説明

天然に存在する植物化合物、抽出物および誘導体を有する、眼科用、薬学的および他のヘルスケア調製物

多数の別個の、単離され、十分に特徴づけられた天然の植物化合物は、眼科、皮膚ケア、口腔ケア、薬剤、医療デバイス、ヘルスケアの製品または同様の局所適用調製物において局所適用のために使用されると、抗菌活性を示す。アラントイン、ベルベリン、ビルベリー抽出物、カフェー酸フェネチルエーテル、クロロゲン酸、シンナムアルデヒド、クランベリー抽出物、エルダーベリー抽出物、フェルラ酸、没食子酸、緑茶抽出物、ブドウの種子抽出物、ヒドロキシチロゾール、オレウロペイン、オリーブの葉抽出物、マツの樹皮抽出物、ザクロ抽出物、ピクノゲノール、ケラセチン、レスベラトロール、トランスケイ皮酸、およびタルトチェリー抽出物は、とりわけ興味深い。オレウロペイン、およびザクロ抽出物は、単独でまたは組み合わせて、非常に効果的である。バニリン酸および没食子酸プロピルは、オレウロペインと相乗作用を示す。アラントインは、合成化学的消毒/保存薬剤の効力を高めるため、並びに幾つかの合成化学的消毒/保存薬剤の細胞毒性を緩和するために使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本出願は、2002年4月4日に出願された米国特許出願10/117,533に基くものであり、当該出願から優先権を主張する。
【発明の分野】
【0002】
本発明は、眼科用、皮膚ケア、口腔ケア、薬学的および他のヘルスケア調製物を保存するための、天然の植物化合物、抽出物および誘導体の、単独または組み合わせでの使用、または他の化学的抗菌剤との使用、並びにソフトおよびハードのガス透過性(RGP)コンタクトレンズを消毒する方法に関する。
【背景および関連技術の記載】
【0003】
眼科用、口腔ケア、皮膚ケア液剤、エマルジョン、軟膏、ゲル、クリーム、および局所適用のための多くの他の薬学的およびヘルスケア調製物(たとえば、人工涙液、皮膚クリーム、うがい薬、治療薬(therapeutics)、コンタクトレンズケア製品、抗アレルギー薬(anti-allergenic)、抗プレティクス(anti-puretics)など)は、生物学的コンタミネーションおよび分解が起こらないように保存されなければならない。「局所適用のための調製物」とは、皮膚、眼、または外部からアクセス可能な粘膜に適用される、任意のクリーム、溶液、または他の物理的形態、たとえば種々の体の開口部に挿入される調製物を意味する。かかる調製物の保存を確実にするために、かかる調製物に化学的保存剤を添加することは、今日許容されるプラクティスである。これら化学的保存剤(たとえば、塩化ベンザルコニウム、ポリヘキサメチルビグアニド[PHMB]、クロルヘキサジン(chlorhexadine)、チメロゾール(thimerosol)、ソルビン酸など)は、敏感な組織を刺激し、ダメージを与える可能性がある、しばしば強力な合成細胞毒性剤である。同じ問題が、生物学的コンタミネーションや分解を防ぐために保存薬を必要とする、任意の他の薬学的およびヘルスケア調製物に当てはまる。
【0004】
現在、「天然の」食品および医薬に対する関心が高まっている。これは、合成化学薬品の環境への望ましくない影響および予期しない副作用のために、(植物および他の天然源に由来する)「天然の」代替物の使用がますます魅力的であるという一般の人々の認識の高まりによるものと思われる。たとえば、天然由来の薬剤は、有害な副作用をほとんどまたはまったく有していないという認識ならびに実験的証拠が出されている。化学的消毒剤の使用に代わる従来技術として、眼科用液剤におけるグレープフルーツベースの抽出物の使用が、本発明者らの一人により開示されている(De Bruijn国際出願PCT/NL97/00092およびオランダ特許NL-1002484)。おそらく、有効な薬剤は、フェノール化合物(たとえば、バイオフラボノイド)を含む。本出願の親出願により、天然の植物由来の物質、たとえばバイオフラボノイドが、単独で、または合成消毒剤とともに、天然の消毒剤または保存剤としてコンタクトレンズケア製品に使用可能であることが実証された。バイオフラボノイドの使用は、それが抗酸化特性、さらに抗炎症特性を備えた天然の植物産物であるため望ましいが、現在までに知られているバイオフラボノイドの多数は、入手、製造およびアッセイが困難な複雑な混合物の形態にある。
【0005】
本発明において、我々は、多くの天然の植物化合物、抽出物および誘導体が、植物自身の天然の防御システムにおいてかかる物質が果たす役割にのために、有効な抗菌特性を有していることを発見した。また、これら天然の植物化合物は、現存の一般に使用される合成化学抗菌性化合物と比較して、大きく異なる毒性プロファイルを示す。これら化学抗菌性化合物の保存または消毒のための適用は、微生物のコンタミネーションに対する「殺傷(cidal)」作用を最大限にすることと、かかる保存および消毒が微生物の攻撃から実際に保護しようとする組織(細胞)に対する毒性を最小限にすることの間のバランス作用である。このバランス作用は、化学抗菌性化合物の濃度を変化させることによりしばしば達成される。これら化学的薬剤の使用の最適化は、(刺激状態または他の続発症として現れるかもしれない)許容可能な毒性を維持しながら、性能(保存または消毒)の容認基準をパスするのに十分な最小濃度を決定することを含む。細胞毒性は、細胞レベルでの毒性効果を記述するために使用される用語である。病原性生物に対して細胞毒性であるが、治療ターゲットの組織および細胞に対して細胞毒性でない抗菌性化合物は、新規かつ有益な保存および/または消毒方法を提供する。かかる保存および/または消毒システムの利益により、炎症が低減し、適用時の快適性が増大し、(快適性および使用の容易性のため)コンプライアンスが増大し、製品の使用時の不快感の全徴候が減少する。
【0006】
本発明は、幾つかの分野(すなわち、眼科、医薬品、皮膚ケア、口腔ケア、硬質表面の消毒、OTC(医師の処方不要の;over the counter)製品など)で適用される。しかし、眼科用コンタクトレンズケア製品、特にコンタクトレンズの消毒においてとりわけ有効である。現在利用可能なコンタクトレンズは、ヒドロゲルおよびコンタクトレンズをソフトかつ親水性にする他のポリマーから構成され、その結果、快適に装着することができる。以前、コンタクトレンズは、ハードプラスチック(PMMA)であり、コンタクトレンズ装着者は、眼における外来物体の不快な感覚に適応することが要求された。ソフトコンタクトレンズの出現により、一般市民によるコンタクトレンズの着用が高まった。
【0007】
コンタクトレンズは、一般に一日ベースで装着され、夜間または装着されないときは常に貯蔵ケース/溶液に保持される。コンタクトレンズの装着および正常な取り扱いの間に、微生物並びに脂質、タンパク質などの生体分子は、コンタクトレンズに付着し、貯蔵ケース/溶液に移され得る。
【0008】
眼または指から貯蔵ケース/溶液に移され得る微生物の幾つかは、そこで増殖し、その後のレンズ装着時にヒトの角膜または他の眼の構造に対して病原性であり得る。ヒトの涙は、天然の抗菌剤を含有するが、眼の角膜と接触した病原体担持レンズは、眼の天然の防御に勝る感染の貯蔵庫として機能することができる。これは、微生物がそのレンズ材料に付着しやすいため、ソフトコンタクトレンズにとりわけ当てはまる。微生物−細菌、原生動物、または真菌−の増殖の結果、眼にダメージを引き起こし、視力が損なわれ、失明にさえ至る。コンタクトレンズは、角膜および結膜上にストレス配置され、酸素の伝導および涙の流れを抑制し、および/または炎症性/刺激性状態を引き起こすため、コンタクトレンズの装着は、眼の感染に晒されやすくなる。したがって、コンタクトレンズは、毎日消毒して、病原性生物を除去すべきである。
【0009】
硬質表面の消毒、器械の消毒、局所的な皮膚の消毒など、他の適用のために典型的に使用される消毒剤は、コンタクトレンズのケア、並びに眼科用、薬学的、および他のヘルスケア製品の保存に必ずしも適用可能ではない。これら化学的な消毒または抗菌剤は、細胞がターゲットの病原性微生物であろうが、ソフトコンタクトレンズと接触している角膜上皮細胞であろうが、無差別のメカニズムによりあらゆるタイプの細胞を破壊するように通常設計されている。これら化学的薬剤の作用方式は、ターゲットの病原性生物と保護したい組織とを識別することはできない。
【0010】
これら多くの化学的消毒剤の有効性および化学的攻撃性を保証するために使用される高濃度は、残存性消毒剤がコンタクトレンズに固着するかコンタクトレンズ内に含有されるため、レンズに対するダメージまたは眼の組織に対する刺激という相互の影響により、コンタクトレンズでの使用には不適切である。一般に使用される保存および消毒剤は、チメラゾール(thimerosol)、クロルヘキシジン、過酸化水素、および塩化ベンザルコニウムなどの化合物である。たとえば、3%過酸化水素を眼に直接注入するか、または過酸化水素中にレンズを浸漬して眼に適用すると、痛みと激しい刺激が起こる。僅かな化合物のみが、非常に低い濃度レベルで、ソフトコンタクトレンズまたは眼の組織と適合し得ることが示されている。
【0011】
米国特許4,407,791、4,525,346、4,758,595、4,820,352、4,836,956、5,422,073、5,560,186、5,593,637、および5,756,045に開示される、化学的消毒剤を含む多目的溶液(MPS)は、コンタクトレンズの消毒に広く使用される。MPSを用いれば、装着者は、単一の溶液を購入し使用する必要があるだけで、費用および簡便性の点で優れている。しかし、ある成分が別の成分の活性に対して拮抗効果を示すことなく、種々の活性のすべて、たとえば、湿潤、汚染物質の分散、および消毒が、単一の溶液中に共存する必要があるため、眼またはレンズを害することなく消毒するという課題は、MPS製品でとりわけ重大である。更に、MPSは、眼に直接注入可能であるため、これら液剤の抗菌性活性成分は、眼の表面および前区またはコンタクトレンズ自体に対して刺激性または損傷性続発症がない状態で、必要な程度まで病原体を低減しなければならない。コンタクトレンズを眼に適用する前に、消毒剤を中和したり洗い流したりするためにMPSを用いる機会はない。
