説明

安否情報管理システム

【課題】平時には在席管理に、被災時等の緊急時には安否管理に用いることができる扱い易い安否情報管理システムの提供。
【解決手段】サーバに、座席配置図データ,在席識別情報および安否識別情報を格納する手段と、各従業員の前記識別情報が座席配置図データの各従業員に夫々対応する各座席に夫々表示される識別情報表示データを送信する手段と、複数のクライアント端末に対してメールを送信可能な手段と、各従業員のクライアント端末に対して緊急連絡メールが送信され、この緊急連絡メールに対して返信があった際、安否識別情報を更新する手段と、緊急連絡メールが送信された後、新たな在席識別情報が更新入力された際、在席識別情報の更新と連動して安否識別情報を連動更新する手段とを設けて成る安否情報管理システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安否情報管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
災害時に個人の安否確認を効率的に行うため、例えば特許文献1に開示されるように、災害時に各人に安否確認メールを送信すると共に、これに対する各人の応答情報(応答の有無)をホームページ上に掲載する安否情報管理システムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−312879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の安否情報管理システムは、被災時等の緊急時にのみ利用されるものであり平時から用いられるものではないため、それだけ習熟し難く、よって、被災時にスムーズな運用ができない可能性がある。また、会社等では緊急時にのみ利用する安否情報管理システムにコストをかけることを躊躇う場合も多く、被災時に有用であることは認識されているものの未だ広く普及していないのが現状である。
【0005】
本発明は、上述のような現状に鑑みなされたもので、平時は同じシステムを用いて従業員の在席管理に用いることができ、被災時等の緊急時にも平時において使い慣れたシステムを用いて従業員の安否確認を行うことができる極めて扱い易く実用性に秀れる安否情報管理システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の要旨を説明する。
【0007】
クライアント端末と通信可能なサーバに、各従業員の座席の配置を視覚的に示す座席配置図データ,少なくとも在席か不在かを識別するための各従業員毎の在席識別情報および少なくとも緊急連絡に対する応答を確認済か否かを識別するための各従業員毎の安否識別情報を格納する格納手段と、前記クライアント端末からの要求に応じて各従業員の前記在席識別情報が前記座席配置図データの各従業員に夫々対応する各座席に夫々表示される在席識別情報表示データ若しくは各従業員の前記安否識別情報が前記座席配置図データの各従業員に夫々対応する各座席に夫々表示される安否識別情報表示データを前記クライアント端末に送信する識別情報表示データ送信手段と、複数のクライアント端末に対して一括で若しくは予め設定されたグループ毎にメールを送信可能なメール送信手段と、このメール送信手段により各従業員のクライアント端末に対して緊急連絡メールが送信され、この緊急連絡メールに対して返信があった際、前記安否識別情報を応答確認済状態に更新する安否識別情報更新手段と、前記緊急連絡メールが送信され、この緊急連絡メールに対する返信がなく新たな前記在席識別情報が更新入力された際、この在席識別情報の更新と連動して当該在席識別情報が更新された従業員の前記安否識別情報を応答確認済状態に連動更新する安否識別情報連動更新手段とを設けて成ることを特徴とする安否情報管理システムに係るものである。
【0008】
また、クライアント端末と通信可能なサーバに、各従業員の座席の配置を視覚的に示す座席配置図データ,少なくとも在席か不在かを識別するための各従業員毎の在席識別情報および少なくとも緊急連絡に対する応答を確認済か否かを識別するための各従業員毎の安否識別情報を格納する格納手段と、前記クライアント端末からの要求に応じて各従業員の前記在席識別情報が前記座席配置図データの各従業員に夫々対応する各座席に夫々表示される在席識別情報表示データ若しくは各従業員の前記安否識別情報が前記座席配置図データの各従業員に夫々対応する各座席に夫々表示される安否識別情報表示データを前記クライアント端末に送信する識別情報表示データ送信手段と、複数のクライアント端末に対して一括で若しくは予め設定されたグループ毎にメールを