説明

媒体送り装置、記録装置

【課題】搬送中の被送り媒体の送り方向に対する姿勢を安定させることを考慮した媒体送り装置を提供すること。
【解決手段】媒体送り装置(3)は、送り駆動ローラー(50)と、送り従動ローラー(51)とを有する送りローラー対96と、搬送ローラー対71(72、73)と、媒体案内経路部(11、12)と、前記送り駆動ローラーと前記送り従動ローラーとが互いに接近した第1状態と、離間した第2状態とを切り替える切り替え手段(4)と、を備え、前記第1状態の前記送りローラー対によって被送り媒体を下流側へ送った際、被送り媒体の先端の姿勢を、前記搬送ローラー対の外接する箇所が成す線方向(X)に倣わせ、前記搬送駆動ローラーを正転させ被送り媒体の先端側を前記搬送ローラー対に挟持させた状態で、前記第2状態に切り替え、前記送り駆動ローラーを正転駆動させ被送り媒体を前記媒体案内経路部に倣わせる構成であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力によって駆動する送り駆動ローラーと、従動回転する送り従動ローラーとを有し、被送り媒体を送り方向下流側へ送る送りローラー対と、該送りローラー対より送り方向下流側に配置され、動力によって駆動する搬送駆動ローラーと、従動回転する搬送従動ローラーとを有し、前記送りローラー対によって送られた被送り媒体を送り方向下流側へ搬送する搬送ローラー対と、送られる被送り媒体を前記送りローラー対から前記搬送ローラー対まで案内する媒体案内経路部と、を備えた媒体送り装置および該媒体送り装置を備えた記録装置に関する。
本願において、記録装置には、インクジェットプリンター、ワイヤードットプリンター、レーザープリンター、ラインプリンター、複写機、ファクシミリ等の種類が含まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
従来では、特許文献1に示す如く、記録装置に設けられた媒体送り装置は、ピックアップローラーと、案内経路部と、送りローラー対と、搬送ローラー対と、を備えていた。このうち、前記ピックアップローラーは、載置された被送り媒体としての用紙をピックアップし送り方向下流側へ送ることができるように設けられていた。また、前記案内経路部は、送り経路を形成し、送られる用紙を案内することができるように設けられていた。
【0003】
またさらに、前記送りローラー対は、動力によって駆動する送り駆動ローラーと、従動回転する送り従動ローラーとを有していた。そして、ピックアップされた用紙をさらに送り方向下流側へ送ることができるように設けられていた。また、前記搬送ローラー対は、動力によって駆動する搬送駆動ローラーと、従動回転する搬送従動ローラーとを有していた。そして、前記送りローラー対によって送られた用紙をさらに送り方向下流側へ搬送することができるように構成されていた。
【0004】
図12に示すのは、従来技術における記録装置内部の概略を示す側面図である。
図12に示す如く、従来の記録装置200に設けられた送り装置201は、ピックアップローラー203と、案内経路部202と、送りローラー対205と、搬送ローラー対208と、を備えていた。ピックアップローラー203は、載置された用紙をピックアップし送り方向下流側へ送ることができるように設けられていた。また、案内経路部202は、送り経路を形成し、ピックアップされた用紙を搬送ローラー対208まで案内するように設けられていた。
【0005】
またさらに、送りローラー対205は、動力によって駆動する送り駆動ローラー206と、従動回転する送り従動ローラー207とを有していた。ピックアップされた用紙をさらに送り方向下流側へ送ることができるように設けられていた。搬送ローラー対208は、送りローラー対205によって送られた用紙をさらに送り方向下流側の記録部209へ搬送することができるように構成されていた。
【0006】
ピックアップされた用紙は、先ず、回動に所定の負荷を伴うリタードローラー204に進入する。用紙が重送された場合、所謂、リタード分離が実行される。そして、送り駆動ローラー206に対して最上位の用紙のみが送りローラー対205によって搬送ローラー対208へ送られる。そして、先ず、用紙の先端を搬送ローラー対208にニップさせる。所謂、初期食い付きである。次に、搬送ローラー対208を逆転させ、用紙の先端を搬送ローラー対208のニップ点より送り方向上流側へ移動させる。所謂、吐き出し動作である。
【0007】
このとき、送りローラー対205は停止した状態である。従って、送りローラー対205と搬送ローラー対208との間において、図12に示す如く用紙の撓ませることができる。図12に示す実線は、用紙の幅方向Xの一端側210の姿勢である。一方、鎖線で示すのは、用紙の幅方向Xの他端側211の姿勢である。ここで、前記初期食い付きにおける用紙の先端の姿勢が搬送ローラー対208のニップラインに対して大きく傾いている程、用紙の前記一端側210の姿勢と、前記他端側211の姿勢との差が大きくなる。
尚、「ニップライン」とは、ローラー対の外接する箇所が成す線をいう。即ち、ローラー対における挟圧する箇所が成す線である。
【0008】
そして、用紙の先端の姿勢を搬送ローラー対208のニップラインに倣わせた状態にして、搬送ローラー対208を正転させ、用紙の先端を再度搬送ローラー対208にニップさせることにより所謂、食い付き吐き出し方式によるスキュー取りが実行されていた。
ここで、「スキュー取り」とは、送り方向に対する被送り媒体の傾いた姿勢を正すことをいう。特に、ニップラインに対する用紙の送り方向下流端である先端の傾いた姿勢を正すことをいう。
【0009】
その後、搬送ローラー対208は用紙を記録部209へ搬送し、記録部209によって用紙に対する記録が実行されていた。このとき、リタードローラー204および送り従動ローラー207を、送り駆動ローラー206から離間移動させていた。従って、搬送ローラー対208による用紙の搬送中において用紙の後端側が送り方向上流側に引っ張られるように作用する抵抗である所謂、バックテンションを低減することができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第3351509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、リタードローラー204および送り従動ローラー207を、送り駆動ローラー206から離間移動させた場合であっても、用紙の幅方向Xの一端側210の撓み量と、用紙の幅方向Xの他端側211の撓み量との差を解消させるには十分ではなかった。送りローラー対205と搬送ローラー対208との間における用紙の撓みによって、搬送ローラー対208において用紙が送り方向下流側へ押されるように作用する。従って、前記撓み量の差によって、幅方向Xの一端側(210)の搬送量と、幅方向Xの他端側(211)の搬送量との間に差が生じる虞がある。その結果、スキュー取り後の搬送中において用紙が送り方向に対して新たに傾く所謂、累積スキューが生じる虞がある。
特に、ピックアップから搬送ローラー対208までの用紙の案内経路が側視湾曲している場合、用紙のサイズがA3以上の場合に問題が生じやすい傾向である。
【0012】
本発明は、このような状況に鑑み成されたものであり、その課題は、搬送中の被送り媒体の送り方向に対する姿勢を安定させることを考慮した媒体送り装置および該媒体送り装置を備えた記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を達成するため、本発明の第1の態様の媒体送り装置は、動力によって駆動する送り駆動ローラーと、従動回転する送り従動ローラーとを有し、被送り媒体を送り方向下流側へ送る送りローラー対と、該送りローラー対より送り方向下流側に配置され、動力によって駆動する搬送駆動ローラーと、従動回転する搬送従動ローラーとを有し、前記送りローラー対によって送られた被送り媒体を送り方向下流側へ搬送する搬送ローラー対と、送られる被送り媒体を前記送りローラー対から前記搬送ローラー対まで案内する媒体案内経路部と、前記送りローラー対の前記送り駆動ローラーと前記送り従動ローラーとを相対的に接離移動させ、前記送り駆動ローラーと前記送り従動ローラーとが互いに接近した第1状態と、離間した第2状態とを切り替える切り替え手段と、を備えた媒体送り装置であって、該媒体送り装置は、前記第1状態の送りローラー対の前記送り駆動ローラーを正転駆動させ被送り媒体を送り方向下流側へ送った際、被送り媒体の送り方向下流端である先端の姿勢を、前記搬送ローラー対の外接する箇所が成す線方向に倣わせ、前記搬送駆動ローラーを正転駆動させ被送り媒体の先端側を前記搬送ローラー対に挟持させた状態で、前記送りローラー対を前記第2状態に切り替え、前記送り駆動ローラーを正転駆動させ被送り媒体を前記媒体案内経路部に倣わせる構成であることを特徴とする。
