベーカリー製品としては、限定するものではないが、パン、ロールパン、ビスケット、ケーキ、酵母焼き製品、クッキー、ペストリーまたはスナックケーキがあり得る。注入肉製品としては、限定するものではないが、ハム、家禽製品、七面鳥製品、鷄肉製品、海産物製品、豚肉製品または牛肉製品がある。乳化肉製品としては、限定するものではないが、ソーセージ、ブラートヴルスト、サラミ、ボローニャ、ランチミートまたはホットドッグがある。ひき肉製品としては、限定するものではないが、フィッシュ・スティック、ミートパティー、ミートボール、豚ひき肉製品、家禽ひき肉製品、海産物すり身製品または牛ひき肉製品がある。肉類似製品としては、限定するものではないが、ソーセージ、パティー、グランドミートレスクランブル、ランチミートまたはホットドッグがある。乳類似製品としては、限定するものではないが、乳製品、ヨーグルト製品、サワークリーム製品、ホイップトッピング、アイスクリーム、チーズ、シェーク、コーヒー用クリームまたはクリーム製品がある。栄養(dietetic)調合物としては、限定するものではないが、乳児調合物、高齢者調合物、体重減調合物、体重増調合物、スポーツドリンクまたは糖尿病管理調合物がある。
ほぼ無限数の食品を、食品中の成分を変えることによって製造し得る。例えば、多くのインスタント飲料を、本明細書において説明するタンパク質組成物を1部または全体タンパク質源として使用して製造し得る。当業者であれば、タンパク質、砂糖源、油脂、ビタミン/ミネラル混合物、香味料、ガムおよび/または香味料のタイプおよび含有量を改変して、特定の栄養要件、製品マーケティング要求またはターゲット購買者層に合わせるように設計した飲料製品を製造し得るであろう。例えば、栄養棒は、上記大豆組成物を1部または全体タンパク質源として使用して製造し得る。当業者であれば、タンパク質、砂糖源、油脂、ビタミン/ミネラル混合物、香味料、コーティーングガムおよび/または香味料のタイプ、組成および含有量を改変して、特定の栄養要件、製品マーケティング要求またはターゲット購買者層に合わせる特定の組成物を提供するように設計した栄養棒を製造し得るであろう。
【0020】
脂肪濃縮画分(またはクリーム)は、脂肪濃縮画分からその水分の少なくとも1部を除去することによって粗油に加工し得る。得られる粗油は、現在入手し得る他の粗油調製物と比較したとき、増大した機能性と微視的成分含有量を有することが期待される。上記粗油または上記粗油から製造した全ての油の遊離脂肪酸価は、ホットプレス大豆原料から製造した同様な油よりも一般的に低い。油類の遊離脂肪酸価は、実施例8で説明しているような標準方法によって測定できる。出発大豆原料は、1.0未満の遊離脂肪酸価を有し得る。得られる粗油およびその粗油から製造した製品は、約2.0以下、適切には、約1.5、1.0、0.7、0.5またはこれら以下の遊離脂肪酸価を有し得る。
上記の粗油は、当業者にとって既知の方法によってさらに処理して、種々の組成物を製造し得る。上記粗油を処理する第1の工程は、酸の添加によるリン脂質および水和性ホスファチドの除去(“脱ガム化”)および得られたガムの遠心分離を含む。得られるガムは、そのリン脂質およびミネラル分について分析し得る。Mg、Ca、Na、Fe、K、PおよびClのような数種のミネラルの含有量は、ガム中並びに上記粗油および脱ガム油中で、以下のような標準方法を使用して評価し得る:AOAC 18th Ed. Method 985.35, Minerals in ready to Feed Milk Based Infant Formula , 1997;Standard Methods for the Examination of Water & WasteWater, Method 3111, Metals by Atomic Absorption Spectrophotometry , 1999;および、AACC 10th Ed. Method 40-71, Sodium and Potassium by Atomic Absorption Spectrophotometry, 1999;各々は、その全体を参考として本明細書に合体させる。ガム中のとりわけ重要な成分は、大豆レシチンである。ガム品質の1つの尺度は、ガム中に存在するアセトン不溶性物質の量である。ガム中のアセトン不溶性物質は、実施例8で説明しているようにして測定し得る。
分離後、ガムを乾燥させ漂白して或いはさらに精製して、種々のタイプおよび品質のレシチンを製造し得る。レシチンは、食物または食品において、乳化剤、安定剤、抗スパッタリング剤、ドウ改良剤、老化防止剤および酸化防止剤として使用する。例えば、レシチンは、マーガリンの固体性を促進するために、さらに、ドレッシング、ソースおよび他のクリーム状製品に一貫した質感を与えるために使用する。また、レシチンは、ベーカリー製品、チョコレート、インスタント粉末食品および他の食品用途においても使用し得る。また、レシチンは、チョコレート、バン、菓子製品、インスタント食品およびコーティーング中で使用し得、さらに、他の用途のなかではとりわけフライ中のスパッタリング(飛び跳ね)に対抗するために使用し得る。
【0021】
脱ガム油は、さらに精製して遊離脂肪酸を除去し得る。大豆油のような粗食用油は、多くの場合、その品質に影響を与える望ましくない量の遊離脂肪酸を含有している。用語“遊離脂肪酸(FFA)”は、グリセリン分子にカルボン酸エステルとして化学的に結合していない脂肪酸を識別するのに使用する。FFA類は、エステル化脂肪酸よりも酸化しやすく、従って、油脂および油に“苦味”と説明される異臭に特徴を有する酸敗臭が生じやすくし得る。油脂および油は、純粋な場合、ほぼ全体的に脂肪酸とグリセリンのエステルからなる。“油脂”は室温で固体であり、“油”は室温で液体である。油脂および油は、クッキングに使用するとき、遊離脂肪酸、グリセリンおよび他の極性物質に崩壊し、分解し、加水分解する傾向を有する。なかでも、遊離脂肪酸は、この分解の有害生成物である。
また、種々のクリームサンプル中の脂肪酸組成、総飽和油脂および総不飽和油脂も測定し得る。油脂および脂肪酸を、加水分解法によって抽出する;油脂をエーテル中に抽出し、鹸化し、次いで、メチル化して脂肪酸メチルエステル(FAMES)とする。FAMESを、毛管ガスクロマトグラフィーにより、定量測定する。手順は、次の2つの公定方法に基づく:(1) AOAC 18th Edition, Method 996.06, Fat (Total, Saturated and Unsaturated) in Foods, 2001;および (2) AOCS, 5th Ed., Method Ce 2-66, Preparation of Methyl Esters of Fatty Acids, 199;各々は、その全体を参考として本明細書に合体させる。
【0022】
種々の方法を使用して、遊離脂肪酸および他の汚染物を粗油脂および油から除去し得る。油脂および油の精製および脱臭法は、FFAを除去するのに油脂工業において極めて一般的に使用される方法である。大多数のヨーロッパおよび米国の精製業者によって使用されているアルカリ精製(Braae, B., J. Am. Oil Chem. Soc 53:353 (1976);Carr, R. A., J. Am. Oil Chem. Soc. 53:347 (1976);これら文献は、その全体を参考として本明細書に合体させる)は、油脂または油を加熱し、次いで、油脂または油を水酸化ナトリウムの濃厚苛性溶液で処理することを含む。その後、粗油を得られた石鹸原液から分離する。石鹸原液は、石鹸を製造するのに使用し得、或いは強鉱酸で処理することによって遊離脂肪酸に戻し変換してもよく、これは、その後、動物飼料として使用することもでき、或いはさらに処理して蒸留脂肪酸を生成させ得る。
その後、精製油画分は、後で濾過によって除去することのできる活性炭のような固体吸収剤で処理することによって漂白し得る。油脂工業において臭気物質を粗油から除去するのに極めて一般的に使用される脱臭は、加熱した油の高真空下での水蒸気蒸留によって達成し得る。脱臭法は、FFA類、脂溶性ビタミン類(A、E、D、K)、モノグリセリド類、ステロール類およびカロテノイドのようなある種の色素も同時に除去する。また、脱臭は、油脂および油の芳香および風味も取除いて、無味な最終生成物を生じる。食用油脂および油における遊離脂肪酸含有量は、油脂および油の品質、風味および臭いにおける重要要因である。得られる精製漂白脱臭(RBD)油は、サラダまたは料理用油として、さらにまた、当業者にとっては明白であるような種々の食品用途において使用し得る。
【0023】
(実施例)
以下の実施例は、例示することのみを意味し、本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1
酸沈降法を使用しての押出機圧搾大豆粉末からの減脂肪大豆タンパク質生成物の調製
部分脱脂押出機圧搾大豆粉末は、Natural Products社(ロット番号:092605;アイオワ州グリンネル)から入手した。脱穀大豆片は、機械的押出機プレス(InstaproTM Dry ExtruderおよびContinuous Horizontal Press;アイオワ州デモイン)を使用して部分脱脂されていた。部分脱脂大豆ケーキを、5.0%の水分、54.0%乾燥基準ケルダールタンパク質、11.7%乾燥基準酸加水分解油脂および4.6対1のタンパク質対脂肪比の近似分析値を有する100メッシュ部分脱脂大豆粉末に粉砕していた。
この実施例および後の全ての実施例においては、乾燥基準タンパク質および脂肪比は、標準方法を使用して測定した。大豆原料のタンパク質含有量は、ケルダール法を使用して測定した(AOAC 18th Ed. Method 991.2.2, Total Nitrogen in Milk, 1994;その全体を参考として本明細書に合体させる)。要するに、サンプルを、酸、触媒および熱を使用して消化した。消化サンプルを、水酸化ナトリウムを添加してアルカリ性とした。その後、水蒸気を使用してサンプルを蒸留して、アンモニアを放出させた。アンモニアを受入れ容器内に集め、標準化酸溶液により逆滴性した。その後、窒素含有量を算出した。タンパク質含有量は、窒素含有量にタンパク質係数(即ち、大豆原料においては6.25)を掛けることによって決定した。大豆原料の脂肪含有量は、重量測定法により測定した。要するに、サンプルをモジョニエ(Mojonnier)フラスコ中に秤量した。酸を添加し、サンプルを、固形物が崩壊するまで加熱した。サンプルを冷却し、次いで、アルコール、エチルエーテルおよびpetエーテルを使用して抽出した。フラスコを遠心処理し、得られたエーテル/脂肪層を、前以って秤量したアルミニウム皿に注ぎ入れた。サンプルを、脂肪量に応じて、1連の2回または3回抽出に供した。エーテルを蒸発させ、オーブン内に入れて乾燥させた。サンプルをデシケーター内で冷却し、次いで、Official Method of Analysis AOAC 922.06, Fat in Flour(その全体を参考として本明細書に合体させる)に記載されているようにして秤量した。さらに、大豆原料中に存在する総固形分を、標準手順を使用して、重量測定法により測定した。要するに、サンプルを秤量し、サンプルタイプに応じた特定温度のオーブン内に特定の時間置いた。粉末サンプルにおいては、5時間100℃に設定した真空オーブンを使用した。サンプルをオーブンから取出し、デシケーター内で冷却した。冷却サンプルを秤量し、総固形分/水分を、公定分析方法、即ち、Association of Official Analytical Chemists (AOAC), 18th Edition 927.05, Moisture in Dried Milk(その全体を参考として本明細書に合体させる)に記載されているようにして算出した。
【0024】