送信可能なメール送信手段と、このメール送信手段により各従業員のクライアント端末に対して緊急連絡メールが送信され、この緊急連絡メールに対して返信があった際、前記安否識別情報を応答確認済状態に更新する安否識別情報更新手段と、前記緊急連絡メールが送信され、この緊急連絡メールに対する返信がなく新たな前記在席識別情報が更新入力された際、この在席識別情報の更新と連動して前記在席識別情報の更新後の状態に応じて所定のルールに基づいて当該在席識別情報が更新された従業員の前記安否識別情報を対応する状態に自動更新する安否識別情報連動更新手段とを設けて成り、前記安否識別情報において緊急連絡に対する応答を確認済であることを示す状態を複数設定したことを特徴とする安否情報管理システムに係るものである。
【0009】
また、前記クライアント端末の1つの表示部において互いに切替表示可能な形態に生成された前記在席識別情報表示データ及び前記安否識別情報表示データを前記クライアント端末に送信するように前記識別情報表示データ送信手段を構成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の安否情報管理システムに係るものである。
【0010】
また、前記サーバの前記格納手段に、行先情報や連絡先情報を含む各従業員毎の詳細情報を格納し、前記クライアント端末に送信され表示された前記在席識別情報表示データ若しくは前記安否識別情報表示データ中からクライアント端末においていずれかの前記座席が選択された際、当該座席に対応する従業員の前記詳細情報を前記クライアント端末において表示可能に生成された詳細情報表示データを前記クライアント端末に送信する詳細情報表示データ送信手段を設けて成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の安否情報管理システムに係るものである。
【0011】
また、前記在席識別情報を更新するための更新入力部が組み込まれた前記詳細情報表示データを送信するように前記詳細情報表示データ送信手段を構成したことを特徴とする請求項4記載の安否情報管理システムに係るものである。
【0012】
また、前記在席識別情報に応じて前記座席配置図データの各従業員に夫々対応する各座席の表示態様を異ならせて前記在席識別情報を夫々識別可能に生成された前記在席識別情報表示データを送信するように前記識別情報表示データ送信手段を構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の安否情報管理システムに係るものである。
【0013】
また、前記安否識別情報に応じて前記座席配置図データの各従業員に夫々対応する各座席の表示態様を異ならせて前記安否識別情報を夫々識別可能に生成された前記安否識別情報表示データを送信するように前記識別情報表示データ送信手段を構成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の安否情報管理システムに係るものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上述のように構成したから、平時は同じシステムを用いて従業員の在席管理に用いることができ、被災時等の緊急時にも平時において使い慣れたシステムを用いて従業員の安否確認を行うことができる極めて扱い易く実用性に秀れる安否情報管理システムとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施例の構成概略説明図である。
【図2】本実施例の在席識別情報表示データの説明図である。
【図3】本実施例の詳細情報表示データの説明図である。
【図4】本実施例のメール送信フォームの説明図である。
【図5】本実施例の緊急連絡メール及び返信用フォームの説明図である。
【図6】本実施例の安否識別情報表示データの説明図である。
【図7】本実施例の災害モードにおける詳細情報表示データの説明図である。
【図8】本実施例の災害モードにおける詳細情報表示データの説明図である。
【図9】本実施例の安否識別情報連動更新手段を説明する説明図である。
【図10】本実施例の安否識別情報を更新する際に用いるルールの説明図である。
【図11】本実施例のメール送信フォームの編集画面の説明図である。
【図12】本実施例の在席識別情報の編集画面の説明図である。
【図13】本実施例の安否識別情報の編集画面の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0017】