【0012】
したがって一般に、当該技術分野では、以下の性能基準を満たすようにこれらMPS溶液を処方することは困難であることが分かっている。成功した溶液は、
1.コンタクトレンズ上に見られる一般的な病原体の数を規定のレベルまで低減する抗菌活性を示さなければならない;
2.洗浄および/または中和溶液の助けを借りなくても眼に刺激がないように十分に低濃度で処方されなければならない;
3.長期のアレルギー反応または毒性反応を引き起こすことがないように、毒性の金属または化合物および増感剤を含んではいけない;
4.レンズ内部またはレンズ上に有害に蓄積したり、レンズの湿潤性またはパラメーター(すなわち、サイズ、形状、および光学特性)を不都合に変化させたり、レンズ着用の間に眼に対して毒性のある量で放出されたりしてはならない;
5.十分な保存期間(たとえば、化学的安定性)を示さなければならない;
6.人工涙で使用される酵素および他の薬剤、またはコンタクトレンズ着用に対する同様のアクセサリーと適合しなければならない。
【0013】
これら基準の多くは、医薬品または他のヘルスケアおよびパーソナルケア製品の消毒および/または保存のための成功した薬剤、とりわけ局所適用を意図したもの(局所用調製物)に当てはまる。これら薬剤は、皮膚、口、または他の適用部位に見られる一般的な病原体を低減する能力を示さなければならない。これら薬剤は、適用部位において組織に対する刺激性があってはならない(眼または粘膜への適用でとりわけ重要である)。これら薬剤は、非アレルギー性で、かつ毒性金属などを含んではいけない。これら薬剤は、十分な保存期間の間、汚染生物の増殖を妨害するのに十分な安定性を示さなければならず、局所用調製物中の活性な薬剤に反応性を示したりダメージを与えたりしてはいけない。摂取もしくは注入される多くの薬学的および診断用調製物も、抗菌性保存が必要とされる。ここで開示される天然に存在する保存剤は毒性がなく、ほとんどが安全に摂取することができる。
【0014】
消毒薬および保存薬テストは、各テスト生物の濃縮接種源(たとえば、105〜106コロニー形成ユニット(cfu)/mL)を含む調製物を投与することによりしばしば行われる。時間ごとにサンプルを採取し、増殖培地に播き、各時点で残存する生きた生物の数を評価する。
【0015】
コンタクトレンズに対する消毒薬の有効性を評価するための方法は、装着時間と装着時間の間のコンタクトレンズの通常の貯蔵期間と一致する時間にわたって、生存可能な感染性生物の数を低減させる薬剤の能力を測定することが一般に必要である。生物の数の減少は、抗菌または消毒剤に晒された結果起こる、微生物集団の常用対数(底10の対数)の変化により一般に報告される。たとえば、薬剤が、6時間晒した時間内に106コロニー形成単位(cfu)/ミリリットル(mL)から102 cfu/mLまで、投与溶液中の特定生物の濃度の減少に効果を奏した場合、薬剤に晒された結果起こる生物の変化、すなわち「logの減少」は、4.0(log)である。言い換えると、生存可能な生物の数は、元のレベルの1万分の1に減少している。
【0016】
眼科用抗菌剤の有効性を検証する手段において、一般に認可されたガイドラインは、カンジダ アルビカンス(Candida albicans)(酵母)、フザリウム ソラニ(Fusarium solani)または黒色アスペルギルス(Aspergillus niger)(何れもカビ)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(グラム陰性細菌)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(グラム陽性細菌)、霊菌(Serratia marcescens)(グラム陰性細菌)、および大腸菌(Escherichia coli)(ヒトの胃腸管によく見られる細菌)の使用を必要とする。
【0017】
眼科用液剤および調製物の場合、眼との適合性を高めるために種々の薬剤を添加する。刺すような痛みまたは刺激を避けるため、該溶液は、生理学的範囲内の張度およびpH、たとえば張度200-350ミリ浸透圧モル、pH 6.5-8.5を保有することが重要である。この目的のため、種々の緩衝剤および浸透圧剤がしばしば添加される。最も簡単な浸透圧剤は、ヒトの涙の主要な溶質であるため、塩化ナトリウムである。更に、プロピレングリコール、ラクツロース、トレハロース、ソルビトール、マンニトールまたは他の浸透圧剤を添加して、塩化ナトリウムの一部または全てを置き換えてもよい。また、種々の緩衝液システム、たとえばクエン酸塩、リン酸塩(Na2HPO4、NaH2PO4、KH2PO4およびK2HPO4の適切な混合物)、ホウ酸塩(ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、テトラホウ酸カリウム、メタホウ酸カリウム、およびその混合物)、重炭酸塩、およびトロメタミン(TRIS)および他の適切な窒素含有緩衝液(たとえば、ACES、BES、BICINE、BIS-Tris、BIS-Tris Propane、HEPES、HEPPS、イミダゾール、MES、MOPS、PIPES、TAPS、TES、Tricine)を使用して、およそpH6.0から9.0の間の生理学的pHを保証することができる。
【0018】
種々の粘度上昇剤、たとえばポリエチレングリコール、界面活性剤、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒアルロン酸、多糖類、および同様の物質を添加して、潤滑性、すなわち溶液の「密度(body)」または「感触(feel)」を調整してもよい。界面活性剤を添加して、適切な湿潤性および/または洗浄性を保証してもよい。また、金属イオン封鎖剤、たとえばエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ホスホン酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、および酒石酸塩は、保存、消毒、または洗浄溶液のための一般の添加剤である。
【0019】
当業者に周知のとおり、同様の因子は、眼とは別の部位に適用するための調製物の処方に関与する。上述の眼科用製剤の因子の多くは、粘膜に適用するために設計された調製物に適用することができる。また、口/咽喉内への適用に関しては、摂取時の味および毒性の可能性を考慮しなければならない。幾つかの経口調製物は、急速な希釈および唾液に洗い流されることに耐えることが意図される。このような場合、増粘ポリマーがとりわけ重要であり得る。皮膚適用のための調製物は、しばしば水中油型乳剤であるクリームとして、一般に水溶性または混和性ポリマーで増粘されたゲルとして、またはワックスおよび鉱油のようなほとんど疎水性成分である軟膏として、製剤化することができる。
【0020】
今日まで、眼科用およびコンタクトレンズ用溶液、とりわけMPS溶液の開発に有意に挑戦したことにより、十分な抗菌活性を備え、同時にコンタクトレンズに対するダメージも眼に対する刺激もない消毒剤が見出されている。レンズポリマーまたは寸法パラメーターにダメージを与えたり変化させたりすることなく、また、ヒトの眼に害または副作用を与えることなく、ソフトヒドロゲルコンタクトレンズをクリーンに保ち、病原体微生物を除去し、装着者を快適に保つという複雑な要求のため、ごく僅かな化合物またはシステムのみ、適切な眼科用またはコンタクトレンズ用溶液としての資格が与えられている。本出願の親出願において、特定の第四アンモニウム塩(ベンジルジメチル-[2-[2-[(p-1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノキシ)エトキシ]エチル]アンモニウムクロライドを、保存および洗浄溶液において使用すると、予期せず効果的であり刺激がないことが開示された。また、この物質が、植物由来のある種の天然の消毒剤と組み合わせ可能であることが示された。本出願は、天然の消毒剤の幾つかが、第四アンモニウム塩または他の「伝統的な」消毒剤なしで使用したときでも、特に効果的であり毒性がないことを開示する。
【0021】
眼科用液剤および薬学的およびヘルスケア局所用調製物の保存は、保存薬を製品に添加して、当該製品の貯蔵または使用の間に起こり得る微生物のコンタミネーションを処置する点において、消毒と類似している。微生物で汚染された製品の使用は、感染が起こり得る危険を増大させる。たとえば、人工涙−「ドライアイ」または他の涙欠乏症に罹患する患者にしばしば処方される製品の場合、患者は、当該製品を1日にわたって複数回使用してもよい。化学的保存剤は、人工涙溶液が微生物のコンタミネーションを含まないことを保証するが、患者は自身の眼に人工涙溶液とともに化学的保存剤を投薬する。障害が起きた眼(たとえば少ない涙の産生)において、保存薬は急性および慢性の刺激状態の原因となり得る。健康組織に慢性的に使用される保存薬は、急性または潜伏性の刺激状態を引き起こし得る。
【0022】