【0014】
本発明の第1の態様によれば、被送り媒体の先端の姿勢を、前記搬送ローラー対の前記線方向である所謂、ニップラインに倣わせることができる。所謂、スキュー取りである。スキュー取り動作は、所謂、「食い付き吐き出し方式」でも「突き当て方式」でもよい。
ここで、「食い付き吐き出し方式」とは、搬送ローラー対が被送り媒体の先端を一度挟持し、搬送ローラー対を逆転させて被送り媒体の先端側を送り方向上流側へ逆送りする。そして、送りローラー対と搬送ローラー対との間において、被送り媒体を撓ませて被送り媒体の先端を搬送ローラー対のニップラインに押し付けることにより、先端の姿勢をニップラインに倣わせる方式をいう。即ち、搬送ローラー対に被送り媒体の先端を一度食い付かせた後、送り方向上流側へ被送り媒体の先端側を吐き出すことにより被送り媒体を撓ませて先端の姿勢をニップラインに倣わせる方式をいう。
【0015】
一方、「突き当て方式」とは、送りローラー対によって被送り媒体を送り方向下流側へ送り被送り媒体の先端を、停止している状態または逆転駆動している状態の搬送ローラー対のニップラインに押し付けることにより、先端の姿勢をニップラインに倣わせる方式をいう。即ち、搬送ローラー対に被送り媒体の先端を突き当てることにより先端の姿勢をニップラインに倣わせる方式をいう。尚、送りローラー対と搬送ローラー対との間において、被送り媒体を撓ませて先端の姿勢をニップラインに倣わせてもよいし、撓ませずに先端の姿勢をニップラインに倣わせてもよい。
【0016】
そして、被送り媒体の先端側が前記搬送ローラー対に挟持された状態で、前記送りローラー対を前記第2状態にする。従って、被送り媒体の後端側の姿勢を先端と同様に倣わせることが可能である。この際、送り方向における前記送りローラー対と前記搬送ローラー対との間において、被送り媒体の幅方向両側の撓み量が異なった状態のままである虞がある。即ち、左右の撓み量に差が生じた状態のままである虞がある。
【0017】
そこで、本態様では、前記送り駆動ローラーを正転駆動させ被送り媒体を前記媒体案内経路部に倣わせる。この際、前記送りローラー対を前記第2状態にするので、前記送り駆動ローラーと被送り媒体との間において容易にスリップを発生させながら、適度な送り力を付与することができる。従って、前記媒体案内経路部に案内される領域内で被送り媒体を適度に撓ませることができる。その結果、被送り媒体の撓み量を幅方向において略均一にすることができ、被送り媒体の幅方向両側における撓み量の差を除去することができる。そして、その後の搬送中において該左右の撓み量の差による所謂、累積スキューが発生することを防止することができる。即ち、左右の撓み量の差による被送り媒体が送り方向下流側へ押し出される力の差を除去することにより、搬送中において、送り方向に対する被送り媒体の姿勢を安定させることができる。
【0018】
さらに、本態様では、前記送り駆動ローラーを正転駆動させることにより被送り媒体が前記送り駆動ローラーから離れるような挙動をとる。
ここで、仮に、前記送り駆動ローラーを逆転駆動させると、被送り媒体は該送り駆動ローラーに巻き付くような挙動をとる。
従って、本態様では、仮に前記送り駆動ローラーを逆転駆動させた場合と比較して、前記送り駆動ローラーの回転負荷を少なくすることができる。
【0019】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前前記搬送駆動ローラーを正転駆動させて被送り媒体の先端を前記搬送ローラー対に挟持させた後、前記搬送駆動ローラーおよび前記送り駆動ローラーを正転駆動させて被送り媒体を送り方向下流側へ送る構成であって、この際の前記送り駆動ローラーの外周の速度は、前記搬送駆動ローラーの外周の速度より速い構成であることを特徴とする。
【0020】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様と同様の作用効果に加え、前記搬送駆動ローラーを正転駆動させながら該搬送駆動ローラーの外周の速度より速い速度で前記送り駆動ローラーを駆動させる。従って、前記搬送ローラー対が被送り媒体を送り方向下流側へ送り出すタイミングを、前記搬送駆動ローラーを停止させた状態で前記送り駆動ローラーを正転駆動させる構成と比較して、早くすることができる。
さらに、前記搬送駆動の外周の速度より速い速度で前記送り駆動ローラーを駆動させるので、前記搬送駆動ローラー対と前記送り駆動ローラーとの間において被送り媒体を適度に撓ませることができる。
【0021】
またさらに、前記搬送駆動ローラーを停止させた状態で前記送り駆動ローラーを正転駆動させる構成と比較して、前記搬送駆動ローラーの速度と前記送り駆動ローラーの速度との相対的な速度差を小さくすることが可能である。従って、被送り媒体と前記送り駆動ローラーとの間において発生するスリップ量を比較的小さくすることが可能である。その結果、前記搬送駆動ローラーを停止させた状態で前記送り駆動ローラーを正転駆動させる構成と比較して、スリップ音を小さくすることが可能である。
【0022】
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様において、前記媒体案内経路部は、側視湾曲した区間を有することを特徴とする。
本発明の第3の態様によれば、第1または第2の態様と同様の作用効果に加え、前記媒体案内経路部は側視湾曲した区間を有している。該側視湾曲した区間を有している場合、被送り媒体の後端側において、幅方向左右の撓み量の差があったとき、ただ単に被送り媒体を送り方向下流側へ送るだけでは、前記撓み量の差は消滅しにくい。これは、前記側視湾曲した区間を有していない場合と比較して、前記媒体案内経路部と被送り媒体との間の摩擦抵抗が大きくなるからである。そのため、累積スキューが生じやすい傾向にある。従って、前記送りローラー対を前記第2状態に切り替え、前記送り駆動ローラーを正転駆動させる構成は係る場合に特に有効である。
【0023】
本発明の第4の態様は、第1から第3のいずれか一の態様において、前記送りローラー対は、被送り媒体の幅方向に複数配設されている構成であることを特徴とする。
本発明の第4の態様によれば、第1から第3のいずれか一の態様と同様の作用効果に加え、前記送りローラー対が幅方向に複数配設されているため、幅方向左右の撓み量の差が生じやすい傾向にある。具体的には、被送り媒体の先端を前記線方向に倣わせた際、被送り媒体の後端側は幅方向に複数配設された前記送りローラー対によってしっかりと姿勢が保持される。そのため、幅方向左右の撓み量の差が生じやすく、さらに消滅しにくい。そのため、累積スキューが生じやすい傾向にある。従って、前記送りローラー対を前記第2状態に切り替え、前記送り駆動ローラーを正転駆動させる構成は係る場合に特に有効である。
【0024】
また、前記送りローラー対が幅方向に複数配設されていることにより、前記第2状態において被送り媒体の両側側端に適度な送り力を付与することができる。そして、前記媒体案内経路部に案内される領域内で被送り媒体を適度に撓ませることができる。この際、幅方向左右における撓み量の差を除去することができる。即ち、前記送りローラー対が幅方向に複数配設されていることにより、より確実に幅方向左右における撓み量の差を除去することができる。
【0025】