平時においてはクライアント端末において在席識別情報表示データを用いて各従業員の在席状況を把握し、災害時等の緊急時には、各従業員に緊急連絡メールを送信し、この緊急連絡メールに対する各従業員からの返信状況を安否識別情報表示データを用いて把握し、安否確認が取れたか否かを管理する。
【0018】
従って、各従業員のクライアント端末に対して一括で若しくは予め設定されたグループ毎にメールを送信可能なメール送信手段を平時から、例えば各種の連絡事項の通達、問い合わせや会合の案内等に用いることができ、送信者はメール送信手段を用いての連絡に、また受信者はメール送信手段からのメール応答に夫々自然と習熟することができ、緊急時においても同様にメール送信手段を用いて行われる緊急連絡メールの送信やこれに対する応答をスムーズに行えることになる。
【0019】
また、例えば、クライアント端末に表示される識別情報表示データ中の座席を(キーボードやマウス等の入力手段を用いて)選択(クリック)することで、座席に対応した従業員の詳細情報を表示できるようにした場合には、この詳細情報に含まれる行先情報や連絡先情報を利用することで、担当者が不在時に電話対応者が状況を簡易に且つ正確に把握でき、電話対応者の負担軽減に役立つことになる。
【0020】
よって、端末操作に不慣れな従業員が存在しても、平時からメール送信手段を利用することで使い方に慣れることができ、緊急時において不慣れであるがために運用できない可能性を可及的に低減することが可能となる。更に、在席識別情報表示データを用いて在席管理を行えるため、平時においても当該システムの設備は無駄とならず、より積極的に当該システムの導入を促進することができる。
【0021】
また、在席状況は、例えば図2に図示したように、実配置を模した各従業員の座席配置を視覚的に示す座席配置図データ(座席表)の各従業員の座席毎に夫々在席状態(在席か不在か)に応じて例えば色分けして表示することができ、一目で各従業員の在席状況を確認することが可能で非常に有用となる。また、不在状態を図2に図示したように不在の理由(行先)に応じてより細かい状態に分類しても良く、また、在席識別情報表示データ上(同一画面上)に凡例を表示してこの凡例を参考できるようにするとより状況を把握し易くなる。
【0022】
具体的には、在席中の従業員が不在となる際には、例えば行先に応じて帰宅・現場・外出・出張・会議来客・離席等に当該従業員の在席識別情報を更新すると、在席識別情報表示データでは座席の色が対応する色に変更する。同様に、不在であった従業員が戻ってきた場合には、不在状態から在席状態に在席識別情報を更新することで、座席の色を対応する色に変更する。尚、この更新作業は、在席状況の変更に応じて各従業員が夫々行っても良いし、他の人間が行っても良い。
【0023】
また、安否状況は、例えば図6に図示したように、在席状況と同様に実配置を模した各従業員の座席配置を視覚的に示す座席配置図データ(座席表)の各従業員の座席毎に夫々安否確認状況(確認済か未確認か)に応じて色分けして表示することができ、一目で各従業員の安否状況(安否確認に対する応答)を確認することができる。
【0024】
具体的には、メール送信手段から緊急連絡メール(安否確認メール)が送信され、これに対して返信することで、安否識別情報が未確認から確認済に更新され、例えば安否識別情報表示データで座席の色を対応する色に変更することができる。尚、在席識別情報と同様に、確認済状態を図6に図示したように状況に応じてより細かい状態に分類しても良い。
【0025】
更に、安否識別情報を在席識別情報の更新と連動して自動更新することで、従業員は特に安否識別情報を気にせずとも、平時と同様、在席識別情報を更新するだけで、安否識別情報を更新することができ、在席識別情報と安否識別情報とを用いても、メール受信者側の操作が複雑化せず、この点においても不慣れであるがために運用できない可能性を低減できることになる。
【0026】
例えば、社外の現場に出向いていた際に緊急連絡メールを受信し、これに応答せず、直ぐに帰社し、不在(例えば現場)から在席に在席識別情報を更新した場合、緊急連絡メールに返信する必要なく在席識別情報の更新と連動して安否識別情報が自動的に応答確認済状態に更新され、特に意識する必要なく、本システムを用いることが可能となる。尚、この連動更新は従業員が出勤している場合(特に意識しなくても在席情報が更新される場合)に有効である。
【0027】
従って、本発明は、平時には有用な在席管理システムとしても用いることが可能で、在席管理システムとして用いながら従業員がシステムの運用に習熟することで、緊急時にも躊躇無く扱える極めて実働性の高い安否情報管理システムとなる。
【実施例】
