説明

姿勢変換装置、および梱包方法

【課題】作業効率の高い姿勢変換(方向変換)を行うことができる姿勢変換装置、および姿勢変換装置を適用した梱包方法を提供する。
【解決手段】姿勢変換装置1は、太陽電池モジュール30を水平方向に載置させる載置台10と、載置台10の裏面に配置され載置台10を支持する支持台15と、載置台10と支持台15とを連結し、支持台15に対して載置台10を水平方向から垂直方向へ回転させる回転機構部16とを備える。回転機構部16は、水平方向に回転中心を有する回転軸17と、支持台15に形成されて回転軸17を支持する第1軸受け18と、載置台10の裏面(載置面11の反対側の面)に形成されて回転軸17を支持する第2軸受け19とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールの姿勢を変更する姿勢変換装置、および姿勢変換装置を適用した太陽電池モジュールの梱包方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池モジュールの量産化が推進されるようになってきた。また、太陽電池モジュールの用途開発に伴い太陽電池モジュールの大型化が進んできた。このような状況下において、太陽電池モジュールの扱いも種々の形態が採られるようになり、例えば、水平方向で処理された太陽電池モジュールを水平方向から回転させて垂直方向へ姿勢を変換し、例えば梱包する場合などがある。
【0003】
従来、太陽電池モジュールの姿勢変換は、作業者による手作業でされていたが、太陽電池モジュールの大量生産に伴い、作業者の負担の軽減、作業の効率化、作業の安全性の向上などを目的とした自動化が要請されている。太陽電池モジュールに適用されるガラス板は、人出で扱われることが多く、太陽電池モジュールを扱う装置はほとんど知られていないのが実情である。
【0004】
このような状況下で、ガラス板を機械的に取り扱うことによって姿勢を変換する装置も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、特許文献1に記載の装置は、扱う対象としてのガラス板の大きさが作業者の手作業で操作可能なものに限られていることから、大型化した太陽電池モジュールに対する操作を行うことは不可能である。また、人手を必要とすることから、大型化した太陽電池モジュールを連続的に扱うことは困難である。
【0005】
また、太陽電池モジュールを梱包する方法も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−34428号公報
【特許文献2】特開2004−83132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したとおり、太陽電池モジュールの大型化に伴って、太陽電池モジュールの姿勢変換での作業者に対する負荷の増大があり、生産性、作業性、安全性、量産性などの面で太陽電池モジュール30の姿勢変換での作業性の向上が求められている。
【0008】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、太陽電池モジュールを水平方向に載置させる載置台と、載置台を支持する支持台と、載置台と支持台とを連結し、支持台に対して載置台を水平方向から垂直方向へ回転させる回転機構部とを備えることにより、作業効率の高い姿勢変換(方向変換)を行うことができる姿勢変換装置を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、本発明に係る姿勢変換装置を適用した太陽電池モジュールの梱包方法とすることにより、作業性良く梱包作業を行うことができる梱包方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る姿勢変換装置は、透光性基板と、透光性基板の片側に配置された太陽電池セルと、太陽電池セルを保護する裏面保護部材とを有する太陽電池モジュールの姿勢を変換する姿勢変換装置であって、前記太陽電池モジュールを水平方向に載置させる載置台と、前記載置台の裏面に配置され前記載置台を支持する支持台と、前記載置台と前記支持台とを連結し、前記支持台に対して前記載置台を水平方向から垂直方向へ回転させる回転機構部とを備えることを特徴とする。
【0011】
したがって、本発明に係る姿勢変換装置は、水平方向に配置された載置台に太陽電池モジュールを載置し、載置台を回転機構部によって垂直方向へ回転させることから、水平方向に載置された太陽電池モジュールの姿勢を水平方向から垂直方向へ容易に変換させるので、作業効率の高い姿勢変換(方向変換)を行うことができる。