本発明の第5の態様は、第1から第4のいずれか一の態様において、送り方向における前記送りローラー対と、前記搬送ローラー対との間、かつ、被送り媒体の幅方向における被送り媒体の両側側端と対向する位置に、被送り媒体の厚み方向における位置を検出する一対の検出器をさらに備え、前記媒体送り装置は、前記一対の検出器の一方の検出状態が他方の検出状態と異なる場合、少なくとも前記検出状態が同じになるまでの間は前記第2状態における前記送り駆動ローラーの外周の速度を、前記搬送駆動ローラーの外周の速度より速くすることを特徴とする。
【0026】
本発明の第5の態様によれば、第1から第4のいずれか一の態様と同様の作用効果に加え、左右の撓み量の差の有無を判断して有ると判断したとき、撓み量の差を除去することができる。具体的には、前記一対の検出器の一方の検出状態が他方の検出状態と異なる場合、左右の撓み量の差が有ると判断することができる。係る場合、前記送り駆動ローラーの外周の速度を、前記搬送駆動ローラーの外周の速度より速くするので、幅方向左右の撓み量の差を除去することができる。
【0027】
一方、前記一対の検出器の一方の検出状態が他方の検出状態と同じ場合、幅方向左右の撓み量の差は無いと判断することができる。係る場合、幅方向左右の撓み量の差はないので、前記送り駆動ローラーの外周の速度を、前記搬送駆動ローラーの外周の速度と同じにして送ることができる。
ここで、「前記送り駆動ローラーの外周の速度を、前記搬送駆動ローラーの外周の速度と同じにする」とは、誤差を許容する範囲で略同じにすることをいう。
前記送り駆動ローラーの外周の速度を、前記搬送駆動ローラーの外周の速度より速くする場合と比較して、消費エネルギーを低減することができる。即ち、消費エネルギーの無駄を無くすことができる。
【0028】
本発明の第6の態様の記録装置は、被記録媒体を送り方向下流側へ送る媒体送り手段と、該媒体送り手段によって送られた被記録媒体に対して記録ヘッドにより記録する記録部と、を備えた記録装置であって、前記媒体送り手段は、上記第1から第5のいずれか一の態様の前記媒体送り装置を備え、前記被記録媒体は、前記被送り媒体であることを特徴とする。
本発明の第6の態様によれば、前記媒体送り手段は、上記第1から第5のいずれか一の態様の前記媒体送り装置を備えている。従って、前記記録装置において、上記第1から第5のいずれか一の態様と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係るプリンター内部におけるピックアップ時の動作を示す側面図。
【図2】本発明に係るプリンター内部における土手分離時の動作を示す側面図。
【図3】本発明に係るプリンター内部におけるリタード分離の動作を示す側面図。
【図4】本発明に係るプリンター内部におけるリタード分離後の動作を示す側面図。
【図5】本発明に係るプリンター内部におけるリタード分離後の動作を示す側面図。
【図6】本発明に係るスキュー取りの際の初期食い付き状態を示す側面図。
【図7】本発明に係るスキュー取りの際の吐き出し状態を示す側面図。
【図8】本発明に係るスキュー取りの際の頭出し状態を示す側面図。
【図9】本発明に係るスキュー取り後の正転動作を示す側面図。
【図10】本発明において後続用紙をピックアップする様子を示す側面図。
【図11】他の実施形態1のスキュー取りの際の吐き出し状態を示す側面図。
【図12】従来技術における記録装置内部の概略を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すのは、「記録装置」或いは「液体噴射装置」の一例としてのインクジェットプリンター(以下「プリンター」と言う)1の内部におけるピックアップ時の動作を示す側面図である。
ここで、液体噴射装置とは、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッドから記録紙等の被記録材へインクを噴射して被記録材への記録を実行するインクジェット式記録装置、複写機及びファクシミリ等の記録装置に限らず、インクに代えて特定の用途に対応する液体を前述した記録ヘッドに相当する液体噴射ヘッドから、被記録材に相当する被噴射材に噴射して、液体を被噴射材に付着させる装置を含む意味で用いる。
【0031】
またさらに、液体噴射ヘッドとしては、前述した記録ヘッド以外に、液晶ディスプレイ等のカラーフィルタ製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイや面発光ディスプレイ(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、精密ピペットとしての試料を噴射する試料噴射ヘッド等が挙げられる。
【0032】
図1に示す如く、プリンター1は、用紙Pを送る送り装置としての送り部3と、記録部80と、図示しない排出部とを備えている。このうち、送り部3は、給送部10と、搬送部70と、を有する。また、給送部10は、ピックアップ部20と、予備分離部30と、本分離部40とを有している。ピックアップ部20は、カセット部14に載置された用紙Pをピックアップして送り方向下流側へ送ることができるように設けられている。
【0033】
具体的には、駆動源の一例である給送用モーター91の動力によって駆動するピックアップローラー21と、ピックアップローラー21を保持しアーム軸23を支点に揺動するアーム部22とを有する。そして、図示しない付勢手段によって、ピックアップローラー21が用紙Pに接近する方向に付勢されている。また、図示しないピックアップ退避手段によってアーム部22が揺動し、ピックアップローラー21が載置された用紙Pから離間する方向へ移動することができるように設けられている。所謂、ピックアップレリース動作である。
【0034】
また、予備分離部30は、所謂、土手分離を実行する土手分離部31を有する。作用については後述するものとする。
またさらに、本分離部40は、予備分離部30の送り方向下流側に設けられている。本分離部40は、所定の負荷によって回動する所謂、リタードローラー41を有している。リタードローラー41は、給送用モーター91の動力によって駆動する中間駆動ローラー50と対を成すように設けられている。そして、リタードローラー41は、揺動機構43によって、中間駆動ローラー50に対して接離移動可能に設けられている。具体的には、揺動機構43は、リタードローラー41をリタードホルダー(図示せず)によって保持し、揺動軸(図示せず)を支点に揺動するように構成されている。
【0035】
そして、付勢ばね(図示せず)の一端が基体部2と係合され、他端がリタードホルダー(図示せず)の自由端側と係合されている。従って、リタードローラー41を中間駆動ローラー50に対して接近する方向へ付勢することができる。また、揺動機構43は、付勢ばね(図示せず)の付勢力に抗してリタードローラー41を中間駆動ローラー50から離間移動させる手段として、離間用モーター92の動力によって駆動するカム部45を有している。カム部45は、リタードホルダー(図示せず)の図示しない凸部と係合して溝カム機構を構成し、リタードホルダー(図示せず)を介してリタードローラー41を中間駆動ローラー50に対して離間移動させることができるように設けられている。
【0036】
また、土手分離部31とリタードローラー41との間には、従動回転する第1アシストローラー48が設けられている。そして、第1アシストローラー48は、土手分離部31を通過した用紙Pの先端を、リタードローラー41と中間駆動ローラー50とのニップ点Nにスムーズに案内することができるように設けられている。
またさらに、リタードローラー41と中間駆動ローラー50とのニップ点Nより送り方向下流側において、後述する用紙先端規制リブ60、60が設けられている。
【0037】
さらに送り方向下流側には、基体部2に回動自在に保持され、中間駆動ローラー50と外接する第2アシストローラー51が設けられている。第2アシストローラー51は、中間駆動ローラー50と共に送りローラー対96を形成するように構成されている。またさらに送り方向下流側には、第3アシストローラー52が回動自在に設けられている。