生物学的文献を参照することにより、一般の第四アンモニウム消毒薬BAKにより引き起こされる刺激状態に関する多くの最近の研究が明らかになるでしょう。関心のある読者は、これらの関連文献を調べるとよい: Debbasch C, Brignole F, Pisella PJ, Warnet JM, Rat P, Baudouin C: チャン結膜細胞に対する酸化的ストレスおよびアポトーシスにおける第四アンモニウムおよび他の保存剤の貢献(Quaternary ammoniums and other preservatives? Contribution in oxidative stress and apoptosis on Chang conjunctival cells)、Invest Opthalmol Vis Sci; 42: 642-652 (2001); Burgalassi S, Chetoni P, Monti D, Saettone MF: ウサギおよびヒト角膜上皮細胞株上で評価された潜在的な眼の透過エンハンサーの細胞毒性(Cytotoxicity of potential ocular permeation enhancers evaluated on rabbit and human corneal epithelial cell lines)、Toxicol Lett 122: 101-108 (2001); Baudouin C, Pisella PJ, Fillacier K, Goldschild M, Becquet F, De Saint Jean M, Bechetoille A: 局所用抗緑内障薬により誘導される眼の表面の炎症性変化:ヒトおよび動物の研究(Ocular surface inflammatory changes induced by topical antiglaucoma drugs: human and animal studies)、Ophthalmology; 106: 556-563 (1999); De Saint Jean M, Brignole F, Bringuier AF, Bauchet A, Felmann G, Baudouin C: チャン結膜細胞の増殖および生存に対する塩化ベンザルコニウムの効果(Effects of benzalkonium chloride on growth and survival of Chang conjunctival cells)、Invest Ophthalmol; 40: 619-630 (1999); Becquet F, Goldschild M, Moldovan MS, Ettaiche M, Gastaud P, Baudouin C: ラット角質結膜表面に対する局所用眼科保存薬の組織病理学的効果(Histopathological effects of topical ophthalmic preservatives on rat corneoconjunctival surface)、Curr Eye Res; 17: 419-425 (1998); Saarinen-Savolainen P, Jarvinen T, Araki-Sasaki K, Watanabe H, Urtti A: 不死化ヒト角膜上皮細胞株における、種々の眼科用薬、点眼賦形剤、およびシクロデキストリンの細胞毒性の評価(Evaluation of cytotoxicity of various ophthalmic drugs, eye drop excipients and cyclodextrins in an immortalised human corneal epithalial cell line)、Pharm Res; 15: 1275-1280 (1998); Fabreguette A, Zhi Hua S, Lasne F, Damour A: 線維芽細胞およびケラチノサイトの培養に現行プラクティスで使用される防腐薬の細胞毒性の評価(Evaluation of the cytotoxicity of antiseptics used in current practise on cultured of fibroblasts and keratinocytes)、Pathol Biol (Paris); 42: 888-892 (1994); Vaughan JS, Porter DA: ソフトコンタクトレンズのケア溶液の潜在的な毒性を評価するための新規なインビトロ方法(A new in vitro method for assessing the potential toxicity of soft contact lens care solutions)、CLAO J; 19: 54-57 (1993); Tripathi BJ, Tripathi RC, Kolli SP: ヒト角膜上皮に対する眼科保存薬の細胞毒性(Cytotoxicity of ophthalmic preservatives on human corneal epithelium)、Lens Eye Toxic Res; 9: 361-375 (1992); 並びにWithrow TJ, Brown NT, Hitchins VM, Strickland AG: L5178Y細胞における、眼科用液剤の保存薬およびUVA照射の細胞毒性および変異原性(Cytotoxicity and mutagenicity of ophthalmic solution preservatives and UVA radiation in L5178Y cells)、Photochem Photobiol; 50: 385-389 (1989)。
【発明の概要】
【0023】
種々の別個の、単離され、十分特徴づけられた天然の植物化合物および抽出物(天然の消毒製品)を、コンタクトレンズケア製品、口腔ケア製品、皮膚ケア製品に使用するか、または眼科用および他の薬学的およびヘルスケア調製物を保存するために使用すると、抗菌活性を示すことが発見された。これら天然の化合物は、有効な消毒および保存薬剤であるだけでなく、ヒトの眼の組織と接触させても、刺激原として作用する可能性はほとんどまたは全くない。これは、化学的抗菌剤が、化学的薬剤の濃度と処理組織の刺激状態/不快感との間に直接的な関係を有している点において、これら適用のために使用される現存の化学的抗菌剤とはかなり異なっている。
【0024】
以下の天然の抗菌剤、それらの誘導体および/または主要な構成化合物が、とりわけ興味深い:アラントイン、ベルベリン、ビルベリー抽出物、カフェー酸フェネチルエーテル、クロロゲン酸、シンナムアルデヒド、クランベリー抽出物、エルダーベリー抽出物、フェルラ酸、没食子酸およびそのエステル(没食子酸プロピル)、緑茶抽出物、ブドウの種子抽出物、ヒドロキシチロゾール(Hydroxytyrosol)、オレウロペイン(Oleuropein)、オリーブの葉抽出物、マツの樹皮抽出物、ザクロ抽出物、ピクノゲノール(Pycnogenol)、ケルセチン、レスベラトロール(Resveratrol)、タルトチェリー(Tart Cherry)抽出物、トランスケイ皮酸、バニリン酸、および/または上記の組み合わせ。我々のテストにより、これら天然の産物の多くが、消毒薬または保存薬として作用する有意な能力を示すことが実証される。オレウロペイン、没食子酸、シンナムアルデヒド、緑茶抽出物、レスベラトロール、トランスケイ皮酸、ザクロ抽出物、ヒドロキシチロゾール、およびクランベリー抽出物は、とりわけ有望である。オレウロペイン、緑茶抽出物、ヒドロキシチロゾール、およびザクロ抽出物は、単独でまたは組み合わせて、特別有望である。バニリン酸とオレウロペイン、および没食子酸プロピルとオレウロペインの組み合わせは、特に効果的な組み合わせである。
【0025】
天然の産物の幾つかは、組み合わせて、単一の天然の産物を主成分とする溶液より優れた特性を備えた非常に効果的な消毒/保存溶液をつくることができる。さらに、アラントインは、人工の消毒/保存剤の有効性を高めるため、並びに幾つかの合成化学的消毒/保存剤の細胞毒性を低減するために使用することができる。天然の消毒および保存薬剤は、広く使用される合成化学的抗菌剤に対して明らかな利点を有する。有効にするためにEDTAを必要とする合成薬剤の多くとは対照的に、天然の薬剤はかかる添加剤なしで効果的である。EDTAは、組織に対して刺激を引き起こす可能性があることが示されている。天然の薬剤は、合成化学的薬剤とは異なる経路により作用すると思われる。合成化学的薬剤は、細胞毒性効果を示す傾向があり、正常細胞にダメージを与え、壊死性(無制御の)細胞死を引き起こすとともに、微生物を殺傷することができる。一方、天然の薬剤は、しばしば抗酸化活性を示し、また同時に抗病原体活性を示しながら正常な組織細胞を保護することができる。
【0026】
眼科用コンタクトレンズケア製品および消毒薬の場合、消毒および保存薬剤とコンタクトレンズとの相互作用が、予期しない毒性の増幅を引き起こし得る。コンタクトレンズであるが故、消毒および保存薬剤は、コンタクトレンズポリマーのマトリクスにより吸収、吸着され、これは、その後、刺激性化学的薬剤の継続的な流れを眼に投与するための貯蔵庫として作用し得る。天然の薬剤は、その化学構造のために、コンタクトレンズに吸収、吸着する傾向を非常に少なくすることができる。
【好ましい態様の詳細な説明】
【0027】
以下の説明は、当業者が本発明をつくり使用することが可能なように提供され、本発明を実施する本発明者らにより検討されたベストモードを記載する。しかし、本発明の一般的原理は、本明細書に規定されているので、改良されたコンタクトレンズケア溶液および天然に存在する植物化合物および抽出物を主成分とする他の薬学的調製物を提供するための種々の改変は、当業者に容易に明らかなままであろう。
【0028】
以下の実施例により、典型的な眼科用および他の局所用製剤における、これら天然に存在する植物化合物の抗菌有効性が実証される。これら実施例を進めるうちに、これら天然に存在する消毒物質を組み込んだコンタクトレンズ、眼科用液剤、および薬学的調製物の好ましい態様の「構成要素(building blocks)」を理解することができる。
【0029】
本発明を為すにあたり、潜在的な天然の植物化合物の比較的長いリストを考えた。この包括的リストを、以下の表1に示す。
【0030】
【表1】