22.7kg (50ポンド)の部分脱脂大豆粉末を、378.5L (100ガロン)の撹拌型タンク内で、48.9℃(120°F)の290.3kg (640ポンド)の水道水で抽出した。抽出スラリーのpHを、0.454kg (1ポンド)の水酸化カルシウム(CODEX HL;Mississippi Lime Company社、ミズーリ州セントジュヌビエーブ)を添加することによって10.3に調整し、2時間の平均時間保持した。大豆抽出物を、不溶性副生成物(オカラ)から、高g力ディスクタイプ除濁遠心分離機(モデルSB-7;Westfalia Separator Industry社、ドイツ国オエルデ)を2.5kg (5.5ポンド)/分の正確な流量で使用し、5〜8分サイクルでの2.5秒間の断続固形分排出により分離した。不溶性副生成物(9.2kg (20.2ポンド)の固形物)を集めたところ、17.3%の固形分および45.8%のケルダール乾燥基準タンパク質を含有していた。
大豆抽出物を65.6℃(150°F)に加熱し、脂肪を分離するため、高g力連続排出ディスクタイプセパレーター (モデルMP-1254;Westfalia Separator Industry社、ドイツ国オエルデ)に供給した。セパレーターは、水平に対して52.5度のディスクスタック角度を有し各ディスクと固形物排出のない固形物ボウルとの間に0.5mmの間隔を有する高温乳または低温乳セパレーターのいずれかとして構築されていた。セパレーターに7.3kg (16ポンド)/分の速度で供給し、大豆クリーム(脂肪濃縮画分)を減脂肪大豆抽出物から分離した。大豆抽出物中の脂肪の69%を大豆クリーム中に除去し、減脂肪大豆抽出物を生成させた。減脂肪大豆抽出物は、18.6対1のタンパク質対脂肪比を有し、60.2%のケルダール乾燥基準タンパク質と3.2%の乾燥基準酸加水分解脂肪を含んでいた。
減脂肪大豆抽出物を、60℃(140°F)の撹拌型タンク内で、クエン酸粉末(クエン酸、無水FCC級;Xena International社、イリノイ州ポロ)を添加して4.5のpHにすることによって沈降させた。混合物を穏やかに撹拌しながら10分間保ち、次いで、高g力ディスクタイプ除濁遠心分離機(モデルSB-7;Westfalia Separator Industry社、ドイツ国オエルデ)に、2.5kg (5.5ポンド)/分の第1ホエー流量で6〜10分サイクルでの2.5秒間の断続固形分排出を行いながら連続供給して、カード(沈降タンパク質)をホエーから分離した。回収したカードは、第1の大豆タンパク質組成物としても知られており、7.9kg (17.4ポンド)を秤量し、83.6%の乾燥基準ケルダールタンパク質と6.2%の乾燥基準酸加水分解脂肪を含む大豆タンパク質濃縮物を示していた。第1の大豆タンパク質組成物のタンパク質対脂肪比は、13.5対1であった。
【0025】
上記第1の大豆タンパク質組成物を、54.4℃(130°F)の温度の新鮮温水で希釈して約5%固形分とし、この再水和第1大豆タンパク質組成物を、高g力除濁遠心分離機(モデルSB-7;Westfalia Separator Industry社、ドイツ国オエルデ)に、2.5kg (5.5ポンド)/分の第2ホエー流量で6〜10分サイクルでの2.5秒間の断続固形分排出を行いながら連続供給して、カード(第2大豆タンパク質組成物)とホエーを分離した。6.9kg (15.3ポンド)の第2大豆タンパク質組成物が回収され、92.5%の乾燥基準ケルダールタンパク質と6.1%の乾燥基準酸加水分解脂肪を含む大豆タンパク質分離物を構成していた。第2の大豆タンパク質組成物のタンパク質対脂肪比は、15.1対1であった。
上記第2の大豆タンパク質組成物を、固形分レベルを21.1℃(70°F)の淡水で約12%に調整し、pHを水酸化ナトリウム10%溶液(50%溶液;Fisher Scientific, Barnstead International社、アイオワ州ドゥビューク)で7.1に調整することによって改質した。生成物を、二段階プレート・フレーム熱交換器(モデル25HV;Microthermics社、ノースカロライナ州ローリー)により連続法で低温殺菌した。中和大豆タンパク質組成物を第1の熱交換器内で90.6℃(195°F)に加熱し、その後、それぞれ17237kPa (2500psi)と3447kPa (500psi)の均質化圧による二段階法で均質化した(モデルNS2006H;NIRO Soavi社、ウィスコンシン州ハドソン)。均質化した植物タンパク質組成物を上記ヒーターの第2段階において140.6℃(285°F)に加熱し、6秒間保ち、スプレー乾燥前に43.3℃(110°F)よりも低く冷却した。
改質大豆タンパク質分離物を、スプレー乾燥機(モデル1;NIRO Atomizer社、ウィスコンシン州ハドソン)に、高回転ホイールアトマイザーを使用して18.1kg (40ポンド)/時の供給量で速やかに供給した。スプレー乾燥機入口空気温度を200℃に維持し、92℃の出口空気温度でもって、大豆分離物粉末中で3.5%の生成物水分を達成した。
【0026】
実施例2
酸沈降法を使用しての高圧液体抽出大豆ケーキからの減脂肪大豆タンパク質組成物の調製
部分脱脂大豆ケーキを、SafeSoy Technologies社(ロット番号SS;アイオワ州エルズワース)から入手した。脱穀大豆片は、高圧液体抽出器(プロトタイプモデル;Crown Iron Works社、ミネソタ州ミネアポリス)を使用して部分的に脱脂されていた。高圧液体抽出は、溶媒として二酸化炭素を高圧(超臨界条件よりも低い)下に使用して脂肪を脂肪種子から取出す連続スクリュー圧搾法である。上記部分脱脂HPLE大豆ケーキは、実施例1におけるようにしてミリングして粉末とし、5.4対1のタンパク質対脂肪比において9.59%の水分、52.1%乾燥基準ケルダールタンパク質および6.6%乾燥基準酸加水分解脂肪の近似分析値を有していた。
22.7kg (50ポンド)の部分脱脂大豆粉末を、378.5L (100ガロン)の撹拌型タンク内で、51.7℃(125°F)の362.9kg (800ポンド)の水で抽出した。抽出スラリーのpHを、0.227kg (0.5ポンド)の水酸化カルシウムを添加することによって8.65に調整し、混合物を1時間の平均時間保持した。大豆抽出物を、不溶性副生成物(オカラ)から、実施例1で説明したような高g力ディスクタイプ除濁遠心分離機を使用して分離した。11.9kg (26.3ポンド)の不溶性副生成物固形分を集めたところ、16.87%の固形分および47.8%のケルダール乾燥基準タンパク質を含有していた。
大豆抽出物を51.7℃(125°F)に加熱し、実施例1で説明したような遠心脂肪分離のための高g力連続排出ディスクタイプセパレーターに供給した。セパレーターに3.9kg (8.5ポンド)/分の流量で供給し、脂肪濃縮画分を減脂肪抽出物から分離した。大豆抽出物中の脂肪の45%を除去し、減脂肪大豆抽出物を生成させた。減脂肪大豆抽出物は、16.5対1のタンパク質対脂肪比を有し、58.1%のケルダール乾燥基準タンパク質と3.5%の乾燥基準酸加水分解脂肪であった。
減脂肪大豆抽出物を、54.4℃(130°F)の撹拌型タンク内で、クエン酸粉末を添加して4.5のpHにすることによって沈降させた。沈降タンパク質を穏やかに撹拌しながら15分間保ち、次いで、実施例1で説明したような高g力ディスクタイプ除濁遠心分離機に連続供給した。9.1kg (20.1ポンド)の第1のカード固形物(第1の大豆タンパク質組成物)を回収したところ、得られた生成物は、82.0%の乾燥基準ケルダールタンパク質、6.5%の乾燥基準酸加水分解脂肪および12.7対1のタンパク質対脂肪比を含む大豆タンパク質濃縮物であった。
上記第1の大豆タンパク質組成物を、54.4℃(130°F)の温度の新鮮温水で希釈して2.6%固形分とし、実施例1で説明したような高g力除濁遠心分離機に連続供給して、第2の大豆タンパク質組成物を生成させた。4.54kg (10ポンド)の第2のタンパク質組成物固形物を、94.3%の乾燥基準ケルダールタンパク質、6.2%の乾燥基準酸加水分解脂肪および15.3対1のタンパク質対脂肪比を含む大豆タンパク質分離物として回収した。
上記第2の大豆タンパク質組成物を、固形分レベルを32.2℃(90°F)の淡水で9.09%に調整し、pHを水酸化ナトリウムの10%溶液で7.03に調整することによって改質した。生成物を、実施例1で説明したようにして低温殺菌し、均質化し、スプレー乾燥させた。
【0027】
実施例3
酸沈降法を使用しての全脂肪大豆粉末からの減脂肪大豆タンパク質組成物の調製
全脂肪大豆粉末は、Natural Products社(ロット番号 112105;アイオワ州グリンネル)から入手し、認証有機全大豆から製造されていた。脱穀大豆片を600メッシュ粉末にミリングしていた。得られた全脂肪大豆粉末は、1.7対1のタンパク質対脂肪比において8.83%の水分、43.9%の乾燥基準ケルダールタンパク質および25.5%の乾燥基準酸加水分解脂肪を含有していた。
22.7kg (50ポンド)の全脂肪大豆粉末を、378.5L (100ガロン)の撹拌型タンク内で、51.7℃(125°F)の362.9kg (800ポンド)の水で抽出した。抽出スラリーのpHを、0.227kg (0.5ポンド)の水酸化カルシウムを添加することによって9.35に調整し、1時間の平均時間保持した。大豆抽出物を、不溶性副生成物から、実施例1で説明したような高g力ディスクタイプ除濁遠心分離機を使用して分離した。4.5kg (10ポンド)の不溶性副生成物を集め、15.29%の固形分、16.0%のケルダール乾燥基準タンパク質で廃棄した。
大豆抽出物を51.7℃(125°F)に加熱し、脂肪濃縮画分分離のための実施例1で説明したような高g力連続排出ディスクタイプセパレーターに供給した。セパレーターに許容し得る性能により4.5〜12.3kg (10〜27ポンド)/分の流量で供給し、脂肪濃縮画分を減脂肪抽出物から分離した。大豆抽出物中の脂肪の73%を除去した。該減脂肪大豆抽出物は、8.4対1のタンパク質対脂肪比を有していた。該減脂肪抽出物は、62.4%のケルダール乾燥基準タンパク質と7.4%の乾燥基準酸加水分解脂肪の近似値を有していた。
減脂肪大豆抽出物を、48.9℃(120°F)の撹拌型タンク内で、クエン酸粉末を添加して4.54のpHにすることによって沈降させた。混合物を穏やかに撹拌しながら35分間保ち、次いで、実施例1で説明したような高g力ディスクタイプ除濁遠心分離機に連続供給した。8.80kg (19.4ポンド)の第1大豆タンパク質組成物固形物を回収したところ、84.4%の乾燥基準ケルダールタンパク質、12.5%の乾燥基準酸加水分解脂肪および6.7対1のタンパク質対脂肪比を含む大豆タンパク質濃縮物であった。
上記第1の大豆タンパク質組成物を、51.7℃(125°F)の温度の温淡水で希釈して3.41%固形分とし、実施例1で説明したような高g力除濁遠心分離機に連続供給した。7.5kg (16.6ポンド)の第2のタンパク質組成物固形物を、90.5%の乾燥基準ケルダールタンパク質、9.0%の乾燥基準酸加水分解脂肪および10.3対1のタンパク質対脂肪比を含む大豆タンパク質分離物として回収した。
上記第2の大豆タンパク質組成物を、固形分レベルを32.2℃(90°F)の淡水で10.32%に調整し、pHを水酸化ナトリウムの10%溶液で6.9に調整することによって改質した。生成物を、実施例1で説明したようにして低温殺菌し、均質化し、スプレー乾燥させた。
実施例4
限界濾過法による全脂肪大豆粉末からの減脂肪大豆タンパク質組成物の調製
全脂肪大豆粉末は、Natural Products社(ロット番号 011106;アイオワ州グリンネル)から入手し、認証された有機完全大豆から製造され、実施例3において同定したような全脂肪大豆粉末に加工されていた。該全脂肪大豆粉末は、1.6対1のタンパク質対脂肪比において8.78%の水分、42.9%の乾燥基準ケルダールタンパク質および26.6%の乾燥基準酸加水分解脂肪の近似値を有していた。
11.3kg (25ポンド)の全脂肪大豆粉末を、378.5L (100ガロン)の撹拌型タンク内で、51.7℃(125°F)の181.4kg (400ポンド)の水で抽出した。pHを、90.7g (0.2ポンド)の水酸化カルシウムを添加することによって9.0に調整し、40分の平均時間保持した。大豆抽出物を、不溶性副生成物から、実施例1で説明したような高g力ディスクタイプ除濁遠心分離機を使用して分離した。2.1kg (4.6ポンド)の不溶性副生成物を、14.52%固形分および17.1%のケルダール乾燥基準タンパク質で集めた。