ここで、用紙Pの送り経路は、ピックアップ部20から搬送部70まで側視U字型に形成されている。具体的には、U字型の外側から用紙Pを案内するU字型外側用紙案内部11と、内側から案内する内側用紙案内部12と、土手分離部31と、後述する巻き込み防止部13と、によってU字型の送り経路が構成されている。
【0038】
従って、第1アシストローラー48〜第3アシストローラー52によって用紙Pと基体部2のU字型外側用紙案内部11との間に生じる摩擦抵抗を低減することができる。従って、さらに送り方向下流側である搬送部70へ用紙Pを滑らかに送ることができる。
尚、送りローラー対96を構成する中間駆動ローラー50および第2アシストローラー51は、幅方向Xにおいて複数設けられている。これは、側視U字型の経路において用紙に対して十分な送り力を付与し、用紙Pを確実に送り方向下流側へ送るためである。
【0039】
搬送部70は、用紙Pを搬送する搬送ローラー対71を有する。搬送ローラー対71は、搬送用モーター94の動力によって駆動する搬送駆動ローラー72と、従動回転する搬送従動ローラー73とを有する。このうち、搬送従動ローラー73は、従動ローラーホルダー74によって回動自在に保持されている。
【0040】
また、従動ローラーホルダー74は、図示しない付勢手段によって搬送従動ローラー73を搬送駆動ローラー72に対して圧接させている。
【0041】
またさらに、送り方向Yにおいて、搬送ローラー対71の上流側近傍には、用紙Pの有無を検出する用紙検出器75が設けられている。具体的には、用紙検出器75は、揺動可能な用紙検出レバー77と、センサー部76とを有している。そして、用紙検出レバー77の一端が用紙Pと当接することによって揺動し、用紙検出レバー77の他端がセンサー部76の図示しない発光部と受光部との間から離れることによって、ON状態になるように構成されている。
【0042】
また、搬送部70は、送り方向下流側に設けられた記録部80へ用紙Pを搬送することができるように設けられている。
またさらに、記録部80は、用紙Pに対してインクを吐出して記録を実行する記録ヘッド82と、記録ヘッド82と対向し下方から用紙Pを支持する媒体支持部81とを有する。
その後、図示しない排出部の排出ローラーによって、記録された用紙Pは、プリンター1の前面の排出トレイ(図示せず)へ排出される。
【0043】
続いて、より詳細な用紙送り動作について説明する。
図1に示す如く、カセット部14に載置されたピックアップローラー21に対して最上位の用紙P1をピックアップする際、制御部90は、アーム部22を揺動させピックアップローラー21を最上位の用紙P1と接触させる。そして、アーム用モーター93を駆動させることによって、ピックアップローラー21を図中における時計方向へ回動させる。
【0044】
このとき、ピックアップローラー21は、図示しない付勢手段によって用紙Pに対して接近する方向へ付勢されている。従って、ピックアップローラー21と最上位の用紙P1との間に摩擦力が生じ、送り方向下流側へ送る力である送り力を発生させることができる。そして、該送り力によって、最上位の用紙P1は、送り方向下流側へ移動し始める。即ち、ピックアップされて下流側へ送られる。
【0045】
尚、ピックアップローラー21と最上位の用紙P1との間の摩擦係数μ1、用紙Pと用紙Pとの間の摩擦係数μ2、基体部側のピックアップローラー21と対向する位置に設けられたパッド部15と用紙Pとの間の摩擦係数μ3とした場合、摩擦係数μ1>摩擦係数μ3>摩擦係数μ2の関係が成り立つように構成されている。従って、数枚の用紙Pが重なって送られる所謂、重送される虞を低減することができる。
また、ピックアップされる際、リタードローラー41は、中間駆動ローラー50に対して接近した状態である。
【0046】
図2に示すのは、本発明に係るプリンター内部における土手分離時の動作を示す側面図である。
図2に示す如く、ピックアップローラー21にピックアップされた用紙Pは、送り方向下流側へ送られる。そして、送られた用紙Pは、予備分離部30としての土手分離部31へ進入する。
【0047】
ここで、ピックアップローラー21に対して最上位の用紙P1と次位以降の用紙P2との間の摩擦係数μ2およびピックアップローラー21を付勢する付勢力によって、次位以降の用紙P2にも送り力が発生する虞がある。
【0048】
係る場合、ピックアップローラー21によって最上位の用紙P1だけでなく、次位以降の用紙P2も送り方向下流側へ送られる。
【0049】
そこで、重送された次位以降の用紙P2を、最上位の用紙P1から分離するために、用紙Pの先端の姿勢が変位する角度で設けられた土手分離部31へ用紙Pを進入させる。そして、用紙Pの先端を土手分離部31に度当てることによって次位以降の用紙P2が停止するきっかけをつくる。さらに、最上位の用紙P1と、次位以降の用紙P2との間に隙間を設けることができる。従って、重送された次位以降の用紙P2を、最上位の用紙P1から分離することができる。
【0050】
図3に示すのは、本発明に係るプリンター内部におけるリタード分離の動作を示す側面図である。
図3に示す如く、土手分離部31によって分離された用紙Pは、ピックアップローラー21によってさらに送り方向下流側へ送られる。そして、用紙Pは、本分離部40であるリタードローラー41と中間駆動ローラー50とが外接するニップ点Nへ送られる。
尚、本実施例において、予備分離部30はあくまでも予備的な分離手段であるため、本分離部40へは、数枚の用紙Pが重送される虞があるものとする。以下、数枚の用紙Pが重送されることを前提として説明する。
【0051】
重送された用紙Pがニップ点Nへ送られると、中間駆動ローラー50に対して最上位の用紙P1のみが中間駆動ローラー50と直に接触する。また、次位以降の用紙P2の先端は、回動に所定の負荷を伴うリタードローラー41と接触する。
ここで、中間駆動ローラー50と最上位の用紙P1との間の摩擦係数μ4、用紙Pと用紙Pとの間の摩擦係数μ2、リタードローラー41と用紙Pとの間の摩擦係数μ5とした場合、摩擦係数μ4>摩擦係数μ2、摩擦係数μ5>摩擦係数μ2の関係が成り立つように構成されている。
【0052】
従って、最上位の用紙P1に作用する送り力を次位以降の用紙P2に作用する送り力より大きくすることができる。
ここで、リタードローラー41の前記負荷は、次位以降の用紙P2に作用する送り力より大となるように構成されている。
従って、中間駆動ローラー50を図中における時計方向へ回動させることによって、最上位の用紙P1のみを送り方向下流側へ送ることができる。
【0053】
より具体的には、次位以降の用紙P2の先端は、リタードローラー41の前記負荷によってニップ点Nで保持され、最上位の用紙P1と次位の用紙P2との間でスリップを発生させることができる。従って、最上位の用紙P1を、次位以降の用紙P2から分離して送り方向下流側へ送ることができる。そして、最上位の用紙P1の先端は、第2アシストローラー51を通過し、U字型外側用紙案内部11および内側用紙案内部12に案内されながら、第3アシストローラー52まで到達する。
【0054】
図4に示すのは、本発明に係るプリンター内部におけるリタード分離後の動作を示す側面図である。
図4に示す如く、中間駆動ローラー50に対して最上位の用紙P1が送り方向下流側へさらに送られると、最上位の用紙P1の先端が用紙検出器75によって検出される。具体的には、最上位の用紙P1の先端が、用紙検出レバー77の一端と当接し、用紙検出レバー77を揺動させる。このとき、用紙検出レバー77の他端は、センサー部76の発光部と受光部との間から外れるため、用紙検出器75はON状態となる。
【0055】
これをトリガーとして制御部90は、リタードローラー41を中間駆動ローラー50から離間移動させる。具体的には、離間用モーター92によってカム部45を回動させ、付勢ばね(図示せず)の付勢力に抗してリタードホルダー(図示せず)を中間駆動ローラー50に対して退避する方向へ揺動させる。
また、制御部90は、アーム用モーター93を駆動させアーム部22を、ピックアップローラー21がカセット部14に載置された用紙Pから退避する方向へアーム軸23を支点に揺動させる。