【0012】
また、本発明に係る姿勢変換装置では、前記回転機構部は、水平方向に回転中心を有する回転軸と、前記支持台に形成されて前記回転軸を支持する第1軸受けと、前記載置台の裏面に形成されて前記回転軸を支持する第2軸受けとを備えることを特徴とする。
【0013】
したがって、本発明に係る姿勢変換装置は、支持台に形成された第1軸受けと載置台に形成された第2軸受けとによって回転中心を構成する回転軸を支持することから、回転軸を回転中心として支持台に対して載置台を水平方向から垂直方向へ回転させて位置(姿勢)を変更させるので、太陽電池モジュールの姿勢を水平方向から垂直方向へ容易にかつ高精度に変換することができる。
【0014】
また、本発明に係る姿勢変換装置では、前記回転軸は、前記太陽電池モジュールを垂直にしたときに前記太陽電池モジュールが有する高さの半分より低い側に位置することを特徴とする。
【0015】
したがって、本発明に係る姿勢変換装置は、垂直にした太陽電池モジュールの高さの半分より低い位置に回転中心を配置することから、大型化した太陽電池モジュールであっても回転中心の位置を低くすることが可能となり、支持台の頂面の位置を低くして作業の容易性および安全性を確保することができる。
【0016】
また、本発明に係る姿勢変換装置では、前記載置台は、水平に対して予め回転方向へ向かう傾斜を持たせて配置されていることを特徴とする。
【0017】
したがって、本発明に係る姿勢変換装置は、予め回転方向へ向かって傾斜していることから、水平方向から垂直方向への回転を容易に行うことができるので、作業効率を向上させることができる。
【0018】
また、本発明に係る姿勢変換装置では、前記支持台に配置されて前記載置台に前記傾斜を持たせる傾斜台を備えることを特徴とする。
【0019】
したがって、本発明に係る姿勢変換装置は、載置台を支える傾斜台を支持台に配置していることから、太陽電池モジュールを水平方向から垂直方向へ予め傾けた状態(起こした状態)で配置するので、簡単な構造で載置台を水平方向から垂直方向へ容易に回転させて太陽電池モジュールの姿勢を水平方向から垂直方向へ容易にかつ高精度に姿勢変換することができる。
【0020】
また、本発明に係る姿勢変換装置では、前記載置台と前記支持台との間に配置され前記載置台を垂直方向へ回転させる弾性体を備えることを特徴とする。
【0021】
したがって、本発明に係る姿勢変換装置は、載置台と支持台との間に載置台を垂直方向へ回転させる弾性体を備えることから、簡単な構成で載置台の回転に対して勢いを付けるので、太陽電池モジュールの姿勢を水平方向から垂直方向へ容易にかつ高精度に姿勢変換することができる。
【0022】
また、本発明に係る姿勢変換装置では、前記載置台と前記支持台との間に配置され前記載置台を垂直方向へ回転させる伸長機構部を備えることを特徴とする。
【0023】
したがって、本発明に係る姿勢変換装置は、載置台の回転位置の制御を伸長機構部によって制御することから、容易にかつ高精度に載置台の回転を制御するので、太陽電池モジュールを水平方向から垂直方向へ容易にかつ高精度に姿勢変換することができる。
【0024】
また、本発明に係る姿勢変換装置では、前記載置台は、前記太陽電池モジュールが載置される載置面と、前記載置面の端部に配置され、前記太陽電池モジュールが垂直方向へ回転されたときに前記太陽電池モジュールの縁を止める縁止め部とを備えることを特徴とする。
【0025】
したがって、本発明に係る姿勢変換装置は、太陽電池モジュールを垂直方向へ方向変換したとき、太陽電池モジュールの垂直方向での高さを一定に維持することから、次の工程への移動を容易にかつ高精度に行うことができる。
【0026】
また、本発明に係る姿勢変換装置では、前記縁止め部は、前記太陽電池モジュールに当接する当接面が滑り性を有する滑り部を備えることを特徴とする。
【0027】
したがって、本発明に係る姿勢変換装置は、太陽電池モジュールの端面が当接する縁止め部の当接面が滑り性を有する構成とされることから、太陽電池モジュールを次の工程へ容易に移動させることが可能となり、作業性を向上させる。
【0028】
また、本発明に係る姿勢変換装置では、前記支持台は、前記載置台の裏面側に対向して配置され前記載置台の垂直方向での位置決めをする位置決め部を備えることを特徴とする。
【0029】
したがって、本発明に係る姿勢変換装置は、載置台の垂直方向の位置決めをする位置決め部を備えることから、太陽電池モジュールの垂直方向を容易にかつ高精度に確定するので、高い作業性と安全性を確保する。
【0030】
また、本発明に係る姿勢変換装置では、前記太陽電池モジュールは、両面を平板状の板部材で形成されていることを特徴とする。
