説明

好中球エラスターゼの阻害剤として使用する2−ピリドン化合物

本発明は、式


〔式中、R、R、R、R、R、R、L、XおよびYは明細書に定義するとおりである。〕の化合物を;その製造のための方法および中間体、それらを含む医薬組成物および治療におけるそれらの使用と共に提供する。本化合物はヒト好中球エラスターゼの阻害剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は第4級2−ピリドン誘導体、その製造のための方法および中間体、それらを含む医薬組成物および治療におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
エラスターゼ類は体内で恐らく最も破壊的な酵素であり、実質的に全ての結合組織成分を破壊する能力を有する。エラスターゼ類による未制御のタンパク質分解が多くの病的状態と関連付けられている。セリンプロテアーゼ類のキモトリプシンスーパーファミリーのメンバーであるヒト好中球エラスターゼ(hNE)は好中球のアズール顆粒に貯蔵されている33KDa酵素である。好中球においてNEの濃度は5mMを超え、その総細胞量は最大3pgであると計算されている。活性化により、NEは、一部は好中球原形質膜に結合したままで顆粒から細胞外空間に急速に放出される(Kawabat et al. 2002, Eur. J. Pharmacol. 451, 1-10参照)。NEの主細胞内生理機能は、好中球により貪食された外来有機分子の分解であるが、細胞外エラスターゼの主標的はエラスチンである(Janoff and Scherer, 1968, J. Exp. Med. 128, 1137-1155)。NEは、ほとんど全ての細胞外マトリックスおよび重要な血漿タンパク質を分解する能力を有する点で、他のプロテアーゼ類(例えば、プロテイナーゼ3)と比較して独特である(Kawabat et al., 2002, Eur. J. Pharmacol. 451, 1-10参照)。それはエラスチン、3型および4型コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、サイトカイン類などのような広範囲の細胞外マトリックスタンパク質を分解する(Ohbayashi, H., 2002, Expert Opin. Investig. Drugs, 11, 965-980)。NEは、上皮損傷を含む慢性肺疾患に見られる多くの病的変化の主要な共通メディエーターである(Stockley, R.A. 1994, Am. J. Resp. Crit. Care Med. 150, 109-113)。
【0003】
NEの破壊的な役割は、LaurellおよびErikssonが慢性気道閉塞および肺気腫と血清α−アンチトリプシン欠損の関連を報告した約40年前に固まった(Laurell and Eriksson, 1963, Scand. J. Clin. Invest. 15, 132-140)。その後、α−アンチトリプシンが最も重要なヒトNEの内在性阻害剤であることが決定された。ヒトNEと内在性抗プロテアーゼの不均衡が、肺組織における過剰なヒトNEの原因であると考えられ、これが慢性閉塞性肺疾患(COPD)の主病因と見なされる。過剰なヒトNEは、顕著な破壊的なプロファイルを示し、主に肺気腫で見られる、正常肺構造の破壊と、その後の呼吸器気腔の不可逆的拡張に積極的に関与する。α−プロテイナーゼ阻害剤欠損マウスにおいて、肺エラスターゼ荷重の増加および肺気腫と関連する肺への好中球動員の増加がある(Cavarra et al., 1996, Lab. Invest. 75, 273-280)。気管支肺胞洗浄液中のNE−αプロテアーゼ阻害剤複合体のレベルが高い患者は、低レベルの患者と比較して肺機能の低下が顕著に加速する(Betsuyaku et al. 2000, Respiration, 67, 261-267)。ラットへの気管を介したヒトNEの点滴は、急性期の肺出血、好中球蓄積および慢性期の肺気腫性変化を起こす(Karaki et al., 2002, Am. J. Resp. Crit. Care Med., 166, 496-500)。研究により、ハムスターにおけるNEにより起こされる急性期の肺気腫および肺出血はNEの阻害剤での前処理で阻止できることが示されている(Fujie et al.,1999, Inflamm. Res. 48, 160-167)。
【0004】
好中球優勢気道炎症および気道の粘液閉塞は、嚢胞性線維症および慢性気管支炎を含むCOPDの主要な病理学的特徴である。NEはムチン産生を妨害し、気道の粘液閉塞を起こす。NEは主要な呼吸器ムチン遺伝子であるMUC5ACの発現を増加すると報告されている(Fischer, B.M & Voynow, 2002, Am. J. Respir. Cell Biol., 26, 447-452)。NEをモルモットにエアロゾル投与すると、接触後20分間以内に広範な上皮損傷が生じる(Suzuki et al., 1996, Am. J. Resp. Crit. Care Med., 153, 1405-1411)。さらにNEはインビトロでヒト呼吸器上皮の絨毛うなり周波数を下げ(Smallman et al., 1984, Thorax, 39, 663-667)、それは、COPD患者に見られる粘液線毛クリアランスの低下と一致する(Currie et al., 1984, Thorax, 42, 126-130)。ハムスターにおいて気道へのNEの点滴は粘液腺過形成を起こす(Lucey et al., 1985, Am. Resp. Crit. Care Med., 132, 362-366)。NEの役割はまた喘息における粘液分泌過多とも関連付けられている。アレルゲン感作モルモット急性喘息モデルにおいて、NEの阻害剤が杯細胞脱顆粒および粘液分泌過多を予防する(Nadel et al., 1999, Eur. Resp. J., 13, 190-196)。
【0005】
NEはまた肺線維症の病因に役割を有することも示されている。NE:α−プロテイナーゼ阻害剤複合体が肺線維症患者の血清で増加し、これは、これらの患者の臨床パラメーターと相関する(Yamanouchi et al., 1998, Eur. Resp. J. 11, 120-125)。ヒト肺線維症のマウスモデルで、NE阻害剤はブレオマイシン誘発肺線維症を減少させる(Taooka et al., 1997, Am. J. Resp. Crit. Care Med., 156, 260-265)。さらに、研究者らは、NE欠損マウスがブレオマイシン誘発肺線維症に耐性であることを示している(Dunsmore et al., 2001, Chest, 120, 35S-36S)。ARDSに進行した患者で血漿NEレベルが上昇していることが判明しており、初期ARDS疾患病因におけるNEの重要性を示唆する(Donnelly et al., 1995, Am. J. Res. Crit. Care Med., 151, 428-1433)。抗プロテアーゼ類および抗プロテアーゼと複合体化したNEは肺癌領域で増加する(Marchandise et al., 1989, Eur. Resp. J. 2, 623-629)。最近の研究では、NE遺伝子のプロモーター領域における多形が肺癌発症に関連することが示されている(Taniguchi et al., 2002, Clin. Cancer Res., 8, 1115-1120)。
【0006】
実験動物におけるエンドトキシンにより起こす急性肺傷害はNEレベル上昇と関連する(Kawabata, et al., 1999, Am. J. Resp. Crit. Care, 161, 2013-2018)。マウスにおけるリポポリサッカライドの気管内注入により起こす急性肺炎症は、気管支肺胞洗浄液でのNE活性を上昇させ、それがNE阻害剤により顕著に阻害されることが示されている(Fujie et al., 1999, Eur. J. Pharmacol., 374, 117-125; Yasui, et al., 1995, Eur. Resp. J., 8, 1293-1299)。NEはまた単離灌流ウサギ肺における腫瘍壊死因子α(TNFα)および酢酸ミリスチン酸ホルボール(PMA)により起こす急性肺傷害のモデルで観察される肺微小血管透過性の好中球誘発上昇にも重要な役割を有する(Miyazaki et al., 1998, Am. J. Respir. Crit. Care Med., 157, 89-94)。
【0007】
NEの役割はまたモノクロタリン(monocrotoline)誘発肺血管壁肥厚および心肥大においても示唆されている(Molteni et al., 1989, Biochemical Pharmacol. 38, 2411-2419)。セリンエラスターゼ阻害剤はラット肺動脈におけるモノクロタリン誘発肺高血圧およびリモデリングを回復させる(Cowan et al., 2000, Nature Medicine, 6, 698-702)。最近の試験は、セリンエラスターゼ、すなわち、NEまたは血管エラスターゼが、モルモットにおける小肺動脈のタバコの煙が誘発する筋肉化(muscularisation)に重要であることを示している(Wright et al., 2002, Am. J. Respir. Crit. Care Med., 166, 954-960)。
【0008】
NEは、実験的脳虚血性損傷(Shimakura et al., 2000, Brain Research, 858, 55-60)、虚血−再灌流肺傷害(Kishima et al., 1998, Ann. Thorac. Surg. 65, 913-918)およびラット心臓における心筋虚血(Tiefenbacher et al., 1997, Eur. J. Physiol., 433, 563-570)で重要な役割を有する。ヒトで血漿中のNEレベルは、炎症性腸疾患、例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎で正常を超えて顕著に上昇する(Adeyemi et al., 1985, Gut, 26, 1306-1311)。加えてNEはリウマチ性関節炎の病因に関与するとも考えられる(Adeyemi et al., 1986, Rheumatol. Int., 6, 57)。マウスにおけるコラーゲン誘発関節炎はNE阻害剤で抑制される(Kakimoto et al., 1995, Cellular Immunol. 165, 26-32)。
【0009】
それ故に、ヒトNEは最も破壊的なセリンプロテアーゼ類の一つとして知られ、多様な炎症性疾患と関連付けられている。ヒトNEの重要な内在性阻害剤はα−アンチトリプシンである。ヒトNEと抗プロテアーゼの不均衡が、無制御の組織破壊をもたらす、ヒトNEの過剰産生を起こすと考えられる。プロテアーゼ/抗プロテアーゼ均衡は、タバコの煙のようなオキシダントによる不活化により、または十分な血清レベルを遺伝的に産生できない結果として、α−アンチトリプシンの利用可能性が低下することにより崩れ得る。
【0010】
ヒトNEは成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、嚢胞性線維症、肺気腫、慢性気管支炎を含む気管支炎、気管支拡張症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺高血圧、難治性喘息を含む喘息、鼻炎、乾癬、虚血−再灌流傷害、リウマチ性関節炎、骨関節症、全身性炎症反応症候群(SIRS)、慢性創傷、癌、アテローム性動脈硬化症、消化性潰瘍、クローン病、潰瘍性大腸炎または胃粘膜傷害のような多くの疾患の進行または増悪と関連付けられている。特に関連する状態は、例えば、肺気腫、肺線維症、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、虚血−再灌流傷害、リウマチ性関節炎および肺高血圧を含む。
【0011】
アルファ−1−アンチトリプシン欠損症(AATD)は遺伝性の遺伝子障害であり、アルファ−1−アンチトリプシンの血清レベル低下をもたらす。AATDの患者は、肺気腫およびCOPDのような肺疾患、肝硬変のような肝臓疾患および皮膚疾患である脂肪織炎のような多くの疾患を発症する傾向にある。AATDの患者は、特にCOPDおよび肺気腫のような肺疾患を発症する傾向にある。これらの状態は、AATDの患者が喫煙および粉塵暴露のような環境因子に暴露されたときに加速される可能性がある。Prolastin(登録商標)、Araslast(登録商標)、Zemaira(登録商標)を含むAATDのための多数の処置剤が承認されている。これらの処置剤は全てタンパク質であり、血清中のアルファ−1−アンチトリプシンまたはその誘導体のレベルを増加させるために患者に静脈内投与する。しかしながら、AATDの患者のための他の処置法を見出す必要がある。
【0012】
WO2005/026123、WO2007/107706、WO2007/129962、WO2007/129963、WO2008/030158は、ヒト好中球エラスターゼの阻害剤として有用なある種の2−ピリドンおよび2−ピラジノン誘導体を開示する。本明細書は、第4級アンモニウム置換基を担持する2−ピリドンおよび2−ピラジノン誘導体を開示する。本化合物は強力なヒト好中球エラスターゼ阻害剤であり、また良好な溶解性のような有利なDMPKおよび物理特性を有する。特に、本化合物は、特に吸入投与に適する特性を有する。例えばある種の化合物は、吸入後肺で高い維持力を示すと予測される。
【発明の概要】
【0013】
発明の開示
従って、本発明は、式(I):
【化1】