尚、リタードローラー41の離間移動を開始するタイミングは、中間駆動ローラー50およびピックアップローラー21が所定の回動量に達したときとしてもよい。
【0056】
リタードローラー41が離間移動すると、最上位の用紙P1は、中間駆動ローラー50と第2アシストローラー51とによって送られる。
また、ピックアップローラー21が離間移動すると、次位以降の用紙P2には、直接的に中間駆動ローラー50およびピックアップローラー21から送り力の作用は及ばない。従って、リタードローラー41に先端が保持されていた次位以降の用紙P2は、自重によってカセット部14へ戻ろうとする。
【0057】
ところが、中間駆動ローラー50によって送られている最上位の用紙である先行する用紙P1の後端と、リタードローラー41に先端が保持されていた次位以降の用紙である後続の用紙P2の先端とが接触する。従って、後続の用紙P2には、間接的に送り力が作用する。
そこで、U字型外側用紙案内部11における中間駆動ローラー50とリタードローラー41とのニップ点Nより送り方向下流側に、凸状の用紙先端規制リブ60、60が設けられている。また、用紙先端規制リブ60、60は、用紙Pの幅方向Xにおいて、リタードローラー41の両側近傍に設けられている。
【0058】
そして、送り経路はU字型に曲がっているので、リタードローラー41が離間移動すると、次位以降の用紙である後続の用紙P2の先端は、U字型外側用紙案内部側へ変位する。
従って、用紙先端規制リブ60、60は、リタードローラー41が離間移動した後において、次位以降の用紙である後続の用紙P2の先端と当接して、送り方向下流側へ変位を規制することができる。
【0059】
即ち、確実に後続の用紙P2が送り方向下流側へ送られることを防止することができる。その結果、後続の用紙P2が先行する用紙P1に連れられて送られる所謂、連れ給紙を防止することができる。連れ給紙は、後続の用紙P2と先行する用紙P1とが接触する面積が大きくなる特にサイズの大きい用紙Pを給送する場合に生じやすい。具体的には、A3サイズ以上のサイズにおいて生じやすい。言い換えると、A4サイズ以下であれば、前記接触する面積が小さいので連れ給紙が発生する虞が小さいからである。
【0060】
このとき、ピックアップローラー21を離間移動させることによって、後続の用紙P2の撓み量を小さくすることができる。即ち、後続の用紙P2の姿勢をできるだけ真っ直ぐな姿勢にすることができる。従って、後続の用紙P2の先端を、積極的に用紙先端規制リブ60、60に突き当てるようにすることができる。
また、先行する用紙P1の後端は、後続の用紙P2の先端をU字型経路の外側であるU字型外側用紙案内部側へ押し出すように作用する。従って、後続の用紙P2の先端を、積極的に用紙先端規制リブ60、60に当接させることができる。
【0061】
その結果、確実に連れ給紙を防止することができる。即ち、従来技術において設けられていた所謂、戻しレバーを設けることなく、連れ給紙を防止することができる。
また、従来技術より早いタイミングでリタードローラー41を離間移動させることができる。その結果、リタードローラー41の負荷による所謂、バックテンションを早いタイミングで低減させることができる。例えば、最上位の用紙P1の先端が第2アシストローラー51に到達したとき、リタードローラー41の離間移動を開始してもよい。
【0062】
図5に示すのは、本発明に係るプリンター内部におけるリタード分離後の動作を示す側面図である。
図5に示す如く、図4の状態からさらに中間駆動ローラー50に対して最上位の用紙である先行する用紙P1が送り方向下流側へ送られると、先行する用紙P1の後端は、中間駆動ローラー50とリタードローラー41との間を通過する。
【0063】
ここで、U字型経路の内側には巻き込み防止部13が設けられている。具体的には、送り方向Yにおける中間駆動ローラー50とリタードローラー41とのニップ点Nより送り方向上流側において、中間駆動ローラー50を覆うように設けられている。従って、巻き込み防止部13は、後続の用紙P2が中間駆動ローラー50と接触することを防止することができる。
【0064】
その結果、後続の用紙P2に対して直接的に中間駆動ローラー50が送り力を作用させる虞がない。
そして、先行する用紙P1の先端は、搬送ローラー対71にニップされる。その後、スキュー取りが実行され、先行する用紙P1は、搬送ローラー対71によって送り方向下流側へ搬送されながら、記録部80によって記録される。そして、図示しない排出部によってプリンター1の前方の排出トレイ(図示せず)に排出される。
【0065】
続いて、スキュー取り動作について説明する。
図6に示すのは、本発明に係るスキュー取りの際の初期食い付き状態を示す側面図である。
図6に示す如く、制御部90は、給送用モーター91を正転駆動させ中間駆動ローラー50を図中における時計方向へ回動させる。また、搬送用モーター94を正転駆動させ搬送駆動ローラー72を図中における時計方向へ回動させる。
【0066】
従って、前述したように先行する用紙P1の先端は、搬送ローラー対71にニップされる。そして、先行する用紙P1は、用紙P1の先端が所定量だけ搬送ローラー対71より下流側に位置するまで送られる。
ここで、用紙P1の先端の姿勢が、搬送ローラー対71のニップラインに対して傾いている虞がある。所謂、スキューである。尚、ニップラインは、X軸方向である。
そこで、用紙P1の前記ニップラインに対する傾きを取り除く所謂、スキュー取りため、以下の動作を実行する。
【0067】
図7に示すのは、本発明に係るスキュー取りの際の吐き出し状態を示す側面図である。
図7に示す如く、図6の状態から制御部90は、給送用モーター91を停止させ中間駆動ローラー50を停止させる。また、搬送用モーター94を逆転駆動に切り替えて搬送駆動ローラー72を図中における反時計方向へ回動させる。従って、先行する用紙P1の先端は、搬送ローラー対71によって搬送ローラー対71の上流側へ逆送りされる。所謂、吐き出し動作である。
【0068】
このとき、中間駆動ローラー50は停止している。従って、送り方向Yにおける中間駆動ローラー50と第2アシストローラー51とから成る送りローラー対96と、搬送ローラー対71との間において、先行する用紙P1を撓ませることができる。
【0069】
そして、先行する用紙P1の先端を搬送ローラー対71のニップラインに倣わせることができる。
【0070】
ここで、図6に示す状態において用紙P1が前記ニップラインに対して傾いていた場合、図7において実線で示す如く用紙P1の幅方向Xの一端側は大きく撓み、鎖線で示す用紙P1の幅方向Xの他端側僅かに撓む。また、用紙P1の幅方向Xの一端側と他端側との差の大きさは、図6に示す状態における用紙先端の傾きの大きさに比例する。
尚、図6に示す状態において用紙P1が前記ニップラインに対して傾いていなかった場合、図7において用紙幅方向Xの一端側および他端側は、実線で示す姿勢となる。
【0071】
図8に示すのは、本発明に係るスキュー取りの際の頭出し状態を示す側面図である。
図8に示す如く、図7の状態から制御部90は、給送用モーター91を正転駆動させ中間駆動ローラー50を図中における時計方向へ回動させる。また、搬送用モーター94を正転駆動させ搬送駆動ローラー72を図中における時計方向へ回動させる。従って、前記ニップラインに対して傾いていない状態の用紙P1の先端を、搬送ローラー対71にニップさせることができる。そして、先行する用紙P1の先端を記録開始位置まで送り、給送用モーター91および搬送用モーター94を停止させる。所謂、頭出し動作である。
ここで、記録開始位置とは、記録ヘッド82の図示しないノズル列と対向する位置をいう。
【0072】
このとき、送り方向Yにおける送りローラー対96と搬送ローラー対71との間において、用紙Pの幅方向Xの一端側と他端側との差はまだ消滅していない状態である。
ここで、従来技術において述べたように、前記一端側の撓み量と前記他端側の撓み量との差により、搬送ローラー対71における前記一端側の搬送量と、前記他端側の搬送量との間に差が生じる虞がある。