【0031】
したがって、本発明に係る姿勢変換装置は、両面を平板状の板部材で形成されて大面積化され、重量が増えた太陽電池モジュールに対しても容易に姿勢変換を施すことが可能である。
【0032】
また、本発明に係る梱包方法は、太陽電池モジュールを水平方向から垂直方向へ姿勢変換する工程と、姿勢変換した前記太陽電池モジュールを立てて並置する梱包部材へ移す工程とを備えて前記太陽電池モジュールを梱包する梱包方法であって、前記太陽電池モジュールを水平方向から垂直方向へ姿勢変換する工程は、本発明に係る姿勢変換装置を適用して実施されることを特徴とする。
【0033】
したがって、本発明に係る梱包方法は、前工程で水平方向での処理をされた太陽電池モジュールを垂直方向へ容易に姿勢変換することから、太陽電池モジュールを立てて並置する梱包部材へ太陽電池モジュールを移すことが容易となり、作業性良く梱包作業を行うことができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係る姿勢変換装置は、太陽電池モジュールを水平方向に載置させる載置台と、載置台の裏面に配置され載置台を支持する支持台と、載置台と支持台とを連結し、支持台に対して載置台を水平方向から垂直方向へ回転させる回転機構部とを備える。
【0035】
したがって、本発明に係る姿勢変換装置は、水平方向に配置された載置台に太陽電池モジュールを載置し、載置台を回転機構部によって垂直方向へ回転させることから、水平方向に載置された太陽電池モジュールの姿勢を水平方向から垂直方向へ容易に変換させるので、作業効率の高い姿勢変換(方向変換)を行うことができるという効果を奏する。
【0036】
また、本発明に係る太陽電池モジュールを梱包する梱包方法は、太陽電池モジュールを水平方向から垂直方向へ姿勢変換する工程と、太陽電池モジュールを立てて併置する梱包部材へ移す工程とを備え、姿勢変換する工程は、本発明に係る姿勢変換装置を適用して実施される。
【0037】
したがって、本発明に係る梱包方法は、前工程で水平方向での処理をされた太陽電池モジュールを垂直方向へ容易に姿勢変換することから、太陽電池モジュールを立てて並置する梱包部材へ太陽電池モジュールを移すことが容易となり、作業性良く梱包作業を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1A】本発明の実施の形態1に係る姿勢変換装置に太陽電池モジュールを載置したときの側面状態を示す側面図である。
【図1B】図1Aに示した姿勢変換装置が太陽電池モジュールを水平方向から垂直方向へ姿勢変換したときの側面状態を示す側面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る姿勢変換装置で処理される太陽電池モジュールの概要を模式的な断面で説明する断面図である。
【図3A】本発明の実施の形態2に係る姿勢変換装置(変形例1)に太陽電池モジュールを載置したときの側面状態を示す側面図である。
【図3B】本発明の実施の形態2に係る姿勢変換装置(変形例2)に太陽電池モジュールを載置したときの側面状態を示す側面図である。
【図4A】本発明の実施の形態2に係る姿勢変換装置(変形例3)に太陽電池モジュールを載置したときの側面状態を示す側面図である。
【図4B】図4Aに示した姿勢変換装置(変形例3)が太陽電池モジュールを水平方向から垂直方向へ姿勢変換したときの側面状態を示す側面図である。
【図5A】本発明の実施の形態3に係る太陽電池モジュールの梱包方法であって、姿勢変換装置から太陽電池モジュールを梱包部材へ移す状態を模式的に示す模式正面図である。
【図5B】図5Aに示した梱包部材に並置された太陽電池モジュールの側面状態の概要を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0040】
<実施の形態1>
図1Aないし図2を参照して、本実施の形態に係る姿勢変換装置1について説明する。
【0041】
図1Aは、本発明の実施の形態1に係る姿勢変換装置1に太陽電池モジュール30を載置したときの側面状態を示す側面図である。
【0042】
図1Bは、図1Aに示した姿勢変換装置1が太陽電池モジュール30を水平方向から垂直方向へ姿勢変換したときの側面状態を示す側面図である。
【0043】
本実施の形態に係る姿勢変換装置1は、太陽電池モジュール30の姿勢を水平方向から垂直方向へ変換する。なお、太陽電池モジュール30については、図2で詳細を説明する。また、本願で言う水平方向、垂直方向は、それぞれ絶対的な水平、絶対的な垂直に対して多少のずれを含むことを示すために「水平」、「垂直」の文言に「方向」の文言を付加している。