〔式中、
は水素またはC−Cアルキルであり;
はフェニル環またはピリジニル環であり、該環はフルオロ、クロロまたはCNで4位(パラ位)を置換されており;
XはNまたはCR(ここで、RはHまたはフルオロである)であり;
はフルオロ、クロロおよびトリフルオロメチルから独立して選択される1個または2個の置換基で置換されているフェニル基であり;
LはC−Cアルキレンであり;
、RおよびRは各々独立してC−Cアルキルであるかであるか;またはRおよびRは相互に結合し、NR基が5員または6員環状アンモニウム基を表すように一体となってもよく;
Yは薬学的に許容されるアニオンである。〕
の化合物を提供する。
【0014】
本明細書の文脈で、特にことわらない限り、アルキル基は直鎖でも分枝鎖でもよいが、“プロピル”のように個々のアルキル基を引用するときは、直鎖形のみを意味する。同様に、アルキレン基は直鎖でも分枝鎖でもよい。C−Cアルキルの例はメチル、エチル、プロピルおよびイソプロピルを含む;C−Cアルキルの例はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、イソ−ペンチル、1−2−ジメチルプロピルおよびヘキシルを含む;C−Cアルキルの例はエチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチルを含む。
【0015】
およびRが相互に結合し、NR基が5員または6員環状アンモニウム基を表すように一体となるとき、このようにして形成される環状基は窒素で結合する第4級化5員または6員ヘテロシクリル基である。例えばNRは、一体となって、1個の窒素および場合により1個、2個または3個の酸素、硫黄および窒素から選択されるヘテロ原子を含む(ただし、O−O、O−SまたはS−S結合は含まない)飽和または一部飽和の非芳香族性ヘテロシクリル環である第4級化された窒素で結合する5員または6員環を形成し、そしてこのようにして形成される環は式(I)の基Lに環窒素原子を介して結合する。例えばNRは、例えば第4級化された2−ピロリン−1−イル基、3−ピロリン−1−イル基、ピロリジン−1−イル基、イミダゾリジン−1−イル基、ピペリジノ基、ピペラジン−1−イル基、モルホリノ基またはチオモルホリノ基を形成し得る。一つの態様において、NRは一体となって第4級化ピロリジン−1−イル基、ピペリジノ基、モルホリノ基またはチオモルホリノ基を形成する。他の態様において、NRは一体となって第4級化ピロリジン−1−イル基、ピペリジノ基、モルホリノ基、より具体的に第4級化ピロリジン−1−イル基またはピペリジノ基を形成する。他の態様において、NRは一体となって第4級化ピロリジン−1−イル基を形成する。当然のことながら、RおよびRが相互に結合し、NR基が5員または6員環状アンモニウム基を表すように一体となるとき、環の窒素原子はメチルまたはエチル、特にメチルのようなC−CアルキルであるR基で第4級化される。
【0016】
本発明の範囲内で式(I)の化合物またはその塩は互変異性の現象を示す可能性があり、本明細書に記載する式は可能な互変異性体形態の一つのみを表わしていると解釈すべきである。本発明はヒト好中球エラスターゼを阻害する全ての互変異性体形態を包含し、記載した式に採用された何れか一つの互変異性体形態にのみ限定されないと解釈すべきである。
【0017】
ある種の式(I)の化合物およびその塩は溶媒和された形態、例えば水和物形態ならびに溶媒和されていない形態で存在できることも理解されるべきである。本発明は、ヒト好中球エラスターゼを阻害する全てのかかる溶媒和された形態を含むと解釈すべきである。ある種の式(I)の化合物は多形を示し得る。本発明は全てのかかる多形形態またはそれらの混合物を包含すると解釈すべきであり、かかる形態はヒト好中球エラスターゼの阻害に有用な特性を有する。
【0018】
は水素またはC−Cアルキル(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルまたはtert−ブチル)である。
本発明の一つの態様において、RはC−Cアルキル基、特にメチル基である。
はフェニルまたはピリジニルである;該環はフルオロ、クロロまたはCNで4位(パラ位)を置換されている。
【0019】
一つの態様において、Rはフルオロ、クロロまたはCNで4位(パラ位)を置換されているフェニルである。一つの態様において、RはCNで4位(パラ位)を置換されているフェニルである。
XはNまたはCHまたはCFである。一つの態様において、XはNである。一つの態様において、XはCHである。
【0020】
は、フッ素、塩素、シアノおよびトリフルオロメチルから独立して選択される1個または2個の置換基で置換されているフェニル基である。
一つの態様において、Rは1個のトリフルオロメチル置換基で置換されているフェニル基である。他の態様において、Rはトリフルオロメチルで3位(メタ位)を置換されているフェニルである。
【0021】
他の態様において、Rはブロモ、クロロ、トリフルオロメチルまたはCNで3位(メタ位)を置換されているフェニルである。
Lは直鎖または分枝鎖C−Cアルキレン(例えばCアルキレン、CアルキレンまたはCアルキレン)である。一つの態様において、Lは直鎖C−Cアルキレン(−CHCH−、−CHCHCH−または−CHCHCHCH−)である。
【0022】
本発明の一つの態様において、Lは直鎖Cアルキレン(トリメチレン(n−プロピレン))である。本発明の一つの態様において、Lは−CHCH−であるである。他の態様において、Lは−CHCHCH−である。他の態様において、Lは−CHCHCHCH−である。
【0023】
、RおよびRは各々独立してC−Cアルキル(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチルまたはヘキシル)であるか;またはRおよびRは相互に結合し、NR基が5員または6員環状アンモニウム基(例えばピロリジニウムまたはピペリジニウム)を表すように一体となってよい。
【0024】
一つの態様において、R、RおよびRは各々独立してC−CまたはC−CまたはC−Cアルキルである。
他の態様において、R、RおよびRは各々独立してC−Cアルキル、例えばメチル基である。
【0025】
他の態様において、NRは一体となって5員または6員環状アンモニウム基である。さらなる態様において、NRは一体となってピロリジニウム基である。さらなる態様において、NRは一体となってピペリジニウム基である。
【0026】
他の態様において、NRは一体となって5員または6員環状アンモニウム基(例えばピロリジニウムまたはピペリジニウムおよび特にピロリジニウム)であり、RはC−Cアルキル、例えばメチル基である。
【0027】
本発明の一つの面において:
はC−Cアルキル基、例えばメチル基であり;
はフルオロ、クロロまたはCNで4位(パラ位)を置換されているフェニルであり;
XはCHであり;
はブロモ、クロロ、トリフルオロメチルまたはCNで3位(メタ位)を置換されているフェニルであり;
LはC−Cアルキレンであり;
、RおよびRは各々独立してC−Cアルキルであり;
Yは薬学的に許容されるアニオンである
式(I)の化合物が提供される。
【0028】
本発明の他の態様において:
はメチル基であり;
はフルオロ、クロロまたはCNで4位(パラ位)を置換されているフェニルであり;
XはCHであり;
はトリフルオロメチルで3位(メタ位)を置換されているフェニル基であり;
LはC−Cアルキレンであり;
、RおよびRは各々独立してC−Cアルキルであり;
Yは薬学的に許容されるアニオンである、
式(I)の化合物が提供される。
【0029】
本発明の他の態様において:
はメチル基であり;
はCNで4位(パラ位)を置換されているフェニルであり;
XはCHであり;
はトリフルオロメチルで3位(メタ位)を置換されているフェニル基であり;
LはC−Cアルキレンであり;
、RおよびRは各々独立してC−Cアルキルであり;
Yは薬学的に許容されるアニオンである、
式(I)の化合物が提供される。
【0030】
本発明の他の態様において:
はメチル基であり;
はCNで4位(パラ位)を置換されているフェニルであり;
XはCHであり;
はトリフルオロメチルで3位(メタ位)を置換されているフェニル基であり;
Lは−CHCHCH−または−CHCHCHCH−であり;
、RおよびRは各々独立してメチルまたはエチル(例えばメチル)であり;
Yは薬学的に許容されるアニオンである、
式(I)の化合物が提供される。
【0031】
本発明の他の態様において:
はメチル基であり;
はCNで4位(パラ位)を置換されているフェニルであり;
XはCHであり;
はトリフルオロメチルで3位(メタ位)を置換されているフェニル基であり;
LはC−Cアルキレンであり;
およびRは相互に結合して、NRが一体となって5員または6員環状アンモニウム基(例えばピロリジニウム)となり;
はC−Cアルキルであり;
Yは薬学的に許容されるアニオンである、
式(I)の化合物が提供される。
【0032】
特定の本発明の化合物はリストAから選択される化合物である:
リストA
1−{2−[({5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル}カルボニル)アミノ]エチル}−1−メチルピロリジニウムY;
1−{4−[({5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル}カルボニル)アミノ]ブチル}−1−メチルピロリジニウムY;
2−[({5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル}カルボニル)アミノ]−N,N,N−トリメチルエタンアミニウムY;
4−[({5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル}カルボニル)アミノ]−N,N,N−トリメチルブタン−1−アミニウムY;
1−{3−[({5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル}カルボニル)アミノ]プロピル}−1−メチルピロリジニウムY;
3−[({6−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−5−メチル−3−オキソ−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロピラジン−2−イル}カルボニル)アミノ]−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウムY;および
3−(5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウムY;
(ここで、Yは薬学的に許容されるアニオンである)。
【0033】
本発明の他の態様において、3−(5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウムY(ここで、Yは薬学的に許容されるアニオンである)である式(I)の化合物が提供される。
【0034】
本発明の他の態様において、ここに記載する実施例化合物のいずれか一つである式(I)の化合物が提供される。
本発明の他の態様において、リストAによるいずれか一つの化合物以外の式(I)の化合物が提供される。
【0035】
本発明の他の態様において、実施例化合物ではないリストAから選択される式(I)の化合物が提供される。従って、一つの態様において、ベンゼンスルホン酸3−(5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウム(ベシレート)以外の式(I)の化合物(例えばリストAから選択される化合物)が提供される。本発明の他の態様において、ヨウ化3−[({6−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−5−メチル−3−オキソ−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロピラジン−2−イル}カルボニル)アミノ]−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウム以外の式(I)の化合物(例えばリストAから選択される)が提供される。本発明の他の態様において、酢酸3−[({6−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−5−メチル−3−オキソ−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロピラジン−2−イル}カルボニル)アミノ]−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウム以外の式(I)の化合物(例えばリストAから選択される)が提供される。
【0036】
式(I)の化合物は、第4級窒素原子上の正電荷に対応する薬学的に許容されるアニオンYを含む。アニオンYは、任意の一価または多価(例えば二価)酸の薬学的に許容されるアニオンであり得る。当然のことながら、Yが多価、例えば二価アニオンY2−であるとき、式(I)の化合物は二価アニオンと式:
【化2】

のヘミ塩を形成し得る。
【0037】
本発明の一つの態様において、Yは鉱酸のアニオン、例えばクロライド、ブロマイド、アイオダイド、スルフェート、ナイトレートまたはホスフェート;または適当な有機酸のアニオン、例えばアセテート、マレエート、フマレート、サイトレート、オキサレート、スクシネート、タートレート、サッカリネート、シンナメート、マンデデート、ラクテート、マロネート、マレート、メタンスルホネート(メシレート)、p−トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、ナパジシレート(ナフタレン−1,5−ジスルホネート)(例えばヘミナパジシレート)、1−ヒドロキシ−2−ナフトエート、1−ヒドロキシナフタレン−2−スルホネートであり得る。他の態様において、Yは、例えば、ハライド、アセテート、メシレートまたはベンゼンスルホネートである。本発明の一つの態様においてYはハライド、例えばクロライド、ブロマイドまたはアイオダイドである。他の態様において、Yはアイオダイドである。他の態様において、Yはブロマイドである。他の態様において、Yはクロライドである。他の態様において、Yはアセテートである。他の態様において、Yはメシレートである。他の態様において、Yはベンゼンスルホネート(ベシレート)である。ここに記載する薬学的に許容されるアニオンYは、ここに記載する態様のいずれか、例えば上のリストAに記載する化合物のいずれかと結合し得る。ある種のアニオン(Y)は、有利な特性を有する化合物を提供する。例えば化合物ベンゼンスルホン酸3−(5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウムは結晶性であり、低吸湿性のような良好な物理特性を示す。
【0038】
上に記載したとおり、いくつかの本発明による式(I)の化合物は多形を示し得る。多形は、特定の化合物が同じ化学式を維持しながら異なる結晶形で結晶化する能力として特徴付けられ得る。ある物質の多形体は、同じ方法で互いに結合している同じ原子を含む点で化学的に同一であるが、その結晶形が異なり、それは溶解速度、融点、バルク密度、安定性、流動特性などのような物理特性の1種以上に影響を与え得る。特定の化合物に関して本明細書で使用するとき、用語“多形”、“結晶形”、“結晶形態”および“(結晶)形態”は同義語と解釈すべきである。
【0039】
本発明の一つの態様によって、形態Aと命名されるベンゼンスルホン酸3−(5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウムの結晶形が提供される。
【0040】
ベンゼンスルホン酸3−(5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウム形態Aは結晶性であり、実施例に記載するとおりCuKα1照射(1.5406Å、45kV、40mA)を使用して測定したとき、実質的に図1に示すX線粉末回折(XRPD)パターンを生じる。形態Aの最も顕著なピーク(2θ値)を表1に示す。
【表1】

【0041】
他の態様において、本発明は、形態Aと命名されるベンゼンスルホン酸3−(5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウムの結晶形を提供し、該形態Aは、CuKα1照射(1.5406Å、45kV、40mA)を使用して測定したとき、4.3および23.1°2θに明確なピークを有するX線粉末回折(XPRD)パターンを有することにより特徴付けられる。
【0042】
他の態様において、本発明は、形態Aと命名されるベンゼンスルホン酸3−(5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウムの結晶形を提供し、該形態Aは、CuKα1照射(1.5406Å、45kV、40mA)を使用して測定したとき、4.3、11.5および23.1°2θに明確なピークを有するX線粉末回折(XPRD)パターンを有することにより特徴付けられる。
【0043】
他の態様において、本発明は、形態Aと命名されるベンゼンスルホン酸3−(5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウムの結晶形を提供し、該形態Aは、CuKα1照射(1.5406Å、45kV、40mA)を使用して測定したとき、4.3、11.5、13.7、21.1および23.1°2θに明確なピークを有するX線粉末回折(XPRD)パターンを有することにより特徴付けられる。
【0044】
他の態様において、本発明は、形態Aと命名されるベンゼンスルホン酸3−(5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウムの結晶形を提供し、該形態Aは、CuKα1照射(1.5406Å、45kV、40mA)を使用して測定したとき、4.3、11.5、13.7、18.0、19.9、21.1および23.1°2θに明確なピークを有するX線粉末回折(XPRD)パターンを有することにより特徴付けられる。
【0045】
他の態様において、本発明は、形態Aと命名されるベンゼンスルホン酸3−(5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウムの結晶形を提供し、該形態Aが、CuKα1照射(1.5406Å、45kV、40mA)を使用して測定したとき、実質的に図1に示すX線粉末回折(XPRD)パターンを有することにより特徴付けられる。
【0046】
本発明の一つの態様によって、形態Bと命名される、ベンゼンスルホン酸3−(5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウムの結晶形が提供される。
【0047】
ベンゼンスルホン酸3−(5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウム形態Bは結晶性であり、実施例に記載するとおりCuKα1照射(1.5406Å、45kV、40mA)を使用して測定したとき、実質的に図2に示すX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。形態Bの最も顕著なピーク(2θ値)を表2に示す。
【表2】

【0048】
結晶修飾体ベンゼンスルホン酸3−(5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウム形態Bは、低吸湿性を含む良好な物理特性を有し、上に記載した形態Aよりも熱力学的に安定であると考えられる。それ故に、形態Bは治療に使用する医薬組成物の製造に特に適すると予測される。
【0049】
他の態様において、本発明は、形態Bと命名されるベンゼンスルホン酸3−(5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウムの結晶形を提供し、該形態Bが、CuKα1照射(1.5406Å、45kV、40mA)を使用して測定したとき、5.8および17.2°2θに明確なピークを有するX線粉末回折(XPRD)パターンを有することを特徴とする。
【0050】
他の態様において、本発明は形態Bと命名されるベンゼンスルホン酸3−(5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウムの結晶形を提供し、該形態Bが、CuKα1照射(1.5406Å、45kV、40mA)を使用して測定したとき、5.8、7.5および17.2°2θに明確なピークを有するX線粉末回折(XPRD)パターンを有することを特徴とする。
【0051】
他の態様において、本発明は、形態Bと命名されるベンゼンスルホン酸3−(5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウムの結晶形を提供し、該形態Bが、CuKα1照射(1.5406Å、45kV、40mA)を使用して測定したとき、5.8、7.5、8.7、17.2および24.3°2θに明確なピークを有するX線粉末回折(XPRD)パターンを有することを特徴とする。
【0052】
他の態様において、本発明は形態Bと命名されるベンゼンスルホン酸3−(5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウムの結晶形を特徴とし、該形態Bが、CuKα1照射(1.5406Å、45kV、40mA)を使用して測定したとき、5.8、7.5、8.7、17.2、17.6、22.7、24.3および25.4°2θに明確なピークを有するX線粉末回折(XPRD)パターンを有することを特徴とする。
【0053】
他の態様において、本発明は、形態Bと命名されるベンゼンスルホン酸3−(5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウムの結晶形を提供し、該形態Bが、CuKα1照射(1.5406Å、45kV、40mA)を使用して測定したとき、実質的に図2に示すX線粉末回折(XPRD)パターンを有することを特徴とする。
【0054】
好適には、本発明の化合物の結晶形には、該化合物の他の結晶形が実質的にない。好適には、記載する式(I)の化合物の結晶形は、該化合物の他の結晶形および非結晶性形態を好適には20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、3重量%未満または特に1重量%未満で含む。例えば形態Bと命名されるベンゼンスルホン酸3−(5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウムには、好適には、実質的に該化合物の形態Aを含まない。同様に該化合物の形態Aは、好適には、実質的に該化合物の形態Bを含まない。
【0055】
形態Aまたは形態Bと命名したベンゼンスルホン酸3−(5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウムのように結晶性である本発明の化合物に言及するとき、好適には、X線粉末回折データにより決定した結晶化度は、例えば約60%以上、例えば約80%以上、特に約90%以上、より具体的に約95%以上である。本発明の態様において、X線粉末回折データで決定した結晶化度は約98%以上であり、ここで、結晶化度%は、結晶性である総サンプル質量の重量%を意味する。
【0056】
本発明の化合物の結晶形態についてのX線粉末回折ピークを規定する前の段落において、当業者には当然であるが、ピークの厳密な位置は測定装置毎、サンプル毎または使用する測定条件の僅かな差により僅かに変わり得るため、2θ値を絶対的数値と解釈してはならない。前の段落において、形態AおよびBと命名するベンゼンスルホン酸3−(5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウムは、それぞれ図1および2に示すX線粉末回折パターンと‘実質的に’同じX線粉末回折パターンを生じ、表1および2に示す実質的に最も顕著なピーク(2θ角度値)を有することも述べる。この文脈での‘実質的に’なる用語の使用はまたX線粉末回折パターンの2θ角度値が装置毎、サンプル毎または使用する条件の僅かな差により僅かに変わりうることを含意することを意図し、故に、図に示すまたは表に引用するピーク位置は同様に絶対的数値と解釈してはならない。
【0057】
X線粉末回折の分野の当業者には当然であるが、ピークの相対強度は、サンプルの分析に影響し得る、例えば、約30マイクロメーターのサイズを超える粒子および不均一な縦横比により影響を受け得る。さらに、強度は、実験条件およびサンプル調製法、例えば、サンプル粒子の好ましい配向性により変わり得ることも理解すべきである。自動式または固定式発散スリットの使用もまた相対強度計算に影響する。当業者は、異なるパターンを比較するときかかる影響を処理できる。
【0058】
X線粉末回折の分野の当業者にはまた当然であるが、サンプル高の差異およびディテクター位置のキャリブレーションの誤差により、2θ位置のわずかなシフトが起こり得る。一般に、ある値からの±0.2°の誤差は正しいと見なす。これらの誤差許容は典型的に1mmのサンプル高差に等しい。
【0059】
ここに記載する化合物の結晶形はまた他の適当な分析技術、例えばNIR分光学または固体状態核磁気共鳴分光学を使用して特徴付けしてもよく、また他の物理的形態と区別してよい。本発明の化合物の化学構造は慣用法、例えばプロトン核磁気共鳴(NMR)分析により確認できる。
【0060】
さらなる面において、本発明はまた式(I)の化合物およびその塩が下の方法(a)により製造できることも提供する(式中、全ての可変基は、いくつかの官能基が必要に応じて保護されている以外、特にことわらない限り、式(I)の化合物について上に定義したとおりである):
(a) 式(II):
【化3】

の化合物と、式(III):
【化4】

の化合物を反応させ、その後、場合により:
i) 保護基を除去し;および/または
ii) 薬学的に許容されるアニオンと薬学的に許容される塩を形成させる;
ここで、R、R、R、R、R、R、LおよびYは前に定義したとおりであるかまたはRおよびRは相互に結合して、NR基が5員または6員環状基を示すように一体となってよい。
【0061】
工程(a)条件
工程(a)において、Yがアイオダイドであるとき、本反応は、好都合には適当な溶媒、例えば極性非プロトン性溶媒、例えばアセトニトリルまたはアセトンの存在下で行い得る。本反応は好適には、環境温度から約70℃の範囲の温度、例えば約55℃で行う。Yがブロマイドであるとき、アルキルブロマイド、例えば臭化メチルとの反応は、好適には、高圧反応器中、環境温度から約150℃の範囲の温度、例えば約70℃で行う。
【0062】
式(II)の化合物は、例えば、式(IV):
【化5】