そこで、前記一端側の撓み量と前記他端側の撓み量との差を無くすため、以下の動作を実行する。
【0073】
図9に示すのは、本発明に係るスキュー取り後の正転動作を示す側面図である。
図9に示す如く、図8の状態から制御部90は、先ず、アシスト離間機構4により第2アシストローラー51を、中間駆動ローラー50に対して離間する方向へ移動させる。
ここで、アシスト離間機構4は、第2アシストローラー51が中間駆動ローラー50に対して接近した第1状態と、離間した第2状態とを切り換えることができるように構成されている。例えば、前述した揺動機構43と同様にカムを備えた構成とすることにより、前記第1状態と、前記第2状態とを切り換えることができる。
【0074】
尚、逆に中間駆動ローラー50を、第2アシストローラー51に対して離間する方向へ移動させるように構成してもよいのは勿論である。係る場合も、後述する作用効果と同様の作用効果を得ることができるからである。本実施形態において、第2アシストローラー51を移動させるように構成した理由は、中間駆動ローラー50が駆動する構成であるからである。即ち、駆動側である中間駆動ローラー50を移動させるより、従動回転する側である第2アシストローラー51を移動させた方が容易だからである。
【0075】
次に、給送用モーター91を正転駆動させ中間駆動ローラー50を図中における時計方向へ回動させる。この間、搬送用モーター94は停止したままの状態である。
このとき、第2アシストローラー51は中間駆動ローラー50から離間している。従って、中間駆動ローラー50は、用紙P1と中間駆動ローラー50の外周との間で滑らせながら用紙P1に対して、送り方向下流側へ適度な送り力を作用させることができる。
【0076】
ここで、「適度な送り力」とは、送り方向Yにおける送りローラー対96と搬送ローラー対71との間において、用紙P1をU字の送り経路の外側へ押し付けるように撓ませることができる程度の送り力をいう。用紙P1がそれ以上外側へ撓むことができない状態になったとき、用紙P1と中間駆動ローラー50の外周との間で必ずスリップが生じるので、用紙P1が送り経路において詰まる所謂、用紙ジャムが生じる虞がない。
【0077】
その結果、送り方向Yにおける送りローラー対96と搬送ローラー対71との間において生じていた用紙P1の撓み量を大きくすることができる。ここで、送り経路における送りローラー対96と搬送ローラー対71との間において、少なくとも一部に側視湾曲した区間Rが形成されている。そして、用紙P1をU字の送り経路の外側、即ち、前記区間の湾曲した外側に押し付けて、それ以上撓むことができない状態にすることができる。即ち、用紙P1をU字型外側用紙案内部11の形状に倣わせて、所定の撓み量にすることができる。
【0078】
さらに、用紙P1の前記一端側の撓み量と、前記他端側の撓み量との差を無くすことができる。その結果、その後の記録実行時における搬送ローラー対71における前記一端側の搬送量と、前記他端側の搬送量との間に差が生じる虞がない。
また、中間駆動ローラー50を正転駆動させる際、ピックアップローラー21は、前述したように用紙Pに対して離間移動した状態である(図5参照)。従って、用紙P1の前記一端側の撓み量と、前記他端側の撓み量との差を無くすことを妨げる虞がない。
【0079】
またさらに、仮に中間駆動ローラー50を逆転駆動させた場合、送り方向Yにおける送りローラー対96と搬送ローラー対71との間において生じていた用紙P1の撓み量を小さくすることができる。
そして、中間駆動ローラー50を正転駆動させた場合と同様に、用紙P1の前記一端側の撓み量と、前記他端側の撓み量との差を無くすことができる。
【0080】
ここで、本実施形態で中間駆動ローラー50を正転駆動させる構成とした理由は、中間駆動ローラー50を正転駆動させることにより用紙P1が中間駆動ローラー50から離れるような挙動をとるからである。
仮に、中間駆動ローラーを逆転駆動させる構成とすると、用紙P1は中間駆動ローラーに巻き付くような挙動をとる。
従って、本実施形態では、仮に中間駆動ローラーを逆転駆動させた場合と比較して、中間駆動ローラー50の回転負荷を少なくすることができる。
【0081】
その後、給送用モーター91および搬送用モーター94を正転駆動させ中間駆動ローラー50および搬送駆動ローラー72を図中における時計方向へ回動させる。この際の中間駆動ローラー50の外周の速度V1は、搬送駆動ローラー72の外周の速度V2と同じであることが望ましい。用紙P1を撓ませる必要がないからである。そして、前述したように、先行する用紙P1は、搬送ローラー対71によって送り方向下流側へ搬送されながら、記録部80によって記録される。そして、図示しない排出部によってプリンター1の前方の排出トレイ(図示せず)に排出される。
【0082】
尚、中間駆動ローラーを時計方向へ回動させるタイミングは、後述する後続用紙のピックアップを開始するタイミングであってもよい。
即ち、搬送中において、搬送ローラー対71および送りローラー対96によって送り力を発生させるようにしてもよいし、搬送ローラー対71のみによって送り力を発生させるようにしてもよい。
【0083】
また、用紙P1の頭出しの際において、搬送駆動ローラー72の正転駆動を停止させずに、中間駆動ローラー50を図中における時計方向へ回動させてもよい。即ち、スキュー取り後に搬送駆動ローラー72を正転駆動させ、用紙P1の先端を搬送ローラー対71にニップさせた直後に、第2アシストローラー51を中間駆動ローラー50から離間移動させる。そして、中間駆動ローラー50を用紙P1との間でスリップさせながら正転駆動させてもよい。
【0084】
この際、中間駆動ローラー50の外周の速度V1は、搬送駆動ローラー72の外周の速度V2より速い関係にある。これは、搬送ローラー対71が用紙P1を搬送する際、用紙P1の後端側における幅方向左右の撓み量の差を略無にするためである。
係る場合、中間駆動ローラー50の正転駆動を停止させた場合と比較して、用紙P1の給送を開始してから記録を開始するまでのタイミングを早くすることができる。その結果、スループットを短くすることができる。
尚、中間駆動ローラー50の速度V1は、搬送駆動ローラー72の速度V2より25〜30%程増速とすることが望ましい。用紙P1を適度に撓ませることができるからである。
【0085】
またさらに、本実施形態では所謂、「食い付き吐き出し方式」のスキュー取り動作について説明したが所謂、「突き当て方式」でもよい。
ここで、「突き当て方式」とは、前述したように送りローラー対96によって用紙P1を送り方向下流側へ送り用紙P1の先端を、停止している状態または逆転駆動している状態の搬送ローラー対71のニップラインに押し付けることにより、先端の姿勢をニップラインに倣わせる方式をいう。即ち、搬送ローラー対71に用紙P1の先端を突き当てることにより先端の姿勢をニップラインに倣わせる方式をいう。尚、送りローラー対96と搬送ローラー対71との間において、用紙P1を撓ませて先端の姿勢をニップラインに倣わせてもよいし、撓ませずに先端の姿勢をニップラインに倣わせてもよい。
【0086】
図10に示すのは、本発明において後続用紙をピックアップする様子を示す側面図である。
図10に示す如く、先行する用紙P1が記録部80へ搬送された後、続けて用紙Pを給送することができる。具体的には、制御部90は、用紙P1の後端を用紙検出器75で検出した後、リタードローラー41および第2アシストローラー51を中間駆動ローラー50に接近移動させる。より具体的には、離間用モーター92によってカム部45を回動させ、付勢ばね(図示せず)の付勢力によってリタードホルダー(図示せず)を中間駆動ローラー50に対して接近する方向へ揺動させる。
【0087】
同様に前記離間機構(図示せず)を作用させて第2アシストローラー51を中間駆動ローラー50に対して接近する方向へ移動させる。
また、制御部90は、アーム用モーター93を駆動させアーム部22を、ピックアップローラー21がカセット部14に載置された用紙Pに対して接近する方向へアーム軸23を支点に揺動させる。
【0088】