【0044】
姿勢変換装置1は、太陽電池モジュール30を水平方向に載置させる載置台10と、載置台10の裏面に配置され載置台10を支持する支持台15と、載置台10と支持台15とを連結し、支持台15に対して載置台10を水平方向から垂直方向へ回転させる回転機構部16とを備える。
【0045】
したがって、姿勢変換装置1は、水平方向に配置された載置台10に太陽電池モジュール30を載置し、載置台10を回転機構部16によって垂直方向へ回転させることから、水平方向に載置された太陽電池モジュール30の姿勢を水平方向から垂直方向へ容易に変換させるので、作業効率の高い姿勢変換(方向変換)を行うことができる。
【0046】
なお、姿勢変換装置1によれば、単に作業効率だけでは無く、それに伴って、生産性、安全性、量産性などについても改善され、大型の太陽電池モジュール30を効率よく生産することが可能となる。
【0047】
姿勢変換装置1において、回転機構部16は、水平方向に回転中心を有する回転軸17と、支持台15に形成されて回転軸17を支持する第1軸受け18と、載置台10の裏面(載置面11の反対側の面)に形成されて回転軸17を支持する第2軸受け19とを備える。
【0048】
したがって、姿勢変換装置1は、支持台15に形成された第1軸受け18と載置台10に形成された第2軸受け19とによって回転中心を構成する回転軸17を支持することから、回転軸17を回転中心として支持台15に対して載置台10を水平方向から垂直方向へ回転させて位置(姿勢)を変更させるので、太陽電池モジュール30の姿勢を水平方向から垂直方向へ容易にかつ高精度に変換することができる。
【0049】
姿勢変換装置1は、回転機構部16を用いることから、太陽電池モジュール30の重量の影響を抑制することができるので、太陽電池モジュール30の重量による作業性の低下を防止することができる。したがって、少ない人数の作業者による作業、工程管理が可能となる。
【0050】
また、回転軸17は、太陽電池モジュール30を垂直にしたときに太陽電池モジュール30が有する高さの半分より低い側に位置することが好ましい。
【0051】
この構成によって、姿勢変換装置1は、垂直にした太陽電池モジュール30の高さの半分より低い位置に回転中心を配置することから、大型化した太陽電池モジュール30であっても回転中心の位置を低くすることが可能となり、支持台15の頂面の位置を低くして作業の容易性および安全性を確保することができる。
【0052】
また、載置台10は、太陽電池モジュール30が載置される載置面11と、載置面11の端部に配置され、太陽電池モジュール30が垂直方向へ回転されたときに太陽電池モジュール30の縁を止める縁止め部12とを備える。
【0053】
この構成によって、姿勢変換装置1は、太陽電池モジュール30を垂直方向へ方向変換したとき、太陽電池モジュール30の垂直方向での高さを一定に維持することから、次の工程への移動を容易にかつ高精度に行うことができる。
【0054】
縁止め部12は、太陽電池モジュール30に当接する当接面が滑り性を有する滑り部13を備えることが好ましい。
【0055】
この構成によって、姿勢変換装置1は、太陽電池モジュール30の端面が当接する縁止め部12の当接面が滑り性を有する構成とされることから、太陽電池モジュール30を次の工程へ容易に移動させることが可能となり、作業性を向上させる(図5A参照)。
【0056】
滑り部13は、例えば滑り性のある材料で形成すること、あるいは移動方向に沿う回転を生じるローラーを配置することなどによって形成される。
【0057】
支持台15は、載置台10の裏面側に対向して配置され載置台10の垂直方向での位置決めをする位置決め部24を備えることが好ましい。したがって、姿勢変換装置1は、載置台10の垂直方向の位置決めをする位置決め部24を備えることから、太陽電池モジュール30の垂直方向を容易にかつ高精度に確定するので、高い作業性と安全性を確保する。
【0058】
図2は、本発明の実施の形態1に係る姿勢変換装置1で処理される太陽電池モジュール30の概要を模式的な断面で説明する断面図である。
【0059】
本実施の形態に係る姿勢変換装置1で処理される太陽電池モジュール30は、透光性基板31と、透光性基板31の片側に配置された太陽電池セル32と、太陽電池セル32を保護する裏面保護部材33とを有する構成であることが好ましい。
【0060】