〔式中、RはC−Cアルキル(例えばC−Cアルキル、例えばメチルまたはエチル)である。〕
の化合物と、式(V):
【化6】

のアミンの反応により製造し得る。
【0063】
本反応は、好適には適当な溶媒、例えばアルコール、例えばメタノールまたはエタノールの存在下に行う。本反応は、好適には、約50〜150℃の範囲の温度、例えば、おおよそ還流温度で行う。
【0064】
式(III)および(V)の化合物は既知であるかまたは当分野で一般的な方法により製造できる。
【0065】
XがNである式(IV)の化合物は既知であり、例えば、WO2009/061271に記載の方法に準じて製造できる。XがCHである式(IV)の化合物は、中間体Aの合成についての実施例に記載する方法に準じて製造し得る。例えば式(VI)の化合物と式(VII)の化合物のカップリングによる:
【化7】

〔式中、Rはハロ(例えばヨード)である。〕。
【0066】
あるいは、式(II)の化合物は、式(VIII):
【化8】

〔式中、Rはハロ(例えばヨード)である。〕
の化合物と、上に定義した式(VII)の化合物のカップリングにより製造し得る。
【0067】
式(VI)および(VII)の化合物と式(VIII)および(VII)の化合物のカップリングは、適当な塩基および触媒の存在下に行う。適当な塩基の例は無機塩基または有機塩基を含む。適当な無機塩基は例えば、炭酸塩、例えば炭酸カリウム、リン酸塩、例えば第二リン酸カルシウム(KHPO)または第三リン酸カルシウム(KPO)または水酸化物塩基、例えば水酸化バリウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムを含む。適当な有機塩基は有機アミン、例えばトリエチルアミンまたはN−ジイソプロピルエチルアミン(ヒューニッヒ塩基)またはアルカリ金属塩基、例えば酢酸ナトリウムまたはナトリウムアルコキシド、例えばナトリウムメトキシドまたはナトリウムエトキシドを含む。触媒は、好適には、パラジウム触媒、例えば1,1’−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセンパラジウムジクロライドである。
【0068】
カップリング反応は溶媒としての水、例えば1モル当量または50%v/vの存在下に行う。水に加えて、本反応は、好都合には適当な溶媒、例えばジメチルホルムアミド、2−メチル−テトラヒドロフラン、アセトニトリル、1−メチル2−ピロリジノン、ジメトキシエタン、ジオキサン、トルエン、アニソール、アルコール(例えば、エタノールまたはイソプロパノール)またはエステル(例えば、酢酸ブチル)中で行う。本反応は、好適には、環境温度または高温で、例えば約40℃で行う。
【0069】
当然のことながら、本カップリング反応を、式(VII)の化合物に示す特定のボロン酸エステルのために別のボロン酸類およびエステル類を使用して行うことも可能であり得る。
【0070】
式(VIII)の化合物は、例えば、式(IX)
【化9】

の化合物またはその活性化誘導体と、上に定義した式(V)のアミンの反応により製造し得る。
【0071】
式(IX)の化合物の活性化誘導体の例は、アミド形成に適当な式(IX)の化合物のカルボン酸誘導体である。かかる反応性誘導体は、例えばアシルハライド類、酸と無機酸クロライド類、例えば塩化チオニルの反応により形成された、例えばアシルクロライド;混合無水物、例えば酸とクロロホルメート類、例えばクロロギ酸イソブチルの反応により形成された無水物;活性エステル、例えば酸とフェノール類、例えばペンタフルオロフェノールまたはアルコール類、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールまたはN−ヒドロキシベンゾトリアゾールの反応により形成されたエステル;アシルアジド、例えば酸とアジド類、例えばジフェニルホスホリルアジドの反応により形成されたアジド;アシルシアニド類、例えば酸とシアニド類、例えばジエチルホスホリルシアニドの反応により形成されたシアニド類;または酸とカルボジイミド類、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド、1,1’−カルボニルジイミダゾールまたはウロニウム化合物、例えばヘキサフルオロリン酸2−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム(V)との反応産物を含み得る。
【0072】
本反応は、好都合には適当な溶媒または希釈剤中で行う。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド。本反応は、好都合には、例えば、0〜120℃の範囲の温度、好適には、環境温度でまたはおおよそ環境温度で行う。
式(IX)の化合物は既知であるかまたは類似化合物の製造について既知の方法を使用して製造できる。
【0073】
式(I)の化合物の特定の製造方法は、本明細書の実施例の章に開示する。かかる方法は本発明の一面を形成する。
必要な出発物質は市販されているかまたは文献から既知であるかまたは既知技術を使用して製造し得る。ある種の重要な出発物質の製造方法は本明細書の実施例の章に開示し、かかる方法は本発明の一面を形成する。
【0074】
市販されていなければ、例えば上に記載する方法に必要な出発物質は、標準有機化学技術、既知の構造が類似する化合物の合成に準じる技術、上に記載する引用文献に記載されたまたは説明された技術または上に記載する方法もしくは実施例に記載する方法に準じる技術から選択される方法により製造し得る。反応条件および反応材に関する一般的手引用に、さらにAdvanced Organic Chemistry, 第5版, Jerry March and Michael Smith著, John Wiley & Sons 2001出版を参考書として引用する。
【0075】
式(I)の化合物の製造に使用するある種の中間体は新規であり、本発明のさらなる面を形成する。より具体的に、上に記載した式(II)の化合物が提供される。
【0076】
特に:
5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−6−メチル−2−オキソ−N−(2−ピロリジン−1−イルエチル)−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド;
5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−6−メチル−2−オキソ−N−(3−ピロリジン−1−イルプロピル)−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド;
5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−6−メチル−2−オキソ−N−(4−ピロリジン−1−イルブチル)−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド;
5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド;
5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−N−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド;および
5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−N−[4−(ジメチルアミノ)ブチル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド;
またはその塩
から選択される化合物を含む、上に記載した式(II)の化合物またはその塩が提供される。
【0077】
式(II)の化合物の他の例は6−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−5−メチル−3−オキソ−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロピラジン−2−カルボキサミドまたはその塩である。
【0078】
本発明のさらなる面において、式(VIII'):
【化10】