大豆抽出物を51.7℃(125°F)に加熱し、脂肪分離のための実施例1で説明したような高g力連続排出ディスクタイプセパレーターに供給した。セパレーターに9.1kg (20ポンド)/分の流量で供給し、脂肪濃縮画分を減脂肪抽出物から分離した。大豆抽出物中の脂肪の73%を除去した。該減脂肪大豆抽出物は、8.0対1のタンパク質対脂肪比を有し、59.4%のケルダール乾燥基準タンパク質量と7.4%の乾燥基準酸加水分解脂肪を含んでいた。
【0028】
上記減脂肪大豆抽出物を、10,000の分子量カットオフを有する2つのらせん巻きポリスルホン膜(1.09mm(43ミル)スペーサー、5.7平方メートル濾過領域;PTI Advanced Filtration社、カリフォルニア州サンディエゴ)を備えた微多孔質限外濾過膜装置(モデルシステム 1515;PTI Advanced Filtration社、カリフォルニア州サンディエゴ)に通すことによってさらに処理した。154.9kg (341.5ポンド)の減脂肪大豆抽出物を、41.7℃(107°F)、pH 8.5および3.25%固形分で供給タンクに移した。供給ポンプは、抽出物を、110.3〜117.2kPa (16〜17ポンド/平方インチ)の膜フィルター全域での差圧低下による132.5〜151.4L (35〜40ガロン/分)で再循環させた。膜から溢れたリテンテートは供給タンクに戻し、第1の透過物は、126.6kg (279ポンド)の第1の透過物、即ち、減脂肪大豆抽出物の元の質量の81.6%が除去されるまで排出した。処理は、41分以内で終わらせた。5.0kg (11ポンド)の第1のリテンテート固形物は、79.2%のケルダール乾燥基準タンパク質で回収し、8.6対1のタンパク質対脂肪比において9.2%の乾燥基準酸加水分解脂肪を含む大豆濃縮物を構成していた。
上記第1のリテンテートを、126.6kg (279ポンド)の41.7℃(107°F)の脱イオン水を添加することによって希釈し、2回目の限外濾過を、1回目の分離と同じ条件を使用して実施した。希釈した第1のリテンテートを、122.0kg (269ポンド)の第2の透過物、即ち、希釈第1リテンテートの78.8%が42分以内で除去されるまで膜に再循環させた。減脂肪大豆抽出物の元の質量の合計で96.9%が、2段階限外濾過工程において除去された。4.6kg (10.1ポンド)の第2のリテンテートは、85.7%のケルダール乾燥基準タンパク質含有量で回収し、8.7対1のタンパク質対脂肪比を与える9.8%の乾燥基準酸加水分解脂肪を含む大豆濃縮物を構成していた。
上記第2のリテンテートを、固形分レベルを32.2℃(90°F)の淡水で9.2%に調整し、pHを水酸化ナトリウムの10%溶液で7.0に調整することによって改質した。生成物を、実施例1で説明したようにして低温殺菌し、均質化し、スプレー乾燥させた。
【0029】
実施例5
精密濾過法を使用しての全脂肪大豆粉末からの大豆タンパク質生成物の調製
全脂肪大豆粉末は、アイオワ州グリンネルのNatural Products社から入手し、認証された有機完全大豆から製造され、実施例3において同定したような全脂肪大豆粉末に加工されていた。該全脂肪大豆粉末は、1.6対1のタンパク質対脂肪比において8.0%の水分、42.5%の乾燥基準ケルダールタンパク質および26.4%の乾燥基準酸加水分解脂肪の近似分析値を有していた。
22.7kg (50ポンド)の全脂肪大豆粉末を、378.5L (100ガロン)の撹拌型タンク内で、51.7℃(125°F)の362.9kg (800ポンド)の水で抽出した。pHを、145.2g (0.32ポンド)の水酸化カルシウムを添加することによって8.6に調整し、3時間の平均時間保持した。大豆抽出物を、不溶性副生成物から、1.0〜1.2のTricloverポジティブギアポンプモデルPRED-10供給ポンプ設定による1000rpmの逆推進設定による4390rpmで操作するSharples P-660水平デカンターを使用して分離した。6.6kg (14.6ポンド)の不溶性副生成物固形物を、9.7%固形分および23.5%ケルダール乾燥基準タンパク質で集めた。
大豆抽出物を51.7℃(125°F)に加熱し、脂肪分離のための実施例1で説明したような高g力連続排出ディスクタイプセパレーターに供給した。セパレーターに9.1kg (20ポンド)/分の流量で供給し、脂肪濃縮画分を減脂肪抽出物から分離した。大豆抽出物中の脂肪の73%を除去した。該減脂肪大豆抽出物は、5.2対1のタンパク質対脂肪比を有し、58.8%のケルダール乾燥基準タンパク質量と11.4%の乾燥基準酸加水分解脂肪を含んでいた。タンパク質-脂肪沈降物は、上記セパレーターから、52.2%の乾燥基準タンパク質、30.6%の乾燥基準脂肪および12.6%の総食物繊維を含んで得られた。
【0030】
上記減脂肪大豆抽出物を、300,000の分子量カットオフを有する2つのらせん巻きポリフッ化ビニリデン膜タイプFG (0.3ミクロン;Dominick Hunter社、カリフォルニア州サンディエゴ)を備えた微多孔質精密濾過膜装置(モデルシステム 1515;PTI Advanced Filtration社、カリフォルニア州サンディエゴ)に通すことによってさらに処理した。96.6kg (213ポンド)の減脂肪大豆抽出物を、37.2℃(99°F)、pH 8.5および3.52%固形分で供給タンクに移した。供給ポンプは、抽出物を、124.1〜131.0kPa (18〜19ポンド/平方インチ)の膜フィルター全域での差圧低下による147.6〜155.2L (39〜41ガロン/分)で再循環させた。膜から溢れたリテンテートは供給タンクに戻し、第1の透過物は、69.4kg (153ポンド)の第1の透過物、即ち、減脂肪大豆抽出物の元の質量の71.8%が除去されるまで排出した。処理は、15分以内で終わらせた。2.7kg (6ポンド)の第1のリテンテート固形物は、70.0%のケルダール乾燥基準タンパク質で回収し、4.9対1のタンパク質対脂肪比において14.4%の乾燥基準酸加水分解脂肪を含む大豆濃縮物を構成していた。
上記第1のリテンテートを、108.9kg (240ポンド)の41.7℃(107°F)の脱イオン水を添加することによって希釈し、2回目の限外濾過を、1回目の分離と同じ条件を使用して実施した。希釈した第1のリテンテートを、121.6kg (268ポンド)の第2の透過物、即ち、希釈第1リテンテートの89.3%が31分以内で除去されるまで膜に再循環させた。減脂肪大豆抽出物の元の質量の合計で96.9%が、2段階精密濾過工程において除去された。2.3kg (5.1ポンド)の第2のリテンテートは、79.2%のケルダール乾燥基準タンパク質含有量で回収し、5.0対1のタンパク質対脂肪比を与える15.7%の乾燥基準酸加水分解脂肪を含む大豆濃縮物を構成していた。
上記第2のリテンテートを、固形分レベルを32.2℃(90°F)の淡水で10.2%に調整し、pHを水酸化ナトリウムの10%溶液で7.0に調整することによって改質した。生成物を、実施例1で説明したようにして低温殺菌し、均質化し、スプレー乾燥させた。減脂肪抽出物中に存在する脂肪の2%未満は、精密濾過透過物中に除去された。驚くべきことに、減脂肪抽出物中のタンパク質の87.8%は、極めて大きな0/3ミクロン孔サイズによる2回の精密濾過工程によるリテンテート中に保持されていた。このことは、大豆タンパク質が極めて高い分子量を有するその本来の球形状態にあることを示唆している。
【0031】
実施例6
全脂肪大豆粉末からの減脂肪グリシニンリッチ大豆タンパク質画分およびベータ-コングリシニンリッチ大豆タンパク質画分の調製
減脂肪グリシニンリッチ画分を全脂肪大豆粉末から調製するために、57.5%のケルダール乾燥基準タンパク質と11.4%の乾燥基準酸加水分解脂肪を含む1.6kg (3.5ポンド)の減脂肪大豆抽出物(5.0対1のタンパク質対脂肪比)を実施例3に従って調製し、60℃に加熱した。亜硫酸ナトリウム(0.1質量%固形分)を抽出物にpH7.2で添加し、約10分間混合した。50%クエン酸溶液を使用してpHを5.5に調整し、グリシニンリッチ沈降物を生成させ、これを、IECモデルK実験用遠心分離機内で4000rpmにて遠心分離することによって上清から分離した。グリシニンリッチ固形物は、5.2対1のタンパク質対脂肪比において70.7%のケルダール乾燥基準タンパク質と13.4%の乾燥基準酸加水分解脂肪を含む11.4%の乾燥固形分を含有していた。その後、50%クエン酸溶液を添加することによって上清のpHを4.8に調整してベータ-コングリシニンに富む画分を沈降させ、これも上述したような遠心分離によって分離し回収した。ベータ-コングリシニン画分は、4.1対1のタンパク質対脂肪比において69.6%の%のケルダール乾燥基準タンパク質と17.1%の乾燥基準酸加水分解脂肪を含む17.1%の乾燥固形分を含有していた。
実施例7
大豆タンパク質組成物の表面疎水性の評価
ヘキサン抽出大豆粉末(タイプ100/90)は、ミネアポリスのCargill社から入手した。全脂肪大豆粉末は、アイオワ州グリンネルのNatural Products社から入手し、認証有機全大豆から製造されて実施例3におけるようにして処理されていた。部分脱脂押出機圧搾大豆粉末は、アイオワ州グリンネルのNatural Products社から入手した。部分脱脂HPLE大豆粉末は、アイオワ州エルズワースのSafeSoy Technologies社から入手した。4種の大豆粉末は、全脂肪粉末から調製した大豆抽出物を実施例3におけるようなクリームと減脂肪抽出物に分離した以外は、全て同一の方法を使用して処理した。
要するに、上記4種の大豆粉末の各々を、大豆粉末1部に対して合計で16部の51.7℃(125°F)の水で抽出した。抽出物各々のpHを、水酸化カルシウムを添加することによって7.1〜7.7に調整し、30分の平均時間保った。大豆粉末抽出物を、高g力遠心分離を使用して、不溶性副生成物(オカラ)から分離した。全脂肪粉末から生成させた大豆抽出物は、セパレーターでさらに処理して実施例3におけるようなクリームを除去した。
各抽出物を、60℃(140°F)で、50%クエン酸溶液を添加して4.5のpHとすることによって沈降させた。各混合物を穏やかに撹拌しながら20分間保ち、その後、遠心分離してカード(沈降タンパク質)を第1のホエーから分離した。各第1のタンパク質組成物を60℃(140°F)の水で希釈して、元の抽出物容量の半分に戻した。希釈した第1タンパク質組成物の各々からの混合物を穏やかに撹拌しながら10分間保ち、その後、遠心分離して第2のカード(沈降タンパク質)を第2のホエーから分離した。各粉末からの第2の植物タンパク質組成物(大豆分離物)を、固形分レベルを32.2℃(90°F)の淡水により10%に調整し、pHを水酸化ナトリウムにより6.8に調整することによって改質し、その後、実施例6におけるようにして凍結乾燥した。
【0032】
4種の原料から製造した各凍結乾燥第2タンパク質組成物を、タンパク質と脂肪組成について、実施例1におけるように評価し、蛍光プローブ法を使用して分析し表面疎水性を判定した。要するに、大豆タンパク質表面疎水性の測定を、ANS (1-アニリノナフタレン-8-スルホネート)を蛍光プローブとして使用して実施した。大豆タンパク質サンプルの1連の希釈物をリン酸塩緩衝液(0.01M、pH 7)により調製して、0〜1000μg/mlの範囲のタンパク質濃度を得た。20μlのAMS (16mM)を各サンプルの5mLに添加した。ANS-タンパク質コンジュゲートを365nmで励起し、蛍光強度を、Aminco-Bowman蛍光分光計(Aminco-Bowman シリーズ2 発光分光計;Thermo Electron Corporation社、マサチューセッツ州)で484nmにて測定した。蛍光強度対タンパク質濃度のプロットの初期勾配を表面疎水性(S0)として算出した。
極めて良好な相関が、界面張力により蛍光測定的に測定したタンパク質表面疎水性とタンパク質の乳化活性において観察された。