【0031】
天然の植物源に由来する物質、とりわけ「抽出物」の場合、多数の活性物質がおそらく存在する。「抽出物」という用語は、この混合物の存在を示すものである。表に記載したクラスは、抽出物の主要な活性物質が属すると考えられる化合物のグループである。それにもかかわらず、抽出物は、相乗作用的な化合物の混合物を含有し、表に記載したクラスではない化合物が活性に寄与するようである。
【0032】
種々の化合物/抽出物を、リン酸塩またはホウ酸塩のいずれかの緩衝溶液の存在下でテストした。テスト生物(S. aureus. = 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus);Ps. Aeruginosa = 緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa);E.coli = 大腸菌(Escherichia coli);C. albicans = カンジダ アルビカンス(Candida albicans);およびA. niger = 黒色アスペルギルス(Aspergillus niger))を含有させ、種々の時間間隔で検査し、種々の製剤の「log kill」を決定した。表2は、9つのテスト化合物についての結果を示す。
【0033】
【表2】

【0034】
ベルベリンは、かなり低い濃度でも、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus)、カンジダ アルビカンス(Candida)および黒色アスペルギルス(Aspergillus)に対して著しく効果的であることが分かる。アラントインは、カンジダ アルビカンス(Candida)および黒色アスペルギルス(Aspergillus)に対してかなり効果的であり、他のテストでは、化学的消毒剤により引き起こされる眼の刺激から保護することが示された(下記参照)。オリーブの葉抽出物は、ある範囲の有効性を示し、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus)および緑膿菌(Pseudomonas)に対して最も効果的であるが、カンジダ アルビカンス(Candida)および黒色アスペルギルス(Aspergillus)に対しても相当な効能を示す。真菌は、しばしば化学的消毒剤に対して耐性があるが、植物由来の天然の薬剤に対して有意な感受性を示す。28日にわたるオリーブの葉抽出物の継続的な有効性は、この物質が効果的な保存薬であることを示す。
【0035】
ホウ酸緩衝生理食塩水中で天然産物の保存薬/消毒薬候補の追加セットをテストした結果を表3に示す。先の表と同じテストプロトコールに従った。
【0036】
【表3】

【0037】
ビルベリー抽出物Aは、テスト生物すべてに対して広範な有効性を示し、細菌に対して最も効果的である。ビルベリー抽出物B(より希釈された抽出物)は、特に黄色ブドウ球菌(S. aureus)および大腸菌(E. coli)に対して低い有効性を示す。テストの28日間にわたって、ビルベリー抽出物Bは、徐々に幾つかの生物に対して「追いつく(catch up
)」が、大腸菌(E. coli)に対しては追いつかない。また、タルトチェリー抽出物は、広範な有効性を示すが、ビルベリー抽出物Bのように、大腸菌(E. coli)に対して低い有効性がみられる。この同じパターンは、エルダーベリー抽出物についてもみられる。一方、ザクロ抽出物は、テスト生物のすべてに対して非常に効果的である。また、ケルセチン二水和物は、非常に広範な有効性を示す。ケルセチンは多くの果実の構成成分であるため、幾つかの果実抽出物の主要な活性成分であり得ると仮定したくなる。また、ハチミツの成分であるCAPEは、特に1日より長い時間において優れた活性を示す。最後に、ブドウに見出される別のポリフェノール化合物であるレスベラトロールも、広範囲の有効性を示す。これら薬剤のいずれもが、優れた長期間の保存薬である。
【0038】
表4は、供給源ごとの変動性を調査するため、複数の供給源由来の緑茶抽出物およびブドウの種子抽出物を含む、ホウ酸緩衝生理食塩水中でテストした追加の天然成分の結果を示す。
【0039】
【表4】