【0028】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0029】
本実施例は、クライアント端末と通信可能なサーバに、各従業員の座席の配置を視覚的に示す座席配置図データ,少なくとも在席か不在かを識別するための各従業員毎の在席識別情報および少なくとも緊急連絡に対する応答が確認済か未確認かを識別するための各従業員毎の安否識別情報を格納する格納手段と、前記クライアント端末からの要求に応じて各従業員の前記在席識別情報が前記座席配置図データの各従業員に夫々対応する各座席に夫々表示される在席識別情報表示データ若しくは各従業員の前記安否識別情報が前記座席配置図データの各従業員に夫々対応する各座席に夫々表示される安否識別情報表示データを生成して前記クライアント端末に送信する識別情報表示データ送信手段と、複数のクライアント端末に対して一括で若しくは予め設定されたグループ毎にメールを送信可能なメール送信手段と、このメール送信手段により各従業員のクライアント端末に対して緊急連絡メールが送信され、この緊急連絡メールに対して返信があった際、前記安否識別情報を応答確認済状態に更新する安否識別情報更新手段と、前記緊急連絡メールが送信され、この緊急連絡メールに対する返信がなく新たな前記在席識別情報が更新入力された際、この在席識別情報の更新と連動して当該在席識別情報が更新された従業員の前記安否識別情報を応答確認済状態に自動更新する安否識別情報連動更新手段とを設けて成るものである。
【0030】
本実施例は、図1に図示したように、インターネット,イントラネットやLAN等のネットワークを介して通信可能に接続されるサーバと複数のクライアント端末(携帯電話を含む)で利用されるシステムであり、具体的にはサーバに格納されるサーバプログラムにより例えばHTMLやXML等によって各種表示データの画面レイアウトまでが生成され、これを各クライアント端末で表示する。
【0031】
本実施例のサーバ及びクライアント端末としては、端末としての一般的な機能を備えたコンピュータを採用できる。具体的には、サーバはHDD等の記憶装置(格納手段)に格納されたプログラムに基づいてCPU等の演算処理部が後述する各手段として機能するように構成しているものであり、更に詳述すると、CPUと、RAM,ROM及びHDD等の記憶装置とを備え、これらがシステムバスを介して互いに接続されており、CPUが、HDD等に記憶されたOSのプログラムやアプリケーションプログラムに基づいて四則演算等の各種の演算及びハードウェアの制御を行うものである。また、クライアント端末(クライアントパソコン)には、上記CPUや記憶装置に加え、必要に応じてマウス等のポインティングデバイスやキーボード等の入力装置、ディスプレイ等の表示装置、記録媒体ドライブ等の記憶媒体読取装置等を備えたコンピュータを採用できる。
【0032】
尚、本実施例においては、クライアント端末は各従業員が夫々扱う社内PC及び各従業員の携帯電話の双方を含む。また、サーバの格納手段には、各クライアント端末のメールアドレスが格納されており、メール送信手段を用いてこれらのクライアント端末にメールを送信できるようにしている。また、サーバにアクセスする際には認証操作を行う。
【0033】
座席配置図データとしては、図2等に図示されるように室内の実配置を模した各従業員の座席配置レイアウト(平面図)を用いることができる。この座席配置レイアウトは可及的に実配置に近い形とするのが好ましいが、従業員が認識できる程度に明確であれば、多少実配置とズレていても良い。尚、本実施例においては(部屋が異なる)課毎にタブをクリックすることで夫々切替表示できるように構成している。
【0034】
この座席配置図データは、各座席に予め実配置において在席する各従業員が夫々関連付けられた状態で格納手段に格納されている。
【0035】
また、在席識別情報及び安否識別情報は、各従業員に夫々関連付けられた状態で格納手段に格納される。
【0036】
識別情報表示データ送信手段は、在席識別情報及び安否識別情報に夫々関連付けられる各従業員と、座席配置図データの各座席に関連付けられる各従業員とを比較照合し、これらが一致した在席識別情報及び安否識別情報を、夫々の座席配置図データの座席に表示した形態で在席識別情報表示データ及び安否識別情報表示データを夫々生成する識別情報表示データ生成機能を含み、生成したデータを格納手段に格納するように構成している。そして、クライアント端末からの要求に応じて在席識別情報表示データ若しくは安否識別情報表示データを格納手段から取り出してクライアント端末に送信するように構成している。
【0037】