表1:表面疎水性


全脂肪大豆粉末から調製したタンパク質組成物の表面疎水性は、HPLEまたは圧搾機圧搾大豆粉末から調製したタンパク質組成物の表面疎水性よりも47%高く、ヘキサン脱脂大豆粉末から調製したタンパク質組成物よりも22%高い。
【0033】
実施例8
圧搾機圧搾およびヘキサン抽出粗油と比較しての当該脂肪分離法のクリーム画分からの脱ガム大豆油および大豆ガム(レシチン)の調製
大豆クリームの2つのアリコートを、実施例3の方法を使用して、全脂肪大豆粉末から得た。ヘキサン抽出粗油は、ミネソタ州マンケートのCHS Oilseed Processors社から入手し、圧搾機圧搾粗油は、アイオワ州チェロキーのAmerican Natural Soy社から入手した。2つの異なる試みからの大豆クリームを、実施例3の手順を使用して生成させ、凍結乾燥して(実施例6におけるようにして)、水を蒸発させ、粗油を生成させた。上記の各凍結乾燥粗油、商業生産圧搾機圧搾粗油、およびヘキサン抽出粗油を個々に65.6℃(150°F)に加熱し撹拌した。2質量%の5%クエン酸溶液を、撹拌ビーカーに15分間で添加した。その後、リン脂質(大豆レシチン、ガムとしても知られる)を、実施例6で説明したような実験用遠心分離機内での4000rpm、10分間の遠心分離により、固形物として取出し、上清油は、脱ガム大豆油として、濾紙上で濾過した。粗油、脱ガム油および分離したガムを、4種のサンプル各々において、その化学的性質について分析した。
各サンプルの脂肪、タンパク質および固形分含有量を、実施例1で詳述した方法によって測定した。遊離脂肪酸価は、脂肪中で生じている加水分解性酸敗臭の量を指標する。遊離脂肪酸価は、次の2つの公定分析方法に基づいて算出した:(1) AOAC method 41.1.21および(2) Official Methods and Recommended Practices of the American Oil Chemists Society, 5th Ed., Method Ca 5a-40;各々は、その全体を参考として本明細書に合体させる。加水分解性酸敗臭は、脂肪の遊離脂肪酸とグリセリンへの酵素加水分解によって生じる。要するに、当該試験は、脂肪サンプルを有機溶媒中に溶解し、水酸化ナトリウムで滴定することを含む。遊離脂肪酸は、下記の表3および4におけるように、パーセント遊離脂肪酸の代りに酸価に関して表す。酸価は、1グラムのサンプルを中和するのに必要な水酸化カリウム(KOH)のmgとして定義されている。パーセント遊離脂肪酸(オレイン酸として)を酸価に換算するには、パーセント遊離脂肪酸に1.99を乗ずる。
【0034】
上記粗油、脱ガム油およびガムのミネラル含有量は、以下のような標準方法を使用して測定した:AOAC 18th Ed. Method 985.35, Minerals in ready to Feed Milk Based Infant Formula , 1997;Standard Methods for the Examination of Water & WasteWater, Method 3111, Metals by Atomic Absorption Spectrophotometry, 1999;および、AACC 10th Ed. Method 40-71, Sodium and Potassium by Atomic Absorption Spectrophotometry, 1999;各々は、その全体を参考として本明細書に合体させる。
大豆ガム中に存在するアセトン不溶性物質の量は、以下の方法を使用して測定した。ガムを60℃を越えない温度で簡単に温め、次いで混合した。2グラムを40mL遠心分離チューブに移し、15.0mLのアセトンを加えた。得られたサンプルを水浴中で撹拌しながら温めてガムを完全に溶融させ、次いで、氷浴中に5分間置いた。その後、0℃〜5℃に冷却したアセトンを遠心分離チューブ上の40mLマークまで撹拌しながら加えた。次に、チューブを氷水浴中で15分間インキュベートし、撹拌し、2000rpmで5分間遠心分離した。上清をデカンテーションし、ペレットを崩壊させた。その後、遠心分離チューブに冷却アセトンを40mLマークまで撹拌しながら再充填した。氷水浴で15分間インキュベートした後、チューブを再度遠心分離し、上清をデカンテーションし、残存アセトンを蒸発させた。アセトン不溶性残留物を含有するチューブを105℃に加熱し、アセトン不溶性残留物の質量を計量した。その後、アセトン不溶性物質の百分率は、出発質量と比較することによって算出し得る。
【0035】
表2:粗大豆油の比較

【0036】
表3:脱ガム大豆油の比較


表4:大豆レシチン(ガム)

【0037】
各大豆クリームから製造した粗油の遊離脂肪酸価は、ヘキサン抽出粗油よりも12〜28%低く、圧搾機圧搾粗油よりも88〜90%低い。食用油脂および油の遊離脂肪酸含有量は、これらの食物成分の品質、味および臭いにおける重要な要因である。
各クリームから製造した脱ガム油は、ヘキサン抽出および圧搾機圧搾粗油と組成的に同様であった。脱ガム粗油画分は、精製し、漂白し、脱臭し、或いは何らかのさらなる処理を受けて、クリーム画分から得られる油を精製し得る。
各大豆クリームから製造した大豆レシチン(ガム)は、圧搾機圧搾およびヘキサン抽出粗油よりも高量のタンパク質、低減量の他の成分および低い不溶性物質分を含有している。沈降ガムは、飼料添加剤として使用し得、或いは蒸発させて水分を除去し得る。
【0038】
実施例9(机上例)
商業的に入手可能な豆乳粉末と比較しての実施例1〜5で調製した減脂肪大豆抽出物および/または大豆分離物からの低脂肪および無脂肪豆乳消費者製品の調製
豆乳製品を、全大豆の液体抽出物または代替的に他の成分と湿式混合する再水和大豆タンパク質から調製する。商業的豆乳の製造において使用する大豆タンパク質の最低量は、商業的豆乳の単回サービングの240ml中で最低6.25グラムの大豆タンパク質を摂取するのに必要なタンパク質量に等しい。
実施例1〜5で調製した大豆タンパク質をサービング当り最低6.25グラムの大豆タンパク質でもって使用して、商業的豆乳製品を、下記の表5の配合に従って再水和大豆タンパク質分離物から調製し得る。

表5:豆乳製品配合

【0039】
これらの配合を使用して製造する豆乳製品は、下記の表6に示す製品組成を有する。

表6:豆乳製品組成

実施例1および2に由来する大豆タンパク質から製造する豆乳は、サービング当り0.5グラム未満の酸加水分解脂肪しか含有せず、従って、USDA Food Pyramidガイドラインによる無脂肪豆乳であるとみなされる。5種の豆乳製品全てが低脂肪豆乳製品である。
【0040】
また、豆乳は、下記の表7の配合に従って、実施例1〜5で調製した減脂肪大豆抽出物からも製造し得る。比較のため、商業的に入手可能な低脂肪有機認証豆乳粉末も表7に含ませている。