【0040】
緑茶抽出物Bは、1日目の時点でも著しく効果的である。緑茶抽出物Bは、期待されるとおり、低濃度の緑茶抽出物Aより多少効果的である。3種のブドウの種子抽出物は、相対的に同様である。しかし、ブドウの種子抽出物Bは、他の2つの抽出物よりも、大腸菌(E. coli)およびカンジダ アルビカンス(C. albicans)に対して効果的である。同様に、抽出物Cは、他の2つの抽出物よりも、緑膿菌(Pseudomonas)に対して効果的でない。このことは、抽出物のすべてが、多様な活性成分を含有すること−ある成分はあるテスト生物に対して活性であり、ある成分は別のテスト生物に対して活性であること−、並びに各活性成分の正確なレベルは、抽出物ごとに変化し得ることを示す。また、クロロゲン酸およびフェルラ酸は、かなり効果的であり、フェルラ酸は、優れた1日目の活性を示し、カンジダ アルビカンス(C. albicans)に対して優れた活性を示す。
【0041】
追加の実験を行い、眼科用調製物で見出される湿潤剤(プルロニック(Pluronic)F-68)を備えた天然成分の幾つかを製剤化した。ホウ酸緩衝生理食塩水中のケラセチンおよびCAPEに関する結果を、以下の表5に示す。
【0042】
【表5】

【0043】
ケラセチンおよびCAPEはいずれも、プルロニックF-68の存在下で、1日より長い期間において、テスト微生物の非常に良好ないし優秀な制御を示す。
【0044】
同様に、追加の実験を行い、2種のビルベリー抽出物および2種の緑茶抽出物を、上述のホウ酸緩衝液を用いて、種々の濃度で、ホウ酸緩衝生理食塩水中でテストした。その結果を以下の表6に示す。
【0045】
【表6】

【0046】
また、ビルベリーおよび緑茶のいずれも、テスト期間全体にわたって優れた消毒および保存特性を示し、緑茶は1日目に著しく効果的である。
【0047】
同様に、追加の実験を行い、種々の濃度のザクロ、並びにオレウロペインおよびブドウの種子抽出物を、上述のホウ酸緩衝液を用いて再テストした。更に、2種のマツの樹皮抽出物(米国のマツの樹皮抽出物およびピクノゲノール)を、同緩衝液を用いてテストした。その結果を以下の表7に示す。
【0048】
【表7】

【0049】
表8は、上述のホウ酸緩衝液中で、レスベラトロール(Polygonum cuspidatum由来)、オレウロペインおよびブドウの種子抽出物を用いて行った追加の実験を示す。
【0050】
【表8】

【0051】
種々の化合物はすべて、1日より長い時間で優れた活性を示した。追加の実験を行い、種々の濃度の追加のレスベラトロール、並びにビルベリー抽出物およびクランベリー抽出物(低濃度)を、ホウ酸緩衝生理食塩水中でテストした。オリーブ油に見出される有効な抗酸化剤であるヒドロキシチロゾール(3,4-ジヒドロキシ-フェニルエタノール)の性能についての一部結果も含む。これら結果を以下の表9に示す。
【0052】
【表9】

【0053】
追加の化合物を、それのみで、または組み合わせてテストした。これらテストは、真菌に関するテストを省いた点で省略されている。しかし、細菌に対する要件を満たす組み合わせは、真菌の要件も実質的に常に満足することが経験により示されている。結果を以下の表10に示す。
【0054】
【表10】

【0055】
これら結果により、没食子酸(R3)は、USP XXIVのカテゴリー1A PETの基準を満足し、眼科用液剤および他の薬剤/医療適用のための有効な保存薬/消毒薬であることが示される。対照的に、100 ppm(S3)、200 ppm(T3)のバニリン酸も100 ppm(Z3)のオレウロペインも、PETの要件を満足しない。しかし、100 ppmのバニリン酸と100 ppmのオレウロペインとの組み合わせ(Y3)は、明らかに相乗作用を有し、カテゴリー1A要件を満足する。トランスケイ皮酸は、100 ppm(U3)、200 ppm(V3)または500 ppm(W3)のいずれもPET基準を満足する。意義深いことに、200 ppmおよび500 ppmの処方は、細胞毒性度が0であり(USP 26 生物学的反応性テスト(Biological Reactivity Test))、とりわけ好ましい。100 ppmの没食子酸プロピルは、PETテストをパスしない。しかし、100 ppmの没食子酸プロピルと100 ppmのオレウロペインとの組み合わせ(A4)は、保存性基準を満足し、細胞毒性度が0である。最後に、100 ppmのシンナムアルデヒド(B4)は、優れた結果で保存性テストに合格する。
【0056】
上記結果より、種々の天然産物が、眼科用液剤および他の薬学的調製物のUSP保存性基準を満足することが実証される。保存薬剤の有効性を評価するための認証基準がUSPに含まれる。読者の便宜のため、USPカテゴリー1A保存薬有効性テスト要件を満足する処方を、表11にまとめて示す。
【0057】
【表11】

【0058】
これらのうち、オレウロペイン(50-200 ppm)、緑茶(200 ppm)、レスベラトロール(200 ppm)、ヒドロキシチロゾール(200 ppm)、クランベリー(120 ppm)およびザクロ(200 ppm)が、おそらく最も有望である。
【0059】
種々の天然の消毒薬の追加の組み合わせを調査した。これらの結果を表12に示す。
【0060】
【表12】

【0061】
これらの結果は、天然の抗菌剤の幾つかの組み合わせが相乗作用を示し、6時間の時点で非常に効果的であることを示す。テストした天然の消毒性抗菌剤のほとんど、たとえばオレウロペイン、緑茶およびザクロが、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)に対して非常に効果的である。しかし、その組み合わせは、霊菌(Serratia marcescens)およびカンジダ アルビカンス(C. albicans)に対して特に効果的であることが分かった。オレウロペインとザクロ、または緑茶とザクロとの組み合わせは、特に効果的であるようである。
【0062】
以前の実験により、アラントイン含有溶液から、消毒効果と抗細胞毒性効果が示されている。表13は、アラントインとPHMBとの間に正の消毒性相乗作用があることを示す。
【0063】
【表13】

【0064】
アラントインは、PHMBおよびEDTAの存在下で、霊菌(Serratia marcescens)の殺傷を増大させるのに効果的である。本発明者らは、ある種の天然産物の抗細胞毒性特性について以前に報告している。実験は、とりわけアラントインの抗細胞毒性効果を確認するために行った。この目的のために、PHMBが有効濃度で刺激性があることが公知であり、アラントインがPHMBと相乗作用的消毒特性を示すことが実証されていたという2つの理由により、PHMBを使用した。通常の微生物テストに加えて、この物質は、高水分含量のソフトコンタクトレンズを各テスト溶液中に5日間循環させることから成る細胞毒性アッセイでも使用した。このとき、溶液飽和のレンズを、L929細胞の細胞毒性モデルでテストした。細胞毒性を、0〜5までで評価し、2以上が細胞毒性を示す。表14は、このPHMB/アラントイン実験の結果を示す。
【0065】
【表14】

【0066】
PHMBは、テストした細菌に対して非常に効果的であるが、最も高い濃度以外では、カンジダ アルビカンス(C. albicans)に対して適度に効果的であるにすぎない。不運なことに、高濃度のPHMBは、有意なレベルの細胞毒性を示す。製剤M4とO4とを比較すべきである。2つの処方の消毒能力は本質的に同一であるという事実にもかかわらず、O4は有意な細胞毒性を示すが、M4は細胞毒性を示さない。2つの処方の違いは、M4に500 ppmのアラントインが存在することである。このことは、比較的低濃度のアラントインが、PHMBの消毒力を損なうことなくPHMBの細胞毒性特性を緩和できることを示す。このように、低いPHMB濃度におけるアラントインの添加は、抗菌活性を増大させることができ(表13)、高いPHMB濃度におけるアラントインの添加は、PHMBの細胞毒性効果を抑制する(表14)。
【0067】
また、細胞毒性の研究を行い、これら天然化合物、抽出物および誘導体の、消毒または保存薬剤として使用したときの刺激および不快感について測定した。
【0068】
細胞毒性テスト分析は、USP 24〈87〉生物学的反応性テスト、インビトロ、およびUSP溶出(Biological Reactivity Test, In Vitro, and USP Elution)に従って実施した。各サンプルの2 mLを10 mLの1×MEMで希釈した。生物学的反応性を、描写し、0(反応性なし)、1(僅かな反応性)、2(軽度の反応性)、3(中程度の反応性)、4(重程度の反応性)で評価した。テスト結果を、オレウロペイン、レスベラトロール、ザクロ、緑茶、クランベリーおよびヒドロキシチロゾールについて表15に示す。
【0069】
【表15】