〔式中、
1’はC−Cアルキル(例えばメチル)であり;
XはNまたはCR(ここで、RはHまたはフルオロである)であり;
LはC−Cアルキレンであり;
4’およびR5’は各々独立してC−Cアルキルであるか;またはR4’およびR5’は、NR4’5’基が一体となって1個の窒素および場合により1個、2個または3個の酸素、硫黄および窒素から選択されるヘテロ原子を含む5員または6員の飽和または部分的に飽和の非芳香族性ヘテロシクリル環を表すように一体となってよく;
はハロ(例えばヨード)である。〕
の化合物またはその塩が提供される。
【0079】
一つの態様において、R4’およびR5’は各々独立してC−Cアルキル、例えばメチルまたはエチルである。他の態様において、R4’およびR5’は両方ともメチルである。
他の態様において、式(VIII')の化合物のXはCHである。
【0080】
式(VIII')の化合物の具体例はN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−5−ヨード−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミドまたはその塩である。
【0081】
式(II)および(VIII')の化合物におけるNR基およびNR4’5’基のそれぞれにより形成され得る環は、基Lに結合した窒素を有する。かかる環の例は、1個の窒素および場合により1個、2個または3個の酸素、硫黄および窒素から選択されるヘテロ原子を含む(しかしO−O、O−SまたはS−S結合は含まない)飽和または一部飽和の非芳香族性ヘテロシクリル環である窒素結合5員または6員環であり、そしてこのようにして形成される環は環窒素原子を介して基Lに結合する。例えば2−ピロリン−1−イル、3−ピロリン−1−イル、ピロリジン−1−イル、イミダゾリジン−1−イル、ピペリジノ、ピペラジン−1−イル、モルホリノまたはチオモルホリノ基。一つの態様において、該環はピロリジン−1−イル、ピペリジノ、モルホリノまたはチオモルホリノ基である。他の態様において、該環はピロリジン−1−イル、ピペリジノまたはモルホリノ基である。他の態様において、該環はピロリジン−1−イルまたはピペリジノ基である。
【0082】
式(II)および(VIII')の化合物は塩の形で使用し得る。塩は薬学的に許容される塩、例えば、式(I)の化合物に関連して上に記載した塩の一つであり得る。あるいは、必要であるならば、式(II)および(VIII')の化合物は、薬学的に許容されない塩である塩の形で使用し得る。かかる塩は、例えば有利な物理的および/または化学的特性、例えば結晶度のために、本発明の化合物の合成に有利に使用され得る。
【0083】
当業者には当然であるが、本発明の方法において、ある種の官能基、例えばヒドロキシル基またはアミノ基は保護基により保護する必要があり得る。それ故に、式(I)の化合物の製造は、適当な段階で、1個以上の保護基の付加および/または除去を含み得る。
【0084】
官能基の保護および脱保護は‘Protective Groups in Organic Chemistry’, edited by J.W.F. McOmie, Plenum Press (1973)および‘Protective Groups in Organic Synthesis’, 3rd edition, T.W. Greene and P.G.M. Wuts, Wiley-Interscience (1999)に記載されている。
【0085】
保護基の除去および薬学的に許容される塩の形成は、標準的手技を使用する通常の有機科学者の技術の範囲内である。例えば式(I)の化合物の別の塩を既知カウンターイオン交換法を使用して製造し得る。それ故にかかる塩形成法を使用して、特定のアニオンYを有する式(I)の化合物を変換して、異なるアニオンを有する式(I)の化合物を得ることができる。
【0086】
式(I)の化合物は立体異性形態で存在できる。本発明は、式(I)の化合物の全ての幾何異性体および光学異性体(アトロプ異性体)およびラセミ体を含むそれらの混合物の使用を含むと解釈すべきである。互変異性体およびそれらの混合物の使用もまた本発明の一面を形成する。エナンチオマー的に純粋な形態が特に望ましい。
【0087】
ここに記載するベンゼンスルホン酸3−(5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウムの結晶形態Aおよび形態Bは、本明細書の実施例に記載する適当な溶媒系からの結晶化により、例えばイソプロパノールとエタノールの混合物またはアセトンと2−メチルテトラヒドロフランの混合物からの結晶化により製造し得る。大規模での製造のために、種晶添加を使用して所望の形態の形成を促進でき、例えば、反応混合物への形態Bの種晶添加は形態B結晶の形成を促進する。
【0088】
式(I)の化合物は、医薬として、特にヒト好中球エラスターゼのモジュレーターとしての活性を有する。従って式(I)の化合物は、炎症性疾患および状態、例えば次に記載する疾患および状態の処置または予防に有益であり得る。
1. 次のものを含む気道の閉塞性疾患のような呼吸器の疾患:気管支、アレルギー性、内因性、外因性、運動誘発性、薬剤誘発性(アスピリンおよびNSAID誘発性)および粉塵誘発性喘息の、間欠性および永続性両方のおよび全ての重度のおよび気道過敏反応性の他の原因のものを含む喘息;慢性閉塞性肺疾患(COPD);感染性および好酸球性気管支炎を含む気管支炎;肺気腫;気管支拡張症;嚢胞性線維症;サルコイドーシス;農夫肺および関連疾患;過敏性肺炎;原因不明線維化肺胞炎、特発性間質性肺炎、抗新生物治療および結核およびアスペルギルス症および他の真菌感染症を含む慢性感染症に合併する線維症を含む肺線維症;肺移植の合併症;肺脈管構造の血管炎性および血栓性障害および肺高血圧;気道の炎症性および分泌状態と関連する慢性咳および医原性咳の処置を含む鎮咳活性;薬物性鼻炎および血管運動性鼻炎を含む急性および慢性鼻炎;神経性鼻炎(枯草熱)を含む通年性および季節性アレルギー性鼻炎;鼻のポリープ症;感冒および呼吸器多核体ウイルス、インフルエンザ、コロナウイルス(SARSを含む)およびアデノウイルスによる感染症を含む急性ウイルス感染症。
【0089】
2. 次のものを含む骨および関節の疾患:原発性および例えば、先天的股関節異形成症に二次性の骨関節症/骨関節症と関連するまたはそれを含む関節炎(arthritides);頚部および腰部脊椎炎および背下部および頚部痛;リウマチ性関節炎およびスチル病;強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、反応性関節炎および未分化脊椎関節症(spondarthropathy)を含む血清反応陰性脊椎関節症;敗血症性関節炎および他の感染関連関節症(arthopathies)および骨障害、例えばポット病およびポンセ病を含む結核;尿酸塩痛風、ピロリン酸カルシウム沈着疾患およびカルシウムアパタイト関連腱、滑液包および滑膜炎症を含む急性および慢性結晶誘発滑膜炎;ベーチェット病;原発性および二次性シェーグレン症候群;全身性硬化症および限局型強皮症;全身性エリテマトーデス、混合型結合組織疾患および未分化結合組織疾患;皮膚筋炎および多発性筋炎;リウマチ性多発筋痛症を含む炎症性ミオパシー;どんな関節分布であれ特発性炎症性関節炎(arthritides)を含む若年性関節炎および随伴症候群およびリウマチ熱およびその全身合併症;巨細胞性動脈炎、高安動脈炎、チャーグ・ストラウス症候群、結節性多発性動脈炎、顕微鏡的多発動脈炎およびウイルス感染、過敏症反応、クリオグロブリンおよびパラプロテインに関連する脈管炎を含む脈管炎;背下部痛;家族性地中海熱、マックル・ウェルズ症候群および家族性アイルランド熱(Familial Hibernian Fever)、キクチ病;薬剤誘発性関節痛(arthalgias)、腱炎(tendonititides)およびミオパシー。
【0090】
3. 疼痛および次のものを含む傷害[例えば、運動傷害]または疾患による筋骨格障害の結合組織リモデリング:関節炎(arthitides)(例えばリウマチ性関節炎、骨関節症、痛風または結晶性関節症)、他の関節疾患(例えば椎間板変性または側頭下顎関節変性)、骨リモデリング疾患(例えば骨粗鬆症、パジェット病または骨壊死)、多発性軟骨炎、強皮症、混合型結合組織障害、脊椎関節症または歯周疾患(例えば歯周炎)。
【0091】
4. 次のものを含む皮膚疾患:乾癬、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎または他の湿疹性皮膚炎および遅延型過敏症反応;植物性および光皮膚炎;脂漏性皮膚炎、疱疹状皮膚炎、扁平苔癬、硬化性萎縮性苔癬、壊疽性膿皮症、皮膚サルコイド、円板状エリテマトーデス、天疱瘡、類天疱瘡、表皮水疱症、蕁麻疹、血管浮腫、脈管炎、毒性紅斑、皮膚好酸球増加症、円形脱毛症、男性型禿頭、スウィート症候群、ウェーバー・クリスチャン症候群、多形性紅斑;感染性および非感染性の蜂巣炎;脂肪織炎;皮膚リンパ腫、非黒色腫性皮膚癌および他の形成異常性病変;固定薬疹を含む薬物誘発性障害。
【0092】
5. 次のものを含む眼の疾患:眼瞼炎;通年性および春季アレルギー性結膜炎を含む結膜炎;虹彩炎;前部および後部ブドウ膜炎;脈絡膜炎;自己免疫性;網膜に影響する変性または炎症性障害;交感神経性眼炎を含む眼炎;サルコイドーシス;ウイルス性、真菌性および細菌性を含む感染症。
【0093】
6. 次のものを含む胃腸管の疾患:舌炎、歯肉炎、歯周炎;逆流性を含む食道炎;好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、クローン病、潰瘍性大腸炎を含む大腸炎、直腸炎、肛門掻痒症;セリアック病、過敏性腸症候群、非炎症性下痢および腸から離れて作用し得る食物関連アレルギー(例えば、片頭痛、鼻炎または湿疹)。
【0094】
7. 次のものを含む心血管系の疾患:冠血管および末梢循環に影響するアテローム性動脈硬化症;心膜炎;心筋炎、心筋サルコイドを含む炎症性および自己免疫心筋症;虚血再灌流傷害;感染性(例えば梅毒性)を含む心内膜炎、弁膜炎および大動脈炎;脈管炎;深部静脈血栓症および静脈瘤合併症を含む、静脈炎および血栓症を含む近位および末梢静脈の障害。
【0095】
8. 次のものを含む腫瘍:前立腺、乳、肺、卵巣、膵臓、腸および結腸、胃、皮膚および脳の腫瘍および骨髄(白血病を含む)およびリンパ増殖系に影響する悪性腫瘍、例えばホジキンおよび非ホジキンリンパ腫を含む一般的癌の処置;転移疾患および腫瘍再発および新生物随伴症候群の予防および処置を含む。
【0096】
特に、式(I)の化合物は成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、嚢胞性線維症、肺肺気腫、慢性気管支炎を含む気管支炎、気管支拡張症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺高血圧、難治性喘息を含む喘息、鼻炎、乾癬、虚血−再灌流傷害、リウマチ性関節炎、骨関節症、全身性炎症反応症候群(SIRS)、慢性創傷、癌、アテローム性動脈硬化症、消化性潰瘍、クローン病、潰瘍性大腸炎および胃粘膜傷害の処置に使用し得る。
【0097】
より具体的に、式(I)の化合物は慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、気管支拡張症、喘息および鼻炎の処置に使用し得る。
さらに具体的に、式(I)の化合物は慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息および鼻炎の処置に使用し得る。
【0098】
なおさらに具体的に、式(I)の化合物は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の処置に使用し得る。
なおさらに具体的に、式(I)の化合物は嚢胞性線維症の処置に使用し得る。
なおさらに具体的に、式(I)の化合物は気管支拡張症の処置に使用し得る。
【0099】
本明細書で慢性閉塞性肺疾患(COPD)についての言及は、遺伝的COPD(α1−アンチトリプシン欠損)を含むCOPDの全ての局面に関すると解釈すべきである。
それ故に、本発明は、治療に使用するための上に定義する式(I)の化合物が提供される。
さらなる面において、本発明は、治療に使用するための医薬の製造における上に定義する式(I)の化合物の使用が提供される。
【0100】
さらなる面において、本発明は、好中球エラスターゼ活性の調節が有益であるヒト疾患または状態の処置に使用するための上に定義する式(I)の化合物が提供される。
さらなる面において、本発明は、好中球エラスターゼ活性の調節が有益であるヒト疾患または状態の処置用医薬の製造における上に定義する式(I)の化合物の使用が提供される。
【0101】
さらなる面において、本発明は、炎症性疾患または状態の処置に使用するための上に定義する式(I)の化合物が提供される。
さらなる面において、本発明は炎症性疾患または状態の処置に使用するための医薬の製造における上に定義する式(I)の化合物の使用が提供される。
【0102】
さらなる面において、本発明は、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、嚢胞性線維症、肺肺気腫、慢性気管支炎を含む気管支炎、気管支拡張症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺高血圧、難治性喘息を含む喘息、鼻炎、乾癬、虚血−再灌流傷害、リウマチ性関節炎、骨関節症、全身性炎症反応症候群(SIRS)、慢性創傷、癌、アテローム性動脈硬化症、消化性潰瘍、クローン病、潰瘍性大腸炎または胃粘膜傷害の処置に使用するための上に定義する式(I)の化合物が提供される。
【0103】
さらなる面において、本発明は、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、嚢胞性線維症、肺肺気腫、慢性気管支炎を含む気管支炎、気管支拡張症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺高血圧、難治性喘息を含む喘息、鼻炎、乾癬、虚血−再灌流傷害、リウマチ性関節炎、骨関節症、全身性炎症反応症候群(SIRS)、慢性創傷、癌、アテローム性動脈硬化症、消化性潰瘍、クローン病、潰瘍性大腸炎または胃粘膜傷害の処置に使用するための医薬の製造における上に定義する式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用が提供される。
【0104】
さらなる面において、本発明は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の処置に使用するための上に定義する式(I)の化合物が提供される。
さらなる面において、本発明は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の処置に使用するための医薬の製造における上に定義する式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用が提供される。
【0105】
本発明の化合物は、COPDの症状の処置または予防を含むCOPDの処置に使用するのに特に適し得る。かかる症状は、呼吸困難(息苦しさまたは息切れ)、運動能力低下、慢性咳、喘鳴または過度の痰産生の一種以上を含む。
【0106】
従って、本発明の他の面において、COPDの症状(慢性気管支炎および肺気腫を含む)の軽減に使用するための上に定義する式(I)の化合物が提供される。
本発明の他の面において、COPDの症状(慢性気管支炎および肺気腫を含む)の軽減に使用するための医薬の製造における上に定義する式(I)の化合物の使用が提供される。
【0107】
COPDの患者は、しばしば、疾患症状の急な増進をもたらす、状態の増悪を経験する。かかる増悪は、しばしば、気管気管支樹の感染または大気汚染が原因であるが、しかしながら、多くの患者では増悪の原因は未知である。増悪は疾患進行の悪い予後因子であり、増悪を起こした患者はしばしば入院が必要である。増悪は肺機能の永久の低下および症状の悪化を起こし得る。それ故に、かかる増悪を予防または処置する適当な方法を発見する必要がある。本発明の化合物はCOPD増悪の処置に有用であり得る。例えば、本発明の化合物はCOPD増悪の重症度、頻度および/または期間の改善に有用であり得る。
【0108】
従って、本発明の他の面において、COPD(慢性気管支炎および肺気腫を含む)の患者の増悪の重症度軽減、頻度減少および/または期間縮小に使用するための上に定義する式(I)の化合物が提供される。
本発明の他の面に従って、COPD(慢性気管支炎および肺気腫を含む)の患者の増悪の重症度軽減、頻度減少および/または期間短縮に使用するための医薬の製造における上に定義する式(I)の化合物の使用が提供される。
【0109】
本発明の化合物はまたCOPDの疾患進行の安定化または遅延にも有用であり得て、COPDに対する疾患修飾効果を提供し得る。かかる疾患修飾は肺機能および/または肺構造の持続した改善を提供し得る。
【0110】
本発明の他の面に従って、COPDの疾患進行の安定化または遅延に使用するための上に定義する式(I)の化合物が提供される。
本発明の他の面に従って、COPDの疾患進行の安定化または遅延に使用するための医薬の製造における上に定義する式(I)の化合物の使用が提供される。
【0111】
本発明の化合物はまたアルファ−1−アンチトリプシン欠損症(AATD)を有する患者の処置にも有用であり得る。AATDは、既知遺伝子型および表現型を有する遺伝性疾患であり、それにより診断的スクリーニングおよび例えば疾患症状が発症するための処置による早期介入に適するものである。AATDの患者は特にCOPDおよび肺気腫のような肺疾患を発症する傾向にある。
【0112】
従って、AATDの処置に使用するための上に定義する式(I)の化合物が提供される。
本発明の他の面に従って、AATDの処置に使用するための医薬の製造における、上に定義する式(I)の化合物の使用が提供される。
【0113】
一つの態様において、AATDの患者における肺疾患(例えばCOPDまたは肺気腫)の処置に使用するための上に定義する式(I)の化合物が提供される。
本発明の他の面によって、AATDの患者における肺疾患(例えばCOPDまたは肺気腫)の処置に使用するための医薬の製造における上に定義する式(I)の化合物の使用が提供される。
【0114】
AATDの患者は、例えばFDA Advisory Committee on Blood Products 95th Meeting, July 20-21, 2009 and American Thoracic Society/ERS Statement: Standards for Diagnosis and Management of Individuals with Alpha-1 Antitrypsin Deficiency, Am. J. Respir. Crit. Care Med. 2003; 168:820-899の議事録に記載のとおり、既知方法を使用して同定し得る。診断は、例えば慣用法、例えば適当な免疫アッセイを使用した低血清レベルのアルファ−1−アンチトリプシンの検出を含む。現在、11μM(80mg/dL)未満の血清レベルはAATDの指標と見なされているが、血清レベルが患者毎に異なり得るため、ある患者がAATDであることを決定するための血清レベルの精度については議論の余地がある。より正確な方法は、アルファ−1−アンチトリプシン欠損対立遺伝子、特にPI*SZおよびPI*ZZ対立遺伝子を検出同定するための遺伝子型試験の使用であり得る。ホモ接合性(PI*ZZ)である患者は、特に肺気腫またはCOPDのような状態を発症する傾向にあると予測される。しかしながらPI*Z対立遺伝子を有するヘテロ接合性の患者もかかる状態の素因がある可能性がある。あるいは、表現型試験を使用して、患者の特異的アルファ−1−アンチトリプシンを決定できる。診断的試験を、疾患症状がない患者で行い得る。従って、診断的試験をAATDの患者の同定に使用し、その後、その患者を本発明の化合物で処置して、COPDまたは肺気腫のような状態を予防するかまたは発症を遅延させることができる。あるいは、AATDについての試験をCOPDまたは肺気腫のような疾患または状態の症状を有する患者で行い、その後患者がAATDを有するならば、その患者を本発明の化合物で処置してよい。
【0115】
一つの態様において、AATDと診断された患者における肺疾患(例えばCOPDまたは肺気腫)の処置に使用するための上に定義する式(I)の化合物が提供される。この態様において、患者は、例えば、上に記載した方法の一つを使用して診断され得る。
【0116】
従って、本発明の化合物は、無症状AATDの患者における予防的処置として使用して、例えば疾患が活性性疾患状態に進行するのを予防することにより、疾患修飾を提供し得る。あるいは、活動性疾患のAATD患者において、本発明の化合物を処置剤として使用して、例えばAATD患者におけるCOPDまたは肺気腫の進行を遅延させることにより、疾患進行を修飾し得る。
【0117】
本明細書の文脈で、用語“治療”はまた、矛盾する指示がない限り、“予防”も含む。用語“治療的”および“治療的に”もそれに応じて解釈すべきである。
【0118】
予防は、当該疾患または状態の以前のエピソードを有しているかまたは他の方法でリスクが高いと見なされるヒトの処置に特に適切であると予測される。特定の疾患または状態を発症するリスクのあるヒトは、一般に該疾患または状態の家族歴を有するヒトまたは遺伝子試験またはスクリーニングにより該疾患または状態の発症に特に感受性であることが同定されているヒトを含む。
【0119】
本発明はまた好中球エラスターゼ活性の阻害が有益である疾患または状態を処置するまたはリスクを軽減する方法であって、それを必要とする患者に上に定義する式(I)の化合物の治療有効量を投与することを含む、方法も提供する。
【0120】
本発明はなおさらに炎症性疾患または状態を処置するまたはリスクを軽減する方法であって、それを必要とする患者に上に定義する式(I)の化合物の治療有効量を投与することを含む、方法を提供する。
【0121】
本発明はなおさらに成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、嚢胞性線維症、肺肺気腫、慢性気管支炎を含む気管支炎、気管支拡張症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺高血圧、難治性喘息を含む喘息、鼻炎、乾癬、虚血−再灌流傷害、リウマチ性関節炎、骨関節症、全身性炎症反応症候群(SIRS)、慢性創傷、癌、アテローム性動脈硬化症、消化性潰瘍、クローン病、潰瘍性大腸炎または胃粘膜傷害を処置するまたはリスクを軽減する方法であって、それを必要とする患者に上に定義する式(I)の化合物の治療有効量を投与することを含む、方法を提供する。
【0122】
本発明はなおさらに慢性閉塞性肺疾患(COPD)を処置するまたはリスクを軽減する方法であって、それを必要とする患者に上に定義する式(I)の化合物の治療有効量を投与することを含む、方法を提供する。
【0123】
本発明はなおさらに嚢胞性線維症を処置するまたはリスクを軽減する方法であって、それを必要とする患者に上に定義する式(I)の化合物の治療有効量を投与することを含む、方法を提供する。
【0124】
本発明はなおさらに気管支拡張症を処置するまたはリスクを軽減する方法であって、それを必要とする患者に上に定義する式(I)の化合物の治療有効量を投与することを含む、方法を提供する。
【0125】
本発明はなおさらにAATDを処置するまたはリスクを軽減する方法であって、それを必要とする患者に上に定義する式(I)の化合物の治療有効量を投与することを含む、方法を提供する。
【0126】
本発明はなおさらにAATDを処置するまたはリスクを軽減する方法であって、患者をAATDと診断し、該患者に上に定義する式(I)の化合物の治療有効量を投与することを含む、方法を提供する。
【0127】
本発明はなおさらにAATDの患者におけるCOPDまたは肺気腫のような肺疾患を処置するまたはリスクを軽減する方法であって、それを必要とする患者に上に定義する式(I)の化合物の治療有効量を投与することを含む、方法を提供する。
【0128】
本発明はなおさらにAATDの患者におけるCOPDまたは肺気腫のような肺疾患を処置するまたはリスクを軽減する方法であって
(i) 患者をAATDについて試験し;そして
(ii) 該試験で該患者がAATDを有することが決定したら、上に定義する式(I)の化合物の治療有効量を投与する
ことを含む、方法を提供する。
【0129】
この態様において、過程(i)の患者はAATDの試験前に肺疾患の症状がなくてよい。あるいは、本患者はAATDについて試験する前にCOPDまたは肺気腫のような肺疾患の症状を有してよい。
【0130】
この態様において、AATDの試験/診断は、例えば上に定義したとおりに行い得る。
【0131】
上に記載した治療的使用について、投与する投与量は、当然用いる化合物、投与方式、望む処置および適応される障害により異なる。本発明の化合物の1日投与量は0.001mg/kg〜100mg/kg、例えば0.001〜1mg/kg、好適には、0.001〜0.1mg/kgの範囲であり得る。
【0132】
式(I)の化合物はそれ自体で使用してよいが、一般に式(I)の化合物(有効成分)を薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体と共に含む医薬組成物の形で投与する。適当な医薬製剤の選択および製造のための慣用の方法は、例えば、“Pharmaceuticals - Science of Dosage Form Designs”, M. E. Aulton, Churchill Livingstone, 1988に記載されている。
【0133】
投与方式によって、医薬組成物は好ましくは0.05〜99%w(重量パーセント)、より好ましくは0.05〜80%w、さらに好ましくは0.10〜70%w、よりさらに好ましくは0.10〜50%wの有効成分を含み、全ての重量パーセントは総組成物に基づく。
【0134】
本発明はまた式(I)の化合物と薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体を含む医薬組成物も提供する。
【0135】
本発明は、さらに、上に定義する式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩と薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体を混合することを含む、本発明の医薬組成物の製造方法を提供する。
【0136】
医薬組成物は局所的に(例えば皮膚または肺および/または気道に)、例えば、クリーム剤、溶液剤、懸濁液剤、ヘプタフルオロアルカン(HFA)エアロゾル剤および乾燥粉末製剤、例えば、Turbuhaler(登録商標)として既知の吸入器中の製剤の形態で;または全身的に、例えば錠剤、カプセル剤、シロップ剤、散剤または顆粒剤の形態での経口投与により;または溶液剤または懸濁液剤の形態での非経腸投与により;または皮下投与により;または坐薬の形態での直腸投与により;または経皮的に投与してよい。
【0137】
他の適当な本発明の医薬組成物は吸入投与に適当なものであり、吸入は、呼吸器疾患、例えば慢性閉塞性肺疾患(COPD)または喘息を処置するとき本発明の化合物を投与するための特に有用な方法である。吸入により投与するとき、式(I)の化合物は、例えば0.1〜500μg/kg、0.1〜50μg/kg、0.1〜40μg/kg、0.1〜30μg/kg、0.1〜20μg/kg、0.1〜10μg/kg、5〜10μg/kg、5〜50μg/kg、5〜40μg/kg、5〜30μg/kg、5〜20μg/kg、5〜10μg/kg、10〜50μg/kg、10〜40μg/kg、10〜30μg/kgまたは10〜20μg/kgのμg/kg範囲の有効成分の投与量で有効に使用し得る。例えば1μg/kg、2μg/kg、4μg/kg、6μg/kg、8μg/kgまたは10μg/kgの有効成分の投与量である。この投与量を1日1回投与量としてまたは1日あたり複数回投与量として、例えば各投与に上の記載した投与量の一つを使用する1日2回投与として、例えば0.1〜30μg/kgを1日2回投与として投与してよい。好適には、しかしながらこの投与量を1日1回投与量として投与する。
【0138】
本発明の一つの態様において、吸入投与用に製剤された、上に定義した本発明の化合物を、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体を含む医薬組成物が提供される。
【0139】
吸入により投与するとき、定量吸入器を使用して、さらなる添加物、例えばエタノール、界面活性剤、滑剤または安定化剤を含むまたは含まない適当な噴射剤中に分散した有効成分を投与し得る。適当な噴射剤は炭化水素、クロロフルオロカーボンおよびヒドロフルオロアルカン(例えばヘプタフルオロアルカン)噴射剤または任意のこのような噴射剤の混合物を含む。好ましい噴射剤はP134aおよびP227であり、その各々は単独で使用しても、他の噴射剤および/または界面活性剤および/または他の添加物と組み合わせて使用してもよい。噴霧水性懸濁液または好ましくは、溶液もまた、適当なpHおよび/または張性調節をしてまたはせずに、単位投与量または複数回投与量製剤として用い得る。例えば適当な吸入用組成物は、塩化ナトリウム(8.5mg/ml);乾燥クエン酸(0.28mg/ml);クエン酸ナトリウム(0.5mg/ml);およびPolysorbate 80(0.2mg/ml)からなる水性媒体(Mill-Q水中mg/ml)に溶解した式(I)の化合物を含む。
【0140】
乾燥粉末吸入器を、有効成分を、単独でまたは薬学的に許容される担体と組み合わせて(後者の場合、微粉砕粉末としてまたはオーダードミクスチャーとして)投与するのに使してよい。乾燥粉末吸入器は1回投与量または複数回投与量でよく、乾燥粉末または粉末含有カプセルを使用し得る。
定量吸入器、ネブライザーおよび乾燥粉末吸入器は既知であり、多様なかかるデバイスが利用可能である。
【0141】
さらなる態様において、医薬組成物を乾燥粉末吸入器(DPI)の手段により投与する。
DPIは“受動的”もしくは呼吸駆動式であるかまたは粉末を患者の吸入以外の何らかの機構、例えば、圧縮空気の内部供給により分散する“能動的”であり得る。現在、1回投与量、多回単位投与量または複数回投与量(貯蔵部)吸入器の3タイプの受動的乾燥粉末吸入器が利用可能である。1回投与量デバイスにおいて、個々の投与量は、通常ゼラチンカプセルに入れられ、使用前に吸入器に装填しなければならず、その例はSpinhaler(登録商標)(Aventis)、Rotahaler(登録商標)(GlaxoSmithKline)、AeroliserTM(Novartis)、Inhalator(登録商標)(Boehringer)およびEclipse(Aventis)デバイスを含む。多回単位投与量吸入器は多数の個別包装された投与量を複数ゼラチンカプセルとしてまたはブリスターとして含み、その例はDiskhaler(登録商標)(GlaxoSmithKline)、Diskus(登録商標)(GlaxoSmithKline)およびAerohaler(登録商標)(Boehringer)デバイスを含む。複数回投与量デバイスにおいて、薬物はバルク粉末貯蔵部に貯蔵され、そこから個々の投与量が定量され、その例はTurbuhaler(登録商標)(AstraZeneca)、Easyhaler(登録商標)(Orion)、Novolizer(登録商標)(ASTA Medica)、Clickhaler(登録商標)(Innovata Biomed)およびPulvinal(登録商標)(Chiesi)デバイスを含む。
【0142】
DPIに使用するための吸入用医薬組成物または乾燥粉末製剤は、微粉砕した有効成分(一般に10μm以下、好ましくは5μm以下の質量中央粒子径を有する)と担体物質、例えば、単糖類、二糖類または多糖類、糖アルコールまたは他のポリオールの混合により製造できる。適当な担体は糖類または糖アルコール類、例えば、ラクトース、グルコース、ラフィノース、メレジトース、ラクチトール、マルチトール、トレハロース、スクロース、マンニトール;およびデンプンである。必要であれば、乾燥粉末組成物は適当なコーティング剤、例えばステアリン酸マグネシウム、アスコルビン酸パルミテート(ascorbyl palmetate)またはフマル酸ステアリルナトリウムを含み得る。あるいは、化合物(I)の結晶形をDPIに単独で使用し得る。粉末混合物(化合物(I)の結晶形のみ)を、次いで、必要に応じて、硬ゼラチンカプセルまたはブリスターに分配してよく、各々所望投与量の有効成分を含む。
【0143】
あるいは、吸入用医薬組成物を微粉砕粉末(例えば微粉砕した有効成分および微粉砕した担体粒子から成る)を、吸入過程中に破壊する球体に加工することにより製造し得る。この球体化粉末を、例えば、Turbuhaler(登録商標)として既知の多回投与量吸入器の薬物貯蔵部に充填し、そこで投与ユニットが所望投与量を定量し、次いでそれが患者により吸入される。
【0144】
さらなる態様において、医薬組成物を定量吸入器、特に加圧定量吸入器(pMDI)の手段により投与する。pMDIは有効成分を、加圧容器中に適当な溶液または懸濁液として含む。有効成分はpMDIデバイスのバルブを作動することにより送達される。作動は手動または呼吸作動型であり得る。手動作動型pMDIにおいて、デバイスは、例えば患者が吸入する際にpMDIデバイス上の適当な放出機構を押すことにより作動する。呼吸作動型pMDIは、患者がpMDIのマウスピースを介して吸入するときに作動する。これは、デバイスの駆動が患者の吸入とタイミングが合い、有効成分のより一貫した投与をもたらし得るために、有利であり得る。pMDIデバイスの例は、例えばRapihaler(登録商標)(AstraZeneca)を含む。
【0145】
鼻腔内投与するとき、上に定義する式(I)の化合物を、適当な経鼻送達デバイス、例えばスプレーポンプまたはpMDIのための適当な水性媒体中の溶液または懸濁液として投与し得る。あるいは、本化合物を、上に記載した乾燥粉末組成物として、適当なDPIデバイスを使用して投与し得る。化合物を鼻腔内領域に維持することが望ましいならば、乾燥粉末組成物において大きな粒子径、例えば10μmより大きい、例えば10〜50μm粒子径を使用することが必要であるかもしれない。
【0146】
従って、本発明はまた吸入可能な本発明の医薬組成物を含む吸入器(例えば乾燥粉末吸入器、特に多回単位投与量乾燥粉末吸入器またはpMDI吸入器)も提供する。
本発明の化合物を上の状態の処置に使用するための多の化合物と共に投与してよい。
【0147】
本発明は、さらに、本発明の化合物または本発明の化合物を含む医薬組成物もしくは製剤を、記載する状態の1種以上の処置のための他の1種または複数種の治療薬と同時にまたは逐次的にまたは組合せ製剤として投与する組合せ治療に関する。
【0148】
本発明は、炎症性疾患の処置に使用するための式(I)の化合物および他の治療薬を含む組合せ製品に関し、その場合、式(I)の化合物および他の治療薬を同時にまたは逐次的にまたは組合せ製剤として投与する。
【0149】
特に、組合せ治療および組合せ製品は、リウマチ性関節炎、骨関節症、喘息、アレルギー性鼻炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、乾癬および炎症性腸疾患のような(しかしこれらに限定されない)炎症性疾患の処置に使用でき、本発明の化合物を下に記載する医薬と組み合わせてよい。
【0150】
特に、リウマチ性関節炎、骨関節症、喘息、アレルギー性鼻炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、乾癬および炎症性腸疾患のような(しかしこれらに限定されない)炎症性疾患の処置のために、本発明の化合物を下に記載する医薬と組み合わせてよい。
【0151】
局所的に適用するものであれ、全身的に適用するものであれ、非選択的シクロオキシゲナーゼCOX−1/COX−2阻害剤(例えばピロキシカム、ジクロフェナク、プロピオン酸類、例えばナプロキセン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェンおよびイブプロフェン、フェナメート、例えばメフェナム酸、インドメタシン、スリンダク、アザプロパゾン、ピラゾロン類、例えばフェニルブタゾン、サリチレート類、例えばアスピリン)を含む非ステロイド性抗炎症剤(以後NSAID);選択的COX−2阻害剤(例えばメロキシカム、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、ルミラコキシブ(lumarocoxib)、パレコキシブおよびエトリコキシブ);シクロオキシゲナーゼ阻害性一酸化窒素ドナー(CINOD);グルココルチコステロイド(局所、経口、筋肉内、静脈内または関節内経路のいずれで投与するものであれ);メトトレキサート;レフルノミド;ヒドロキシクロロキン;d−ペニシラミン;オーラノフィンまたは他の非経腸または経口金製剤;鎮痛剤;ジアセレイン;関節内治療剤、例えばヒアルロン酸誘導体;および栄養補助食品、例えばグルコサミン。
【0152】
本発明はなおさらに本発明の化合物と、アルファ−、ベータ−およびガンマ−インターフェロン類;インシュリン様増殖因子I型(IGF−1);インターロイキン(IL)1〜23を含むIL類およびインターロイキンアンタゴニストまたは阻害剤、例えばアナキンラ;腫瘍壊死因子アルファ(TNF−α)阻害剤、例えば抗TNFモノクローナル抗体(例えばインフリキシマブ;アダリムマブおよびCDP-870)および免疫グロブリン分子(例えばエタネルセプト)を含むTNF受容体アンタゴニストおよび低分子量医薬、例えばペントキシフィリンを含む、サイトカインまたはサイトカイン機能のアゴニストもしくはアンタゴニスト(サイトカインシグナル伝達経路に作用する医薬、例えばSOCS系のモジュレーターを含む)の組合せに関する。
【0153】
加えて、本発明本発明の化合物と、Bリンパ球を標的とするモノクローナル抗体(例えばCD20(リツキシマブ)、MRA-aILl6RおよびTリンパ球、CTLA4-Ig、HuMax Il-15)の組合せに関する。
【0154】
本発明はなおさらに本発明の化合物と、ケモカイン受容体機能のモジュレーター、例えばCCR1、CCR2、CCR2A、CCR2B、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10およびCCR11(C−Cファミリーについて);CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4およびCXCR5(C−X−Cファミリーについて)およびC−X−CファミリーについてCXCR1のアンタゴニストの組合せに関する。
【0155】
本発明は、さらに本発明の化合物と、ドキシサイクリンのような医薬を含むマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)、すなわち、ストロメライシン類、コラゲナーゼおよびゼラチナーゼ、ならびにアグリカナーゼ;特にコラゲナーゼ−1(MMP−1)、コラゲナーゼ−2(MMP−8)、コラゲナーゼ−3(MMP−13)、ストロメライシン−1(MMP−3)、ストロメライシン−2(MMP−10)およびストロメライシン−3(MMP−11)およびMMP−9およびMMP−12の阻害剤の組合せに関する。
【0156】
本発明はなおさらに本発明の化合物と、ロイコトリエン生合成阻害剤、5−リポキシゲナーゼ(5−LO)阻害剤または5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)アンタゴニスト、例えば;ジロートン;ABT-761;フェンレウトン;テポキサリン;Abbott-79175;Abbott-85761;N−(5−置換)−チオフェン−2−アルキルスルホンアミド;2,6−ジ−tert−ブチルフェノールヒドラゾン類;メトキシテトラヒドロピラン類、例えばZeneca ZD-2138;化合物SB-210661;ピリジニル−置換2−シアノナフタレン化合物、例えばL-739,010;2−シアノキノリン化合物、例えばL-746,530;またはインドールまたはキノリン化合物、例えばMK-591、MK-886およびBAY x 1005の組合せに関する。
【0157】
本発明は、さらに本発明の化合物と、フェノチアジン−3−1s、例えばL-651,392;アミジノ化合物、例えばCGS-25019c;ベンゾキサルアミン類、例えばオンタゾラスト;ベンゼンカルボキシミドアミド類、例えばBIIL 284/260;およびザフィルカスト、アブルカスト(ablukast)、モンテルカスト、プランルカスト、ベルルカスト(verlukast)(MK-679)、RG-12525、Ro-245913、イラルカスト(CGP 45715A)およびBAY x 7195のような化合物から成る群から選択されるロイコトリエン(LT)B4、LTC4、LTD4およびLTE4の受容体アンタゴニストの組合せに関する。
【0158】
本発明はなおさらに本発明の化合物と、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤、例えばテオフィリンおよびアミノフィリンを含むメチルキサンタニン;PDE4阻害剤、PDE4Dアイソフォームの阻害剤またはPDE5阻害剤を含む選択的PDEアイソザイム阻害剤の組合せに関する。
【0159】
本発明は、さらに本発明の化合物と、経口的、局所的または非経腸的に適用するヒスタミン1型受容体アンタゴニスト例えばセチリジン、ロラタジン、デスロラタジン、フェキソフェナジン、アクリバスチン、テルフェナジン、アステミゾール、アゼラスチン、レボカバスチン、クロルフェニラミン、プロメタジン、シクリジンまたはミゾラスチンの組合せに関する。
【0160】
本発明はなおさらに本発明の化合物と、プロトンポンプ阻害剤(例えばオメプラゾール)または胃保護性ヒスタミン2型受容体アンタゴニストの組合せに関する。
本発明は、さらに、本発明の化合物と、ヒスタミン4型受容体のアンタゴニストの組合せに関する。
【0161】
本発明はなおさらに本発明の化合物と、アルファ−1/アルファ−2アドレナリン受容体アゴニスト血管収縮剤交感神経刺激剤、例えばプロピルヘキセドリン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、エフェドリン、シュードエフェドリン、塩酸ナファゾリン、塩酸オキシメタゾリン、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸キシロメタゾリン、塩酸トラマゾリンまたは塩酸エチルノルエピネフリンの組合せに関する。
【0162】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、ムスカリン受容体(M1、M2およびM3)アンタゴニストを含む抗コリン作動剤、例えばアトロピン、ヒヨスチン、グリコピロレート、臭化イプラトロピウム、臭化チオトロピウム、臭化オキシトロピウム、ピレンゼピン、テレンゼピンまたはトルテロジンの組合せに関する。
【0163】
本発明はなおさらに本発明の化合物と、ベータ−アドレナリン受容体アゴニスト(ベータ受容体サブタイプ1〜4を含む)、例えばイソプレナリン、サルブタモール、フォルモテロール、サルメテロール、テルブタリン、オルシプレナリン、メシル酸ビトルテロールまたはピルブテロールまたはそのキラルエナンチオマー、インダカテロール、ミルベテロール(milveterol)またはカルモテロールの組合せに関する。
【0164】
本発明は、さらに本発明の化合物と、クロモン、例えばクロモグリク酸ナトリウムまたはネドクロミルナトリウムの組合せに関する。
本発明はなおさらに本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩と、グルココルチコイド、例えばフルニソリド、トリアムシノロンアセトニド、二プロピオン酸ベクロメタゾン、ブデソニド、プロピオン酸フルチカゾン、シクレソニドまたはフロ酸モメタゾンの組合せに関する。
【0165】
本発明は、さらに本発明の化合物と、核ホルモン受容体、例えばPPARを調節する医薬の組合せに関する。
【0166】
本発明はなおさらに本発明の化合物と、免疫グロブリン(Ig)またはIg製剤またはアンタゴニストまたはIg機能を調節する抗体、例えば抗IgE(例えばオマリズマブ)の組合せに関する。
【0167】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、他の全身または局所適用抗炎症剤、例えばサリドマイドまたはその誘導体、レチノイド、ジトラノールまたはカルシポトリオールの組合せに関する。
【0168】
本発明はなおさらに本発明の化合物と、アミノサリチレート類およびスルファピリジン例えばスルファサラジン、メサラジン、バルサラジドおよびオルサラジン;および免疫調節剤、例えばチオプリン類およびコルチコステロイド、例えばブデソニドの組合せの組合せに関する。
【0169】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、抗細菌剤、例えばペニシリン誘導体、テトラサイクリン、マクロライド、ベータ−ラクタム、フルオロキノロン、メトロニダゾール、吸入アミノグリコシド;アシクロビル、ファムシクロビル、バラシクロビル、ガンシクロビル、シドフォビル、アマンタジン、リマンタジン、リバビリン、ザナミビル(zanamavir)およびオセルタミビル(oseltamavir)を含む抗ウイルス剤;プロテアーゼ阻害剤、例えばインジナビル、ネルフィナビル、リトナビルおよびサキナビル;ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、例えばジダノシン、ラミブジン、スタブジン、ザルシタビンまたはジドブジン;または非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、例えばネビラピンまたはエファビレンツの組合せに関する。
【0170】
本発明はなおさらに本発明の化合物と、心血管剤、例えばカルシウムチャネルブロッカー、ベータ−アドレナリン受容体ブロッカー、アンギオテンシン−変換酵素(ACE)阻害剤、アンギオテンシン−2受容体アンタゴニスト;脂質低下剤、例えばスタチンまたはフィブラート;血液細胞形態学のモジュレーター、例えばペントキシフィリン;血栓溶解剤または抗凝血剤、例えば血小板凝集阻害剤の組合せに関する。
【0171】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、CNS剤、例えば抗鬱剤(例えばセルトラリン)、抗パーキンソン剤(例えばデプレニル、L−ドーパ、ロピニロール、プラミペキソール、MAOB阻害剤、例えばセレギリンおよびラサギリン、comP阻害剤、例えばタスマール、A−2阻害剤、ドーパミン再取り込み阻害剤、NMDAアンタゴニスト、ニコチンアゴニスト、ドーパミンアゴニストまたは神経型一酸化窒素合成酵素の阻害剤)または抗アルツハイマー剤、例えばドネペジル、リバスチグミン、タクリン、COX−2阻害剤、プロペントフィリンまたはメトリホナートの組合せに関する。
【0172】
本発明はなおさらに本発明の化合物と、急性または慢性疼痛の処置剤、例えば中枢性または末梢性に作用する鎮痛剤(例えばオピオイドまたはその誘導体)、カルバマゼピン、フェニトイン、バロプロ酸ナトリウム、アミトリプチリンまたは他の抗鬱剤、パラセタモールまたは非ステロイド性抗炎症剤の組合せに関する。
【0173】
本発明は、さらに本発明の化合物と、非経腸または局所適用(吸入を含む)局所麻酔剤、例えばリグノカインまたはその誘導体の組合せに関する。
【0174】
本発明の化合物はまたホルモン剤、例えばラロキシフェンまたはビホスホネート、例えばアレンドロネートを含む抗骨粗鬆症と組み合わせて使用してもよい。
【0175】
本発明はなおさらに本発明の化合物と:(i)トリプターゼ阻害剤;(ii)血小板活性化因子(PAF)アンタゴニスト;(iii)インターロイキン変換酵素(ICE)阻害剤;(iv)IMPDH阻害剤;(v)VLA−4アンタゴニストを含む接着分子阻害剤;(vi)カテプシン;(vii)キナーゼ阻害剤、例えばチロシンキナーゼ(例えばBtk、Itk、Jak3またはMAP、例えばゲフィチニブまたはメシル酸イマチニブ)、セリン/スレオニンキナーゼ(例えばMAPキナーゼ、例えばp38、JNK、タンパク質キナーゼA、BまたはCまたはIKKの阻害剤)または細胞サイクル制御に関与するキナーゼ(例えばサイクリン依存性キナーゼ)の阻害剤;(viii)グルコース−6リン酸脱水素酵素阻害剤;(ix)キニン−B.sub1.−またはB.sub2.−受容体アンタゴニスト;(x)抗痛風剤、例えばコルヒチン;(xi)キサンチンオキシダーゼ阻害剤、例えばアロプリノール;(xii)尿酸排泄促進剤、例えばプロベネシド、スルフィンピラゾンまたはベンズブロマロン;(xiii)成長ホルモン分泌促進物質;(xiv)トランスフォーミング増殖因子(TGFβ);(xv)血小板由来増殖因子(PDGF);(xvi)線維芽細胞増殖因子、例えば塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF);(xvii)顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF);(xviii)カプサイシンクリーム;(xix)タキキニンNK.sub1.またはNK.sub3.受容体アンタゴニスト、例えばNKP-608C、SB-233412(タルネタント)またはD-4418;(xx)エラスターゼ阻害剤、例えばUT-77またはZD-0892;(xxi)TNF−アルファ変換酵素阻害剤(TACE);(xxii)誘発一酸化窒素合成酵素(iNOS)阻害剤;(xxiii)TH2細胞上に発現する化学誘引物質受容体相同分子(例えばCRTH2アンタゴニスト);(xxiv)P38の阻害剤;(xxv)トール様受容体(TLR)の機能を調節する医薬、(xxvi)プリン作動性受容体、例えばP2X7の活性を調節する医薬;または(xxvii)転写因子活性化阻害剤、例えばNFkB、APIまたはSTATSの組合せにも関する。
【0176】
本発明の化合物はまた癌の処置のための既存の治療薬と組み合わせても使用でき、例えば適当な医薬は次のものを含む:
(i) 腫瘍内科学で使用される抗増殖性/抗新生物剤またはそれらの組合せ、例えばアルキル化剤(例えばシスプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、窒素マスタード、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファンまたはニトロソウレア);代謝拮抗剤(例えば葉酸代謝拮抗剤、例えば5−フルオロウラシルまたはテガフールのようなフルオロピリミジン、ラルチトレキセド、メトトレキサート、シトシンアラビノシド、ヒドロキシウレア、ゲムシタビンまたはパクリタキセル);抗腫瘍抗生物質(例えばアントラサイクリン、例えばアドリアマイシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシン−C、ダクチノマイシンまたはミトラマイシン);有糸分裂阻害剤(例えばビンカアルカロイド、例えばビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシンまたはビノレルビンまたはタキソイド、例えばタキソールまたはタキソテール);またはトポイソメラーゼ阻害剤(例えばエピポドフィロトキシン、例えばエトポシド、テニポシド、アムサクリン、トポテカンまたはカンプトテシン);
(ii) 細胞増殖抑制剤、例えば抗エストロゲン(例えばタモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェンまたはヨードキシフェン)、エストロゲン受容体下方制御剤(例えばフルベストラント)、抗アンドロゲン(例えばビカルタミド、フルタミド、ニルタミドまたはシプロテロンアセテート)、LHRHアンタゴニストまたはLHRHアゴニスト(例えばゴセレリン、ロイプロレリンまたはブセレリン)、プロゲストーゲン(例えばメゲストロールアセテート)、アロマターゼ阻害剤(例えばアナストロゾール、レトロゾール、ボラゾールまたはエキセメスタン)または5α−レダクターゼの阻害剤、例えばフィナステリド;
(iii) 癌細胞侵襲を阻害する医薬(例えばマリマスタットのようなメタロプロテイナーゼ阻害剤またはウロキナーゼプラスミノーゲンアクティベーター受容体機能の阻害剤);
(iv) 増殖因子機能の阻害剤、例えば:増殖因子抗体(例えば抗erbb2抗体トラスツマブまたは抗erbb1抗体セツキシマブ[C225])、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤またはセリン/スレオニンキナーゼ阻害剤、上皮細胞増殖因子ファミリーの阻害剤(例えばEGFRファミリーチロシンキナーゼ阻害剤、例えば−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−メトキシ−6−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(ゲフィチニブ、AZD1839)、−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−アミン(エルロチニブ、OSI-774)または6−アクリルアミド−−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(CI 1033))、血小板由来増殖因子ファミリーの阻害剤または肝細胞増殖因子ファミリーの阻害剤;
【0177】
(v) 抗血管新生剤、例えば血管内皮細胞増殖因子の作用を阻害するもの(例えば抗血管内皮細胞増殖因子抗体ベバシズマブ、WO97/22596、WO97/30035、WO97/32856またはWO98/13354に開示の化合物)または他の機構により作用する化合物(例えばリノミド、インテグリンαvβ3機能の阻害剤またはアンジオスタチン);
(vi) 血管傷害剤、例えばコンブレタスタチンA4またはWO99/02166、WO00/40529、WO00/41669、WO01/92224、WO02/04434またはWO02/08213に開示の化合物;
(vii) アンチセンス治療に使用される医薬、例えば上に記載する標的の一つを指向するもの、例えばISIS 2503、抗rasアンチセンス;
(viii) 遺伝子治療法、例えば異常遺伝子、例えば異常p53または異常BRCA1またはBRCA2を置き換える方法、GDEPT(遺伝子指向性酵素プロドラッグ治療)法、例えばシトシンデアミナーゼ、チミジンキナーゼまたは細菌ニトロレダクターゼ酵素を使用する方法および化学療法または放射線療法に対する患者耐容性を高める方法、例えば多剤耐性遺伝子治療に使用される医薬;または
(ix) 免疫治療法、例えば患者腫瘍細胞の免疫原性を高めるためのエクスビボおよびインビボ方法、例えばサイトカイン類、例えばインターロイキン2、インターロイキン4または顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子での形質移入、T細胞アネルギーを低下させるための方法、形質移入免疫細胞、例えばサイトカイン形質移入樹状細胞を使用する方法、サイトカイン形質移入腫瘍細胞株を使用する方法および抗イディオタイプ抗体を使用する方法に使用される医薬。
【0178】
特に本発明の化合物は、次のものから選択される第二有効成分と共に投与し得る:
a) アイソフォームPDE4Dの阻害剤を含むPDE4阻害剤;
b) β−アドレナリン受容体アゴニスト、例えばメタプロテレノール、イソプロテレノール、イソプレナリン、アルブテロール、サルブタモール、フォルモテロール、サルメテロール、テルブタリン、オルシプレナリン、ビトルテロールメシレート、ピルブテロール、インダカテロールまたはカルモテロール;
c) ムスカリン受容体アンタゴニスト(例えばM1、M2またはM3アンタゴニスト、例えば選択的M3アンタゴニスト)、例えばイプラトロピウムブロマイド、チオトロピウムブロマイド、オキシトロピウムブロマイド、ピレンゼピン、テレンゼピンまたはトルテロジン;
d) ケモカイン受容体機能のモジュレーター(例えばCCR1またはCCR8受容体アンタゴニスト);
e) キナーゼ機能の阻害剤;
f) 非ステロイド性グルココルチコイド受容体アゴニスト;
g)ステロイド性グルココルチコイド受容体アゴニスト;および
h) プロテアーゼ阻害剤(例えばMMP12またはMMP9阻害剤)。
【0179】
上記の他の医薬組成物、過程、方法、使用および医薬製造特性において、本明細書に記載する本発明の化合物の別のおよび好ましい態様も適用する。
【図面の簡単な説明】
【0180】
【図1】CuKα1照射(1.5406Å、45kV、40mA)を使用して測定したベンゼンスルホン酸3−(5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウム形態AのX線粉末回折ダイアグラム。X軸は2シータ値を示し、y軸は強度を示す。
【図2】CuKα1照射(1.5406Å、45kV、40mA)を使用して測定したベンゼンスルホン酸3−(5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウム形態BのX線粉末回折ダイアグラム。X軸は2シータ値を示し、y軸は強度を示す。
【実施例】
【0181】
本発明を、ここで、次の実施例により説明し、そこでは、特にことわらない限り、次のことが適用される:
(i) 温度は摂氏度(℃)で示す;操作を室温または環境温度、すなわち、18〜25℃の範囲の温度で、かつ不活性ガス、例えばアルゴン雰囲気下に行った。
(ii) NMRスペクトルをVarian Mercury-VX 300 MHz装置またはVarian Inova 400MHz装置で記録した。クロロホルム−d(H 7.27 ppm)、アセトン(H 2.05 ppm)、ジクロロメタン−d2(H 5.32 ppm)またはDMSO−d(H 2.50 ppm)の中央ピークを内部参照として使用した。あるいは、NMRスペクトルをVarian Inova Unity 500MHz装置で記録した。プロトン−NMR実験値を、残存溶媒ピークおよびHOの二重抑制を使用して得た。
(iii) LC/MS分析に次の方法を使用した:
装置Agilent 1100;カラムWaters Symmetry 2.1×30mm;質量APCI;流速0.7mL/分;波長254nm;溶媒A:水+0.1%TFA;溶媒B:アセトニトリル+0.1%TFA;勾配15−95%/B 2.7分、95%B 0.3分。
【0182】
(iv) HPLC分析に次の方法を使用した:
LC方法A:HPLC方法AをAgilent 1100シリーズ機械でKromasil(登録商標)C18 5μm 3.0×100mmカラムで行った。水相は水/TFA(99.8/0.1)であり、有機相はアセトニトリル/TFA(99.92/0.08)であった。流速は1ml/分であり、勾配は20分間に10〜100%の有機相と設定した。検出は220nm、254nmおよび280nmで行った。
LC方法B:HPLC方法BをAgilent 1100シリーズ機械でXTerra(登録商標)RP 5μm 3.0×100mmカラムで行った。水相は15nM NHの水溶液であり、有機相はアセトニトリルであった。流速は1ml/分または示すとき0.6ml/分であり、勾配は20分間に10〜100%の有機相と設定した。検出は220nm、254nmおよび280nmで行った。
LC方法C:HPLC方法CをAcquity BEH RP18 30×4.6mm、1.7μカラムで行った。移動相Aは水であり;移動相Bはアセトニトリルであり;移動相Cは1.0%TFAの水溶液であった。注入量は5μLであった;カラム温度は40℃であった;流速は2.0mL/分であった;希釈剤はアセトニトリルであった。
勾配:
【表3】