表7:豆乳製品配合

【0041】
上記減脂肪大豆抽出物から製造する豆乳製品および商業的に入手可能な豆乳粉末は、下記の表8に示す組成を有する。

表8:豆乳製品組成


表9:製品組成の比較

実施例1および2の減脂肪抽出物から製造する豆乳製品は無脂肪豆乳であり、実施例3,4および5から製造する豆乳製品は低脂肪豆乳である。商業的に入手可能な豆乳粉末から製造した豆乳製品は、低脂肪または無脂肪豆乳のいずれの基準も満たしていない。
【0042】
実施例10
商業的に入手可能な大豆タンパク質分離物と比較した、当該脂肪分離法によって製造した大豆タンパク質分離物中に存在する大豆ステロール類量の比較
大豆タンパク質原料中のキャンペステロール、スチグマステロールおよびベータ-シトステロールを、Official Methods of Analysis of AOAC International (2000) 17th Ed. Gaithersburg, MD, USA, Official Method 994.10.(Modified)に記載されているようにして測定した;該公定方法は、その全体を参考として本明細書に合体させる。要するに、サンプルを、エタノール水酸化カリウムを使用して鹸化した。コレステロールおよび他のステロール類を含有する不鹸化性画分をトルエンで抽出した。トルエンを蒸発させて乾固し、残留物をジメチルホルムアミド(DMF)中に溶解させた。サンプルを誘導体化してトリメチルシリルエーテルを形成させた。誘導体化コレステロールを、5-α-コレスタンを内部標準として使用するガスクロマトグラフィーにより定量測定する。
下記の表10では、実施例1〜5において製造した大豆分離物を商業的に入手可能な大豆分離物と比較している。全脂肪大豆粉末から製造した大豆分離物の総ステロール組成は、ヘキサン抽出大豆粉末から製造した分離物よりも6倍高かった。さらに、全脂肪大豆粉末から製造した大豆分離物は、押出機圧搾およびHPLE大豆粉末から製造した分離物よりも2倍高い総ステロール量を含有している。

表10:ステロール組成

【0043】
実施例11
ゲル強度についての実施例1〜3において製造した大豆分離物と商業的に入手可能な有機認証大豆分離物との比較
タンパク質:水ゲル強度は、大豆タンパク質の冷蔵ゲルの強度の尺度である。タンパク質:水ゲルを、AOAC 18th Ed. Method 991.2.2 (その全体を参考として本明細書に合体させる)に記載されているようなケルダールタンパク質分析を使用する前以ってのタンパク質分析に基づく1:5のタンパク質:水質量比を有する大豆タンパク質原料と氷水とのサンプルを混合することによって調製した。タンパク質と氷水スラリーを、Combimax 600食品加工機(Braun社、マサチューセッツ州ボストン)内で、光沢があり平滑なゲルの形成を可能にするに十分な時間混合した。その後、ゲルを、空気が残らないようにしてガラスジャー(Kerr社、インディアナ州マンシー)内に入れた。ジャーを金属のふたで密閉した。大豆ゲルを含むジャーを−5℃〜5℃の温度で30分間冷蔵し、次いで、75℃〜85℃の温度の水浴中に40分間置いた。最後に、ゲルを−5℃〜5℃に12〜15時間冷却した。冷蔵期間後、ジャーを開放し、ゲルをジャーから分離し、ゲルを1片として残す。ゲル強度は、円筒状プローブ(34mm長×13mm直径)をゲル中にゲルがこのプローブにより破壊されるまで推進させるTX-TIテクスチャーアナライザー(Stable Micro System社、英国ゴダルミング)によって測定した。ゲル強度は、記録したゲルの破壊点からニュートンで算出した。
ヘキサンで抽出していない大豆粉末から製造した2つの商業的有機大豆タンパク質製品は、Nutriant社(Kerry Company社、アイオワ州シーダーフォールス)およびOleanergie社(カナダ)から入手し、実施例1〜3において異なる原料(圧搾機圧搾大豆粉末、高圧液体抽出(HPLE)大豆粉末および全脂肪大豆粉末)から製造した3種の分離大豆タンパク質製品と一緒に分析した。結果は、下記の表11に示している。

表11:タンパク質:水ゲル強度


表11に示しているように、本明細書において説明する脂肪分離方法を使用して製造した全ての製品は、使用した原料にかかわらず、試験した商業的有機大豆タンパク質製品のゲル強度よりも高いゲル強度を有することが判明した。HPLE大豆粉末から製造したタンパク質のゲル強度は、全脂肪大豆粉末から製造したタンパク質のゲル強度と同様であり、両者は、押出機圧搾粉末から製造したタンパク質および商業的に入手可能な有機認証大豆タンパク質よりも高かった。実施例1〜3からの全ての製品のゲル構造は、堅固で光沢があり極めて弾力性であった。
【0044】
実施例12
大豆タンパク質組成物のタンパク質:油:水エマルジョン強度の比較
タンパク質:油:水エマルジョン強度は、大豆タンパク質を含む冷蔵油および水エマルジョンの強度の尺度である。タンパク質:油:水エマルジョンを、ケルダールタンパク質分析方法(AOAC 18th Ed. Method 991.2.2)を使用する前以ってのタンパク質分析に基づく1:5:6のタンパク質:油:水質量比を有する大豆タンパク質原料、大豆油(Wesson Vegetable Oil社)および氷水のサンプルを混合することによって調製した。タンパク質、油および氷水のスラリーを、Combimax 600食品加工機(Braun社、マサチューセッツ州ボストン)内で、平滑なエマルジョンの形成を可能にするに十分な時間混合した。その後、エマルジョンを、空気が残らないようにしてガラスジャー(Kerr社、インディアナ州マンシー)内に入れた。ジャーを金属のふたで密閉した。大豆エマルジョンを含むジャーを−5℃〜5℃の温度で30分間冷蔵した。次いで、エマルジョンを、75℃〜85℃の温度の水浴中に40分間置くことによってクッキングした。最後に、エマルジョンを−5℃〜5℃に12〜15時間冷却した。冷蔵期間後、ジャーを開放し、エマルジョンをジャーから分離し、エマルジョンを1片として残した。エマルジョン強度は、円筒状プローブ(34mm長×13mm直径)をエマルジョン中にエマルジョンがこのプローブにより破壊されるまで推進させるTX-TIテクスチャーアナライザー(Stable Micro System社、英国ゴダルミング)によって測定した。エマルジョン強度は、記録したエマルジョンの破壊点からニュートンで算出した。
油エマルジョンは、実施例1〜3の大豆タンパク質組成物から製造し、上記の方法を使用して分析した。さらに、Nutriant社(Kerry Company社、アイオワ州シーダーフォールス)およびOleanergie社(カナダ)からの2つの商業的に入手可能な有機大豆タンパク質製品も試験した。実施例1〜3において製造した分離大豆タンパク質は、異なる原料(圧搾機圧搾大豆粉末、高圧液体抽出(HPLE)大豆粉末および全脂肪大豆粉末)を使用して製造している。結果は、下記の表12に示している。

表12:油エマルジョン強度


表12に示すように、本明細書において説明する脂肪分離方法を使用して製造した全ての製品は、試験した他の商業的に入手可能な有機大豆タンパク質製品のエマルジョン強度よりも高いエマルジョン強度を有していることが判明した。とりわけ、実施例2および3における全脂肪およびHPLE大豆粉末から製造したタンパク質は、商業的有機大豆タンパク質製品と比較して、油エマルジョン強度のおよそ35%の改良を示している。いずれのエマルジョンからも脂肪の分離はなく、エマルジョンの堅固性は、肉エマルジョンに必要な構造を与えるに十分であった。
【0045】
実施例13(机上例)
当該大豆タンパク質組成物を使用する全筋肉注入
肉塩汁(125%および150%)を実施例1〜6によって製造した各大豆タンパク質組成物を使用して調製し、赤身ハムまたは注入による全筋肉製品のジューシー性および収量を増大させることができる。塩汁は、タンパク質を氷水中に他の成分を添加する前に完全に分散させることによって調製する。塩汁は、下記の組成を有する:



注入工程は、Fomaco Injector モデル FGM 20/40を使用し2回通しで実施する(1回目通しでは172.4kPa (25psi)の注入圧、2回目では137.9kPa (20psi))。塩汁温度を4〜6℃に維持する。その後、注入肉片を、DVTS-200 Vacuum Tumbler Machine (MPBS industries社)内で、残りの塩汁と一緒に12時間タンブリングする。タンブリングした肉片を185mm直径のケーシングに詰込み、80℃で2時間30分間クッキングする。10℃の水シャワーを最終冷却において使用する。
得られる注入肉片の全てが、引き締まった噛み味および注入塩汁の目視し得るストリップまたはポケットのない乾燥表面を有する。これらの肉片は、下記の組成を有する。


【0046】
実施例14(机上例)
当該大豆タンパク質組成物を使用する肉エマルジョン調製物
肉エマルジョンは、実施例1、2、3および6の大豆タンパク質組成物を使用し、下記のレシピおよび成分に従って配合し得る。



保蔵塩(cure salt)、リン酸塩、大豆タンパク質、MDMおよび水の半分をHobartカッター内に入れ、タンパク質が十分に水和するまで切刻み、その後、残りの成分を添加する。最終エマルジョンを、エマルジョンが13℃の温度に達するまで切刻み、その後、真空バッグ内に密閉し、次いで、70mm不透過性ケーシング(レバーソーセージタイプ)に真空バッグ端部を切断することによって手で詰込む。詰込んだケーシングを30分間氷水中に保ち、次いで、80℃の湯沸かし器内で、エマルジョンの内部温度が74℃に達するまでクッキングする。その後、クッキングした肉エマルジョンを氷水中で冷却する。
これらの実施例の生成物から調製したクッキング肉エマルジョンは、引き締まった噛み味および目視し得る脂肪分離のない乾燥表面を示す。
【0047】
実施例15(机上例)
当該大豆タンパク質組成物を使用して調製した増量ミートパティー
大豆タンパク質で増量したミートパティーは、1部の切刻むべき実施例1、2、3および6で製造した特異な大豆タンパク質組成物を2.5部の70℃の水と一緒に遅い速度の食品カッター(Hobart モデル84145;オハイオ州トロイ)内に20〜30秒で加え、次いで、2〜3分間高速切断して湿潤ゲルを生成させることによって調製し得る。湿潤ゲルを、4〜6℃で1夜冷蔵する。ゲルを冷蔵から取出し、Hobartカッター内で10〜20秒間切刻み、約30mm粒度の個々の明確なタンパク質粒状物を製造する。
その後、上記のようにして製造した粒状物を使用し、下記の配合を使用して無ヘキサン低脂肪バーガーを調製する。牛ひき肉をHobartカッター内で水と粒状物を添加しながら2〜3分間切刻む。残りの成分をミキサーに加えて、さらに1分間混合する。混合物全体を肉挽き器内で3.175mm (1/8”)プレートにより粉砕し、成形機(Formax社、モデルF-6;イリノイ州モケナ)を使用してバーガーに成形する。その後、成形したバーガーを−40℃の急速冷凍機内で凍結させる。