特に、透光性基板31および裏面保護部材33の両方がガラス板で構成されている場合(いわゆる合わせガラス構造、ペアガラス構造の場合)は、太陽電池モジュール30の大面積化(例えば、1m×1.5mないし2m×3m程度の矩形)に伴って太陽電池モジュール30の重量も大きくなり(例えば10kg〜50kgなど)、作業者による処理が困難な状態となることがある。また、ガラス板として金網を取り入れた網入りガラスが採用されて更に重量が増加する場合もある。これら場合に、姿勢変換装置1を適用することによって、1人の作業者でも太陽電池モジュール30の姿勢を変換することができる。
【0061】
つまり、姿勢変換装置1が適用される太陽電池モジュール30は、両面を平板状の板部材で形成されていることが好ましい。すなわち、姿勢変換装置1は、両面を平板状の板部材で形成されて大面積化され、重量が増えた太陽電池モジュール30に対しても容易に姿勢変換を施すことが可能である。
【0062】
本実施の形態では、姿勢変換装置1による姿勢変換を水平方向から垂直方向への姿勢変換として説明したが、必要に応じて垂直方向から水平方向へと逆の姿勢へ変換するときに適用することも可能である。
【0063】
なお、太陽電池セル32は、具体的には多数が直列あるいは並列に接続されて太陽電池セル群(太陽電池ストリング)を構成する。また、太陽電池セル32は、透光性基板31および裏面保護部材33の間に配置された樹脂封止部34で樹脂封止され外部環境から保護される。
【0064】
<実施の形態2>
図3Aないし図4Bを参照して、実施の形態1に係る姿勢変換装置1の変形例(変形性1ないし変形例3)を本実施の形態に係る姿勢変換装置1として説明する。本実施の形態に係る姿勢変換装置1の基本的な構成は、実施の形態1に係る姿勢変換装置1と同様であるので、符号を援用し、主に異なる事項について説明する。
【0065】
図3Aは、本発明の実施の形態2に係る姿勢変換装置1(変形例1)に太陽電池モジュール30を載置したときの側面状態を示す側面図である。
【0066】
本実施の形態に係る姿勢変換装置1(変形例1)では、載置台10は、水平方向に対して予め回転方向へ傾斜した状態とされている。予め傾斜させていることから、垂直方向への回転を容易にすることができる。なお、傾斜を実現する手段として支持台15の表面に傾斜台21が配置され、傾斜台21が載置台10の裏面を支持する構造とされている。
【0067】
つまり、本実施の形態に係る姿勢変換装置1では、載置台10は、水平に対して予め回転方向へ向かう傾斜を持たせて配置されている。したがって、姿勢変換装置1は、予め回転方向へ向かって傾斜していることから、水平方向から垂直方向への回転を容易に行うことができるので、作業効率を向上させることができる。
【0068】
また、本実施の形態に係る姿勢変換装置1は、支持台15に配置されて載置台10に傾斜を持たせる傾斜台21を備える。したがって、姿勢変換装置1は、載置台10を支える傾斜台21を支持台15に配置していることから、太陽電池モジュール30を水平方向から垂直方向へ予め傾けた状態(起こした状態)で配置するので、簡単な構造で載置台10を水平方向から垂直方向へ容易に回転させて太陽電池モジュール30の姿勢を水平方向から垂直方向へ容易にかつ高精度に姿勢変換することができる。
【0069】
なお、傾斜の角度は、太陽電池モジュール30の大きさ、重量などから作業性を考慮して適宜の角度を設定することができる。
【0070】
図3Bは、本発明の実施の形態2に係る姿勢変換装置1(変形例2)に太陽電池モジュール30を載置したときの側面状態を示す側面図である。
【0071】
本実施の形態に係る姿勢変換装置1(変形例2)では、傾斜台21の代わりに、あるいは、傾斜台21と併用して(傾斜台21に重ねて)弾性体22を備える。図3Bでは、傾斜台21の代わりに弾性体22を適用した状態を示す。弾性体22は、例えばコイルばねである。したがって、弾性体22の反発力(回転させるときの回転力を付勢する力)を利用して回転させることが可能となり、容易に載置台10(太陽電池モジュール30)を回転させることができる。
【0072】
つまり、本実施の形態に係る姿勢変換装置1では、載置台10は、水平に対して予め回転方向へ向かう傾斜を持たせて配置されている。したがって、姿勢変換装置1は、予め回転方向へ向かって傾斜していることから、水平方向から垂直方向への回転を容易に行うことができるので、作業効率を向上させることができる。
【0073】
また、本実施の形態に係る姿勢変換装置1は、載置台10と支持台15との間に配置され載置台10を垂直方向へ回転させる弾性体22を備える。したがって、姿勢変換装置1は、載置台10と支持台15との間に載置台10を垂直方向へ回転させる弾性体22を備えることから、簡単な構成で載置台10の回転に対して勢いを付けるので、太陽電池モジュール30の姿勢を水平方向から垂直方向へ容易にかつ高精度に姿勢変換することができる。