ランタイムは6.2分間であった;ポストタイムは2.3分間であった;検出は235nmであった。
【0183】
(v) 一般に、反応の経過をTLCで追跡し、反応時間は説明のためのみに記載する。
(vi) 収率は説明のためのみに記載し、必ずしも入念な工程開発により得ることができるものではない;さらに物質が必要であるならば、工程を繰り返した。
(vii) 化学記号はその通常の意味を有する;SI単位および記号を使用する。
(viii) 溶媒比を体積:体積(v/v)比で示す。
(ix) マススペクトル(MS)(ループ)は HP 1100検出器を備えたMicromass Platform LCで記録した;特にことわらない限り、引用するマスイオンは(MH)である。
(x) X線粉末回折パターンを、CuKα1照射(1.5406Å、45kV、40mA)を使用する、集束ビームJohansson単色光分光器およびX'Celerator検出器を備えたPANalytical X'Pert PRO MPDシータシステムで取得した。回折パターンを、2〜40°2θの間で、連続操作モードで取得した。操作速度は0.016°の増分で0.86°/分であっった。サンプルをシリコン単結晶ウエハーマウントに乗せた。
(xi) 湿度相互作用(吸湿性決定):湿度変化に対する試験サンプルの重量応答をTGA 5000(TA Instruments)重量蒸気収着(GVS)を使用して試験した。2サイクルで相対湿度(RH)を10%ずつ90%RHのまで上げ、再び0%RHに戻した。各レベルのRHを平衡条件(10分間あたりのサンプル重量変化<0.005wt%)が達成されるまで維持した。3−5mgの試験サンプルをカップに入れ、評価した。吸湿性を、第二サイクル開始時の0%RHと第二サイクルの湿度上昇中の80%RHの間のサンプル重量の相対的変化により計算した。当業者は、サンプルの吸湿性が、純粋固体形そのもの以外の因子によることを理解する;例えば、サンプルの純度および結晶化度は結果に多少影響する。
(xii) 特にことわらない限り、出発物質は市販品である。全ての溶媒および市販反応材は研究室グレードであり、入手したまま使用した。
【0184】
略語
【表4】