【0070】
この一連の実験の注目すべき結果は、天然の化合物、抽出物および誘導体のすべてが、この非常に感度が高い細胞毒性テスト方式において、実質的に生物学的反応性を示さなかったことである。同様の媒体中の典型的に使用される濃度の化学的薬剤BAKと比較して、天然の成分は、実証される細胞毒性の程度において化学的薬剤よりはるかに性能が高かった。以前に提出された抗菌性の結果と組み合わせると、天然の化合物、抽出物および誘導体は、予期しない程度の抗菌効力(保存および消毒)と細胞毒性の欠如を示す。
【0071】
以下の特許請求の範囲は、上記で具体的に詳説され記載されるもの、概念的に等価なもの、明らかに置換可能なもの、更に、本発明の本質的な概念を組み込んだものを包含すると理解すべきである。当業者であれば、本発明の範囲を逸脱することなく、先に記載された好ましい態様に種々の改造および改変を加えることができることを認識するでしょう。詳説された態様は、実施例の目的のためだけに記載したものであり、本発明を限定するものと解釈すべきではない。したがって、添付の特許請求の範囲内において、本発明は、本明細書に具体的に記載されたもの以外を実行してもよいと理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレウロペイン(Oleuropein)、没食子酸(Gallic acid)、シンナムアルデヒド(Cinnamaldehyde)、緑茶抽出物(Green Tea Extract)、レスベラトロール(Resveratrol)、トランスケイ皮酸(Trans-Cinnamic Acid)、ザクロ抽出物(Pomegranate Extract)、ヒドロキシチロゾール(Hydroxytyrosol)、およびクランベリー抽出物(Cranberry Extract)、オレウロペイン(Oleuropein)、緑茶抽出物(Green Tea Extract)、ヒドロキシチロゾール(Hydroxytyrosol)、およびザクロ抽出物(Pomegranate Extract)から成る群より選択される天然に存在する抗菌剤を、10〜10,000 ppm(parts per million)含有する局所適用のための調製物。
【請求項2】
眼科適用のために製剤化された請求項1に記載の調製物。
【請求項3】
リン酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、ACES、BES、BICINE、BIS-Tris、BIS-Tris Propane、HEPES、HEPPS、イミダゾール、MES、MOPS、PIPES、TAPS、TES、およびTricineから成る群より選択される生理学的に適合可能なバッファーを更に含む、請求項2に記載の調製物。
【請求項4】
表皮適用のために製剤化された請求項1に記載の調製物。
【請求項5】
粘膜に適用するために製剤化された請求項1に記載の調製物。
【請求項6】
前記天然に存在する抗菌剤が、前記調製物の抗菌保存のために必要である、請求項1に記載の調製物。
【請求項7】
前記天然に存在する抗菌剤が、前記調製物の抗菌保存のために唯一寄与する、請求項1に記載の調製物。
【請求項8】
オレウロペイン(Oleuropein)、没食子酸(Gallic acid)、シンナムアルデヒド(Cinnamaldehyde)、緑茶抽出物(Green Tea Extract)、レスベラトロール(Resveratrol)、トランスケイ皮酸(Trans-Cinnamic Acid)、ザクロ抽出物(Pomegranate Extract)、ヒドロキシチロゾール(Hydroxytyrosol)、およびクランベリー抽出物(Cranberry Extract)、オレウロペイン(Oleuropein)、緑茶抽出物(Green Tea Extract)、ヒドロキシチロゾール(Hydroxytyrosol)、およびザクロ抽出物(Pomegranate Extract)から成る群より選択される天然に存在する抗菌剤を、10〜10,000 ppm用いて保存された薬学的調製物。
【請求項9】
没食子酸、トランスケイ皮酸、およびシンナムアルデヒドから成る群より選択される抗菌剤を、10〜5,000 ppm含有する薬学的または局所用調製物。
【請求項10】
眼科適用のために製剤化された請求項9に記載の調製物。
【請求項11】
リン酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、ACES、BES、BICINE、BIS-Tris、BIS-Tris Propane、HEPES、HEPPS、イミダゾール、MES、MOPS、PIPES、TAPS、TES、およびTricineから成る群より選択されるバッファーを更に含む、請求項10に記載の調製物。
【請求項12】
表皮適用のために製剤化された請求項9に記載の調製物。
【請求項13】
粘膜に適用するために製剤化された請求項9に記載の調製物。
【請求項14】
前記天然に存在する抗菌剤が、前記調製物の抗菌保存のために必要である、請求項9に記載の調製物。
【請求項15】
前記天然に存在する抗菌剤が、前記調製物の抗菌保存のために唯一寄与する、請求項9に記載の調製物。
【請求項16】
抗菌剤としてカフェー酸フェニルエステルを100〜5,000 ppm含有する薬学的または局所用調製物。
【請求項17】
眼科適用のために製剤化された請求項16に記載の調製物。
【請求項18】
リン酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、ACES、BES、BICINE、BIS-Tris、BIS-Tris Propane、HEPES、HEPPS、イミダゾール、MES、MOPS、PIPES、TAPS、TES、およびTricineから成る群より選択されるバッファーを更に含む、請求項17に記載の調製物。
【請求項19】
表皮適用のために製剤化された請求項16に記載の調製物。
【請求項20】
粘膜に適用するために製剤化された請求項16に記載の調製物。
【請求項21】
前記カフェー酸フェニルエステルが、前記調製物の抗菌保存のために必要である、請求項16に記載の調製物。
【請求項22】
前記カフェー酸フェニルエステルが、前記調製物の保存のために唯一寄与する、請求項16に記載の調製物。
【請求項23】
抗菌剤としてオレウロペイン(oleuropein)を10〜10,000 ppm含有する薬学的または局所用調製物。
【請求項24】
眼科適用のために製剤化された請求項23に記載の調製物。
【請求項25】
リン酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、ACES、BES、BICINE、BIS-Tris、BIS-Tris Propane、HEPES、HEPPS、イミダゾール、MES、MOPS、PIPES、TAPS、TES、およびTricineから成る群より選択されるバッファーを更に含む、請求項24に記載の調製物。
【請求項26】
表皮適用のために製剤化された請求項23に記載の調製物。
【請求項27】
粘膜に適用するために製剤化された請求項23に記載の調製物。
【請求項28】
前記オレウロペインが、前記調製物の抗菌保存のために必要である、請求項23に記載の調製物。
【請求項29】
前記オレウロペインが、前記調製物の抗菌保存のために唯一寄与する、請求項23に記載の調製物。
【請求項30】
抗菌剤としてクランベリー抽出物を10〜1,000 ppm含有する薬学的または局所用調製物。
【請求項31】
眼科適用のために製剤化された請求項30に記載の調製物。
【請求項32】
リン酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、ACES、BES、BICINE、BIS-Tris、BIS-Tris Propane、HEPES、HEPPS、イミダゾール、MES、MOPS、PIPES、TAPS、TES、およびTricineから成る群より選択されるバッファーを更に含む、請求項31に記載の調製物。
【請求項33】
表皮適用のために製剤化された請求項30に記載の調製物。
【請求項34】
粘膜に適用するために製剤化された請求項30に記載の調製物。
【請求項35】
前記クランベリー抽出物が、前記調製物の抗菌保存のために必要である、請求項30に記載の調製物。
【請求項36】
前記クランベリー抽出物が、前記調製物の抗菌保存のために唯一寄与する、請求項30に記載の調製物。
【請求項37】
抗菌剤としてブドウの種子抽出物を100〜5,000 ppm含有する薬学的または局所用調製物。
【請求項38】
眼科適用のために製剤化された請求項37に記載の調製物。
【請求項39】
リン酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、ACES、BES、BICINE、BIS-Tris、BIS-Tris Propane、HEPES、HEPPS、イミダゾール、MES、MOPS、PIPES、TAPS、TES、およびTricineから成る群より選択されるバッファーを更に含む、請求項38に記載の調製物。