【0074】
図4Aは、本発明の実施の形態2に係る姿勢変換装置1(変形例3)に太陽電池モジュール30を載置したときの側面状態を示す側面図である。
【0075】
図4Bは、図4Aに示した姿勢変換装置1(変形例3)が太陽電池モジュール30を水平方向から垂直方向へ姿勢変換したときの側面状態を示す側面図である。
【0076】
本実施の形態に係る姿勢変換装置1(変形例3)は、載置台10を動的に操作する機構部を備える。つまり、姿勢変換装置1は、載置台10と支持台15との間に配置され載置台10を垂直方向へ回転させる伸長機構部23を備える。
【0077】
したがって、姿勢変換装置1は、載置台10の回転位置の制御を伸長機構部23によって制御することから、容易にかつ高精度に載置台10の回転を制御するので、太陽電池モジュール30を水平方向から垂直方向へ容易にかつ高精度に姿勢変換することができる。
【0078】
なお、伸長機構部23は、傾斜台21に重ねて配置されても良い。また、伸長機構部23として、具体的には電動シリンダーを採用することができる。伸長機構部23は、載置台10の裏面に一端が連結され、他端が支持台15に固定されている。
【0079】
伸長機構部23によれば、載置台10の回転(水平方向から垂直方向への姿勢変換)を完全に機械化することから、作業者への負荷を大幅に低減することが可能となり、作業性を向上させることができる。また、自動化を進めることが可能となる。
【0080】
<実施の形態3>
図5Aおよび図5Bを参照して、実施の形態3に係る太陽電池モジュール30を梱包する梱包方法について説明する。本実施の形態に係る太陽電池モジュール30の梱包方法は、実施の形態1、実施の形態2に記載した太陽電池モジュール30を垂直方向で立てた状態で梱包をする。立てた状態は、実施の形態1、実施の形態2に記載した姿勢変換装置1によって維持されている。したがって、実施の形態1、実施の形態2に記載して姿勢変換装置1、太陽電池モジュール30の符号を援用し、主に異なる事項について説明する。
【0081】
図5Aは、本発明の実施の形態3に係る太陽電池モジュール30の梱包方法であって、姿勢変換装置1から太陽電池モジュール30を梱包部材40へ移す状態を模式的に示す模式正面図である。
【0082】
図5Bは、図5Aに示した梱包部材40に並置された太陽電池モジュール30の側面状態の概要を示す側面図である。
【0083】
図5Aでは、姿勢変換装置1の載置台10によって垂直方向で立てられた状態の太陽電池モジュール30が矢印方向へ移される状態を模式的に示している。太陽電池モジュール30の縁が止められる縁止め部12は、滑り部13を備える。したがって、太陽電池モジュール30を容易に梱包部材40(太陽電池モジュール30が挿入されるモジュール溝41)の方へ移動させることができる。なお、梱包部材40の形状、寸法、配置位置は、適宜設定することができるので、詳細な説明は省略する。
【0084】
実施の形態1、実施の形態2で説明したとおり、回転軸17の位置を低く設定していることから、太陽電池モジュール30の床側の縁も十分に低い位置へ配置させることができる。つまり、縁止め部12の位置は床方向で低い位置に設定することができるので、太陽電池モジュール30を梱包部材40へ移動させるときの位置合わせを容易に行うことができる。
【0085】
上述したとおり、本実施の形態に係る太陽電池モジュール30を梱包する梱包方法は、太陽電池モジュール30を水平方向から垂直方向へ姿勢変換する工程と、姿勢変換した太陽電池モジュール30を立てて並置する梱包部材40へ移す工程とを備えて太陽電池モジュール30を梱包する梱包方法であって、太陽電池モジュール30を水平方向から垂直方向へ姿勢変換する工程は、実施の形態1、実施の形態2のいずれかに記載の姿勢変換装置1を適用して実施される。
【0086】
したがって、本発明に係る梱包方法は、前工程で水平方向での処理をされた太陽電池モジュール30を垂直方向へ容易に姿勢変換することから、太陽電池モジュール30を立てて並置する梱包部材40へ太陽電池モジュール30を移すことが容易となり、作業性良く梱包作業を行うことができる。
【0087】
なお、梱包工程は、梱包部材40に立てて配置された太陽電池モジュール30に対して、太陽電池モジュール30の上側の縁に梱包部材40に対向させて頂面固定部材を配置し、太陽電池モジュール30を底部と頂部の両側で固定することによって行われる。なお、太陽電池モジュール30相互間に適宜のスペーサを配置することが好ましい。
【符号の説明】
【0088】
1 姿勢変換装置
10 載置台
11 載置面