【0185】
実施例1
1−{2−[({5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル}カルボニル)アミノ]エチル}−1−メチルピロリジニウムアセテート
【化11】

工程1:
5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸エチル(中間体A)(200mg、0.41mmol)および2−ピロリジン−1−イルエタンアミン(928mg、8.12mmol、20当量)をMeOH(2.5mL)に溶解し、密閉バイアル中、マイクロ波オーブンにより、100℃で40分間加熱した。溶媒を蒸発させ、EtOH(3mL)を添加し、50℃で2時間加熱し、水(3mL)を添加し、混合物を室温で一夜撹拌した。沈殿を遠心(4000rpm、3分間)し、EtOH/HO 1:1(5mL)で3回洗浄し、一夜乾燥させた。残留物をアセトニトリルに溶解し、HPLC(30〜95%MeOHのHO溶液+0.1%TFA)で精製し、純粋フラクションを凍結乾燥させ、アセトニトリルに溶解し、NaCO(固体相)で脱塩し、蒸発させて、5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−6−メチル−2−オキソ−N−(2−ピロリジン−1−イルエチル)−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミドを白色固体として得た(156mg、65%);1H NMR (500 MHz, DMSO): δ 1.67 - 1.59 (4H, m), 1.72 (3H, s), 2.43 - 2.37 (4H, m), 2.49 - 2.47 (2H, m), 3.38 - 3.33 (2H, m), 6.72 (1H, d), 7.67 - 7.63 (2H, m), 7.71 (1H, d), 7.88 - 7.82 (2H, m), 7.96 - 7.89 (4H, m), 8.07 (1H, s), 9.35 (1H, t); APCI-MS m/z: 561[MH+]
【0186】
工程2:
5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−6−メチル−2−オキソ−N−(2−ピロリジン−1−イルエチル)−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド(156mg、0.28mmol)をアセトニトリル(4mL)に溶解し、ヨードメタン(0.346mL、5.57mmol、20当量)を添加し、55℃で一夜加熱した。溶媒を蒸発させ、i−PrOH(4mL)を添加し、50℃に加熱し、溶媒を蒸発させ、EtOH(2mL)を添加し、50℃に加熱し、i−PrOH(4ml)を添加してヒーターを切り、一夜撹拌した。溶媒を蒸発させ、残留物をアセトニトリルに溶解し、HPLCで30%〜95%MeOHのHO溶液の勾配(25mM NHAc、pH=5.2)を20分間および95%を10分間使用して精製した。純粋フラクションを凍結乾燥させて、表題化合物を白色粉末として得た(65mg、37%);1H NMR (500 MHz, DMSO) δ 1.73 (3H, s), 1.83 (3H, s), 2.09 - 2.01 (4H, m), 3.02 (3H, s), 3.53 - 3.40 (6H, m), 3.68 (2H, q), 6.72 (1H, d), 7.69 - 7.65 (2H, m), 7.73 (1H, d), 7.86 (1H, t), 7.89 (1H, s), 7.96 - 7.91 (4H, m), 8.03 (1H, s), 9.56 (1H, t); APCI-MS m/z: 575[M+]
LC(方法A) rt = 10.5分
LC(方法B) rt = 13.0分
【0187】
実施例2
酢酸1−{4−[({5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル}カルボニル)アミノ]ブチル}−1−メチルピロリジニウム
【化12】

工程1:
中間体Aおよび4−ピロリジン−1−イルブタン−1−アミンを、実施例1の工程1に記載する方法に準じる方法を使用して反応させて、5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−6−メチル−2−オキソ−N−(4−ピロリジン−1−イルブチル)−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミドを白色固体として得た(169mg、67%);1H NMR (500 MHz, DMSO) δ 1.50 - 1.36 (4H, m), 1.63 (4H, dd), 1.73 (3H, s), 2.40 - 2.30 (6H, m), 3.24 (2H, q), 6.72 (1H, d), 7.65 (2H, d), 7.71 (1H, d), 7.87 - 7.81 (2H, m), 7.95 - 7.89 (4H, m), 8.06 (1H, s), 9.30 (1H, t); APCI-MS m/z: 589[MH+]
【0188】
工程2:
5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−6−メチル−2−オキソ−N−(4−ピロリジン−1−イルブチル)−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミドをヨードメタンと実施例1の工程2に記載する方法に準じる方法を使用して反応させて、表題化合物(79mg、42%)を白色固体として得た;1H NMR (500 MHz, DMSO) δ 1.53 - 1.45 (2H, m), 1.65 (3H, s), 1.72 - 1.66 (2H, m), 1.79 (3H, s), 2.09 - 2.01 (4H, m), 2.95 (3H, s), 3.34 - 3.25 (4H, m), 3.49 - 3.35 (4H, m), 6.72 (1H, d), 7.68 - 7.65 (2H, m), 7.72 (1H, d), 7.89 - 7.83 (2H, m), 7.96 - 7.91 (4H, m), 8.04 (1H, s), 9.36 (1H, t); APCI-MS m/z: 603[M+]
LC(方法A) rt = 10.6分
LC(方法B) rt = 13.1分
【0189】
実施例3
酢酸2−[({5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル}カルボニル)アミノ]−N,N,N−トリメチルエタンアミニウム
【化13】