【請求項40】
表皮適用のために製剤化された請求項37に記載の調製物。
【請求項41】
粘膜に適用するために製剤化された請求項37に記載の調製物。
【請求項42】
前記ブドウの種子抽出物が、前記調製物の抗菌保存のために必要である、請求項37に記載の調製物。
【請求項43】
前記ブドウの種子抽出物が、前記調製物の抗菌保存のために唯一寄与する、請求項37に記載の調製物。
【請求項44】
抗菌剤として緑茶抽出物を10〜5,000 ppm含有する薬学的または局所用調製物。
【請求項45】
眼科適用のために製剤化された請求項44に記載の調製物。
【請求項46】
リン酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、ACES、BES、BICINE、BIS-Tris、BIS-Tris Propane、HEPES、HEPPS、イミダゾール、MES、MOPS、PIPES、TAPS、TES、およびTricineから成る群より選択されるバッファーを更に含む、請求項45に記載の調製物。
【請求項47】
表皮適用のために製剤化された請求項44に記載の調製物。
【請求項48】
粘膜に適用するために製剤化された請求項44に記載の調製物。
【請求項49】
前記緑茶抽出物が、前記調製物の抗菌保存のために必要である、請求項44に記載の調製物。
【請求項50】
前記緑茶抽出物が、前記調製物の抗菌保存のために唯一寄与する、請求項44に記載の調製物。
【請求項51】
抗菌剤としてヒドロキシチロゾール(Hydroxytyrosol)を10〜1,000 ppm含有する薬学的または局所用調製物。
【請求項52】
眼科適用のために製剤化された請求項51に記載の調製物。
【請求項53】
リン酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、ACES、BES、BICINE、BIS-Tris、BIS-Tris Propane、HEPES、HEPPS、イミダゾール、MES、MOPS、PIPES、TAPS、TES、およびTricineから成る群より選択される生理学的に適合可能なバッファーを更に含む、請求項52に記載の調製物。
【請求項54】
表皮適用のために製剤化された請求項51に記載の調製物。
【請求項55】
粘膜に適用するために製剤化された請求項51に記載の調製物。
【請求項56】
前記ヒドロキシチロゾールが、前記調製物の抗菌保存のために必要である、請求項51に記載の調製物。
【請求項57】
前記ヒドロキシチロゾールが、前記調製物の抗菌保存のために唯一寄与する、請求項51に記載の調製物。
【請求項58】
抗菌剤としてマツの樹皮抽出物を10〜5,000 ppm含有する薬学的または局所用調製物。
【請求項59】
前記マツの樹皮抽出物が、ピクノゲノール(pycnogenol)である、請求項58に記載の調製物。
【請求項60】
眼科適用のために製剤化された請求項58に記載の調製物。
【請求項61】
リン酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、ACES、BES、BICINE、BIS-Tris、BIS-Tris Propane、HEPES、HEPPS、イミダゾール、MES、MOPS、PIPES、TAPS、TES、およびTricineから成る群より選択されるバッファーを更に含む、請求項60に記載の調製物。
【請求項62】
表皮適用のために製剤化された請求項58に記載の調製物。
【請求項63】
粘膜に適用するために製剤化された請求項58に記載の調製物。
【請求項64】
前記マツの樹皮抽出物が、前記調製物の抗菌保存のために必要である、請求項58に記載の調製物。
【請求項65】
前記マツの樹皮抽出物が、前記調製物の抗菌保存のために唯一寄与する、請求項58に記載の調製物。
【請求項66】
抗菌剤としてザクロ抽出物を10〜5,000 ppm含有する薬学的または局所用調製物。
【請求項67】
眼科適用のために製剤化された請求項66に記載の調製物。
【請求項68】
リン酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、ACES、BES、BICINE、BIS-Tris、BIS-Tris Propane、HEPES、HEPPS、イミダゾール、MES、MOPS、PIPES、TAPS、TES、およびTricineから成る群より選択される生理学的に適合可能なバッファーを更に含む、請求項67に記載の調製物。
【請求項69】
表皮適用のために製剤化された請求項66に記載の調製物。
【請求項70】
粘膜に適用するために製剤化された請求項66に記載の調製物。
【請求項71】
前記ザクロ抽出物が、前記調製物の抗菌保存のために必要である、請求項66に記載の調製物。
【請求項72】
前記ザクロ抽出物が、前記調製物の抗菌保存のために唯一寄与する、請求項66に記載の調製物。
【請求項73】
抗菌剤としてレスベラトロール(resveratrol)を100〜5,000 ppm含有する薬学的または局所用調製物。
【請求項74】
眼科適用のために製剤化された請求項73に記載の調製物。
【請求項75】
リン酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、ACES、BES、BICINE、BIS-Tris、BIS-Tris Propane、HEPES、HEPPS、イミダゾール、MES、MOPS、PIPES、TAPS、TES、およびTricineから成る群より選択されるバッファーを更に含む、請求項73に記載の調製物。
【請求項76】
表皮適用のために製剤化された請求項73に記載の調製物。
【請求項77】
粘膜に適用するために製剤化された請求項73に記載の調製物。
【請求項78】
前記レスベラトロールが、前記調製物の抗菌保存のために必要である、請求項73に記載の調製物。
【請求項79】
前記レスベラトロールが、前記調製物の抗菌保存のために唯一寄与する、請求項73に記載の調製物。
【請求項80】
抗菌剤として10〜5,000 ppmのオレウロペイン(oleuropein)を10〜5,000 ppmの緑茶抽出物と組み合わせることにより保存される薬学的または局所用調製物。
【請求項81】
眼科適用のために製剤化された請求項80に記載の調製物。
【請求項82】
リン酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、ACES、BES、BICINE、BIS-Tris、BIS-Tris Propane、HEPES、HEPPS、イミダゾール、MES、MOPS、PIPES、TAPS、TES、およびTricineから成る群より選択されるバッファーを更に含む、請求項81に記載の調製物。
【請求項83】
表皮適用のために製剤化された請求項80に記載の調製物。
【請求項84】
粘膜に適用するために製剤化された請求項80に記載の調製物。
【請求項85】
前記オレウロペインおよび前記緑茶抽出物が、前記調製物の抗菌保存のために必要である、請求項80に記載の調製物。
【請求項86】
前記オレウロペインおよび前記緑茶抽出物が、前記調製物の抗菌保存のために唯一寄与する、請求項80に記載の調製物。
【請求項87】
抗菌剤として10〜5,000 ppmのオレウロペイン(oleuropein)を10〜5,000 ppmのザクロ抽出物と組み合わせることにより保存される薬学的または局所用調製物。
【請求項88】
眼科適用のために製剤化された請求項87に記載の調製物。
【請求項89】
リン酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、ACES、BES、BICINE、BIS-Tris、BIS-Tris Propane、HEPES、HEPPS、イミダゾール、MES、MOPS、PIPES、TAPS、TES、およびTricineから成る群より選択されるバッファーを更に含む、請求項88に記載の調製物。
【請求項90】
表皮適用のために製剤化された請求項87に記載の調製物。
【請求項91】
粘膜に適用するために製剤化された請求項87に記載の調製物。
【請求項92】
前記オレウロペインおよび前記ザクロ抽出物が、前記調製物の抗菌保存のために必要である、請求項87に記載の調製物。
【請求項93】
前記オレウロペインおよび前記ザクロ抽出物が、前記調製物の抗菌保存のために唯一寄与する、請求項87に記載の調製物。
【請求項94】
抗菌剤として10〜5,000 ppmのザクロ抽出物を10〜5,000 ppmの緑茶抽出物と組み合わせることにより保存される薬学的または局所用調製物。
【請求項95】
眼科適用のために製剤化された請求項94に記載の調製物。