本実施例においては、在席識別情報表示データ及び安否識別情報表示データを、クライアント端末の1つの表示部(ディスプレイ)において並設表示せず、互いに切替表示可能な形態に生成して前記クライアント端末に送信するように識別情報表示データ送信手段を構成している。具体的には、図2及び図6に図示したように、「行先掲示板表示」(在席管理用)及び「安否状況表示」(安否管理用)の各ボタンをクリックすることで、夫々切り替わるように生成している。
【0038】
また、本実施例においては、緊急連絡メール(安否確認メール)をいずれかの人間が送信した際に、自動的に災害モードとなり、在席管理用の行先掲示板から安否管理用の安否識別情報表示データを切替表示できるようにしている。尚、災害モードに切り換えるためのボタン等を在席識別情報表示データ上に設けて、これをクリックすると災害モードに切り替わるように構成しても良い。即ち、災害モードになっていない平時モードでは、在席識別情報表示データのみを表示し、災害モードになると安否識別情報表示データを切替表示できるように設定している。
【0039】
また、サーバの格納手段には、行先情報や連絡先情報を含む各従業員毎の詳細情報を格納している。具体的には、社員番号、携帯電話番号、内線番号、行先情報(在席識別情報(文字及び色))、安否識別情報(文字及び色)、外出先・出張先に関するコメント(外出予定時間、同行者、使用している車、その他報告)、顔写真等を各従業員毎に関連付けた状態で格納している。
【0040】
詳細情報表示データ送信手段は、識別情報表示データの各座席に対応する従業員の前記詳細情報をクライアント端末において表示可能な詳細情報表示データとして生成する詳細情報表示データ生成機能を含み、クライアント端末に送信され表示された在席識別情報表示データ若しくは安否識別情報表示データ中からクライアント端末においていずれかの座席が選択された際、当該座席に対応する従業員の詳細情報表示データをクライアント端末に送信するように構成している。
【0041】
具体的には、詳細情報表示データ送信手段は、詳細情報に夫々関連付けられる各従業員と、座席配置図データの各座席に関連付けられる各従業員とを比較照合し、これらが一致した詳細情報を図3等に図示したように各情報を矩形状の領域内に夫々整列表示する形態の詳細情報表示データを生成し、格納手段に格納するように構成している。そして、クライアント端末からの要求、即ち、識別情報表示データ中の座席がマウス等の入力装置により選択(クリック)された際、詳細情報表示データを格納手段から取り出してクライアント端末に送信するように構成している。
【0042】
尚、詳細情報表示データ中の「メモ表示」ボタンは、「メモ登録」ボタンをクリックすることで表示されるメモ入力フォームに入力されたメモ(伝言)を表示するものであり、「ユーザー情報編集」ボタンは、クリックすることで携帯電話番号や内線番号等の編集を行えるものであり、「行先変更履歴」ボタンは、クリックすることで在席識別情報の更新履歴を表示するものである。
【0043】
また、本実施例においては、在席識別情報を更新するための更新入力部が組み込まれた詳細情報表示データを送信するように前記詳細情報表示データ送信手段を構成している。即ち、前記詳細情報表示データ生成機能は、在席識別情報を更新するための更新入力部を組み込んで詳細情報表示データを生成する機能を有している。具体的には、図3等に図示したように、詳細情報表示データ中の在席識別情報表示部分(図3においては現場と表示)の隣にある「変更」ボタンをクリックすることで、この在席識別情報を変更することができるようにしている。従って、本実施例においては、各従業員は、在席識別情報表示データをクライアント端末に表示して、自分の座席をクリックし、詳細情報表示データを表示させて、この詳細情報表示データ中の在席識別情報表示部分の隣にある「変更」ボタンをクリックして状態を変更するだけで在席識別情報の更新を行うことができる。
【0044】
また、本実施例においては、識別情報表示データ生成機能は、在席識別情報に応じて座席配置図データの各従業員に夫々対応する各座席の表示態様を異ならせて在席識別情報を夫々識別可能な在席識別情報表示データを生成する機能を有し、また、安否識別情報に応じて座席配置図データの各従業員に夫々対応する各座席の表示態様を異ならせて安否識別情報を夫々識別可能な安否識別情報表示データを生成する機能を有している。
【0045】
具体的には、夫々状態(ステータス)毎に座席が異なる色で着色されるようにしている。従って、一目で在席・不在あるいは緊急連絡メールに対する応答の確認済・未確認を把握することが可能となる。また、本実施例においては、在席識別情報の不在及び安否識別情報の確認済は、夫々更に細かく分類し、より現状を把握し易い構成としている。