工程1:
中間体AおよびN,N−ジメチルエタン−1,2−ジアミンを、実施例1の工程1に記載する方法に準じる方法を使用して反応させて、5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド(154mg、67%)を得た;1H NMR (500 MHz, DMSO) δ 1.72 (3H, s), 2.10 (6H, s), 2.32 (2H, t), 3.36 - 3.32 (2H, m), 6.72 (1H, d), 7.67 - 7.64 (2H, m), 7.71 (1H, d), 7.88 - 7.82 (2H, m), 7.96 - 7.90 (4H, m), 8.07 (1H, s), 9.37 (1H, t); APCI-MS m/z: 535[MH+]
【0190】
工程2:
5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミドをヨードメタンと実施例1の工程2に記載する方法に準じる方法を使用して反応させて、表題化合物(109mg、62%)を白色固体として得た;1H NMR (500 MHz, DMSO) δ 1.63 (3H, s), 1.82 (3H, s), 3.08 (9H, s), 3.44 (2H, t), 3.68 (2H, q), 6.72 (1H, d), 7.67 (2H, d), 7.73 (1H, d), 7.85 (1H, t), 7.89 (1H, s), 7.97 - 7.91 (4H, m), 8.03 (1H, s), 9.56 (1H, t); APCI-MS m/z: 549[M+]
LC(方法A) rt = 10.1分
LC(方法B) rt = 12.1分
【0191】
実施例4
ヨウ化4−[({5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル}カルボニル)アミノ]−N,N,N−トリメチルブタン−1−アミニウム
【化14】

工程1:
中間体AおよびN,N−ジメチルブタン−1,4−ジアミンを、実施例1の工程1に記載する方法に準じる方法を使用して反応させて、5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−N−[4−(ジメチルアミノ)ブチル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド(139mg、58%)を白色固体として得た;1H NMR (500 MHz, DMSO) δ 1.40 (4H, dq), 1.74 (3H, s), 2.06 (6H, s), 2.15 (2H, t), 3.24 (2H, q), 6.72 (1H, d), 7.67 - 7.64 (2H, m), 7.71 (1H, d), 7.88 - 7.81 (2H, m), 7.95 - 7.89 (4H, m), 8.06 (1H, s), 9.30 (1H, t); APCI-MS m/z: 563[MH+]
【0192】
工程2:
5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−N−[4−(ジメチルアミノ)ブチル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド(139mg、0.25mmol)をアセトニトリル(4mL)に溶解し、ヨードメタン(0.308mL、4.94mmol、20当量)を添加し、55℃で一夜加熱した。溶媒を蒸発させ、i−PrOH(4mL)を添加し、50℃に加熱し、溶媒を蒸発させ、残留物にEtOH(2mL)を添加し、50℃に加熱し、i−PrOH(4mL)を添加し、ヒーターを切り、一夜撹拌した。
形成した沈殿を濾別し、i−PrOHで洗浄し、乾燥させて、表題化合物を白色固体として得た(54mg、31%収率);1H NMR (500 MHz, DMSO) δ 1.47 (2H, quintet), 1.70 - 1.61 (2H, m), 1.79 (3H, s), 3.00 (9H, s), 3.30 - 3.25 (4H, m), 6.72 (1H, d), 7.67 (2H, d), 7.71 (1H, d), 7.89 - 7.82 (2H, m), 7.96 - 7.91 (4H, m), 8.04 (1H, s), 9.35 (1H, t); APCI-MS m/z: 577[M+]
LC(方法A) rt = 10.2分
LC(方法B) rt = 13.1分
【0193】
実施例5
ヨウ化1−{3−[({5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル}カルボニル)アミノ]プロピル}−1−メチルピロリジニウム
【化15】

工程1:
中間体Aおよび3−ピロリジン−1−イルプロパン−1−アミンを、実施例1の工程1に記載する方法に準じる方法を使用して反応させて、5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−6−メチル−2−オキソ−N−(3−ピロリジン−1−イルプロピル)−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド(182mg、74%)を白色固体として得た;1H NMR (500 MHz, DMSO) δ 1.65 - 1.56 (6H, m), 1.73 (3H, s), 2.39 - 2.32 (6H, m), 3.30 - 3.24 (2H, m), 6.72 (1H, d), 7.67 - 7.64 (2H, m), 7.71 (1H, d), 7.87 - 7.81 (2H, m), 7.95 - 7.89 (4H, m), 8.06 (1H, s), 9.36 (1H, t); APCI-MS m/z: 575[MH+]
【0194】
工程2:
5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−6−メチル−2−オキソ−N−(3−ピロリジン−1−イルプロピル)−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミドをヨードメタンと実施例4の工程2に記載する方法に準じる方法を使用して反応させて、表題化合物(154mg、68%)を白色固体として得た;1H NMR (500 MHz, DMSO) δ 1.82 (3H, s), 1.93 (2H, td), 2.10 - 2.01 (4H, m), 2.94 (3H, s), 3.31 - 3.27 (4H, m), 3.49 - 3.34 (4H, m), 6.72 (1H, d), 7.67 (2H, d), 7.71 (1H, d), 7.88 - 7.83 (2H, m), 7.97 - 7.91 (4H, m), 8.03 (1H, s), 9.40 (1H, t); APCI-MS m/z: 589[M+]
LC(方法A) rt = 10.4分
LC(方法B) rt = 13.1分
【0195】
実施例6
ヨウ化3−[({6−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−5−メチル−3−オキソ−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロピラジン−2−イル}カルボニル)アミノ]−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウム
【化16】

工程1:
6−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−5−メチル−3−オキソ−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロピラジン−2−カルボン酸メチル(WO2009/061271、実施例1中間体に従い合成)およびN,N−ジメチルプロパン−1,3−ジアミンを、実施例1の工程1に記載する方法に準じる方法を使用して反応させて、6−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−5−メチル−3−オキソ−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロピラジン−2−カルボキサミド(54mg、19%)を白色固体として得た;APCI-MS m/z: 550 [MH+]。
【0196】
工程2:
6−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−5−メチル−3−オキソ−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロピラジン−2−カルボキサミドをヨードメタンと実施例4の工程2に記載する方法に準じる方法を使用して反応させて、表題化合物(26mg、24%)を白色固体として得た;1H NMR (500 MHz, DMSO) δ 1.91 - 1.83 (2H, m), 1.93 (3H, s), 3.01 (9H, s), 3.30 - 3.23 (4H, m), 6.77 (1H, d), 7.69 (2H, d), 7.78 (1H, d), 7.92 - 7.87 (3H, m), 7.99 - 7.93 (3H, m), 8.93 (1H, t); APCI-MS m/z: 564 [M+]
LC(方法A) rt = 9.5分
LC(方法B) rt = 11.3分
【0197】
実施例7
臭化3−(5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウム
【化17】

工程1:
500mL丸底フラスコ中の5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸エチル(中間体A)(9.85g、20.00mmol)、N,N−ジメチルプロパン−1,3−ジアミン(37.8mL、300.03mmol)のEtOH(150mL)懸濁液を加熱還流した。30分間以内に透明溶液を得た。6時間後、ヒーターを切った。
室温に冷却後溶媒を蒸発させ、橙色結晶性残留物を150mLのエタノールから再結晶させた。粗生成物を少量のエタノールで洗浄し、乾燥させて、5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−N−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド(10g、91%)を白色固体として得た;1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 9.31 (1H, t), 8.07 (1H, s), 7.93 (4H, m), 7.86 (1H, s), 7.84 (1H, t), 7.71 (1H, d), 7.66 (2H, d), 6.72 (1H, d), 3.25 (2H, q), 2.17 (2H, t), 2.07 (6H, s), 1.73 (3H, s), 1.56 (2H, m)。
【0198】
工程2:
ステンレス鋼高圧反応器(Parr)に5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−N−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド(14.7g、26.80mmol)およびアセトニトリル(200mL)を添加し、容器をドライアイス(CO)で冷却した。
テフロン管を通してブロモメタン(−30℃で密度1.9g/mL)(24.21mL、484.52mmol)を、ドライアイス・エタノールで冷却した(−78℃)シリンダー中で凝縮させた。液化ブロモメタンをParr中の混合物に注ぎ、それを密閉し、激しく撹拌しながら、70℃で一夜加熱した。(得られた圧力は1バール未満であった)。
18時間後反応器を冷却し、開放し、溶媒を減圧により除去した。残留物を2−プロパノール:エタノール(5:1)の混合物(80mL)に溶解し、80℃で1時間加熱し、室温で4時間撹拌した。形成した沈殿を濾別し、2−プロパノール:エタノール(5:1)の混合物30mLで1回、ヘプタン(3×20mL)で3回洗浄し、空気乾燥させて、14.9gの白色粉末を得た。
エタノール80mLをこの固体に添加し、懸濁液を加熱還流し、室温で一夜撹拌した。形成した沈殿を濾別し、少量のエタノールで洗浄し、50℃で真空下乾燥させて、表題化合物(10.7g、62%)を白色固体として得た;1H NMR (400 MHz, dmso) δ 1.81 (3H, s), 1.90 (2H, m), *(溶媒ピーク中2H), 3.01 (9H, s), 3.26 (2H, m), 6.72 (1H, d), 7.67 (2H, d), 7.71 (1H, d), 7.86 (2H, m), 7.94 (4H, m), 8.04 (1H, s), 9.41 (1H, t); APCI-MS m/z: 563 [M+]
LC(方法A) rt = 8.6分
LC(方法B) rt = 11.8分
【0199】
実施例8
酢酸3−(5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウム
臭化3−(5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウム(4.20g、6.53mmol)(実施例7、工程2の生成物)を、溶離剤としてCHCN:25mM NHAcを用いる分取HPLCで行うイオン交換により酢酸塩に変換して、表題生成物を薄黄色固体として得た(3.31g、81%)。1H NMR (400 MHz, dmso) δ 1.67 (3H, s), 1.81 (3H, s), 1.85 - 1.94 (2H, m), 3.01 (9H, s), 3.23 - 3.33 (4H, m), 6.72 (1H, d), 7.67 (2H, d), 7.70 (1H, d), 7.83 - 7.88 (2H, m), 7.91 - 7.97 (4H, m), 8.04 (1H, s), 9.41 (1H, t); APCI-MS m/z: 563 [M+]
【0200】
実施例9
ベンゼンスルホン酸3−(5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウム(形態A)
【化18】

DOWEX 1X8のカラム(50−100メッシュ、Cl)(約10g)を飽和NaHCO水溶液(約70mL)を通すことにより活性化し、HO(100mL)(溶離剤のpHが中性になるまで)およびMeOH(40mL)で洗浄した。酢酸3−(5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウム(300mg、0.48mmol、実施例8)をMeOH(2mL)に溶解し、溶液をゆっくりカラムに通し、約20mLのMeOHを通した。ベンゼンスルホン酸(76mg、0.48mmol)を濾液に添加し、溶液を蒸発させ、残留物をEtOHと共蒸発させ、EtOH(0.5mL)およびTHF(3.5mL)に溶解した。混合物を50℃で0.5時間加熱し、室温で週末の間撹拌した。この間に沈殿は形成しなかった。ジエチルエーテル(3mL)を添加し、混合物を室温で撹拌した。1時間後固体が沈殿し始め、スラリーを一夜撹拌した。沈殿を濾別し、ヘプタンで洗浄し、乾燥させて、表題化合物を灰白色固体として得た(300mg、86%);1H NMR (400 MHz, dmso) δ 1.81 (3H, s), 1.90 (2H, m), 3.01 (9H, s), 3.27 (4H, m), 6.72 (1H, d), 7.30 (3H, m), 7.59 (2H, m), 7.67 (2H, d), 7.71 (1H, d), 7.85 (2H, m), 7.94 (4H, m), 8.04 (1H, s), 9.41 (1H, t)。
APCI-MS m/z: 563 [M+]
LC(方法A) rt = 9.9分
LC(方法B) rt = 12.6分
【0201】
XRPD
ベンゼンスルホン酸3−(5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウム形態AのXRPD分析は、本物質が、実質的に図1に示すXRPDを有して結晶性であることを示した。形態Aの最も顕著なピーク(2θ値)を上に記載する表1に示す。
【0202】
吸湿性
上の(xi)に記載したとおりに測定した形態Aの吸湿性は0.8%(w/w)であった。
【0203】
実施例9a
ベンゼンスルホン酸3−(5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウム(形態A)
5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−N−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド(実施例7、工程1に従い合成)(14.40g、26.25mmol)およびベンゼンスルホン酸メチル(3.82ml、28.88mmol)のアセトン(127ml)溶液を55℃で18時間加熱した。溶媒を回転蒸発により除去し、泡様残留物を2−プロパノール:エタノール(5:1)の混合物(100mL)に溶解し、80℃に加熱し、室温で一夜撹拌した。沈殿を濾別し、2−プロパノール:エタノール(5:1)の混合物(2×20mL)で2回、ヘプタン(50mL)で1回洗浄し、空気乾燥させて、16.94gの白色粉末を得た。固体をさらに55℃で真空下一夜乾燥させて、表題化合物(16.75g、88%)を灰白色固体として得た;1H NMR (400 MHz, dmso) δ 1.81 (3H, s), 1.90 (2H, m), 3.01 (9H, s), 3.27 (4H, m), 6.72 (1H, d), 7.30 (3H, m), 7.59 (2H, m), 7.67 (2H, d), 7.71 (1H, d), 7.85 (2H, m), 7.94 (4H, m), 8.04 (1H, s), 9.41 (1H, t); APCI-MS m/z: 563 [M+]。
LC(方法A) rt = 9.9分
LC(方法B) rt = 12.6分
【0204】
実施例10
ベンゼンスルホン酸3−(5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウム(形態B)
バッチ1
ベンゼンスルホン酸メチル(13.0ml、0.099mol、1.1当量)を5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−N−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド(実施例7、工程1に記載の方法を使用して製造)(49.4g、90.0mmol、1.0当量)のアセトン(0.434L、8.8体積)溶液に環境温度で添加した。溶液を55℃に加熱し、1時間撹拌した。H NMRによるIPCは、反応が終了したことを示し、混合物を環境温度に冷却した。環境温度で一夜撹拌後白色固体が形成した。固体を濾過により回収し、ケーキを冷アセトン(2×100ml、2×2体積)およびヘプタン(100ml、2体積)で洗浄し、ケーキから失われる液体が無くなるまで吸引下に乾燥させた。湿った固体を粉末フラスコに移し、回転させながら40℃で定重量になるまで乾燥させて、46.5g(理論値の72%)の表題化合物を得た;1H NMR (400 MHz, dmso) δ 1.81 (3H, s), 1.90 (2H, m), 3.01 (9H, s), 3.27 (4H, m), 6.72 (1H, d), 7.30 (3H, m), 7.59 (2H, m), 7.67 (2H, d), 7.71 (1H, d), 7.85 (2H, m), 7.94 (4H, m), 8.04 (1H, s), 9.41 (1H, t)。
HPLC: 99.53%a/a, NSI >1%
【0205】
バッチ2
ベンゼンスルホン酸メチル(63.1ml、0.48mol、1.1当量)を、5分間かけて、5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−N−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド(実施例7、工程1に記載の方法を使用して製造)(238g、0.433mol、1.0当量)のアセトン(2.09L、8.8体積)溶液に30℃で添加した。溶液を55℃に加熱し、2時間20分間撹拌した。H NMRによるIPCは<3%出発物質を示した。反応混合物を15℃に冷却し、一夜撹拌した。この間に生成物は沈殿しなかった。溶媒をロータリーエバポレーターで35℃で除去して、粗生成物を泡状物として得た(368g)。粗物質を上のバッチ1のベンゼンスルホン酸3−(5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウム(46.5g)と合わせた。粗物質を5:1 2−プロパノール/エタノール(1.97L)中で、1時間、還流温度でスラリー化して、懸濁液を冷却し、固体を濾過により回収した。物質がもはや2−プロパノール/エタノール混合物に可溶性でないために、固体の形が変わったように見え、粒子径が大きくなったように見えた。フィルターケーキを5:1 2−プロパノール/エタノール(2×400ml)およびヘプタン(1×900ml)で洗浄し、除去できる溶媒がなくなるまで吸引下に乾燥させた。湿った固体を、定重量になるまで真空オーブンで乾燥させて、表題生成物(310g)を得た;1H NMR (400 MHz, dmso) δ 1.81 (3H, s), 1.90 (2H, m), 3.01 (9H, s), 3.27 (4H, m), 6.72 (1H, d), 7.30 (3H, m), 7.59 (2H, m), 7.67 (2H, d), 7.71 (1H, d), 7.85 (2H, m), 7.94 (4H, m), 8.04 (1H, s), 9.41 (1H, t)。
定量的H NMRは97.3%w/wの強度であった
【0206】
XRPD
単離したバッチ2のベンゼンスルホン酸3−(5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウム形態BのX線粉末回折法測定は、固体が実施例9および9aに記載した形態Aと比較して異なる結晶形態であることを示した。形態Bは実質的に図2に示すXRPDを有して、結晶性である。形態Bの最も顕著なピーク(2θ値)を上に記載する表2に示す。
【0207】
吸湿性
上の(xi)に記載したとおりに測定した形態Bの吸湿性は0.4%(w/w)であった。
【0208】
実施例11
ベンゼンスルホン酸3−(5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウム(形態B)
5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−N−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド(5g、9.12mmol)およびベンゼンスルホン酸メチル(1.67g、9.52mmol)のアセトン(50mL)溶液を55℃で4時間加熱した。反応混合物を室温に冷却後、2−メチルテトラヒドロフラン(50mL)を添加した。得られた混合物を一夜撹拌した。沈殿を濾過し、真空オーブンで乾燥させて、表題生成物を薄褐色固体として得た(6g、90%);1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.35 (t, 1 H), 7.97 (s, 1 H), 7.83 - 7.94 (m, 4 H), 7.73 - 7.83 (m, 2 H), 7.64 (d, 1 H), 7.60 (d, 2 H), 7.46 - 7.56 (m, 2 H), 7.15 - 7.31 (m, 3 H), 6.65 (d, 1 H), 3.14 - 3.24 (m, 4 H), 2.94 (s, 9 H), 1.78 - 1.90 (m, 2 H), 1.75 (s, 3 H)。
【0209】
出発物質として使用した5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−N−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミドを次の通り製造した:
3−オキソ−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニルアミノ)プロパン酸メチル
【化19】