【0048】
実施例16(机上例)
肉類似パティーを、当該大豆タンパク質組成物を使用して調製する
タンパク質粒状物を、実施例15で説明したようにして、実施例1、2、3および6において製造した大豆タンパク質から製造し、下記の配合を使用する有機認証肉類似パティーを調製するのに使用する。



有機TVPを、食品カッター(Hobart Manufacturing社、モデル84145;オハイオ州トロイ)内で、10%の水および炭酸ナトリウムと2分間混合する。タンパク質粒状物を混合物に加え、1分間混合し、その後、混合物を4〜6℃で冷蔵する。残りの水を80℃に加熱し、同じHobartカッター内で、メチルセルロースと一緒に高速で1分間切刻む。大豆タンパク質組成物を上記カッターに加え、高速で2分間切刻む。大豆油を高速で切刻みながらゆっくり加え、1分間切刻む。残りの成分を添加し、3分間切刻む。その後、冷蔵したTVP、粒状物および炭酸ナトリウムの混合物をエマルジョンに加え、2分間混合する。混合物を、Formax F-6成形機(Formax社、イリノイ州モケナ)を使用してパティーに成形する。パティーを−40℃で急速冷凍する。
【0049】
実施例17(机上例)
当該大豆タンパク質組成物を使用して調製した大豆系ヨーグルト類似品
大豆系ヨーグルト類似品は、実施例1〜6で示した大豆タンパク質組成物をから調製し得る。成分および配合は、下記のとおりである。


試験用の全ての油類をタンク中で混合し、70℃に加熱し、乳化剤を添加する。大豆タンパク質組成物を別のタンク中で49℃の水により18%の固形分で分散させる。その後、乳漿と砂糖を添加し、乳化剤を含む油を添加する前に、15分間混合する。次に、溶液を90℃に5分間加熱し、それそれ17237kPa (2500psi)および13790kPa (2000psi)の2段階ホモジナイザーで均質化し、その後、35℃に冷却する。混合物全体が35℃に達した後、2%標準ヨーグルト開始培養物を接種する。温度を、混合物のpHが4.6に達するまで35℃に維持し、その後、ビタミン類、ミネラル類および香味料を添加し、混合物を包装のために4℃に冷却する。
【0050】
実施例18(机上例)
当該大豆タンパク質組成物を使用して調製したフローズンデザート
本実施例は、実施例1〜6の大豆タンパク質組成物を使用して如何にしてフローズンデザートを製造できるかを例示する。成分および配合を以下に示す:



大豆タンパク質組成物を、十分な撹拌下に完全に水和するまで45℃で水に添加する。他の全ての乾燥成分を十分な撹拌下に水に添加して完全に混合する。水素化大豆油を、十分に混合するまで同じ撹拌下に添加する。溶液を78℃で20秒間低温殺菌し、100/33バールで均質化する。混合物を70〜100%オーバーランで凍結し、次いで、包装して固化する。
【0051】
実施例19(机上例)
大豆系乳代替品の調製
大豆系全乳代替品は、実施例1〜6の大豆タンパク質組成物を使用して製造し得る。配合において使用する成分および手順を以下で説明する。



植物油を66℃に加熱し、次いで、乳化剤を添加する。別のタンク内で、大豆タンパク質生成物を49℃の水に適切に撹拌しながら18%の固形分で混ぜ入れる。ニュートラーゼ酵素(または他の適切なプロテアーゼ)をタンパク質質量の0.1%で絶えず撹拌しながら1時間で添加して大豆溶液中のタンパク質を加水分解する。溶液を1時間後に低温殺菌し、酵素を変性させることによって反応を停止する。乳漿、砂糖、ゼラチン、塩、ミネラル類および香味料を添加し、油および乳化剤を添加する前に15分間混合する。混合物全体をさらに15分間混合した後、混合物を均質化し、低温殺菌し、スプレー乾燥する。大豆系乳代替品は、良好に機能し、脂肪を乳化し再水和後も可溶性のままである能力を保持している。
【0052】
実施例20(机上例)
当該大豆タンパク質組成物を使用して調製した乳児配合物
本実施例は、実施例1〜6の大豆タンパク質組成物を使用する大豆系乳児配合物の製造を例示する。配合において使用する成分および手順は、以下のとおりである:


植物油を66℃に加熱し、次いで、乳化剤を添加する。別のタンク内で、大豆生成物を49℃の水に適切に撹拌しながら18%の固形分まで混ぜ入れる。ニュートラーゼ酵素(または他の適切なプロテアーゼ)をタンパク質質量の0.1%で絶えず撹拌しながら1時間で添加して大豆溶液中のタンパク質を加水分解する。溶液を1時間後に低温殺菌し、酵素を変性させることによって反応を停止する。他の全ての成分を添加し、乳化剤を含む油を添加する前に15分間混合する。混合物全体をさらに15分間混合した後、混合物を均質化し、低温殺菌し、スプレー乾燥する。大豆系乳児配合物は、脂肪を乳化し再水和後も可溶性のままである能力において良好に機能する。
【0053】
実施例21(机上例)
インスタントおよび粉末飲料
高タンパク質インスタント飲料は、実施例1〜6からの大豆タンパク質組成物を使用して調製し得る。配合において使用する成分は、以下のとおりである。

インスタント飲料

大豆タンパク質組成物を60℃の水に強く撹拌しながら十分に水和するまで添加する。ココアをセルロースゲルおよび砂糖と事前混合し、次いで、タンパク質水混合物に添加し、最終のビタミン類、ミネラル類および香味料を添加する。混合物を均質化し、低温殺菌し、無菌またはレトルト容器中に包装する。1回240mlサービングの高タンパク質インスタント飲料は、サービング当り20グラムのタンパク質を供給する。

粉末飲料

全ての成分を、リボンまたは他の乾燥粉末ブレンダーに、全ての粉末成分が良好に混合するまで加え、その後、包装する。30グラムの粉末飲料配合物を236.6cm3 (8オンス)の水またはジュースに添加して約15グラムの大豆タンパク質を含有するサービングを調製し得る。
【0054】
実施例22(机上例)
当該大豆タンパク質組成物を使用して調製した食品棒
食品棒は、本明細書において説明するタンパク質組成物を使用し、下記の成分を使用して調製し得る:


実施例1〜6の1つからの大豆タンパク質組成物を、160℃のコーンシロップに、高剪断ミキサー中で十分に混合するまで添加する。グリセリンとコメシロップを混合物が十分に混合するまで添加する。温度を擦過型表面熱交換器内で95℃に上昇させ、5分間保持し、次いで、押出機/成形機に供給して幅40mmと高さ20mmを有する連続棒を成形する。連続矩形棒を連続法で100mmの長さに切断して、60グラムの質量を有する食品棒を製造する。別個に、ココアをコーティーングコンパウンドに添加し、70℃に加熱する。コーティーングコンパウンド混合物を移動している連続棒上にポンプ給送して、10グラムのコーティーングが60グラムの棒毎に塗布されるようにする。70グラム棒を、移動している製品上に調整空気を吹き付けることによって25℃に冷却し、食品棒を、金属コーティーング可撓性パッケージ中に、棒当り15グラムのタンパク質を含有する無ヘキサンタンパク質リッチ栄養棒として包装する。
【0055】
実施例23(机上例)
当該大豆タンパク質組成物を使用して調製した模造プロセスチーズスプレッド
実施例1〜6の大豆タンパク質組成物を使用して、大豆増量コスト軽減模造プロセスチーズスプレッドを調製することができる。模造プロセスチーズスプレッドの調製において使用する成分、配合および手順を以下に示す。


リンネットカゼイン、大豆タンパク質組成物およびホエーを一緒に十分に乾式混合する。油を、プロセスチーズ調理器に、リン酸二ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウムアルミニウムおよび香味料と一緒に66℃で添加する。水を油と塩に66℃で加え、乾燥混合物をゆっくり加える。乳酸をゆっくり加え、混合物を85℃に30〜60秒加熱する。その後、模造プロセスチーズスプレッドを包装し冷却する。該模造プロセスチーズは、堅固で白色であり、典型的な模造チーズ香味特性を有する。
【0056】
実施例24(机上例)
当該大豆タンパク質組成物を使用して調製したタンパク質富化パン
実施例1〜6の大豆タンパク質組成物を使用して、タンパク質富化大豆系パンを調製することができる。大豆タンパク質富化パン用の配合は、下記のとおりである:



スポンジ成分を一緒に5分間混合する。酵母および酵母食品を先ずスポンジ水の1部で溶解させ、液体として添加する。スポンジを、30℃(86°F)および75%RHで5時間発酵させる。その後、発酵スポンジを、全ての他の成分の乾燥混合物に加える。ドウを15分間混合し、次いで、30℃(86°F)および75%RHで20分間発酵させる。発酵後、ドウを425.2g (15オンス)の丸型片に分割し、パン焼き型に入れる。その後、ドウを37.8℃(100°F)および85%RHで69分間ねかせ、次いで、218.3℃(425°F)で20分間ベーキングしてタンパク質リッチのパンを製造する。
【0057】
実施例25(机上例)
当該大豆タンパク質組成物を使用して調製した朝食シリアル
この場合も実施例1〜6の大豆タンパク質組成物を使用してタンパク質富化大豆系朝食シリアルを調製することができる。大豆タンパク質富化朝食シリアルは、下記の配合に従って調製する。