【0046】
具体的には、在席識別情報における「不在」状態は、図2等の下部に凡例として表示されるように、帰宅、現場、外出、出張、会議来客、離席、休暇、休日振替、その他に細分化されている。各状態は具体的には図12に図示したように出勤区分等で区分されている。また、この図12に図示される行先名や色や出勤区分等の各項目は夫々編集可能であり、在席情報表示データの下部に凡例として表示される各状態(行先名)及びその色は自由に設定することができる。尚、出勤区分は後述する安否識別情報連動更新機構における更新ルールに関係する。
【0047】
同様に、安否識別情報における「確認済」状態は、図6等の下部に凡例として表示されるように、確認済、出社可、出社(社内)、出社(社外)、出社不可に細分化されている。各状態は具体的には図13に図示したようにシステム名によって区分されている。また、この図13に図示される表示名及び色は夫々編集可能であり、安否識別情報表示データの下部に凡例として表示される各状態(表示名)及びその色は自由に設定することができる。尚、図12及び図13のような行先名や表示名の設定画面は、図2等の「管理画面へ」ボタンをクリックし、管理画面で夫々各種表示ボタンをクリックすることで表示される。
【0048】
また、メール送信手段は、在席識別情報表示データ及び安否識別情報表示データを生成する際に同時に組み込まれるように識別情報表示データ生成機能を設定している。具体的には、図2等に図示したような「一斉連絡する」ボタンをクリックすると、図4に図示したようなメール送信フォームが表示されるように構成している。このメール送信フォームに適宜必要事項を入力して送信する(「内容確認」ボタンをクリックした後、確認画面で「送信」ボタンをクリックする)ことで、設定したグループ毎若しくは全従業員に一斉にメールを送信することができる。ここで、図4中の発信目的欄の安否確認をチェックした場合にのみ、緊急連絡メール(安否確認メール)が送信されることとなり、災害モードへ移行する。他の発信目的の場合は、災害モードに移行しない。尚、メール送信フォームの各事項は、上記同様、「管理画面へ」ボタンをクリックし、管理画面で夫々各種表示ボタンをクリックすることで表示される図11に図示したようなメール送信フォーム編集画面により適宜設定できるようにしている。
【0049】
また、緊急連絡メールは、例えば図5の左図に図示したようなメールであり、メール中のURLをクリックするとサーバに格納される図5の右図に図示したような所定の返信用フォームが表示され、編集欄のいずれかをチェックして「回答」ボタンを選択することで、最小限の操作で必要事項を返信することができる。また、コメントを入力することも可能である。尚、PCでも携帯電話でも同様に上記返信用フォームが表示される。
【0050】
上記緊急連絡メールが送信されると災害モードとなり、安否確認板である図6等を切替表示可能となり、この図6等を表示することで、緊急連絡メールに対する応答(安否状況)を容易に確認することができる。尚、未連絡とはメールが送信されていない状態、未確認とはメール送信に対し応答がない状態を示す。また、「災害モード解除」ボタンをクリックすると災害モードが解除され、行先掲示板のみを表示可能な状態(平時モード)に戻る。
【0051】
メール送信手段により各従業員のクライアント端末に対して緊急連絡メールが送信され、この緊急連絡メールに対して上記返信用フォームからの返信があった際には、編集欄でチェックされた情報に基づき安否識別情報がいずれかの確認済状態(確認済、出社可、出社不可)に安否識別情報更新手段により更新される。具体的には、緊急連絡メールに対する上記返信を受信すると、この返信者(メールアドレス毎に夫々各従業員が関連付けて格納されている)と各安否識別情報の従業員とを比較照合して一致するものをいずれかの確認済状態に更新する。
【0052】
また、詳細情報表示データ送信手段の詳細情報表示データ生成機能は、災害モードにおいては、詳細情報表示データ中に、図7,8に図示したように安否識別情報を在席識別情報の下方に表示する機能を含むように構成している。これにより、いずれかの識別情報表示データ中で座席をクリックして詳細情報表示データを表示することで、在席識別情報と安否識別情報とを同時に確認することが可能となり、どのような状況で被災したのか等を容易に推測可能となり、従業員の安否状況をより詳細に知ることが可能となる。尚、「編集」ボタンをクリックすることで、在席識別情報と同様に安否識別情報も変更することができる。また、在席識別情報や安否識別情報の変更者は社内の人間であれば誰でもなることができる(誰でも変更できる)。