炭酸水素ナトリウム(36.3kg、1.7mol当量)、酢酸イソプロピル(102.5L、2.5相対体積)を添加した。3−(トリフルオロメチル)アニリン(41.0kg、1mol当量、限定試薬)を添加し、酢酸イソプロピルライン濯ぎ液(20.5L、0.5相対体積)を添加した。反応物を5℃〜10℃に冷却した。塩化メチルマロニル(36.5kg、1.05mol当量)を温度を10℃以下に維持しながら添加し、酢酸イソプロピル濯ぎ液(10.3L、0.25相対体積)を添加した。混合物をHPLCで判断して、反応が完了するまで撹拌した。温度を20℃に調節し、さらに酢酸イソプロピル(71.8L、1.75相対体積)、水(205L、5相対体積)を添加した。層を分離し、有機層をさらに塩水(41L、1相対体積)で抽出した。溶媒を減圧蒸留により酢酸イソプロピルからシクロヘキサンに変えた。種晶添加し、5℃に冷却し、撹拌後、生成物を濾過により単離し、シクロヘキサン(2×41L、2×1相対体積)で2回洗浄し、一定重量になるまで乾燥させて、表題化合物(60.6kg、232.2mol、91%)を得た。
【0210】
6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸
【化20】

3−オキソ−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニルアミノ)プロパン酸メチル(62.0kg、1mol当量、限定試薬)、エタノール(310L、5相対体積、5.3相対体積)を添加した。4,4−ジメトキシブタン−2−オン(37.6kg、1.2mol当量)を添加し、エタノール(18.6L、0.3相対体積)でラインを濯ぎ、温度を50℃に調節した。ナトリウムメトキシド(30%w/wメタノール溶液)(141.0kg、3.3mol当量)を、温度を55℃未満に維持しながら添加した。エタノール(31.0L、0.5相対体積)でラインを濯いだ。反応物を、HPLCで判断して完了するまで撹拌した。水(105.4L、1.7相対体積)および29%水酸化ナトリウム水溶液(17.2kg、0.52mol当量)を添加した。反応物を60分間撹拌した。塩酸(30%w/w)をpHが2になるまで添加し、冷却した。生成物を濾過により単離し、水(5×124L、5×2相対体積)で5回洗浄し、真空下で、一定重量になるまで乾燥させて、表題化合物(50.9kg、171.4mol、73.5%)を得た。
【0211】
5−ヨード−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸
【化21】

酢酸(263.7L、6.8相対体積)に6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸(38.6kg、1mol当量、限定試薬)、ヨウ素(17.4kg、0.53mol当量)および濃硫酸(3.7L、0.1相対体積)を添加した。温度を50℃〜55℃に調節し、90%硝酸(4.1kg、0.6mol当量)を15分間かけて添加した。反応物を、HPLC分析で判断して完了したと見なされるまで撹拌した。反応物を冷却し、撹拌し、生成物を濾過により回収した。固体を水(2×77.0L、2×2相対体積)で2回およびアセトン(2×38.6kg、2×1相対体積)で2回洗浄した。固体を真空下で、一定重量になるまで乾燥させて、表題化合物(47.0kg、111.0mol、85.7%)を得た。
【0212】
N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−5−ヨード−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド
【化22】

5−ヨード−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸(10g、23.64mmol)のDMF(20mL)懸濁液に、カルボニルジイミダゾール(5.14g、30.72mmol)のDMF(30mL)溶液を40分間かけて、25℃で添加した。混合物を30分間撹拌後、N,N−ジメチルプロパン−1,3−ジアミン(3.62g、35.45mmol)のDMF(10mL)を20分間かけて、25℃で添加し、40分間撹拌した。反応完了後、水(100mL)を25℃で1時間かけて添加した。得られた懸濁液を4時間撹拌し、濾過した。ケーキを水(50mL)で洗浄し、真空下、50℃で12時間乾燥させて、表題生成物を薄褐色固体として得た(10g、83%);1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.36 (bs, 1 H), 8.87 (s, 1 H), 7.82 (d, J=7.53 Hz, 1 H), 7.76 (t, J=7.78 Hz, 1 H), 7.49 (s, 1 H), 7.41 (d, J=8.03 Hz, 1 H), 3.43 (q, J=6.86 Hz, 2 H), 2.30 - 2.35 (m, 2 H), 2.29 (s, 3 H), 2.20 (s, 6 H), 1.74 (p, J=7.28 Hz, 2 H); LCMS m/z: 508 [M+]。
LC(方法C) rt = 2.9分。
【0213】
5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド
【化23】

N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−5−ヨード−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド(10g、19.71mmol)、4−(5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾニトリル(8.9g、29.55mmol)、水(0.71g)、N,N−ジメチルホルムアミド(100mL)およびジイソ(is)プロピルエチルアミン(7.64g、59.14mmol)の混合物に窒素を10分間通気した。上記混合物に1,1’−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセンパラジウムジクロライド(“Pd−118”Johnson Matthey製、642.38mg、985.62μmoles)を添加し、混合物を40℃で12時間加熱した。本反応混合物を室温に冷却し、イソプロパノール(100mL)および水(200mL)の混合物に添加した。得られた混合物を18時間撹拌した。沈殿を濾過し、水(50mL)で洗浄し、真空下、50℃で12時間乾燥させて、表題生成物を褐色固体(6.2g、56%)として得た;1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.33 (t, J=5.77 Hz, 1 H), 8.07 (s, 1 H), 7.92 - 7.98 (m, 3 H), 7.91 (s, 1 H), 7.82 - 7.89 (m, 2 H), 7.72 (d, J=8.03 Hz, 1 H), 7.67 (d, J=8.53 Hz, 2 H), 6.73 (d, J=1.51 Hz, 1 H), 3.26 (q, J=6.86 Hz, 2 H), 2.25 (t, J=6.78 Hz, 2 H), 2.13 (s, 6 H), 1.75 (s, 3 H), 1.59 (p, J=7.03 Hz, 2 H); LCMS m/z: 549 [M+]
LC(方法C) rt = 3.1分
【0214】
中間体A:
5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸エチル
【化24】

250mL丸底フラスコ中、5−ヨード−6−メチル−2−オキソ−1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸エチル(WO2005/026123、実施例63(b)に従い合成)(9.02g、20mmol)、4−(5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾニトリル(WO2009/061271、実施例1中間体に従い合成)(8.85g、30.00mmol)、リン酸水素カリウム三水和物(13.69g、60.00mmol)および1,1’−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセンパラジウムジクロライド(0.918g、1.40mmol)をDMF(100mL)に懸濁させ、混合物にアルゴンを通気した。1,1’−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセンパラジウムジクロライド(0.918g、1.40mmol)を添加し、反応混合物を55℃で激しい撹拌下に加熱した。30分間および90分間後にさらに4−(5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾニトリル(1.4g、4.74mmolおよび2.5g、8.47mmol)を添加した。
3時間後反応混合物を環境温度に冷却し、氷/水(800mL)に注ぎ、懸濁液を2時間撹拌した。油状生成物を得た。水を傾捨し、ガム状残留物を水で洗浄した。
残留物を少量のジクロロメタンに溶解し、カラムクロマトグラフィー(SiO;溶離剤としてEtOAc/ヘプタン1:2〜3:2)でクロマトグラフに付して、9.45gの約10〜20%の脱ヨウ素化出発物質を含む表題化合物生成物を得た。
不純生成物をEtOH(50mL)から再結晶して、中間体A(7.5g、76%)を白色固体として得た;1H NMR (399.988 MHz, CDCl3) δ 1.36 (3H, t), 1.64 (3H, s), 4.36 (2H, q), 6.55 (1H, d), 7.26 - 7.30 (1H, m), 7.38 (1H, s), 7.52 (2H, dd), 7.68 (1H, t), 7.72 - 7.78 (3H, m), 7.83 (1H, d), 8.16 (1H, s); APCI-MS m/z: 493 [MH+]
【0215】
ヒト好中球エラスターゼ消光FRETアッセイ
本アッセイは、血清から精製したヒト好中球エラスターゼ(HNE)を使用する(Calbiochem art. 324681; Ref. Baugh, R.J. et al., 1976, Biochemistry. 15, 836-841)。HNEを、50%グリセロールを添加した50mM 酢酸ナトリウム(NaOAc)、500mM 塩化ナトリウム(NaCl)、pH5.5中、−20℃で貯蔵した。使用したプロテアーゼ基質はElastase Substrate V FluorogenicであるMeOSuc-AAPV-AMC(Calbiochem art. 324740; Ref. Castillo, M.J. et al., 1979, Anal. Biochem. 99, 53-64)であった。基質をジメチルスルホキシド(DMSO)中、−20℃で貯蔵した。アッセイ添加物は次の通りであった:試験化合物および対照を、100%DMSO中0.2μLで黒色384ウェル平底プレート(Greiner 781076)に添加し、アッセイ緩衝液中の10μL HNEを0.01%Triton(商標)X-100界面活性剤と共に添加した。アッセイ緩衝液構成成分は次の通りであった:100mM トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)(pH7.5)および500mM NaCl。酵素および化合物を室温で15分間インキュベートした。アッセイ緩衝液中の10μl基質を添加した。アッセイ物を90分間、室温でインキュベートした。インキュベーション中のHNE酵素および基質濃度は、それぞれ0.17nMおよび100μMであった。20μl停止溶液(140mM 酢酸、200mM モノクロロ酢酸ナトリウム、60mM 酢酸ナトリウム、pH4.3)の添加によりアッセイを停止させた。蛍光をWallac EnVision 2102 Multilabel Reader装置で、次の設定で読んだ:励起380nm、放出460nm。IC50値を、モデル203を使用したXlfit曲線適合により決定した。
【0216】
上の評価により試験したとき、実施例の化合物は、ヒト好中球エラスターゼ活性阻害について5μM(マイクロモル濃度)未満、好適には1μM未満のIC50値を示し、本発明の化合物が有用な治療特性を有することが期待されることを示す。結果の例を下の表に示し、表中IC50値は、特定の化合物について測定したIC50値のgeomeanを表し、“n”は化合物を試験した回数を意味する:
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

〔式中、
は水素またはC−Cアルキルであり;
はフェニル環またはピリジニル環であり、該環はフルオロ、クロロまたはCNで4位(パラ位)を置換されており;
XはNまたはCR(ここで、RはHまたはフルオロである)であり;
はフッ素、塩素およびトリフルオロメチルから独立して選択される1個または2個の置換基で置換されているフェニル基であり;
LはC−Cアルキレンであり;
、RおよびRは各々独立してC−Cアルキルであるか;またはRおよびRは相互に結合して、NR基が5員または6員環状アンモニウム基を表すように一体となってよく;
Yは薬学的に許容されるアニオンである。〕
の化合物。
【請求項2】
XがCHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
がトリフルオロメチルで3位(メタ位)を置換されているフェニル基である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
、RおよびRが各々独立してC−Cアルキルである、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
およびRが相互に結合して、NR基が5員または6員環状アンモニウム基を表すように一体となり;RがC−Cアルキルである、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
が4−シアノフェニル基である、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
がメチルである、請求項1〜6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
次のものから選択される、請求項1に記載の式(I)の化合物:
1−{2−[({5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル}カルボニル)アミノ]エチル}−1−メチルピロリジニウムY;
1−{4−[({5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル}カルボニル)アミノ]ブチル}−1−メチルピロリジニウムY;
2−[({5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル}カルボニル)アミノ]−N,N,N−トリメチルエタンアミニウムY;
4−[({5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル}カルボニル)アミノ]−N,N,N−トリメチルブタン−1−アミニウムY;
1−{3−[({5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル}カルボニル)アミノ]プロピル}−1−メチルピロリジニウムY;
3−[({6−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−5−メチル−3−オキソ−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,4−ジヒドロピラジン−2−イル}カルボニル)アミノ]−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウムY;および
3−(5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウムY;
(ここで、Yは薬学的に許容されるアニオンである)。
【請求項9】
3−(5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウムY;
(ここで、Yは薬学的に許容されるアニオンである)
である、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項10】
ベンゼンスルホン酸3−(5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウムである、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項11】
ベンゼンスルホン酸3−(5−(1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウム形態Bである、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の式(I)の化合物を薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体と共に含む、医薬組成物。
【請求項13】
治療に使用するための、請求項1〜11のいずれかに記載の式(I)の化合物。
【請求項14】
好中球エラスターゼ活性の調節が有益であるヒト疾患または状態の処置用医薬の製造のための、請求項1〜11のいずれかに記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項15】
炎症性疾患または状態を処置するまたはリスクを軽減する方法であって、それを必要とする患者に請求項1〜11のいずれかに記載の式(I)の化合物の治療有効量を投与することを含む、方法。
【請求項16】
炎症性疾患の処置のための請求項1〜11のいずれかに記載の化合物および他の治療薬を含む組合せ製品であって、請求項1〜11のいずれかに記載の化合物および他の治療薬を同時にまたは逐次的にまたは組合せ製剤として投与する、組合せ製品。
【請求項17】
請求項1に記載の式(I)の化合物の製造方法であって:
式(II):
【化2】

の化合物と式(III):
【化3】

の化合物を反応させ
〔式中、R、R、R、R、R、R、Y、LおよびXは請求項1に定義したとおりであるが、必要に応じていずれかの官能基が保護されていることがある〕;
その後場合により:
i) 保護基を除去し;および/または
ii) 薬学的に許容されるアニオンと薬学的に許容される塩を形成させる
ことを含む、方法。
【請求項18】
式(II):
【化4】

〔式中、
は水素またはC−Cアルキルであり;
はフェニル環またはピリジニル環であり;該環はフルオロ、クロロまたはCNで4位(パラ位)を置換されており;
XはNまたはCR(ここで、RはHまたはフルオロである)であり;
はフッ素、塩素およびトリフルオロメチルから独立して選択される1個または2個の置換基で置換されているフェニル基であり;
LはC−Cアルキレンであり;
およびRは各々独立してC−Cアルキルであるか;またはRおよびRは相互に結合して、NR基が5員または6員環状基を表すように一体となってよい。〕
の化合物またはその塩。
【請求項19】
式(VIII'):
【化5】

〔式中、
1’はC−Cアルキルであり;
XはNまたはCR(ここで、RはHまたはフルオロである)であり;
LはC−Cアルキレンであり;
4’およびR5’は各々独立してC−Cアルキルであるか;またはR4’およびR5’は、NR4’5’基が一体となって1個の窒素および場合により1個、2個または3個の酸素、硫黄および窒素から選択されるヘテロ原子を含む5員または6員の飽和または部分的に飽和の非芳香族性ヘテロシクリル環を表すように一体となってよく;
はハロである。〕
の化合物またはその塩。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2013−506649(P2013−506649A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531500(P2012−531500)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【国際出願番号】PCT/GB2010/051589
【国際公開番号】WO2011/039528
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】