醸造用粗引き穀物、スクロース、タンパク質および塩を水と混合して40%水分混合物を調製する。その後、この混合物を押出機に4137kPa (600psi)の圧力および82.2℃(180°F)で供給し、4.76mm (3/16インチ)の円形断面を有するストランドとして供給する。室温で20分後に、ストランドをペレットに切断し、その後、ペレットを2本ロールミルに通して約0.254mm(0.01インチ)厚のフレークを製造する。その後、これらのフレークを乾燥させて10%の水分含有量とし、包装する。
【0058】
実施例26
当該脂肪分離法の大豆クリーム画分からのコーヒー用クリーム配合物の調製
コーヒー用クリーム粉末を、本明細書において説明する脂肪分離方法の大豆クリーム画分を使用して製造した。大豆クリーム画分は、48.6%の乾燥固形分と96%の乾燥基準酸加水分解脂肪を含有していた。2.25グラムの大豆クリーム画分を激しく撹拌しながら120グラムのモノ-およびジ-グリセリド(Danisco USA社、カンザス州ニューセンチュリー)と前以って混合して乳化した均質なスラリーを得た。別のタンクで、1.01キログラムの上記脂肪分離方法により調製した22%の乾燥固形分(240グラムの固形分)を含有する第2の酸カードを1キログラムの水と混合し、pHを、15%水酸化ナトリウム溶液を使用してpH 6.5に中和した。その後、クリームとモノ-ジ-グリセリド混合物を中和した酸カードスラリーに徐々に注ぎ込み、60℃(140°F)に加熱しながら一緒に混合して光沢のあるエマルジョン溶液を生成させた。その後、180グラムの純粋甘蔗糖(健康甘味料;Sugar Land社、テキサス州)を、5.322キログラムのコメシロップ(79ブリックス;Corigins社、ニューハンプシャー州ラコニア)と一緒に上記混合物に添加した。その後、スラリーを76.7℃(170°F)に加熱し、240グラムの50%リン酸二カリウム溶液を3グラムの天然甘味クリーム香味料(Chris Hansen社、ニュージャージー州モーウォー)と一緒に上記混合物に添加した。最終混合物を76.7℃(170°F)に10分間維持し、次いで、2段階ホモジナイザー(Manton Gaulin)において17237kPa (2500psi)および3447kPa (500psi)で均質化し、その後、実施例1に記載しているようにしてスプレー乾燥させた。乾燥粉末は、3.66%のケルダール乾燥基準タンパク質と18.68%の乾燥基準酸加水分解脂肪を含有しており、濾過コーヒー中に容易に分散した。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】大豆系乳を製造するための大豆原料の分別方法を示す概略の流れ図である。点線は、該方法における代替または任意構成工程を示す。
【図2】酸沈降法を使用して減脂肪大豆タンパク質および油画分を製造するための大豆原料の分別方法を示す概略の流れ図である。点線は、該方法における代替または任意構成工程を示す。
【図3】濾過法を使用して減脂肪大豆タンパク質および脂肪画分を製造するための大豆原料の分別方法を示す概略の流れ図である。点線は、該方法における代替または任意構成工程を示す。
【図4】脂肪濃縮画分を処理して大豆油およびガムを製造する方法を示す概略の流れ図である。点線は、該方法における代替または任意構成工程を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の工程を含むことを特徴とする、大豆原料の処理方法:
a) 大豆原料を水抽出して抽出物を調製する工程;および、
b) 前記抽出物を脂肪濃縮画分と減脂肪大豆抽出物とに遠心分離する工程。
【請求項2】
前記方法が、連続または半連続である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記抽出および分離工程を、実質的に同時に実施する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記水抽出が、大豆原料を水溶液と接触させることを含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記水溶液が、約0.10N以下のイオン強度を有する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記水溶液が、解乳化剤を実質的に含まない、請求項4または5記載の方法。
【請求項7】
前記抽出物が、解乳化剤の添加を必要としないで前記水抽出物から遠心分離することのできる脂肪を含む、請求項4〜6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記減脂肪抽出物が、少なくとも約4対1のタンパク質対脂肪比を有する、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記抽出物が、約6.0〜約10.5の範囲内のpHを有する、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
pHが約7.0よりも高い、請求項9記載の方法。
【請求項11】
pHが約9.0以下である、請求項9または10記載の方法。
【請求項12】
工程(a)を、約0℃〜約93.3℃(約32°F〜約200°F)の範囲内の温度で実施する、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
温度が、約26.7℃〜約65.6℃(約80°F〜約150°F)である、請求項12記載の方法。
【請求項14】
温度が、約32.2℃〜約62.8℃(約90°F〜約145°F)である、請求項12または13記載の方法。
【請求項15】
大豆原料が、実質的に全脂肪大豆原料である、請求項1〜14のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
大豆原料が、部分脱脂大豆原料である、請求項1〜14のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
大豆原料を、ホットプレスにより部分脱脂する、請求項16記載の方法。
【請求項18】
大豆原料を、コールドプレスにより部分脱脂する、請求項16記載の方法。
【請求項19】
大豆原料を、高圧液体抽出により部分脱脂する、請求項16記載の方法。
【請求項20】
大豆原料を、水抽出前にミリングする、請求項1〜19のいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
ミリングした大豆原料が粉末を含む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記減脂肪抽出物が、少なくとも約4対1のタンパク質対脂肪比を有する、請求項1〜21のいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
工程(b)を、3相分離器を使用して実施する、請求項1〜22のいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
前記抽出物が不溶性繊維を含み、該不溶性繊維の少なくとも1部を、工程(b)の前に、工程(a)の抽出物から遠心分離して不溶性繊維画分を生成させる工程をさらに含む、請求項1〜23のいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
工程(b)を、3相分離器を使用して実施して、脂肪濃縮画分、減脂肪抽出物およびタンパク質-脂肪沈降物を生成させる、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記脂肪濃縮画分を処理して粗油を生成させる工程をさらに含む、請求項1〜25のいずれか1項記載の方法。
【請求項27】
前記粗油を処理して大豆ガムと脱ガム油を生成させる工程をさらに含む、請求項1〜26のいずれか1項記載の方法。
【請求項28】
前記脱ガム油を処理して油を生成させる工程をさらに含む、請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記減脂肪抽出物を乾燥させる工程をさらに含む、請求項1〜28のいずれか1項記載の方法。
【請求項30】
乾燥工程が、蒸発またはスプレー乾燥の少なくとも1つを含む、請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記減脂肪抽出物を分別する工程をさらに含む、請求項1〜30のいずれか1項記載の方法。
【請求項32】
前記減脂肪抽出物を分別することによって、減脂肪グリシニン濃縮画分を生成させる、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記減脂肪抽出物を分別することによって、減脂肪ベータ-コングリシニン濃縮画分を生成させる、請求項31記載の方法。
【請求項34】
前記減脂肪抽出物を濃縮し、前記減脂肪抽出物を分離して第1の減脂肪大豆タンパク質組成物と水性画分を生成させる工程をさらに含む、請求項1〜30のいずれか1項記載の方法。
【請求項35】
濃縮および分離工程が、下記の工程を含む、請求項34記載の方法:
酸を前記減脂肪抽出物に添加して第1のカードとホエーを生成させる工程;および、
第1のカードを前記ホエーから分離して第1の減脂肪大豆タンパク質組成物を生成させる工程。
【請求項36】
下記の工程をさらに含む請求項34または35記載の方法:
前記第1の減脂肪大豆タンパク質組成物を洗浄して第2の第1の減脂肪大豆タンパク質組成物を生成させる工程。
【請求項37】
濃縮および分離工程が、前記減脂肪抽出物を濾過して第1の減脂肪大豆タンパク質組成物を生成させる工程を含む、請求項34記載の方法。
【請求項38】
前記第1の第1の減脂肪大豆タンパク質組成物を限外濾過、精密濾過またはダイアフィルトレーションに供する工程をさらに含む、請求項37記載の方法。
【請求項39】
請求項1〜38のいずれか1項記載の方法に従って製造した減脂肪大豆抽出物。
【請求項40】
前記抽出物が、少なくとも約55乾燥質量%のタンパク質を含む、請求項39記載の減脂肪大豆抽出物。
【請求項41】
前記抽出物が、約15乾燥質量%以下の脂肪を含む、請求項39または40記載の減脂肪大豆抽出物。
【請求項42】
前記抽出物が、約10乾燥質量%以下の脂肪を含む、請求項39〜41のいずれか1項記載の減脂肪大豆抽出物。
【請求項43】
前記抽出物が、少なくとも5対1のタンパク質対脂肪比を含む、請求項39〜42のいずれか1項記載の減脂肪大豆抽出物。
【請求項44】
前記抽出物が、少なくとも8対1のタンパク質対脂肪比を含む、請求項39〜43のいずれか1項記載の減脂肪大豆抽出物。
【請求項45】
前記抽出物が、少なくとも12対1のタンパク質対脂肪比を含む、請求項39〜44のいずれか1項記載の減脂肪大豆抽出物。
【請求項46】
大豆原料が、実質的に全脂肪大豆原料である、請求項39〜45のいずれか1項記載の減脂肪大豆抽出物。
【請求項47】
大豆原料が、コールドプレス大豆原料である、請求項39〜45のいずれか1項記載の減脂肪大豆抽出物。
【請求項48】
大豆原料が、高圧液体抽出大豆原料である、請求項39〜45記載の減脂肪大豆抽出物。
【請求項49】
大豆原料が、ホットプレス大豆原料である、請求項39〜45記載の減脂肪大豆抽出物。
【請求項50】
請求項34〜49のいずれか1項記載の方法に従って製造した、少なくとも65乾燥質量%のタンパク質を含む減脂肪大豆タンパク質組成物。
【請求項51】
前記組成物が、少なくとも約85乾燥質量%のタンパク質を含む、請求項50記載の減脂肪大豆タンパク質組成物。
【請求項52】
前記組成物が、約15乾燥質量%以下の脂肪を含む、請求項50または51記載の減脂肪大豆タンパク質組成物。
【請求項53】
前記組成物が、約10乾燥質量%以下の脂肪を含む、請求項50〜52のいずれか1項記載の減脂肪大豆タンパク質組成物。
【請求項54】
前記組成物が、少なくとも5対1のタンパク質対脂肪比を含む、請求項50〜53のいずれか1項記載の減脂肪大豆タンパク質組成物。
【請求項55】
前記組成物が、少なくとも8対1のタンパク質対脂肪比を含む、請求項50〜54のいずれか1項記載の減脂肪大豆タンパク質組成物。
【請求項56】
前記組成物が、少なくとも12対1のタンパク質対脂肪比を含む、請求項50〜55のいずれか1項記載の減脂肪大豆タンパク質組成物。