12 縁止め部
13 滑り部
15 支持台
16 回転機構部
17 回転軸
18 第1軸受け
19 第2軸受け
21 傾斜台
22 弾性体
23 伸長機構部
24 位置決め部
30 太陽電池モジュール
31 透光性基板
32 太陽電池セル
33 裏面保護部材
34 樹脂封止部
40 梱包部材
41 モジュール溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性基板と、透光性基板の片側に配置された太陽電池セルと、太陽電池セルを保護する裏面保護部材とを有する太陽電池モジュールの姿勢を変換する姿勢変換装置であって、
前記太陽電池モジュールを水平方向に載置させる載置台と、
前記載置台の裏面に配置され前記載置台を支持する支持台と、
前記載置台と前記支持台とを連結し、前記支持台に対して前記載置台を水平方向から垂直方向へ回転させる回転機構部とを備えること
を特徴とする姿勢変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の姿勢変換装置であって、
前記回転機構部は、水平方向に回転中心を有する回転軸と、前記支持台に形成されて前記回転軸を支持する第1軸受けと、前記載置台の裏面に形成されて前記回転軸を支持する第2軸受けとを備えること
を特徴とする姿勢変換装置。
【請求項3】
請求項2に記載の姿勢変換装置であって、
前記回転軸は、前記太陽電池モジュールを垂直にしたときに前記太陽電池モジュールが有する高さの半分より低い側に位置すること
を特徴とする姿勢変換装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一つに記載の姿勢変換装置であって、
前記載置台は、水平に対して予め回転方向へ向かう傾斜を持たせて配置されていること
を特徴とする姿勢変換装置。
【請求項5】
請求項4に記載の姿勢変換装置であって、
前記支持台に配置されて前記載置台に前記傾斜を持たせる傾斜台を備えること
を特徴とする姿勢変換装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一つに記載の姿勢変換装置であって、
前記載置台と前記支持台との間に配置され前記載置台を垂直方向へ回転させる弾性体を備えること
を特徴とする姿勢変換装置。
【請求項7】
請求項1から請求項5までのいずれか一つに記載の姿勢変換装置であって、
前記載置台と前記支持台との間に配置され前記載置台を垂直方向へ回転させる伸長機構部を備えること
を特徴とする姿勢変換装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか一つに記載の姿勢変換装置であって、
前記載置台は、前記太陽電池モジュールが載置される載置面と、前記載置面の端部に配置され、前記太陽電池モジュールが垂直方向へ回転されたときに前記太陽電池モジュールの縁を止める縁止め部とを備えること
を特徴とする姿勢変換装置。
【請求項9】
請求項8に記載の姿勢変換装置であって、
前記縁止め部は、前記太陽電池モジュールに当接する当接面が滑り性を有する滑り部を備えること
を特徴とする姿勢変換装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか一つに記載の姿勢変換装置であって、
前記支持台は、前記載置台の裏面側に対向して配置され前記載置台の垂直方向での位置決めをする位置決め部を備えること
を特徴とする姿勢変換装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれか一つに記載の姿勢変換装置であって、
前記太陽電池モジュールは、両面を平板状の板部材で形成されていること
を特徴とする姿勢変換装置。
【請求項12】
太陽電池モジュールを水平方向から垂直方向へ姿勢変換する工程と、姿勢変換した前記太陽電池モジュールを立てて並置する梱包部材へ移す工程とを備えて前記太陽電池モジュールを梱包する梱包方法であって、
前記太陽電池モジュールを水平方向から垂直方向へ姿勢変換する工程は、請求項1から請求項11までのいずれか一つに記載の姿勢変換装置を適用して実施されること
を特徴とする梱包方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【公開番号】特開2013−98398(P2013−98398A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240804(P2011−240804)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】