【0053】
また、安否識別情報の変更者は、具体的には以下のようになる。(1)例えば管理者である小林○○が緊急連絡メールを送信すると安否識別情報は「未確認」になり変更者は緊急連絡メールを送信した当該管理者になる(図7参照)。(2)上記緊急連絡メール受信者が回答した場合、安否識別情報は回答した内容になり変更者は本人になる(図8,9参照)。(3)上記「編集」ボタンによる編集をおこなった場合は、変更者は変更した人の名前になる。
【0054】
また、緊急連絡メールに対する返信がなく新たな在席識別情報が更新入力された際には、安否識別情報連動更新手段により、この在席識別情報の更新と連動して当該在席識別情報が更新された従業員の安否識別情報を応答確認済状態に自動更新する。具体的には、上記したように在席識別情報表示データ(若しくは安否識別情報表示データ)中の座席をクリックして詳細情報表示データを表示し、この詳細情報表示データ中の「変更」ボタンをクリックして在席識別情報を変更した際、当該情報が変更された従業員と安否識別情報との従業員とを比較照合して一致する安否識別情報を、図10に図示したようなルールに基づいて変更するように構成している。
【0055】
即ち、メールに対する回答(上記返信フォームからの返信)が有った場合には、安否識別情報更新手段により、例えば編集欄にある出社可がチェックされた場合には出社可に更新し、出社不可がチェックされた場合には出社不可に更新し、その他の回答がチェックされた場合には確認済に更新する。また、メールに対する回答がなく、在席識別情報が更新された場合には、行先掲示板からの行先変更時欄の通りに所定の安否の区分に更新する。尚、図10のルールは上記同様、「管理画面へ」ボタンをクリックし、管理画面で夫々各種表示ボタンをクリックすることで表示、自由に設定することができる。
【0056】
例えば図9に図示したように、在席中に緊急連絡メールを受信した際、在席識別情報表示データ(若しくは安否識別情報表示データ)中の自分の座席をクリックして詳細情報表示データを表示し、「変更」ボタンをクリックして在席識別情報を「離席」に変更すると、図10のルールに基づいて自分の安否識別情報が同時に確認済状態の一種である出社(社内)へ変更されることになる。従って、安否確認情報の変更、緊急連絡メールに対する回答を行う必要なく、特に意識せずとも自らの行先情報(在席識別情報)を安否識別情報に反映させて必要最小限の手間で他人に安否状況を知らせることが可能となる。
【0057】
即ち、災害発生時の初動対応(最初の安否確認)が完了後も、安否状況などを把握する必要がある立場の従業員は、安否識別情報表示データ(安否確認画面)を見ることで、安否という視点から見た社内の状況を逐次確認することができ、また、一般従業員は、特に安否確認画面を意識せずとも、復旧作業に取り掛かることができることになる。
【0058】
よって、本実施例は、平時には有用な在席管理システムとしても用いることが可能で、在席管理システムとして用いながら従業員がシステムの運用に習熟することで、緊急時にも躊躇無く扱える極めて実働性の高い安否情報管理システムとなる。
【0059】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアント端末と通信可能なサーバに、各従業員の座席の配置を視覚的に示す座席配置図データ,少なくとも在席か不在かを識別するための各従業員毎の在席識別情報および少なくとも緊急連絡に対する応答を確認済か否かを識別するための各従業員毎の安否識別情報を格納する格納手段と、前記クライアント端末からの要求に応じて各従業員の前記在席識別情報が前記座席配置図データの各従業員に夫々対応する各座席に夫々表示される在席識別情報表示データ若しくは各従業員の前記安否識別情報が前記座席配置図データの各従業員に夫々対応する各座席に夫々表示される安否識別情報表示データを前記クライアント端末に送信する識別情報表示データ送信手段と、複数のクライアント端末に対して一括で若しくは予め設定されたグループ毎にメールを送信可能なメール送信手段と、このメール送信手段により各従業員のクライアント端末に対して緊急連絡メールが送信され、この緊急連絡メールに対して返信があった際、前記安否識別情報を応答確認済状態に更新する安否識別情報更新手段と、前記緊急連絡メールが送信され、この緊急連絡メールに対する返信がなく新たな前記在席識別情報が更新入力された際、この在席識別情報の更新と連動して当該在席識別情報が更新された従業員の前記安否識別情報を応答確認済状態に連動更新する安否識別情報連動更新手段とを設けて成ることを特徴とする安否情報管理システム。