【請求項96】
リン酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、ACES、BES、BICINE、BIS-Tris、BIS-Tris Propane、HEPES、HEPPS、イミダゾール、MES、MOPS、PIPES、TAPS、TES、およびTricineから成る群より選択されるバッファーを更に含む、請求項95に記載の調製物。
【請求項97】
表皮適用のために製剤化された請求項94に記載の調製物。
【請求項98】
粘膜に適用するために製剤化された請求項94に記載の調製物。
【請求項99】
前記緑茶抽出物および前記ザクロ抽出物が、前記調製物の抗菌保存のために必要である、請求項94に記載の調製物。
【請求項100】
前記緑茶抽出物および前記ザクロ抽出物が、前記調製物の抗菌保存のために唯一寄与する、請求項94に記載の調製物。
【請求項101】
抗菌剤として10〜500 ppmのバニリン酸を10〜200 ppmのオレウロペイン(oleuropein)と組み合わせることにより保存される薬学的または局所用調製物。
【請求項102】
眼科適用のために製剤化された請求項101に記載の調製物。
【請求項103】
リン酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、ACES、BES、BICINE、BIS-Tris、BIS-Tris Propane、HEPES、HEPPS、イミダゾール、MES、MOPS、PIPES、TAPS、TES、およびTricineから成る群より選択されるバッファーを更に含む、請求項101に記載の調製物。
【請求項104】
表皮適用のために製剤化された請求項101に記載の調製物。
【請求項105】
粘膜に適用するために製剤化された請求項101に記載の調製物。
【請求項106】
前記バニリン酸および前記オレウロペインが、前記調製物の抗菌保存のために必要である、請求項101に記載の調製物。
【請求項107】
前記バニリン酸および前記オレウロペインが、前記調製物の抗菌保存のために唯一寄与する、請求項101に記載の調製物。
【請求項108】
抗菌剤として10〜500 ppmの没食子酸プロピルを10〜200 ppmのオレウロペイン(oleuropein)と組み合わせることにより保存される薬学的または局所用調製物。
【請求項109】
眼科適用のために製剤化された請求項108に記載の調製物。
【請求項110】
リン酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、ACES、BES、BICINE、BIS-Tris、BIS-Tris Propane、HEPES、HEPPS、イミダゾール、MES、MOPS、PIPES、TAPS、TES、およびTricineから成る群より選択されるバッファーを更に含む、請求項108に記載の調製物。
【請求項111】
表皮適用のために製剤化された請求項108に記載の調製物。
【請求項112】
粘膜に適用するために製剤化された請求項108に記載の調製物。
【請求項113】
前記没食子酸プロピルおよび前記オレウロペインが、前記調製物の抗菌保存のために必要である、請求項108に記載の調製物。
【請求項114】
前記没食子酸プロピルおよび前記オレウロペインが、前記調製物の抗菌保存のために唯一寄与する、請求項108に記載の調製物。
【請求項115】
抗菌剤としての10〜5,000 ppmの没食子酸により保存される薬学的または局所用調製物。
【請求項116】
眼科適用のために製剤化された請求項115に記載の調製物。
【請求項117】
リン酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、ACES、BES、BICINE、BIS-Tris、BIS-Tris Propane、HEPES、HEPPS、イミダゾール、MES、MOPS、PIPES、TAPS、TES、およびTricineから成る群より選択されるバッファーを更に含む、請求項115に記載の調製物。
【請求項118】
表皮適用のために製剤化された請求項115に記載の調製物。
【請求項119】
粘膜に適用するために製剤化された請求項115に記載の調製物。
【請求項120】
前記没食子酸が、前記調製物の抗菌保存のために必要である、請求項115に記載の調製物。
【請求項121】
前記没食子酸が、前記調製物の抗菌保存のために唯一寄与する、請求項115に記載の調製物。
【請求項122】
抗菌剤としての10〜5,000 ppmのトランスケイ皮酸により保存される薬学的または局所用調製物。
【請求項123】
眼科適用のために製剤化された請求項122に記載の調製物。
【請求項124】
リン酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、ACES、BES、BICINE、BIS-Tris、BIS-Tris Propane、HEPES、HEPPS、イミダゾール、MES、MOPS、PIPES、TAPS、TES、およびTricineから成る群より選択されるバッファーを更に含む、請求項122に記載の調製物。
【請求項125】
表皮適用のために製剤化された請求項122に記載の調製物。
【請求項126】
粘膜に適用するために製剤化された請求項122に記載の調製物。
【請求項127】
前記没食子酸が、前記調製物の抗菌保存のために必要である、請求項122に記載の調製物。
【請求項128】
前記没食子酸が、前記調製物の抗菌保存のために唯一寄与する、請求項122に記載の調製物。
【請求項129】
抗菌剤としての10〜5,000 ppmのシンナムアルデヒドにより保存される薬学的または局所用調製物。
【請求項130】
眼科適用のために製剤化された請求項129に記載の調製物。
【請求項131】
リン酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、ACES、BES、BICINE、BIS-Tris、BIS-Tris Propane、HEPES、HEPPS、イミダゾール、MES、MOPS、PIPES、TAPS、TES、およびTricineから成る群より選択されるバッファーを更に含む、請求項129に記載の調製物。
【請求項132】
表皮適用のために製剤化された請求項129に記載の調製物。
【請求項133】
粘膜に適用するために製剤化された請求項129に記載の調製物。
【請求項134】
前記シンナムアルデヒドが、前記調製物の抗菌保存のために必要である、請求項129に記載の調製物。
【請求項135】
前記シンナムアルデヒドが、前記調製物の抗菌保存のために唯一寄与する、請求項129に記載の調製物。
【請求項136】
抗菌剤として1〜5 ppmのポリヘキサメチルビグアニジン(polyhexamethyl biguanidine)と10〜1,000 ppmのアラントインとの組み合わせを含有する薬学的または局所用調製物。
【請求項137】
眼科適用のために製剤化された請求項136に記載の調製物。
【請求項138】
リン酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、ACES、BES、BICINE、BIS-Tris、BIS-Tris Propane、HEPES、HEPPS、イミダゾール、MES、MOPS、PIPES、TAPS、TES、およびTricineから成る群より選択されるバッファーを更に含む、請求項137に記載の調製物。
【請求項139】
表皮適用のために製剤化された請求項136に記載の調製物。
【請求項140】
粘膜に適用するために製剤化された請求項136に記載の調製物。
【請求項141】
前記ポリヘキサメチルビグアニジンおよび前記アラントインが、前記調製物の抗菌保存のために必要である、請求項136に記載の調製物。
【請求項142】
前記ポリヘキサメチルビグアニジンおよび前記アラントインが、前記調製物の抗菌保存のために唯一寄与する、請求項136に記載の調製物。
【請求項143】
10〜1,000 ppmのアラントインを添加する工程を含む、刺激性化学的保存剤を含有する局所用調製物の細胞毒性を低減する方法。
【請求項144】
前記刺激性化学的保存剤が、ビグアニジン(biguanidine)保存剤である、請求項143に記載の方法。

【公表番号】特表2006−505501(P2006−505501A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−583460(P2003−583460)
【出願日】平成15年4月4日(2003.4.4)
【国際出願番号】PCT/US2003/010435
【国際公開番号】WO2003/086442
【国際公開日】平成15年10月23日(2003.10.23)
【出願人】(504371882)ナチュラル・ディスインフェクタント・テクノロジーズ (1)
【Fターム(参考)】