このとき、用紙先端規制リブ60、60に保持された後続の用紙P2が、リタードローラー41の接近移動によって、中間駆動ローラー側へ変位する。そして、中間駆動ローラー50とリタードローラー41とによってニップされる。従って、後続の用紙P2の先端は、用紙先端規制リブ60、60による規制状態から解除された状態となる。該状態において、前述したように中間駆動ローラー50およびピックアップローラー21が図中における時計方向へ回動する。
【0089】
このとき、用紙先端規制リブ60、60に保持された後続の用紙P2が一枚であれば、該一枚の用紙P2が送り方向下流側へ送られる。
また、用紙先端規制リブ60、60に保持された後続の用紙P2、P3…が複数枚であれば、前述したように摩擦係数μ4>摩擦係数μ2、摩擦係数μ5>摩擦係数μ2の関係が成り立つ。
【0090】
従って、中間駆動ローラー50に対して最上位の用紙P2に作用する送り力を、次位以降の用紙P3に作用する送り力より大きくすることができる。即ち、リタードローラー41によって次位以降の用紙P3を分離し、最上位の用紙P2のみを送り方向下流側へ送ることができる。このとき、最上位の用紙P2の先端は、前述したようにリタードローラー41の接近移動によって中間駆動ローラー側へ変位したので、用紙先端規制リブ60、60に規制される虞はない。
【0091】
尚、本実施形態において、送り経路は側視U字としたがこれに限られるものではない。側視一直線でもよいし、一部に側視湾曲した区間Rを有する構成でもよい。係る場合も同様に、スキュー取り後において、第2アシストローラー51が離間した状態の中間駆動ローラー50を正転駆動させることによって幅方向左右の撓み量の差を除去することができるからである。少なくとも一部に側視湾曲した区間Rを有する構成が望ましい。用紙Pの厚み方向Zにおいて、用紙Pがどちら側に撓むかを決めることができるからである。
【0092】
本実施形態の媒体送り装置としての送り部3は、動力によって駆動する送り駆動ローラーとしての中間駆動ローラー50と、従動回転する送り従動ローラーとしての第2アシストローラー51とを有し、被送り媒体の一例である用紙Pを送り方向下流側へ送る送りローラー対96と、送りローラー対96より送り方向下流側に配置され、動力によって駆動する搬送駆動ローラー72と、従動回転する搬送従動ローラー73とを有し、送りローラー対96によって送られた用紙Pを送り方向下流側へ搬送する搬送ローラー対71と、送られる用紙Pを送りローラー対96から搬送ローラー対71まで案内する媒体案内経路部としてのU字型外側用紙案内部11および内側用紙案内部12と、送りローラー対96の中間駆動ローラー50と第2アシストローラー51とを相対的に接離移動させ、中間駆動ローラー50と第2アシストローラー51とが互いに接近した第1状態と、離間した第2状態とを切り替える切り替え手段としてのアシスト離間機構4と、を備えた送り部3であって、送り部3は、前記第1状態の送りローラー対96の中間駆動ローラー50を正転駆動させ用紙Pを送り方向下流側へ送った際、用紙Pの送り方向下流端である先端の姿勢を、搬送ローラー対71の外接する箇所であるニップラインが成す線方向(X)に倣わせ、搬送駆動ローラー72を正転駆動させ用紙Pの先端側を搬送ローラー対71に挟持させた状態で、送りローラー対96を前記第2状態に切り替え、中間駆動ローラー50を正転駆動させ用紙PをU字型外側用紙案内部11に倣わせる構成であることを特徴とする。
【0093】
また、本実施形態において、送り部3は、搬送駆動ローラー72を正転駆動させて用紙Pの先端を搬送ローラー対71に挟持させた後、搬送駆動ローラー72および中間駆動ローラー50を正転駆動させて用紙Pを送り方向下流側へ送る構成であって、この際の中間駆動ローラー50の外周の速度V1は、搬送駆動ローラー72の外周の速度V2より速い構成であることを特徴とする。
【0094】
またさらに、本実施形態において、U字型外側用紙案内部11および内側用紙案内部12は、側視湾曲した区間Rを有することを特徴とする。
また、本実施形態において、送りローラー対96は、用紙Pの幅方向Xに複数配設されている構成であることを特徴とする。
本実施形態の記録装置であるプリンター1は、被記録媒体の一例である用紙Pを送り方向下流側へ送る媒体送り手段としての送り部3と、送り部3によって送られた用紙Pに対して記録ヘッド82により記録する記録部80と、を備えていることを特徴とする。
[他の実施形態1]
【0095】
図11に示すのは、他の実施形態1のスキュー取りの際の吐き出し状態を示す側面図である。
図11に示す如く、他の実施形態1のプリンター100は、送り方向Yにおける送りローラー対96と搬送ローラー対71との間に、用紙P1が撓んだときの姿勢を検出する姿勢検出器101a、101bが設けられている。具体的には、一定の撓み量を超えたか否かを検出するように設けられている。即ち、姿勢検出器101a、101bは、用紙Pの厚み方向Zにおける該用紙Pの位置を検出することができるように設けられている。また、姿勢検出器101a、101bは、幅方向Xに一対設けられている。具体的には、用紙P1の幅方向Xの一端側および他端側と対向する位置に一対設けられている。
【0096】
姿勢検出器101a、101bは、レバー部102a、102bと、検出センサー部104a、104bとを有する。レバー部102a、102bは、レバー軸103a、103bを支点に揺動するように設けられている。そして、自重によって図中における時計方向へ回動するように力が作用している。
尚、ばね等の付勢手段によって時計方向へ付勢してもよいのは勿論である。
また、その他の部材については、前述した実施例と同様であるので、同じ符号を使用すると共にその説明は省略する。
【0097】
また、レバー部102a、102bの一端は、案内経路へ突出して用紙P1と接触可能に設けられている。一方、レバー部102a、102bの他端は、検出センサー部104a、104bの図示しない発光部と受光部との間に位置することにより光を遮るように構成されている。また、レバー部102a、102bの他端が前記発光部と受光部との間から外れることにより光りを通すように構成されている。そして、姿勢検出器101a、101bは、レバー部102a、102bの他端が前記発光部と受光部との間から外れたときにON状態となり、レバー部102a、102bの他端が前記発光部と受光部との間に位置するときにOFF状態となるように構成されている。
尚、ON−OFFが逆の構成でもよいのは勿論である。
【0098】
そして、前述した実施例と同様にスキュー取りの際の吐き出し動作(図7参照)において、用紙P1の幅方向Xの一端側(図11において実線で示すP1)が大きく撓む。従って、一端側のレバー部102aと接触し、レバー部102aを反時計方向へ回動させる。その結果、前記一端側の姿勢検出器101aはON状態となる。
一方、用紙P1の幅方向Xの他端側(図11において鎖線で示すP1)は僅かに撓むだけであるので、他端側のレバー部102bと接触しない。従って、前記他端側の姿勢検出器101bはOFF状態のままである。
【0099】
係る場合、前述した実施例と同様に頭出し(図8参照)を実行する。その後、正転動作(図9参照)を実行する。そして、前記他端側の姿勢検出器101aがON状態に切り替わったとき、中間駆動ローラー50の正転駆動を停止する。
その後、前述したように用紙P1を搬送ローラー対71によって搬送しながら記録部80によって記録を実行する。
【0100】
また、スキュー取りの際の吐き出し動作において、用紙P1の幅方向Xの一端側の撓み量と、用紙P1の幅方向Xの他端側の撓み量との間に差がない場合が考えられる。即ち、用紙P1の先端が前記ニップラインに対して傾いていない状態であり、前記一端側の撓み方と前記他端側の撓み方が同じである場合である。このとき、前記一端側の姿勢検出器101aのON−OFF状態と、他端側の姿勢検出器101bのON−OFF状態は同じ状態である。
【0101】
係る場合、搬送ローラー対71における前記一端側の搬送量と、前記他端側の搬送量との間に差が生じる虞はない。従って、前記正転動作(図9参照)を実行しなくてよい。即ち、前記正転動作(図9参照)を省略することができる。そして、第2状態において中間駆動ローラー50の速度と搬送駆動ローラー72の速度とを略同じにして用紙を搬送することができる。その結果、前記省略した分だけエネルギーの消費量を低減することができる。