【請求項2】
クライアント端末と通信可能なサーバに、各従業員の座席の配置を視覚的に示す座席配置図データ,少なくとも在席か不在かを識別するための各従業員毎の在席識別情報および少なくとも緊急連絡に対する応答を確認済か否かを識別するための各従業員毎の安否識別情報を格納する格納手段と、前記クライアント端末からの要求に応じて各従業員の前記在席識別情報が前記座席配置図データの各従業員に夫々対応する各座席に夫々表示される在席識別情報表示データ若しくは各従業員の前記安否識別情報が前記座席配置図データの各従業員に夫々対応する各座席に夫々表示される安否識別情報表示データを前記クライアント端末に送信する識別情報表示データ送信手段と、複数のクライアント端末に対して一括で若しくは予め設定されたグループ毎にメールを送信可能なメール送信手段と、このメール送信手段により各従業員のクライアント端末に対して緊急連絡メールが送信され、この緊急連絡メールに対して返信があった際、前記安否識別情報を応答確認済状態に更新する安否識別情報更新手段と、前記緊急連絡メールが送信され、この緊急連絡メールに対する返信がなく新たな前記在席識別情報が更新入力された際、この在席識別情報の更新と連動して前記在席識別情報の更新後の状態に応じて所定のルールに基づいて当該在席識別情報が更新された従業員の前記安否識別情報を対応する状態に自動更新する安否識別情報連動更新手段とを設けて成り、前記安否識別情報において緊急連絡に対する応答を確認済であることを示す状態を複数設定したことを特徴とする安否情報管理システム。
【請求項3】
前記クライアント端末の1つの表示部において互いに切替表示可能な形態に生成された前記在席識別情報表示データ及び前記安否識別情報表示データを前記クライアント端末に送信するように前記識別情報表示データ送信手段を構成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の安否情報管理システム。
【請求項4】
前記サーバの前記格納手段に、行先情報や連絡先情報を含む各従業員毎の詳細情報を格納し、前記クライアント端末に送信され表示された前記在席識別情報表示データ若しくは前記安否識別情報表示データ中からクライアント端末においていずれかの前記座席が選択された際、当該座席に対応する従業員の前記詳細情報を前記クライアント端末において表示可能に生成された詳細情報表示データを前記クライアント端末に送信する詳細情報表示データ送信手段を設けて成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の安否情報管理システム。
【請求項5】
前記在席識別情報を更新するための更新入力部が組み込まれた前記詳細情報表示データを送信するように前記詳細情報表示データ送信手段を構成したことを特徴とする請求項4記載の安否情報管理システム。
【請求項6】
前記在席識別情報に応じて前記座席配置図データの各従業員に夫々対応する各座席の表示態様を異ならせて前記在席識別情報を夫々識別可能に生成された前記在席識別情報表示データを送信するように前記識別情報表示データ送信手段を構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の安否情報管理システム。
【請求項7】
前記安否識別情報に応じて前記座席配置図データの各従業員に夫々対応する各座席の表示態様を異ならせて前記安否識別情報を夫々識別可能に生成された前記安否識別情報表示データを送信するように前記識別情報表示データ送信手段を構成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の安否情報管理システム。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図10】
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【図11】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−181974(P2010−181974A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−23005(P2009−23005)
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(509034683)株式会社 イートラスト (1)
【Fターム(参考)】