【請求項57】
大豆原料が、実質的に全脂肪大豆原料および高圧液体抽出大豆原料から選ばれる、請求項50〜56のいずれか1項記載の減脂肪大豆タンパク質組成物。
【請求項58】
大豆原料が、実質的に全脂肪大豆原料である、請求項57記載の減脂肪大豆タンパク質組成物。
【請求項59】
大豆原料は、高圧液体抽出大豆原料である、請求項57記載の減脂肪大豆タンパク質組成物。
【請求項60】
前記組成物が、ホットプレス大豆原料から製造した大豆タンパク質組成物のタンパク質:水ゲル強度よりも少なくとも約20%高いタンパク質:水ゲル強度を有する、請求項57〜59のいずれか1項記載の減脂肪大豆タンパク質組成物。
【請求項61】
前記組成物が、少なくとも約80乾燥質量%のタンパク質を含み、実施例11の方法により測定したとき、少なくとも約2.2ニュートンのタンパク質:水ゲル強度を有する、請求項57〜59のいずれか1項記載の減脂肪大豆タンパク質組成物。
【請求項62】
前記組成物が、少なくとも約80乾燥質量%のタンパク質を含み、実施例11の方法により測定したとき、少なくとも約2.4ニュートンのタンパク質:水ゲル強度を有する、請求項57〜59のいずれか1項記載の減脂肪大豆タンパク質組成物。
【請求項63】
前記組成物が、ホットプレス大豆原料から製造した大豆タンパク質組成物の油エマルジョン強度よりも少なくとも約20%高い油エマルジョン強度を有する、請求項57〜62のいずれか1項記載の減脂肪大豆タンパク質組成物。
【請求項64】
前記組成物が、少なくとも約80乾燥質量%のタンパク質を含み、実施例12の方法により測定したとき、約1.1ニュートン以上の油エマルジョン強度を有する、請求項57〜63のいずれか1項記載の減脂肪大豆タンパク質組成物。
【請求項65】
前記組成物が、少なくとも約80乾燥質量%のタンパク質を含み、実施例12の方法により測定したとき、約1.3ニュートン以上の油エマルジョン強度を有する、請求項57〜64のいずれか1項記載の減脂肪大豆タンパク質組成物。
【請求項66】
前記組成物が、ホットプレス大豆原料から製造した大豆タンパク質組成物の表面疎水性よりも少なくとも約15%高い表面疎水性を有する、請求項58記載の減脂肪大豆タンパク質組成物。
【請求項67】
前記組成物の表面疎水性が、ホットプレス大豆原料から製造した大豆タンパク質組成物の表面疎水性よりも少なくとも約30%高い、請求項58記載の減脂肪大豆タンパク質組成物。
【請求項68】
前記組成物が、少なくとも約80乾燥質量%のタンパク質を含み、実施例7の方法により測定したとき、少なくとも約100の表面疎水性勾配を有する、請求項58記載の減脂肪大豆タンパク質組成物。
【請求項69】
大豆原料が、ホットプレス大豆原料である、請求項50記載の減脂肪大豆タンパク質組成物。
【請求項70】
大豆原料が、コールドプレス大豆原料である、請求項50記載の減脂肪大豆タンパク質組成物。
【請求項71】
請求項1〜25のいずれか1項記載の方法に従って製造した脂肪濃縮画分。
【請求項72】
大豆原料が、実質的に全脂肪大豆原料である、請求項71記載の脂肪濃縮画分。
【請求項73】
請求項26記載の方法に従って製造した粗油。
【請求項74】
前記粗油を、非ヘキサン抽出大豆原料から製造する、請求項73記載の粗油。
【請求項75】
前記粗油が、実施例8の方法により測定したとき、約1.0以下の遊離脂肪酸価を有する、請求項73または74記載の粗油。
【請求項76】
請求項27記載の方法に従って製造した脱ガム油。
【請求項77】
前記脱ガム油を、非ヘキサン抽出大豆原料から製造する、請求項76記載の脱ガム油。
【請求項78】
前記脱ガム油が、実施例8の方法により測定したとき、約1.0以下の脂肪酸価を有する、請求項76または77記載の脱ガム油。
【請求項79】
請求項27記載の方法に従って製造した大豆ガム。
【請求項80】
大豆原料が、実質的に全脂肪大豆原料である、請求項79記載の大豆ガム。
【請求項81】
請求項25記載の方法に従って製造したタンパク質-脂肪沈降物。
【請求項82】
請求項32記載の方法に従って製造した減脂肪グリシニン濃縮画分。
【請求項83】
請求項33記載の方法に従って製造した減脂肪ベータ-コングリシニン濃縮画分。
【請求項84】
非ヘキサン非アルコール処理した少なくとも約60%のタンパク質分散性指数を有する大豆原料から製造した、少なくとも約65乾燥質量%のタンパク質を含む大豆タンパク質組成物。
【請求項85】
前記組成物が、約15乾燥質量%以下の脂肪分を含む、請求項84記載の組成物。
【請求項86】
前記組成物が、約10乾燥質量%以下の脂肪分を含む、請求項84または85記載の組成物。
【請求項87】
前記組成物が、少なくとも85乾燥質量%のタンパク質を含む、請求項84〜86のいずれか1項記載の組成物。
【請求項88】
大豆原料が、実質的に全脂肪大豆原料および高圧液体抽出大豆原料から選ばれる、請求項84〜87のいずれか1項記載の組成物。
【請求項89】
大豆原料が、実質的に全脂肪大豆原料である、請求項88記載の組成物。
【請求項90】
大豆原料は、高圧液体抽出大豆原料である、請求項88記載の組成物。
【請求項91】
前記組成物が、ホットプレス大豆原料から製造した大豆タンパク質組成物のタンパク質:水ゲル強度よりも少なくとも約20%高いタンパク質:水ゲル強度を有する、請求項88〜90のいずれか1項記載の組成物。
【請求項92】
前記組成物が、少なくとも約80乾燥質量%のタンパク質を含み、実施例11の方法により測定したとき、少なくとも約2.2ニュートンのタンパク質:水ゲル強度を有する、請求項88〜91のいずれか1項記載の減脂肪大豆タンパク質組成物。
【請求項93】
前記組成物が、ホットプレス大豆原料から製造した大豆タンパク質組成物の油エマルジョン強度よりも少なくとも約20%高い油エマルジョン強度を有する、請求項88〜92のいずれか1項記載の減脂肪大豆タンパク質組成物。
【請求項94】
前記組成物が、少なくとも約80乾燥質量%のタンパク質を含み、実施例12の方法により測定したとき、約110グラム以上の油エマルジョン強度を有する、請求項88〜93のいずれか1項記載の組成物。
【請求項95】
前記組成物が、ホットプレス大豆原料から製造した大豆タンパク質組成物の表面疎水性よりも少なくとも約15%高い表面疎水性を有する、請求項89記載の減脂肪大豆タンパク質組成物。
【請求項96】
前記組成物が、ホットプレス大豆原料から製造した大豆タンパク質組成物の表面疎水性よりも少なくとも約30%高い表面疎水性を有する、請求項89または91〜93のいずれか1項記載の減脂肪大豆タンパク質組成物。
【請求項97】
前記組成物が、少なくとも約80乾燥質量%のタンパク質を含み、実施例7の方法により測定したとき、約100以上の表面疎水性勾配を有する、請求項89または91〜96のいずれか1項記載の減脂肪大豆タンパク質組成物。
【請求項98】
大豆原料が、ホットプレス大豆原料である、請求項84記載の組成物。
【請求項99】
大豆原料が、コールドプレス大豆原料である、請求項84記載の組成物。
【請求項100】
前記組成物が、約7乾燥質量%以下の脂肪を含む、請求項84〜99のいずれか1項記載の組成物。
【請求項101】
前記タンパク質分散性指数が、少なくとも約80%である、請求項84〜100のいずれか1項記載の組成物。
【請求項102】
前記組成物が、少なくとも5対1のタンパク質対脂肪比を含む、請求項84〜101のいずれか1項記載の組成物。
【請求項103】
タンパク質対脂肪比が、少なくとも8対1である、請求項84〜102のいずれか1項記載の組成物。
【請求項104】
少なくとも約55乾燥質量%のタンパク質を含み、大豆原料の非ヘキサン非アルコール抽出によって製造し、該大豆原料が少なくとも約70%のタンパク質分散性指数を有することを特徴とする大豆抽出物。
【請求項105】
大豆原料が、実質的に全脂肪大豆原料である、請求項104記載の抽出物。
【請求項106】
前記抽出物が、約15乾燥質量%以下の脂肪分を含む、請求項104または105記載の抽出物。
【請求項107】
前記抽出物が、約10乾燥質量%以下の脂肪分を含む、請求項104または106記載の抽出物。
【請求項108】
前記タンパク質分散性指数が、少なくとも約75%である、請求項104または107記載の抽出物。
【請求項109】
前記抽出物が、少なくとも5対1のタンパク質対脂肪比を含む、請求項104〜108のいずれか1項記載の抽出物。
【請求項110】
前記抽出物が、236.6cm3 (8液量オンス)当り少なくとも約6.25gのタンパク質および236.6cm3 (8液量オンス)当り約1.0g以下の脂肪を含む、請求項104〜109のいずれか1項記載の抽出物。
【請求項111】
タンパク質対脂肪比が、少なくとも約8:1である、請求項104〜110のいずれか1項記載の抽出物。
【請求項112】
前記抽出物が、236.6cm3 (8液量オンス)当り0.5gよりも多くない脂肪を含む、請求項104〜111のいずれか1項記載の抽出物。
【請求項113】
請求項74〜112のいずれか1項記載の組成物を含有する食品。
【請求項114】
前記食品が、菓子製品、ベーカリー製品、乳化肉製品、ひき肉製品、注入肉製品、肉類似製品、シリアル、棒製品、乳類似製品、飲料、豆乳、液体または粉末栄養調合物、繊維化大豆製品、パスタ、健康栄養補強品、または栄養棒である、請求項113記載の食品。
【請求項115】
菓子製品が、キャンディーまたはチョコレートである、請求項113または114記載の食品。
【請求項116】
ベーカリー製品が、パン、ロールパン、ビスケット、ケーキ、酵母焼き製品、クッキー、ペストリーまたはスナックケーキである、請求項113または114記載の食品。
【請求項117】
注入肉製品が、ハム、家禽製品、豚肉製品、海産物または牛肉製品である、請求項113または114記載の食品。
【請求項118】
乳化肉製品が、ソーセージ、ブラートヴルスト、サラミ、ボローニャ、ランチミートまたはホットドッグである、請求項113または114記載の食品。
【請求項119】
ひき肉製品が、フィッシュ・スティック、ミートパティー、ミートボール、海産物すり身製品、豚ひき肉製品、家禽ひき肉製品または牛ひき肉製品である、請求項113または114記載の食品。
【請求項120】
肉類似製品が、ミートパティー、ソーセージ、ホットドッグ、ランチミートまたはグランドクランブルである、請求項113または114記載の食品。
【請求項121】
乳類似製品が、乳製品、ヨーグルト、サワークリーム、ホイップトッピング、アイスクリーム、チーズ、シェーク、コーヒー用クリームまたはクリーム製品である、請求項113または114記載の食品。
【請求項122】
栄養調合物が、乳児調合物、高齢者調合物、体重減調合物、体重増調合物、スポーツドリンク、または糖尿病管理調合物である、請求項113または114記載の食品。
【請求項123】
60%よりも高いPDIを有する非ヘキサン非アルコール処理大豆原料から製造した、少なくとも65乾燥質量%のタンパク質を含む大豆タンパク質組成物から製造した食品。
【請求項124】
大豆原料が、実質的に全脂肪大豆原料である、請求項123記載の食品。
【請求項125】
前記大豆タンパク質組成物が、実質的に淡白な味を有する、請求項123または124記載の食品。
【請求項126】
前記大豆タンパク質組成物が、少なくとも85乾燥質量%のタンパク質を含む、請求項123〜125のいずれか1項記載の食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−528847(P2009−528847A)
【公表日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−558471(P2008−558471)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【国際出願番号】PCT/US2007/063111
【国際公開番号】WO2007/103753
【国際公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(508266742)スペシャルティ プロテイン プロデューサーズ インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】