【0102】
また、頭出しの際、搬送ローラー対71を停止させ、第2状態に切り換えて中間駆動ローラー50を正転駆動させる場合と比較して、用紙Pのピックアップから記録開始までの時間を短くすることができる。そして、単位時間当りの用紙Pの記録枚数を多くすることができる。即ち、スループットを短くすることができる。
また、姿勢検出器101a、101bを用紙Pの上側(記録ヘッド側)に設けたが、下側(媒体支持部側)に設けてもよいのは勿論である。係る場合も同様の作用効果を得ることができる。
【0103】
尚、前述した実施形態と同様に、用紙P1の頭出しの際において、搬送駆動ローラー72の正転駆動を停止させずに、中間駆動ローラー50を図中における時計方向へ回動させてもよい。具体的には、第2アシストローラー51を中間駆動ローラー50から離間移動させ、「中間駆動ローラー50の外周の速度V1>搬送駆動ローラー72の外周の速度V2」の関係にする。係る場合、中間駆動ローラー50の正転駆動を停止させた場合と比較して、用紙P1の給送を開始してから記録を開始するまでのタイミングを早くすることができる。
【0104】
他の実施形態1において、プリンター100の送り部3は、送り方向Yにおける送りローラー対96と、搬送ローラー対71との間、かつ、用紙Pの幅方向Xにおける用紙Pの両側側端と対向する位置に、用紙Pの厚み方向Zにおける位置を検出する一対の検出器である検出センサー部101a、101bをさらに備え、送り部3は、一対の検出センサー部101a、101bの一方の検出状態が他方の検出状態と異なる場合、少なくとも前記検出状態が同じになるまでの間は前記第2状態における中間駆動ローラー50の外周の速度を、搬送駆動ローラー72の外周の速度より速くすることを特徴とする。
【0105】
尚、一対の検出センサー部の一方の検出状態が他方の検出状態と同じ場合、中間駆動ローラー50の外周の速度を、搬送駆動ローラー72の外周の速度と同じにすることが望ましい。用紙Pを撓ませる必要がないからである。また、バックテンションの影響を最小にすることができるからである。
また、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0106】
1 プリンター、2 基体部、3 送り部、4 アシスト離間機構、10 給送部、
11 U字型外側用紙案内部、12 内側用紙案内部、13 巻き込み防止部、
14 カセット部、15 パッド部、20 ピックアップ部、
21 ピックアップローラー、22 アーム部、23 アーム軸、30 予備分離部、
31 土手分離部、40 本分離部、41 リタードローラー、43 揺動機構、
45 カム部、48 第1アシストローラー、50 中間駆動ローラー、
51 第2アシストローラー、52 第3アシストローラー、60 用紙先端規制リブ、
70 搬送部、71 搬送ローラー対、72 搬送駆動ローラー、
73 搬送従動ローラー、74 従動ローラーホルダー、75 用紙検出器、
76 センサー部、77 用紙検出レバー、80 記録部、81 媒体支持部、
82 記録ヘッド、90 制御部、91 給送用モーター、92 離間用モーター、
93 アーム用モーター、94 搬送用モーター、96 送りローラー対、
100 (他の実施形態1の)プリンター、101a (一端側の)姿勢検出器、
101b (他端側の)姿勢検出器、102a (一端側の)レバー部、
102b (他端側の)レバー部、103a (一端側の)レバー軸、
103b (他端側の)レバー軸、104a (一端側の)検出センサー部、
104b (他端側の)検出センサー部、200 (従来技術の)記録装置、
201 送り装置、202 案内経路部、203 ピックアップローラー、
204 リタードローラー、205 送りローラー対、206 送り駆動ローラー、
207 送り従動ローラー、208 搬送ローラー対、209 記録部、
210 用紙の幅方向の一端側、211 用紙の幅方向の他端側、N ニップ点、
P 用紙、P1 先行する用紙、P2 後続の用紙、R 湾曲した区間、X 幅方向、
Y 送り方向、Z (用紙の)厚み方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力によって駆動する送り駆動ローラーと、従動回転する送り従動ローラーとを有し、被送り媒体を送り方向下流側へ送る送りローラー対と、
該送りローラー対より送り方向下流側に配置され、動力によって駆動する搬送駆動ローラーと、従動回転する搬送従動ローラーとを有し、前記送りローラー対によって送られた被送り媒体を送り方向下流側へ搬送する搬送ローラー対と、
送られる被送り媒体を前記送りローラー対から前記搬送ローラー対まで案内する媒体案内経路部と、
前記送りローラー対の前記送り駆動ローラーと前記送り従動ローラーとを相対的に接離移動させ、前記送り駆動ローラーと前記送り従動ローラーとが互いに接近した第1状態と、離間した第2状態とを切り替える切り替え手段と、を備えた媒体送り装置であって、
該媒体送り装置は、前記第1状態の送りローラー対の前記送り駆動ローラーを正転駆動させ被送り媒体を送り方向下流側へ送った際、被送り媒体の送り方向下流端である先端の姿勢を、前記搬送ローラー対の外接する箇所が成す線方向に倣わせ、
前記搬送駆動ローラーを正転駆動させ被送り媒体の先端側を前記搬送ローラー対に挟持させた状態で、前記送りローラー対を前記第2状態に切り替え、前記送り駆動ローラーを正転駆動させ被送り媒体を前記媒体案内経路部に倣わせる構成である媒体送り装置。
【請求項2】
請求項1に記載の媒体送り装置において、前記搬送駆動ローラーを正転駆動させて被送り媒体の先端を前記搬送ローラー対に挟持させた後、前記搬送駆動ローラーおよび前記送り駆動ローラーを正転駆動させて被送り媒体を送り方向下流側へ送る構成であって、この際の前記送り駆動ローラーの外周の速度は、前記搬送駆動ローラーの外周の速度より速い構成である媒体送り装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の媒体送り装置において、前記媒体案内経路部は、側視湾曲した区間を有することを特徴とする媒体送り装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の媒体送り装置において、前記送りローラー対は、被送り媒体の幅方向に複数配設されている構成である媒体送り装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の媒体送り装置において、送り方向における前記送りローラー対と、前記搬送ローラー対との間、かつ、被送り媒体の幅方向における被送り媒体の両側側端と対向する位置に、被送り媒体の厚み方向における位置を検出する一対の検出器をさらに備え、
前記媒体送り装置は、前記一対の検出器の一方の検出状態が他方の検出状態と異なる場合、少なくとも前記検出状態が同じになるまでの間は前記第2状態における前記送り駆動ローラーの外周の速度を、前記搬送駆動ローラーの外周の速度より速くすることを特徴とする媒体送り装置。
【請求項6】
被記録媒体を送り方向下流側へ送る媒体送り手段と、
該媒体送り手段によって送られた被記録媒体に対して記録ヘッドにより記録する記録部と、を備えた記録装置であって、
前記媒体送り手段は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載された前記媒体送り装置を備え、前記被記録媒体は、前記被送り媒体である記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−51787(P2011−51787A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204850(P2009−204850)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】